説明

オレフィン重合用四置換フルオレニル触媒の製造および使用

エチレン系不飽和単量体を重合させて重合体(共重合体またはホモ重合体を包含)を生じさせるための触媒組成物および方法。そのような単量体には、エチレン、C3+アルファオレフィンおよび置換ビニル化合物、例えばスチレンおよび塩化ビニルなどが含まれる。この重合触媒は式B(FluL)MQ[式中、Fluは、少なくとも2,7位および3,6位がヒドロカルビル基、好適には比較的嵩高いヒドロカルビル基で置換されているフルオレニル基であり、Lは、置換もしくは非置換シクロペンタジエニル、インデニルまたはフルオレニル基、またはヘテロ有機基XR(ここで、Xは、元素周期律表の15もしくは16族のヘテロ原子、例えば窒素などであり、Rは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である)であり、Bは、基LとFluの間に位置していて配位子構造に立体剛性を与える構造ブリッジであり、Mは、4族もしくは5族の遷移金属、例えばチタン、ジルコニウムまたはハフニウムなどであり、そしてQは、塩素、臭素、ヨウ素、アルキル基、アミノ基、芳香基およびこれらの混合物から成る群から選択され、nは1または2である]で表されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合触媒およびこれらをエチレン系不飽和単量体の重合で用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン(これらはアタクティックまたは立体特異的、例えばイソタクティックまたはシンジオタクテックなどであり得る)およびエチレン−高級アルファオレフィン共重合体、例えばエチレン−プロピレン共重合体などの製造はいろいろな重合条件下でいろいろな重合触媒を用いて実施可能である。そのような重合触媒には、チーグラー・ナッタ触媒およびチーグラー・ナッタ触媒以外の触媒、例えばメタロセン(metallocenes)および他の遷移金属触媒(これらは典型的に1種以上の共触媒と一緒に用いられる)などが含まれる。そのような重合触媒は担持型もしくは非担持型であり得る。
【0003】
アルファオレフィンのホモ重合体もしくは共重合体の製造はいろいろな条件下の重合反応槽(これらはバッチ型反応槽または連続反応槽であってもよい)内で実施可能である。連続重合反応槽は典型的にループ型反応槽の形態を取り、このような形態では、単量体流れを連続的に導入しかつ重合体生成物を連続的に取り出す。例えば、重合体、例えばポリプロピレン、ポリエチレンまたはエチレン−プロピレン共重合体などは、単量体流れを連続ループ型反応槽の中に適切な触媒系と一緒に導入して所望のオレフィンホモ重合体もしくは共重合体を生じさせることを伴う。その結果として生じた重合体を前記ループ型反応槽から“綿毛状物”の形態で取り出した後、処理して重合体を原料として粒子形態、例えばペレットまたは顆粒などの形態で生じさせる。C3+アルファオレフィン、例えばプロピレンなど、または置換エチレン系不飽和単量体、例えばスチレンまたは塩化ビニルなどの場合、結果としてもたらされる重合体生成物は立体規則性で特徴付け可能であり、例えばポリプロピレンの場合には、イソタクティックポリプロピレンまたはシンジオタクテックポリプロピレンなどとして特徴付け可能である。
【0004】
イソタクティックポリプロピレンの構造は、連続単量体単位の第三級炭素原子と結合しているメチル基が重合体主鎖を通る仮想面の同じ側に位置する、例えばメチル基の全部が前記面の上方または下方に位置する構造であるとして記述可能である。フィッシャー投影式を用いて、イソタクティックポリプロピレンの立体化学配列は下記の通りであると記述される:
【0005】
【化1】

【0006】
式1中、垂直セグメントは、各々、重合体バックボーンの同じ側に位置するメチル基を示す。そのような構造を記述する別の方法はNMRを用いることによる方法である。この上に示した如きイソタクティックペンタドのBovey NMR命名法は...mmmm...であり、ここで、各“m”は“メソ”ダイヤドを表す、即ち連続的に存在するメチル基の対は重合体鎖面の同じ側に位置する。本技術分野で公知の如く、そのような鎖構造がいくらか変化または反転すると当該重合体のイソタクティック性および結晶性の度合が低下する。
【0007】
イソタクティック構造物とは対照的に、シンジオタクテックプロピレン重合体は、鎖内の連続的単量体単位の第三級炭素原子と結合しているメチル基が重合体面の交互の側に位置する重合体である。フィッシャー投影式を用いると、シンジオタクテックポリプロピレンは、下記の如く示されるシンジオタクテックペンタドrrrrを伴うラセミ型ダイヤドで表され得る:
【0008】
【化2】

【0009】
ここで、垂直セグメントは、再び、シンジオタクテックポリプロピレンの場合のメチル基を示すか、或は他の末端基、例えばシンジオタクテックポリ塩化ビニルの場合のクロライド、またはシンジオタクテックポリスチレンの場合のフェニル基などを示す。
【0010】
重合可能であるか或は鎖が比較的短いアルファオレフィン、例えばエチレンおよびプロピレンなどと一緒に共重合可能な他の不飽和炭化水素には、ジエン、例えば1,3−ブタジエンまたは1,4−ヘキサジエンなど、またはアセチレン系不飽和化合物、例えばメチルアセチレンなどが含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明に従い、エチレン系不飽和単量体を重合させて重合体(共重合体またはホモ重合体を包含)を生じさせるための触媒組成物および方法を提供する。本発明に従って重合または共重合させる単量体には、エチレン、C3+アルファオレフィンおよび置換ビニル化合物、例えばスチレンおよび塩化ビニルなどが含まれる。本発明の特に好適な用途は、プロピレンの重合用途であり、それにはプロピレンをホモ重合させてポリプロピレン、好適には溶融温度が高いイソタクティックポリプロピレンおよびシンジオタクテックポリプロピレンを生じさせる用途、およびエチレンとC3+アルファオレフィンを共重合させてエチレンとアルファオレフィンの共重合体、特にエチレン−プロピレンの共重合体を生じさせる用途が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施では、式:
B(FluL)MQ (3)
で表されることを特徴とするオレフィン重合触媒を提供する。式(3)中、Fluは、少なくとも2,7位および3,6位がヒドロカルビル基、好適には比較的嵩高いヒドロカルビル基で置換されているフルオレニル基である。Lは、置換もしくは非置換シクロペンタジエニル、インデニルもしくはフルオレニル基またはヘテロ有機基XR(ここで、Xは、元素周期律表の15または16族のヘテロ原子であり、そしてRは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である)である。好適には、Xは窒素、燐、酸素または硫黄である。より好適には、Xは窒素の形態を取る。Rは、炭素原子数が1から20のアルキル基、またはシクロアルキル基、または単核芳香族基(これは置換もしくは非置換であってもよい)である。その上、式(3)に関して、Bは、基LとFluの間に伸びている構造ブリッジであり、これが配位子構造物に立体剛性を与えている。好適には、ブリッジBは式ER[式中、Eは炭素、ケイ素またはゲルマニウム原子であり、そしてRおよびRは、各々独立して、水素、C−C10アルキル基、芳香族基またはシクロアル
キル基である]で表されることを特徴とする。その上、式(3)に関して、Mは4族もしくは5族の遷移金属、好適にはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。Qを塩素、臭素、ヨウ素、アルキル基、アミノ基、芳香族基およびこれらの混合物から成る群から選択し、nは1または2であり、そして前記遷移金属がジルコニウム、ハフニウムまたはチタンの時には2の値を取る。
【0013】
本発明の1つの態様におけるフルオレニル基Fluは、2位および7位の各々がアリール基で置換されておりかつ3位および6位の各々が分子量がより低い置換基で置換されている。より具体的には、フルオレニル基は2位および7位がフェニルもしくは置換フェニル基で置換されておりかつ3位および6位の各々が炭素原子数が少なくとも4の嵩高いヒドロカルビル基で置換されている。好適には、前記3位および6位の嵩高いヒドロカルビル基は第三級ブチル基である。
【0014】
前記メタロセン成分の2位および7位が上述したようにアリール基で置換されておりかつ3位おりお6位が第三級ブチル基で置換されている本発明の態様におけるメタロセン成分は、式:
【0015】
【化3】

【0016】
[式中、Arはフェニル基もしくは置換フェニル基である]
で表されることを特徴とする。
【0017】
配位子成分Lがヘテロ有機基である本発明の特定態様におけるメタロセン成分は、式:
【0018】
【化4】

【0019】
[式中、Arはフェニル基もしくは置換フェニル基であり、そしてRは炭素原子数が1から20のアルキル基または炭素原子数が6から20のアリール基である]
で表されることを特徴とする。
【0020】
メタロセン成分にシクロペンタジエニル基が組み込まれている本発明のさらなる態様におけるメタロセンは、式:
【0021】
【化5】

【0022】
で表されることを特徴とする。式(6)中、Arは、フェニル基または置換フェニル基であり、R’は、C−Cアルキル基またはアリール基であり、nは、置換基の数で、0から4であり、Eは、−C−基または−Si−基であり、RおよびRは、各々独立して、水素、C−C10アルキル基、またはシクロアルキル基、またはアリール基であり、Mは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、そしてQは、塩素、メチル基またはフェニル基である。好適には、式(6)中、前記シクロペンタジエニル基は非置換、二置換または四置換されていることで、左右対称を示すメタロセン成分がもたらされる。しかしながら、本発明の別の態様におけるシクロペンタジエニル基は一置換または三置換されていることで、左右対称を示さないメタロセン成分がもたらされる。
【0023】
本発明のさらなる態様におけるメタロセン成分にはメチル基および第三級ブチル基で置換されているシクロペンタジエニル基が組み込まれていることで、式:
【0024】
【化6】

【0025】
で表されることを特徴とするメタロセン成分がもたらされる。式(7)中、Arは、フェニル基または置換フェニル基であり、Eは、−C−基または−Si−基であり、RおよびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基、もしくはシクロアルキル基,またはアリール基であり、Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり、そしてQは、塩素,メチル基またはフェニル基である。
【0026】
本発明のさらなる態様におけるメタロセン成分には非置換シクロペンタジエニル基が組み込まれており、これは式:
【0027】
【化7】

【0028】
で表されることを特徴とする。
【0029】
式(8)中、Arは、フェニル基または置換フェニル基であり、RおよびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基、もしくはシクロアルキル基,またはアリール基であり、Eは、−C−基または−Si−基であり、Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり、そしてQは、塩素,メチル基またはフェニル基である。
【0030】
本発明の別の態様は、インデニル基が組み込まれているメタロセン触媒成分に関し、こ
れは式:
【0031】
【化8】

【0032】
で表されることを特徴とする。
【0033】
式(9)中、Arは、フェニル基または置換フェニル基であり、Indは、インデニルもしくは置換インデニル基であり、Eは、−C−基または−Si−基であり、RおよびRは、各々、C−Cアルキル基であり、Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり、そしてQは、塩素,メチル基またはフェニル基である。本発明のこの面におけるインデニル基は、置換もしくは非置換のテトラヒドロインデニル基であってもよい。
【0034】
2番目の配位子成分Lがフルオレニル基である本発明の別の面におけるメタロセン成分は、式:
【0035】
【化9】

【0036】
で表されることを特徴とする。式(10)中、Flu’は、フルオレニルもしくは置換フルオレニル基であり、Eは、−C−基または−Si−基であり、RおよびRは、各々、C−Cアルキル基であり、Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり、そしてQは、塩素,メチル基またはフェニル基である。好適には、式(10)中のフルオレニル基Flu’は、非置換フルオレニル基もしくは置換フルオレニル基であり、この場合のメタロセン成分は左右対称を示す。
【0037】
本発明のさらなる面では、1種以上のエチレン系不飽和単量体を重合させて相当するホモ重合体または共重合体を生じさせる方法を提供する。この重合方法を実施する時、前記式(3)で表されることを特徴とする如きメタロセン触媒成分を準備する。前記メタロセン触媒成分に加えて、活性化用共触媒成分も準備する。前記触媒成分と共触媒成分を重合反応ゾーン内でエチレン系不飽和単量体と重合条件下で接触させることで重合体生成物を生じさせた後、前記反応ゾーンから回収する。好適には、前記活性化用共触媒にメチルアルモキサン(MAO)またはトリ−イソブチルアルモキサン(TIBAO)またはこれらの混合物を含める。別法として、活性化用共触媒に非配位アニオン型形態、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミン酸トリフェニルカルベニウムまたはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸トリフェニルカルベニウムなどの形態を取らせることも可能である。好適には、前記エチレン系不飽和単量体はC3+アルファオレフィンである。より具体的には、前記アルファオレフィンはプロピレンであり、そして重合反応を実施することでシンジオタクテックもしくはイソタクティックポリプロピレンを生じさせる。
【0038】
本発明の好適な態様におけるメタロセン成分にはシクロペンタジエニル基が組み込まれており、これは式:
【0039】
【化10】

【0040】
で表されることを特徴とする。式(11)中、Arは、フェニル基または置換フェニル基であり、RおよびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基、またはシクロアルキル基,またはアリール基であり、R’は、C−Cアルキル基またはアリール基であり、nは、0から4の数であり、Eは、−C−基または−Si−基であり、RおよびRは、各々、C−Cアルキル基であり、Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり、そしてQは、塩素,メチル基、フェニル基もしくは置換フェニル基またはベンジル基である。本発明のこの態様の1つの面におけるメタロセン成分は左右対称を示し、そして重合体生成物はシンジオタクテックポリプロピレンである。別の面におけるメタロセンは左右対称を示さず、そして重合体生成物はイソタクティックポリプロピレンである。本方法の具体的態様におけるメタロセン成分には非置換シクロペンタジエニル基が組み込まれており、これは式:
【0041】
【化11】

【0042】
で表されることを特徴とし、それによって、溶融温度が150℃以上で結晶化温度が95℃以上のシンジオタクテックポリプロピレンがもたらされる。好適には、前記シンジオタクテックポリプロピレンが示す溶融温度は170℃以上である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は、四置換フルオレニル基が組み込まれているメタロセン配位子構造を有する架橋遷移金属触媒およびそれらをオレフィンの重合で用いることに関する。ホモ重合または共重合のいずれかで重合可能な具体的オレフィンには、エチレン、プロピレン、ブチレンばかりでなくこの上に記述した如きモノ芳香族もしくは置換ビニル化合物が含まれる。本発明の架橋触媒成分には元素周期律表(新規表記法)の4族もしくは5族に属する遷移金属、より詳細には、元素周期律表の4属に属する遷移金属が組み込まれている。本発明の触媒成分に用いるに好適な遷移金属はチタン、ジルコニウムおよびハフニウムであり、特にジルコニウムが好適である。
【0044】
本発明の触媒成分には四置換フルオレニル基である主要なフルオレニル基が組み込まれており、これが2番目の配位子構造(これは置換もしくは非置換シクロペンタジエニル、インデニルもしくはフルオレニル基またはヘテロ有機基である)と架橋されている。前記四置換フルオレニル基はブリッジと遷移金属を通る対称面に関して対称的である。好適には、2,7位に位置する置換基の方が3,6位に位置する置換基よりも嵩高い。しかしながら、ある場合には、置換基の逆の関係を用いることも可能である。この場合には、主要なフルオレニル基の2位および7位がC−Cアルキル基で置換されていて3位および6位が炭素原子数が少なくとも4の嵩高いヒドロカルビル基で置換されていてもよい。より具体的には、本発明の触媒成分は、少なくとも2,7および3,6位が置換されている四置換フルオレニル基が組み込まれていてそれらが置換もしくは非置換シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルまたはヘテロ有機基と架橋されておりかつブリッジと遷移金属を通る対称面に関して対称(または非対称)であることで特徴づけられるメタロセン配位子構造を含んで成る。
【0045】
以下の図に本発明の実施で使用可能なメタロセン配位子構造(および前記構造の番号付けスキーム)を示す。図(13)に、シクロペンタジエニル−フルオレニル配位子構造を示し、図(14)に、インデニル−フルオレニル配位子構造を示し、図(15)に、ヘテロ原子(XR)−フルオレニル配位子構造を示し、そして図(16)に、フルオレニル−フルオレニル配位子構造を示す。
【0046】
【化12】

【0047】
【化13】

【0048】
いろいろな配位子構造物上の置換基の位置を示す目的で用いる番号付けスキームを図(13)−(16)に示す。構造(14)に関して、示してはいないが、インデニル部分は4,5,6,7−テトラヒドロインデニルばかりでなくより一般的な非水添インデニル基の形態を取ってもよい。図(13)−(16)の各々に関して、メタロセン配位子構造は、図(13)−(16)の中の架橋基Bおよび遷移金属(示していない)を通る紙面に対して垂直に広がる対称面が紙面から上方に突き出ていることで特徴づけ可能である。
【0049】
以下に例えば図(13)に関して示すいろいろな例に関係させて記述するように、シクロペンタジエニル基は一置換されていてもよくかつフルオレニル基は2,7と3,6位が対称的に置換されていてもよい。他の置換基が全く存在しないか或はフルオレニル基が他の様式で対称的に置換されている場合、前記3位はシクロペンタジエニル基上の4位に相当し、そしてこのような関係は位置表現3(4)で表され得る。
【0050】
本発明の触媒は、有利に、プロピレンを重合させて分子量が高く、立体規則性(tacticity)が高くかつ溶融温度が高いシンジオタクテックもしくはイソタクティックポリプロピレンを高収率で生じさせようとする時に使用可能である。本発明の触媒が所望特性を有する理由は、本触媒の構造的パラメーターとシクロペンタジエニルおよびフルオレニル環の置換のユニークな組み合わせによる。加うるに、本発明の触媒は、プロピレンとオレフィン、例えばエチレンなどを共重合させてランダムもしくは耐衝撃性共重合体を生じさせようとする時にも使用可能である。
【0051】
本発明の実施で用いるに適していてイソタクティックポリプロピレンを製造しようとする時に使用するに適した配位子構造には、図(13)を参照して、3−第三級ブチル,5−メチルシクロペンタジエニル,2,7−ジ−第三級ブチル,4−フエニルフルオレン、置換基がフルオレニル構造上の5位に位置する以外は同じ配位子構造、および4位もしくは5位が4−第三級ブチルフェニル基で置換されている同じ配位子構造が含まれる。言い換えれば、フェニル基の直接的遠位(フルオレニル基上のフェニル基の置換位を基準にして)が第三級ブチル基で置換されている。
【0052】
イソタクティックポリプロピレンを製造しようとする時に使用可能な他の適切な配位子構造には、シクロペンタジエニル基の3位が第三級ブチル基で一置換されている以外はこの上に記述した如き配位子構造が含まれる。前記フルオレニル基は、前記と同様に、2位および7位が第三級ブチル基で置換されておりかつ4位がフェニル基または4−第三級ブ
チルフェニル基で置換されている。
【0053】
図(14)に例示するビス−インデニルフルオレニル配位子構造が組み込まれている同様に置換されている配位子構造物を本発明に従って用いることも可能である。典型的には、インデニル構造は不均衡な特徴を有することから、インデニル(または4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)基のさらなる置換は用いない。フルオレニル配位子成分はこの上に記述した如く置換されていてもよく、従ってそれは嵩高い基、例えば第三級ブチルおよびフェニル基などで4位が置換または4および5位が二置換されていてもよい。また、フルオレニル配位子構造は4位および5位の中の1つが置換されていてもよくかつ2位および7位が前記4位もしくは5位上の置換基よりは嵩高くない置換基で二置換されていてもよい。
【0054】
図(15)に示したヘテロ原子配位子構造も図(13)および(14)に関して上述した様式と同様な様式でフルオレニル基が置換されていてもよい。従って、例えばフルオレニル基の2位およびお7位が第三級ブチル基で置換されていてもよくかつ4位が置換もしくは非置換フェニル基で置換されていてもよい。別法として、フルオレニル基の2位および7位が置換されていなくてもよくかつ4位がイソプロピル基、第三級ブチル基、フェニル基または置換フェニル基で置換されていてもよい。
【0055】
本発明の触媒成分を重合方法で用いる場合、それらを活性化用共触媒と一緒に用いる。適切な活性化用共触媒は、メタロセン触媒を用いた重合反応で通常用いられる如き共触媒の形態を取ってもよい。従って、そのような活性化用共触媒はアルミニウム共触媒の形態を取ってもよい。アルモキサン共触媒はまたアルミノキサンまたはポリヒドロカルビルアルミニウム酸化物とも呼ばれる。そのような化合物には、式:
【0056】
【化14】

【0057】
[式中、Rは、炭素原子数が一般に1から5のアルキル基である]
で表される繰り返し単位を有するオリゴマー状もしくはポリマー状の化合物が含まれる。アルモキサンは本技術分野で良く知られており、これの調製は、一般に、有機アルミニウム化合物を水と反応させることで実施されるが、他の合成ルートも本分野の技術者に知られている。アルモキサンは、例えば米国特許第4,404,344号に開示されているように、直鎖重合体であるか或は環式重合体のいずれかであり得る。従って、アルモキサンは、アルミニウムと酸素原子が交互に存在する鎖を含有するオリゴマー状もしくはポリマー状のアルミニウムオキシ化合物であり、前記アルミニウムは置換基、好適にはアルキル基を持つ。直鎖および環式アルモキサンの構造は、環式アルモキサンの場合には一般式−(Al(R)−O−)−mで表されそして直鎖化合物の場合にはRAl−O−(Al(R)−O)m−AlRで表されると一般に考えられており、ここで、Rは、各場合とも独立して、C−C10ヒドロカルビル、好適にはアルキルまたはハライドであり、そしてmは、1から約50の範囲の整数、好適には少なくとも約4である。アルモキサンはまたケージまたはクラスター化合物の形態でも存在する。アルモキサンは、典型的に、水とアルキルアルミニウムの反応生成物であり、これは、アルキル基に加えてハライドまたはアルコキサイド基も含有し得る。異なる数種のアルキルアルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウムおよびトリ−イソブチルアルミニウムなどを水と反応させるといわゆる変性もしくは混合型アルモキサンが生じる。好適なアルモキサンは、メチルアルモキサン、および他の高級アルキル基、例えばイソブチルなどを少量用いて変性されたメチルア
ルモキサンである。アルモキサンは、一般に、出発アルミニウムアルキル化合物を少量または実質的な量で含有する。好適な共触媒(トリメチルアルミニウムまたはトリ−イソブチルアルミニウムを用いて作られた)は時にはそれぞれポリ(メチルアルミニウムオキサイド)およびポリ(イソブチルアルミニウムオキサイド)とも呼ばれる。
【0058】
前記アルキルアルモキサン共触媒および遷移金属触媒成分をオレフィン重合触媒をもたらす適切ないずれかの量で用いる。アルミニウムと遷移金属の適切なモル比は10:1から20,000:1の範囲、好適には100:1から5,000:1の範囲内である。通常は、前記遷移金属触媒成分とアルモキサンまたは以下に記述する如き他の活性化用共触媒を混合した後、Ewen等の米国特許第4,767,735号に記述されている如き実施様式で重合反応槽に導入する。この重合工程はバッチ型、連続または半連続手順のいずれかで実施可能であるが、好適には、オレフィン単量体(または単量体2種以上)の重合を上述した特許番号4,767,735に開示されている種類のループ型反応槽内で実施する。典型的なループ型反応槽には、単一ループ反応槽またはいわゆる二重ループ反応槽が含まれ、二重ループ反応槽では、重合手順を2基の連続的に連結したループ反応槽内で実施する。前記Ewen等の特許に記述されているように、触媒成分を一緒に配合する時には、それらを線形管状予備重合用反応槽に供給してもよく、その中でそれらを比較的短時間接触させることで単量体(または単量体2種以上)を前以て重合させておいた後、主ループ型反応槽の中に導入する。主反応槽に導入する前のいろいろな触媒成分の混合物を接触させる適切な時間は数秒から2日間の範囲内であり得る。本発明の実施で使用可能な適切な連続重合方法のさらなる説明に関しては、上述した特許番号4,767,735(これの開示は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0059】
本発明を実施する時に使用可能な他の適切な活性化用共触媒には、ホウ素原子を1個以上含有して成るアニオンと共に、触媒カチオンを生じる機能を有する触媒が含まれる。例として、そのような活性化用共触媒は、Elder等の米国特許第5,155,080号に開示されている如きテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸トリフェニルカルベニウムの形態を取り得る。そこに記述されているように、そのような活性化用共触媒は、遷移金属触媒系の中で安定化用アニオンとして機能するアニオンをもたらす。適切な非配位アニオンには、[W(PhF)] ̄,[Mo(PhF)] ̄(ここで、PhFはペンタフルオロフェニルである),[ClO] ̄,[S] ̄,[PF] ̄,[SbR] ̄,[AlR] ̄(ここで、各Rは独立してCl、C−Cアルキル基、好適にはメチル基、アリール基、例えばフェニルもしくは置換フェニル基、またはフッ素置換アリール基である)が含まれる。Elder等の特許に記述されている手順に従い、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸トリフェニルカルベニウムと本発明のピリジニル連結ビス−アミノ配位子を溶媒、例えばトルエンなどの中で反応させることで配位カチオン−アニオン錯体を生じさせることができる。そのような活性化用共触媒のさらなる説明に関しては、上述した米国特許第5,155,080号(これの開示は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0060】
そのような活性化用共触媒の使用に加えて、重合反応を捕捉剤または重合共触媒の存在下で実施することも可能であり、それを重合反応槽に前記触媒成分および活性化用共触媒と一緒に添加する。そのような捕捉剤は一般に元素周期律表の1A,2Aおよび3B族の金属の有機金属化合物であるとして特徴付け可能である。実際問題として、有機アルミニウム化合物を通常は重合反応で共触媒として用いる。具体的例には、トリエチルアルミニウム、トリ−イソブチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウムなどが含まれる。本発明で通常用いる共触媒には、メチルアルモキサン(MAO),トリエチルアルミニウム(TEAL)およびトリ−イソブチルアルミニウム(TIBAL)が含まれる。
【0061】
本架橋フルオレニル配位子構造物および相当する遷移金属触媒成分の調製は適切な如何なる技術で実施されてもよい。典型的には、メチレン架橋シクロペンタジエニルフルオレニル配位子構造物の場合、フルオレニル基にメチルリチウムを用いた処理を受けさせることで9位がリチウムで置換されているフルオレニル基を生じさせた後、それを6,6−置換フルベンと反応させる。例えば、6,6−ジメチルフルベンを用いることでイソプロピリデンシクロペンタジエニル置換フルオレニル配位子構造物を生じさせることができる。ブリッジ基にゲルマニウムまたはケイ素原子が組み込まれている配位子構造物の場合、リチウム化フルオレニル基を例えば二塩化ジフェニルシリルなどと反応させることでフルオレニル基上の9位にジフェニルシリルクロライド置換基を生じさせる。次に、その成分をリチウム化シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニルと反応させることでブリッジを生じさせる。次に、その配位子構造物をメチルリチウムで処理した後、適切な遷移金属、塩素、例えば四塩化ジルコニウムなどと反応させることで相当するメタロセンジクロライドを生じさせる。
【0062】
本発明で用いる触媒成分の調製は、フルオレニル配位子成分に適切な修飾を受けさせて2,7,3,6−四置換フルオレンを取り込ませることに関して本技術分野で良く知られている手順を包含する技術を用いて実施可能である。例えば、以下に記述するように、6,6−ジメチルフルベンを2,7,3,6対称置換フルオレンと一緒に用いることで相当するメチレン架橋シクロペンタジエニル2,7,3,6−四置換フルオレンを生じさせることができる。本発明で用いるフルオレニル−フルオレニル配位子構造物の合成をReddyの米国特許第6,313,242号に開示されている如き手順を用いて実施することでビス−フルオレニル配位子を生じさせることができ、これもまた、Reddyが開示した種類の食い違いの配位子構造ではない対称的な配位子構造を生じさせるに適する。同様に、前記式10で表されることを特徴とする種類の架橋フルオレニルヘテロ原子配位子構造物の製造も、置換フルオレンの調製をジメチルジクロロシランを用いて実施した後にそれを第三級ブチルリチウムアミドと反応させて架橋フルオレニルアミン構造物を生じさせることで実施可能である。再び、上述した手順に従うが、Reddyの特許に開示されている3,6−ジ−第三級ブチルフルオレンではなく例えば2,7−ジフェニル−3,6−ジ−第三級ブチルフルオレンなどを用いると言った修飾を伴わせる。本発明のメタロセン成分を合成する時に使用可能ないろいろな手順の例を以下に記述する合成手順で示す。
【0063】
本発明を利用した具体的メタロセンの例を下記の構造式で示し、ここで、イソプロピリデン架橋基を
【0064】
【化15】

【0065】
で示しそして第三級ブチル基を
【0066】
【化16】

【0067】
で示す。
【0068】
【化17】

【0069】
【化18】

【0070】
【化19】

【0071】
【化20】

【実施例】
【0072】
1.触媒の合成
2,7−ジブロモ−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンの合成を下記の反応に従って3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンとN−ブロモスクシンイミドをプロピレンカーボネート溶液中で82%の収率で反応させることで実施し、それを触媒M1−M15用の2,7−ジ−アリール−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンを合成する時の出発材料として用いた:
【0073】
【化21】

【0074】
2,7−ジブロモ−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンとフェニルホウ素酸の連成反応を下記の反応に従って実施することで2,7−フェニル−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンを90%の収率で得た。
【0075】
実施例1 − 2,7−ジブロモ−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンの合成
3,6−ジ−t−ブチルフルオレン(2.10g,7.55ミリモル)をプロピレンカーボネート(60ml)に入れることで生じさせた溶液に2.70gのN−ブロモスクシンイミドを加えた。この反応混合物を70−75℃で6時間撹拌した。この混合物を水の中に注ぎ込み、沈澱してきた固体を濾過し、水で洗浄した後、乾燥させることで2.71g(82%)の収量を得た。H NMR(CDCl):δ7.80および7.72(各々s,2H,1,8−および4,5−H(Flu),3.74(s,2H,H9),1.59(s,18H,t−Bu).
【0076】
2,7−ジブロモ−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンとアリールホウ素酸の連成反応を下記の反応に従って実施することで2,7−アリール−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンを85−95%の収率で得た:
【0077】
【化22】

【0078】
実施例2 − 2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンの合成
2,7−ジブロモ−3,6−ジ−t−ブチルフルオレン(0.96g,2.20ミリモル)とPd(PPh(260mg,0.22ミリモル)をトルエン(50ml)に入れることで生じさせた混合物に、フェニルホウ素酸(0.81g,6.63ミリモル)をEtOH(10ml)に入れることで生じさせた溶液およびNaCO(1.5g)を水(10ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その反応混合物を還流下で6時間撹拌した。その反応混合物の反応を水で急冷し、エーテルを用いた抽出を実施し、MgSOを用いた乾燥を実施した後、真空下の蒸発を実施することで残留物を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン/CHCl=5/1)で精製することで2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレン(0.85g,〜90%)を得た。H NMR(CDCl):δ7.96および7.15(各々s,2H,1,8−および4,5−H(Flu),7.33(m,10H,Ph),3.77(s,2H,H9),1.27(s,18H,t−Bu).
【0079】
実施例3 − 2,7−ジ(4−t−ブチル−フェニル)−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンの合成
4−t−ブチル−フェニル−ホウ素酸をフェニルホウ素酸の代わりに用いる以外は実施例2に示した手順と同じ手順を用いた。収率は92%であった。
【0080】
以下の実施例4および5に2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンの調製を例示する。
【0081】
実施例4 − 2,7−ジクロロメタン−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンの合成
3,6−ジ−t−ブチルフルオレン(2.00g,7.19ミリモル)とクロロメチルメチルエーテル(2.5ml)をCS(15ml)に入れることで生じさせた0℃の溶液にTiCl(0.4ml)をCS(5ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その反応混合物を室温で3時間撹拌した。その混合物を氷水の中に注ぎ込んだ後、エーテルで抽出した。そのエーテル抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で蒸発させると残留物が残存し、それをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl=10/1)そして熱ヘプタンを用いた結晶化で精製した。その生成物は、以下の反応で示すように、2−クロロメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレン(収率0.75g):H NMR(CDCl):δ7.80および7.78(各々d,1H,4,5−H),7.47(d,1H,J=8.1Hz,H8),7.34(dd,1H,J=8.1Hz,J=1.5Hz,H7),7.31(d,1H,1H,J=1.5Hz,H1),4.72(s,2H,CHCl),3.87(s,2H,H9),1.41(s,18H,t−Bu)および2,7−ジクロロメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレン(収率0.63g):H NMR(CDCl):δ7.87(br s,2H,4,5−H),7.34(br s,2H,1,8−H),4.75(s,4H,CHCl),3.95(s,2H,H9),1.42(s,18H,t−Bu)をもたらした:
【0082】
【化23】

【0083】
実施例5 − 2,7−ジクロロメタン−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレンの還元
2,7−ジクロロメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレン(0.75g)をTHF(15ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに少量のLiAlH(0.25g)を加えた。この混合物を5時間還流させた。水およびNaOHで反応を急冷した後、エーテルを用いた抽出を実施した。そのエーテル溶液に蒸発を真空下で受けさせることで白色の固体を0.69gの収量で得た。
【0084】
【化24】

【0085】
実施例6および7に2,2−[(シクロペンタジエニル)−(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]−イソプロピリデンジルコニウムジクロライド(触媒成分M1)の合成を例示する。
【0086】
実施例6 − 2,2−[(シクロペンタジエニル)−[(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]−プロパン
2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレン(0.95g,2.20ミリモル)をTHF(20ml)に入れてこれに−78℃でブチルリチウム(1.5ml,ヘキサン中1.6M,2.40ミリモル)を加えた。その反応混合物を室温に温めて2.5時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。エーテル(5ml)を加えた後、真空下で除去した。エーテル(25ml)を加えた後、6,6’−ジメチルフルベン(0.23g,2.43ミリモル)をエーテル(5ml)に入れて前記反応混合物に0℃で加えた。その反応物を室温で5日間撹拌した。その反応混合物の反応を水で急冷し、エーテルを用いた抽出、MgSOを用いた乾燥そして真空下の蒸発を実施することで残留物を得て、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン/CHCl=5/1)で精製しそして熱ヘキサンを用いた結晶化を実施した。収量は0.40g(34%)であった。H NMR(CDCl):δ7.91および7.30(各々s,2H,1,8−および4,5−H(Flu),7.35(m,10H,Ph),6.76,6.40(m,3H,Cp),4.04および4.02(s,2H,H9),3.00および2.78(br s,2H,CH2 Cp),1.31(s,18H,t−Bu),1.11および1.09(s,6H,Me).H NMR(CDCl):δ7.91および7.29(各々s,2H,1,8−および4,5−H(Flu),7.2−7.4(m,10H,Ph),6.8−6.7,6.40(m,3H,Cp),4.02(brs,2H,H9),3.00および2.78(br s,2H,CH2 Cp),1.28(s,18H,t−Bu),1.07および1.04(s,6H,Me).HPLC:10.38および10.65分.
【0087】
【化25】

【0088】
実施例7 − 2,2−[(シクロペンタジエニル)−(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]−プロパンジルコニウムジクロライド(触媒M1)
2,2−[(シクロペンタジエニル)−[(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]−プロパン(0.39g,0.73ミリモル)をTHF(10ml)に入れてこれに−78℃でブチルリチウム(1.0ml,EtO中1.6M,1.60ミリモル)を加えた。その反応混合物を室温に温めて2.5時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させた。エーテル(5ml)を加えた後、真空下で除去した。ZrCl(0.170g,0.76ミリモル)を−78°で加えた。エーテル(10ml)を前記反応混合物に加えた。その反応混合物を室温に温めて5時間撹拌した。溶媒を真空下で除去することでオレンジ色の固体を得て、これを精製無しにプロピレン重合の試験で用いた。H NMR(C):δ8.14(s,2H,Flu−1,8),7.4−7.2(m,12H,Ph,Flu−5,6),6.04および5.69(各々m,2H,Cp),1.33(s,18H,t−Bu).
【0089】
【化26】

【0090】
実施例8−10に(4−t−ブチル−フェニル)[(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル)−(3,6−ジ−t−ブチル−フルオレニル)]メタンジルコニウムジクロライド(触媒M12)の合成を例示する。
【0091】
実施例8 − 6−(4−t−ブチル−フェニル)−5−メチル−3−t−ブチル−フルベン
メチル−t−ブチルシクロペンタジエン(4.42g,32.5ミリモル)と4−t−ブチル−ベンズアルデヒド(5.15g)を無水エタノール(30ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに少量のナトリウムメトキサイド(4.0g)を加えた。この混合物を2時間撹拌した。水を用いて反応を急冷した後、エーテルを用いた抽出を実施した。そのエーテル溶液に蒸発を真空下で受けさせることでオレンジ色の液体を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン/CHCl=8/1)で精製することで7.0gの収量を得た。H NMR(CDCl):δ7.55(m,2H,Ph),7.48(m,2H,Ph),7.02(s,1H,H−CPh),(m,1H,H−6),6.27および6.22(br s,2H,H−Cp),2.18(s,3H,Me),1.39および1.23各々(s,9H,t−Bu).
【0092】
【化27】

【0093】
【化28】

【0094】
実施例9 − (4−t−ブチル−フェニル)[(シクロペンタジエニル)−[(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]−メタン
2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチル−フルオレン(1.02g,2.33ミリモル)をエーテル(20ml)に入れてこれに−78℃でブチルリチウム(1.5ml,ヘキサン中1.6M,2.40ミリモル)を加えた。その反応混合物を室温に温めて2.5時間撹拌した。6−(4−t−ブチル−フェニル)−フルベン(0.49g,2.33ミリモル)をエーテル(5ml)に入れて前記反応混合物に−20℃で加えた。その反応物を室温で2時間撹拌した。その反応混合物の反応を水で急冷し、エーテルを用いた抽出、MgSOを用いた乾燥そして真空下の蒸発を実施することで残留物を得て、それを熱エタノールで洗浄した。
【0095】
実施例10 − (4−t−ブチル−フェニル)[(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル)−(3,6−ジ−t−ブチル−フルオレニル)]メタンジルコニウムジクロライド(触媒M12)
(4−t−ブチル−フェニル)[(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル)−(3,6−ジ−t−ブチル−フルオレニル)]メタン(0.61g,0.95ミリモル)をエーテル(10ml)に入れてこれに−78℃でブチルリチウム(1.3ml,1.6M,2.08ミリモル)を加えた。その反応混合物を室温に加熱した後、反応を2.5時間継続した。溶媒を真空下で除去した。ZrCl(220mg)を前記反応混合物に加えた。トルエン(15ml)を−20℃で加えた後、その反応物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去した。
【0096】
【化29】

【0097】
触媒M2−M11およびM13−M18の調製は相当する2,7−二置換−3,6−t−ブチル−フルオレンおよびフルベンを用いて前記実施例に記述した如く実施可能である。
【0098】
実施例11−17 − 触媒M1を用いた均一重合
反応21で得た粗触媒を精製無しに用いて重合を4Lの反応槽内で40、60および70℃のバルクプロピレン中で実施した。前記触媒が重合で示した挙動を表1から3に示す。前記触媒は重合体を水素無しの時に60℃で30,000gPP/g触媒/時の活性でもたらした。水素(60ppm)を存在させると活性が142,400gPP/g触媒/時まで高くなった。前記触媒はペンタドrrrr値が85−92%(表4)で溶融温度が149−163℃で分子量が130,000−230,000(表3)のシンジオタクテックポリプロピレンをもたらした。また、低分子量画分が存在することで分子量分布(D)が幅広いことも観察したが、前記重合体に分別抽出を受けさせることで前記画分の含有量を低くすることができた。そのサンプルに熱ヘキサンを用いた分別抽出を3時間受けさせると分子量分布が狭く(D=1.9)て溶融温度が153℃でrrrrペンタドが92%の立体規則性を示す重合体がもたらされた。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

【0103】
実施例18−25 − 触媒M12を用いた均一重合
Autoclave Engineersの10X−Multi−Clave反応槽を用い、5mlのバルクプロピレンを30mlのガラス製容器に入れることで、実施例18−20の重合をバルクプロピレン中で実施した。重合に先立って、触媒にMAO(Zr/Al=1/1000−2000)を用いた活性化を受けさせておいた。
【0104】
【表5】

【0105】
実施例21 − 触媒M12を用いた1気圧下のプロピレン重合
実施例21では、2mlの30%MAOを用いた活性化を受けさせておいた1.3mgの触媒M12を用い、ガラス製反応槽を1気圧のプロピレン下で用いることで、プロピレンの重合を−10℃のトルエン溶液中で3時間実施した。1.6gのポリプロピレンを単離した。溶融T=171℃,結晶化T=112.3℃,Mw=446,200,Mw/Mn=3.0,Mz/Mw=1.9.
【0106】
【表6】

【0107】
実施例22−25では重合をAutoclave Engineersの2L Zipper−Clave反応槽を用いてバルクプロピレン中で実施した。重合に先立って前記反応槽に300gのバルクプロピレンを仕込んでおいた。重合に先立って前記触媒にMAO(Zr/Al=1/1000−2000)を用いた活性化を受けさせておいた。
【0108】
【表7】

【0109】
実施例18−25から分かるであろうように、触媒M12を用いると、ペンタドrrrr値が88−95%で溶融温度が153−171℃で分子量が154,000−300,000のシンジオタクテックポリプロピレンが530,000gPP/G触媒/時に及ぶ活性度でもたらされた。
【0110】
実施例26−29 − 担持型触媒M1を用いたプロピレン重合
触媒M1をAsahi Glass Co.,Ltd.から表示H−121の下で入手可能な担体であるシリカに担持させた。前記担体であるシリカの平均粒径は12ミクロンであった。前記シリカに2重量%の充填量で担持させた触媒に試験を4Lの反応槽を用いて60℃で1時間受けさせた。前記非担持型触媒が重合で示した挙動を表8および9に示す。前記担持型触媒が示す水素反応を試験した。前記担持型触媒が示した水素反応は、水
素の濃度を高くするにつれて触媒活性が高くなることを示していた(表8)。水素の存在下でもたらされた重合体が示した溶融温度は約136−137℃であり、これは水素の濃度に若干依存する。水素の濃度を0−75ppmにした時の重合体が示す分子量は99,000−78,000の範囲であることが分かった。加うるに、水素の濃度を40から75ppmに高くするとメルトフロー率(melt flow rate)も若干高くなって31−44g/10分になった。前記担持型触媒を用いると分子量分布が狭い(D=2.1−2.6)重合体がもたらされた。前記担持型触媒を用いた時にもたらされた重合体は良好な立体規則性を示した(水素存在下のrrrr%=82−83)(表9)。
【0111】
【表8】

【0112】
【表9】

【0113】
実施例30−33 − 担持型触媒M12を用いたプロピレン重合
触媒M12をAsahi Glass Co.,Ltd.から表示H−121およびG952の下で入手可能な担体であるシリカに担持させた。前記シリカに充填量が2重量%になるように担持させた触媒に試験を500mlのステンレス製反応槽を用いて60℃で30分間受けさせた。重合パラメーターおよび重合体特性に換算した結果を表10および11に示す。
【0114】
【表10】

【0115】
【表11】

【0116】
本発明の具体的態様を記述してきたが、本分野の技術者はそれの修飾形を思い浮かべる可能性があると理解し、添付請求項の範囲内に入る如きそのような修飾形の全部を保護することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン重合触媒用メタロセン成分であって、式:
B(FluL)MQ (3)
[式中、
(a)Fluは、少なくとも2,7位および3,6位が置換されているフルオレニル基であり;
(b)Lは、置換もしくは非置換シクロペンタジエニル基、置換もしくは非置換インデニル基、置換もしくは非置換フルオレニル基またはヘテロ有機基XR(ここで、Xは、周期律表の15または16族のヘテロ原子であり、そしてRは、炭素原子を1から20個含有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である)であり;
(c)Bは、LとFluの間に位置していて配位子構造(FluL)に立体剛性を与える構造ブリッジであり;
(d)Mは、4族もしくは5族の遷移金属であり;
(e)Qは、Cl,Br,I,アルキル基,アミノ基,芳香族基およびこれらの混合物から成る群から選択され;そして
(f)nは、1または2である]
で表されることを特徴とするメタロセン成分。
【請求項2】
前記フルオレニル基Fluの2,7位に位置する置換基である置換基の方が3,6位に位置する置換基よりも嵩高い請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項3】
前記フルオレニル基Fluの2および7位の各々がアリール基で置換されておりかつ3および6位の各々が分子量がより低い置換基で置換されている請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項4】
前記フルオレニル基Fluの2および7位の各々がフェニルもしくは置換フェニル基で置換されておりかつ3および6位の各々が炭素原子数が少なくとも4の嵩高い炭化水素基で置換されている請求項3記載のメタロセン成分。
【請求項5】
前記フルオレニル基Fluの3および6位の各々が第三級ブチル基で置換されている請求項4記載の成分。
【請求項6】
前記フルオレニル基Fluの2および7位の各々がC−Cアルキル基で置換されておりかつ3および6位の各々が炭素原子数が少なくとも4の嵩高い炭化水素基で置換されている請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項7】
Lがヘテロ有機基XR[ここで、XはN,P,OまたはSでありそしてRはアルキル,シクロアルキルまたはアリール基である]である請求項5記載の成分。
【請求項8】
XがNでありそしてRが単核芳香族基または炭素原子数が1から20のアルキルもしくはシクロアルキル基である請求項7記載の成分。
【請求項9】
B(FluL)MQが式:
【化1】

[式中、Arはフェニル基もしくは置換フェニル基である]
で表されることを特徴とする請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項10】
B(FluL)MQが式:
【化2】

[式中、
Arは、フェニル基もしくは置換フェニル基であり;そして
Rは、炭素原子数が1から20のアルキル基または炭素原子数が6から20のアリール基である]
で表されることを特徴とする請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項11】
B(FluL)MQにシクロペンタジエニル基が組み込まれておりかつこれが式:
【化3】

[式中、
Arは、フェニル基もしくは置換フェニル基であり;
R’は、C−Cアルキル基またはアリール基であり;
nは、置換基の数で、0から4であり;
Eは、−C−基または−Si−基であり;
およびRは、各々独立して、水素、C−C10アルキル基、もしくはシクロアルキル基、またはアリール基であり;
Mは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり;そして
Qは、塩素、メチル基またはフェニル基である]
で表されることを特徴とする請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項12】
前記シクロペンタジエニル基が非置換(n=0)、二置換シクロペンタジエニル基(n=2)もしくは四置換シクロペンタジエニル基(n=4)であり、ここで、前記メタロセン成分が左右対称を示す請求項11記載のメタロセン成分。
【請求項13】
前記シクロペンタジエニル基が一置換(n=1)もしくは三置換(n=3)されていて、前記メタロセン成分が左右対称を示さない請求項11記載のメタロセン成分。
【請求項14】
B(FluL)MQにシクロペンタジエニル基が組み込まれておりかつこれが式:
【化4】

[式中、
Arは、フェニル基または置換フェニル基であり;
Eは、−C−基または−Si−基であり;
およびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基、もしくはシクロアルキル基,またはアリール基であり;
Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり;そして
Qは、塩素,メチル基またはフェニル基である]
で表されることを特徴とする請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項15】
B(FluL)MQにシクロペンタジエニル基が組み込まれておりかつこれが式:
【化5】

[式中、
Arは、フェニル基または置換フェニル基であり;
およびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基、もしくはシクロアルキル基,またはアリール基であり;
Eは、−C−基または−Si−基であり;
Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり;そして
Qは、塩素,メチル基またはフェニル基である]
で表されることを特徴とする請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項16】
B(FluL)MQにインデニル基が組み込まれておりかつこれが更に式:
【化6】

[式中、
Arは、フェニル基もしくは置換フェニル基であり;
Indは、インデニルもしくは置換インデニル基であり;
Eは、−C−基または−Si−基であり;
およびRは、各々、C−Cアルキル基であり;
Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり;そして
Qは、塩素,メチル基またはフェニル基である]
で表されることを特徴とする請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項17】
前記インデニル基が置換もしくは非置換のテトラヒドロインデニル基である請求項16記載のメタロセン成分。
【請求項18】
前記インデニル基が非置換インデニル基または非置換テトラヒドロインデニル基である請求項17記載のメタロセン成分。
【請求項19】
B(FluL)MQが更に式:
【化7】

[式中、
Fluは、フルオレニルもしくは置換フルオレニル基であり;
Eは、−C−基または−Si−基であり;
およびRは、各々、C−Cアルキル基であり;
Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり;そして
Qは、塩素,メチル基またはフェニル基である]
で表されることを特徴とする請求項1記載のメタロセン成分。
【請求項20】
Fluが非置換フルオレニル基もしくは置換フルオレニル基であり、ここで、前記メタロセン成分が左右対称を示す請求項19記載のメタロセン成分。
【請求項21】
エチレン系不飽和単量体の重合方法であって、
(a)式:
B(FluL)MQ (3)
[式中、
(i)Fluは、少なくとも2,7位および3,6位が置換されているフルオレニル基であり;
(ii)Lは、置換もしくは非置換シクロペンタジエニル基、置換もしくは非置換インデニル基、置換もしくは非置換フルオレニル基またはヘテロ有機基XR(ここで、Xは、周期律表の15または16族のヘテロ原子であり、そしてRは、炭素原子を1から20個含有するアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である)であり;
(iii)Bは、LとFluの間に位置していて配位子構造(FluL)に立体剛性を与える構造ブリッジであり;
(iv)Mは、4族もしくは5族の遷移金属であり;
(v)Qは、Cl,Br,I,アルキル基,アミノ基,芳香族基およびこれらの混合物から成る群から選択され;そして
(vi)nは、1または2である]
で表されることを特徴とするメタロセン触媒成分を準備し、
(b)活性化用共触媒成分を準備し;
(c)前記メタロセン成分と前記共触媒成分を重合反応ゾーン内でエチレン系不飽和単量体と重合条件下で接触させて前記単量体を重合させることで重合体生成物を生じさせ;そして
(d)前記重合体生成物を前記反応ゾーンから回収する;
ことを含んで成る方法。
【請求項22】
前記単量体がプロピレンを含んで成りそして前記重合体生成物がポリプロピレンホモ重合体もしくは共重合体である請求項21記載の方法。
【請求項23】
副段落(a)の前記メタロセン成分にシクロペンタジエニル基が組み込まれておりかつこれが式:
【化8】

[式中、
Arは、フェニル基または置換フェニル基であり;
およびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基、もしくはシクロアルキル基,またはアリール基であり;
R’は、C−Cアルキル基またはアリール基であり;
nは、0から4の数であり;
Eは、−C−基または−Si−基であり;
およびRは、各々、C−Cアルキル基であり;
Mは、チタン,ジルコニウムまたはハフニウムであり;そして
Qは、塩素,メチル基、フェニル基もしくは置換フェニル基またはベンジル基である]
で表されることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記メタロセン成分が左右対称を示しそして前記重合体生成物がシンジオタクテックポリプロピレンである請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記メタロセン成分に一置換もしくは三置換のシクロペンタジエニル基が組み込まれていることで左右対称を示さないメタロセン成分がもたらされかつ前記重合体生成物がイソタクティックポリプロピレンである請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記メタロセン成分にシクロペンタジエニル基が組み込まれておりかつこれが式:
【化9】

で表されることを特徴としそして前記重合体生成物が溶融温度が170℃以上のシンジオタクテックポリプロピレンである請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記重合体生成物が溶融温度が150℃以上で結晶化温度が95℃以上のシンジオタクテックポリプロピレンである請求項23記載の方法。
【請求項28】
架橋シクロペンタジエニルフルオレニルメタロセン構造物の製造方法であって、
(a)式:
【化10】

[式中、
Rは、炭素原子数が1から20の分枝アルキル基または炭素原子数が5から20の環式アルキル基である]
で表されることを特徴とする3,6−二置換フルオレンを準備し、
(b)前記3,6−二置換フルオレンを臭素化剤と反応させることで式:
【化11】

で表されることを特徴とする2,7−ジブロモ−3,6−二置換フルオレンを生じさせ、(c)前記2,7−ジブロモ−3,6−二置換フルオレンをパラジウムが基になった触媒の存在下で式:
【化12】

[式中、
Arは、フェニル基またはナフチル基である]
で表されることを特徴とするアリールホウ素酸と反応させることで式:
【化13】

で表されることを特徴とする2,3,6,7−置換フルオレンを生じさせるか、或は
(d)前記2,7−ジブロモ−3.6−二置換フルオレンを式:
R’MX
[式中、
R’は、C−C20アルキルまたはC−C20脂環式もしくはアリール基であり、Mは、マグネシウムまたは亜鉛であり、そしてXはハロゲンである]
で表されることを特徴とするマグネシウムもしくは亜鉛が基になったグリニヤール試薬と反応させることで式:
【化14】

[式中、
R’およびRは、この上で定義した通りである]
で表されることを特徴とする2,7,3,6−四置換フルオレンを生じさせ、そして
(e)前記2,3,6,7−置換フルオレンを置換もしくは非置換であってもよいフルベンと反応させることで式:
【化15】

[式中、
R’は、C−C20アルキル基またはアリール基であり;
nは、0−4の数であり;そして
およびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基もしくはシクロアルキルまたはアリール基である]
で表されることを特徴とする架橋シクロペンタジエニルフルオレニル配位子構造物を生じさせることを含んで成る方法。
【請求項29】
Arがフェニル基もしくは置換フェニル基である請求項28記載の方法。
【請求項30】
Rが第三級ブチル基である請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記フルベンが非置換6,6−ジメチルフルベンであり、それによって、nが0である前記メチレン架橋シクロペンタジエニルフルオレニル配位子構造物を生じさせる請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記フルベンが非置換6−アルキル(もしくはアリール)フルベンであり、それによって、C(H)アルキルもしくはC(H)アリール架橋(ここで、nは0である)を伴う前記シクロペンタジエニルフルオレニル成分を生じさせる請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記3,6−二置換フルオレンが3,6−ジ−第三級ブチルフルオレンであり、ここで、前記シクロペンタジエニルフルオレニル構造物が式:
【化16】

[式中、
R’は、C−C20アルキル基またはアリール基であり;そして
nは、0から4の数であり;そして
およびRは、各々独立して、水素,C−C10アルキル基、またはシクロアルキル基またはアリール基である]
で表されることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記フルベンの2−位が第三級ブチル基で置換されておりかつ4−位がメチル基で置換されており、ここで、前記メチレン架橋シクロペンタジエニルフルオレニル配位子構造物が式:
【化17】

[式中、
R’は、C−Cアルキル基またはアリール基である]
で表されることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項35】
Arがフェニル基である請求項34記載の方法。

【公表番号】特表2009−504888(P2009−504888A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527092(P2008−527092)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/031950
【国際公開番号】WO2007/022244
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】