説明

オレフィン重合触媒系およびその使用方法

【課題】高温で生成した結晶化度および生産性が良好で、高分子量を有するポリマーを提供可能な触媒系を提供すること。
【解決手段】本発明は、次の化学式により表される遷移金属化合物に関する。式中、Mは周期律表の4族から選択される遷移金属であり、Rは水素等、Rはメチル等、Rは炭素または珪素、Rは水素等、Rは水素等、Rは炭素または珪素、Rは水素、Rは水素等、Rは水素等、R10は−M(R16−、R11は水素等、R12は炭素または珪素、R13は水素等、R14は水素等、およびR15は炭素または珪素であり、a、b、c、d、e、f、およびgは0か1または2である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の遷移金属化合物並びにこれらの遷移金属化合物およびこれらから生成されるポリマーまたはオリゴマーを使用する不飽和モノマーを重合化またはオリゴマー化の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和モノマーのホモ重合化または共重合化、特にオレフィンの重合化に関して種々のプロセスおよび触媒が存在する。多くの出願に関して、比較的狭い分子量分布を持つ一方で、ポリオレフィンが大きな重量平均分子量を持つことは望ましい。キラル・ビス-インデニル・メタロセン触媒が、高結晶性アイソタクチック・ポリプロピレンおよびプロピレンと他のモノマーとのコポリマーを製造するために使われてきた。(Resconi,L.Chem.Rev.2000,100,1253)アタクチック・ポリプロピレンおよびコポリマーを生成する非キラル・メタロセン触媒もまた製造されてきた。(Resconi,L.メタロセン・ベース・ポリオレフィン、Eds.J.Schiers,W.Kaminsky;Wiley;NY,2000;467)これらの極端の間で作用するキラル触媒が存在するが、高結晶性より少なく非晶質より多い結晶化度を持つポリプロピレンを生成する一方で、一般にこれらのキラル触媒は低分子量ポリマーを与える。このような系を使ったプロピレンおよび他のモノマーから生成されるコポリマーに関して、これは真実である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
オレフィン重合化にとって有益な触媒として、US6,051,522は架橋したキラル・メタロセンを開示する。WO2002/01745,US2002/0004575Al,WO2002/083753A1,およびUS6,525,157は、キラル・メタロセンrac-Me2Si(1-インデニル)2HfMe2およびイオン化活性剤を使うプロピレン配列内にタクチッシティ(立体規則性)を含むプロピレン/エチレン・コポリマーの生成方法を開示する。US6,057,408は、キラル・ビス-インデニル・メタロセンを使うプロピレン配列中に高結晶化度を有する高分子量プロピレン/エチレン・コポリマーの生成方法を開示する。最高の分子量コポリマーを生成した触媒は、rac-Me2Si(2-Me-4-(l-ナプチル)-l-インデニル)2ZrCl2であった。
【0004】
コリンズ(S.Collins)と共同研究者は、溶液エチレンおよびプロピレン重合化に関して、キラル・エチレン架橋メタロセンの配列、rac-(CH2CH2)(5,6-X2-l-インデニル)2ZrCl2上で5,6位置において、置換基の効果の研究を報告した。(有機金属1992,11,2115)X=HとX=Meとを比較する際において、プロピレン(X=H,Mn=145Kg/mol;X=Me,Mn=127Kg/mol)およびポリプロピレン(X=H,Mn=15.7Kg/mol;X=Me,Mn=16Kg/mol)の生成に関して、類似の分子量が見つけられた。同様に、US5,455,365において、5と6の位置にメチル基を含むキラル・ビス-インデニル・メタロセンおよび5または6の位置にフェニル基を含むメタロセンが議論されている。132〜147℃のポリマー融点からも分かるように、液状プロピレン中で70℃における重合は中程度結晶性ポリプロピレンを与える。これらの材料の分子量(Mw)は100〜200Kg/molである。エチレンとプロピレンのコポリマー(共重合)化は、rac-Me2Si(2,5,6-Me3-l-インデニル)ZrCl2/MAOを使って、155mL/g(Mw=143Kg/mol)から98mL/g(Mwは記録されていない)へ固有粘度が落ちることから明らかなように、顕著に低い分子量を持つ2.8wt%エチレン、97.2wt%プロピレンのコポリマーを生成した。この共重合化はまた、132〜123℃の融点の減少をもたらした。
【0005】
US6,084,115において、5および6位置で付いている環化テトラメチル化シクロヘキシル環を含むキラル・ビス-インデニル・メタロセンが開示されている。このメタロセン、rac-Me2Si(5,6,7,8-テトラヒドロ-2,5,5,8,8-ペンタメチル-ベンズ[f]インデニル)2Zr(l,4-ジフェニルブタジエン)は、+2酸化状態にあると報告されている。プロピレン重合化挙動が、70℃における水素分圧下で、アルケン溶液(24wt%プロピレン)中で報告されている。得られた分子量は、約60Kg/molで、ポリマー融点は144.8〜147℃であった。これらの分子量は、5および6位置においてHを持つ類似錯体、rac-Me2Si(2-Me-l-インデニル)Zr(l,4-ジフェニルブタジエン)Mw=79Kg/molより低い。同様の結果が、これらの2つの触媒を用いて、エチレン/オクテンにおいても観察された。H2フリ−溶液重合は全く報告されていなかった。担持触媒もまた、この特許において調査されたが、広い分子量分布(>3.5)は、触媒間の比較を困難にさせる。分子量の利点は、5および6位置において大きな基を持つ触媒にとっては、予期されないということをこれらの結果は示す。この結果、ポリマー分子量の有意な増加はこれらの前の置換には全く寄与できない。
【0006】
WO2004/050724はメチルアルモキサンおよびジメチルシリル・ビス[2-メチル-5,6(テトラメチル-シクロトリメチレン)インデニル]ジルコニウム・ジクロライドとブテンの重合を開示し、環状6員環を持つあるインデニル型化合物を述べている。しかし、WO2004/050724は高温で高分子量を得ていない。
【0007】
この結果技術面において、高温で好適に生成された良好な結晶化度および可能な他の方法よりも良好な生産性と同様に、高分子量を持つポリマーを提供可能な触媒系を提供する必要性が存在する。
【0008】
US6,479,424は、プロピレン・ポリマーを生成するために使われる、未架橋種ビス(2-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ハフニウム・ジクロライド、ビス(2-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ジルコニウム・ジクロライド、ビス(2-(4-t-ブチルフェニル)-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ハフニウム・ジクロライド、およびビス(2-(4-t-ブチルフェニル)-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ(f)インデニル)ジルコニウム・ジクロライドの生成を開示する。
【0009】
興味ある他の引用文献は、1)US6,034,022,(特に実施例17);2)US6,268,444,(特に実施例2);3)US6,469,188;and4)EP1138687,(特に実施例8および9)を含む。
【0010】
さらに技術面において、好適には溶液プロセスにおいて、高温で高分子量を持つプロピレン・ベース・ポリマーを生成するためのプロセスを提供する必要性が存在する。同様に、非配位アニオン活性剤を使う溶液プロセス(そこでは、原料のプロピレン濃度は低い)において、高温で高分子量を持つプロピレン・ベース・ポリマーを生成するためのプロセスを提供する技術的必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要約)
本発明は、次式によって代表される遷移金属触媒化合物に関する。
【式1】
【0012】

ここで、Mは周期律表の4族から選ばれる遷移金属である。各々のRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基から成る群から独立に選ばれ、いずれの2つのRも架橋されても良い。RとR、および/またはR12とR15は5炭素環を形成するとき、各々のRは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体から成る群から独立に選ばれるという条件で、各々のRは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体から成る群から独立に選ばれる。Rは、炭素またはシリコンであり、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、aは0、1、または2であり、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、RおよびRは環を形成するために結合しても良く、bは0、1、または2であり、Rは炭素またはシリコンであり、RおよびRは環を形成するために結合しても良く、各々のRは、水素であり、各々のRは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体から成る群から独立に選ばれ、各々のRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基から成る群から独立に選ばれ、そして2つのR基は環を形成するために共に架橋されても良く、RおよびRは環を形成するために共に架橋されても良く、RおよびR16は環を形成するために共に架橋されても良く、RおよびR11は環を形成するために共に架橋されても良く、cは0、1、または2であり、R10は、-M(R16)h-であり、MはB,Al、N、P、SiまたはGeで、hは1〜2の整数であり、Mの価数は満たされ、R16は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、2つのR16は環を形成するために共に架橋されても良く、dは0、1、または2であり、R16は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基から成る群から独立に選ばれ、および2つのR11は環を形成するために共に架橋されても良く、およびR11とRは環を形成するために共に架橋されても良く、およびR11とR16は環を形成するために共に架橋されても良く、eは0、1、または2であり、ここでc、d、およびeの合計は1、2、または3であり、R12は炭素またはシリコ
ンであり、R13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、そしてR13およびR14は環を形成するために共に架橋されても良く、そしてR13およびR15は環を形成するために共に架橋されても良い。gが0のとき、fは0、1、または2であり、R14は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、そしてR14およびR12は環を形成するために共に架橋されても良い。fが0のとき、gは0、1、または2である。2つのR基が架橋される場合、MがZrであるときブタジエン基を形成しないという条件で、R15は炭素またはシリコンである。
【0013】
本発明はさらに、
式中、Mは、周期律表の4族から選択される遷移金属であり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、任意の2個のR基は連結されてもよく、前記2個のR基が連結される場合、MがZrであると、前記2個のR基はブタジエン基を形成せず、
各Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、RとRとがおよびまたはR12とR15とが炭素5員環を形成するならば、各Rは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、
は炭素または珪素であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、
aは0か1または2であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、RとRとは結合して環を形成してもよく、RとRとは結合して環を形成してもよく、
bは0か1または2であり、
は炭素または珪素であり、RとRとは結合して環を形成することができ、
各Rは水素であり、
各Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、2個のR基は連結して環を形成してもよく、RとRとは連結して環を形成してもよく、RとR16とは連結して環を形成してもよく、RとR11とは連結して環を形成してもよく、
cは0か1または2であり、
10は−M(R16−であり、式中、MはB、Al、N、P、SiまたはGeであり、hはMの原子価が満たされるような整数1か2であり、R16は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、且つ2個のR16基は結合して環を形成することができ、
dは0か1または2であり、
11は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、2個のR11基は結合して環を形成してもよく。R11とRとは連結して環を形成してもよく。R11とR16とは連結して環を形成してもよく、
eは0か1または2であり、
式中、c,dおよびeの和は1か2または3であり、
12は炭素または珪素であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、R13とR14とは結合して環を形成してもよく、gが0である場合は、R13とR15とは結合して環を形成してもよく、
fは0か1または2であり、
14は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、fが0である場合は、R14とR12とは結合して環を形成することができ、
gは0か1または2であり、
15は炭素または珪素である組成物。
【0014】
本発明は、さらに、上の組成物を用いて不飽和モノマーを重合するプロセスに関連している。
【0015】
本発明はさらに、上述の組成物を使って、オプションとして活性剤と結合して、不飽和モノマーを重合するプロセスに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(詳細な説明)
本発明は、いずれの不飽和モノマーを重合するために、1つ以上の活性剤と結合することも可能な新しい種類の触媒化合物に関する。
【0017】
本発明および請求項の目的に関して、ポリマーがモノマーを含むと言われるとき、ポリマー中に存在するモノマーはモノマーの重合化形態である。本発明および請求項の目的に関して、ポリマーがオレフィンを含むと言われるとき、ポリマー中に存在するオレフィンはオレフィンの重合化形態である。本発明の説明において、遷移金属触媒化合物は触媒の前駆体、前触媒化合物、遷移金属錯体または触媒化合物として説明することもできるし、これらの用語は同じ意味に使われる。触媒系は遷移金属触媒化合物および活性剤の結合である。活性剤はまた、共触媒と同じ意味で呼ばれる。さらに、リアクターは、化学反応が起こるいずれかの容器である。
【0018】
ここで使われるように、周期律表群に関して番号付け法は化学および工学ニュース、63(5),27(1985)において発表された新しい表記法である。
【0019】
さらに本発明の目的に関して、Meはメチルで、Phはフェニルで、Etはエチルで、Prはプロピルで、iPrはイソプロピルで、n−Prは標準プロピルで、Buはブチルで、iBuはイソブチルで、tBuは第3ブチルで、p−tBuはパラ第3ブチルで、Phはフェニルで、およびTMSはトリメチルシリルである。
【0020】
本発明は、活性剤およびオプションとして付加的な共触媒と組み合わせて、特に置換インデニル配位子(たとえば、上の式1によって示されるもの)を含むキラル・メタロセンを使う溶液、スラリーまたは気相プロセスにおけるポリオレフィンの生成に関する。本発明の1つの実施形態において、ポリアルファ-オレフィンが生成される。他の実施形態において、実質的にジエンがないオレフィン・コポリマーが生成される。本発明の好適な実施形態において、中間的結晶化度および高分子量を有するポリプロピレンが生成される(中間的結晶化度は、以下で記載されるDSC法によって測定された15〜35%のパーセント結晶化度を持つことで定義され、高分子量はポリスチレン標準を使ってGPCによって測定された100,000以上のMwであることで定義される)。このようなポリマーは、可塑剤および潤滑油製剤、熱溶解性接着剤の用途、塗布剤、シール、断熱材、成形組成物または防音材料のような用途に好適に使われる。本発明の別の好適な実施形態はWO2002/01745,US2002/0004575A1,WO2002/083753A1,US6525157B2に記載されたプロピレン配列内に立体規則性を含むプロピレン/エチレン・コポリマーの生成である。このようなプロピレン/エチレン・コポリマーは、熱可塑性エラストマー、衝撃改質剤、熱可塑性ポリオレフィンの相溶剤、弾性繊維および弾性フィルム、動的に加硫化可能なアロイ、硬化性エラストマー、接着剤、PVC代用剤および粘度改質剤としての有用性を持つ。また、ポリプロピレンとこのようなコポリマーのブレンドは、ある方位に関して顕著に弾性回復および引っ張り強さを増大させる。好適な触媒系は式1によって示されるメタロセンを含み、活性剤およびオプションとして付加的な触媒は、工業的に有用な温度において高分子量のポリオレフィンを生成するために特に適切である。
【0021】
TA Instrumentのモデル2920マシンを用いると、示差走査熱量計(DSC)の記録波形が得られる。約7−10mgの試料を計量し、アルミニウム製試料パン内に密封する。DSCデータは、まず、試料を−50℃に冷却し、次いで、10℃/分の速度で200℃へ徐々に加熱して記録される。この試料は、第2の冷却−加熱サイクルにかける前に200℃に5分間保持される。第1および第2サイクル熱事象の両方が記録される。溶融曲線の下の面積を測定し、これらの面積を用いて融解熱および結晶化度を決める。パーセント結晶化度は、下記式を用いて計算する。
【0022】
[曲線の下の面積(ジュール/グラム)/B(ジュール/グラム)]×100
式中、Bは主要なモノマー成分からなるホモポリマーの融解熱である。これらのB値は、1999年にニューヨークのジョン・ウイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)から発行されたポリマー・ハンドブック(Polymer Handbook),第4版、から得られる。ポリプロピレンの融解熱としては189J/gの(B)値が使われる。
【0023】
本発明は、さらに、モノマー類と遷移金属化合物(本明細書に記載された)および、任意に、活性剤とを接触させることを含む極性モノマー類およびまたはオレフィン類などの不飽和モノマーのオリゴマーおよび/またはポリマーを製造するプロセスに関する。本発明は、具体的には、化学式1に示された置換インデニル・リガンドを含むメタロセン類を用いたオレフィン・ポリマーおよびコポリマを製造するプロセスにも関する。
【式2】
【0024】

式中、Mは、周期律表の4族から選択される遷移金属、好ましくはZrまたはHf、最も好ましくはHfであり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、好ましくは、Rは、水素、炭化水素またはハライドであり、好ましくは、Rはハイドライドであり、より一層好ましくは、Rは、メチル、エチル、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリル、フェニル、ナフチル、アリル、およびベンジルからなる群から選択され、より一層好ましくは、Rはメチルであり、Rは連結することができ、これらのR基は同じ基か異なる基であり、
各Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、RとRとがおよびまたはR12とR15とが炭素5員環を形成するならば、各Rは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、好ましくはRは、メチル、エチルまたはプロピルであり、より好ましくは、Rはメチルであり、これらのR基は同じ基か異なる基であり、
は炭素または珪素であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、好ましくはRはCHであり、RとRとは結合して環を形成してもよく、およびまたはRとRとは結合して環を形成してもよく、
aは0か1または2に等しい整数であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、好ましくはRはCHであり、且つRとRとは結合して環を形成してもよく、
bは0か1または2に等しい整数であり、
は炭素または珪素であり、
各Rは水素であり、
各Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、好ましくはRは、水素、メチル、エチルまたはプロピルであり、より好ましくは、Rは水素またはメチルであり、これらのR基は同じ基か異なる基であり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、好ましくはRは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルであり、より好ましくは、Rは水素であり、これらのR基は同じ基か異なる基であり、且つ任意の2個のR基は結合して環を形成してもよく、RとRとは結合して環を形成してもよく、RとR16とは結合して環を形成してもよく、RとR11とは結合して環を形成してもよく、
10は−M(R16−であり、式中、MはB、Al、N、P、SiまたはGeであり、hはMの原子価が満たされるような整数1か2であり、R16は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基、好ましくはアレーンであり、且つ各R16基は同じ基か異なる基であり、任意の2個のR16基は結合して環を形成してもよく、好ましくは、R10は、SiMe、Si(CH、Si(CH、SiPh、Si(ビフェニル)、Si(ビフェニル)、Si(o−トリル)であり、より好ましくはR10は、SiMeまたはSiPhであり、
各R11は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基からなる群から独立して選択され、好ましくはR11は、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルであり、より好ましくは、R11は水素であり、これらのR11基は同じ基か異なる基であり、且つこれらのR11基は結合して環を形成してもよく、R11とRとは結合して環を形成してもよく、R11とR16とは結合して環を形成してもよく、
cは0か1または2に等しい整数であり、
dは0か1または2に等しい整数であり、
eは0か1または2に等しい整数であり、
c,dおよびeの和は1か2または3であり、好ましくはc,dおよびeの和は1か2であり、より好ましくは、c,dおよびeの和は1であり、
12は炭素または珪素であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、好ましくはCHであり、且つgが0である場合は、R13とR14とは結合して環を形成してもよく、R13とR15とは結合して環を形成してもよく、
14は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、好ましくはCHであり、且つfが0である場合は、R14とR12とは結合して環を形成してもよく、
15は炭素または珪素であり、
fは0か1または2に等しい整数であり、
gは0か1または2に等しい整数であり、
これら2個のR基が連結されるならば、MがZrであると、これら2個のR基はブタジエンを形成しない。
【0025】
好ましい実施形態では、RとRとは炭素5員環を形成しない。代わりの実施形態では、およびまたはR12とR15とは炭素5員環を形成しない。代わりの実施形態では、RとRとはおよびR12とR15とは炭素5員環を形成しない。
【0026】
好ましい実施形態では、MがZrである場合は、RとRとは炭素5員環を形成しない。代わりの実施形態では、MがZrである場合、およびまたはR12とR15とは炭素5員環を形成しない。代わりの実施形態では、MがZrである場合は、RとRとはおよびR12とR15とは炭素5員環を形成しない。
【0027】
好ましい実施形態では、MがHfである場合は、RとRとは炭素5員環を形成し、この5員環に結合した少なくとも1つのR基はメチルではなく、好ましくは少なくとも2個のR基はメチルではなく、好ましくは3個のR基はメチルではなく、好ましくは炭素5員環に結合した4個すべてのR基はメチルではない。
【0028】
代わりの実施形態では、MがHfである場合は、R12とR15とは炭素5員環を形成し、この5員環に結合した少なくとも1つのR基はメチルではなく、好ましくは少なくとも2個のR基はメチルではなく、好ましくは3個のR基はメチルではなく、好ましくは炭素5員環に結合した4個すべてのR基はメチルではない。
【0029】
別の好ましい実施形態では、MがHfであり、両R基はメチルである。
【0030】
置換ヒドロカルビル・ラジカル(置換ヒドロカルビルとも呼ばれる)は、少なくとも1つのヒドロカルビル水素原子が、少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ原子含有基により置換されたラジカルである。
【0031】
用語「ヒドロカルビル・ラジカル」は、本文書をとおして「ヒドロカルビル」と同義的に使われることがある。本開示では、「ヒドロカルビル・ラジカル」は、炭素、水素および任意に珪素原子を含むラジカル、好ましくは1〜100個の炭素原子、水素および任意に珪素を含むラジカルを包含する。これらのラジカルは、線状、分岐または環状のものがあり、多環構造でもよい。これらのラジカルは、飽和、部分不飽和または完全不飽和があり、環状の場合は芳香族または非芳香族がある。
【0032】
ヒドロカルビルはアレーンでもよい。アレーンは置換または非置換の芳香族炭化水素である。アレーンは、単環、多環、炭化水素環状集合系または縮合環系である。アレーンには、置換または非置換がある。置換ヒドロカルビルは、官能基を含むアレーンである。元来、置換ヒドロカルビルは、複素環、多環複素環、複素環集合系または縮合複素環系である。
【0033】
いくつかの実施形態では、ヒドロカルビル・ラジカルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘナイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘナイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル、ノナコセニル、トリアコンテニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニル、エイコシニル、ヘナイコシニル、ドコシニル、トリコシニル、テトラコシニル、ペンタコシニル、ヘキサコシニル、ヘプタコシニル、オクタコシニル、ノナコシニル、またはトリアコンチニル異性体から選択される。本開示では、ラジカルがリストされる場合、そのリストは、そのラジカルタイプおよびそのラジカルが上に規定された置換を受ける場合に形成された他のすべてのラジカルを示している。リストされたアルキル、アルケニルおよびアルキニルのラジカル類は、適切な環状異性体を含むすべての異性体を含み、例えば、ブチルにはn−ブチル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、tert−ブチル、およびシクロブチル(および類似の置換シクロプロピル類)が含まれ、ペンチルにはn−ペンチル、シクロペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−エチルプロピル、およびネオペンチル(および類似の置換シクロブチル類およびシクロプロピル類)が含まれ、ブテニルには1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニルおよび2−メチル−2−プロペニル(およびシクロブテニル類並びにシクロプロペニル類)のE形およびZ形が含まれる。置換基を有する環状化合物には、すべての形の異性体が含まれ、例えば、メチルフェニルにはオルソ−メチルフェニル、メタ−メチルフェニルおよびパラ−メチルフェニルが含まれ、ジメチルフェニルには2,3−ジメチルフェニル、2,4−−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニルおよび3,5−ジメチルフェニルが含まれる。
【0034】
官能基は、周期律表の1〜17族のヘテロ原子であり、単独の場合と、イオン結合、ファンデルワールス力、または水素結合などの相互作用または共有結合により他の元素に接続した場合とがある。官能基の例には、弗化物、塩化物、臭化物、沃化物、カルボン酸、酸ハライド、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、無水カルボン酸、アルデヒドおよびそれらのカルコゲン(14族)類似体、アルコールおよびフェノール、エーテル、パーオキサイドおよびヒドロパーオキサイド、カルボン酸アミド、ヒドラジンおよびイミド、アゾ、ニトロ、他の窒素化合物、硫黄酸類、セレン酸類、チオール類、スルフィド類、スルホキサイド類、スルホン類、ホスフィン類、ホスフェート類、他の燐化合物、シラン類、ボラン類、ボレート類、アラン類、アルミネート類がある。官能基は、アルミナおよびシリカなどの無機支持物質または有機ポリマー支持体を含むように広くとることもできる。
【0035】
好ましい実施形態では、本明細書で使われる触媒化合物は次の化学式2により表され、
【式3】
【0036】

式中、Mは、周期律表の4族から選択される遷移金属、好ましくはZrまたはHf、最も好ましくはHfであり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、好ましくは、Rは、水素、炭化水素またはハライドであり、より好ましくは、Rはハイドライド、メチル、エチル、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリル、フェニル、ナフチル、アリル、またはベンジルからなる群から選択され、より一層好ましくは、Rはメチルであり、且つこれら2個のR基は同じ基か異なる基であり、これら2個のR基は連結され、
各Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、RとRとがおよびまたはR12とR15とが炭素5員環を形成するならば、各Rは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、好ましくはRは、メチル、エチルまたはプロピルであり、より好ましくは、Rはメチルであり、これらのR基は同じ基か異なる基であり、
各Rは水素であり、
各Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、好ましくはRは、水素、メチル、エチルまたはプロピルであり、より好ましくは、Rは水素またはメチルであり、これらのR基は同じ基か異なる基であり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、好ましくはRは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルであり、より好ましくは、Rは水素であり、これらのR基は同じ基か異なる基であり、且つ任意の2個のR基は結合して環を形成してもよく、RとRとは結合して環を形成してもよく、RとR16とは結合して環を形成してもよく、RとR11とは結合して環を形成してもよく、
10は−M(R16−であり、式中、MはB、Al、N、P、SiまたはGeであり、hはMの原子価が満たされるような整数1か2であり、R16は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基、好ましくはアレーンであり、且つ各R16基は同じ基か異なる基であり、任意の2個のR16基は結合して環を形成してもよく、好ましくは、R10は、SiMe、Si(CH、Si(CH、SiPh、Si(ビフェニル)、Si(ビフェニル)、Si(o−トリル)であり、より好ましくはR10は、SiMeまたはSiPhであり、
各R11は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基からなる群から独立して選択され、好ましくはR11は、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルであり、より好ましくは、R11は水素であり、これらのR11基は同じ基か異なる基であり、且つこれらのR11基は結合して環を形成してもよく、R11とRとは結合して環を形成してもよく、
cは0か1または2に等しい整数であり、
dは0か1または2に等しい整数であり、
eは0か1または2に等しい整数であり、
c,dおよびeの和は1か2または3であり、好ましくはc,dおよびeの和は1か2であり、より好ましくは、c,dおよびeの和は1であり、
ただしこれら2個のR基が連結されるならば、MがZrであると、これら2個のR基はブタジエン基を形成しない。
【0037】
代わりの実施形態では、MがHfである場合は、炭素6員環に結合した少なくとも1つのR基はメチルではなく、好ましくは少なくとも2個のR基はメチルではなく、好ましくは3個のR基はメチルではなく、好ましくは炭素6員環に結合した4個すべてのR基はメチルではない。
【0038】
別の好ましい実施形態では、MがHfであり、両R基はメチルである。
【0039】
好ましい実施形態では、本明細書で使われる触媒化合物は次の化学式3により表され、
【式4】
【0040】

式中、Mは、周期律表の4族から選択される遷移金属、好ましくはZrまたはHf、最も好ましくはHfであり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、好ましくは、Rは、水素、炭化水素またはハライドであり、より好ましくは、Rはハイドライド、メチル、エチル、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリル、フェニル、ナフチル、アリル、またはベンジルからなる群から選択され、より一層好ましくは、Rはメチルであり、且つこれら2個のR基は連結され、ただしこれら2個のR基が連結されるならば、MがZrであると、これら2個のR基はブタジエン基を形成せず、
Meはメチルであり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、好ましくはRは、水素、メチル、エチルまたはプロピルであり、より好ましくは、Rは水素またはメチルであり、これらのR基は同じ基か異なる基であり、
各R16は同じ基か異なる基であり、且つ複数のR16基は結合して環を形成してもよく、好ましくは各R16は、独立して、メチル、エチル、フェニル、ビフェニル、o−トリル、またはアレーンであり、好ましくはR16は、メチル、エチル、フェニルまたはアレーンである。
【0041】
上の化学式のいずれかに関する好ましい実施形態では、Rはフェニル基でも、およびまたは置換フェニル基でもない。
【0042】
好ましい別の実施形態では、たとえこれら2個のR基が連結されるとしても、これらのR基は、MがTiである場合は、ブタジエン基を形成しない。
【0043】
好ましい別の実施形態では、たとえこれら2個のR基が連結されるとしても、これらのR基は、MがHfである場合は、ブタジエン基を形成しない。
【0044】
好ましい実施形態では、本明細書で使われる触媒化合物は次の化学式により表され、
式中、Meはメチルであり、Hfはハフニウムであり、Phはフェニルであり、Siは珪素である。
【式5】
【0045】

別の実施形態では、本発明の触媒化合物は、+4の見かけの酸化状態で存在する。別の実施形態では、本発明の触媒化合物は、+2の見かけの酸化状態では存在しない。ここで使われた見かけの酸化状態の呼び方は、テキスト、即ち、1999年にカリフォルニア州Sausalitoのユニバーシティ・サイエンス・プレス(University Science Press)から発行されたヘゲダス(Hegedus,L.S.)著「複雑な有機分子の合成における遷移金属(Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules)」第2版、1987年にカリフォルニア州Sausalitoのユニバーシティ・サイエンス・プレス(University Science Press)から発行されたコールマンら(Collman,J.P.et.al.)著「有機遷移金属化学の原理と応用(Principles and Applications of Organotransition Metal Chemistry)」に詳細に記載されている。
【0046】
好ましい別の実施形態では、本明細書に記載された触媒化合物は、他の重合およびまたはオリゴマー化触媒と併用して使われる。好ましい実施形態では、これらの触媒化合物は、次の文献およびこれらの文献の引用文献のいずれかに記載された触媒化合物と併用される。
【0047】
フラトキー(Hlatky,G.G.)ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)2000,100,p.1347、アルト(Alt,H.),コプル(Koppl,A.)ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)2000,100,p.1205、レスコーニら(Resconi,L.et.al.)ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)2000,100,p.1253、ブリンチンガーら(Bryntzinger,H.H.et.al.)アンゲバンテ・ヒェミー国際英語版(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.)1995,34,p.1143、イッテルら(Ittel,S.D.et.al.)ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)2000,100,p.1169、ギブソンら(Gibson,V.C.et.al.)ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)2003,103,p.283、スクピンスカヤ(Skupinska,J.)ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)1991,91,p.613、カーターら(Carter,A.et.al.)ケミカル・コミュニケーションズ(Chem.Commun.)2002,p.858、マックギネスら(McGuiness,D.S.et.al.)ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)2003,125,p.5272、マックギネス(McGuiness,D.S.)ケミカル・コミュニケーションズ(Chem.Commun.)2003,p.334。
【0048】
活性剤および触媒化合物を活性化する方法
本発明による架橋メタロセン化合物は、配位重合またはカチオン重合を可能にするのに十分な任意の様式で、重合触媒として活性化される。これは、1つのリガンドが引き抜かれ、さらに、別のリガンドが不飽和モノマーの挿入を可能にするか、または不飽和モノマーの挿入を可能にするリガンド(不安定なリガンド、例えば、アルキル、シリルまたはハイドライド)と置換するために同様に引き抜かれる場合、配位重合について達成することができる。配位重合に適切な従来の活性剤には、アルモキサン化合物などのルイス酸および架橋メタロセン金属中心をカチオンにイオン化し、平衡化非配位イオンを与えるために1つを引き抜くアニオン前駆体化合物がある。
【0049】
アルキルアルモキサン類および変性アルキルアルモキサンは、触媒活性剤として、特にR=ハライドまたは他の官能基である本発明の金属化合物の場合適切である。アルキルアルモキサン類および変性アルキルアルモキサンは、R=ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである本発明の金属化合物の触媒としても適切である。1つの実施形態では、1つまたはそれ以上のアルモキサン類は、本発明の触媒組成物の活性剤として使われる。当該分野でアルミノキサン類と呼ばれることがあるアルモキサン類は、一般に、−Al(R)−O−サブユニットを含むオリゴマー性化合物であり、式中Rはアルキル基である。アルモキサン類の例には、メチルアルモキサン(MAO)、変性メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサンおよびイソブチルアルモキサンがある。アルキルアルモキサン類および変性アルキルアルモキサン類は、特に引き抜き可能なリガンドがハライドである場合は、触媒活性剤として適切である。種々のアルモキサン類と変性アルモキサン類との混合物も使われる。さらに詳しい説明については、米国特許第4,665,208、4,952,540、5,041,584、5,091,352、5,206,199、5,204,419、4,874,734、4,924,018、4,908,463、
4,968,827、5,329,032、5,248,801、5,235,081、5,157、137、5,103,031号および欧州特許出願公開第0 561 476号、欧州特許第0 279 586号、欧州特許出願公開第0 516 476号、欧州特許出願公開第0 594 218号、および国際公開第94/10180号を参照のこと。
【0050】
活性剤がアルモキサン(変性または非変性)である場合、いくつかの実施形態では、(金属触媒部位あたり)Al/Mが触媒前駆体よりも5000倍モル過剰にある最大量の活性剤が選択されている。活性剤対触媒前駆体の最小モル比は、通常1:1である。
【0051】
アルモキサン類は、それぞれのトリアルキルアルミニウムの加水分解により作られる。MMAOは、トリイソブチルアルミニウムなどの高級トリアルキルアルミニウムおよびトリメチルアルミニウムの加水分解により作られる。MMAO類は、一般に、脂肪族溶液に溶けやすく、貯蔵中の安定性もよい。アルモキサンおよび変性アルモキサン類を作る多様な方法があり、無数の実施例が、米国特許第4,665,208、4,952,540、5,091,352、5,206,199、5,204,419、4,874,734、4,924,018、4,908,463、4,968,827、5,308,815、5,329,032、5,248,801、5,235,081、5,157、137、5,103,031、5,391,793、5,391,529、5,693,838、5,731,253、5,731,451、5,744,656、5,847,177、
5,854,166、5,856、256および5,939,346号および欧州特許出願公開第0 561 476号、欧州特許第0 279 586号、欧州特許出願公開第0 516 476号、欧州特許出願公開第0 594 218号および欧州特許第0 586 665号、およびPCT刊行物である国際公開第94/10180号および国際公開第99/15534号に記載されている。これらの特許はすべて、引用により全体が本明細書中に援用されている。視覚的に透明なメチルアルモキサンを用いるのが好ましい。濁ったり、ゲル化したアルモキサンは、ろ過して透明な溶液を作るか、または濁った溶液からデカンテーションにより透明なアルモキサンを作ることができる。もう1つの好ましいアルモキサンは、変性メチルアルモキサン(MMAO)助触媒型3A(米国特許第5,041,584号により保護され、商品名Modified Methylalumoxane type 3AとしてAkzo Chemicals,Inc.から市販されている)である。
【0052】
活性剤(または捕集剤)として利用することができるアルミニウムアルキルまたは有機アルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムなどがある。
【0053】
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリスパーフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体またはトリスパーフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン類(国際公開第98/43983号)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)またはこれらの組み合わせなどのイオン化または化学量論的活性剤、中性またはイオン性を使用することは本発明の範囲内にある。中性またはイオン性活性剤を単独またはアルモキサンまたは変性アルモキサン活性剤と併用することも本発明の範囲内にある。
【0054】
中性化学量論的活性剤には、トリ置換ホウ素、テルル、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムまたはこれらの混合物がある。これらの3置換基は、アルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシおよびハライドから各々独立して選択される。好ましくは、これらの3つの基は、ハロゲン、単環または多環(ハロ置換されたものを含む)アリール、アルキル、およびアルケニル化合物およびこれらの混合物から独立して選択され、1〜20個の炭素原子を有するアルケニル基、アルキル基、アルコキシ基、および3〜20個の炭素を有するアリール基(置換されたアリールを含む)が好ましい。これら3つの基は、1〜4個の炭素基を有するアルキル、フェニル、ナフチルまたはこれらの混合物がより好ましい。より一層好ましくは、これら3つの基はハロゲン化、好ましくは弗素化アリール基である。最も好ましい中性化学量論的活性剤は、トリスパーフルオロフェニルホウ素またはトリスパーフルオロナフチルホウ素である。
【0055】
化学量論的イオン性活性剤化合物には、活性プロトンまたはイオン化化合物の残りのイオンと結合した他のいくつかのカチオンが含まれる。これらのカチオンは、イオン化化合物の残りのイオンに対して配位されないか、または緩く配位されるのみである。この種の化合物は、欧州特許出願公開第0 570 982、0 520 732、0 495 375号、欧州特許第0 500 944号、欧州特許出願公開第0 277 003、0 277 004号、および米国特許第5,133,157、5,198,401、5,066,741、5,206,197、5,241,025、5,384,299および5,502,124号および1994年8月3日に出願された米国特許出願第08/285,380号に記載されている。これらの特許はすべて、引用により全体が本明細書中に援用されている。
【0056】
好ましい活性剤は、カチオン成分とアニオン成分とを含み、これらの活性剤は次式で表され、
(St+(NCAV−
式中、St+は電荷t+を有するカチオン成分であり、
NCAV−は電荷v−を有する非配位アニオンであり、
tは1〜3の整数であり、
vは1〜3の整数であり、
uおよびvは、(u)x(t)=(v)x(w)の関係式により制約される。
【0057】
カチオン成分、(St+)は、プロトンなどのブレンステッド酸またはプロトン化ルイス塩基または類似のメタロセンまたは15族遷移金属含有触媒前駆体からアキルまたはアリールなどの一部をプロトン化したり、または引き抜くことができ、結果としてカチオン性遷移金属種を生じる還元可能なルイス酸を含むことができる。
【0058】
好ましい実施形態では、これらの活性剤は、カチオン成分とアニオン成分とを含み、これらの活性剤は次式で表され、
(LB−Ht+(NCAV−
式中、LBはルイス塩基であり、
Hは水素であり、
NCAV−は電荷v−を有する非配位アニオンであり、
tは1〜3の整数であり、
vは1〜3の整数であり、
uおよびvは、(u)x(t)=(v)x(w)の関係式により制約される。
【0059】
活性剤(St+)は、ブレンステッド酸、(LB−Ht+)であり、遷移金属触媒前駆体にプロトンを与えることができ、アンモニウム類、オキソニウム類、ホスホニウム類、シリリウムおよびこれらの混合物、好ましくは、メチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモN,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンのアンモニウム類、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、およびジフェニルホスフィンからのホスホニウム類、ジメチルエーテルジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類からのオキソニウム類、ジエチルチオエーテル類およびテトラヒドロチオフェンおよびこれらの混合物などのチオエーテル類からのスルホニウム類を含む遷移金属カチオンを結果として生じる。
【0060】
活性化カチオン(St+)は、銀、カルボニウム、トロピリウム、カルベニウム、フェロセニウムおよび混合物、好ましくはカルボニウムおよびフェロセニウムなどの引き抜き部分でもよい。最も好ましくは、(St+)は、トリフェニルカルボニウムまたはN,N−ジメチルアニリニウムである。
【0061】
アニオン成分(NCAV−)は、化学式[Tx+V−を有する成分を含み、式中、xは1〜3の整数であり、yは2〜6の整数であり、y−x=v、Tは元素の周期律表の13族または15族から選択される元素で、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、Qは独立してハイドライド、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、およびハロ置換ヒドロカルビル・ラジカルであり、前記Qは、せいぜい1つの発生でQはハライドであるという条件で20個までの炭素原子を有する。好ましくは、各Qは弗素化アリール基であり、最も好ましくは各Qはペンタフルオリルアリール基である。適切な(NCAV−)の例には、米国特許第5,447,895号で開示されたジホウ素化合物も含まれ、この特許は、引用により全体が本明細書中に援用されている。適切なアニオンのもう1つの例は、3個のオルソ置換フルオロアリール・リガンドと1個のアルカイン・リガンドとを有するボレートである。適切なアニオンのもう1つの例は、アミン類、エーテル類、シリル基およびそれらの誘導体などの極性置換基を有するフルオロアリール基を含むボレートである。
【0062】
追加の適切なアニオン類が当該分野で知られており、本発明の触媒と共に使用する場合に適切である。特に、米国特許第5,278,119号、国際公開第2002102857、2002051884、200218452、2000037513、2000029454、2000004058、9964476、2003049856、2003051892、2003040070、2003000740、2002036639、2002000738、2002000666、2001081435、2001042249、2000004059号を参照のこと。ストラウス(S.H.Strauss)による総論「比較的大きくて弱い配位アニオンに関する研究(The Search for Larger and More Weakly Coordinating Anions)」,ケミカル・レビュー(Chem.Rev.),93,p.927−942(1993)およびC.リード(A.Reed)による総論「カルボラン類:強い求電子剤、酸化剤および超酸に関わる新種の弱く配位するアニオン(Carboranes:A New Class of Weakly Coordinating Anions for Strong Electrophiles,Oxidants and Superacids)」,アカウント・オブ・ケミカル・リサーチ(Acc.Chem.Res.,31,p.133−139(1998)も参照のこと。
【0063】
本発明の改善された触媒の調製における活性化助触媒として使われるホウ素化合物の実例となる無数の例には、トリメチルアンモニウム・テトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウム・テトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウム・テトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム・テトラフェニルボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウム・テトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウム・テトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウム・テトラフェニルボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)・テトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリエチルアンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリプロピルアンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリスパーフルオロフェニルボラン、およびトリパーフルオロナフチルボランなどのトリ置換アンモニウム塩類がある。
【0064】
最も好ましくは、化学量論的イオン活性剤は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートおよび/またはトリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートである。
【0065】
1つの実施形態では、活性プロトンを含まないが、類似のメタロセン触媒カチオンおよびこれらの非配位アニオンを作ることができるイオン化合物をイオン化する活性化方法も検討されており、欧州特許出願公開第0 426 637、0 573 403号および米国特許第5,387,568号に記載され、これらの特許はすべて、引用により全体が本明細書中に援用されている。
【0066】
用語「非配位アニオン」(NCA)は、前記カチオンに配位しないか、または前記カチオンに対して弱く配位するのみで、それにより中性ルイス塩基により移動させられるほど不安定なまま残っているアニオンを意味している。「適合性」非配位アニオンは、最初に形成された錯体が分解するときに、中性に対して分解されないアニオンである。本発明による方法で有用な非配位アニオンは、適合性のある、そのイオン電荷をバランスさせるという意味で金属カチオンを安定化し、重合中エチレン系またはアセチレン系不飽和モノマーによる移動を可能にするほど十分な不安定性を保持するアニオンである。これらの型の助触媒は、捕集剤としてトリイソブチルアルミニウムまたはトリオクチルアルミニウムを用いることがある。
【0067】
本発明のプロセスは、最初は中性ルイス酸であるが、本発明の化合物と反応すると、カチオン性金属錯体および非配位アニオン、または双極イオン性錯体を形成する助触媒化合物または活性剤化合物を用いることもできる。例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素またはアルミニウムは、ヒドロカルビル・リガンドまたはハイドライド・リガンドを引き抜き、本発明のカチオン性金属錯体を生じ、非配位アニオンを安定化するように作用する。類似の4族メタロセン化合物の実例については、欧州特許出願公開第0 427 697、0 520 732号を参照のこと。また、欧州特許出願公開第0 495 375号の方法および化合物について参照のこと。類似の4族化合物を用いた双極イオン性錯体の形成については、米国特許第5,624,878、5,486,632、5,527,929号を参照のこと。
【0068】
追加の中性ルイス酸は、当該分野で周知であり、アニオン性リガンドを引き抜くのに適している。特に、チェン(E.Y.−X.Chen)およびマークス(T.J.Marks)による総論、「金属触媒によるオレフィン重合のための助触媒:活性剤、活性化プロセス、および構造と活性の関係(Cocatalysts for Metal−Catalyzed Olefin Polymerization:Activators,Activation Processes,and Structure−Activity Relationships)」,ケミカル・レビュー(Chem.Rev.),100,p.1391−1434(2000)を参照のこと。
【0069】
が、クロライド、アミドまたはアルコキシ・リガンドなどの官能基リガンドであり、これらの官能基リガンドが、イオン化アニオン前駆体化合物を用いて個別にイオン化引き抜きをできない場合は、これらの官能基リガンドは、リチウムまたはアルミニウムハイドライドまたはアルキル、アルキルアルモキサン、グリニャール試薬などの有機金属化合物を用いた周知のアルキル化反応により転換することができる。活性化非配位アニオン前駆体化合物の添加前またはこれらの化合物の添加と共に、類似のジハライド置換メタロセン化合物とアルキルアルミニウム化合物との反応を説明している類似のプロセスについては、欧州特許出願公開第0 500 944、0 570 982、0 612 768号を参照のこと。
【0070】
非配位アニオン前駆体のカチオンが、プロトンなどのブレンステッド酸またはプロトン化ルイス塩基(水を除く)、またはフェロセニウム・カチオンまたは銀カチオンなどの還元性ルイス酸、またはナトリウム、マグネシウムまたはリチウムなどのアルカリまたはアルカリ土類の金属カチオンである場合は、触媒前駆体対活性剤のモル比は任意の値でよい。記述された活性剤化合物の組み合わせは、活性化の場合にも使用することができる。例えば、トリス(パーフルオロフェニル)ホウ素は、メチルアルモキサンと併用することができる。
【0071】
一般に、併用された金属化合物と活性剤とは、約1000:1〜約0.5:1の比で使用される。好ましい実施形態では、金属化合物と活性剤とは、ボラン類、ボレート類、アルミネート類などの場合、約300:1〜約1:1、好ましくは約150:1〜約1:1の比で併用され、この比は約1:1〜約10:1が好ましく、アルキルアルミニウム化合物(水と併用されたジエチルアルミニウムクロライドなど)の場合、この比は約0.5:1〜約10:1が好ましい。
【0072】
好ましい実施形態では、第1触媒対第2または追加の触媒の比は、5:95〜95:5、好ましくは25:75〜75:25、より一層好ましくは40:60〜60:40である。
【0073】
もう1つの実施形態では、本明細書で使われる活性剤はアルモキサンではない。代わりに、本明細書で使われる触媒系は、0.1重量%未満のアルモキサンを含む。
【0074】
もう1つの実施形態では、本発明の触媒組成物は、支持物質または担体を含む。例えば、1つまたはそれ以上の触媒成分または1つまたはそれ以上の活性剤は、1つまたはそれ以上の支持体または担体上に堆積され、1つまたはそれ以上の支持体または担体と接触し、1つまたはそれ以上の支持体または担体と共に蒸発され、1つまたはそれ以上の支持体または担体に結合され、または1つまたはそれ以上の支持体または担体内に組み込まれ、1つまたはそれ以上の支持体または担体の中または上に吸着または吸収される。
【0075】
他の支持物質には、ポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼンポリオレフィンまたはポリマー性化合物などの機能性または架橋性有機支持体、ゼオライト、粘土、または任意の他の有機または無機支持物質など、およびこれらの化合物がある。
【0076】
好ましい支持物質は、2、3、4、5、13または14族の金属酸化物を含む無機酸化物である。好ましい支持体には、脱水されるか、または脱水されないシリカ、フュームド・シリカ、アルミナ(国際公開第99/60033号)、シリカ・アルミナまたはこれらの混合物がある。他の有用な支持体には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウム(米国特許第5,965,477号)、モンモリロナイト(欧州特許第0 511 665号)、フィロシリケート、ゼオライト、タルク、粘土(米国特許第6,034,187号)などがある。また、これらの支持物質の組み合わせ、例えば、シリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニアなどを使うことができる。追加の支持物質には、欧州特許第0 767 184号に記載されている多孔性アクリルポリマーがある。この特許は引用により本明細書中に援用されている。他の支持物質には、国際公開第99/47598号に記載されているナノコンポジット、国際公開第99/48605号に記載されているエアロゲル、米国特許第5,972,510号に記載されている球晶および国際公開第99/50311号に記載されているポリマービーヅがあり、これらの特許はすべて、引用により全体が本明細書中に援用されている。
【0077】
最も好ましくは無機酸化物である支持物質は、約10〜約700m/gの範囲の表面積、約0.1〜約4.0cc/gの範囲の気孔容積および約5〜約500μmの範囲の平均粒子サイズを有するのが好ましい。支持物質の表面積は約50〜約500m/gの範囲にあり、約0.5〜約3.5cc/gの気孔容積および約10〜約200μmの平均粒子サイズがより好ましい。支持物質の表面積は約100〜約400m/gの範囲にあり、約0.8〜約3.0cc/gの気孔容積および約5〜約100μmの平均粒子サイズが最も好ましい。本発明の担体の平均気孔サイズは、50〜1000Å、好ましくは50〜約500Å、最も好ましくは75〜約350Åの範囲の気孔サイズを有する。
【0078】
モノマー
好ましい実施形態では、本発明の遷移金属化合物は、任意の不飽和モノマーまたはモノマーの重合またはオリゴマー化に使われる。好ましいモノマーには、C〜C100オレフィン、好ましくはC〜C60オレフィン、好ましくはC〜C40オレフィン好ましくはC〜C20オレフィン、好ましくはC〜C12オレフィンがある。いくつかの実施形態において好ましいモノマーには、線状、分岐または環状アルファオレフィン、好ましくはC〜C100アルファオレフィン、好ましくはC〜C60アルファオレフィン、好ましくはC〜C40アルファオレフィン好ましくはC〜C20アルファオレフィン、好ましくはC〜C12アルファオレフィンがある。好ましいオレフィンモノマーは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチル−ペンテン−1、3,5,5−トリメチルヘキセン1、および5−エチル−1−ノネンの1つまたはそれ以上のモノマーである。
【0079】
別の実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、1つまたはそれ以上の線状または分岐C〜C30プロキラルアルファオレフィンまたはC〜C30環含有オレフィンまたは立体特異性および非立体特異性触媒のいずれかにより重合されうるこれらの組み合わせのコポリマである。本明細書で使われているプロキラルは、立体特異性触媒を用いて重合した場合、アイソタクチックまたはシンジオタクチック・ポリマーの形成を助長するモノマーを意味している。
【0080】
好ましいモノマーには、30個までの炭素原子を含む芳香族基含有モノマーもある。適切な芳香族基含有モノマーには、少なくとも1つの芳香族構造、好ましくは1〜3個、より好ましくは、フェニル基、インデニル基、フルオレニル基、またはナフチル基が含まれる。芳香族基含有モノマーは、さらに、重合後、芳香族構造がポリマー骨格から吊り下がるように少なくとも1つの重合可能な二重結合を含む。芳香族基含有モノマーは、さらに、C〜C10アルキル基を含むがこれらに限定されない1つまたはそれ以上のヒドロカルビル基により置換することができる。さらに、2つの隣接置換基は、結合して環構造を形成することができる。好ましい芳香族基含有モノマーは、重合可能なオレフィン部分に付け加えられた少なくとも1つの芳香族構造を含む。特に好ましい芳香族モノマーには、スチレン、アルファメチルスチレン、パラアルキルスチレン類、ビニルトルエン類、ビニルナフタレン、アリルベンゼン、およびインデン、特にスチレン、パラメチルスチレン、4−フェニル−1−ブテンおよびアリルベンゼンがある。
【0081】
非芳香族環状基含有モノマーも、本明細書で有用である。これらのモノマーは、30個までの炭素原子を含むことができる。適切な非芳香族環状基含有モノマーは、環状構造に吊り下がっているか、または環状構造の一部である、少なくとも1つの重合可能なオレフィン基を有するのが好ましい。環状構造は、さらに、C〜C10アルキル基を含むがこれらに限定されない1つまたはそれ以上のヒドロカルビル基により置換することができる。好ましい非芳香族環状基含有モノマーには、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデン・ノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタンなどがある。
【0082】
本発明で有用な好ましいジオレフィンモノマーには、任意の炭化水素構造、好ましくは少なくとも2つの不飽和結合を有するC〜C30があり、これらの不飽和結合の少なくとも1つ、通常2つは、立体特異性または非立体特異性触媒により容易にポリマーに組み込まれる。さらに、ジオレフィン・モノマーは、アルファ、オメガ−ジエン・モノマー(即ち、ジビニル・モノマー)から選択されるのが好ましい。より好ましくは、ジオレフィン・モノマーは、ジビニル・モノマーであり、4〜30個の炭素原子を含むものが最も好ましい。好ましいジエン類の例には、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘナイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエンがあり、特に好ましいジエン類には、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン、および低分子量ポリブタジエン(Mw1000g/mol未満)がある。好ましい環状ジエン類には、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボナジエン、エチリデン・ノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエンまたは種々の環の位置に置換基があるか、またはない高級環含有ジオレフィン類がある。
【0083】
本発明で有用な好ましい極性不飽和モノマーの無数の例には、6−ニトロ−1−ヘキセン、N−メチルアリルアミン、N−アリルシクロペンチルアミン、N−アリルヘキシルアミン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、5−ヘキセン−2−オン、2−アセチル−5−ノルボルネン、7−シンメトキシメチル−5−ノルボルネン−2−オン、アクロレイン、2,2−ジメチル−4−ペンテナル、ウンデシレニックアルデヒド、2,4−ジメチル−2,6−ヘプタジエナル、アクリル酸、ビニル酢酸、4−ペンテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、6−ヘプテン酸、トランス−2,4−ペンタジエン酸、2,6−ヘプタジエン酸、ノナフルオロ−1−ヘキセン、アリルアルコール、7−オクテン−1,2−ジオール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボキスアルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−エンド−3−エンド−ジメタノール、5−ノルボルネン−2−エンド−3−エキソ−ジメタノール、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−イルアセテート、1−[2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル]−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、2−ベンゾイル−5−ノルボルネン、アリル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、アクロレインジメチルアセタール、ブタジエンモノキサイド、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、2−メチル−2−ビニルオキシラン、アリルグリシジルエーテル、2,5,−ジヒドロフラン、2−シクロペンテン−1−オン−エチレンケタール、アリルジスルフィド、エチルアクリレート、メチルアクリレートがある。重合プロセスにおいて極性モノマーを使用するためには、アルキルアルミニウムなどのルイス酸触媒を使用するか、または重合を引き起こすために代わりの保護方法を使用する必要があることを、当業者は認識している(ボッファ(Boffa,L.S.)、ノバク(Novak,B.M.)ケミカル・レビュー(Chem.Rev.),2000,p.1479およびその中の引用文献)。
【0084】
本発明およびその特許請求の範囲では、用語オリゴマーは、2〜75個のモノマーユニットを有する組成物を意味し、用語ポリマーは、76またはそれ以上のモノマーユニットを有する組成物を意味している。モノマーユニットは、本来、オリゴマー化または重合の反応において使われるオレフィンに対応するオリゴマーまたはポリマーのユニットとして規定されている。例えば、ポリエチレンのモノマーユニットはエチレンである。
【0085】
本明細書の実施形態では、本明細書に記述されたプロセスは、上でリストされたモノマーのいずれかのオリゴマーを作るために使われる。好ましいオリゴマーには、C〜C20オレフィン類、好ましくはC〜C12アルファオレフィン類があり、最も好ましくはエチレン、プロピレンおよびまたはブテンを含むオリゴマーが作られる。オリゴマー化プロセスの好ましい供給原料は、アルファオレフィン、即ちエチレンであるが、プロピレンおよび1−ブテンを含むがこれらに限定されない他のアルファオレフィンも単独またはエチレンと併用して使うことができる。好ましいアルファオレフィンには、C〜C40アルファオレフィン、好ましくはC〜C20アルファオレフィン、好ましくはC〜C12アルファオレフィン、好ましくはエチレン、プロピレンおよびブテン、最も好ましくはエチレンがある。ジエン類が本明細書で説明されたプロセスにおいて使われ、好ましくはアルファ、オメガジエン類が単独またはモノアルファオレフィンと併用して使われる。
【0086】
重合プロセス
好ましい重合は、連続撹拌槽重合反応機で行われる一段式定常状態重合である。重合は溶液中で行うことができるが、気相重合またはスラリー重合などの他の重合操作も使用することができ、これらの操作は一段式連続重合反応機の要件を満たしている。このプロセスは、その定常状態操作では、単位時間あたりに作られたポリマーの量が、単位時間あたりに反応容器から抜き出されたポリマーの量にほぼ等しいことにより例示される連続式非バッチプロセスとして説明することができる。用語「ほぼ等しい」により、これらの量、即ち、単位時間あたりに作られたポリマー、および単位時間あたりに抜き出されたポリマーが、0.9:1、または0.95:1、または0.97:1、1:1等の比にあることを言わんとしている。この種の反応機では、モノマーがほぼ均一に分布していることが好ましい。同時に、重合は、多段または複数反応機(2またはそれ以上)とは対照的に、単一工程または単一反応機でほぼ達成される。複数の反応機の各々がこの説明のとおりである複数反応機も、本明細書で有用である。
【0087】
本明細書で説明された重合触媒を用いてポリマーを作る好ましい方法には、次のような工程、即ち、a)溶媒と一組のモノマーを所定の比率で重合反応機に供給し、b)前記反応機に可溶性メタロセン触媒を添加し、c)溶液中でこれらの組のモノマーを重合してポリマーを含む流出液を作り、第1および第2の組のモノマーは、プロピレン、エチレン、アルファオレフィン、非共役ジエンの群から選択される。同様に、ポリマーは、直列に接続された少なくとも2個の連続流撹拌槽反応機(CFSTR)において、メタロセン触媒を添加しながら溶液重合により作ることができる。各反応機は、独立して、モノマーおよび溶媒を供給することができる。触媒毒として作用する極性化合物を除去するために、すべての溶媒およびモノマーフィードは、モルシーブ、アルミナ床、または当該分野で周知の他の吸着剤により浄化するのが望ましい。反応機からの熱除去は、自動冷却、フィードの予備冷却(断熱反応機)、冷却コイル、またはこれらの技法の種々の組み合わせなどの当該分野で周知の方法によりなされる。予備冷却したフィードを用いる断熱反応機が好ましい。圧力は、反応機温度において反応機内容物を溶液中に保持するのに十分な圧力が好ましい。重合は、−20℃またはそれ以下から200℃またはそれ以上の範囲の温度で行われ、0℃〜160℃の範囲が好ましい。重合が55℃〜140℃の範囲で行われるのが最も好ましい。反応機あたりの滞留時間は、1〜180分、好ましくは5〜30分に保持される。反応機の流出液中のポリマー濃度は、1〜20重量%の範囲、より好ましくは3〜12重量%の範囲に保持される。全体の重合速度は、触媒およびモノマーの供給速度により設定される。ポリマー組成は、反応機へのモノマー供給速度を調節することにより制御される。ポリマーの分子量は、反応機温度の選択(温度が上がると分子量は小さくなる)、モノマー濃度(モノマー濃度が上がると分子量は大きくなる)、および随意に、水素などの連鎖移動剤を添加することにより設定される。ポリマー生成物は、通常、イソプロピルアルコール、アセトン、またはn−ブチルアルコールなどの非溶媒を用いて凝集することにより流出液から回収され、またはポリマーは、熱またはスチームを用いて溶媒または他の媒体を除去することにより回収することができる。酸化防止剤などの1つまたはそれ以上の普通の添加剤は、回収操作中にポリマー中に組み込むことができる。有用な酸化防止剤には、フェニル・ベータナフチルアミン、ジ−tert−ブチルハイドロキノン、トリフェニルホスフェート、ヘプチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチル)フェノール、および2.2.4−トリメチル−6−フェニル−1,2−ジヒドロキノリンがある。
【0088】
重合は、当該分野で周知の重合操作のいずれかにより行うことができるが、好ましい実施形態では、重合は、成分が完全に溶液中にある条件下で溶液重合で行われる。これらの重合条件は、ポリマー混合物のすべての成分が溶液中に保持されるような温度および圧力を含む適切な反応条件において重合媒体としてのポリマー成分の両方に共通した十分な量の溶媒を選択することにより得られる。本発明で有用な溶媒には、脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素などの炭化水素がある。好ましい溶媒は、C12またはそれ以下の直鎖または分岐鎖、飽和炭化水素、およびC5〜C9飽和脂環式または芳香族炭化水素である。この種の溶媒または反応媒体の例は、ヘキサン、ブタン、ペンタン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンであり、ヘキサンが好ましい。
【0089】
通常、1つまたはそれ以上の遷移金属化合物、1つまたはそれ以上の活性剤、および1つまたはそれ以上のモノマーが接触して、ポリマーを作る。これらの成分は、溶液、バルク、ガスまたはスラリー重合プロセスまたはそれらの組み合わせ、好ましくは溶液相またはバルク相重合プロセスにおいて接触させられる。
【0090】
一般に、遷移金属化合物と活性剤とは、約1:10,000〜約1:1の比で併用され、他の実施形態では遷移金属化合物と活性剤とは、1:1〜100:1の比で併用される。アルモキサンまたはアルミニウムアルキル活性剤が使用される場合は、併用された触媒と活性剤とのモル比は、1:5000〜10:1、あるいは1:1000〜10:1、あるいは1:500〜2:1、または1:300〜1:1である。イオン化活性剤が使われる場合は、併用された触媒と活性剤とのモル比は、10;1〜1:10、5:1〜1:5、2:1〜1:2、または1.2:1〜1:1である。イオン化活性剤を用いる場合は、アルモキサンとアルミニウムアルキルとの混合物を用いることを含めて、複数の活性剤が使われる。
【0091】
本発明では、直列または並列の1つまたはそれ以上の反応機が使われる。触媒成分および活性剤は、溶液またはスラリーとして、反応機に個別に、反応機の直前で配管中で活性化されて、または反応機への活性化された溶液またはスラリーとして予め活性化されて、供給される。好ましい操作は、配管中で活性化された2つの溶液である。重合は、モノマー、コモノマ、触媒/活性剤、捕集剤、および随意に変性剤が、単一反応機に加えられる単一反応機操作、または上の成分が直列に接続された2つまたはそれ以上の反応機の各々に加えられる直列反応機操作で行われる。触媒成分は、直列になっている反応機の第1反応機に加えることができる。触媒成分は両方の反応機に加えることもでき、例えば、1つの成分は第1反応機へ、別の成分は他の反応機に加える。
【0092】
高分子量、低結晶性のエチレン−アルファオレフィン(エチレン−環状オレフィンおよびエチレン−アルファオレフィン−ジオレフィンを含む)ポリマーは、従来の溶液プロセスの下で本発明の触媒を用いて、または触媒懸濁液が懸濁される重合希釈剤としてではなく、重合可能な他のモノマーと共にアルファオレフィンまたは環状オレフィンまたはそれらの混合物を用いてエチレンガスをスラリーに入れることにより作ることができる。エチレン圧力は、通常、10と1000psig(69−6895kPa)との間にあり、重合希釈剤の温度は、通常、−10℃と160℃との間にある。このプロセスは、撹拌槽反応機または管状反応機、または1つより多い反応機が直列または並列で操作される撹拌槽反応機または管状反応機で行われる。一般的なプロセス条件については、米国特許第5,001,205号の一般的開示を参照のこと。すべての文書は、重合プロセス、イオン性活性剤および有用な捕集剤化合物の説明のための引用により援用される。
【0093】
気相重合
本明細書で説明された触媒化合物は、気相重合プロセスで使うことができる。一般に、ポリマーの製造に使われるガス流動床プロセスでは、1つまたはそれ以上のモノマーを含む気流は、反応条件下で触媒が存在する流動床を通して連続的に循環される。気流は流動床から抜き出され、反応機に戻してリサイクルされる。同時に、ポリマー生成物が反応機から抜き出され、重合したモノマーの代わりに、新しいモノマーが加えられる。(例えば、米国特許第4,543,399、4,588,790、5,028,670、5,317,036、5,352,749、5,405,922、5,436,304、5,453,471、5,462,999、5,616,661、5,668,228号を参照のこと。)気相プロセスにおける反応機圧力は、約10psig(69kPa)から約500psig(3448kPa)まで、好ましくは約100psig(690kPa)から約500psig(3448kPa)まで、好ましくは約200psig(1379kPa)から約400psig(2759kPa)までの範囲で、より好ましくは約250psig(1724kPa)から約350psig(2414kPa)までの範囲で変動する。気相プロセスにおける反応機温度は、約30℃から約120℃まで、好ましくは約60℃から約115℃まで、より好ましくは約70℃から110℃までの範囲で、最も好ましくは約70℃から約95℃までの範囲で変動することができる。別の実施形態では、高密度ポリエチレンが望ましい場合は、反応機温度は通常70と105℃との間にある。
【0094】
気相系における触媒または触媒系の生産性は、主モノマーの分圧による影響を受ける。主モノマーであるエチレンまたはプロピレン、好ましくはエチレンの好ましいモルパーセントは、約25から90モルパーセントまでであり、コモノマの分圧は、約138kPa〜約517kPa、好ましくは約517kPa〜約2069kPaの範囲にあり、後者は気相重合プロセスにおける代表的な条件である。また、いくつかの系では、コモノマが存在すると生産性を上げることができる。
【0095】
好ましい実施形態では、本発明で用いた反応機は、時間あたり500ポンド(227Kg/hr)を超え約200,000ポンド/hr(90,900Kg/hr)またはそれ以上まで、好ましくは1000ポンド/hr(455Kg/hr)を超えた、より好ましくは10,000ポンド/hr(4540Kg/hr)を超えた、より一層好ましくは25,000ポンド/hr(11,300Kg/hr)を超えた、なおより好ましくは35,000ポンド/hr(15,900Kg/hr)を超えた、なおより一層好ましくは50,000ポンド/hr(22,700Kg/hr)を超えたおよび好ましくは65,000ポンド/hr(29,000Kg/hr)を超え100,000ポンド/hr(45,500Kg/hr)まで、および最も好ましくは100,000ポンド/hr(45,500Kg/hr)を超えたポリマーを製造することができる。
【0096】
本発明のプロセスにより検討された他の気相プロセスには、米国特許第5,627,242、5,665,818、5,677,375号および欧州特許出願公開第0 794 200、0 802 202号および欧州特許第634 421号に記載されたプロセスがあり、これらの特許はすべて、引用により全体が本明細書中に援用されている。
【0097】
もう1つの好ましい実施形態では、触媒系は液状であり、気相反応機の樹脂粒子の乏しいゾーンに導入される。液体触媒系を流動床重合の粒子の乏しいゾーンに導入する方法については、米国特許第5,693,727号を参照してほしい。なお、この特許は引用により本明細書中で援用される。
【0098】
スラリー相重合
本明細書で説明された触媒化合物は、スラリー相重合プロセスにおいて使用することができる。スラリー重合プロセスは、一般に、1〜約50気圧(15psig〜735psig、103kPa〜5068kPa)の範囲またはそれ以上の圧力および0℃〜約120℃の範囲の温度において行われる。スラリー重合では、固体の微粒子ポリマーの懸濁液が液体重合希釈媒体において形成され、この媒体にモノマーおよびコモノマが触媒と共に加えられる。希釈剤を含む懸濁液が断続的または連続的に反応機から排出され、反応機では揮発性成分がポリマーから分離され、随意に蒸留後、反応機にリサイクルされる。重合媒体として使われた液体希釈剤は、通常、3〜7個の炭素原子を有するアルカン、好ましくは分岐アルカンである。用いた媒体は、重合条件下で液体であり、且つ比較的不活性である。プロパン媒体が使われる場合、このプロセスは、反応希釈剤の臨界温度および臨界圧力の上で操作する必要がある。ヘキサンまたはイソブタン媒体を用いるのが好ましい。
【0099】
1つの実施形態では、本発明で有用な好ましい重合技法は、粒子形重合またはスラリープロセスと呼ばれ、温度はポリマーが溶解する温度以下に保持される。この種の技法は、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第3,248,179号に記載され、この特許は引用により全体が本明細書中に援用されている。粒子形プロセスにおける好ましい温度は、約85℃〜約110℃の範囲内にある。スラリープロセスの好ましい2つの重合方法は、ループ反応機を用いる方法および複数の撹拌槽を直列、並列またはこれらの組み合わせにおいて用いる方法である。スラリープロセスの無数の例には、連続ループまたは撹拌槽プロセスがある。また、スラリープロセスの他の実施例が、米国特許第4,613,484号に記載されており、この特許は引用により全体が本明細書中に援用されている。
【0100】
別の実施形態では、スラリープロセスはループ反応機で連続的に行われる。触媒は、イソブタンのスラリーとして、または乾燥自由流動性粉末として、反応機ループに規則的に注入され、ループ自身はモノマーおよびコモノマを含むイソブタン希釈剤と成長中のポリマー粒子からなる循環スラリーで満たされている。随意に、分子量調節剤として水素が添加される。この反応機は、3620kPa〜4309kPaの圧力、ポリマーの所望の溶融特性に依存して約60℃〜約104℃の範囲の温度に保持される。反応熱は、反応機の多くが二重ジャケット管なので、ループの壁を通して除去される。このスラリーは、規則的な間隔または連続的に反応機を出ることができ、イソブタン希釈剤およびすべての未反応モノマーおよびコモノマを除去するために、加熱された低圧フラッシュ容器、回転乾燥機および窒素パージカラムの順で出て行く。得られる炭化水素フリーの粉末は、種々の用途に使うために混合される。
【0101】
もう1つの実施形態では、本発明のスラリープロセスで使われる反応機および本発明のプロセスは、時間あたり2000ポンド(907Kg/hr)、より好ましくは5000ポンド/hr(2268Kg/hr)、最も好ましくは10,000ポンド/hr(4540Kg/hr)のポリマーを作ることができる。別の実施形態では、本発明のプロセスで使われるスラリー反応機は、時間あたり15,000ポンド(6804Kg/hr)を超えた、好ましくは25,000ポンド/hr(11,340Kg/hr)を超え、約100,000ポンド/hr(45,500Kg/hr)までのポリマーを作ることができる。
【0102】
本発明のスラリープロセスのもう1つの実施形態では、反応機の全圧は400psig(2758kPa)〜800psig(5516kPa)、好ましくは450psig(3103kPa)〜約700psig(4827kPa)、より好ましくは500psig(3448kPa)〜約650psig(4482kPa)、最も好ましくは約525psig(3620kPa)〜625psig(4309kPa)の範囲にある。
【0103】
本発明のスラリープロセスのさらに別の実施形態では、反応機液状媒体中の主モノマーの濃度は、約1〜10重量%、好ましくは約2〜約7重量%、より好ましくは約2.5〜約6重量%、最も好ましくは約3〜約6重量%の範囲にある。
【0104】
本発明のもう1つのプロセスは、好ましくはスラリープロセスまたは気相プロセスが、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムおよびジエチルアルミニウム・クロライド、ジブチル亜鉛などの捕集剤が存在しないか、または実質的に存在しない状態で操作されるプロセスである。このプロセスは、国際公開第96/08520号および米国特許第5,712,352号に記載されており、これらの特許は、引用により全体が本明細書中に援用されている。
【0105】
もう1つの実施形態では、このプロセスは捕集剤を用いて行われる。代表的な捕集剤には、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよび過剰のアルモキサンまたは変性アルモキサンがある。
【0106】
均一または溶液相重合
本明細書で説明された触媒は、均一およびまたは溶液プロセスにおいて有利に使用することができる。一般に、これには、連続反応機における重合が含まれ、この反応機では形成されたポリマーおよび供給された出発モノマーおよび触媒物質は、濃度勾配の低減または回避のために撹拌される。適切なプロセスは、1〜3000bar(10〜30,000MPa)の高圧において、ポリマーの融点の上で操作し、このプロセスではモノマーは希釈剤として作用し、または溶液重合では溶媒を用いる。
【0107】
反応機の温度は、重合熱と反応機の内容物を冷却するための反応機のジャケットまたは冷却コイル、自動冷却、予め冷却されたフィード、液状媒体(希釈剤、モノマーまたは溶媒)の蒸発またはこれら3つすべての併用による反応機の冷却とのバランスをとることにより制御することができる。予め冷却されたフィードを用いる断熱反応機も使用することができる。反応機の温度は、用いた触媒により決まる。一般に、反応機の温度は、約0℃〜約160℃、より好ましくは約10℃〜約140℃、最も好ましくは約40℃〜約120℃の間で変動できるのが好ましい。直列操作では、第2反応機の温度は第1反応機の温度より高いのが好ましい。並列反応機操作では、2つの反応機の温度は独立している。圧力は、約1mmHgから2500bar(25,000MPa)まで、好ましくは0.1barから1600bar(1−16,000MPa)まで、最も好ましくは1.0barから500bar(10−5000MPa)まで変えることができる。
【0108】
これらのプロセスの各々は、単一反応機、並列または直列反応機群においても用いることができる。これらの液体プロセスには、適切な希釈剤または溶媒中における上で説明した触媒系とオレフィンモノマーとの接触プロセス、および前記モノマー類を十分な時間反応させて所望のポリマーを製造するプロセスが含まれている。炭化水素溶媒は、脂肪族と芳香族との両方が適切である。ヘキサン、ペンタン、イソペンタン、オクタンなどのアルカン類が好ましい。
【0109】
このプロセスは、連続撹拌槽反応機、バッチ反応機またはプラグフロー反応機、あるいは直列または並列で操作される1より多い反応機において行われる。これらの反応機は内部冷却を有するものと持たないものがあり、モノマーフィードは冷却される場合とされない場合とがある。一般的なプロセス条件については、米国特許第5,001,205号の一般的開示を参照のこと。国際公開第96/33227および97/22639号も参照のこと。
【0110】
特に好ましい実施形態では、エチレン/オクテンまたはエチレン/プロピレンのコポリマまたはエチレン/プロピレン/ジエンのターポリマー、好ましくはプロピレンと1〜20重量%のエチレンとのコポリマを作るために、本発明の触媒化合物(好ましくは、ジメチルシリル・ビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドローベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリル・ビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドローベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリル・ビス(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドローベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルシリル・ビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドローベンズ(f)インデニル)ジルコニウムジクロライド、シクロプロピルシリル・ビス(2−(メチル)−5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドローベンズ(f)インデニル)ハフニウムジメチルの1つまたはそれ以上)を用いる連続溶液重合プロセスが使われる。(連続的とは、中断または休止なしに操作する(または操作しようとする)システムを意味する。例えば、ポリマーを作る連続プロセスは反応物は1つまたはそれ以上の反応機に連続的に導入され、ポリマー生成物は連続的に抜き出される。)有機金属化合物、即ち、トリ−n−オクチルアルミニウムは、重合プロセスに導入される前に、捕集剤として、モノマーフィード流に加えられる。より結晶性の高いポリマーを作る場合は、触媒は、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートと併用するのが好ましい。好ましくは、溶液重合は、溶媒としてヘキサンを用い、単一または随意に直列に接続された2つの連続撹拌槽反応機で行われる。さらに、助触媒の溶解度を上げるためにトルエンを加える。フィードは第1反応機に移され、約50℃〜約220℃の間の反応温度で発熱重合反応が断熱的に行われる。さらに、分子量調節剤として、水素も反応機に加えることができる。望ましいならば、次いで、ポリマー生成物は第2反応機に移され、第2反応機も約50℃〜約200℃の間の温度で断熱的に操作される。追加のモノマー類、溶媒、メタロセン触媒、および活性剤を、第2反応機に供給することができる。第2反応機を出る生成物のポリマー含有量は、8〜22重量%の範囲が好ましい。次いで、熱交換器でポリマー溶液を約220℃の温度まで加熱する。次いで、ポリマー溶液は、低臨界溶液温度(LCST)の液体−液体相分離器に送られ、この分離器がポリマー溶液を2つの液体相、即ち上のポリマーに乏しい相と下のポリマーリッチの相に分離する。上のポリマーに乏しい相は約70重量%の溶媒を含み、下のポリマーリッチの相は約30重量%のポリマーを含む。次いで、ポリマー溶液は低圧分離器に入り、該分離器は約150℃の温度および4−10barg(400〜1000Pa)の圧力にて運転し、下部のポリマーリッチ相をフラッシュして揮発分を除去し、ポリマー含有量を約76重量%まで上げる。フラッシュ容器の底にあるギアポンプでポリマーリッチ溶液をList脱揮装置に送り込む。押出し機がList脱揮装置の端部に連結され、該装置によりポリマー物質がギアポンプに移され、該ポンプがポリマー物質をスクリーンパックに押し込む。次いで、ポリマーはペレットに切断され、水浴に供給される。スピンドライヤがポリマーペレットを乾燥し、該ペレットの最終溶媒含有量は約0.5重量%未満である。
【0111】
好ましい実施形態では、モノマー(好ましくはプロピレン)は、フィードの重量に基づいて、反応機へのフィード中に50重量%またはそれ以下、好ましくは5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%存在する。好ましくは、モノマーは、反応機に入る直前に溶媒(ブタン、イソブテン、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど、好ましくはヘキサン)と合体される。好ましい実施形態では、この触媒系は、反応機に導入されたモノマーの重量に基づいて、モノマーの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%をポリマーに転換する。好ましい実施形態では、この触媒系は、反応機に導入されたプロピレンの重量に基づいて、プロピレンの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%をポリプロピレンに転換する。
【0112】
ポリマー
好ましい実施形態では、本明細書で説明されたプロセスは、ホモポリマーまたはコポリマの製造に使用することができる。(本発明およびその特許請求の範囲では、コポリマは、2、3、4またはそれ以上の種類のモノマーユニットを含む。)本明細書で作られた好ましいポリマーには、上のモノマー類のいずれかのモノマーのホモポリマーまたはコポリマがある。好ましい実施形態では、このポリマーはC〜C12アルファオレフィンのいずれかのホモポリマーである。好ましくはこのポリマーはエチレンのホモポリマーまたはプロピレンのホモポリマーである。もう1つの実施形態では、このポリマーは、上に挙げたモノマー類の1つまたはそれ以上のモノマーとエチレンとを含むコポリマである。もう1つの実施形態では、このポリマーは、上に挙げたモノマー類の1つまたはそれ以上のモノマーとプロピレンとを含むコポリマである。もう1つの好ましい実施形態では、これらのコポリマは、1つまたはそれ以上のジオレフィンコモノマ、好ましくは1つまたはそれ以上のC〜C40ジオレフィンを含む。
【0113】
上に具体的に説明したオレフィン系不飽和モノマー類に加えて他の該モノマー類、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン類、イソブチレンおよび他のジェミナルにジ置換されたオレフィン類、即ち、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、およびシクロペンテン、ノルボルネン、アルキル置換ノルボルネン類、および配位重合しうるビニル基含有極性モノマーなどの他の環状オレフィン類を含む他のオレフィン系不飽和モノマー類は本発明による触媒を用いて重合することができる。例えば、米国特許第5,635,573、5,763,556号および国際公開第99/30822号を参照のこと。さらに、1000モノマーユニットまでまたはそれ以上のアルファオレフィン系マクロモノマも、分岐含有オレフィンポリマーを生じる共重合により組み込まれる。
【0114】
エチレンポリマー
他のアルファオレフィンモノマー、アルファオレフィン系および/または非共役系ジオレフィン、例えば、C〜C20オレフィン、ジオレフィンまたは環状オレフィンとのコポリマおよびホモポリマーの両方を含む、高分子量および超高分子量ポリエチレンを含む線状ポリエチレンは、低圧(通常<50bar)、40−250℃の温度において、反応容器に、ヘキサンまたはトルエンなどの溶媒と共にスラリー化されている本発明の触媒と共にエチレンおよび随意に他のモノマーの1つまたはそれ以上を加えることにより作ることができる。重合熱は、通常、冷却により除去される。気相重合は、2000−3000kPaおよび60−160℃で操作する連続流動床気相反応機において、反応変性剤としての水素(100−200PPM)、C〜Cコモノマフィード流(0.5−1.2モル%)、およびCフィード流(25−35モル%)を用いて行うことができる。米国特許第4,543,399、4,588,790、5,028,670、5,405,922、5,462,999号を参照のこと。これらの特許は、米国特許の慣行では引用により援用される。
【0115】
もう1つの好ましい実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、1つまたはそれ以上のC〜C20線状、分岐または環状モノマー、好ましくは1つまたはそれ以上のC〜C12線状、分岐または環状アルファオレフィンとエチレンとのコポリマである。好ましくは本明細書で作られたポリマーは、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチルペンテン−1、3,5,5−トリメチルヘキセン−1の1つまたはそれ以上とエチレンとのコポリマである。
【0116】
高分子量、低結晶性のエチレン−アルファオレフィン(エチレン−アルファオレフィンおよびエチレン−アルファオレフィン−ジオレフィンを含む)エラストマは、従来の溶液重合プロセスの下で本発明の触媒を用いるか、または本発明の触媒が懸濁される重合希釈剤として重合性および重合性でない他のモノマー類と共にα−オレフィンまたは環状オレフィンまたはこれらの混合物を用いてスラリー中にエチレンガスを導入して作ることができる。代表的なエチレン圧力は、10と1000psig(69−6895kPa)との間にあり、重合希釈剤の温度は、通常40と160℃との間にある。このプロセスは、1つの撹拌槽反応機、または直列または並列で操作される1つより多い撹拌槽反応機で行われる。一般的なプロセス条件については、米国特許第5,001,205号の一般的開示を参照のこと。また、国際公開第96/33227、97/22639号も参照のこと。すべての文書は、重合プロセス、メタロセンの選択および有用な捕集化合物の説明のための引用により援用されている。
【0117】
プロピレンコポリマ
別の好ましい実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、CまたはC〜C20線状、分岐または環状モノマーの1つまたはそれ以上、CまたはC〜C12線状、分岐または環状のアルファオレフィンとプロピレンとのコポリマである。好ましくは本明細書で作られたポリマーは、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチルペンテン−1、3,5,5−トリメチルヘキセン1の1つまたはそれ以上とプロピレンのコポリマである。
【0118】
別の好ましい実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、プロピレンとエチレンと随意にC〜C20線状、分岐または環状モノマーの1つまたはそれ以上、好ましくはC〜C12線状、分岐または環状のアルファオレフィンの1つまたはそれ以上とのコポリマである。
【0119】
別の好ましい実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、プロピレンとエチレンとのコポリマであり、該コポリマは、重量で、3%または5%あるいは6%または8%あるいは10%の下限から重量で20%または25%の上限までのエチレン誘導ユニットを含み、重量で75%または80%の下限から重量で95%または94%あるいは92%または90%の上限までのプロピレン誘導ユニットを含み、重量%はプロピレンおよびエチレン誘導ユニットの総重量に基づいている。これらの範囲内でこれらのコポリマは、示差走査熱量計(DSC)により測定すると少し結晶性であり、なおもかなりの引っ張り強度および弾性を維持しながら、例外的にソフトである。このコポリマの上限より低いエチレン組成では、この種のポリマーは結晶性アイソタクチックポリプロピレンに類似して一般に結晶性であり、優れた引っ張り強度を有するが好ましい柔らかさおよび弾性はない。コポリマ成分の上限より高いエチレン組成では、このコポリマはほぼアモルファスである。ポリマーのエチレン組成は、次のようにして測定する。薄く均一なフィルムを、約150℃またはそれ以上の温度でプレスし、次いで、Perkin Elmer PE1760赤外分光光度計に取り付ける。600cm−1から4000cm−1まで試料のフル・スペクトルを記録し、エチレンのモノマー重量%を次式により計算することができ、
エチレン重量%=82.585−111.987X+30.045X
式中、Xは1155cm−1のピーク高さと722cm−1か732cm−1のいずれか高い方のピーク高さの比である。
【0120】
1つの実施形態では、このポリマーは、狭い組成分布を有するランダムなプロピレンコポリマである。該コポリマは、プロピレン、コモノマ、および随意にジエンを含むポリマーは、コモノマ残基の数および分布はモノマー類のランダムに統計学的重合と一致しているので、ランダムとして説明されている。ステレオブロック構造では、互いに隣接しているいずれか1種のブロックモノマー残基の数は、類似の組成を有するランダムコポリマの統計学的分布から予測された数より大きい。ステレオブロック構造を有する歴史的なエチレン−プロピレンコポリマは、ポリマー中のモノマー残基のランダムな統計学的分布よりもこれらのブロック構造と一致したエチレン残基の分布を有する。
【0121】
種々の実施形態において、コポリマの特徴には、列挙された任意の上限から列挙された任意の下限までの範囲が考慮されている次の特性の一部またはすべてが含まれる。
【0122】
(i)110℃未満、または90℃未満、または80℃未満、または70℃未満の上限から、25℃より高い、または35℃より高い、または40℃より高い、または45℃より高い下限までの範囲にある融点、
(ii)グラムあたり1.0ジュール(J/g)より大きい、または1.5J/gより大きい、または4.0J/gより大きい、または6.0J/gより大きい、または7.0J/gより大きい下限から、125J/g未満、または100J/g未満、または75J/g未満、または60J/g未満、または50J/g未満、または40J/g未満、または30J/g未満までの上限の範囲にある融解熱、
(iii)炭素13核磁気共鳴(C13NMR)により測定された75%より大きい、または80%より大きい、または85%より大きい、または90%より大きいトライアッド立体規則性、
(iv)4または6の下限から8か10または12の上限までの範囲にある立体規則性指数m/r、
(v)コポリマの少なくともX重量%がヘキサン中で行われた8℃の上昇を伴う熱的分別の2つの隣接画分に可溶であるような分子間の立体規則性、ここで、Xは75、または80、または85、または90、または95、または97、または99であり、
(vi)1.5未満、または1.3未満、または1.0未満、または0.8未満の反応性比の積r
(vii)1.5または1.8の下限から40または20または10または5または3の上限までの範囲にある分子量分布Mw/Mn、
(viii)15,000〜5,000,000の範囲の分子量、
(ix)30%未満、または20%未満、または10%未満、または8%未満、または5%未満、の本明細書で規定された弾力性、およびまたは
(x)0.5MPaより大きい、または0.8MPaより大きい、または1.0MPaより大きい、または2.0MPaより大きい500%引っ張り係数。
【0123】
融点、パーセント結晶化度および融解熱
融点(第2メルト)、パーセント結晶化度および融解熱は、次のDSC操作により測定される。即ち、TA Instrumentのモデル2920マシンを用いると、示差走査熱量計(DSC)の記録波形が得られる。約7−10mgの試料を計量し、アルミニウム製試料パン内に密封する。DSCデータは、まず試料を−50℃まで冷却し、次いで、10℃/分の速度で200℃まで徐々に加熱して記録される。この試料は、第2の冷却−加熱サイクルにかける前に200℃に5分間保持する。第1および第2のサイクル熱事象の両方が記録される。溶融曲線の下の面積が測定され、融解熱および結晶化度の決定に使われる。パーセント結晶化度は、下記式
[曲線の下の面積(J/g)/B(J/g)]×100
を用いて計算し、式中、Bは主要モノマー成分のホモポリマの融解熱である。Bに関するこれらの値は、1999年にニューヨークのジョン・ウイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)から発行されたポリマー・ハンドブック(Polymer Handbook)、第4版から得られる。189J/gの値(B)は、ポリプロピレンの融解熱として使われる。
【0124】
トライアッド立体規則性
本発明の実施形態の立体規則性を説明するための手順は、トライアッド立体規則性の使用である。ポリマーのトライアッド立体規則性は、3つの隣接プロピレン・ユニット、mおよびr配列二元組み合わせとして表される頭尾結合からなる鎖の配列の相対的立体規則性である。本発明のコポリマについては、通常、特定の立体規則性のユニット数とこのコポリマのプロピレン・トライアッドのすべてとの比として表される。
【0125】
プロピレン・コポリマのmmトライアッド立体規則性(mm画分(fraction))は、このプロピレン・コポリマの13C−NMRおよび次式から決められる。
【数1】

【0126】
式中、PPP(mm)、PPP(mr)およびPPP(a)は、次のような頭尾結合からなる次のような3個のプロピレン・ユニット鎖における第2ユニットのメチル基からピーク面積を表す。
【式6】
【0127】

プロピレンコポリマの13CNMRスペクトルが測定され、トライアッドの立体規則性が米国特許第5,504,172号およびその中の引用文献に記載されたように決められる。本発明の実施形態のプロピレンコポリマは、13CNMRにより測定される、75%より大きい、または80%より大きい、または82%より大きい、または85%より大きい、または90%より大きい3個のプロピレン・ユニットのmmトライアッド立体規則性を有する。
【0128】
立体規則性指数
本明細書では「m/r」として表される立体規則性指数は、13C核磁気共鳴(NMR)により測定される。立体規則性指数m/rは、チェン(H.N.Cheng),マクロモレキュールス(Macromolecules),17(1984)p.1950で規定されたように計算される。名称「m」または「r」は、隣接プロピレン基のペアの立体化学を説明し、「m」はメソ、「r」はラセミを意味している。m/r比1.0は、一般に、シンジオタクチックポリマーを意味し、m/r比2.0は、アタクチック物質を意味している。アイソタクチック物質は、理論的には、無限に近い比を有し、多くの副生成物アタクチックポリマーは、十分なアイソタクチック含有量を有し、50より大きな比を生じることになる。本発明の実施形態のコポリマ類は、4または6の下限から8または12の上限までの範囲にある立体規則性指数m/rを有する。
【0129】
分子間立体規則性
分子構造:均一な分布:
均一な分布は、コポリマの組成物および重合したプロピレンの立体規則性の両方の分子間の差が、統計学的に無意味なものとして規定されている。均一な分布を有すべきコポリマでは、該コポリマは、2つの独立したテスト、(i)立体規則性の分子間分布、および(ii)組成の分子間分布、を満たさねばならず、これらのテストについては以下に説明する。これらのテストは、コポリマの組成物および重合したプロピレン、それぞれの統計学的に無意味な立体規則性の分子間の差の測定である。
【0130】
立体規則性の分子間分布:
本明細書で作られた好ましいポリマーは、種々の鎖の間で、重合したプロピレンの立体規則性について統計学的に無意味な分子間の差を有する(分子間的に)。これは、一般に、温度を徐々に上げながら、単一溶媒における制御された溶解により熱分画して測定される。代表的な溶媒は、ヘキサンまたはヘプタンなどの飽和炭化水素である。これらの制御された溶解操作は、普通、マクロモレキュールス(Macromolecules),26,p.2064(1993)の論文に示されたアイソタクチック・プロピレン配列における違いにより種々の結晶化度の類似のポリマーの分離に使われる。
【0131】
本発明の実施形態では、少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも97重量%、または少なくとも99重量%のポリマーが、直前または直後の温度画分においてポリマーをバランスさせながら、単一温度画分または2つの隣接温度画分に可溶である。これらのパーセンテージは、例えば、23℃で始まるヘキサン中の画分であり、次の画分は23℃より約8℃高い温度における画分である。このような分画要件を満たすことは、重合したプロピレンの立体規則性について、ポリマーが統計学的に無意味な分子間差を有することを意味している。
【0132】
組成の分子間分布:
本明細書で作られた好ましいポリマー類は、異なる鎖間(分子間)のプロピレンとエチレンとの比である統計学的に無意味な組成の分子間差を有する。この組成分析は、上で説明した制御された熱溶解操作により得られたポリマーの画分について赤外分光法により行ったものである。
【0133】
組成に関する統計学的に無意味な分子間差の目安は、これらの画分の各々が、全ポリマーの平均エチレン含有量重量%について、1.5重量%(絶対)未満、または1.0重量%(絶対)未満、または0.8重量%(絶対)未満の差の組成(エチレン含有量重量%)を有することである。このような分画要件を満たすことは、プロピレンとコモノマ(エチレンなど)の比である組成の統計学的に無意味な分子間差を有することを意味している。
【0134】
(1)第1および第2のモノマー添加の順番についてただ1つの統計学的モードを許す単一サイトのメタロセン触媒が使われ、(2)このコポリマが該コポリマのほぼすべてのポリマー鎖に対してただ1つの重合環境を許す連続流撹拌槽重合反応機においてよく混合されるならば、所望の乱雑さと狭い組成とを有するコポリマを作ることは有効である。
【0135】
分子量および分子量分布
Mw、Mn、MzおよびMw/Mnは、サイズの異なるポリマー分子を分離するために多孔性ビーヅを詰めたカラム、溶離溶媒、検出器を含む装置を用いて測定する。エチレン・プロピレンコポリマの分子量は、(1)示差屈折計(DRI)、粘度計検出器および18アングルの光散乱検出器を備えたAliance 2000 GPC3Dまたは(2)DRI、粘度計および3アングルの光散乱検出器を備えたPolymer Labs 220 GPC3Dを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィにより測定した。検出器は、ポリスチレン標準試料を用いて較正し、3つのPolymr Laboratories PCゲル混合 B LSカラムを直列に用いて、1,2,4−トリクロロベンゼン中(135℃)で作動させた。テストポリマーの保持容量に対するスタンダードから得られたポリスチレン保持容量の関係から、ポリマーの分子量が得られる。
【0136】
平均分子量Mは、次式から計算することができ、式中Niは分子量Miを有する分子の数である。n=0の場合、Mは数平均分子量Mnである。n=1の場合、Mは重量平均分子量Mwである。n=2の場合、MはZ平均分子量Mzである。所望のMWD関数(例えば、Mw/MnまたはMz/Mw)は、対応するM値の比である。MおよびMWDの測定は、当該分野では周知であり、例えば、スレード(Slade,P.E.)編,ポリマーの分子量パートII(Polymer Molecular Weights PartII),マーセル・デッカー・インク(Marcel Dekker,Inc.),ニューヨーク,(1975)p.287−368;ロドリゲス(Rodriguez,F.),ポリマーシステムの原理(Principles of Polymer Systems) 第3版,ヘミスフェア・パブリッシング・コーポ(Hemispere Pub.Corp.),ニューヨーク,(1989)p.155−160;米国特許第4,540,753号;ベルストラーツら(Verstrate et al.),マクロモレキュールス(Macromolecules),21,(1988)p.3360;およびこれらにおいて引用された文献においていてより詳細に論議されている。
【数2】

【0137】
本明細書で作られた好ましいポリマーは、5,000,000g/mol、1,000,000g/mol、または500,000g/molの上限、および10,000g/mol、20,000g/mol、8,000g/molの下限を有する範囲内の重量平均分子量(Mw)、および1.5、1.8、または2.0の下限から40、20、10、5、または4.5の上限までの範囲にある「多分散指数」(PDI)と呼ばれることがある分子量分布を有する。
【0138】
1つの実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、100またはそれ以下、75またはそれ以下、60またはそれ以下、30またはそれ以下のムーニー粘度、ML(1+4)@125℃を有する。本明細書で使われているムーニー粘度は、特に明記しない限り、ASTM D1646によりML(1+4)@125℃として測定することができる。
【0139】
弾性
弾性は、米国特許第6,525,157号のカラム17の19〜49行に説明されているASTM D790により測定する。
【0140】
引っ張り係数
引っ張り係数は、米国特許第6,525,157号のカラム17の1〜17行に説明されている亜鈴形を用いて分につき20インチ(51cm/min)にてASTM D638により測定する。
【0141】
メルトインデックス
本発明の実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、20dg/minまたはそれ以下、7dg/minまたはそれ以下、5dg/minまたはそれ以下、2dg/minまたはそれ以下、または2dg/min未満のメルトインデックスを有する。このポリマーのメルトインデックスは、ASTM D1238(230℃、2.16kg)の手順Aにより測定する。この方法のこのバージョンでは、テスト中に押出された試料の一部を集めて、重さを測る。これは、普通、この実験手順の変更1と呼ばれる。この試料の分析は、実験の間に一定温度にするためにこの試料を1分予熱して190℃で行う。
【0142】
プロピレンの挿入におけるステレオエラーおよび部位エラー:2,1および1,3挿入
キラルなメタロセン触媒の存在下で3個またはそれ以上の炭素原子の重合により作られたポリオレフィンでは、2,1挿入または1,3挿入などの逆に挿入されたユニットがオレフィンポリマー分子内に形成されるように、通常の1,2挿入の他に、2,1挿入または1,3挿入が起きる(ソガら(K.Soga,et al.),マクロモレキュラ・ケミストリ・ラピッド・コミュニケーション(Macromolecular Chemistry Rapid Communication),8,p.305(1987)を参照のこと)。従って、プロピレンの挿入は、2,1(尾と尾)または1,3挿入(端と端)のいずれかにより小規模に起きる。プロピレン・エラストマにおけるすべてのプロピレン挿入に対する2,1挿入の比率は、ツツイら(Tsutsui,T.et.al.)ポリマー(Polymer),1989,30,p.1350に説明された方法により計算する。1,3挿入の度合は、米国特許第5,504,172号に説明された手順により測定する。好ましい実施形態では、すべてのプロピレン挿入における本明細書で作られたポリマーの内逆挿入されたプロピレンの比率は、2,1挿入のプロピレンモノマーに基づき、13CNMRにより測定した場合は、0.5%より大きいか、または0.6%より大きく、1,3挿入のプロピレンモノマーに基づき、13CNMRにより測定した場合は、0.05%より大きく、または0.06%より大きく、または0.07%より大きく、または0.08%より大きく、または0.085%より大きい。
【0143】
好ましい実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、示差走査熱量計で測定したときに50J/g未満の融解熱、5dg/min未満のメルトインデックス(MI)を有し、立体規則性のプロピレンの結晶を含むエチレンとプロピレンとのランダムコポリマである。好ましくはこのポリマーは、エチレン、C−C12α−オレフィン、およびこれらの組み合わせから選択された少なくとも1つのコモノマおよびプロピレンのランダムコポリマであり、好ましくはこのポリマーは、該ポリマーの総重量に基づいて2重量%から25重量%までの重合したエチレンユニットを含む。
【0144】
別の好ましい実施形態では、本明細書で作られたポリマーには、40〜95モル%、好ましくは50〜90モル%、好ましくは60〜80モル%にて存在する第1モノマー、および5〜40モル%、好ましくは10〜60モル%、より好ましくは20〜40モル%にて存在するコモノマ、および0〜10モル%、より好ましくは0.5〜5モル%、より好ましくは1〜3モル%にて存在するターモノマが含まれる。
【0145】
好ましくは第1モノマーには、プロピレン、ブテン(およびそれのすべての異性体)、ペンテン(およびそれのすべての異性体)、ヘキセン(およびそれのすべての異性体)、ヘプテン(およびそれのすべての異性体)、およびオクテン(およびそれのすべての異性体)を含む1つまたはそれ以上のC−C線状、分岐または環状アルファオレフィンが含まれる。好ましいモノマーには、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ヘキサジエン、シクロヘキサジエンなどがある。好ましくはこのコモノマには、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、ヘキサデセン、ブタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、ペンタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ドデカジエン、スチレン、3,5,5−トリメチルヘキセン−1、3−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、シクロペンタジエン、およびシクロヘキセンを含む1つまたはそれ以上のC−C40線状、分岐または環状アルファオレフィン(エチレンが5モル%またはそれ以下にて存在するならば)が含まれる。好ましくは、ターモノマーには、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、ヘキサデセン、ブタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、ペンタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ドデカジエン、スチレン、3,5,5−トリメチルヘキセン−1、3−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、シクロペンタジエン、およびシクロヘキセンを含む1つまたはそれ以上のC−C40線状、分岐または環状アルファオレフィン(エチレンが5モル%またはそれ以下にて存在するならば)が含まれる。好ましい実施形態では、本明細書で説明した、コポリマには、少なくとも50モル%の第1モノマーおよび50モル%までの他のモノマーが含まれる。
【0146】
本明細書で作られたいくつかのポリマーの諸特性を測定する場合は、第2または第3のポリマーまたはブレンドを形成するためのポリマーは、実質的に存在しない方が好ましい。「実質的に存在しない」とは、重量で、10%未満、または5%未満、または2.5%未満、または1%未満、または0%であることを意味している。
【0147】
ブレンド
本発明の触媒組成物は、上で説明したように、個別に配位重合の場合に使うか、または周知のオレフィン重合触媒化合物と混合してポリマーブレンドを作ることができる。モノマー、配位触媒化合物の選択により、個々の触媒組成物を用いた重合条件に類似した該条件下で、ポリマーブレンドを作ることができる。改良処理のためのMWDの大きいポリマーおよび混合触媒系を用いて作られたポリマーから利用できる他の従来からの利点は、このようにして達成することができる。
【0148】
現場ブレンドにより、より均一な生成物が得られ、該ブレンドを1工程で作れると、一般に考えられている。現場ブレンドの場合、混合触媒系の使用は、同じ反応機で1つ以上の触媒を併用して異なる複数のポリマー生成物を同時に作ることになる。この方法は、触媒合成を必要とし、種々の触媒成分は、該成分の活性、特定の条件においてこれらの触媒成分が作るポリマー生成物、および重合条件の変化に対する該成分の対応に適合しなければならない。好ましい実施形態では、本明細書で作られたポリマーは、大部分のプロピレンと少量のエチレンまたは4〜20個の炭素原子を有する他のアルファオレフィンとから構成された熱可塑性ポリマー組成物である。これらのポリマー組成物には、線状、単一の高分子コポリマ構造が含まれる。これらのポリマーは、隣接アイソタクチック・プロピレンユニットにより限定された結晶化度を有し、25と110℃との間の融点を有する。これらは、一般に、立体規則性およびコモノマ組成において実質的な分子間不均一性に欠けているのが好ましい。これらは、分子間組成分布において実質的な分子間不均一性にも欠けている。さらに、これらの熱可塑性ポリマー組成物はソフトで且つ弾性がある。
【0149】
エチレンポリマー、エチレンコポリマ、プロピレンポリマー、他のポリマーおよびブレンドを含むがこれらに限定されない前述のすべての実施形態において、上で説明したすべてのポリマーは、この組成物の総重量に基づいて、さらに、1つまたはそれ以上のジエン類を16重量%まで、好ましくは0.00001重量%の下限にて、好ましくは0.002の下限にて、好ましくは0.3重量%の下限にて、好ましくは0.5重量%まで、より一層好ましくは0.75重量%、および1.0重量%の上限、3重量%の上限および7重量%の上限および15重量%の上限まで含むことができる。これらのパーセンテージは、すべて、コポリマの重量に基づく重量によるものである。ジエンの有無は、当業者には周知の赤外線技法により容易に決めることができる。ジエンの源泉には、エチレンおよびプロピレンの重合に加えられたジエンモノマー、または触媒におけるジエンの使用がある。コモノマとして有用な非共役ジエンは、好ましくは、6〜15個の炭素原子を有する、直鎖炭化水素ジオレフィンまたはシクロアルケニル置換アルケンであり、例えば、(a)1,4−ヘキサジエンおよび1,6−オクタジエンなどの直鎖脂環式ジエン類、(b)5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、ジヒドロ−ミリセンおよびジヒドロ−オシネンなどの分岐鎖脂環式ジエン類、(c)CID1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5−シクロドデカジエンなどの単環脂環式ジエン類、(d)テトラヒドロインデン、ノンボラジエン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ビシクロ−(2.2.1)−ヘプタ−2,5−ジエンなどの多環脂環式縮合および架橋環ジエン類、5−メチレン−2−ノルボルネン(NM)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)などのアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデン・ノルボルネン類、(e)アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、アリルシクロデセン、ビニルシクロドデセンなどのシクロアルケニル置換アルケン類である。通常使われる非共役ジエンの内、好ましいジエンは、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、およびテトラシクロ(A−11,12)5,8ドデセンである。特に好ましいジオレフィンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)である。
【0150】
本発明により作られた任意のポリマーまたはオリゴマーを、機能化することができる。好ましい官能基には、マレイン酸および無水マレイン酸がある。機能化とは、ポリマーを不飽和酸または無水物と接触させることを意味している。好ましい不飽和酸または無水物には、少なくとも1つの二重結合と少なくとも1つのカルボニル基を含む不飽和有機化合物がある。代表的な酸には、カルボン酸、無水物、エステルおよびそれらの塩、金属と非金属との両方の塩がある。好ましくは、この有機化合物には、カルボニル基(−C=O)と共役したエチレン系不飽和基が含まれている。例には、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、アルファメチルクロトン酸、桂皮酸並びにこれらの無水物、エステルおよび塩誘導体がある。無水マレイン酸が特に好ましい。不飽和酸または無水物は、炭化水素樹脂および不飽和または無水物の重量に基づいて、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約7重量%、好ましくは約1重量%〜約4重量%にて存在するのが好ましい。
【実施例】
【0151】
本発明および比較のためのメタロセンC1−C5、Comp1−Comp3および活性剤A1−A3を下に示す(式中Meはメチル、Phはフェニルである)。C1−C5を調製する実施例を示す。メタロセンComp1−Comp3および活性剤A1、A3は外部から購入した。活性剤A2は、国際公開第2003049856号の方法により調製した。
【式7】
【0152】

プロピレンポリマーは、実施例A、BおよびLにおいて調製した。分子量(重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn))および多分散指数(Mw/Mn)は、米国特許第6475391号で開示された高速ゲル浸透クロマトグラフィによる測定技法を用いて、ポリスチレンと比較して測定した。熱分析は、TA InstrumentのDSC(モデル2920マシン)を用いて行った。まず試料を−50℃から220℃まで10℃/分の速度で加熱し、220℃に10分間保持し、次いで、10℃/分にて150℃から−100℃までまで冷却し、最後に、再び10℃/分にて150℃まで加熱した。第2の加熱の結果を示す。
【0153】
実施例C−Kで作られたエチレンプロピレン・コポリマの分子量を、(1)ポリスチレン標準試料を用いて較正した示差屈折計(DRI)、粘度計検出器および18アングルの光散乱検出器を備えたAliance 2000 GPC3D、または(2)DRI、粘度計および3アングルの光散乱検出器を備えたPolymer Labs 220 GPC3Dを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィにより測定した。試料は、3つのPolymer Laboratories PC ゲル 混合 B LSカラムを直列に用いて、1,2,4−トリクロロベンゼン中(135℃)で処理した。
【0154】
実施例C−Kで作られたエチレンプロピレン・コポリマの熱分析は、米国のPerkin Elmer InstrumentsのPyris 1 装置と付随のソフトウエアを用いて行った。融解熱(本明細書の表のΔHfus)は、ASTM E−794−95の手順を用いて示差走査熱量計(DSC)により測定した。測定はすべて、200℃で成形し室温で約7日間アニールすることができた試料について−100℃と+150℃との間の第1加熱サイクルの間に行った。第1加熱サイクルは、20℃/minの昇温速度で行った。融解熱は、室温から105℃までの領域におけるピーク曲線の下の総面積から測定した。本明細書に報告した溶融温度は、特に明記しない限り、第2メルトからのピーク溶融温度である。複数のピーク溶融特性を示すポリマーについては、高い方の溶融ピークを主要融点として採用した。
【0155】
実施例C−Jで作られたエチレンプロピレン・コポリマの組成測定は、Perkin Elmer PE1760赤外分光光度計で行った。該コポリマの薄く均一なフィルムを、約150℃またはそれ以上の温度でプレスし、次いで、この分光光度計に取り付ける。600cm−1から4000cm−1まで試料のフル・スペクトルを記録し、エチレンのモノマー重量%を次式から計算した。
【0156】
エチレン重量%=82.585−111.987X+30.045X
式中、Xは1155cm−1のピーク高さと722cm−1か732cm−1のいずれか高い方のピーク高さの比である。
【0157】
実施例Kでは、プロトン・デカップリングがある場合とない場合の13C NMRによる測定を用いて、組成、プロピレントライアッド立体規則性([mm])、部位エラー含有量、反応性比積(r1r2)および(m/r)比を決めた。これらの値を決める方法は、ランドール(Randall,J.)マクロモレキュールス(Macromolecules),1078,11,p.33、コゼビス(Cozewith,C.)マクロモレキュールス(Macromolecules),1987,20,p.1237、ツツイら(Tsutsui,T.et.al.)ポリマー(Polymer),1989,30,p.1350、米国特許第5,504,172号およびこれらの引用文献にある。
【0158】
実施例Kの場合、13C NMR分光法の試料は、d−1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、これらの試料は75または100MHzのNMR分光計を用いて125℃で記録した。ポリマー共鳴ピークは、mmmm=21.8ppmと関連づけられる。NMRによるポリマーのキャラクテリゼーションに含まれる計算は、「ポリマーの立体配座および立体配置(Polymer Conformation and Configuration)」アカデミック・プレス(Academic Press),ニューヨーク,1969におけるボビイ(F.A.Bobey)、「ポリマー配列の測定、炭素13NMR法(Polymer Sequence Determination,Carbon−13 NMR Method)」,アカデミック・プレス(Academic Press),ニューヨーク,1977におけるランドール(J.Randall)の研究に従う。長さ2個のメチレン配列のパーセント、%(CHは、次のようにして計算した。即ち、14−18ppmの間のメチル炭素の積分(これは長さ2個のメチレン配列の濃度に等しい)を、45−49ppmの間の長さ1個のメチレン配列の積分と14−18ppmの間のメチル炭素の積分との和により割り、100倍する。これは、2より大きなメチレン配列が排除されているので、2またはそれ以上の配列に含まれたメチレン基の量に関する最小計算である。割り当ては、チェン(H.N.Chen),エーベン(J.A.Ewen),マクロモレキュラール・ヒェミー(Makromol.Chem.)1989,190,p.1931に基づいてなされた。
【0159】
触媒合成の実施例
5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデンは、公開特許(国際公開第99/46270号)に従って調製し、ペンタン中でブチルリチウムで処理して5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウムに転換した。
【0160】
実施例1 rac−MeSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C1)の調製
実施例1a MeSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデンの調製
5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム(6g,24.4mmol)を、MeSiCl(1.57g,12.2mmol)とエーテル(150mL)との冷(−30℃)溶液に、大部分固体として添加した。色が黄色に変わった。一晩撹拌したが、反応は完了していなかった。THF(約1mL)を添加し、撹拌しながら全部で6日間反応させた。次いで、この溶液をガラスフリッツ、次いで、0.45μmのacrodiscを通してろ過した。窒素パージにより溶媒を除去し、次いで、生成物を真空中で乾燥した。収量は6.31gであった。
【0161】
実施例1b rac−MeSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfClの調製
MeSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデン(6.31g,11.75mmol)とエーテル(325mL)との溶液をヘキサン中1.6Mのブチルリチウムの溶液(14.7mL,23.52mmol)と処理した。色がオレンジに変わった。一晩撹拌後、このスラリーを−30Cまで冷却し(フリーザ)、次いで、HfCl(3.75g,11.7mmol)を固体として加えながら、激しく撹拌した。色は濃黄色に変わった。約1日撹拌後、この混合物をろ過し、LiClと共に生成物を得た。CHClを用いて繰り返し抽出し(全部で750mL)、ラセミ体の生成物を得た。収量2.72g。
【0162】
実施例1c rac−MeSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C1)の調製
rac−MeSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfCl(0.288g,0.39mmol)およびベンゼン(50mL)の溶液に、MeMgBrの3.0Mエーテル溶液(0.33mL,1mmol)および約1mLのエーテルを加えた。一晩撹拌しながら反応させ、次いで、グリニャール試薬(0.5mL,1.5mmol)を加えた。この混合物を週末にかけて撹拌し、次いで、還流下で一晩加熱した。この混合物をMeSiCl(0.2mL,1.57mmol)、1,2−ジメトキシエタン(0.25mL,2.4mmol)で処理し、ろ過し、乾燥した。収量0.189g。
【0163】
実施例2 rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C2)の調製
実施例2a PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデンの調製
5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム(45.1g,183mmol)を、PhSi(OSOCF(44.0g,91.6mmol)およびエーテル(500mL)の溶液に加えた。少量のエーテルを用いてリチウム試薬を含むフラスコをすすいだ。3日間撹拌後、この反応物を水(2×50mL)で洗浄した。エーテル層をMgSOを用いて乾燥し、ろ過し、次いで、溶媒を除去し、生成物を白色固体として得た。収量59.6g(その内0.6重量%はエーテルである)。
【0164】
実施例2b rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム)・OEtの調製
PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデン)(59.27g,89.7mmol)の溶液に、ヘキサン中ブチルリチウムの1,6M溶液(112mL,179.2mmol)を加え、エーテル(1L)に溶解した。色が黄色から赤に変わった。反応物を一晩撹拌後、窒素でパージして溶媒を除去した。残りの固体は、ペンタン(200mL)を用いてスラリーとし、フリット上に集め、次いで、固体が黄色の粉末になるまでペンタンですすぎ、乾燥した。収量63.85g。
【0165】
実施例2c LiClとの混合物としてのrac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfClの調製
PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム)・OEt(10g,13.4mmol)とエーテル(500mL)とから調製した溶液を−30℃まで冷却し、次いで、HfCl(4.17g,13.0mmol)を用いて処理した。2日間撹拌後、黄色のスラリーをろ過し、固体をエーテル(3×30mL)ですすぎ、乾燥した。収量5.22g。
【0166】
実施例2d rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C2)の調製
rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfCl(78重量%)とLiCl(22重量%)との混合物(2.58gの混合物,2.01gのrac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfCl,1.91mmol)およびベンゼン(200mL)から調製したスラリーに3.0MMeMgBrのエーテル溶液(2.6mL,7.8mmol)を加えた。反応物を2時間撹拌し、ろ過し(0.45μm)、MeSiCl(0.60mL,4.7mmol)を用いて処理した。一晩撹拌後、灰色の混合物を1,4−ジオキサン(1.7g,19.3mmol)を用いて処理した。1時間撹拌後、濁った混合物をろ過し(4−8μm)、透明な黄色のろ液を得た。ベンゼンを除去し、固体をトルエン(20mL)と混合し、得られた混合物を乾燥し、過剰の1,4−ジオキサンを除去した。この固体を少量のペンタン(5mL)ですすぎ、真空中で乾燥し、生成物を明黄色の粉末として得た。収量1.31g。
【0167】
実施例3 rac−(CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C3)の調製
実施例3a (CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデン)の調製
(CHSiCl(1.45g,10.3mmol)とエーテル(200mL)との溶液に、5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム(5g,20.5mmol)を加えた。一晩撹拌後、溶媒を除去し、ペンタン(3×50mL)を用いて固体を抽出し、ろ過し、真空中で乾燥し、白色固体を得た。収量5.06g。
【0168】
実施例3b (CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム)・EtOの調製
(CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデン)のエーテル(100mL)溶液にヘキサン中の1.6Mブチルリチウム(11.6mL,18.56mmol)を加えた。初め透明な黄色溶液がオレンジ色のスラリーになった。一晩撹拌後、混合物をろ過し、明黄色の固体をペンタン(2×20mL)を用いて洗浄し、次いで、乾燥した。収量4.28g。
【0169】
実施例3c rac−(CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfClの調製
(CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム)・EtO(4.28g,6.77mmol)とエーテル(100mL)とから調製したスラリーにHfCl(2.17g,6.77mmol)を加えた。色が濃い黄色に変わった。一晩撹拌後、混合物をろ過し、固体をエーテル(2×10mL)、次いで、ペンタン(3×10mL)を用いて洗浄した。固体を一晩乾燥した。収量2.74g。
【0170】
実施例3d rac−(CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C3)の調製
rac−(CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfCl(2.05g,2.03mmol)とトルエン(100mL)との混合物に、エーテル中3Mのメチルマグネシウムブロマイド(2.75mL,8.25mmol)を加えた。一晩撹拌後、この混合物をMeSiCl(0.54mL,4.25mmol)で処理し、一晩撹拌し、次いで、1,4−ジオキサン(1.91g,21.7mmol)で処理した。4時間撹拌後、この混合物をろ過し、残りの固体は、さらに、トルエン(5mL)で洗浄した。ろ液は乾燥し、次いで、ペンタン(10mL)で洗浄し、乾燥した。収量1.1g。
【0171】
実施例4 rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C4)の調製
実施例4a 5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インダン−2−オンの調製
1Lの三口フラスコにAlCl(80.8g,0.606mmol)を入れ、撹拌機と250mLの添加用漏斗を取り付け、無水塩化メチレン(370mL)を加えた。このスラリーを−20℃まで冷却し、撹拌した。次いで、追加のための漏斗に2−インダノン(40.0g,0.303mol){注記:Aldrichブランドの2−インダノンはエーテルですすぎ褐色の不純物を除去した}、2,5−ジクロロ,2,5−ジメチルヘキサン(55.4g,0.303mol)および無水塩化メチレン(180mL)の溶液を入れた(反応中に2回に分けて)。この溶液を、50分かけて冷たい撹拌AlCl上に滴下した。2.5時間撹拌後、2,5−ジクロロ,2,5−ジメチルヘキサン(13g,0.071mol)および無水塩化メチレン(42mL)の溶液の添加を完了した。さらに1時間撹拌後、反応混合物を氷(1L)上に注ぎ、エーテル(500mL)で処理した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×200mL)で抽出した。合体した有機層を2.5MのNaCl水溶液(3×75mL)、水(25mL)の順で洗浄し、次いでMgSO上で乾燥した。乾燥した有機溶液を3Lのフラスコにろ過し、該溶液の表面に窒素流を吹きつけ、溶媒を徐々に除去した。残った固体は冷たいペンタンで洗浄し、固体はろ過により単離した。微細な結晶性物質である生成物は、生成物と不純物とを含む少量の塊状油状固体から手作業で分離した。収量21g。
【0172】
実施例4b 5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インダン−2−トシルヒドラゾンの調製
500mLのフラスコに、トシルヒドラジン(7.68g,41.3mmol)、5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インダン−2−オン(10.0g,1当量)および無水エーテルを入れ、窒素雰囲気中で一晩撹拌した。このスラリーをろ過し、冷エーテルですすぎ、乾燥した。収量13.85g。
【0173】
実施例4c 5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデンおよび5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル・リチウム・0.83DMEの調製
1Lのフラスコに5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インダン−2−トシルヒドラゾン(13.85g,33.7mmol)、無水1,2−ジメトキシエタン(500mL)(1,2−ジメトキシエタン=DME)、1.77MのBuLi(ヘキサン中)(38mL,2当量)を入れた。色は暗い色に変わった。この混合物は、還流状態で60分加熱し、室温まで冷却し一晩放置した。ワインレッド色をした溶液中に得られるスラリー(白色沈殿)の一部をろ過し、ろ液から1,2−ジメトキシエタンを除去すると生成物である5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル・リチウム・0.83DMEの白色固体が残り、これは薄紫色をしており、次いで、ペンタンを用いて繰り返し洗浄した。収量1.76g。
【0174】
残りの溶液を水(20mL)で急冷し、次いで、4MのNaCl(3×100mL)を用いて洗浄した。この有機層を次いでMgSO上で乾燥すると、褐色の固体が得られた。収量5.5g。この生成物を、真空ポンプを用いて75℃で昇華させてさらに精製した。5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデンの白色固体としての収量は4.1gであった。
【0175】
実施例4d 5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−ヘキサメチルベンズ[f]インデンの調製
1Lのフラスコに5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−ヘキサメチルベンズ[f]インダン−2−トシルヒドラゾン(12.81g,31.2mmol)、無水1,2−ジメトキシエタン(500mL)、次いで、1.64MのBuLi(ヘキサン中)(38mL,2当量)を入れた。色は暗い色に変わった。この混合物を、還流状態で60分加熱し、室温まで冷却し一晩放置した。この混合物を水(20mL)で処理し、次いで、4MのNaCl(3×100mL)を用いて洗浄した。この有機層をMgSO上で乾燥すると、褐色の固体が得られた。収量7.23g。この生成物を昇華によりさらに精製した。
【0176】
実施例4e rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデン)の調製
5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル・リチウム・0.83DME(1.76g,5.73mmol)とエーテル(50mL)との撹拌スラリーをPhSi(OSOCF(1.39g,1/2当量)とエーテル(60mL)を用いて処理した。2時間撹拌後、この混合物を2MのNaCl(3×10mL)を用いて洗浄し、MgSO上で乾燥すると、褐色の固体が得られた。収量1.76g。
【0177】
実施例4f rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル)HfClの調製
PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデン)(1.76g,2.78mmol)およびエーテル(40mL)を1.77MのBuLi(ヘキサン中)(3.2mL,5.66mmol)を用いて処理し、一晩撹拌した。追加の1.77MのBuLi(ヘキサン中)(0.35mL,0.62mmol)を加えた。この混合物を、1.0MのMeSnCl(5.8mL,5.8mmol)を用いて処理し、次いで、ろ過しLiClを除去した。このエーテルを真空中で除去し、ガラス状の固体をトルエンに溶解し、HfCl(0.89g,2.78mmol)とトルエン(20mL)とのスラリーをろ過した(0.45μm)。色が赤に変わった。HNMRは、幅の広い共鳴とrac−メタロセンの明瞭なセットを示した。ろ過して、エーテルを除去し、エーテルからの結晶化を試みたが、成功しなかった。エーテルを除去し、ペンタン(5×10mL)を用いて洗浄し、不純物を除去した。次いで、物質をベンゼン(25mL)に溶解し、ろ過し、真空中で乾燥した。収量554mg。
【0178】
実施例4g rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル)HfMe(C4)の調製
rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル)HfCl(0.5g,0.568mmol)とトルエン(50mL)との溶液に、3.0MのMeMgBrのエーテル溶液(1.15mL,3.45mmol)を加えた。この反応物を一晩撹拌し、75℃で2時間加熱し、次いで、室温まで冷却し、MeSiCl(0.30mL,2.36mmol)を用いて処理した。一晩撹拌後、この混合物を1,4−ジオキサン(0.77g,8.74mmol)を用いて処理した。4時間撹拌後、この混合物をろ過し、得られた固体をトルエン(2×50mL)で洗浄した。この溶媒を除去し、残滓をペンタンに溶解し、ろ過した(0.45μm)。ペンタンを除去し、ガラス状の固体としてrac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチルベンズ[f]インデニル)HfMeを得た。収量0.27g。
【0179】
実施例5 rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)ZrCl(C5)MAO/シリカ触媒の調製
実施例5a rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)ZrCl(C5)の調製
冷たい(−30℃)PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル・リチウム)(2g,3mmol)とエーテル(100mL)とのスラリーに、ZrCl(0.7g,3mmol)を加えた。この混合物は均一になり、沈殿が認められた。一晩撹拌後、溶媒を除去し、混合物をペンタン(12×20mL)を用いて洗浄した。rac異性体が塩と共にフリット上に残った。収量0.88g(約71重量%がメタロセン)。この混合物の試料(0.2g)を塩化メチレンで抽出し、メタロセン・フリーの塩を得た。
【0180】
実施例5b rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)ZrClおよびシリカに支持されたMAOの調製
rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)ZrCl(15.7mg,0.0191mmol)とトルエン(5mL)との混合物にトルエン中30重量%のMAO(983mg,16.2mmol)とトルエン(10mL)との混合物を加えた。シリカ(1.01g)にグリーンの溶液を加えた。色は赤に変わった。15分撹拌後、混合物をろ過した。支持された触媒を真空中で一晩乾燥した。
【0181】
重合の実施例
実施例A1−A66 セミバッチのプロピレン重合
重合は、ガラスの試験管を内張りしたオートクレーブ(反応機の内部容積=23.5mL)で行った。オートクレーブに、AlOCt(0.1mL,1μmol)の1mMヘキサン溶液、ヘキサン(量については表1を参照のこと)、PhNMeB(C6F5)4(0.1mL,0.02μmol)の200μMのトルエン溶液を入れ、表に明示された温度においてプロピレンで加圧した。次いで、200μMの触媒溶液(0.1mL,0.02μmol)をオートクレーブに入れた。プロピレンは、重合中、オートクレーブ内に流入させた。酸素とアルゴンとの混合ガスをセルに入れることにより重合を止めた。次いで、反応機内のガスを放出し、冷却した。真空中で溶媒を除去した後ポリマーを単離した。重合データは、表1−3に示している。
【0182】
実施例B1−B67 プロピレンのバッチ重合
重合は、撹拌機、温度制御のための外部加熱器、隔壁入口を備えたガラスの内張りを施した22.5mLの反応機で行い、窒素、エチレンおよびプロピレンの供給は、窒素グローブボックスの不活性雰囲気中で制御した。反応機は、115℃で5時間、乾燥と排気を行い、室温でさらに5時間窒素でパージした。最後に、50psigのプロピレンガスでパージした。ヘキサン、捕集剤(2μmolのトリ−n−オクチルアルミニウム)およびプロピレンを室温で加えた。この反応機を、800rpmで撹拌しながら、プロセス温度まで加熱した。活性剤および触媒、即ち各々0.1mLのトルエン中に20μmol、は、プロセス条件において注入された。この反応は、所定の時間(特に明記しない限り、43秒)行われ、その終わりに反応は5mol%の酸素を含むアルゴンにより止めた。次いで、この反応機は冷却し、ガスは放出し、ポリマーは反応混合物の真空遠心分離により回収した。重合データは、表4−6に示している。
【0183】
任意の反応時間の場合の反応機中のヘキサンとプロピレンとの量は、表4に示している。
【0184】
実施例C−J エチレンとプロピレンとの連続共重合の場合の一般的手順
重合は、980mLの連続フィード撹拌槽重合反応機で行った。反応機の圧力は、重合反応機からの流出量を制限して、320psigに維持し、3枚の傾斜のあるツインプロペラ型撹拌機を用いて550rpmにて撹拌した。反応機へのフィード(ヘキサン、エチレン、プロピレンおよび炭化水素中のトリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)溶液は、表7−14に明示した流速にて反応機に連続的に供給した。これらのフィードは、重合温度を維持するために、反応機に導入する前に冷却した。トルエン中で触媒と活性剤とを混合して調製した触媒溶液は、表4a−14aに示した流速にて反応機に別々に供給した。重合は速く、代表的試料を定常状態において4つの滞留時間の後に集めた。ポリマー試料は乾燥し、重合速度を計算するために用いたこれらの試料は、他のポリマー・キャラクテリゼーションデータと共に表7b−14bに示している。
【0185】
実施例C1−C9 C1/A1を用いた共重合
触媒溶液は、C1(0.105g,1.41×10−4mol)、A1(0.115g,1.43×10−4mol)および無水脱酸素トルエン(900mL)から調製した。TNOA溶液は、炭化水素(3.155gヘプタン,527.2gヘキサン))中のトリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)の0.198重量%溶液であった。重合条件および結果は、それぞれ、表7aおよび7bに示している。
【0186】
実施例D1−D3 C2/A1を用いた共重合
触媒溶液は、C2(0.122g,1.41×10−4mol)、A1(0.115g,1.43×10−4mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。TNOA溶液は、炭化水素(3.155gヘプタン,527.2gヘキサン))中のトリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)の0.198重量%溶液であった。重合条件および結果は、それぞれ、表8aおよび8bに示している。
【0187】
実施例E1−E8 C2/A1を用いた共重合
触媒溶液は、C2(0.062g,7.1×10−5mol)、A1(0.057g,7.1×10−5mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。TNOA溶液は、炭化水素(3.155gヘプタン,527.2gヘキサン))中のトリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)の0.198重量%溶液であった。重合条件および結果は、それぞれ、表9aおよび9bに示している。
【0188】
実施例F1−F4 C1/A3を用いた共重合
触媒溶液は、C1(0.052g,7.0×10−5mol)、A3(0.079g,6.91×0−5mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。TNOA溶液は、炭化水素(3.155gヘプタン,527.2gヘキサン))中のトリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)の0.198重量%溶液であった。重合条件および結果は、それぞれ、表10aおよび10bに示している。
【0189】
実施例G1−G3 C1/A3を用いた共重合
触媒溶液は、C1(0.026g,3.5×10−5mol)、A3(0.04g,3.5×10−5mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。TNOA溶液は、炭化水素(3.155gヘプタン,527.2gヘキサン))中のトリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)の0.198重量%溶液であった。重合条件および結果は、それぞれ、表11aおよび11bに示している。
【0190】
実施例H1−H8 C2/A3を用いた共重合
触媒溶液は、C2(0.062g,7.1×10−5mol)、A3(0.082g,7.2×10−5mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。TNOA溶液は、炭化水素(3.155gヘプタン,527.2gヘキサン))中のトリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)の0.198重量%溶液であった。重合条件および結果は、それぞれ、表12aおよび12bに示している。
【0191】
実施例I1−I2 C4/A1を用いた共重合
触媒溶液は、C4(0.0574g,7.60×10−5mol)、A1(0.06g,7.49×10−5mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。アルミニウムアルキル溶液は、AlOct3(1.0515g)および無水、脱酸素トルエン(800mL)から調製した。重合条件および結果は、それぞれ、表13aおよび13bに示している。
【0192】
実施例I3 C4/A1を用いた共重合
触媒溶液は、C4(0.1g,1.32×10−4mol)、A1(0.098g,1.22×10−4mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。アルミニウムアルキル溶液は、AlOct3(1.0515g)および無水、脱酸素トルエン(800mL)から調製した。重合条件および結果は、それぞれ、表13aおよび13bに示している。
【0193】
実施例J1 C3/A1を用いた共重合
触媒溶液は、C3(0.1g,1.15×10−4mol)、A1(0.097g,1.21×10−4mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。アルミニウムアルキル溶液は、AlOct3(1.0515g)および無水、脱酸素トルエン(800mL)から調製した。重合条件および結果は、それぞれ、表14aおよび14bに示している。
【0194】
実施例J2−J4 C3/A1を用いた共重合
触媒溶液は、C3(0.138g,1.59×10−4mol)、A1(o.097g,1.68×10−4mol)および無水、脱酸素トルエン(900mL)から調製した。アルミニウムアルキル溶液は、AlOct3(1.0515g)および無水、脱酸素トルエン(800mL)から調製した。重合条件および結果は、それぞれ、表14aおよび14bに示している。
【0195】
実施例K1−K11 C2/A1を用いたエチレンとプロピレンとの連続共重合
重合は、27Lの連続フィード撹拌槽重合反応機で行った。3枚の傾斜のあるツインプロペラ型撹拌機を用いて700rpmにて撹拌した。反応機の圧力は、1600psigに維持されたので、重合ゾーンのすべての領域が液体で満たされ、重合中はすべて組成は同じであった。ヘキサン、エチレン、プロピレン、およびヘキサン中の0.3重量%トリ−(n−オクチル)アルミニウム(TNOA)は、反応機に連続的に供給した。別に、酸素フリーの無水トルエン(4L)中でC2(1.35g,1.56mmol)とA1(1.5g,1.87mmol)とを混合して調製した触媒溶液を反応機に供給した。共重合のフィード条件は、表15aに示している。重合は、60〜140℃の間の温度で行った。重合熱は、予め冷却したヘキサンを加えることにより除去した。定常状態で運転中の反応機から少量の試料を直接採取し、分析した。ポリマー生産、触媒効率、採取したポリマーのポリマー特性を表15bに示す。ヘキサンと水により重合を止めた後、製造されたポリマーを、2段溶媒除去プロセスにより回収した。まず、低い臨界溶液温度プロセスにおいて溶媒の70%が除去され、次いで、残りの溶媒はLIST脱揮押出し機において除去された。第1段で除去された溶媒は、3ÅのSelexsorb CDモレキュラー・シーブを充填したカラムに通して乾燥し、反応機に戻した。第2段で除去された溶媒は、系外に排出された。このポリマーは、主軸の長さが約1/8〜1/4インチのペレットに仕上げた。
【0196】
実施例L1−L16 支持された触媒を用いたプロピレンの重合
重合は、撹拌機、温度制御のための外部加熱器、隔壁入口を備えたガラスの内張りを施した22.5mLの乾燥した反応機で行い、窒素、水素/窒素混合ガスおよびプロピレンの供給は、窒素グローブボックスの不活性雰囲気中で制御した。反応機を乾燥し、これに水素と窒素との混合ガス(水素20:窒素80)を充填し、次いで、プロピレン、0.1MのAlOctおよびヘキサンを充填した。反応機を70℃へ加熱し、トルエン中でシリカ/MAOに支持した0.69重量%スラリー勾配の触媒を該反応機に注入した。これらの実験のフィード条件は、表16aに示している。30分後重合を止め、5mol%の酸素を含むアルゴンを入れて反応を止めた。この反応機を冷却し、ガスを放出し、反応混合物の真空遠心分離によりポリマーを回収した。このポリマーのキャラクテリゼーションは、GPC(対ポリスチレン・スタンダード)により行った。重合データは、表16bに示している。
【0197】
連続溶液共重合で製造されたEPコポリマの応力歪み特性
連続溶液法で作られたポリマー(≧72g)は、180〜220℃内に調節された温度で3分間激しく混合してBrabender内で均質化した。混合では、高剪断のローラーブレードを用い、Novartis Corp.から購入できる酸化防止剤であるIrganox−1076を約0.4gブレンドに添加した。混合の最後に、この混合物を取り出し、215℃において3〜5分間厚さ0.25”のパッドとして6”×6”の型にプレスした。この工程の最後に、このパッドを2.5分間冷却し、取り出し、40〜48時間アニールした。このパッドから必要な亜鈴状のテスト試料を切り出し、Instronテスターで測定し、表17に示したデータを得た。ASTM D638に従って、ヤング率、極限伸びおよび極限引張を測定し、ASTM D638に従って行ったテストについて、50%、100%、200%および500%における係数データを記録した。
【0198】
連続溶液共重合で作られたEPコポリマの組成分布の測定
上で説明したポリマーの組成分布を、下で説明する方法で測定した。約30gの第2ポリマー成分を、一辺が約1/8”の小さな立方体に切断した。これを、50mgのIrganox1076と共にねじぶたで閉じた壁の厚いガラスびんに入れた。Irganox1076は、Ciba−Geigy Corp.から購入できる酸化防止剤である。次いで、このびんの内容物に425mLのヘキサン(n−ヘキサンとイソヘキサン類を主とする混合物)を加え、密封したびんを24時間約23℃に維持する。この工程の最後に、この溶液をデカンテーションして、残滓を、さらに、24時間追加のヘキサンを用いて処理する。この工程の最後に、2つのヘキサン溶液を合体して、蒸発させて23℃で可溶なポリマーの残滓を得る。該残滓に、容積を425mLにするのに十分な量のヘキサンを加え、このびんをカバーされた循環水浴中で約31℃に24時間維持する。可溶なポリマーをデカンテーションし、追加のヘキサンを、デカンテーションする前に、約31℃にてさらに24時間かけて加える。このようにして、40、48、55、および62℃で可溶な第2ポリマー成分の画分が、温度を約8℃上げるごとに得られる。約60℃より上のすべての温度で溶媒としてヘキサンの代わりに、ヘプタンが使われるならば、温度を95℃に上げても対応することができる。可溶性ポリマーは、乾燥、秤量し、上で説明したIR技法によりエチレン含有量重量%として、組成を分析する。隣接温度の上昇において得られた可溶性画分は、上の説明における隣接画分である。結果を表18に示す。
【0199】
優先権文書および/またはテスト手順を含む、本明細書で説明されたすべての文書は、引用により本明細書中に援用される。本発明の形式は例示され、説明されているが、前述の一般的説明および具体的な実施形態から明らかなように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変形を行うことができる。従って、本発明は、前述の一般的説明および具体的な実施形態により限定されることはない。
【0200】
(本発明の概要)
本発明は次式によって表される化合物に関係し、
【式8】
【0201】

式中、Mは、周期律表の4族から選択される遷移金属であり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、任意の2個のR基は連結されてもよく、前記2個のR基が連結される場合、MがZrであると、前記2個のR基はブタジエン基を形成せず、
各Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、RとRとがおよびまたはR12とR15とが炭素5員環を形成するならば、各Rは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、
は炭素または珪素であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、
aは0か1または2であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、RとRとは結合して環を形成してもよく、RとRとは結合して環を形成してもよく、
bは0か1または2であり、
は炭素または珪素であり、RとRとは結合して環を形成することができ、
各Rは水素であり、
各Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、2個のR基は連結して環を形成してもよく、RとRとは連結して環を形成してもよく、RとR16とは連結して環を形成してもよく、RとR11とは連結して環を形成してもよく、
cは0か1または2であり、
10は−M(R16−であり、式中、MはB、Al、N、P、SiまたはGeであり、hはMの原子価が満たされるような整数1か2であり、R16は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、且つ2個のR16基は結合して環を形成することができ、
dは0か1または2であり、
11は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、2個のR11基は結合して環を形成してもよく。R11とRとは連結して環を形成してもよく。R11とR16とは連結して環を形成してもよく、
eは0か1または2であり、
式中、c,dおよびeの和は1か2または3であり、
12は炭素または珪素であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、R13とR14とは結合して環を形成してもよく、gが0である場合は、R13とR15とは結合して環を形成してもよく、
fは0か1または2であり、
14は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、fが0である場合は、R14とR12とは結合して環を形成することができ、
gは0か1または2であり、
15は炭素または珪素である組成物。
【0202】
本発明は、さらに、上の組成物を用いて不飽和モノマーを重合するプロセスに関連している。
【表1】

【表2】

【0203】

【表3】

【表4】

【表5】

【0204】

【表6】

【表7A】

【表7b】

【表8A】

【表8b】

【表9A】

【表9b】

【表10A】

【表10B】

【表11A】

【表11b】

【表12A】

【表12b】

【表13a】

【表13b】

【表14a】

【表14b】

【表15a】

【表15b】

【表16a】

【表16b】

【表17】

【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式により表される組成物であって、
【化1】

式中、Mは、周期律表の4族から選択される遷移金属であり、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、任意の2個のR基は連結されてもよく、前記2個のR基が連結される場合、MがZrであると、前記2個のR基はブタジエン基を形成せず、
各Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、RとRとがおよびまたはR12とR15とが炭素5員環を形成するならば、各Rは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、
は炭素または珪素であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、
aは0か1または2であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、RとRとは結合して環を形成してもよく、RとRとは結合して環を形成してもよく、
bは0か1または2であり、
は炭素または珪素であり、RとRとは結合して環を形成してもよく、
各Rは水素であり、
各Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびこれらの異性体からなる群から独立して選択され、
各Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、2個のR基は連結して環を形成してもよく、RとRとは連結して環を形成してもよく、RとR16とは連結して環を形成してもよく、RとR11とは連結して環を形成してもよく、
cは0か1または2であり、
10は−M(R16−であり、式中、MはB、Al、N、P、SiまたはGeであり、hはMの原子価が満たされるような整数1か2であり、R16は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、2個のR16基は連結して環を形成してもよく、
dは0か1または2であり、
11は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルおよび官能基からなる群から独立して選択され、2個のR11基は結合して環を形成してもよく。R11とRとは連結して環を形成してもよく。R11とR16とは連結して環を形成してもよく、
eは0か1または2であり、
式中、c,dおよびeの和は1か2または3であり、
12は炭素または珪素であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、R13とR14とは結合して環を形成してもよく、gが0である場合は、R13とR15とは結合して環を形成してもよく、
fは0か1または2であり、
14は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基であり、fが0である場合は、R14とR12とは結合して環を形成することができ、
gは0か1または2であり、
15は炭素または珪素である組成物。
【請求項2】
が炭素であり、およびまたはRが炭素であり、およびまたはR12が炭素であり、およびまたはR15が炭素である請求項1の組成物。
【請求項3】
がCHである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項4】
がCHである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項5】
13がCHである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項6】
14がCHである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項7】
前記組成物が下記化学式により表され、
【化2】

式中、M、R、R、R、R、R10、R11、c、dおよびeが請求項1で規定されている請求項1の組成物。
【請求項8】
Mが、ハフニウムまたはジルコニウムである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項9】
Mが、ハフニウムである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項10】
が、ハイドライド、ヒドロカルビル、またはハライドである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項11】
が、メチル、エチル、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリル、フェニル、ナフチル、アリル、およびベンジルからなる群から選択される先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項12】
が、メチル、エチルまたはプロピルである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項13】
が、メチルまたはエチルである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項14】
が、水素、メチル、エチルまたはプロピルである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項15】
が、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項16】
10が、SiMe、Si(CH、SiPh、Si(ビフェニル)、Si(ビフェニル)、Si(o−トリル)である先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項17】
11が、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルである先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項18】
c、d、およびeの和が1または2である先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項19】
c、d、およびeの和が1である先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項20】
Mはハフニウムであり、Rが、メチル、エチル、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリル、フェニル、ナフチル、アリル、およびベンジルからなる群から選択され、Rが、メチル、エチルまたはプロピルであり、Rが、水素、メチル、エチルまたはプロピルであり、Rが、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルであり、R10が、SiMe、Si(CH、SiPh、Si(ビフェニル)、Si(ビフェニル)、Si(o−トリル)であり、R11が、水素、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルである請求項19の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、下記化学式により表され、
【化3】

式中、M、R、R、およびR16は請求項1において規定されたとおりであり、Meはメチルである請求項1の組成物。
【請求項22】
Mはハフニウムであり、Rは、ハイドライド、メチル、エチル、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリル、フェニル、ナフチル、アリル、またはベンジルであり、Rは、水素、メチル、エチルまたはプロピルであり、R16は、メチル、エチル、フェニル、ビフェニル、o−トリル、またはアレーンである請求項21の組成物。
【請求項23】
がフェニル基ではない先行請求項のいずれかの組成物。
【請求項24】
前記組成物が、下記化学式の一つにより表され、
【化4】

式中、Meはメチルであり、Hfはハフニウムであり、Phはフェニルであり、Siは珪素である請求項1の組成物。
【請求項25】
活性剤を、さらに、含む上の請求項のいずれかの組成物。
【請求項26】
前記活性剤が、架橋メタロセン金属中心をカチオンにイオン化し、平衡化非配位イオンを与えるルイス酸である請求項25の組成物。
【請求項27】
前記活性剤が次式で表され、
(St+(NCAV−
t+は電荷t+を有するカチオン成分であり、
NCAV−は電荷v−を有する非配位アニオンであり、
tは1〜3の整数であり、
vは1〜3の整数であり、
uおよびvは、(u)x(t)=(v)x(w)の関係式により制約され、St+)は、一部をプロトン化したり、または引き抜くことができるブレンステッド酸または還元可能なルイス酸である請求項25の組成物。
【請求項28】
モノマー類、活性剤および請求項1〜24の組成物を結びつけて不飽和モノマーをオリゴマー化するプロセス。
【請求項29】
オレフィン類、活性剤および請求項1〜24の組成物を結びつけてオレフィン類を重合するプロセス。
【請求項30】
前記モノマーがエチレンを含む請求項28または29のプロセス。
【請求項31】
前記モノマーがプロピレンを含む請求項28または29のプロセス。
【請求項32】
前記活性剤が、トリメチルアンモニウム・テトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウム・テトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウム・テトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム・テトラフェニルボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウム・テトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウム・テトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウム・テトラフェニルボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)・テトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリエチルアンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリプロピルアンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロ−フェニル)ボレート、ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびトリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウム(2−パーフルオロビフェニル)(パーフルオロフェニルアルキニル)ボレート、トリスパーフルオロフェニルボラン、およびトリパーフルオロナフチルボランからなる群から選択される請求項25、26、27、28、29または30のプロセス。
【請求項33】
前記活性剤が、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートとトリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートとからなる群から選択される請求項25、26、27、28、29または30のプロセス。
【請求項34】
前記活性剤がアルモキサンを含む請求項25、26、27、28、29または30のプロセス。
【請求項35】
前記活性剤がメチルアルモキサンである請求項34のプロセス。
【請求項36】
前記活性剤がN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートである請求項25〜35のいずれかのプロセス。
【請求項37】
前記触媒化合物が、rac−MeSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe、rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチル−ベンズ[f]インデニル)HfMe、rac−(CHSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチルベンズ[f]インデニル)HfMe、rac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−ベンズ[f]インデニル)HfMe、およびrac−PhSi(5,6,7,8−テトラヒドロ−2,5,5,8,8−ペンタメチル−ベンズ[f]インデニル)ZrCl、の1つまたはそれ以上であり、式中Meはメチルであり、Phはフェニルである請求項29〜35のいずれかのプロセス。
【請求項38】
前記モノマー類が、オクテン、ヘキセンまたはブテンの1つまたはそれ以上およびエチレンを含む請求項36または37のプロセス。
【請求項39】
前記モノマー類が、エチレンとプロピレンとを含む請求項36または37のプロセス。
【請求項40】
前記モノマー類が、1つまたはそれ以上のジエン類を含む請求項29〜39のプロセス。
【請求項41】
前記重合反応が前記溶液相で行われる請求項29〜40のプロセス。
【請求項42】
前記プロセスが連続溶液重合プロセスである請求項29〜41のプロセス。
【請求項43】
前記重合反応が前記スラリー相で行われる請求項29〜40のプロセス。
【請求項44】
前記重合反応が、約50℃〜約220℃の間の反応温度で断熱的に行われる請求項29〜43のプロセス。
【請求項45】
前記ポリマー生成物が、第2反応機に移され、前記第2反応機は約50℃〜約220℃の間の温度で断熱的に操作される請求項44のプロセス。
【請求項46】
前記重合反応が前記気相で行われる請求項29〜40のプロセス。
【請求項47】
前記ポリマー生成物が第2反応機に移される請求項29〜43のいずれかまたは46のプロセス。
【請求項48】
炭化水素溶媒が前記プロセスに存在する請求項29〜47のいずれかのプロセス。
【請求項49】
前記炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、トルエンおよびそれらの混合物からなる群から選択される請求項48のプロセス。
【請求項50】
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムおよびトリ−n−オクチルアルミニウムからなる群から選択される捕集剤をさらに含む請求項29〜49のいずれかのプロセス。
【請求項51】
前記プロセスが70〜150℃の温度で起きる請求項50のプロセス。
【請求項52】
前記触媒、前記活性剤または両方が支持体により支えられている請求項29〜50のいずれかのプロセス。
【請求項53】
前記支持体が、タルク、無機酸化物、ゼオライト、粘土、または無機塩化物を含む請求項52のプロセス。
【請求項54】
前記支持体が、樹脂状支持体機能性または架橋有機支持体、またはポリマー性化合物、またはこれらの混合物を含む請求項52のプロセス。
【請求項55】
前記支持体が、2、3、4、5、13または14族の金属酸化物を含む請求項52のプロセス。
【請求項56】
前記支持体が、シリカ、フュームド・シリカ、アルミナ、シリカアルミナまたはこれらの混合物を含む請求項52のプロセス。
【請求項57】
前記支持体が、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウム、モンモリロナイト、フィロシリケート、またはこれらの混合物を含む請求項52のプロセス。
【請求項58】
請求項29〜57のいずれかのプロセスにより製造されたポリマー。

【公表番号】特表2008−505932(P2008−505932A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520591(P2007−520591)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024708
【国際公開番号】WO2006/010139
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】