説明

オーロラキナーゼ阻害剤のための創薬法

本発明は、創薬法、とりわけ、オーロラキナーゼ阻害薬としての活性について化合物をアッセイする方法に関する。本発明は、さらに、タンパク質オーロラBにおける立体配座の変化を促進でき、2段階過程についてのその結合定数がKiとして与えられる化合物を示すファーマコフォアにも関する。最後に、本発明は、さらに、そのファーマコフォアの特徴を有する化合物にも関する。本出願者らの方法は、オーロラキナーゼの構造分析およびオーロラキナーゼを阻害する化合物の結合動態に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーロラキナーゼ阻害薬である化合物を同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
改良されたオーロラキナーゼ阻害薬の必要性は周知である。癌は、関心を引かずにはいられないヒトにおける医学的問題である。したがって、より有効なオーロラキナーゼ阻害薬が必要である。そのような阻害薬は、抗癌剤として治療上の可能性を有すると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、新規の創薬法、およびその方法により同定された化合物を提供することにより、上述の問題に取り組むものである。本出願者らの方法は、オーロラキナーゼの構造分析およびオーロラキナーゼを阻害する化合物の結合動態に基づく。本発明は、オーロラキナーゼ阻害薬としての活性について化合物をアッセイする方法を提供する。本発明は、さらに、タンパク質オーロラBにおける立体配座の変化を促進でき、2段階過程についての結合定数がKiとして与えられる化合物を示すファーマコフォアも提供する。本発明は、さらに、そのファーマコフォアの特徴を有する化合物も提供する。
【0004】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から自明となろう。しかしながら、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、例示の目的でのみ記載されるものであることは理解されるべきであり、その理由は、本発明の精神および範囲内における多様な改変および変形は、この詳細な説明から当業者には自明となるためである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明の態様をさらに例示するために含めてある。本明細書に示す具体的な実施形態の詳細な説明と合わせてこの図面を参照することにより、本発明をさらによく理解できる。
【図1−1】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−2】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−3】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−4】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−5】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−6】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−7】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−8】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−9】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−10】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−11】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−12】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−13】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−14】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−15】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−16】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−17】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−18】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−19】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−20】本発明による実施形態を示す図である。
【図1−21】本発明による実施形態を示す図である。
【図2−1】本発明の化合物を調製するためのスキームを示す図である。
【図2−2】本発明の化合物を調製するためのスキームを示す図である。
【図2−3】本発明の化合物を調製するためのスキームを示す図である。
【図2−4】本発明の化合物を調製するためのスキームを示す図である。
【図2−5】本発明の化合物を調製するためのスキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一実施形態では、本発明は、オーロラキナーゼ阻害薬としての活性について化合物をアッセイする方法を提供する。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、タンパク質オーロラBにおける立体配座の変化を促進でき、2段階過程についての結合定数がKiとして与えられる化合物を示すファーマコフォアを提供する。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、そのファーマコフォアの特徴を有する化合物を提供する。
【0009】
オーロラキナーゼの2つの異なる立体配座は公知である。閉鎖型/不活性型の立体配座では、小さな疎水性活性部位があり、触媒機構は乱れており、キナーゼはATPを結合させることができない。開放型/活性型の形態では、それより大きな親水性活性部位があり、触媒機構は整っており、キナーゼはATPを結合させる。
【0010】
閉鎖型/不活性型のオーロラ立体配座には、ある種の化合物が結合する。本出願者らは、これまでに、ヒンジ領域と共に形成された広範囲に及ぶ水素結合網があり、これは開放型および閉鎖型両方の立体配座中に存在することを確認した。さらに、閉鎖型の立体配座中にのみ存在する疎水性ポケットとの決定的に重要な親油性相互作用および水素結合供与体/受容体相互作用もある。
【0011】
したがって、本発明の一実施形態は、閉鎖型の立体配座中の疎水性ポケットとのこれらの決定的に重要な親油性相互作用または水素結合受容体相互作用を有する化合物を同定する方法を提供する。
【0012】
別の実施形態は、閉鎖型の立体配座中の疎水性ポケットとの親油性相互作用または水素結合受容体相互作用を有する化合物を同定する方法を提供する。
【0013】
このような化合物は、当業者に公知の方法により同定できる(例えば、Khedkar SA、Malde AK、Coutinho EC、Srivastava S.、Pharmacophore modeling in drug discovery and development:an overview、Med Chem、2007年3月、3巻2号、187〜97頁、PMID:17348856を参照、さらに、Guener OF.、History and evolution of the pharmacophore concept in computer−aided drug design、Curr Top Med Chem.、2002年12月、2巻12号、1321〜32頁、PMID:12470283も参照のこと)。使用できるコンピュータープログラムの例としては、Catalyst(Accelrys Software Company、USA)、MOE(Chemical Computing Group、カナダ)およびPhase(Schrodinger Inc.、USA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
阻害動態は、独特の阻害機序を示す。とりわけ、ある種の化合物は、時間依存型の強い結合阻害を呈する。この機序は、酵素の存在下で、および基質(ATP)の不在下で化合物をプレインキュベーションした際に観測される。ATPを加え、反応進行曲線の変化速度観測値(kobs)を定量することにより、活性の回復を評価する。阻害薬濃度の関数として、以下のように図示される2段階の結合モデルにkobsをプロットする。
【0015】
【化1】

本出願者らは、緩徐な強結合動態を有する2段階の結合機序を示す化合物については、Ki値は、Kiよりはるかに良好な細胞効力予測手段であることを見出している。いくつかの実施形態では、そのような化合物は強力な薬力学的プロファイルを有し、その結果、in vivoでの投与計画を短くすることが可能と考えられる長期の細胞活性がもたらされる。動物モデルにおけるオーロラ阻害薬の典型的な投与計画は、例えば、少なくとも1日1回投与である。一実施形態では、本出願者らの発明により、1日1回未満の投与でもよい化合物の選択が可能になる。例えば、本出願者らは、動物モデルにおいて、化合物2(好ましいKi/Ki比を有する化合物)を1週間に1回投与した結果、非常に良好な腫瘍成長阻害がもたらされることを実証している。
【0016】
【化2】

理論に拘束されているものではないが、普通の結合動態を示す化合物の場合は、1日2回投与が典型的であると考えられる。したがって、本出願者らの発明は、化合物を1回投与するとin vivoにおいて長期間持続する効果がもたらされる化合物を提供する。
【0017】
あらゆる創薬の試みにおいて決定的に重要な問題は、さらなるテスト用および/またはさらなる開発用の化合物を選択するためにどのアッセイを用いるか、ということである。一旦アッセイを選択して結果が得られると、さらなる決定的に重要な問題は、そうした結果をどのように用いて関心のある化合物(例えば、さらに調査するもの、優れた薬物になると考えられるもの)を選択するか、ということである。このような不確実性が、創薬を有効および効率的に行ううえでの課題に繋がっている。
【0018】
本出願者らの発明は、アッセイと、このアッセイを用いて創薬を行う方法とを提供することにより、こうした問題に取り組むものである。
【0019】
本出願者らは、創薬過程におけるある種の測定値(または比較)の重要性を認識している。Kiおよび/またはIC50などの伝統的な測定値は、有用ではあるものの、阻害薬を完全に評価するには十分でないことがある。しかし、そのような測定値は、本発明と合わせて使用できる。
【0020】
本発明の重要な一態様は、阻害薬が結合する各時点の後で阻害薬が標的と結合したままの時間(標的−阻害薬複合体のkoffまたはt1/2により表現される)である。とりわけ、本出願者らの発明は、化合物が標的に結合する各時点の後で化合物が標的と結合したままの時間は、化合物が標的を阻害する有効性と相関することを示すものである。
【0021】
Kiは、本明細書で使用する場合、阻害機序が2段階の結合過程として生じる、オーロラキナーゼに対する化合物の全体的な結合親和性に関連する。この機序では、結合過程の第2段階により、本明細書で「閉鎖型の立体配座」と呼ぶ、異性化した、または立体配座が変化した酵素形態との阻害薬の高親和性複合体が形成される。本発明によれば、効力を促進するのは、Kiにより測定されるような、閉鎖型の形態に対する高い親和性である。滞留時間が長ければ、薬力学的利点を有することができる。
【0022】
オーロラの構造中で6位の基(例えばアルキルピペラジン、式Iを参照)が結合するポケットは乱れている。そのため、緩徐な強結合を促進するために重要と思われるこの関心領域における構造情報を得ることは、これまで困難であった。したがって、この関心領域を評価する方法が必要である。本出願者らの発明は、そのような方法を提供することによりこうした問題に取り組むものである。
【0023】
一実施形態では、本発明は、創薬のための選択基準を提供する。本発明の方法に含まれるステップは、場合により以下を含んでもよい:
本発明により評価すべき阻害薬または阻害薬のサブセットを同定すること、すなわち
・Kiを定量すること、
・Kiを定量すること、
・Ki/Kiが1を超える化合物を選択すること。
【0024】
好ましい一実施形態では、化合物のKi/Kiは3を超える。
【0025】
いくつかの実施形態では、閉鎖型の立体配座をとっているオーロラキナーゼ(好ましくはオーロラB)の疎水性ポケットと親油性相互作用または水素結合受容体相互作用する阻害薬が同定される。いくつかの実施形態では、閉鎖型の立体配座をとっているオーロラキナーゼ(好ましくはオーロラB)の疎水性ポケットとの決定的に重要な親油性相互作用または水素結合受容体相互作用を有する阻害薬が同定される。
【0026】
いくつかの実施形態は、閉鎖型の立体配座をとっているオーロラキナーゼの疎水性ポケットとの決定的に重要な親油性相互作用を有する阻害薬または阻害薬のサブセットを同定するステップを含む、オーロラ阻害薬としての活性を有する化合物を選択する方法を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記阻害薬は、オーロラキナーゼ阻害薬、好ましくはオーロラBキナーゼ阻害薬である。
【0028】
したがって、別の実施形態は、ステップa)またはb)を含む、ある種の薬物様特性(例えば、細胞活性、薬力学的特性、in vivoでの有効性)を有するオーロラB阻害薬を選択する方法であって、
a)
1)オーロラBキナーゼのヒンジ領域に水素結合し、
2)このオーロラBキナーゼの第1の疎水性ポケットと親油性相互作用し、このとき、前記第1の疎水性ポケットが、式I:
【0029】
【化3】

(式中、
は、−NHC(O)R、ORであるか、または2つのR基が一緒になって縮合フェニル環を形成し、
は、CHCH、CHCF、CHCHCF
【0030】
【化4】

、または、ハロ、CFもしくはC1〜3アルキルで場合により置換されているフェニルであり、
は、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルである)
の化合物のS−フェニル部分により占められる空間であり、および
3)閉鎖型の立体配座をとっているこのオーロラBキナーゼの第2の疎水性ポケットと親油性相互作用または水素結合相互作用し、このとき、前記第2の疎水性ポケットが、式Iの化合物の6位により占められる空間である
阻害薬を同定するステップ、または
b)Kiを定量し、
Kiを定量し、
化合物のKi/Kiが3を超えている場合にその化合物を選択するステップ
を含む方法を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、ステップa)を用いる。他の実施形態では、ステップb)を用いる。さらに他の実施形態では、ステップa)およびb)を両方用いる。いくつかの実施形態では、化合物がステップa)およびb)のうち1つまたは複数の要件を満たす場合にその化合物を選択する。
【0032】
当業者には公知であると思われるが、式Iのピラゾールは、WO2002/057259、WO2004/000833、WO2007/056221、WO2007/056163またはWO2007/056164に記載のものなど、他のオーロラヒンジバインダーにより置換できる。
【0033】
いくつかの実施形態では、式Iのピラゾールは、
【0034】
【化5】

(式中、Xは、イオウ、酸素またはNR2’であり、Yは、窒素またはCRであり、このとき
は、WO2002/057259、WO2004/000833、WO2007/056221、WO2007/056163またはWO2007/056164中でのRの定義により規定されるとおりである)
により置換できる。
【0035】
いくつかの実施形態では、Rは、C1〜6アルキル、C3〜8シクロプロピル、O(C1〜6アルキル)、CO(C1〜6アルキル)、オキソ、ハロ、CNまたはフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、C1〜6アルキルまたはC3〜8シクロプロピルである。R2’は、HまたはC1〜6アルキルである。
【0036】
さらに他の実施形態では、RおよびR2’は、場合により一緒になって、窒素、酸素またはイオウから独立に選択される0から2個の環ヘテロ原子を有する、場合により置換されている5〜7員環の部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成する。
【0037】
いくつかの実施形態では、式Iのピラゾールは、
【0038】
【化6】

により置換できる。
【0039】
さらに他の実施形態では、式Iのピラゾールは、
【0040】
【化7】

により置換できる。
【0041】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物のS−フェニル部分は、S−ヘテロアリールにより置換されていてもよく、このときヘテロアリールは、O、NおよびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含有する8〜12員の二環性ヘテロアリールから選択される。例としては、ベンズイミダゾール環、インダゾール環またはイミダゾピリジン環が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態では、コアのピリミジン環は、式I中のピリミジン環における位置と同じ位置にピラゾール部分、6位部分およびS−フェニル部分を存在させる別のコア骨格により置換されていてもよい。置換の例としては、トリアジン、ピリジンおよび代替的なピリミジンのコアが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記第2の疎水性ポケットは、式I:
【0044】
【化8】

(式中、
は、−NHC(O)R、ORであるか、または2つのR基は一緒になって縮合フェニル環を形成し、
は、CHCH、CHCF、CHCHCF
【0045】
【化9】

、または、ハロ、CFもしくはC1〜3アルキルで場合により置換されているフェニルであり、
は、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルである)
の化合物の6位により占められる空間である。
【0046】
別の実施形態は、ある種の好ましい特性(例えば、細胞活性、薬力学的特性、in vivoでの有効性)を有するオーロラB阻害薬を選択する方法であって、
前記阻害薬のKiを定量し、
前記阻害薬のKiを定量し、
阻害薬のKi/Kiが1を超えれば(好ましくは3を超えれば)その阻害薬を選択するステップ
を含む方法を提供する。
【0047】
別の実施形態は、細胞活性、薬力学的特性、およびin vivoでの有効性などの好ましい薬物様特性を有する化合物を選択する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本出願者らの方法は、化合物A(本明細書に記載)よりも、高い細胞透過、改良された薬力学的特性、または良好なin vivoでの有効性を有する化合物を選択する。いくつかの実施形態では、本出願者らの方法は、化合物Aのものより投与計画が短い化合物を選択する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本出願者らは、タンパク質オーロラB中での立体配座の変化を促進する化合物を選択する方法を提供する。
【0049】
他の実施形態では、阻害薬のKi/Kiが1を超える、好ましくは3を超えればその阻害薬を選択する。他の実施形態では、阻害薬が、閉鎖型の立体配座をとっているオーロラキナーゼの疎水性ポケットと親油性相互作用または水素結合受容体相互作用すればその阻害薬を選択する。さらに他の実施形態では、阻害薬が、1)閉鎖型の立体配座をとっているオーロラキナーゼの疎水性ポケットと親油性相互作用または水素結合受容体相互作用し、および2)当該阻害薬のKi/Kiが1を超える、好ましくは3を超える場合にはその阻害薬を選択する、すなわち、化合物が、1)親油性相互作用または水素受容体相互作用し、および2)そのKi/Ki値が>1、好ましくは3を超えるという要件を満たす場合にのみ、その阻害薬を選択する。
【0050】
いくつかの実施形態では、親油性相互作用または水素結合相互作用する阻害薬を同定することは、テスト化合物の三次元構造を、式Iの化合物の6位から伸びる親油性基および非共有電子対を含む式Iに基づくファーマコフォアであり、親油性基(疎水基)の中心が6位から4〜8Å伸びて面の0〜4Å上または下に位置し、非共有電子対の位置が6位から3〜8Å伸びて面の0〜4Å上または下に位置し、疎水基が占める体積が70〜120Åであるファーマコフォアの三次元構造と比較することと、テスト化合物がこのファーマコフォアの特徴に適合すればそのテスト化合物を選択することとにより行われる。
【0051】
さらに他の実施形態では、親油性相互作用または水素結合相互作用する阻害薬を同定することは、
i.式Iの化合物の6位、親油性基および非共有電子対の間の距離を反映するファーマコフォアを同定することにより、オーロラキナーゼの第2の疎水性ポケットの原子モデルを用意すること、
ii.小分子の原子モデルのライブラリーに照らして前記ファーマコフォアをスクリーニングすること
により行われる。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記テスト化合物は、式Iの化合物である。
【0053】
いくつかの実施形態では、この方法は、テスト化合物を、オーロラキナーゼ(いくつかの実施形態ではオーロラBキナーゼ)などの酵素と接触させるステップを含む。
【0054】
他の実施形態では、この方法は、テスト化合物を、オーロラキナーゼ(いくつかの実施形態ではオーロラBキナーゼ)などの酵素と接触させて、該化合物が該酵素の活性を阻害する能力を測定することを含む。さらに他の実施形態では、この方法は、テスト化合物をオーロラキナーゼ(いくつかの実施形態ではオーロラBキナーゼ)などの酵素と接触させて、該化合物が該酵素の活性を阻害する能力を評価することを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、前記小分子はオーロラキナーゼ阻害薬である。
【0056】
別の実施形態は、Kiを測定するためのオーロラ酵素アッセイを実施する方法を提供する。
【0057】
この創薬法は、良好な薬力学的特性を保持したまま、多様な薬物特性(例えば、より良好な溶解性、改善されたpK、特定のリガンドに対する親和性、in vivoでのより良好な吸収)について最適化させた薬物の開発および設計を容易にする。
【0058】
いくつかの実施形態では、オーロラキナーゼはオーロラBキナーゼを指す。
【0059】
古典的な可逆的阻害薬は、速やかな結合動態を示すことが期待され、基質の生成物への転換は、線形曲線として表されると考えられる(グラフ1を参照)。
【0060】
【化10】

緩徐な結合動態を示す阻害薬の場合は、基質の生成物への転換は、時間と共に酵素活性が回復することを示す非線形曲線により表されると考えられる(グラフ2を参照)。
【0061】
【化11】

異なるKi値およびKi値は、2段階の結合機序を示唆する。同様に、2段階の結合機序は、酵素上での化合物の滞留時間が長いことを示唆する(とりわけKiが低い場合)。本出願者らは、Kiを測定する2つの方法を提供してきた(実施例1および実施例2を参照)。Ki/Kiを測定することは、滞留時間またはkoffを測定することの代わりである。一方の方法では、一連の測定を行う(実施例1)。他方の方法では、2つの時点で読取りを行い、その測定値を外挿することにより、一連の測定は回避される(実施例2)。
【0062】
本出願者らの方法は、テスト化合物およびオーロラキナーゼ(一実施形態ではオーロラB)のプレインキュベーションを行い、次いでアッセイ混合物の速やかな希釈を行う。次に、時間経過にわたり動態を定量する。
【0063】
理論に拘束されているものではないが、本出願者らのプレインキュベーションステップは、酵素と阻害薬との間で結合平衡を確立させることができる。基質を含有する緩衝液中で酵素−阻害薬複合体を希釈させると、基質の生成物への転換の、さらには酵素活性の回復のモニターが可能になる。これにより、このキナーゼに対しオフ速度が遅く滞留時間が長い化合物を同定することが可能になる。
【0064】
本出願者らのアッセイは、薬物様分子を同定または評価するために用いてもよい。好ましくは、本出願者らのアッセイは、好ましい薬力学的プロファイルを有する分子を同定または評価するために用いる。したがって、本発明は、さらに、以下に記載のファーマコフォアなどのファーマコフォアを用いることにより、オーロラBキナーゼ阻害薬を設計する方法も提供する。
【0065】
本発明は、式Iの化合物に基づく例を用いて示される化合物を用いて開発されたファーマコフォアを提供する(式中、変数は本明細書中で定義するとおりである)。
【0066】
【化12】

このファーマコフォアは、式Iの化合物中のピリミジン環の6位から伸びる親油性基および非共有電子対の位置決めを特徴付ける。
【0067】
親油性基(疎水基)の中心は、6位から4〜8Å、好ましくは4〜6Å、より好ましくは4〜5Å伸びて、面の0〜4Å、好ましくは0〜2Å上または下に位置すべきである。疎水基が占めるべき体積は、70〜120Å、好ましくは80〜110Å、より好ましくは80〜100Åである。
【0068】
非共有電子対の位置は、6位から3〜8Å、好ましくは3〜6Å、より好ましくは4〜5Å伸びて、面の0〜4Å、好ましくは0〜2Å上または下に位置すべきである。
【0069】
いくつかの実施形態では、親油性基(疎水基)の中心は6位から4〜8Å伸びて面の0〜4Å上または下に位置し、非共有電子対の位置は6位から3〜8Å伸びて面の0〜4Å上または下に位置し、疎水基が占める体積は70〜120Åである。
【0070】
他の実施形態では、疎水基は6位から4〜6Å伸びて面の0〜2Å上または下に位置し、非共有電子対の位置は6位から3〜6Å伸びて面の0〜2Å上または下に位置し、疎水基が占める体積は80〜110Åである。
【0071】
さらに他の実施形態では、疎水基は6位から4〜5Å伸びて面の0〜2Å上または下に位置し、非共有電子対の位置は6位から4〜5Å伸びて面の0〜2Å上または下に位置し、疎水基が占める体積は80〜100Åである。
【0072】
疎水基は、ピペラジン、ピペリジン、アゼチジン、ピロリジン、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール、ピロリジン、または、最大3つのCH基が−NH−、−NHCO−もしくは−CONH−で置換されているC〜Cアルキリデン鎖から選択されるリンカーLによりピリミジンに連結できる。
【0073】
疎水基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはフェニル環から選択されるC〜C炭素環、または、オキセタン、ピロリジンもしくはピペリジンから選択されるC〜C複素環、または、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルから選択される、分枝または非分枝型のC〜Cアルキル鎖などの環の一部であってもよい。
【0074】
炭素環、フェニル環、複素環またはアルキル鎖は、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、およびハロゲン原子、好ましくはフッ素で場合により置換されていてもよい。非共有電子対は、二級もしくは三級アミンまたはニトリル基などの窒素、またはアルコール、エーテルもしくはカルボニル基などの酸素、またはフッ素などのハロゲン由来のものであってもよい。
【0075】
一実施形態は、表1の化合物の6位から伸びる親油性基および非共有電子対を含むファーマコフォアを提供する。
【0076】
本発明は、さらに、このファーマコフォアに適合する化合物も提供する。いくつかの実施形態では、前記化合物は、式I:
【0077】
【化13】

の化合物
または薬学上許容されるその塩(式中、
は、−NHC(O)R、ORであるか、または2つのR基が一緒になって縮合フェニル環を形成し、
は、CHCH、CHCF、CHCHCF
【0078】
【化14】

、または、ハロ、CFもしくはC1〜3アルキルで場合により置換されているフェニルであり、
は、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルである)
である。
【0079】
いくつかの実施形態では、Rは−NHC(O)Rであり、Rは、CHCH、CHCF、CHCHCF
【0080】
【化15】

であり、Rは、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルである。
【0081】
このファーマコフォアを満たし、オーロラBのKi/オーロラBのKi比が>3である代表的な化合物を、以下の表1に示す(化合物1〜36):
【0082】
【表1−1】

【0083】
【表1−2】

【0084】
【表1−3】

【0085】
【表1−4】

一実施形態は、表1に示す化合物(化合物1〜36)を提供する。別の実施形態は、以下の化合物を提供する:3〜6、8〜10、23、33および36。さらに別の実施形態は、以下の化合物を提供する:3〜6、8〜10、23および36。
【0086】
本発明は、さらに、オーロラ阻害薬(いくつかの実施形態ではオーロラB阻害薬)について同定、評価、選択、優先順位付け、設計およびスクリーニングする方法も提供する。一実施形態は、1)本発明の方法によりアッセイすること、および/または、2)モデル化してファーマコフォアへの適合を評価することによりオーロラBキナーゼ阻害薬を選択する方法を提供する。別の実施形態は、1)本発明の方法により化合物をアッセイすること、および/または、2)その化合物をモデル化してファーマコフォアへの適合を評価すること、3)その化合物が一方または両方(好ましくは両方の基準)を満たす場合にその化合物を選択することを含む、オーロラBキナーゼ阻害薬を同定する創薬法を提供する。別の実施形態は、Ki/Ki比が>3の化合物を選択するステップを含む、さらなる評価のためにオーロラBキナーゼ阻害薬を優先順位付けする創薬法を提供する。いくつかの実施形態は、Ki/Ki比が>1の化合物を選択するステップを含む。
【0087】
当業者には認識されると考えられるが、本発明に必要なKi値を得るには多様な様式がある。本発明を実践するうえで、そのような値は公知の方法により定量してもよく(実施例4および5を参照)、または他の方法で得てもよい。Ki値は、本発明の方法により得る。
【0088】
別の実施形態は、本明細書に記載の方法により同定または選択される化合物を提供する。いくつかの実施形態では、前記化合物は、本明細書に記載の方法により化合物をアッセイすることにより選択される。いくつかの実施形態では、この化合物のKi/Kiは1を超える。他の実施形態では、この化合物のKi/Kiは3を超える。さらに他の実施形態では、前記化合物は、化合物をモデル化して、本明細書に記載のファーマコフォア(式Iに基づく:段落[0034]および[0035]を参照)へのその適合を評価することにより選択される。他の実施形態では、前記化合物は、1)本発明の方法により化合物をアッセイすること、および/または2)その化合物をモデル化してファーマコフォアへの適合を評価すること、および3)その化合物が一方または両方(好ましくは両方の基準)を満たす場合にその化合物を選択することにより選択される。
【0089】
本発明は、さらに、このファーマコフォアの特徴を有する化合物も提供する。いくつかの実施形態では、前記化合物は、表1に記載の以下の化合物のうちの1つではない:化合物1〜2、7、11〜22、24〜32または34〜35。他の実施形態では、前記化合物は、化合物3〜6、8〜10、23または36である。
【0090】
本出願者らの方法は、さらに、他のキナーゼとのオーロラ阻害薬の交差反応性に関する。閉鎖型の立体配座は、タンパク質キナーゼにおいては一般的ではない。この構造および動態モデリングを用いる本出願者らの方法は、ある種の交差反応性を有する化合物を同定することに関する方法において用いてもよい。
【0091】
最後に、別の実施形態は、オーロラ阻害薬として有用な化合物を提供する。一実施形態は、以下の化合物を提供する:
【0092】
【化16】

本発明の目的で、化学元素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って同定する。加えて、有機化学の一般原則は、例えば、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito、1999年、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith, M.B. and March, J.編、John Wiley & Sons、New York、2001年など、当業者に公知のテキスト中に記載がある。
【0093】
本明細書に記載の場合、原子について指定した数字範囲は、その中の一切の整数を包含する。例えば、1〜4個の原子を有する基は、1、2、3または4個の原子を有してもよい。
【0094】
本明細書に記載の場合、本発明の化合物は、上に一般的に例示されるような、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種により例証されるようなものなど1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてもよい。語句「場合により置換されている」は、語句「置換されているか、または置換されていない」と互換的に使用されることは理解されよう。一般的に、用語「置換されている」は、用語「場合により」が前に付いていてもいなくても、所与の構造中の水素ラジカルが特定の置換基のラジカルで置換されていることを指す。別に指示しない限り、場合により置換されている基は、その基の各置換可能な位置に置換基を有していてもよく、また、任意の所与の構造中の2つ以上の位置が特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換されるとき、その置換基は全ての位置で同じでも異なっていてもいずれでもよい。本発明により想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定な、または化学的に実施可能な化合物の形成をもたらす組合せである。
【0095】
用語「安定な」は、本明細書で使用する場合、本明細書中に開示された目的の1つまたは複数のためのその生成、検出、および好ましくはその回復、精製および使用を可能にする条件に供されたとき実質的に変質しない化合物を指す。いくつかの実施形態では、安定な化合物または化学的に実施可能な化合物は、40℃以下の温度で維持したとき、水分または他の化学的に反応性の条件の不在下では少なくとも1週間は実質的に変質しない化合物である。
【0096】
用語「環状脂肪族の」(または「炭素環」または「カルボシクリル(carbocyclyl)」または「シクロアルキル」など)は、完全に飽和しているか、または、1つもしくは複数の不飽和単位を含有するが、芳香族ではなく、分子の残部への単一の結合点を有し、このとき前記二環性の環系中の任意の個々の環が3〜7員を有する単環性のC〜C炭化水素または二環性のC〜C12炭化水素を指す。適当な環状脂肪族基としては、シクロアルキル基およびシクロアルケニル基が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、シクロヘキシル、シクロプロペニルおよびシクロブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
用語「アルキル」は、本明細書で使用する場合、完全に飽和しており、分子の残部への単一の結合点を有する非分枝または分枝型の、直鎖または環状の炭化水素を意味する。別に指示しない限り、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を含有する。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピルおよびsec−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明の化合物では、環は、直線的に縮合した環、架橋した環またはスピロ環を包含する。架橋した環状脂肪族基の例としては、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタンおよびビシクロ[3.2.2]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」または「複素環の」などは、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の環員が、独立に選択されたヘテロ原子である、非芳香族の単環性または二環性の環を意味する。いくつかの実施形態では、「複素環」、「ヘテロシクリル」または「複素環の」基は、3から10環員を有しており、その中の1つまたは複数の環員は、酸素、イオウ、窒素またはリンから独立に選択されたヘテロ原子であり、系中の各環は、3から7環員を含有する。架橋複素環の例としては、7−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
適当な複素環としては、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンゾイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素(窒素、イオウ、リンまたはケイ素の任意の酸化形、任意の塩基性窒素の四級化形態、または複素環の環の置換可能な窒素、例えばN(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のものとして)、NH(ピロリジニル中のものとして)またはNR(N置換ピロリジニル中のものとして)を含む)のうち1つまたは複数を意味する。
【0102】
用語「アリール」は、合計5から12環員を有する単環性または二環性の環を指し、このとき、系中の少なくとも1つの環は芳香環であり、系中の各環は3から7環員を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用されることがある。用語「アリール」は、さらに、以下に定義するように、ヘテロアリール環系も指す。
【0103】
用語「ヘテロアリール」は、合計5から12環員を有する単環性または二環性の環を指し、このとき、系中の少なくとも1つの環は芳香環であり、系中の少なくとも1つの環は1つまたは複数のヘテロ原子を含有し、系中の各環は3から7環員を含有する。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族の」と互換的に使用されることがある。適当なヘテロアリール環としては、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
用語「不飽和の」は、本明細書で使用する場合、ある部分が1つまたは複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0105】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0106】
別に指示しない限り、本明細書中で図示する構造は、その構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー異性体、ジアステレオマー異性体および幾何異性体(または立体配座異性体))の形、例えば、各不斉中心についてのR配置およびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに、(Z)および(E)立体配座異性体を包含することも意図している。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物および幾何異性体(または立体配座)混合物は、本発明の範囲内である。
【0107】
別に指示しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形は、本発明の範囲内である。当業者には理解されると思われるが、ピラゾール基は、さまざまな様式で表すことができる。例えば、
【0108】
【化17】

として描かれた構造は、
【0109】
【化18】

など、他の可能性のある互変異性体を表す。同様に、
【0110】
【化19】

として描かれた構造は、
【0111】
【化20】

など、他の可能性のある互変異性体も表す。
【0112】
別に指示しない限り、置換基は、任意の回転可能結合の周囲を自由に回転できる。例えば、
【0113】
【化21】

として描かれた置換基は、
【0114】
【化22】

も表す。同様に、
【0115】
【化23】

として描かれた置換基は、
【0116】
【化24】

も表す。
【0117】
加えて、別に指示しない限り、本明細書に図示する構造は、同位体的に重い1つまたは複数の原子の存在という点でのみ異なる化合物も包含することを意図している。例えば、水素が重水素または三重水素で置換され、または炭素が13Cもしくは14Cの重い炭素で置換されている以外は本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析手段またはプローブとして有用である。
【0118】
合成
本発明の化合物は、以下に示す一般的スキームにより調製してもよい:
一般的スキームI
【0119】
【化25】

上のスキームIは、本発明の化合物を作製する一般的な方法を示すものである。本発明の化合物は、上に示したように、さまざまな様式で作製できる。本質的には、ジクロロピリミジン出発物質に加えられる3つの主要な基が存在する。これらの基を加える順序は変えてもよい。関与する3つの主要な反応は、アミン(NHR)の付加、アミノピラゾールの付加およびPh−SHの付加(SMeを酸化させて適当な脱離基、例えばSOMeにすることを包含する)である。上に示したように、これら3つの基は、多様な異なる順序で加えることができる。例えば、アミノピラゾールを最初に加え、その後でNHRの付加、酸化、最後にPh−SHの付加を行うことができる。またはその代わりに、酸化を最初に生じさせ、その後でPh−SHの付加、アミノピラゾールの付加、最後にNHRの付加を行うこともできる。当業者には、上に示した多様な反応は理解されると思われる。追加的なスキームおよび実験に関することがらは、本明細書および図2にも記載する。
【0120】
いくつかの実施形態では、ベンゼンチオール(Ph−SH)は、適当な溶媒(例えばt−BuOH)が存在する加熱条件下で16時間SOMe脱離基を置換する。他の実施形態では、SOMe脱離基の置換は、アセトニトリルおよびトリエチルアミンの存在下で0℃にて1時間行う。いくつかの実施形態では、アミノピラゾールの付加は、適当な溶媒(例えばDMF)および適当な塩基(例えばDIPEA/NaI)の存在下で、アミノピラゾールおよびクロロピリミジン中間体を加熱することにより行う。いくつかの実施形態では、アミン(NR)の付加は、適当な溶媒(例えばn−BuOH)の存在下でアミン(NR)およびクロロピリミジン中間体を加熱することにより生じる。
【0121】
この化合物は、当業者に一般に知られるステップ(例えば、参照によりその全体の内容が本明細書に組み込まれる、WO2002/057259、WO2004/000833、WO2007/056221、WO2007/056163およびWO2007/056164を参照)を用いて、および/または、本明細書に記載のスキームおよび実施例により調製してもよい。
【0122】
そのような化合物は、限定されるものではないが、LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析)およびNMR(核磁気共鳴)などの公知の方法により分析してもよい。以下に示す具体的な条件は単なる例であり、本発明の化合物を作製するために用いることができる条件の範囲を限定することを意図したものでないことは理解されるべきである。むしろ、本発明は、本発明の化合物を作製するために本明細書に照らせば当業者には自明と思われる条件も包含する。
【0123】
本発明の化合物の活性を評価する方法(例えばキナーゼアッセイ)は、当技術分野で公知であり、記載する実施例でも説明する。
【0124】
タンパク質キナーゼ阻害薬としての化合物の活性は、in vitroで、in vivoで、または細胞株中でアッセイしてもよい。in vitroでのアッセイとしては、活性化されたキナーゼのキナーゼ活性またはATPアーゼ活性のいずれかの阻害を定量するアッセイが挙げられる。代替的なin vitroアッセイは、タンパク質キナーゼに結合する阻害薬の能力を定量化するものであり、阻害薬/キナーゼ複合体を結合、単離するのに先立ち阻害薬を放射性標識すること、および放射性標識の結合量を定量すること、または、新しい阻害薬を公知の放射性リガンドに結合させたキナーゼと共にインキュベートする競合実験を行うことのいずれかにより測定してもよい。
【0125】
本発明の別の態様は、生体試料中のキナーゼ活性を阻害することに関し、その方法は、前記生体試料を、式Iの化合物または前記化合物を含む組成物と接触させることを含む。用語「生体試料」は、本明細書で使用する場合、in vitroまたはex vivoの試料を意味し、そのような生体試料としては、限定されるものではないが、細胞培養液またはその抽出物、哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、大便、精液、涙もしくは他の体液またはその抽出物が挙げられる。
【0126】
生体試料中のキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知のさまざまな目的のために有用である。そのような目的の例としては、輸血、臓器移植、生物標本の保存および生物学的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
生体試料中のキナーゼ活性の阻害は、生物学的および病理学的な現象におけるキナーゼの試験、そのようなキナーゼが介在する細胞内シグナル伝達経路の試験、および新しいキナーゼ阻害薬の比較評価のためにも有用である。
【0128】
このオーロラタンパク質キナーゼ阻害薬、または医薬としてのその塩は、動物またはヒトに投与するための医薬組成物に製剤してもよい。オーロラが介在する病態を治療または防止するために有効な量のオーロラタンパク質阻害薬および薬学上許容される担体を含むこのような医薬組成物は、本発明の別の実施形態である。
【0129】
用語「オーロラが介在する病態」または「オーロラが介在する疾患」は、本明細書で使用する場合、オーロラ(オーロラA、オーロラBおよびオーロラC)が関与することが知られている一切の疾患または他の有害な病態を意味する。そのような病態としては、限定されるものではないが、癌、増殖性障害および骨髄増殖性障害が挙げられる。
【0130】
骨髄増殖性障害の例としては、真性赤血球増加症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄様化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病および全身性肥満細胞症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
用語「癌」は、以下の癌も包含するが、これらに限定されない:類表皮 口腔の癌:頬側口腔、唇、舌、口、咽頭;心臓の癌:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺癌:気管支原性癌(扁平細胞または類表皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支の)上皮癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;消化器系の癌:食道(扁平上皮癌、喉頭、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、大腸、大腸〜直腸、結腸直腸の癌;直腸、泌尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝臓癌(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、胆汁路;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起細胞膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科の癌:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍性の子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌]、顆粒膜−卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ぶどう状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)、胸部;血液の癌:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性の疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]、有毛細胞;リンパ系の障害;皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、角化棘細胞腫、異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬、甲状腺:甲状腺乳頭癌、甲状腺濾胞癌;甲状腺髄様癌、未分化甲状腺癌、多発性内分泌腺腫症2A型、多発性内分泌腺腫症2B型、家族性甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、傍神経節腫;および副腎:神経芽細胞腫。したがって、本明細書で用いる場合の用語「癌細胞」は、上に特定した病態のいずれか1つに罹患した細胞を包含する。いくつかの実施形態では、癌は、直腸結腸癌、甲状腺癌または乳癌から選択される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、直腸結腸癌、甲状腺癌、乳癌および肺癌などの癌、ならびに、真性赤血球増加症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄様化生、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病および全身性肥満細胞症などの骨髄増殖性障害の治療に有用である。
【0133】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、造血系障害、とりわけ、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性前骨髄球性白血病(APL)および急性リンパ性白血病(ALL)の治療に有用である。
【0134】
本発明の化合物に加え、本発明の化合物の薬学上許容される誘導体またはプロドラッグを、上に特定した障害を治療または防止するための組成物中で用いてもよい。
【0135】
「薬学上許容される誘導体またはプロドラッグ」は、レシピエントへの投与の際、直接または間接的いずれかの形で、本発明の化合物、または阻害薬としてのその活性代謝産物または残留物をもたらす能力のある、本発明の化合物の薬学上許容されるエステル、エステルの塩または他の誘導体一切を意味する。そのような誘導体またはプロドラッグとしては、本発明の化合物を患者に投与したとき(例えば、経口投与された化合物をより容易に血中に吸収させることにより)に、該化合物の生体利用率を増加させるもの、または親種と比較して、生体区画(例えば、脳またはリンパ系)への親化合物の送達を高めるものが挙げられる。
【0136】
本発明の化合物の薬学上許容されるプロドラッグの例としては、限定されるものではないが、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸エステルが挙げられる。
【0137】
本発明の化合物は、治療用に遊離型で、または適切な場合には、薬学上許容される塩として存在できる。
【0138】
本明細書で使用する場合、用語「薬学上許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などがなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触させた使用に適しており、妥当なベネフィット/リスク比と釣合いのとれた化合物の塩を指す。
【0139】
本発明の化合物の薬学上許容される塩としては、適当な無機および有機の酸および塩基から誘導されるものが挙げられる。このような塩は、化合物の最終的な単離および精製の間に、in situで調製できる。酸付加塩は、1)遊離塩基形態の精製化合物を適当な有機酸または無機酸と反応させること、および2)そのようにして形成された塩を単離することにより調製できる。
【0140】
適当な酸性塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンホレート、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学上許容されないが、本発明の化合物およびその薬学上許容される酸付加塩を得るうえで中間体として有用な塩の調製において用いることはできる。
【0141】
塩基付加塩は、1)酸形態の精製化合物を適当な有機塩基または無機塩基と反応させること、および2)そのようにして形成された塩を単離することにより調製できる。
【0142】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1〜4アルキル)の塩が挙げられる。本発明は、さらに、本明細書で開示される化合物の任意の塩基性の窒素含有基の四級化も想定している。そのような四級化により、水溶性または油溶性または分散性の製品を得てもよい。
【0143】
塩基付加塩としては、さらに、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学上許容される塩としては、適切な場合には、無毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、ならびに、ハロゲン化物塩、水酸化物塩、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成されるアミンカチオンが挙げられる。他の酸および塩基は、それ自体は薬学上許容されないが、本発明の化合物およびその薬学上許容される酸付加塩または塩基付加塩を得るうえで中間体として有用な塩の調製において用いることはできる。
【0144】
このような医薬組成物中で使用できる薬学上許容される担体としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸などの緩衝液物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和した植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または、硫酸プロタミンなどの電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベース物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
本発明の組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーにより、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、口腔内に、経膣で、または、埋め込んであるリザーバーを介して投与してもよい。用語「非経口の」は、本明細書で使用する場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、腹腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内への注射または注入の手法を包含する。
【0146】
本発明の組成物の滅菌済みの注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であってもよい。このような懸濁液は、適当な分散化剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当技術分野で公知の手法により製剤してもよい。滅菌済みの注射可能な調製品は、さらに、無毒性の非経口的に摂取できる希釈剤または溶媒中の滅菌済みの注射可能な溶液または懸濁液(例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として)であってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中でも採用できるのは、水、リンゲル液および等張性の塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌済みの不揮発性油は、溶媒または懸濁媒として従来どおり用いる。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドなど刺激のない不揮発性油を用いてもよい。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、オリーブ油またはヒマシ油など薬学上許容される天然の油、特にそのポリオキシエチル化型のものがそうであるように、注射剤の調製において有用である。このような油の溶液または懸濁液は、乳濁液および懸濁液など薬学上許容される剤形の製剤において一般に使用される、長鎖アルコール希釈剤、またはカルボキシメチルセルロースなどの分散剤または類似の分散化剤を含有してもよい。Tweens、Spansなど一般に使用される他の界面活性剤、および、薬学上許容される固体、液体または他の剤形の製造において一般に使用される他の乳化剤または生体利用率向上剤も、製剤の目的で使用してもよい。
【0147】
本発明の医薬組成物は、限定されるものではないが、カプセル、錠剤、水性の懸濁液または溶液などの任意の経口摂取できる剤形で経口投与してもよい。経口使用のための錠剤の場合は、一般に使用される担体としては、乳糖およびトウモロコシデンプンを挙げることができる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を加えてもよい。カプセル形態での経口投与の場合は、有用な希釈剤としては、乳糖および乾燥トウモロコシデンプンを挙げることができる。経口使用のために水性懸濁液が必要な場合は、活性成分を乳化剤および懸濁化剤と組み合わせてもよい。必要に応じ、ある種の甘味剤、香味剤または着色剤を加えてもよい。
【0148】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用に坐薬の形態で投与してもよい。これらは、薬剤を、室温では固体だが直腸の温度では液体であることから直腸中で融解して薬物を放出するような適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製できる。そのような材料としては、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0149】
本発明の医薬組成物は、局所施用により容易に摂取可能な部位または器官が治療標的に含まれる場合(眼、皮膚または下部腸管の疾患など)には特に、局所投与してもよい。このような部位または器官のそれぞれにとって適当な局所用製剤を調製してもよい。
【0150】
下部腸管への局所施用は、直腸坐薬製剤の形態(上を参照)または適当な浣腸製剤の形態で達成できる。経皮的な局所用パッチを使用してもよい。
【0151】
局所施用のためには、この医薬組成物は、1つまたは複数の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する適当な軟膏の形態で製剤してもよい。本発明の化合物の局所投与用の担体としては、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水を挙げることができるが、これらに限定されない。あるいは、この医薬組成物は、1つまたは複数の薬学上許容される担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する適当なローションまたはクリームの形態で製剤してもよい。適当な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0152】
眼科的使用のためには、この医薬組成物は、pHを調整した滅菌済みの等張性生理食塩水中の微粒化懸濁液として、またはpHを調整した滅菌済みの等張性生理食塩水中の溶液として製剤してもよく、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤は含んでも含まなくてもいずれでもよい。あるいは、眼科的使用のためには、この医薬組成物は、ワセリンなどの軟膏の形態で製剤してもよい。
【0153】
本発明の医薬組成物は、点鼻剤または吸入により投与してもよい。そのような組成物は、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは適当な他の保存剤、生体利用率を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤または分散化剤を用いて調製してもよい。
【0154】
単一の剤形を作製するために担体材料と組み合わせることができるキナーゼ阻害薬の量は、治療対象の宿主、特定の投与様式および適応次第で変わることになろう。一実施形態では、これらの組成物は、1日当たり体重1kg当たり0.01〜100mgの間の用量の阻害薬を、これらの組成物を摂取する患者に投与できるように製剤すべきである。別の実施形態では、これらの組成物は、1日当たり体重1kg当たり0.1〜100mgの間の用量の阻害薬を、これらの組成物を摂取する患者に投与できるように製剤すべきである。
【0155】
さらに、特定の任意の患者のための具体的な用量および治療計画は、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌、投与時間、排泄速度、薬物の組合せおよび治療する医師の判断、ならびに治療対象となっている特定の疾患の重篤度などさまざまな因子に依存することになることも理解されるべきである。阻害薬の量も、組成物中の特定の化合物に依存することになる。
【0156】
別の実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物の1つを患者に投与するステップを含む、癌、増殖性障害または骨髄増殖性障害を治療または防止する方法を提供する。
【0157】
用語「患者」は、本明細書で使用する場合、ヒトを含めた動物を意味する。
【0158】
いくつかの実施形態では、前記方法は、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄性白血病(CML)または急性リンパ性白血病(ALL)などの造血系障害を治療または防止するために使用される。
【0159】
他の実施形態では、前記方法は、真性赤血球増加症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄様化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病および全身性肥満細胞症などの骨髄増殖性障害を治療または防止するために使用される。
【0160】
さらに他の実施形態では、前記方法は、乳癌、大腸癌、前立腺癌、皮膚癌、膵臓癌、脳腫瘍、泌尿生殖路癌、リンパ系癌、胃癌、喉頭癌および肺癌(肺腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含む)などの癌を治療または防止するために使用される。
【0161】
別の実施形態は、式Iの化合物または前記化合物を含む組成物を患者に投与するステップを含む、癌を治療または防止する方法を提供する。
【0162】
本発明の別の態様は、患者においてキナーゼ活性を阻害することに関し、その方法は、式Iの化合物または前記化合物を含む組成物を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記キナーゼは、オーロラキナーゼ(オーロラA、オーロラB、オーロラC)、Abl、Abl(T315I)、Arg、FLT−3、JAK−2、MLK1、PLK4、Tie2またはTrkAである。
【0163】
治療または防止対象の特定の病態によっては、本発明の化合物と一緒に追加的な薬物を投与してもよい。場合により、このような追加的な薬物は、同じ病態を治療または防止するために普通に投与される。例えば、増殖性の疾患を治療するために、化学療法剤または他の抗増殖剤を本発明の化合物と組み合わせてもよい。
【0164】
本発明の別の態様は、本発明の化合物または薬学上許容されるその塩、および別の治療剤の逐次投与または同時投与を含む、それを必要とする対象において癌を治療する方法を目的とする。いくつかの実施形態では、前記追加的な治療剤は、抗癌剤、抗増殖剤または化学療法剤から選択される。
【0165】
いくつかの実施形態では、前記追加的な治療剤は、カンプトテシン、MEK阻害薬:U0126、KSP(キネシンスピンドルタンパク質)阻害薬、アドリアマイシン、インターフェロン、およびシスプラチンなどの白金誘導体から選択される。
【0166】
他の実施形態では、前記追加的な治療剤は、タキサン、bcr−abl阻害薬(Gleevec、ダサチニブおよびニロチニブなど)、EGFR阻害薬(TarcevaおよびIressaなど)、DNA損傷剤(シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、トポイソメラーゼ阻害薬およびアントラサイクリンなど)および代謝拮抗薬(AraCおよび5−FUなど)から選択される。
【0167】
さらに他の実施形態では、前記追加的な治療剤は、カンプトテシン、ドキソルビシン、イダルビシン、シスプラチン、Taxol、Taxotere、ビンクリスチン、Tarceva、MEK阻害薬、U0126、KSP阻害薬、ボリノスタット、Gleevec、ダサチニブおよびニロチニブから選択される。
【0168】
別の実施形態では、前記追加的な治療剤は、Her−2阻害薬(Herceptinなど)、HDAC阻害薬(ボリノスタットなど)、VEGFR阻害薬(Avastinなど)、c−KITおよびFLT−3阻害薬(スニチニブなど)、BRAF阻害薬(Bayer製のBAY43−9006など)、MEK阻害薬(Pfizer製のPD0325901など)および紡錘体毒(エポチロンおよびパクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標)など)から選択される。
【0169】
本発明の創意に富む抗癌剤と組み合わせて用いることができる他の療法または抗癌剤としては、手術、放射線療法(ほんの数例ではあるがいくつか例を挙げると、γ線照射、中性子線放射線療法、電子線放射線療法、陽子線療法、小線源療法および全身放射性アイソトープ)、内分泌療法、生物学的応答修飾薬(いくつか例を挙げると、インターフェロン、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法および寒冷療法、任意の有害作用を弱めるための薬剤(例えば制吐薬)、および他の認可された化学療法薬が挙げられ、このような化学療法薬としては、アルキル化薬(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗薬(メトトレキセート)、プリン拮抗薬およびピリミジン拮抗薬(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、Cytarabile、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミドおよびメゲストロール)、Gleevec(商標)、デキサメタゾンおよびシクロホスファミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
本発明の化合物は、以下の治療剤と組み合わせた癌の治療にも有用な場合がある:アバレリックス(Plenaxis depot(登録商標)、アルデスロイキン(Prokine(登録商標))、アルデスロイキン(Proleukin(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、アリトレチノイン(Panretin(登録商標))、アロプリノール(Zyloprim(登録商標))、アルトレタミン(Hexalen(登録商標))、アミホスチン(Ethyol(登録商標))、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、三酸化砒素(Trisenox(登録商標))、アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標))、アザシチジン(Vidaza(登録商標))、ベバキュジマブ(bevacuzimab)(Avastin(登録商標))、ベキサロテンカプセル(Targretin(登録商標))、ベキサロテンゲル(Targretin(登録商標))、ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ブスルファン静脈内用(Busulfex(登録商標))、ブスルファン経口用(Myleran(登録商標))、カルステロン(Methosarb(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標))、カルムスチン(Gliadel(登録商標))、Polifeprosan20 Implantを用いてのカルムスチン(Gliadel Wafer(登録商標))、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標)、2−CdA(登録商標))、クロファラビン(Clolar(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan Injection(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(登録商標))、シタラビン(Cytosar−U(登録商標))、リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))、ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(Cosmegen(登録商標))、ダルベポエチンα(Aranesp(登録商標))、リポソーム化ダウノルビシン(DanuoXome(登録商標))、ダウノルビシン、ダウノマイシン(Daunorubicin(登録商標))、ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerubidine(登録商標))、デニロイキンジフチトックス(Ontak(登録商標))、デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin PFS(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin PFS Injection(登録商標))、リポソーム化ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone(登録商標))、プロピオン酸ドロモスタノロン(masterone injection(登録商標))、エリオットB溶液(Elliott’s B solution(登録商標))、エピルビシン(Ellence(登録商標))、エポエチンα(epogen(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、エストラムスチン(Emcyt(登録商標))、リン酸エトポシド(Etopophos(登録商標))、エトポシド、VP−16(Vepesid(登録商標))、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、フィルグラスチム(Neupogen(登録商標))、フロクスウリジン(動脈内用)(FUDR(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標))、フルオロウラシル、5−FU(Adrucil(登録商標))、フルベストラント(Faslodex(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標))、酢酸ゴセレリン(Zoladex Implant(登録商標))、酢酸ゴセレリン(Zoladex(登録商標))、酢酸ヒストレリン(Histrelin implant(登録商標))、ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標))、インターフェロンα 2a(Roferon A(登録商標))、インターフェロンα−2b(Intron A(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、レナリドミド(Revlimid(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、ロイコボリン(Wellcovorin(登録商標)、Leucovorin(登録商標))、酢酸ロイプロリド(Eligard(登録商標))、レバミゾール(Ergamisol(登録商標))、ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標))、メクロレタミン、窒素マスタード(Mustargen(登録商標))、酢酸メゲストロール(Megace(登録商標))、メルファラン、L−PAM(Alkeran(登録商標))、メルカプトプリン、6−MP(Purinethol(登録商標))、メスナ(Mesnex(登録商標))、メスナ(Mesnex tabs(登録商標))、メトトレキセート(Methotrexate(登録商標))、メトキサレン(Uvadex(登録商標))、マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標))、ミトタン(Lysodren(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、フェンプロピオン酸ナンドロロン(Durabolin−50(登録商標))、ネララビン(Arranon(登録商標))、ノフェツモマブ(Verluma(登録商標))、オプレルベキン(Neumega(登録商標))、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標))、パクリタキセル(Paxene(登録商標))、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(登録商標))、パリフェルミン(Kepivance(登録商標))、パミドロネート(Aredia(登録商標))、ペガデマーゼ(Adagen(Pegademase Bovine)(登録商標))、ペガスパルガーゼ(Oncaspar(登録商標))、ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標))、ペメトレキセド二ナトリウム(Alimta(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標))、ピポブロマン(Vercyte(登録商標))、プリカマイシン、ミトラマイシン(Mithracin(登録商標))、ポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標))、プロカルバジン(Matulane(登録商標))、キナクリン(Atabrine(登録商標))、ラスブリカーゼ(Elitek(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、サルグラモスチム(Leukine(登録商標))、サルグラモスチム(Prokine(登録商標))、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、マレイン酸スニチニブ(Sutent(登録商標))、タルク(Sclerosol(登録商標))、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、テニポシド、VM−26(Vumon(登録商標))、テストラクトン(Teslac(登録商標))、チオグアニン、6−TG(Thioguanine(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、トポテカン(Hycamtin(登録商標))、トレミフェン(Fareston(登録商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、トシツモマブ/I−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、トレチノイン、ATRA(Vesanoid(登録商標))、ウラシルマスタード(Uracil Mustard Capsules(登録商標))、バルルビシン(Valstar(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、ゾレドロネート(Zometa(登録商標))およびボリノスタット(Zolinza(登録商標))。
【0171】
最新の癌療法の広範にわたる論考については、http://www.nci.nih.gov/、FDAに認可された抗腫瘍薬のリストは、http://www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe.htmおよびThe Merck Manual、第17版、1999年を参照、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
別の実施形態は、調製品の組合せの同時使用、分離使用または逐次使用を提供する。
【0173】
そのような追加的な薬剤は、多剤投与計画の一部として、本キナーゼ阻害薬を含有する化合物または組成物とは別々に投与してもよい。あるいは、そのような薬剤は、単一の組成物中で本キナーゼ阻害薬と一緒に混合された、単一剤形の一部であってもよい。
【実施例】
【0174】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含めてある。当業者には、以下に記載の実施例中で開示される手法は、本発明の実践においてよく機能するように本発明者により見出された手法を代表するものであり、したがってその実践にとっての好ましい様式を構成するとみなすことができることは理解されるはずである。しかしながら、当業者は、本開示に照らせば、開示される具体的な実施形態において多くの改変を行うことができ、そうした改変もやはり本発明の精神および範囲から逸脱せずに同様または類似の結果を得ることは理解するはずである。
【0175】
本明細書で使用する場合、用語「Rt(分)」は、化合物に関するHPLCまたはLCMSの保持時間(単位は分)を指す。
【0176】
別に指示しない限り、報告される保持時間を得るために利用されるHPLC法は、以下のとおりである:
カラム:ACE C8カラム、4.6×150mm
勾配:0〜100%アセトニトリル+メタノール60:40(20mMトリスリン酸)
流速:1.5mL/分
検出:225nm。
【0177】
エレクトロスプレーイオン化を用いた単一MSモードにおいて操作されるMicroMass Quattro Micro質量分析計により、質量分析試料を分析した。クロマトグラフィーを用いて、質量分析計中に試料を導入した。質量分析による全ての分析のための移動相は、10mM、pH7の酢酸アンモニウムと1:1アセトニトリル−メタノール混合物とから成り、カラム勾配条件は、5%〜100%アセトニトリル−メタノールを用い、ACE C8 3.0×75mmカラム上で3.5分の勾配時間および5分の通液時間をかけるものであった。流速は、1.2ml/分であった。Bruker DPX400装置を用い、400MHzでH−NMRスペクトルを記録した。
【0178】
(実施例A1)
ステップ1:4,6−ジクロロ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン
【0179】
【化26】

0℃のジクロロメタン(500ml)中の4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(25g、0.13mol)の溶液にm−クロロ過安息香酸(74g、0.33mol)を40分間かけて加えた。この溶液を室温に温め、さらに4時間撹拌した。この混合物をジクロロメタン(750ml)で希釈してから、50% Na/NaHCO溶液、炭酸水素ナトリウム飽和溶液および鹹水で処理した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させてから真空中で濃縮させて、白色の固体としての標題の化合物を得た(26.75g、収率91%)。
H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 3.44(3H,s),8.43(1H,s); MS (ES) 229。
【0180】
ステップ2:N−(4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イルチオ)フェニル)−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド
【0181】
【化27】

アセトニトリル(250ml)中の4,6−ジクロロ−2−(メチルスルホニル)ピリミジン(8g、35mmol)および3,3,3−トリフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)プロパンアミド(8.7g、37mmol)の溶液を−10℃に冷却した。温度を−10℃に維持しながら、トリエチルアミン(4.9ml、35mmol)を20分かけて滴加した。一旦加えたら、この溶液を、その温度でさらに20分間撹拌してから室温に温め、150mlに濃縮した。この反応混合物に水(250ml)を加えた。濾過により固体を回収し、吸引により乾燥させた。このオレンジ色の固体を必要最少量の酢酸エチル中でスラリー化させた。濾過によりオフホワイトの固体を回収し、真空中で乾燥させた。このプロセスを繰り返して、より多くの固体を得た。このバッチを合わせて、所望の化合物を得た(7.9g、収率56%)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 3.59(2H,q),7.59(2H,d),7.70(2H,d),7.74(1H,s),10.58(1H,s); MS (ES) 383。
【0182】
この反応においては、3,3,3−トリフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)プロパンアミドの代わりに他のベンゼンチオールを使用してもよい。ベンゼンチオールを作製する方法は、当業者には公知である。本出願者らは、ベンゼンチオール中間体の数例を本明細書中に示してある(実施例S1からS3を参照)。
【0183】
ステップ3:N−(4−(4−クロロ−6−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イルチオ)フェニル)−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド
【0184】
【化28】

ジメチルホルムアミド(130ml)中のN−(4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イルチオ)フェニル)−3,3,3−トリフルオロプロパンアミド(14.2g、37mmol)、3−アミノ−5−メチルピラゾール(4g、41mmol)、ヨウ化ナトリウム(6.1g、41mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(19.3ml、0.11mol)の溶液を、90℃で18時間加熱した。この反応混合物を乾燥するまで濃縮させた。残留物を酢酸エチル中で再度溶解させ、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および鹹水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させてから真空中で濃縮させると、オレンジ色の泡を得た。残留物をジクロロメタン中でスラリー化させ、20分間超音波処理した。濾過により固体を回収した。このプロセスを繰り返し、より多くの純粋な生成物を得た。この純粋なバッチを合わせて、淡黄色の固体としての所望の生成物を得た(11.77g、収率72%)。
H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 1.96(3H,s),3.56(2H,q),5.26(1H,br s),6.49(1H,br s),7.59(2H,d),7.74(2H,d),10.21(1H,br s),10.57(1H,br s),11.90(1H,br s); MS (ES) 443。
【0185】
ステップ4:
式3の化合物を当業者に公知の方法によりNHRと合わせると、式Iの化合物がもたらされる。例えば、式3の化合物は、電子レンジまたは伝統的な熱浴のいずれかに入れ、式Iの化合物の入手が完了するまで、適当な溶媒(ジオキサンなど)中の過剰なNHRと共に加熱できる。
【0186】
式Iの化合物の調製において使用されるこのようなNHRアミンは、文献に記載された市販のもの(tert−ブチルピペリジン−4−イルアミンの合成については、Palmer, J.T.ら、J. Med. Chem.、2005年、48巻、7520頁を参照)であるか、または本明細書に記載のものと類似した手順により調製することもでき、そのいずれでもよい。
【0187】
アミン中間体:
スキームA
【0188】
【化29】

上のスキームAは、少なくとも1つのJ基が窒素原子を介してアゼチジンに結合しているN置換アゼチジンの調製のための一般的ルートを示すものである。保護されたアゼチジンA1を適当な条件下で適当な脱離基で活性化させてアゼチジンA2を形成し、アゼチジンA2を塩基性条件下でNHR(A3)で処理して、アミン置換アゼチジンA4を形成する。次に、アゼチジンA4を適当な窒素脱保護条件下で脱保護して、化合物A5を形成する。
【0189】
スキームB
【0190】
【化30】

上のスキームBは、少なくとも1つのJ基がORである(式中、Rは、HまたはC1〜6アルキルである)O置換アゼチジンの調製のための一般的ルートを示すものである。
【0191】
スキームC
【0192】
【化31】

スキームCは、4員のスピロ環アゼチジンの調製のための一般的ルートを示すものである。保護されたアゼチジノンC1をエチル−2−ブロモイソブチレートと合わせて化合物C2を形成する。次に、化合物C2をDiBALで脱保護して、化合物C3を形成する。次に、化合物C3を適当な条件下で環化して、スピロ環アゼチジンC4を形成する。次に、化合物C4を標準条件下で脱保護して、化合物C5を形成する。
【0193】
(実施例A2)
2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカンヒドロクロリド
【0194】
【化32】

ステップ1:tert−ブチル2−メチル−1−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート
【0195】
【化33】

ジクロロメタン(20ml)中の4−スピロ−[3−(N−メチル−2−ピロリジノン)]−ピペリジンヒドロクロリド(1.0g、5mmol)、ジ−tert−ブチルジカルボネート(1.4g、6mmol)およびトリエチルアミン(1.7ml、12mmol)の溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈してから、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および鹹水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させてから減圧下で濃縮させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で精製して、所望の化合物を得た(1.3g、収率99%)。
H NMR (DMSO D, 400 MHz) δ 1.26−1.35(2H,m),1.40(9H,s),1.52(2H,dt),1.91(2H,t),2.72(3H,s),2.83−2.98(2H,m),3.27(2H,t),3.77−3.87(2H,m)。
【0196】
ステップ2:tert−ブチル2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート
【0197】
【化34】

tert−ブチル2−メチル−1−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1.3g、4.84mmol)をテトラヒドロフラン(25ml)中に取り、0℃に冷却した。テトラヒドロフラン(15ml、15mmol)中のボラン1Mを滴加した。次に、この反応混合物を18時間加熱して還流させた。この反応を0℃に冷却し、メタノール(15ml)でクエンチしてから真空中で濃縮させて、所望の化合物を得た(1.23g、定量的な収率)。H NMR (CDOD, 400 MHz) δ 1.47(9H,s),1.50−1.60(4H,m),1.74(2H,t),2.37(3H,s),2.49(2H,s),2.66(2H,t),3.30−3.50(4H,m)。
【0198】
ステップ3:2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカンヒドロクロリド
【0199】
【化35】

当業者に公知の酸性の脱保護条件(例えば、MeOH中の1.25M HCl中で室温にて3時間撹拌してから真空中で濃縮させて所望の生成物を得る)により、tert−ブチル2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートから2−メチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカンヒドロクロリドを調製した。
【0200】
ベンゼンチオール:
(実施例S1)
【0201】
【化36】

N−(4−メルカプトフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
0℃に冷却したテトラヒドロフラン(1L)中の4−アミノチオフェノール(65.02g、520mmol)の溶液に、トリエチルアミン(160.6ml、1.14mol)を加えた。シクロプロパンカルボン酸クロリド(103.7ml、1.14mol)を滴加し、温度を10℃未満に維持した。この反応混合物を0℃で20分間撹拌してから、室温まで1時間温めた。固体を濾過して取り除き、濾液を真空中で濃縮させた。
【0202】
残留物を、エタノール(375ml)中の水酸化ナトリウム(65.02g、1.63mol)および水(625ml)で処理した。この反応混合物を、100℃まで1時間加熱し、減圧下で濾過および濃縮させた。残留物を水で希釈し、セライトの通路を通して濾過した。この濾液を高濃度の塩素酸で酸性化し、その結果得られる固体を濾過した。この固体を、酢酸エチル(3.75L)中で溶解させ、鹹水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させてから真空中で濃縮させて、標題の化合物を得た(86.3g、収率86%)。H NMR (DMSO D, 300 MHz) 0.76−0.85(4H,m),1.76(1H,m),5.19(1H,s),7.23(2H,d),7.5(2H,d),10.18(1H,s); MS (ES) 194。
【0203】
(実施例S2)
【0204】
【化37】

N−(4−メルカプトフェニル)プロピオンアミド
ステップ1:N,N’−(4,4’−ジスルファンジイルビス(4,1−フェニレン))ジプロピオンアミド
【0205】
【化38】

0℃に冷却したジクロロメタン(600ml)中のビス−(4−アミノフェニル)ジスルフィド(26g、0.10mmol)およびトリエチルアミン(42ml、0.30mol)の溶液に、塩化プロピオニル(18.3ml、0.21mol)を加えた。この反応混合物を0℃で5分間撹拌してから、室温まで1時間温めた。この時間中に、白色の沈殿物が形成された。この反応混合物を、体積が半分になるまで濃縮させ、白色の固体を濾過して取り除き、これを少量のジクロロメタンで洗浄した。この濾液を再度部分濃縮させ、残っている白色の固体を濾過して取り除き、これを洗浄した。固体の2バッチを合わせた(32.4g、収率90%)。MS (ES) 361, (ES) 359.
ステップ2:N−(4−メルカプトフェニル)プロピオンアミド
【0206】
【化39】

0℃に冷却した水(4ml)とジメチルホルムアミド(25ml)との混合物中のN,N’−(4,4’−ジスルファンジイルビス(4,1−フェニレン))ジプロピオンアミド(4g、11.1mmol)およびトリエチルアミン(1.67ml、11.99mmol)の溶液に、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP.HCl、3.66g、12.77mmol)を加えた。この反応混合物を室温に温めてから室温で90分間撹拌した。この反応混合物を水(100ml)で希釈すると、所望の生成物の沈殿が生じた。濾過により白色の固体を単離し、これを水で洗浄した。この固体を酢酸エチル中で溶解させ、硫酸マグネシウム上で乾燥させてから真空中で濃縮させて、白色の固体としての標題の化合物を得た(3.13g、収率78%)。H NMR (DMSO D, 400 MHz) 1.07(3H,t),2.29(2H,q),5.24(1H,s),7.21(2H,d),7.48(2H,d); MS (ES) 182, (ES) 180。
【0207】
(実施例S3)
3,3,3−トリフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)プロパンアミド
【0208】
【化40】

ステップ1:S−4−(3,3,3−トリフルオロプロパンアミド)フェニル3,3,3−トリフルオロプロパンチオエート
【0209】
【化41】

4−アミノチオフェノールを融解させ、フラスコに入れる。脱気したEtOAc(1950mL)を加えた。次に、脱気したHO(1300vol)中のKCO(92g、670mmol)の溶液を加えた。この溶液を0℃に冷却し、3,3,3−トリフルオロプロパノイルクロリド(55.2g、600mmol)をゆっくり加えて、温度を10℃未満に維持した)。次に、この反応を室温に温めた。有機層を分離し、鹹水(1300mL)で洗浄した。次に、この有機層を回転式蒸発装置により濃縮させた。この固体をヘプタン/EtOAc(390mL/390mL)中で30分間スラリー化させた。次に、ヘプタン(780mL)を加え、スラリーを0℃まで30分間冷却した。スラリーを濾過し、濾過ケーキを真空下で乾燥させて、所望の化合物を得た(51.3g、87.2%)。
【0210】
ステップ2:3,3,3−トリフルオロ−N−(4−メルカプトフェニル)プロパンアミド
【0211】
【化42】

S−4−(3,3,3−トリフルオロプロパンアミド)フェニル3,3,3−トリフルオロプロパンチオエート(44.8g、189mmol)およびEtOH(70mL)をフラスコに入れる。高濃度のHCl(22.5mL)をゆっくり加えて、温度を30℃未満に維持する。次に、この反応を50℃まで17.5時間加熱する。50℃での真空蒸留により、この反応混合物を41mLに減らす。この反応を室温に冷却し、H2O(51mL)を加える。スラリーを濾過し、濾過ケーキをH2O(3×35mL)で洗浄する。この固体を真空下で乾燥させて、所望の化合物を生じさせる(19.9g、58%)。
【0212】
スキームS
【0213】
【化43】

上のスキームSは、式Iの化合物(式中、RはNHC(O)Rである)の調製のための一般的ルートを示すものである。S1の化合物をピリジンの存在下で適当な酸塩化物(式中、X”はClである)と合わせて中間体化合物を形成し、この中間体化合物をナトリウムメトキシドおよびメタノールの存在下で混合して、式S2の化合物を形成する。いくつかの実施形態では、X”はOHであってもよく、この場合、適当な酸カップリング試薬を用いて、酸をアミンにカップリングする。適当な酸カップリング試薬の例としては、EDC、DCIおよびHOBTが挙げられるが、これらに限定されない。このようなカップリング反応に適した溶媒としては、THF、CHClおよびジオキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
下の表2は、参考文献、スキームおよび本明細書中に示す実施例に記載の方法により作製されるある種の例証的な化合物のデータを示すものである。化合物の番号は、表1に示すその数字の化合物に対応する。
【0215】
【表2−1】

【0216】
【表2−2】

【0217】
【表2−3】

【0218】
【表2−4】

【0219】
【表2−5】

(実施例1)
オーロラBのオフ速度およびKiの定量
放射性リン酸取込アッセイ(Pitt and Lee、J. Biomol. Screen.、(1996年)、1巻、47頁)を用いて、オーロラBペプチド基質のリン酸化を測定した。アッセイ緩衝液は、25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSA、10%グリセロールおよび1mM DTTの混合物から成るものであった。このアッセイにおける最終基質濃度は、1.2mM ATP(8×Km)(Sigma Chemicals)および0.8mMペプチド(Kemptide[LRRASLG]、Bachem(UK)Ltd.、St.Helens、UK)であった。アッセイは、50nCi/μLの[γ−33P]ATP(Perkin Elmer、Beconsfield、UK)の存在下、25℃、25nMオーロラBで実施した。
【0220】
ATPおよびペプチドの構成物を含有する緩衝液をアッセイするための速やかな希釈および混合に先立ち、オーロラBと、テスト化合物を含有するDMSOストックとを、最終アッセイ濃度の20倍のアッセイ緩衝液中で25℃にて30分間インキュベートした。典型的に、テスト化合物の最終アッセイ濃度は、150nMから0nMの範囲であった。
【0221】
反応は、150mMリン酸50μLの添加により、多様な時点で(典型的には0から150分の範囲の間隔で)停止させた。全てのアッセイを3回実施した。反応混合物(45μL)の添加に先立ち、ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore、Cat番号MAPHNOB)を100mMリン酸200μLで洗浄した。洗浄ステップ(100mMリン酸200μL×4回)に先立ち、少なくとも30分間、そのスポットを浸したままにした。乾燥後、Optiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer、Beconsfield、UK)100μLを、シンチレーションカウント(1450Microbeta Liquid Scintillation Counter、Perkin Elmer、Beconsfield、UK)に先立ち、ウェルに加えた。
【0222】
全てのデータ分析は、Prism4.0(Graphpad Software Inc.)を用いて実施した。
【0223】
阻害薬濃度の増加に伴う関数としてプロットした初速度データの非線形回帰分析から、Kiを定量した。典型的に、初速度データはATPとの酵素反応の開始後の最初の10分から定量した。強結合阻害薬のためのMorrison等式(Morrison、Biochim. Biophys. Acta、(1969年)、185巻、269頁)を用いて、データを分析した。
【0224】
obs(基質添加に伴う酵素反応の開始に続く、酵素活性の回復の見かけ上の一次速度定数)を、等式:
【0225】
【数1】

[式中、vおよびvは、反応の初速度および定常状態速度であり、γは、
【0226】
【数2】

(式中、vは阻害薬の不在下での初速度であり、Kiは2段階の結合過程全体についての平衡定数であり、[E]および[I]は、それぞれ酵素および阻害薬の総濃度を指す)、および
【0227】
【数3】

により与えられる]
を用いて時間(t)の増加に伴う関数としてプロットした酵素活性(生成物濃度[P]により測定したもの)の非線形回帰分析により測定した(Copeland、Enzymes:A Practical Introduction to Structure, Mechanism, and Data Analysis、第2版、(2000年)、Wiley−VCH、等式10.5から10.7)。
【0228】
阻害薬濃度の増加に伴う関数としてkobsをプロットすることにより、阻害の機序(1段階対2段階)をグラフにより定量した。2段階の機序(kobsと[I]との間の非線形的な関係)を示した化合物については、等式:
【0229】
【数4】

(式中、Ki(=k/k)は、最初の衝突複合体の形成についての平衡定数であり、[S]は、化合物が競合する基質(ATP)濃度であり、Kmは、その基質についてのHenri−Michaelis−Menten定数である)を用いたkobs対[I]の非線形回帰分析により、正および逆の速度定数(それぞれ、k5およびk6)を定量した。
【0230】
全体の阻害定数Kiは、
【0231】
【数5】

として定義される(Kapoorら、Biochem. J.、(2004年)、381巻、719頁、等式3および4)。
【0232】
(実施例2)
オーロラBのKi定量
放射性リン酸取込アッセイ(Pitt and Lee、J. Biomol. Screen.、(1996年)、1巻、47頁)を用いて、オーロラBペプチド基質のリン酸化を測定した。アッセイ緩衝液は、25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSA、10%グリセロールおよび1mM DTTの混合物から成るものであった。このアッセイにおける最終基質濃度は、1.2mM ATP(8×Km)(Sigma Chemicals)および0.8mMペプチド(Kemptide[LRRASLG]、Bachem(UK)Ltd.、St.Helens、UK)であった。アッセイは、50nCi/μLの[γ−33P]ATP(Perkin Elmer、Beconsfield、UK)の存在下、25℃、25nMオーロラBで実施した。
【0233】
ATPおよびペプチドの構成物を含有する緩衝液をアッセイするための速やかな希釈および混合に先立ち、オーロラBと、テスト化合物を含有するDMSOストックとを、最終アッセイ濃度の20倍のアッセイ緩衝液中で25℃にて40分間インキュベートした。典型的に、テスト化合物の最終アッセイ濃度は、400nMから0nMの範囲であった。
【0234】
反応は、150mMリン酸50μLの添加により、0分および10分の時点で停止させた。全てのアッセイを3回実施した。反応混合物(45μL)の添加に先立ち、ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore、Cat番号MAPHNOB)を100mMリン酸200μLで洗浄した。洗浄ステップ(100mMリン酸200μL×4回)に先立ち、少なくとも30分間、そのスポットを浸したままにした。乾燥後、Optiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer、Beconsfield、UK)100μLを、シンチレーションカウント(1450Microbeta Liquid Scintillation Counter、Perkin Elmer、Beconsfield、UK)に先立ち、ウェルに加えた。データ分析は、Prism4.0(Graphpad Software Inc.)を用いて実施した。
【0235】
阻害薬濃度の増加に伴う関数としてプロットした初速度データの非線形回帰分析から、Kiを定量した。初速度データは、ATPとの酵素反応の開始後の最初の10分から定量した。強結合阻害薬のためのMorrison等式(Morrison、Biochim. Biophys. Acta、(1969年)、185巻、269頁)を用いて、データを分析した。
化合物1〜36は、Ki/Ki値が>3であることが見出された。
【0236】
(実施例3)
オーロラBのKi定量
放射性リン酸取込アッセイ(Pitt and Lee、J. Biomol. Screen.、(1996年)、1巻、47頁)を用いて、オーロラBペプチド基質のリン酸化を測定した。アッセイ緩衝液は、25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSA、10%グリセロールおよび1mM DTTの混合物から成るものであった。このアッセイにおける最終基質濃度は、0.8mM ATP(約5×Km)(Sigma Chemicals)および0.8mMペプチド(Kemptide[LRRASLG]、Bachem(UK)Ltd.、St.Helens、UK)であった。アッセイは、7nCi/μLの[γ−33P]ATP(Perkin Elmer、Beconsfield、UK)の存在下、25℃、25nMオーロラBで実施した。
【0237】
ATPを含有するアッセイ緩衝液を用いての開始に先立ち、オーロラBと、ペプチドと、テスト化合物を含有するDMSOストックとを、最終アッセイ濃度の約2倍のアッセイ緩衝液中で25℃にて最大10分間インキュベートした。典型的に、テスト化合物の最終アッセイ濃度は、10μMから0μMの範囲であった。
【0238】
反応は、150mMリン酸50μLの添加により、0分および180分の時点で停止させた。全てのアッセイを2回実施した。反応混合物(45μL)の添加に先立ち、ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore、Cat番号MAPHNOB)を100mMリン酸200μLで洗浄した。洗浄ステップ(100mMリン酸200μL×4回)に先立ち、少なくとも30分間、そのスポットを浸したままにした。乾燥後、Optiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer、Beconsfield、UK)100μLを、シンチレーションカウント(1450Microbeta Liquid Scintillation Counter、Perkin Elmer、Beconsfield、UK)に先立ち、ウェルに加えた。
【0239】
データ分析は、Prism4.0(Graphpad Software Inc.)を用いて実施した。
【0240】
阻害薬濃度の増加に伴う関数としてプロットした速度データの非線形回帰分析から、Kiを定量した。初速度データはATPとの酵素反応の開始を分析した後の最初の180分から定量した。強結合阻害薬のためのMorrison等式(Morrison、Biochim. Biophys. Acta、(1969年)、185巻、269頁)を用いて、データを分析した。
【0241】
(実施例4)
オーロラ2(オーロラA)阻害アッセイ
標準的な共役酵素アッセイ(Foxら、Protein Sci.、(1998年)、7巻、2249頁)を用いて、オーロラ2を阻害する能力について化合物をスクリーニングした。アッセイは、100mM Hepes(pH7.5)、10mM MgCl、1mM DTT、25mM NaCl、2.5mMピルビン酸ホスホエノール、300μM NADH、ピルビン酸キナーゼ30μg/mlおよび乳酸デヒドロゲナーゼ10μg/mlの混合物中で実施した。このアッセイにおける最終基質濃度は、400μM ATP(Sigma Chemicals)および570μMペプチド(Kemptide、American Peptide、Sunnyvale、CA)である。アッセイは、40nMオーロラ2の存在下で30℃にて実施した。
【0242】
上に掲載した試薬(オーロラ2および関心のあるテスト化合物を除く)を全て含有するアッセイストック緩衝溶液を調製した。このストック溶液55μlを96ウェルプレート中に入れ、次いで、テスト化合物の段階希釈(典型的に最終濃度7.5μMから開始する)を含有するDMSOストック2μlを添加した。プレートは、30℃で10分間プレインキュベートし、オーロラ2 10μlの添加により反応が開始した。Molecular Devices SpectraMax Plusプレートリーダーを用いて、10分の時間経過に従う反応の初速度を定量した。Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Prism version3.0cx for Macintosh、GraphPad Software、San Diego、California、USA)を用いた非線形回帰分析から、IC50およびKiのデータを計算した。
【0243】
(実施例5)
オーロラ1(オーロラB)阻害アッセイ(放射測定による)
25mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、0.1%BSAおよび10%グリセロールから成るアッセイ緩衝溶液を調製した。1.7mM DTTおよび1.5mM Kemptide(LRRASLG)も含有する22nMオーロラB溶液をアッセイ緩衝液中で調製した。96ウェルプレート中に入ったこのオーロラB溶液22μLにDMSO中の化合物ストック溶液2μlを加え、この混合物を25℃で10分間平衡化させた。アッセイ緩衝液中で調製したストック[γ−33P]−ATP溶液(約20nCi/μL)16μlの添加により酵素反応が開始され、最終アッセイ濃度は800μMとなった。500mMリン酸16μLの添加により反応を3時間後に停止させ、以下の方法によりペプチド基質中への33P取込レベルを定量した。
【0244】
酵素反応混合物(40μL)の添加に先立ち、ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore、Cat番号MAPHNOB50)を100mMリン酸100μLで前処理した。ホスホセルロース膜上にこの溶液を30分間浸したままとし、次いでプレートを100mMリン酸200μLで4回洗浄した。乾燥したプレートの各ウェルに、Optiphase「SuperMix」液体シンチレーションカクテル(Perkin Elmer)30μLを、シンチレーションカウント(1450Microbeta Liquid Scintillation Counter、Wallac)に先立ち加えた。[γ−33P]−ATP溶液の添加に先立ち、500mMリン酸16μLを、全てのアッセイ成分(酵素を変性させるように作用する)を含有する対照ウェルに加えることにより、酵素で触媒されていないバックグラウンド放射能のレベルを定量した。各阻害薬濃度で測定されたものから平均のバックグラウンド計数を引くことにより、酵素触媒された33P取込レベルを計算した。各Ki定量について、8つのデータ点(典型的に濃度範囲0〜10μMの化合物をカバーする)を2組得た(10mMの最初の化合物ストックからDMSOストックを調製し、次いで1:2.5の段階希釈を行った)。Prismソフトウェアパッケージ(Prism3.0、GraphPad Software、San Diego、CA)を用いた非線形回帰により、初速度データからKi値を計算した。
【0245】
【表3】

参考文献
WO2002/057259
WO2004/000833
WO2007/056221
WO2007/056163
WO2007/056164
本明細書中で開示および特許請求される組成物および/または方法は全て、本開示に照らせば過度の実験作業を行わなくても作製および実行できる。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態に関して記載してあるが、本発明のコンセプト、精神および範囲から逸脱せずに、この組成物および/または方法に、ならびに、本明細書に記載の方法のステップまたはステップの順序において、変化を加えることができることは当業者には自明であろう。より具体的には、化学的および生理学的両方に関連するある種の薬剤を本明細書に記載の薬剤に置き換えても同様または類似の結果に達すると考えられることは自明であろう。当業者に自明のそのような類似の代替物および変形は全て、添付の特許請求の範囲により定義する本発明の精神、範囲およびコンセプト内にあるものとみなされる。
【0246】
本明細書を通じて言及してある参考文献は、それらが本明細書中に記載のものへの補足となる例証的な手順上の詳細または他の詳細を提供する範囲で、参照により本明細書中に全て具体的に組み込まれる。
【0247】
本発明者らは本発明のいくつかの実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な実施例を変化させて、本発明の化合物、方法およびプロセスを利用する他の実施形態を提供できることは自明である。したがって、本発明の範囲は、本明細書中の実施例により表してきた具体的な実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲により定義されるべきであることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップa)またはb)を含む、細胞活性を有するオーロラB阻害薬を選択する方法であって、
a)
1)オーロラBキナーゼのヒンジ領域に水素結合し、
2)前記オーロラBキナーゼの第1の疎水性ポケットと親油性相互作用し、このとき、前記第1の疎水性ポケットが、式I:
【化44】

(式中、
は、−NHC(O)R、ORであるか、または2つのR基が一緒になって縮合フェニル環を形成し、
は、CHCH、CHCF、CHCHCF
【化45】

、または、ハロ、CFもしくはC1〜3アルキルで場合により置換されているフェニルであり、
は、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルである)
の化合物のS−フェニル部分により占められる空間であり、および
3)閉鎖型の立体配座をとっている前記オーロラBキナーゼの第2の疎水性ポケットと親油性相互作用または水素結合相互作用し、このとき、前記第2の疎水性ポケットが、式Iの化合物の6位により占められる空間である
阻害薬を同定するステップ、または
b)Kiを定量し、
Kiを定量し
化合物のKi/Kiが3を超えている場合に前記化合物を選択するステップ
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)のみを用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
親油性相互作用または水素結合相互作用する前記阻害薬を同定するステップが、テスト化合物の三次元構造を、式Iの化合物の6位から伸びる親油性基および非共有電子対を含む式Iに基づくファーマコフォアであり、前記親油性基(疎水基)の中心が前記6位から4〜8Å伸びて面の0〜4Å上または下に位置し、前記非共有電子対の位置が前記6位から3〜8Å伸びて前記面の0〜4Å上または下に位置し、前記疎水基が占める体積が70〜120Åであるファーマコフォアの三次元構造と比較するステップと、前記テスト化合物が前記ファーマコフォアの特徴に適合すれば前記テスト化合物を選択するステップとにより行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
親油性相互作用または水素結合相互作用する前記阻害薬を同定するステップが、
a)式Iの化合物の6位、親油性基および非共有電子対の間の距離を反映するファーマコフォアを同定することにより、前記オーロラキナーゼの前記第2の疎水性ポケットの原子モデルを用意するステップ、
b)小分子の原子モデルのライブラリーに照らして前記ファーマコフォアをスクリーニングするステップ
により行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)のみを用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)およびb)を両方用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、ステップa)およびb)の両方の要件を満たす場合にのみ選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
テスト化合物およびオーロラキナーゼをプレインキュベートするステップと、
アッセイ混合物の速やかな希釈のステップと、
時間経過にわたりKiを定量するステップと
を含む、Kiを定量する方法。
【請求項9】
前記時間経過が、0〜150分の間隔の多様な時点を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記テスト化合物の最終アッセイ濃度が150nMから0nMの範囲である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
初速度データが、ATPとの酵素反応の開始後最初の10分から定量される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記テスト化合物の最終アッセイ濃度が400nMから0nMの範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Kiを請求項8から12のいずれか一項により得る、請求項1、3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法により選択される化合物であって、ただし、表1に記載の以下の化合物:化合物1〜2、7、11〜22、24〜32または34〜35の1つではない化合物。
【請求項15】
以下の化合物:3〜6、8〜10、23または36から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
以下の化合物:3〜6、8〜10、23、33または36から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
オーロラキナーゼを阻害するために有効な量の請求項14から16のいずれか一項に記載の化合物、または薬学上許容されるその塩、誘導体もしくはプロドラッグ、および許容される担体、佐剤またはビヒクルを含む組成物。
【請求項18】
患者への投与のために製剤される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
生体試料におけるオーロラタンパク質キナーゼの活性を阻害する方法であって、前記生体試料を請求項14から16のいずれか一項に記載の化合物と接触させるステップを含む方法。
【請求項20】
患者における増殖性障害を治療する方法であって、請求項14から16のいずれか一項に記載の化合物、または薬学上許容されるその塩を前記患者に投与するステップを含む方法。
【請求項21】
前記増殖性障害が癌である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記増殖性障害が、メラノーマ、骨髄腫、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、または、結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、中枢神経系(CNS)癌、腎癌、前立腺癌、膀胱癌、膵臓癌、脳腫瘍(神経膠腫)、頭部および頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、メラノーマ、肉腫または甲状腺癌から選択される癌から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
別の治療剤の逐次投与または同時投与をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記治療剤が、タキサン、bcr−abl阻害薬、EGFR阻害薬、DNA損傷剤および代謝拮抗薬から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記治療剤が、パクリタキセル、Gleevec、ダサチニブ、ニロチニブ、Tarceva、Iressa、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、アントラサイクリン、AraCおよび5−FUから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記治療剤が、カンプトテシン、ドキソルビシン、イダルビシン、シスプラチン、Taxol、Taxotere、ビンクリスチン、Tarceva、MEK阻害薬、U0126、KSP阻害薬、ボリノスタット、Gleevec、ダサチニブおよびニロチニブから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
式I
【化46】

の化合物の6位から伸びる親油性基および非共有電子対を含むファーマコフォアであって、
前記親油性基(疎水基)の中心が前記6位から4〜8Å伸びて面の0〜4Å上または下に位置し、前記非共有電子対の位置が前記6位から3〜8Å伸びて前記面の0〜4Å上または下に位置し、前記疎水基が占める体積が70〜120Åであるファーマコフォア。
【請求項28】
前記疎水基が前記6位から4〜6Å伸びて前記面の0〜2Å上または下に位置し、前記非共有電子対の位置が前記6位から3〜6Å伸びて前記面の0〜2Å上または下に位置し、前記疎水基が占める体積が80〜110Åである、請求項27に記載のファーマコフォア。
【請求項29】
前記疎水基が前記6位から4〜5Å伸びて前記面の0〜2Å上または下に位置し、前記非共有電子対の位置が前記6位から4〜5Å伸びて前記面の0〜2Å上または下に位置し、前記疎水基が占める体積が80〜100Åである、請求項28に記載のファーマコフォア。
【請求項30】
疎水基が、ピペラジン、ピペリジン、アゼチジン、ピロリジン、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール、ピロリジン、または、最大3つのCH基が−NH−、−NHCO−もしくは−CONH−で置換されているC〜Cアルキリデン鎖から選択されるリンカーLによりピリミジンに連結される、請求項27から29のいずれか一項に記載のファーマコフォア。
【請求項31】
前記疎水基が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルから選択されるC〜C炭素環;フェニル環;オキセタン、ピロリジンもしくはピペリジンから選択されるC〜C複素環;または、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルから選択される分枝または非分枝型のC〜Cアルキル鎖から選択される環の一部であって、前記炭素環、フェニル環、複素環またはアルキル鎖が、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシおよびハロで場合により置換されている、請求項30に記載のファーマコフォア。
【請求項32】
前記非共有電子対が、窒素、酸素またはハロに由来する、請求項27から31のいずれか一項に記載のファーマコフォア。
【請求項33】
請求項27から32のいずれか一項に記載のファーマコフォアの特徴を有するが、ただし、表1に記載の以下の化合物:化合物1〜2、7、11〜22、24〜32、または34〜35の1つではない化合物。
【請求項34】
が、−NHC(O)R、ORであるか、または2つのR基が一緒になって縮合フェニル環を形成し、
が、CHCH、CHCF、CHCHCF
【化47】

、または、ハロ、CFもしくはC1〜3アルキルで場合により置換されているフェニルであり、
が、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
が−NHC(O)Rであり、Rが、CHCH、CHCF、CHCHCF
【化48】

であり、Rが、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
請求項27から32のいずれか一項に記載のファーマコフォアを用いることによりオーロラBキナーゼ阻害薬を設計する方法。
【請求項37】
前記ファーマコフォアへの化合物の適合を評価するためのモデル化のステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
Ki/Ki比が>3である化合物を選択するステップを含む、さらなる評価のためにオーロラBキナーゼ阻害薬を優先順位付けする創薬法。
【請求項39】
請求項27から32のいずれか一項に記載のファーマコフォアへの化合物の適合を評価するためのモデル化のステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が、以下の基準:
1)前記化合物のKi/Ki比が>3である、
2)前記化合物が前記ファーマコフォアに適合する
の一方または両方を満たす場合に前記化合物を選択するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。

【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図1−9】
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【図1−10】
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【図1−11】
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【図1−12】
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【図1−13】
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【図1−14】
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【図1−15】
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【図1−16】
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【図1−17】
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【図1−18】
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【図1−19】
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【図1−20】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図1−1】
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【図1−21】
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【公表番号】特表2010−524962(P2010−524962A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504245(P2010−504245)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/060635
【国際公開番号】WO2008/131103
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】