説明

カプロラクタム系組成物、不浸透性要素の製造プロセスおよびタンク

【課題】本発明は、不浸透性で密封性がありタイトな容器を製造するために使用することができる組成物、不浸透性容器を製造するためのプロセス、およびタンクに関する。
【解決手段】本発明の組成物は、組成物の総重量に対して重量%で:70%〜90%のモノマー(I);0.1%〜1%の活性化剤(II)、ここで、Rは、nが1〜10から選ばれる整数であるC2n+2;−OH;nが1〜10から選ばれる整数である−OC2n+2;および、−NHR’(ここでR’は、nが1〜10から選ばれる整数であるC2n+2またはアミン官能基)、からなる群から選択される;2%〜6%の触媒(III)、ここで、Xは、MgBr、MgI、Li、およびNaから選択される;および10%〜20%の添加剤(IV)とを含む。上記(I),(II)、(III)、および(IV)は下記の通り。


この組成物は、例えばIV型タンクまたは油圧アキュムレータの製造に使用できる流体に対して不浸透性の要素、例えば不浸透性容器を例えば製造するのに使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカプロラクタムまたはポリアミドPAー6からなる不浸透性要素(シーリング要素)の製造、例えば、流体、特に加圧ガスに対して不浸透性でタイトな容器(シーリング容器)の製造に使用可能な組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、不浸透性でタイトな容器(シーリング容器)を製造するプロセスおよびこのプロセスにより得ることのできる(獲得可能な)タンク、貯留槽に関する。
【0003】
本発明の不浸透性でタイトなシーリング容器は、例えば、IV型タンクまたは油圧アキュムレータの製造に使用することができる。複合IV型タンクは、その中に保存されたガスの圧力が一般的に10から10Paであるタンクである。従って、その構造は、一方では保存ガスに対して不浸透性であり、他方ではこれらのガスの保存圧力に耐えるように設計されており、複合IV型タンクは、内側容器すなわちガスに対して不浸透性でライナーとしても知られる空気袋と、通常炭素繊維および熱硬化性樹脂から構成される外側補強構造とを具備する。
【0004】
本発明は、例えば低温燃料電池(例えば、プロトン交換膜燃料電池すなわちPEMFC)の製造において応用される。
【0005】
以下の説明において、角括弧([ ])間の参照番号は、実施例後に与えられる参照番号を指す。
【背景技術】
【0006】
IV型タンクは、最初天然ガスを保存するためにポリエチレンライナーを用いて1990年代に開発され、最近では、1997年以降主に水素保存用に開発された。
【0007】
現在使用されている熱可塑性ライナーの大部分は、通常高密度(HDPE)で、時には架橋(XHDPE)されていることもある、ポリエチレン(PE)から構成される。また、本来ポリエチレンより優れたガスバリア特性を有するという理由から、PA−6、PA−12、あるいはPA−11タイプのポリアミド(PA)タイプ(通常、「ナイロン」TMとして知られる)の別の熱可塑性プラスチックも使用される。最後に、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)、またはエチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるバリア層を有する多層溶液などの他のタイプのより技術的な熱可塑性プラスチックが、良好なガスバリア特性を有するという理由から使用される。これらの熱可塑性プラスチックは、文献[1]および[2]に記述されている。
【0008】
大抵の場合、これらのライナーは、溶融状態で熱可塑性プラスチックを回転成形または押し出し成形および/またはブロー成形することにより得られる。従って、文献[3]では、熱可塑性ライナーは、好ましくは高密度または中密度ポリエチレンを使用して押し出し―ブロー成形または回転成形することにより得られることが述べられている。文献[4]では、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリアミドからなる不浸透性ライナーは、回転成形により得られる。文献[5]では、ナイロン11ライナーは、回転成形により製造されると規定している。文献[6]では、ライナーは、押し出し成形、ブロー成形または回転成形される熱可塑性プラスチックから得られると述べられている。文献[7]および[8]では、熱可塑性ライナーは、押し出し成形、ブロー成形または回転成形により成型してもよいと述べられている。
【0009】
射出成型は、技術的制限や、プレスおよび成型コストから、ほとんど用いられない。その理由は、不浸透性ライナーは、最高150リットルの内容積を有することがあり、厚さも数センチメートルになることがあるからである。熱成型は、ほとんど用いられない。ただし、このような不浸透性のライナーを製造するのに熱成形を使用することは、技術的に可能である。
【0010】
溶融熱可塑性プラスチックを回転成形する現在の技術は、特別な利点を有する。その理由は、この技術が、下記のことを可能にするからである。
・150リットルまたはそれを超える大型のパーツを製造することができる。
・1個以上のソケット(ライナーにガスを充填することおよび空にすることを可能にするパイプを接続する)を挿入できること、およびこのことがプロセスに続く接着操作なしにできる。
・厚い均質な不浸透性ライナーを提供する。
【0011】
フランス・回転成形協会(Association Francaise de Rotomoulage、AFR)のウエブサイト[9]には、熱可塑性プラスチックの溶融による回転成形手順が述べられている。
【0012】
これらのすべてのプロセスにおいては、熱可塑性プラスチックは、所望のライナー形状に成型するために溶融し、型から出す前に冷却しなければならない。ライナーの数多くの欠点、特にネットワークの形成、不溶融物または微小気孔および熱可塑性プラスチックの酸化はこの溶融に由来する。これらの欠点は、最終的なライナーのシーリング性能を低下させ、従って、タンクの性能を悪化させる。さらに、回転成形の場合、ソケットをライナーに接着する必要がない場合でも、ソケットの形状にぴったり合うには溶融熱可塑性プラスチックの流動性が不十分なため、ソケットとライナー間のシーリングは必ずしも十分ではない。さらに、上記材料の化学的劣化を発生させることなしに、温度を上げて溶融物のこの流動性を増加させることはできない。また、使用するプロセスには多くの時間が掛かるが、この時間はライナーを成型した後の材料冷却時間、特に型の慣性によりさらに延長される。
【0013】
ポリアミド6(PA−6)は、そのガス特に水素に対するバリア特性と−40℃〜+100℃の広い温度範囲の機械特性との間の妥協点を考慮すると、不浸透性のライナーの製造にもっとも有利に見える熱可塑性プラスチックであるが、残念なことに、PA−6は、熱可塑性プラスチックを成型するための他の技術の場合と同様に所望の形にするためには223℃を超える温度で溶融する必要があるため、回転成形には不向きである。また、ポリマーの冷却時間は比較的長い。さらに、この溶融は、タンクの最終的な性能を損ねる、上述の欠点をもたらす。さらに回転成形に適したグレードを有するすなわち粉末水分含量が低く、低粘度、適した分子量、適した耐酸化物等を有する、例えばPA−6などの熱可塑性プラスチックの開発は、これらのすべての欠点の解決を可能にするものではない。さらに、例えば窒素条件下の回転成形、制御冷却、サイクル時間の短縮などの回転成形マシンの技術の開発は、これらのすべての欠点の解決を可能にするものではない。それは、PA−6の溶融工程は、例えばPA−6の溶融が220℃付近で始まってから、時には融点を40℃超えることもあるプロセス温度とともに、溶融PA−6は5分ないし15分間その融点超に維持しなければならないので、化学的に劣化しやすいからである。
【0014】
文献[10]から[15]は、現在の技術状況、進行中の開発、特に熱可塑性プラスチック、および燃料電池用途用IV型タンクの開発の実施状況を示す。
【0015】
しかし、これらの文献はどれも、例えば10ないし10Paの圧力で加圧された流体に対して不浸透性の要素または容器、またそれらの製造についても触れていない。また、これらの文献で述べている組成物は、例えば、IV型タンクを製造するための十分な機械的特性および加圧ガスに対するバリア特性を有する不浸透性要素または不浸透性容器を得ることを可能にするものではない。
【0016】
ポリアミド6を得るための重合には、主として2種類:加水分解重合とアニオン重合がある。加水分解重合は、反応性回転成形には使用できない。
【0017】
文献[16]、[17]および[28]ないし[32]には、回転型内でアニオン重合によりポリアミドまたはコポリアミドから成型される物体を製造することを可能にするカプロラクタム組成物が記述されている。ポリマーは、回転型内でインシトゥ(in situ)重合で形成される。従って、これは反応性回転成形という。
【0018】
しかし、これらの文献で述べられているカプロラクタム組成物は、数多くの前述した問題の真に満足する解決策を提供するものではない。また、機械特性および/またはガスバリア特性を改善するために、核形成剤(シリカタイプ充填材、例えばマイクロタルク)、可塑剤(例えばフタレート)または弾性ユニット(ポリマーアロイを得るため)を添加する必要がある。これらの添加は、容器の製造時間、コストを増大させる。さらに、この混合物は、製造するには複雑であり、混合物の均一性を得るのは困難である。
【0019】
従って、従来技術のこれらの欠陥、欠点および障害を克服する組成物に対する真の必要性があり、特に製造時間の制御、コストの削減、ならびに製造した容器のガスバリア特性、特に水素に対するガスバリア特性、および機械特性、特に低温弾性変形の改善を可能にし、かつIV型タンク用不浸透性ライナーとしての使用できる容器を得ることを可能にする組成物に対する必要性がある。
【0020】
この組成物は、例えば3.5×10Paから7×10Paさらには10Paの圧力で行われる水素の貯蔵において軽量、安全で価格が安いタンク、特に機載貯蔵(移送)用タンクを必要とする低温燃料電池(PEMFC)用のタンク容器またはライナーの製造を可能にしなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、具体的には、従来技術の欠陥、欠点、障害を克服する組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の組成物は、以下の物質を組成物の全重量に対して重量%で含有する。
・式(I)のε−カプロラクタムモノマー 70〜90%
・式(II)のε−カプロラクタム活性化剤 0.1〜1%
式(II)において、Rは、C2n+2、nは、1から10のなかから選択した整数で、好ましくは1から6;−0H;−OC2n+2、nは、1から10のなかから選択した整数で、好ましくは1から6;および−NHR’、(R’は、C2n+2、nは、1から10のなかから選択した整数で、好ましくは1から6、またはアミン官能基)からなる群から選択される。
・式(III)のε−カプロラクタム触媒 2〜6%
式(III)において、Xは、MgBr、MgI、LiおよびNaからからなる群から選択される。
・式(IV)のε−カプロラクトン添加剤 10〜20%
式(I)、(II)、(III)および(IV)は下記の通りである。

【発明の効果】
【0023】
例として、前記ε−カプロラクタムモノマー80.6%、前記ε−カプロラクタム活性化剤0.4%、前記ε−カプロラクタム触媒4%、および前記ε−カプロラクトン添加剤15%からなる組成物は、発明者らによって行われた多数の実験的トライアル中に優れた結果をもたらした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の組成物は、ε−カプロラクタムモノマーのアニオン重合によりPA−6ポリアミドを得ることを可能にする。このε−カプロラクタムモノマーには、ε−カプロラクタム触媒、例えば臭化マグネシウムラクタメート系、ε−カプロラクタム活性化剤、例えばアシルカプロラクタム系、およびε−カプロラクトン添加剤が添加され、それぞれ重量%で非常に正確な範囲で使用される。この新規の組成物は、PA−6ポリアミドを得ることを可能にし、このポリアミドのガス、特に水素に対するバリア特性、および機械特性、特に低温弾性変形が従来技術の組成物に対して改善されるので、IV型タンクとしての使用も改善される。
【0025】
これらの機械的特性および/またはガスバリア特性は、核形形成剤、可塑剤、または弾性ユニットを添加することなく改善される。この結果、不浸透性容器またはライナーなどの不浸透性要素の製造において少なからぬ時間およびコストの節約になる。さらに、本発明の組成物の成分の性質を考慮すると、この混合物の均質化は容易である。
【0026】
本発明の組成物のε−カプロラクタムモノマーは、2−オキソヘキサメチレンイミンとしても知られる普通のカプロラクタムである。好ましくは、純粋または実質的に純粋な製品を使用する。それは、例えば、99.9%純粋な製品である、DSMファイバーインターミディエート社(DSM Fibre Intermediate)製造のAPカプロラクタム(AP CAPROLACTAME)TMでよい。
【0027】
本発明の組成物のε−カプロラクタム触媒は、上記に定義した通りであり、好ましくは、臭化マグネシウムラクタメートである。活性化剤は、上記に定義した通りであり、好ましくは、アシルカプロラクタムである。これらの成分は、徐々に進行し短時間で制御する反応を可能にするので本発明の発明者らによって選択されてきた。それは、混合物の粘度が反応開始後おおよそ1ないし3分(比率によって左右される)で最高値(固形物)に達するからであるが、この1ないし3分では、材料が回転成形型の壁に亘って分配されるための時間がある。情報として、例えば上記で定義したようなε−カプロラクタム活性化剤は、室温で液状であってもよく、一方で、ε−カプロラクタムモノマーおよびε−カプロラクタム触媒(カプロラクタムと混合する)は、約70℃で溶融するフレークの形でもよい。
【0028】
使用する触媒は、例えば臭化(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノ−2−オネート−N)マグネシウム(例えば、10ないし50重量%)およびε−カプロラクタム(例えば、50ないし90重量%)(ナイリム・シ・カタリスト(NYRIM CI CATALYST)の商品名でブルゲマン・ケミカル社(Bruggemann Chemical)から発売されている)の混合物でもよい。使用する活性化剤は、例えばN−アクテイルヘキサンラクタム(アクチベーター0(AKTIVATOR 0)の商品名でブルゲマン・ケミカル社から販売されている)でもよい。使用するε−カプロラクトン添加剤は、例えばDSMリム・ナイロンVOF(DSM Rim Nylon VOF)から発売されているナイリム・アディティブ6(NYRIM ADDITIVE6)TMでもよい。
【0029】
実際、得られるポリマーの機械特性および/またはガスバリア特性を保持または改善までしながら核形成剤、可塑剤、または弾性ユニットの添加を切り替えるのを可能にするのは、ε−カプロラクトン添加剤である。この有機分子は、直接重合反応に参加し、高分子鎖に大きな柔軟性を与えるために高分子鎖のなかに挿入される。本発明の組成物は、実際面でランダムコポリマーの形成を可能にする。この添加剤は、そのプロセスおよびバリア特性を混乱させることなく、得られるPA−6の展性をうまく増大させることを可能にする。
【0030】
本発明の組成物は、不浸透性でタイトなシーリング要素の製造に使用することができる。本発明の不浸透性でタイトなシーリング要素は、装置、パイプ、またはタンクの全寿命の間、不浸透性要素に接触する流体に加わる圧力の効果のあるなしに関係なく、例えば装置内、パイプ内、あるいはタンク内の流体を閉じ込める能力を有する、すなわち、流体のいかなる流出も防止する能力を有する。
【0031】
用語”流体”は、本説明では、液体、気体またはその他の気体/液体混合物を意味すると理解される。それぞれの場合において、流体は、純粋な液体、純粋な気体、または何種類かの液体または気体の混合物であってもよい。例えば、油圧装置または油気圧装置用アキュムレータの場合、例えば、不活性ガスと液体あるいは窒素と鉱物油などの2種類の流体が閉じ込められてもよい。
【0032】
用語”要素”は、本明細書では、シーリングを確実にすることを可能にするいかなる構造をも意味すると理解される。要素は、例えばシーリング接合;自己支持または非自己支持形の不浸透性で密封性のタイトなライナー;不浸透性でタイトな密封性コーティング;不浸透性でタイトな密封性容器;タンクの内部または外部不浸透性のタイトな密封性容器;不浸透性でタイトな密封性フラスコまたはキャニスタ;その他であってもよい。
【0033】
本発明は、加圧流体の閉じ込めに応用するのが有利である。この場合、不浸透性要素は、加圧流体に対して不浸透性でタイトな容器である。
【0034】
本発明の組成物の使用は、不浸透性要素を得ることを可能にする一特定プロセスに限定されない。それは、本発明の組成物により得られるポリマーの改善された特性は、前記組成物に固有のものであるからである。しかし、本発明の組成物は、回転成形による不浸透性容器製造のためにある利点を有する。回転成形により複合IV型タンク用ガス不浸透性容器を製造するために、例えば本発明の組成物を使用することは可能である。このようなタンクの製造を可能にする一手順を下記に説明する。
【0035】
また、本発明は、不浸透性容器の製造プロセスを提供するが、そのプロセスは、下記の工程から構成される。
(a)本発明による組成物を調製し、これを回転成形型に導入する。
(b)回転成形型を回転させ、前記組成物のε−カプロラクタムモノマーを重合してポリカプロラクタムとするが、得られるポリカプロラクタムを溶融することなく重合反応と連動した回転成形により前記容器を形成するように、前記組成物を、ε−カプロラクタムの融点より高いか等しく、前記ポリカプロラクタムの融点より低い重合温度まで加熱する。
(c)得られたポリカプロラクタムを結晶化する。
(d)得られたポリカプロラクタムライナーを型から外す。
【0036】
ポリマーは、回転成形型の形状を占めると同時に形成される。従って、厳密に言うと、回転成形型は化学反応器およびライナーに形状を与える型として使用されるので、回転成形は反応性回転成形といわれる。この反応性回転成形は、特に経済的で反応が早く融通性がある。回転成形は、従来技術(溶融による回転成形)の材料よりさらに柔軟性があり、特にガスに対するバリア特性が改善された材料の製造をもたらす。
【0037】
カプロラクタムモノマーのアニオン重合反応は、熱可塑性ポリマーのプレカーサモノマーを重合し、前記熱可塑性ポリマーにすることを可能にする従来の化学反応そのものである。しかし、本発明の”反応経路”の開発には、プロセス(重合/成型競合)および最終的に望ましい特性の点でもっとも適した活性化剤、触媒、および添加剤を選択するために、本発明の組成物の配合に関する多数の調査研究を必要としてきた。液体成分またはそれらの混合物を導入し、回転する型内で行われるアニオン重合を制御するために回転成形手順を最適化することに関して多くの調査研究も必要であった。
【0038】
本発明の組成物の各成分から本発明の組成物を調製するには、各成分の濃度が本発明で定義した通りであればいかなる方法でも適切である。好ましくは、回転成形型に混合物を導入する前に重合反応が誘発されるのを防止する調製方法がもちろん選択される。図16A、16Bおよび16Cは、本発明の組成物の調製の例を示す。従って、例えば工程(a)では、前記組成物の2つの予混合物の調製が可能であり、その一つは、モノマー、活性化剤、添加剤を含有し、もう一方は、モノマーと触媒を含有し、これらの2つの予混合物は、前記組成物を生成するために回転成形型に予混合物を導入する直前、導入の最中、または導入後に混合する。図16Aおよび16Cは、予混合物の調製の例を示す。従って、2つの予混合物は、調製して容器製造前に数時間または数日別々に保存(好ましくは、中性で乾燥したガス下で)することができ、本発明を実施するときに混合することができる。また、例えば本発明の組成物の4成分を同時に型に導入することも可能である(図16B)。
【0039】
本発明によれば、工程(a)において、組成物または予混合物は、組成物を溶融しそれを均質にするよう、導入工程(b)の前または後に前記モノマーの融点より高く、または等しく、前記重合温度より低い事前加熱温度に追加的に予め加熱するのが有利である。ε−カプロラクタムは、大気圧において70℃から液体である。図16Aから16Cは、本実施例を混合物および予混合物の各種構成で示す。組成物の他の成分の一つがモノマーの融点より高い融点を有する場合は、混合物または予混合物は、好ましくは少なくとも前記融点に予め加熱する。
【0040】
予混合物または混合物は、例えばカプロラクタム用ミキサ内で製造できる。予混合物の場合は、このミキサは、例えば一方の側でカプロラクタムと触媒の混合物、他の側でカプロラクタム、活性化剤、および添加剤の混合物を導入する2個のステンレス鋼製チャンバを具備することができる。これらの2種類の予混合物は、同一温度、通常100℃〜150℃、例えば110℃〜135℃で均一化され、内部の機械装置で攪拌(好ましくは、不活性で乾燥したガス下)することができる。各チャンバは、正確な量の予混合物を回転成形型に注入することを可能にする計量ピストンを備えるのが有利である。2つの予混合物は、例えば得られる混合物の回転成形型への注入を可能にするノズルを使用してミキサの外で接触してもよい。
【0041】
本発明によれば、好ましくは、工程(a)においては、前記組成物の少なくともε−カプロラクタムモノマーおよびε−カプロラクタム触媒は、湿気に影響を受けやすいために、これらの成分のバッグおよびポットを計量した直後に、不活性好ましくは乾燥した不活性ガスを用いてパージされる。さらに好ましくは、本発明の組成物の他の成分もパージされる。好ましくは、回転成形型も、工程(c)を実行する間に乾燥不活性ガスを用いてパージされる。例えば、不活性ガスは乾燥窒素でもよい。不活性ガスは、重合前にε−カプロラクタム成分の酸化と水分の吸収を防止するために、重合反応が無水媒体中で行われるように乾燥しているのがもっとも好ましい。この場合は、上記ミキサは、例えば乾燥窒素を用いる有利な散布システムを備えていてもよい。
【0042】
重合は、組成物が生成されると直ぐに、すなわち本発明の組成物の成分すべてが混合されると直ぐに重合温度で開始される。従って、混合物を型に注入する前に混合物の重合を確認する危険を冒して時間を無駄にしないことが重要である。液体混合物または予混合物を回転成形型に注入する穴は、混合物または予混合物の導入を容易にするために有利に炉斗の形に改良してもよい。有利には、2つの予混合物の注入は、例えばスクレーパピストンを有する低圧注入器または高圧注入器を用いて自動的に行う。
【0043】
回転成形型に導入する本発明による組成物の量は、型のサイズの関数として、本発明のプロセスに従って製造される容器の壁厚を決める。この壁厚の選択は、主に下記の関数として行う。
・ポリカプロラクタムの例えば水素などの保存ガスに対する所望のバリア性能(水素の場合、ISO標準規格TC197およびEIHP IIのドラフトでは、タンク1リットル、時間当たり1cmの漏れを許容している)の関数として;
・熱可塑性プラスチックの機械的性能、例えばタンク製造中のカーボン繊維の巻き付け(そのとき容器は、マンドレルとして働く)のような、容器(ライナー)の外側の機械的補強の取り付けに対する十分な耐性の関数として;および
・熱可塑性プラスチックの機械的性能、例えばタンクへの多数回(−40℃〜+85℃の間の1500サイクル以上)の充填操作中に疲労が現れない程の十分な展性の関数として、行う。
【0044】
本発明によれば、容器は、一般に、通常10から10Pa(100から1000bar)の動作圧力として知られるガスを保存しなければならない圧力でガスの漏れに耐えることができるように定義された壁厚を有する。もちろん、本発明は、これらの圧力以外の圧力、一般に10から10Paにも適応し、容器の厚さは、特にこの動作圧力およびガスの性質の関数として選択される。一般に、容器の厚さは、1mmと60mmの間であり、例えば1mmと20mmの間であり、例えば2mmと10mmの間である。
【0045】
本発明のプロセスでは、重合は回転する型すなわち回転成形型の中で行われる。そのため、従来の回転成形マシン、例えば溶融熱可塑性プラスチックの回転成形に関する上記文献で述べられているものが使用できる。回転成形マシンの型は、液体、特に本発明の組成物から添加剤を抜いたものに対して十分に不浸透性であることが好ましい。それは、本発明の組成物から添加剤を抜いたものが、水の粘度より小さい粘度を有するからである。回転成形型は、上記で説明したように重合工程(c)の実行のためおよび/または実行中に乾燥不活性ガスを用いてパージされるために、有利には1個以上の穴および中性ガス用の入り口を備えてもよい。
【0046】
本発明によれば、回転成形型は、容器形成のために提供された型の内表面全体に亘ってこの表面に従って重合が行われるように、好ましくは2本の軸を中心に回転(双軸回転)する。
【0047】
従来技術に従って溶融材を回転成形する場合は、主軸および2次軸の回転速度は、1から20rpm(rpm:回転数/分)の間であり、通常は2から10rpmの間である。本発明のプロセスでは、回転速度(主軸速度、2次軸速度、および速度比)は、大きさが同じオーダーである。ただし、モノマーの流動性は、溶融材の流動性より大きい。従って、本発明によれば、型の回転速度は、主軸および2次軸を中心に好ましくは1ないし30rpmであり、より好ましくは2ないし25rpmである。速度比(2次軸速度/主軸速度)は、好ましくは7.5に等しい。これらの好ましい回転速度は、本発明の組成物に非常に好結果をもたらした。
【0048】
本発明の変形例によれば、回転成形は、ロックンロール回転成形マシン内で行うことができる。この場合は、回転成形型は、型の縦軸を中心とする回転運動および型の2個の端部が、頂部および底部で交互に見られるロッキング運動により駆動される。文献[36]には、本発明のプロセスを行うために使用することができるそのようなマシンおよびその使用が記されている。そのような回転成形は、例えば大型および/または細長いタンクの製造に有用である。使用する組成物および温度は、本発明のものである。
【0049】
本発明によれば、重合は、生成された前記ポリカプロラクタムが溶融することなく容器が形成されるような温度で行われる。それは、モノマーの重合中に生成したポリマーの融点に到達したり超えたりすると、それが溶融材の回転成形により得られる従来技術のライナーの前述の欠陥に通じるからである。従って、本発明によれば、回転する型内でε−カプロラクタムモノマーをポリカプロラクタムすなわちポリアミド6(PA−6)に重合する際の工程は、好ましくは150℃ないし200℃の重合温度で行われ、もっとも好ましくは160℃ないし180℃で行われる。
【0050】
上記に説明した予混合物および/または組成物を型に導入する前に加熱する理由と同じ理由により、本発明によれば、好ましくは本発明の組成物を導入する前に回転成形型を100℃ないし200℃、好ましくは130℃ないし185℃に加熱するのもよい。例えば、型が入るオーブンを使用して型を加熱してもよい。型が温度100℃ないし200℃、好ましくは130℃ないし185℃に達したら本発明の組成物をそこに導入するために型をオーブンから取り出すことができる。オーブンを使用することなく、例えば、赤外線(IR)ランプ、または例えば赤外線ランプあるいはヒートバンドなどによる一体型加熱可能な型、あるいは熱移送流体循環付きのダブルウオール型を用いて行うことも随意に可能である。
【0051】
一つの有利な実施例において、特に本発明に従って厚い不浸透性容器を製造するために、工程(a)、(b)、(c)を繰り返すことも可能である。この繰り返しは、厚さおよび/または組成において同一か異なるポリカプロラクタムのいくつかの層を有する不浸透性容器を形成することを可能にする。従って、同じ組成物または異なる組成物から開始すれば、いくつかの連続した重合を行うことが可能であり、本発明に従って多層容器を得ることが可能である。本発明の組成物の定義の範囲内であれば、組成物は、各成分濃度および/または組成物の成分の性質が異なっていてもよい。
【0052】
例えば、3−4mmを超える容器壁厚を得るためには、所望の壁厚に達するまで、いくつかの連続した重合工程を行うのが有利である。例えば、本発明により単層で6mmのポリカプロラクタム厚を作ることは簡単である。しかし、厚さのある種の均一性を得るためには、2−3mmが好ましい。従って、6mm以上の容器壁厚のためには、数層連続したポリカプロラクタム3mm層を作るのが好ましい。
【0053】
有利な条件として、重合反応は発熱反応であるから、第一層の重合が開始された後各層を重合させるために、回転成形型をオーブンに戻す必要は必ずしもない。それは、第一層の重合が、続く層のアニオン重合のための十分な温度を維持するために十分であるからである。
【0054】
重合反応時間は、特に活性化剤および触媒の性質、それらの比率、プロセス温度、製造しようとするパートのサイズに左右される。本発明の組成物と結びつく多くの利点の一つは、重合反応は非常に反応速度が速く、一般に2ないし10分、しばしば1ないし5分のこともある。本発明の好ましい組成物では、注入工程から結晶化工程までで最終ポリマーを約2ないし10分で得ることができ、好ましくは10分で得ることができる。実際、完全な重合反応は、下記4段階で起こる。
・反応物の混合:粘度は安定しており低い。混合物の成分はまだこの反応していない。
・重合:モノマーが集合して粘度の増化につながるポリアミド高分子を生成する。高分子(ポリマー)が、カプロラクタムモノマーが繋げられる活性中心(活性化剤)からスタートして始まる。従って、得られるポリアミド(PA−6)の分子量は、反応混合物内の活性化剤の比率に直接左右される。反応速度自体は、特に触媒比率の関数である。パートの均質性が左右されるのはこの相の間である。
・結晶化:高分子は再度集合して半結晶構造を形成する。これは、成長の前のスフェルライトの発生である。粘性媒体中の規則性部分の外観は、粘性媒体が曇っている(光散乱)。
・収縮:材料と型の間のはがれにより認識される。収縮は、結晶化の終了を表す。
【0055】
重合の化学式は概略下記に示す。このスキームの式中、炭素原子と窒素原子の間の結合は共有結合である。その共有結合は、それらが、重合の際は好ましくは開環するということを示すために点線で表す。”p”は、ポリアミド(PA−6)の重合度である。この重合度は、1≦p≦100000である。

【0056】
重合が終了した場合、特に鎖の長さが十分で結晶化が終了(ポリマー鎖の組織化)した場合は、製造された容器の取り扱いを容易にするため、火傷の危険を防止するために、数分間型を冷却することも出来る。その後、容器を型から外す。これは、特に型の慣性を考慮すると、溶融回転成形の温度が本発明のプロセスで使用される温度よりはるかに高く、材料が溶融状態から固体状に変化するのを待つ必要がある従来技術のプロセスと比較して明らかに時間の節約という結果になる。
【0057】
本発明のプロセスでは、流体(液体、気体、または液体と気体の混合物)、特に加圧気体の貯蔵用に意図されたすべての複合材タンクの製造に取り入れることができるポリカプロラクタム不浸透性容器の製造が可能である。特に、もはや熱可塑性ポリマーの溶融および固化現象に付き物の鎖の切断、酸化、架橋、重縮合、最終的な空隙、残留応力または不均質性等のリスクがないので、本発明のプロセスにより製造された不浸透性容器は、機械的およびガスバリア特性の点で従来技術の性能より高性能を有する。
【0058】
さらに、下記例で説明する実験結果が示すように、これらの容器の内部表面状態は、従来技術の溶融材プロセスにより得られるライナーまたは従来技術の重合組成物のそれよりはるかによい。これらの改善された特性は、これらの容器から製造されるタンクのすべての特性に明らかに反映されている。
【0059】
本発明によれば、得られた容器は、容器の中に貯蔵するガスに対するライナーのシーリング特性(バリア特性)をさらに改善するために、および/または容器に特別な化学特性、例えば化学的攻撃に対する耐性、食品グレード品質、またはよりよいエージング耐性を与えるために、1枚以上の薄膜で容器の内側および外側の表面を被覆するよう意図された後処理をさらに受けることができる。この後処理は、例えば、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)によるSiOタイプ、xは、0≦x≦2、またはその他のSiタイプ、1≦y≦3、0.2≦z≦4、0≦t≦3の蒸着処理、物理蒸着(PVD)によるアルミニウム蒸着、化学架橋によるエポキシタイプの蒸着、またはCF4によるフッ素化により構成されてもよい。文献[21]、[22]には、IV型タンクライナーの製造において当業者に公知であり、かつ本発明のプロセスにより得られるライナーに使用できるこのタイプの後処理が記されている。
【0060】
本発明によれば、重合の間に不浸透性容器にタンクソケットを取り込むように、工程(c)を行う前に、少なくとも1個のタンクソケットを回転成形型の内側に取り付けることが可能である。これにより、特に前記容器といっしょに、または前記容器(例えば、不浸透性ライナー)から開始してタンクを製造することが可能になる。製造される容器が小さい(例えば、小さいタンク用)場合は、1個のソケットで十分である。大型容器(例えば、大型タンク用)の場合は、特にタンクの急速充填や急速に空にすることができるように2個のソケットを取り付けることが好ましい。特に、容器が細長い形状を有する場合、ソケット(または、複数のソケット)は、容器の一端に(両端に)装着することができるが、また容器の長さ上、すなわち両端の間のどこかに装着することもできる。
【0061】
本発明によれば、前記少なくとも1個の金属ソケットは、タンクへの充填および貯蔵されているガスの使用のためにタンクの内外を連結させる。このソケットは、このタイプのタンクに従来から使用されているソケット、例えばアルミニウムまたはスチールソケットであってよい。製造された容器上に1個以上のソケットを得るために、型の中に1個以上のソケットを置いてもよい。ソケットまたは複数のソケットを、ソケット/容器材間の接合のシーリング性をさらに改善するよう意図された処理に掛けてもよい。例えば、その処理は、本発明のプロセス中の重合により得るPA−6の化学的装着を改善するために、ソケット上への特定のまたはシランエポキシ樹脂の蒸着処理等の化学処理であってもよい。この処理は、例えば文献[4]に記されているような処理であってもよい。本発明によれば、樹脂のこの蒸着の前に、樹脂の接着およびソケット上への容器の接着をさらに改善するために、ソケットをサンドブラストに掛けるかあるいは酸処理に掛けてもよい。
【0062】
1個以上のソケットの容器上への取り付けは、当業者に公知の従来のプロセス、例えば文献[4]および[23]、または少なくとも1個のソケットを有する上記文献の一つに記されているプロセスに従って行うことができる。しかし、本発明では、熱可塑性ポリマーはソケットに接合するためには溶融しない。熱可塑性ポリマーは、型内および本発明のプロセスによる回転成形前に型内に置かれたソケットまたは複数のソケット上で同時にモノマーの重合により形成される。ソケットまたは複数のソケットは、例えば文献[23]に記されているような位置に置くことができる。
【0063】
ソケットまたは複数のソケットを取り付けた本発明のプロセスに従って得られる容器は、その後型から外す。本発明のプロセスによれば、回転成形中重合開始時点のモノマーの粘度は非常に低くモノマーは非常に簡単にソケットの隙間および/または取り付けポイントに広がるので、ソケットでの漏れの危険は非常に減少する。
【0064】
また、本発明は流体を貯蔵する複合タンクに関し、前記タンクは本発明のプロセスを行うことにより得ることができる不浸透性容器を具備する。
【0065】
この流体は、先に定義したようなもの、例えば加圧ガスであってもよい。本発明は、例えば気体水素、ヘリウム、天然ガス、圧縮空気、窒素、アルゴン、ハイタン等の加圧または非加圧流体の貯蔵に応用される。
【0066】
例えば、前記タンクは、タンクの内側から外側に掛けて、下記の順序で少なくとも下記の部分を具備することができる:
・前記不浸透性容器(2);
・少なくとも1個の金属ソケット(4);および
・容器用外部機械的補強(6)。
【0067】
容器は上記に定義したようなものでもよい。このタイプのタンクでは、容器は通常ライナーとして知られる。
【0068】
ソケットまたは複数のソケットは、上記に定義したようなものでもよい。数個のソケットがある場合、それらのソケットは同一であっても異なってもよい。
【0069】
本発明によれば、容器の外部の機械的補強は、タンクの機械強度を提供する。この補強は、例えばタイプIIIまたはIV型のタンクの容器の周りに通常位置する当業者に公知の補強のいずれであってもよい。補強は、例えばフィラメント巻線であってもよい。このフィラメント巻線は、例えば炭素繊維および熱硬化樹脂からなるものでもよい。例えば、炭素繊維は、事前に未架橋エポキシ樹脂を含浸させたものを、例えば文献[4]、[5]、[24]、または[25]に記されたプロセスの一つに従って、ソケットまたは複数のソケットで保持された容器の周りに巻いてもよい。IV型タンクの特殊な例では、自己支持型構造である容器は、実際このフィラメント巻線のマンドレルとなる。IV型タンクは、このようにして得ることができる。
【0070】
よって、本発明に従って製造される容器は複合IV型タンクを得ることを可能にし、その機械的性能およびバリア性能は、ライナー(同一熱可塑性プラスチックから作られる)が、従来技術の溶融熱可塑性プラスチックまたは重合組成物の押出しブロー成形、熱成形、射出成形、または回転成形により製造されるタンクおよび同一タンクの上記性能よりはるかに優れている。
【0071】
本発明は、燃料電池、特に機械的要件が非常に厳しい低温燃料電池、およびシーリング要件も非常に厳しい高温燃料電池に供給を行うタンクの製造に特に適している。PEMFC用、特に輸送用途(例えば、自動車、バス等)用圧縮水素タンクを使用するという事実により、十分な自律性を有すること、換言すると、できるだけ多くの水素を搭載することが必要になり、それは、7×10Pa(700bar)およびそれ以上にまでタンクの動作圧力を増加させることにより行う。さらに、輸送用途のためには、好ましくは、タンクは軽量である必要があり、このことは、複合タイプIIIまたはIV型タンクの使用を意味する。
【0072】
本発明の組成物および本発明のプロセスによれば、容器は、10から10Pa(100から1000bar)の間のタンク動作圧に耐えられるような厚さを有することができる。従って、本発明の組成物は、有利には例えば上記に述べたタンクのようなタイプIIIおよびIV型タンクの製造に使用することができる。
【0073】
本発明の組成物および容器を製造するプロセスは、また油圧アキュムレータまたは油気圧アキュムレータの製造に使用できる不浸透性容器の製造を可能にする。それは、そのような容器は有利には大気圧(10Pa)から10Paの範囲の各種圧力に耐えるからである。
【0074】
油圧アキュムレータまたは油気圧アキュムレータおよびその使用は、当業者に公知である。液体により体積および圧力の形で送られるエネルギーを保存し、それを自動的または必要なときに回復させることは、これらのアキュムレータの主機能の一つである。アキュムレータの機能は、下記機能の1個以上であってよい:導入したパワーを減じることを可能にするように、エネルギーを蓄積し、このエネルギーを所望するパワーで分配する。;ポンプにより生成する圧力脈動を吸収する。;圧力を蓄積することにより漏洩を埋め合わせる。;特に液体循環中に温度差により発生する液体の体積変化を吸収し、循環を加圧状態に常に維持すること。;混合の危険性なしに一つの流体から他の流体に圧力を伝達する。
【0075】
そのようなアキュムレータおよびその使用については、例えば、ジャン・サッター(Jean Sutter)によるテクニック・ド・ランジェニア(Techniques de l‘Ingenieur)、A767、“ダクト作業中の流体の制御装置(Appareillage de controle des fluides dans les tuyauteries)”またはその他では添付の参考資料リスト中の参照番号[34]および[35]のインターネットサイトに記載されている。アキュムレータは、一般に機械的強度とアキュムレータのシーリングをもたらす外部ボディおよび一般に中性ガス(例えば、窒素)を不浸透性態様に含むことができる柔軟性の内部ポケットを備える。ポケットは、前記ボディに結合せず、流体がポケットの周りに導入できるようにスペースを形成する。また、アキュムレータは、前記内部ポケットを前記ガスで充填したり空にしたりすることを可能にする第一コネクタとアキュムレータ使用中に前記ポケットとアキュムレータのボディの間に流体を導入するために使用する第二コネクタを備える。アキュムレータ中に保存したエネルギーの貯蔵は、第二コネクタを通じた流体の導入により柔軟性内部ポケット内に含むガスを圧縮することにより行う。このポケットは、流体中のガスの溶解またはエントレインメント、すなわちアキュムレータの内部ポケット内ガス量の減少、膨張圧の低下、およびアキュムレータおよびこのアキュムレータを使用する装置の動作崩壊につながる流体の圧縮率の増加を避けるために、アキュムレータが含むガスを、それを囲む流体から分離することを可能にする。
【0076】
従来技術のアキュムレータでは、ボディは、用途(分野、使用圧力等)に応じて、金属(炭素鋼、ステンレス鋼)または金属補強付プラスチック(塩化ビニル、ポリプロピレン、またはフッ化ポリビニリデン)シェルから形成される。内部ポケットは、同一のパートから作られる。このポケットは、一般にニトリルゴム(NBR)から形成される。:またこのポケットは、イソブテン−イソプレンゴム(IIR)、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、食品用エラストマ、炭化水素用ニトリル等から選ばれる材料から形成することもできる。容器を囲む流体は、一般に水、鉱物油、あるいはガス(例えば、窒素またはその他の中性ガス)から選ばれる。
【0077】
本発明のアキュムレータは、従来技術のアキュムレータと異なる。例えば、本発明では、従来技術のアキュムレータのボディは、IV型タンク用の上記機械的外部補強(例えば、フィラメント巻線)を備えたまたは備えない本発明の不浸透性容器で置き換えられているという点で、上記文献およびインターネットサイトのアキュムレータと異なる。例えば、アキュムレータの使用圧力により、機械的補強が必要な場合それは使用される。言い換えると、例えば、本発明のアキュムレータは、本発明によるIV型タンクであってもよく、このタンクは、柔軟性内部ポケットおよび前記コネクタをさらに備える。コネクタ、柔軟性ポケット、ポケット内ガスおよびポケット周囲の流体は、当業者に公知のもの、例えば上記文献およびインターネットサイトに引用されるものから選ぶことができる。これらの要素は、例えば上記に引用されているものであってもよい。
【0078】
より一般的には、本発明の組成物および回転成形による実施プロセスは、下記のような各種用途に使用することができる:
− IV型タンク用不浸透性ライナー;
− IV型タンク(ガスバリア特性を提供する)の不浸透性が不十分なライナー用内部コーティング;
− 例えば、アルミニウムまたはスチールでできたタイプIII型タンク(脆化を制限するためのガスバリア特性、および腐食効果を制限するために水バリア特性を提供する)用金属ライナー用内部コーティング;および
− タイプIまたはII型タンク等用内部コーティング等。
【0079】
よって、回転成形により処理される本発明の組成物の特定の処方は、随意的に良好な機械的柔軟性(疲労なく要求される弾性変形)および随意的に通常−60℃〜+110℃の温度範囲の温度機械的強度とともにバリア特性(ガス、液体、または液体ガスの混合物)が所望されるたびに上記特性を阻害することなく使用することができる。
【0080】
本発明において使用される反応性回転成形は、従来技術の溶融手段による4工程に比べて、完成した製品を急速に(数分以内)かつ単一の工程で製造することを可能にする。この回転成形工程は、低温(酸化、鎖切断、重縮合のリスク等が少ない)であること、および従来技術のプロセスより重要ではない環境(好ましくは、不活性で乾燥した雰囲気)により容易になる。従って、工業化がより容易である。さらに、インシトゥ合成の最終PA−6は、下記例で見られるように特性を改善してきた。最終的には、使用する活性化剤、触媒、添加剤の選択および量を通じてポリマーの特性を非常に簡単に改変することは容易である。
【0081】
他の利点は、説明目的で与えられる添付図面により図示される下記例を読めば、当業者にはさらにわかる。
【実施例】
【0082】
実施例1:本発明による組成物を調製するための成分の例
本発明による組成物を調製するために下記実施例で使用される成分は、下記の通りである:
− ε−カプロラクタムモノマー(I):APカプロラクタムTM、供給者:DSMファイバーインターミディエート B.V.社、融点:69℃;
− ε−カプロラクタム活性化剤(II):アクチベーター0TM、供給者:ブルゲマン・ケミカル社、形状:液体、融点:−13℃;
− ε−カプロラクタム触媒(III):触媒(III)としてナイリム 1 カタリスト(NYRIM 1 CATALYST)TM((ヘキサヒドロ−2H−アゼピノ−2−オネート−N)マグネシウム臭化物、供給者:ブルゲマン・ケミカル社、形状:室温においてフレーク状、融点:70℃;および
− ε−カプロラクトン添加剤:DSMリム・ナイロンVOFにより販売される添加剤(IV)としてナイリム・アディティブ6(R)、形状:室温において液体、沸点:760mmHgにおいて260℃付近、融点:0℃未満。
【0083】
これら成分(I)、(II)、(III)、(IV)の化学式は下記の通りである。


下記の実施例では、これらの化学式は、それぞれモノマー、活性化剤、触媒、添加剤と言う。
【0084】
図16Aから16Cは、重合を行うために回転成形型に導入する前に、これらの成分を原料とする予混合物調製および事前加熱のための3個の実施例を示す。
【0085】
実施例2:本発明のプロセスを実施するための装置の例
図16Aまたは16Cに示す予混合物を製造するには、ブロンク(Bronk)TMミキサ、モデルNCU75/6が使用された。この混合物は、一方からはカプロラクタム、触媒の混合物を、他方からはカプロラクタム、活性化剤、添加剤の混合物を導入するステンレス鋼製の2個のチャンバ(コンパートメント)を備えていた。各チャンバ用内部機械システムは、2つの予混合物の混合およびそれらの事前加熱を可能にした。
【0086】
ミキサの各チャンバは、使用する成分を脱気するために、また使用する成分を乾燥および不活性雰囲気に維持するために乾燥窒素をチャンバ内部に注入することを可能するシステムを備えていた。
【0087】
ミキサの各チャンバは、所定の量の各予混合物を回転成形型に注入することを可能にする計量ピストンも備えていた。
【0088】
2つの予混合物の混合またはそれらの間の接触は、得られた混合物の回転成形型への注入を可能にするダブルチャンネルノズルを使用してミキサの外側で行われた。
【0089】
これらの実施例で使用する回転成形型は、ブランド名STPエキップメント(STP Equipment)でLAB40というシャトルタイプであった。回転成形型を加熱するために、電気オーブンを使用した。回転成形処理を実施する間、乾燥窒素を散布するための通気孔を有していた。
【0090】
例えば、文献[4]記載のような処理を随意的に受けた後、回転成形型に成分、予混合物または混合物を導入する前に、文献[23]記載の態様でアルミニウムソケットを型に取り付けた。
【0091】
ソケットは、回転成形型への成分または予混合物の導入を容易にする濾斗を備えた。
【0092】
実施例3:容器の製造および本発明の組成物に関するテスト
本実施例で使用する組成物は、重量%単位で下記のようなものであった。
ε−カプロラクタムモノマー80.6%、活性化剤0.4%、触媒4%、および添加剤15%であった。本実施例では、容器を形成するために使用する組成物の総量は、397gであった。形成される容器の体積は3Lであった。
【0093】
ε−カプロラクタムモノマーとε−カプロラクタム触媒は、これらの成分の計量直後に乾燥窒素を使用してパージされた。
【0094】
成分は、図16Bに示すように、事前加熱され、混合され、その後回転している回転成形型に急速に導入された。回転成形型は、オーブン内で160℃ないし190℃まで加熱された。
【0095】
型は、主軸を9rpmで二次軸を6rpmの回転速度で回転させた。回転速度比(主軸/二次軸 )は、1.5に等しかった。
【0096】
図1から3では、本実施例で行われた各種温度測定を並べてある。これらの図では、型の温度(Tm)変化と型内の空気の温度(Ti)変化が示されている。斜線部分は、重合が起こった時間を示し、点を打った部分は、結晶化が起こった時間を示す。回転成形型への組成物を注入した時間は参照記号“I”で示し、“RR”は、型の冷却(急速冷却)に続く温度降下の開始を示す。“FC”は、結晶化の終了を示す。3つの図では、注入時から、型はオーブンの外で回転を維持する。
【0097】
上記組成物を原料とする反応性回転成形の代表的な温度曲線を図1に示す。注入後、型はオーブンの外に留まった。従って、この図に示される発熱(温度上昇)は、重合と結晶化工程の指標である。
【0098】
図2には、図1の曲線を得るために使用する組成物に対して大量の触媒および活性化剤を添加した前記組成物を使用する回転成形の温度曲線を表す。この大量とは、これらの成分のそれぞれの1.5倍に相当する。この場合は、重合反応は速く、2個の発熱ピークは、重なってもよい。しかし、重合は、結晶化ピークの肩(E)で結晶化とは分けられる。
【0099】
図3には、触媒含有量が低く、結晶化を混乱させる添加剤が存在し結晶化が遅れた反応性回転成形の温度曲線を示す。この添加剤は、10重量%のシリカタイプの添加剤であった。ここで、結晶化は、冷却段階(“RR”以降)でのみ開始するということに気付く。
【0100】
従って、反応性回転成形サイクルの温度曲線(データパック(Datapaq)(R)システムを使用して得られる曲線)は、従来の回転成形サイクル(熱可塑性ポリマーの溶融)の温度曲線と完全に異なる。
【0101】
これらの曲線は、インシトゥアニオン重合の正確なモニタリングを可能にし、本発明の実施には、計り知れない価値のあるツールである。これらの曲線から、本実施例で使用するプロセスは下記のように記述することができる。
1.中性かつ乾燥雰囲気中での空の型の加熱。内部空気温度は、型の温度より約15℃低い値でその温度変化に従う。加熱は、型が空なので溶融手段より速い。
2.オーブンからの型の取り外しおよび回転停止。
3.型への混合物の注入。内部空気温度は、混合物の低い温度のために下がる。
4.型の回転。内部空気温度は、注入時の型の温度より約15℃低い値で安定するまで上昇する。安定時間は、重合活性化時間に対応する。
5.触媒の含有量に応じて速くなるか遅くなる内部空気温度の上昇により特徴付けられる重合(発熱反応)。
6.第二発熱ピークにより特徴付けられる結晶化。
7.型外し温度に応じた随意の急速冷却。従来は、80℃から40℃への冷却。
8.回転停止。型を開け、形成された容器を型から外す。
【0102】
このようにして形成された容器は、酸化されていないし、架橋もされていない。ポリマーは鎖切断を受けず、また非溶融物も残留空隙も含有しない。これらのパーツの物理特性を示すテストは、下記に説明されている。
【0103】
実施例4:本発明による多層容器の製造
本実施例では、本発明者らは、本発明の組成物およびプロセスから開始して数層のポリマーを重ねることにより厚いパートを製造した。この製造は、従来技術の組成物では行うことができなかった。
【0104】
本実施例では、厚さ6mm(2mmの連続3層)および22L(水相当)の内容積を有し、2個の金属ソケットを備えた不浸透性ライナーを製造した。
【0105】
2つの予混合物は、最初乾燥窒素下で温度135℃に置いた上記ミキサを使用して図16Cに示したように製造した。1441.5gのモノマーと143.1gの触媒を2個のコンパートメントの一つに導入した。1441.5gのモノマー、536.6gの添加剤、および14.31gの活性化剤をもう一つのコンパートメントに導入した。
【0106】
2つの予混合物のそれぞれを均質化および事前加熱した後、1192.3gの混合物(それぞれの予混合物一部:各コンパートメントから1/3)の予め165℃まで加熱した型への注入は、濾斗を使用して回転成形型の孔を通して行い、3層のうちの最初の層を形成した。
【0107】
型は、主軸の回転速度6.2rpm、二次軸の回転速度23.3rpmで回転した。回転速度比(主軸/二次軸比)は、0.27に等しかった。
【0108】
型は、時間t(分)の関数とした温度変化(型、ソケット、および内部空気)を示す図13のグラフからわかるように、各層の温度サイクルが非常に良好に繰り返されるように3層用オーブン内の温度に保たれた。この図は、本実施例による反応性回転成形(t=0で層1(C1)を注入)により得られるこの22L PA−6ライナーの製造中の温度サイクルのDatapaq(R)曲線を示す。80℃〜156℃の範囲の温度ピークは、2個の温度センサを使用した回転成形中の回転成形型の外側の空気の温度測定結果(曲線1および2)に対応する。その他の曲線は、型(曲線3)、ソケット(曲線4)、および内部空気(曲線5)の温度変化を示す。
【0109】
このように、本発明による組成物および実施例2に記載のプロセスにおける、組成物の調製工程、回転成形型内での重合および結晶化は3回連続して行った。
【0110】
各層は、先行する層が型の回転を停止したときに流れない程度に十分な粘度を有したらすぐに、また次の層との最適な接着を確実にするためにその重合が完了する前に型の中に注入した。従って、この工程は、重合が十分に進んだとき、すなわち先行する層を型に注入後2分から5分の間に行った。重合および結晶化が発熱性であるために冷却が全体に非常に遅く、数多くの層を製造することが可能であった。従って、最終的な厚さに制限はほとんどなかった。
【0111】
本実施例において、使用した組成物の総量は3577gであった。
【0112】
冷却後、形成された容器は型から外した。
【0113】
得られたパートを図15の写真に示す。上部左は:ブロンクTM注入システムおよび中性ガス(窒素);上部中:回転成形型から抜き出し中のソケット付きの得られた容器;上部右および中間左:完全冷却中の容器。中央の写真および中間右の写真:ソケットを覆っているドームのカッティング後のソケット側の容器の内部。下部は、2個の2×10Pa(200bar)アルミニウムソケット付きの本発明による22L容器(ライナー)。ソケット/容器間の接合は、従来技術による溶融回転成形手順により得られる容器の接合と違って非常にタイトである。
【0114】
得られた熱可塑性ポリマーは、下記比較表のもっとも右側に示す特性を有するポリアミド6(すなわちポリカプロラクタム)であった。
【表1】

【0115】
溶融法で使用したPA−6は、ロディア・エンジニアリング・プラスティックス(Rhodia Engineering Plastics、フランス)社のテクニルC217(TECHNYL C217)TMである。柔軟性改質PA−6は、エラストマユニットの添加により得られた。標準(反応法の)PA−6は、ε−カプロラクタムタイプ添加剤を含まない組成物にあたる。
【0116】
標準アニオンPA−6は、一般に、溶融法による従来技術の標準加水分解PA−6より高い性能(溶融法欄)(弾性係数、引張強度、破断点伸びは、より良好であった。)を有した。さらに、本発明の組成物(反応法−柔軟性改質PA−6)は、ポリエチレン(PE)に近く、従ってIV型タンクライナー用途(所望の展性)のための所望の特性にさらに適した機械的特性を得ることを可能にした。
【0117】
実施例5:本発明による他の多層テスト
実施例4の組成物および手順により3L(リットル)の3層構造を作成した。重合反応は発熱反応であり、重合する材料の量が少量であるということを考慮すると、次の層のアニオン重合のために十分な温度が発生するので、各層のために回転成形型をオーブンに戻す必要はなかった。
【0118】
図4は、本発明のプロセス(最初の注入から、型はオーブンの外に置いたまま)の工程(a)、(b)、(c)を数回繰り返すことにより本実施例で得られる3層反応性回転成形の温度(T ℃)を時間(t 分)の関数とした曲線を表す。太線の曲線は、型内の空気温度変化を表し、細線の曲線は、型の温度変化を表す。この図において、参照番号11、12、13は、それぞれ第一、第二、第三注入を表し、斜線部分は、それぞれ左から右に向かって第一、第二、第三層の重合時間を表す。点を打った部分は、それ自体結晶化時間を表す。RRは、型の急速冷却に続く温度降下を示す。
【0119】
本実施例において、各ポリマー層は、厚さ2mmを有し、全厚さは6mmであった。
【0120】
実施例6:本発明により得られる容器の試験
最初の反応性回転成形テストは、射出成型(RIM:樹脂射出成型)用に開発された処方を用いて行われた。これらの処方は、反応時間が短い(3分未満で結晶化する)という利点を有した。しかし、それらの処方は、回転成形プロセスとには適合しなかった。従って、ポリマーには、形成さらに言えば硬化(硬化は、ポリマーの融点よりずっと低いということを思い起こすべきである。)する前に型全体を覆う時間がなかった。このことは、壁部が非常に薄く(十分の数ミリ)、尾根部が数センチあるという、厚さが非常に不均一になるという結果になった。
【0121】
従って、本発明者が行った最初の開発は、十分な均一性を得ることができるまで重合を遅くすることを可能にするパラメータ(組成およびプロセス)を見つけることであった。パラメータ(触媒含有量、活性化剤含有量、型温度、回転速度、時間、粘度変化等)すべてが、相互依存性があるという事実のために多くの困難に遭遇した。
【0122】
図5により、さらに、断面で見える3Lの容器を視覚的に比較(写真)することができる。
− 左側は、従来技術のカプロラクタム組成物と回転成形プロセスで得られる不均一な部分;および
− 右側は、本発明の組成物によって、同じ回転成形プロセスで得られるタンクの均一部分。
【0123】
全く明らかなように、本発明の組成物により所望の目的を達成することができる。
【0124】
実施例4のように得られた多層容器に対し断面の分析を行った。重合は、一つの層から他の層に連続しているので、従来技術の“溶融法”多層で遭遇することがある接着の問題は、本発明に従って得られる容器には存在しなかった。しかし、層の透明度の差により層を互いに視覚的に区別することは可能である。
【0125】
図6の写真は、得られた3層構造(3×2mm)の断面を表す。左を型側として、層1(C1)、中央の層2(C2)、および右の回転成形型の内部空気側の層3(C3)。
【0126】
3層の透明度の差は、3層を構成するスフェルライトのサイズによって説明することができる。それは、図7の写真でみることができるように、スフェルライトは、層1(C1)で大きく(約20μm)、層2(C2)では中間(10μm)で、層3(C3)では小さい(5μm)からである。これらの差は、層が形成されるときに、型とポリマー間の熱移動の減少に起因する。
【0127】
さらに、図8の写真から、層2(中間スフェルライトの左ゾーン)と層3(小さいスフェルライトの右ゾーン)間のスフェルサイトのサイズが移行するゾーンを見ることができる。このゾーンは、層2に属するが、層3の注入により改変されている。各層の高分子鎖は隣接する層または複数の層と固く結合し、相互に浸透し合うので、この連続界面相は、集合体の機械的結合に関与する。
【0128】
実施例7:本発明の組成物から得られる容器の特性
本実施例の実験において、
− 本発明の組成物は、実施例3のものであった。
− 溶融法に使用するPA−6は、ロディア・エンジニアリング・プラスティックス社(フランス)のテクニルC217TMであった。
− 無添加組成物は、実施例3のものと同じであったが、ε−カプロラクトン添加剤なしとした。
【0129】
A.微細構造および結晶化度
融点および結晶化度以外に、示差走査熱量測定(DSC)テストによっても生成されたポリマーの各種特殊性を証明することができる。例えば、各種結晶相、非重合カプロラクタムの存在、水分吸収、後重合、および一般にPA−6の重合状態である。
【0130】
図9は、従来技術の溶融法により得られる回転成形PA−6(VF)、従来技術の無添加組成物を用いて反応法により得られる回転成形PA−6(Vra)、および本発明の組成物を用いて反応法により得られる回転成形PA−6(VRI)(太線)に対するDSC分析の結果を順に並べたグラフを表す。
【0131】
最初に、反応法により得られるPA−6(無添加)の溶融ピークの温度は、溶融法により得られるPA−6の溶融ピークの温度より(わずかに)低いということに注目する。このことは、この材料は、ガスを含む流体に対するバリア特性および機械特性に都合のよいわずかに薄いラメラを有する(より高い展性材)ということを示す。
【0132】
本発明に従って使用した添加剤は、重合中モノマーに作用した。この添加剤は、一種のブロックコポリマーを生成することにより高分子(ポリマー)中に一体化され、期待されなかった機械的柔軟性効果を提供した。分子のこの改質は、結晶化を変化させ、従って得られる容器の最終的特性を改質した。実際には、添加剤6が、活性化剤とともに使用され、活性化剤は添加剤に一部消費された。添加剤は、室温で液体であり、カプロラクタムと容易に混合し、10重量%超の高い含有率で使用できるという利点を有した。添加剤は、加熱サイクルおよび重合の大きな修正(他の成分間の比率は変更なし)なしに、含有量5重量%、10重量%、15重量%でテストされた。一方、外観および機械的特性は、大幅にかつ好都合に改変されたが、これは所望の効果であった。
【0133】
この図において、DSC測定結果は、本発明の組成物を用いて得たパーツ(太線)はより低い温度(30℃低い)で溶融ピークを有し、その吸熱はより小さく、より広く展開したということを示し、このことは、得られるポリマーは、小さい結晶ラメラ(プレートレット)を有したということを意味する。さらに、第二加熱中の融点ピークは、第一加熱中と同じ位置に見られたが、このことにより、分子鎖の大きな改変が確認される。このように観察されたということは、材料の安定性の証拠であり、完全に重合したことを意味する。これらの測定結果は、本発明の組成物による明確な改善を表す。
【0134】
B.機械的引張挙動
タイプH2ダンベルテストピース(25mm作業長さ)に対して、25mm/分の引張速度(移動速度)でISO527標準に従って引張テストを行った。いくつかのテスト条件がテストされた。すなわち、非オーブン加工のテストピースに対し 室温;オーブン加工のテストピースに対し 温度、−40℃、−10℃、20℃、50℃、85℃である。
【0135】
全体的に見て、本発明の組成物から得られるアニオンPA−6ポリイミドは、加水分解PA−6ポリイミドより若干大きな剛性を有した。それは、それらが高分子量を有したからであった。一方、破断点伸びは、活性化剤の含有量に応じて変化した。
【0136】
それは、図10に示すように、活性化剤の含有量が0.45重量%(図10において、曲線“0.45ac”)から1.1重量%(図10において、曲線“1.1ac”)に変化したときに、伸びが5%から65%に変化したからである。これは、活性化剤の含有量が低いときの鎖の伸びにより説明することができ、それにより各ラメラの結合とアモルファス相の絡み合いが促進される。そのような低い活性化剤含有率では重合が非常に困難であったために高い伸びを得ることができず(添加剤なし)、その下限は約0.3%であった。
【0137】
ガラス転移点は40℃に近かったので、PA−6の挙動は、−40℃から+20℃にかけてほとんど変化しなかった。一方、50℃からは、柔軟性と展性は大きく増加した。
【0138】
機械レベルでは、図11に示す引張テスト、特に添加剤の添加量を10%(図11において、曲線“10%ad”)から始めるテストは、本発明の組成物のなかの添加剤の効果を非常にはっきり示している。組成物に、高密度ポリエチレンの剛性(曲線P)に匹敵する剛性をもたせる添加剤を0%(図11において、曲線0%ad)から15%(図11において、曲線15%ad)に動かすときは、ヤング係数を3で割った(2200MPaから700MPaに)。
【0139】
また、破断点伸びは、アディティブ6の0%から15%当たりそれぞれ10%から300%の伸びまで変化しそれ自体かなり増加した。ダメージは、非常にはっきりと跡が付くネッキングにより特徴付けられる展性タイプであった。ネッキング段階の後、裂け目が発生した。同様に、降伏点における応力は約2だけ減少した。これらの測定結果は、本発明の組成物による明確な機械的改善を示す。
【0140】
C.気体水素に対するバリア性能
水素(27℃、50bar)に対する浸透性の測定が行われ、図12にグラフの形で並べた。
【0141】
反応法の最初の測定結果は、従来技術の溶融法ポリアミドPA−6(約2つのファクタ)(図示しない)より良好な反応法PA−6ポリアミドの不浸透性を示した。
【0142】
小さなラメラ(プレートレット)およびラメラ間の短い距離は、材料のねじれ増加の理由であった。
【0143】
浸透性係数(Pe)は、約4×10−17モル/(m.Pa.s)、すなわちタンクの許容漏洩レベルに関する現行規格案(ISO TC 197およびEIHP II)(1cm/l/h)により要求される係数より約5ないし10ファクタだけ低い係数であったので、サンプルに対して7×10Pa(700bar)で行われたテストにより、本発明の組成物から反応性回転成形により得られるPA−6ポリアミドの良好な性能が確認された。
【0144】
完全なタンク(200×10Pa(200bar)、27℃、水素)に対するテストにより、これらのサンプルを用いて得られた結果が確認された。
【0145】
実施例8:IV型タンクの製造
製造されるタンク(1)は、図14に表す。本実施例では、ソケット(4)を備える実施例3で製造した容器(E)は、補強構造(6)を備える。そのため、予め未架橋エポキシ樹脂を含浸した炭素繊維を、文献[4]、[5]、[24]、または[25]に記載したプロセスの一つに従ってソケットに保持された容器(マンドレルとなるライナー)の周りに巻いた。
【0146】
その後、炭素繊維と同じように、未架橋エポキシ樹脂を含浸したガラス繊維を数層巻いた。その後、エポキシ樹脂を硬化させるために、繊維を巻いたタンクを回転オーブン内に置いた。
【0147】
その後、図14の断面に示すように、フィラメント巻線の周りに保護シェル(8)を置くことができた。タンクのソケット(図示しない)にバルブ/レギュレータをねじ止めしてもよい。
【0148】
IV型タンクはこのようにして得られる。このタンクは前述したシーリング仕様を有した。
【0149】
実施例9:本発明のプロセスに従って得られるライナーの後処理
【0150】
本発明のプロセス、例えば実施例2の手順に従って製造された容器は、そのシーリング特性およびその内部および/または外部表面の化学特性を改善するために、本発明の上記詳細な説明で引用されるような後処理を受けることができる。
【0151】
ライナーに適用できる後処理の例は、添付の参考資料リストの文献[26]、[27]に記載されている。
【0152】
実施例10:油圧アキュムレータの製造
本実施例で製造される油圧アキュムレータ(10)は、図17に表す。
【0153】
本実施例では、IV型タンクは、アキュムレータのコネクタの取り付け(上記実施例4と同様に)を可能にする2個(14および16)のソケットを備えていること以外は実施例8と同様に製造される。
【0154】
従って、アキュムレータのボディ(C)は2個のソケット(14および16)を備えた前記IV型タンクで構成された。
【0155】
アキュムレータの組み立ては、添付の参考資料リストの文献[37]に示すような手順に従って行った。ゴム製の柔軟性内部ポケット(18)をIV型タンク内に置き、ポケットをソケット(14)の位置で漏洩密封態様に連結する第一コネクタ(20)を装填した。アキュムレータ使用中に流体が第二コネクタ(24)を通じて押し出しによりタンクから出ないように、ポケットに耐押し出しペレット(22)を付けた。本実施例では、ペレットは加硫プラスチックで作った。
【0156】
コネクタ(20)は、アキュムレータの使用に適した圧力Pで柔軟性ポケット(18)への体積Vの不活性ガスの導入を可能にする供給バルブを具備した。よって、ポケットは、タンク内で膨らますことができた。
【0157】
第二コネクタ(24)は、圧力Pで流体をタンク内に導入することができるように、柔軟性ポケットの周囲のソケット(16)のところに位置した。このコネクタは、流体循環パイプに接続できるようなものであった。
【0158】
従って、アキュムレータを流体循環パイプに接続したとき、流体はアキュムレータ内に入り込み、従って、パイプ中の流体の圧力Pは柔軟性ポケット(18)の周囲においてアキュムレータ内に存在した。循環圧力Pがアキュムレータの柔軟性ポケットの膨らみ圧Pを超えたとき、前記ポケットは収縮し、ガスは圧縮され、その体積がVに減少した。圧力をP(PはPより大きい)までさらに上げることにより、柔軟性容器内のガスの体積はさらに圧縮され体積Vに変化した。そのとき、アキュムレータは、V=V−Vの加圧流体体積であった。
【0159】
機能的なハイドローリックアミュムレータがこのようにして得られた。
【0160】
このアキュムレータは、上記実施例でのべたシーリング仕様を有した。このアキュムレータは、3.5リットルの容量と2.5×10Pa(250bar)の操作圧を有した。本実施例では、最高圧力(P)/静圧力(P)比は、4:1であった。他の場合では、もちろんこの値は異なってよい。
【0161】
もちろん保護シェルを、実施例8のように図14の断面(図17では示さない)で示すようにフィラメント巻線の周りに置いてもよい。
【0162】
参考資料リスト
[1] FR−A−2 813 232:“回転成形による線対称部品の製造プロセスおよび得られた部品(Process for manufacturing an axisymmetrical part by rotomoulding and part obtained)”
[2] FR−A−2 813 235:“熱可塑性構造体およびタンク(Thermoplastic structure and tank)”
[3] US−A−4 927 038:“高圧気体のコンテナー(Container for high pressure gases)”
[4] US−A−4 925 044:“流体タンクおよびその製造方法(Fluid tank and method of manufacturing it)”
[5] US−A−5 499 739:“高圧容器のための熱可塑性ライナーおよびそれを上包する方法(Thermoplastic liner for and method of overwrapping high pressure vessels)”
[6] US−A−6 554 939:“コンテナーおよび該コンテナーの形成方法(Container and method of forming the container)”
[7] US−A−5 568 878:“強化点検窓を有するフィラメント巻圧力容器(Filament wound pressure vessel having a reinforced access opening)”
[8] US−A−6 660 214:“圧力容器製造方法(Pressure vessel manufacture method)”
[9] http://www.rotomoulage.org
[10]“次世代の水素貯蔵量(Next Generation Hydrogen Tankage)”、ローレンス・リバーモア・ナショナル研究所(Laurence Livermore National Laboratory)、2001U.S.エネルギー省水素問題調査の議事録(Proceedings of the 2001 U.S. DOE Hydrogen Program Review)
[11] “水素合成タンク問題(Hydrogen Composite Tank Program)”、2002U.S. エネルギー省水素問題調査の量子技術議事録(Quantum Technologies Proceedings of the 2002 U.S. DOE Hydrogen Program Review)
[12]“水素合成タンクプロジェクト(Hydrogen Composite Tank Project)”、量子燃料システム技術(Quantum Fuel System Technologies)、FY 2003、経過報告書(Progress Report)
[13]“燃料電池自動車のための圧縮水素ガス集積貯蔵システム(CH−ISS)の発展(Development of a Compressed Hydrogen Gas Integrated Storage System(CH−ISS) for Fuel Cell Vehicles)”、物理学研究所(University Applied Physics Laboratory)、FY 2003、経過報告書
[14]“次世代の水素貯蔵量”、 ローレンス・リバーモア・ナショナル研究所、FY 2003 経過報告書
[15]“水素ガス貯蔵タンクのための低浸透ライナー(Low Permeation Liner for Hydrogen Gas Storage Tanks)”、アイダホ・ナショナル・エンジニアリング&環境研究所(Idaho National Engineering & Environmental Laboratory)、FY 2003 経過報告書
[16]US−3,275,733:“重合ラクタムの中空成形品の製造プロセス(Process for the production of hollow articles of polymerized lactams)”
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[18]機関紙“オイル&ガス科学技術(Oil & Gas Science and Technology)”、フランスオイル研究所機関紙(Revue de l‘Institut Fransais du Petrole)、特別号 2001、5月−6月、56巻、3号、215−312ページ、テクニップ編(Editions Technip)、セデックス15、パリ 75737、リュ ジノー 27(27、 rue Ginoux、 75737 Paris Cedex 15)
[19]書籍“薄い容器入門(Introduction des Coques Minces)”、パトリック・ミュラー(Patrick Muller)、クレール・オサゾー(Claire Ossadzow)、エルメス科学出版(Hermes Science Publicatins)、 パリ、1999. エルメス科学出版、8 カイ・ドゥ・マルシュ・ヌフ(quai du Marche−Neuf)、 75004 パリ、フランス
[20]書籍“技術式(Formulaire Technique)”、 カート・グレック(Kurt Gleck)、 第10版、 spt.、 1997、ドゥノド(Dunod)
[21]“調製条件に応じて、低周波プラズマによって生成された酸素に対するバリア層の性質研究(Etude de la nature de couches barrieres a l‘oxygene realisees par plasma basse frequence en function des conditions d’elaboration)”、エリック・ブヴィエ(Eric Bouvier)、トゥールーズ・ポール・サバチエ大学(Universite Paul Sabatier de Toulouse)、 14/09/99掲載、order No.3457
[22]“バリアデザインにおける動向(Trends in Barrier Design)”、1991年5月、ジャーナル・パッケージング・ジャパン(Jounal Packaging Japan)
[23]US−A−5,538,680:“圧力容器複合材料へ極性突起の成形方法(Method of molding polar boss to a composite pressure vessel)”
[24]US−A−6,171,423:“圧力容器複合材料の繊維化方法(Method for fabricating composite pressure vessels)”
[25]US−A−5,557,630:“圧力容器に適合する複合材料(composite conformable pressure vessel)”
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[27]US−A−5,902,643:“アミノエポキシガスバリアコーティングを有する多層パッケージング材料(multilayer packaging material having aminoepoxy gas barrie coating)”
[28]FR−A−2 114,550
[29]FR−A−2 120 161
[30]FR−A−2 125 347
[31]FR−A−1 519 947
[32]GB−A−1 044 205
[33]“ダクト作業中の流体の制御装置”、テクニック・ド・ランジェニア(Les Techniques de l‘Ingenieur)、 A767、ジャン・サッター.
[34]インターネットサイト http://www.saip.it.
[35]インターネットサイト http://www.Accumulators.com
[36]熱可塑性部材の回転成形、アバス・チャルクッチ(Abbas Tcharkhtchi)、 テクニック・ド・ランジェニア、 AM 3 706、 ページ1〜15、および図7(原典 AFR http:www.rotomoulage.org)
[37]米国特許出願公開第20040065374号明細書(PCT/EP02/02750)、 バルト・ハーバート(Baltes Herbert); et al.、“ハイドロニューマチック・アキュムレータ(Hydropneumatic Accumulator)”
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明の組成物を使用する反応性回転成形(注入後、型はオーブンの外にある)の代表的な温度(T(℃))曲線を時間(t(分))の関数として示す図。
【図2】図1の曲線を得るために使用する組成物に対してより多くの触媒と活性化剤を添加する(注入後、型はオーブンの外にある)本発明による組成物を使用する急速重合を伴う反応性回転成形の温度(T(℃))曲線を時間(t(分))の関数として示す図。
【図3】遅れた結晶化(低触媒含有量、結晶化を乱す添加剤の存在)(注入後、型はオーブンの外にある)を伴う反応性回転成形(注入後、型はオーブンの外にある)の温度(T(℃))曲線を時間(t(分))の関数として示す図。
【図4】本発明のプロセスの工程(a)、(b)、(c)を数回繰り返すことにより得られる3層反応性回転成形(注入後、型はオーブンの外にある)の温度(T(℃))曲線を時間(t(分))の関数として示す図。
【図5】3リットルライナーの一部を示す図。左側は、従来技術のカプロラクタム組成物およびプロセスパラメータを用いて得られる不均一部分であり、右側は、本発明の組成物により得られる均一部分を示す。
【図6】本発明の組成物から得られる3層容器(層1,2,3)の断面図の写真を示す図。左は、型側、右は、内部空気側を示す。
【図7】図6の3層容器の層1,2,3のスフェルライトの写真。
【図8】図6の3層容器の層2(左側のスフェルライトが大きい部分)と層3(右側)の間の界面相の写真。
【図9】従来技術による溶融法により得られる回転成形したPA−6(破線)、添加剤なしに従来技術の組成物を用いて反応法により得られる回転成形したPA−6(細線)、および添加剤ありで本発明の組成物を用いて反応法により得られる回転成形したPA−6(太線)に関する示差走査熱量測定(DSC)分析結果を順に並べたグラフ(温度(T(℃)の関数とするエネルギーw/g)。
【図10】破断点伸びに対する本発明の組成物中の活性化剤含有量の影響を示すグラフ(歪み(ε)(%)の関数とする応力(σ)(MPa) 20℃における一軸引張カーブ)。
【図11】回転成形した容器の機械特性に及ぼす本発明の組成物中の添加剤濃度の影響(歪み(ε)(%)を関数とする応力(σ)(MPa))(濃度0重量%(点線)、10重量%(太線)、15重量%(細線)における組成物テスト)を示すグラフ(歪み(ε)(%)を関数とする応力(σ)(MPa)−20℃における一軸引張カーブ)。比較用として、ポリエチレン容器で行われた同等のテストから得られたカーブも示す。
【図12】本発明の組成物から反応性回転成形により製造された各種PA−6サンプルで測定した浸透率係数(Pe)(27℃における水素浸透率係数(27℃におけるPe H(モル/(m.Pa.s))の変化を示すグラフ。
【図13】本発明による組成物から開始する反応性回転成形(t=0で層1(c1)を注入)により得られるPA−6でできた22Lライナーの時間t(分)を関数とする温度サイクルT(℃)のデータパックTMカーブ。
【図14】本発明による組成物から得られる容器(2)から製造されるIV型タンク(1)の構造の例を概略的に示す図。この図は、このタンクを形成する各種構成要素の機能を示す。
【図15】この発明による組成物およびプロセスから開始する22リットル不浸透性容器の製造中に撮られた7枚の写真。
【図16A】本発明のプロセスを実施するために使用できる本発明の組成物を得ることを可能にする各種混合方法を概略的に示す図。
【図16B】本発明のプロセスを実施するために使用できる本発明の組成物を得ることを可能にする各種混合方法を概略的に示す図。
【図16C】本発明のプロセスを実施するために使用できる本発明の組成物を得ることを可能にする各種混合方法を概略的に示す図。
【図17】本発明による組成物から得られる容器(2)から製造される油圧アキュムレータ(10)の構造の例を概略的に示す図。この図は、このアキュムレータを形成する各種構成要素の機能を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量に対して:
70%〜90%の化学式(I)のε−カプロラクタムモノマーと;
0.1%〜1%の化学式(II)のε−カプロラクタム活性化剤と、
ここで、Rは、nが1〜10から選ばれる整数であるC2n+2;−OH;nが1〜10から選ばれる整数である−OC2n+2;および、−NHR’(ここでR’は、nが1〜10から選ばれる整数であるC2n+2またはアミン官能基)、からなる群から選択される;
2%〜6%の化学式(III)のε−カプロラクタム触媒と、
ここで、Xは、MgBr、MgI、Li、およびNaからなる群から選択される;および
10%〜20%の化学式(IV)のε−カプロラクトン添加剤
とを重量%で含むことを特徴とする組成物。
ここで、化学式(I)、(II)、(III)、および(IV)は、下記の通りである。

【請求項2】
80%〜81%の前記ε−カプロラクタムモノマー;
0.3%〜0.5%の前記ε−カプロラクタム活性化剤;
3.5%〜4.5%の前記ε−カプロラクタム触媒;および
14%〜16%の前記ε−カプロラクトン添加剤
とを重量%で含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
80.6%の前記ε−カプロラクタムモノマー;
0.4%の前記ε−カプロラクタム活性化剤;
4%の前記ε−カプロラクタム触媒;および
15%の前記ε−カプロラクトン添加剤
とを重量%で含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
不浸透性要素の製造における請求項1から3のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項5】
不浸透性要素が、不浸透性容器であることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
不浸透性容器の製造を回転成形により行うことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
不浸透性容器が加圧流体に対して不浸透性であることを特徴とする請求項5または6に記載の使用。
【請求項8】
不浸透性容器が複合IV型タンクのガスに対して不浸透性であることを特徴とする請求項5または6に記載の使用。
【請求項9】
不浸透性容器製造プロセスであって、
(a)請求項1から3のいずれかに記載の組成物の調製工程およびその回転成形型への導入工程と;
(b)回転成形型の回転および前記組成物のε−カプロラクタムモノマーのポリカプロラクタムへのアニオン重合工程であって、得られるポリカプロラクタムを溶融させることなく、重合と組み合わされた回転成形により前記容器が形成されるように、前記組成物をε−カプロラクタムの融点以上かつ前記ポリカプロラクタムの融点未満の重合温度に加熱する工程と;
(c)得られたポリカプロラクタムの結晶化工程と;
(d)得られたカプロラクタムライナーの型からの取り出し工程と
を備えることを特徴とする不浸透性容器製造プロセス。
【請求項10】
工程(a)において、前記組成物および/またはこの組成物の少なくともε−カプロラクタムモノマーおよびε−カプロラクタム触媒が乾燥不活性ガスによりパージされることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
工程(a)において、一方がモノマー、活性化剤および添加剤を含み、他方がモノマーと触媒を含む、前記組成物の2つの予混合物が調整され、これら2つの予混合物は、前記組成物を生成するために回転成形型へ導入される直前、導入中、あるいは回転成形型の中で混合されることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
工程(a)において、組成物を溶融し、それを均質化するために、導入工程(b)の前または後に、前記組成物を前記モノマーの融点以上でかつ前記重合温度未満の事前加熱温度に追加的に事前加熱することを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(c)の実施中に、乾燥不活性ガスにより型をパージすることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
容器を形成するために設けられた型の内部表面全体に渡って、かつこの表面に従って重合が起こるように、型が2本の軸を中心に回転することを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項15】
回転する型内でε−カプロラクタムモノマーをポリカプロラクタムに重合することからなる工程が150℃〜200℃の重合温度で行われることを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項16】
厚さおよび/または組成が同一または異なる数層のポリカプロラクタムを有する不浸透性容器を形成するために、工程(a)、(b)および(c)を繰り返すことを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項17】
重合中に、タンクソケットを不浸透性容器に組み込むために、工程(c)を行う前に、回転成形型の内部にタンクソケットを取り付けることを特徴とする請求項9から16のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
流体を貯留する複合タンクであって、請求項9から16のいずれかに記載のプロセスを行うことにより得られる不浸透性容器(2)を具備する流体を貯留する複合タンク(1)。
【請求項19】
請求項18に記載の複合タンクであって、前記タンクは、以下の順番で、前記タンクの内部から外部に掛けて少なくとも:
前記不浸透性容器(2)と;
少なくとも1個の金属ソケット(4)と;
前記容器のための外部機械的補強(6)とを具備することを特徴とする複合タンク。
【請求項20】
前記少なくとも1個の金属ソケットが、アルミニウムまたは鋼ソケットであり、前記外部機械的補強が炭素繊維および熱硬化性樹脂から構成されるフィラメント巻線であることを特徴とする請求項19に記載の複合タンク。
【請求項21】
流体が加圧ガスである請求項19または20に記載のタンク。
【請求項22】
容器が、10と10Paとの間の使用圧力に耐えるような厚さを有することを特徴とする請求項19または20に記載のタンク。
【請求項23】
請求項19または20に記載のタンクであって、前記タンクがIV型タンクであることを特徴とするタンク。
【請求項24】
請求項9から16のいずれかに記載のプロセスを実施することにより得ることができる不浸透性容器を具備する油圧アキュムレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−517491(P2009−517491A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541746(P2008−541746)
【出願日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068816
【国際公開番号】WO2007/060199
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【出願人】(508154391)レール リキード ソシエテ アノニム プール レテュード エ レクスプロワタシオン デ プロセデ ジョルジュ クロード (1)
【Fターム(参考)】