説明

カメラ及びカメラ付き携帯情報端末装置

【課題】認証機能を備えたカメラを提供する。
【解決手段】光路となる開口部13に臨む位置と退避位置とを移動自在な赤外光カットフィルタ羽根22、赤外光カットフィルタ羽根22を駆動する電磁駆動源23、開口部13の後方に配置されたCCD25、開口部13に近接した指を照射する可視光源26及び赤外光源27、電磁駆動源23を駆動制御する制御手段を備え、制御手段は、操作者の認証モードにおいて、可視光源26を点灯させたとき赤外光カットフィルタ羽根22を開口部13に望む位置に移動させ、赤外光源27を点灯させたとき赤外光カットフィルタ羽根22を退避位置に移動させる。このように、赤外光カットフィルタ羽根22を開口部13に対して可動としたことにより、通常の撮影を行えると同時に、認証の際の生体情報(指紋、血管)を撮影することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者の認証機能を備えたカメラ及びカメラ付き携帯情報端末装置に関し、特に、携帯電話機等に搭載されて操作者の認証の際に生体情報を撮影して認証を行うカメラ及びカメラ付き携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作者を識別する従来の認証装置としては、携帯電話機の側面に操作者の指の静脈形状、脈波、指紋等の生体情報を読み取るセンサを設け、センサにより読み取られた情報を、WEBサーバ及び管理サーバを含むユーザ管理システムに送信して、操作者の認証を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この装置に採用されているセンサでは、操作者の指の静脈等に関する生体情報を、如何なる構成により読み取る(撮像する)のか、具体的な構成が開示されていない。
【0003】
また、他の識別装置としては、操作者の指に赤外光及び可視光をそれぞれ照射する光源、指からの光を可視光と赤外光とに分離するダイクロイックミラー、ダイクロイックミラーの後方に配置されたレンズ、レンズの後方に配置されたCCD等を備え、指の血管画像を撮像することで、登録されている血管画像と照合して、個人の認証を行うものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この装置では、部品点数も多く、構造が複雑であり、携帯電話機等に搭載するのは困難である。
【0004】
さらに、他の識別装置としては、操作者の指に照明光を照射するための光源及び光ファイバーからなる照明手段、指を透過した白色光から可視光をカットする可視光カットフィルタ、可視光カットフィルタの後方に配置されたレンズ及びCCD等を備え、CCDにより指の血管画像を撮像して、登録された血管画像と照合して、個人の認証を行うものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、この装置では、赤外光がCCDに常時進入する構成になっているため、血管画像を撮影するためだけにCCDを用いることはできても、通常の被写体を撮影すると画像の鮮明度が低下して、通常のデジタルカメラとして適用することは困難である。
一方、通常のデジタルカメラにおいては、CCDの前方に、赤外光を遮断する赤外光カットフィルタが配置されているが、この赤外光カットフィルタと上述の可視光カットフィルタを併せ持つ構成では、血管画像等を鮮明に撮影することが難しく、構造が複雑になり、装置の大型化、高コスト化を招く。
【0005】
【特許文献1】特開2004−344375号公報
【特許文献2】特開平11−203452号公報
【特許文献3】特開平7−21373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構成部品を極力削減して、構造の簡略化、低コスト化を図り、簡易な手法にて操作者の認証が行えると共に通常の被写体の撮影も行うことができ、特に携帯電話機等に搭載可能な小型のカメラ及びカメラ付き携帯情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカメラは、光路となる開口部から外れた退避位置と開口部に臨む位置とを移動自在に設けられた赤外光カットフィルタ羽根と、赤外光カットフィルタ羽根を駆動する電磁駆動源と、開口部の後方に配置されレンズを通して被写体を撮像する撮像素子と、開口部に近づけられた被写体を照射するべく可視光を発する可視光源及び赤外光を発する赤外光源と、電磁駆動源を駆動制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、操作者の認証モードにおいて、可視光源を点灯させたとき赤外光カットフィルタ羽根を開口部に望む位置に移動させ、赤外光源を点灯させたとき赤外光カットフィルタ羽根を退避位置に移動させるように、電磁駆動源を駆動制御する、ことを特徴としている。
この構成によれば、例えば、このカメラが携帯電話機等に搭載された場合において、操作者が電源を入れて認証モードになり、操作者が指を開口部にかざすと、可視光源を点灯させると共に赤外光カットフィルタ羽根を開口部に望む位置に移動させて、指の指紋等の画像が撮像素子により撮像され、又、可視光源に替えて赤外光源を点灯させると共に赤外光カットフィルタ羽根を退避位置に移動させて、指の血管パターンの画像が撮像素子により撮像される。したがって、これらの血管パターン及び指紋の画像を登録された画像と照合して認証を行うことができる。一方、認証で許可された後に一般の撮影を行う通常モードでは、赤外光カットフィルタ羽根は、開口部に望む位置に位置決めされているため、撮像素子に進入する赤外光が遮断されて、被写体の鮮明なカラー撮影画像を得ることができる。このように、赤外光カットフィルタ羽根を開口部に対して可動としたことにより、通常の撮影を行えると同時に、認証の際の生体情報を撮影することもできる。
【0008】
上記構成において、赤外光源は、開口部に対して、可視光源よりも近い位置に配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、赤外光は、指等の皮膚面に対して垂直に近い角度で入射して皮膚直下の血管パターンを鮮明に画像として映し出すことができ、可視光は、指等の皮膚面に斜め方向から入射して指紋等に陰影をつけて、指紋のパターンを鮮明に画像として映し出すことができる。
【0009】
上記構成において、電磁駆動源は、認証モード以外の通常モードにおいて、非通電の状態で、赤外光カットフィルタ羽根を開口部に臨む位置に位置決めして保持する、構成を採用することができる。
この構成によれば、通常の被写体を撮影する通常モードでは、赤外光カットフィルタ羽根は、非通電の状態で開口部に臨む位置に位置決めされて保持されるため、消費電力を低減することができ、このカメラが携帯電話機等の小型の機器に搭載される際に、電源を小型化でき、全体の小型化に寄与する。
【0010】
上記構成において、さらに、開口部を開閉するシャッタ羽根と、シャッタ羽根を駆動する第2電磁駆動源とを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、第2電磁駆動源によりシャッタ羽根を開閉駆動することでシャッタ機能が得られるため、通常の撮影でシャッタ機能を用いることができるのは勿論のこと、認証モードにおける生体の撮影でも、必要であればシャッタ機能を作動させることができる。
【0011】
上記構成において、赤外光カットフィルタ羽根及びシャッタ羽根は、共通の基板に対して回動自在に支持されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、赤外光カットフィルタ羽根を回動自在に支持する基板とシャッタ羽根を回動自在に支持する基板とを共通とすることにより、別々に設ける場合に比べて、部品点数を削減できると共に薄型化を達成できる。
【0012】
上記構成において、基板には、赤外光カットフィルタ羽根を摺動自在に案内するガイドレールが設けられている、構成を採用することができる。
この構成によれば、赤外光カットフィルタ羽根はガイドレールに案内されて往復動するためその動作が安定し、シャッタ羽根に隣接して配置される場合にシャッタ羽根と干渉するのを防止できる。
【0013】
また、上記構成をなすいずれかのカメラは、携帯情報端末装置に組み込まれたカメラとすることもできる。
この構成によれば、簡易な手法にて、携帯情報端末装置の所有者(操作者)の認証が行えると共に通常の被写体の撮影も行うことができる。
【0014】
また、本発明のカメラ付き携帯情報端末装置は、上記構成をなすカメラのいずれかのカメラを備えた携帯情報端末装置とすることを特徴としている。
この構成によれば、簡易な手法にて、携帯情報端末装置の所有者(操作者)の認証が行えると共に通常の被写体の撮影も行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
上記構成をなす本発明のカメラ及びカメラ付き携帯情報端末装置によれば、構成部品を極力削減して、構造の簡略化、低コスト化を達成しつつ、簡易な手法にて操作者の認証が行えると共に通常の被写体の撮影も行うことができ、特に携帯電話機等に搭載可能な小型のカメラ及び小型のカメラ付き携帯電話機等を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1ないし図4は、本発明に係るカメラを搭載した携帯電話機及びカメラの一実施形態を示すものであり、図1は携帯電話機を示す正面図、図2は携帯電話機に搭載されたカメラを示す部分断面図、図3は赤外光カットフィルタ羽根の動作を示す平面図、図4はカメラの可視光源及び赤外光源と開口部の関係を示す断面図である。
【0017】
携帯電話機は、図1に示すように、全体の輪郭を画定すると共に内部に各種の制御回路及び電子部品等を収容するケース10、ケース10の表面下側に配置された複数の操作釦11、ケース10の表面上側に設けられた液晶表示部12及び光路となる開口部13、信号の送受信を行うアンテナ14、開口部13の奥側でケース10に収容されたカメラ20等を備えている。
【0018】
カメラ20は、図1ないし図4に示すように、ケース10内に固定された基板21、基板21に対して回動自在に支持された赤外光カットフィルタ羽根22、基板21に固定されて赤外光カットフィルタ羽根22を駆動する電磁駆動源23、赤外光カットフィルタ羽根22の後方(奥側)に配置されたレンズ24、レンズ24の後方に配置された撮像素子としてのCCD25、開口部13の近傍においてケース10に設けられた可視光源26及び赤外光源27、種々の制御を司る制御手段としての制御回路(不図示)等を備えている。
【0019】
基板21は、図2に示すように、赤外光カットフィルタ羽根22を回動自在に支持する支軸21a、後述するレンズ鏡筒24aを結合する開口部21b、電磁駆動源23を固定するフランジ部21c、後述する電磁駆動源23の駆動ピン23bを所定角度の範囲で円弧状に移動自在に通す貫通孔21d等を備えている。
【0020】
赤外光カットフィルタ羽根22は、赤外光がCCD25へ進入するのを遮断するものであり、支軸21aを通す円孔22a、駆動ピン23bを通す長孔22bを有する。
そして、赤外光カットフィルタ羽根22は、図2及び図3に示すように、円孔22aに支軸21aが挿入され、長孔22bに駆動ピン23bが挿入され、支軸21a回りに回動自在に支持されており、駆動ピン23bが所定範囲を往復動することにより、図3に示すように、開口部13に臨む位置(赤外光が内部に進入するのを遮断する位置)と、開口部13から外れた退避位置(赤外光が内部に進入するのを許容する位置)との間を移動するようになっている。
【0021】
電磁駆動源23は、図2及び図3に示すように、赤外光カットフィルタ羽根22を駆動するものであり、電磁力により所定の角度範囲を回動するロータ23a,ロータ23aと一体に形成されたクランク形状の駆動ピン23b、励磁用のコイル(不図示)等を備えている。
そして、電磁駆動源23は、駆動ピン23bが赤外光カットフィルタ羽根22の長孔22bに挿入されると共に貫通孔21dで規制される範囲において回動し、赤外光カットフィルタ羽根22を、図3に示すように開口部13に臨む位置と退避位置との間で移動させるようになっている。また、電磁駆動源23は、非通電の状態で、赤外光カットフィルタ羽根22を、開口部13に臨む位置と退避位置とでそれぞれ停止させて保持するように形成されている。したがって、消費電力を低減することができ、それ故に電源を小型化でき、携帯電話機等の小型化に寄与する。
【0022】
レンズ24は、図2及び図4に示すように、光路となる開口部13を通る光軸Lの方向において、赤外光カットフィルタ羽根22よりも後方(奥側)において、基板21の開口部21bに結合されたレンズ鏡筒24aに保持されている。レンズ24の仕様については、単レンズ、複数のレンズ、あるいは接合レンズ等の如く、要求される光学性能に応じて設定される。
【0023】
撮像素子としてのCCD25は、図2及び図4に示すように、光軸Lの方向において、レンズ24よりも後方に配置され、レンズ鏡筒24aの後端に接合された回路基板25aを介して基板21に固定されている。ここで、回路基板25aには、制御手段としての各種の制御回路及び電子部品等が設けられている。尚、制御手段としては、携帯電話機の回路基板に設けられた各種の制御回路等を併用してもよい。
【0024】
可視光源26は、図1及び4に示すように、ケース10上において、開口部13よりも離れた位置に開けられた取付孔15に設けられており、開口部13にかざした操作者の指Fに対して、比較的小さい角度θ1で斜め方向から可視光を照射するようになっている。このように、可視光源26が開口部13から離れた位置に配置されることで、可視光が指Fの表面に対して斜め方向から当たるため、指紋等に陰影が付き易くなる。
そして、可視光源26から発せられた可視光は、指F等の皮膚面に斜め方向から入射して指紋等に陰影をつけて、赤外光カットフィルタ羽根22が開口部13に望む位置にある状態で、指Fからの反射光がレンズ24を通してCCD25に入射し、指紋のパターンを鮮明な画像として結像させるようになっている。
【0025】
赤外光源27は、図1及び図4に示すように、ケース10上において、開口部13に近い位置に開けられた取付孔16に設けられており、開口部13にかざした操作者の指Fに対して、比較的大きい角度θ2で垂直により近い方向から赤外光を照射するようになっている。このように、赤外光源27が開口部13に近い位置に配置されることで、赤外光が指Fの皮膚内部までまっすぐに入り込んで、血管を照射し易くなる。
そして、赤外光源27から発せられた赤外光は、指F等の皮膚面により垂直に近い角度で入り込んで皮膚内部の血管を照射し、赤外光カットフィルタ羽根22が開口部13から退避位置に移動した状態で、その反射光がレンズ24を通してCCD25に入射し、血管のパターンを鮮明な画像として結像させるようになっている。
【0026】
すなわち、赤外光源27と可視光源26とは、図4に示すように、赤外光源27が開口部13に対して可視光源26よりも近い位置に配置されている。これにより、赤外光は、指F等の皮膚面に対して垂直に近い角度θ2で入射して皮膚直下の血管パターンを鮮明に画像として映し出すことができ、一方、可視光は、指F等の皮膚面に斜め方向から小さい角度θ1(ここで、θ2>θ1)で入射して指紋等に陰影をつけて、指紋のパターンを鮮明に画像として映し出すことができる。
【0027】
次に、このカメラ20が搭載された携帯電話機において、認証のための撮影を行う場合の動作の一例について、図5を参照しつつ説明する。尚、それぞれの駆動制御は制御手段が司る。
先ず、携帯電話機の電源がオンにされると(ステップS1)、自動的に操作者が登録された者か否かの識別を行う認証モードになる(ステップS2)。
この初期状態において、赤外光カットフィルタ羽根22は、開口部13に臨む位置に停止して、電磁駆動源23の磁気的保持力により、非通電の状態で保持されている。
【0028】
そして、図1及び4に示すように操作者が指Fを開口部13にかざす(近接させる)と(ステップS3)、所定のタイミングで可視光源26が点灯する(ステップS4)と共に、認証のための指紋等のパターン画像がCCD25により撮影され記憶部に記憶される(ステップS5)。
続いて、所定のタイミングで可視光源26に替えて赤外光源27が点灯する(ステップS6)と同時に、電磁駆動源23が通電されて、赤外光カットフィルタ羽根22が開口部13から外れた退避位置に移動し(ステップS7)、認証のための血管パターンの画像がCCD25により撮影され記憶部に記憶される(ステップS8)。尚、赤外光カットフィルタ羽根22は、非通電状態で退避位置に保持される。
【0029】
そして、予め記憶部に登録された操作者の指紋及び血管の画像に関する情報と一致するか否かの照合が行われる(ステップS9)。ここで、不一致と判断された場合は、その認証の回数Nがカウントされ(ステップS10)、N<N1のときは再びステップS2に戻って認証モードを繰り返す。そして、N≧N1のときは認証が不許可となり、電源が自動的にオフとなる(ステップS11)。
一方、ステップS9において、画像が一致すると判断された場合は、電磁駆動源23が通電されて、赤外光カットフィルタ22が開口部13に臨む位置に移動する(ステップS12)。そして、電磁駆動源23が非通電とされても、赤外光カットフィルタ羽根22は開口部13に臨む位置に停止した状態で保持される。
【0030】
これにより、通常の被写体を撮影できる通常モードに移行する(ステップS13)。この通常モードは最も長く持続される状態であるため、非通電状態で赤外光カットフィルタ羽根22を保持することにより、消費電力を低減でき、それ故に、電源等の小型化を達成できる。
【0031】
そして、この通常モードにおいて、被写体を撮影したい場合は、レリーズ動作を行うことにより、電子シャッタが作動して被写体の画像が撮影される。この通常モードでは、赤外光カットフィルタ羽根22は、開口部13に望む位置に位置決めされているため、CCD25に進入する赤外光が遮断されて、被写体の鮮明なカラー撮影画像を得ることができる。
このように、赤外光カットフィルタ羽根22を開口部13に対して可動としたことにより、通常の撮影を行えると同時に、認証の際の生体情報(指の指紋及び血管のパターン画像)を撮影することもできる。
【0032】
図6ないし図8は、本発明に係るカメラの他の実施形態を示すものであり、シャッタ羽根及びシャッタ羽根を駆動する第2電磁駆動源を追加し、基板及びケースの一部を変更した以外は前述の実施形態と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態において、カメラ20´には、図6ないし図8に示すように、開口部13を開閉するシャッタ羽根32、シャッタ羽根32を駆動する第2電磁駆動源33が設けられている。
基板21には、図7に示すように、シャッタ羽根32を回動自在に支持する支軸21a´、第2電磁駆動源33を固定するフランジ部21c´、後述する第2電磁駆動源33の駆動ピン33bを所定角度の範囲で円弧状に移動自在に通す貫通孔21d´、赤外光カットフィルタ羽根22を摺動自在に案内するガイドレール21e´等が追加されている。尚、ケース10にも、ガイドレール21e´と対向するガイドレール17´が追加されている。
【0033】
シャッタ羽根32は、開口部13を開閉してシャッタ動作を行うものであり、支軸21a´を通す円孔32a、後述する駆動ピン33bを通す長孔32bを有する。
そして、シャッタ羽根32は、図7及び図8に示すように、赤外光カットフィルタ22の前方(開口部13寄り)に隣接して配置され、円孔32aに支軸21a´が挿入され、長孔32bに駆動ピン33bが挿入され、支軸21a´回りに回動自在に支持されており、駆動ピン33bが所定範囲を往復動することにより、図8に示すように、開口部13に臨む位置(閉鎖位置)と、開口部13から外れた退避位置(開放位置)との間を移動するようになっている。
【0034】
第2電磁駆動源33は、図7及び図8に示すように、シャッタ羽根32を駆動するものであり、電磁力により所定の角度範囲を回動するロータ33a、ロータ33aと一体に形成されたクランク形状の駆動ピン33b、励磁用のコイル(不図示)等を備えている。
そして、第2電磁駆動源33は、駆動ピン33bがシャッタ羽根32の長孔32bに挿入されると共に貫通孔21d´で規制される範囲において回動し、シャッタ羽根32を、図8に示すように開口部13に臨む位置と退避位置との間で移動させるようになっている。また、第2電磁駆動源33は、非通電の状態で、シャッタ羽根32を、開口部13に臨む位置と退避位置とでそれぞれ停止させて保持するように形成されている。したがって、消費電力を低減することができ、それ故に電源を小型化でき、携帯電話機等の小型化に寄与する。
【0035】
この実施形態では、赤外光カットフィルタ羽根22及びシャッタ羽根32が、共通の基板21に対して回動自在に支持されているため、別々の基板を設ける場合に比べて、部品点数を削減できると共に薄型化を達成できる。また、基板21(及びケース10)に、赤外光カットフィルタ羽根22を摺動自在に案内するガイドレール21e´,17´が設けられているため、赤外光カットフィルタ羽根22はガイドレール21e´,17´に案内されて安定した往復動作を行い、シャッタ羽根33に隣接して配置された場合でもシャッタ羽根33と干渉するのを防止できる。
【0036】
このカメラ20´が搭載された携帯電話機において、認証のための撮影を行う場合の動作は、基本的に前述の実施形態と同様であるが、通常モードにおいて、被写体を撮影したい場合は、レリーズ動作を行うことにより、第2電磁駆動源33が通電されて、シャッタ羽根33が開口部13を閉鎖してシャッタ動作が完了する。
また、認証モードにおいて必要な場合は、同様のシャッタ動作が行われるように駆動制御されてもよい。
【0037】
上記実施形態においては、認証モードにおいて、可視光源26を点灯して指紋に関するパターン画像を撮影した後に、赤外光源27を点灯して血管に関するパターン画像を撮影する場合を示したが、これに限定されるものではなく、逆の順序で認証画像の撮影を行ってもよい。
上記実施形態においては、カメラ20,20´を携帯電話機に搭載した場合を示したが、これに限定されるものではなく、携帯型パーソナルコンピュータ、PDA等その他の携帯情報端末機等に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上述べたように、本発明のカメラは、携帯電話機、携帯型パーソナルコンピュータ、PDA等の携帯情報端末機に搭載されて操作者の認証のための撮影を行う場合に適用できるのは勿論のこと、その他の医療機器あるいはオフィスでの認証システム等に採用されて、通常の撮影と認証用の撮影を行うのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るカメラを搭載した携帯電話機の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の携帯電話機に搭載されたカメラを示す部分断面図である。
【図3】カメラに含まれる赤外光カットフィルタ羽根の動作を示す平面図である。
【図4】カメラに含まれる可視光源及び赤外光源と開口部にかざした操作者の指との関係を示す断面図である。
【図5】カメラにおける認証モードでの制御動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るカメラを搭載した携帯電話機の他の実施形態を示す正面図である。
【図7】図6の携帯電話機に搭載されたカメラを示す部分断面図である。
【図8】図7に示すカメラに含まれる赤外光カットフィルタ羽根及びシャッタ羽根の動作を示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 ケース
13 光路となる開口部
15,16 取付孔
17´ ガイドレール
20,20´ カメラ
21 基板
21a,21a´ 支軸
21e´ ガイドレール
22 赤外光カットフィルタ羽根
23 電磁駆動源
23a ロータ
23b 駆動ピン
24 レンズ
25 CCD(撮像素子)
25a 回路基板(制御手段)
26 可視光源
27 赤外光源
32 シャッタ羽根
33 第2電磁駆動源
33a ロータ
33b 駆動ピン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路となる開口部から外れた退避位置と前記開口部に臨む位置とを移動自在に設けられた赤外光カットフィルタ羽根と、前記赤外光カットフィルタ羽根を駆動する電磁駆動源と、前記開口部の後方に配置されレンズを通して被写体を撮像する撮像素子と、前記開口部に近づけられた被写体を照射するべく可視光を発する可視光源及び赤外光を発する赤外光源と、前記電磁駆動源を駆動制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、操作者の認証モードにおいて、前記可視光源を点灯させたとき前記赤外光カットフィルタ羽根を前記開口部に望む位置に移動させ、前記赤外光源を点灯させたとき前記赤外光カットフィルタ羽根を前記退避位置に移動させるように、前記電磁駆動源を駆動制御する、
ことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記赤外光源は、前記開口部に対して、前記可視光源よりも近い位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記電磁駆動源は、前記認証モード以外の通常モードにおいて、非通電の状態で、前記赤外光カットフィルタ羽根を前記開口部に臨む位置に位置決めして保持する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記開口部を開閉するシャッタ羽根と、前記シャッタ羽根を駆動する第2電磁駆動源とを含む、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のカメラ。
【請求項5】
前記赤外光カットフィルタ羽根及びシャッタ羽根は、共通の基板に対して回動自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項4記載のカメラ。
【請求項6】
前記基板には、前記赤外光カットフィルタ羽根を摺動自在に案内するガイドレールが設けられている、
ことを特徴とする請求項5記載のカメラ。
【請求項7】
携帯情報端末装置に組み込まれた請求項1ないし6いずれかに記載のカメラ。
【請求項8】
請求項1ないし6いずれかに記載のカメラを備えたカメラ付き携帯情報端末装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−311358(P2006−311358A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133321(P2005−133321)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】