説明

カリウムチャネル調節剤及び医療における使用

本発明は、新規なカリウムチャネル調節剤、及び医薬組成物の調製におけるこれらの使用に関する。さらに、本発明は、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害、具体的には呼吸器疾患、てんかん、けいれん、血管けいれん、冠動脈けいれん、腎障害、多発性嚢胞腎、膀胱けいれん、尿失禁、膀胱排出障害、過敏性腸症候群、胃腸障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠動脈性心疾患、外傷性脳損傷、精神障害、統合失調症、不安、うつ病、痴呆、記憶障害及び注意欠陥障害、アルツハイマー病、月経困難、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、片頭痛、不整脈、高血圧、アブサンス発作、筋緊張性ジストロフィー、口腔乾燥、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、脱毛症、癌、免疫抑制又は痛みの、治療又は緩和に有用な医薬組成物を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカリウムチャネル調節剤、及び医薬組成物の調製におけるこれらの使用に関する。
【0002】
さらに、本発明は、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害、具体的には呼吸器疾患、てんかん、けいれん、発作、アブサンス発作、血管けいれん、冠動脈けいれん、腎障害、多発性嚢胞腎、膀胱けいれん、尿失禁、膀胱排出障害、勃起不全、胃腸障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠動脈性心疾患、運動失調、外傷性脳損傷、パーキンソン病、双極性障害、精神障害、統合失調症、不安、うつ病、気分障害、痴呆、記憶障害及び注意欠陥障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化(ALS)、月経困難、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、不整脈、高血圧、筋緊張性ジストロフィー、痙縮、口腔乾燥、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、脱毛症、癌、過敏性腸症候群、免疫抑制、片頭痛又は痛みの、治療又は緩和に有用な医薬組成物を対象とする。
【背景技術】
【0003】
イオンチャネルは、細胞膜の向こう側へ無機イオンを輸送するのを触媒する膜貫通タンパクである。イオンチャネルは、活動電位の発生及びタイミング、シナプス伝達、ホルモン分泌、筋収縮などの多様なプロセスに関与する。
【0004】
哺乳類細胞はすべて、これらの細胞膜中にカリウム(K)チャネルを発現し、該チャネルは膜電位の調節において主要な役割を果たす。神経細胞及び筋細胞において、これらは活動電位の頻度及び形、神経伝達物質の放出並びに気管支拡張及び血管拡張の程度を調節する。
【0005】
分子の観点からすると、Kチャネルは、イオンチャネルのうちで最も大きく、最も多様なグループに相当する。概観としては、これらは5つの大きな亜科に分けることができる。すなわち、電位活性型Kチャネル(K)、QT延長関連Kチャネル(KvLQT)、内向き整流(KIR)、2ポアKチャネル(KTP)及びカルシウム活性型Kチャネル(Kca)である。
【0006】
最後のグループであるCa2+活性型Kチャネルは、3つの明確な亜型、すなわちSKチャネル、IKチャネル及びBKチャネルからなる。SK、IK及びBKは、単一チャネルコンダクタンス(小、中及び大コンダクタンスKチャネル)を指す。SK、IK及びBKチャネルは、例えば電圧感受性及びカルシウム感受性、薬理学、分布並びに機能の点で相違を示す。
【0007】
SKチャネルは多くの中枢ニューロン及び神経節に存在し、ここでの主要な機能は、長い連続的なてんかん誘発活性が生じるのを防止するために、1つ又は複数の活動電位に続いて神経細胞を過分極化することである。SKチャネルはまた、骨格筋、腺細胞、肝細胞及びT−リンパ球を含む複数の末梢細胞中に存在する。正常な骨格筋中のSKチャネルの意義は明らかではないが、この数が脱神経筋中で著しく増加し、筋緊張性ジストロフィー患者の筋中でSKチャネルが多数見られることから、疾患の病因に何らかの役割を果たしているものと示唆される。
【0008】
複数の研究によると、喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患及び鼻漏、けいれん、血管けいれん、冠動脈けいれん、腎障害、多発性嚢胞腎、膀胱けいれん、尿失禁、膀胱排出障害、過敏性腸症候群、胃腸障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠動脈性心疾患、外傷性脳損傷、精神障害、不安、うつ病、痴呆、記憶障害及び注意欠陥障害、アルツハイマー病、月経困難、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、片頭痛、不整脈、高血圧、アブサンス発作、筋緊張性ジストロフィー、口腔乾燥、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、脱毛症、癌並びに免疫抑制を含む複数の疾患の治療において、Kチャネルが治療の標的である可能性があることが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、SKチャネル又はSKチャネルの亜型を選択的に調節することができる新規化合物の提供に属する。
【0010】
さらに、本発明は、呼吸器疾患、てんかん、けいれん、発作、アブサンス発作、血管けいれん、冠動脈けいれん、腎障害、多発性嚢胞腎、膀胱けいれん、尿失禁、膀胱排出障害、勃起不全、胃腸障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠動脈性心疾患、運動失調、外傷性脳損傷、パーキンソン病、双極性障害、精神障害、統合失調症、不安、うつ病、気分障害、痴呆、記憶障害及び注意欠陥障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化(ALS)、月経困難、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、不整脈、高血圧、筋緊張性ジストロフィー、痙縮、口腔乾燥、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、脱毛症、癌、過敏性腸症候群、免疫抑制、片頭痛又は痛みなどの疾患又は状態を含む、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害の、治療又は緩和に有用な医薬組成物を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、この第1の態様では、本発明は、式I
【化1】


の新規なピラゾリル−キナゾリン誘導体、
異性体若しくはその異性体の混合物、そのN−オキシド又はその医薬として許容できる塩を提供する。
[式中、
nは、0、1、2又は3であり;
Xは、O、S又はNR’を表し;ここで、
R’は、水素、アルキル、シクロアルキル若しくはシクロアルキル−アルキルを表し;
又はnが0であり、XがNR’である場合、R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよく;
Yは、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、アルケニル、又は単環式若しくは多環式の、炭素環基若しくは複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよく;
又はnが0であり、XがNR’である場合、Yは、R’と一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよく;
、R及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ及びアミノを表す。]
【0012】
他の態様では、本発明の化合物の有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害の、治療用又は緩和用の薬物を製造するための本発明の化合物の使用、及びカリウムチャネルの調節に反応する障害又は状態の、治療方法又は緩和方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
カリウムチャネル調節剤
この第1の態様では、本発明は、式I
【化2】


によって表される新規なピラゾリル−キナゾリン誘導体、
異性体若しくはその異性体の混合物、そのN−オキシド又はその医薬として許容できる塩を提供する。
[式中、
nは、0、1、2又は3であり;
Xは、O、S又はNR’を表し;ここで、
R’は、水素、アルキル、シクロアルキル若しくはシクロアルキル−アルキルを表し;
又はnが0であり、XがNR’である場合、R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよく;
Yは、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、アルケニル、又は単環式若しくは多環式の、炭素環基若しくは複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよく;
又はnが0であり、XがNR’である場合、Yは、R’と一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよく;
、R及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ及びアミノを表す。]
【0015】
好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、nが、0、1、2又は3である式Iの化合物である。
【0016】
より好ましい実施形態では、nは、0、1又は2である。
【0017】
さらにより好ましい実施形態では、nは、0又は1である。
【0018】
最も好ましい実施形態では、nは0である。
【0019】
他の好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、Xが、O、S又はNR’を表し;ここで、R’は、水素、アルキル、シクロアルキル若しくはシクロアルキル−アルキルを表し;又はnが0であり、XがNR’である場合、R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよい、式Iの化合物である。
【0020】
より好ましい実施形態では、XはNR’を表し;ここで、R’は、水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルを表す。
【0021】
さらにより好ましい実施形態では、XはNR’を表し;ここで、R’は、水素又はアルキルを表す。
【0022】
さらに一層好ましい実施形態では、XはNR’を表し;ここで、R’は、水素、メチル、エチル又はプロピルを表す。
【0023】
その上より好ましい実施形態では、XはNHを表す。
【0024】
他の好ましい実施形態では、nは0であり;XはNR’を表し;R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル又はフェニルで場合によって置換されていてもよい。
【0025】
より好ましい実施形態では、nは0であり;XはNR’を表し;R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって、ピロリジニル環、ピペリジニル環、ピペラジニル環又はモルホリニル環を形成する。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、nは0であり;XはNR’を表し;R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になってピペリジニル環を形成する。
【0027】
第3に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、Yが、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、アルケニル、又は単環式若しくは多環式の、炭素環基若しくは複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよく;又はnが0であり、XがNR’である場合、Yが、R’と一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよい、式Iの化合物である。
【0028】
より好ましい実施形態では、Yは、アルキル、アルケニル又はシクロアルキルを表す。
【0029】
さらにより好ましい実施形態では、Yは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルアリル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを表す。
【0030】
さらに一層好ましい実施形態では、Yは、エチル、アリル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロオクチルを表す。
【0031】
その上より好ましい実施形態では、Yは、アルキルで場合によって置換されているシクロアルキルを表す。
【0032】
その上さらに好ましい実施形態では、Yは、アルキルで場合によって置換されている、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを表す。
【0033】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、メチル又はtert−ブチルで場合によって置換されている、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを表す。
【0034】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、アルキルで置換されているシクロヘキシルを表す。
【0035】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、メチル又はtert−ブチルで置換されているシクロヘキシルを表す。
【0036】
他の好ましい実施形態では、Yは、フェニル、ナフチル若しくは1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチルから選択される、単環式若しくは多環式の炭素環基を表し;又はピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリルから選択される、単環式若しくは多環式の複素環基を表し;フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリル基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい。
【0037】
より好ましい実施形態では、Yは、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル又はピロリルを表し;フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリル基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい。
【0038】
さらにより好ましい実施形態では、Yは、フェニル、ナフト−1−イル、ナフト−2−イル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフト−1−イル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフト−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−4−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、チエン−1−イル、チエン−2−イル、ピロール−1−イル又はピロール−2−イルを表し;フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリル基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい。
【0039】
さらに一層好ましい実施形態では、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリル基は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい。
【0040】
その上より好ましい実施形態では、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリル基は、メチル、エチル、プロピル、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル、メトキシ又はエトキシからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい。
【0041】
さらに好ましい実施形態では、Yは、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル及びインダニルから選択される、単環式又は多環式の炭素環基を表し、この炭素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよい。
【0042】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル及びインダニルを表し、炭素環基は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい。
【0043】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル及びインダニルを表し、炭素環基は、メチル、tert−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、メトキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい。
【0044】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、メチル、tert−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、メトキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されているフェニルを表す。
【0045】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルで場合によって置換されているフェニルを表す。
【0046】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、メチル、tert−ブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、メトキシ、メチレンジオキシ、フェニル又はモルホリニルで場合によって置換されているフェニルを表す。
【0047】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、複素環基を表し、炭素環基又は複素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよい。
【0048】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Yは、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、インドリル又はキノリニルを表す。
【0049】
最も好ましい実施形態では、Yは、テトラヒドロピラニル、ピリジニル、インドリル又はキノリニルを表す。
【0050】
第4に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、R、R及びRが、互いに独立して、水素、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ及びアミノを表す、式Iの化合物である。
【0051】
第5に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、R、R及びRが、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ又はアミノを表す、式Iの化合物である。
【0052】
より好ましい実施形態では、R、R及びRは、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルを表す。
【0053】
さらにより好ましい実施形態では、R、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す。
【0054】
さらに一層好ましい実施形態では、R、R及びRは、互いに独立して、メチル、エチル又はプロピルを表す。
【0055】
その上より好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表し;Rは水素を表す。
【0056】
さらに好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立して、アルキルを表し;Rは水素を表す。
【0057】
その上さらに一層好ましい実施形態では、R及びRは、メチル又はイソプロピルを表し;Rは水素を表す。
【0058】
その上さらに一層好ましい実施形態では、R及びRは、メチルを表し;Rは水素を表す。
【0059】
その上さらに一層好ましい実施形態では、R及びRは、イソプロピルを表し;Rは水素を表す。
【0060】
その上さらに一層好ましい実施形態では、Rはメチルを表し;R及びRは、水素を表す。
【0061】
その上さらに一層好ましい実施形態では、R、R及びRは、水素を表す。
【0062】
第6に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、nが0であり;Xが、O、S又はNR’を表し;ここで、R’は、水素、メチル、エチル又はプロピルを表し;Yが、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アルキル−シクロアルキルを表し;R及びRが、メチル又はイソプロピルを表し;Rが水素を表す、式Iの化合物である。
【0063】
より好ましい実施形態では、nは0であり;XはNHを表し;Yは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アルキル−シクロアルキル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチルインダニル、テトラヒドロピラニル、ピリジニル、インドリル又はキノリニルを表し;R及びRは、メチル又はイソプロピルを表し;Rは水素を表す。
【0064】
第7に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、nが0であり;XがNR’を表し;ここで、R’は、水素、メチル、エチル又はプロピルを表し;Yが、アルキル(エチル、プロピル、ブチル)、シクロアルキル(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル)、シクロアルキル−アルキル又はアルケニル(アリル)、ピペリジニル又はフェニルを表し、フェニルは、ハロ又はトリフルオロメチルで1回又は2回、場合によって置換されていてもよく;R、R及びRが、互いに独立して、メチル、エチル又はプロピルを表す、式Iの化合物である。
【0065】
第8に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、nが、0又は1であり;XがNHを表し;Yが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されているフェニルを表し;R及びRが、メチル又はイソプロピルを表し;Rが水素を表す、式Iの化合物である。
【0066】
より好ましい実施形態では、nは0であり;XはNHを表し;Yは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されているフェニルを表し;R及びRは、メチル又はイソプロピルを表し;Rは水素を表す。
【0067】
さらにより好ましい実施形態では、nは1であり;XはNHを表し;Yは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されているフェニルを表し;R及びRは、メチル又はイソプロピルを表し;Rは水素を表す。
【0068】
さらに一層好ましい実施形態では、nは1であり;XはNHを表し;Yは、ハロ又はハロアルキルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されているフェニルを表し;R及びRは、メチルを表し;Rは水素を表す。
【0069】
第9に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、nが0であり;XがNR’を表し;R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって、ピロリジニル環又はピペリジニル環を形成し;R、R及びRが、互いに独立して、メチル、エチル又はプロピルを表す、式Iの化合物である。
【0070】
第10に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、nが0であり;XがNR’を表し;R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって、ピロリジニル環、ピペリジニル環、ピペラジニル環又はモルホリニル環を形成し;R及びRが、互いに独立して、メチル、エチル又はプロピルを表し;Rが水素を表す、式Iの化合物である。
【0071】
第11に好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、nが1であり;XがNR’を表し;ここで、R’は、水素、メチル、エチル又はプロピルを表し;Yが、フラニル、チエニル又はフェニルを表し、フェニルは、ハロ又はトリフルオロメチルで1回又は2回、場合によって置換されていてもよく;R、R及びRが、互いに独立して、メチル、エチル又はプロピルを表す、式Iの化合物である。
【0072】
最も好ましい実施形態では、本発明のピラゾリル−キナゾリン誘導体は、
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−プロピルアミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−エチルアミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ジエチル−アミン;
ブチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
アリル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロプロピル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロペンチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロヘキシル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロヘプチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロオクチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−4−ピペリジン−1−イル−キナゾリン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピペリジン−4−イル−アミン;
ベンジル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(4−クロロ−ベンジル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−フラン−2−イルメチル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−チオフェン−2−イルメチル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−フェニル−アミン;
(4−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(2−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3,4−ジクロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(4−ブロモ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−p−トリル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−m−トリル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−o−トリル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ナフタレン−2−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−アミン;
シクロヘキシル−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
S−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1−エチル−プロピル)−アミン;
[2−(3,5−ジイソプロピル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−メチル−シクロヘキシル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピリジン−2−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−メチル−シクロヘキシル)−アミン;
(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン;
シクロヘキシル−[2−(3,5−ジイソプロピル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−インダン−2−イル−アミン;
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−キノリン−8−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−ヨード−フェニル)−アミン;
ビフェニル−4−イル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1H−インドール−7−イル)−アミン;又は
シクロヘキシル−(2−ピラゾール−1−イル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
又はこれらの医薬として許容できる塩である。
【0073】
本明細書に記載されている実施形態のうち、2つ以上のいずれの組合せも本発明の範囲内にあると考えられる。
【0074】
置換基の定義
本発明の文脈において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。したがって、トリハロメチル基は、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基及び類似のトリハロ置換メチル基を表す。
【0075】
本発明の文脈において、ハロアルキル基は、本明細書において定義されるアルキル基を意味し、アルキル基は、ハロで1回又は複数回置換されている。本発明の好ましいハロアルキル基は、トリハロメチルを含み、好ましくはトリフルオロメチルである。
【0076】
本発明の文脈において、アルキル基は、直鎖又は分枝の1価の飽和炭化水素鎖を意味する。該炭化水素鎖は、好ましくは1から18個までの炭素原子を含み(C1〜18−アルキル)、より好ましくは1から6個までの炭素原子を含み(C1〜6−アルキル;低級アルキル)、これにはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリーペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルが含まれる。好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜4−アルキル基を表し、これにはブチル、イソブチル、セカンダリーブチル及びターシャリーブチルが含まれる。本発明の好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜3−アルキル基を表し、具体的にはメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってもよい。
【0077】
本発明の文脈において、アルケニル基は、1個又は複数の二重結合を含む炭素鎖を意味し、これにはジ−エン、トリ−エン及びポリ−エンが含まれる。好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基は、2から8個までの炭素原子を含み(C2〜8−アルケニル)、より好ましくは2から6個までの炭素原子を含み(C2〜6−アルケニル)、これには少なくとも1個の二重結合が含まれる。最も好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基は、エテニル、すなわち1−若しくは2−プロペニル;1−、2−若しくは3−ブテニル、又は1,3−ブテニル;1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキセニル、又は1,3−ヘキセニル、又は1,3,5−ヘキセニル;1−、2−、3−、4−、5−、6−若しくは7−オクテニル、又は1,3−オクテニル、又は1,3,5−オクテニル、又は1,3,5,7−オクテニルである。
【0078】
本発明の文脈において、シクロアルキル基は、好ましくは3から10個までの炭素原子を含み(C3〜10−シクロアルキル)、好ましくは3から8個までの炭素原子を含む(C3〜8−シクロアルキル)環状アルキル基を意味し、これにはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれる。
【0079】
本発明の文脈において、シクロアルキル−アルキル基は、上記定義のシクロアルキル基を意味し、シクロアルキル基は同様に上記定義のアルキル基上で置換されている。本発明の好ましいシクロアルキル−アルキル基の例には、シクロプロピルメチル及びシクロプロピルエチルが含まれる。
【0080】
本発明の文脈において、アルコキシ基は、「アルキル−O−」基を意味し、ここでアルキルは上記定義の通りである。
【0081】
本発明の文脈において、ハロアルコキシ基は、本明細書において定義されるアルコキシ基を意味し、アルコキシ基は、ハロで1回又は複数回置換されている。本発明の好ましいハロアルコキシ基には、トリハロメトキシ好ましくはトリフルオロメトキシが含まれる。
【0082】
本発明の文脈において、アミノ基は、プライマリー(−NH)、セカンダリー(−NH−アルキル)又はターシャリー(−N(アルキル))であってもよく、すなわちアミノ基は、上記定義のアルキル基で1回又は2回置換されていてもよい。
【0083】
本発明の文脈において、単環式又は多環式の炭素環基は、単環式又は多環式の炭化水素基を意味し、この基は、具体的には芳香族炭化水素基、すなわち単環式若しくは多環式のアリール基、又は飽和炭化水素基若しくは部分的に飽和した炭化水素基であってもよい。好ましい炭素多環式基は、2環式の炭素環基である。
【0084】
本発明の文脈において、単環式又は多環式の炭素環基は、単環式又は多環式の炭化水素基を意味する。本発明の好ましい炭素環基の例には、シクロアルキル、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、アントラセニル及びフルオレニルが含まれる。本発明の最も好ましい炭素環基には、フェニル、ナフチル及び1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチルが含まれる。
【0085】
本発明の文脈において、単環式又は多環式の複素環基は、単環式又は多環式の基を意味し、この基は、この環状構造において1個又は複数のヘテロ原子を有する。好ましいヘテロ原子には、窒素(N)、酸素(O)及び硫黄(S)が含まれる。環状構造の1つ又は複数は、具体的には飽和又は部分的に飽和した芳香族(すなわち、ヘテロアリール)であってもよい。本発明の好ましい複素単環式基には、5−及び6−員の複素単環式基が含まれる。本発明の好ましい複素多環式基は、2環式の複素環基である。
【0086】
本発明の好ましい複素単環式基の例には、ピロリジニル、具体的にはピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル及びピロリジン−3−イル;ピペリジニル、具体的にはピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル及びピペリジン−4−イル;フラニル、具体的にはフラン−2−イル及びフラン−3−イル;チエニル、具体的にはチエン−2−イル及びチエン−3−イル;並びにピロリル、具体的にはピロール−1−イル、ピロール−2−イル及びピロール−3−イルが含まれる。
【0087】
異性体
本発明の化合物が、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何異性体(シス−トランス異性体)などの異なった立体異性の形で存在し得ることは、当業者によって認識されるであろう。本発明には、かかるすべての異性体、及びラセミ混合物を含めたこれらの任意の混合物が含まれる。
【0088】
ラセミ体は、知られている方法及び技術によって光学対掌体に分割することができる。エナンチオマー化合物(エナンチオマー中間体を含む)を分離する1つの方法は、光学活性なアミンを使用すること、及び分割されたジアステレオマー塩を酸で処理することによって遊離させることである。ラセミ化合物を光学対掌体に分割するための他の方法は、光学活性な基質上でのクロマトグラフィーに基づいている。したがって、本発明のラセミ化合物は、例えば、D−又はL−の塩(酒石酸塩、マンデル酸塩又はカンファースルホン酸塩)の分別結晶によって、光学対掌体に分割することができる。
【0089】
本発明の化合物はまた、以下による分割も可能である。すなわち、(+)若しくは(−)フェニルアラニン、(+)若しくは(−)フェニルグリシン、(+)若しくは(−)カンファン酸由来などの光学活性な活性カルボン酸と本発明の化合物との反応により、ジアステレオマーのアミドを形成させることによる分割、又は、光学活性なクロロギ酸塩などと本発明の化合物との反応により、ジアステレオマーのカルバミン酸塩を形成させることによる分割などである。
【0090】
光学異性体を分割するためのさらなる方法が、当技術分野において知られている。かかる方法には、Jaques J、Collet A及びWilen Sによって、「エナンチオマー、ラセミ体及び分割(Enantiomers、Racemates、and Resolutions)」、John Wiley and Sons、New York(1981)に記載されたものが含まれる。
【0091】
光学活性な化合物はまた、光学活性な出発物質又は中間体から調製することができる。
【0092】
医薬として許容できる塩
本発明の化合物は、目的とする投与に適した任意の形態で提供され得る。適当な形態には、本発明の化合物の、医薬として(すなわち生理的に)許容できる塩、及びプレドラッグ又はプロドラッグの形態が含まれる。
【0093】
医薬として許容できる付加塩の例には、限定するものではなく、非毒性の無機酸及び有機酸の付加塩が含まれる。例えば、塩酸由来の塩酸塩、臭化水素酸由来の臭化水素酸塩、硝酸由来の硝酸塩、過塩素酸由来の過塩素酸塩、リン酸由来のリン酸塩、硫酸由来の硫酸塩、ギ酸由来のギ酸塩、酢酸由来の酢酸塩、アコニット酸由来のアコニット酸塩、アスコルビン酸由来のアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸由来のベンゼンスルホン酸塩、安息香酸由来の安息香酸塩、桂皮酸由来の桂皮酸塩、クエン酸由来のクエン酸塩、エンボン酸由来のエンボン酸塩、エナント酸由来のエナント酸塩、フマル酸由来のフマル酸塩、グルタミン酸由来のグルタミン酸塩、グリコール酸由来のグリコール酸塩、乳酸由来の乳酸塩、マレイン酸由来のマレイン酸塩、マロン酸由来のマロン酸塩、マンデル酸由来のマンデル酸塩、メタンスルホン酸由来のメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸由来のナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸由来のフタル酸塩、サリチル酸由来のサリチル酸塩、ソルビン酸由来のソルビン酸塩、ステアリン酸由来のステアリン酸塩、琥珀酸由来の琥珀酸塩、酒石酸由来の酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸由来のトルエン−p−スルホン酸塩などが挙げられる。かかる塩は、当技術分野においてよく知られ、且つ記載されている手法で形成することができる。
【0094】
シュウ酸などの、医薬として許容できないと考えられ得るような他の酸は、本発明の化合物及びその医薬として許容できる酸付加塩を得る際に、中間体として有用な塩の調製に役立つ可能性がある。
【0095】
本発明の化合物の金属塩には、カルボキシ基を含む本発明の化合物のナトリウム塩などのアルカリ金属塩が含まれる。
【0096】
本発明の文脈において、Nを含む化合物の「オニウム塩」はまた、医薬として許容できる塩として企図されている。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0097】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの医薬として許容できる溶媒と共に、溶解性又は不溶解性の形態で提供されることが可能である。溶解性の形態はまた、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和物の形態を含む。一般的に、溶解性の形態は、本発明において不溶解性の形態と同等であると考えられる。
【0098】
調製方法
本発明の化合物は、従来の化学合成法、例えば実施例に記載されている方法によって調製することができる。本明細書に記載されている工程のための出発物質は、知られているか、又は市販の薬品から従来の方法によって容易に調製することができる。
【0099】
本明細書に記載されている反応の最終生成物は、従来の技術、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどによって単離することができる。
【0100】
生物活性
本発明の化合物をin vitro実験に供し、カリウムチャネル調節剤として特に有用であることを見い出している。より具体的には、本発明の化合物は、SK1、SK2及び/又はSK3チャネルを選択的に調節することができる。
【0101】
したがって、他の態様では、本発明は薬物を製造するための本発明の化合物の使用に関する。かかる薬物は、カリウムチャネル、具体的にはSKチャネル、より具体的にはSK1、SK2及び/又はSK3チャネルの活性に関連する疾患又は障害の、治療又は緩和に有用である可能性がある。
【0102】
好ましい実施形態では、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害は、呼吸器疾患、てんかん、けいれん、発作、アブサンス発作、血管けいれん、冠動脈けいれん、腎障害、多発性嚢胞腎、膀胱けいれん、尿失禁、膀胱排出障害、勃起不全、胃腸障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠動脈性心疾患、運動失調、外傷性脳損傷、パーキンソン病、双極性障害、精神障害、統合失調症、不安、うつ病、気分障害、痴呆、記憶障害及び注意欠陥障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化(ALS)、月経困難、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、不整脈、高血圧、筋緊張性ジストロフィー、痙縮、口腔乾燥、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、脱毛症、癌、過敏性腸症候群、免疫抑制、片頭痛又は痛みである。
【0103】
より好ましい実施形態では、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害は、呼吸器疾患、尿失禁、勃起不全、不安、てんかん、精神障害、統合失調症、筋萎縮性側索硬化(ALS)又は痛みである。
【0104】
他の好ましい実施形態では、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害は、呼吸器疾患、具体的には喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は鼻漏である。
【0105】
第3に好ましい実施形態では、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害は、尿失禁である。
【0106】
第4に好ましい実施形態では、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害は、てんかん、発作、アブサンス発作又はけいれんである。
【0107】
第5に好ましい実施形態では、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害は、呼吸器疾患、具体的には喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は鼻漏である。
【0108】
被験化合物はすべて、マイクロモル及びマイクロモル未満の範囲、すなわち1μM未満から100μMを超える範囲で生物活性を示した。本発明の好ましい化合物は、マイクロモル未満及びマイクロモルの範囲、すなわち0.1μM未満から約10μMまでの範囲で、本明細書に記載の通りに測定された生物活性を示す。
【0109】
医薬組成物
本発明のさらに他の態様では、本発明の化合物の治療有効量を含む新規医薬組成物を提供する。
【0110】
治療に使用するための本発明の化合物は、未改変の化合物の形態で投与され得るが、該活性成分を、場合によって生理的に許容できる塩の形態で、医薬組成物中に1種又は複数種の補助剤、賦形剤、担体及び/又は希釈剤と共に導入することが好ましい。
【0111】
好ましい実施形態では、本発明は、したがって医薬として許容できる1種又は複数種の担体、及び場合によって他の治療成分及び/又は予防成分と共に、本発明の化合物、又はその医薬として許容できる塩若しくは誘導体を含む医薬組成物を提供する。該担体(1種又は複数種)は、製剤の他の成分と化学反応を起こさない、且つこれを投与された者に有害でないという意味で「許容できる」必要がある。
【0112】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、経膣又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内、眼内の注射若しくは注入を含む)投与に適したもの、或いは、粉末剤及び液体エアゾール剤の投与を含む吸入若しくは通気、又は持続放出性製剤に適した形態にあるものであってもよい。持続放出性製剤の適当な例には、本発明の化合物を含む固体の疎水性ポリマーの半透性基質が含まれる。この基質は、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態であってもよい。
【0113】
したがって、本発明の化合物は、従来の補助剤、担体又は希釈剤と共に、医薬組成物及びこれらの単位調剤の形態中に入れることが可能である。かかる形態には、固体、及び特に錠剤、増量剤入りカプセル剤、粉末剤及びペレット剤、並びに液剤、特に水溶液又は非水溶液、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、並びに同化合物入りカプセル剤、経口用のすべて、直腸投与用坐剤、並びに非経口用の無菌注射用溶液が含まれる。かかる医薬組成物及びこれらの単位剤形は、従来の成分を従来の割合で含むことができ、さらなる活性化合物又は成分を含んでも含まなくてもよく、かかる単位剤形は、使用されるように意図された1日投与量の範囲に相当する、任意の適当な有効量の活性成分を含むことができる。
【0114】
本発明の化合物は、幅広い種類の経口及び非経口の単位剤形で投与されることが可能である。以下の単位剤形が、活性成分として、本発明の化合物か、又は本発明の化合物の医薬として許容できる塩のいずれかを含み得ることは、当業者には明らかであろう。
【0115】
医薬組成物を本発明の化合物から調製するためには、医薬として許容できる担体は、固体又は液体のいずれかの可能性がある。固形製剤には、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤が含まれる。固体担体は1種又は複数種の物質であることが可能であり、かかる物質はまた、希釈剤、着香剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材としての働きをすることができる。
【0116】
粉末剤において、該担体は、微粉化した固体であり、微粉化した活性成分との混合物の状態にある。
【0117】
錠剤において、該活性成分は、適当な割合で必要な結合能力を有する該担体と混合され、所望の形状及び大きさで圧縮されている。
【0118】
該粉末剤及び錠剤は、5又は10%から約70%の活性化合物を含むことが好ましい。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「製剤」という用語は、カプセルを提供する担体として、カプセル化材を有する活性化合物の製剤を含むことを意味する。かかるカプセル中、活性成分は、複数の担体の有無にかかわらず、1つの担体に取り囲まれているので、かかるカプセルは該活性成分と関連している。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤は、経口投与に適した固体剤形として用いることができる。
【0119】
坐剤の調製については、脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオバターなどの低融点ワックスを最初に融解させ、その中に撹拌などによって活性成分を均質に分散させる。次いで、融解した均質な混合物を手頃な大きさの金型へ注入し、冷却することにより固める。
【0120】
経膣投与に適した組成物は、活性成分に加えて、当技術分野において適切であると知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、軟膏、フォーム又はスプレーとして提示することができる。
【0121】
液体製剤には、液剤、懸濁剤及び乳剤、例えば水又はプロピレングリコール水溶液などが含まれる。例として、注射用液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として調剤することができる。
【0122】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与用(例として注射、例えばボーラス注射又は持続注入などによる投与用)に調剤することができ、アンプル剤、プレフィルドシリンジ、少容量注入、又は追加の保存剤を有する多回投与用容器での単位剤形で提示することができる。該組成物は、懸濁剤、液剤、又は油性若しくは水溶性の溶媒中での乳剤などの形態を取ることができ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含んでもよい。また、活性成分は、粉末の形態であってもよい。かかる粉末は、無菌固体を無菌単離すること、又は溶液から凍結乾燥することによって得られ、使用前に、適当な溶媒、例えば発熱物質を含まない滅菌水を用いて構成することを目的としている。
【0123】
経口用に適した水溶性液剤は、所望の通り、活性成分を水に溶解させること、並びに適当な着色剤、着香剤、安定化剤及び増粘剤を加えることによって調製することができる。
【0124】
経口用に適した水溶性懸濁剤は、粘性材料を用いて、微粉化した活性成分を水に分散させることによって調製することができる。かかる粘性材料には、天然若しくは合成のゴム糊、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他のよく知られている懸濁化剤などが挙げられる。
【0125】
使用直前に、経口投与用の液体剤形に変換されるように意図された固形製剤も含まれる。かかる液体剤形には、液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。これらの製剤は、活性成分に加えて、着色剤、着香剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0126】
表皮への局所投与用に、本発明による化合物を、軟膏、クリーム若しくはローションとして、又は経皮貼付剤として調剤することが可能である。軟膏及びクリームは、例えば、水溶性又は油性の基剤を用い、適当な増粘剤及び/又はゲル化剤を追加して調剤され得る。ローションは、水溶性又は油性の基剤を用いて調剤することができ、通常、1種又は複数種の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤をも含むものである。
【0127】
口内の局所投与に適した組成物には、通常、ショ糖及びアカシア又はトラガカントなどの香味を添えた基剤中に活性薬剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシアなどの不活性な基剤中に活性成分を含む香錠;並びに適当な液体担体中に活性成分を含むうがい薬が含まれる。
【0128】
液剤又は懸濁剤は、従来の方法、例えばスポイト、ピペット又は噴霧器を用いた方法によって、鼻腔に直接塗布される。該組成物は、単回投与又は多回投与用の剤形で提供され得る。スポイト又はピペットの後者の場合には、これは、患者が液剤又は懸濁剤の所定の適切な量を投与することによって実現することができる。噴霧器の場合には、これは、例えば定量噴霧式スプレーポンプを用いて実現することができる。
【0129】
呼吸器管への投与もまた、エアゾール剤を用いて実現することができ、かかるエアゾール剤では、該活性成分が適当な噴射剤を有する加圧型容器の状態で提供される。かかる噴射剤には、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素又は他の適当な気体などが挙げられる。好都合なことに、該エアゾール剤は、レシチンなどの界面活性剤を含むことも可能である。1回分の薬剤は、定量噴霧式バルブを備えることによって制御され得る。
【0130】
別の方法として、活性成分を、乾燥粉末の形態、例えば、該化合物を、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)のような適当な粉末基材中に混合した粉末の形態で提供することが可能である。好都合なことに、該粉末の担体は鼻腔内でゲルを形成する。該粉末組成物は、例えば、ゼラチンなどのカプセル若しくは薬包、又は該粉末が吸入器を用いることで投与され得るブリスターパックなどの単位剤形で提示することができる。
【0131】
呼吸器管への投与を目的とした、経鼻投与の組成物を含む組成物において、該化合物は通常粒径が小さく、例えば5ミクロン以下の位数である。かかる粒径は、当技術分野において知られている方法、例えば微粉化によって得ることが可能である。
【0132】
所望の場合には、該活性成分が持続放出されるように構成された組成物を使用してもよい。
【0133】
医薬製剤は、単位剤形であることが好ましい。かかる形態において、該製剤は、適切な分量の活性成分を含む単位剤形に細分される。該単位剤形は、別個の分量の製剤を含む包装である、包装された製剤、例えば包装された錠剤、包装されたカプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末剤などである。同様に、該単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤若しくはトローチ剤そのものであってもよく、又は包装された形態で、これらのうちのいずれかを適切に組み合わせることもできる。
【0134】
経口投与用の錠剤又はカプセル剤、並びに静脈内投与及び持続注入用の液剤は、好ましい組成物である。
【0135】
製剤及び投与のための技術に関するさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版において見い出すことができる。
【0136】
治療有効量は、症状又は状態を改善する活性成分の量を指す。治療効果及び毒性、例えばED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物を用いる標準的な薬理学的手法によって測定され得る。治療効果と毒性作用との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比によって表すことができる。治療指数の大きい医薬組成物が好ましい。
【0137】
言うまでもなく、投与量は、投与経路、剤形及び処方計画のみならず、治療されている個々の年齢、体重及び病状、並びに所望の結果に合わせて慎重に調節される必要があり、当然ながら、正確な投与量が医師によって決定されるべきである。
【0138】
実際の投与量は、治療されている疾患の性質及び重症度並びに投与経路によって決まり、且つ医師の自由裁量の範囲内にあり、且つ所望の治療効果を生み出すために、本発明の詳細に合わせて投与量を漸増することによって変更され得る。しかし、個々の投与量につき約0.1mgから約500mgまで、好ましくは約1mgから約100mgまで、最も好ましくは約1mgから約10mgまでの活性成分を含む医薬組成物が、治療上の処置に適していると現在では考えられている。
【0139】
該活性成分は、1日に1回又は数回投与されてもよい。場合によっては、満足のいく結果を、静脈内投与にて0.1μg/kg、及び経口投与にて1μg/kgと少ない投与量で得ることができる。投与量範囲の上限は、静脈内投与にて約10mg/kg、及び経口投与にて100mg/kgであると現在では考えられている。好ましい範囲は、静脈内投与にて約0.1μg/kgから約10mg/kg/日まで、及び経口投与にて約1μg/kgから約100mg/kg/日までである。
【0140】
治療方法
他の態様では、本発明は、ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態であり、カリウムチャネル、具体的にはSKチャネルの調節に反応する疾患、障害又は状態の、予防、治療又は緩和方法であって、これを必要とする、ヒトを含むかかる動物の生体に、本発明の化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0141】
本発明に従って企図される好ましい適応症は上記のものである。
【0142】
適当な投与量範囲は、0.1から1000mg/日、10から500mg/日、及び特に30から100mg/日であり、従来通り、この投与量範囲は、的確な投与方法、投与される形態、投与が指導される適応症、関係被験者及び関係被験者の体重、並びにその上、主治医又は担当獣医の優先選択及び経験によって決まると現在では考えられている。
【0143】
場合によっては、満足のいく結果を、静脈内投与にて0.005mg/kg、及び経口投与にて0.01mg/kgと少ない投与量で得ることができる。投与量範囲の上限は、静脈内投与にて約10mg/kg、及び経口投与にて約100mg/kgである。好ましい範囲は、静脈内投与にて約0.001mg/kgから約1mg/kgまで、及び経口投与にて約0.1mg/kgから約10mg/kgまでである。
【実施例】
【0144】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、かかる実施例は、請求された本発明の範囲に何らかの限定をするためのものではない。
【0145】
(実施例1)
調製例
方法A
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−プロピルアミン、塩酸塩(化合物A1)
2,4−ジクロロキナゾリン(600mg、3.01mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶かした。プロピルアミン(200mg、3.3mmol)及びトリエチルアミン(2.1mL、15mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。濾過して濾液を蒸発させ、黄色固体を得た。この黄色固体を酢酸エチルに溶かし、水で3回洗浄した。乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濾過し、蒸発させることにより、(2−クロロ−キナゾリン−4−イル)−プロピルアミンを黄色固体として得た。
【0146】
(2−クロロ−キナゾリン−4−イル)−プロピルアミン(450mg、2.03mmol)をアセトニトリル(7.5mL)に溶かし、3,5−ジメチルピラゾール(215mg、2.23mmol)を加えた。混合物をマイクロウェーブオーブン中で170℃にて20分間熱した。濾過して、[2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−プロピルアミン、塩酸塩(290mg、51%)を淡赤色結晶化合物として得た。融点208℃。
【0147】
以下の化合物を類似の方法で調製する。
【0148】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−エチルアミン、塩酸塩(化合物A2)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、エチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点286℃。
【0149】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ジエチル−アミン、塩酸塩(化合物A3)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、ジエチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点156.3℃。
【0150】
ブチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A4)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、ブチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点98.4℃。
【0151】
アリル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A5)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、アリルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点211〜212℃。
【0152】
シクロプロピル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A6)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロプロピルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点254℃。
【0153】
シクロペンチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A7)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロペンチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点263.2℃。
【0154】
シクロヘキシル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A8)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロヘキシルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点137.6〜142.7℃。
【0155】
シクロヘプチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A9)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロヘプチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点207℃。
【0156】
シクロオクチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A10)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロオクチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点211℃。
【0157】
2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−4−ピペリジン−1−イル−キナゾリン、塩酸塩(化合物A11)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、ピペリジン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点157℃。
【0158】
ベンジル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A12)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、ベンジルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点160.2℃。
【0159】
(4−クロロ−ベンジル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A13)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−クロロベンジルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。LC−ESI−HRMS [M+H]+ 364.1319Da.Calc.364.132898Da.
【0160】
(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A14)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、3,4−ジフルオロベンジルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点165℃。
【0161】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アミン、塩酸塩(化合物A15)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点221℃。
【0162】
S−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル−アミン、塩酸塩(化合物A16)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、S−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点214℃。
【0163】
シクロヘキシル−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A17)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロヘキシルアミン及び3−メチルピラゾールから調製した。融点269〜274.3℃。
【0164】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1−エチル−プロピル)−アミン、塩酸塩(化合物A18)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、3−アミノペンタン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点96.4℃。
【0165】
[2−(3,5−ジイソプロピル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−メチル−シクロヘキシル)−アミン、塩酸塩(化合物A19)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−メチルシクロヘキシルアミン及び3,5−ジイソプロピルピラゾールから調製した。融点134.6℃。
【0166】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−メチル−シクロヘキシル)−アミン、塩酸塩(化合物A20)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−メチルシクロヘキシルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点80.4〜81.6℃。
【0167】
(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A21)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−tert−ブチルシクロヘキシルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点253〜255℃。
【0168】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン、塩酸塩(化合物A22)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−アミノテトラヒドロプラン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点269〜272.3℃。
【0169】
シクロヘキシル−[2−(3,5−ジイソプロピル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン、塩酸塩(化合物A23)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロヘキシルアミン及び3,5−ジイソプロピルピラゾールから、塩基としてトリエチルアミンの代わりに水素化ナトリウムを用いて調製した。融点83.4〜85.3℃。
【0170】
4−シクロヘキシルスルファニル−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン、塩酸塩(化合物A24)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロヘキサニルチオール及び3,5−ジメチルピラゾールから、塩基としてトリエチルアミンの代わりに水素化ナトリウムを用いて調製した。融点92.7〜94.1℃。
【0171】
4−シクロヘキシルオキシ−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン、塩酸塩(化合物A25)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロヘキサノール及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点152.9〜153.5℃。
【0172】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−インダン−2−イル−アミン、塩酸塩(化合物A26)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、2−アミノインダン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点212〜215℃。
【0173】
シクロヘキシル−(2−ピラゾール−1−イル−キナゾリン−4−イル)−アミン(化合物A27)
方法Aに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、シクロヘキシルアミン及びピラゾールから調製した。[M+H]+についてLC−ESI−HRMSは294.173Da.Calc.294.17187Da,dev.3.8ppmを示す。
【0174】
方法B
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−フェニル−アミン(化合物B1)
2,4−ジクロロキナゾリン(500mg、2.5mmol)をアセトニトリル(3mL)に溶かした。アニリン(260mg、2.76mmol)及びトリエチルアミン(380mg、3.75mmol)を加えた。混合物を密封バイアル中で、砂浴上、60℃にて12時間振盪した。濾過して濾液を蒸発させ、黄色固体を得た。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン)によって、(2−クロロ−キナゾリン−4−イル)−プロピルアミン(350mg、55%)を得た。
【0175】
(2−クロロ−キナゾリン−4−イル)−フェニルアミン(250mg、0.98mmol)をアセトニトリル(4mL)に溶かし、3,5−ジメチルピラゾール(140mg、1.47mmol)を加えた。混合物を密封管中で130℃にて12時間熱した。この混合物を濃縮し、残渣を炭酸水素ナトリウムで塩基性化し、クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−フェニル−アミン(150mg、49%)を得た。融点262.4〜265.3℃。
【0176】
以下の化合物を類似の方法で調製した。
【0177】
(4−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B2)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−クロロアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点209.3〜211.2℃。
【0178】
(3−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B3)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、3−クロロアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点259.1〜262.4℃。
【0179】
(2−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B4)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、2−クロロアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点210.4〜217.1℃。
【0180】
(3,4−ジクロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B5)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、3,4−ジ−クロロアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点223.9〜226.5℃。
【0181】
(4−ブロモ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B6)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−ブロモアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点116.2〜168.3℃。
【0182】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン(化合物B7)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−トリフルオロメチルアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点218.8〜220.1℃。
【0183】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−アミン(化合物B8)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、m−アニシジン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点193.1〜194.7℃。
【0184】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−p−トリル−アミン(化合物B9)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、p−トルイジン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点210.4〜216.2℃。
【0185】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−m−トリル−アミン(化合物B10)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、m−トルイジン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点249.2〜250.4℃。
【0186】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−o−トリル−アミン(化合物B11)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、o−トルイジン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点240.1〜244.4℃。
【0187】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ナフタレン−2−イル−アミン(化合物B12)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、2−ナフチルアミン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点213.3〜215.6℃。
【0188】
ベンゾ[1.3]ジオキソール−5−イル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B13)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、3,4−(メチレンジオキシ)アニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。[M+H]+についてLC−ESI−HRMSは360.148Da.Calc.360.14605Da,dev.5.4ppmを示す。
【0189】
(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B14)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、3,5−ビス(トリフルオロメチルメチル)アニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点169.2〜172.4℃。
【0190】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン(化合物B15)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、N−(4−アミノフェニル)−モルホリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点268.2〜270.4℃。
【0191】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−キノリン−8−イル−アミン(化合物B16)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、8−アミノキノリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点183.5〜184.8℃。
【0192】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−ヨード−フェニル)−アミン(化合物B17)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−ヨードアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点226.5〜229.1℃。
【0193】
ビフェニル−4−イル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物B18)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、4−アミノビフェニル及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点267.5〜270.3℃。
【0194】
2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン(化合物B19)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、3−トリフルオロメチルアニリン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点233.1〜239.6℃。
【0195】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピリジン−2−イル−アミン(化合物B20)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、2−アミノピリジン及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点126.1〜126.8℃。
【0196】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1H−インドール−7−イル)−アミン、塩酸塩(化合物B21)
方法Bに従って、2,4−ジクロロキナゾリン、6−アミノインドール及び3,5−ジメチルピラゾールから調製した。融点298.5〜303.4℃。
【0197】
(実施例2)
生物活性
この実施例は、本発明の代表的な化合物(化合物A8)の生物活性を実証するものである。小コンダクタンスCa2+活性型Kチャネル(SKチャネル、亜型3)を通過するイオン電流を、パッチクランプ法のホールセル型を使用して記録する。
【0198】
小コンダクタンスCa2+活性型Kチャネルである亜型3(SK)をヒト骨格筋からクローン化し、HEK293細胞に安定発現させた。
【0199】
HEK293細胞におけるSKの安定発現
ヒトSK(hSK3)を、pcDNA3(InVitrogen)由来の特注作製されたベクターである、発現ベクターpNS3nにサブクローンし、プラスミドコンストラクトpNS3_hSK3を得た。HEK293組織培養細胞を、10%FCS(ウシ胎児血清)を補充したDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)中で、5%CO中37℃にて培養した。T25細胞培養フラスコで密集度50%に培養した細胞を、リポフェクタミン(InVitrogen)を使用して2.5μgのpNS3_hSK3でトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞を、0.25mg/mlゼオシンを補充した培地で選択した。単一クローンを選別し、凍結用に十分な細胞が得られるまで選択培地で増殖させた。その後、細胞を選択剤の非存在下に通常の培地中で培養した。機能性hSK3チャネルの発現がパッチクランプ測定値によって証明された。
【0200】
ホールセル記録法
数種のパッチクランプ配置のうちの1つで実験を行う。カバースリップ上で培養した細胞を、IMT−2顕微鏡に取り付けられた15μl灌流チャンバー(流速1ml/分まで)中に置く。アースしたファラデーケージ中の振動のないテーブル上に顕微鏡を置く。すべての実験を室温(20〜22℃)で行う。EPC−9パッチクランプアンプ(HEKA−electronics、ランブレヒト、ドイツ)を、ITC16インターフェースを介してマッキントッシュのコンピュータに接続する。データをハードディスクに直接保存し、IGORソフトウェア(WaveMetrics、レイクオスウェゴ、オレゴン州、米国)によって分析する。
【0201】
パッチクランプ法のホールセル型を適用する。手短に記載すると、遠隔制御装置を使用して、ホウケイ酸塩ピペットの先端(抵抗2〜4MΩ)を細胞膜上に静かに置く。軽く吸引してギガシール(ピペットの抵抗が1GΩを超えて増加する)を形成し、次いでピペット下の細胞膜をさらに強力に吸引することにより破裂させる。細胞の静電容量を電子工学的に補正し、ピペットと細胞内部との間の抵抗(直列抵抗、Rs)を測定して補正する。通常、細胞の静電容量は(細胞の大きさに依存して)5〜20pFまでの範囲であり、直列抵抗は3〜6MΩの範囲内にある。Rs及び静電容量の補正は実験中に(各刺激の前に)更新する。Rs値のドリフトを伴うすべての実験を排除する。リークサブトラクションは行われない。
【0202】
溶液
細胞外液(バス溶液)は、140mM NaCl、4mM KCl、0.1mM CaCl、3mM MgCl、10mM HEPES(HClを用いてpH=7.4)を含む。試験化合物を濃縮ストック溶液からDMSOに1000倍に溶解し、次いで細胞外液で希釈する。
【0203】
細胞内液(ピペット内溶液)は以下の組成を有する:105mM KCl、45mM KOH、10mM EGTA、1.21mM MgCl、7.63mM CaCl及び10mM HEPES(HClを用いてpH=7.2)。この溶液中のCa2+の計算遊離濃度は300nM、Mg2+の計算遊離濃度は1mMである。
【0204】
定量化
ホールセル型を確立した後、−80mVの固定電位から電圧ランプ(普通は−120〜+30mV)を5秒毎に細胞に適用する。安定な基準電流が100〜500秒間内に得られ、次いで試験化合物を含む細胞外液に変えることによって化合物を添加する。天然のHEK293細胞において、微小の内因性電流(2〜10nAのSK電流に比べて30mVで<200pA)をこれらの条件下で活性化する。
【0205】
−20mVでの基準電流の変化を算出することによって、活性化合物を定量する。化合物が存在しない場合の電流を100%に設定する。活性剤は100を超える値を有し、200%の値は2倍の電流を示す。これに反して、50%の値は化合物が基準電流をこの半分の値に減少させていることを示す。
【0206】
活性剤に関してSC100値を推定することができる。SC100値は基準電流を100%増加させるのに必要な刺激濃度と定義される。本発明の化合物A8について測定したSC100値は0.035μMであったことから、この強いSK活性の特性を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのピラゾリル−キナゾリン誘導体、
異性体若しくはその異性体の混合物、そのN−オキシド又はその医薬として許容できる塩、
【化1】


[式中、
nは、0、1、2又は3であり;
Xは、O、S又はNR’を表し;ここで、
R’は、水素、アルキル、シクロアルキル若しくはシクロアルキル−アルキルを表し;
又はnが0であり、XがNR’である場合、R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよく;
Yは、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、アルケニル、又は単環式若しくは多環式の、炭素環基若しくは複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよく;
又はnが0であり、XがNR’である場合、Yは、R’と一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよく;
、R及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ及びアミノを表す]。
【請求項2】
nが、0、1、2又は3である、請求項1に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項3】
Xが、O、S又はNR’を表し;ここで、
R’は、水素、アルキル、シクロアルキル若しくはシクロアルキル−アルキルを表し;
又はnが0であり、XがNR’である場合、R’は、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよい、請求項1又は2に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項4】
nが0であり;
XがNR’を表し;
R’が、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル又はフェニルで場合によって置換されていてもよい、請求項1に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項5】
Yが、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、アルケニル、又は単環式若しくは多環式の、炭素環基若しくは複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよく;
又はnが0であり、XがNR’である場合、Yは、R’と一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって複素環を形成し、この複素環はアルキル若しくはフェニルで場合によって置換されていてもよい、請求項1から4までのいずれか一項に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項6】
Yが、アルキル、アルケニル又はシクロアルキルを表す、請求項5に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項7】
Yが、フェニル、ナフチル若しくは1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチルから選択される、単環式若しくは多環式の炭素環基;又はピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリルから選択される、単環式若しくは多環式の複素環基を表し;このフェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル、チエニル及びピロリル基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されていてもよい、請求項5に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項8】
Yが、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル及びインダニルから選択される、単環式又は多環式の炭素環基を表し、この炭素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよい、請求項5に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項9】
Yが、複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基は、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノからなる群から選択される置換基で1回又は複数回、場合によって置換されていてもよい、請求項5に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項10】
、R及びRが、互いに独立して、水素、アルキル、アミノ−アルキル、アルキル−アミノ、アルキル−アミノ−アルキル、ヒドロキシ−アルキル、アルコキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ及びアミノを表す、請求項1から9までのいずれか一項に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項11】
及びRが、互いに独立して、水素又はアルキルを表し;Rが水素を表す、請求項10に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項12】
nが0であり;
Xが、O、S又はNR’を表し;ここで、R’は、水素、メチル、エチル又はプロピルを表し;
Yが、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アルキル−シクロアルキルを表し;
及びRが、メチル又はイソプロピルを表し;
が水素を表す、請求項1に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項13】
nが、0又は1であり;
XがNHを表し;
Yが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、フェニル及びモルホリニルからなる群から選択される置換基で1回又は2回、場合によって置換されているフェニルを表し;
及びRが、メチル又はイソプロピルを表し;
が水素を表す、請求項1に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項14】
nが0であり;
XがNR’を表し;
R’が、Yと一緒になって、及びそれらに結合している窒素と一緒になって、ピロリジニル環、ピペリジニル環、ピペラジニル環又はモルホリニル環を形成し;
及びRが、互いに独立して、メチル、エチル又はプロピルを表し;
が水素を表す、請求項1に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項15】
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−プロピルアミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−エチルアミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ジエチル−アミン;
ブチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
アリル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロプロピル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロペンチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロヘキシル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロヘプチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
シクロオクチル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−4−ピペリジン−1−イル−キナゾリン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピペリジン−4−イル−アミン;
ベンジル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(4−クロロ−ベンジル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−フラン−2−イルメチル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−チオフェン−2−イルメチル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−フェニル−アミン;
(4−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(2−クロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3,4−ジクロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(4−ブロモ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(3−メトキシ−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−p−トリル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−m−トリル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−o−トリル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ナフタレン−2−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−アミン;
シクロヘキシル−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
S−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1−エチル−プロピル)−アミン;
[2−(3,5−ジイソプロピル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−メチル−シクロヘキシル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピリジン−2−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−メチル−シクロヘキシル)−アミン;
(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン;
シクロヘキシル−[2−(3,5−ジイソプロピル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−インダン−2−イル−アミン;
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−キノリン−8−イル−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(4−ヨード−フェニル)−アミン;
ビフェニル−4−イル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−アミン;
[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−(1H−インドール−7−イル)−アミン;又は
シクロヘキシル−(2−ピラゾール−1−イル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
又はこれらの医薬として許容できる塩である、請求項1に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体。
【請求項16】
医薬として許容できる少なくとも1種の担体又は希釈剤と共に、請求項1から15までのいずれか一項に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体、又はその医薬として許容できる付加塩、又はこのプロドラッグの治療有効量を含む医薬組成物。
【請求項17】
ヒトを含む哺乳類の疾患又は障害又は状態であり、カリウムチャネルの活性に関連する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和用の薬物を製造するための、請求項1から15までのいずれか一項に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体の使用。
【請求項18】
カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害が、呼吸器疾患、てんかん、けいれん、発作、アブサンス発作、血管けいれん、冠動脈けいれん、腎障害、多発性嚢胞腎、膀胱けいれん、尿失禁、膀胱排出障害、勃起不全、胃腸障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠動脈性心疾患、運動失調、外傷性脳損傷、パーキンソン病、双極性障害、精神障害、統合失調症、不安、うつ病、気分障害、痴呆、記憶障害及び注意欠陥障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化(ALS)、月経困難、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、不整脈、高血圧、筋緊張性ジストロフィー、痙縮、口腔乾燥、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、脱毛症、癌、過敏性腸症候群、免疫抑制、片頭痛又は痛みである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害が、呼吸器疾患、尿失禁、勃起不全、不安、てんかん、精神障害、統合失調症、筋萎縮性側索硬化(ALS)又は痛みである、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
カリウムチャネルの活性が、呼吸器疾患、具体的には喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は鼻漏である、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態であり、カリウムチャネルの調節に反応する疾患、障害又は状態の、治療、予防又は緩和方法であって、これを必要とする、ヒトを含むかかる動物の生体に、請求項1から15までのいずれか一項に記載のピラゾリル−キナゾリン誘導体の治療有効量を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−533087(P2008−533087A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501279(P2008−501279)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060643
【国際公開番号】WO2006/097441
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】