説明

カルボニル化合物の製造方法

【課題】 アルコールの脱水素により対応するカルボニル化合物を製造する方法において、簡易かつ高収率でカルボニル化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】 ハイドロタルサイト表面に、Cu、Ag、Auから選択された少なくとも1種の金属を粒子として固定化してなるハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒及び該触媒の存在下、アルコールを脱水素することを特徴とするカルボニル化合物の製造方法、及びハイドロタルサイト表面に金属を粒子として固定化した金属粒子固定化ハイドロタルサイトの存在下、アルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造する方法であって、酸素の非存在下に反応を行うことを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールの脱水素により対応するカルボニル化合物を得る、カルボニル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコールからカルボニル化合物への変換は有機合成上もっとも重要な反応の一つであり、従来種々の触媒や、これらを使用した反応系が検討されている。例えば、特開2000−86245号公報(特許文献1)には、Ruを基本骨格に含む合成ハイドロタルサイトを触媒として使用し、アルコールを酸化して対応するケトン又はカルボン酸を製造することが開示されている。また、特開2002−274852号公報(特許文献2)には、Mnを骨格として含む合成ハイドロタルサイト表面にRuを固定した金属固定化ハイドロタルサイトが開示されており、これをアルコールを酸化して対応するカルボニル化合物を得る反応の触媒として使用することが開示されている。これらの技術では、合成ハイドロタルサイトの調製が煩雑であったり、原料として使用できるアルコールの構造に制限があるなどの課題がある。特に、反応性の低いシクロヘキサノールなど脂環式アルコール類の酸化(脱水素)を効率的に行える反応系が望まれている。
【0003】
さらに、環境調和への要求や後処理の簡易さから、分子状酸素などのH2アクセプターを使用することなしに酸化反応を行うカルボニル化合物の製造方法が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−86245号公報
【特許文献2】特開2002−274852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アルコールを脱水素して対応するカルボニル化合物を製造する方法において、簡易かつ効率よく製造を行うことができ、しかも広範囲なアルコールに対して適用可能であり種々のカルボニル化合物を製造することができる触媒と、該触媒を用いたカルボニル化合物の製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、アルコールを脱水素して対応するカルボニル化合物を製造する方法において、分子状酸素等の水素アクセプターを使用することなしに脱水素反応を行うことができるカルボニル化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ハイドロタルサイト表面に、特定の金属粒子を固定化したハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒を触媒として使用することにより、広範なアルコール類から効率よくカルボニル化合物が得られること及び、ハイドロタルサイト表面に金属粒子を固定化したハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒を使用すると、H2アクセプターを使用しなくても効率よくカルボニル化合物の製造を行うことができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、ハイドロタルサイト表面に、Cu、Ag、Auから選択された少なくとも1種の金属を粒子として固定化してなるハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒を提供する。
【0009】
本発明は又、ハイドロタルサイト表面に、Cu、Ag、Auから選択された少なくとも1種の金属を粒子として固定化したハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒の存在下、アルコールを脱水素することを特徴とするカルボニル化合物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明は、さらに又、ハイドロタルサイト表面に金属を粒子として固定化したハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒の存在下、アルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造する方法であって、酸素の非存在下に反応を行うことを特徴とするカルボニル化合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な操作により効率よくアルコールを脱水素して、対応するカルボニル化合物を高い収率で製造することができる。本発明の方法は広範なアルコールに対して適用可能であり、特に、従来困難であった固体触媒を使用した液相における穏和な条件下での脂環式アルコール類の脱水素反応を効率よく行うことができる。
【0012】
また、本発明の方法により酸素の非存在下に脱水素反応を行った場合は、水素以外の副生成物を生じないので、目的化合物の単離を簡易な操作により行うことができる。
【0013】
本発明のハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒は、簡易な操作により調製することができ、反応終了後は容易に回収し、繰り返し再利用することが可能であるためグリーンケミストリー上、非常に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[ハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒]
本発明のハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒は、ハイドロタルサイト表面に金属粒子が固定化された固体触媒である。上記ハイドロタルサイトとしては、天然に産出されたハイドロタルサイトを使用してもよく、合成ハイドロタルサイト又は合成ハイドロタルサイト様化合物を使用してもよく、特に制限されない。例えば、下記一般式(1)
II8-xIIIx(OH)16A・nH2O (1)
(式中、MIIは、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2、Mn2+から選択された少なくとも1種の二価の金属であり、MIIIはAl3+、Fe3+、Mn3+Ru3+から選択された少なくとも1種の三価の金属である。xは1〜7の整数を示す。Aは二価のアニオンを示し、nは0〜30の数を示す。)
又は下記一般式(2)
[Mg2+1-yAl3+y(OH)2y+[(Ds-y/s・mH2O]y- (2)
(式中、yは0.20≦y≦0.33を満たす数を示し、Ds-はs価のアニオンを示す。mは0〜30の整数を示す。)
で表される天然又は合成ハイドロタルサイトを使用することができる。上記式(1)においてMIIとしてMg2+、MIIIとしてAl3+、AとしてCO32-を含むものを好ましく使用できる。本発明において、ハイドロタルサイトとしては、具体的には例えば、Mg6Al2(OH)16CO3で表されるハイドロタルサイトを好適に使用することができる。
【0015】
ハイドロサルタイト表面に固定化する金属種としては、例えば、遷移金属元素を例示できる。好ましい遷移金属元素としては、第8族元素(Fe、Ru、Os)、第9族元素(Co、Ir)、第10族元素(Ni、Pd、Pt)、第11族元素(Cu、Ag、Au)を挙げることができる。とりわけ、Cu、Ag、Auを好適に使用することができる。これらの金属は1種又は2種以上を選択して使用することができる。
【0016】
金属粒子をハイドロタルサイト表面に固定化する方法(金属の固定化処理方法)は特に制限されず、例えば、上記金属を含む化合物の溶液とハイドロサルタイトとを混合し、撹拌することによりハイドロタルサイト表面に金属イオンを固定化した後、該金属イオンを適宜な方法により還元することにより行うことができる。金属を含む化合物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の金属塩の他、金属錯体等を使用することもできる。溶媒としては、使用する金属化合物を溶解できればよく特に制限されないが、水、アセトン、アルコール類等を例示することができる。金属の固定化処理を行う際の金属を含む化合物の溶液の濃度は特に制限されず、例えば、0.1〜1000mMの範囲から選択することができる。撹拌時の温度は、例えば20〜150℃、好ましくは50〜110℃、特に好ましくは60〜80℃程度である。ハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒の金属含有率は特に制限されないが、例えば、ハイドロタルサイト1gに対して0.01〜10mmol、好ましくは2.5〜10mmolの範囲から選択することができる。撹拌時間は撹拌時の温度によっても異なるが、例えば1〜72時間、好ましくは10〜24時間の範囲から選択することができる。撹拌終了後は、水や有機溶媒等により洗浄し、真空乾燥などにより乾燥してもよい。還元は、水素、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で処理することにより行うことができる。例えば、水素により還元処理を行う場合であれば、金属イオンを固定化したハイドロタルサイトを20〜110℃で10〜24時間程度焼成し、金属を酸化物とした後に、水素雰囲気または真空下150〜180℃で0.5時間程度撹拌することにより還元することができる。
【0017】
[カルボニル化合物の製造]
上述の本発明のハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒を用いて、種々のアルコール類を脱水素することにより対応するカルボニル化合物を製造することができる。本発明の方法によって、脂環式アルコール及び非環式アルコール(鎖状脂肪族アルコール)のいずれをも効率よく脱水素して対応するカルボニル化合物を高収率で製造することができる。
【0018】
脂環式アルコールは、脂環式炭化水素の環を構成する炭素原子に水酸基が結合した化合物であって、具体的には例えば、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロドデカノールなどの脂環式飽和アルコール;シクロペンテノール、シクロヘキセノールなどの脂環式不飽和アルコール;1−アダマンタノール、2−アダマンタノールなどの多環系脂環式飽和又は不飽和アルコールなどが挙げられる。
【0019】
非環式アルコール(鎖状脂肪族アルコール)としては具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノールなどの第1級の直鎖状脂肪族飽和アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール等の第2級の直鎖状脂肪族飽和アルコール;アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2,4−ヘキサジエン−1−オールなどの第1級の直鎖状不飽和アルコール;4−ペンテン−2−オールなどの第2級の直鎖状不飽和アルコール;3−メチル−1−ブタノールなどの第1級の分岐鎖状脂肪族飽和アルコール;3−メチル−2−ブタノールなどの第2級の分岐鎖状脂肪族飽和アルコール;3−メチル−2−ブテン−1−オール、4−メチル−2−プロペン−1−オールなどの第1級の分岐鎖状脂肪族不飽和アルコール;5−メチル−3−ヘキセン−2−オールなどの第2級の分岐鎖状脂肪族不飽和アルコール;1−ヒドロキシメチルアダマンタン、1−シクロヘキシル−2−プロパノール、ミルテノール、ペリリルアルコールなどの飽和又は不飽和の脂環式基を置換基として有する鎖状脂肪族アルコールが例示できる。
【0020】
上記脂環式アルコール及び非環式アルコール(鎖状脂肪族アルコール)は、置換基として、芳香族炭化水素基や複素環式基を有していてもよい。芳香族炭化水素基はフェニル基などの単環を含むものでもよく、ナフチル基、アズレニル基などの縮合多環を含むものでもよい。また、芳香族炭化水素基は、ニトロ基、スルホ基、クロロ基、フルオロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの置換基を有していてもよい。置換基として芳香族炭化水素基を有するアルコールとしては、具体的には例えば、ベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、p−クロロベンジルアルコール、1−フェニルエタノール、ベンズヒドロール、シンナミルアルコール、フェニルシクロプロピルメタノールなどが例示できる。
【0021】
上記複素環式基としては、例えば、フラニル基、ベンゾジオキソール基などの含O複素環式基、ピロリル基などの含N複素環式基、チオニル基などの含S複素環式基が挙げられる。
【0022】
本発明の方法により脱水素することができるアルコール類にはヒドロキシケトン、ヒドロキシアルデヒドなども含まれる。ヒドロキシケトンとしては、例えば、6−ヒドロキシデカン−5−オン、アセトイン、ベンゾインなどのα−ヒドロキシケトンが挙げられ、これらの脱水素により対応するα−ジケトンが得られる。
【0023】
上記アルコール類をハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒の存在下、脱水素することにより対応するカルボニル化合物を製造することができる。原料として第1級アルコールを使用した場合には対応するアルデヒドが、第2級アルコールを使用した場合には対応するケトンがそれぞれ得られる。
【0024】
反応は、液相で行ってもよく、気相で行うこともできる。作業性などを考慮して、本発明においては液相で反応を行うことが好ましい。
【0025】
反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒としては、原料として使用するアルコール類を溶解し得るものであり、反応を阻害しないものであれば特に制限されず、公知慣用の溶媒から適宜選択して使用することができる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族炭化水素水;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル;水;これらの混合物等が挙げられる。これらの中で、芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素を好ましく使用でき、特にトルエン及びメチルシクロヘキサンを好適に使用できる。
【0026】
反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、空気中や酸素雰囲気下で行うこともできる。従来、アルコールの酸化によりカルボニル化合物を製造する際には、酸素等のH2アクセプター(酸化剤)を使用する技術が知られているが、本発明においてアルコールの脱水素反応は分子状酸素等のH2アクセプターを使用しなくても行うことができる。驚くべきことに、ハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒を触媒として、酸素の非存在下にアルコールの脱水素反応を行うと、固定化している金属の種類によっては、酸素雰囲気下で反応を行った場合に比べて顕著に触媒活性が向上し、対応するカルボニル化合物の収率が飛躍的に高まる場合がある。例えば、銅を固定化したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒では、酸素の非存在下で飛躍的に活性が高まる。特に、第2級アルコールの脱水素においてこの傾向は顕著である。とりわけ、反応性の低いシクロヘキサノールをはじめとし、シクロオクタノール、アダマンタノールなど脂環式アルコール類は本発明の方法により効率よく脱水素することができ、対応する環状ケトンを高い収率で製造することができる。なお、酸素の非存在下とは反応系内の気相部の酸素濃度が、1%以下、好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.01%以下である場合を示し、反応開始前に反応系内が窒素やアルゴン等の不活性ガスにより十分置換されていれば足りる。
【0027】
さらに、H2アクセプターの非存在下に反応を行うと、副生成物として生成するH2は容易に除去することが可能であるため、生成物の単離精製が容易である。
【0028】
すでに述べたように、ハイドロタルサイト表面に固定化する金属種としてはAu、Ag及び、Cuが特に好適である。これらの金属を使用した場合は基質適応性が極めて高い触媒系となり、上述の脂環式アルコールを含む第2級アルコールに加え、第1級アルコールの脱水素にも高い活性を示す。さらに、これらのアルコール類が不飽和結合、芳香族炭化水素基、複素環式基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシル基などの置換基を有する場合であっても、効率よく脱水素反応が進行し、対応するカルボニル化合物が高い収率で得られる。
【0029】
触媒の使用量は、原料として使用するアルコールの種類や、ハイドロタルサイト表面に固定化する金属の種類等に応じて適宜選択することができる。ハイドロタルサイト表面に固定化した金属として、原料アルコールに対して、例えば0.0001〜20%モル、好ましくは0.0005〜10%モル、特に好ましくは2〜8%モルの範囲から選択することができる。
【0030】
反応は、常圧又は加圧下に行うことができるが、作業性等を考慮すると、常圧で行うことが好ましい。反応温度は、原料として使用するアルコールの種類や溶媒の種類に応じて選択することができ、特に制限されないが例えば、0〜200℃、好ましくは60〜180℃、特に好ましくは100〜160℃の範囲から選択することができる。
【0031】
反応時間は、原料として使用するアルコールの種類や溶媒の種類、反応温度等に応じて適宜選択することができ特に制限されないが、例えば0.5〜200時間、好ましくは1〜150時間の範囲から選択することができる。反応は、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方式で行うことができる。反応終了後、反応生成物は、例えば、ろ過、濃縮、蒸溜、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【0032】
反応終了後、ハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒は、ろ過や遠心分離等の操作により回収し、そのまま、又は必要に応じて水や有機溶媒などにより洗浄後、繰り返しアルコールの脱水素触媒として使用することができる。ハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒を繰り返し使用して反応を行った場合であっても、触媒活性は低下せず、高い収率で対応するカルボニル化合物を製造することができる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0034】
(実施例1−0)ハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒(Au/HT)の製造
塩化金酸(HAuCl4・xH2O)0.124gをイオン交換水(50mL)に溶解して得た溶液に、ハイドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16CO3]1.0gを加え、25%アンモニア水を加え、室温で2時間撹拌した。得られた固体を吸引濾過し、脱イオン水で洗浄した後、減圧にて乾燥させ、室温で真空乾燥後、真空下150℃で0.5時間処理することにより、ハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒(Au/HT)を得た。
【0035】
(実施例1−1)
シクロオクタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例1−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒0.2g(Au:6.0mol%(Auの含有量:基質1molに対して6%mol:以下同じ))の混合物をAr雰囲気下、110℃にて3時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率94%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【化1】

【0036】
(実施例1−2)
シクロオクタノール1mmol、水5mL及び実施例1−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒0.2g(Au:6.0mol%)の混合物を、Ar雰囲気下、110℃にて20時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率99%以上に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【化2】

【0037】
(実施例1−3)
1−フェニルエタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例1−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒0.1g(Au:3.0mol%)の混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃にて9時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率99%に相当する対応するカルボニル化合物(アセトフェノン)を得た。
【化3】

【0038】
(実施例1−4)
ベンジルアルコール1mmol、トルエン5mL及び実施例1−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒0.1g(Au:3.0mol%)の混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃にて21時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率81%に相当する対応するカルボニル化合物(ベンズアルデヒド)を得た。
【化4】

【0039】
(実施例1−5)
1−フェニルエタノール0.5mL及び実施例1−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒0.1g(Au:3.0mol%)をアルゴン雰囲気下、150℃にて140時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率97%に相当する対応するカルボニル化合物(アセトフェノン)を得た。TON(ターンオーバー数)は2500であった。
【化5】

【0040】
(実施例1−6)
シクロヘキサノール0.5mL及び実施例1−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Au粒子触媒0.1g(Au:3.0mol%)をアルゴン雰囲気下、150℃にて98時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率89%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロヘキサノン)を得た。TON(ターンオーバー数)は1480であった
【化6】

【0041】
(実施例2−0)ハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒(Ag/HT)の製造
硝酸銀0.085gをイオン交換水(4mL)に溶解して得た溶液に、25%アンモニア水を加えpHを6.8に調整し、ハイドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16CO3]11.0gを加え、室温で20分撹拌した。さらに、イオン交換水35mlを加えていき、得られた固体を吸引濾過し、脱イオン水で洗浄した後、減圧にて乾燥させ、110℃で一晩焼成後、水素雰囲気下180℃で0.5時間還元することにより、ハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒(Ag/HT)を得た。
【0042】
(実施例2−1)
シクロペンタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率70%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロペンタノン)を得た。シクロペンタノンの選択率は99%以上であった。
【化7】

【0043】
(実施例2−2)
シクロオクタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて22時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率99%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。シクロオクタノンの選択率は99%以上であった。
【化8】

【0044】
(実施例2−3)
シクロドデカノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて21時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率98%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロドデカノール)を得た。シクロドデカノンの選択率は99%以上であった。
【化9】

【0045】
(実施例2−4)
ベンジルアルコール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率98%に相当する対応するカルボニル化合物(ベンズアルデヒド)を得た。ベンズアルデヒドの選択率は99%以上であった。
【化10】

【0046】
(実施例2−5)
p−メチルベンジルアルコール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率95%に相当する対応するカルボニル化合物(p−メチルベンズアルデヒド)を得た。p−メチルベンズアルデヒドの選択率は99%以上であった。
【化11】

【0047】
(実施例2−6)
p−イソプロピルベンジルアルコール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率82%に相当する対応するカルボニル化合物(p−イソプロピルベンズアルデヒド)を得た。p−イソプロピルベンズアルデヒドの選択率は99%以上であった。
【化12】

【0048】
(実施例2−7)
p−ニトロベンジルアルコール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて48時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率76%に相当する対応するカルボニル化合物(p−ニトロベンズアルデヒド)を得た。p−ニトロベンズアルデヒドの選択率は98%であった。
【化13】

【0049】
(実施例2−8)
p−クロロベンジルアルコール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて120時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率73%に相当する対応するカルボニル化合物(p−クロロベンズアルデヒド)を得た。p−クロロベンズアルデヒドの選択率は99%以上であった。
【化14】

【0050】
(実施例2−9)
1,3−ベンゾジオキソール−5−メタノール(ピペロニルアルコール)1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて45時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率93%に相当する対応するカルボニル化合物(1,3−ベンゾジオキソール−5−アルデヒド)を得た。1,3−ベンゾジオキソール−5−アルデヒドの選択率は99%以上であった。
【化15】

【0051】
(実施例2−10)
3−フェニル−2−プロペン−1−オール(シンナミルアルコール)1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて94時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率84%に相当する対応するカルボニル化合物(シンナムアルデヒド)を得た。シンナムアルデヒドの選択率は99%以上であった。
【化16】

【0052】
(実施例2−11)
3−メチル−2−ブテン−1−オール0.5mmol及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.01gをアルゴン雰囲気下、110℃にて45時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率59%に相当する対応するカルボニル化合物(3−メチル−2−ブテン−1−オン)を得た。3−メチル−2−ブテン−1−オンの選択率は99%以上であった。
【化17】

【0053】
(実施例2−12)
2,4−ヘキサジエン−1−オール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて96時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率55%に相当する対応するカルボニル化合物(2,4−ヘキサジエン−1−オン)を得た。2,4−ヘキサジエン−1−オンの選択率は99%以上であった。
【化18】

【0054】
(実施例2−13)
1−フェニルエタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて20時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率99%に相当する対応するカルボニル化合物(アセトフェノン)を得た。アセトフェノンの選択率は99%以上であった。
【化19】

【0055】
(実施例2−14)
1−フェニルエタノール5mmol及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.01gをアルゴン雰囲気下、100℃にて72時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率99%に相当する対応するカルボニル化合物(アセトフェノン)を得た。アセトフェノンの選択率は99%以上であった。
【化20】

【0056】
(実施例2−15)
2−オクタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて26時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率99%に相当する対応するカルボニル化合物(2−オクタノン)を得た。2−オクタノンの選択率は99%以上であった。
【化21】

【0057】
(実施例2−16)
2−アダマンタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて20時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率97%に相当する対応するカルボニル化合物(2−アダマンタノン)を得た。2−アダマンタノンの選択率は99%以上であった。
【化22】

【0058】
(実施例2−17)
6−ヒドロキシデカン−5−オン1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて48時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率98%に相当する対応するカルボニル化合物(5,6−デカンジオン)を得た。5,6−デカンジオンの選択率は99%以上であった。
【化23】

【0059】
(実施例2−18)
1−オクタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率27%に相当する対応するカルボニル化合物(1−オクタナール)を得た。1−オクタナールの選択率は99%以上であった。
【化24】

【0060】
(実施例2−19)
2−フランメタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて120時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率70%に相当する対応するカルボニル化合物(2−フランアルデヒド)を得た。2−フランアルデヒドの選択率は99%以上であった。
【化25】

【0061】
(実施例2−20)
トルエンに代えてメチルシクロヘキサンを使用した以外は、実施例2−2と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率65%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【0062】
(実施例2−21)
[Ag/HTの再利用]
実施例2−2で、反応終了後、使用したAg/HTを遠心分離により回収し、そのまま再度、実施例2−2と同様の操作によりシクロオクタノールの脱水素触媒として使用した。Ag/HTの再利用は10回まで行い、各々得られたシクロオクタノンのGC(ガスクロマトグラフィー)収率を求めた。表1にシクロオクタノンの収率を示す。ハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒は、10回の再利用後も活性の低下はほとんどみられなかった。
【0063】
【表1】

【0064】
(比較例1)
Ag/HTに代えてAg/SiO2を使用した以外は、実施例2−2と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率5%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【0065】
(比較例2)
Ag/HTに代えてAg/TiO2を使用した以外は、実施例2−2と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率5%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【0066】
(比較例3)
Ag/HTに代えてAg2Oを使用した以外は、実施例2−2と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率23%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【0067】
(比較例4)
Ag/HTに代えてAgNO3を使用した以外は、実施例2−2と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率7%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【0068】
(実施例3−0)
ハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒(Cu/HT)の製造
硝酸銅0.3gをイオン交換水(3mL)に溶解して得た溶液に、25%アンモニア水を加えて溶液のpHを7.8〜7.9に調整し、ハイドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16CO3]1.0gを加え、室温で0.5時間撹拌した。さらにイオン交換水35mLを加え0.5時間撹拌し、得られた固体を吸引濾過し、脱イオン水で洗浄し後、減圧にて乾燥させ、110℃で12時間焼成後、水素雰囲気下180℃で0.5時間還元することにより、ハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒(Cu/HT)を得た。
【0069】
(実施例3−1)
シクロオクタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて6時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率99%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【化26】

【0070】
(実施例3−2)
反応を酸素雰囲気下で行った以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率6%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロオクタノン)を得た。
【0071】
(実施例3−3)
シクロヘキサノール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率90%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロヘキサノン)を得た。
【化27】

【0072】
(実施例3−4)
反応を酸素雰囲気下で行った以外は、実施例3−3と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率11%に相当する対応するカルボニル化合物(シクロヘキサノン)を得た。
【0073】
(実施例3−5)
1−フェニルエタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて9時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率97%に相当する対応するカルボニル化合物(アセトフェノン)を得た。
【化28】

【0074】
(実施例3−6)
反応を酸素雰囲気下で行った以外は、実施例3−5と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率14%に相当する対応するカルボニル化合物(アセトフェノン)を得た。
【0075】
(実施例3−7)
ベンジルアルコール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率19%に相当する対応するカルボニル化合物(ベンズアルデヒド)を得た。
【化29】

【0076】
(実施例3−8)
反応を酸素雰囲気下で行った以外は、実施例3−7と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率49%に相当する対応するカルボニル化合物(ベンズアルデヒド)をえた。
【0077】
(実施例3−9)
2−オクタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率94%に相当する対応するカルボニル化合物(2−オクタノン)を得た。
【化30】

【0078】
(実施例3−10)
反応を酸素雰囲気下で行った以外は、実施例3−9と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率7%に相当する対応するカルボニル化合物(2−オクタノン)を得た。
【0079】
(実施例3−11)
n−オクタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率2%に相当する対応するカルボニル化合物(n−オクチルアルデヒド)を得た。
【化31】

【0080】
(実施例3−12)
反応を酸素雰囲気下で行った以外は、実施例3−11と同様の操作を行い、GC(ガスクロマトグラフィー)収率4%に相当する対応するカルボニル化合物(n−オクチルアルデヒド)を得た。
【0081】
(実施例3−13)
フェニルシクロプロピルメタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて48時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率75%に相当する対応するカルボニル化合物(フェニルシクロプロピルケトン)を得た。
【化32】

【0082】
(実施例3−14)
2−アダマンタノール1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて21時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率89%に相当する対応するカルボニル化合物(2−アダマンタノン)を得た。
【化33】

【0083】
(実施例3−15)
1−ヒドロキシメチルアダマンタン1mmol、トルエン5mL及び実施例3−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Cu粒子触媒0.1g(Cu:3.0mol%)の混合物をアルゴン雰囲気下、110℃にて24時間撹拌したところ、GC(ガスクロマトグラフィー)収率6%に相当する対応するカルボニル化合物(1−アダマンタナール)を得た。
【化34】

【0084】
(実施例4)
3−フェニル−2−プロペン−1−オール(シンナミルアルコール)1mmol、トルエン5mL及び実施例2−0で製造したハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒0.1gをアルゴン雰囲気下、110℃にて6時間撹拌したところ、対応するカルボニル化合物(シンナムアルデヒド)を得た。シンナミルアルコールの転化率は100%、シンナムアルデヒドの選択率は100%であった。
【0085】
(実施例5)
[ハイドロタルサイト表面固定化Pd粒子触媒(Pd/HT)の製造]
Pd化合物をイオン交換水に溶解して得た溶液に、ハイドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16CO3]を加え、室温で撹拌した。得られた固体を吸引濾過し、脱イオン水で洗浄した後、減圧にて乾燥させ、焼成後、水素雰囲気下還元することにより、ハイドロタルサイト表面固定化Pd粒子触媒(Pd/HT)を得た。
[カルボニル化合物の製造]
ハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒に代えて、上記ハイドロタルサイト表面固定化Pd触媒(Pd/HT)を使用した以外は実施例5と同様の操作を行った。シンナミルアルコールの転化率は100%、シンナムアルデヒドの選択率は18%であった。
【0086】
(実施例6)
[ハイドロタルサイト表面固定化Ru粒子触媒(Ru/HT)の製造]
RuCl3・xH2Oをイオン交換水に溶解して得た溶液に、ハイドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16CO3]1.0gを加え、室温で撹拌した。得られた固体を吸引濾過し、脱イオン水で洗浄した後、減圧にて乾燥させ、焼成後、水素雰囲気下還元することにより、ハイドロタルサイト表面固定化Ru粒子触媒(Ru/HT)を得た。
[カルボニル化合物の製造]
ハイドロタルサイト表面固定化Ag粒子触媒に代えて、ハイドロタルサイト表面固定化Ru触媒(Ru/HT)を使用した以外は実施例5と同様の操作を行った。シンナミルアルコールの転化率は99%、シンナムアルデヒドの選択率は70%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロタルサイト表面に、Cu、Ag、Auから選択された少なくとも1種の金属を粒子として固定化してなるハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒。
【請求項2】
ハイドロタルサイト表面に、Cu、Ag、Auから選択された少なくとも1種の金属を粒子として固定化したハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒の存在下、アルコールを脱水素することを特徴するカルボニル化合物の製造方法。
【請求項3】
ハイドロサルタイト表面に金属を粒子として固定化したハイドロタルサイト表面固定化金属粒子触媒の存在下、アルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造する方法であって、酸素の非存在下に反応を行うことを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。

【公開番号】特開2008−221080(P2008−221080A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60485(P2007−60485)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】