説明

カンナビノイド−CB1拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す化合物

本発明は、カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す化合物、これらの化合物を含有させた製薬学的組成物、前記化合物の製造方法、これらの合成で用いるに有用な新規な中間体の製造方法および組成物の製造方法に関する。本発明は、また、前記化合物および組成物の使用、特に精神病、不安、鬱病、注意欠陥、認知障害、肥満症、薬物依存症、パーキンソン病、アルツハイマー病、疼痛性障害、神経障害性疼痛性障害および性的障害における治療効果を達成する目的で患者に投与する時にそれらを使用することにも関する。特に、本発明は、一般式(1):
【化1】


[式中の記号は本明細書に示す意味を有する]
で表される化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬学および有機化学の分野に関し、カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す化合物、中間体、製剤および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
還元主義者の‘1標的-1疾患’方策が数十年に渡って製薬産業の主流を占めている。このような方策を用いることで数多くの有効な薬剤が見いだされた。しかしながら、それにも拘らず数多くの病気の治療が不充分なままである。そのように見いだされたことで、複数の標的を同時にモジュレートする化学物質を開発する代替方策が正当化されている。そのような薬剤は、臨床的効力が高いこと、または好ましくない薬物動態的薬剤−薬剤相互作用または好ましくない薬物動態および薬物力学特性がないことなどの如き有利な特性を示す可能性がある。後者によって個々の患者間の予測不能な多様性がもたらされる可能性がある。異なる治療機構を組み合わせる目的で、2種以上の薬剤の混合物が臨床実施で今なお用いられている。別法として、患者による受け入れを向上させる目的で2種以上の製薬学的に有効な化合物を単一の錠剤もしくはカプセルに入れて一緒に調合する多成分薬剤を用いることも行われている。別の方策では、2種以上の生物学的標的を同時にモジュレートする能力を有する化学物質による製薬学的治療が利用されている。そのような‘単一物質-多標的方策’を用いると好ましくない薬剤−薬剤相互作用の危険性が薬剤混合物または多成分薬剤を用いた時に比べて低くなると言った利点が得られることは明らかである。多標的リガンドがいくつか知られている。その大部分は遡及的または偶然に見つかったものであり、理論的に考案されたリガンドは僅かのみであった。
【0003】
カンナビノイド受容体はいろいろな病気に関与するエンド−カンナビノイド系の一部である。カンナビノイド受容体、CB受容体モジュレーターおよびそれらの薬理学に関する詳細な情報が最近の論評の活動に見られ、主題になっている(非特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13)。この引用した論評に開示されているCB受容体モジュレーターの可能な治療的用途には、精神病、不安、鬱病、注意欠陥、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満症、依存症、強い欲求、薬物依存症、神経変性疾患、認知症、ジストニア、筋痙直、振戦、てんかん、多発性硬化症、外傷性脳損傷、卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、ハンチントン病、トゥレット・シンドローム、脳虚血、脳出血、頭蓋大脳外傷、脊髄損傷、神経炎症性疾患、プラーク硬化症、ウイルス性脳炎、脱髄関連障害を治療するための薬剤ばかりでなく疼痛性障害(神経障害性痛障害を包含)、敗血病性ショック、緑内障、糖尿病、癌、嘔吐、吐き気、胃腸障害、胃潰瘍、下痢、性的障害、衝動調節障害および心臓血管疾患を治療するための薬剤が含まれる。
【0004】
気分障害および不安障害が数多くの苦しみの原因になっている。選択的セロトニン再摂取阻害剤が二十年以上前に紹介されたことがより安全な抗鬱薬の発展の主要な段階になっている。選択的セロトニン再摂取阻害剤の代表例は、フルボキサミン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、シタロプラム、ジメルジン、クロミプラミン、インダルピンおよびインダトラリンである。大部分の選択的セロトニン再摂取阻害剤は、構造が顕著に多様であるにも拘らず、モノアミンが基になっている、即ち、それらは塩基性窒素原子を含有する(非特許文献14)。セロトニン再摂取阻害剤が下記の治療的用途を有することが科学論文、特許および特許出願に示されている:アルコール依存症、アルツハイマー病、神経性無食欲症、不安障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、神経性過食症、中枢神経系疾患、化学療法誘発嘔吐、コカイン依存症、認知障害、糖尿病性神経障害、薬物依
存症、摂食障害、女性性機能障害、機能性腸疾患、全般性不安障害、頭痛、炎症、過敏性腸症候群、男性性機能障害、大鬱病障害、更年期障害、片頭痛、筋肉痛、神経痛、神経障害性痛、肥満症、強拍性障害、変形性関節症、痛み、パニック障害、パーキンソン病、早漏、月経前症候群、精神性的障害、精神病、関節リウマチ、統合失調症、睡眠障害および尿失禁。
【0005】
カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す化合物は、いろいろな病状の病的状態がしばしば一緒に観察されることが理由でカンナビノイドCB拮抗薬またはセロトニン再摂取阻害剤のいずれかが潜在的に有効である疾患の治療で用いるに有用であり得る。このように、本発明の化合物は、依存症、アルコール依存症、アルツハイマー病、神経性無食欲症、不安障害、食欲障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、神経性過食症、癌、心臓血管疾患、中枢神経系疾患、脳虚血、脳出血、化学療法誘発嘔吐、コカイン依存症、認知障害、認知症、脱髄関連障害、糖尿病、糖尿病性神経障害、下痢、薬物依存症、ジストニア、摂食障害、嘔吐、てんかん、女性性機能障害、機能性腸疾患、胃腸障害、胃潰瘍、全般性不安障害、緑内障、頭痛、ハンチントン病、衝動調節障害、炎症、過敏性腸症候群、男性性機能障害、大鬱病障害、記憶障害、更年期障害、片頭痛、筋痙直、多発性硬化症、筋肉痛、吐き気、神経痛、神経変性性疾患、神経炎症性疾患、神経障害性痛、肥満症、強拍性障害、変形性関節症、痛み、パニック障害、パーキンソン病、プラーク硬化症、早漏、月経前症候群、精神性的障害、精神病、関節リウマチ、敗血病性ショック、統合失調症、性的障害、睡眠障害、脊髄損傷、卒中、トゥレット・シンドローム、外傷性脳障害、振戦、尿失禁およびウイルス性脳炎を治療する目的で使用可能である。
【0006】
特に、カンナビノイドCB拮抗薬ばかりでなくセロトニン再摂取阻害剤を用いて治療可能であることが強調される障害の治療で本発明の化合物を用いることが重要である。異なる2種類の作用機構を用いてそのような障害を同時に攻撃することは相乗効果を示す可能性がある。このように、本発明の化合物は特に精神病、不安、鬱病、注意欠陥、認知障害、肥満症、薬物依存症、パーキンソン病、アルツハイマー病、疼痛性障害、神経障害性疼痛性障害および性的障害の治療で用いるに有用である。
【0007】
カンナビノイドCB受容体拮抗薬の大部分が有する薬理作用団がいくつかの論評の主題になっている(非特許文献7、15)。それをスキーム1に示す。
【0008】
【化1】

【0009】
スキーム1中のArおよびArは、場合により1または2個のハロゲン原子、トリフルオロメチル基またはメトキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。スキーム1中の‘スペーサー’は5員の複素環式基、例えば4,5−ジヒドロピラゾール、イミダ
ゾール、ピラゾール、チアゾール、チオフェンまたはピロールなどを含有するか、或は前記スペーサーはフェニル基または6員の複素環式基、例えばピリジン、ピリミジンまたはピラジンなどを含有する。前記スペーサーは、また、MK−0364(以下を参照)の場合のようにアゼチジン部分、1,3−ベンゾジオキソール部分またはアルキル部分も含有していてもよい。加うるに、芳香基の中の1つは前記スペーサーと縮合していてもよいか或は追加的環を通して前記スペーサーと連結していてもよい(即ち、いわゆる構造的拘束)。そのような薬理作用団モデルにおいていくつかの種類の構造的拘束が成功裏に実行された。H−結合受容体はカルボニル基、スルホニル基、または複素環式環構造、例えばイミダゾール環などに組み込まれている可能性がある窒素原子を表す。スキーム1中の‘Lip’は、親油性部分、例えばピペリジン−1−イルアミノ、ピロリジニル−1−アミノ、シクロアルキルアミノ、フェニルアミノ、アリールアミノ、ベンジル−アミノまたはアルキルアミノなどを表す。
【0010】
分子モデル研究によって、水素結合受容体の存在が重要であることが示されている:即ちそれがCB受容体中のLys−192アミノ酸残基側鎖と相互作用することでそれの不活性な状態を安定化させると考えられている。
【0011】
CB受容体拮抗薬の薬理作用団モデルを例示する目的で、CB受容体の数多くの具体的例を以下に示す。推定水素結合受容体原子(カルボニル基の酸素原子、スルホニル基の酸素原子または複素芳香環中のN原子)を肉太で示す:
【0012】
【化2】

【0013】
セロトニン再摂取阻害剤の薬理作用団モデルは報告されている(非特許文献16)。それをスキーム2に示す:
【0014】
【化3】

【0015】
それは塩基性窒素原子(N)、伸びた親油性芳香領域(Ar)および親油性部分(Lip−SRI)を有することを特徴とする。その塩基性アミノ官能基はフルボキサミンの場合のように置換されていなくてもよい(RおよびRが水素を表す)か、或はフルオキセチン、インダトラリンおよびセルトラリンの場合のように一置換されていてもよいか、或はシタロプラム、ジメルジンおよびクロミプラミンの場合のように二置換されていてもよい。前記塩基性窒素原子は6員環、例えばインダルピンおよびパロキセチンなどの一部であってもよい、即ちRが水素原子を表しそしてRが薬理作用団の炭素環式骨格の一部である。数多くの4−(3−インドリル−アルキル)ピペリジン誘導体[インダルピンおよび4−(3−インドリル−アルキル)ピペラジン誘導体を包含]が効力のあるセロトニン再摂取阻害活性を有することが示された(非特許文献17、18)。
【0016】
選択的CB受容体拮抗薬であるSR141716A(リモナバント)は十年以上に渡って知られている。他の数多くの選択的CB拮抗薬が後に考案された。セロトニン再摂取阻害剤は二十年以上に渡って知られている。CB受容体拮抗薬活性とセロトニン再摂取阻害剤活性の組み合わせを示す化合物は今まで全く開示されていなかった。
【0017】
本発明の目的は、CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す化合物を開発することにあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Landsman、R.S.他、Eur.J.Pharmacol.1997、334、R1−R2
【非特許文献2】Lichtman、A.H.他、Prostaglandins Leukotrienes and Essential Fatty Acids 2002、66、269−285
【非特許文献3】De Petrocellis、L.他、Br.J.Pharmacol.2004、141、765−774
【非特許文献4】Di Marzo、V.他、Nature Rev.Drug Discov.2004、3、771−784
【非特許文献5】Hertzog、D.L.Expert Opin.Ther.Patents 2004、14、1435−1452
【非特許文献6】Lange、J.H.M.およびKruse、C.G.、C.Curr.Opin.Drug Discovery Dev.2004、7、498−506
【非特許文献7】Lange、J.H.M.およびKruse、C.G.Drug Discov.Today 2005、10、693−702
【非特許文献8】Smith、R.A.およびFathi、Z.IDrugs 2005、8、53−66
【非特許文献9】Thakur、G.A.他、Mini−Rev.Med.Chem.2005、5、631−640
【非特許文献10】Padgett、L.W.Life Sciences 2005、77、1767−1798
【非特許文献11】Muccioli、G.G.他、Curr.Med.Chem.2005、12、1361−1394
【非特許文献12】Lambert、D.M.およびFowler、C.J.J.Med.Chem.2005、48、5059−5087
【非特許文献13】Vandevoorde、S.およびLambert、D.M.Curr.Pharm.Des.2005,11、2647−68
【非特許文献14】Pacher、P.およびKecskemeti、V.、Curr.Med.Chem.2004、11、925−943
【非特許文献15】Reggio、P.H.、Curr.Pharm.Des.2003、9、1607−1633
【非特許文献16】Bureau、R.他、J.Chem.Inf.Comput.Sci.2002、42、429−436
【非特許文献17】Le Fur、G.およびUzan、A.、Biochem Pharmacol.1977、26、497−503
【非特許文献18】Malleron、J.−L.他、J.Med.Chem.1993、36、1194−1202
【発明の概要】
【0019】
開示
公知カンナビノイド−CB拮抗薬の基本的部分と公知セロトニン再摂取阻害剤であるインダルピンまたはフルボキサミンの基本的部分を含有する分子がこれらが由来する両方の分子の活性、即ちカンナビノイド−CB拮抗作用およびセロトニン再摂取の阻害の両方を共有することを見いだした。本発明は、カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す化合物、特に、CB受容体結合とセロトニン再摂取結合の両方におけるpK値が>6.00である化合物に関する。
【0020】
より詳細には、本発明は、式(1):
【0021】
【化4】

【0022】
[式中、
Aは、独立して場合によりハロゲン、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいフェニル環を少なくとも2個含有する公知カンナビノイド−CB拮抗薬いずれかの基本的構造要素を表し、前記基本的構造要素は前記カンナビノイド−CB拮抗薬中の水素結合受容体と結合しておりかつ前記水素結合受容体部分はカルボニル基、スルホニル基、または複素芳香環構造の中に組み込まれている窒素もしくは酸素原子のいずれかであり、
Nは、非塩基性窒素原子を表し、
Tは、1個の炭素原子が場合により(C−C)−アルキルまたはCHCF基で置換されていてもよい窒素原子に置き換わっていてもよいか或は酸素原子または硫黄原子に置き換わっていてもよくかつ場合によりフルオロ、アミノ、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい原子数が0−8の飽和もしくは不飽和炭素鎖を表し、
Rは、水素原子または(C−C)−アルキル基を表すか、或はRがこれが結合している窒素原子と一緒になりかつTの一部と一緒になって(C−C)−ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基を形成しており、
Bは、公知セロトニン再摂取阻害剤いずれかの基本的構造要素を表す]
で表される化合物、または互変異性体、立体異性体、N−オキサイド、同位体標識類似物、または前記いずれかの薬理学的に許容される塩、水化物または溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
他の態様では、前記カンナビノイド−CB拮抗薬が11C−JHU−75528、A−796260、アジュレム酸、AM 251、AM 630、AVE−1625、CP−272871、CP−945598、EMD−68843、GRC−10389、LY−2077855、LY−320135、NIDA−41020、O−2093、SLV319、SLV326、SR−140098、SR−144385、SR−41716A(リモナバント)、スリナバント、V−24343、WIN−54461およびWIN−56098から選択されそして前記5−HT再摂取阻害剤が403U76、A−80426、AD−337、アジナゾラム、アゴメラチン、アラプロクレート、アミネプチン、アミトリプチリン、ARAK−0029、ARAK−0051、ベフェツピタント、ベフロキサトン、BGC−20−1259、ビシファジン、BMS−505130、ブロファロミン、ブプロピオン、ブトリプチリン、セリクラミン、シタロプラム、CL:−275838、クロミプラミン、クロボキサミン、CX−157、ダポキセチン、デスベンラファキシン、デクスフェンフルラミン、ジベンゼピン、ジクロフェンシン、ドスレピン、DOV−21947、DOV−102677、DOV−216303、デュロキセチン、DU
125530、DuP−631、EN−3215、EpiCept NP−1、エシタロプラム、フェモキセチン、フルオキセチン、(S)−フルオキセチン、フルボキサミン、ゲピロン、IDN−5491、イミプラミン、インダルピン、イプリンドール、L−792239、LI−301、リトキセチン、ロフェプラミン、LU−10134−C、LU−AA21004、ルバゾドン、LY−214281、LY−367265、LY−3
93558、マプロチリン、MCI−225、MCL−0042、McN−5652、メリトラセン、ミアンセリン、ミルナシプラン、ミルタゼピン、モクロベミド、モダフィニル、ネファゾドン、6−ニトロキパジン、ノルトリプチリン、NR−200s、NS−2381、NS−2389、NS−2463、NS−4194、NS−23459、オミロキセチン、OPC−14523、オピプラモール、Org−6582、パロキセチン、プラミペキソール、PRC−025、プロピゼピン、ケチアピン、キヌプラミン、ラメルテオン、R−フルオキセチン、リザトリプタン、ロバルゾタン、ロキシンドール、RS−1439、SB−649915、S−9977、SD−726、セレギリン、SEP−225289、SEP−227162、セルトラリン、シブトラミン、(S)−シブトラミン、(R)−ジデメチルシブトラミン、SLV310、SLV314、SPD−473、トラマドール、トラゾドン、ウデナフィル、UK−416244、UP−23761、VANH−36、ベンラファキシン、ビラゾドン、VML−670、VN−2222、ボリナンセリン、WF−23、Wf−516、WL−1011、WL−1017、YM−922およびジメルジンから選択される式(1)で表される1種以上の化合物を提供する。
【0024】
さらなる態様では、Aがフラグメント(A1a)、(A1b)、(A)、(A)(A)、(A)、(A)、(A)または(A):
【0025】
【化5】

【0026】
[ここで、
Xは、スルホニルまたはカルボニル基を表し、“+”記号は、当該フラグメントが式(1)中の部分N(ここで、Nは非塩基性窒素原子を表す)と結合している地点を表し、R、RおよびRは、独立して、1個以上の水素原子、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を表し、Rは、水素またはハロゲン原子またはメチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルファニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、C1−3−ジアルキル−アミノメチル、ピロリジン−1−イルメチル、ピペリジン−1−イルメチルまたはモルホリン−4−イルメチル基を表し、そして他の記号はこの上に示した如き意味を有する]
の中の1つを表す式(1)で表される1種以上の化合物を提供する。
【0027】
別の態様において、本発明は、Aがフラグメント(A1a)、(A1b)、(A)、
(A)(A)、(A)、(A)、(A)または(A)の中の1つを表しそして式(1)のNRTB配列がフラグメント(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)または(NRTB10):
【0028】
【化6】

【0029】
[ここで、
Rは水素原子または(C−C)−アルキル基を表す]
の中の1つである式(1)で表される化合物に関する。
【0030】
別の態様において、本発明は、Aがフラグメント(A1a)または(A):
【0031】
【化7】

【0032】
[ここで、
Xは、スルホニルまたはカルボニル基を表し、+は、当該フラグメントが式(1)中の非塩基性窒素原子Nと結合している地点を表し、R、RおよびRは、独立して、水素、トリフルオロメチルまたはハロゲンを表し、Rは、水素またはハロゲン原子またはメチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルファニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、C1−3−ジアルキル−アミノメチル、ピロリジン−1−イルメチル、ピペリジン−1−イルメチルまたはモルホリン−4−イルメチル基を表し、そして他の記号はこの上に示した如き意味を有する]
の中の1つを表す式(1)で表される化合物に関する。
【0033】
別の態様において、本発明は、Aがフラグメント(A1a)または(A)の中の1つを表しそして式(1)のNRTB配列がフラグメント(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)または(NRTB10)の中の1つである式(1)で表される化合物に関する。
【0034】
別の態様において、本発明は、Aがフラグメント(A)または(A):
【0035】
【化8】

【0036】
の中の1つを表しそして式(1)のNRTB配列がフラグメント(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)または(NRTB10)の中の1つである式(1)で表される化合物に関する。
【0037】
別の態様において、本発明は、
【0038】
【化9】

【0039】
である式(1)で表される化合物に関する。
【0040】
一般式(1)で表される本発明の化合物ばかりでなくこれらの薬理学的に許容される塩は、カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す。それらは、カンナビノイド−CB受容体およびセロトニン再摂取部位が関与するか或はそのような受容体のモジュレーションによって治療可能な障害、例えば依存症、アルコール依存症、アルツハイマー病、神経性無食欲症、不安障害、食欲障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、神経性過食症、癌、心臓血管疾患、中枢神経系疾患、脳虚血、脳出血、化学療法誘発嘔吐、コカイン依存症、認知障害、認知症、脱髄関連障害、糖尿病、糖尿病性神経障害、下痢、薬物依存症、ジストニア、摂食障害、嘔吐、てんかん、女性性機能障害、機能性腸疾患、胃腸障害、胃潰瘍、全般性不安障害、緑内障、頭痛、ハンチントン病、衝動調節障害、炎症、過敏性腸症候群、男性性機能障害、大鬱病障害、記憶障害、更年期障害、片頭痛、筋痙直、多発性硬化症、筋肉痛、吐き気、神経痛、神経変性性疾患、神経炎症性疾患、神経障害性痛、肥満症、強拍性障害、変形性関節症、痛み、パニック障害、パーキンソン病、プラーク硬化症、早漏、月経前症候群、精神性的障害、精神病、関節リウマチ、敗血病性ショック、統合失調症、性的障害、睡眠障害、脊髄損傷、卒中、トゥレット・シンドローム、外傷性脳障害、振戦、尿失禁およびウイルス性脳炎の治療で用いるに有用である。
【0041】
本発明の他の態様は、これらに限定するものでないが、下記を包含する:
例えばカンナビノイド−CB拮抗作用およびセロトニン再摂取阻害の組み合わせによって治療可能な障害もしくは疾患などを治療するための製薬学的組成物[この組成物は式(1)で表される化合物および製薬学的に許容される担体を含有して成る];
カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせによって治療可能な障害もしくは疾患を治療する方法[この方法は前記治療を必要としている哺乳動物に式(1)で表される化合物を投与することを含んで成る];
例えば本明細書に示す障害から選択される障害もしくは疾患などを治療するための製薬学的組成物;
本明細書に示す障害から選択される障害もしくは疾患などを治療する方法[この方法はそのような治療を必要としている患者に式(1)で表される化合物を投与することを含んで成る];
本明細書に示す障害から選択される障害もしくは疾患などを治療するための製薬学的組成物[この組成物は式(1)で表される化合物および製薬学的に許容される担体を含有して成る];
本明細書に示す障害から選択される障害もしくは疾患などを治療する方法[この方法はそのような治療を必要としている患者に式(1)で表される化合物を投与することを含んで成る];
カンナビノイド−CB拮抗作用受容体に拮抗作用を及ぼしかつセロトニン再摂取を阻害する方法[この方法はそれを必要としている被験体に式(1)で表される化合物を有効な量で投与することを含んで成る]。
【0042】
本発明は、また、式(1)に従う化合物を薬剤を製造する目的で用いることも提供する。
【0043】
本発明は、更に、本発明の化合物または本発明の化合物を含有して成る製薬学的組成物もしくは製剤を示す疾患の中の1つ以上を治療する目的で別の治療薬1種または2種以上と同時もしくは個別にか或は組み合わせ製剤として投与する組み合わせ療法にも関する。そのような他の治療薬1種または2種以上の投与は本発明の化合物を投与する前、同時または後に実施可能である。
【0044】
本発明は、また、本明細書に示す障害から選択される障害もしくは疾患を治療するための化合物、製薬学的組成物、キットおよび方法も提供し、この方法は、そのような治療を必要としている患者に式(1)で表される化合物を投与することを含んで成る。
【0045】
本発明の化合物は、カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す。本発明の化合物が示す(拮抗)作動/阻害活性の立証は、例えば本明細書に記述するか或は当該技術分野で公知の検定法の1種以上を用いると容易である。
【0046】
本発明は、また、本発明の化合物を製造する方法および本方法で用いる中間体も提供する。
【0047】
本明細書に記述する化合物および中間体の単離および精製は、必要ならば、適切な分離もしくは精製手順、例えば濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、厚層クロマトグラフィー、調製用低圧もしくは高圧液クロマトグラフィーまたはこれらの手順の組み合わせなどのいずれかを用いて実施可能である。適切な分離および単離手順の具体例を本調製および実施例から採用可能である。しかしながら、勿論、また、他の相当する分離および単離手順を用いることも可能である。
【0048】
本発明の化合物は不斉中心を1個以上含有する可能性があり、このように、ラセミ体およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレ
オマーとして存在し得る。当該分子が有するいろいろな置換基の性質に応じて追加的不斉中心が存在する可能性もある。そのような不斉中心の各々によって独立して2種類の光学異性体がもたらされ、可能な光学異性体およびジアステレオマーの全部を混合物としておよび高純度もしくはある程度精製された化合物として本発明の範囲内に包含させることを意図する。本発明に本化合物のそのような異性体形態物の全部を包含させることを意味する。式(1)は、そのような種類の化合物の構造を好適な立体化学を示すことなく表すものである。そのようなジアステレオマーの個々の合成またはそれらのクロマトグラフィーによる分離は、本明細書に開示する方法を適切に修飾することで、当該技術分野で公知のように達成可能である。それらの絶対立体化学の測定は、結晶性生成物または結晶性中間体(必要ならば絶対配置が既知の不斉中心を含有する反応体を用いて生じさせた)のx線結晶学を用いて実施可能である。必要ならば、そのような化合物のラセミ混合物に分離を受けさせることで個々の鏡像異性体を単離してもよい。そのような分離は当該技術分野で良く知られた方法、例えばある化合物のラセミ混合物と鏡像異性体的に高純度の化合物を連成させてジアステレオマー混合物を生じさせた後に個々のジアステレオマーを標準的方法、例えば分別結晶化またはクロマトグラフィーなどで分離することなどで実施可能である。そのような連成反応はしばしば鏡像異性体的に高純度の酸もしくは塩基、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/または(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などを用いて塩を生じさせる反応である。次に、そのジアステレオマー誘導体の付加キラル残基を開裂させることで高純度の鏡像異性体に変化させてもよい。その化合物のラセミ混合物に分離をまたキラル固定相を用いたクロマトグラフィー方法で直接受けさせることも可能であり、そのような方法は当該技術分野で良く知られている。別法として、配置が既知の光学的に高純度の出発材料もしくは反応体を用いた立体選択的合成を当該技術分野で良く知られた方法を用いて実施することで、ある化合物の鏡像異性体のいずれかを得ることも可能である。
【0049】
また、式(1)で表される化合物もしくはこれの製薬学的に許容される塩のシスおよびトランス異性体も本発明の範囲内であり、このことはまた式(1)で表される化合物の互変異性体もしくはこれらの製薬学的に許容される塩にも当てはまる。
【0050】
本化合物が示す結晶形態のいくつかのは多形体として存在する可能性があり、このように、それらも本発明に包含させることを意図する。加うるに、本化合物の数種は水と一緒に溶媒和物(即ち水化物)を形成するか或は普通の有機溶媒と一緒に溶媒和物を形成する可能性があり、そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0051】
また、式(1)で表される同位体標識化合物もしくはこれの製薬学的に許容される塩[PETもしくはSPECTで検出可能なように同位体標識を付けた式(1)で表される化合物を包含]も本発明の範囲内に含まれ、同じことが[13C]−、[14C]−、[18F]−、[H]−、[125I]−または他の同位体が豊富に存在する原子による標識を付けた式(1)で表される化合物にも当てはまり、それらは受容体結合または代謝試験で用いるに適する。
【0052】
また、本発明の化合物を神経学的機能、不全および病気の生物化学的試験で反応体または標準として用いることも可能である。
【0053】
定義
本説明の文脈の範囲内で、用語‘カンナビノイド−CB拮抗作用を示す化合物’および‘カンナビノイド−CB拮抗薬’は、別の受容体に対する交差反応性を実質的に示すことなくそのような活性を示す化合物を指し、その活性の測定を充分に受け入れられる明確な薬理学的検定(本明細書に記述するそれらを包含)を用いて実施する。1つの態様において、本発明の化合物がカンナビノイド−CB拮抗薬として示す効力はそれらが他の
如何なる受容体に対して作動薬または拮抗薬として示す効力よりも少なくとも10倍高い。100倍の選択率を示す化合物が好適であり、1,000倍以上の選択率を示す化合物が最も好適である。用語‘セロトニン再摂取阻害活性を示す化合物’またはセロトニン再摂取阻害剤’は、別の再摂取部位に対する交差反応性を実質的に示すことなくそのような活性を示す化合物を指し、その活性の測定を充分に受け入れられる明確な薬理学的検定(本明細書に記述するそれらを包含)を用いて実施する。1つの態様において、本発明の化合物がセロトニン再摂取阻害剤として示す効力はそれらが他の如何なる神経伝達物質の再摂取阻害剤として示す効力よりも少なくとも10倍高い。100倍の選択率を示す化合物が好適であり、1,000倍以上の選択率を示す化合物が最も好適である。‘カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害活性の両方を示す’化合物は、他の受容体に対しても再摂取部位に対しても交差反応性を実質的に示すことなく両方の活性を示す化合物を指し、その活性の測定を充分に受け入れられる明確な薬理学的検定(本明細書に記述するそれらを包含)を用いて実施する。1つの態様において、本発明の化合物がカンナビノイド−CB拮抗薬として示す効力およびセロトニン再摂取阻害剤として示す効力はそれらが他の如何なる受容体に対する作動薬もしくは拮抗薬として示す効力よりもまた他の如何なる再摂取部位の阻害剤として示す効力よりも少なくとも10倍高い。100倍の選択率を示す化合物が好適であり、1,000倍以上の選択率を示す化合物が最も好適である。
【0054】
本明細書に開示する化合物の説明で用いる一般用語に通常の意味を持たせる。本明細書で用いる如き用語アルキルは、一価の分枝もしくは直鎖飽和炭化水素鎖を表す。特に明記しない限り、そのような鎖が含有する炭素原子の数は1から18であり得る。そのようなアルキル基の代表例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどである。アルキル基に‘低級’の修飾を付ける場合、それが含有する炭素原子の数は1から6である。同じ炭素含有数が親用語‘アルカン’および誘導体用語、例えば‘アルコキシ’などにも当てはまる。いろいろな炭化水素含有部分の炭素含有数を当該部分中の炭素原子数の最小値および最大値を示す接頭辞で表す、即ち接頭辞C−Cは存在する炭素原子の数が含めて整数“x”から整数“y”であることを定義するものである。例えば、‘アルキル(C1−3)’はメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルなどを意味し、そして‘アルキル(C1−4)’は‘メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチルまたは2−メチル−n−プロピルなど’を意味する。
【0055】
用語‘アシル’はアルキル(C1−3)カルボニル、アリールカルボニルまたはアリール−アルキル(C1−3)カルボニルを意味する。‘アリール’は、単環式もしくは縮合二環式芳香もしくは複素芳香基を包含し、それには、これらに限定するものでないが、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、フェニル、インダゾリル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、ベンゾ[b]フラニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、インダニル、インデニル、ベンゾ[b]チエニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キナキサリニル、1,8−ナフチリジニル、ナフチル、プテリジニルまたはアズレニルが含まれる。‘ハロ’または‘ハロゲン’はクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードを意味し、‘ヘテロアルキル、複素芳香’などの場合の如き‘ヘテロ(複素)’は、N、
OまたはS原子を1個以上含有することを意味する。‘ヘテロアルキル’には、ヘテロ原子をいずれかの位置に有するアルキル基が含まれ、このようにN−結合、O−結合またはS−結合アルキル基が含まれる。
【0056】
用語“置換”は、特定基もしくは部分が置換基を1個以上持つことを意味する。いずれかの基が置換基を複数持ち得そして可能な置換基をいろいろ示す場合、そのような置換基を独立して選択しかつそれらは同じである必要はない。用語“非置換”は、特定基が置換基を持たないことを意味する。置換基を言及する時の用語“独立して”は、そのような置換基が2個以上可能な場合にそれらが互いに同じまたは異なってもよいことを意味する。
【0057】
用語“オキシ”、“チオ”および“カルボ”を本明細書で別の基の一部として用いる場合、これらはそれぞれ2個の基の間のリンカーとして働く酸素原子、硫黄原子およびカルボニル(C=O)基、例えばヒドロキシル、オキシアルキル、チオアルキル、カルボキシアルキルなどを指す。用語“アミノ”を本明細書で単独もしくは別の基の一部として用いる場合、これは末端に存在するか或は2個の他の基の間のリンカーであってもよい窒素原子を指し、かつその基は第一級、第二級もしくは第三級(それぞれ、その窒素原子に2個の水素原子が結合している、その窒素原子に1個の水素原子が結合している、およびその窒素原子に水素原子が全く結合していない)アミンであり得る。用語“スルフィニル”および“スルホニル”を本明細書で別の基の一部として用いる場合、これらはそれぞれ-SO−または-SO−基を指す。
【0058】
より正確な説明を行う目的で、また明らかに記述しない場合、用語‘化合物’または‘化合物2種以上’に、互変異性体、立体異性体、N−オキサイド、同位体標識類似物または薬理学的に許容される塩、水化物または溶媒和物を包含させる。
【0059】
本明細書で用いる如き用語“脱離基”(L)は、置き換えもしくは置換反応中に脱離する帯電もしくは非帯電原子もしくは基を意味する。この用語は、求核剤、例えばアミン、チオールまたはアルコール求核剤などによって容易に置換され得る基を指す。そのような脱離基は当該技術分野で良く知られている。例には、これらに限定するものでないが、N−ヒドロキシスクシニミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ハライド(Br、Cl、I)、トリフレート、メシレート、トシレートなどが含まれる。
【0060】
上述した化合物のN−オキサイドも本発明に属する。第三級アミンはN−オキサイド代謝産物をもたらすか或はもたらさない可能性がある。N−オキサイド化が起こる度合は痕跡量からほぼ定量的変換に及んで多様である。N−オキサイドの方が相当する第三級アミンよりも高い活性を示すか或は低い活性を示す可能性がある。N−オキサイドは人の体内で化学的手段によって容易に還元を受けて相当する第三級アミンになり得るが、それが起こる度合は多様である。ある種のN−オキサイドはほぼ定量的に還元変換を起こして相当する第三級アミンになり、他の場合の変換は単に痕跡的反応であるか、或は全く反応が起こらないことさえあり得る(Bickel、1969)。
【0061】
生体内で代謝を受けて生物活性剤(即ち式(1)で表される化合物)になる化合物のいずれも本出願の範囲および精神の範囲内でプロドラッグである。プロドラッグは、本質的に不活性ではあるが1種以上の有効な代謝産物に変化する治療薬である。このように、本発明の治療方法における用語“投与”および“の治療で用いる”は、具体的に開示した化合物または具体的には開示しなかったが患者に投与した後に生体内で指定化合物に変化する化合物を用いて記述するいろいろな障害を治療することを包含する。プロドラッグは、親薬剤分子の利用にとってある種の障害を克服する目的で用いられる生体内可逆的薬剤分子誘導体である。そのような障害には、これらに限定するものでないが、溶解性、透過性、安定性、全身に至る前に起こる代謝および標的の制限が含まれる(Bundgaard、1985;King、1994;Stella、2004;Ettmayer、2004;Jaervinen、2005)。プロドラッグ、即ちヒトまたは哺乳動物にいずれかの公知経路で投与された時に代謝を受けて式(1)で表される化合物になる化合物は本発明に属する。特に、このことは、第一級もしくは第二級アミノまたはヒドロキシ基を有する化合物に関係している。そのような化合物は有機酸と反応することで投与後に容易に除去される追加的基が存在する式(1)で表される化合物を生じる可能性があり、そのような追加的基は、例えばこれらに限定するものでないが、アミジン、エナミン、マンニッヒ塩基、ヒドロキシル−メチレン誘導体、O−(アシルオキシメチレンカルバメート)誘導体、カルバメート、エステル、アミドまたはエナミノンなどである。
【0062】
‘結晶形態’は、同じ化合物のいろいろな固体形態、例えば多形体、溶媒和物および非晶質形態などを指す。‘多形体’は、ある化合物がいろいろな結晶詰め込み配置で結晶化し得る結晶構造であるが、それらは全部同じ元素組成を有する。多形はしばしば起こる現象であり、いくつかの結晶化条件、例えば温度、過飽和の度合、不純物の存在、溶媒の極性、冷却速度などの影響を受ける。異なる多形体は一般に異なるX線回折パターン、固体状態NMRスペクトル、赤外もしくはラマンスペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学および電気特性、安定性および溶解性を示す。再結晶化用溶媒、結晶化速度、貯蔵温度および他の要因によって主要な1つの結晶形態が生じ得る。‘溶媒和物’は一般に溶媒を化学量論的もしくは非化学量論的量で含有する結晶形態である。ある種の化合物はしばしば結晶化工程中に結晶固体状態で溶媒分子を固定モル比で捕捉することで溶媒和物を形成する傾向がある。その溶媒和物が水の場合には‘水化物’が生じ得る。式(1)で表される化合物およびこれの製薬学的に許容される塩は水化物または溶媒和物の形態で存在する可能性があり、そのような水化物および溶媒和物もまた本発明に包含させる。それの例には、1/4水化物、二塩酸塩二水化物などが含まれる。‘非晶質’形態は、長距離秩序を示さない非結晶性材料であり、一般に、明確な粉末X線回折パターンをもたらさない。結晶形態は一般にByrn(1995)およびMartin(1995)に記述されている。
【0063】
説明をより正確に行う目的で、本明細書に示す量的表現のいくつかには用語“約”による修飾を受けさせていない。用語“約”を明確に用いるか否かに拘らず、本明細書に示す量は全て実際に得られた値を指すことを意味しかつまたそのような得られた値の近似値[当該技術分野の通常の技術を基にして妥当に推測される近似値(そのような得られた値に関する実験および/または測定条件が理由の近似値を包含)]も指すことを意味すると理解する。
【0064】
本明細書の記述および請求の範囲の全体に渡って、言葉“含有して成る(comprise)”およびこの言葉の変形、例えば“含有して成る(comprising)”、“含んで成る(comprises)”などは、他の添加剤、成分、整数または段階を排除しないことを意図するものである。
【0065】
式(1)で表される化合物を原料のままの化学品として投与することも可能であり得るが、それらを‘製薬学的組成物’として提供する方が好適である。さらなる面に従い、本発明は、式(1)で表される少なくとも1種の化合物、これの少なくとも1種の製薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物または前記のいずれかの混合物を1種以上の製薬学的に許容される担体および場合により他の1種以上の治療成分を含有して成る製薬学的組成物を提供する。そのような担体1種または2種以上は当該製剤に含める他の成分と適合しかつそれの受容者に有害でない意味で‘受け入れられる’べきである。本明細書で用いる如き用語“組成物”に指定材料を前以て決めておいた量または比率で含有して成る製品ばかりでなく指定材料を指定量で組み合わせることで直接または間接的にもたらされる如何なる生成物も包含させる。製薬学的組成物に関して、この用語に1種以上の有効成分および
任意の担体(不活性な材料を包含)を含有して成る製品ばかりでなくそのような材料のいずれか2種以上を一緒にするか、錯体を形成させるか或は凝集させるか、或はそのような材料の1種以上を分離させるか或はそのような材料の1種以上の他の種類の反応もしくは相互作用を起こさせることで直接もしくは間接的にもたらされる如何なる生成物も包含させる。製薬学的組成物の調製を一般的には有効成分を液状の担体または微細な固体状担体または両方と均一もしくは密に関連させた後に必要ならばその生成物を所望の製剤に成形することで実施する。そのような製薬学的組成物に含有させる活性目的化合物の量を病気の進行もしくは状態に好ましい影響を与えるに充分な量にする。従って、本発明の製薬学的組成物には、本発明の化合物と製薬学的に許容される担体を混合することで作られる組成物のいずれも含まれる。“製薬学的に許容される”は、当該担体、希釈剤または賦形剤が当該製剤の他の材料と適合すべきでありかつそれの受容者に有害であるべきでないことを意味する。
【0066】
本発明の化合物がCB受容体および5−HT再摂取部位に対して示す親和性を以下に記述するようにして測定した。式(1)で表される所定化合物に関して測定した結合親和性を用いて理論的に最も低い有効投与量を推定することができる。当該化合物の濃度が測定K−値の2倍に相当する時、その化合物はCB受容体のほぼ100%を占める可能性が高い。そのような濃度を患者1kg当たりの化合物のmgに変換することによって、生物学的利用能が理想的であると仮定して理論的に最も低い有効投与量が得られる。薬物動態、薬物力学および他の考慮によって、実際に投与する量をより高い値にか或はより低い値に変えてもよい。投与すべき本化合物の量は関連適応症、患者の年齢、体重および性に依存するが、医者はそれを決定することができるであろう。投薬量を好適には0.01mg/kgから10mg/kgの範囲にする。本有効成分の典型的な1日当たりの投与量は幅広い範囲内で多様であり、いろいろな要因、例えば関連適応症、投与経路、患者の年齢、体重および性などに依存するが、医者はそれを決定することができるであろう。ある患者に1回または個別の投薬で1日当たりに投与する総量は一般に例えば体重1kg当たり0.001から10mg/日の量であってもよく、より一般的には総有効成分量を1日当たり0.01から1,000mgにしてもよい。そのような投与量を治療を必要としている患者に1日当たり1から3回または効力に要求される頻度で少なくとも2カ月、より典型的には少なくとも6カ月間または長期に渡って投与する。
【0067】
本明細書で用いる如き用語“治療的に有効な量”は、本発明の組成物を投与することで治療可能な疾患を治療する治療薬の量を指す。その量は組織系、動物またはヒトに検出可能な治療もしくは改善反応が現れるに充分な量である。そのような効果には、例えば本明細書に示す疾患の治療などが含まれ得る。ある被験体にとって正確に有効な量は、その被験体の大きさおよび健康状態、治療すべき疾患の性質および度合、治療する医師(研究者、獣医、医者または他の臨床医)の推奨および投与の目的で選択する治療薬もしくは治療薬組み合わせに依存するであろう。このように、正確に有効な量を前以て特定するのは有効でない。用語“製薬学的に許容される塩”は、健全な医学的判断の範囲内でヒトおよび下等動物の組織と過度の毒性、刺激、アレルギー反応等々を引き起こすことなく接触させるに適しかつ妥当な利益/危険比に相応する塩を指す。製薬学的に許容される塩は当該技術分野で良く知られている。それらの調製は本発明の化合物を最終的に単離しかつ精製した時にインシトゥで実施可能であるか或は個別にそれらを製薬学的に許容される無毒の塩基もしくは酸(無機もしくは有機塩基および無機もしくは有機酸を包含)と反応させることで実施可能である(Berge、1977)。塩を塩基もしくは酸と接触させそして親化合物を通常の物質として単離することで‘遊離塩基’形態物を生じさせることができる。当該化合物の親形態といろいろな塩形態物は特定の物性、例えば極性溶媒中の溶解度などの点で異なるが、他の点では、そのような塩は本発明の目的で当該化合物の親形態に相当する。‘錯体’は、本発明の化合物、例えば式(1)で表される化合物が金属イオンと錯体を形成した錯体を指し、そのような錯体では、少なくとも1種の金属原子がキレート
または封鎖されている。錯体の調製を当該技術分野で良く知られた方法を用いて実施する(Dwyer、1964)。
【0068】
本明細書で用いる用語“治療”は、哺乳動物、例えばヒトなどの疾患または病気の治療のいずれかを指し、それには(1)病気または疾患の抑制、即ちそれの進行を阻止すること、(2)病気または疾患を軽減、即ち疾患の退行を引き起こすこと、または(3)病気の症状を停止させることが含まれる。用語‘抑制’には、一般的に受け入れられる意味が含まれ、それには、予防、防止、抑制、軽減、改善、および進行、ひどさまたは結果として生じる症状の遅延、停止または逆転が含まれる。このように、本方法は、適宜医学的治療および/または予防的投与の両方を包含する。本明細書で用いる如き用語”医学的治療”にヒトまたは他の哺乳動物に対して生体内または生体外で実施する予防、診断および治療的療法を包含させることを意図する。‘哺乳動物’には、経済的に重要な動物、例えばウシ、ヒツジおよびブタ動物、特に肉生産用の動物ばかりでなく家庭用動物、スポーツ用動物、動物園の動物およびヒトが含まれ、後者が好適である。本明細書で用いる如き用語“被験体”は、治療、観察または実験の対照である動物、好適には哺乳動物、最も好適にはヒトを指す。
【0069】
省略形
BOC t−ブトキシカルボニル
BOP ヘキサフルオロ燐酸ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス−ホ
スホニウム
CB カンナビノイド受容体サブタイプ−1
CB カンナビノイド受容体サブタイプ−2
CHO チャイニーズハムスター卵巣(細胞)
CIP ヘキサフルオロ燐酸2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMSO ジメチルスルホキサイド
EDCI 塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHBTU ヘキサフルオロ燐酸O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’
,N’−テトラメチルウロニウム
HOAt N−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
mg ミリグラム
min 分
PET 陽電子放出断層撮影
PyAOP ヘキサフルオロ燐酸7−アザベンゾトリアゾール−1−イル−オキシト
リス−(ピロリジノ)−ホスホニウム
PyBOP ヘキサフルオロ燐酸ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピ
ロリジノ)−ホスホニウム
滞留係数(薄層クロマトグラフィー)
SPECT 単光子放出コンピュータ断層撮影
(S)SRI (選択的)セロトニン再摂取阻害剤
TBTU テトラフルオロホウ酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N
,N’,N’−テトラメチルウロニウム
THF テトラヒドロフラン
【実施例1】
【0070】
分析方法
核磁気共鳴スペクトル(H NMRおよび13C NMR、APT)の測定を指定溶
媒中で特に明記しない限りBruker ARX 400(H:400MHz、13C:100MHz)を300Kで用いるか或はBruker(300MHz)を用いて実施した。スペクトルの測定をCambridge Isotope Laboratories Ltd.から入手した重水素化クロロホルムまたはDMSO−d中で実施した。化学シフト(δ)をテトラメチルシラン(H、13C)またはCClF(19F)からダウンフィールドのppmで示す。結合定数JをHzで示す。NMRスペクトルにおけるピークの形状を記号‘q’(四重線)、‘dq’(二重の四重線)、‘t’(三重線)、‘dt’(二重の三重線)、‘d’(二重線)、‘dd’(二重の二重線)、‘s’(一重線)、‘br s’(幅広い一重線)および‘m’(多重線)で示す。
【0071】
フラッシュクロマトグラフィー/カラムクロマトグラフィーは、指示溶離剤およびシリカゲル(Acros:0.030−0.075mmまたはMerckのシリカゲル60:0.040−0.063mm)を用いた精製を指すか或は具体的に示す場合にはアルミナ:‘Aluminumoxide Fluka for Chromatography’;pH=9.5;0.05−0.15mmを用いた精製を指す。
【0072】
薄層クロマトグラフィー(TLC):Merck Kieselgel 60 F254 プレート20x20cm。
【0073】
融点をBuechi B545融点装置を用いて記録した。
【0074】
水分に敏感な化合物または条件を伴うあらゆる反応を無水の窒素雰囲気下で実施した。
【0075】
反応の監視をシリカ被覆プラスチックシート(Merckのシリカゲル60 F254で前以て被覆)を用いた薄層クロマトグラフィーを指示溶離剤と一緒に用いて実施した。斑点を紫外光(254nm)またはIで可視化した。
【0076】
使用前にジクロロメタンの蒸留(五酸化燐および水素化カルシウム)、テトラヒドロフランの蒸留(ナトリウム/ベンゾフェノンケチル)および軽油の蒸留(60−80)を新しく実施した。他の市販化学品の全部をさらなる精製なしに用いた。
【実施例2】
【0077】
合成の一般的面
公知カンナビノイド−CB拮抗薬の基本的構造要素の合成は特許出願および/または科学文献に記述されている。例えば、基本的カンナビノイド構造要素(A1a)(WO01070700、Lange、2004)、(A1b)(WO03026648)、(A)(WO03027076、WO03040107、WO03063781、Lange、2005;Dyck(2004)、(A)(EP0576357、EP1150961、Lan、1999;Seltzman、1995;Dutta、1994およびKatoch−Rouse、2003)、(A)(WO03007887、Plummer、2005)、(A)(WO0307069)、(A)(WO03078413、Lange、2005)、(A)(WO2004026301、Lange、2005;Dyck、2004)および(A)(WO2004013120)は充分に文書化されている。
【0078】
一般的観点で、Rが水素原子を表す式(1)で表される化合物の合成はLが脱離基を表す一般式A−Lで表される化合物と一般式HRN−TBで表される化合物を反応させることで達成可能である。HRN−TBに存在するアミノ基の求核性はそのような反応でA−Lから脱離基を追い出すに充分なほど高くなければならないことは当業者に明らかであろう。Lがカルボン酸基の一部であるヒドロキシ基を表す場合、反応速度を速める目的で活
性化剤または連成剤を添加してもよい(Bodanszky、1994;Akaji、1994;Albericio、1997;Montalbetti、2005)。
【0079】
Aが構造(A1a)または(A1b)で表されるカンナビノイド構造要素を表しかつR、RおよびRが独立して1個以上の水素原子、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を表す一般式(1)で表される化合物の合成の概略をスキーム3に示す。
【0080】
【化10】

【0081】
一般式(A1a1)で表される化合物とPOClをDMAPの存在下の不活性な有機溶媒、例えばジクロロメタンなど中で反応させることで相当する一般式(A1a2)で表される誘導体を生じさせることができる。前記一般式(A1a2)で表される化合物を一般式HRN−TBで表される化合物と反応させることができる。この反応によって、Aが(A1a)に関して本明細書の上に示した如き意味を有しそしてR、N、TおよびBが上述した意味を有する一般式(1)で表される化合物が生じ得る。同様にして、一般式(A1b1)で表される化合物とPOClをDMAPの存在下の不活性な有機溶媒、例えばジクロロメタンなど中で反応させることで相当する一般式(A1b2)で表されるクロライド誘導体を生じさせることができる。この一般式(A1b2)で表される化合物を式HRN−TBで表される化合物と反応させることができる。この反応によって、Aが(A1b)に関して本明細書の上に示した如き意味を有しそしてR、N、TおよびBが上述した意味を有する一般式(1)で表される化合物が生じ得る。
【0082】
Aが構造(A)で表されるカンナビノイド構造要素を表す一般式(1)で表される化合物の合成の概略をスキーム4に示す。
【0083】
【化11】

【0084】
スキーム4中のRおよびRは独立して1個以上の水素原子、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を表し、Rは水素もしくはハロゲン原子またはメチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルファニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、C1−3−ジアルキル−アミノメチル、ピロリジン−1−イルメチル、ピペリジン−1−イルメチル、モルホリン−4−イルメチルを表し、そして他の記号は、この上に示した如き意味を有する。
【0085】
一般式(A2i1)で表されるエステルと一般式HRN−TBで表される化合物を反応させることで部分Aが基礎構造Aに由来する一般式(1)で表される化合物を生じさせ
ることができる。前記反応にトリメチルアルミニウム(AlMe)を用いた触媒作用を及ぼすことができる(Levin、1982)。
【0086】
別法として、一般式(A2i1)で表される化合物に加水分解を受けさせることで相当する一般式(A2i2)で表されるカルボン酸を生じさせることも可能である。一般式(A2i2)で表される化合物と一般式HRN−TBで表される化合物を反応させることで部分Aが基礎構造Aに由来する一般式(1)で表される化合物を生じさせることができる。この反応を好適には活性化および連成方法、例えば活性エステルを生じさせるか或はいわゆる連成用反応体、例えばDCC、HBTU、TBTU、HOAt、PyBOP、BOP、CIP、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、PyAOPなどを存在させることなどで進行させる。
【0087】
別法として、一般式(A2i2)で表される化合物に変換を塩素化剤、例えば塩化チオニルまたは塩化オクザリルなどの存在下で受けさせることで相当する一般式(A2i3)で表される酸クロライドを生じさせることも可能である。一般式(A2i3)で表される化合物と一般式HRN−TBで表される化合物を反応させることで部分Aが基礎構造Aに由来する一般式(1)で表される化合物を生じさせることができる。遊離してきた塩酸を捕捉させる目的でDIPEAの如き塩基を反応混合物に添加してもよいか或はこの目的でHRN−TBを過剰量で用いることも可能である。
【0088】
同様にして、この上に示した如き一般式(A)、(A)、(A)、(A)、(A)または(A)で表される基礎構造に変換を受けさせることで部分Aがそれぞれ基礎構造(A)、(A)、(A)、(A)、(A)または(A)に由来する一般式(1)で表される化合物を生じさせることができる。
【0089】
個々の合成手順の選択は当業者に公知の要因、例えば官能基と使用する反応体の適合性、保護基、触媒、活性化剤および連成剤の使用の可能性および調製すべき最終的化合物に存在させる最終的構造特徴などに依存する。
【0090】
当該技術分野で良く知られた標準的手順を用いて製薬学的に許容される塩を得ることができ、例えば本発明の化合物を適切な酸、例えば無機酸または有機酸などと混合することなどで得ることができる。
【実施例3】
【0091】
中間体の合成
中間体A:4−クロロ−1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−ブタン−1−オン
【0092】
【化12】

【0093】
AlCl(25g、0.19モル)をジクロロメタンに入れることで生じさせた混合物を0℃で磁気撹拌しながらこれに塩化4−クロロ−ブチリル(21ml、0.19モル)をゆっくり加えた。その結果として得た混合物を30分間撹拌した後、5−フルオロ−1H−インドール(25g、0.19モル)をゆっくり加えた。撹拌を更に30分間実施した後に生じたオレンジ色の混合物を濃塩酸(140ml)と氷(200ml)の上に注
ぎ込むとピンク色の沈澱物が生じた。その沈澱物を濾過で集めることでピンク色の4−クロロ−1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−ブタン−1−オン(29グラム、65%の収率)を得た。
H−NMR(400MHz、DMSO−d) δ2.09(五重線、J=7、2H)、3.02(t、J=7、2H)、3.70(t、J=7、2H)、7.07(dt、J〜9および2、1H)、7.49(dd、J〜9および4、1H)、7.85(dd、J〜9および2、1H)、8.41(d、J〜3、1H)、12.21(br s、1H)。
【0094】
中間体B:4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−オキソブチル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
【0095】
【化13】

【0096】
4−クロロ−1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−ブタン−1−オン(10.93g、45.6ミリモル)をアセトニトリル(100ml)に入れることで生じさせた溶液を磁気撹拌しながらこれにピペラジン(20.33gml、236ミリモル)および少量のヨウ化カリウム(0.1グラム)を加え後、その結果として得た混合物を80℃に48時間加熱した。生じた固体状材料を濾過で除去した後、その残留物を真空下で濃縮することで37グラムの粗収量を得た。その粗生成物を更にカラムクロマトグラフィー(勾配:酢酸エチル/メタノール/25%のアンモニア水溶液=90/5/5からメタノール)で精製することで17.1グラムの粗1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−ブタン−1−オンを得た。10.71グラム(0.389モル)の前記粗1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)−ブタン−1−オンをジクロロメタン(500ml)に溶解させた後、BocO(25.53g、0.117モル)を加えた。その結果として得た混合物を室温で4時間撹拌した。その混合物を逐次的に5%のNaHCO水溶液そして水で洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮した。その後、カラムクロマトグラフィー(勾配:ジクロロ−メタン/メタノール=99/1からジクロロ−メタン/メタノール=90/10(体積/体積))にかけることで高純度の4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−オキソブチル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(3.85グラム、37%の収率)を得た。 H−NMR(400MHz、DMSO−d) δ1.38(s、9H)、1.80(五重線、J=7、2H)、2.25−2.35(m、6H)、2.84(t、J=7、2H)、3.22−3.32(m、4H)、7.06(dt、J〜9および3、1H)、7.47(dd、J〜9および5、1H)、7.85(dd、J〜9および3、1H)、8.38(s、1H)、12.01(br s、1H)。
【0097】
中間体C:5−フルオロ−3−[4−(ピペラジン−1−イル)ブチル]−1H−インドール
【0098】
【化14】

【0099】
4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−オキソブチル]−ピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(3.85グラム、9.88ミリモル)をジクロロメタンに入れることで生じさせた溶液を磁気撹拌しながらこれに塩酸(ジオキサンに溶解:4.94ml、4Mの溶液、19.8ミリモルのHCl)を加えた後、その結果として得た混合物を室温で4時間反応させた。その反応混合物を真空下で徹底的に濃縮することで二塩酸1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン(3.20グラム)を得た。二塩酸1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)ブタン−1−オンが示したいくつかのの特徴的H−NMRシグナル:(400MHz、DMSO−d) δ2.07(五重線、J=7、2H)、3.03(t、J=7、2H)、7.08(dt、J〜9および3、1H)、7.50(dd、J〜9および4、1H)、7.85(dd、J〜9および3、1H)、8.43(d、J〜3、1H)、12.21(br s、1H)。
【0100】
その得た二塩酸1−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−4−(ピペラジン−1−イル)ブタン−1−オン(3.20グラム)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解させた後、0℃に冷却した。LiAlHをテトラヒドロフランに入れることで生じさせた溶液(60ml;1M、〜53ミリモルのLiAlH)をゆっくり加えた。その後、その混合物を80℃に20時間加熱した。余分なLiAlHの加水分解を注意深く起こさせた後、抽出処理を行うことで5−フルオロ−3−[4−(ピペラジン−1−イル)ブチル]−1H−インドール(2.39グラム、98%の収率)を得た。 H−NMR(400MHz、DMSO−d) δ1.40−1.50(m、2H)、1.61(五重線、J=7、2H)、2.12−2.35(m、7H)、2.60−2.70(m、6H)、6.85−6.92(m、1H)、7.17(d、J〜2、1H)、7.23(dd、J〜9および2、1H)、7.30(dd、J〜9および4、1H)、10.85(br s、1H)。
【0101】
中間体D:7−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプタン−1−オン
【0102】
【化15】

【0103】
マグネシウム(1.20g、0.0494モル)を無水THF(5ml)に加えた後、還流温度で逐次的に1,2−ジブロモエタン(1ml)、ヨウ素の小さい結晶そして2−(6−クロロヘキシルオキシ)テトラヒドロ−2−ピラン(10.0グラム、0.0453モル;9mlのTHFに溶解)を加えた後、その結果として得た混合物を還流温度に3
0分間加熱した。4−トリフルオロメチルベンゾニトリル(7.0グラム、0.0412モル:8mlのトルエンに溶解)をゆっくり加えた後の混合物を更に30分間加熱した。その混合物を室温にした後、酢酸(30ml)で反応を消滅させた。その有機層を分離した後、逐次的に水、5%のNaHCO水溶液、水(2回)そして食塩水で洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮した。その後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=10/90(体積/体積))にかけることで高純度の7−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプタン−1−オン(10.92グラム、74%)を油として得た。R=0.25(酢酸エチル/ヘプタン=1/6(体積/体積)。
H−NMR(400MHz、CDCl) δ1.39−1.88(m、14H)、3.00(t、J=7、2H)、3.36−3.43(m、1H)、3.47−3.52(m、1H)、3.71−3.77(m、1H)、3.83−3.90(m、1H)、4.56−4.58(m、1H)、7.73(d、J〜8、2H)、8.06(d、J〜8、2H).
【0104】
中間体E:トルエン−4−スルホン酸7−オキソ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルエステル
【0105】
【化16】

【0106】
7−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプタン−1−オン(7.70グラム、0.0215モル)をメタノール(50ml)に入れることで生じさせた溶液を磁気撹拌しながらこれにパラ−トルエンスルホン酸水化物(4.18グラム、0.022モル)を加えた。その結果として得た酸性混合物(pH〜2、pH紙)を室温で20時間反応させた。NaOH(1N)を溶液が中性(pH〜7、pH紙)になるまで加えた後、その結果として得た混合物を真空下で濃縮した。NaOH(1N、50ml)を加えた後の混合物にジクロロメタン(3x)を用いた抽出を受けさせた。その有機層を一緒にして逐次的に水そして食塩水で洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮することで粗7−ヒドロキシ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプタン−1−オン(5.85g、99%の収率)を白色固体として得た。その得た固体をピリジン(29.6ml)で処理した後、トシルクロライド(17.72グラム、0.093モル)をピリジン(89ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃で加えた。その混合物を室温にした後、1時間反応させた。その混合物を−10℃に冷却した後、水を過剰量で用いて反応を消滅させた。ジエチルエーテル(3x)を用いた抽出に続いてNaSOを用いた乾燥、濾過そして真空下の濃縮を行うことで粗生成物を得て、それをカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘプタン=2/1(体積/体積))で精製することで高純度のトルエン−4−スルホン酸7−オキソ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルエステル(7.91グラム、87%の収率)を得た。H−NMR(400MHz、CDCl) δ1.35−1.38(m、4H)、1.57−1.73(m、4H)、2.44(s、3H)、2.97(t、J=7、2H)、4.03(t、J=7、2H)、7.35(d、J〜8、2H)、7.73(d、J〜8、2H)、7.79(d、J〜8、2H)、8.04(d、J〜8、2H).
【0107】
中間体F:トルエン−4−スルホン酸7,7−ジメトキシ−7−[4−(トリフルオロメ
チル)フェニル]ヘプチルエステル
【0108】
【化17】

【0109】
トルエン−4−スルホン酸7−オキソ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルエステル(2.77グラム、6.464ミリモル)をメタノール(75ml)に入れることで生じさせた溶液を磁気撹拌しながらこれに逐次的に触媒量のパラ−トルエンスルホン酸(0.097グラム、0.508ミリモル)そして過剰量のオルト蟻酸トリメチル(16ml、142ミリモル)を加えた。その結果として得た混合物を還流温度に20時間加熱した。その反応混合物を室温にした後、逐次的に飽和NaHCO水溶液そしてジクロロメタンを加えた。その有機層を分離して飽和NaHCO水溶液で洗浄した。その後、その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮することで粗トルエン−4−スルホン酸7,7−ジメトキシ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルエステルを得て、それをカラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル/ヘプタン=1/10(体積/体積))で精製することで高純度のトルエン−4−スルホン酸7,7−ジメトキシ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルエステル(1.82グラム、59%の収率)を得た。H−NMR(400MHz、CDCl) δ0.84−0.93(m、2H)、1.06−1.26(m、4H)、1.51−1.57(m、2H)、1.80−1.86(m、2H)、2.44(s、3H)、3.13(s、6H)、3.94(t、J=7、2H)、7.32(d、J〜8、2H)、7.55(d、J〜8、2H)、7.60(d、J〜8、2H)、7.75(d、J〜8、2H).
【0110】
中間体G:7,7−ジメトキシ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルアミン
【0111】
【化18】

【0112】
トルエン−4−スルホン酸7,7−ジメトキシ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルエステル(1.82グラム、3.835ミリモル)をメタノール中7MのNH溶液(30ml)に磁気撹拌しながら溶解させた後、室温で72時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した後、その残留物を再びジクロロメタンに溶解させて飽和NaHCO水溶液で洗浄した。その後、その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮することで粗7,7−ジメトキシ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルアミン(1.43グラム)を得て、それのさらなる精製を行わなかった。H−NMR(400MHz、CDCl) δ0.88−0.95(m、2H)、1.12−1.16(m、4H)、1.33−1.38(m、2H)、1.83−1.88(m、2H)、2.59−2.65(m、2H)、3.10−3.26(m、8H、3.14
の所に−OMeの一重線を包含)、7.56(d、J〜8、2H)、7.60(d、J〜8、2H)。
【実施例4】
【0113】
具体的化合物の合成
以下に合成を記述する具体的化合物は本発明をより詳細に更に例示することを意図するものであり、従って、本発明の範囲を決して制限するものでないと考えている。本明細書および本明細書に開示する本発明の実施を考慮することで本発明の他の態様が当業者に明らかになるであろう。このように、本明細書および実施例は単なる例として見なされるべきであることを意図する。
【0114】
N−{1−[7−(2−アミノ−エトキシイミノ)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルアミノ]−1−[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−メチリデン}−4−クロロ−ベンゼンスルホンアミド(化合物1)
【0115】
【化19】

【0116】
パートA:3−(4−クロロフェニル)−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキサミドを記述(Lange、2004)されているようにして得た。3−(4−クロロ−フェニル)−N−[(4−クロロ−フェニル)スルホニル]−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド(0.708グラム、1.493モル)を無水ジクロロメタン(15ml)に溶解させた後、逐次的にDMAP(0.820グラム、6.716ミリモル)そしてPOCl(0.209g、2.238ミリモル)を加え、その結果として得た混合物を5時間還流させた。その混合物を0℃に冷却した。7,7−ジメトキシ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−ヘプチルアミン(1.43グラム、4.477ミリモル)そしてDIPEA(0.740ml、4.48ミリモル)を逐次的に加えた。その後、その混合物を還流温度に30時間加熱した。その混合物を室温にし、5%のNaHCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮した。その得た粗生成物をカラムクロマトグラフィー(アルミナ;勾配:ヘプタン/酢酸エチル=6/1から酢酸エチルそして酢酸エチル/メタノール=95/5(体積/体積))で精製することで高純度の4−クロロ−N−{[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−[7−(4−フルオロフェニル)−7,7−ジメトキシヘプチルアミノ]メチレン}ベンゼンスルホンアミド(0.200グラム、17%の収率)を得た。H−NMR(400MHz、CDCl) δ0.91−1.01(m、2H)、1.17−1.28(m、4H)、1.49−1.57(m、2H)、1.85−1.92(m、2H)、3.15(s、6H)、3.50−3.58(m、2H)、4.04−4.13(m、1H)、4.47−4.65(m、2H)、7.10(d、J〜8、2H)、7.22−7.32(m、5H) 7.35(d、
J〜8、2H)、7.48(d、J〜8、2H)、7.58(d、J〜8、2H)、7.61(d、J〜8、2H)、7.82(d、J〜8、2H)、NHプロトンは見えない。
【0117】
パートB:4−クロロ−N−{[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−[7−(4−フルオロ−フェニル)−7,7−ジメトキシヘプチルアミノ]メチレン}−ベンゼンスルホンアミド(0.200グラム、0.258ミリモル)をTHF/メタノールが1:1の混合物(30ml)に溶解させ、1 Nの塩酸を5ml加えた後、その結果として得た混合物を室温で20時間撹拌した。その混合物の反応を5%のNaHCO水溶液で消滅させた。THFとメタノールの大部分を真空下の蒸発で除去した。残存する水層に酢酸エチルを用いた抽出を2回受けさせた。その有機層を一緒にしてNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮した。その得た粗4−クロロ−N−{[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−[7−(4−フルオロフェニル)−7−オキソ−ヘプチルアミノ]メチレン}ベンゼンスルホンアミド(203mg)のさらなる精製は行わなかった。いくつかの特徴的芳香H−NMRシグナル:(400MHz、CDCl) δ7.12(d、J〜8、2H)、7.22−7.33(m、5H) 7.39(d、J〜8、2H)、7.50(d、J〜8、2H)、7.72(d、J〜8、2H)、7.84(d、J〜8、2H)、8.05(d、J〜8、2H)。
【0118】
パートC:4−クロロ−N−{[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−[7−(4−フルオロ−フェニル)−7−オキソ−ヘプチルアミノ]メチレン}ベンゼンスルホンアミド(0.203グラム、0.278ミリモル)を無水エタノール(10ml)に溶解させた後、逐次的に二塩酸O−(2−アミノエチル)ヒドロキシルアミン(61mg、1.5モル当量)そしてピリジン(0.04ml)を加えた。その結果として得た混合物を還流温度で20時間撹拌した。その混合物を室温にした。溶媒を真空下で除去した後、その残留物をジクロロメタンに溶解させ、逐次的にKHSO水溶性そして食塩水で洗浄した。その後、その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮することでN−{1−[7−(2−アミノ−エトキシイミノ)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルアミノ]−1−[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−メチリデン}−4−クロロ−ベンゼンスルホンアミド(化合物1)(0.231グラム)をE/Z立体異性体の混合物として得た。融点:53−58℃。 H−NMR(400MHz、CDCl) δ1.30−1.67(m、8H)、2.80(t、J=7、2H)、3.33−3.40(m、2H)、3.56−3.66(m、2H)、4.03(dd、J=11および5、1H)、4.43−4.55(m、3H)、4.60−4.70(m、2H)、7.10(d、J〜8、2H)、7.20−7.37(m、7H) 7.48(d、J〜8、2H)、7.58(d、J〜8、2H)、7.71(d、J〜8、2H)、7.82(d、J〜8、2H)、8.60(br s、2H)。
【0119】
2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸[7−(2−アミノ−エトキシイミノ)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチル]アミド(化合物2)
【0120】
【化20】

【0121】
パートA:2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルをWO03040107に従って得た。2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(5.80g、0.0149モル)をテトラヒドロフラン(40ml)に入れることで生じさせた溶液を磁気撹拌しながらこれにLiOH(0.715g)を水(40ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その結果として得た混合物を70℃に16時間加熱した。その結果として得た混合物を室温にした後、濃塩酸(3.5ml)で処理した。テトラヒドロフランを真空下で蒸発させた後、その結果として得た混合物を一晩撹拌した。生じた沈澱物を濾過で集めた後、石油エーテル(40−60)で洗浄することで2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸(4.52グラム、84%の収率)を得た。 H−NMR(400MHz、CDCl):δ 1.09(t、J=7、3H)、2.90(q、J=7、2H)、3.70(br s、1H)、7.12(dt、J=8および2、2H)、7.22−7.28(m、1H)、7.29−7.38(m、5H)。
【0122】
パートB:ジクロロメタン(30ml)に逐次的に2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸(1.48g、4.123ミリモル)、7−アミノ−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ヘプタン−1−オン(1.127g、4.123ミリモル)[中間体Gの合成(またTeubner、1993も参照)と同様にして、中間体E(トルエン−4−スルホン酸7−オキソ−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルエステル)およびメタノール中7MのNHを用いて室温で72時間かけて、7−アミノ−1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ヘプタン−1−オンを62%の収率で得た]、EDCI、HOAt(0.67グラム、4.95ミリモル)そしてDIPEA(1.44ml、8.246ミリモル)を溶解させた後、磁気撹拌を室温で70時間実施した。その反応混合物を逐次的に水、5%のNaHCO水溶液そして水で洗浄した後、NaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮することで粗2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸{7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]-7−オキソ−ヘプチル}アミドを得て、それをカラムクロマトグラフィー(アルミナ;ヘプタン/酢酸エチル=4/1(体積/体積))に続いて別のカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘプタン/酢酸エチル=4/1(体積/体積))で精製することで高純度の2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸{7−[4−(トリフルオロメチル)−フェニル]-7−オキソ−ヘプチル}アミド(1.28グラム、50%の収率)を得た。 H−NMR(300MHz、DMSO−d):δ 0.92(t、J=7、3H)、1.28−1.68(m、8H)、2.84(q、J=7、2H)、3.08(t、J=7、2H)、3.23(q、J=7、2H)、7.30−7.42(m、5H)、7.49(br d、J=8、2H)、7.56(d、J=8、2H)、7.89(d、J=8
、2H)、8.04(t、J=6、1H)、8.15(d、J=8、2H)。
【0123】
パートC:2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸{7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]-7−オキソ−ヘプチル}アミド(1.15グラム、1.86ミリモル)を無水エタノール(10ml)に溶解させた後、逐次的に二塩酸O−(2−アミノエチル)ヒドロキシルアミン(0.276mg、1.865モル)そしてピリジン(0.18ml)を加えた。その結果として得た混合物を還流温度で20時間撹拌した。その混合物を室温にした。溶媒を真空下で除去した後、その残留物をジクロロメタンに溶解させて、逐次的にKHSO水溶液そして食塩水で洗浄した。その後、その有機層をNaSOで乾燥させ、濾過した後、真空下で濃縮することで2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸[7−(2−アミノ−エトキシイミノ)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチル]−アミド(化合物2)(1.34グラム)をE/Z立体異性体の混合物として得た。融点:90−95℃.H−NMR(400MHz、CDCl) δ1.05(t、J=7、3H)、1.34−1.62(m、8H)、2.81(br t、J=7、2H)、2.93(q、J=7、2H)、3.32−3.42(m、4H)、4.44−4.50(m、2H)、7.11(d、J=8、2H)、7.21−7.34(m、5H)、7.37(d、J=8、1H)、7.49(br s、1H)、7.59(d、J=8、2H)、7.71(d、J=8、2H)、8.65(br s、2H)。
【0124】
[2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−イル]{4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ブチル]ピペラジン−1−イル}メタノン(化合物3)
【0125】
【化21】

【0126】
化合物2の調製のパートBで記述した手順と同様にして、2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸(0.880g、2.44ミリモル)と中間体C(5−フルオロ−3−[4−(ピペラジン−1−イル)ブチル]−1H−インドール)とEDCIとHOAtとKCO(1.55モル当量)を室温のジクロロメタン(30ml)中で70時間反応させることで[2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−イル]{4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ブチル]−ピペラジン−1−イル}メタノン(化合物3)(704mg、76%の収率)(1.28グラム、50%の収率)を得た。融点:91−92℃.H−NMR(400MHz、CDCl) δ1.03(t、J=7、3H)、1.57−1.76(m、4H)、2.42(t、J=7、2H)、2.48−2.58(m、4H)、2.72(t、J=7、2H)、2.77(q、J=7、2H)、3.81(br s、2H)、4.08(br s、2H)、6.91(dt、J〜8および2、1H)、7.01(d、J=2、1H)、7.10(d、J=8、2H)、7.15−7.35(m、8H)、8.08(br s、1H)。
【0127】
4−クロロ−N−{[1−[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−1−{4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ブチル]ピペラジン−1−イル}メチリデン]−ベンゼンスルホン−アミド(化合物4)
【0128】
【化22】

【0129】
化合物1の調製のパートAの手順と同様にして、3−(4−クロロフェニル)−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド(0.950グラム、2.00ミリモル)を無水ジクロロメタンに溶解させ、DMAPおよびPOClと反応させた後、中間体C(5−フルオロ−3−[4−(ピペラジン−1−イル)ブチル]−1H−インドール)およびDIPEAと反応させることで4−クロロ−N−{[1−[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−1−{4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ブチル]ピペラジン−1−イル}メチリデン]−ベンゼンスルホンアミド(化合物4)(660mg、45%の収率)を得た。融点:98−102℃. H−NMR(400MHz、CDCl) δ1.56−1.66(m、2H)、1.70−1.80(m、2H)、2.47(t、J=7、2H)、2.57−2.70(m、4H)、2.75(t、J=7、2H)、3.69−3.86(m、5H)、4.42(t、J=11、1H)、4.54(dd、J=11および5、1H)、6.93(dt、J〜8および2、1H)、7.03(d、J〜2、1H)、7.10(d、J=8、2H)、7.21−7.38(m、8H)、7.48(d、J=8、2H)、7.83(d、J=8、2H)、7.98(br s、1H)。
【実施例5】
【0130】
動物試験で用いた製剤
経口(p.o.)投与用:ガラス管に所望量(0.5−5mg)の固体状化合物1を加え、ガラスビードをいくつか加えた後、渦巻き撹拌を2分間行うことで固体を粉砕した。水にメチルセルロースが1%とPoloxamer 188(Lutrol F68)が2%(体積/体積)入っている溶液を1ml加えた後、渦巻き撹拌を10分間行うことで前記化合物を懸濁させた。NaOH水溶液(0.1N)を数滴用いてpHを7に調整した。その懸濁液に残存する粒子を超音波浴で更に懸濁させた。
【0131】
腹腔内(i.p.)投与用:ガラス管に所望量(0.5−15mg)の固体状化合物1を加え、ガラスビードをいくつか加えた後、渦巻き撹拌を2分間行うことで固体を粉砕した。水にメチルセルロースが1%とマンニトールが5%入っている溶液を1ml加えた後、渦巻き撹拌を10分間行うことで前記化合物を懸濁させた。最終的にpHを7に調整し
た。
【実施例6】
【0132】
薬理学的方法
ヒトカンナビノイドCB受容体に対するインビトロ親和性
本発明の化合物がカンナビノイドCB受容体に対して示す親和性の測定をヒトカンナビノイドCB受容体を安定に移入させたCHO細胞の膜調製物を放射性リガンドとしての[H]CP−55,940と一緒に用いることで実施することができる。新しく調製した細胞膜調製物と[H]−リガンドのインキュベーションを本発明の化合物の添加有り無しで実施した後、結合したリガンドと遊離リガンドの分離をガラス繊維フィルターを用いた濾過で実施する。そのフィルターに付着している放射能の測定を液体シンチレーション計数で実施する。
【0133】
セロトニン再摂取部位に対するインビトロ親和性
本化合物がセロトニン再摂取部位に対して示す親和性の測定を記述(Habert、1985)された受容体結合検定を用いて実施した。
【実施例7】
【0134】
薬理学的試験結果
この上に示したプロトコルに従って得たカンナビノイド−CB受容体親和性データおよびセロトニン再摂取阻害データを以下の表に示す。
【0135】
【表1】

【0136】
【化23】

【0137】
この上に示したデータは、本発明の化合物がCB受容体および5−HT再摂取部位の両方に高い親和性を示すことを表している。それらがCB受容体に対して示す親和性は
リモナバントが示したそれと同じほど高い一方、例えば化合物1は同時にフルオキセチンと同じほどの効力を示すセロトニン再摂取阻害剤である。このことは、例えばWO 03/027076に開示されている構造的に密に関連した効力のあるCB拮抗薬(この上に示した構造を参照)[これはセロトニン再摂取阻害剤としては全く不活性である]とは極めて対照的である。試験を受けさせた他のCB拮抗薬は5−HT再摂取部位に親和性を示さずかつ試験を受けさせた5−HT再摂取阻害剤はCB受容体に親和性を示さない。
【実施例8】
【0138】
製薬学的製剤
臨床使用の目的で、式(1)で表される化合物を製薬学的組成物に構築したが、これは本発明にとって重要でありかつ新規な態様である、と言うのは、それらは本化合物、より詳細には本明細書に開示する特定の化合物を含有するからである。使用可能な種類の製薬学的組成物には、これらに限定するものでないが、錠剤、かみ砕くことができる錠剤、カプセル(ミクロカプセルを包含)、溶液、非経口用溶液、軟膏(クリームおよびゲル)、座薬、懸濁液および本明細書に開示する他の種類が含まれるか、或はそれらは本明細書および当該技術分野における一般的知識を基に当業者に明らかである。また、本有効成分を例えばシクロデキストリン、これらのエーテルまたはエステルに入っている包接錯体の形態にすることも可能である。そのような組成物を経口、静脈内、皮下、気管、気管支、鼻内、肺、経皮、口腔、直腸、非経口または他の様式の投与で用いる。そのような製薬学的製剤は式(1)で表される少なくとも1種の化合物を少なくとも1種の製薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体と混ざり合っている状態で含有する。本有効成分の総量を適切には当該製剤の約0.1%(重量/重量)から約95%(重量/重量)、適切には0.5%から50%(重量/重量)、好適には1%から25%(重量/重量)の範囲内にする。いくつかの態様では、本有効成分の量を約95%(重量/重量)以上または約0.1%(重量/重量)未満にする。
【0139】
本発明の化合物を補助物質、例えば液状もしくは固体粉末状の材料、例えば製薬学的に普通の液状もしくは固体状の充填材および増量剤、溶媒、乳化剤、滑剤、風味剤、着色剤および/または緩衝剤物質などを用いて通常方法で投与に適した形態にしてもよい。頻繁に用いられる補助物質には、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトールおよび他の糖もしくは糖アルコール、タルク、乳蛋白質、ゼラチン、澱粉、アミロペクチン、セルロースおよびこれの誘導体、動物性および植物性油、例えば魚肝油、ヒマワリ、落花生またはゴム油など、ポリエチレングリコールおよび溶媒、例えば無菌水および一価もしくは多価アルコール、例えばグリセロールなどばかりでなく崩壊剤および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスなどが含まれる。次に、その混合物を加工して顆粒にするか或は圧縮して錠剤にしてもよい。錠剤の調製を以下に示す材料を用いて実施する。
【0140】
【表2】

【0141】
前記成分を混合した後、圧縮することで各重量が230mgの錠剤を生じさせた。
【0142】
本有効成分を個別に前以て他の非有効成分と混合しておいた後、混合することで製剤を生じさせてもよい。また、本有効成分を互いに混合した後、非有効成分と混合することで製剤を生じさせることも可能である。
【0143】
軟質ゼラチン製カプセルの調製は、カプセルに本発明の有効成分、植物油、脂肪または軟質ゼラチン製カプセル用の他の適切な媒体の混合物を含有させることで実施可能である。硬質ゼラチン製カプセルには本有効成分の顆粒を含有させてもよい。硬質ゼラチン製カプセルにまた本有効成分と一緒に固体粉末状材料、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモ澱粉、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどを含有させることも可能である。
【0144】
直腸投与用投薬単位の調製は、(i)本活性物質が中性の脂肪基材と混ざり合っている状態で入っている座薬の形態;(ii)本活性物質が植物油、パラフィン油または直腸用ゼラチン製カプセルに適した他の媒体と混ざり合っている状態で入っている直腸用ゼラチン製カプセルの形態;(iii)既製微細浣腸の形態;または(iv)投与直前に適切な溶媒を用いて戻す乾燥微細浣腸製剤の形態で実施可能である。
【0145】
液状製剤の調製はシロップ、エリキシル、濃滴もしくは懸濁液、例えば溶液または懸濁液などの形態で実施可能であり、それらに本有効成分を入れそして残りを例えば糖もしくは糖アルコールおよびエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物などで構成させる。必要ならば、そのような液状製剤に着色剤、風味剤、防腐剤、サッカリンおよびカルボシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含有させることも可能である。液状製剤の調製をまた使用前に適切な溶媒を用いて戻す乾燥粉末の形態で実施することも可能である。非経口投与用溶液の調製は本発明の製剤が製薬学的に許容される溶媒に入っている溶液として実施可能である。そのような溶液にまた安定化用材料、防腐剤および/または緩衝用材料を入れることも可能である。非経口投与用溶液の調製をまた使用前に適切な溶媒を用いて戻す乾燥製剤として実施することも可能である。
【0146】
本発明に従い、また、医学的治療で用いる目的で本発明の製薬学的組成物に含める材料の中の1種以上を充填しておいた容器を1個以上含有して成る製剤および‘部分で出来ているキット’も提供する。そのような容器1個または2個以上と一緒に、資料、例えば使用説明書または医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関が規定する形態の注意書き(この注意書きにヒトまたは獣医学的投与の目的で製造、使用または販売することが政府機関によって認可されたことを示す)を入れてもよい。本発明の製剤をCB受容体の拮抗作用および/またはセロトニン再摂取の阻害が要求または望まれる疾患を治療する薬剤の製造で用いることおよびCB受容体の拮抗作用および/またはセロトニン再摂取の阻害が要求または望まれる疾患に苦しんでいるか或はそれにかかり易い患者に式(1)で表される少なくとも1種の化合物をそのまままたはプロドラッグの場合には投与後に治療的に有効な総量で投与することを含んで成る医学的治療方法。
【0147】
例として、限定するものでないが、全身的使用または局所的塗布に好適な活性化合物を含有して成る数種の製薬学的組成物を示す。本発明の他の化合物またはこれらの組み合わせを前記化合物の代わりに(またそれに加えて)用いることも可能である。本有効成分の濃度は本明細書に考察したように幅広い範囲に渡って多様であり得る。含有させることができる材料の量および種類は当該技術分野で良く知られている。
【0148】
参考文献一覧
Akaji、K.他、Tetrahedron Lett.(1994)、35、331
5−3318
Albericio、F.他、Tetrahedron Lett.(1997)、38、4853−4856
Berge、S.M.:“Pharmaceutical salts”、J.Pharmaceutical Science、66、1−19(1977).
Bickel、M.H.、:“The pharmacology and Biochemistry of N−oxides”、Pharmacological Reviews21(4)、325-355、1969.
Bodanszky、M.およびA.Bodanszky:The Practice of Peptide Synthesis、Springer−Verlag、New
York、1994;ISBN:0−387−57505−7
Bundgaard、H.(編集者)、“Design of Prodrugs”、Elsevier、1985.
Bureau、R.他、J.Chem.Inf.Comput.Sci.2002、42、429−436
Byrn 他、Pharmaceutical Research、12(7)、945−954、1995.
De Petrocellis、L.他、Br.J.Pharmacol.2004、141、765−774.
Di Marzo、V.他、Nature Rev.Drug Discov.2004、3、771−784.
Dutta、A.K.他、Med.Chem.Res.1994、5、54−62
DwyerおよびMeilor,:“Chelating agents and Metal Chelates”、Academic Press、7章、1964.
Dyck、B.他、Bioorg.Med.Chem.Lett.2004、14、1151−1154
Ettmayer、P.他、“Lessons learned from marketed and investigational prodrugs”、J.Med.Chem.、47、2393−2404、2004.
Habert、E.他:“Characterisation of [H]−paroxetine binding to rat cortical mem−branes”、Eur.J.Pharmacol.118、107-114、1985.
Hertzog、D.L.Expert Opin.Ther.Patents 2004、14、1435−1452;
Jarvinen、T.他、“Design and Pharmaceutical applications of prodrugs”、733−796頁:S.C.Gad:“Drug Discovery Handbook”、John Wiley & Sons Inc.、New Jersey、U.S.A.、2005.
Katoch−Rouse、R.他、J.Med.Chem.2003、46、642−645
King、F.D.、(編集者)、215頁:“Medicinal Chemistry:Principles and Practice”、1994.
Lambert、D.M.およびFowler、C.J.J.Med.Chem.2005、48、5059−5087
Lan、R.他、J.Med.Chem.1999、42、769−776
Landsman、R.S.他、Eur.J.Pharmacol.1997、334、R1−R2
Lange、J.H.M.およびKruse、C.G.、C.Curr.Opin.Drug Discovery Dev.2004、7、498−506
Lange、J.H.M.他、J.Med.Chem.2004、47、627−64

Lange、J.H.M.およびKruse、C.G.Drug Discov.Today 2005、10、693−702;
Lange、J.H.M.他、J.Med.Chem.2005、48、1823−1838
Le Fur、G.およびUzan、A.、Biochem Pharmacol.1977、26、497−503;
Levin、J.I.、E.TurosおよびS.M.Weinreb、Synth.Commun.、12、989−993、1982.
Lichtman、A.H.他、Prostaglandins Leukotrienes and Essential Fatty Acids 2002、66、269−285
Malleron、J.−L.他、J.Med.Chem.1993、36、1194−1202
Martin、E.W.(編集者)、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”、Mack Publishing Company、19版、Easton、Pa、2巻、83章、1447−1462、1995.
Montalbetti、C.およびV.Falque、Tetrahedron、61、10827−10852、2005
Muccioli、G.G.他、Curr.Med.Chem.2005、12、1361−1394;
Pacher、P.およびKecskemeti、V.、Curr.Med.Chem.2004、11、925−943
Padgett、L.W.Life Sciences 2005、77、1767−1798;
Plummer、C.W.他、Bioorg.Med.Chem.Lett.2005、15、1441−1446
Reggio、P.H.、Curr.Pharm.Des.2003、9、1607−1633
Seltzman、H.H.他、J.Chem.Soc.Chem.Commun.1995、1549−1550
Smith、R.A.およびFathi、Z.IDrugs 2005、8、53−66;
Stella,J.、“Prodrugs as therapeutics”、Expert Opin.Ther.Patents14(3)、277−280、2004.
Teubner、A.およびGerlach、H.Liebigs Ann.Chem、1993、161−165
Thakur、G.A.他、Mini−Rev.Med.Chem.2005、5、631−640;
Vandevoorde、S.およびLambert、D.M.Curr.Pharm.Des.2005,11、2647−68.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド−CB拮抗作用とセロトニン再摂取阻害の組み合わせを示す化合物。
【請求項2】
CB受容体結合に加えてセロトニン再摂取結合の両方におけるpK値が>6.00である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(1):
【化1】

[式中、
Aは、独立して場合によりハロゲン、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいフェニル環を少なくとも2個含有する公知カンナビノイド−CB拮抗薬いずれかの基本的構造要素を表し、前記基本的構造要素は前記カンナビノイド−CB拮抗薬中の水素結合受容体と結合しておりかつ前記水素結合受容体部分はカルボニル基、スルホニル基、または複素芳香環構造の中に組み込まれている窒素もしくは酸素原子のいずれかであり、
Nは、非塩基性窒素原子を表し、
Tは、1個の炭素原子が場合により(C−C)−アルキルまたはCHCF基で置換されていてもよい窒素原子に置き換わっていてもよいか或は酸素原子または硫黄原子に置き換わっていてもよくかつ場合によりフルオロ、アミノ、シアノ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい原子数が0−8の飽和もしくは不飽和炭素鎖を表し、
Rは、水素原子または(C−C)−アルキル基を表すか、或はRがこれが結合している窒素原子と一緒になりかつTの一部と一緒になって(C−C)−ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基を形成しており、
Bは、公知セロトニン再摂取阻害剤いずれかの基本的構造要素を表す]
で表される請求項1記載の化合物、または互変異性体、立体異性体、N−オキサイド、同位体標識類似物、または前記いずれかの薬理学的に許容される塩、水化物または溶媒和物。
【請求項4】
Aが下記:11C−JHU−75528、A−796260、アジュレム酸、AM251、AM630、AVE−1625、CP−272871、CP−945598、EMD−68843、GRC−10389、LY−2077855、LY−320135、NIDA−41020、O−2093、SLV319、SLV326、SR−140098、SR−144385、SR−41716A(リモナバント)、スリナバント、V−24343、WIN−54461およびWIN−56098から選択されるカンナビノイド−CB拮抗薬の基本的構造要素を表しそしてBが下記:403U76、A−80426、AD−337、アジナゾラム、アゴメラチン、アラプロクレート、アミネプチン、アミトリプチリン、ARAK−0029、ARAK−0051、ベフェツピタント、ベフロキサトン、BGC−20−1259、ビシファジン、BMS−505130、ブロファロミン、ブプロピオン、ブトリプチリン、セリクラミン、シタロプラム、CL:−275838、クロミプラミン、クロボキサミン、CX−157、ダポキセチン、デスベンラファキシン、デクスフェンフルラミン、ジベンゼピン、ジクロフェンシン、ドスレピン、DOV−21947、DOV−102677、DOV−216303、デュロキセチン、DU125
530、DuP−631、EN−3215、EpiCept NP−1、エシタロプラム、フェモキセチン、フルオキセチン、(S)−フルオキセチン、フルボキサミン、ゲピロン、IDN−5491、イミプラミン、インダルピン、イプリンドール、L−792239、LI−301、リトキセチン、ロフェプラミン、LU−10134−C、LU−AA21004、ルバゾドン、LY−214281、LY−367265、LY−393558、マプロチリン、MCI−225、MCL−0042、McN−5652、メリトラセン、ミアンセリン、ミルナシプラン、ミルタゼピン、モクロベミド、モダフィニル、ネファゾドン、6−ニトロキパジン、ノルトリプチリン、NR−200s、NS−2381、NS−2389、NS−2463、NS−4194、NS−23459、オミロキセチン、OPC−14523、オピプラモール、Org−6582、パロキセチン、プラミペキソール、PRC−025、プロピゼピン、ケチアピン、キヌプラミン、ラメルテオン、R−フルオキセチン、リザトリプタン、ロバルゾタン、ロキシンドール、RS−1439、SB−649915、S−9977、SD−726、セレギリン、SEP−225289、SEP−227162、セルトラリン、シブトラミン、(S)−シブトラミン、(R)−ジデメチルシブトラミン、SLV310、SLV314、SPD−473、トラマドール、トラゾドン、ウデナフィル、UK−416244、UP−23761、VANH−36、ベンラファキシン、ビラゾドン、VML−670、VN−2222、ボリナンセリン、WF−23、Wf−516、WL−1011、WL−1017、YM−922およびジメルジンから選択される5−HT再摂取阻害剤の基本的構造要素を表す式(1)で表される請求項3記載の化合物およびこれの互変異性体、立体異性体、プロドラッグおよびN−オキサイドおよび式(1)で表される同位体標識化合物、並びに前記式(1)で表される化合物およびこれの互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、N−オキサイドまたは同位体標識類似物の薬理学的に許容される塩、水化物、溶媒和物、錯体および接合体。
【請求項5】
Aがフラグメント(A1a)、(A1b)、(A)、(A)(A)、(A)、(A)、(A)または(A):
【化2】

[ここで、
Xは、スルホニルまたはカルボニル基を表し、“+”記号は、当該フラグメントが式(1)中の部分N(ここで、Nは非塩基性窒素原子を表す)と結合している地点を表し、R、RおよびRは、独立して、1個以上の水素原子、トリフルオロメチル基またはハロゲン原子を表し、Rは、水素またはハロゲン原子またはメチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルファニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、C1−3−ジアルキル−アミノメチル、ピロリジン−1−イルメチル、ピペリジン−1−イルメチルまたはモルホリン−4−イルメチル基を表す]
の中の1つを表しそして式(1)のNRTB配列がフラグメント(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)、(NRTB)、(NTRB)または(NRTB10):
【化3】

[ここで、
Rは、水素原子または(C−C)−アルキル基を表す]
の中の1つである式(1)で表される請求項3記載の化合物。
【請求項6】
Aがフラグメント(A1a)または(A):
【化4】

[ここで、
Xは、スルホニルまたはカルボニル基を表し、+は、当該フラグメントが式(1)中の非塩基性窒素原子Nと結合している地点を表し、R、RおよびR3は、独立して、水素、トリフルオロメチルまたはハロゲンを表し、Rは、水素またはハロゲン原子またはメチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルファニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、C1−3−ジアルキル−アミノメチル、ピロリジン−1−イルメチル、ピペリジン−1−イルメチルまたはモルホリン−4−イルメチル基を表し、そして他の記号は請求項5記載の意味を有する]
の中の1つを表す式(1)で表される請求項3記載の化合物。
【請求項7】
Aがフラグメント(A)または(A):
【化5】

の中の1つを表しそして他の記号が請求項5記載の意味を有する式(1)で表される請求項3記載の化合物。
【請求項8】
下記:
−N−{1−[7−(2−アミノ−エトキシイミノ)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチルアミノ]−1−[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−メチリデン}−4−クロロ−ベンゼンスルホンアミド、
−2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸[7−(2−アミノ−エトキシイミノ)−7−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘプチル]アミド、
−[2−(2−クロロフェニル)−1−(4−クロロフェニル)−5−エチル−1H−イミダゾール−4−イル]{4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ブチル]ピペラジン−1−イル}メタノン、
−4−クロロ−N−{[1−[3−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−イル]−1−{4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ブチル]ピペラジン−1−イル}メチリデン]−ベンゼンスルホンアミド、
から選択される式(1)で表される請求項3記載の化合物。
【請求項9】
光学活性鏡像異性体である式(1)で表される請求項3−7のいずれか記載の化合物または互変異性体、立体異性体、N−オキサイド、同位体標識類似物または前記いずれかの薬理学的に許容される塩、水化物または溶媒和物。
【請求項10】
下記:
【化6】

から選択される式(1)で表される請求項3記載の化合物。
【請求項11】
請求項1−10の1項記載の化合物またはこれの薬理学的に許容される塩、水化物、溶媒和物、錯体または接合体を含有して成る薬剤。
【請求項12】
製薬学的に許容される担体および/または少なくとも1種の製薬学的に許容される補助物質に加えて請求項1−10の1項記載の少なくとも1種の化合物またはこれの薬理学的に許容される塩、水化物、溶媒和物、錯体または接合体を有効成分として薬理学的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項13】
更に少なくとも1種の追加的治療薬も含有して成る請求項12記載の製薬学的組成物。
【請求項14】
依存症、アルコール依存症、アルツハイマー病、神経性無食欲症、不安障害、食欲障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、神経性過食症、癌、心臓血管疾患、中枢神経系疾患、脳虚血、脳出血、化学療法誘発嘔吐、コカイン依存症、認知障害、認知症、脱髄関連障害、糖尿病、糖尿病性神経障害、下痢、薬物依存症、ジストニア、摂食障害、嘔吐、てんかん、女性性機能障害、機能性腸疾患、胃腸障害、胃潰瘍、全般性不安障害、緑内障、頭痛、ハンチントン病、衝動調節障害、炎症、過敏性腸症候群、男性性機能障害、大鬱病障害、記憶障害、更年期障害、片頭痛、筋痙直、多発性硬化症、筋肉痛、吐き気、神経痛、神経変性性疾患、神経炎症性疾患、神経障害性痛、肥満症、強拍性障害、変形性関節症、痛み、パニック障害、パーキンソン病、プラーク硬化症、早漏、月経前症候群、精神性的障害、精神病、関節リウマチ、敗血病性ショック、統合失調症、性的障害、睡眠障害、脊髄損傷、卒中、トゥレット・シンドローム、外傷性脳障害、振戦、尿失禁およびウイルス性脳炎を治療する製薬学的組成物を製造するための請求項1−10のいずれか記載化合物
の使用。
【請求項15】
精神病、不安、鬱病、注意欠陥、認知障害、肥満症、薬物依存症、パーキンソン病、アルツハイマー病、疼痛性障害、神経障害性疼痛性障害および性的障害を治療する製薬学的組成物を製造するための請求項14記載の使用。

【公表番号】特表2010−515704(P2010−515704A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545172(P2009−545172)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050181
【国際公開番号】WO2008/084057
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】