説明

カートンマガジン、カートンハンド及び文書積載挿入装置

【課題】カートンマガジンからのカートン取出時に、カートンの取出を確実に行うことのできるカートンハンドを得る。
【解決手段】カートンを積載収納するカートンマガジンのカートン取出口に搬送されるカートンの一面を吸着保持するための固定吸着パッドと、カートンの一面を吸着すると共に、固定吸着パッドよりその先端が突出して設けられ、かつ、固定吸着パッドの先端と同等の位置まで退縮可能な可動吸着パッドとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬品、化粧品などを封入するカートン(紙製の箱)を、折り畳んだ未開口の状態から、それを開口させて薬局、化粧品などの商品及び取扱説明書、能書などの文書を挿入し、蓋閉め、糊付けなどの処理を行うのに使用されるカートナーおよびカートンを積載収納するカートンマガジン、このカートンマガジンからカートンを取り出してカートンを開口するためのカートンハンド、収納した文書を取り出して開口されたカートンに文書を挿入するための文書積載挿入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腰の弱い、強度の低いカートンであっても、上フラップを開く際のカートナ胴部の反りを規正し、フラップ閉じ工程における製函ミスをなくすため、間欠送りによりカートンを製函するセットアップ式小箱詰機において、カートンへの商品挿入の安定性を確保するために、商品挿入側の上フラップを外側に開く際に、同時にその上フラップ側胴側部の反りを規制しながら上フラップを開くようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、レッジの調整が容易で、たとえカートンが古いもの、反っているものであっても、確実に開口できるカートナーを実現するため、複数枚の未開口カートンを保持するカートンマガジンと、そのカートンマガジンのレッジに存在する未開口カートンの一面を吸引して引き出すサクション手段と、その引き出されてくる未開口カートンを完全に開口させるために用いられる成形ガイド手段とを備え、レッジに存在する未開口カートンの端部からカートン内部へ向かって空気を吹き込むためのエアブロー手段と、サクション手段の駆動を制御する制御手段とを備えたものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
更に、形状の変化に対する反発力が強いクリアカートン(透明の樹脂等でできたカートン)を長方形や正方形などの所定の形状に保持するのを容易にし、かつクリアカートンが保持部内で揺動したり保持部から落ちたりするのを防止するために、未開口のクリアカートンを収納する収納部と、収納部のカートン取り出し口に対向させて配設されクリアカートンの正面を吸着させて引き出す取り出し装置と、取り出されたクリアカートンの側部に接触して開口させるガイド部と、開口されたクリアカートンを開口したままの状態で保持し回転移動する保持部を有する取り出し機構を備えた回転式クリアカートナーにおいて、取り出し機構に、ガイド部によって開口されるクリアカートンを所定の開口位置を超えて逆方向へ押圧する逆折装置を設けるとともに、保持部のクリアカートンと接触する位置に、カートンの揺動を抑える滑り止め部材を設けたものがあった(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、文書マガジンとして、マガジンの出口の幅方向中央部にセンターガイドを配置し、マガジン内に配列された先頭のシートに当接させて該シートの前面中央部を支持する支持手段と、マガジンの出口の幅方向両端部前方にバキュームパッドを対向配置し、先頭のシートに当接させて該シートの前面両端部を吸引し、センターガイドと協働して先頭のシートの両端部を捲る吸引手段と、マガジンの出口の幅方向両端部へフックを出没自在にそれぞれ配設し、シートの両端部が捲られた後そのスペースにフックを挿入して先頭のシートと後続のシートとを切り離す切り離し手段と、切り離された先頭のシートをマガジンから取出して次工程へ受け渡す移送手段とを備えたものがあった(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、包装品に能書と注意書きの二つの書類を一緒に組み合わせてケースに収納するものがあり、これは、第1の書類を収納した第1のストッカーと,この第1のストッカーから第1の書類を一枚ずつ取り出す第1の取り出し機構と,第2の書類を収納した第2のストッカーと,この第2のストッカーから第2の書類を一枚ずつ取り出す第2の取り出し機構と,第1の取り出し機構により取り出された第1の書類と第2の取り出し機構により取り出された第2の書類とを重ねた状態で挟みながら搬送する搬送機構を備えたものである(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−171612号公報
【特許文献2】特開平5−112328号公報
【特許文献3】登録実用新案第3093969号公報
【特許文献4】特開平11−180418号公報
【特許文献5】特開2002−104725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のカートナーは、いずれも特定の商品に特化した専用の装置であるため、汎用性がないという問題があった。従って、例えば、未開口のカートンを開口し、カートンの上フラップを開いたままの状態で、上フラップを上にして、これを順次商品挿入コンベアに配設し、複数個の商品や取扱説明書、能書などの文書をカートンの上方向から挿入する用途には適していないなどの問題があった。
【0009】
例えば、特許文献1に記載されているような装置では、開口したカートンに横から商品を挿入する構成であるため、柔らかいスティック状の医薬品などの商品を、10個とか20個といった個数を挿入し、更に取扱説明書や能書などの文書を挿入する用途には適していない。しかも、商品や文書の挿入が正しく行われたかどうかの確認を目視で行うことは容易にできないという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載されているような装置では、カートンを開口するために、レッジおよび成形ガイド手段にカートンが摺接するため、カートンの表面に傷がつきやすく、また、カートンをきちんと開口させるためにはレッジおよび成形ガイド手段の位置調整が難しく、更に、確実に開口させるためにエアブロー手段が必要になる問題があった。また、開口されたカートンを保持するためにバケットが必要となるなどの問題もあった。
【0011】
また、特許文献3に記載されているような装置では、カートンを開口する際に、カートンがガイド部に摺接するため、カートンの表面に傷がつきやすく、また開口されたカートンを保持するために保持部が必要となる課題があった。
【0012】
また、特許文献4に記載されているような装置では、能書の列が常時出口側に流れるように、その出口側を下方に向けて少し傾斜をつけて設置したため、重力によって能書が2枚取り出される問題があり、そのために出口に能書の流出を阻止するために能書と能書を切り離すための回動軸で駆動されるフックを有する切り離し手段等を備えている等、複雑な機構と多くの機械部品を必要としていた。
【0013】
また、特許文献5に記載されているような装置では、第1の書類を収納した第1のストッカー及び第2の書類を収納した第2のストッカーとも上方から書類を挿入し、下方から書類を取り出す構造のために、書類がストッカーから落下しないように押さえるための弾性部材を装着したり、ストッカー内に積み重ねられた書類が下方に移動できるよう書類の上には錘を載せる必要があり、また、ストッカーの下側面には書類が通過できる大きさを持った窓孔を形成する必要がある等、書類が引っかかったり、落下しないよう適切に取り出すための仕掛けを必要とし、その調整が煩雑になるといった問題を有していた。
【0014】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、汎用性に富んだカートナーを構成することのできるカートンマガジン及びカートンハンドを得ることである。
【0015】
この発明の第2の目的は、カートンを取り出す際に、積載されたカートンの各部位が、カートン取出口に確実に位置するよう構成された、カートナーの一構成部分であるカートンマガジンを得ることである。
【0016】
この発明の第3の目的は、カートンマガジンからのカートン取出時に、カートンの取出を確実に行うことのできるカートンハンドを得ることである。
【0017】
この発明の第4の目的は、取り出したカートンを開口する際に、カートンの表面に傷がつくのを防止することのできるカートンハンドを得ることである。
【0018】
この発明の第5の目的は、取り出したカートンを確実に開口でき、かつ、確実に保持することのできるカートンハンドを得ることである。
【0019】
この発明の第6の目的は、カートンマガジンに積載されているカートンのフラップ同士が重なり、係合している場合であっても、1枚目のカートンのみを確実に取り出すことのできるカートンハンドを得ることである。
【0020】
この発明の第7の目的は、占有床面積が小さく文書の収納が容易な文書マガジンを得ることである。
【0021】
この発明の第8の目的は、収納された文書の吸引把持を確実に行うことのできる文書挿入装置を得ることである。
【0022】
この発明の第9の目的は、収納された文書を1枚ずつ確実に取り出すことのできる文書挿入装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明に係るカートンハンドは、カートンを積載収納するカートンマガジンのカートン取出口に搬送される前記カートンの一面を吸着保持するための固定吸着パッドと、前記カートンの一面を吸着すると共に、前記固定吸着パッドよりその先端が突出して設けられ、かつ、前記固定吸着パッドの先端と同等の位置まで退縮可能な可動吸着パッドとを備えたものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明のカートンハンドは、カートンを積載収納するカートンマガジンのカートン取出口に搬送されるカートンの一面を吸着保持するための固定吸着パッドと、カートンの一面を吸着すると共に、固定吸着パッドよりその先端が突出して設けられ、かつ、固定吸着パッドの先端と同等の位置まで退縮可能な可動吸着パッドとを備えたので、カートンマガジンからカートンを確実に取り出して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施の形態1によるカートンマガジンを示す正面図である。
【図2】この発明のカートンマガジンとカートンハンドを用いたカートナーの構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるカートンマガジンの側面図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるカートンハンドの底面図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるカートンハンドの正面図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるカートンハンドのカートン吸着時の状態を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるカートンハンドのカートン開口時の状態を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるカートンハンドのカートン開口時の状態を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態4によるカートンハンドの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態5によるカートンハンドの構成図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係わるカートンの一例を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係わるカートンの問題点を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係わるカートンハンドのカートン吸着時の状態を示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態6による文書積載挿入装置の文書マガジンの側面図である。
【図15】この発明の実施の形態6による文書積載挿入装置における文書昇降ユニットを示す概略構成図である。
【図16】この発明の実施の形態7による文書積載挿入装置の文書挿入装置の構成図である。
【図17】この発明の実施の形態7による文書積載挿入装置において文書を文書ハンドで取り出す場合の動作を示す説明図である。
【図18】この発明の実施の形態7による文書積載挿入装置において文書を吸着する直前の状態を示す説明図である。
【図19】この発明の実施の形態8による文書積載挿入装置の文書挿入装置を示す構成図である。
【図20】この発明の実施の形態8による文書積載挿入装置の文書吸着時の拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるカートンマガジンを示す正面図であるが、この説明に先立ち、カートンマガジンとカートンハンドを備えたカートナーについて説明する。
図2は、カートナーの構成を示す平面図である。
図において、カートナーは、カートンマガジン100、カートン取出装置200、商品挿入コンベア300、商品供給コンベア400、商品挿入装置500、文書マガジン600、文書挿入装置700、蓋閉め装置800を備えている。カートンマガジン100は、カートン1を積載収納するものであり、カートン1は、折り畳んだ状態で縦置き状態で積載収納されるよう構成されている。このカートン1は、矢印101の方向に搬送されて順次取り出され、取り出される度に積載されたカートン1は矢印101の方向に搬送されていくようになっている。カートン取出装置200はカートンハンド201を備えており、カートンハンド201はカートンマガジン100から、積載されたカートン1を一枚ずつ取り出して、カートン1を開口するものである。
【0027】
商品挿入コンベア300は、カートン取出装置200により取り出されて開口されたカートン1を載置、搬送するためのコンベアであり、カートン1は、商品や文書を挿入するために矢印301の方向に搬送されるよう構成されている。商品供給コンベア400は、商品挿入コンベア300と併設され、開口されたカートン1へ挿入する商品を矢印401の方向に搬送するよう構成されている。
【0028】
商品挿入装置500は、商品供給コンベア400で搬送される商品を取り出して、商品挿入コンベア300で搬送される開口されたカートン1に商品を挿入するための装置である。文書マガジン600は、商品挿入コンベア300の近傍に設置され、取扱説明書や能書などの文書を積載する収納部である。文書挿入装置700は、文書マガジン600から文書を取り出し、商品挿入コンベア300で搬送される開口されたカートン1に文書を挿入する装置であり、これら文書マガジン600と文書挿入装置700とで文書積載挿入装置が構成されている。蓋閉め装置800は、開口されたカートン1に商品および文書を挿入した後、カートン1の上フラップを閉めて糊付けするための装置である。尚、商品や文書の挿入が正しく行われたかどうかの確認は、蓋閉め装置800がカートン1の上フラップを閉めて糊付けする工程の前に実施するとよい。
【0029】
尚、カートン取出装置200、商品挿入装置500、文書挿入装置700、蓋閉め装置800はそれぞれ専用の装置でもよいが、ロボットを使用すると、プログラムやロボットハンドの取替えをすることにより、各種カートンや商品、文書に対応することができる。
【0030】
次に、カートンマガジン100の詳細について図1の正面図および図3の側面図を用いて説明する。
図1及び図3において、カートンマガジン100は、カートン収納部10、カートン送りコンベア11a,11b,11c,11d、到着センサ13a,13b,13c,13d、モータ14a,14b、カートン取出口15、コンベア駆動制御手段18を備えている。カートン収納部10は、折り畳んだカートン1を縦置き状態で積載収納するよう構成され、折り畳んだカートン1の隣り合う二面を保持するための保持部10a,10bを備えている。これら保持部10a,10bは、図1に示すように、傾斜して配置され、それぞれの保持部10a,10bの面で、カートン1の隣り合う二辺を保持するよう構成されている。更に、これらの保持部10a,10bにはカートン1を搬送するためのカートン送りコンベア11a,11b,11c,11dが設けられている。ここで、カートン送りコンベア11a,11bは保持部10aに設けられ、モータ14aによってカートン1を矢印12方向に搬送するよう構成されている。また、カートン送りコンベア11c,11dは保持部10bに設けられ、モータ14bによってカートン1を矢印12方向に搬送するよう構成されている。
【0031】
到着センサ13a,13b,13c,13dは、カートン送りコンベア11a,11b,11c,11dにより矢印12方向に搬送されてきたカートン1がカートン取出口15の位置に存在するかを検知するためのセンサである。これらの到着センサ13a,13b,13c,13dは、それぞれ到着センサ13a,13bがカートン送りコンベア11a,11bの近傍に、また、到着センサ13c,13dがカートン送りコンベア11c,11dの近傍に配設されている。
また、カートンマガジン100は、図3に示すように、カートン1の搬送方向に対して下向きとなるよう所定の傾斜17が設けられている。
コンベア駆動制御手段18は、到着センサ13a,13b,13c,13dの検知状態に基づいてモータ14a,14bの制御を行う手段である。
【0032】
以上のような構成により、カートン1を縦置きに積層してカートン収納部10に収納すると、カートン送りコンベア11a,11b,11c,11dは、これらのカートン1を矢印12方向に搬送する。尚、カートン収納部10にカートン1を載せるのは人手で行っても良いし、カートン1の積載不足をセンサなどで検知して、ロボットや搬送機などで積載してもよい。次に、カートン1の各部位が到着センサ13a,13b,13c,13dに到着すると、コンベア駆動制御手段18は、モータ14a,14bを停止させ、これにより、カートン送りコンベア11a,11b,11c,11dの駆動が停止される。即ち、コンベア駆動制御手段18は次のように制御する。到着センサ13aがカートン1の対応する部位の到着を検知するとカートン送りコンベア11aの駆動を停止させる。到着センサ13bが、カートン1の対応する部位の到着を検知するとカートン送りコンベア11bの駆動を停止させる。到着センサ13cが、カートン1の対応する部位の到着を検知するとカートン送りコンベア11cの駆動を停止させる。到着センサ13dが、カートン1の対応する部位の到着を検知するとカートン送りコンベア11dの駆動を停止させる。従って、カートン送りコンベア11a,11b,11c,11dは、カートン1の各部位に対応する全ての到着センサ13a,13b,13c,13dがカートン1の各部位の到着を検知するまで、カートン1の未到着の部位を搬送し続ける。
【0033】
カートン取出口15まで搬送されたカートン1は、後述するカートン取出装置200によって矢印16方向に取り出される。
【0034】
尚、保持部10a,10bの傾斜角度を任意の角度に調整可能とし、カートン1の縦と横の長さの比率が変更された場合はこれに応じた角度(それぞれの保持部10a,10bの面で受ける荷重ができるだけ等しくなるような角度)に調整することにより、カートン1の自重による反りを抑制することができる。
【0035】
また、保持部10a,10bのそれぞれの面がなす角度は通常直角であるが、例えば89度や88度といった鋭角とすることにより、外側に位置するカートン送りコンベア11bとカートン送りコンベア11dでカートン1の対角線の部分を支持することになり、カートン1の自重による反りを防止することができると共に、カートン1の搬送を確実に行うことができる。
【0036】
更に、カートン1の形状によっては、カートン収納部10におけるカートン搬送方向へ上向きの傾斜角度を設けることによって、カートン送りコンベア11a,11b,11c,11dによる搬送を確実に行える場合もあるため、傾斜角度を上向き方向にも任意に調整可能とすることで各種カートンに対応することができる。
【0037】
以上のように、実施の形態1のカートンマガジンによれば、折り畳んだ状態のカートンを縦置き状態で積載収納するカートン収納部と、カートン収納部に供給されたカートンを縦置き状態で順次カートン取出口に搬送する複数のカートン送りコンベアと、搬送されるカートンの複数箇所が、カートン取出口にそれぞれ位置するかを検知する複数個の到着センサと、複数個の到着センサの検知状態に基づいて、複数のカートン送りコンベアのそれぞれの駆動制御を行うコンベア駆動制御手段とを備えたので、カートンをカートン取出口に対して確実に搬送することができ、カートン開口作業を円滑に行え、カートナーとしての動作の信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、実施の形態1のカートンマガジンによれば、カートン収納部を、カートンの隣り合う二辺をそれぞれ保持する二つの保持部で構成すると共に、これら二つの保持部を傾斜して配置し、かつ、傾斜角度を任意に調整可能としたので、カートンの自重による反りを防止することができると共に、傾斜角度をカートンの縦と横の比率に応じて調整することにより、この効果を更に向上させることができる。
【0039】
また、実施の形態1のカートンマガジンによれば、カートン送りコンベアは二つの保持部のそれぞれに設けられ、かつ、二つの保持部のなす角度を鋭角としたので、カートンの自重による反りを防止することができると共に、カートン送りコンベアによるカートンの搬送をより確実にすることができる。
【0040】
また、実施の形態1のカートンマガジンによれば、カートン搬送方向が下向きまたは上向きとなるようカートン収納部を傾斜させたので、カートンが自重によりカートン取出口方向に倒れかかるように作用させることができ、また、上向き搬送の方が確実に搬送が行えるようなカートンにも対応することができ、より確実にカートンをカートン取出口方向に搬送することができる。
【0041】
また、実施の形態1のカートンマガジンによれば、カートン収納部におけるカートン搬送方向への下向きまたは上向きの傾斜角度は任意に調整可能としたので、カートンが自重によりカートン取出口方向に倒れかかる作用力を調整することができ、また、上向き搬送の角度を調整することができ、カートン送りコンベアによるカートンの搬送をより確実にすることができる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2は、カートン取出装置200に関するものである。
図4及び図5は、それぞれカートン取出装置200を構成するカートンハンド201の底面図及び正面図である。
カートンハンド201は、カートンマガジン100と対向する位置に配置され(図2参照)、カートン取出口15からカートン1を取り出すためのものである。
カートンハンド201は、図4及び図5に示すように、カートン受板20、引込機能付吸着パッド(可動吸着パッド)21a,21b、固定吸着パッド22a,22b、プレート23、シリンダ24、蝶番25を備えている。尚、図5中に示すローラ29については実施の形態3で説明する。
【0043】
カートン受板20は、カートン1を保持するための基台であり、このカートン受板20に引込機能付吸着パッド21a,21b及び固定吸着パッド22a,22bが取り付けられている。引込機能付吸着パッド21a,21bは、図4に示すように、その先端が通常は固定吸着パッド22a,22bよりも突出状態となるよう構成されている。また、これらの引込機能付吸着パッド21a,21b及び固定吸着パッド22a,22bは、図5に示すように、引込機能付吸着パッド21a,21bが外側に、固定吸着パッド22a,22bが内側となるよう配置されている。プレート23は蝶番25を介してカートン受板20に取り付けられており、シリンダ24の作用により、蝶番25の軸26を中心にしてカートン吸着方向に回動するよう構成されている。
【0044】
次に、このように構成されたカートンハンド201の動作について説明する。
通常、カートン1は、自重や吸湿等により反ることが多いため、カートンハンド201とカートン1との距離は不均一になることが多い。このため、従来では各パッドがカートン1の表面を確実に吸引することが困難であった。そこで、本実施の形態では、カートンマガジン100のカートン取出口15よりカートン1を取り出す際、先ず、突出状態にある引込機能付吸着パッド21a,21bがカートン1の表面に接触し吸引する。ここで、引込機能付吸着パッド21a,21bは、ばねによりカートン受板20に保持されており、カートン1の表面と引込機能付吸着パッド21a,21bとの距離が不均一である場合は、ばねの伸縮で距離の不均一を調整する。カートン1の表面に引込機能付吸着パッド21a,21bを接触させた後、引込機能付吸着パッド21a,21bでカートン1を吸引する。これにより、引込機能付吸着パッド21a,21bは、退縮して図6に示すような状態となる。
【0045】
図6に示すように、引込機能付吸着パッド21a,21bが退縮するとカートン1は固定吸着パッド22a,22bに当接する。これにより、固定吸着パッド22a,22bが、カートン1を吸引し保持する。固定吸着パッド22a,22bは、カートン受板20に固定されており、カートン1の重さを支える機能を有する。
以上の動作により、カートンハンド201は、カートンマガジン100からカートン1を取り出す。
【0046】
次に、カートン1の開口動作について説明する。
先ず、図6に示すように未開口のカートン1の表面と平行状態にあったプレート23が、図7に示すようにシリンダ24が矢印27方向に作用すると、プレート23は蝶番25の軸26を中心にしてカートン1方向に回動する。プレート23は、固定吸着パッド22a,22bで保持したカートン1の端部1aを矢印28方向に押していき、最終的にはカートン受板20と直角になる位置まで回動する。これにより、カートン1は図7に示すように開口される。
【0047】
以上のように、実施の形態2のカートンハンドによれば、カートンを積載収納するカートンマガジンのカートン取出口に搬送されるカートンの一面を吸着保持するための固定吸着パッドと、カートンの一面を吸着すると共に、固定吸着パッドよりその先端が突出して設けられ、かつ、固定吸着パッドの先端と同等の位置まで退縮可能な可動吸着パッドとを備えたので、カートンマガジンからカートンを確実に取り出して保持することができる。
【0048】
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態2におけるカートンハンドにおいて、回動するプレート23の先端部にローラを設けるようにしたものである。
図8は、実施の形態3のカートンハンドを示す構成図である。
図8及び図5に示すように、ローラ29は、プレート23の先端部に取り付けられ、プレート23の回動時にカートン1の端部1aと接触する回転自在な部材である。これ以外は、図4〜図7に示した実施の形態2と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0049】
実施の形態2で説明したように、プレート23はカートン1の端部1aを矢印28方向に押すことでカートン1を開口させるが、このとき、プレート23と端部1aとは摺接状態となる。これによりカートン1開口時にプレート23によるこすり傷がつく恐れがある。そこで、実施の形態3では、プレート23にローラ29を取り付けることにより、プレート23の回動時、プレート23が直接カートン1の端部1aを押すのではなく、ローラ29が矢印30方向に回転しながら押していくことになる。これにより、プレート23の回動時にカートン1の端部1aに傷がつくのを防止することができる。
【0050】
以上のように、実施の形態3のカートンハンドによれば、固定吸着パッドによるカートン吸着面に対して、カートンの一方の端部を押圧するよう回動して、カートンを開口する開口手段を備え、かつ、開口手段のカートンを押圧する位置に、押圧動作に伴って回転するローラを設けたので、カートン開口時にカートンへの傷が付くことを防止することができる。
【0051】
実施の形態4.
実施の形態4は、カートンハンド201のカートン受板20において、プレート23とは逆側となる端部にカートン開口時の落下等を防止するためのカートン係止手段を設けたものである。
【0052】
図9は、実施の形態4のカートンハンドの構成図である。
図示のように、カートン止め具31はカートン係止手段であり、カートン受板20のプレート23とは反対側の端部に設けられ、カートン1の吸着方向に対してやや先端が拡がるよう湾曲した形状となっている。そして、このカートン止め具31は、カートン1の吸着時に、カートン1の他方の端部1bを係止するよう構成されている。それ以外の構成は実施の形態3と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0053】
このように構成されたカートンハンド201では、カートン1を引込機能付吸着パッド21a,21bが吸引して引き込み、固定吸着パッド22a,22bで保持する際、カートン1の端部1bがカートン止め具31の湾曲部に当接しながら保持される。これにより、カートン1の保持は常に一定の位置で行うことができる。
【0054】
また、カートン1は、開口時にプレート23に押されて矢印32方向の力を受けるが、カートン止め具31が矢印32方向の力を受け止めるために、引込機能付吸着パッド21a,21b及び固定吸着パッド22a,22bが、カートン1を吸引する方向に対して直角の力、即ち、矢印32の方向の力を受けることがない。従って、カートン1の開口時に、引込機能付吸着パッド21a,21b及び固定吸着パッド22a,22bが矢印32方向の力を受けてカートン1の吸着が外れ、カートン1を落下させるといった不具合の発生を防止することができる。
【0055】
以上のように、実施の形態4のカートンハンドによれば、カートン吸着時におけるカートンの他方の端部側に設けられ、カートンの他方の端部を係止するカートン係止手段を設けたので、カートン吸着時の位置決めを確実に行うことができると共に、カートン開口時の不具合の発生も防止することができる。
【0056】
実施の形態5.
実施の形態5は、カートンハンドに対して、カートンの吸着時にカートンのフラップをカートン吸着方向とは反対方向に押圧するためのサイドフラップ押し具を設けたものである。
図10は、実施の形態5のカートンハンドの構成図である。
図中、サイドフラップ押し具33は、カートン受板20に取り付けられ、カートン1吸着時にカートン1のサイドフラップに当接するよう設置されている。その他の構成は、実施の形態3と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0057】
図11は、実施の形態5に係わるカートン1の一例を示す説明図である。
カートン1は、実施の形態1で説明したように、カートンマガジン100に複数枚積載収納される。図11では説明の便宜上、カートン1を2枚積載した状態を示しているが、実際には、少なくとも2枚以上のカートン1を積載して使用するのはいうまでもない。
【0058】
図11に示すように、1枚目のカートン1−1及び2枚目のカートン1−2は、それぞれ、上フラップ1a1,1a2、左サイドフラップ1b1,1b2、右サイドフラップ1c1,1c2を備えている。
カートン1を複数枚積載した場合、カートン1が吸湿したり、古くなったり、あるいはカートン1が大箱といった場合は自重によって図12に示すように反ることがある。このような状態となった場合、1枚目のカートン1−1の上フラップ1a1と、2枚目のカートン1−2の右サイドフラップ1c2が、1dの位置で重なり合って係合する。この状態でカートンハンド201の引込機能付吸着パッド21a,21bが1枚目のカートン1−1を吸引保持してカートン取出口15より取り出す際、図12に示すように、1枚目のカートン1−1と2枚目のカートン1−2が1dの箇所で引っかかってしまい、1枚目のカートン1−1と2枚目のカートン1−2が一緒に取り出されてしまう。
【0059】
しかしながら、2枚目のカートン1−2は、引込機能付吸着パッド21a,21bまたは固定吸着パッド22a,22bで吸引されていないため、取り出しの途中で係合が外れ、2枚目のカートン1−2が落下してしまう。
そこで、実施の形態5では、カートン1の吸着時にサイドフラップ押し具33がサイドフラップに当接することで複数枚のカートン1の係合状態のままになるのを防止している。即ち、実施の形態5では、図13に示すように、引込機能付吸着パッド21a,21b及び固定吸着パッド22a,22bが1枚目のカートン1−1を吸引すると、サイドフラップ押し具33の先端は1枚目のカートン1−1の右サイドフラップ1c1の1eの箇所(図11にもその位置を示す)に当接し、この箇所1eを吸引方向とは逆方向に押圧することになるため、1枚目のカートン1−1の右サイドフラップ1c1および2枚目のカートン1−2の右サイドフラップ1c2が矢印34の方向に移動し、1枚目のカートン1−1の上フラップ1a1と、2枚目のカートン1−2の右サイドフラップ1c2の1dの箇所での係合が解消され、1枚目のカートン1−1のみを円滑に取り出すことができる。
【0060】
尚、実施の形態5は、実施の形態3に適用した場合を説明したが、カートン止め具31を有する実施の形態4に適用してもよい。
【0061】
以上のように、実施の形態5のカートンハンドによれば、カートン吸着時にサイドフラップに当接し、カートン吸着動作により、吸着方向とは反対方向に押圧するサイドフラップ押し具を設けたので、複数枚のカートンを一緒に吸引してしまう不具合を解消することができ、カートンの取出を円滑に行うことができる。
【0062】
また、以上説明したカートンマガジン100とカートンハンド201とを用いてカートナーを構成することで、カートンを開口し、カートンの上フラップを開いたままの状態で上方向から複数個の商品や取扱説明書、能書などの文書を挿入することができるので、商品の種類や大きさ、数量に応じて、これに適したカートンハンドと取替えすることで、各種のカートンの大きさや形状に対応することができ、また、商品や文書の挿入が正しく行われたかどうかの確認が目視で容易に可能な汎用性に富んだカートナーを得ることができる。
【0063】
実施の形態6.
実施の形態6は、文書マガジン600と文書挿入装置700とからなる文書積載挿入装置において、文書マガジン600に関するものである。
図14は、実施の形態6の文書積載挿入装置における文書マガジン600の側面図である。また、図15は、文書マガジン600における文書昇降ユニット60の概略構成図である。
これらの図に示すように、文書マガジン600は、躯体40に対して回動自在に設けられた文書収納部50と躯体40上に固定された文書昇降ユニット60からなる。文書収納部50は、文書2を収納するもので、その下端部が躯体40に固定されたマガジン傾斜軸41と係合し、このマガジン傾斜軸41を支点として矢印70a,70bに示すように、手前側に回動するよう構成されている。また、文書収納部50には停止金具51が取り付けられ、回動時にこの停止金具51の先端部が躯体40に固定されたストッパ42に当接することで、文書収納部50の手前方向への回動が止まるようになっている。更に、文書収納部50の手前側上部には取っ手52が取り付けられ、この取っ手52を手前に引くことで、文書収納部50を手前側に倒すことができるよう構成されている。即ち、文書収納部50は、運転時は71aに一点鎖線で示すように直立状態で固定され、作業者による文書2の挿入時は、71bに実線で示すように手前側に引き出された状態とされる。また、文書収納部50の内部には文書受け53が設けられ、この文書受け53によって、挿入された文書2を受けるよう構成されている。
【0064】
このように構成された文書収納部50に作業者が文書2を挿入する場合は、取っ手52を手前側に引いて71bの位置まで倒す。そして、文書2を文書収納部50の上部に設けられた開口部54から挿入し収納する。文書収納部50がほぼ一杯になる程度に文書2の挿入を行うと、作業者は文書収納部50を矢印70bの方向に押し、71aで示す位置に戻す。文書収納部50を71aの位置に戻すと、図示しない固定器具により文書収納部50は固定される。
【0065】
文書昇降ユニット60は、文書収納部50に収納された文書2を順次矢印73で示すように上方向に搬送するための文書搬送手段を構成するものである。即ち、文書収納部50を71aの位置に戻すと、文書押し上げ板61が文書受け53の下側に係合する。文書押し上げ板61にはワイヤ62の一端が取り付けられ、このワイヤ62の他端側が、文書昇降ユニット60上部に設けられた滑車63を介して昇降用モータ64で巻き取られることによって、文書押し上げ板61が上昇し、文書2を上方向に搬送する。文書2が後述する文書挿入装置700の文書ハンドで順次1枚ずつ取り出されて減る毎に、次に取り出される文書2が所定位置にくるように、昇降用モータ64によって文書押し上げ板61が駆動される。
【0066】
文書挿入装置700の文書ハンドで取り出される位置には文書検出センサ74aが設けられ、文書2の最上部がこの文書検出センサ74aの位置より下回ると、昇降用モータ64が回転して文書2を矢印73方向に搬送する。文書2の最上部が文書検出センサ74aの位置に到達すると、昇降用モータ64の回転を停止させ、搬送を停止する。文書2が順次取り出されて、文書2の最上部が文書検出センサ74aの位置より下回ると、昇降用モータ64を駆動させ、文書2を矢印73方向に搬送する動作を繰り返す。
【0067】
文書2を矢印73方向に搬送する動作を繰り返して行うと、いずれ文書2が無くなる。その場合、文書検出センサ74aがオンしないため、昇降用モータ64が回転を続け、文書押し上げ板61を上昇させる。その後、上端位置センサ74bがオンするため、文書2が無いと判断して昇降用モータ64の回転を停止させ、その後、逆転を行う。
また、下端位置センサ74cは、文書押し上げ板61の逆転時の最下端の位置を決めるためのもので、文書押し上げ板61が下降し、下端位置センサ74cの位置に到達した場合は、昇降用モータ64を停止させると共に、警報を出力して作業者に文書2の補給を促す。即ち、この状態では文書押し上げ板61で支持されている文書受け53も最下端の位置となっている。
【0068】
以上のように、実施の形態6では、文書2を文書収納部50に挿入するときは、文書収納部50の取っ手52を手前方向に引っ張ることで、文書収納部50を手前側に傾斜させて開口部54から文書2を挿入させることができるため、文書2の挿入を容易に行うことができる。また、運転中は文書収納部50を押し込むことで文書収納部50を直立させるため、作業の邪魔にならず、しかも占有床面積が極めて小さく文書マガジン600とすることができる。
【0069】
以上説明したように、実施の形態6の文書積載挿入装置によれば、下端部を支点として手前側に回動可能で、かつ、回動時に上部開口より文書を挿入して収納すると共に、直立状態で上部開口より収納した文書を取り出すよう構成された文書収納部と、文書収納部に収納された文書を上部開口方向に搬送する文書搬送手段とを備えたので、占有床面積が小さく文書の収納が容易な文書マガジンを得ることができる。
【0070】
実施の形態7.
実施の形態7は、文書挿入装置700における文書ハンドに関するものである。
図16は、実施の形態7による文書挿入装置700の文書ハンドの構成図である。
図16において、ロボットハンド710は図示しないロボットのロボットハンドであり、文書ハンド720を装着して、実施の形態6で説明した文書マガジン600の文書収納部50から文書2を取り出し、開口されたカートン1に文書2を挿入する動作の駆動を司るものである。
【0071】
文書ハンド720は、基台80、ばね昇降スライドシャフト81a,81b、パッド固定板82、文書当て板83、吸着パッド84a,84b、吸着空気管85a,85b、固定部86を備えている。基台80は、文書ハンド720におけるばね昇降スライドシャフト81a,81b〜吸着空気管85a,85bといった構造物を支えるためのものである。ばね昇降スライドシャフト81a,81bは、内部にばねが装着され上下方向に伸縮する(基台80とパッド固定板82との間隔を可変とする)部材である。パッド固定板82は、ばね昇降スライドシャフト81a,81bの下端部に固定され、吸着パッド84a,84bを固定している。文書当て板83は、吸着パッド84a,84bと連結され、文書収納部50からの文書2の取り出し時に、文書2の上面に当接するよう設けられている。また、この文書当て板83は、吸着パッド84a,84bによる文書2の吸着時には、吸着パッド84a,84bの動作に伴って矢印75a方向に移動し、吸着が解除されると矢印75b方向に移動する。即ち、吸着パッド84a,84bによる吸着動作に従ってパッド固定板82と文書当て板83との間隔が伸縮する。
【0072】
吸着パッド84a,84bは、それぞれ吸着空気管85a,85bが接続され、図示しない空気ポンプ等で吸着空気管85a,85bを介して空気吸引されることにより文書2を吸着、保持し、また、吸着空気管85a,85bを介して空気供給されることで文書2の吸着状態を解除する。また、固定部86は、吸着空気管85a,85bを基台80に対して固定するためのものである。尚、吸着パッド84a,84bや吸着空気管85a,85bは二つの場合を示しているがその個数に限定はなく、三つ以上あるいは一つであってもよい。
【0073】
図17は、文書収納部50に収納された文書2を文書ハンド720で取り出す場合の動作を示す説明図である。この図は、文書ハンド720及び文書収納部50を正面から見た図である。
通常、文書2の最上端は文書検出センサ74aの位置にあり、作業者は極力水平になるように挿入するが、文書2が折り畳まれている場合は、どうしても図17に示すように一端側がふくらんで傾斜状態で収納されてしまい、なかなか水平にはならない。そこで、実施の形態7では、水平状態を保ったまま文書ハンド720を下降させ、文書2に対してやや押圧状態で吸着動作を行う。
【0074】
即ち、文書ハンド720は文書2を文書収納部50から取り出すために、先ず、矢印75b方向に下降していく。これにより、文書当て板83は文書2のふくらんでいる一端側2aと接触する(図17に示す状態)。更に、文書当て板83は水平状態を保ったまま矢印75b方向に下降する。図18は、文書ハンド720が矢印75bの方向に所定の距離だけ下降して、文書2を吸着する直前の状態を示す説明図である。図示のように、文書ハンド720が矢印75b方向に下降することにより、折り畳まれた文書2は押圧状態となる。尚、文書ハンド720が矢印75bの方向に下降する距離は、文書2の厚さや折り畳まれた回数等に応じて任意の値に設定または調整が可能である。
【0075】
次に、図18に示す状態で吸着パッド84a,84bによる吸着動作を行い、文書2を吸着した状態で文書ハンド720を矢印75a方向に上昇させる。これにより積み重ねられた文書2は、最上端の1枚目の文書2−1と、2枚目の文書2−2が引き離されて、1枚目の文書2−1のみが吸着パッド84a,84bで吸着されて文書収納部50より取り出される。
【0076】
尚、図18に示すように、文書収納部50に多くの枚数の文書2が収納されている場合に、文書ハンド720が矢印75b方向に下降する際に、文書2を必要以上の力で押圧しないよう、ばね昇降スライドシャフト81a,81bが文書2の反発力に応じて伸縮する。但し、折り畳まれた文書2の反発力よりもばね昇降スライドシャフト81a,81bのばねの強さの方が大きく、また、ばね昇降スライドシャフト81a,81bの水平方向への動きは規制された状態にあるため、文書当て板83はほぼ水平状態で文書2への押圧を行う。
【0077】
尚、図17に示すような状態で、文書当て板83が、文書2の傾斜状態に合わせてその傾斜面に平行となるよう(吸着パッド84a,84bが傾斜面に対して垂直になるよう)、ばね昇降スライドシャフト81a,81bの伸縮長を変える方法もある。しかしながら、実験によるとこの方法では所望する効果が得られず、図18に示すように、収納された文書2の傾斜にとらわれることなく、文書当て板83の水平状態を保ったまま下降させ、文書2を押圧するよう構成することにより良好な結果が得られた。
【0078】
以上説明したように、実施の形態7の文書積載挿入装置によれば、文書を吸着する吸着パッドの文書吸着面を水平状態に保持したまま、文書を下方向に押圧し、吸着パッドで吸着した文書を文書収納部より取り出す文書ハンドを備えたので、文書マガジンに収納された文書の折り曲げの反りなどにより文書ハンドと文書表面との距離が不均一であっても、文書の吸引把持を確実に行うことができる。
【0079】
実施の形態8.
実施の形態8は、文書2の吸着時に文書2を湾曲させて吸着するための当接部材を文書ハンド720に設けたものである。この実施の形態8は、文書収納部50に収納された文書2が実施の形態7で説明したように折り畳んだものではなく、1枚ずつの文書を多量に積載した場合に特に大きな効果を有するものである。即ち、このような場合、最上端の1枚目の文書を取り出そうとすると、積み重ねられた文書同士が密着しているために、複数枚の文書を同時に吸着して取り出すことがあり、これを防止しようとするものである。
【0080】
図19は、実施の形態8の文書積載挿入装置における文書挿入装置700を示す構成図である。
図において、ピンシリンダ87は吸着パッド84a,84bと共にパッド・ピン固定板82aに固定され、吸着パッド84a,84bにおける吸着方向と同方向に伸縮可能な当接部材である。ピンシリンダ87にはピンシリンダ空気管88が連結されており、このピンシリンダ空気管88からの圧搾空気の供給によりピンシリンダ87が伸長するようになっている。即ち、図示しない空気ポンプ等によりピンシリンダ空気管88を介して圧搾空気がピンシリンダ87に供給されると、ピンシリンダ87は矢印75b方向に伸長し、圧搾空気を解放すると矢印75a方向に収縮する。また、ピンシリンダ空気管88は、吸着空気管85a,85bと共に固定部86に固定されている。これ以外の構成は実施の形態7と同様である。
【0081】
次に、実施の形態8の動作について説明する。
文書2を吸着する直前迄の動作は、図17及び図18で示した実施の形態7と同様である。但し、文書2が1枚ずつの文書であった場合は、文書ハンド720による押圧動作でも積載された文書2の高さがほとんど変わらないため、文書当て板83がほぼ文書検出センサ74aの位置に到達した時点で吸着が行われる。
【0082】
図20は、文書2吸着時の吸着部分の拡大説明図である。
図示のように、吸着パッド84a,84bは、文書2における最上端の1枚目の文書2−1を吸着すると収縮するため、文書2−1は矢印75aの方向に引き上げられる。一方、ピンシリンダ87は圧搾空気が供給されて矢印75a方向に伸長する、即ち、吸着パッド84a,84bによる吸着方向とは反対方向に突出して文書2−1に当接するため、文書2−1におけるピンシリンダ87の当接部分は矢印75bの方向に引き下げられる。これにより、1枚目の文書2−1は湾曲した状態となり、1枚目の文書2−1と2枚目の文書2−2が引き離されて、1枚目の文書2−1のみが、確実に吸着パッド84a,84bの吸引力により吸着されて文書収納部50から取り出される。
【0083】
以上説明したように、実施の形態8の文書積載挿入装置によれば、吸着パッドによる文書吸着時に、吸着位置とは異なる位置で、吸着方向とは反対方向に突出して文書に当接する当接部材を設けたので、文書吸着時に文書を湾曲させて吸着するため、収納されている他の文書からの分離が容易となり、1枚ずつ取出す場合にも、確実に取り出すことができる。
【符号の説明】
【0084】
1 カートン、1a,1b 端部、1a1,1a2 上フラップ、1b1,1b2 左サイドフラップ、1c1,1c2 右サイドフラップ、10 カートン収納部、10a,10b 保持部、11a,11b,11c,11d カートン送りコンベア、13a,13b,13c,13d 到着センサ、14a,14b モータ、15 カートン取出口、17 傾斜、18 コンベア駆動制御手段、20 カートン受板、21a,21b 引込機能付吸着パッド、22a,22b 固定吸着パッド、23 プレート、24 シリンダ、25 蝶番、26 軸、29 ローラ、31 カートン止め具、33 サイドフラップ押し具、40 躯体、41 マガジン傾斜軸、50 文書収納部、53 文書受け、54 開口部、60 文書昇降ユニット、61 文書押し上げ板、62 ワイヤ、63 滑車、64 昇降用モータ、80 基台、81a,81b ばね昇降スライドシャフト、82 パッド固定板、82a パッド・ピン固定板、83 文書当て板、84a,84b 吸着パッド、85a,85b 吸着空気管、87 ピンシリンダ、88 ピンシリンダ空気管、100 カートンマガジン、200 カートン取出装置、201 カートンハンド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートンを積載収納するカートンマガジンのカートン取出口に搬送される前記カートンの一面を吸着保持するための固定吸着パッドと、前記カートンの一面を吸着すると共に、前記固定吸着パッドよりその先端が突出して設けられ、かつ、前記固定吸着パッドの先端と同等の位置まで退縮可能な可動吸着パッドとを備えたカートンハンド。
【請求項2】
固定吸着パッドによるカートン吸着面に対して、当該カートンの一方の端部を押圧するよう回動して、前記カートンを開口する開口手段を備え、かつ、当該開口手段のカートンを押圧する位置に、当該押圧動作に伴って回転するローラを設けたことを特徴とする請求項1記載のカートンハンド。
【請求項3】
カートン吸着時におけるカートンの他方の端部側に設けられ、当該カートンの他方の端部を係止するカートン係止手段を設けたことを特徴とする請求項2記載のカートンハンド。
【請求項4】
カートン吸着時にサイドフラップに当接し、前記カートン吸着動作により、吸着方向とは反対方向に押圧するサイドフラップ押し具を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のカートンハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−35607(P2013−35607A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−217132(P2012−217132)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2008−104864(P2008−104864)の分割
【原出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】