説明

カーボンナノチューブ製造方法

【課題】増粘剤であるテルピネオールを用いることなく、基体の表面に対して垂直な方向に配向する高い垂直配向性をもつ多数のカーボンナノチューブからなる群を形成させる製造方法を提供する。
【解決手段】遷移金属塩を溶媒に溶解させた所定濃度(0.2M〜0.8M)をもち且つテルピネオールを配合していない触媒液と、基体とを用意する工程と、触媒液と基体の表面とを接触させて触媒粒子を基体の表面に存在させる工程と、炭化水素系のカーボンナノチューブ形成ガスをカーボンナノチューブ形成温度領域において基体の表面に接触させ、基体の表面に対して垂直な方向に配向するカーボンナノチューブの群を基体の表面に成長させる工程とを順に実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のカーボンナノチューブが基体の表面に対して垂直な方向に配向する高い垂直配向性をもつカーボンナノチューブの群を基体の表面に製造するカーボンナノチューブ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、近年着目されている炭素質材料である。特許文献1には、遷移金属塩をエタノールとテルピネオールとの混合液に溶解させて触媒液を形成し、その触媒液により基板の表面に触媒層を形成し、その後、化学蒸着法(CVD)によりカーボンナノチューブを基体の表面にこれの垂直方向に沿って配向させる方法が開示されている。このものによれば、テルピネオールが触媒液に配合されているため、触媒液の粘度が高まる。触媒液の粘度が高くなると、基体の表面に塗布される触媒液の厚みが厚くなり、基体の表面に存在する触媒粒子の分散が適切化し、カーボンナノチューブが良好に成長するものと考えられる。
【0003】
特許文献2には、シリコン基板の表面にオクタデセンで表面疎水性処理を施し、その上に、界面活性剤で親水性表面を形成させることにより、触媒液と基板との親水性を向上させ、触媒均一塗布性を高める技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、金属塩から金属前駆体溶液を形成する工程と、金属前駆体溶液から金属前駆体を抽出させる工程と、金属前駆体、界面活性体、溶媒を混合させた混合液を形成し、溶媒の沸点以下の温度において混合液を反応させる工程と、混合液から金属含有ナノ粒子を析出させる工程と、ナノ粒子によりカーボンナノチューブを成長させる工程とを順に実施する方法が開示されている。
【0005】
特許文献4には、基板表面に触媒を担持させた状態で、炭素含有化合物ガスを基板に向けて流し、カーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブの製造方法が開示されている。このものによれば、触媒は、8〜10族元素から選ばれる第1元素と4族元素および第5元素から選ばれる第2元素とを含む微粒子と、微粒子の周囲を被覆する有機酸または有機アミン酸からなる保護層とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−239618号公報
【特許文献2】特開2008−56529号公報
【特許文献3】特開2009−215146号公報
【特許文献4】特開2007−261839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、増粘性をもつテルピネオールが触媒液に添加剤(重量比で20〜40%)として配合されている。テルピネオールは高価であるため、製造方法としてはコスト的に不利である。更に、テルピネオールは沸点が221℃と高温であり、テルピネオールを除去させるためには乾燥温度をそれ以上にする必要があり、時間がかかるため、カーボンナノチューブの生産性を低下させる。更にまたテルピネオールは粘度が高いため、遷移金属塩が溶媒に溶解するにあたり遷移金属塩の溶解性が阻害される。
【0008】
特許文献1では、これの明細書に記載されているように、触媒液に含まれている遷移金属塩(硝酸塩)の濃度が0.01〜0.05Mと低濃度のときには、カーボンナノチューブの垂直配向性は高い。増粘剤であるテルピネオールの影響で、基板の表面に塗布される触媒液の膜厚が適切化し、ひいては触媒粒子の分散状況がカーボンナノチューブ垂直配向に適するように適切化されたものと考えられる。しかしながら触媒液において遷移金属塩(硝酸塩)の濃度が高くなり0.1Mとなったときには、カーボンナノチューブは形成されるものの、カーボンナノチューブの均質性および垂直配向性は極めて低く、その評価は×である。遷移金属塩(硝酸塩)の濃度が更に高くなり0.2Mとなったときには、カーボンナノチューブは形成されるものの、カーボンナノチューブの均質性および垂直配向性は極めて低く、その評価は△である。遷移金属塩(硝酸塩)の濃度が更に高くなり、0.5Mのときには、カーボンナノチューブは形成されるものの、カーボンナノチューブの均質性および垂直配向性は極めて低く、その評価は×である。すなわち、テルピネオール存在下では、配向性が確保できる適用濃度が0.01〜0.05Mであり領域が狭いという欠点がある。
【0009】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、テルピネオールを触媒液に配合させることなく、基体の表面に対して垂直な方向に配向する高い垂直配向性をもつ多数のカーボンナノチューブからなる群を形成させるカーボンナノチューブ製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、カーボンナノチューブの製造方法について鋭意開発を進めており、増粘剤として機能するテルピネオールを触媒液に配合させることを廃止しつつも、遷移金属塩の濃度を0.2M〜0.8Mと高く増加させた高濃度の触媒液を用いれば、基板等の基体の表面において触媒液の厚みが適切化され、ひいては触媒液で形成される触媒粒子をカーボンナノチューブの垂直配向に適するように分散させることができることを知見し、かかる知見に基づいて本発明に係る製造方法を完成させた。このように本発明に係る製造方法によれば、テルピネオールを配合剤として触媒液に配合させること無く、基体の表面に対して垂直な方向に配向させた高い垂直配向性を有するカーボンナノチューブを製造することができる。
【0011】
この場合、遷移金属塩の濃度が0.2M未満の低い濃度の触媒液を用いても、あるいは、遷移金属塩の濃度が0.8Mを越える高い濃度の触媒液を用いても、カーボンナノチューブの垂直配向性は低下する。この場合、低い濃度の触媒液が用いられる場合には、基体の表面に存在する遷移金属塩で形成された触媒粒子が島状となり、且つ、隣設する島状の触媒粒子間の間隔が過剰に広がるものと推定される。ここで、カーボンナノチューブの成長過程において、隣設するカーボンナノチューブ同士は互いに接触または接近しつつその長さ方向に成長し、このため、基体の表面に対してカーボンナノチューブの垂直配向性が高くなるものと考えられる。ここで、過剰に低い濃度の触媒液が用いられる場合には、隣設するカーボンナノチューブの種となる触媒粒子が島状のまま、かなりの距離で離間することになり、結果として、カーボンナノチューブは互いに接触または接近しつつその長さ方向に成長することができず、基体の表面に対してカーボンナノチューブがアトランダムに成長する傾向が高くなるものと考えられる。
【0012】
これに対して、過剰に高い濃度の触媒液が用いられる場合には、隣設するカーボンナノチューブの種となる触媒粒子の凝集度合が過剰に高くなり、結果として、カーボンナノチューブは互いに接触または接近しつつその長さ方向に成長することができず、カーボンナノチューブが垂直配向ではなくアトランダムに成長する傾向が高くなるものと考えられる。
【0013】
上記したように遷移金属塩の濃度を0.2M〜0.8Mと高く増加させた高濃度の触媒液を用いれば、テルピネオールを用いずとも、触媒液に含まれる遷移金属塩の溶解量が増加し、基体の表面に存在させた触媒液の膜から触媒粒子を生成させるとき、触媒粒子が基体の表面において適度に分散され、ひいては隣設するカーボンナノチューブ同士が互いに接触または接近させ成長し、これにより基体の表面に対してカーボンナノチューブを良好に垂直方向に沿って配向させ得る高い垂直配向性が得られることを本発明者は知見し、かかる知見に基づいて本発明に係る製造方法を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、(i)遷移金属塩を溶媒に溶解させた所定濃度(0.2M〜0.8M)をもち且つテルピネオールを配合していない触媒液と、表面をもつ基体とを用意する準備工程と、(ii)触媒液と基体の表面とを接触させて触媒粒子を基体の表面に担持させる触媒担持工程と、(iii)炭素成分を含むカーボンナノチューブ形成ガスをカーボンナノチューブ形成温度領域において基体の表面に接触させ、基体の表面に対して垂直な方向に配向する垂直配向性をもつカーボンナノチューブの群を基体の表面に成長させるカーボンナノチューブ成長工程とを順に実施する。Mは、体積モル濃度(mol/L)であり、触媒液1リットルあたりに溶解している溶質(遷移金属塩)のmol数を意味する。
【0015】
本発明方法で用いられる触媒液には、増粘剤であるテルピネオールが添加剤として配合されていない。ここで、テルピネオールは、モノテルペンアルコールの1種であり、カュプテ油、松根油、プチグレン油等から得られる。前記したようにテルピネオールは高価である。テルピネオールが使用されていないためコスト的に有利である。このように本発明方法で用いられる触媒液にはテルピネオールが配合されていないため、カーボンナノチューブを基体の表面に成長させた後にテルピネオールをカーボンナノチューブから除去させるために、温度をテルピネオールの沸点以上にする必要がなくなり、カーボンナノチューブの生産性が向上する。更にまた、触媒液にはテルピネオールが配合されていないため、遷移金属塩が溶媒に溶解するにあたり、テルピネオールが溶解性を妨げることが抑制され、遷移金属塩の溶解性が確保される。ひいては一部が酸化物として析出する不具合が抑えられ、ひいては触媒の劣化が抑えられる。遷移金属塩を溶媒に溶解させた触媒液は、増粘剤であるテルピネオールを配合しておらず、テルピネオールを含まないものの、遷移金属塩を0.2M〜0.8Mの濃度で溶解しており、このため触媒液は高い濃度といえる。このような高い濃度の触媒液と基体の表面とを接触させれば、基体の表面に形成される触媒膜の厚みが過少でなく、且つ、過剰でもなくなる。
【0016】
ここで、触媒液の濃度が過剰に低い場合には、基体の表面に存在する触媒膜液の厚みが過少となる。この場合、基体の表面に担持された触媒粒子同士は、島状のまま互いに大きく離間する。この場合、触媒粒子の触媒作用によりカーボンナノチューブが基体の表面において成長するとき、カーボンナノチューブが基体の表面に対して垂直配向せず、基体の表面に対して傾倒し易くなると考えられる。この場合、基体の表面に垂直な方向に沿って配向する配向する高い垂直配向性をもつカーボンナノチューブが形成され難い。なお、基体の表面に対して垂直な方向に沿って配向しているカーボンナノチューブが得られる理由としては、基体の表面に担持された触媒粒子同士が適切な距離で互いに接近しているため、その触媒粒子の触媒作用によりも、互いに隣設するカーボンナノチューブ同士が違いに接触または接近しあって成長するためと考えられている。
【0017】
これに対して、触媒液の濃度が過剰に高い場合には、基体の表面に存在する触媒膜液の厚みが過剰となる。この場合、基体の表面に担持された触媒粒子同士が過剰に凝集すると考えられる。この場合、触媒粒子の触媒作用によりカーボンナノチューブが基体の表面において成長するとき、カーボンナノチューブが基体の表面に対して垂直方向に配向せず、様々な方向に指向し易くなり、結果としてカーボンナノチューブの垂直配向性がアトランダムになると考えられる。この場合、基体の表面に垂直な方向に沿って配向する高い垂直配向性をもつカーボンナノチューブが成長され難いと考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る製造方法によれば、基体の表面に対して垂直な方向に沿って成長している高い垂直配向性を示すカーボンナノチューブの群が基体の表面に得られる。本発明で用いられる触媒液によれば、増粘剤である高価なテルピネオールが添加剤として配合されていない。
【0019】
このように本発明に係る製造方法によれば、増粘剤であるテルピネオールが触媒液に含まれていないため、テルピネオールを蒸散で除去させるために加熱温度をテルピネオールの沸点以上にする必要性がなくなる。このためカーボンナノチューブの生産性が向上する。更にまた、増粘剤であるテルピネオールが触媒液に配合されていないため、遷移金属塩を溶媒に溶解させるにあたり、遷移金属塩の溶解を増粘剤が阻害することが抑制される。従って、溶媒に対する遷移金属塩の溶解性が確保される。ひいては一部が酸化物として析出する不具合が抑えられ、ひいては触媒の劣化が抑えられる。
【0020】
本発明に係る製造方法によれば、遷移金属塩を溶媒に溶解させた触媒液は、増粘剤であるテルピネオールを配合していないものの、0.2M〜0.8Mの濃度をもち高い濃度といえる。このような濃度の触媒液と基体の表面とを接触させれば、基体の表面に形成される触媒膜の厚みが過少でなく、且つ、過剰でもなくなる。この結果、基体の表面に担持された触媒粒子同士が適切な距離で互いに接近し、その触媒粒子の触媒作用によりも、基体の表面に対して垂直な方向に沿って配向する高い垂直配向性をもつカーボンナノチューブが得られる。本発明に係るカーボンナノチューブは、例えば、燃料電池に使用される炭素材料、キャパシタ、リチウム電池、二次電池、湿式太陽電池などの電極等に使用される炭素材料、産業機器の電極等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】遷移金属塩の濃度を変え且つテルピネオールが含まれていない触媒液を用いて各試験例で製造したカーボンナノチューブを示すSEM写真をまとめた図である。
【図2】比較例に係り、テルピネオールが含まれていない触媒液を用いて試験例で製造したカーボンナノチューブを示すSEM写真図である。
【図3】適用例1に係り、燃料電池を模式的に示す断面図である。
【図4】適用例2に係り、キャパシタを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明方法で用いられる触媒液は、増粘剤であるテルピネオールを配合していない。更に、触媒液は、増粘作用をもつポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、精油も含まない方が好ましい。
遷移金属塩に含まれる遷移金属は、触媒金属となるものである。遷移金属としてはV〜VIII族の金属が好ましい。例えば、遷移金属としては鉄、ニッケル、コバルトが挙げられ、更に、モリブデン、銅、クロム、バナジウム、ニッケルバナジウム、チタン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、銀、金、これらの合金が例示される。遷移金属塩としては、硝酸塩、塩化物、臭化物、有機錯塩、有機酸塩、ホウ化物、酸化物、水酸化物、硫化物等が挙げられる。硝酸塩としては硝酸鉄、硝酸鉄、硝酸ニッケル、硝酸コバルトが例示される。硝酸鉄は硝酸鉄(II)でも、硝酸鉄(III)でも良い。六水和物と九水和物とが知られている。文献によれば、硝酸鉄は一般的には水、エタノール、アセトン等に可溶とされている。塩化物としては塩化鉄、塩化ニッケル、塩化モリブデンが例示される。これらもエタノール、水等の溶媒に容易に溶解できる。塩化鉄は塩化鉄(II)でも塩化鉄(III)でも良い。
【0023】
基体の母材としては、シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、石英、ガラス、セラミックス、金属等が挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニアが挙げられる。金属としては鉄、鉄合金(ステンレス鋼等)、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、場合によっては、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。基体の形状は特に限定されない。
【0024】
本発明方法で製造されるカーボンナノチューブは、グラフェンシートがチューブ状をなすものであり、ホーン状のカーボンナノチューブを含む。グラフェンシートは1層でもよいし、複層でも良い。準備工程で用意される触媒液は、遷移金属塩を溶媒に溶解させた所定濃度(0.2M〜0.8M)をもち、且つ、増粘剤であるテルピネオールを配合していない。図1に示すSEM写真を考慮すれば、遷移金属塩を溶媒に溶解させた触媒液の濃度としては、0.2M〜0.8Mの範囲内が好ましい。0.25M〜0.75Mの範囲内も好ましい。この場合、触媒液の濃度の下限値としては0.2M、0.3Mが例示できる。このような下限値と組み合わせ得る触媒液の濃度の上限値としては0.8M、0.7Mが例示できる。
【0025】
触媒液はテルピネオールを配合していないため、遷移金属塩が溶媒に溶解するにあたりテルピネオールが溶解性を阻害させることが抑制され、遷移金属塩の溶解性が確保される。ひいては一部が酸化物として析出する不具合が抑えられ、ひいては触媒の劣化が抑えられる。溶媒としては、遷移金属塩を溶解させる有機溶媒または水が挙げられる。有機溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、更には、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。溶媒としては、要するに遷移金属塩を溶解させ得るものであれば良い。溶媒の誘電率は遷移金属塩の溶解性に影響を与えるため、溶解性を考慮すると、大きい方が好ましい。なお文献によれば、エタノールの比誘電率は24を示す。メタノールの比誘電率は33を示す。水の比誘電率は80を示す。アセトニトリルの比誘電率は37を示す。有機溶媒としては比誘電率が20以上のもの、好ましくは24以上のものが好ましい。
【0026】
触媒担持工程では、触媒液と基体の表面とを接触させて触媒粒子を基体の表面に存在させる。触媒担持工程を実施する前の基体の表面には、触媒粒子の下地層となるアルミニウムまたはアルミニウム合金が配置されていることが好ましい。この場合、カーボンナノチューブの垂直配向性が向上できる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の厚みは3〜30ナノメートルの範囲内、4〜20ナノメートルの範囲内とすることができる。本発明方法において、処理液と基板とを互いに接触させる手段としては、すなわち、処理液を基板に塗布させる手段としては、浸漬法、刷毛塗り法、ロール塗布法、スプレー法、スピンコート法等が例示される。
【0027】
カーボンナノチューブ成長工程では、炭化水素系のカーボンナノチューブ形成ガスをカーボンナノチューブ形成温度領域において基体の表面に接触させ、基体の表面に対して垂直な方向に配向するカーボンナノチューブの群を基体の表面に成長させる。カーボンナノチューブの長さとしては20〜60マイクロメートルが例示される。カーボンナノチューブ形成反応においては、カーボンナノチューブ形成ガスおよびプロセス条件は特に限定されるものではない。カーボンナノチューブを形成させる炭素を供給させるカーボンナノチューブ形成ガスとしてアルコール系の原料ガス、炭化水素系の原料ガスが挙げられる。この場合、アルカン、アルケン、アルキン等の脂肪族炭化水素、アルコール、エーチル等の脂肪族化合物、芳香族炭化水素等の芳香族化合物が挙げられる。従って、カーボンナノチューブ形成ガスとしてアルコール系の原料ガス、炭化水素系(アセチレン、エチレン、メタン、プロパン、プロピレン等)の原料ガスを用いる化学的気相蒸着法であるCVD法(熱CVD,プラズマCVD、リモートプラズマCVD法等)が例示される。アルコール系の原料ガスとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のガスが例示される。更に炭化水素系の原料ガスとしてはメタンガス、エタンガス、アセチレンガス、プロパンガス等が例示される。CVDにあたり、カーボンナノチューブ形成温度としてはカーボンナノチューブ形成ガスの組成、触媒粒子の形態などによって影響されるものの、例えば500〜1200℃程度、550〜900℃程度、600〜850℃程度が挙げられる。容器内の圧力としては100〜0.1MPa程度にできる。基板温度としては500〜1200℃程度、500〜900℃程度、600〜850℃程度が挙げられる。
【0028】
(実施例1)
以下、試験例1〜12について説明する。試験例1〜12について、触媒液の濃度を0.05M〜1.1Mの範囲内において複数段階として変化させた。他の条件は共通化させた。
【0029】
(基板の前処理)
触媒粒子の下地層となるアルミニウム(純アルミニウム)をスパッタリング処理より基板(基体)の表面に成膜させた。アルミニウムの膜の厚みは4〜6ナノメートル(5ナノメートル)とした。その後、基板の表面をアセトンで洗浄した。基板は4インチ四方のシリコン基板(厚み:0.5ミリメートル)とした。全部の試験例について共通条件とした。
【0030】
(触媒液の調整)
所定濃度となるように、アルコールであるエタノールに硝酸鉄(III)・9水和物を常温にて投入した。その後、常温にてスターラ(攪拌機)により攪拌し、触媒液を形成した。触媒液には、テルピネオールは配合されていない。従って触媒液はテルピネオールを含まない。更に、触媒液には、増粘作用をもつポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、精油も配合されていない。このため触媒液には、テルピネオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、精油は含まれていない。この場合、試験例1では触媒液の濃度は0.05Mとした。試験例2では触媒液の濃度は0.1Mとした。試験例3では触媒液の濃度は0.2Mとした。試験例4では触媒液の濃度は0.3Mとした。試験例5では触媒液の濃度は0.4Mとした。試験例6では触媒液の濃度は0.5Mとした。試験例7では触媒液の濃度は0.6Mとした。試験例8では触媒液の濃度は0.7Mとした。試験例9では触媒液の濃度は0.8Mとした。試験例10では触媒液の濃度は0.9Mとした。試験例11では触媒液の濃度は1Mとした。試験例12では触媒液の濃度は1.1Mとした。
【0031】
(コーティング法)
常温にて基板をディップコータにより上記触媒液に10秒間浸漬させた。その後、60ミリメートル/minの速度で基板を触媒液から引き上げた。その後、100℃×5分間で大気中において基板を乾燥させた。これにより触媒粒子を有する触媒層を基板の表面に形成した。これにより複数の島状をなす複数個の触媒粒子が分散した群を基板の表面に形成した。
【0032】
(カーボンナノチューブ形成方法)
熱CVD装置を用い、予め10Paに真空引きされた反応容器中にキャリヤガスとして窒素ガスを導入し、容器内の圧力を0.1MPaに調整した。その後、反応容器内の基板の温度を750℃に昇温させた状態で、流量10sccmのアセチレンガスと45sccmの窒素とが混合した原料ガスを反応容器内に供給した。sccmは、standard cc/minの略であり、1atm、0℃で規格化されたccmを示す。そして原料ガスの雰囲気下で、基板温度750℃ 、266Paの雰囲気において10分間反応させることにより、カーボンナノチューブを基板の表面に生成させた。この結果、基板の表面においてカーボンナノチューブからなる群が得られた。なお基板温度は750℃であり、金属塩触媒上における反応ガスの分解の促進を考慮したものである。
【0033】
(評価)
上記した試験例1〜12は、テルピネオール等の増粘剤を配合していない触媒液を用いて実施されている。この場合、触媒液の溶媒はエタノール100%とされている。試験例1〜12によって製造されたカーボンナノチューブのSEM写真を、触媒液の濃度毎に図1に示す。図1から理解できるように、テルピネオールを配合していない触媒液が用いられている場合には、試験例1(触媒液の濃度:0.05M)ではカーボンナノチューブは良好に成長せず、カーボンナノチューブの垂直配向性は良好ではなかった。更に、試験例2(触媒液の濃度:0.1M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好ではなかった。
【0034】
更に図1から理解できるように、試験例3(触媒液の濃度:0.2M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。更に、試験例4(触媒液の濃度:0.3M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。更に、試験例5(触媒液の濃度:0.4M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。更に、試験例6(触媒液の濃度:0.5M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。更に、試験例7(触媒液の濃度:0.6M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。更に、試験例8(触媒液の濃度:0.7M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。更に、試験例9(触媒液の濃度:0.8M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。
【0035】
また、図1から理解できるように、試験例10(触媒液の濃度:0.9M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好ではなかった。試験例11(触媒液の濃度:1M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好ではなかった。試験例12(触媒液の濃度:1.1M)ではカーボンナノチューブの垂直配向性は良好ではなかった。
【0036】
SEM写真から判定したカーボンナノチューブの長さを次に示す。
試験例1(触媒液の濃度:0.05M)… 3マイクロメートル程度
試験例2(触媒液の濃度:0.1M)… 7〜30マイクロメートル程度
試験例3(触媒液の濃度:0.2M)… 50マイクロメートル程度
試験例4(触媒液の濃度:0.3M)… 35マイクロメートル程度
試験例5(触媒液の濃度:0.4M)… 60マイクロメートル程度
試験例6(触媒液の濃度:0.5M)… 60マイクロメートル程度
試験例7(触媒液の濃度:0.6M)… 40マイクロメートル程度
試験例8(触媒液の濃度:0.7M)… 25マイクロメートル程度
試験例9(触媒液の濃度:0.8M)… 45マイクロメートル程度
試験例10(触媒液の濃度:0.9M)… 2マイクロメートル程度
試験例11(触媒液の濃度:1M)… 2マイクロメートル程度
試験例12(触媒液の濃度:1.1M)… 17マイクロメートル程度
図1から理解できるように、遷移金属塩を溶媒に溶解させた所定濃度(0.2M〜0.8M)をもち且つテルピネオールを配合していない触媒液を用いれば、基板の表面に対して垂直方向に沿った高い垂直配向性をもつカーボンナノチューブの群が基板の表面に得られることがわかった。カーボンナノチューブはブラシ状に成長している。
【0037】
比較例として、テルピネオールを配合した触媒液を用いて製造されたカーボンナノチューブを製造した。比較例では、質量比で、80%のエタノールと20%のテルピネオールとを混合した溶媒を用いた。この溶媒に、0.2Mの濃度で硝酸鉄を溶解させた触媒液を用いた。乾燥温度は250℃とした(注:テルピネオールの沸点は221℃)。他の条件としては試験例1〜12と同様とした。
【0038】
図2は、テルピネオール(20質量%)を含む触媒液を用いた比較例によって製造されたカーボンナノチューブのSEM写真を示す。図2に示すように、増粘剤であるテルピネオールを含む触媒液を用いた場合には、硝酸塩の濃度が0.2Mであるとき、カーボンナノチューブの配向はアトランダムとなっていた。これに対して、図1において硝酸鉄の濃度が0.2Mの欄における写真として示すように、増粘剤であるテルピネオールを配合していない触媒液を用いた場合には、硝酸鉄の濃度が0.2Mであるとき、カーボンナノチューブの垂直配向性は良好であった。
【0039】
以上説明したように上記した試験例1〜12によれば、増粘剤であるテルピネオールが触媒液に含まれていない。テルピネオールは高価である。テルピネオールが使用されていないためコスト的に有利である。このようにテルピネオールが使用されていないため、テルピネオールを除去させるために温度をテルピネオールの沸点以上にする必要がなくなり、カーボンナノチューブの生産性も速くなる。更にまたテルピネオールが使用されていないため、遷移金属塩が溶媒に溶解するにあたり、テルピネオールが溶解を妨げることが抑制され、溶媒に対する遷移金属塩の溶解性が確保される。ひいては一部が酸化鉄として析出する不具合が抑えられ、ひいては触媒の劣化が抑えられる。
【0040】
遷移金属塩を溶媒に溶解させた触媒液は、増粘剤であるテルピネオールを配合していないものの、0.2M〜0.8Mの濃度をもち高い濃度といえる。このような高い濃度の触媒液と基体(基板)の表面とを接触させれば、基体の表面と触媒液とを接触させたとき、基体の表面に形成される触媒膜の厚みが過少でなく、且つ、過剰でもなくなる。ここで、触媒液の濃度が過剰に薄く、基体の表面に担持される触媒膜液の厚みが過少となる場合には、基体の表面に担持された触媒粒子同士は島状のまま互いに大きく離間する。この場合、触媒粒子の触媒作用によりカーボンナノチューブが基体の表面において成長するとき、カーボンナノチューブが基板の表面に対して垂直配向せず、基体の表面に対して傾倒し易くなると考えられる。この場合、基体の表面に垂直な方向に沿って配向する配向する高い垂直配向性をもつカーボンナノチューブが成長され難いと考えられる。
【0041】
これに対して、触媒液の濃度が過剰に高く、基体の表面に担持される触媒膜液の厚みが過剰である場合には、基体の表面に担持された触媒粒子同士の凝集度は高いと考えられる。この場合、触媒粒子の触媒作用によりカーボンナノチューブが基体の表面において成長するとき、カーボンナノチューブが基体の表面に対して垂直方向に配向せず、様々な方向に指向し易くなり、結果としてカーボンナノチューブの垂直配向性がアトランダムになると考えられる。この場合、基体の表面に垂直な方向に沿って配向する高い垂直配向性をもつカーボンナノチューブが成長され難いと考えられる。以上説明したように本実施例に係る製造方法によれば、基体の表面に対して垂直な方向に沿って成長している高い垂直配向性を示すカーボンナノチューブの群が基体の表面に得られる。
【0042】
(適用例1)
図3はシート型の高分子形の燃料電池の要部の断面を模式的に示す。燃料電池は、燃料極用の配流板101と、燃料極用のガス拡散層102と、燃料極用の触媒を有する触媒層103と、炭化フッ素系または炭化水素系の高分子材料で形成されたイオン伝導性(プロトン伝導性)を有する電解質膜104と、酸化剤極用の触媒を有する触媒層105と、酸化剤極用のガス拡散層106と、酸化剤極用の配流板107とを厚み方向に順に積層して形成されている。ガス拡散層102,106は、反応ガスを透過できるようにガス透過性を有する。電解質膜104はイオン伝導性(プロトン伝導性)を有するガラス系で形成しても良い。
【0043】
本発明に係るカーボンナノチューブは、基板から離脱させた状態で、ガス拡散層102および/またはガス拡散層106として使用されることができる。この場合、本発明に係るカーボンナノチューブは、大きな比表面積をもち、多孔質であるため、ガス透過性の増加、フラッディングの抑制、電気抵抗の低減、電気伝導性の向上を期待できる。フラッディングは、反応ガスの流路の流路抵抗が液相の水で塞がれて小さくなり、反応ガスの通過性が低下する減少をいう。
【0044】
場合によっては、本発明に係るカーボンナノチューブは、基板から離脱させた状態で、燃料極用の触媒層103および/または酸化剤極用の触媒層105に使用されることもできる。この場合、本発明に係るカーボンナノチューブ複合体は、大きな比表面積をもち、多孔質であるため、触媒担持効率を高めることができる。よって、生成水の排出性の調整および反応ガスの透過性の調整を期待することができ、よってフラッディングを抑制するのに有利である。更には白金粒子、ルテニウム粒子、白金・ルテニウム粒子等といった触媒粒子の利用率の向上を期待できる。なお燃料電池としてはシート型に限らず、チューブ型でも良い。
【0045】
(適用例2)
図4は集電用のキャパシタを模式的に示す。キャパシタは、炭素系材料で形成された多孔質の正極201と、炭素系材料で形成された多孔質の負極202と、正極201および負極202を仕切るセパレータ203とを有する。正極201の表面に対して垂直方向に沿った垂直配向性をもつカーボンナノチューブが正極201の表面に設けられている。負極202の表面に対して垂直方向に沿った垂直配向性をもつカーボンナノチューブが負極202の表面に設けられている。本発明に係るカーボンナノチューブは、大きな比表面積をもち、多孔質であるため、正極201および/または負極202に使用されるとき、集電容量の増加を期待でき、キャパシタの能力を向上できる。基板に形成されたカーボンナノチューブを負極202、正極201の表面に転写させることができる。
【0046】
(その他)上記した試験例1〜12に対応する実施例1では、溶媒としてエタノール(沸点:79℃,比誘電率24)が用いられている。但し、溶媒としてはエタノールに限定されず、メタノール(沸点:65℃,比誘電率33)、プロパノール(沸点:97℃,比誘電率20)、更には、アセトン(沸点:56℃,比誘電率21)、アセトニトリル(沸点:82℃,比誘電率37)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃,比誘電率47)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点:153℃,比誘電率38)、ギ酸(沸点:100℃,比誘電率58)としても良い。更に、水(沸点:100℃,比誘電率80)としても良い。溶媒の蒸散除去性を考慮すると、溶媒の沸点は低い方が好ましいが、200℃、150℃以下であれば良い。要するに、溶媒としては、硝酸鉄等の遷移金属塩を溶解でき、沸点がテルピネオールよりも低いものであれば、なんでも良い。遷移金属塩としては硝酸鉄が使用されているが、硝酸ニッケル、硝酸コバルトなどでも良い。
【0047】
上記した試験例1〜12に対応する実施例1では、基体の母材としてはシリコンが採用されているが、これに限らず、窒化シリコン、炭化シリコン、石英、ガラス、セラミックス、金属としても良い。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニアが挙げられる。金属としては鉄、鉄合金(ステンレス鋼等)、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、場合によっては、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。基体の形状は特に限定されず、板状、シート状、塊状、網状でも良い。本発明は上記した試験例、適用例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。
【0048】
上記した明細書から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]硝酸塩等の遷移金属塩を溶媒に溶解させた所定濃度(0.18M〜0.82M)をもち且つテルピネオールを配合していない触媒液と、表面をもつ基体とを用意する準備工程と、触媒液と基体の表面とを接触させて触媒粒子を基体の表面に担持させる触媒担持工程と、炭素成分を含むカーボンナノチューブ形成ガスをカーボンナノチューブ形成温度領域において基体の表面に接触させ、基体の表面に対して垂直な方向に配向する垂直配向性をもつカーボンナノチューブの群を基体の表面に成長させるカーボンナノチューブ成長工程とを順に実施するカーボンナノチューブ製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は比表面積が大きいことが要請される炭素材料に利用することができる。例えば、燃料電池に使用される炭素材料、キャパシタ、二次電池、湿式太陽電池等の各種電池に使用される炭素材料、浄水器フィルターの炭素材料、ガス吸着の炭素材料等に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
102は燃料極用のガス拡散層、103は燃料極用の触媒層、104は電解質膜、105は酸化剤極用の触媒層、106は酸化剤極用のガス拡散層を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属塩を溶媒に溶解させた所定濃度(0.2M〜0.8M)をもち且つテルピネオールを配合していない触媒液と、表面をもつ基体とを用意する準備工程と、
前記触媒液と前記基体の前記表面とを接触させて触媒粒子を前記基体の前記表面に担持させる触媒担持工程と、
炭素成分を含むカーボンナノチューブ形成ガスをカーボンナノチューブ形成温度領域において前記基体の前記表面に接触させ、前記基体の前記表面に対して垂直な方向に配向する垂直配向性をもつカーボンナノチューブの群を前記基体の前記表面に成長させるカーボンナノチューブ成長工程とを順に実施するカーボンナノチューブ製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記触媒担持工程を実施する前の基体の前記表面には、アルミニウムまたはアルミニウム合金が配置されているカーボンナノチューブ製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記遷移金属塩は硝酸鉄、硝酸ニッケル、硝酸コバルトのうちの少なくとも1種であるカーボンナノチューブ製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、前記遷移金属塩を溶解する前記溶媒は比誘電率が20以上である有機溶媒、または水であるカーボンナノチューブ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−66953(P2012−66953A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211617(P2010−211617)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】