説明

ガラスチョップドストランドマット用バインダー

【課題】 本発明の課題は、粉砕効率を向上させ、かつ粒度分布をコントロールすることにより均一な強度としなやかさを有するバインダーを提供することである。
【解決手段】
ポリエステル樹脂(A)と無機化合物(B)からなるガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)であって、ポリエステル樹脂(A)を溶融し、これに無機化合物(B)を加えて均一に混合して冷却した後、これを機械粉砕して得られたマットバインダーであって、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径(DV1)が100〜250μmであり、かつ体積基準の粒子径(DV2)で300μm以上の粉末粒子の全粒子に占める比率が20%以下であることを特徴とするガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスチョップドストランドマット用粉末状バインダーに関する。より詳細には、バインダー樹脂の粉砕時の効率を向上させるとともに、後の加工作業時の粉体流動性が良好となるガラスチョップドストランドマットを提供するバインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスチョップドストランドマットは、通常、繊維径約10μm前後のガラス単繊維数10〜数100本をサイジング剤にて集束してなるガラスストランドを所定の長さに切断して得られた多数本のガラスチョップドストランドを搬送用ネット上に方向性無秩序に分散積層し、この積層体に水を塗布した後、バインダー粉末を散布することでガラスチョップドストランド上へ乗せ、オーブンチャンバーで加熱することによりガラスチョップドストランド間を融着結合させて得られる。
このバインダーについては、従来から機械粉砕により粉末化された不飽和ポリエステル樹脂が多く使用されてきた(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、従来のバインダーは粒度分布幅が広いため、ガラスチョップドストランドマットに付与されるべき所定量のバインダー粉末をガラスチョップドストランドの積層体に供給しても、バインダー 粉末が積層体の表面層に偏積し、内部のガラス繊維の結着が不十分となり、ガラスチョップドストランドマットの強度やしなやかさにバラツキが生じ、マットの品質が損なわれ、後の加工作業時の作業性が悪化する原因となっている。
一方でガラスチョップドストランドの積層体に付着せず、落下するバインダーがあり、本来ガラスチョップドストランドマットに必要とされる所定量以上のバインダーを供給しなければならないという欠点もあった。
また、不飽和ポリエステル樹脂のみでは粉体流動性が十分ではなく、添加剤として高級脂肪酸金属塩やシリカ等が添加されるのが一般的である。(例えば、特許文献2)
【特許文献1】特開2003−48255号公報
【特許文献2】特開2003−301035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、バインダーの粉砕時の効率を向上させるとともに、実質的にバインダーの供給量が低減でき、かつ均一な強度としなやかさを有し、耐ブロッキング性の向上やバインダーのガラスチョップドストランドへの付着効率に優れたガラスチョップドストランドマットとするのに好適なバインダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリエステル樹脂(A)と無機化合物(B)からなるガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)であって、ポリエステル樹脂(A)を溶融し、これに無機化合物(B)を加えて均一に混合して冷却した後、機械粉砕を行うことを特徴とするガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のガラスチョップドストランドマット用バインダーは、ポリエステル樹脂(A)と無機化合物(B)が混合されているため、機械粉砕時に両者の樹脂相の界面で割れやすく、生産時の効率を向上させることができ、さらに表面に存在する無機物によりブロッキングを防止することができるため粉体としての取扱いに優れている。
また粒度分布の幅が狭いため、ガラスチョップドストランドの積層体にバインダーが均一に付着し、従来の課題であったガラスチョップドストランドマットの引張り強さなどの強度のバラツキを効果的に防ぐことができ、FRP成型時のマットの型枠への賦形性が優れるなどの後の加工作業性に優れる。
また、ガラスチョップドストランドの積層体に付着せず、供給量を低減出来るという効果を有する。
【0007】
本発明のガラスチョップドストランドマット用バインダーは、ポリエステル樹脂(A)と無機化合物(B)から構成されること以外に、一定の領域の粒子径および粒子径分布であることが好ましい。具体的には平均粒子径が100〜250μmであり、かつ、300μm以上の粒子の全粒子に占める比率が20%以下であることが好ましい。
【0008】
本発明におけるガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)は、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径(Dv1)が、通常100〜250μmであり、バインダーの均一付着性の観点から、好ましくは120〜250μm、さらに好ましくは150〜250μmである。
この体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定機(例えば、日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分析計)で測定される。
体積平均粒子径が250μmを超えると落下するバインダーが増えるとともに単位重量あたりのバインダー数が少ないため、一定強度を得るためのバインダーの供給量が増え、コストアップに繋がる。また100μm未満では、ガラスチョップドストランドの積層体の表面層にバインダーが偏積し、ガラスチョップドストランドマットの強度やしなやかさにバラツキが生じ、マットの品質が損なわれる。
【0009】
さらに、100μm未満の粒子の全粒子に占める割合は通常20%以下、好ましくは15%以下である。20%を超えるとガラスチョップドストランドの積層体の表面層に偏積するバインダーが増え、マットの強度が低下するとともに、粉塵が発生し、作業環境が悪化する。
【0010】
本発明における主成分であるポリエステル樹脂(A)としては、ポリカルボン酸類(a11)と低分子ポリオール(a21)との重縮合物、およびカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a31)の重縮合物などがあげられる。
【0011】
ポリカルボン酸類(a11)には、ポリカルボン酸自体だけでなく、そのエステル形成性誘導体が含まれる。
ポリカルボン酸類(a11)の具体例としては、脂肪族ポリカルボン酸(官能基数2〜6、炭素数3〜30のポリカルボン酸例えばコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸など)、芳香族ポリカルボン酸(官能基数2〜6、炭素数8〜30のポリカルボン酸例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)、脂環式ジカルボン酸(官能基数2〜6、炭素数6〜50のポリカルボン酸例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸およびダイマー酸など);これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなど)、酸ハライド(酸クロライドなど)例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチルなど];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちで好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
【0012】
低分子ポリオール(a21)としては、水酸基1個当たりの平均分子量が300未満(好ましくは30〜250)の2〜10価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
この低分子ポリオール(a21)としては、2価アルコール(a211)、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a212)およびこれらの炭素数2〜10のアルキレンオキサイド(以下AOと略記。)の低モル付加物;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0013】
AOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、プロピレンオキサイド(以下POと略す)、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、炭素数5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン;およびこれらの2種以上の組み合わせ(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、EO、PO、およびこれらの併用である。
【0014】
2価アルコール(a211)の具体例としては脂肪族ジオール[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);分岐鎖を有するジオール(プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオールなど)など];および環状基を有するジオール[たとえば1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレングリコール、2価フェノール(ビスフェノールAなど)の(ポリ)オキシアルキレンエーテル(アルキレ
ン基の炭素数2〜4)など]が挙げられる。
【0015】
3価以上の多価アルコール(a212)の具体例としてはアルカンポリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど、およびそれらの分子間もしくは分子内脱水物[ジペンタエリスリトール、ポリグリセリン(重合度2〜8)、ソルビタンなど]、糖類およびその誘導体(配糖体)(蔗糖、メチルグルコシドなど)が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族ジオールであり、さらに好ましいものは1,4−ブタンジオールおよびネオペンチルグリコールである。
【0016】
ポリエステル樹脂(A)の原料としてのカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a31)の具体例としては、乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂(A)で好ましいのはポリカルボン酸類(a11)と低分子ポリオール(a21)との重縮合物であり、さらに好ましいものは、脂肪族ポリカルボン酸と芳香脂肪族ジオールのAO低モル付加物との重縮合物である。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)の重縮合時の温度は通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。重合中の雰囲気は窒素などの不活性ガスの存在下で行うことが望ましい。重合時のポリカルボン酸類とポリオール類の当量比はカルボン酸/水酸基の当量比で、好ましくは1/0.7〜1/1.1である。重縮合後の酸価は好ましくは20以下である。
【0018】
ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量は5,000〜50,000が好ましい。
【0019】
ポリエステル樹脂(A)の示差熱分析によるガラス転移温度(Tg)は、通常40〜60℃、好ましくは45〜55℃である。
Tgが60℃より高いと、チョップドストランドガラス繊維マットが硬くなり、後の加工作業時の作業性が悪化し、Tgが40℃より低いと貯蔵の際の荷重、温度変化によりブロッキングを起こし、粉末としての取り扱いが困難となる。
【0020】
一方、もう1つの必須成分である無機化合物(B)は、特に限定されないが、例えばカオリン、タルク、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、アルミナ、マグネシア、ウォラスナイト、ゾノトライト、ウィスカー、金属粉末が挙げられる。これらの中で、得られたバインダーの水分散性の観点から、カオリン、タルク、シリカが好ましい。
【0021】
また本発明のマットバインダー(C)は、必要により、滑剤、親水性付与剤等の添加剤を別途併用してもよい。これらの添加剤は、粉砕前に添加してもよいし、粉砕後に添加してもよい。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
【0023】
製造例1 <ポリエステル樹脂(A−1)の製造>
冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノール-Aのエチレンオキサイド2.2モル付加物3365部、フマル酸1123部、ジブチル錫オキサイド6gを仕込み、窒素雰囲気中180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、3〜4kPaの減圧下で反応し、210℃まで昇温し、酸価16.0、になったところで180℃に冷却して取り出し、ポリエステル樹脂(A−1)を得た。
またこの樹脂のガラス転移温度は47℃、熱軟化点は115℃であった。
【0024】
製造例2 <ガラスチョップドストランド用マットバインダー用樹脂の製造>
製造例1で作成したポリエステル樹脂(A−1)40部とカオリン(B−1)(ASP−400P;林化成株式会社製)10部をプラストミル(株式会社東洋精機製作所製:ラボプラストミルR型)にて、130℃で10分間混練し、マットバインダー用樹脂(D−1)を得た。
【0025】
実施例1
製造例2で得られたマットバインダー用樹脂(D−1)をサンプルミル(協立理工株式会社製:SK−M10)をもちいて12500rpmで3分間機械粉砕し、得られた樹脂粉末を目開き355μmのふるいでふるいを行い本発明のガラスチョップドストランド用マットバインダー(C−1)を得た。この時の収率は、82%であった。
(C−1)のレーザー回折散乱法で測定された体積平均粒子径(DV1)は175μm、体積基準の粒子径(DV2)で300μm以上の粉末粒子の全粒子に占める比率は3%であった。
【0026】
比較例1
製造例1で得られたポリエステル樹脂(A−1)をサンプルミルを用いて12500rpmで3分間機械粉砕し、得られた樹脂粉末を目開き355μmのふるいでふるいを行い、比較のためのガラスチョップドストランド用マットバインダー(C’−1)を得た。このときの収率は、65%であった。
また(C’−1)の体積平均粒子径(DV1)は260μm、体積基準の粒子径(DV2)で300μm以上の粉末粒子の全粒子に占める比率は28%であった。
【0027】
実施例2
ガラスロービング(日東紡社製:RS340FG−625)をガラスチョッパー(東技研社製)を用いて切断し、2インチ長のガラスチョップドストランドとした。
離型処理した25cm×40cmの平板金型内に得られたガラスチョップドストランド22gを方向が無秩序になるように分散させて積層し、次にガラスチョップドストランドの表面が湿る程度まで霧吹きにて水道水を噴霧した。ガラスチョップドストランドの重量の3.75%相当量である0.85gのバインダー(C−1)をガラスチョップドストランド上に散布した。この操作を繰り返し、合計ガラスチョプドストランド44gに対してその3.75%相当量の1.65gのバインダーを散布した2層構造を形成した。
得られた2層構造体を200℃に加熱した順風乾燥機に3分間入れた後、金型温度170℃で1分間プレスすることで、厚さ1.2mm、強熱減量3.60重量%の本発明のためのガラスチョップドストランドマット(GM−1)を得た。
【0028】
比較例2
バインダーに(C’−1)を用いた以外は、実施例2と同様にして、厚さ1.2mm、強熱減量3.25重量%の比較のためのガラスチョップドストランドマット(GM’−1)を得た。
【0029】
なお、マットバインダーの体積平均粒子径、300μm以上の粒子含有率、収率;およびガラスチョップドストランドの引張り強さ、バインダー量当たりの引張り強さの測定方法と算出方法については次の方法で測定、評価した。
【0030】
<ガラス転移温度(Tg)>
JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に準拠して、セイコー電子工業株式会社製RDC−220により測定した。
【0031】
<体積平均粒子径(DV1)、および体積基準の粒子径(DV2)で300μm以上の粒子の含有率>
レーザー回折散乱法による日機装株式会社製マイクロトラックFRA粒度分析計により測定した。
【0032】
<収率>
機械粉砕したマットバインダーを目開き355μmのふるいでふるった時の収率であり下記式で求める。
収率(%)=〔355μmのふるいを通過したバインダー量(g)/
ふるいにかけたバインダー総量(g)〕×100
【0033】
水分散性は、バインダー樹脂20gを25±1℃に温調した水道水300mlの入った300mlビーカーの水面上に均一に落下した場合に、バインダー樹脂が完全に水面下に没するまでの時間(秒)により求める。
【0034】
<耐ブロッキング試験>
ポリエチレン袋にバインダー50gを入れ、1670gのおもりを乗せて50℃の恒温槽に入れ、3日間静置する。これを目開き850μmの標準ふるい上にゆっくり乗せ、ふるいに残った重量と通過した重量を測定し、下記式で求める。
ブロッキング(%)=〔850μmのふるいに残ったバインダー量(g)/
ふるいにかけたバインダー総量(g)〕×100
【0035】
<ガラスチョップドストランドマットの引張強さの測定>
作成したガラスチョップドストランドマットを、幅50mm×長さ150mmに切り出して試験片10枚ずつ作成し、これらをJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.4引張強さ」に準拠して測定し、10枚の測定結果の平均値をガラスチョップドストランドの引っ張り強さとした。
なお、バインダーの付着量は、強熱減量により求めた。この強熱減量はJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.3.2強熱減量」に準拠して測定した値である。
【0036】
〔評価方法〕
以下の評価基準で、○、△、×で判断した。
(1)水分散性
試験結果より、下記の基準で判定した。
10秒未満 ・・・○
10秒以上180秒未満 ・・・△
180秒以上 ・・・×
(2)耐ブロッキング試験
ブロッキング化率により下記の基準で判断した。
20%未満 ・・・○
20%以上50%未満 ・・・△
50%以上 ・・・×
(3)引張強さの平均値
10枚の引張強さの平均値を計算し、下記の基準で判定した。
1250N超 ・・・○
650N以上1250N未満 ・・・△
650N未満 ・・・×
(4)引張強さの最大値と最小値の差
10枚の引張り強さの最大値と最小値の差を計算し、下記の基準で判定した。
150N未満 ・・・○
150N以上350N未満 ・・・△
350N以上 ・・・×
(5)バインダー付着量当たりの引張強さ
10枚の引張強さの平均値を強熱減量により求めた付着量で除し、下記の基準で判定した。
450N超 ・・・○
250N以上450N未満 ・・・△
250N未満 ・・・×
【0037】
測定結果、評価結果を表1、表2に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
表1から明らかなように、本発明の実施例1のポリエステル樹脂粉末は、比較例1に比べ、粉砕効率が向上し、同じ時間機械粉砕した際の粒度分布が狭くなっている。
さらに、表2から明らかなように得られたガラスチョップドストランドマットは強度(引張り強さ)に優れ、かつそのバラツキも小さいことがわかる。またバインダー付着量当たりの引張り強さも良好であることから使用量を削減することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のガラスチョップドストランド用バインダ−は後の加工作業性に優れたチョップドストランドマットをもたらすため、カヌー、ボート、ヨット、モーターボートなどの小型船舶の船体、一般家屋におけるバスタブ、浄化槽などのガラス繊維強化プラスチック成形品に有効に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂(A)と無機化合物(B)からなるガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)であって、ポリエステル樹脂(A)を溶融し、これに無機化合物(B)を加えて均一に混合して冷却した後、これを機械粉砕して得られたマットバインダーであって、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径(DV1)が100〜250μmであり、かつ体積基準の粒子径(DV2)で300μm以上の粉末粒子の全粒子に占める比率が20%以下であることを特徴とするガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)の製造方法。
【請求項2】
ポリエステル樹脂(A)/無機化合物(B)の重量比が50/50〜99.9/0.1である請求項1記載のガラスチョップドストランド用マットバインダー(C)の製造方法。
【請求項3】
無機化合物(B)のレーザー回折散乱法による体積平均粒子径が0.01〜50μmである請求項1または2に記載のガラスチョップドストランド用マットバインダーの製造方法。

【公開番号】特開2009−242691(P2009−242691A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93237(P2008−93237)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】