説明

ガラス基板の熱処理装置

【目的】 ホットプレートの構成の変更を柔軟に且つ低コストで行うことができ、ホットプレートの重量を軽量化でき、ホットプレートを加熱するための消費電力を節減することができ、ホットプレートの加熱による反りや撓みなどの変形を抑えてガラス基板への均一な加熱を実現することができる、ガラス基板の熱処理装置を提供する。
【構成】 ガラス基板を加熱するためのホットプレートであって、断面が略長方形状に形成され内部が空洞になっているアルミ押出材が所定の長さで切断されて成る複数のアルミ押出板が、それぞれの上面又は下面が前記ガラス基板と対向するように並べられた状態で載置されて成るホットプレートと、前記ホットプレートの少なくとも前記ガラス基板と対向する面を加熱するための加熱部であって、前記各アルミ押出板の内部に挿入される複数の棒状ヒーターから成る加熱部と、を含む、ガラス基板の熱処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPD(Flat Panel Display)用のガラス基板の熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶テレビやプラズマディスプレイテレビなどに使用されるガラス基板の熱処理装置が知られている。このガラス基板の熱処理装置は、例えば、ポリイミドなどの所定の材料を含む被熱処理物質をガラス基板に塗布し、この被熱処理物質が塗布されたガラス基板を所定の温度で加熱することにより、前記ガラス基板の表面に液晶表示パネル用の配向膜を形成するなどの目的で、使用されている。
【0003】
ところで、図5は特許文献1に開示されている従来のガラス基板の熱処理装置を示す図である。図5に示すように、従来のガラス基板の熱処理装置においては、搬送手段1により容器10内に搬入され且つ支持手段9により支持されたガラス基板3を、ホットプレート5の上にスペーサ(ピン)2を介して配置し、前記ホットプレート5を、その下方に当接するように配置されたヒーター4により加熱することにより、前記ガラス基板3の熱処理を行っていた。なお、図5において、6は前記支持手段9と接続されたベースプレート、7は前記ベースプレート6を図示上下方向に移動させるためのボールネジ、8は前記ボールネジ7を回動するためのモータ、である。
【特許文献1】特開2000−161858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、従来のガラス基板の熱処理装置においては、ホットプレートを1個のアルミ板(熱伝導率の高いアルミニウム合金製の板)により構成し、この1個のアルミ板をヒーターで加熱することにより、このアルミ板に対向するように配置されたガラス基板の熱処理を行うようにしていた。
【0005】
しかしながら、このような従来のガラス基板の熱処理装置においては、技術革新などに伴ってガラス基板のサイズが変更されたときは、その度に、前記の変更されたガラス基板のサイズに対応するサイズを有する1個のアルミ板を別個に新しく製造する必要があった。そして、この場合は、前述のようなアルミ板はサイズが異なる毎に特注する必要があるため、ホットプレートの製造コストが高くなってしまう、という問題があった。
【0006】
また、従来のガラス基板の熱処理装置においては、前述のようにホットプレートを1個のアルミ板により構成していたため、ホットプレートの重量が大きくなってしまい、その取り扱いのために作業者に大きな負担を掛けてしまう、という問題があった。
【0007】
また、従来のガラス基板の熱処理装置においては、前述のようにホットプレートを1個のアルミ板により構成していたため、1個のアルミ板を加熱するために多くの熱量を必要とし、ヒーターの消費電力を多量に消費してしまう、という問題があった。
【0008】
また、従来のガラス基板の熱処理装置においては、前述のようにホットプレートを1個のアルミ板により構成していたため、1個のアルミ板を加熱するとき、そのアルミ板が反りや撓みなどの変形を生じてしまい、その結果、ガラス基板への均一な加熱ができなくなってしまう、という問題があった。
【0009】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、ガラス基板のサイズ変更に対応するためのホットプレートの構成の変更を柔軟に且つ低コストで行うことができ、ホットプレートの重量を軽量化して作業者の負担を軽減することができ、ホットプレートを加熱するための消費電力を節減することができ、ホットプレートの加熱による反りや撓みなどの変形を抑えてガラス基板への均一な加熱を実現することができる、ガラス基板の熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するための本発明によるガラス基板の熱処理装置は、ガラス基板を加熱するためのホットプレートであって、断面が略長方形状に形成され内部が空洞になっている(内部が空洞で長手方向の両端が開口された略箱状に形成されている)アルミ押出材が所定の長さで切断されて成る複数のアルミ押出板が、それぞれの上面又は下面が前記ガラス基板と対向するように並べられた状態で載置されて成るホットプレートと、前記ホットプレートの少なくとも前記ガラス基板と対向する面を加熱するための加熱部であって、前記各アルミ押出板の内部にそれぞれ挿入される一つ又は複数の棒状ヒーターから成る加熱部と、を含んでおり、前記複数のアルミ押出板は、それぞれ、(a)前記棒状ヒーターを前記空洞内で収容するための一つ又は複数のヒーター収容部であって、前記空洞の中に前記アルミ押出板の長手方向と略平行な方向に沿って配置されており、前記アルミ押出板と一体に形成されている一つ又は複数のヒーター収容部と、(b)前記一つ又は複数のヒーター収容部と前記アルミ押出板の前記ガラス基板と対向する面を有している上板部又は前記下板部とを接続するための接続部であって、前記アルミ押出板と一体に形成されている接続部と、を備えている、ことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明によるガラス基板の熱処理装置においては、前記ヒーター収容部は前記アルミ押出板の長手方向と略平行に延びる略筒状に形成されており、前記接続部は前記略筒状のヒーター収容部の上面及び下面と前記アルミ押出板の上板部及び下板部とをそれぞれ接続し且つ前記アルミ押出板の長手方向と略平行な方向に延びる帯状に形成されている、ことが望ましい。
【0012】
また、本発明によるガラス基板の熱処理装置においては、前記複数のアルミ押出板を、それらの各上面又は各下面が前記ガラス基板と対向するように並べられた状態で互いに固定するための固定部を備えていることが望ましい。
【0013】
さらに、本発明によるガラス基板の熱処理装置においては、前記アルミ押出板の前記空洞内の前記ヒーター収容部から所定距離だけ離れた位置に、前記アルミ押出板の上板部及び下板部をそれらの間の間隔が一定の距離を保持するように支持するために、前記上板部及び下板部を互いに接続し、且つ前記アルミ押出板の長手方向と略平行な方向に延びるように、前記アルミ押出板と一体に帯状に形成された帯状支持部が備えられている、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、ホットプレートを、断面が略長方形状で且つ内部が空洞になっている(内部が空洞で長手方向の両端が開口された略箱状に形成されている)アルミ押出材を所定の長さで切断して成るアルミ押出板を、複数個、並べることにより構成している。また、本発明においては、前記ホットプレートを加熱するときは、前記各アルミ押出板の内部に挿入された複数の棒状ヒーターを通電し、この棒状ヒーターからの熱を、前記接続部を介して、前記各アルミ押出板の前記ガラス基板と対向する面を有する上板部又は下板部に、伝導させるようにしている。
【0015】
したがって、本発明においては、ガラス基板のサイズが技術革新などにより変更されためにホットプレートのサイズを変更する必要が生じた場合でも、前記アルミ押出材を切断して前記アルミ押出板を形成するときの切断する長さを変更すると共に、このようにして切断されて成るアルミ押出板を並べる個数を変更するだけで、ホットプレートのサイズの変更を行うことができる。また、一般に、前述のようなアルミ押出材を製造すること及びそれを所定の長さで切断することは、低コストで行うことができる。よって、本発明によれば、ガラス基板のサイズが変更された場合に必要となるホットプレートのサイズの変更を、柔軟に且つ低コストで行うことができる。
【0016】
また、本発明によれば、ホットプレートを、断面が略長方形状で且つ内部が空洞になっているアルミ押出板を、複数個、並べることにより構成しているので、ホットプレート全体を軽量化することができると共に、作業員の負担を軽減させることができる。
【0017】
また、本発明によれば、ホットプレートを、断面が略長方形状で且つ内部が空洞になっているアルミ押出板を、複数個、並べることにより構成しているので、ホットプレート全体を加熱するために必要な熱量を低減し、前記ヒーターの消費電力を節減することができる。
【0018】
また、本発明のように、ホットプレートを、断面が略長方形状で且つ内部が空洞になっているアルミ押出板を、複数個、並べることにより構成し、前記棒状ヒーターにより前記各アルミ押出板を加熱するようにしたときは、ホットプレートを1個のアルミ板により構成してこれを加熱するようにした場合と異なって、ホットプレート全体が熱によって反りや撓みなどの変形が生じてしまうことが抑制されるので、ホットプレートに対向しているガラス基板の全体を均一に加熱することができる。
【0019】
また、本発明において、前記ヒーター収容部を略筒状に形成し、且つ、前記接続部を前記略筒状のヒーター収容部の上方向及び下方向から前記アルミ押出板の上板部及び下板部までそれぞれ延びるように形成するようにしたときは、(a)前記棒状ヒーターからの熱を前記接続部を介して前記上板部及び下板部に効率的に伝導させることができると共に、(b)前記接続部により、前記アルミ押出板の上板部及び下板部と前記棒状ヒーターとをそれらの間隔が常に一定となるように保持・支持することができるので、加熱時における前記各アルミ押出板の反りや撓みなどの変形を抑制し、前記ガラス基板への均一な加熱を実現できるようになる。
【0020】
また、本発明において、前記複数のアルミ押出板を、それらの上面又は下面が前記ガラス基板と対向するように並べられた状態で互いに固定するための固定部を備えるようにしたときは、前記複数のアルミ押出板の相互の位置がガラス基板の熱処理の途中や前後にずれてしまうことが防止され、ガラス基板の熱処理を高精度に行えるようになる。
【0021】
さらに、本発明において、前記アルミ押出板の前記空洞内に前記上板部及び下板部を互いに接続し且つ前記アルミ押出板の長手方向に帯状に延びる帯状支持部を、前記アルミ押出板と一体に形成するようにしたときは、前記帯状支持部により、前記アルミ押出板の上板部及び下板部の間隔が常に一定の距離に保持されるように支持されるので、加熱時における前記各アルミ押出板の反りや撓みなどの変形がより確実に抑制され、前記ガラス基板への均一な加熱をより確実に実現できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1について述べるような形態である。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明の実施例1に係るガラス基板の熱処理装置のホットプレートを構成するためのアルミ押出板を示す斜視図である。図1において、アルミ押出板11は、断面が略長方形状(長手方向の両端が開口された細長い箱状)に形成され内部が空洞になっているアルミ押出材が、所定の長さ(例えば約2,500mm)で切断されて成るものである。図1において、12は前記アルミ押出板11の内部の空洞部、13は前記アルミ押出板11の図示上側のガラス基板との対向面を構成する上板部、14は前記アルミ押出板11の図示下側の面を構成する下板部、15は前記アルミ押出板11の図示右側及び左側の側面をそれぞれ構成する側板部、16は前記空洞部12内に前記アルミ押出板11の長手方向に沿って配置された筒状のヒーター収容筒、17は前記ヒーター収容筒16の上側部分と前記上板部13とを接続するために前記アルミ押出板11の長手方向に沿って帯状に形成された上側接続部、18は前記ヒーター収容筒16の下側部分と前記下板部14とを接続するために前記アルミ押出板11の長手方向に沿って板状に形成された下側接続部、19は前記アルミ押出板11の両端面の4つの隅(前記各側板部15と前記上板部13及び下板部14とが接する部分)にそれぞれ形成されたネジ穴、である。
【0024】
本実施例1においては、前記の上板部13、下板部14、側板部15、ヒーター収容筒16、上側接続部17、下側接続部18、及び、ネジ穴19は、互いに一体に形成されている。また、前記の上板部13、下板部14、及び、側板部15(前記各ネジ穴19が形成されている前記各側板部15と前記上板部13及び下板部14との間の接合部分は除く)の肉厚は、それぞれ例えば約3mmである。また、前記ヒーター収容筒16、上側接続部17、及び、下側接続部18の肉厚も、それぞれ例えば約3mmである。また、前記アルミ押出板11の断面(又は端面)の図示水平方向のサイズは例えば約204mm、前記アルミ押出板11の断面(又は端面)の図示上下方向のサイズは例えば約40mm、前記アルミ押出板11の長手方向のサイズは例えば約2,500mm、である。また、前記ヒーター収容筒16の内径は、例えば約10.5mmである。
【0025】
次に、図2は、本実施例1において、図1のアルミ押出板11を複数個、並べることにより構成されるホットプレートの一部を示す斜視図である。本実施例1では、例えば、前記アルミ押出板11が計14個、図の左右方向に並べられることにより、一つのホットプレート21が形成されている。なお、図2では、図示の便宜上、計5個のアルミ押出板11しか示していない。また、図2では、図示の便宜上、前記アルミ押出板11に含まれる前記の上側接続部17や下側接続部18などは図示を省略しており、また、前記ヒーター収容筒16は円形の端面の部分のみを図示している。
【0026】
図2において、22は前記ホットプレート21を収容するための略箱状のチャンバを構成するためのフレームである。なお、図示は省略しているが、実際には、前記チャンバ内に、前記ホットプレート21が図示上下方向に数段から十数段(例えば10段)、所定の間隔を介して互いに平行に配置されている。また、図示は省略しているが、実際には、前記チャンバは、ガラス基板の熱処理時には、周囲を金属製のシャッターなどで覆うことにより、熱がチャンバの外部に逃げないようにしている(上記の複数のホットプレートを含むチャンバは、用途によるが、硬化炉または熱処理炉などと呼ばれている)。
【0027】
また、図2において、23は前記フレーム22に固定され、前記複数のアルミ押出板11を並べるように載置するための載置台である。前記載置台23は、前記フレーム22により構成されるチャンバの図示手前側と図示奥行き側とに、それぞれ、図示左右方向に互いに平行に配置されている。そして、前記各載置台23の上に、前記の計14個のアルミ押出板11の両端部が、それぞれ並べられた状態で載置されることにより、前記ホットプレート21が構成される。なお、図示は省略しているが、実際には、前記チャンバ内に、前記載置台23が図示上下方向に数段から十数段(例えば10段)、所定の間隔を介して互いに平行に配置されている。
【0028】
また、図2において、24は、前記の互いに図示水平方向に並べられている複数のアルミ押出板11を、それらの位置が互いにずれないように互いに繋いで固定するための固定板である。前記固定板24は、例えばアルミニウム合金製の板で構成されている。また、前記固定板24の図示上下方向のサイズは、前記アルミ押出板11と同様の約40mmである。また、前記固定板24の図示水平方向のサイズは、例えば、前記アルミ押出板11の図示水平方向の長さの5倍の長さである約1,020mm、である。
【0029】
前記固定板24には、この固定板24の平面を前記の計5個並べられたアルミ押出板11の端面に当接したときに前記各アルミ押出板11の計4つの隅に在る各ネジ穴19に対向する位置に、それぞれネジ穴24aが形成されている。したがって、この固定板24を前記の計5個並べられたアルミ押出板11の端面に当接して、図2に示す各取り付けネジ25を、前記各ネジ穴24aを介して、前記各アルミ押出板11の各ネジ穴19に挿入することにより、前記固定板24と前記計5個の各アルミ押出板11とが互いに固定される。このように、前記固定板24が前記アルミ押出板11に固定されることにより、前記の計5個のアルミ押出板11は、互いに位置がずれないように、互いに繋がれて固定される。なお、本実施例1では、前記固定板24は、前記の計5個のアルミ押出板11の位置を互いにずれないように固定するだけでなく、前記の計5個のアルミ押出板11の各空洞部12を塞ぐことにより、前記各空洞部12内からゴミなどが前記チャンバ内に排出しないようにするための「蓋」としての役割をも果たしている。また、本実施例1では、前述のように、前記各載置台23の上に計14個のアルミ押出板11が並べられるので、実際には、計5個のアルミ押出板11が一つの固定板24により固定され、さらに別の計5個のアルミ押出板11が別の固定板24により固定されるというように、前記計14個のアルミ押出板11の各位置を固定するためには複数の固定板24が使用される(計5個よりも少ない例えば計4個のアルミ押出板11を固定するときは、前記固定板24よりも図2の左右方向のサイズを小さくした固定板を使用することが望ましい)。
【0030】
また、前記固定板24には、この固定板24を前記の計5個並べられたアルミ押出板11の端面に当接したときに前記各アルミ押出板11の各ヒーター収容筒16に対向する位置に、それぞれヒーター挿通穴24bが形成されている。したがって、この固定板24を前記の計5個並べられたアルミ押出板11の端面に当接して固定したとき、後述の棒状ヒーターを、前記ヒーター挿通穴24bを介して、前記各アルミ押出板11のヒーター収容筒16に挿入(又は、それから排出)することができる。
【0031】
また、図2において、26は前記各アルミ押出板11内に形成されたヒーター収容筒16内に挿入され収容される棒状ヒーターである。前記棒状ヒーター26は、前記アルミ押出板11の長手方向の長さと略同一の長さを有するように構成されている。また、前記棒状ヒーター26は、ガラス基板を加熱するために必要な熱量などの条件に対応して、前記各アルミ押出板11内の複数のヒーター収容筒16の一部又は全部に、それぞれ挿入され収容される。また、実際には、前記各棒状ヒーター26は、前記各アルミ押出板11が前記固定板24により固定され後、前記固定板24に形成されたヒーター挿通穴24bを介して、前記ヒーター収容筒16に挿入される。なお、図2では図示を省略しているが、実際には、前記棒状ヒーター26の両端部には前記棒状ヒーター26に通電するための電極と配線が備えられている。
【0032】
次に、図3は、図2のホットプレート21を上方から見たときの状態を示す平面図である。図3に示すように、本実施例1では、計14個のアルミ押出板11が図示左右方向に並べられて配置されることにより、一つのホットプレート21が構成されている。なお、図3では、棒状ヒーター26などは図示を省略している。
【0033】
以上のように、本実施例1においては、前記ホットプレート21を、断面が略長方形状で且つ内部が空洞になっているアルミ押出材を所定の長さで切断して成るアルミ押出板11を、複数個(例えば14個)、図示水平方向に並べることにより、構成している。また、本実施例1においては、前記ホットプレート21を加熱するときは、前記各アルミ押出板11の内部に挿入された複数の棒状ヒーターを通電し、この棒状ヒーターからの熱を、前記上側接続部17を介して、前記各アルミ押出板11の上板部13(ガラス基板と対向する面を構成する部分)に伝導させて、前記上板部13の上にスペーサ(ピン)を介して対向しているガラス基板を加熱するようにしている。
【0034】
したがって、本実施例1においては、ガラス基板のサイズが変更されたために、前記ホットプレート21のガラス基板への対向面のサイズを変更する必要が生じた場合でも、前記アルミ押出材を切断して前記アルミ押出板11を形成するときの切断する長さを変更すると共に、このようにして切断されて成るアルミ押出板11を並べる個数を変更するだけで、前記ホットプレート21のサイズの変更を容易に行うことができる。また、一般に、前述のようなアルミ押出材を製造すること及びそれを所定の長さで切断することは、低コストで行うことができる。よって、本実施例1によれば、技術革新などによりガラス基板のサイズが変更された場合に必要となる前記ホットプレート21のサイズの変更を、柔軟に且つ低コストで行うことができる。
【0035】
また、本実施例1によれば、前記ホットプレート21を、断面が略長方形状で且つ内部が空洞になっているアルミ押出板11を、複数個(例えば14個)、並べることにより構成している。よって、本実施例1によれば、前記ホットプレート21の全体を軽量化することができると共に、作業員の負担を軽減させることができる。また、ホットプレート全体を加熱するための熱量を低減して前記ヒーターの消費電力を節減することができる。
【0036】
また、本実施例1では、前記ホットプレート21を複数のアルミ押出板11の組み合わせにより構成するようにしているので、従来のようにホットプレートを1個のアルミ板により構成してこれを加熱するようにした場合と異なって、前記ホットプレート21の全体が熱によって反りや撓みなどの変形が生じてしまうことが抑制されるので、前記ホットプレート21に対向しているガラス基板の全体を均一に加熱することができるようになる。
【0037】
また、本実施例1においては、前記アルミ押出板11のヒーター収容筒16の上方向及び下方向から前記上板部13及び下板部14までそれぞれ延びる上側接続部17及び下側接続部18を備えるようにしているので、前記棒状ヒーターからの熱を前記上側接続部17又は下側接続部18を介して前記上板部13又は下板部14に効率的に伝導させることができる。また、前記上側接続部17及び下側接続部18により、前記上板部13及び下板部14が、それらの相互の間隔が常に一定に保持されるように支持されるので、加熱時における前記各アルミ押出板11の反りや撓みなどの変形が抑制され、前記ガラス基板への均一な加熱を実現できるようになる。
【0038】
また、本実施例1においては、前記複数のアルミ押出板11をそれらの上面がガラス基板と対向するように並べられた状態に固定するための固定板24を、備えるようにしているので、前記複数のアルミ押出板11の相互の位置がガラス基板の熱処理の途中や前後にずれてしまうことが防止され、ガラス基板の熱処理を高精度に行えるようになる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の実施例2によるガラス基板の熱処理装置を説明する。本実施例2は前記実施例1と基本的構成は同一であるので、以下では、本実施例2が前記実施例1と異なっている部分のみについて説明し、それ以外は説明を省略する。
【0040】
本実施例2においては、図4に示すように、前記アルミ押出板11の空洞部12内に、前記上板部13と前記下板部14とを図示上下方向に略直線状に連結し且つ前記アルミ押出板11の長手方向に沿って延びるように形成された略帯状の強化リブ31が、設けられている。前記強化リブ31は、前記アルミ押出板11と一体に形成されている。また、前記強化リブ31は、前記アルミ押出板11の空洞部12内に配置されている計3個のヒーター収容筒16の間の位置に、設けられている。
【0041】
以上のように、本実施例2では、前記アルミ押出板11の前記空洞部12内に、前記上板部13及び下板部14を互いに接続し且つ前記アルミ押出板11の長手方向に略帯状に延びる強化リブ31を、前記アルミ押出板11と一体に形成するようにしている。よって、本実施例2によれば、前記強化リブ31により、前記上板部13と前記下板部14とが、それらの相互の間隔が常に一定に保たれるように支持されるので、ガラス基板の熱処理時に前記アルミ押出板11の反りや撓みなどの変形が生じることが確実に防止され、前記ガラス基板への均一な加熱がより確実に実現されるようになる。
【0042】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明及び本発明を構成する各構成要件は、それぞれ、前記の各実施例及び前記の各実施例を構成する各要素として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変形を含むものである。例えば、前記の実施例1では、前記ホットプレート21を構成するために計14個のアルミ押出板11を並べて配置するようにしているが、本発明ではこれに限られるものではなく、様々な個数のアルミ押出板11を組み合わせることにより任意のサイズのホットプレートを構成することができる。
【0043】
また、前記の実施例1においては、前記固定板24により図示左右方向に並んだ計5個のアルミ押出板11を繋いで固定するようにしているが、本発明ではこれに限られるものではなく、前記固定板24を、例えば計10個のアルミ押出板11を繋いで固定するように構成することもできるし、前記ホットプレート21を構成する全てのアルミ押出板11(前記実施例1では計14個のアルミ押出板11)を1個の固定板24だけで一度に固定するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1によるガラス基板の熱処理装置のホットプレートを構成する部品であるアルミ押出板を示す斜視図。
【図2】本実施例1によるガラス基板の熱処理装置を説明するための斜視図。
【図3】本実施例1によるガラス基板の熱処理装置を説明するための平面図。
【図4】本発明の実施例2によるガラス基板の熱処理装置のホットプレートを構成する部品であるアルミ押出板を示す斜視図。
【図5】従来のガラス基板の熱処理装置を示す図。
【符号の説明】
【0045】
11 アルミ押出板
12 空洞部
13 上板部
14 下板部
15 側板部
16 ヒーター収容筒
17 上側接続部
18 下側接続部
19,24a ネジ穴
21 ホットプレート
22 フレーム
23 載置台
24 固定板
24b ヒーター挿通穴
25 取り付けネジ
26 棒状ヒーター
31 強化リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を加熱するためのホットプレートであって、断面が略長方形状に形成され内部が空洞になっているアルミ押出材が所定の長さで切断されて成る複数のアルミ押出板が、それぞれの上面又は下面が前記ガラス基板と対向するように並べられた状態で載置されて成るホットプレートと、
前記ホットプレートの少なくとも前記ガラス基板と対向する面を加熱するための加熱部であって、前記各アルミ押出板の内部にそれぞれ挿入される一つ又は複数の棒状ヒーターから成る加熱部と、を含んでおり、
前記複数のアルミ押出板は、それぞれ、(a)前記棒状ヒーターを前記空洞内で収容するための一つ又は複数のヒーター収容部であって、前記空洞の中に前記アルミ押出板の長手方向と略平行な方向に沿って配置されており、前記アルミ押出板と一体に形成されている一つ又は複数のヒーター収容部と、(b)前記一つ又は複数のヒーター収容部と前記アルミ押出板の前記ガラス基板と対向する面を有している上板部又は下板部とを接続するための接続部であって、前記アルミ押出板と一体に形成されている接続部と、を備えている、ことを特徴とするガラス基板の熱処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ヒーター収容部は前記アルミ押出板の長手方向と略平行に延びる略筒状に形成されており、前記接続部は前記略筒状のヒーター収容部の上面及び下面と前記アルミ押出板の上板部及び下板部とをそれぞれ接続し且つ前記アルミ押出板の長手方向と略平行な方向に延びる帯状に形成されている、ことを特徴とするガラス基板の熱処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記複数のアルミ押出板を、それらの各上面又は各下面が前記ガラス基板と対向するように並べられた状態で互いに固定するための固定部を備えた、ことを特徴とするガラス基板の熱処理装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3において、前記アルミ押出板の前記空洞内の前記ヒーター収容部から所定距離だけ離れた位置に、前記アルミ押出板の上板部及び下板部をそれらの間が一定の距離を保持するように支持するために、前記上板部及び下板部を互いに接続し、且つ前記アルミ押出板の長手方向と略平行な方向に延びるように、前記アルミ押出板と一体に帯状に形成された帯状支持部が備えられている、ことを特徴とするガラス基板の熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−102195(P2008−102195A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282637(P2006−282637)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【特許番号】特許第3911284号(P3911284)
【特許公報発行日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(501341163)株式会社幸和 (4)
【Fターム(参考)】