説明

ガラス研削方法

【課題】遊離研磨スラリに関連した不都合さを示さないで、短時間の高速ストック除去を提供する。
【解決手段】(a)研磨物品10の研削層とガラスワークピース表面とを接触させるステップであって、研削層が複数の研磨複合材11を含み、複合材11が有機樹脂と、アルカリ金属塩とアルカリ性金属塩およびそれらの組合せから選択された金属塩と、この研磨複合材11全体にわたって均質に分散された単一のダイヤモンド研磨粒子とを含む、ステップと、(b)研磨物品10の研削層とガラスワークピース表面との間に潤滑剤を導入するステップと、(c)研磨物品10の研削層とガラスワークピース表面とを相対移動するステップとを含む、ガラスワークピース表面を研削する方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
レンズ、プリズム、鏡、CRTスクリーン等の形態のガラス物品は、家庭、オフィスおよび工場で広範囲に見られる。これらの物品のガラス表面の多くは、光学的に透明で、目視可能な欠陥または欠点がない表面を必要とする光学的構成要素に使用される。欠陥、欠点、微細な掻き傷さえもガラス物品の光学的透明度に悪影響を及ぼす。ある場合には、これらの欠陥、欠点、および/または微細な掻き傷は、ガラスを通して正確に見る機能に害を及ぼす。光学的構成要素に使用されるガラス表面には、少しの欠陥、欠点、および/または掻き傷があってはならない。
【0002】
多くのガラス表面は、湾曲しているか、あるいは丸みを有する。これらの丸みおよび湾曲は、一般的にガラス形成工程で形成される。しかし、ガラス形成工程の結果、金型分割線、粗い表面、小さな点および他の小さな欠点のような欠陥が、ガラスの外面に存在する可能性がある。これらの欠陥および/または欠点は、小さいが、ガラスの光学的透明度に悪影響を及ぼす傾向がある。このような欠陥および/または欠点を除去するために、研磨仕上工程が広く使用されてきた。研磨仕上は、研削、微細加工、および研磨の3つの主な工程に分けられる。
【0003】
研削ステップは、所望の湾曲または丸みを完全にし、また研磨工具を用いてガラス表面を粗研削することによって鋳物欠陥を除去する。典型的に、この研磨工具は、ダイヤモンド、炭化タングステン、立方晶窒化ホウ素のような超研磨粒子を含む。しかし、粗研削工程の研磨工具はガラス表面に粗い掻き傷をもたらし、このため得られる表面は、光学的に透明な状態に直接研磨するには十分に正確でもなく、滑らかでもない。研削工程の目的は、可能な限り微細な掻き傷パターンを残しつつ、多量のガラスを迅速かつかなり正確に除去することである。次に、これらの掻き傷は、「微細加工」および「研磨」として一般に知られる後続のステップによって除去される。
【0004】
ガラス仕上は、典型的に遊離研磨スラリを用いて行われる。遊離研磨スラリは、水のような液状媒体中に分散する複数の研磨粒子を含む。遊離スラリのために使用される最も一般的な研磨粒子は、軽石、炭化ケイ素、酸化アルミニウム等である。遊離研磨スラリは、選択的に、分散剤、潤滑剤、消泡剤等のような他の添加剤を含み得る。たいていの場合、遊離研磨スラリは、ガラス表面とラップパッドとの間に存在するように仕上られるガラス表面とラップパッドとの間に揚送される。ラップパッドは、ゴム、発泡体、重合体材料、金属、鋼等のような任意の材料から製造し得る。典型的に、ガラスワークピースおよびラップパッドの両方は、互いに対して回転する。この研削工程は、典型的に、1つまたは複数のステップから成り、各ステップは漸次微細な表面仕上をガラス上に生成する。
【0005】
表面の粗さは、典型的に、肉眼で見えるか、あるいは見えないかもしれない掻き傷または掻き傷パターンによる。掻き傷パターンは、表面に沿った一連の峰および谷と定義し得る。RtmとRaは研磨工業で用いられる粗さの共通の基準であるが、正確な測定手順は、表面粗さの評価において利用される装置の型式に応じて変わり得る。
【0006】
Raは、表面の粗さプロファイルが表面の平均線から逸脱する値の算術平均である平均粗さ高さ値として規定される。測定は、Rank Taylor Hobson器械によって設定される評価長さ内の表面の平均線の上下の両方の点で行われる。RaとRtm(以下に規定)は、5ミクロンの半径のダイヤモンド先端の記録装置であるプロフィルメータプローブによって測定され、結果はミクロン(μm)で記録される。これらの逸脱測定値は合計され、次に、平均値を得るために測定数で割算される。一般的に、Ra値が低ければ、それだけ仕上は滑らかである。
【0007】
Rtは、峰から谷への最大の高さと規定される。Rtmは、5つの連続評価長さにわたって測定した、各評価長さにおける峰から谷への最大の高さの平均である。一般的に、Rtm値が低ければ、それだけ仕上は滑らかである。同一の仕上ガラス表面の測定が、商業的に入手可能な異なる商標名のプロフィルメータで実行された場合、RaとRtm値の僅かな変化が生じ得るが、必ずしも生じるとは限らない。
【0008】
全体的な仕上プロセスの最終ステップは、より滑らかで光学的に透明な表面をガラス物品上に生成する研磨ステップである。たいていの場合、この研磨ステップは、遊離スラリは、典型的に、欠陥、欠点および/または微細な掻き傷を本質的に含まない光学的に透明な表面を生成するので、遊離研磨スラリによって行われる。典型的に、遊離研磨スラリは、水の中に分散されたセリア研磨粒子を含む。
【0009】
遊離研磨スラリは、微細加工および研磨ステップに広く利用され、光学的に透明な表面仕上をガラス物品に提供するが、遊離研磨スラリはそれに関連した多くの不都合を有する。これらの不都合は、必要とされる大量のスラリを取り扱う不便、研磨粒子の硬化を防止し、研磨界面の研磨粒子の均一な濃度を保証するために必要な撹拌、および遊離研磨スラリを調製し、取り扱い、廃棄処理するか、または回収かつリサイクルする追加装置の必要性を含む。さらに、スラリそれ自体は周期的に分析して、その品質と分散安定性を保証しなければならず、これによって追加の高価な人時が必要となる。さらに、遊離研磨スラリに接触するスラリ供給装置のポンプヘッド、バルブ、フィードライン、研削ラップおよび他の部分は、最終的に望ましくない摩耗を示す。さらに、スラリを使用するステップは、粘性の液体である遊離研磨スラリは簡単に飛び散り、収容することが難しいので、通常、非常に雑然としたものとなる。
【0010】
遊離研磨スラリ仕上段階をラップ仕上、塗布または固定した研磨製品で代用する試みが行われてきたのは、無理もないことである。一般的に、ラップ仕上研磨材は、複数の研磨粒子を含む結合剤の中に分散された研磨コーティングを有する裏材を含む。例えば、米国特許第4,255,164号、第4,576,612号、第4,733,502号および欧州特許出願第650,803号は、種々の固定研磨物品および研磨方法を開示している。固定研磨物品を開示している他の参考文献は、米国特許第4,644,703号、第4,773,920号および第5,014,468号を含む。
【0011】
しかし、固定研磨材は遊離研磨スラリを完全にとって代わっていない。ある場合には、固定研磨材は、光学的に透明で、本質的に欠陥、欠点および/または微細な掻き傷を含まない表面を提供しない。他の場合、固定研磨材は、ガラス物品を研磨するためにより長い時間必要とし、このため、遊離研磨スラリ使用の方が費用効果がより高い。同様に、ある場合には、固定研磨材の寿命は、固定研磨材に関連した費用が、遊離研磨スラリと比較して高いことを正当化する程には十分に長くない。かくして、ある場合には、固定研磨材は遊離研磨スラリ程には経済的に望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ガラス工業が求めているのは、遊離研磨スラリに関連した不都合を示さないで、短時間の高速ストック除去を提供することによって、合理的な時間でガラス表面を有効かつ経済的に研削できる研磨物品である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの観点は、
(a)研磨物品の研削層とガラスワークピース表面とを接触させるステップであって、前記研削層が複数の研磨複合材を含み、前記複合材が、有機樹脂と、アルカリ金属塩、アルカリ性金属塩およびそれらの組合せから選択された金属塩と、前記研磨複合材全体にわたって均質に分散された単一(single)ダイヤモンド研磨粒子とを含む、ステップと、
(b)前記研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面との間に潤滑剤を導入するステップと、
(c)前記研磨物品の研削層とガラスワークピース表面とを相対移動するステップと、を含む、前記ガラスワークピース表面を研削する方法を提供する。
【0014】
本発明の他の観点は、
(a)研磨物品の研削層とガラスワークピース表面とを接触させるステップであって、前記研削層が複数の研磨複合材を含み、前記複合材が有機樹脂と凝集研磨粒子とを含み、前記凝集物が、永久結合剤に分散されたダイヤモンド粒子を含む、ステップと、
(b)前記研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面との間に潤滑剤を導入するステップと、
(c)前記研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面とを相対移動するステップとを含む、前記ガラスワークピース表面を研削する方法を提供する。
【0015】
本発明のさらにもう1つの観点は、
(a)研磨物品の研磨層と、約0.07μmの初期表面粗さRaを有するガラスワークピース表面とを接触させるステップであって、前記研磨層が、繊維を含む裏材に一体成形された複数の研磨複合材を含み、前記研磨複合材が、有機樹脂と、セリア粒子と、アルカリ金属塩、アルカリ性金属塩およびそれらの組合せから選択された金属塩とを含む、ステップと、
(b)前記研磨物品の研磨層と前記ガラスワークピース表面との間に潤滑剤を導入するステップと、
(c)前記研磨物品の研磨層と前記ガラスワークピース表面とを相対移動するステップとを含む、前記ガラスワークピース表面を研磨する方法を提供する。
【0016】
少なくとも1つの3次元研磨コーティングは複数の研磨複合材を含むことが好ましい。複数の研磨複合材は、正確な形状の複合材、不規則な形状の複合材、あるいは円筒または平坦な頂部を有する他の任意の柱状を含む正確な形状の複合材であり得る。
【0017】
1つの好ましい方法では、研磨複合材はエポキシ結合剤を含み、一体成形されたウレタン裏材である。アクリレートおよびウレタンアクリレートも好ましい材料として使用可能である。
【0018】
ガラスを研削するために、研磨粒子はダイヤモンド研磨粒子またはダイヤモンド凝集粒子を含むことが好ましい。選択的に、ダイヤモンド粒子は、他の非ダイヤモンド硬質研磨粒子、軟質無機研磨粒子、およびそれらの混合物とブレンドし得る。ガラスを研磨するために、研磨粒子はセリア粒子を含むことが好ましい。
【0019】
ガラスを研削または研磨するために、研磨複合材は、約40〜約60重量%の充填剤、より好ましくは約50〜約60重量%の充填剤を含むことが好ましい。例えば、好ましい充填剤は、メタケイ酸カルシウム、白色酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカおよびそれらの組合せを含む。
【0020】
ダイヤモンド研磨粒子は、研磨複合材に約0.1%〜10重量%、好ましくは約2%〜4重量%存在することが好ましい。セリア研磨粒子の好ましい量は最高85重量%である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施態様では、ガラスを研削するための研磨物品は、10〜15秒、一般的に約12秒の研削時間間隔を有するRPP手順を用いて、ガラス試験用ブランクの200〜400μmのストックを除去して、約1.1μm以下の最終Raにすることができる。
【0022】
本発明の他の実施態様では、ガラスを研削するための研磨物品は、10〜15秒、一般的に約12秒の研削時間間隔を有するRPP手順を用いて、ガラス試験用ブランクの200μmのストックを除去して、約0.80μm以下の最終Raにすることができる。
【0023】
ガラスを研削するための本発明のさらに他の実施態様では、ダイヤモンド粒子を含む凝集物を含む研磨物品は、10〜15秒、一般的に約12秒の研削時間間隔を有するRPP手順を用いて、ガラス試験用ブランクの100μmのストックを除去して、約0.70μm以下の最終Raにすることができる。
【0024】
ガラスを研磨するための本発明のさらに他の実施態様では、セリアを含む研磨物品は、約45秒以下、好ましくは約30秒以下、より好ましくは約20秒以下、さらにより好ましくは約15秒の研磨時間間隔を用いて、0.07μmの表面粗さRaを約0.009μmの表面粗さに低減することができる。
【0025】
RPP試験手順
「RPP」試験手順は、「BUEHLER ECOMET2」パワーヘッドが取り付けられた「Buehler Ecomet4」変速グラインダ/ポリッシャ(両方ともBuehler Industries,Ltd.of Lake Bluff,ILから商業的に入手可能)を使用する。試験は、ガラス試験用ブランクの表面積にわたって約25.5psi(約180kPa)の界面圧力を提供する60ポンド(267N)の力の500rpmに設定されたモータ速度の条件を用いて実施される。界面圧力は、種々の条件下で試験するために増加または減少し得る。
【0026】
Corning Incorporated,Corning,NYから商業的に入手可能な「CORNING#9061」の商標名で商業的に入手可能な直径2.54cm(1インチ)、厚さ約1.0cmの3つの平坦な円形ガラス試験用ブランクが用意される。ガラス材料がグラインダ/ポリッシャのパワーヘッド内に置かれる。グラインダ/ポリッシャの12インチ(30.5cm)のアルミニウムプラットホームは反時計廻りに回転され、一方、ガラス試験用ブランクが固定されたパワーヘッドは35rpmで時計回りに回転される。
【0027】
試験される研磨物品は、20.3cm(8インチ)の直径の円形に打ち抜かれ、約65ジュロメータのショアA硬さを有する押出スラブ材発泡ウレタンの裏材パッド上に感圧接着剤で直接接着される。ウレタン製の裏材パッドは、厚さ約30mmの押出スラブ開放セル軟質発泡パッドに取り付けられる。このパッドアセンブリは、グラインダ/ポリッシャのアルミニウムプラットホームに置かれる。水道水が約3リットル/分の流速で研磨物品上に吹き付けられ、研磨物品の表面とガラス試験用ブランクとの間に潤滑が行われる。
【0028】
ガラス試験用ブランクの初期表面仕上は、Taylor Hobson,Leicester,Englandから商業的に入手可能な「SURTRONIC3」の商標名で商業的に入手可能なダイヤモンド針プロフィロメータによって評価される。ガラス試験用ブランクの初期厚さと重量も記録される。
【0029】
ガラス試験用ブランクは、上述のグラインダを用いて研削される。グラインダの研磨時間間隔は10秒に設定される。しかしながら、研磨物品とガラス試験用ブランク表面との間の実時間接触は、研磨物品がガラス試験用ブランク表面で安定するまでグラインダは計時を始めないので、設定時間よりも長いかもしれない。すなわち、ガラス表面で研磨物品が若干弾んだりスキップする可能性があり、また研磨物品とガラス表面との間の接触が実質的に一定になる時点に、グラインダは計時を始める。このように、実時間研削間隔、すなわち、研磨物品とガラス表面との間の接触は約12秒である。研削後、最終表面仕上と最終重量または厚さが各々記録される。
【0030】
所望の仕様に実際のガラスワークピースを研削するのに必要な実時間(速度)は、使用した研磨機械、研磨物品の下の裏地パッド、研磨の回転速度、研磨対象の表面積のサイズ、接触圧、研磨材の粒度、取り除かれるガラス量、研削対象の表面の初期条件等のようないくつかの要因に依存して変化することが理解される。上述のRPP手順は、本発明による物品および方法と従来のガラス研削技術とを比較するために利用し得る基準性能特性を簡単に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による研磨物品の一実施態様の斜視図である。
【図2】図1の研磨物品の平面図である。
【図3】本発明による研磨物品の他の実施態様の平面図である。
【図4】本発明による研磨物品の第3の実施態様の平面図である。
【図5】本発明による研磨物品の第4の実施態様の平面図である。
【図6A】本発明の研磨複合材の側面図である。
【図6B】図6Aの研磨複合材の平面図である。
【図7】本発明による凝集物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、裏材と、好ましくはダイヤモンド、ダイヤモンド粒子を含む凝集物または裏材の表面に接合された結合剤の中に分散されたセリア粒子を含む少なくとも1つの3次元の研磨コーティングと、を具備する研磨物品を用いてガラス表面を仕上る、すなわち研削し、研磨する方法に関する。研磨コーティングは、結合剤先駆物質と複数の研磨粒子または研磨凝集物、好ましくはダイヤモンドまたはセリア研磨粒子またはダイヤモンド粒子を含む凝集物から形成される結合剤を含む。
【0033】
ガラスの最終用途は、家庭または商業的環境にあり得る。ガラスは、装飾目的または構造上の目的で使用し得る。ガラスは少なくとも1つの仕上面を有する。ガラスはかなり平坦であり得るか、あるいはガラスに関連してある輪郭を有し得る。これらの輪郭は、曲線または角の形状であり得る。ガラス表面またはワークピースの実施例は、レンズ、プリズム、鏡、CRT(陰極線管)スクリーン等のような光学的要素の部分を含む。CRTスクリーンは、テレビセット、コンピュータモニタ等のような装置で使用されるディスプレイ表面に広範囲に見られる。CRTスクリーンは、約10cm(4インチ)〜約100cm(40インチ)以上のサイズ(対角線に沿って測定)の範囲である。CRTスクリーンは凸型の外面を有し、曲率半径がある。
【0034】
次に、図を参照すると、本発明による研磨物品10の一実施態様が図1と図2に示されている。図1は、その1つの主面で複数の研磨複合材11を支承する一体成形された裏材14を含む研磨物品10の斜視図である。複合材11は菱形であり、末端部または頂面12と基部13とを有する。研磨複合材11は、有機結合剤の中に分散された複数の研磨粒子を含む。研磨粒子は、異なる研磨材料の混合物であり得る。複合材11は、基部13に沿って裏材14と一体成形される。ほとんどすべての場合、裏材14は、複合材11の間のランドエリアとして可視である。複合材11は、有機樹脂と研磨粒子、および充填材、顔料、カップリング剤等のような任意の追加の選択的な添加剤を含む。
【0035】
図2は研磨物品10の平面図であり、裏材14に頂面12を有する複合材11を再び示している。複合材11は裏材14の全面に配置し得るか、あるいは裏材14の一部は、図2に示したように複合材によって覆われないままにし得る。複合材11は対称的かつ規則正しく裏材14に配置される。
【0036】
隣接した研磨複合材の基部13は、裏材またはランドエリア14によって互いに分離されることが好ましい。この分離によって、部分的に、流体媒体(例えば、潤滑剤)は研磨複合材の間を自由に流れることができる。流体媒体のこの自由流動は、切削速度が改善された表面仕上、またはガラス研削中の平坦度の増加に貢献する傾向を有する。研磨複合材の間隔は、直線cm当たり約0.3〜約100個の研磨複合材、好ましくは直線cm当たり約0.4〜約20個の研磨複合材、より好ましくは直線cm当たり約0.5〜約10個の研磨複合材、さらにより好ましくは直線cm当たり約0.6〜約3.0個の研磨複合材体であり得る。研磨物品の1つの観点では、少なくとも約5個の複合材/cm2、好ましくは少なくとも100個の複合材/cm2である。本発明のさらなる実施態様では、複合材の面積間隔は1cm2当たり約1個〜約12,000個の範囲である。
【0037】
研磨複合材の1つの好適な形状は、図3に示したように、一般的に円柱であり、図3は、円形の研磨複合材31を具備する研磨物品30の平面図である。裏材34は複合材31の間に見ることができる。図3では、裏材34(複合材の間のすべてのランドエリアを除く)の全面は、複合材31によって覆われる。研磨複合材31の高さは、研磨物品30にわたって一定であるが、研磨複合材の高さは変化可能であることが好ましい。複合材の高さは、約10〜約25,000μm(2.5cm)、好ましくは約25〜15,000μm、より好ましくは約100〜10,000μm、さらに好ましくは約1,000〜約8,000μmの値であり得る。複合材の直径は、少なくとも円柱の複合材について、約1,000μm(1.0mm)〜25,000μm(2.5cm)、好ましくは5,000〜20,000μmの値であり得る。特に好ましい形状は、約15,900μm(1.59cm)の基部直径を有する約9,500μm(0.95cm)の高さの円柱を含む。隣接した円柱の基部の間は約3,200μmである。他の好ましい形状は、約6,300μm(0.63cm)の高さと、約7,900μm(0.79cm)の基部直径とを有する円柱を含む。隣接した円柱の基部の間は約2,400μmである。
【0038】
図4は、楔またはパイ状の研磨物品40の平面図である。複合材41は、複合材の間のランドエリア44を有するアーチ状の部分に配設される。複合材41の形状または寸法は同一ではない。
【0039】
ある用途では、研磨複合材内に配置されたメタルボンド研磨セグメントを含むことが望ましいかもしれない。このようなメタルボンド研磨セグメントは、得られる研磨物品の研削能力を一般的に増加する。例えば、このセグメントは、電気めっき、ホットプレス、焼結し得るか、あるいは他の任意の公知のセグメントであり得る。研磨粒子、例えばダイヤモンド粒子は、セグメントの全体にわたってランダムに分散し得るか、あるいは正確に間隔を置いて配置し得る。研磨粒子は、セグメントの全体にわたって層状にまたは均質に配置し得る。特に有用なメタルボンド研磨セグメントは、1997年12月4日出願の米国特許出願通し番号第08/984,899号の教示により製造可能である。これらのセグメントの断面は、好ましくは長方形または円形であるが、任意の形状が可能である。セグメントは研磨複合材の側縁に完全に合うこと、すなわちセグメントが複合材の頂面の上または複合材の側壁を越えて延在しないことが望ましい。代わりに、メタルボンドでなく、ガラスまたはビトリファイド結合、あるいはセラミック、あるいはガラスセラミック結合を有するセグメントを研磨複合材に含むことが望ましい。
【0040】
図5は、裏材54に研磨複合材51を含む研磨物品50の平面図である。研磨複合材51の一部は、複合材の中に埋め込まれたメタルボンド研磨セグメント55を有する。
【0041】
図6Aと図6Bは、複合材61の側面図と平面図をそれぞれ示している。図6Aは、裏材(図示せず)に隣接した基部63と頂面62とを有する複合材61を示している。複合材61は高さHを有する。一般的に、複合材の高さは、約10〜約30,000μm(2.5cm)、好ましくは約25〜15,000μm、より好ましくは約100〜10,000μmの間にある。ある実施態様では、複合材61は、僅かにテーパ形状、例えば錐体または円錐であることが望ましいかもしれない。図6Aは、複合材61のテーパを画定する、基部63と側壁66との間に内角αを有する複合材61を示している。角度αは90°(すなわち、複合材にテーパがない)〜約45°であり得る。好ましくは角度αは、75°と89.9°であり、より好ましくは80°〜89.7°であり、さらにより好ましくは80°〜87°である。テーパ状の複合材は、使用時の複合材の破壊の制御に役に立つかもしれないこと、また複合材を成形するために使用される工具から複合材を取り除く際に役に立つことが理論化される。また図6Aに、側壁66が頂面62に出会うコーナの内部半径である半径rが示されている。僅かに丸くされるか、丸みがつけられるコーナを有することが一般的に好ましいが、これは、丸いコーナを材料(すなわち樹脂と研磨粒子)で完全に充填し、また工具から取り除くことがより容易であると考えられるからである。
【0042】
図6Bは複合材61の平面図である。基部63は、頂面62の直径DTよりも大きな直径DOを有する。61のような円形の複合材のために、DOは、約1,000〜約50,000μm(2.5cm)であり得る。同様に、DTは、約500〜約50,000μmであり得る。正方形、長方形、三角形、星車等のような他の任意の断面形状については、複合材の直径はDOとDTとの差であり、これは、複合材61のテーパ(直接、角度αに関係)と高さHとによって決定される。
【0043】
研磨複合材は好ましくは認識可能な形状を有する。当初は、研磨粒子が結合剤の表面を越えて突出しないことが好ましい。表面を研磨するために研磨物品が使用されるにつれ、複合材は崩壊して、未使用の研磨粒子を暴露する。
【0044】
研磨複合材の形状は任意の形状であることができ、また立方体、ブロック、円筒、角柱、長方形、角錐、切頭角錐、円錐、切頭円錐、十字、または平坦な頂面を有する柱のような多くの幾何学的形状から選択し得る。他の形状は半球形であり、米国特許第5,681,217号にさらに記述されている。得られる研磨物品は、異なる研磨複合材形状の混合物を有し得る。基部の断面形状は、頂面と異なり得ることが予期される。例えば、頂面が円形であるのに対し、研磨複合材の基部は正方形であり得る。
【0045】
研磨複合材の基部は互いに、あるいは交互に当接でき、隣接した研磨複合材の基部は、ある指定距離、すなわちランドエリアによって互いに分離し得る。理解すべきは、当接に関するこの定義が、それらの向かい合う側壁の間に接触かつ延在する共通の研磨ランド材料またはブリッジ状の構造を前記隣接した複合材が共有する構成をも網羅していることである。研磨ランド材料は、研磨複合材を形成するために使用される同一の研磨スラリから、あるいは裏材を形成するために使用されるスラリから一般的に形成される。
【0046】
図1、図2、図4に示した研磨物品は、このような複数の物品に使用されるように設計される。これらのパイまたは楔状の物品は、360°の円を完成するバックアップパッドに一般的に配設される。次に、この円形の研磨物品は、TVおよびCRTスクリーンのようなガラスワークピースを研削するために使用される。代わりに、図3と図5に示したような物品の1つのみをバックアップパッドに配設して、バックアップパッド全体を覆うだけでよい。
【0047】
個々の研磨複合材の形状または寸法に関係なく、裏材の表面積の好ましくは約20%〜約90%、より好ましくは約30%〜約70%、さらにより好ましくは約40%〜約60%が、研磨複合材によって覆われる。正確な研削工程に応じて、研削は、研磨物品の全体にわたって行われ得るか、あるいは他の領域に優先して1つの領域に集中し得る。
【0048】
A.結合剤
結合剤は、結合剤先駆物質から形成されることが好ましい。結合剤先駆物質は、未硬化または非重合状態の樹脂を含む。研磨物品の製造時、結合剤先駆物質中の樹脂は重合または硬化されて、結合剤を形成する。結合結合剤先駆物質は、凝縮硬化性樹脂、付加重合性樹脂、遊離基硬化性樹脂および/またはこのような樹脂の組合せとブレンドを含み得る。
【0049】
好ましい結合剤先駆物質は、遊離基機構を介して重合する樹脂または樹脂混合物である。重合過程は、適切な触媒と共に結合剤先駆物質を熱エネルギまたは放射線エネルギのようなエネルギ源に暴露して開始される。
【0050】
放射線エネルギの例としては、電子ビーム、紫外線または可視光線が挙げられる。遊離基硬化性樹脂の例としては、アクリル化ウレタン、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリエステル、エチレン系不飽和モノマ、不飽和カルボニル側基を有するアミノプラストモノマ、少なくとも1つのアクリレート側基を有するイソシアヌレートモノマ、少なくとも1つのアクリレート側基を有するイソシアネートモノマ、およびこれらの混合物と組合せが挙げられる。アクリレートという用語は、アクリレートおよびメタクリレートを含む。
【0051】
1つの好ましい結合剤先駆物質がウレタンアクリレートオリゴマ、またはウレタンアクリレートオリゴマとエチレン系不飽和モノマとの混合物を含む。好ましいエチレン系未飽和モノマは、単官能価アクリレートモノマ、二官能価アクリレートモノマ、三官能価アクリレートモノマ、またはそれらの組合せである。これらの結合剤先駆物質から形成された結合剤は、その所望の特性を研磨物品に与える。特に、これらの結合剤は、研磨物品の寿命の全体にわたって研磨粒子を確保するために、強靱で耐久性があり、また長持ちする媒体を提供する。この結合剤の化学的性質は、ダイヤモンド研磨粒子が、従来のほとんどの研磨粒子よりもはるかに長期間使用できるので、ダイヤモンド研磨粒子に使用する場合に特に有用である。ダイヤモンド研磨粒子と関連した長い寿命を十分に利用するために、強靭かつ耐久性のある結合剤が望ましい。かくして、ウレタンアクリレートオリゴマと、アクリレートモノマおよびダイヤモンド研磨粒子との組合せまたはブレンドによって、長持ちする耐久性のある研磨コーティングが提供される。
【0052】
商業的に入手可能なアクリル化ウレタンの例は、Henkel Corp.,Hoboken,NJから商業的に入手可能な商標名「PHOTOMER」(例えば「PHOTOMER6010」);UCB Radcure Inc.,Smyrna,GAから商業的に入手可能な「EBECRYL220」(分子量1000の六官能価芳香族ウレタンアクリレート)、「EBECRYL284」(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートで希釈された分子量1200の脂肪族ウレタンジアクリレート)、「EBECRYL4827」(分子量1600の芳香族ウレタンジアクリレート)、「EBECRYL4830」(テトラエチレングリコールジアクリレートで希釈された分子量1200の脂肪族ウレタンジアクリレート)、「EBECRYL6602」(トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレートで希釈された分子量1300の三官能価芳香族ウレタンアクリレート)、および「EBECRYL840」(分子量1000の脂肪族ウレタンジアクリレート);Sartomer Company,West Chester,PAから商業的に入手可能な「SARTOMER」(例えば、「SARTOMER9635、9645、9655、963−B80、966−A80」等)、およびMorton International,Chicago,ILから商業的に入手可能な「UVITHANE」(例えば「UVITHANE782」)が挙げられる。
【0053】
エチレン系不飽和モノマまたはオリゴマ、あるいはアクリレートモノマまたはオリゴマは、単官能基、二重官能価、三官能価または四官能価、あるいはさらに高い官能価であり得る。アクリレートという用語はアクリレートとメタクリレートの両方を含む。エチレン系不飽和結合剤先駆物質は、炭素原子、水素原子および酸素原子、任意に窒素原子およびハロゲンを含むモノマおよびポリマ化合物の両方を含む。エチレン系不飽和モノマまたはオリゴマは、分子量が約4,000未満であることが好ましく、また脂肪族モノヒドロキシ基または脂肪族ポリヒドロキシ基および不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等を含む化合物の反応から作られるエステルであることが好ましい。エチレン系不飽和モノマの代表的な例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ビニルトルエン、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、およびペンタエリトリトールテトラメタクリレートが挙げられる。その他のエチレン系不飽和モノマまたはオリゴマとしては、モノアリルエステル、ポリアリルエステルとポリメタリルエステル、およびジアリルフタレート、ジアリルアジペートとN,N−ジアリルアジパミドのようなカルボン酸のアミドが挙げられる。さらに他の窒素含有化合物としては、トリス(2−アクリル−オキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリ(2−メタクリルオキシエチル)−s−トリアジン、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N−メチル−アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドンとN−ビニル−ピペリドン、およびRadcure Specialtiesから商業的に入手可能な「CMD3700」が挙げられる。エチレン系不飽和希釈剤またはモノマの例は、米国特許第5,236,472号および第5,580,647号に記載されている。
【0054】
一般的に、これらのアクリレートモノマの間の比率は、ダイヤモンド研磨粒子、および最終の研磨物品に望ましい任意の選択的な添加剤または充填剤の重量%に左右される。典型的に、これらのアクリレートモノマは、約5〜約95重量部のエチレン系不飽和モノマに対して約5〜95重量部のウレタンアクリレートオリゴマの範囲にある。他の可能性がある有用な結合剤および結合剤先駆物質に関する追加の情報は、PCT国際特許第97/11484号および米国特許第4,773,920号に確認し得る。
【0055】
アクリル化エポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジアクリレートエステルのようなエポキシ樹脂のジアクリレートエステルである。商業的に入手可能なアクリル化エポキシ樹脂の例としては、Radcure Specialtiesから商業的に入手可能な商標名「CMD3500」、「CMD3600」および「CMD3700」;またSartomer Companyから商業的に入手可能な「CN103」、「CN104」、「CN111」、「CN112」と「CN114」が挙げられる。
【0056】
ポリエステルアクリレートの例としては、Henkel Corporationから商業的に入手可能な「PHOTOMER5007」および「PHOTOMER5018」が挙げられる。
【0057】
アミノプラストモノマは、少なくとも1つのα、β−不飽和カルボニル側基を有する。これらの不飽和カルボニル基は、アクリレート、メタクリレートまたはアクリルアミドタイプの基であり得る。このような材料の例としては、N−(ヒドロキシメチル)−アクリルアミド、NN’−オキシジメチレンビスアクリルアミド、オルトおよびパラアクリルアミドメチル化フェノール、アクリルアミドメチル化フェノールノボラック、またこれらの組合せが挙げられる。これらの材料は、米国特許第4,903,440号および第5,236,472号に記載されている。
【0058】
少なくとも1つのアクリレート側基を有するイソシアヌレート、および少なくとも1つのアクリレート側基を有するイソシアネート誘導体は、米国特許第4,652,27号に記載されている。好ましいイソシアヌレート材料は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートである。
【0059】
遊離基硬化性樹脂の硬化または重合の程度に応じて、結合剤先駆物質は、硬化剤(触媒または開始剤としても公知)をさらに含み得る。適切なエネルギ源にさらされた場合、硬化剤は、重合プロセスを開始する遊離基源を生成する。
【0060】
好ましい結合剤先駆物質はエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂はオキシランリングを有し、開環反応により重合する。このようなエポキシド樹脂としては、モノマエポキシ樹脂およびポリマエポキシ樹脂が挙げられる。いくつかの好ましいエポキシ樹脂の例としては、Shell Chemical Co.,Houston,TXから商業的に入手可能な「EPON828」、「EPON1004」と「EPON1001F」の商標名で商業的に入手可能な材料、プロパン、ビスフェノールのジグリシジルエーテル、およびDow Chemical Co,Midland,MIから商業的に入手可能な「DER−331」、「DER−332」と「DER−334」が挙げられる。その他の適切なエポキシ樹脂としては、Dow Chemical Co.から商業的に入手可能な脂環式エポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒドノボラックのグリシジルエーテル(例えば、「DEN−431」と「DEN−428」)が挙げられる。遊離基硬化性樹脂およびエポキシ樹脂のブレンドは、米国特許第4,751,138号および第5,256,170号に記載されている。
【0061】
B.裏材料
裏材は、結合剤と研磨粒子との組合せによって形成される研磨複合材に支持体を提供する機能に役立つ。本発明に有用な裏材は、結合剤先駆物質に硬化条件を受けさせた後に結合剤に付着できなければならず、また本発明の方法で用いられる物品が、ガラス表面の輪郭、丸みおよび凹凸に合致するように、前記硬化条件を受けさせた後に可撓性であることが好ましい。
【0062】
多くのガラス仕上用途では、裏材は、得られる研磨物品が長持ちするように、強度があり耐久性がある必要がある。さらに、ある研削用途では、裏材は、研磨物品がガラスワークピースに均一に合致し得るように、強度があり可撓性である必要がある。これは典型的に、ガラスワークピースの表面が研磨物品に対応する形状または輪郭を有する場合に正しい。裏材は、強度および順応性の上記特性を提供する、ポリマフィルム、紙、バルカンファイバ、成形またはキャストされたエラストマ、処理不織布裏材または処理布裏材であり得る。ポリマフィルムの例としては、ポリエステルフィルム、コポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。紙を含む不織布を熱硬化性または熱可塑材料で飽和させて、上記の必要な特性を提供し得る。上記の裏材料の任意のものは、充填剤、繊維、染料、顔料、界面活性剤、カップリング剤、可塑剤等の添加剤を含み得る。好ましくは、本発明のガラス研磨の研磨物品に使用される裏材は、1つ以上の種類の繊維、例えばケイ酸塩、金属、ガラス、炭素、セラミック、高モジュラスの有機物、およびそれらの任意の組合せの繊維を含む。本発明の裏材はまた、補強スクリムまたは布、例えばDuPont Company,Wilmingtonから入手可能なNOMEX(商標)の布を含み得る。
【0063】
ある場合には、一体成形された裏材、すなわち、例えば布のような裏材に複合材を独立して取り付ける代わりに、複合材に隣接して直接成形された裏材を有することが好ましいかもしれない。裏材は、複合材が成形された後に複合材の背部に成形するか、またはキャストするか、あるいは複合材と同時に成形するか、またはキャストし得る。裏材は、熱硬化性または放射線硬化性の熱可塑性物質あるいは熱硬化性樹脂から成形し得る。典型的かつ好ましい熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン系不飽和樹脂、アクリル化イソシアヌレート樹脂、ユリア−ホルムアルデヒド樹脂、イソシアヌレート樹脂、アクリル化ウレタン樹脂、アクリル化エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい熱可塑性樹脂の例としては、ポリアミド樹脂(例えばナイロン)、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂(ポリウレタン−ユリア樹脂を含む)が挙げられる。1つの好ましい熱可塑性樹脂は、ポリエステルポリオールとイソシアネートとの反応生成物から誘導されるポリウレタンである。
【0064】
裏材の化学的性質が複合材の化学的性質と同一あるいは類似しているかは、本発明の範囲内にある。
【0065】
C.研磨粒子
本発明による研磨物品はまた、複数の研磨粒子または研磨凝集物を含む。図7は、本発明の研磨凝集物を示している。研磨凝集物70は、永久結合剤72の中に分散された単一の研磨粒子74を含む。永久結合剤72は、ガラス、セラミック、金属、または上述のような有機結合剤であり得る。好ましくは、単一の研磨粒子74は単一のダイヤモンド粒子を含む。好ましくは、凝集物に用いられる単一のダイヤモンド粒子は、約1〜約100μmの範囲のサイズを有する。好ましい永久結合剤は、Specialty Glass Inc.,Oldsmar,FLから商業的に入手可能な「SP1086」ガラス粉末である。
【0066】
一般的に、15μmよりも大きなダイヤモンド粒子を含む凝集物粒子の平均粒度は、約100〜約1000μm、好ましくは約100〜約400μm、より好ましくは約225〜約350μmである。しかし、15μmよりも小さなダイヤモンド粒子を含む凝集物粒子の平均粒度は、約20〜約450μm、好ましくは約40〜約400μm、より好ましくは約70〜約300μmである。
【0067】
研磨凝集物は、米国特許第4,311,489号、第4,652,275号、および第4,799,939号にさらに記載されている。研磨粒子は、カップリング剤または金属またはセラミックコーティングのような表面処理剤またはコーティングを含み得る。
【0068】
本発明に有用な研磨粒子は、約0.01μm(小さい粒子)〜500μm(大きい粒子)、より好ましくは約3〜約500μm、さらにより好ましくは約5〜約80μmの平均粒度を有することが好ましい。時折、研磨粒子の粒度は、「メッシュ」または「グレード」として報告され、その両方は、周知の研磨粒子のサイジング方法である。研磨粒子は、少なくとも8、より好ましくは少なくとも9のモース硬度を有することが好ましい。このような研磨粒子の例は、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、加熱処理酸化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナジルコニア、酸化鉄、ダイヤモンド(天然および合成)、セリア、立方晶窒化ホウ素、ガーネット、およびそれらの組合せである。
【0069】
ガラス研削のために、研磨物品は、ダイヤモンド研磨粒子またはダイヤモンドを含む研磨凝集物を使用することが好ましい。これらのダイヤモンド研磨粒子は、天然または合成して作製したダイヤモンドであることが可能であり、また「樹脂結合ダイヤモンド」、「ソーブレードグレードダイヤモンド」または「金属結合ダイヤモンド」であると考えることが可能である。単一のダイヤモンドは、それらに対応したブロック状の形状、あるいは代わりにニードル状の形状を有し得る。単一のダイヤモンド粒子は、金属コーティング(例えば、ニッケル、アルミニウム、銅等)、無機コーティング(例えば、シリカ)または有機コーティングなどの表面コーティングを含み得る。本発明の研磨物品は、ダイヤモンドと他の研磨粒子とのブレンドを含み得る。ガラス研磨については、研磨物品はセリア研磨粒子を使用することが好ましい。
【0070】
3次元の研磨コーティング、すなわち研磨複合材は、約0.1〜90重量部の研磨粒子または凝集物と、約10〜99.9重量部の結合剤とを含むことができ、ここで用語「結合剤」は、研磨粒子以外の任意の充填剤および/または他の添加剤を含む。しかし、ダイヤモンド研磨粒子に伴う費用のため、研磨コーティングは約0.1〜50重量部の研磨粒子と約50〜99.9重量部の結合剤を含むことが好ましい。より好ましくは、研磨コーティングは、約1〜30重量部の研磨粒子または凝集物と、約70〜99重量部の結合剤とを含み、さらにより好ましくは、研磨コーティングは、約1.5〜10重量部の研磨粒子または凝集物と、約90〜98.5重量部の結合剤とを含む。特に有用な範囲のダイヤモンド研磨粒子は、研磨複合材の2〜4重量%のダイヤモンドである。本発明の研磨物品が研磨複合材の主要研磨材としてセリア粒子を含むならば、セリア粒子は、1〜95重量部、より好ましくは10〜95重量部の量で存在することが好ましく、残りは結合剤である。
【0071】
D.添加剤
本発明の研磨コーティングおよび裏材は、研磨粒子表面改質添加剤、カップリング剤、充填剤、膨張剤、繊維、静電防止剤、硬化剤、沈殿防止剤、光増感剤、潤滑剤、湿潤剤、界面活性剤、顔料、染料、紫外線安定剤、および抗酸化剤のような任意の添加剤をさらに含み得る。これらの材料の量は所望の特性を提供するように選択される。
【0072】
カップリング剤は、結合剤と研磨粒子との間に会合橋を提供し得る。さらに、カップリング剤は、結合剤と充填剤粒子との間に会合橋を提供し得る。カップリング剤の例としては、シラン、チタネートおよびジルコアルミネートが挙げられる。カップリング剤を混和する種々の手段がある。例えば、カップリング剤は結合剤先駆物質に直接添加し得る。研磨コーティングは、約0〜30重量%、好ましくは0.1〜25重量%のカップリング剤を含み得る。代わりに、カップリング剤は充填粒子または研磨粒子の表面に加え得る。研磨粒子は、研磨粒子およびカップリング剤の重量に基づき、約0〜3重量%のカップリング剤を含み得る。商業的に入手可能なカップリング剤の例としては、OSi Specialties,Danbury,CTから商業的に入手可能な「A174」および「A1230」が挙げられる。商用のカップリング剤のさらに別の例は、Kenrich Petrochemicals,Bayonne,NJから商業的に入手可能な商標名「KR−TTS」のイソプロピルトリイソステロイルチタン酸である。
【0073】
さらに研磨コーティングは、任意に充填剤を含み得る。充填剤は微粒子材料であり、0.1〜50μm、典型的に1〜30μmの範囲の平均粒度を一般的に有する。本発明に有用な充填剤の例としては、金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム(チョーク)、方解石、マール、トラバーチン、大理石、および石灰岩);炭酸マグネシウムカルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム)、シリカ(例えば、水晶、ガラスビーズ、ガラス気泡、ガラス繊維)、ケイ酸塩(例えば、滑石、粘土(モントモリロン石);長石、雲母、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、および含水および無水ケイ酸カリウム)、金属硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム)、石膏、バーミキュライト、木粉、アルミニウム3水和物、カーボンブラック、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム(石灰);酸化アルミニウム、酸化スズ(例えば、酸化第2スズ);二酸化チタン))、および金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸カルシウム)、熱可塑性粒子(ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ、ポリプロピレン、アセタールポリマ、ポリウレタン、ナイロン粒子)および熱硬化性粒子(例えば、フェノール気泡、フェノールビーズ、ウレタンフォーム粒子)等である。充填剤はまた、ハロゲン化物塩のような塩であり得る。ハロゲン化物塩の例としては、塩化ナトリウム、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、アンモニウム氷晶石、カリウムテトラフルオロボレート、ナトリウムテトラフルオロボレート、フッ化ケイ素、塩化カリウム、塩化マグネシウムが挙げられる。金属充填剤の例としては、錫、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、鉄チタンが挙げられる。その他の充填剤は、硫黄、有機硫黄化合物、黒鉛および金属硫化物を含む。研磨コーティングは、好ましくは約40〜60重量%の充填材、より好ましくは約45〜60重量%の充填材、最も好ましくは約50〜60重量%の充填材を含む。好ましい充填剤は、メタケイ酸カルシウム、酸化白色アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカおよびそれらの組合せを含む。特に好ましい充填剤の組合せは、メタケイ酸カルシウムと酸化白色アルミニウムである。
【0074】
沈殿防止剤の一例は、1g当たり150m2未満の表面積を有する非晶質シリカ粒子であり、「OX−50」の商標名でDeGussa Corp.,Ridgefield Park,NJから商業的に入手可能である。沈殿防止剤の添加は、研磨スラリの全体の粘度を低下し得る。沈殿防止剤の使用については、米国特許第5,368,619号にさらに記載されている。
【0075】
ある実施態様では、研磨粒子の定着を制御できる研磨スラリを形成することが望ましいかもしれない。一例として、全体にわたって均質に混合されたダイヤモンド研磨粒子を有する研磨スラリの形成が可能であり得る。スラリから複合材と裏材とを鋳造または成形した後、ダイヤモンド粒子がもはや定着し得ない点に有機樹脂が硬化した時点において、ダイヤモンド粒子が裏材から離れており、また複合材の中にのみ位置するように、ダイヤモンド粒子は制御速度で定着し得る。
【0076】
結合剤先駆物質は、硬化剤をさらに含み得る。硬化剤は、結合剤先駆物質が結合剤に変換されるように、重合あるいは架橋プロセスを開始し、また完成するのを助ける材料である。用語「硬化剤」は、開始剤、光開始剤、触媒および活性剤を網羅する。硬化剤の量および種類は、結合剤先駆物質の化学的性質に主に依存する。
【0077】
1つまたは複数のエチレン系不飽和モノマまたは1つまたは複数のオリゴマの重合は、遊離基機構を介して行われる。エネルギ源が電子ビームである場合、電子ビームは、重合を開始する遊離基を発生する。しかし、結合剤先駆物質が電子ビームに暴露される場合に開始剤を使用することは、本発明の範囲に含まれる。エネルギ源が熱、紫外線または可視光線である場合、遊離基を生成するために開始剤が存在しなければならない。紫外線または熱に暴露したときに遊離基を生成する開始剤(つまり光開始剤)の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール、クロロトリアジン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ジケトン、フェノン、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。紫外線に暴露したときに遊離基を生成する商業的に入手可能な光開始剤の例としては、Ciba Geigy Company,Hawthorne,NJから商業的に入手可能な「IRGACURE651」および「IRGACURE184」の商標名と、Merck&Company,Incorporated,Rahway,NJから商業的に入手可能な商標名「DAROCUR1173」とを有する光開始剤が挙げられる。可視光線に暴露したときに遊離基を生成する開始剤の例は、米国特許第4,735,632号に確認し得る。可視光線に暴露したときに遊離基を生成するもう1つの光開始剤は、Ciba Geigy Companyから商業的に入手可能な商標名「IRGACURE369」である。
【0078】
典型的に、開始剤は、結合剤先駆物質の重量に基づき0.1〜10重量%、好ましくは2〜4重量%の範囲の量で使用される。さらに、開始剤は、研磨粒子および/または充填粒子のような任意の微粒子材料を加える前に、結合剤先駆物質中に分散することが好ましく、均一に分散することがより好ましい。
【0079】
一般的に、結合剤先駆物質は放射線エネルギ、好ましくは紫外線または可視光線に暴露することが好ましい。ある場合には、特定の研磨粒子および/または特定の添加剤は、紫外線および可視光線を吸収し、結合剤先駆物質を適切に硬化させることが難しくなる。この現象は、セリア研磨粒子および炭化珪素研磨粒子に特に当てはまる。きわめて意外なことだが、ホスフェート含有光開始剤、特にアシルホスフィン酸化物含有光開始剤を使用すると、上記の問題が解決される傾向があることが分かった。このような光開始剤の一例は、BASF Corporation,Charlotte,NCから「LUCIRIN TPO」の商標名で商業的に入手可能な2,4,6−トリメチルベンゾイルジフエニルホスフィン酸化物である。商業的に入手可能なアシルホスフィン酸化物のその他の例としては、商標名「DAROCUR4263」および「DAROCUR4265」を有するものが挙げられ、共にMerck & Companyから商業的に入手可能である。
【0080】
選択的に、硬化性組成物は、空気中で、または窒素のような不活性大気中で重合に影響を及ぼす感光剤または光開始剤系を含み得る。これらの感光剤または光開始剤系は、カルボニル基または第三アミノ基およびこれらの混合物を有する化合物を含む。カルボニル基を有する好ましい化合物としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、キサントン、チオキサントン、9,10−アントラキノン、および感光剤として作用可能な他の芳香族ケトンがある。好ましい第三アミンとしては、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニルメチル−エタノールアミン、およびジメチルアミノエチルベンゾアートがある。一般的に、感光剤または光開始剤系の量は、結合剤先駆物質の重量に基づき約0.01〜10重量%、より好ましくは0.25〜4.0重量%の範囲にあり得る。感光剤の例としては、すべてBiddle Sawyer Corp,New York,NYから商業的に入手可能な「QUANTICURE ITX」、「QUANTICURE QTX」、「QUANTICURE PTX」および「QUANTICURE EPD」の商標名を有する感光剤が挙げられる。
【0081】
研磨製品を製造する第1のステップは、研磨スラリを用意することである。研磨スラリは、任意の適切な混合技術を用いて結合剤先駆物質、研磨粒子および任意の添加剤を結合して製造される。混合技術の例としては、低剪断および高剪断混合があるが、高剪断混合が好ましい。研磨スラリの粘度を下げるために、混合ステップと組み合わせて、超音波のエネルギも利用し得る。典型的に、研磨粒子または凝集物は結合剤先駆物質内に徐々に加えられる。研磨スラリは、結合剤先駆物質、研磨粒子または凝集物、および任意の添加剤の均質な混合物であることが好ましい。必要ならば、水分および/または溶剤を添加して粘度を低下し得る。研磨スラリ内の気泡の量は、混合ステップ中または混合ステップ後に真空引きすることによって最小限にし得る。ある場合には、一般的に約30℃〜約100℃の範囲で研磨スラリを加熱して粘度を低下させることが好ましい。十分に塗布でき、また研磨粒子または凝集物および他の充填剤が塗布前に定着しないような流動性を保証するために、塗布前に研磨スラリを監視することが重要である。
【0082】
ダイヤモンド凝集物は、一時的結合剤、永久結合剤(例えば、ガラス、セラミック、金属)、および単一の研磨粒子と、十分な量の溶剤、通常は水とを共に混合して、成形可能なペーストを造るように成分を湿潤することによって一般的に製造される。しかし、永久結合剤が有機結合剤であるならば、一時的結合剤は必要ではない。成形可能なペーストは適切な金型の中に配置されて、空気乾燥され、また硬化した凝集物が取り除かれる。次に、凝集物はスクリーンのような分類手段を用いて個々の凝集物に分離され、次に、空気中で燃焼されて、最終の乾燥した凝集物を製造する。有機永久結合剤の場合、粒子は燃焼されずに、有機結合剤を硬化するような方法で処理される。
【0083】
研磨複合材を含む研磨物品を製造する1つの方法は、製造工具または複数のキャビティを含む金型を使用する。これらのキャビティは、所望の研磨複合材と本質的に逆の形状であり、研磨複合材の形状を生成する役割を担っている。平方単位面積当たりのキャビティの数は、平方単位面積当たり対応する数の研磨複合材を有する研磨物品をもたらす。これらのキャビティは、円筒、ドーム、角錐、長方形、切頭角錐、角柱、立方体、円錐、切頭円錐のような幾何学的形状、または三角形、正方形、円、長方形、六角形、八角形等である頂面断面の任意の形状を有することが可能である。キャビティの寸法は、平方単位面積当たり所望の数の研磨複合材に達するように選択される。キャビティは、隣接したキャビティの間に間隔を有するドット状のパターンで存在できるか、あるいはキャビティは互いに当接し得る。
【0084】
研磨スラリは、ダイ塗布、真空ダイ塗布、吹付塗布、ロール塗布、転写塗布、ナイフ塗布等のような従来の技術によって、金型のキャビティ内に塗布し得る。もし金型があるいは平坦な頂部あるいは相対的に直線の側壁を有する空洞を備えるなら、次にへ被着の間に減圧を使用するべきことが好ましいがどんな空気罠でも最小にする。金型が平坦な上面を有するか、または比較的直線状の側壁を有する場合、塗布時に真空を使用して、空気の閉じ込めを最小限にすることが好ましい。
【0085】
金型は、ベルト、シート、連続シートまたはウェブ、輪転グラビアロールのような塗布ロール、塗布ロール上に取り付けられたスリーブ、またはダイであることができ、また金型は、ニッケルめっき表面を含む金属、合金、セラミックまたはプラスチックであり得る。製造工具、その製造、材料等のさらなる情報は、米国特許第5,152,917号および第5,435,816号に確認し得る。
【0086】
研磨スラリが熱硬化性結合剤先駆物質を含む場合、結合剤先駆物質は硬化または重合される。この重合は、一般的に、エネルギ源に暴露して開始される。一般的に、エネルギの量は、結合剤先駆物質の化学的性質、研磨スラリの寸法、研磨粒子の量および種類、任意の添加剤の量および種類のようないくつかの要因に関係する。放射線エネルギは1つの好ましいエネルギ源である。放射エネルギ源は電子ビーム、紫外線、または可視光線を含む。
【0087】
研磨物品を製造するための製造工具の使用に関するその他の詳細は、製造される塗布研磨物品が製造工具の逆のレプリカである米国特許第5,152,917号と、第5,435.816号とに記載されている。
【0088】
研磨物品は、ガラス研削に所望の構成に応じて、所望の形状または形態に転換し得る。この転換は、細断、ダイカット、または任意の適切な手段によって実施し得る。
【0089】
本発明の研磨物品は、一体成形の裏材を有することが好ましく、すなわち研磨複合材は、複合材がなお金型のキャビティ内にある間に、複合材の上に鋳造または成形される樹脂裏材に直接接合される。好ましくは、研磨複合材の有機樹脂が完全に硬化する前に、裏材が成形されて、複合材と裏材との間のより優れた接着を可能にする。裏材の適切な接着を保証するために裏材を鋳造する前に、複合材の表面にプライマまたは接着促進剤を含むことが望ましいかもしれない。
【0090】
裏材は、好ましくは約1mm〜2cmの厚さ、より好ましくは約0.5〜1cmの厚さである。得られた研磨物品は、それに対応する曲率または半径を有し得る任意のバックアップパッドに対する適合を可能にするように、弾性的であり、順応できなければならない。ある場合には、予備成形された曲率を有する裏材を成形することが望ましいかもしれない。
【0091】
裏材は、複合材と同一の樹脂から鋳造または成形し得るか、あるいは異なる材料から鋳造し得る。特に有用な裏材樹脂の例としては、ウレタン、エポキシ樹脂、アクリレートおよびアクリル化ウレタンが挙げられる。研磨粒子は一般的に研削目的のために使用されないので、裏材は、その中に研磨粒子を含まないことが好ましい。しかし、充填材、繊維、または他の添加剤を裏材に組み込むことが可能である。裏材と研磨複合材との間の接着を増加するように、繊維を裏材に組み込むことが可能である。本発明の裏材に有用な繊維の例としては、ケイ酸塩、金属、ガラス、炭素、セラミックおよび有機材料から造られる繊維が挙げられる。裏材に使用するための好ましい繊維は、ケイ酸カルシウム繊維、鋼繊維、ガラスファイバ、炭素繊維、セラミックファイバ、および高モジュラスの有機繊維である。
【0092】
ある用途では、成形された裏材の中にスクリム材料等を含むことによって達成できる、より耐久性があり、また剪断抵抗性の裏材を有することが望ましいかもしれない。裏材の成形時に、すでに樹脂で満たされたキャビティ(しかし硬化されていない)にわたってスクリムまたは他の材料を配置し、次に、スクリムにわたって他の樹脂層を加えることが可能であるか、あるいは、未硬化の成形された裏材にわたってスクリムまたは他の材料を配置することが可能である。任意のスクリムまたは添加裏材料は、裏地樹脂が材料を貫通し、巻き込むことを可能にする程度に十分に多孔性であることが好ましい。
【0093】
有用なスクリム材料は、一般的に、軽量の目の粗い織物である。適切な材料は、金属またはワイヤメッシュ、木綿、ポリエステル、レーヨン、ガラス布のような織物、あるいは繊維のような他の補強材を含む。スクリムまたは補強材は、スクリムに対する樹脂の接着を増大するために前処理し得る。
【0094】
ガラス研削の典型的な方法
ガラス表面の研削に使用される本発明の研磨物品は、驚くべきことに大量の材料を除去し、さらに比較的短期間に平滑面を提供する。研削時、研磨物品はガラス表面と相対運動を行い、好ましくは約0.5g/mm〜約25g/mm2、より好ましくは約0.7g/mm2〜20g/mm2の範囲、さらにより好ましくは約10g/mm2の力で、ガラス表面の上に下向きに押圧される。下向きの力が大きすぎるならば、研磨物品は、掻き傷の深さを改善できず、ある場合には掻き傷の深さを増すかもしれない。また、下向きの力が大きすぎるならば、研磨物品の磨耗は過度になり得る。逆に、下向きの力があまりにも小さければ、研磨物品は十分なガラス材料を有効に除去できないかもしれない。ある用途では、ガラスワークピースを研磨物品の上に下向きに押圧し得る。
【0095】
上述のように、ガラスまたは研磨物品またはその両方は、研削ステップ中に相対運動を行う。この運動は、回転運動、不規則運動、または直線運動であり得る。回転運動は、研磨ディスクを回転バイトに取り付けることによって生成し得る。ガラス表面および研磨物品は、同一方向または逆の方向に回転し得るが、同一方向の場合、異なる回転速度である。機械については、作動rpmは、使用される研磨物品に応じて、最高約4000rpm、好ましくは約25rpm〜約2000rpm、より好ましくは約50rpm〜約1000rpmの範囲であり得る。不規則軌道運動は不規則軌道工具によつて生成可能であり、直線運動は連続研磨ベルトによって生成し得る。ガラスと研磨物品との間の相対運動はまた、ガラスの寸法に依存し得る。ガラスが比較的大きい場合、研削中に、ガラスを固定したまま研磨物品を動かすことが好ましいかもしれない。
【0096】
ガラスワークピースを研削または研磨する好ましい方法は、液体潤滑剤を用いた「湿式の」研磨方法である。潤滑剤は、それに関連した複数の利点を有する。潤滑剤の存在下の研磨は、研磨時の熱形成を阻止し、また研磨物品とワークピースとの間の界面から切屑を除去する。「切屑」は、研磨物品によって研磨して除去される実際のガラス破片について説明するために用いられる用語である。ある場合には、切屑は研磨対象のガラスの表面に損傷を与えることがある。このように、界面から切屑を取り除くことが好ましい。潤滑剤の存在下で研磨することはまた、ワークピース表面上により繊細な仕上げをもたし得る。
【0097】
適切な潤滑剤は、アミン、鉱油、灯油、ミネラルスピリット、水溶性油エマルジョン、ポリエチレンイミン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、アミンボレート、ホウ酸、アミンカルボキシレート、パイン油、インドール、チオアミン塩、アミド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチルトリアジン、カルボン酸、ナトリウム2−メルカプトベンゾチアゾール、イソプロパノールアミン、トリエチレンジアミン四酢酸、プロピレングリコールメチルエーテル、ベンゾトリアゾール、ナトリウム2−ピリジンエチオール−1−オキシド、ヘキシレングリコールの1つ以上を含む水性溶液が挙げられる。潤滑剤はまた、腐食防止剤、真菌類阻害剤、安定剤、界面活性剤および/または乳化剤を含み得る。
【0098】
商業的に入手可能な潤滑剤としては、例えば、BUFF−O−MINT(Ameratron Productsから商業的に入手可能)、CHALLENGE 300HTまたは605HT(Intersurface Dynamicsから商業的に入手可能)、CIMTECH GL2015、CIMTECH CX−417およびCIMTECH 100(CIMTECHはCincinnati Milacronから商業的に入手可能)、DIAMOND KOOLまたはHEAVY DUTY(Rhodesから商業的に入手可能)、K−40(LOH Opticalから商業的に入手可能)、QUAKER101(Quaker Stateから商業的に入手可能)、SYNTILO9930(Castrol Industrialから商業的に入手可能)、TIM HM(Master Chemicalから商業的に入手可能)、LONG−LIFE20/20(NCH Corpから商業的に入手可能)、BLASECUT883(Blaser Swisslubeから商業的に入手可能)、ICF−31NF(Du Boisから商業的に入手可能)、SPECTRA−COOL(Salemから商業的に入手可能)、SURCOOL K−11(Texas Ntalから商業的に入手可能)、AFG−T(Noritakeから商業的に入手可能)、SAFETY−COOL130(Castrol Industrialから商業的に入手可能)、およびRUSTLICK(Devoonから商業的に入手可能)の商標名で知られる潤滑剤が挙げられる。
【0099】
1つの好ましい潤滑剤は、3重量%のCimtech100(Cincinnati Milicronから商業的に入手可能)と、水とグリセリンの80/20重量%の混合物の97重量%とを含む。他の好ましい潤滑剤は、K−40の4重量%の水溶液を含む(K−40は石鹸/界面活性剤と鉱油とを含み、LOH Opticalから商業的に入手可能である)。
【0100】
多くの場合、研磨物品は支持パッドに接合される。支持パッドは、ポリウレタン発泡体、ゴム材料、エラストマ、ゴムベースの発泡体または他の適切な材料から作製でき、ワークピースの輪郭に適合できるように設計される。支持パッド材料の硬度および/または圧縮率は、所望の研削特性(切削速度、研磨物品製品の寿命、およびガラスワークピースの表面仕上)を提供するように選択される。
【0101】
支持パッドは、研磨物品が固定される連続した比較的平坦な表面を有し得る。代わりに、研磨物品が固定される一連の隆起部分とより低い部分とが存在する不連続な表面を有し得る。不連続な表面の場合、研磨物品は、隆起部分にのみ固定し得る。逆に、研磨物品全体が完全に支持されないように、一つの研磨物品を2つ以上の隆起部分に固定し得る。支持パッドの不連続な表面は、水の所望の流体流れと所望の研削特性(切削速度、研磨物品製品の寿命、およびガラスワークピースの表面仕上)を提供するように選択される。
【0102】
支持パッドは、円形、長方形、正方形、楕円形等の任意の形状を有し得る。支持パッドのサイズ(最長寸法)は、約5cm〜1500cmの範囲のあり得る。
【0103】
取り付け手段
研磨物品は、感圧接着剤、フックアンドループ取り付け、機械的取り付けまたは永久接着剤によって支持パッドに固定し得る。取り付け手段は、研磨物品が支持パッドに確実に固定され、またガラス研磨の苛酷さ(湿潤環境、熱の発生および圧力)に耐えることができるようなものでなければならない。
【0104】
本発明に適した感圧接着剤の代表的な例としては、ラテックスクレープ、ロジン、アクリルポリマおよびコポリマ、例えば、ポリブチルアクリレート、ポリアクリレートエステル、ビニルエーテル、例えば、ポリビニルn−ブチルエーテル、アルキド接着剤、ゴム接着剤、例えば、天然ゴム、合成ゴム、塩化ゴムおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0105】
代わりに、研磨物品は、それを支持パッドに固定するためのフックアンドループ型取り付けシステムを含み得る。ループ織物は、塗布された研磨剤の裏面にあり、フックはバックアップパッド上にあり得る。代わりに、フックは塗布された研磨剤の裏面にあり、ループはバックアップパッド上にあり得る。このフックアンドループ取り付けシステムは、米国特許第4,609,581号、第5,254,194号、および第5,505,747号、またPCT第WO95/19242号にさらに記載されている。
【0106】
実施例
以下の試験手順および非限定的な実施例によって、本発明についてさらに説明する。特に指摘しない限り、実施例におけるすべての部分、割合、比率等は重量によって示される。
【0107】
実施例の全体にわたって、以下の材料の略語が使用される。
ADI:「ADIPRENE L−100」の商標名でUniroyal Chemical Co.,Charlotte,NCから商業的に入手可能なポリテトラメチルグリコール/トルエンジイソシアンネートプレポリマ。
AER:「CAB−O−SIL M5」の商標名でCabot Corporation,Tuscola,ILから商業的に入手可能なアモルファスヒュームドシリカ充填材。
AMI:「ETHACURE300」の商標名でAlbemarle Corporation,Baton Rouge,LAから商業的に入手可能な芳香族アミン(ジメチルチオトルエンジアミン)。
APS:「FP4」と「PS4」の商標名でICI Americas,Inc.,Wilmington,DEから商業的に入手可能な陰イオンポリエステル界面活性剤。
A−1100:OSi Specialties,Danbury,CTから商業的に入手可能なシランγアミノプロピルトリエトキシシラン。
BD:「BUTVAR DISPERSION」の商標名でMonsanto,Springfield,MAから商業的に入手可能なダイヤモンド粒子用の一時的結合剤として使用されるポリビニルブチラール樹脂である。
CaC03:炭酸カルシウム充填剤。
CERIA:「POLISHING OPALINE」の商標名でRhone−Poulenc,Shelton,CTから商業的に入手可能な酸化セリウム。
CMSK:「WOLLASTOCOAT400」の商標名でNYCO,Willsboro,NYから商業的に入手可能な処理済みメタケイ酸カルシウム充填剤。
DIA:「RVG」、「型式W」の商標名でGeneral Electric,Worthington,OHから商業的に入手可能な工業用ダイヤモンド粒子(種々のサイズ)。
EPO:「EPON828」の商標名でShell Chemical Co.,Houston,TXから商業的に入手可能なエポキシ樹脂。
ETH:「ETHACURE100」の商標名でAlbemarle Corporation,Baton Rouge,LAから商業的に入手可能な芳香族アミン(ジエチルトルエンジアミン)。
GLP:製品番号SP1086でSpecialty Glass,Inc.,Oldsmar,FLから商業的に入手可能な約325メッシュの粒度を有するガラス粉末であり、研磨粒子用の永久結合剤として使用される。
黒鉛:「Grade No.200−09 Graphite Powde」の商標名でSouthwestern Graphite Company,a division of Dixon Ticonderoga Company,Burnet,TXから商業的に入手可能な黒鉛粉末。
IRG819:「Irgacure 819」の商標名でCiba Geigy Corp.,Greensboro,NCから商業的に入手可能な酸化ホスフィン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル、光開始剤。
KBF4:Atotech USA,Inc.,Rock Hill,SCから商業的に入手可能であり、次に78μm未満に粉末にしたカリウムフルオロホウ酸塩。
K−SS:「KASOLV SS」の商標名でPQ Corporation,Valley Forge,PAから商業的に入手可能な無水ケイ酸カリウム。
K−16:「KASOLV SS」の商標名でPQ Corporation,Valley Forge,PAから商業的に入手可能な含水ケイ酸カリウム。
Moly:Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WIから商業的に入手可能な二硫化モリブデン。
OX−50:「OX−50」の商標名でDeGussa Corporation,Dublin,OHから商業的に入手可能な50平方メートル/グラムの表面積を有するシリカ沈殿防止剤。
PWA5:「PWA5」の商標名でFujimi Corporation,Elmhurst,ILから商業的に入手可能な酸化白色アルミニウム。
PWA15:「PWA15」の商標名でFujimi Corporation,Elmhurst,ILから商業的に入手可能な酸化白色アルミニウム。
RIO:赤色酸化鉄顔料粒子。
RNH DIA:American Boarts Crushing Company Inc.,Boca Raton,FLから商業的に入手可能な工業用ダイヤモンド粒子(種々のサイズ)、型式RBおよび所望の粒度にさらに分類され、Coulter Multisizerを使用して測定。
SR339:「SR339」の商標名でSartomer Company,Exton,PAから商業的に入手可能な2−フェノキシエチルアクリレート。
SR368D:「SR368D」の商標名でSartomer Company,Exton,PAから商業的に入手可能なアクリレートエステルブレンド。
TFS:「7」の商標名でDow Corning Company,Midland,MIから商業的に入手可能なトリフルオロプロピルメチルシロキサン泡止め剤。
URE:「ADIPRENE L−167」の商標名でUniroyal Chemical Co.,Charlotte,NCから商業的に入手可能なポリテトラメチレングリコール/トルエンジイソシアネートプレポリマ。
VAZO:Aldrich Chemical Company,Inc.,Milwaukee,WIから商業的に入手可能な1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、98%。
W−G:「NYAD G Special」の商標名でNYCO Minerals,Inc.,Willsboro,NYから商業的に入手可能なケイ酸カルシウム繊維。
【0108】
研磨複合材の形状
製造工具は、TEFLON(登録商標)ブランドのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の厚さ25.0mmのシートに、テーパ穴のパターンをドリルすることによって作製された。結果として得られたポリマ製の製造工具は、円柱状のキャビティを含んでいた。各円柱の高さは約6,300μm、直径は約7,900μmであった。隣接した円柱の基部の間は約2,400μmであった。
【0109】
試験手順
試験手順は、「BUEHLER ECOMET2」パワーヘッドが取り付けられた「Buehler Ecomet4」変速グラインダ(両方ともBuehler Industries,Ltdから商業的に入手可能)を使用した。試験は、ガラス試験用ブランクの表面積にわたって25.5psi(約180kPa)または15psi(約106kPa)のガラス/研磨物品の一定の界面圧力で、500rpmに設定されたモータ速度の条件を用いて実施された。
【0110】
Corning Incorporatedから商業的に入手可能な商標名「CORNING#9061」の直径2.54cm(1インチ)、厚さ約1.0cmの3つの平坦な円形ガラス試験用ブランクが用意された。ガラス材料がグラインダのパワーヘッド内に置かれた。グラインダの30.5cm(12インチ)のアルミニウムプラットホームは反時計廻りに回転され、一方、ガラス試験用ブランクが固定されたパワーヘッドは35rpmで時計回りに回転された。
【0111】
研磨物品は、約20cm(8インチ)の直径の円形に打ち抜かれ、約90ジュロメータのショアA硬さを有するウレタン製の裏材パッド上に感圧接着剤で直接接着された。ウレタン製の裏材パッドは、厚さ約30mmの開放セル軟質発泡パッドに取り付けられた。このパッドアセンブリは、グラインダのアルミニウムプラットホームに置かれた。水道水が約3リットル/分の流速で研磨物品上に吹き付けられ、研磨物品の表面とガラス試験用ブランクとの間に潤滑が行われた。
【0112】
ガラス試験用ブランクは、上述のグラインダを用いて研削された。グラインダの研磨時間間隔は10秒に設定された。しかしながら、研磨物品とガラス試験用ブランク表面との間の実時間接触は、研磨物品がガラス試験用ブランク表面で安定するまでグラインダは計時を始めなかったので、設定時間よりも長いことが確認された。すなわち、ガラス表面で研磨物品が若干弾んだりスキップすることが観測され、また研磨物品とガラス表面との間の接触が実質的に一定になる時点に、グラインダは計時を始めた。このように、研削時間間隔10秒に設定された場合、実時間の研削間隔、すなわち、研磨物品とガラス表面との間の接触は約12秒であった。
【0113】
10秒の研削後に、表面仕上とガラスの厚さが記録された。次に、ガラスは3分間研削され、その後に再び厚さが測定された。この厚さは、次の10秒の研削試験の開始点であった。
【実施例1】
【0114】
実施例1のために、TEFLON(登録商標)ブランドのPTFE金型が、表1の調合物に従って作製された研磨スラリで充填された。部分Aと部分Bは調製され、80℃に加熱され、次に、混合先端部を通して金型のキャビティ内に分配された。
【0115】
次に、充填された支柱キャビティは、他の混合先端部を通して部分Aと部分Bとを分配することによって、約6.4mmの深さまで表2に示した裏材調合物で覆われた。金型を取り囲む壁部は、裏材の所望の厚さを維持する。アルミカバープレートは、硬化サイクル中の裏材樹脂の頂部の上方に配置されて、一定の均一な厚さが保証された。次に、研磨物品全体が165℃で15時間硬化された。
【0116】
硬化後に、サンプルは金型から取り除かれ、試験用に直径20cmの円を生成するために切断された。研削試験が上述のように実行され、結果が表3に示している。表3は、72分間に2つの界面圧力、25.5psi(175.8kPa)と15psi(105.5kPa)で記録された17の研削測定を示している。示された各測定値は、約12秒の研削期間で取り除かれたガラス材料の量である(機械は10秒に設定されているが、前述のように、実際の研削時間は約12秒である)。
【0117】
RaとRzは各データ点の終わりに測定された。12秒の全測定後の表面仕上の平均は、Ra=1.2μm、Rz=8.0μmであった。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】

【0120】
【表3】

【実施例2】
【0121】
実施例2は、研磨スラリの調合が表4に示され、また裏材調合が表5に示している点以外で、実施例1に述べたのと同じように用意された。実施例2は上述のように試験され、結果が表6に示されている。表6は、117分間に2つの界面圧力、25.5psi(175.8kPa)と15psi(105.5kPa)で記録された14の研削測定を示している。示された各測定値は、約12秒の研削期間で取り除かれたガラス材料の量である(機械は10秒に設定されているが、前述のように、実際の研削時間は約12秒である)。
【0122】
RaとRzは各データ点の終わりに測定された。12秒の全測定後の表面仕上の平均は、Ra=0.8μm、Rz=5.8μmであった。
【0123】
【表4】

【0124】
【表5】

【0125】
【表6】

【0126】
A.ダイヤモンド凝集物サンプルの調整手順
各ダイヤモンド凝集物サンプルの成分は、以下の表7に示されている。
【0127】
【表7】

【0128】
各凝集物サンプルのすべての成分を組み合わせ、プラスチックビーカ内でスパチュラを用いて手で混合して、ダイヤモンド分散を形成した。次に、ダイヤモンド分散は、凝集物を形成するための可撓性のプラスチックスパチュラを用いて、ガムドロップ状のキャビティを有する、9ミルの不規則パターンのプラスチック工具内に塗布された。プラスチック工具を製造する方法は米国特許第5,152,917号に記載されている。成形された凝集物サンプルは、室温で夜通し鋳型内で乾燥された。成形された凝集物サンプルは、超音波ホーンを用いて鋳型から取り外された。次に、凝集物サンプルは70メッシュスクリーンを用いて選別されて、互いに分離された。分離後、凝集物のサイズは約175〜約250μmの範囲にあった。
【0129】
ブトバール分散物は、Monsanto,Springfield,MAから商業的に入手可能な一時的結合剤である。GP(ガラス粉末「SP1016」)は、Specialty Glass,Inc.から商業的に入手可能な永久結合剤である。代わりの一時的結合剤は、デキストリン、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂等、ならびに窯業で用いられる他の一時的結合剤である。
【0130】
選別された凝集物サンプルはアルミナ耐火性容器に置かれ、次のサイクルを通して空気内で燃焼された。
2.0℃/分で室温〜400℃に、
1時間400℃に保持、
2.0℃/分で400℃〜720℃に、
1時間720℃に保持、
次に、2.0℃/分で720℃〜室温に。
【0131】
次に、凝集物サンプルは、上述のような70メッシュスクリーンを用いて選別された。
【0132】
次に、エポキシ樹脂系に対する凝集物の接着性を高めるように、燃焼された凝集物サンプルはシラン溶液によって処理された。シラン溶液は次の成分を混合することによって作製される。
A−1100シラン 1.0g
水 10.0g
アセトン 89.0グラム。
【0133】
凝集物サンプルはシラン溶液によって湿潤され、残りは流し出された。
【0134】
次に、シラン溶液によって処理された凝集物サンプルは、90℃のオーブン内に置かれ、30分間乾燥された。乾燥された凝集物サンプルは、上述のように70メッシュスクリーンを用いて選別された。
【0135】
B.成形された研磨物品の実施例3〜6および比較実施例A〜Dの調製手順。
実施例3〜6および比較実施例A〜Dについて、実施例1のPTFE鋳型が、調合表8に従って作製された研磨スラリで充填された。部分Aと部分Bは、プラスチックビーカ内で高剪断ミキサによって別々に混合され、気泡を取り除くために真空オーブン内に別々に配置され、次に、2:1の体積比の混合カートリッジに共に充填され、2部分がA、1部分がBであった。次に、得られた研磨スラリは、自動混合先端部を通して鋳型のキャビティ内に分配された。
【0136】
【表8】

【0137】
次に、充填された支柱キャビティは、自動混合先端部を通して調合物を分配することによって、表3に示した実施例1の裏材調合物で約6.4mm(1/4インチ)の深さまで覆われた。鋳型を取り囲む壁部は裏材の所望の厚さを維持した。アルミカバープレートが硬化サイクル中に裏材樹脂の頂部の上方に配置されて、一定の均一な厚さが保証された。鋳型は閉鎖して挟持され、室温で1〜2時間、次に165℃でオーブン内で4時間硬化された。鋳型はオーブンから取り外され、開口された。成形された研磨サンプルは鋳型から採取され、Buehlerのラップ用の30.48cm(12インチ)プラテン上に装着された。
【0138】
裏材調合物は、最初に、高剪断ミキサを用いて表9による部分Bの要素をプラスチックビーカ内で混合し、サンプルを真空オーブン内に置いて気泡を取り除き、次に、気泡閉じ込めを最小にするように、低剪断ミキサを用いて部分Aと部分Bとを混合することによって、調製された。
【0139】
成形された研磨サンプルは、直径が30.48cm(12インチ)の裏材と、直径が1.59cm(5/8インチ)の研磨支柱とを有していた。研磨支柱は、中心(15.24cm(6インチ))を覆う円面積が研磨支柱を有しないように、裏材に接合された。
【0140】
【表9】

【0141】
試験手順
試験手順は、「BUEHLER ECOMET2」パワーヘッドが取り付けられた「Buehler Ecomet4」変速グラインダ(両方ともBuehler Industries,Ltdから商業的に入手可能)を使用した。試験は、ガラス試験用ブランクの表面積にわたって、特に述べない限り、約106kPa(約17psi)の圧力で、特に述べない限り、500rpmに設定されたモータ速度の条件を用いて実施された。
【0142】
Corning Incorporatedから商業的に入手可能な「CORNING#9061」の商標名で商業的に入手可能な直径2.54cm(1インチ)、厚さ約1.0cmの3つの平坦な円形ガラス試験用ブランクが用意された。ガラス材料がグラインダのパワーヘッド内に置かれた。グラインダの30.5cm(12インチ)のアルミニウムプラットホームは反時計廻りに回転され、一方、ガラス試験用ブランクが固定されたパワーヘッドは35rpmで時計回りに回転された。
【0143】
成形された研磨物品は、約30.45cm(12インチ)の直径の円形に打ち抜かれ、約60ジュロメータのショアA硬さを有する厚さ12.5mmのネオプレン製の裏材パッド上に感圧接着剤で直接接着された。このパッドアセンブリは、グラインダのアルミニウムプラットホームに置かれた。水道水が約3リットル/分の流速で研磨物品上に吹き付けられ、研磨物品の表面とガラス試験用ブランクとの間に潤滑が行われた。
【0144】
ガラス試験用ブランクの初期表面仕上は、Perthenから商業的に入手可能な「PERTHOMETER」の商標名で商業的に入手可能なダイヤモンド針プロフィロメータによって評価された。ガラス試験用ブランクの初期重量も記録された。
【0145】
ガラス試験用ブランクは、上述のグラインダを用いて研削された。研磨時間は12秒〜数分であった。すべてのデータは標準化され、また12秒の研磨で取り除かれた平均のガラスストックとして示された。
【0146】
研削後、最終表面仕上と最終重量が各々記録された。研削時間にわたるガラス試験用ブランクの重量の変化は、取り除かれたガラスストック(グラム)として示される。切削速度(取り除かれたガラスストック(グラム))、RaおよびRmaxの値が記録された。
【0147】
実施例3の研削試験の結果が以下の表10に示されている。データは、ダイヤモンド凝集物を含む本発明の研磨物品が、26.5kPaの低さの圧力で一貫したストック除去速度を提供することを示している。
【0148】
【表10】

【0149】
実施例6と比較実施例Dの研削試験データが、表11に示されている。データは、ダイヤモンド凝集物を含む実施例6の研磨物品のストック除去速度が、同一のサイズの個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Dのストック除去速度よりもかなり高いことを示している。
【0150】
【表11】

【0151】
比較実施例Cと実施例4の研削試験データが、表12に示されている。データは、ダイヤモンド凝集物を含む実施例4のストック除去速度が、より大きなサイズの個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Cのストック除去速度よりもかなり高いことを示している。
【0152】
【表12】

【0153】
比較実施例Bと実施例5の表面平滑度データ(RaとRmax)が、以下の表13と表14に示されている。これらのデータは本発明の3つの利点を示している。第一に、Raのデータは、ダイヤモンド凝集物を有する実施例5によって提供される表面仕上が、同様のストック除去速度による個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Bの表面仕上よりも微細であることを示している。第二に、RaとRmaxのデータは、表面仕上が、ダイヤモンド凝集物を有する実施例5について、より高い相対速度で改良され、これに対し、個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Bでは、表面仕上が改善しないことを示している。最後に、Rmaxのデータは、掻き傷の深さが、ダイヤモンド凝集物を有する実施例5では、同様のストック除去速度による個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Bよりも小さいことを示している。
【0154】
【表13】

【0155】
【表14】

【0156】
比較実施例Aと実施例4の表面平滑度データ(RaとRmax)が、以下の表15と表16に示されている。これらのデータは本発明の3つの利点を示している。第一に、Raのデータは、ダイヤモンド凝集物を有する実施例4によって提供される表面仕上が、同様のストック除去速度による個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Aの表面仕上よりも微細であることを示している。第二に、RaとRmaxのデータは、表面仕上が、ダイヤモンド凝集物を有する実施例4について、より高い相対速度で改良され、これに対し、個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Aでは、表面仕上が改善しないことを示している。最後に、Rmaxのデータは、掻き傷の深さが、ダイヤモンド凝集物を有する実施例4では、同様のストック除去速度による個々のダイヤモンド粒子を有する比較実施例Aよりも小さいことを示している。
【0157】
【表15】

【0158】
【表16】

【0159】
成形された研磨物品の実施例7〜11に関する試験手順III
CRTスクリーンの小さな面積(約17.78cmx17.78cm)が、ハンドヘルドサンダ(Flexから商業的に入手可能、モデルLW603VR、1,000〜2,800rpm、1,500ワット)を用いて、5μmの酸化アルミニウムディスク(268XA Trizact(登録商標)フィルムPSAディスク、A5MIC、Minnesota Mining and Manufacturing Company,St.Paul,MNから商業的に入手可能)によって最初に粗くされた。サンダは2,400rpmで作動され、サンダの中央の穴を通して水が供給された。複数の支柱(直径0.79cm、高さ0.635cm)を有する研磨パッド(直径12.7cm)が、サンダのディスクパッドの上に装着された。前もって粗くされたCRTスクリーンの領域は30秒間2,400rpmで研磨された。支柱の破壊は、研磨中に生成される遊離セリアスラリの量によって視覚的に決定された。破壊試験の評価は1〜5であり、1は小さい破壊であり、5は過度の破壊である。最適な評価は適度な破壊の3である。研磨支柱の過度の破壊は、優れた研磨性能を提供するが、研磨パッドの寿命を縮める。研磨支柱の不十分な破壊は、寿命を長くするが、研磨性能は劣る。
【0160】
裏材に対する支柱の接着は非常に重要である。裏材に対する支柱の接着が弱いならば、CRTスクリーンと支柱との間の摩擦が支柱と裏材との間の接着力よりも大きくなると、支柱は研磨中に裏材から離れることがある。接着試験の結果は、研磨後に裏材から分離される支柱の割合を測定することによって決定される(上述のように)。
【0161】
成形された研磨物品の実施例7〜11の調製手順
製造工具は、TEFLON(登録商標)ブランドのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の厚さ25.0mmのシートに、テーパ穴のパターンをドリルすることによって作製された。結果として得られたポリマ製の製造工具は、柱状のキャビティを含んでいた。各円柱の高さは約4mm、直径は約4.8mmであった。隣接した円柱の基部の間は約2.4mmであった。
【0162】
実施例7〜11のために、金型は、表17の調合に従って作製された研磨スラリで充填された。成分は、高剪断ミキサによってプラスチックビーカ内で混合され、気泡を取り除くために真空オーブン内に配置され、次に、カートリッジに充填された。次に、得られた研磨スラリは、自動混合先端部を通して鋳型のキャビティ内に分配された。
【0163】
次に、充填された支柱キャビティは、自動混合先端部を通して調合物を分配することによって、表18のそれぞれの裏材調合物で約6.4mm(1/4インチ)の深さまで覆われた。鋳型を取り囲む壁部は、裏材の所望の厚さを維持した。アルミカバープレートが硬化サイクル中に裏材樹脂の頂部の上方に配置されて、一定の均一な厚さが保証された。鋳型は閉鎖して挟持され、室温で1〜2時間、次に165℃でオーブン内で4時間硬化された。鋳型はオーブンから取り外され、開口された。
【0164】
裏材調合物は、最初に、高剪断ミキサを用いて表18による部分Bの要素をプラスチックビーカ内で混合し、サンプルを真空オーブン内に置いて気泡を取り除き、次に、気泡閉じ込めを最小にするように、低剪断ミキサを用いて部分Aと部分Bとを混合することによって、調製された。
【0165】
成形された研磨サンプルは、直径が12.7cm(5インチ)の裏材と、直径が0.79cm(5/16インチ)の研磨支柱とを有していた。
【0166】
【表17】

【0167】
【表18】

【0168】
接着試験の結果は表19に示されている。
【0169】
【表19】

【0170】
成形された研磨物品の実施例12〜14の調製手順
実施例12〜14のために、実施例7〜11のPTFE金型は、表20の調合に従って作製された研磨スラリで充填された。成分は、高剪断ミキサによってプラスチックビーカ内で混合され、気泡を取り除くために真空オーブン内に配置され、次に、カートリッジに充填された。次に、得られた研磨スラリは、自動混合先端部を通して鋳型のキャビティ内に分配された。
【0171】
次に、充填された支柱キャビティは、自動混合先端部を通して調合物を分配することによって、表21の裏材調合物で約4.0mmの深さまで覆われた。裏材調合物は、高剪断ミキサを用いて部分Aと部分Bの要素をプラスチックビーカ内で混合し、また気泡閉じ込めを最小にするようにサンプルを真空オーブン内に置いて気泡を取り除くことによって、調製された。鋳型を取り囲む壁部は裏材の所望の厚さを維持した。アルミカバープレートは、硬化サイクル中の裏材樹脂の頂部の上方に配置されて、一定の均一な厚さが保証された。鋳型は閉鎖して挟持され、室温で1〜2時間、次に165℃でオーブン内で4時間硬化された。鋳型はオーブンから取り外され、開口された。
【0172】
成形された研磨サンプルは、直径が20.3cm(8インチ)および厚さが4mmの裏材と、直径が4.8mm(3/16インチ)および高さが4.0mmの研磨支柱とを有していた。
【0173】
【表20】

【0174】
【表21】

【0175】
実施例12〜14に関する試験手順
試験手順は、Buehler Industries,Ltd.から商業的に入手可能なBuehler ECOMET3ポリッシャを使用した。実施例12〜14は、通常のウィンドウガラスからサンドブラストされた3インチ(7.62cm)ディスクによって、Guehler機械で8.49psi(58.5kPa)および500rpmのプラテン速度に調整されて、一様かつ平坦な表面仕上を生成した。
【0176】
2インチ(5.08cm)のCRTガラスディスク(Philipsから商業的に入手可能)が、Buehler機械上で約30秒間約1.23psi(8.48kPa)および500rpmで、8インチ(20.32cm)のA10グレードガラスリペアディスク(Minnesota Mining and Manufacturing Company,St.Paul,MNから「AF30」の商標名で入手可能)を用いて予め粗くされた。これによって、0.07μmのRaの均一なインプット仕上が行われた。
【0177】
次に、予め粗くされたCRTガラスディスクを使用して、Buehler機械上で19.1psi(131.7kPa)および500rpmのプラテン速度で実施例を試験した。水流は660cc/分に固定された。表面仕上の測定は、Perthenから「Perthometer」の商標名で商業的に入手可能なダイヤモンド針プロフィロメータによって、15秒の間隔毎に行われ、最高45秒繰り返された。
【0178】
実施例12〜14の表面仕上データは表22に要約されている。データは、黒鉛および二硫化モリブデンを有する実施例13と実施例14が、15秒間に表面粗さを−0.070μm〜−0.009μmにそれぞれ低減し、これに対し、そうするためには、対照(黒鉛または二硫化モリブデンなしの実施例12)が45秒を必要とすることを示している。
【0179】
【表22】

【0180】
すべての特許、特許出願および公報の完全な開示は、個々に組み込まれているかのように参考として本出願に組み込まれている。本発明の種々の修正と変更が、本発明の範囲と精神から逸脱することなしに、当業者に明らかになり、また本発明が、本出願に記述した説明目的の実施態様に不当に限定されないことを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスワークピース表面を研削する方法であって、
研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面とを接触させるステップであって、前記研削層が複数の研磨複合材を含み、前記複合材が、有機樹脂と、アルカリ金属塩、アルカリ性金属塩およびそれらの組合せから選択された金属塩と、前記研磨複合材全体にわたって均質に分散された単一ダイヤモンド研磨粒子とを含む、ステップと、
前記研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面との間に潤滑剤を導入するステップと、
前記研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面とを相対移動するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ガラスワークピース表面から、200〜400μmのガラスストックを除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
RPP手順を用いて1.1μm以下の最終表面粗さRaを提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最終表面粗さRaが0.80μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス表面からガラスストックを除去するステップが10〜15秒の時間間隔で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記研磨複合材が裏材に一体成形される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記裏材がウレタン樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイヤモンド研磨粒子が約0.01〜500μmの平均粒度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有機樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ダイヤモンド粒子が約1〜30重量部の量で前記複合材に存在し、また前記結合剤が約70〜99重量部の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記潤滑剤が、水と、アミン、鉱油、灯油、ミネラルスピリット、水溶性油エマルジョン、ポリエチレンイミン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、アミンボレート、ホウ酸、アミンカルボキシレート、パイン油、インドール、チオアミン塩、アミド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチルトリアジン、カルボン酸、ナトリウム2−メルカプトベンゾチアゾール、イソプロパノールアミン、トリエチレンジアミン四酢酸、プロピレングリコールメチルエーテル、ベンゾトリアゾール、ナトリウム2−ピリジンエチオール−1−オキシド、ヘキシレングリコール、およびそれらの混合物から成る群から選択された少なくとも1つの添加剤と、の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記裏材がウレタン樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記研磨複合材が約40〜約60重量%の充填剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記研磨複合材が約50〜約60重量%の充填剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記充填剤が、メタケイ酸カルシウム、白色酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカおよびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ガラスワークピース表面を研削する方法であって、
研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面とを接触させるステップであって、前記研削層が複数の研磨複合材を含み、前記複合材が有機樹脂と凝集研磨粒子とを含み、前記凝集物が、永久結合剤に分散されたダイヤモンド粒子を含む、ステップと、
前記研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面との間に潤滑剤を導入するステップと、
前記研磨物品の研削層と前記ガラスワークピース表面とを相対移動するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記ガラスワークピース表面から、100μmのガラスストックを除去するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
RPP手順を用いて0.7μm以下の最終表面粗さRaを提供するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
0.7μm以下の最終表面粗さRaを提供するステップが10〜15秒の研削時間間隔で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記研磨凝集粒子が、ダイヤモンド粒子を含む研磨部分に接合された金属である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記永久結合剤が、ガラス、セラミック、金属または有機物である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記有機樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記ダイヤモンド粒子が約1〜30重量部の量で前記複合材に存在し、また前記結合剤が約70〜99重量部の量で存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記潤滑剤が、水と、アミン、鉱油、灯油、ミネラルスピリット、水溶性油エマルジョン、ポリエチレンイミン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、アミンボレート、ホウ酸、アミンカルボキシレート、パイン油、インドール、チオアミン塩、アミド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチルトリアジン、カルボン酸、ナトリウム2−メルカプトベンゾチアゾール、イソプロパノールアミン、トリエチレンジアミン四酢酸、プロピレングリコールメチルエーテル、ベンゾトリアゾール、ナトリウム2−ピリジンエチオール−1−オキシド、ヘキシレングリコールおよびそれらの混合物から成る群から選択された少なくとも1つの添加剤と、の混合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記研磨複合材が約40〜約60重量%の充填剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記研磨複合材が約50〜約60重量%の充填剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記充填剤が、メタケイ酸カルシウム、白色酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカおよびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
ガラスワークピース表面を研磨する方法であって、
研磨物品の研磨層と、約0.07μmの初期表面粗さRaを有する前記ガラスワークピース表面とを接触させるステップであって、前記研磨層が、繊維を含む裏材に一体成形された複数の研磨複合材を含み、前記研磨複合材が、有機樹脂と、セリア粒子と、アルカリ金属塩、アルカリ性金属塩およびそれらの組合せから選択された金属塩とを含む、ステップと、
前記研磨物品の研磨層と前記ガラスワークピース表面との間に潤滑剤を導入するステップと、
前記研磨物品の研磨層と前記ガラスワークピース表面とを相対移動するステップと、
を含む方法。
【請求項29】
前記ガラスワークピースの初期表面粗さRaを0.09の表面粗さRaに低減するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ガラスワークピースの初期表面粗さRaを0.09の表面粗さRaに低減するステップが、約45秒以下の研磨時間間隔で行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記有機樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記ダイヤモンド粒子が前記複合材に約1〜30重量部の量で存在し、また前記結合剤が約70〜99重量部の量で存在する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記潤滑剤が、水と、アミン、鉱油、灯油、ミネラルスピリット、水溶性油エマルジョン、ポリエチレンイミン、エチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、アミンボレート、ホウ酸、アミンカルボキシレート、パイン油、インドール、チオアミン塩、アミド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチルトリアジン、カルボン酸、ナトリウム2−メルカプトベンゾチアゾール、イソプロパノールアミン、トリエチレンジアミン四酢酸、プロピレングリコールメチルエーテル、ベンゾトリアゾール、ナトリウム2−ピリジンエチオール−1−オキシド、ヘキシレングリコールおよびそれらの混合物から成る群から選択された少なくとも1つの添加剤と、の混合物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記裏材がウレタン樹脂を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記研磨複合材が約40〜約60重量%の充填剤を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記研磨複合材が約50〜約60重量%の充填剤を含む、請求項28に記載の方法、
【請求項37】
前記充填剤が、メタケイ酸カルシウム、白色酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカおよびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−224773(P2011−224773A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−123048(P2011−123048)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【分割の表示】特願2000−613610(P2000−613610)の分割
【原出願日】平成12年4月20日(2000.4.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】