説明

キナーゼ阻害剤

本発明は、キナーゼを阻害するために使用できる、下記式の1種を有する化合物、ならびにこれらの化合物を含む組成物およびキット、および該化合物の使用方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キナーゼを阻害するために使用できる化合物ならびにこれらの化合物を含む組成物およびキットに関する。本発明はまた、キナーゼの阻害方法、ならびに本発明の化合物を用いた治療方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ホスホリル転移を触媒し、かつ/またはATP/GTPヌクレオチドと結合する酵素の阻害剤、該阻害剤を含む組成物、ならびに該阻害剤および阻害剤組成物の使用方法に関する。阻害剤およびそれらを含む組成物は、キナーゼを含むホスホリルトランスフェラーゼが関与する可能性がある疾患、そのような疾患の症候、またはキナーゼを含むホスホリルトランスフェラーゼによって媒介される他の生理的事象の影響を、治療または調節するのに有用である。本発明はまた、阻害剤化合物の製造方法およびキナーゼを含む一以上のホスホリルトランスフェラーゼの活性が関与する疾患の治療方法を提供する。
【0003】
ホスホリルトランスフェラーゼは、一の基質から他の基質へリン含有基を転移させる酵素の大きなファミリーである。Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology(IUBMB)によって規定された決まりによれば、このタイプの酵素は、2.7.−.−で始まるEnzyme Commission(EC)番号を有している(Bairoch A.,The ENZYME database in Nucleic Acids Res.28:204−305(2000)を参照)。キナーゼは、ホスホリル転移の触媒において機能する酵素の種類である。プロテインキナーゼは、構造的に関連したホスホリルトランスフェラーゼの最も大きなサブファミリーを構成し、細胞内の多種多様なシグナル伝達プロセスの制御を担っている(Hardie,G.and Hanks,S.(1995)The Protein Kinase Facts Book,I and II,Academic Press,San Diego,CAを参照)。プロテインキナーゼは、それらの構造および触媒機能が保存されているため、共通の先祖遺伝子から進化したと考えられている。ほとんど全てのキナーゼは、250〜300アミノ酸の類似の触媒ドメインを含んでいる。プロテインキナーゼは、それらがリン酸化する基質によって、ファミリーに分類され得る(例えば、プロテイン−チロシン、プロテイン−セリン/スレオニン、ヒスチジン、等)。これらの各キナーゼファミリーに一般的に対応しているプロテインキナーゼの配列モチーフが同定されている(例えば、Hanks,S.K.;Hunter,T.,FASEB J.9:576−596(1995);Kinghton et al.,Science,253:407−414(1991);Hiles et al.,Cell 70:419−429(1992);Kunz et al.,Cell,73:585−596(1993);Garcia−Bustos et al.,EMBO J.,13:2352−2361(1994)を参照)。脂質キナーゼ(例えば、PI3K)は、プロテインキナーゼと類似する構造を有する別個のキナーゼ群を構成する。
【0004】
プロテインキナーゼおよび脂質キナーゼは、リン酸基をタンパク質または脂質などの標的物に付加することにより、増殖、成長、分化、代謝、細胞周期事象、アポトーシス、運動、転写、翻訳および他のシグナル伝達プロセスを含むがこれらに限定されない、多くの異なる細胞プロセスを調節する。キナーゼによって触媒されるリン酸化事象は標的タンパク質の生物学的機能を調節または制御し得る分子オン/オフスイッチとして機能を果たす。標的タンパク質のリン酸化は、様々な細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、成長および分化因子、等)、細胞周期事象、環境的または栄養的ストレス、等に反応して起こる。プロテインキナーゼおよび脂質キナーゼは、シグナル伝達経路中で機能することができ、標的物の活性を(直接的あるいは間接的に)活性化または不活性化、または調節する。これらの標的物としては、例えば、代謝酵素、調節タンパク質、レセプター、細胞骨格タンパク質、イオンチャネルまたはイオンポンプ、または転写因子を挙げることができる。タンパク質リン酸化の不良な制御が原因で制御されていないシグナル伝達は、例えば、炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾患および状態、中枢神経系(CNS)の疾患および状態、心血管系疾患、皮膚(dermatology)、および血管形成を含む、多くの疾患および疾患状態に関与している。
【0005】
プロテインキナーゼの薬理学的標的物としての初期の関心は、多くのウイルスの癌遺伝子が構成的酵素活性を有する構造的に修飾された細胞プロテインキナーゼをコードするという知見により刺激された。これらの知見は、癌遺伝子関連プロテインキナーゼがヒト増殖性障害と関連している可能性を示した。その後、種々のより繊細な機序によりもたらされる無秩序なプロテインキナーゼ活性が、例えば、癌、CNS状態、および免疫学的に関連する疾患を含む、多くの重要なヒト障害の病態生理に関与した。それゆえ、異常なプロテインキナーゼ活性から生じる疾患の病理および/または症候を阻止することのできる選択的なプロテインキナーゼ阻害剤の開発に対する大きな関心を生んだ。
【0006】
癌は、細胞の分裂、分化およびアポトーシス細胞死を制御する正常なプロセスの脱制御によりもたらされる。プロテインキナーゼは、この調節プロセスにおいて重要な役割を果たす。そのようなキナーゼの、部分的な非限定的一覧は、abl、Aurora−A、Aurora−B、Aurora−C、ATK、bcr−abl、Blk、Brk、Btk、c−Kit、c−Met、c−Src、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、cRaf1、CSF1R、CSK、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、ERK、Fak、fes、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、Fgr、FLK−4、Flt−1、Fps、Frk、Fyn、Hck、IGF−1R、INS−R、Jak、KDR、Lck、Lyn、MEK、p38、PDGFR、PIK、PKC、PYK2、Ros、Tie1、Tie2、Trk、YesおよびZap70を含む。哺乳動物の生物学において、そのようなプロテインキナーゼは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路を含む。ras遺伝子の突然変異および成長因子レセプターの脱制御などの、種々の共通の疾患関連機序により、MAPKシグナル伝達経路は不適切に活性化される(Magnuson et al.,Seminars in Cancer Biology 5:247−252(1994))。それゆえ、プロテインキナーゼの阻害は、本発明の一つの目的である。
【0007】
Auroraキナーゼ(Aurora−A、Aurora−B、Aurora−C)は、結腸癌、乳癌および他の固形腫瘍などのヒト癌に関与するセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。Aurora−A(時にAIKとも言われる)は、細胞周期を調節するタンパク質リン酸化事象に関与すると考えられている。特に、Aurora−Aは、有糸分裂中の染色体の正確な分離を制御する役割を果たし得る。細胞周期の不良制御は、細胞増殖および他の異常につながる可能性がある。ヒト結腸癌組織において、Aurora−A、Aurora−B、Aurora−Cが過剰発現することが判明している(Bischoff et al.,EMBO J.,17:3052−3065(1998);Schumacher et al.,J.Cell Biol.143:1635−1646(1998);Kimura et al.,J.Biol.Chem.,272:13766−13771(1997)を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヒト疾患を治療するための新規な治療剤を発見することに対する継続的な必要性が存在する。特にはAurora−A、Aurora−B及びAurora−Cであるがこれらに限定されないプロテインキナーゼは、それらが癌、糖尿病、アルツハイマー病および他の疾患において重要な役割を果たすため、新規な治療剤の発見のための特に魅力的な標的物である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明は、キナーゼ阻害活性を有する化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物を含む組成物、製品およびキットを提供する。
【0010】
1つの実施態様において、医薬組成物が提供され、これは、活性成分として、本発明のキナーゼ阻害剤を含む。本発明の医薬組成物は、場合により0.001%〜100%の、1種以上の本発明のキナーゼ阻害剤を含むことができる。これらの医薬組成物は、広範囲にわたる投与経路、例えば経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、口腔内(transbuccally)、鼻腔内、リポソーム、吸入、膣内、眼内、局所送達(例えば、カテーテルもしくはステントによる)、皮下、脂肪内、関節内、くも膜下腔内(intrathecally)投与を含む経路によって投与または同時投与することができる。これら組成物はまた、徐放性の投与剤形で投与または同時投与することも可能である。
【0011】
本発明はまた、キナーゼに関連する疾患状態を治療するためのキットおよび他の製品を目的とする。
【0012】
1つの実施態様においては、キットが提供され、これは少なくとも1種の本発明のキナーゼ阻害剤を含む組成物を、説明書と共に含む。該説明書は、組成物を投与すべき疾患状態、保存情報、投薬情報および/または該組成物を投与する方法に関する指示を示し得る。該キットはまた、包装材料をも含むことができる。該包装材料は、該組成物を収容するための容器を含むことができる。該キットは、場合により追加の要素、例えば該組成物を投与するためのシリンジを含むこともできる。このキットは、該組成物を単回投与形態または複数回投与形態で含むことができる。
【0013】
他の実施態様では、製品が提供され、これは少なくとも1種の本発明のキナーゼ阻害剤を含む組成物を、包装材料と共に含む。該包装材料は、該組成物を収容するための容器を含むことができる。該容器は、場合により、該組成物を投与すべき疾患状態、保存情報、投薬情報および/または該組成物を投与する方法に関する指示を示すラベルを含むことができる。該キットは、場合により追加の要素、例えば該組成物を投与するためのシリンジを含むことができる。このキットは、該組成物を単回投与形態または複数回投与形態で含むことができる。
【0014】
また、本発明の化合物、組成物およびキットの製法が提供される。例えば、いくつかの合成スキームを、本発明の化合物を合成するために本明細書中に与える。
【0015】
また、本発明の化合物、組成物、キットおよび製品の使用方法が提供される。
【0016】
1つの実施態様においては、化合物、組成物、キットおよび製品は、キナーゼを阻害するために使用される。
【0017】
他の実施態様では、化合物、組成物、キットおよび製品は、その疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療のために使用される。
【0018】
他の実施態様では、化合物を対象に投与して、対象内のキナーゼ活性を変更、好ましくは低下させる。
【0019】
他の実施態様では、インビボでキナーゼを阻害する化合物に変換される化合物のプロドラッグを対象に投与する。
【0020】
別の実施態様では、キナーゼの阻害方法が提供され、この方法はキナーゼを本発明の化合物と接触させることを含む。
【0021】
他の実施態様では、キナーゼの阻害方法が提供され、この方法はインビボでキナーゼを阻害するために、本発明の化合物を、対象内に存在させることを含む。
【0022】
別の実施態様では、キナーゼの阻害方法が提供され、該方法は、インビボで第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで該第二の化合物が、インビボでキナーゼを阻害する。本発明の化合物は、第一の化合物であっても第二の化合物であってもよいことに、注意すべきである。
【0023】
他の実施態様では、治療方法が提供され、この治療方法は、本発明の化合物を投与することを含む。
【0024】
別の実施態様では、細胞の増殖を阻害する方法が提供され、該方法は、有効量の本発明の化合物を細胞と接触させることを含む。
【0025】
他の実施態様では、患者内において細胞の増殖を阻害する方法が提供され、該方法は、治療有効量の本発明の化合物を、該患者に投与することを含む。
【0026】
他の実施態様では、キナーゼにより媒介されることが分かっている、あるいはキナーゼ阻害剤により治療されることが分かっている、患者における状態の治療方法であって、この方法は、該患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0027】
別の実施態様では、キナーゼにより媒介されることがわかっている、あるいはキナーゼ阻害剤により治療されることが分かっている疾患状態の治療において使用するための医薬を製造するために、本発明の化合物を使用する方法が提供される。
【0028】
他の実施態様では、その疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法が提供され、該方法は、本発明の化合物を、該疾患状態に対して治療有効量で、対象内に存在させることを含む。
【0029】
別の実施態様では、その疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法が提供され、該方法は、インビボで第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、該第二の化合物が、該疾患状態に対して治療有効量で該対象内に存在することになる。本発明の化合物は、該第一の化合物であっても第二の化合物であってもよいことに注意すべきである。
【0030】
他の実施態様では、その疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法が提供され、該方法は、本発明の化合物が、該疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在するように、該化合物を該対象に投与することを含む。
【0031】
上記全ての実施態様に関連して、本発明は、その化合物のあらゆる医薬上許容されるイオン化型(例えば、塩)および溶媒和物(例えば、水和物)(これらイオン化型および溶媒和物が特定されているか否かとは無関係に)をも包含することを意図するものであることに注意すべきである。というのは、薬剤をイオン化または溶媒和型で投与することは、当分野において周知であるからである。具体的な立体化学が特定されていなくても、化合物の列挙は、該化合物が個々の異性体または異性体の混合物として存在するか否かとは無関係に、あらゆる可能な立体異性体(例えば、キラル中心の数に依存して、エナンチオマーまたはジアステレオマー)を包含することを意図するものであることにも注意すべきである。さらに、他に示されない限り、化合物の列挙は、あらゆる可能な共鳴型および互変異性体を包含することを意図する。特許請求の範囲に関連して、用語「式を含む化合物」とは、特定の請求項において他のように特に特定しない限り、該化合物ならびにあらゆる医薬上許容されるイオン化型および溶媒和物、あらゆる可能な立体異性体、ならびにあらゆる可能な共鳴型および互変異性体を包含することを意図するものである。
【0032】
さらに、プロドラッグも投与され得ることが留意され、これらはインビボで変更されて本発明の化合物になる。プロドラッグの送達が特定されているか否かに関わらず、本発明の化合物を用いる様々な方法は、インビボで本発明の化合物に変換されるプロドラッグの投与を包含することを意図する。本発明の特定の化合物は、キナーゼを阻害する前にインビボで変更され、従ってそれ自体他の化合物のプロドラッグとなり得ることにも注意すべきである。このような他の化合物のプロドラッグは、それ自体独立に、キナーゼ阻害活性を有していてもよいし、有していなくても構わない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
定義
他に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用する以下の用語は、本願の趣旨のために、以下の意味を有する。
【0034】
「脂環式」とは、非芳香環構造を含む部分を意味する。脂環式部分は、飽和または1、2もしくはそれ以上の二重結合もしくは三重結合で部分的に不飽和であり得る。脂環式部分はまた、場合によっては、窒素、酸素および硫黄といったヘテロ原子を含み得る。窒素原子は、場合によっては、四級化されていても酸化されていてもよく、硫黄原子は、酸化されていてもよい。脂環式部分の例としては、C3−C8環(シクロプロピル、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテンおよびシクオロオクタジエンなど)を有する部分が挙げられるが、それらに制限されない。
【0035】
「脂肪族」とは、構成炭素原子の直鎖または分岐鎖配列によって特徴づけられる部分を意味し、飽和であるか、1、2もしくはそれ以上の二重結合もしくは三重結合で部分的に不飽和であり得る。
【0036】
「アルコキシ」とは、更なるアルキル置換基を持つ酸素部分を意味する。本発明のアルコキシ基は、場合により置換されていてもよい。
【0037】
「アルキル」それ自体は、炭素原子鎖を有し、場合により該炭素原子間に酸素原子(「オキサアルキル」を参照)または窒素原子(「アミノアルキル」を参照)を持つ、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の脂肪族基を意味する。XおよびYが、該当する鎖内の炭素原子数を示すCアルキルおよびCX−Yアルキルが、典型的に使用される。例えば、C1−6アルキルとしては、炭素原子数1〜6の鎖を持つアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルアリル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル等)が挙げられる。他の基と共に表されるアルキル(例えば、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルにおけるアルキル)とは、示された原子数を持つ直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の二価の脂肪族基を意味するか、あるいは如何なる原子も示されていない場合は、結合を意味する(例えば、(C6−10)アリール(C1−3)アルキルとしては、ベンジル、フェネチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−チエニルメチル、2−ピリジニルメチル等が挙げられる)。
【0038】
他に示されない限り、「アルキレン」とは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の二価の脂肪族基を意味する。XおよびYが該当する鎖内の炭素原子数を示すCアルキレンおよびCX−Yアルキレンが、典型的に使用される。例えば、C1−6アルキレンとしては、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、トリメチレン(−CHCHCH−)、テトラメチレン(−CHCHCHCH−)、2−ブテニレン(−CHCH=CHCH−)、2−メチルテトラメチレン(−CHCH(CH)CHCH−)、ペンタメチレン(−CHCHCHCHCH−)等)が挙げられる。
【0039】
「アルキリデン」とは、二重結合により親分子に結合した、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の脂肪族基を意味する。XおよびYが該当する鎖内の炭素原子数を示すCアルキリデンおよびCX−Yアルキリデンが、典型的に使用される。例えば、C1−6アルキリデンとしては、メチレン(=CH)、エチリデン(=CHCH)、イソプロピリデン(=C(CH)、プロピリデン(=CHCHCH)、アリリデン(=CH−CH=CH)等)が挙げられる。
【0040】
「アミノ」とは、2つのさらなる置換基を有する窒素部分を意味し、例えば、水素または炭素原子が窒素に結合する。代表的なアミノ基としては、例えば、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC1−10−アルキル、−N(C1−10−アルキル)、−NHアリール、−NHヘテロアリール、−N(アリール)、−N(ヘテロアリール)等が挙げられる。場合により、2つの置換基が該窒素と共に、1個の環を形成してもよい。他に示されない限り、アミノ部分を含む本発明の化合物には、その保護された誘導体が含まれ得る。アミノ部分に対する適当な保護基としては、アセチル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0041】
「アミノアルキル」とは、上で定義したようなアルキルであって、1個以上の置換または非置換の窒素原子(−N−)が、アルキルの炭素原子間に位置するものを意味する。例えば、(C2−6)アミノアルキルとは、2〜6個の炭素原子と、該炭素原子間に位置する1個以上の窒素原子とを含む鎖をいう。
【0042】
「動物」とは、ヒト、非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ等)および非哺乳動物(例えば、鳥類など)を含む。
【0043】
「芳香族」とは、構成原子が不飽和の環系を形成し、該環系における全原子がsp混成であり、かつπ電子の総数が4n+2に等しい部分を意味する。芳香族環は、該環原子が炭素原子のみであるものでもよく、炭素原子と非炭素原子とを含んでもよい(ヘテロアリールを参照)。
【0044】
「アリール」とは、単環式または多環式環集合を意味し、各環が芳香族であるか、または1個以上の環と縮合している場合には、芳香族環集合を形成する。1個以上の環原子が炭素でない(例えば、N、S)場合、そのアリールは、ヘテロアリールである。XおよびYが該当する環内の原子数を示すCアリールおよびCX−Yアリールが、典型的に使用される。
【0045】
「ビシクロアルキル」とは、飽和または部分的に不飽和の、縮合した二環式または架橋された多環式環集合を意味する。
【0046】
「ビシクロアリール」とは、二環式環集合を意味し、ここで環は単結合により結合されているか、あるいは縮合されており、そして該集合を構成する少なくとも1つの環は芳香族である。XおよびYが該当する二環式環集合内の該環に直接結合している炭素原子の数を示すCビシクロアリールおよびCX−Yビシクロアリールが、典型的に使用される。
【0047】
本明細書で使用する「架橋環」とは、他の環と結合して、二環式構造を持つ化合物を形成する環を意味し、ここで、両環に共通する2つの環原子は、相互に直接結合されることはない。架橋環を有する一般的な化合物の非限定の例としては、ボルネオール、ノルボルナン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。また、この二環式の系の一方または両方の環は、ヘテロ原子を含むこともできる。
【0048】
「カルバモイル」とは、基−OC(O)NRを意味し、式中、RおよびRは、それぞれ独立に2つの更なる置換基であり、水素または炭素原子が窒素に結合する。
【0049】
「炭素環」とは、炭素原子からなる環を意味する。
【0050】
「炭素環ケトン誘導体」とは、環が−CO−部分を含む炭素環誘導体を意味する。
【0051】
「カルボニル」とは、基−CO−を意味する。カルボニル基は、様々な置換基でさらに置換されて、酸、酸ハライド、アルデヒド、アミド、エステルおよびケトンを含む様々なカルボニル基を形成してもよいことに注意すべきである。
【0052】
「カルボキシ」とは、基−CO−を意味する。カルボキシ部分を含む本発明の化合物が、その保護された誘導体、即ちその酸素が保護基で置換された誘導体を含み得ることに注意すべきである。カルボキシ部分に適した保護基としては、ベンジル、tert−ブチル等が挙げられる。
【0053】
「シアノ」とは、基−CNを意味する。
【0054】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の、飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環集合を意味する。XおよびYが該当する環集合内の炭素原子数を示すCシクロアルキルおよびCX−Yシクロアルキルが、典型的に使用される。例えば、C3−10シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンタン−1−イル、デカヒドロナフチル、オキソシクロヘキシル、ジオキソシクロヘキシル、チオシクロヘキシル、2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプチ−1−イル等が挙げられる。
【0055】
「シクロアルキレン」とは、二価の飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式環集合を意味する。XおよびYが該当する環集合内の炭素原子数を表すCシクロアルキレンおよびCX−Yシクロアルキレンが、典型的に使用される。
【0056】
「疾患」は、具体的には、動物またはその一部のあらゆる非健康的な状態を含み、また、これらの動物に適用される医学的または獣医学的な療法によって引き起こされ得るか、もしくはそれに付随し得る、非健康的な状態(すなわち、このような療法の「副作用」)を含む。
【0057】
本明細書中で使用する「縮合環」とは、他の環と結合して、二環式構造を持つ化合物を形成する環を意味し、ここでこれら両環に共通の環原子は、相互に直接結合している。一般的な縮合環の非限定的な例としては、デカリン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、フラン、ベンゾフラン、キノリン等が挙げられる。縮合環系を持つ化合物は、飽和、部分的飽和の、炭素環、ヘテロ環、芳香族、ヘテロ芳香環等であり得る。
【0058】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0059】
独立した基またはより大きな基の一部としての「ハロ置換アルキル」とは、1個以上の「ハロ」原子で置換された「アルキル」を意味し、このような用語は、本願で定義した通りである。ハロ置換アルキルとしては、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、パーハロアルキル等(例えば、ハロ置換(C1−3)アルキルとしては、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジクロロエチル等が挙げられる)が挙げられる。
【0060】
「ヘテロ原子」とは、炭素原子以外の原子を意味する。ヘテロ原子の特定の例としては、窒素、酸素および硫黄が挙げられるが、これらに制限されない。
【0061】
「ヘテロ原子部分」とは、該部分が結合している原子が炭素ではない部分を含む。ヘテロ原子部分の例としては、−N=、−NR−、−N(O)=、−O−、−S−または−S(O)−が挙げられ、式中Rは更なる置換基である。
【0062】
「ヘテロビシクロアルキル」とは、本願において定義したようなビシクロアルキルであって、該環内の1個以上の原子がヘテロ原子であるものを意味する。例えば、本願において使用するヘテロ(C9−12)ビシクロアルキルとしては、3−アザ−ビシクロ[4.1.0]ヘプチ−3−イル、2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキシ−2−イル、3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル等が挙げられるが、これらに制限されない。
【0063】
「ヘテロシクロアルキレン」とは、本願において定義したようなシクロアルキレンであって、1個以上の環員炭素原子がヘテロ原子で置換されたシクロアルキレンを意味する。
【0064】
「ヘテロアリール」とは、5または6個の環原子を有し、環原子の少なくとも1つがヘテロ原子であり、かつその残りの環原子が炭素である環式芳香族基を意味する。窒素原子は、場合により四級化されていてもよく、また硫黄原子は、場合により酸化されていてもよい。本発明のヘテロアリール基としては、フラン、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、チアゾール、1,3,4−チアジアゾール、トリアゾールおよびテトラゾールから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」はまた、二環式または三環式環であって、そのヘテロアリール環が、アリール環、シクロアルキル環、シクロアルケニル環および他の単環式ヘテロアリール環またはヘテロシクロアルキル環からなる群から独立して選択される1または2個の環に縮合したヘテロアリールを含むが、これらに限定されない。これらの二環式または三環式ヘテロアリールとしては、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンズイミダゾール、イミダゾ[4,5−c]ピリジン、キナゾリン、チエノ[2,3−c]ピリジン、チエノ[3,2−b]ピリジン、チエノ[2,3−b]ピリジン、インドリジン、イミダゾ[1,2a]ピリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、ナフチリジン、キノリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリン、ベンゾキサゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾ[1,5−a]ピリジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、イミダゾ[1,2−c]ピリミジン、イミダゾ[1,5−a]ピリミジン、イミダゾ[1,5−c]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピリジン、ピロロ[2,3−c]ピリジン、ピロロ[3,2−c]ピリジン、ピロロ[3,2−b]ピリジン、ピロロ[2,3−d]ピリミジン、ピロロ[3,2−d]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピラジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、ピロロ[1,2−b]ピリダジン、ピロロ[1,2−c]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピラジン、トリアゾ[1,5−a]ピリジン、プテリジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアゼン、フェノキサジン、1,2−ジヒドロピロロ[3,2,1−hi]インドール、インドリジン、ピリド[1,2−a]インドールおよび2(1H)−ピリジノンから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。二環式または三環式ヘテロアリール環は、ヘテロアリール基自体、あるいは、ヘテロアリール基が縮合される、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはヘテロシクロアルキル基のいずれかを介して、親分子に結合することができる。本発明のヘテロアリール基は、置換または非置換であってもよい。
【0065】
「ヘテロビシクロアリール」とは、本願において定義したようなビシクロアリールであって、該環内の1個以上の原子がヘテロ原子であるものを意味する。例えば、本願において使用するヘテロ(C8−10)ビシクロアリールとしては、2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロプテリジン−6−イル、テトラヒドロイソキノリニル等が挙げられるが、これらに制限されない。
【0066】
「ヘテロシクロアルキル」とは、本願において定義したようなシクロアルキルであって、環を形成する1個以上の原子が、N、OまたはSから独立して選択されるヘテロ原子であるものを意味する。ヘテロシクロアルキルの非限定的な例としては、ピペリジル、4−モルホリル、4−ピペラジニル、ピロリジニル、パーヒドロピロリジニル、1,4−ジアザパーヒドロエピニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル等が挙げられる。
【0067】
「ヒドロキシ」は、基−OHを意味する。
【0068】
「イミノケトン誘導体」は、部分−C(NR)−を含む誘導体を意味し、式中、Rは、窒素に結合した水素または炭素原子を含む。
【0069】
「異性体」とは、同一の分子式を有するが、それら原子の結合の性質もしくは順序が異なるか、それらの原子の空間配置が異なる任意の化合物を意味する。原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像でない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、重ね合わせられない鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と呼ばれ、「光学異性体」と呼ばれる場合もある。4つの非同一置換基に結合した炭素原子は「キラル中心」と呼ばれる。1つのキラル中心を有する化合物は、反対のキラリティーを有する二つのエナンチオマー形態を有する。これら2つのエナンチオマー形態の混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。1個よりも多くのキラル中心を有する化合物は、2n−1個のエナンチオマー対を有する(nは、キラル中心の数である)。1個よりも多くのキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして、あるいはジアステレオマーの混合物(「ジアステレオマー混合物」と呼ばれる)として存在してもよい。キラル中心が1個存在する場合、立体異性体は、キラル中心の絶対配置により特徴付けることができる。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間配置をいう。エナンチオマーは、それらのキラル中心の絶対配置により特徴付けられ、Cahn、IngoldおよびPrelogのR−およびS−順位則(the R- and S-sequencing rules of Cahn, Ingold and Prelog)によって示される。立体化学命名法に関する規定、立体化学の決定に関する方法および立体異性体の分離法は、当該分野で周知である(例えば、"Advanced Organic Chemistry", 4th edition, March, Jerry, John Wiley & Sons, New York, 1992を参照のこと)。
【0070】
「ニトロ」とは、基−NOを意味する。
【0071】
「オキサアルキル」とは、上で定義したようなアルキルであって、1個以上の酸素原子(−O−)が、該アルキルの炭素原子間に位置するものを意味する。例えば、(C2−6)オキサアルキルは、2〜6個の炭素原子と、該炭素原子間に位置する1個以上の酸素原子とを含む鎖を意味する。
【0072】
「オキソアルキル」とは、カルボニル基でさらに置換されたアルキルを意味する。該カルボニル基は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、酸または酸塩化物であり得る。
【0073】
「医薬上許容される」とは、医薬組成物の製造に有用であることを意味し、この医薬組成物は、一般に安全で無毒性であり、そして生物学的にもそれ以外にも望ましく、かつ獣医学的用途と同様にヒトの医薬的用途のために許容されることを包含する。
【0074】
「医薬上許容される塩」とは、上で定義したように、医薬上許容され、かつ所望の薬理学的活性を有する本発明の阻害剤の塩を意味する。このような塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;または例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、琥珀酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸で形成された酸付加塩類が挙げられる。
【0075】
医薬上許容される塩としてはまた、存在する酸性プロトンが無機または有機の塩基と反応できる場合に形成され得る、塩基付加塩が挙げられる。許容される無機塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。許容される有機塩基としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン等が挙げられる。
【0076】
「プロドラッグ」とは、インビボで代謝的に本発明の阻害剤に変換可能な化合物を意味する。該プロドラッグ自体もまた、キナーゼ阻害活性を有していても、有していなくてもよい。例えば、ヒドロキシ基を含む阻害剤は、インビボでの加水分解によってヒドロキシ化合物に変換されるエステルとして投与され得る。インビボでヒドロキシ化合物に変換され得る適当なエステルとしては、アセテート、シトレート、ラクテート、タータレート、マロネート、オキサレート、サリチレート、プロピオネート、サクシネート、フマレート、マレエート、メチレン−ビス−b−ヒドロキシナフトエート、ゲンチジン酸エステル、イセチオン酸エステル、ジ−p−トルオイルタータレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、シクロヘキシルスルファメート、キニン酸エステル、アミノ酸のエステル等が挙げられる。同様に、アミン基を含む阻害剤は、インビボでの加水分解によってアミン化合物に変換されるアミドとして投与することができる。
【0077】
「保護された誘導体」とは、反応性部位(単数または複数)が保護基でブロックされた阻害剤の誘導体を意味する。保護された誘導体は、阻害剤の製造に有用であるか、またはそれ自体が阻害剤として活性であってもよい。適当な保護基の包括的リストは、T.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見受けられ得る。
【0078】
「置換または非置換」とは、所定の部分の名称によって他に特徴づけられることなく、所定の部分が、利用可能な原子価にわたって水素置換基のみからなってもよいこと(非置換)、あるいは利用可能な原子価にわたって1個以上の非水素置換基をさらに含んでいてもよいこと(置換)を意味する。例えば、イソプロピルは、−CHによって置換されたエチレン部分の例である。一般に、非水素置換基は、置換されることが明記された所定の部分の1原子に結合され得る任意の置換基であってもよい。置換基の例としては、アルデヒド、脂環式、脂肪族、(C1−10)アルキル、アルキレン、アルキリデン、アミド、アミノ、アミノアルキル、芳香族、アリール、ビシクロアルキル、ビシクロアリール、カルバモイル、炭素環、カルボキシル、カルボニル基、シクロアルキル、シクロアルキレン、エステル、ハロ、ヘテロビシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、ヘテロビシクロアリール、ヘテロシクロアルキル、オキソ、ヒドロキシ、イミノケトン、ケトン、ニトロ、オキサアルキルおよびオキソアルキル部分が挙げられるが、これらに限定されない。それぞれはまた、場合によって置換または非置換であってもよい。
【0079】
「スルフィニル」とは、基−SO−を意味する。該スルフィニル基を、種々の置換基でさらに置換して、スルフィン酸、スルフィンアミド、スルフィニルエステルおよびスルホキシドを含む様々なスルフィニル基を形成し得ることに注意すべきである。
【0080】
「スルホニル」とは、基−SO−を意味する。該スルホニル基を、種々の置換基でさらに置換して、スルホン酸、スルホンアミド、スルホン酸エステルおよびスルホンを含む様々なスルホニル基を形成し得ることに注意すべきである。
【0081】
「治療有効量」とは、ある疾患を治療するために動物に投与した場合に、該疾患の治療を達成するのに十分な量を意味する。
【0082】
「チオカルボニル」とは、基−CS−を意味する。該チオカルボニル基を、種々の置換基でさらに置換して、チオ酸、チオアミド、チオエステルおよびチオケトンを含む、様々なチオカルボニル基を形成し得ることに注意すべきである。
【0083】
「治療」または「治療する」とは、本発明の化合物の任意の投与を意味し、以下を包含する:
(1)疾患に罹りやすい可能性があるが、該疾患の病理または症候をまだ経験していないもしくは示していない動物における、疾患の発生の予防、
(2)疾患の病理または症候を経験しているまたは示している動物における、該疾患の阻害(すなわち、病理および/または症候のさらなる発生の停止)、あるいは
(3)疾患の病理または症候を経験しているまたは示している動物における、該疾患の改善(すなわち、病理および/症候の逆転)。
【0084】
本明細書中に示す定義の全てに関して、これらの定義は、明記した置換基以外にさらなる置換基を含み得るという意味で、オープンエンドとして解釈されるべきであることに注意すべきである。従って、Cアルキルは、1個の炭素原子が存在しているが、炭素原子上の置換基が何であるか示していないことを表す。従って、Cアルキルは、メチル(即ち、−CH)ならびに−CRを含み、式中、R、RおよびRは、各々独立して、水素、または炭素に結合した原子がヘテロ原子である任意の他の置換基、またはシアノであってもよい。従って、例えば、CF、CHOHおよびCHCNは、全てCアルキルである。
【0085】
キナーゼ阻害剤
1つの実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は下記式:
【0086】
【化1】

【0087】
(式中、
J、K、L及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
X及びZは、それぞれ独立して、C、N、O及びSからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択されるか、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択されるか、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、(a)XがO又はSである場合、R13は存在せず、(b)XがNであり、かつXが二重結合の一部である場合、R13は存在せず、(c)YがNである場合、R14は存在しない);
16及びR17は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成し、
但し、(a)X、Y及びZは全てが同時にCではなく、(b)その原子が二重結合の一部である場合、X及びZは、O又はSではなく、(c)二重結合は、XとYとの間又はYとZとの間のいずれか一方に存在し、単結合は、XとYとの間又はYとZとの間のもう一方に存在する)
の1種を含む。
【0088】
他の実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、式:
【0089】
【化2】

【0090】
(式中、
J、K、L、W、X、Y及びZは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択されるか、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択されるか、或いはR12及びR13は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、W、X及び/又はYがそれぞれNである場合、R12、R13及び/又はR14は存在しない);かつ
16及びR17は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
を含む。
【0091】
上記の各実施態様の1つの変形において、J、K、L及びMはそれぞれ、炭素環原子を構成する。上記の各実施態様の他の変形において、J、K及びLはそれぞれ、炭素環原子を構成し、Mは窒素である。
【0092】
さらに他の変形において、X、Y及びZの少なくとも1つが、窒素環原子を構成していてもよい。
【0093】
上記の各実施態様及び変形に関して、YはNであり得る。
【0094】
また、上記の各実施態様及び変形に関して、X及びYは、X及びYを含む環に縮合した2番目の環を形成する置換基を含んでいてもよい。
【0095】
さらに、上記の各実施態様及び変形に関して、W及びXは、W及びXを含む環に縮合した2番目の環を形成する置換基を含んでいてもよい。
【0096】
さらに、上記の各実施態様及び変形に関して、J、K、L及びMにより形成される環は、J、K、L及びMにより形成される環に縮合した環を形成する置換基を含み得る。
【0097】
さらに他の実際態様において、X及びYは、X及びYを含む環に縮合した2番目の環を形成する置換基を含んでおり、かつ、J、K、L及びMにより形成される環は、J、K、L及びMにより形成される環に縮合した環を形成する置換基を含む。
【0098】
縮合環が形成された、上記の実施態様及び変形に関して、該縮合環は、置換又は非置換の、5又は6員の、アリール又はヘテロアリール環を含み得る。より詳しくは、該縮合環は、例えば、置換又は非置換の、ピラゾール、トリアゾール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、ピリドピリジン、キノキサリン又はトリアジン等の、脂環式の環であり得る。
【0099】
他の実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、式:
【0100】
【化3−1】

【0101】
【化3−2】

【0102】
(式中、
J、K、L、W及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
、V、V及びVは、それぞれ独立して、各原子が環の二重結合の一部である場合は、C及びNからなる群から選択され、各原子が二重結合の一部でない場合は、C、N、O及びSからなる群から独立して選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
12、R14、R20、R20’、R21、R21’、R22、R22’、R23及びR23’は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され(但し、(a)R12、R14、R20、R21、R22及びR23がそれぞれ結合する原子がO又はSである場合、R12、R14、R20、R21、R22及び/又はR23は存在せず、(b)R20’、R21’、R22’、及びR23’がそれぞれ結合する原子がN、O又はSである場合、R20’、R21’、R22’、及び/又はR23’は存在しない);かつ
16及びR17は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
を含む。
【0103】
上記実施態様の1つの変形において、V、V、V、V、W及びYの少なくとも1つはNである。他の変形において、W及び/又はYはNである。
【0104】
上記の各実施態様及びそれらの変形に関して、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素、F、Br、Cl、−OCH、−SOMe、−SONH、−SONHMe、−SONHCHCHOH、−SONMe、−NHSO(3−フルオロフェニル)、パーハロ(C1−10)アルキル、−OCF、−CF、(C1−10)アルキル、ヒドロキシ−(C1−10)アルキル、アリール、アリール−(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、HS−、(C1−6)アルキルS−、シアノ、ニトロ、シクロアルコキシ、(C1−12)アルコキシ、−COOH、−COMe、カルボキサミド、(C1−12)アルキルNHCO−、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニル、R10N−(C1−12)アルコキシカルボニル、ヘテロ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルOCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルOCO−、(C1−6)アルキルOCO−、ジエトキシホスホリルメチル、イミノ基、R10N−(C1−6)アルキルスルホニル、−NH、−NHCH、−N(CH、−NH(C1−3)アルキル、−N(C1−3−アルキル)、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニルアミノ、R10N−(C1−6)アルキルアルコキシカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、(C3−12)ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)(C1−6アルキル)アミノ、R10N−(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、R10N−(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ及び−NR10(ここで、R及びR10は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群より選択されるか、或いはここでR及びR10は一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であるか、或いはR及びR10は一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択される)からなる群より選択してもよい。
【0105】
また、上記の各実施態様及びそれらの変形に関して、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−6)アルキル、カルボキサミド、モノ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、置換アリール−(C1−6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ、(C1−6)アルキルアミノカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキルアミノ(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)((C1−6)アルキル)アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1―6)アルキルカルボニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリル(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロシクリル(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリール(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロシクリル(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロアリール(C1−6)アルキルカルボニル、ヘテロシクリル(C1−6)アルキルカルボニル、ヘテロアリール(C1−6)アルコキシカルボニル、ヘテロシクリル(C1−6)アルコキシカルボニル、(C1−6)アルキルスルホニル(C1−6)アルキルアミノアルキル、(C1−6)アルキルスルホニル−(C1−6)アルキル−アミノアルキル−ヘテロアリール−、(C1−6)アルコキシカルボニル、ハロ、シアノ、ジエトキシホスホリルメチル、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシからなる群から選択してもよい。
【0106】
また、上記の各実施態様及びそれらの変形に関して、1つの更なる変形において、YはNであり、かつR12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−6)アルキル、カルボキサミド、モノ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、置換アリール−(C1−6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル−(C1−6)アルキル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルアミノカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)((C1−6)アルキル)アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1―6)アルキルカルボニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルカルボニル、(C1−6)アルキルスルホニル(C1−6)アルキルアミノアルキル、(C1−6)アルキルスルホニル−(C1−6)アルキル−アミノアルキル−ヘテロアリール−、ハロ、シアノ及びトリフルオロメチル、からなる群から選択される。
【0107】
さらなる実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0108】
【化4】

【0109】
(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され(但し、R、R及びRがそれぞれ結合する原子が窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む。
【0110】
他の実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0111】
【化5】

【0112】
(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
14は、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
を含む。
【0113】
さらに他の実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0114】
【化6】

【0115】
(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
14は、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
を含む。
【0116】
さらに他の実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0117】
【化7】

【0118】
(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
14は、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
を含む。
【0119】
更なる実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0120】
【化8】

【0121】
(式中、
、V、V及びVは、それぞれ独立して、C、N、O及びSからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
20、R20’、R21、R21’、R22、R22’、R23及びR23’は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され(但し、(a)V、V、V及び/又はVがそれぞれO又はSである場合、R20、R21、R22及び/又はR23は存在せず、(b)V、V、V及び/又はVがそれぞれN、O又はSである場合、R20’、R21’、R22’、及び/又はR23’は存在しない);かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR16は他の置換基と一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む。
【0122】
更なる実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0123】
【化9】

【0124】
(式中、
W、X及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;かつ
12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択される(但し、W、X及び/又はYがそれぞれNである場合、R12、R13及び/又はR14は存在しない))
の1種を含む。
【0125】
上記の各実施態様及びそれらの変形に関して、R12及びR13又はR13及びR14は、一緒になって、置換又は非置換の縮合環を形成していてもよい。1つの変形において、該縮合環は、脂環式の環である。他の変形において、該縮合環は、置換又は非置換の、5又は6員のアリール又はヘテロアリール環である。
【0126】
上記の各実施態様及びそれらの変形に関して、R16及びR16に最も近接した環の置換基は、一緒になって、置換又は非置換の縮合環を形成していてもよい。例えば、R14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成し得る。1つの特定の変形において、こうして形成された縮合環は、脂環式の環である。他の特定の変形において、こうして形成された縮合環は、置換又は非置換の、5又は6員のアリール又はヘテロアリール環である。
【0127】
上記の各実施態様及びそれらの変形に関して、R16及びR17の少なくとも1つは、水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択され得る。他の特定の変形において、R17はHである。さらに他の変形において、R16及びR17は、両方とも、独立して、水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択される。さらに他の変形において、R16及びR17は、両方とも水素である。
【0128】
更なる実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0129】
【化10】

【0130】
(式中、
J、K、L及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
X及びZは、それぞれ独立して、C、N、O及びSからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、(a)XがO又はSである場合、R13は存在せず、(b)XがNであり、かつXが二重結合の一部である場合、R13は存在せず、(c)YがNである場合、R14は存在しない);
16は、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり;
17は、水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択されるか、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成し、
但し、(a)X、Y及びZは全てが同時にCではなく、(b)その原子が二重結合の一部である場合、X及びZは、O又はSではなく、(c)二重結合は、XとYとの間又はYとZとの間のいずれか一方に存在し、単結合は、XとYとの間又はYとZとの間のもう一方に存在する)
の1種を含む。
【0131】
さらに更なる実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、下記式:
【0132】
【化11】

【0133】
(式中、
J、K、L、W、X、Y及びZは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択されるか、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択されるか、或いはR12及びR13は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、W、X及び/又はYがそれぞれNである場合、R12、R13及び/又はR14は存在しない);
16は、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され;かつ
17は水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択されるか、或いはここで、R16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む。
【0134】
本発明のキナーゼ阻害剤の特定例としては、
3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
5−フルオロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
2−ヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボニトリル;
(Z)−N’,2−ジヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミジン;
N−(2−ヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−イル)メタンスルホンアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド;
3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−2−オール;
5−フルオロ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−2−オール;
2−ヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−5−カルボニトリル;
(Z)−N’,2−ジヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミジン;
N−(2−ヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−5−イル)メタンスルホンアミド
2−ヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−N−メチル−1H−インドール−5−スルホンアミド;
3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
5−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
2−ヒドロキシ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボニトリル;
(Z)−N’,2−ジヒドロキシ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミジン;
N−(2−ヒドロキシ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−イル)メタンスルホンアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド;
3−(2−アミノ−6−メチル−ピリミジン−4−イル)−1H−インドール−2−オール;
3−(3−アミノイソキノリン−l−イル)−1H−インドール−2−オール;
3−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−2−ヒドロキシ−1H−インドール−5−カルボニトリル;
8−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−6H−チアゾロ[5,4−e]インドール−7−オール;
N−(3−(3−アミノイソキノリン−l−イル)−2−ヒドロキシ−1H−インドール−5−イル)エタンスルホンアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(7−オキソ−7,8−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド;及び
N−エチル−2−ヒドロキシ−3−(7−オキソ−7,8−ジヒドロ−l,8−ナフチリジン−2−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
本発明の化合物は、医薬上許容されるその塩、生物学的に加水分解可能なそのエステル、生物学的に加水分解可能なそのアミド、生物学的に加水分解可能なそのカルバメート、その溶媒和物、その水和物又はそのプロドラッグの形態であってもよいことに留意する。例えば、該化合物は、インビボで水素などの異なる置換基に変換可能な置換基を含んでいてもよい。
【0136】
本発明の化合物は、その活性状態において、全て又は大部分がエノール互変異性体であってもよいことを更に留意する。当該化合物は、立体異性体の混合物で存在してもよく、或いは単一の立体異性体を含むことも、さらに留意する。
【0137】
本発明は、上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載の化合物を有効成分として含む医薬組成物もまた提供する。さらに、該組成物は経口投与に適する固体又は液体の製剤であり得る。更なる変形において、該医薬組成物は錠剤であり得る。更に他の変形において、該医薬組成物は非経口投与に適する液体製剤であり得る。
【0138】
1つの実施態様において、上記の各変形に記載の化合物を含む医薬組成物が提供され、該組成物は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、口腔内、鼻腔内、リポソーム、吸入、膣内、眼内、局所送達(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内、関節内及びくも膜下腔内からなる群より選択される経路による投与に適する。
【0139】
本発明はまた、上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載された化合物又は組成物、並びに、該化合物を投与すべき疾患状態の表示、該化合物の保存情報、投薬情報、及び該化合物を投与する方法に関する指示からなる群より選択される1以上の形態の情報を含む説明書を含む、キットを提供する。
【0140】
1つの変形において、キットは複数回投与形態で化合物又は組成物を含む。
【0141】
他の実施態様において、本発明は、上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載された化合物又は組成物、及び包装材料を含む製品を提供する。
【0142】
1つの変形において、包装材料は、化合物又は組成物を収容するための容器を含む。該容器は、化合物又は組成物を投与すべき疾患状態、保存情報、投薬情報、及び/あるいは化合物又は組成物を投与する方法に関する指示を表示するラベルを含んでもよい。
【0143】
上記実施態様及び変形に関して、製品は、複数回投与形態で化合物又は組成物を含んでいてもよい。
【0144】
更に他の実施態様において、本発明は、キナーゼを上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載の化合物又は組成物と接触させることを含む、キナーゼの阻害方法を提供する。
【0145】
1つの変形において、阻害は、エノール体である化合物により選ばれる有利な構造から生じ、かつ該構造は化合物のエノール水素と隣接窒素原子との分子内水素結合から生じる。
【0146】
他の変形において、阻害は、エノール体である化合物により選ばれる有利な構造から生じ、かつ該阻害はエノール互変異性体とキナーゼの活性部位残基との間の水素結合相互作用から生じる。
【0147】
さらに他の実施態様において、上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載の化合物又は組成物を、インビボでキナーゼを阻害するために、対象内に存在させることを含む、キナーゼの阻害方法が提供される。
【0148】
本発明はまた、インビボで第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物がインビボでキナーゼを阻害し、第二の化合物が上記実施態様及び変形のいずれかに1つに記載の化合物である、キナーゼの阻害方法が提供される。
【0149】
他の実施態様において、本発明は、上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載の化合物又は組成物を対象に投与することを含む治療方法を提供する。
【0150】
更に他の実施態様において、上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載の化合物又は組成物を、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在させることを含む、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法が提供される。
【0151】
本発明はまた、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法であって、インビボで上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載の第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、方法が提供される。
【0152】
さらに、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法であって、上記実施態様及び変形のいずれか1つに記載された化合物又は組成物を投与することを含み、ここで該化合物又は組成物は、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、方法が提供される。
【0153】
他の実施態様において、治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の本発明の組成物の投与を含む、癌の治療方法が提供される。1つの実施態様において、癌は、扁平上皮癌、星細胞腫、カポジ肉腫、グリア芽腫、非小細胞肺癌、膀胱癌、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、小細胞肺癌、グリオーマ、直腸結腸癌、尿生殖器癌及び消化管癌からなる群より選択される。
【0154】
他の実施態様において、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法であって、本発明の化合物又は組成物を、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在させることを含む、方法が提供される。
【0155】
他の実施態様において、治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の本発明の化合物又は組成物の投与を含む、炎症、炎症性腸疾患、乾癬又は移植片拒絶反応の治療方法が提供される。
【0156】
さらに他の実施態様において、本発明は、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の予防又は治療方法を提供し、該方法は、インビボで本発明の化合物又は組成物のいずれか1つの第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する。
【0157】
さらに他の実施態様において、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の予防又は治療方法であって、本発明の化合物又は組成物を投与することを含み、ここで該化合物は、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、方法が提供される。
【0158】
更なる実施態様において、予防又は治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の上記実施態様のいずれか1つに記載の化合物又は組成物の投与を含む、認知症関連疾患及びアルツハイマー病の予防又は治療方法が提供される。1つの特定の変形において、認知症関連疾患は、パーキンソン型前頭側頭型認知症、グアム島のパーキンソン認知症複合、HIV認知症、神経原線維変化病理に関連する疾患、前認知症状態、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、前頭側頭型認知症及び拳闘家認知症からなる群より選択される。
【0159】
他の実施態様において、予防又は治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の上記実施態様のいずれか1つに記載の化合物又は組成物の投与を含む、筋萎縮性側索硬化症、大脳皮質基底核変性症、ダウン症候群、ハンチントン病、パーキンソン病、脳炎後パーキンソニズム(postencephelatic parkinsonism)、進行性核上麻痺、ピック病、ニーマンピック病、発作、頭部外傷及び他の慢性神経変性疾患、双極性疾患、情動障害、うつ病、統合失調症、認識障害、脱毛並びに避妊薬の投与の予防又は治療方法が提供される。
【0160】
さらに他の実施態様において、そのような予防及び/又は治療を必要とするヒトを含む哺乳動物種に、治療有効量の上記実施態様のいずれか1つに記載の化合物又は組成物を投与することを含む、軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、加齢に関連する認識衰退、非認知症性認識障害、軽度認識衰退、軽度神経認知衰退、高齢期の健忘症、記憶障害及び認識障害、並びに男性型脱毛症の予防又は治療方法が提供される。
【0161】
他の実施態様において、そのような予防及び/又は治療を必要とするヒトを含む哺乳動物に、治療有効量の上記実施態様に記載の化合物又は組成物を投与することを含む、認知症関連疾患、アルツハイマー病及びキナーゼ関連状態の予防又は治療方法が提供される。
【0162】
他の実施態様において、治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の上記実施態様のいずれか1つに記載の化合物又は組成物の投与を含む、関節炎の治療方法が提供される。
【0163】
他の実施態様において、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法であって、インビボで本発明のいずれか1つに記載の第二の化合物又は組成物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、方法が提供される。
【0164】
他の実施態様において、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法であって、上記実施態様のいずれか1つに記載の化合物又は組成物を投与することを含み、ここで該化合物は、病理および/または症候に対して治療有効量で対象内に存在する、方法が提供される。
【0165】
本発明の化合物は、医薬上許容されるその塩、生物学的に加水分解可能なそのエステル、生物学的に加水分解可能なそのアミド、生物学的に加水分解可能なそのカルバメート、その溶媒和物、その水和物又はそのプロドラッグの形態であってもよいことに留意する(例えば、このとき、該化合物は、インビボで水素などの異なる置換基に変換可能な置換基を含む)。
【0166】
本発明の化合物は、その活性状態において、全て又は大部分がエノール互変異性体であってもよいことにさらに留意する。
【0167】
本発明の化合物は、立体異性体の混合物として存在してもよく、或いは単一の立体異性体として存在してもよいことにも留意する。
【0168】
キナーゼ阻害剤の塩、水和物およびプロドラッグ
本発明の化合物は、塩、水和物およびインビボで本発明の化合物に変換されるプロドラッグの型で存在し、またこれらの型で投与されてもよいことを認識すべきである。例えば本発明の化合物を、当業者には周知の手順に従い、種々の有機および無機の酸および塩基から誘導されるそれらの医薬上許容される塩の形態に変換し、またその形態で使用することは、本発明の範囲内にある。
【0169】
本発明の化合物が遊離塩基型を有する場合、遊離塩基型の該化合物を、医薬上許容される無機酸または有機酸、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩といったハイドロハライド;他の無機酸およびその対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等;ならびにアルキルスルホネートおよびモノアリールスルホネート、例えばエタンスルホネート、トルエンスルホネートおよびベンゼンスルホネート;ならびに他の有機酸およびその対応する塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、琥珀酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩およびアスコルビン酸塩と反応させることにより、該化合物は、医薬上許容される酸付加塩として製造できる。本発明のさらなる酸付加塩としては、アジペート、アルギネート(alginate)、アルジネート(arginate)、アスパルテート、ビスルフェート、ビスルフィット、ブロミド、ブチレート、樟脳酸塩、カンファースルホネート、カプリレート、クロライド、クロロベンゾエート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、リン酸二水素塩、ジニトロベンゾエート、ドデシル硫酸塩、フマレート、ガラクタル酸塩(galacterate)(粘液酸由来)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタノエート(glucoheptaoate)、グルコネート、グルタメート、グリセロリン酸塩、ヘミサクシネート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マロネート、マンデレート、メタリン酸塩、メタンスルホネート、メチルベンゾエート、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホネート、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレエート、パモエート(pamoate)、ペクチネート、パースルフェート、フェニルアセテート、3−フェニルプロピオネート、リン酸塩、ホスホン酸塩およびフタル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、これらの遊離塩基型は、それらの各塩型とは極性溶媒中の溶解度等の物性において幾分異なるが、この点を除けば、該塩は、本発明の目的についてそれらの各遊離塩基型と同等であることを認識すべきである。
【0170】
本発明の化合物が遊離酸型を有する場合、この遊離酸型の化合物を、医薬上許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより、医薬上許容される塩基付加塩を製造できる。このような塩基の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムといったアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムといったアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエタノラートおよびナトリウムプロパノラート;ならびに水酸化アンモニウム、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンといった様々な有機塩基である。また、本発明の化合物のアルミニウム塩も含まれる。本発明のさらなる塩基塩としては:銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基塩としては、一級、二級および三級アミンの塩、天然産の置換アミンを含む置換アミンの塩、環状アミンの塩および塩基性イオン交換樹脂の塩、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン(meglumine)、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチルアミン(トロメタミン)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、これらの遊離酸型は、それらの各塩型とは極性溶媒中の溶解度等の物性において幾分異なるが、この点を除けば、該塩は、本発明の目的のために、それらの各遊離酸型と同等であることを認識すべきである。
【0171】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物は、(C1−4)アルキルハライド、例えばメチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ジ(C1−4)アルキル硫酸塩、例えばジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩およびジアミル硫酸塩;(C10−18)アルキルハライド、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ならびにアリール(C1−4)アルキルハライド、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルといった薬剤で四級化され得る。このような塩により、本発明の水溶性化合物および油溶性化合物双方の製造が可能となる。
【0172】
本発明の化合物のN−オキシドは、当業者に公知の方法で製造できる。例えばN−オキシドは、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中、約0℃で、酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、パーマレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ−クロロパーオキシ安息香酸等)で、非酸化型の該化合物を処理することにより、製造できる。あるいはまた、該化合物のN−オキシドは、適当な出発物質のN−オキシドから製造できる。
【0173】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、本発明の化合物の置換基を変更することによって製造でき、これらは後にインビボで異なる置換基に変換される。多くの例においては、該プロドラッグ自体もまた本発明の化合物の範囲内に入ることに注意すべきである。例えば、プロドラッグは、化合物を、カルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネート等)またはアシル化剤と反応させることにより製造できる。プロドラッグ製造方法の更なる例は、Saulnier et al.(1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985に記載されている。
【0174】
本発明の化合物の保護された誘導体もまた製造できる。保護基の生成およびその除去に適用できる技術の例は、T.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rdedition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見出すことができる。
【0175】
本発明の化合物はまた、溶媒和物(例えば、水和物)として、本発明のプロセスの間に簡便に製造または形成し得る。本発明の化合物の水和物は、ジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールといった有機溶媒を用いて、水性/有機溶媒混合物から再結晶化することにより簡便に製造できる。
【0176】
ここで使用する「医薬上許容される塩」とは、特に該塩が、該化合物の遊離型または該化合物の異なる塩型と比較して改善された薬物動態学的諸特性を該化合物に付与するものである場合、その塩の状態で使用される本発明の任意の化合物を包含する意図である。この医薬上許容される塩型はまた、以前は有していなかった望ましい薬物動態学的特性を、該化合物に初めに付与することも可能であり、そして身体内における治療活性に対して該化合物の薬力学に正の影響を与える可能性さえもある。好ましい影響を与え得る薬物動態学的特性の例は、該化合物が細胞膜を横切って輸送される様式であり、これは結果的に該化合物の吸収、分配、生体内変換および排出に、直接的かつ正の影響を与える可能性がある。医薬組成物の投与経路は重要であり、また様々な解剖学的、生理学的および病理学的因子が、バイオアベイラビリティーに多大な影響を与える可能性があるが、該化合物の溶解度は通常、使用されたその特定の塩型の特性に依存する。当業者は、この化合物の水溶液が治療される対象の身体内への該化合物の最も迅速な吸収をもたらし、一方で脂質溶液および懸濁液、ならびに固体投与形態が、該化合物のあまり迅速でない吸収をもたらすことを理解するであろう。
【0177】
キナーゼ阻害剤の製造
本発明の化合物を合成するために、種々の方法が開発され得る。これらの化合物を合成するための代表的な方法を実施例において提供する。しかしながら、本発明の化合物は、他の者が考案し得る他の合成経路によって合成することも可能であることに留意する。
【0178】
ある本発明の化合物が、特定の立体化学を該化合物に付与する他の原子と結合した原子(例えば、キラル中心)を有することは容易に認識されよう。本発明の化合物の合成は、異なる立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の混合物の製造をもたらし得ることを認識すべきである。具体的な立体化学が指定されていない限り、化合物の列挙は、異なる可能な全ての立体異性体を包含することを意図している。
【0179】
異なる立体異性体の混合物を分離する様々な方法が、当分野において公知である。例えば、ある化合物のラセミ混合物を、光学的に活性な分割剤(resolving agent)と反応させて、一対のジアステレオマー化合物を製造することができる。次いで、光学的に純粋なエナンチオマーを回収するために該ジアステレオマーを分離することができる。解離可能な錯体を利用して、エナンチオマーの分割を行うことも可能である(例えば、結晶性のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、十分に異なる物性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性等)を典型的に有しており、従ってこれらの非類似性を利用して、容易に分離することができる。例えば、ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、または溶解度の違いに基づく分離/分割技術により典型的に分離できる。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分割するのに利用できる技術のより詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981)に見受けられ得る。
【0180】
キナーゼ阻害剤を含む組成物
本発明のキナーゼ阻害剤と組み合わせて、多種多様な組成物および投与方法が利用できる。このような組成物は、本発明のキナーゼ阻害剤に加えて、従来の医薬上の賦形剤および他の従来の医薬的に不活性な薬剤を含むことができる。さらに、該組成物は、本発明のキナーゼ阻害剤に加えて、活性な薬剤を含み得る。これら追加の活性薬剤は、本発明のさらなる化合物および/または1種以上の他の医薬的に活性な薬剤を含み得る。
【0181】
該組成物は、気体、液体、半液体または固体状であり得、使用するその投与経路に適した方法で処方され得る。経口投与には典型的に、カプセル剤および錠剤が用いられる。非経口投与には、本明細書中に記載されるように調製した凍結乾燥粉末の再構成が、典型的に用いられる。
【0182】
本発明のキナーゼ阻害剤を含む組成物は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、口腔内(transbuccally)、鼻腔内、リポソーム、吸入、膣内、眼内、局所送達(例えば、カテーテルもしくはステントによる)、皮下、脂肪内、関節内またはくも膜下腔内(intrathecally)で、投与または同時投与することができる。本発明の化合物および/または組成物は、徐放性の投与形態で投与または同時投与することも可能である。
【0183】
該キナーゼ阻害剤およびこれらを含む組成物は、任意の従来の投与形態で、投与または同時投与することが可能である。本発明の文脈における同時投与とは、改善された臨床的結果を達成するための協調治療の過程で1より多い治療剤を投与することを意味する意図であり、治療剤の1つとしてキナーゼ阻害剤が挙げられる。このような同時投与はまた、同一の広がりを持ち得る、即ち重複する時間中に行われてもよい。
【0184】
非経口、皮内、皮下または局所適用のために使用する溶液または懸濁液は、必要に応じて1種以上の以下の成分を含んでいてもよい:注射用の水、生理食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような無菌希釈剤;ベンジルアルコールおよびメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化物質;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩のような緩衝液;塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張力調節用の薬剤、ならびにアルカリまたは酸性化剤あるいは炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、塩酸、ならびに酢酸およびクエン酸などの有機酸のような緩衝液といった、組成物の酸性度またはアルカリ性度を調整するための薬剤。非経口製剤は、ガラス、プラスチックあるいは他の適当な材料製の、アンプル、使い捨て用シリンジまたは単回もしくは複数回投与バイアルに封入してもよい。
【0185】
本発明のキナーゼ阻害剤が不十分な溶解度を示す場合には、該化合物を可溶化させる方法が用いられ得る。このような方法は、当業者にとっては公知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような共溶媒の使用、TWEENのような界面活性剤の使用または重炭酸ナトリウム水溶液への溶解が挙げられるが、これらに限定されない。該化合物の誘導体、例えば該化合物のプロドラッグを、有効な医薬組成物の処方に際して使用することも可能である。
【0186】
本発明のキナーゼ阻害剤を、ある組成物に混合するか添加すると、溶液、懸濁液、エマルション等が製造できる。得られた組成物の形態は、意図した投与様式および選択した担体またはビヒクルにおける該化合物の溶解度を含む、多数の要素に依存するであろう。治療される疾患を改善するために必要な有効濃度は、経験的に決定され得る。
【0187】
本発明の組成物は、ヒトおよび動物に投与するために、適量の該化合物、特にその医薬上許容される塩、好ましくはナトリウム塩を含む、単位投与形態、例えば錠剤、カプセル剤、ピル、粉末剤、吸入器用の乾燥粉末剤、顆粒剤、無菌非経口溶液もしくは懸濁液および経口溶液もしくは懸濁液、ならびに油−水エマルションとして与えられてもよい。医薬上治療上活性な化合物およびその誘導体は、典型的に単位投与形態または複数回投与形態で処方され、そして投与される。本明細書で使用するとき、単位投与形態は、ヒトおよび動物対象に適しかつ当分野において公知であるように別々に包装された、物理的に別個の単位をいう。各単位用量は、必要な医薬上の担体、ビヒクルまたは希釈剤と共に、望ましい治療効果を得るのに十分な、所定量の治療上活性な化合物を含む。単位投与形態の例としては、アンプルおよびシリンジ 別々に包装された錠剤またはカプセル剤が挙げられる。単位投与形態は、分割してまたはその複数を投与できる。複数回投与形態は、分離された単位投与形態で投与する単一の容器内に収容された複数の同等な単位投与形態である。複数回投与形態の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトルまたはパイントボトルまたはガロンボトルが挙げられる。従って、複数回投与形態は、包装によって分離されていない、複数の単位用量である。
【0188】
1以上の本発明のキナーゼ阻害剤に加えて、該組成物は、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムまたはカルボキシメチルセルロース等の希釈剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルク等の滑沢剤;およびデンプン、ゴムアカシアゼラチン(gum acaciagelatin)等の天然ゴム、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリドン(polvinylpyrrolidine)、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドンおよび当業者に公知の他のこのような結合剤等の結合剤、を含み得る。液体の医薬的に投与可能な組成物は、例えば上記した活性化合物および任意の医薬的アジュバントを、担体、例えば水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどの中に、溶解、分散または他の方法で混合して溶液あるいは懸濁液を得ることにより製造できる。必要ならば、投与すべき医薬組成物は、少量の補助的な物質、例えば湿潤剤、乳化剤または可溶化剤、pH緩衝剤等、例えばアセテート、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート、トリエタノールアミンオレエートおよび他のこのような薬剤をも含み得る。このような投与形態を製造する実際の方法は、当業者に公知であるかまたは当業者に明らかとなろう;例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 15th Edition, 1975を参照。投与すべき組成物または製剤は、何れにしても、インビボでキナーゼ活性を低下させるのに十分な量の本発明のキナーゼ阻害剤を含み、それにより対象の疾患状態を治療するであろう。
【0189】
投与形態または組成物は、本明細書において上述したような、追加の物質を含むバランスで、場合により0.005%〜100%(重量/重量)の範囲で、1種以上の本発明のキナーゼ阻害剤を含むことができる。経口投与のために、医薬上許容される組成物は、任意の1種以上の一般に使用される賦形剤、例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム等を場合により含むことができる。このような組成物としては、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、粉末剤、吸入用の粉末剤および徐放性製剤(例えばインプラントおよびマイクロカプセル化送達系が挙げられるが、これらに限定されない)ならびにコラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸等といった生分解性の生体適合性ポリマーが挙げられる。これら製剤の製法は、当業者には公知である。該組成物は、場合により0.01%〜100%(重量/重量)の、場合により0.1%〜95%の、および場合により1%〜95%の1種以上のキナーゼ阻害剤を含むことができる。
【0190】
キナーゼ阻害剤の塩、好ましくはナトリウム塩は、タイムリリース製剤またはコーティングのように、該化合物が身体から迅速に放出されないように保護する担体を用いて調製され得る。該製剤は、諸特性の所望の組合せを得るために、他の活性化合物をさらに含み得る。
【0191】
経口投与用の製剤
経口医薬的投与形態は、固体、ゲルまたは液体としてであり得る。固体投与形態の例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒、およびバルク粉末剤が挙げられるが、これらに限定されない。経口錠剤のより具体的な例としては、圧縮成型したチュワブルロゼンジおよび錠剤が挙げられ、これらは腸溶性コーティング、糖衣コーティングまたはフィルムコーティングされ得る。カプセル剤の例としては、硬質または軟質ゼラチンカプセル剤が挙げられる。顆粒および粉末剤は、非発泡型または発泡型で提供され得る。各々は、当業者に公知の他の成分と併用され得る。
【0192】
ある実施態様において、本発明のキナーゼ阻害剤は、固体投与形態、好ましくはカプセル剤または錠剤として提供される。錠剤、ピル、カプセル剤、トローチなどは、1以上の以下の成分:結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑沢剤;流動促進剤(glidant);甘味剤;および香料添加剤、または同様の特性を持つ化合物を任意で含み得る。
【0193】
使用可能な結合剤の例としては、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、スクロースおよびスターチペーストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0194】
使用可能な滑沢剤の例としては、タルク、スターチ、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、石松子およびステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
使用可能な希釈剤の例としては、ラクトース、スクロース、スターチ、カオリン、塩、マンニトールおよびリン酸二カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
使用可能な流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。
【0197】
使用可能な崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトスターチ、ベントナイト、メチルセルロース、アガーおよびカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0198】
使用可能な着色剤の例としては、任意の承認され認証された、水溶性FDおよびC色素、その混合物;およびアルミナ水和物に懸濁した不水溶性FDおよびC色素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
使用可能な甘味剤の例としては、スクロース、ラクトース、マンニトールおよびシクラミン酸ナトリウムおよびサッカリンなどの人工甘味剤、ならびに任意の数の噴霧乾燥(spray-dried)香料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0200】
使用可能な香料添加剤の例としては、果実などの植物から抽出した天然香料および快い感覚を生じさせる化合物の合成ブレンド(例えば、限定されないがペパーミントおよびサリチル酸メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0201】
使用可能な湿潤剤の例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
使用可能な制吐(anti-emetic)コーティングの例としては、脂肪酸、脂肪、ワックス、セラック、アンモニア処理セラックおよび酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
使用可能なフィルムコーティングの例としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
経口投与が所望される場合、化合物の塩は、胃の酸性の環境からそれを保護する組成物中に任意で提供され得る。例えば、組成物は、胃においてその完全性を維持し腸において活性化合物を放出する腸溶性コーティング中に処方することができる。組成物はまた、制酸剤または他のそのような成分と組み合わせて処方され得る。
【0205】
単位投与形態がカプセル剤の場合、脂肪油などの液体担体を任意でさらに含み得る。加えて、単位投与形態は、単位投与形態の物理的形状を修飾する多様な他の材料、例えば、糖および他の腸溶性薬剤のコーティングを任意でさらに含み得る。
【0206】
本発明の化合物はまた、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハ、スプリンクル(sprinkle)、チューインガムなどの成分として投与され得る。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤としてのスクロースおよび特定の防腐剤、色素および着色剤ならびに香料を任意で含み得る。
【0207】
本発明のキナーゼ阻害剤はまた、所望の作用に悪影響を与えない他の活性物質、または制酸剤、H2ブロッカー、および利尿剤などの所望の作用を補足する物質と混合し得る。例えば、化合物が喘息または高血圧の治療に用いられる場合、それぞれ他の気管支拡張剤および降圧剤とともに用いられ得る。
【0208】
本発明のキナーゼ阻害剤を含む錠剤に含まれ得る、医薬上許容される担体の例としては、結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香料添加剤および湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。腸溶性コーティング錠剤は、腸溶性コーティングがあるので、胃酸の作用に侵されず、中性またはアルカリ性の腸内で溶解または崩壊する。糖衣コーティング錠剤は、異なる層の医薬上許容される物質が適用された、圧縮成型された錠剤であり得る。フィルムコーティング錠剤は、ポリマーまたは他の適切なコーティングで覆われた、圧縮成型された錠剤であり得る。多重圧縮成型錠剤は、上述した医薬上許容される物質を用いて、1回より多い圧縮サイクルにより製造した、圧縮成型された錠剤であり得る。着色剤もまた、錠剤に使用し得る。香味料および甘味剤は、錠剤に用いられ得、そしてチュワブル錠剤およびロゼンジの形成において特に有用である。
【0209】
使用可能な液体の経口投与形態の例としては、水溶液、エマルション、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成した溶液および/または懸濁液ならびに発泡性顆粒から再構成した発泡性の製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
使用可能な水溶液の例としては、エリキシルおよびシロップが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において、エリキシルは、透明で、甘味のある、水性アルコール製剤を意味する。エリキシルにおいて使用可能な医薬上許容される担体の例としては、溶媒が挙げられるが、これに限定されない。使用可能な溶媒の特定の例としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップが挙げられる。本明細書において、シロップは、糖、例えば、スクロースの濃縮水溶液を意味する。シロップは、防腐剤を任意でさらに含み得る。
【0211】
エマルションとは、一方の液体が、他方の液体全体に、小さな球の状態で分散されている2相系を意味する。エマルションは任意で、水中油型または油中水型エマルションであり得る。エマルションにおいて使用可能な医薬上許容される担体の例としては、非水性の液体、乳化剤および防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
液体の経口投与形態へと再構成される非発泡性顆粒において使用可能な医薬上許容される物質の例としては、希釈剤、甘味料および湿潤剤が挙げられる。
【0213】
液体の経口投与形態へと再構成される発泡性顆粒において使用可能な医薬上許容される物質の例としては、有機酸および二酸化炭素の供給源が挙げられる。
【0214】
着色剤および香料添加剤は、上記投与形態の全てにおいて任意で使用し得る。
【0215】
使用可能な防腐剤の特定の例としては、グリセリン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸(benzoic add)、安息香酸ナトリウムならびにアルコールが挙げられる。
【0216】
エマルションにおいて使用可能な非水性液体の特定の例としては、鉱物油および綿実油が挙げられる。
【0217】
使用可能な乳化剤の特定の例としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤が挙げられる。
【0218】
使用可能な懸濁化剤の特定の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガムおよびアカシアが挙げられる。希釈剤としては、ラクトースおよびスクロースが挙げられる。甘味剤としては、スクロース、シロップ、グリセリンならびにシクラミン酸ナトリウムおよびサッカリンなどの人工甘味剤が挙げられる。
【0219】
使用可能な湿潤剤の特定の例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
【0220】
使用可能な有機酸の特定の例としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。
【0221】
発泡性組成物において使用可能な二酸化炭素の供給源としては、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤としては、任意の承認され認証された、水溶性FDおよびC色素、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0222】
使用可能な香料添加剤の特定の例としては、果実などの植物から抽出した天然香料、および快い味覚を生じさせる化合物の合成ブレンドが挙げられる。
【0223】
固体投与形態に関連して、例えばプロピレンカーボネート、植物油またはトリグリセリド中の溶液または懸濁液は、好ましくはゼラチンカプセル中に封入される。そのような溶液、およびその製造および封入は、米国特許第4,328,245号;同第4,409,239号;および同第4,410,545号に開示されている。液体投与形態について、溶液、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液などは、投与のために容易に秤量できるよう、十分量の医薬上許容される液体担体、例えば水で希釈され得る。
【0224】
あるいは、液体または半固体の経口製剤は、活性化合物または塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、プロピレンカーボネート)および他のそのような担体中に溶解または分散させ、これらの溶液または懸濁液を、硬質または軟質ゼラチンカプセルシェル内に封入することにより製造され得る。他の有用な製剤としては、米国再発行特許第28,819号および米国特許第4,358,603号に示されたものが挙げられる。
【0225】
注射剤、溶液、およびエマルション
本発明はまた、一般に皮下、筋肉内または静脈内のいずれかへの注射により特徴付けられる非経口投与によって、本発明のキナーゼ阻害剤を投与するように設計された組成物も目的とする。注射剤は、任意の従来の形状、例えば液体の溶液または懸濁液、注射前に液体中に溶解または懸濁するのに適した固体形状、またはエマルションとして製造され得る。
【0226】
本発明の注射剤と組合せて使用可能な賦形剤の例としては、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。注射可能な組成物はまた、少量の無毒性の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度増進剤、ならびに酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートおよびシクロデキストリンといった他のそのような薬剤を任意で含み得る。一定レベルの用量を維持する、遅延放出性または徐放性の系を移植すること(例えば、米国特許第3,710,795号参照)もまた、本発明において意図するものである。このような非経口組成物に含まれる活性化合物の割合は、その特定の性質ならびに化合物の活性および対象の必要性に大きく依存する。
【0227】
製剤の非経口投与としては、静脈内、皮下および筋肉内投与が挙げられる。非経口投与用製剤としては、そのまま注射できる無菌溶液、皮下錠剤を含む、本明細書中に記載された凍結乾燥された粉末のような、使用直前に溶媒とそのまま組み合わされる無菌の乾燥した可溶性製品、そのまま注射できる無菌懸濁液、使用直前にビヒクルとそのまま組み合わされる無菌の乾燥した不溶性製品および無菌エマルションが挙げられる。溶液は、水性かまたは非水性であり得る。
【0228】
静脈内投与の場合、適切な担体の例としては、生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールならびにそれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含む溶液が挙げられるが、それらに制限されない。
【0229】
非経口製剤において任意で使用可能な医薬上許容される担体の例としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝液、抗酸化物質、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、捕捉剤またはキレート剤ならびに他の医薬上許容される物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0230】
任意で使用可能な水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル(Ringers)注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロースおよび乳酸化リンゲル注射液が挙げられる。
【0231】
任意で使用可能な非水性の非経口ビヒクルの例としては、植物性の不揮発性油、綿実油、コーン油、ゴマ油およびピーナッツ油が挙げられる。
【0232】
特に、製剤が多重投与用容器に包装され、結果的に保存でき、また多数回のアリコート取出しを可能とするように設計されている場合には、静菌性または静真菌性濃度の抗菌剤を、非経口製剤に添加し得る。使用可能な抗菌剤の例としては、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルおよびp−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0233】
使用可能な等張剤の例としては、塩化ナトリウムおよびデキストロースが挙げられる。使用可能な緩衝液の例としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられる。使用可能な抗酸化物質の例としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。使用可能な局所麻酔薬の例としては、塩酸プロカインが挙げられる。使用可能な懸濁化剤および分散剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。使用可能な乳化剤の例としては、ポリソルベート80(TWEEN 80)が挙げられる。金属イオンの捕捉剤またはキレート剤としては、EDTAが挙げられる。
【0234】
医薬担体はまた、水混和性ビヒクルのためにエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを、そしてpH調整のために水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸を任意で含み得る。
【0235】
非経口製剤中のキナーゼ阻害剤の濃度は、注射により、所望の薬理学的効果を生じるのに十分な、医薬的に有効な量が投与されるように調節され得る。キナーゼ阻害剤の正確な濃度および/または使用すべき用量は、結局のところ、当業者に公知のように患者または動物の年齢、体重および状態に依存するであろう。
【0236】
単位用量の非経口製剤は、アンプル、バイアルまたは注射針を備えたシリンジに包装し得る。当業者に公知でありかつ実践されているように、全ての非経口投与用製剤は無菌であるべきである。
【0237】
注射剤は、局所投与および全身投与できるように設計し得る。典型的に、治療有効用量は、少なくとも約0.1% w/wから約90% w/wまでまたはそれ以上、好ましくは1% w/wを超える濃度のキナーゼ阻害剤が、治療された組織に含まれるように処方される。キナーゼ阻害剤は、一回で投与し得、または多数のより少ない用量に分割して、時間間隔で投与し得る。正確な用量および治療期間は、組成物が非経口投与される部位、担体、および公知のテストプロトコールを用いて経験的に決定できるかインビボもしくはインビトロにおけるテストデータから外挿することで経験的に決定できる他の変数の関数であろうことを理解すべきである。濃度および用量の値もまた、治療される個体の年齢により変動し得ることに注意すべきである。任意の特定の対象に対しては、具体的な用量レジメンは、各個体の必要性および製剤を投与しまたはその投与を監督する人間の専門的な判断に従って、時間の経過に伴って調節する必要があり得ることもさらに認識すべきである。従って、本明細書中に示された濃度範囲は例示的なものであり、特許請求された製剤の範囲またはその実施を限定することを意図してはいない。
【0238】
キナーゼ阻害剤は、微細化された状態または他の適当な形状で任意で懸濁し得、あるいはより可溶性の活性生成物を製造するかプロドラッグを製造するために誘導体化し得る。得られた混合物の型は、意図した投与様式および選択された担体またはビヒクルにおける化合物の溶解度を含む、多くの要素に依存する。有効な濃度は、疾患状態の症候を改善するのに十分なものであり、経験的に決定され得る。
【0239】
凍結乾燥粉末
本発明のキナーゼ阻害剤はまた、凍結乾燥粉末として製造することもでき、これは、溶液、エマルションおよび他の混合物として投与するために再構成することができる。凍結乾燥粉末はまた、固体またはゲルとして処方され得る。
【0240】
無菌の凍結乾燥粉末は、化合物を、デキストロースまたは他の適当な賦形剤を含むリン酸ナトリウム緩衝液に溶解することで製造し得る。次いで溶液の滅菌濾過およびこれに続く当業者に公知の標準的条件下での凍結乾燥により、所望の製剤が提供される。簡潔には、凍結乾燥粉末は、典型的にはほぼ中性pHの適切な緩衝液、例えばクエン酸塩、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムあるいは当業者に公知の他のこの種の緩衝液中に、約1〜20%、好ましくは約5〜15%で、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の適切な薬剤を溶解することにより任意で製造され得る。次いで、キナーゼ阻害剤を、好ましくは室温より上、より好ましくは約30〜35℃にて、得られた混合物に添加し、それが溶解するまで攪拌する。得られた混合物は、さらに緩衝液を添加して所望の濃度まで希釈する。得られた混合物を滅菌濾過または処理し、粒状物質を除去して無菌性を保証し、凍結乾燥のためにバイアルに分配する。各バイアルは、キナーゼ阻害剤の単回用量または複数回用量を含み得る。
【0241】
局所投与
本発明のキナーゼ阻害剤は、局所混合物としても投与し得る。局所混合物は、局所ならびに全身投与のために利用し得る。得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどであり得、またクリーム、ゲル、軟膏、エマルション、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、フォーム、エアロゾル、灌注剤(irrigation)、スプレー、坐剤、絆創膏、皮膚パッチまたは局所投与に適したあらゆる他の製剤として処方される。
【0242】
キナーゼ阻害剤は、吸入などによる局所適用のために、エアロゾルとして処方され得る(米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、および同第4,364,923号参照、これらは、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドを送達するためのエアロゾルを記載する)。気道に投与するためのこれらの製剤は、単独またはラクトースなどの不活性担体と組合せた、噴霧器(nebulizer)用のエアロゾルまたは溶液の形状、あるいは吸入用の微細な粉末としてであり得る。このような場合、製剤の粒子は、典型的に50μm未満、好ましくは10μm未満の粒径を有するであろう。
【0243】
キナーゼ阻害剤はまた、局部または局所適用、例えば皮膚および粘膜など(目の中など)への局所適用のためなどに、ゲル、クリームおよびローションの形状で、ならびに目に適用するために、あるいは嚢内または脊髄内適用のために、処方し得る。局所投与は、経皮的送達およびまた目または粘膜への投与、または吸入療法を意図している。キナーゼ阻害剤単独または他の医薬上許容される賦形剤と組合せての経鼻溶液もまた、投与することができる。
【0244】
他の投与経路用の製剤
治療される疾患状態に依存して、局所適用、経皮パッチおよび直腸投与などの他の投与経路もまた、利用し得る。例えば、直腸投与用の医薬投与形態は、全身的作用を得るための直腸坐剤、カプセル剤および錠剤である。本明細書において使用する直腸坐剤とは、体温で溶融または軟化して、1以上の薬理学的または治療的に活性な成分を放出する、直腸に挿入するための固体本体を意味する。直腸坐剤において使用される医薬上許容される物質は、基剤またはビヒクルおよび融点を上げる薬剤である。基剤の例としては、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス、(ポリオキシエチレングリコール)、および脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの適当な混合物が挙げられる。多様な基剤の組合せを使用し得る。坐剤の融点を上げる薬剤としては、鯨蝋およびワックスが挙げられる。直腸坐剤は、圧縮法または成型法のどちらによっても調製され得る。直腸坐剤の典型的な重量は約2〜3gmである。直腸投与用の錠剤およびカプセル剤は、経口投与用の製剤と同じ医薬上許容される物質を用いて、同じ方法により製造し得る。
【0245】
製剤の例
以下は、本発明の化合物とともに任意で使用可能な経口、静脈内および錠剤製剤の特定の例である。これらの製剤は、使用する特定の化合物および製剤を使用しようとする適応症により変化し得ることに注意すべきである。
【0246】
経口製剤
本発明の化合物 10〜100mg
クエン酸一水和物 105mg
水酸化ナトリウム 18mg
香味料
水 全体が100mLとなるよう適量
静脈内製剤
本発明の化合物 0.1〜10mg
デキストロース一水和物 等張となるよう適量
クエン酸一水和物 1.05mg
水酸化ナトリウム 0.18mg
注射用水 全体が1.0mLとなるよう適量
錠剤製剤
本発明の化合物 1%
微結晶性セルロース 73%
ステアリン酸 25%
コロイド状シリカ 1%
【0247】
キナーゼ阻害剤を含むキット
本発明はまた、キナーゼに関連する疾患を治療するための、キットおよび他の製品も対象とする。疾患とは、その状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する全ての状態を包含することを意図していることに注意すべきである。
【0248】
一実施態様において、少なくとも1種の本発明のキナーゼ阻害剤を含む組成物を、説明書と共に含むキットが提供される。説明書は、組成物を投与すべき疾患状態、保存情報、投薬情報および/または組成物を投与する方法に関する指示を示すものであり得る。キットはまた、包装材料を含み得る。包装材料は、組成物を収容するための容器を含み得る。キットはまた、組成物の投与のためのシリンジなどの追加の要素を任意で含み得る。キットは、組成物を単回投与または複数回投与形態で含み得る。
【0249】
他の実施態様において、製品が提供され、これは少なくとも1種の本発明のキナーゼ阻害剤を含む組成物を、包装材料との組合せで含むものである。包装材料は、組成物を収容するための容器を含み得る。容器は、組成物を投与すべき疾患状態、保存情報、投薬情報および/または組成物を投与する方法に関する指示を示すラベルを任意で含み得る。キットはまた、組成物の投与のためのシリンジなどの追加の要素を任意で含み得る。キットは、組成物を単回投与または複数回投与形態で含み得る。
【0250】
本発明のキットおよび製品において使用する包装材料は、分割されたボトルまたは分割されたホイルパケットのような複数の分割された容器を形成し得ることに注意すべきである。容器は、当業者において公知であるような、あらゆる従来の型または形状であり得、これは医薬上許容される材料で作られており、例えば、紙もしくはボール箱、ガラスまたはプラスチックのボトルまたはジャー、再封入可能なバッグ(例えば、別の容器に移すために、錠剤の「詰替え」を保持する)、あるいは治療のスケジュールに従ってパックから押し出すための、個々の服用量を含むブリスターパックであり得る。使用する容器は、収容される正確な投与形態に依存し、例えば従来のボール箱は、一般に液体懸濁剤を保持するためには使用されない。1より多い容器を単一の包装内で一緒に使用して、単回投与形態を販売することも可能である。例えば、錠剤をボトルに収容し、このボトルを次いで箱に収納することができる。典型的には、キットは別々の成分を投与するための指示を含む。このキット型は、別々の成分が、好ましくは異なる投与形態(例えば、経口、局所、経皮および非経口)で投与される場合、異なる投与間隔で投与される場合、または組合せの個々の成分の力価が処方する医師に望まれる場合に、特に有利である。
【0251】
本発明のキットの一具体例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業において周知であり、医薬的な単位投与形態(錠剤、カプセル剤など)の包装のために広く利用されている。ブリスターパックは一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで被覆された、比較的堅い物質のシートからなる。包装工程中に、プラスチックホイルに窪みが形成される。窪みは、包装される個々の錠剤またはカプセル剤のサイズおよび形状を有し得るか、あるいは包装される多数の錠剤および/またはカプセル剤を収容するサイズおよび形状を有し得る。次に、錠剤またはカプセル剤を窪みに然るべく配置し、比較的堅い材料のシートを、プラスチックホイルの、窪みが形成された方向と逆の面に対して封入する。結果として、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の窪み中に、所望により個々に封入されるか、集合的に封入される。シートの強度は、好ましくは、窪みに手動で圧をかけることによりその窪み部分におけるシートに開口が形成されて、ブリスターパックから錠剤またはカプセル剤が取り出せるような強度である。錠剤またはカプセル剤は次いで、該開口を介して取り出すことができる。
【0252】
キットのもう1つの具体的な実施態様は、意図した使用の順に1回に1つずつ毎日の服用量を分配するように設計された、ディスペンサーである。好ましくは、このディスペンサーは、このレジメンへの従順をさらに得やすくするために、メモリー補助具(memory-aid)を備えている。このようなメモリー補助具の例は、分配された毎日の服用量の数を示す、機械的な計数器である。このようなメモリー補助具のもう一つの例は、例えば最後に毎日の用量を取り出した日付を読み出しそして/または次の用量を摂取する時期を思い起こさせる、液晶読み出し装置と組み合わされた電池駆動式のマイクロチップメモリーまたは音声合図信号である。
【実施例】
【0253】
1.キナーゼ阻害剤の製造
本発明の化合物を合成するために、種々の方法が開発され得る。これらの化合物を合成するための代表的な方法を、本実施例において提供する。しかしながら、本発明の化合物は、他の者が考案し得る他の合成経路によっても合成され得ることに注意すべきである。
【0254】
本発明のある化合物が、特定の立体化学を化合物に付与する他の原子と結合した原子(例えば、キラル中心)を有することは容易に認識されよう。本発明の化合物の合成は、異なる立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の混合物の製造をもたらし得ることを認識すべきである。特定の立体化学が指定されていない限り、化合物の列挙は、異なる可能な立体異性体の全てを包含することを意図している。
【0255】
異なる立体異性体の混合物を分離するための多様な方法が、当技術分野で公知である。例えば、化合物のラセミ混合物を、光学的に活性な分割剤(resolving agent)と反応させて、一対のジアステレオマー化合物を製造し得る。ジアステレオマーは、次いで光学的に純粋なエナンチオマーを回収するために分離し得る。解離可能な錯体もまた、エナンチオマー(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)の分割を行うのに用いられ得る。ジアステレオマーは、典型的に、十分に異なる物性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有しており、これらの非類似性を利用して、容易に分離することができる。例えば、ジアステレオマーは、典型的に、クロマトグラフィーまたは溶解度の違いに基づく分離/分割技術によって分離できる。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分割するのに利用できる技術の、より詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981)に見受けられうる。
【0256】
本発明の化合物はまた、遊離塩基型の化合物を医薬上許容される無機酸または有機酸と反応させることにより、医薬上許容される酸付加塩として製造することが可能である。あるいはまた、化合物の医薬上許容される塩基付加塩は、遊離酸型の化合物を医薬上許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより、製造することが可能である。化合物の医薬上許容される塩の製造に適した無機および有機の酸および塩基は、本願の定義の部分で説明されている。あるいはまた、化合物の塩型は、出発物質または中間体の塩を用いて製造することができる。
【0257】
化合物の遊離酸型または遊離塩基型は、対応する塩基付加塩型または酸付加塩型から製造できる。例えば、酸付加塩型にある化合物は、適切な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより、対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩型にある化合物は、適切な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより、対応する遊離酸に変換することができる。
【0258】
本発明の化合物のN−オキシドは、当業者に公知の方法によって製造できる。例えば、N−オキシドは、非酸化型の化合物を、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中、約0℃で、酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、パーマレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ−クロロパーオキシ安息香酸等)で処理することによって製造できる。あるいはまた、化合物のN−オキシドは、適当な出発物質のN−オキシドから製造できる。
【0259】
非酸化型の化合物は、適切な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0〜80℃で、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)で処理することによって、化合物のN−オキシドから製造できる。
【0260】
化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に公知の方法によって製造できる(例えば、さらなる詳細は、Saulnier et al.(1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば、適当なプロドラッグは、誘導体化されていない化合物を、適切なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることで製造できる。
【0261】
化合物の保護された誘導体は、当業者に公知の方法により製造できる。保護基の生成およびその除去のために適用できる技術の詳細な説明は、T.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rdedition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見受けられうる。
【0262】
本発明の化合物は、本発明のプロセスの間に、溶媒和物(例えば、水和物)として簡便に製造または形成され得る。本発明の化合物の水和物は、ジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を用いて、水性/有機溶媒混合物から再結晶することにより、簡便に製造し得る。
【0263】
本発明の化合物はまた、化合物のラセミ混合物を、光学的に活性な分割剤と反応させて一対のジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの分割は、化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を用いて行うことが可能であるが、解離可能な錯体が好ましい(例えば、結晶性のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、異なる物性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有しており、これらの非類似性を利用することで容易に分離することができる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、または、好ましくは、溶解度の違いに基づく分離/分割技術により分離できる。次に、光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化を生じない任意の有用な手段で、分割剤と共に回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分割するのに適用できる技術のより詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981)に見受けられうる。
【0264】
本明細書において、これらのプロセス、スキームおよび実施例で用いられる記号および慣行は、現代の科学的文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されているものと一致する。標準的な一文字または三文字略記法を一般に使用してアミノ酸残基を示すが、特に断りのない限り、アミノ酸残基は、L配置にあると推定される。特に断りのない限り、全ての出発物質は市販品を入手し、さらなる精製をすることなしに用いた。具体的には、以下の略号を、実施例および本明細書全体において使用し得る:
g(グラム);mg(ミリグラム);
L(リットル);mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル);psi(ポンド/平方インチ);
M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);
i.v.(静脈内);Hz(ヘルツ);
MHz(メガヘルツ);mol(モル);
mmol(ミリモル);RT(周囲温度);
min(分);h(時間);
mp(融点);TLC(薄層クロマトグラフィー);
Tr(保持時間);RP(逆相);
MeOH(メタノール);i−PrOH(イソプロパノール);
TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);
TFAA(無水トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);
DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);
DME(1,2−ジメトキシエタン);DCM(ジクロロメタン);
DCE(ジクロロエタン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);
DMPU(N,N’−ジメチルプロピレン尿素);CDI(1,1−カルボニルジイミダゾール);
IBCF(イソブチルクロロホルメート);HOAc(酢酸);
HOSu(N−ヒドロキシサクシンイミド);HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);
EtO(ジエチルエーテル);EDCI(エチルカルボジイミド塩酸塩);
BOC(tert−ブチルオキシカルボニル);FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル);
DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);CBZ(ベンジルオキシカルボニル);
Ac(アセチル);atm(気圧);
TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル);TMS(トリメチルシリル);
TIPS(トリイソプロピルシリル);TBS(t−ブチルジメチルシリル);
DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);Me(メチル);
OMe(メトキシ);Et(エチル);
Et(エチル);tBu(tert−ブチル);
HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);
BOP(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド);
TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド);
mCPBA(メタ−クロロ過安息香酸)。
【0265】
エーテルまたはEtOに対する全ての言及は、ジエチルエーテルに対する言及であり;ブラインは、NaClの飽和水溶液を意味する。特に示されない限り、全ての温度は℃(セ氏温度)で表す。特に断りのない限り、全ての反応は、RTで、不活性雰囲気下で行った。
【0266】
H NMRスペクトルは、Bruker Avance 400で記録した。化学シフトをパーツ・パー・ミリオン(ppm)で表示する。結合定数はヘルツ(Hz)単位である。スプリットパターンは、見かけ上の多重度を表し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、br(ブロード)として表す。
【0267】
低分解能マススペクトル(MS)および化合物純度のデータは、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)源、UV検出器(220および254nm)および蒸発光散乱検出器(ELSD)を備えたWaters ZQ LC/MSシングル四重極システムで得た。薄層クロマトグラフィーは、0.25mmのE.Merckシリカゲルプレート(60F−254)上で行い、UV光、5%エタノール性リンモリブデン酸、ニンヒドリンまたはp−アニスアルデヒド溶液で可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーを、シリカゲル(230〜400メッシュ、Merck)上で行った。
【0268】
これらの化合物の製造において用いられる出発物質および試薬は、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)、Bachem(Torrance,CA)、Sigma(St.Louis,MO)のような民間の供給業者から入手可能であるか、または、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, vols. 1-17, John Wiley and Sons, New York, NY, 1991; Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, vols. 1-5 and supps., Elsevier Science Publishers, 1989; Organic Reactions, vols. 1-40, John Wiley and Sons, New York, NY, 1991; March J.: Advanced Organic Chemistry, 4th ed., John Wiley and Sons, New York, NY;およびLarock: Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, New York, 1989のような標準的な参考文献に記載されている手順に従って、当業者に周知の方法により製造され得る。
【0269】
本願を通して挙げられている全ての文献の全開示は、参照することにより本書に組み込まれる。
【0270】
2.本発明のキナーゼ阻害剤のための合成スキーム
本発明のキナーゼ阻害剤は、以下に示す反応スキームにより合成され得る。他の反応スキームは、当業者により容易に考案できる。様々な異なる溶媒、温度および他の反応条件が、反応物の収率を最適化するために変化できることも、同様に理解すべきである。
【0271】
後述の反応において、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基といった反応性官能基が最終生成物において所望される場合、反応におけるそれらの不要な関与を避けるために、これらを保護することが必要であり得る。慣用の保護基が、標準のプラクティスに従って用いられ得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts、"Protective Groups in Organic Chemistry" John Wiley and Sons, 1991を参照。
【0272】
本発明のキナーゼ阻害剤は、以下に示す反応スキームにより合成され得る。他の反応スキームは、当業者により容易に考案できる。様々な異なる溶媒、温度および他の反応条件が、反応物の収率を最適化するために変化できることも、同様に理解すべきである。
【0273】
後述の反応において、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基といった反応性官能基が最終生成物において所望される場合、反応におけるそれらの不要な関与を避けるために、これらを保護することが必要であり得る。慣用の保護基が、標準のプラクティスに従って用いられ得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts、"Protective Groups in Organic Chemistry" John Wiley and Sons, 1991を参照。
【0274】
【化12】

【0275】
オキシインドールによるアルキル化:
THF(5mL)中のオキシインドール(2.25mmol)を、23℃でNaH(2.25mmol)で処理し、0.5時間攪拌する。求電子試薬(2.25mmol)を加え、反応系を80℃で一晩加熱する。あるいは、23℃でKOHを用いて、次いで、23℃で求電子試薬で処理することにより、DMSO中でオキシインドールアニオンが発生し得る。反応系を冷却し、EtOAcで希釈する。反応系を飽和NHCl水溶液、水及びブラインで洗浄し、次いで有機層を乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮する。反応からの生成物を、例えば分取HPLCにより精製する。
【0276】
例えば、上記反応スキーム及びそれらの変形は、下記を製造するために用いることができる:
【0277】
【化13−1】

【0278】
【化13−2】

【0279】
【化13−3】

【0280】
各上述の反応手順またはスキームにおいて、多様な置換基が、本明細書で教示した他の多様な置換基の中から選択され得る。
【0281】
上述の反応スキームに基づく本発明の特定の化合物の合成の説明を、本明細書に示している。
【0282】
3.キナーゼ阻害剤の例
本発明は、本発明に従う特定の化合物の製造を記載している下記の実施例によりさらに例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0283】
実施例1:3−(2−アミノ−6−メチル−ピリミジン−4−イル)−1H−インドール−2−オール
【0284】
【化14】

【0285】
実施例1は、上記の反応スキームに従って製造した。該キナーゼ阻害剤は、AIK及びc−KITについて100,000nM未満のIC50値を有することが見出された。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 2.22(s,3H),6.58(s,1H),6.92−7.09(m,3H),7.69(m,1H),10.83(s,1H),13.75(s,1H).ESI−MS:m/z 241.0(M+H)
【0286】
実施例2:3−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−1H−インドール−2−オール
【0287】
【化15】

【0288】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 10.50(bs,1H),10.14(s,1H),7.37−7.47(m,2H),7.12(bs,2H),6.76−6.85(m,4H),6.49(m,2H),5.77(s,1H).ESI−MS:m/z 276.0(M+H)
【0289】
実施例3:3−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−2−ヒドロキシ−1H−インドール−5−カルボニトリル
【0290】
【化16】

【0291】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 14.00(bs,1H),11.06(s,1H),8.07(d,1H),7.50(bs,2H),7.44(d,2H),7.16−7.24(m,2H),6.90−7.03(m,2H),6.17(s,1H).ESI−MS:m/z 301.0 (M+H)
【0292】
実施例4:8−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−6H−チアゾロ[5,4−e]インドール−7−オール
【0293】
【化17】

【0294】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 13.50(bs,1H),10.75(s,1H),8.88(s,1H),7.88(m,2H),7.50(d,2H),7.42(m,1H),7.12(m,3H),6.53(s,1H).ESI−MS:m/z 333.0(M+H)
【0295】
実施例5:N−(3−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−2−ヒドロキシ−1H−インドール−5−イル)エタンスルホンアミド
【0296】
【化18】

【0297】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 14.25(bs,1H),11.66(s,1H),9.28(s,1H),7.49(m,2H),7.02(m,2H),6.82(m,2H),6.58−6.80(m,3H),2.90(q,2H),1.13(t,3H).ESI−MS:m/z 383.0(M+H)
【0298】
実施例6:2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(7−オキソ−7,8−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド
【0299】
【化19】

【0300】
H NMR(400MHz,DMSO−D6)δ ppm 2.38(d,J=4.80Hz,3H)6.51(s,1H)7.11(d,J=5.05Hz,1H)7.23(d,J=5.31Hz,1H)7.38−7.49(m,2H)7.93−8.09(m,3H)11.24(s,1H)12.41(s,1H)14.38(s,1H).ESI−MS:m/z 371.2 (M+H)
【0301】
実施例7:N−エチル−2−ヒドロキシ−3−(7−オキソ−7,8−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド
【0302】
【化20】

【0303】
H NMR(400MHz,DMSO−D6)δ ppm 0.97(t,J=7.20Hz,3H)2.66−2.77(m,J=6.82,6.82,6.82,6.82Hz,2H)6.48(s,1H)7.12(d,J=8.08Hz,1H)7.33(t,J=5.68Hz,1H)7.43(d,J=8.08Hz,2H)7.92(s,1H)7.99(s,1H)8.11(d,J=8.59Hz,1H)11.26(s,1H)12.56(s,1H)14.37(s,1H).ESI−MS:m/z 385.2 (M+H)
【0304】
4.生物学的試験
プロテインキナーゼ阻害剤としての化合物の活性を、インビトロ、インビボまたは細胞系で分析してもよい。インビトロアッセイには、活性化したプロテインキナーゼのリン酸化活性またはATPアーゼ活性のいずれかの阻害を測定するアッセイが挙げられる。代わりのインビトロアッセイは、プロテインキナーゼに結合する阻害剤の能力を定量する。阻害剤結合は、結合の前に阻害剤を放射標識し、阻害剤/プロテインキナーゼ複合体を単離し、放射標識結合の量を測定することにより測定し得る。また、阻害剤結合は、新規阻害剤が既知の放射性リガンドと結合したプロテインキナーゼと共にインキュベートされる競合実験を行うことにより測定され得る。
【0305】
A.AIKの阻害の測定
AIKに対する化合物の阻害特性を、Greiner小容量ブラック384ウェルプレートフォーマットを用いた直接蛍光偏光検出法(FP)により、以下の反応条件下で測定してもよい:50mM Hepes pH7.3、10mM MgCl2、10mM NaCl、1mM DTT、0.01% Brij35、100nMフルオレセイン−LRRASLGペプチド(SYNPEPにより提供された)、5% DMSO、2.5uM ATP。反応生成物の検出は、IMAP結合試薬(Molecular Devices)の添加により行う。反応生成物を、485nmの励起波長および530nmの発光でAnalyst HTプレートリーダー(Molecular Devices)を用い、Fluorescein 505ダイクロイックミラーを用いるFPにより、定量的に測定してもよい。
【0306】
アッセイ反応を、以下の通りにして開始させてもよい:2ulの(3x)300nM Fl−ペプチド/7.5uM ATPをプレートの各ウェルに添加し、次いで15% DMSOを含む2ulの(3x)阻害剤(各阻害剤につき11データポイントにわたり2.5倍段階希釈)を添加した。2ulの(3x)7.5nM AIK溶液を、反応を開始するために添加してもよい(最終酵素濃度は、AIKについて2.5nMであった)。反応混合物を次いで、室温で45分インキュベートし、そして20ulの、1xの専用IMAP結合緩衝液中に1〜400希釈したIMAP結合試薬の添加により、クエンチおよび発色させてもよい。得られた反応混合物の蛍光偏光リーディングを、室温で60分インキュベートした後に測定してもよい。
【0307】
IC50値は、化合物濃度および蛍光偏光値の非線形曲線を標準IC50式にあてはめることにより計算され得る。このアッセイのための基準点として、スタウロスポリンは<10nMのIC50を示した。
【0308】
B.c−KITの阻害の測定
c−Kitに対する化合物の阻害特性を、小容量ブラック384ウェルプレート(Greiner)フォーマットを用いた時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)法により、以下の反応条件下で測定してもよい:50mM Hepes pH7.3、10mM MgCl2、10mM NaCl、1mM DTT、0.01% Brij35、250nM ビオチン−EGPWLEEEEEAYGWMDFペプチド(SYNPEPにより提供された)、5% DMSO、100uM ATP。反応生成物の検出を、ストレプトアビジン−APC(Prozyme)およびEu−抗リン酸化チロシン抗体(Perkin Elmer)の添加により行ってもよい。反応生成物を、330nm励起(ユーロピウム)および発光665nm(APC)と比較して、330nmの励起波長および615nmの発光(ユーロピウム)でAnalyst HTプレートリーダー(Molecular Devices)を用い、Europium 400ダイクロイックミラーを用いるTR−FRETリーディングにより定量的に測定してもよい。
【0309】
アッセイ反応は以下の通りにして開始させてもよい:4ulの(2.5x)625nM ビオチン−ペプチド/250uM ATPをプレートの各ウェルに添加し、次いで25% DMSOを含む2ulの(5x)阻害剤(各阻害剤につき11データポイントにわたり2.5倍段階希釈)を添加した。4ulの(2.5x)c−Kit溶液を、反応を開始するために添加してもよい(最終酵素濃度は、c−Kitについて0.13nMであった)。反応混合物を次いで、室温で30分インキュベートし、10ulの、50mM Hepes pH7.3、30mM EDTA、0.1% Triton X−100 緩衝液中の(2x)3.2nM Eu−抗体および25nM ストレプトアビジン−APCの添加により、クエンチおよび発色させてもよい。得られた反応混合物のTR−FRETリーディングを、室温で60分インキュベートした後Analyst HTで測定してもよい。
【0310】
IC50値は、化合物濃度および計量Eu:APC値比の非線形曲線を標準IC50式にあてはめることにより計算され得る。このアッセイのための基準点として、スタウロスポリンは、<5nMのIC50を示した。
【0311】
以下の略号を用いている:
ATP アデノシン三リン酸
BSA ウシ血清アルブミン
EDTA エチレンジアミン四酢酸
GSK3 グリコーゲンシンターゼキナーゼ3
MOPS モルホリンプロパンスルホン酸
SPA シンチレーション近接アッセイ
【0312】
本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明の化合物、組成物、キットおよび方法において、様々な修正および変更がなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内であれば、本発明はこの発明の修正および変更を包含する意図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】


(式中、
J、K、L及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
X及びZは、それぞれ独立して、C、N、O及びSからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択されるか、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択されるか、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、(a)XがO又はSである場合、R13は存在せず、(b)XがNであり、かつXが二重結合の一部である場合、R13は存在せず、(c)YがNである場合、R14は存在しない);
16及びR17は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成し、
但し、(a)X、Y及びZは全てが同時にCではなく、(b)その原子が二重結合の一部である場合、X及びZは、O又はSではなく、(c)二重結合は、XとYとの間又はYとZとの間のいずれか一方に存在し、単結合は、XとYとの間又はYとZとの間のもう一方に存在する)
の1種を含む化合物。
【請求項2】
式:
【化2】


(式中、
J、K、L、W、X、Y及びZは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択されるか、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択されるか、或いはR12及びR13は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、W、X及び/又はYがそれぞれNである場合、R12、R13及び/又はR14は存在しない);かつ
16及びR17は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
を含む化合物。
【請求項3】
【化3−1】


【化3−2】


(式中、
J、K、L、W及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
、V、V及びVは、それぞれ独立して、各原子が環の二重結合の一部である場合は、C及びNからなる群から選択され、各原子が二重結合の一部でない場合は、C、N、O及びSからなる群から独立して選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
12、R14、R20、R20’、R21、R21’、R22、R22’、R23及びR23’は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され(但し、(a)R12、R14、R20、R21、R22及びR23がそれぞれ結合する原子がO又はSである場合、R12、R14、R20、R21、R22及び/又はR23は存在せず、(b)R20’、R21’、R22’、及びR23’がそれぞれ結合する原子がN、O又はSである場合、R20’、R21’、R22’、及び/又はR23’は存在しない);かつ
16及びR17は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
からなる群から選択される式を含む、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
下記式:
【化4】


(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
下記式:
【化5】


(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
14は、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
下記式:
【化6】


(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
14は、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
下記式:
【化7】


(式中、
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
14は、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され;かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
下記式:
【化8】


(式中、
、V、V及びVは、それぞれ独立して、C、N、O及びSからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され;
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
20、R20’、R21、R21’、R22、R22’、R23及びR23’は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され(但し、(a)V、V、V及び/又はVがそれぞれO又はSである場合、R20、R21、R22及び/又はR23は存在せず、(b)V、V、V及び/又はVがそれぞれN、O又はSである場合、R20’、R21’、R22’、及び/又はR23’は存在しない);かつ
16及びR17は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR16は他の置換基と一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
の1種を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式:
【化9】


(式中、
W、X及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;かつ
12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択される(但し、W、X及び/又はYがそれぞれNである場合、R12、R13及び/又はR14は存在しない))
を含む、請求項2記載の化合物。
【請求項10】
下記式:
【化10】


(式中、
J、K、L及びYは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
X及びZは、それぞれ独立して、C、N、O及びSからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択され、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択され、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、(a)XがO又はSである場合、R13は存在せず、(b)XがNであり、かつXが二重結合の一部である場合、R13は存在せず、(c)YがNである場合、R14は存在しない);
16は、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、
17は、水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択されるか、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成し、
但し、(a)X、Y及びZは全てが同時にCではなく、(b)その原子が二重結合の一部である場合、X及びZは、O又はSではなく、(c)二重結合は、XとYとの間又はYとZとの間のいずれか一方に存在し、単結合は、XとYとの間又はYとZとの間のもう一方に存在する)
の1種を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
式:
【化11】


(式中、
J、K、L、W、X、Y及びZは、それぞれ独立して、C及びNからなる群から選択され;
Mは、CH及びNからなる群から選択され;
、R及びRは、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、アミノ、ニトロ、シアノ、チオ、スルホンアミド、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基からなる群より選択されるか、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR及びRは、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、J、K及び/又はLがそれぞれ窒素である場合、R、R及び/又はRは存在しない);
は、水素又はインビボで水素に変換可能な置換基であり;
12、R13及びR14は、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−12)アルキル、アルコキシ、チオ、ヒドロキシ、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルコキシ、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基及びスルフィニル基、ハロ、シアノ、ニトロ、並びにトリフルオロメトキシからなる群より選択されるか、或いはR12及びR13は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し、或いはR13及びR14は、一緒になって非置換又は置換の環を形成し(但し、W、X及び/又はYがそれぞれNである場合、R12、R13及び/又はR14は存在しない);
16は、それぞれ置換又は非置換の、水素、−CONNH、−CSNH、−CONH、−CO(C1−7)アルキル、−SO(C1−7)アルキル、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールからなる群から選択され;かつ
17は水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択されるか、或いはここで、R16及びR17は、一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であり、或いはここでR16及びR17は、一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群から選択され、或いはここでR14及びR16は、一緒になって、非置換又は置換の環を形成する)
を含む、請求項2記載の化合物。
【請求項12】
J、K、L及びMがそれぞれ炭素環原子を構成する、請求項1、2、3、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
J、K及びLがそれぞれ炭素環原子を構成し、Mが窒素である、請求項1、2、3、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
Xが窒素環原子を構成する、請求項1、2、9、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
Yが窒素環原子を構成する、請求項1、2、3、9、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
Zが窒素環原子を構成する、請求項1、2、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
X及びYが、X及びYを含む環に縮合した2番目の環を形成する置換基を含む、請求項1、2、9、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
W及びXが、W及びXを含む環に縮合した2番目の環を形成する置換基を含む、請求項2、9及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
J、K、L及びMにより形成される環が、J、K、L及びMにより形成される環に縮合した環を形成する置換基を含む、請求項1、2、3、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
X及びYが、X及びYを含む環に縮合した2番目の環を形成する置換基を含み、J、K、L及びMにより形成される環が、J、K、L及びMにより形成される環に縮合した環を形成する置換基を含む、請求項1、2、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
縮合環が、置換又は非置換の、5又は6員のアリール又はヘテロアリール環である、請求項17〜20のいずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
縮合環が、脂環式の環である、請求項17〜20のいずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
縮合環が、ピラゾール、トリアゾール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、ピリドピリジン、キノキサリン及びトリアジンからなる群から選択される、置換又は非置換のヘテロアリールである、請求項17〜20のいずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
、V、V及びVの少なくとも1つがNである、請求項3及び8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
W又はYがNである、請求項2、3、9及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項26】
13が、水素、F、Br、Cl、−OCH、−SOMe、−SONH、−SONHMe、−SONHCHCHOH、−SONMe、−NHSO(3−フルオロフェニル)、パーハロ(C1−10)アルキル、−OCF、−CF、(C1−10)アルキル、ヒドロキシ−(C1−10)アルキル、アリール、アリール−(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、HS−、(C1−6)アルキルS−、シアノ、ニトロ、シクロアルコキシ、(C1−12)アルコキシ、−COOH、−COMe、カルボキサミド、(C1−12)アルキルNHCO−、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニル、R10N−(C1−12)アルコキシカルボニル、ヘテロ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルOCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルOCO−、(C1−6)アルキルOCO−、ジエトキシホスホリルメチル、イミノ基、R10N−(C1−6)アルキルスルホニル、−NH、−NHCH、−N(CH、−NH(C1−3)アルキル、−N(C1−3−アルキル)、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニルアミノ、R10N−(C1−6)アルキルアルコキシカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、(C3−12)ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)(C1−6アルキル)アミノ、R10N−(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、R10N−(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ及び−NR10(ここで、R及びR10は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群より選択されるか、或いはここでR及びR10は一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であるか、或いはここでR及びR10は一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択される)からなる群から選択される、請求項1、2、4、9、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項27】
14が、水素、F、Br、Cl、−OCH、−SOMe、−SONH、−SONHMe、−SONHCHCHOH、−SONMe、−NHSO(3−フルオロフェニル)、パーハロ(C1−10)アルキル、−OCF、−CF、(C1−10)アルキル、ヒドロキシ−(C1−10)アルキル、アリール、アリール−(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、HS−、(C1−6)アルキルS−、シアノ、ニトロ、シクロアルコキシ、(C1−12)アルコキシ、−COOH、−COMe、カルボキサミド、(C1−12)アルキルNHCO−、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニル、R10N−(C1−12)アルコキシカルボニル、ヘテロ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルOCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルOCO−、(C1−6)アルキルOCO−、ジエトキシホスホリルメチル、イミノ基、R10N−(C1−6)アルキルスルホニル、−NH、−NHCH、−N(CH、−NH(C1−3)アルキル、−N(C1−3−アルキル)、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニルアミノ、R10N−(C1−6)アルキルアルコキシカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、(C3−12)ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)(C1−6アルキル)アミノ、R10N−(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、R10N−(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ及び−NR10(ここで、R及びR10は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群より選択されるか、或いはここでR及びR10は一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であるか、或いはR及びR10は一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択される)からなる群から選択される、請求項1〜7、9、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項28】
12、R13及びR14が、それぞれ独立して、水素、F、Br、Cl、−OCH、−SOMe、−SONH、−SONHMe、−SONHCHCHOH、−SONMe、−NHSO(3−フルオロフェニル)、パーハロ(C1−10)アルキル、−OCF、−CF、(C1−10)アルキル、ヒドロキシ−(C1−10)アルキル、アリール、アリール−(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、HS−、(C1−6)アルキルS−、シアノ、ニトロ、シクロアルコキシ、(C1−12)アルコキシ、−COOH、−COMe、カルボキサミド、(C1−12)アルキルNHCO−、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニル、R10N−(C1−12)アルコキシカルボニル、ヘテロ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルCO−、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルOCO−、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルOCO−、(C1−6)アルキルOCO−、ジエトキシホスホリルメチル、イミノ基、R10N−(C1−6)アルキルスルホニル、−NH、−NHCH、−N(CH、−NH(C1−3)アルキル、−N(C1−3−アルキル)、R10N−(C1−12)アルキルアミノカルボニルアミノ、R10N−(C1−6)アルキルアルコキシカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、(C3−12)ヘテロシクロアルキル−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロアリール−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)(C1−6)アルキル)アミノ、R10N−(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、R10N−(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[R10N−(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ及び−NR10(ここで、R及びR10は、独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群より選択されるか、或いはここでR及びR10は一緒になって、1個のO、S、NH又は−N(C1−3)アルキル基により割り込まれていてもよい−(CH4−5−であるか、或いはR及びR10は一緒になって、それぞれ非置換又は置換の、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル及び4−メチル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択される)からなる群より選択される、請求項1〜7及び9〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項29】
12、R13及びR14が、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−6)アルキル、カルボキサミド、モノ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、置換アリール−(C1−6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ、(C1−6)アルキルアミノカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)((C1−6)アルキル)アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1―6)アルキルカルボニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリル(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロシクリル(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、ヘテロアリール(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロシクリル(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロアリール(C1−6)アルキルカルボニル、ヘテロシクリル(C1−6)アルキルカルボニル、ヘテロアリール(C1−6)アルコキシカルボニル、ヘテロシクリル(C1−6)アルコキシカルボニル、(C1−6)アルキルスルホニル(C1−6)アルキルアミノアルキル、(C1−6)アルキルスルホニル−(C1−6)アルキル−アミノアルキル−ヘテロアリール−、(C1−6)アルコキシカルボニル、ハロ、シアノ、ジエトキシホスホリルメチル、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシからなる群から選択される、請求項1〜7及び9〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項30】
YがNであり、かつR12、R13及びR14が、それぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−6)アルキル、カルボキサミド、モノ−(C1−6)アルキルアミノカルボニル、置換アリール−(C1−6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、ヘテロアリール−(C1−6)アルキル、ヘテロシクリル−(C1−6)アルキル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルアミノカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニル、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルアミノカルボニルアミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ、((C1−6)アルキルカルボニル)((C1−6)アルキル)アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1―6)アルキルカルボニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルカルボニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニルアミノ、[モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル][(C1−6)アルキル]アミノ、モノ−又はジ−(C1−6)アルキル−アミノ(C1−6)アルキルスルホニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルアミノカルボニル、ヘテロアリール(C1−6)アルキルカルボニル、(C1−6)アルキルスルホニル(C1−6)アルキルアミノアルキル、(C1−6)アルキルスルホニル−(C1−6)アルキル−アミノアルキル−ヘテロアリール−、ハロ、シアノ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項1〜3及び9〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項31】
12及びR13又はR13及びR14が一緒になって、置換又は非置換の縮合環を形成する、請求項1〜7及び9〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項32】
縮合環が、脂環式の環である、請求項31記載の化合物。
【請求項33】
縮合環が、置換又は非置換の、5又は6員のアリール又はヘテロアリール環である、請求項31記載の化合物。
【請求項34】
14及びR16が一緒になって、置換又は非置換の縮合環を形成する、請求項1〜7、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項35】
縮合環が、脂環式の環である、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
縮合環が、非置換又は置換の、5又は6員のアリール又はヘテロアリール環である、請求項34記載の化合物。
【請求項37】
16及びR17の少なくとも1つが、水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択される、請求項1〜8、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項38】
17がHである、請求項1〜8、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項39】
16及びR17が、両方とも、独立して、水素及び(C1−6)アルキルからなる群から選択される、請求項1〜8、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項40】
16及びR17が、両方とも水素である、請求項1〜8、10及び11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項41】
3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
5−フルオロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
2−ヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボニトリル;
(Z)−N’,2−ジヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミジン;
N−(2−ヒドロキシ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−イル)メタンスルホンアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド;
3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−2−オール;
5−フルオロ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−2−オール;
2−ヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−5−カルボニトリル;
(Z)−N’,2−ジヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミジン;
N−(2−ヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−1H−インドール−5−イル)メタンスルホンアミド
2−ヒドロキシ−3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル)−N−メチル−1H−インドール−5−スルホンアミド;
3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
5−フルオロ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−2−オール;
2−ヒドロキシ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボニトリル;
(Z)−N’,2−ジヒドロキシ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−カルボキサミジン;
N−(2−ヒドロキシ−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−イル)メタンスルホンアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−6−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド;
3−(2−アミノ−6−メチル−ピリミジン−4−イル)−1H−インドール−2−オール;
3−(3−アミノイソキノリン−l−イル)−1H−インドール−2−オール;
3−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−2−ヒドロキシ−1H−インドール−5−カルボニトリル;
8−(3−アミノイソキノリン−1−イル)−6H−チアゾロ[5,4−e]インドール−7−オール;
N−(3−(3−アミノイソキノリン−l−イル)−2−ヒドロキシ−1H−インドール−5−イル)エタンスルホンアミド;
2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(7−オキソ−7,8−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド;及び
N−エチル−2−ヒドロキシ−3−(7−オキソ−7,8−ジヒドロ−l,8−ナフチリジン−2−イル)−1H−インドール−5−スルホンアミド
からなる群から選択される化合物。
【請求項42】
医薬上許容されるその塩、生物学的に加水分解可能なそのエステル、生物学的に加水分解可能なそのアミド、生物学的に加水分解可能なそのカルバメート、その溶媒和物、その水和物又はそのプロドラッグの形態である、請求項1〜41のいずれか1項記載の化合物。
【請求項43】
立体異性体の混合物で存在する、請求項1〜41のいずれか1項記載の化合物。
【請求項44】
単一の立体異性体を含む、請求項1〜41のいずれか1項記載の化合物。
【請求項45】
請求項1〜44のいずれか1項に記載の化合物を有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項46】
経口投与に適する固体製剤である、請求項45記載の医薬組成物。
【請求項47】
経口投与に適する液体製剤である、請求項45記載の医薬組成物。
【請求項48】
錠剤である、請求項45記載の医薬組成物。
【請求項49】
非経口投与に適する液体製剤である、請求項45記載の医薬組成物。
【請求項50】
経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、口腔内、鼻腔内、リポソーム、吸入、膣内、眼内、局所送達、皮下、脂肪内、関節内及びくも膜下腔内からなる群より選択される経路による投与に適する、請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項51】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物、及び
該化合物を投与すべき疾患状態の表示、該化合物の保存情報、投薬情報、及び該化合物を投与する方法に関する指示からなる群より選択される、1以上の形態の情報を含む説明書、
を含むキット。
【請求項52】
複数回投与形態で化合物を含む、請求項51記載のキット。
【請求項53】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物、及び
包装材料、
を含む製品。
【請求項54】
包装材料が、化合物を収容するための容器を含む、請求項53記載の製品。
【請求項55】
容器が、化合物を投与すべき疾患状態、保存情報、投薬情報、及び/又は組成物を投与する方法に関する指示からなる群の1以上の要素を表示するラベルを含む、請求項54記載の製品。
【請求項56】
複数回投与形態で化合物を含む、請求項53記載の製品。
【請求項57】
キナーゼを請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物と接触させることを含む、キナーゼの阻害方法。
【請求項58】
阻害が、エノール体である化合物により選ばれる有利な構造から生じ、かつ該構造が化合物のエノール水素と隣接窒素原子との分子内水素結合から生じる、請求項57記載の方法。
【請求項59】
阻害が、エノール体である化合物により選ばれる有利な構造から生じ、かつ該阻害がエノール互変異性体とキナーゼの活性部位残基との間の水素結合相互作用から生じる、請求項57記載の方法。
【請求項60】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を、インビボでキナーゼを阻害するために、対象内に存在させることを含む、キナーゼの阻害方法。
【請求項61】
インビボで第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物がインビボでキナーゼを阻害し、第二の化合物が請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物である、キナーゼの阻害方法。
【請求項62】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を対象に投与することを含む、治療方法。
【請求項63】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在させることを含む、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法。
【請求項64】
インビボで請求項1〜44のいずれか1項記載の第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法。
【請求項65】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を投与することを含み、ここで該化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法。
【請求項66】
治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の請求項1〜44のいずれか1項記載の組成物の投与を含む、癌の治療方法。
【請求項67】
癌が、扁平上皮癌、星細胞腫、カポジ肉腫、グリア芽腫、非小細胞肺癌、膀胱癌、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、前立腺癌、乳癌、小細胞肺癌、グリオーマ、直腸結腸癌、尿生殖器癌及び消化管癌からなる群より選択される、請求項66記載の方法。
【請求項68】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在させることを含む、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法。
【請求項69】
治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物の投与を含む、炎症、炎症性腸疾患、乾癬又は移植片拒絶反応の治療方法。
【請求項70】
インビボで請求項1〜44のいずれか1項記載の第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の予防又は治療方法。
【請求項71】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を投与することを含み、ここで該化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の予防又は治療方法。
【請求項72】
予防又は治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物の投与を含む、認知症関連疾患及びアルツハイマー病の予防又は治療方法。
【請求項73】
認知症関連疾患が、パーキンソン型前頭側頭型認知症、グアム島のパーキンソン認知症複合、HIV認知症、神経原線維変化病理に関連する疾患、前認知症状態、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、前頭側頭型認知症及び拳闘家認知症からなる群より選択される、請求項72記載の方法。
【請求項74】
予防又は治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物の投与を含む、筋萎縮性側索硬化症、大脳皮質基底核変性症、ダウン症候群、ハンチントン病、パーキンソン病、脳炎後パーキンソニズム(postencephelatic parkinsonism)、進行性核上麻痺、ピック病、ニーマンピック病、発作、頭部外傷及び他の慢性神経変性疾患、双極性疾患、情動障害、うつ病、統合失調症、認識障害、脱毛並びに避妊薬の投与の予防又は治療方法。
【請求項75】
予防及び/又は治療を必要とするヒトを含む哺乳動物に、治療有効量の請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、加齢に関連する認識衰退、非認知症性認識障害、軽度認識衰退、軽度神経認知衰退、高齢期の健忘症、記憶障害及び認識障害、並びに男性型脱毛症の予防又は治療方法。
【請求項76】
予防及び/又は治療を必要とするヒトを含む哺乳動物に、治療有効量の請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む、認知症関連疾患、アルツハイマー病及びキナーゼ関連状態の予防又は治療方法。
【請求項77】
治療を必要とする哺乳動物種への、治療有効量の請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物の投与を含む、関節炎の治療方法。
【請求項78】
インビボで請求項1〜44のいずれか1項記載の第二の化合物に変換される第一の化合物を対象に投与することを含み、ここで第二の化合物が、疾患状態に対して治療有効量で対象内に存在する、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法。
【請求項79】
請求項1〜44のいずれか1項記載の化合物を投与することを含み、ここで該化合物は、病理および/または症候に対して治療有効量で対象内に存在する、疾患状態の病理および/または症候に寄与する活性をキナーゼが有する疾患状態の治療方法。

【公表番号】特表2008−502687(P2008−502687A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516629(P2007−516629)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/020890
【国際公開番号】WO2005/123672
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(504344266)タケダ サン ディエゴ インコーポレイテッド (29)
【Fターム(参考)】