説明

キャパシタ層形成材

【課題】キャパシタ層形成材が備える誘電層の平均容量密度の向上及びリーク電流密度の低減を同時に実現させることができるキャパシタ層形成材を提供する。
【解決手段】上部電極形成に用いる第1導電層と下部電極形成に用いる第2導電層との間に誘電層を備えるキャパシタ層形成材において、当該第2導電層は、純度99.99wt%以上のニッケル層であり、且つ、当該誘電層は、(BaSr1−x)TiO(0≦x≦1)の組成におけるバリウム、ストロンチウム、チタンの総量を100mol%として、マンガンを0.25mol%〜1.00mol%の範囲で含有するキャパシタ層形成材を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願に係る発明は、キャパシタ層形成材及びそのキャパシタ層形成材を用いて得られる内蔵キャパシタ回路を備えたプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路技術の発達にともない電子回路が高密度化、高性能化しており、それに対応してキャパシタ回路の電子部品の小型化、高容量化が求められている。そこで、強誘電体材料の薄膜を用いたキャパシタ回路の利用が注目を集めている。この強誘電体とは、自発分極を有する誘電体であり、外部からの印加電圧に対応し、自発分極が反転又は再整列する物質のことである。強誘電体の代表例として、結晶構造としてペロブスカイト構造を備えるチタン酸バリウム(BaTiO)等があげられる。
【0003】
ここで言う誘電体は、一般的に、絶縁性を有し、一定量の電荷を蓄積する性質のある物質である。そして、キャパシタ回路の誘電層の形成には、化学的気相反応法(CVD法)、スパッタリング蒸着法、ゾル−ゲル法等が用いられ、キャパシタとしての誘電特性を向上させた製品が提供されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ゾル−ゲル法によるBST(チタン酸バリウムストロンチウム)系誘電層の形成方法において、所望のマンガンを含有しないBST系誘電膜を製造するための第1ゾル−ゲル溶液を調製するための第1溶液調製の工程と、所望のマンガンを含有するBST系誘電膜を製造するための第2ゾル−ゲル溶液を調製するための第2溶液調製の工程とを備えることを特徴とすることが開示されている。この特許文献1のBST系誘電膜には、(Ba1−x Sr)TiO(0≦x≦1)膜にマンガンを含有したものとマンガンを含有しないものとがあり、マンガンを0.01mol%〜3.00mol%の範囲内で含有したBST系誘電層は、キャパシタとしての電気容量を大幅に上昇させ、リーク電流をより小さくして長寿命化を達成するとの記載がある。
【0005】
また、特許文献2には、ニッケル(Ni)の純度が99.99wt%以上のニッケル基板上に誘電体層および電極層をこの順に有することを特徴とする薄膜キャパシタが開示されている。ここで、ニッケル基板のニッケル純度は99.99wt%以上であることから、ニッケル基板に含まれる1または複数の不純物(例えば、鉄、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ケイ素およびクロムのうち少なくとも1つ)がアニール中にニッケル基板から前駆誘電体層への拡散が微量に抑えられるとの記載がある。更に、ニッケル基板中の1または複数の不純物の含有量が、いずれも65ppm以下となるようにしたときには、ニッケル基板に含まれる1または複数の不純物がニッケル基板から前駆誘電体層への拡散が極めて微量に抑えられるとの記載がある。
【0006】
更に、特許文献3には、下部電極を基板上に形成する下部電極形成工程と、Ba系有機誘電体原料、Sr系有機誘電体原料及びTi系有機誘電体原料を含有する原料液を前記下部電極の表面に塗布する原料液塗布工程と、前記下部電極の表面に塗布した前記原料液に含有される前記有機誘電体原料を焼成してチタン酸バリウムストロンチウム薄膜を形成する金属酸化物薄膜形成工程と、前記チタン酸バリウムストロンチウム薄膜の表面上に上部電極を形成する上部電極形成工程とを有する薄膜コンデンサの製造方法において、前記原料液にMn系有機誘電体原料を含有させて、前記チタン酸バリウムストロンチウム薄膜に副成分としてMn元素を含有させ、前記チタン酸バリウムストロンチウム薄膜を組成式(Ba1−xSrTi1−zMn(但し、0<x<1、y>1)によって表記したときのzを0<z<0.025とすることが開示されている。チタン酸バリウムストロンチウム薄膜にMn元素を含有させることにより、チタン酸バリウムストロンチウム薄膜に耐還元性を付与すると共に焼結密度を高くすることができる。さらに、zを0<z<0.025とすることにより、チタン酸バリウムストロンチウム薄膜のリーク電流密度の低減効果を大きくできるとの記載がある。
【0007】
【特許文献1】特開2006−196848号公報
【特許文献2】特開2007−294937号公報
【特許文献3】特開2007−42692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に開示のキャパシタ層形成材は、ゾル−ゲル法を用いて形成された結晶粒の大きな誘電膜を備えることで、高い電気容量、且つ、長寿命のキャパシタ回路を実現しているが、ショート発生防止、リーク電流の低減、電気容量の向上の全ての特性を満足することが求められてきた。
【0009】
また、上記特許文献2に開示の薄膜キャパシタは、ニッケルの純度が99.99wt%以上のニッケル基板上に誘電体層を備えることでショート発生の防止効果を発揮しうるが、さらなるリーク電流の低減が求められてきた。
【0010】
更に、上記特許文献3に開示の薄膜コンデンサは、チタン酸バリウムストロンチウム薄膜にマンガン元素を含有させることとしているが、下部電極材料として純度99.00wt%程度のニッケル等を用いた場合には、上部電極と下部電極との間のショート発生が顕著であり好ましくない。
【0011】
以上のことから、上部電極層と下部電極層との間に酸化物誘電層を備えるキャパシタ層形成材に、キャパシタ回路に加工したときの誘電特性としてリーク電流及びショート現象の抑制に加えて、出来る限り良好な温度特性を備える等の種々の要求が行われてきた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、キャパシタ層形成材が備える導電層及び誘電層について以下に述べる条件を満たすことで、上記課題を解決できることに想到した。
【0013】
本件発明に係るキャパシタ層形成材: 本件発明に係るキャパシタ層形成材は、上部電極形成に用いる第1導電層と下部電極形成に用いる第2導電層との間に誘電層を備えるキャパシタ層形成材において、当該第2導電層は、純度99.99wt%以上のニッケル成分で構成したニッケル層であり、当該誘電層は、(BaSr1−x)TiO(0≦x≦1)の組成におけるバリウム、ストロンチウム、チタンの総量を100mol%として、マンガンを0.25mol%〜1.00mol%の範囲で含有するものである。
【0014】
本件発明に係るプリント配線板: そして、本件発明に係る内蔵キャパシタ回路を備えるプリント配線板は、上述のキャパシタ層形成材を用いて得られることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本件発明に係るキャパシタ層形成材は、下部電極を構成する第2導電層として高温耐熱特性に優れたニッケル層を備えている。また、当該ニッケル層のニッケル純度を向上(99.99wt%以上)させることで、ニッケル層中の不純物が析出することによるショート防止効果が発揮される。そして、同時に、誘電層にマンガンを添加することで、純度の高いニッケル層を高温(1000℃程度)で焼成した場合に発生するリーク特性の低下を防止する。その結果、本件発明に係るキャパシタ層形成材は、高容量とリーク特性との両方の特性を同時に備えることができる。従って、本件発明に係るキャパシタ層形成材を用いて内蔵キャパシタ層を形成したプリント配線板は、キャパシタ回路品質に優れた高品質のプリント配線板となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本件発明に係るキャパシタ層形成材の形態及び内蔵キャパシタ層を備えるプリント配線板の各形態に関して説明し、その後、実施例及び比較例を示す。
【0017】
本件発明に係るキャパシタ層形成材: 本件発明に係るキャパシタ層形成材は、上部電極形成に用いる第1導電層と下部電極形成に用いる第2導電層との間に誘電層を備えるキャパシタ層形成材である。そして、本件発明に係るキャパシタ層形成材の場合には、当該第2導電層を、純度99.99wt%以上のニッケル成分で構成したニッケル層とする点に第1の特徴がある。また、本件発明に係るキャパシタ層形成材の場合には、誘電層がマンガンを0.25mol%〜1.00mol%の範囲で含有することを特徴としている。これらの特徴を兼ね備えることで、初めて本件発明に係るキャパシタ層形成材を用いて得られるキャパシタ回路が、良好な平均容量密度、低いリーク電流密度、ショート防止特性をバランス良く兼ね備えるようになる。なお、本件発明における誘電層中のマンガンの含有量は、誘電層の構成成分であるBa、Sr、Tiの総量を100mol%として、これに対するマンガンの含有量をmol%で表示している。
【0018】
本件発明に係るキャパシタ層形成材が、以上のような2つの特徴を備えるのは、以下の理由からである。ニッケル成分で構成された当該第2導電層が、ある一定量以上のマンガンを不純物として含有していると、ゾルーゲル法による誘電層の加熱形成時に、第2導電層中に含まれたマンガンが、誘電層側に析出成長し、第2導電層と第1導電層とのショート現象の発生原因となる場合があり好ましくない。これに対し、マンガンを誘電層に添加すると、当該マンガンは、誘電層を構成する酸化物結晶のリーク電流の流路となる粒界に偏析して、リーク電流を減少させ、キャパシタとしての性能を安定化させ、且つ、電気容量の向上にも寄与することが可能である。よって、本件発明に係るキャパシタ層形成材の場合、以上のような構成を採用した。
【0019】
ここで、以下で説明する内容の理解が容易となるように、本件発明に係るキャパシタ層形成材の製造手順を簡潔に述べると、前記下部電極形成に用いる第2導電層となる金属箔等を用いて、その表面にBST誘電層を形成し、得られたBST誘電層の上に第1導電層を形成し、キャパシタ層形成材とする。ここで、BST誘電層の上に第1導電層を形成する方法としては、金属箔を用いて張り合わせる方法、メッキ法で導電層を形成する方法、スパッタリング蒸着等の任意の方法を採用することが可能である。以下、第2導電層、誘電層の順に説明する。
【0020】
本件発明に係るキャパシタ層形成材の第2導電層は、純度99.99wt%以上のニッケル層を採用している。電子材料用途で用いるニッケルは、通常、純度95wt%前後のニッケル材料が用いられる。しかし、この程度の純度のニッケル材をキャパシタ層形成材の第2導電層として用いると、1000℃程度の加熱が負荷されることで、ニッケル中の不可避不純物であるマンガンがニッケル材の表面に析出する傾向がある。従って、nmオーダーの厚さの誘電層と接する電極として使用する第2導電層には、析出したマンガンが誘電層に損傷を与えないように、極力純度の高いニッケル材を用いる必要がある。そこで、本件発明者等は、純度99.00wt%のニッケル箔を第2導電層として使用してみたが、誘電層を貫通する形でマンガンが析出成長して、第1導電層と第2導電層とのショートの原因となることが分かった。従って、このニッケル層中のマンガン量は、0.005wt%以下であることが好ましい。図1には、約1000℃で加熱した際に、第2導電層のニッケル箔(純度99.00wt%)から成長したマンガンが、その周囲にある誘電層を貫通した状態を観察した走査型電子顕微鏡観察像を示している。なお、図1の析出物がマンガンであることは、エネルギー分散型EPMAの定性分析により確認した。そして、鋭意研究の結果、第2導電層のニッケル層のニッケル純度を99.99wt%以上にすることで、誘電層の焼成に1000℃以上の高温条件を使用しても、当該ニッケル層からのマンガンの析出成長がみられなくなり、誘電層に損傷が生じなくなることが分かった。なお、この図1に示した走査型電子顕微鏡観察像は、ニッケル箔の表面に誘電層の形成は行ったが、上部電極形成用の導電層の形成を行っていないものであり、表面には誘電層が露出した状態のものである。
【0021】
このような純度99.99wt%以上のニッケル材で構成した第2導電層は、圧延法により製造したニッケル箔を用いることが好ましい。圧延法で得られるニッケル箔は、インゴットの製造段階で、純度の調整が容易で、純度品質の安定性が高いからである。また、圧延法を採用して得られるニッケル箔は、電解法で得られるニッケル箔と比べて、表面粗さの低いニッケル箔を得ることができる。ニッケル箔の表面粗さが小さくなれば、その表面に形成する誘電層の膜厚のばらつきも少なくなり、誘電特性の安定化も容易となる。
【0022】
このとき第2導電層は、平均厚さが1μm〜100μmであることが好ましい。この平均厚さが1μm未満では、キャパシタ回路を形成したときの電極としての信頼性に著しく欠け、その表面へ誘電層を形成する事が極めて困難となる。一方、100μmを超える平均厚さとしても、実用上殆ど要求がない。また、平均厚さが3μm未満のニッケル箔を用いる場合には、キャリア箔付ニッケル箔として用いることが好ましい。ハンドリングが容易となるためである。そして、キャリア箔付ニッケル箔を用いる場合には、このニッケル箔の表面にBST誘電層及び上部電極形成層を順次設けた後に、キャリア箔を除去することで、容易に薄い下部電極形成層を備えるキャパシタ層形成材が得られる。
【0023】
次に、誘電層に関して説明する。本件発明では、マンガンを含有した(BaSr1−X)TiO(0≦X≦1)の誘電体基本組成を備える。現実に用いられる組成としては、0≦X<0.8の範囲やX=1のBaTiO組成がほとんどである。以下の説明も、誘電層として、ここで述べた基本組成を備えることを前提とする。そして、以上及び以下において、(BaSr1−X)TiO(0≦X≦1)の誘電体基本組成を備える誘電層の全てを、単に「BST誘電層」と称する。
【0024】
しかし、0.8≦X<1の範囲のBST組成を積極的に採用することも好ましい。温度特性を抑制することが可能な範囲だからである。本件発明者等の研究の結果、特定の誘電層厚さにおいては、上記0.8≦X<1の範囲の組成が、最も温度特性に優れるBST誘電層となることが判明した。ここで、バリウム(Ba)とストロンチウム(Sr)との組成比が、BaSr1−XTiO において、X<0.8の場合には、温度特性の変動が大きくなり、誘電層として実用上好ましくない。そして、X=1の場合には、誘電層がBaTiO の組成であり、容量密度が低下する傾向が見られる。そして、温度特性と電気容量とのバランスを考慮すると、より好ましくは、0.85≦X≦0.95、更に好ましくは0.88≦X≦0.93の範囲である。そして、このBST誘電層は、どのような製造方法を用いて形成しても構わない。例えば、ゾル−ゲル法、化学気相反応法、物理蒸着法、泳動電着法等を用いることができる。ここで、「温度特性」と記述しているのは、温度変化に対応して、キャパシタ回路の平均容量密度が変化する特性である。発熱を多く伴うコンピュータ等のプリント配線板のキャパシタ回路の誘電層として用いる際には、キャパシタとしての品質が温度により変化するため、キャパシタ回路としての品質が一定ではなくなる傾向がある。従って、温度変化に依存したキャパシタ回路の平均容量密度の変化が大きいほど、回路設計としても困難を伴い、その電子機器等の連続使用に不適切となる。よって、良好な温度特性が求められる。
【0025】
なお、念のために、BaSr1−xTiOの化学量論組成において、Aサイト元素(Ba,Sr)とBサイト元素(Ti)との比及び酸素(O)の組成は一定の範囲で変動する場合もあることを明記しておく。
【0026】
そして、このBST誘電層は、厚さが20nm〜1μmであることが好ましい。このBST誘電層の厚さが薄いほど電気容量は向上する。ここでBST誘電層の厚さが20nm未満となると、基板の表面粗度に対する要求が極めて厳しくなり、ショートが増加する傾向となる。また、キャパシタとしての破壊電圧も低下するため好ましくない。一方では、市場に求められているキャパシタ回路の電気容量等の要求値を考えると、1μm程度の厚さを上限とすることが必要と考える。なお、この本件発明に係るBST誘電層の温度特性を最も安定化させようとすると、厚さが0.3μm〜0.7μmであることが好ましい。BST誘電層の厚さが、上記厚さ範囲を満足しなければ、上記組成を満足したとしても、安定した温度特性を示さないからである。このBST誘電層の厚さは、実用的な絶縁耐圧や製造歩留りの観点から0.3μm以上が好ましい。また、必要な電気容量を得るという観点から、前記BST誘電層の厚さは0.7μm以下が好ましいと考えられ、同時に温度上昇に伴う平均容量密度のバラツキが小さくなる。
【0027】
更に、本件発明に係るキャパシタ層形成材が備える誘電層は、X線回折法でX線回折パターンを測定したときの回折角(2θ)=31°付近に表れる(101)面回折ピークの半価幅が0.2°未満となる結晶構造を採ることが好ましい。ゾルーゲル法に限らず、成膜した誘電層の結晶性は、高温で焼成するほど向上し、容量が大きくなる。これまで述べたように、従来の純度の低いニッケル箔では高温焼成には適さない。ここで、(101)面の回折ピークを指標として用いたのは、誘電層を構成する酸化物誘電層の場合、X線回折パターンの中で、回折角(2θ)=31°付近に表れる(101)面は、相対的強度の強いピークだからである。
【0028】
そして、ここで言う半価幅(「FWHM」と称する場合もある。)は、この幅が広いほどピークがブロードで結晶性が小さくなり、この幅が狭いほどピークがシャープで結晶性が大きくなることを意味することになる。従って、本件発明に係るキャパシタ層形成材が備える誘電層は、X線回折パターンを測定したときの回折角(2θ)=31°付近に表れる(101)面の回折ピークの半価幅が0.2°未満となるような、結晶性の高い結晶構造を備える酸化物誘電材を用いることが好ましいのである。この条件を満たすことで、キャパシタとして顕著な平均容量密度の向上が図れるのである。
【0029】
そして、誘電層の基本組成に対し、マンガンを含有させることで、リーク電流を少なくするメカニズムを少し詳細に述べておく。BST系誘電膜の中のマンガンは、主にマンガン酸化物の形で存在し、BST系誘電膜の結晶粒界、粒内に存在していると思われる。そして、このマンガンが、リーク電流の減少、その他温度特性の向上等に寄与していると思われる。誘電層のリーク電流は、例えば、ゾル−ゲル法で形成したBST系誘電膜を誘電層とした場合には、BST系誘電膜の結晶粒界及び格子欠陥を経由して流れる可能性が高い。即ち、BST系誘電膜の組織が微細で、結晶粒界が多く、結晶内の内部欠陥密度が高い程、リーク電流は大きくなる。そこで、BST系誘電膜の結晶粒界及び粒内にマンガンを含ませることで、誘電膜の結晶粒界にマンガン酸化物として偏析し、リーク電流の流路を遮断すると考えられる。
【0030】
このようにキャパシタ層形成材の誘電層に対するマンガン添加の効果を発揮させるためには、当該BST系誘電膜(バリウムとストロンチウムとチタンとの成分合計を100mol%とした場合)に対して含ませるマンガン量を、0.25mol%〜1.00mol%とすることが好ましい。ここでは、純度99.99%のニッケル箔(厚さ:50μm)の表面に、マンガンを0mol%、0.25mol%、0.50mol%、1.00mol%、2.00mol%含有した各々のBST誘電層を形成し、スパッタリング法により、厚さ2μmの4mm×4mmの銅薄膜を上部電極として形成してキャパシタ回路として、電気特性値の評価を行った結果について述べる。ここでは、電気特性値として平均容量密度、リーク電流密度を、室温下で2回計測し、その結果を図2及び図3に示した。
【0031】
図2には、横軸がBST誘電層(バリウムとストロンチウムとチタンとの成分合計を100mol%とした場合)に対するマンガンの含有率、縦軸がBST薄膜の平均容量密度として、BST誘電層に対するマンガン添加量と平均容量密度との関係を示したグラフを示した。この図2から理解できるように、当該マンガン添加量が0mol%のときの平均容量密度が2400nF/cm、当該マンガン添加量が0.25mol%のときの平均容量密度が1500nF/cm、当該マンガン添加量が0.50mol%のときの平均容量密度が1200nF/cm、当該マンガン添加量が1.00mol%のときの平均容量密度が750nF/cm、当該マンガン添加量が2.00mol%のときの平均容量密度が1200nF/cmである。
【0032】
図3には、横軸がBST誘電層(バリウムとストロンチウムとチタンとの成分合計を100mol%とした場合)に対するマンガンの含有率、縦軸がBST薄膜のリーク電流密度として、BST誘電層の16mm当たり+10V又は−10Vの電圧をかけたときのBST誘電層に対するマンガン含有量とリーク電流密度との関係を示している。その結果、当該マンガン含有量が0mol%のときのリーク電流密度は1.0×10−4A/cm〜1.5×10−4A/cm、当該マンガン含有量が0.25mol%のときのリーク電流密度は3.5×10−8A/cm、当該マンガン含有量が0.50mol%のときのリーク電流密度は4.0×10−8A/cm〜5.0×10−8A/cm、当該マンガン含有量が1.00mol%のときのリーク電流密度は1.0×10−7A/cm〜1.2×10−7A/cm、当該マンガン含有量が2.00mol%のときのリーク電流密度は1.0×10−6A/cm〜6.0×10−7A/cmである。
【0033】
上述の図2及び図3に示す結果より、BST誘電層に対するマンガン含有量が0mol%の場合、マンガンを含有したときと比べて平均容量密度が高くなるが、リーク電流密度も高くなるため好ましくない結果となっている。一方、当該マンガン添加量が0.25mol%の場合には、平均容量密度が高く、リーク電流密度も低いというバランスのとれた誘電特性が得られている。そこで、当該マンガン含有量に着目すると、当該マンガン含有量が1.00mol%まで増加するに従い、平均容量密度が低くなる傾向が現れるが、市場要求としては問題のないレベルであり、リーク電流密度に関しては低い状態を維持できている。そして、当該マンガン添加量が2.00mol%まで更に増加すると、平均容量密度は僅かに高くなるが、リーク電流密度も増加するという結果となった。
【0034】
以上、図2及び図3に示した平均容量密度とリーク電流密度とを考慮し、その他のBST誘電層に対するマンガン添加量の影響を考慮して、当該マンガン添加量は0.25mol%〜1.00mol%の範囲が好ましい。ここで、当該BST誘電膜に対して含ませるマンガン量が0.25mol%未満の場合には、BST誘電膜の結晶粒界へのマンガンの偏析が不十分であり、良好なリーク電流遮断効果及び良好な耐電圧特性も得られない傾向が顕著になる。一方、当該マンガン量が1.00mol%を超える場合には、酸化物誘電膜の結晶粒界へのマンガンの偏析が過剰になり、誘電膜が脆く靱性が失われ、エッチング法で上部電極形状等を加工する際のエッチング液シャワー等により誘電層破壊が起こる等の不具合が生じ、結果として良好なリーク電流遮断効果及び良好な耐電圧特性も得られない傾向がある。従って、マンガンを、上述の範囲で含むBST誘電膜組成を採用することで、耐電圧特性を向上させ、リーク電流をより小さくして長寿命化を達成することができる。
【0035】
以上に述べてきた本件発明に係るキャパシタ層形成材のマンガンを含有したBST誘電層は、ゾル−ゲル法、化学気相反応法、物理蒸着法等の種々の方法を用いて形成する事が可能である。例えば、BST成分のゾル−ゲル溶液にマンガン含有成分を含有させ、通常のゾル−ゲル膜を形成するプロセスを経ることで、形成可能である。
【0036】
そして、本件発明に係るキャパシタ層形成材の前記上部電極形成層を形成するための第1導電層は、厚さが100nm〜50μmの銅、ニッケル、金又はこれらの合金からなることが好ましい。この上部電極形成層は、マンガンを含有したBST誘電層の上に、金属箔を用いて張り合わせる方法、メッキ法で導電層を形成する方法、スパッタリング蒸着法、導電性ぺースト、Ag、Ni、Cuなどの微粉を分散させたスラリーを用いて形成する等の方法で形成されるものであり、通常500nm〜20μm程度の厚さが採用される。本件発明に係るキャパシタ層形成材の場合には、プリント配線板のキャパシタ層の形成に用いることを予定しており、この上部電極形成層をエッチング加工して上部電極回路が形成される場合がある。かかる場合、上部電極形成層の厚さが100nm未満の場合には、多層プリント配線板に加工する場合の熱間プレス成形条件を十分に管理しても、プレス圧力によって上部電極回路が変形を受ける場合があり、熱間プレス成形後の電極としての信頼性に欠ける。なお、ここで言う第1導電層は、完全な平面状の形態の導電層でも、マスク法により形成した上部電極回路として直接使用可能なアイランド状に設けた導電層であっても構わない。
【0037】
本件発明に係る内蔵キャパシタ回路を備えるプリント配線板: 本件発明に係るプリント配線板は、上述のキャパシタ層形成材を用いて得られる内蔵キャパシタ回路を備えることを特徴とする。上述の本件発明に係るキャパシタ層形成材を用いることで、当該下部電極回路が耐熱性に優れたニッケルで構成されることになるため、300℃〜400℃の範囲の熱間プレス加工を複数回経ても、酸化劣化、物性変化も起こしにくい。本件発明に係る内蔵キャパシタ回路を備えるプリント配線板は、上述の本件発明に係るキャパシタ層形成材を用いることで、良好な誘電特性の内蔵キャパシタ回路を備えるものとなる。
【0038】
本件発明に係るキャパシタ層形成材を、多層プリント配線板の内蔵キャパシタ層の形成に用いるにあたり、一般的に、当該キャパシタ層形成材の両面にある第1導電層と第2導電層とのキャパシタ回路形状をドライエッチング法又はウェットエッチング法で形成し、多層プリント配線板の構成材料として用いるのである。その他、キャパシタ回路形状の形成には、プリント法やマスク法等が採用される。以上に、キャパシタ回路の形成方法の一例を示したが、本件発明に係るキャパシタ層形成材を用いての内蔵キャパシタ回路を備えるプリント配線板の製造方法に関して、特段の限定はなく、あらゆる方法を採用する事が可能となる。
【実施例】
【0039】
この実施例では、下部電極形成層(第2導電層)となるニッケル箔の表面に、マンガンを含むBST誘電層を形成し、更に当該BST誘電層の表面に上部電極形成層を設けキャパシタ層形成材を製造した。そして、このキャパシタ層形成材を用いてエッチング法でキャパシタ回路を形成し、リーク電流特性等の評価を行った。
【0040】
下部電極形成層の製造: ここでは、圧延法で製造した50μm厚さのニッケル純度99.99wt%のニッケル箔を使用した。なお、圧延法で製造したニッケル箔の厚さはゲージ厚さとして示したものである。このニッケル箔が、キャパシタ層形成材の第2導電層を構成することになる。
【0041】
誘電層の形成: 当該ニッケル箔の表面にゾル−ゲル法を用いて誘電層を形成した。ここでは、Ba0.9Sr0.1TiO組成のBST誘電層を形成するために、三菱マテリアル株式会社製の商品名BST薄膜形成剤7wt%BSTと株式会社高純度化学研究所製のMn−03(酸化マンガン(III)3.0wt%)とを用いて、バリウムとストロンチウムとチタンのトータルmol数に対し、任意の濃度のマンガンを含む溶液を調整した。なお、ゾル−ゲル法で誘電層を形成するニッケル箔は、前処理として250℃×15分の加熱を行い、紫外線の1分間照射を行った。
【0042】
そして、上記ゾル−ゲル溶液を、スピンコータを用いて、前記ニッケル箔の表面に塗布し、150℃×2分の酸素含有雰囲気(大気雰囲気)で乾燥し、390℃×15分の大気雰囲気での熱分解を行う一連の工程を1単位工程として、この1単位工程を12回繰り返すにあたり、1回目の1単位工程と2回目の1単位工程との間、3回目の1単位工程と4回目の1単位工程との間、6回目の1単位工程と7回目の1単位工程との間、9回目の1単位工程と10回目の1単位工程との間で、計4回の予備焼成処理(900℃×15分、不活性ガス置換雰囲気)を行った。最終的に900℃×30分の窒素置換雰囲気で焼成処理を行い、マンガンを含有した厚さ600nmの誘電層を、下部電極形成層上に形成した。
【0043】
上部電極の形成: マンガンを含有したBST誘電層の上に、スパッタリング蒸着法で2μm厚さの第1導電層を形成し、本件発明に係るキャパシタ層形成材を得た。その後、当該キャパシタ層形成材の第1導電層の表面にエッチングレジスト層を設け、上部電極形状を形成するための、エッチングパターンを露光し、現像した。その後、塩化銅系銅エッチング液で第1導電層をエッチングして、エッチングレジスト剥離を行うことで、上部電極面積が4mm×4mmサイズのキャパシタ回路を形成した。
【0044】
表1には、実施例1の第2導電層及び誘電層に含有されるマンガン含有量に対する平均容量密度及びリーク電流密度(条件:上部電極回路面積が16mm,印加電圧10V)の関係を示した。実施例1は、第2導電層を構成するニッケル中のマンガン含有量が0.001wt%以下であり、誘電層中(バリウムとストロンチウムとチタンとの成分合計を100mol%とした場合)のマンガン含有量が0.25mol%の条件のキャパシタ回路を用いた。表1に掲載したように、実施例1の平均容量密度は1506nF/cmであり、上部電極回路面積が16mmのキャパシタ回路に10Vの電圧を印加した場合のリーク電流密度は3.0×10−8A/cmであった。また、ICP分析により誘電体層には、添加分に相当するマンガンが存在していることの確認を行った。
【0045】
なお、本件明細書内における平均容量密度は、HIOKI LCRハイテスタ 3532−50を用いて、1kHz、1Vの条件で計測した。本件明細書内におけるリーク電流密度は、アドバンテストR8252エレクトロメーター、チャージ時間は7秒の条件で測定した。
【比較例】
【0046】
この比較例には、実施例とマンガン含有量の異なるものを比較例として、上記実施例と同様の製造プロセスで、キャパシタ層形成材を得ている。但し、比較例の予備焼成処理においては、比較例1が誘電層の形成を実施例と同様に900℃×15分の焼成加熱条件を採用しているのに対し、比較例2と比較例3とは650℃×15分の焼成加熱条件を採用している。また、誘電層の形成の最終的焼成で、比較例1は実施例と同様の900℃×30分の焼成加熱条件を採用しているのに対し、比較例2と比較例3とは800℃×30分の焼成加熱条件を採用している。このように焼成温度を変えているのは、高純度のニッケル箔を下部電極形成層に用いた実施例及び比較例1の方が、ニッケル箔表面でのマンガン粒子の析出が無いため、高温焼成が可能だからである。以下、各比較例に関して述べるが、各比較例の試験結果は、実施例と対比可能なように、表1に纏めて示している。
【0047】
[比較例1]
比較例1は、第2導電層に実施例と同様のニッケル純度99.99wt%のニッケル箔を用いて、誘電層中(バリウムとストロンチウムとチタンとの成分合計を100mol%とした場合)のマンガン含有量が0mol%の条件のキャパシタ回路を用いた。表1に掲載したように、比較例1の平均容量密度は2362nF/cmであり、上部電極回路面積が16mmのキャパシタ回路に10Vの電圧を印加した場合のリーク電流密度は1.6×10−4A/cmであった。
【0048】
[比較例2]
比較例2は、第2導電層にニッケル純度99.00wt%のニッケル箔を用いて、誘電層中(バリウムとストロンチウムとチタンとの成分合計を100mol%とした場合)のマンガン含有量が0mol%の条件のキャパシタ回路を用いた。表1に掲載したように、比較例2の平均容量密度は1091nF/cmであり、上部電極回路面積が16mmのキャパシタ回路に10Vの電圧を印加した場合のリーク電流密度は3.1×10−7A/cmであった。
【0049】
[比較例3]
比較例3は、第2導電層にニッケル純度99.00wt%のニッケル箔を用いて、誘電層中(バリウムとストロンチウムとチタンとの成分合計を100mol%とした場合)のマンガン含有量が0.25mol%の条件のキャパシタ回路を用いた。表1に掲載したように、比較例3の平均容量密度は886nF/cmであり、上部電極回路面積が16mmのキャパシタ回路に10Vの電圧を印加した場合のリーク電流密度は3.4×10−8A/cmであった。
【0050】

【表1】

【0051】
<実施例と比較例との対比>
表1から理解できる結果をもって、以下に実施例1と比較例1〜比較例3とを対比する。実施例1は、平均容量密度が高く、且つ、リーク電流密度が低い結果を示している。これに対し比較例1〜比較例3は、リーク電流密度と平均容量密度との両方を同時に満足する結果を得ることはできなかった。以下に、比較例1〜比較例3が、リーク電流密度と平均容量密度との双方で良好な特性を示せなかった理由について考察する。
【0052】
比較例1は、実施例1と比べて、誘電層中にマンガンが含有されていない点で異なる。比較例1は、実施例1と比べて、平均容量密度は若干高いが、リーク電流密度においては著しく劣る結果が得られた。これは、この比較例1においては、第2導電層のニッケル純度が99.99wt%と実施例1と同じであるが誘電層にマンガンが含有されていないため、高温焼成によってリーク特性が悪化したためと考えられる。
【0053】
比較例2は、実施例1と比べて、第2導電層中のニッケル純度が99.00wt%と低い点と誘電層に含有されるマンガン含有量との両方で異なる。比較例2は、実施例1と比べ、平均容量密度が小さく、リーク電流密度が高い値を示している。これは、比較例2の第2導電層中に含まれる不純物の量が多いことによりショートが発生し、また、誘電層中にマンガンが含まれていないため、高温焼成によりリーク特性が悪化したためと考えられる。
【0054】
比較例3は、実施例1と比べて、第2導電層中のニッケル純度が99.00wt%と低い点で異なる。比較例3は、実施例1と比べ、平均容量密度が著しく小さくなっている。比較例3の結果より、比較例3の結果より、第2導電層中のニッケル純度が平均容量密度が大きく影響を及ぼすことが証明された。
【0055】
以上に述べた実施例と比較例との対比より、BST誘電層に含有するマンガン量がリーク電流密度に及ぼす影響が大きく、当該第2導電層に純度99.99wt%以上のニッケル層を採用することにより、キャパシタ回路としての平均容量密度の向上、リーク電流密度の減少、温度特性の安定化というバランスのとれたキャパシタ特性を実現できることが明らかになる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本件発明に係るキャパシタ層形成材は、キャパシタ層形成材が備えるBST誘電層の高電気容量を確保しつつ、リーク電流の抑制を実現したキャパシタ回路の形成に用いることの出来るものである。よって、市場に高品質のキャパシタ回路を備える種々の電子材料の供給を可能とする。そして、本件発明に係るキャパシタ層形成材は、プリント配線板の内蔵キャパシタ層の形成に好適であり、高い電気容量、リーク電流を抑制した高品質の内蔵キャパシタ回路の製造を可能とする。
【0057】
従って、このキャパシタ層形成材を用いて得られるプリント配線板等は、長期間の使用安定性に優れ、電子及び電気製品の省電力化に資するものとなる。また、本件発明に係るキャパシタ層形成材は、プリント配線板以外にも例えばデジタルカメラや携帯電話のバッテリーのエネルギーソリューション用途にも応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】純度99.00wt%のニッケル箔の上に誘電層を形成したニッケル基板を高温(約1000℃)で焼成し、誘電層を通して走査型電子顕微鏡で観察した観察像である。
【図2】本件発明に係るキャパシタ層形成材のBST誘電層に対するマンガン含有量とリーク電流密度との関係を示す図である。
【図3】本件発明に係るキャパシタ層形成材のBST誘電層に対するマンガン含有量と平均容量密度との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極形成に用いる第1導電層と下部電極形成に用いる第2導電層との間に誘電層を備えるキャパシタ層形成材において、
当該第2導電層は、純度99.99wt%以上のニッケル成分で構成したニッケル層であり、
当該誘電層は、(BaSr1−x)TiO(0≦x≦1)の組成におけるバリウム、ストロンチウム、チタンの総量を100mol%として、マンガンを0.25mol%〜1.00mol%の範囲で含有することを特徴とするキャパシタ層形成材。
【請求項2】
前記誘電層は、X線回折法でX線回折パターンを測定したときの回折角(2θ)=31°付近に表れる(101)面回折ピークの半価幅が0.2°未満である請求項1に記載のキャパシタ層形成材。
【請求項3】
前記第2導電層は、圧延法により製造したニッケル箔を用いた請求項1又は請求項2に記載のキャパシタ層形成材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のキャパシタ層形成材を用いて得られることを特徴とする内蔵キャパシタ回路を備えるプリント配線板。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−45208(P2010−45208A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208447(P2008−208447)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】