クロック同期方法及び通信システム
【課題】
マスター装置からスレーブ装置にクロックパケットを含むパケットが送信される場合にそのクロックパケットにより良好なクロック同期を実現することができるクロック同期方法及び通信システムを提供する。
【解決手段】
マスター装置においてマスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成し、m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成し、クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信し、スレーブ装置において前記送信ステップによって送信された前記パケットを受信し、各種パケットのうちクロックパケットが受信される毎にクロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつm逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成し、位相一致クロックをm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する。
マスター装置からスレーブ装置にクロックパケットを含むパケットが送信される場合にそのクロックパケットにより良好なクロック同期を実現することができるクロック同期方法及び通信システムを提供する。
【解決手段】
マスター装置においてマスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成し、m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成し、クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信し、スレーブ装置において前記送信ステップによって送信された前記パケットを受信し、各種パケットのうちクロックパケットが受信される毎にクロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつm逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成し、位相一致クロックをm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、そのパケットを受信してマスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システム及びそのマスター装置とスレーブ装置との間におけるクロック同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信システムにおいては、遠隔加入者収容装置のクロック同期は、局舎内電話交換装置(以降、局舎内装置)と遠隔加入者収容装置との間をSDH(Synchronous Digital Hierarchy)インタフェースで接続し、遠隔加入者収容装置においてSDHインタフェースからクロックを抽出することにより、クロック同期が実現されていた。なお、局舎内装置には網同期網から同期クロックが供給される。
【0003】
従来の通信システムにおいては、遠隔加入者収容装置と局舎内装置との間の通信はSDHインタフェースを用いたものであり、図1に示すようにSDHフレームが連続伝送されるため、ビット位相同期技術と呼ばれるクロック同期方法を用いることにより、図2に示すように受信したSDHフレームからクロックを抽出することは容易であった(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、遠隔加入者収容装置をIP(Internet Protocol)化した場合には、遠隔加入者収容装置と局舎内装置との間の通信がIPインタフェースによるものとなり、図3に示すようにパケットが非同期伝送されるために、SDHインタフェースで採用している同期フレーム連続伝送によるクロック抽出及びクロック同期を用いることが不可能となる。
【0005】
IP網上のクロック同期実現の一般的な方法としては、IP網上にクロック情報を埋め込んだパケットデータ(以降、クロックパケット)を伝送することで、クロック同期を実現する方法がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−317732号公報
【特許文献2】特開2005−12537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、IP網上にはクロックパケット以外のパケットも伝送されており、パケット送信が重なった場合に、送信キューでの待ち時間が発生する。例えば、1500バイトのデータパケット送出中にクロックパケットを送信する場合には、100Mbpsで120μsecの待ち時間が生じる。これを一般的に「IP網の揺らぎ」と呼ぶ。このIP網の揺らぎが発生した状態で、クロックパケットによるクロック同期を行うと、図4に示すように、クロックパケットの伝送周期が一定にならず、遠隔加入者収容装置においてクロックパケットの到着時間と本当のクロック情報との間にずれが生じる。これにより、図5に示すように遠隔加入者収容装置のクロック再生においてクロック周波数精度やジッタ・ワンダが悪化し、適切なクロック同期が実現できない。このことは、局舎内装置と遠隔加入者収容装置とを備えた通信システムの場合に限らず、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、そのパケットを受信してマスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいても同様である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、マスター装置からスレーブ装置にクロックパケットを含むパケットが送信される場合にそのクロックパケットにより良好なクロック同期を実現することができるクロック同期方法及び通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のクロック同期方法は、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置との間におけるクロック同期方法であって、前記マスター装置において前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成ステップと、前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成ステップと、前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信ステップと、前記スレーブ装置において前記送信ステップによって送信された前記パケットを受信する受信ステップと、前記受信ステップで前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成ステップと、前記位相一致クロックをm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成ステップと、を備えることを特徴としている。
【0010】
本発明の通信システムは、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システムであって、前記マスター装置は、前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成手段と、前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成手段と、前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信手段と、を備え、前記スレーブ装置は、前記送信手段によって送信された前記パケットを受信する受信手段と、前記受信手段で前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成手段と、前記位相一致をm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のクロック同期方法及び本発明の通信システムによれば、マスター装置から送信されたクロックパケットの伝送遅れに起因するスレーブ装置の動作クロックの位相ずれを補償することができるので、スレーブ装置の動作クロックの同期周波数精度の悪化、及びジッタ・ワンダ成分の悪化を防止することができ、IP網通信のようなパケットを用いるマスター装置とスレーブ装置との間の通信において良好なクロック同期を実現することができる。これにより、スレーブ装置を正常動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】SDHフレーム伝送を示す図である。
【図2】SDHフレームから生成した再生クロック波形を示す図である。
【図3】IPパケット伝送を示す図である。
【図4】IPパケット伝送のクロックパケットを示す図である。
【図5】クロックパケットから生成した再生クロック波形を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例として通信システムを示すブロック図である。
【図7】図6のシステム中のm逓倍部の構成を示すブロック図である。
【図8】図7のm逓倍部の動作を示す波形図である。
【図9】図6のシステム中のパケットサンプリング部の動作を示す図である。
【図10】リファレンスクロックの選択動作を示す波形図である。
【図11】本発明の第2の実施例として通信システムを示すブロック図である。
【図12】図11のシステム中の位相制御型VCOのn相サンプリングクロックの生成部を示す回路図である。
【図13】位相選択クロックの位相シフト動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図6は第1の実施例として本発明のクロック同期方法が適用された通信システムを示している。
【0015】
この通信システムは、IP網で互いに接続された遠隔加入者収容装置10と局舎内装置30とを備えている。局舎内装置30はマスター装置であり、電話通信サービス事業者が保有する局舎に設置される。また、遠隔加入者収容装置10は、スレーブ装置であり、局舎内に設置されるのではなく、局舎から離れた遠隔地に設置される。局舎内装置30には、電話網70、専用線網80、網同期網60の各ネットワークが接続される。
【0016】
局舎内装置30は、クロック同期部31、クロックパケット生成部35、送信キュー部36、電話パケット生成部38、専用線パケット生成部39及びクロックm逓倍部40を備えている。
【0017】
クロック同期部31は、網同期網60から出力されるクロック信号61を入力し、そのクロック信号61に応じてマスタークロックである局舎内装置クロック32を生成し、それを局舎内装置30内の電話パケット生成部38、専用線パケット生成部39及びクロックm逓倍部40を含む各ブロックへ供給する。
【0018】
クロックm逓倍40は局舎内装置クロック32をm逓倍してm逓倍クロック95を生成し、クロックパケット生成部35及び送信キュー部36へ供給する。クロックパケット生成部35はm逓倍クロック95に同期してクロックパケット1を生成し、そのクロックパケット1は送信キュー36に供給する。クロックパケット1はm逓倍クロック95の立ち上がりに応じて生成される。
【0019】
電話網70からの電話データ71は電話パケット生成部38に入力され、電話パケット生成部38は電話データ71に応じて電話パケット2を生成して送信キュー部36に出力する。専用線網80からの専用線データ81は専用線パケット生成部39に入力され、専用線パケット生成部39は専用線データ81に応じて専用線パケット3を生成して送信キュー部36に出力する。よって、送信キュー部36にはクロックパケット1だけではなく、電話パケット2や専用線パケット3も含まれる。
【0020】
遠隔加入者収容装置10は、受信バッファ11、パケット振分部12、PLL部41、セレクタ42、パケットサンプリング部43、クロック選択部44及びm分周部45を備えている。
【0021】
受信バッファ11は局舎内装置30から送信されたパケット(クロックパケット1,電話パケット2,専用線パケット3)をIP網を介して受信する。受信バッファ11で受信されたパケットはパケット振分部12に供給される。パケット振分部12は受信パケットをクロックパケット1、電話パケット2、専用線パケット3のいずれか1に振り分ける。クロックパケット1はパケットサンプリング部43に供給される。
【0022】
PLL部41はリファレンスクロック46を入力して1/n周期だけ互いに位相が異なるn相リファレンスクロック91を互いに異なる端子から生成する。n相リファレンスクロック91はセレクタ42及びパケットサンプリング部43へ入力される。リファレンスクロック46はm逓倍クロック95と同じ周波数である。なお、n相リファレンスクロック91の生成には複数の遅延回路を直列接続しても良い。
【0023】
パケットサンプリング部43はクロックパケット1及びn相リファレンスクロック91に応じてサンプリング情報92を生成し、そのサンプリング情報92をクロック選択部44に供給する。クロック選択部44はサンプリング情報92に応じてセレクタ制御信号93を生成する。セレクタ制御信号93はセレクタ42に供給される。セレクタ42はセレクタ制御信号93に応じてn相リファレンスクロック91のうちの1のリファレンスクロックを選択し、それを選択リファレンスクロック94としてm分周部45に出力する。m分周部45は選択リファレンスクロック94をm分周して遠隔加入者収容装置クロック13を生成する。その遠隔加入者収容装置クロック13を遠隔加入者収容装置10内の図示していないブロックに供給される。
【0024】
クロックm逓倍部40はPLL回路から構成され、図7に示すように、位相比較器101、ループフィルタ102、VCO(電圧制御発振回路)103及びmカウント分周器104からなる。位相比較器101は入力される局舎内装置クロック32とmカウント分周器104の出力クロックとの位相差に応じた電圧を発生する。ループフィルタ102は位相比較器101の出力に接続され、位相補償を行うフィルタであり、例えば、ローパスフィルタからなる。VCO103はループフィルタ102の出力電圧に応じた周波数でクロックを発生する。mカウント分周器104はVCO103の出力クロックをm分周して位相比較器101に供給する。VCO103の出力クロックがクロックm逓倍部40の出力クロックであり、局舎内装置クロック32に対してm逓倍されたクロック95である。
【0025】
局舎内装置クロック32が例えば、図8(a)に示す如きパルス波形であるとすると、mが2の場合には局舎内装置クロック32に対して2逓倍(周波数2倍)され、クロックm逓倍部40の出力クロック95としては図8(b)に示す如きパルス波形のクロックが得られる。また、mが4の場合には局舎内装置クロック32に対して4逓倍(周波数4倍)され、クロックm逓倍部40の出力クロック95としては図8(c)に示す如きパルス波形のクロックが得られる。
【0026】
なお、図6には図示していないが、局舎内装置30には送信キュー部36に保持されたパケットを保持順に上記のインターネットの回線網に送信する送信手段が備えられ、遠隔加入者収容装置10にはそのインターネットの回線網を介してパケットを受信してそれを受信バッファ11に供給する受信手段が備えられている。
【0027】
次に、かかる構成の通信システムの動作について説明する。
【0028】
クロック同期部31から出力される局舎内装置クロック32がクロックm逓倍部40によってm逓倍、すなわちクロック周波数がm倍化されてm逓倍クロック95となる。m逓倍クロック95の立ち上がりに応じてクロックパケット生成部35はクロックパケット1を生成する。
【0029】
クロックパケット1、電話パケット2及び専用線パケット3各々は送信キュー部36を経由して、遠隔加入者収容装置10へ送信される。
【0030】
遠隔加入者収容装置10では、局舎内装置30から送信されたクロックパケット1、電話パケット2及び専用線パケット3各々は受信バッファ11を介してパケット振分部12に供給され、パケット振分部12において振分けられて個別に出力される。クロックパケット1はパケットサンプリング部43に供給される。
【0031】
パケットサンプリング部43ではn相リファレンスクロック91を用いてクロックパケット1をサンプリングし、その結果をサンプリング情報92として出力する。クロックパケット1は受信される毎に0,1が反転するデータ(クロックパケットデータ)として用いられる。
【0032】
n=7、すなわち7相リファレンスクロック91の場合には、図9に例示するようにクロックパケットデータがサンプリングされる。7相リファレンスクロック91は1/7周期だけ互いに位相が異なる7つのリファレンスクロックφ1〜φ7からなる。クロックパケットデータの1又は0がリファレンスクロックφ1〜φ7毎にそのクロックの立ち上がりに応じてサンプリングされ、そのサンプリング値が次の立ち上がり直前まで保持される。サンプリング情報92はリファレンスクロックφ1〜φ7の立ち上がり毎のサンプリング値を表している。サンプリング情報92を元にクロック選択部44ではクロックパケットデータの周期で最適位相を決定し、その最適位相の位相変動をm平均する。
【0033】
図9においては、リファレンスクロックφ1の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ7によるサンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ2によるサンプリング値が0である。
【0034】
リファレンスクロックφ2の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ1によるサンプリング値が1である。
【0035】
リファレンスクロックφ3の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ2による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が0である。
【0036】
リファレンスクロックφ4の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が0である。
【0037】
リファレンスクロックφ5の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が0である。
【0038】
リファレンスクロックφ6の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ7による保持サンプリング値が0である。
【0039】
リファレンスクロックφ7の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ1による保持サンプリング値が0である。
【0040】
リファレンスクロックφ1の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ7による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ2による保持サンプリング値が1である。
【0041】
リファレンスクロックφ2の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ1による保持サンプリング値が0である。
【0042】
リファレンスクロックφ3の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ2による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が1である。
【0043】
リファレンスクロックφ4の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が1である。
【0044】
リファレンスクロックφ5の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が1である。
【0045】
リファレンスクロックφ6の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ7による保持サンプリング値が1である。
【0046】
リファレンスクロックφ7の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ1による保持サンプリング値が1である。
【0047】
この図9の例の場合には、クロックパケットデータに対してリファレンスクロックφ2の位相が最も遅く、リファレンスクロックφ3の位相が最も早い。これらの2つのリファレンスクロックによる保持サンプリング値が同一値となるので、そのような位相ずれが進み及び遅れ側に大なる2つのリファレンスクロックが検出される。よって、そのリファレンスクロックφ2及びφ3から位相がほぼ同じだけ離れた中間の位相のリファレンスクロックφ6が最適位相と決定される。
【0048】
クロック選択部44におけるm個分の位相変動平均化としては、m個のリファレンスクロックの最適位相の変動を、アップダウンカウンタを用いて算出し、その算出値をmで割る方法がある。
【0049】
例えば、m=10の場合、10個のクロックパケット1に対するリファレンスクロック最適位相変動が「0、0、−1、−1、−2、−3、+2、0、−3、−3」であるならば、位相変動平均は(−1−1−2−3+2−3−3)/10=−1.1となる。よって、現在より1位相(1/7周期)だけ早いリファレンスクロックを選択することになる。
【0050】
クロック選択部44において、1位相だけ早いリファレンスクロックを選択すると判定した場合には、図10に示すようにリファレンスクロックφ3を選択中であるなら、そのφ3より1位相だけ早いリファレンスクロックφ2を新たに選択するためにセレクタ制御信号93が生成される。セレクタ制御信号93に応じてセレクタ42はリファレンスクロックφ2を選択リファレンスクロック43として出力する。選択リファレンスクロック43は1/7周期だけ前に位相がシフトすることになる。図10に示すように、セレクタ42の切り替えは、クロックノイズの防止のために、リファレンスクロックがローレベル0にあるタイミングで実行される。
【0051】
このように第1実施例においては、局舎内装置30では、マスタークロックである局舎内装置クロック32をm逓倍してm逓倍クロック95を生成してm逓倍クロック95の立ち上がりのタイミングでクロックパケット1を遠隔加入者収容装置10に送信することが行われ、遠隔加入者収容装置10ではクロックパケット1の受信毎に0,1が反転するクロックパケットデータをn相リファレンスクロック91各々に同期してサンプリングして最適な位相のリファレンスクロックを選択リファレンスクロック94として定め、選択リファレンスクロック94をm分周することにより遠隔加入者収容装置クロック13(再生クロック)が生成されている。よって、クロックパケット1の伝送遅れに起因する再生クロックの位相ずれを補償することができるので、遠隔加入者収容装置クロック13の同期周波数精度の悪化、及びジッタ・ワンダ成分の悪化を防止することができ、遠隔加入者収容装置10を正常動作させることができる。
【0052】
図11は本発明の第2の実施例として通信システムを示している。この通信システムにおいて図6のシステムと同一部分は同一符号を用いて示している。局舎内装置30は、図6のシステムのものと同一であり、クロック同期部31、クロックパケット生成部35、送信キュー部36、電話パケット生成部38、専用線パケット生成部39及びクロックm逓倍部40を備えている。
【0053】
遠隔加入者収容装置10は、受信バッファ11、パケット振分部12、PLL部41、セレクタ42、パケットサンプリング部43、m分周部45、制御信号選択部47、位相制御信号生成部48及び位相制御型VCO49を備えている。
【0054】
PLL部41は生成したn相リファレンスクロック91を位相制御信号生成部48及び位相制御型VCO49各々へ供給する。位相制御信号生成部48はn相リファレンスクロック91に応じてn相位相制御信号96を生成する。n相位相制御信号96各々は互いに位相がことなり、n相リファレンスクロック91各々の4周期分に等しい周期の信号であってn相リファレンスクロック91各々のパルス幅を有する信号である。n相位相制御信号96はセレクタ42及び制御信号選択部47へ供給される。セレクタ42は制御信号選択部47からの制御信号98に応じてn相位相制御信号96のうちからいずれか1の位相制御信号を選択してそれを選択位相制御信号97として出力する。
【0055】
制御信号選択部47はサンプリング情報92とn相位相制御信号96とに応じてセレクタ制御信号98を生成する。
【0056】
位相制御型VCO49は選択位相制御信号97及びn相リファレンスクロック91のいずれか1に応じてn相サンプリングクロック99と選択位相クロック100とを生成する。この実施例ではn=7である。
【0057】
位相制御型VCO49のn相サンプリングクロック99の生成部は図12に示すように、7つのNAND回路111〜117からなる。選択位相制御信号97はNAND回路111の一方の入力端に反転入力される。NAND回路111の他方の入力端にn相リファレンスクロック91のいずれか1が入力される。n相サンプリングクロック99はサンプリングクロックφ1〜φ7からなる。サンプリングクロックφ1〜φ7はn相位相制御信号96の位相制御信号φ1〜φ7に対応しており、パケットサンプリング部43に供給される。
【0058】
また、位相制御型VCO49はリファレンスクロック46と同一の周波数の選択位相クロック100を生成し、その選択位相クロック100の位相をセレクタ42からの選択位相制御信号97に応じて制御する。
【0059】
m分周部45は選択位相クロック100をm分周して遠隔加入者収容装置クロック13を生成する。その遠隔加入者収容装置クロック13を遠隔加入者収容装置10内の図示していないブロックに供給される。
【0060】
この実施例では選択位相制御信号97をn相サンプリングクロック99の1/2周期のパルス信号としている。なお、n相サンプリングクロック99(サンプリングクロックφ1〜φ7)、n相リファレンスクロック91、及びリファレンスクロック46各々の周波数は同じである。選択位相クロック100はサンプリングクロックφ1〜φ7のいずれか1に等しいクロックである。
【0061】
次に、かかる構成の図11の通信システムの動作について説明する。
【0062】
遠隔加入者収容装置10では、局舎内装置30から送信されたクロックパケット1、電話パケット2及び専用線パケット3各々は受信バッファ11を介してパケット振分部12に供給され、パケット振分部12において振分けられて個別に出力される。クロックパケット1はパケットサンプリング部43に供給される。
【0063】
パケットサンプリング部43ではn相サンプリングクロック99を用いてクロックパケット1をサンプリングし、その結果をサンプリング情報92として出力する。クロックパケット1は受信される毎に0,1が反転するデータ(クロックパケットデータ)として用いられる。パケットサンプリング部43の動作は、リファレンスクロックφ1〜φ7に代えてサンプリングクロックφ1〜φ7が入力されるが、第1の実施例の場合と同様である。
【0064】
クロックパケットデータの1又は0がサンプリングクロックφ1〜φ7毎にそのクロックの立ち上がりに応じてサンプリングされ、そのサンプリング値が次の立ち上がり直前まで保持される。サンプリング情報92はサンプリングクロックφ1〜φ7の立ち上がり毎のサンプリング値を表している。サンプリング情報92を元に制御信号選択部47ではクロックパケットデータの周期で最適位相を決定し、その最適位相に対応したn相位相制御信号のうちの1位相制御信号を示すセレクタ制御信号98がセレクタ42に供給される。最適位相の決定方法は第1の実施例の場合と同様である。
【0065】
セレクタ制御信号98に応じてセレクタ42ではn相位相制御信号96のうちの1位相制御信号が選択位相制御信号97として位相制御型VCO49に供給される。位相制御型VCO49では図13に示すように、選択位相制御信号97のパルスの立ち上がりと等しい立ち上がりで選択位相クロック100が生成される。
【0066】
制御信号選択部47において、1位相だけ早いサンプリングクロックを選択すると判定した場合には、図13に示すように、セレクタ42がn相位相制御信号96のうちの位相制御信号φ3を選択中であるなら、そのφ3より1位相だけ早い位相制御信号φ2を新たに選択するためにセレクタ制御信号98が生成される。セレクタ制御信号98に応じてセレクタ42は位相制御信号φ3に代えて位相制御信号φ2を選択位相制御信号97として出力する。選択位相制御信号97により位相選択クロック100は1/7周期だけ前に位相がシフトすることになる。また、図13に示すように、セレクタ42の切り替えは、クロックノイズの防止のために、n相位相制御信号96がローレベル0にあるタイミングで実行される。
【0067】
このように第2実施例においては、局舎内装置30では、マスタークロックである局舎内装置クロック32をm逓倍してm逓倍クロック95を生成してm逓倍クロック95の立ち上がりのタイミングでクロックパケット1を遠隔加入者収容装置10に送信することが行われ、遠隔加入者収容装置10ではクロックパケット1の受信毎に0,1が反転するクロックパケットデータをn相のサンプリングクロック99各々に同期してサンプリングして最適な位相のサンプリングクロックに対応するn相位相制御信号96のうちのいずれか1の位相制御信号が選択位相制御信号97として選択され、リファレンスクロックの周波数に等しい位相選択クロック100の位相が選択位相制御信号97に応じて制御され、その位相制御された位相選択クロック100をm分周することにより遠隔加入者収容装置クロック13(再生クロック)が生成されている。よって、クロックパケット1の伝送遅れに起因する再生クロックの位相ずれを補償することができるので、遠隔加入者収容装置クロック13の同期周波数精度の悪化、及びジッタ・ワンダ成分の悪化を防止することができ、遠隔加入者収容装置10を正常動作させることができる。また、位相制御信号を切り替えるので、セレクタ42を簡単な構成にすることができる。
【0068】
なお、上記した第1及び第2の実施例とも局舎内装置30と遠隔加入者収容装置10を1対1で接続しているが、単数の局舎内装置30に対して複数の遠隔加入者収容装置10を接続しても良い。
【符号の説明】
【0069】
10 遠隔加入者収容装置
11 受信バッファ
12 パケット振分部
30 局舎内装置
35 クロックパケット生成部
36 送信キュー部
40 クロックm逓倍部
43 パケットサンプリング部
45 m分周部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、そのパケットを受信してマスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システム及びそのマスター装置とスレーブ装置との間におけるクロック同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信システムにおいては、遠隔加入者収容装置のクロック同期は、局舎内電話交換装置(以降、局舎内装置)と遠隔加入者収容装置との間をSDH(Synchronous Digital Hierarchy)インタフェースで接続し、遠隔加入者収容装置においてSDHインタフェースからクロックを抽出することにより、クロック同期が実現されていた。なお、局舎内装置には網同期網から同期クロックが供給される。
【0003】
従来の通信システムにおいては、遠隔加入者収容装置と局舎内装置との間の通信はSDHインタフェースを用いたものであり、図1に示すようにSDHフレームが連続伝送されるため、ビット位相同期技術と呼ばれるクロック同期方法を用いることにより、図2に示すように受信したSDHフレームからクロックを抽出することは容易であった(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、遠隔加入者収容装置をIP(Internet Protocol)化した場合には、遠隔加入者収容装置と局舎内装置との間の通信がIPインタフェースによるものとなり、図3に示すようにパケットが非同期伝送されるために、SDHインタフェースで採用している同期フレーム連続伝送によるクロック抽出及びクロック同期を用いることが不可能となる。
【0005】
IP網上のクロック同期実現の一般的な方法としては、IP網上にクロック情報を埋め込んだパケットデータ(以降、クロックパケット)を伝送することで、クロック同期を実現する方法がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−317732号公報
【特許文献2】特開2005−12537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、IP網上にはクロックパケット以外のパケットも伝送されており、パケット送信が重なった場合に、送信キューでの待ち時間が発生する。例えば、1500バイトのデータパケット送出中にクロックパケットを送信する場合には、100Mbpsで120μsecの待ち時間が生じる。これを一般的に「IP網の揺らぎ」と呼ぶ。このIP網の揺らぎが発生した状態で、クロックパケットによるクロック同期を行うと、図4に示すように、クロックパケットの伝送周期が一定にならず、遠隔加入者収容装置においてクロックパケットの到着時間と本当のクロック情報との間にずれが生じる。これにより、図5に示すように遠隔加入者収容装置のクロック再生においてクロック周波数精度やジッタ・ワンダが悪化し、適切なクロック同期が実現できない。このことは、局舎内装置と遠隔加入者収容装置とを備えた通信システムの場合に限らず、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、そのパケットを受信してマスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システムにおいても同様である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、マスター装置からスレーブ装置にクロックパケットを含むパケットが送信される場合にそのクロックパケットにより良好なクロック同期を実現することができるクロック同期方法及び通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のクロック同期方法は、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置との間におけるクロック同期方法であって、前記マスター装置において前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成ステップと、前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成ステップと、前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信ステップと、前記スレーブ装置において前記送信ステップによって送信された前記パケットを受信する受信ステップと、前記受信ステップで前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成ステップと、前記位相一致クロックをm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成ステップと、を備えることを特徴としている。
【0010】
本発明の通信システムは、マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システムであって、前記マスター装置は、前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成手段と、前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成手段と、前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信手段と、を備え、前記スレーブ装置は、前記送信手段によって送信された前記パケットを受信する受信手段と、前記受信手段で前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成手段と、前記位相一致をm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のクロック同期方法及び本発明の通信システムによれば、マスター装置から送信されたクロックパケットの伝送遅れに起因するスレーブ装置の動作クロックの位相ずれを補償することができるので、スレーブ装置の動作クロックの同期周波数精度の悪化、及びジッタ・ワンダ成分の悪化を防止することができ、IP網通信のようなパケットを用いるマスター装置とスレーブ装置との間の通信において良好なクロック同期を実現することができる。これにより、スレーブ装置を正常動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】SDHフレーム伝送を示す図である。
【図2】SDHフレームから生成した再生クロック波形を示す図である。
【図3】IPパケット伝送を示す図である。
【図4】IPパケット伝送のクロックパケットを示す図である。
【図5】クロックパケットから生成した再生クロック波形を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例として通信システムを示すブロック図である。
【図7】図6のシステム中のm逓倍部の構成を示すブロック図である。
【図8】図7のm逓倍部の動作を示す波形図である。
【図9】図6のシステム中のパケットサンプリング部の動作を示す図である。
【図10】リファレンスクロックの選択動作を示す波形図である。
【図11】本発明の第2の実施例として通信システムを示すブロック図である。
【図12】図11のシステム中の位相制御型VCOのn相サンプリングクロックの生成部を示す回路図である。
【図13】位相選択クロックの位相シフト動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図6は第1の実施例として本発明のクロック同期方法が適用された通信システムを示している。
【0015】
この通信システムは、IP網で互いに接続された遠隔加入者収容装置10と局舎内装置30とを備えている。局舎内装置30はマスター装置であり、電話通信サービス事業者が保有する局舎に設置される。また、遠隔加入者収容装置10は、スレーブ装置であり、局舎内に設置されるのではなく、局舎から離れた遠隔地に設置される。局舎内装置30には、電話網70、専用線網80、網同期網60の各ネットワークが接続される。
【0016】
局舎内装置30は、クロック同期部31、クロックパケット生成部35、送信キュー部36、電話パケット生成部38、専用線パケット生成部39及びクロックm逓倍部40を備えている。
【0017】
クロック同期部31は、網同期網60から出力されるクロック信号61を入力し、そのクロック信号61に応じてマスタークロックである局舎内装置クロック32を生成し、それを局舎内装置30内の電話パケット生成部38、専用線パケット生成部39及びクロックm逓倍部40を含む各ブロックへ供給する。
【0018】
クロックm逓倍40は局舎内装置クロック32をm逓倍してm逓倍クロック95を生成し、クロックパケット生成部35及び送信キュー部36へ供給する。クロックパケット生成部35はm逓倍クロック95に同期してクロックパケット1を生成し、そのクロックパケット1は送信キュー36に供給する。クロックパケット1はm逓倍クロック95の立ち上がりに応じて生成される。
【0019】
電話網70からの電話データ71は電話パケット生成部38に入力され、電話パケット生成部38は電話データ71に応じて電話パケット2を生成して送信キュー部36に出力する。専用線網80からの専用線データ81は専用線パケット生成部39に入力され、専用線パケット生成部39は専用線データ81に応じて専用線パケット3を生成して送信キュー部36に出力する。よって、送信キュー部36にはクロックパケット1だけではなく、電話パケット2や専用線パケット3も含まれる。
【0020】
遠隔加入者収容装置10は、受信バッファ11、パケット振分部12、PLL部41、セレクタ42、パケットサンプリング部43、クロック選択部44及びm分周部45を備えている。
【0021】
受信バッファ11は局舎内装置30から送信されたパケット(クロックパケット1,電話パケット2,専用線パケット3)をIP網を介して受信する。受信バッファ11で受信されたパケットはパケット振分部12に供給される。パケット振分部12は受信パケットをクロックパケット1、電話パケット2、専用線パケット3のいずれか1に振り分ける。クロックパケット1はパケットサンプリング部43に供給される。
【0022】
PLL部41はリファレンスクロック46を入力して1/n周期だけ互いに位相が異なるn相リファレンスクロック91を互いに異なる端子から生成する。n相リファレンスクロック91はセレクタ42及びパケットサンプリング部43へ入力される。リファレンスクロック46はm逓倍クロック95と同じ周波数である。なお、n相リファレンスクロック91の生成には複数の遅延回路を直列接続しても良い。
【0023】
パケットサンプリング部43はクロックパケット1及びn相リファレンスクロック91に応じてサンプリング情報92を生成し、そのサンプリング情報92をクロック選択部44に供給する。クロック選択部44はサンプリング情報92に応じてセレクタ制御信号93を生成する。セレクタ制御信号93はセレクタ42に供給される。セレクタ42はセレクタ制御信号93に応じてn相リファレンスクロック91のうちの1のリファレンスクロックを選択し、それを選択リファレンスクロック94としてm分周部45に出力する。m分周部45は選択リファレンスクロック94をm分周して遠隔加入者収容装置クロック13を生成する。その遠隔加入者収容装置クロック13を遠隔加入者収容装置10内の図示していないブロックに供給される。
【0024】
クロックm逓倍部40はPLL回路から構成され、図7に示すように、位相比較器101、ループフィルタ102、VCO(電圧制御発振回路)103及びmカウント分周器104からなる。位相比較器101は入力される局舎内装置クロック32とmカウント分周器104の出力クロックとの位相差に応じた電圧を発生する。ループフィルタ102は位相比較器101の出力に接続され、位相補償を行うフィルタであり、例えば、ローパスフィルタからなる。VCO103はループフィルタ102の出力電圧に応じた周波数でクロックを発生する。mカウント分周器104はVCO103の出力クロックをm分周して位相比較器101に供給する。VCO103の出力クロックがクロックm逓倍部40の出力クロックであり、局舎内装置クロック32に対してm逓倍されたクロック95である。
【0025】
局舎内装置クロック32が例えば、図8(a)に示す如きパルス波形であるとすると、mが2の場合には局舎内装置クロック32に対して2逓倍(周波数2倍)され、クロックm逓倍部40の出力クロック95としては図8(b)に示す如きパルス波形のクロックが得られる。また、mが4の場合には局舎内装置クロック32に対して4逓倍(周波数4倍)され、クロックm逓倍部40の出力クロック95としては図8(c)に示す如きパルス波形のクロックが得られる。
【0026】
なお、図6には図示していないが、局舎内装置30には送信キュー部36に保持されたパケットを保持順に上記のインターネットの回線網に送信する送信手段が備えられ、遠隔加入者収容装置10にはそのインターネットの回線網を介してパケットを受信してそれを受信バッファ11に供給する受信手段が備えられている。
【0027】
次に、かかる構成の通信システムの動作について説明する。
【0028】
クロック同期部31から出力される局舎内装置クロック32がクロックm逓倍部40によってm逓倍、すなわちクロック周波数がm倍化されてm逓倍クロック95となる。m逓倍クロック95の立ち上がりに応じてクロックパケット生成部35はクロックパケット1を生成する。
【0029】
クロックパケット1、電話パケット2及び専用線パケット3各々は送信キュー部36を経由して、遠隔加入者収容装置10へ送信される。
【0030】
遠隔加入者収容装置10では、局舎内装置30から送信されたクロックパケット1、電話パケット2及び専用線パケット3各々は受信バッファ11を介してパケット振分部12に供給され、パケット振分部12において振分けられて個別に出力される。クロックパケット1はパケットサンプリング部43に供給される。
【0031】
パケットサンプリング部43ではn相リファレンスクロック91を用いてクロックパケット1をサンプリングし、その結果をサンプリング情報92として出力する。クロックパケット1は受信される毎に0,1が反転するデータ(クロックパケットデータ)として用いられる。
【0032】
n=7、すなわち7相リファレンスクロック91の場合には、図9に例示するようにクロックパケットデータがサンプリングされる。7相リファレンスクロック91は1/7周期だけ互いに位相が異なる7つのリファレンスクロックφ1〜φ7からなる。クロックパケットデータの1又は0がリファレンスクロックφ1〜φ7毎にそのクロックの立ち上がりに応じてサンプリングされ、そのサンプリング値が次の立ち上がり直前まで保持される。サンプリング情報92はリファレンスクロックφ1〜φ7の立ち上がり毎のサンプリング値を表している。サンプリング情報92を元にクロック選択部44ではクロックパケットデータの周期で最適位相を決定し、その最適位相の位相変動をm平均する。
【0033】
図9においては、リファレンスクロックφ1の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ7によるサンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ2によるサンプリング値が0である。
【0034】
リファレンスクロックφ2の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ1によるサンプリング値が1である。
【0035】
リファレンスクロックφ3の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ2による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が0である。
【0036】
リファレンスクロックφ4の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が0である。
【0037】
リファレンスクロックφ5の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が0である。
【0038】
リファレンスクロックφ6の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ7による保持サンプリング値が0である。
【0039】
リファレンスクロックφ7の立ち上がりによりサンプリング値1を得た時点においてリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ1による保持サンプリング値が0である。
【0040】
リファレンスクロックφ1の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ7による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ2による保持サンプリング値が1である。
【0041】
リファレンスクロックφ2の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ1による保持サンプリング値が0である。
【0042】
リファレンスクロックφ3の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ2による保持サンプリング値が1でかつリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が1である。
【0043】
リファレンスクロックφ4の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ3による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が1である。
【0044】
リファレンスクロックφ5の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ4による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が1である。
【0045】
リファレンスクロックφ6の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ5による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ7による保持サンプリング値が1である。
【0046】
リファレンスクロックφ7の立ち上がりによりサンプリング値0を得た時点においてリファレンスクロックφ6による保持サンプリング値が0でかつリファレンスクロックφ1による保持サンプリング値が1である。
【0047】
この図9の例の場合には、クロックパケットデータに対してリファレンスクロックφ2の位相が最も遅く、リファレンスクロックφ3の位相が最も早い。これらの2つのリファレンスクロックによる保持サンプリング値が同一値となるので、そのような位相ずれが進み及び遅れ側に大なる2つのリファレンスクロックが検出される。よって、そのリファレンスクロックφ2及びφ3から位相がほぼ同じだけ離れた中間の位相のリファレンスクロックφ6が最適位相と決定される。
【0048】
クロック選択部44におけるm個分の位相変動平均化としては、m個のリファレンスクロックの最適位相の変動を、アップダウンカウンタを用いて算出し、その算出値をmで割る方法がある。
【0049】
例えば、m=10の場合、10個のクロックパケット1に対するリファレンスクロック最適位相変動が「0、0、−1、−1、−2、−3、+2、0、−3、−3」であるならば、位相変動平均は(−1−1−2−3+2−3−3)/10=−1.1となる。よって、現在より1位相(1/7周期)だけ早いリファレンスクロックを選択することになる。
【0050】
クロック選択部44において、1位相だけ早いリファレンスクロックを選択すると判定した場合には、図10に示すようにリファレンスクロックφ3を選択中であるなら、そのφ3より1位相だけ早いリファレンスクロックφ2を新たに選択するためにセレクタ制御信号93が生成される。セレクタ制御信号93に応じてセレクタ42はリファレンスクロックφ2を選択リファレンスクロック43として出力する。選択リファレンスクロック43は1/7周期だけ前に位相がシフトすることになる。図10に示すように、セレクタ42の切り替えは、クロックノイズの防止のために、リファレンスクロックがローレベル0にあるタイミングで実行される。
【0051】
このように第1実施例においては、局舎内装置30では、マスタークロックである局舎内装置クロック32をm逓倍してm逓倍クロック95を生成してm逓倍クロック95の立ち上がりのタイミングでクロックパケット1を遠隔加入者収容装置10に送信することが行われ、遠隔加入者収容装置10ではクロックパケット1の受信毎に0,1が反転するクロックパケットデータをn相リファレンスクロック91各々に同期してサンプリングして最適な位相のリファレンスクロックを選択リファレンスクロック94として定め、選択リファレンスクロック94をm分周することにより遠隔加入者収容装置クロック13(再生クロック)が生成されている。よって、クロックパケット1の伝送遅れに起因する再生クロックの位相ずれを補償することができるので、遠隔加入者収容装置クロック13の同期周波数精度の悪化、及びジッタ・ワンダ成分の悪化を防止することができ、遠隔加入者収容装置10を正常動作させることができる。
【0052】
図11は本発明の第2の実施例として通信システムを示している。この通信システムにおいて図6のシステムと同一部分は同一符号を用いて示している。局舎内装置30は、図6のシステムのものと同一であり、クロック同期部31、クロックパケット生成部35、送信キュー部36、電話パケット生成部38、専用線パケット生成部39及びクロックm逓倍部40を備えている。
【0053】
遠隔加入者収容装置10は、受信バッファ11、パケット振分部12、PLL部41、セレクタ42、パケットサンプリング部43、m分周部45、制御信号選択部47、位相制御信号生成部48及び位相制御型VCO49を備えている。
【0054】
PLL部41は生成したn相リファレンスクロック91を位相制御信号生成部48及び位相制御型VCO49各々へ供給する。位相制御信号生成部48はn相リファレンスクロック91に応じてn相位相制御信号96を生成する。n相位相制御信号96各々は互いに位相がことなり、n相リファレンスクロック91各々の4周期分に等しい周期の信号であってn相リファレンスクロック91各々のパルス幅を有する信号である。n相位相制御信号96はセレクタ42及び制御信号選択部47へ供給される。セレクタ42は制御信号選択部47からの制御信号98に応じてn相位相制御信号96のうちからいずれか1の位相制御信号を選択してそれを選択位相制御信号97として出力する。
【0055】
制御信号選択部47はサンプリング情報92とn相位相制御信号96とに応じてセレクタ制御信号98を生成する。
【0056】
位相制御型VCO49は選択位相制御信号97及びn相リファレンスクロック91のいずれか1に応じてn相サンプリングクロック99と選択位相クロック100とを生成する。この実施例ではn=7である。
【0057】
位相制御型VCO49のn相サンプリングクロック99の生成部は図12に示すように、7つのNAND回路111〜117からなる。選択位相制御信号97はNAND回路111の一方の入力端に反転入力される。NAND回路111の他方の入力端にn相リファレンスクロック91のいずれか1が入力される。n相サンプリングクロック99はサンプリングクロックφ1〜φ7からなる。サンプリングクロックφ1〜φ7はn相位相制御信号96の位相制御信号φ1〜φ7に対応しており、パケットサンプリング部43に供給される。
【0058】
また、位相制御型VCO49はリファレンスクロック46と同一の周波数の選択位相クロック100を生成し、その選択位相クロック100の位相をセレクタ42からの選択位相制御信号97に応じて制御する。
【0059】
m分周部45は選択位相クロック100をm分周して遠隔加入者収容装置クロック13を生成する。その遠隔加入者収容装置クロック13を遠隔加入者収容装置10内の図示していないブロックに供給される。
【0060】
この実施例では選択位相制御信号97をn相サンプリングクロック99の1/2周期のパルス信号としている。なお、n相サンプリングクロック99(サンプリングクロックφ1〜φ7)、n相リファレンスクロック91、及びリファレンスクロック46各々の周波数は同じである。選択位相クロック100はサンプリングクロックφ1〜φ7のいずれか1に等しいクロックである。
【0061】
次に、かかる構成の図11の通信システムの動作について説明する。
【0062】
遠隔加入者収容装置10では、局舎内装置30から送信されたクロックパケット1、電話パケット2及び専用線パケット3各々は受信バッファ11を介してパケット振分部12に供給され、パケット振分部12において振分けられて個別に出力される。クロックパケット1はパケットサンプリング部43に供給される。
【0063】
パケットサンプリング部43ではn相サンプリングクロック99を用いてクロックパケット1をサンプリングし、その結果をサンプリング情報92として出力する。クロックパケット1は受信される毎に0,1が反転するデータ(クロックパケットデータ)として用いられる。パケットサンプリング部43の動作は、リファレンスクロックφ1〜φ7に代えてサンプリングクロックφ1〜φ7が入力されるが、第1の実施例の場合と同様である。
【0064】
クロックパケットデータの1又は0がサンプリングクロックφ1〜φ7毎にそのクロックの立ち上がりに応じてサンプリングされ、そのサンプリング値が次の立ち上がり直前まで保持される。サンプリング情報92はサンプリングクロックφ1〜φ7の立ち上がり毎のサンプリング値を表している。サンプリング情報92を元に制御信号選択部47ではクロックパケットデータの周期で最適位相を決定し、その最適位相に対応したn相位相制御信号のうちの1位相制御信号を示すセレクタ制御信号98がセレクタ42に供給される。最適位相の決定方法は第1の実施例の場合と同様である。
【0065】
セレクタ制御信号98に応じてセレクタ42ではn相位相制御信号96のうちの1位相制御信号が選択位相制御信号97として位相制御型VCO49に供給される。位相制御型VCO49では図13に示すように、選択位相制御信号97のパルスの立ち上がりと等しい立ち上がりで選択位相クロック100が生成される。
【0066】
制御信号選択部47において、1位相だけ早いサンプリングクロックを選択すると判定した場合には、図13に示すように、セレクタ42がn相位相制御信号96のうちの位相制御信号φ3を選択中であるなら、そのφ3より1位相だけ早い位相制御信号φ2を新たに選択するためにセレクタ制御信号98が生成される。セレクタ制御信号98に応じてセレクタ42は位相制御信号φ3に代えて位相制御信号φ2を選択位相制御信号97として出力する。選択位相制御信号97により位相選択クロック100は1/7周期だけ前に位相がシフトすることになる。また、図13に示すように、セレクタ42の切り替えは、クロックノイズの防止のために、n相位相制御信号96がローレベル0にあるタイミングで実行される。
【0067】
このように第2実施例においては、局舎内装置30では、マスタークロックである局舎内装置クロック32をm逓倍してm逓倍クロック95を生成してm逓倍クロック95の立ち上がりのタイミングでクロックパケット1を遠隔加入者収容装置10に送信することが行われ、遠隔加入者収容装置10ではクロックパケット1の受信毎に0,1が反転するクロックパケットデータをn相のサンプリングクロック99各々に同期してサンプリングして最適な位相のサンプリングクロックに対応するn相位相制御信号96のうちのいずれか1の位相制御信号が選択位相制御信号97として選択され、リファレンスクロックの周波数に等しい位相選択クロック100の位相が選択位相制御信号97に応じて制御され、その位相制御された位相選択クロック100をm分周することにより遠隔加入者収容装置クロック13(再生クロック)が生成されている。よって、クロックパケット1の伝送遅れに起因する再生クロックの位相ずれを補償することができるので、遠隔加入者収容装置クロック13の同期周波数精度の悪化、及びジッタ・ワンダ成分の悪化を防止することができ、遠隔加入者収容装置10を正常動作させることができる。また、位相制御信号を切り替えるので、セレクタ42を簡単な構成にすることができる。
【0068】
なお、上記した第1及び第2の実施例とも局舎内装置30と遠隔加入者収容装置10を1対1で接続しているが、単数の局舎内装置30に対して複数の遠隔加入者収容装置10を接続しても良い。
【符号の説明】
【0069】
10 遠隔加入者収容装置
11 受信バッファ
12 パケット振分部
30 局舎内装置
35 クロックパケット生成部
36 送信キュー部
40 クロックm逓倍部
43 パケットサンプリング部
45 m分周部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置との間におけるクロック同期方法であって、
前記マスター装置において前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成ステップと、
前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成ステップと、
前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信ステップと、
前記スレーブ装置において前記送信ステップによって送信された前記パケットを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成ステップと、
前記位相一致クロックをm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成ステップと、を備えることを特徴とするクロック同期方法。
【請求項2】
前記第2クロック生成ステップは、前記m逓倍クロックと周波数が等しいリファレンスクロックを生成するステップと、
前記リファレンスクロックと周波数が等しく互いに位相が異なるn(nは2以上の整数)相リファレンスクロックを生成するステップと、
前記n相リファレンスクロックのうちの前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致する1のリファレンスクロックを選択して前記位相一致クロックとするクロック選択ステップと、を有することを特徴とする請求項1記載のクロック同期方法。
【請求項3】
前記クロック選択ステップは、前記クロックパケットの受信タイミングのm回分の位相ずれを平均とし、その平均位相ずれに対応した前記1のリファレンスクロックを選択することを特徴とする請求項1記載のクロック同期方法。
【請求項4】
前記第2クロック生成ステップは、前記m逓倍クロックと周波数が等しいリファレンスクロックを生成するステップと、
前記リファレンスクロックに基づいて周波数が同一で互いに位相が異なるn(nは2以上の整数)相位相制御信号を生成するステップと、
前記n相位相制御信号のうちの前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致する1の位相制御信号を選択する選択ステップと、
前記リファレンスクロックと同一の周波数で前記1の位相制御信号と位相が一致するクロックを前記位相一致クロックとするステップと、を有することを特徴とする請求項1記載のクロック同期方法。
【請求項5】
マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システムであって、
前記マスター装置は、前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成手段と、
前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成手段と、
前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信手段と、を備え、
前記スレーブ装置は、前記送信手段によって送信された前記パケットを受信する受信手段と、
前記受信手段で前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成手段と、
前記位相一致をm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成手段と、を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項1】
マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置との間におけるクロック同期方法であって、
前記マスター装置において前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成ステップと、
前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成ステップと、
前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信ステップと、
前記スレーブ装置において前記送信ステップによって送信された前記パケットを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成ステップと、
前記位相一致クロックをm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成ステップと、を備えることを特徴とするクロック同期方法。
【請求項2】
前記第2クロック生成ステップは、前記m逓倍クロックと周波数が等しいリファレンスクロックを生成するステップと、
前記リファレンスクロックと周波数が等しく互いに位相が異なるn(nは2以上の整数)相リファレンスクロックを生成するステップと、
前記n相リファレンスクロックのうちの前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致する1のリファレンスクロックを選択して前記位相一致クロックとするクロック選択ステップと、を有することを特徴とする請求項1記載のクロック同期方法。
【請求項3】
前記クロック選択ステップは、前記クロックパケットの受信タイミングのm回分の位相ずれを平均とし、その平均位相ずれに対応した前記1のリファレンスクロックを選択することを特徴とする請求項1記載のクロック同期方法。
【請求項4】
前記第2クロック生成ステップは、前記m逓倍クロックと周波数が等しいリファレンスクロックを生成するステップと、
前記リファレンスクロックに基づいて周波数が同一で互いに位相が異なるn(nは2以上の整数)相位相制御信号を生成するステップと、
前記n相位相制御信号のうちの前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致する1の位相制御信号を選択する選択ステップと、
前記リファレンスクロックと同一の周波数で前記1の位相制御信号と位相が一致するクロックを前記位相一致クロックとするステップと、を有することを特徴とする請求項1記載のクロック同期方法。
【請求項5】
マスタークロックに応じて動作してパケットを送信するマスター装置と、前記パケットを受信して前記マスタークロックに同期したタイミングで動作するスレーブ装置とを備えた通信システムであって、
前記マスター装置は、前記マスタークロックをm(mは2以上の整数)逓倍してm逓倍クロックを生成する第1クロック生成手段と、
前記m逓倍クロックに同期してクロックパケットを生成するクロックパケット生成手段と、
前記クロックパケットを含む前記パケットを保持順に前記スレーブ装置に送信する送信手段と、を備え、
前記スレーブ装置は、前記送信手段によって送信された前記パケットを受信する受信手段と、
前記受信手段で前記クロックパケットが受信される毎に前記クロックパケットの受信タイミングと位相が一致しかつ前記m逓倍クロックと周波数が等しい位相一致クロックを生成する第2クロック生成手段と、
前記位相一致をm分周して前記スレーブ装置の動作クロックを生成する第3クロック生成手段と、を備えることを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−200277(P2010−200277A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46079(P2009−46079)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(593065844)株式会社沖コムテック (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(593065844)株式会社沖コムテック (127)
【Fターム(参考)】
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