説明

グアニジニウム塩の製造方法

本発明は、式(1)


式中、置換基Rは、請求項において示した意味を有し、Aは、スルホン酸、アルキルもしくはアリール硫酸、硫酸水素、イミド、メタニド、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ホウ酸、チオシアン酸、過塩素酸、フルオロケイ酸または硝酸である、
で表されるグアニジニウム塩を製造するための2段階方法およびこの方法からの中間体化合物に関する。
【その他】本件の発明者の一人である「イグナティフ,ニコライ(ミコラ)」の氏名につき、WO国際公開パンフレット 2005/075413には「イグナティフ,ニコライ」と記載されていますが、正しくは本国内書面に記載されているとおり「イグナティフ,ニコライ(ミコラ)」であり、国際段階の願書上の住所と不一致を生じていたところ、それに対する手続がなされなかったために生じたものであります。該国内書面における氏名は正しい表記であり、補正を要しないものでありますので、ここに説明致します。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン酸、アルキルもしくはアリール硫酸、硫酸水素、イミド、メタニド、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ホウ酸、チオシアン酸、過塩素酸、フルオロケイ酸または硝酸の群から選択されたアニオンを有するグアニジニウム塩を製造するための2段階方法、およびこの方法における中間体化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの特性のために、グアニジニウム塩は、イオン性液体、非水性電解質、相間移動触媒または界面活性物質として用いるための理想的な化合物である。イオン性液体の分野は、可能性のある適用が多種多様であるため、格別に研究されている。イオン性液体に関する概説記事は、例えば、R. Sheldon "Catalytic reactions in ionic liquids", Chem. Commun., 2001, 2399-2407; M.J. Earle, K.R. Seddon "Ionic liquids. Green solvent for the future”, Pure Appl. Chem., 72 (2000), 1391-1398; P. Wasserscheid, W. Keim "Ionische Fluessigkeiten - neue Loesungen fuer die Uebergangsmetallkatalyse" [Ionic Liquids - Novel Solutions for Transition-Metal Catalysis], Angew. Chem., 112 (2000), 3926-3945; T. Welton "Room temperature ionic liquids. Solvents for synthesis and catalysis”, Chem. Rev., 92 (1999), 2071-2083またはR. Hagiwara, Ya. Ito "Room temperature ionic liquids of alkylimidazolium cations and fluoroanions”, J. Fluorine Chem., 105 (2000), 221-227)である。
【0003】
グアニジニウム塩を、強酸を用いたグアニジン類のプロトン化により、またはアルキル化試薬、例えばアルキルトリフレートを用いたグアニジン類のアルキル化により、古典的な方法により製造することができる。グアニジン単位を、ここで、種々の方法により、例えばアミン類のチオ尿素類、塩化クロロホルムアミジニウムまたはアミノイミノメタンスルホン酸との反応により、得ることができ、複雑な方式で置換されたグアニジン類の合成は、しばしば複雑であり、かつ/または困難である(D. A. Powell, J. Org. Chem., 68 (2000), 2300-2309; D. H. R. Barton, J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, (1982), 2085-2090)。
【0004】
塩化グアニジニウム類を、また、塩化ホスゲンイミニウムの第二アミンとの反応により、直接得ることができる(T. Schlama et al, J. Org. Chem., 62 (1997), 4200-4202)。アニオン、例えばヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはビストリフルオロメタンスルホンイミド酸イオンを有するグアニジニウム塩への変換は、N.M.M Mateus et al, Green Chemistry, 5 (2003), 347-352から知られているように、塩交換に相当する。この塩交換においては、平行して生成する塩化アンモニウム類の分離がしばしば極めて困難であるため、最終生成物が塩化物イオンで汚染されることは、不都合である。
【発明の開示】
【0005】
従って、本発明の目的は、出発物質としてグアニジンを用いずに、高純度で塩を生成する、グアニジニウム塩を製造するための単純であり、かつ安価な方法を提供することにあった。
この目的は、本発明の方法により達成される。
【0006】
驚異的なことに、式(1)
【化1】

式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
【0007】
ここで1つまたは2つ以上の置換基Rは、ハロゲンにより部分的に、もしくは完全に置換されているか、またはCNもしくはNOにより部分的に置換されていてもよく、ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
ここで、4つまでの置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
かつここで、1つまたは2つ以上の置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−および−P(R’)=N−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
かつ、
【0008】
は、スルホン酸、アルキルもしくはアリール硫酸、硫酸水素、イミド、メタニド、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ホウ酸、チオシアン酸、過塩素酸、フルオロケイ酸または硝酸であり、
ただし、すべての6つの置換基Rは、同時には水素ではない、
で表されるグアニジニウム塩を、
【0009】
式(2)
【化2】

式中、置換基Rは、式(1)について示した意味を有し、Xは、F、ClまたはBrを示し、
ただし、すべての4つの置換基Rは、同時には水素ではない、
で表されるジハロゲン(dihalogen)化合物を、式(3)
Kt (3)
式中、Aは、式(1)について示した意味を有し、かつ
Ktは、プロトン、R”Si、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンまたは11もしくは12族からのカチオンであってもよく、
式中、R”は、各々の場合において、互いに独立して、フェニルまたは、フェニルにより置換されていてもよい、1〜6個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示す、
で表される化合物と反応させ、
【0010】
その後、式(4)
【化3】

式中、置換基R、XおよびAは、式(1)または(2)について示した意味を有する、
で表される得られた化合物を、式(5)
【化4】

式中、置換基Rは、式(1)について示した意味を有し、Mは、水素、R”Si、アルカリまたはアルカリ土類金属を示し、
R”は、各々の場合において、互いに独立して、フェニルまたは、フェニルにより置換されていてもよい、1〜6個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示す、
で表される化合物と反応させることにより製造することができることが、見出された。
【0011】
ここで、グアニジニウムカチオンの好適な置換基Rは、水素に加えて、以下のものである:C〜C20アルキル基、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のC原子を有するアルキル基、およびC〜Cアルキル基により置換されていてもよい、飽和または不飽和の、即ちまた芳香族の、C〜Cシクロアルキル基、特にフェニル。ここで、グアニジニウムカチオンの6つの置換基Rは、同一であるかまたは異なっていてもよく、ここですべての6つの置換基は、水素に等しくてはならない。
【0012】
〜Cアルキル基は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルもしくはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピルまたはヘキシルである。随意に、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたはノナフルオロブチルである。
【0013】
従って、3〜7個のC原子を有する非置換の飽和の、または部分的に、もしくは完全に不飽和のシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、フェニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニルまたはシクロヘプタ−1,5−ジエニルであり、これは、C〜Cアルキル基により置換されていてもよく、ここで、シクロアルキル基またはC〜Cアルキル基により置換されているシクロアルキル基は、次にまた、ハロゲン原子、例えばF、Cl、BrまたはI、特にFまたはCl、CNまたはNOにより置換されていてもよい。
【0014】
さらに、置換基Rは、O、C(O)、C(O)O、S、S(O)、SO、SOO、N、N=N、NH、NR’、PR’、P(O)R’、P(O)R’O、OP(O)R’OおよびPR’=Nの群から選択された1個または2個の隣接していないヘテロ原子または原子団を含んでいてもよく、ここで、R’は、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、飽和の、もしくは部分的に不飽和のC〜Cシクロアルキル、非置換であるか、もしくは置換されているフェニルまたは非置換であるか、もしくは置換されている複素環であってもよい。
【0015】
ここで、フェニル基は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、CN、SCN、SCF、SOCF、C(O)O−C〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノ、COOH、C(O)NR’、SOOR’、SOX’、SONR’、SOHまたはNHC(O)R’により置換されていてもよく、ここで、X’は、F、ClまたはBrを示し、R’は、上記で示した意味、例えばo−、m−もしくはp−メチルフェニル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−アミノフェニル、o−、m−もしくはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−もしくはp−ニトロフェニル、o−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−もしくはp−クロロフェニル、o−、m−もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−もしくはp−ヨードフェニル、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジヒドロキシフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルを有する。
【0016】
複素環は、5〜13個の環要素を有する飽和または不飽和の単環式または二環式複素環式基を意味するものと解釈され、ここで、1個、2個もしくは3個のNおよび/または1個もしくは2個のSもしくはO原子が存在していてもよく、複素環式基は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、CN、SCN、SCF、SOCF、C(O)O−C〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノ、COOH、C(O)NR’、SOOR’、SOX’、SONR’、SOHまたはNHC(O)R’により単置換または多置換されていてもよく、ここで、X’およびR’は、上記で示した意味を有する。
【0017】
複素環式基は、好ましくは、置換もしくは非置換2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2−、3−、4−、5−もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−もしくは4−4H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−1H−インドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリニル、1−、2−、3−、4−もしくは9−カルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−アクリジニル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニルまたは1−、2−もしくは3−ピロリジニルである。
【0018】
一般性を制限せずに、グアニジニウムカチオンの置換基Rの例は、以下のものである:
【化5】

【0019】
4つまでの置換基Rがまた、単環式、二環式または多環式カチオンが形成するように、対に結合していてもよい。
一般性を制限せずに、このようなグアニジニウムカチオンの例は、以下のものである:
【化6】

ここで、置換基Rは、上記で示した意味または特に好ましい意味を有することができる。所望により、上記で示したグアニジニウムカチオンの炭素環または複素環はまた、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、CN、SCN、SCF、SOCF、C(O)O−C〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノもしくはC〜Cジアルキルアミノ、COOH、C(O)NR’、SOOR’、SONR’、SOX’、SOHまたはNHC(O)R’により置換されていてもよく、ここで、X’またはR’は、上記で示した意味、置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を有する。
【0020】
式(2)
【化7】

式中、置換基Rは、式(1)について示した意味または好ましい意味を有し、Xは、F、ClまたはBrを示し、
ただし、すべての4つの置換基Rは、同時には水素ではない、
で表されるジハロゲン化合物は、一般的には、商業的に入手できるか、あるいは文献から、例えば標準的な学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartにおいて、またはK. Ohno et al., Heterocycles, 59 (2003), 317-322, A.A. Kolomeitsev et al., J. Fluorine Chem., 103 (2000), 159-162もしくはH. Wittmann et al, Eur. J. Inorganic. Chem., 8 (2001), 1937-1948から知られている合成方法により、製造することができる。また、ここで、自体公知であり、ここでは一層詳細には述べない変法を用いることができる。
特に好ましいのは、XがFまたはClを示す、式(2)で表される化合物であり、極めて特に好ましいのは、XがClを示す、式(2)で表される化合物である。
【0021】
式(3)
Kt (3)
式中、Aは、式(1)について示した意味を有し、かつ
Ktは、プロトン、R”Si、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンまたは11もしくは12族からのカチオンであってもよく、式中、R”は、各々の場合において、互いに独立して、フェニルまたは、フェニルにより置換されていてもよい、1〜6個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示す、
で表される化合物は、一般的には、同様に、商業的に入手できるか、または文献から、例えばフルオロアルキルリン酸塩について、標準的な学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, Leo A. Paquette編、John Wiley and Sons Ltd, 1995、EP 0929558 B1もしくは米国特許第6,423,454号において、フルオロアルキルホウ酸塩についてEP 1174941、EP 1205480もしくはEP 1229038において知られている合成方法により、製造することができる。また、ここで、自体公知であり、ここでは一層詳細には述べない変法を用いることができる。
【0022】
Ktは、例えばNH、H、Li、Na、K、Rb、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Cu、Cu2+、Ag、Zn2+、Cd2+、HgまたはHg2+、特に好ましくはNH、H、Li、Na、K、RbまたはCa2+であり、ここで、式(3)で表されるそれぞれの塩形態における電荷は、平衡になっている。2価のカチオンについて、式Aで表される2つの1価のアニオンが、電荷平衡のために必要である。2価のアニオンの電荷平衡のために、2つの1価のカチオンKtが、必要である。電荷平衡の条件は、必然的に、式(1)および式(4)で表される化合物にも適用される。
【0023】
アニオンAは、スルホン酸、アルキルもしくはアリール硫酸、硫酸水素、イミド、メタニド、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ホウ酸、チオシアン酸、過塩素酸、フルオロケイ酸または硝酸の群から選択される。
【0024】
好ましいのは、式
【化8】

式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルケニル、
パーフルオロアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
【0025】
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N=、−N=N−、−NR’−、−PR’−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
【0026】
ここで、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで、置換基Rは、CN、NOまたはハロゲンにより部分的に置換されていてもよく、かつ
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
【0027】
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、P(O)R’O−、OP(O)R’O−、−PR’=N−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−または−SONR’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
【0028】
変数
nは、1〜20を示し、
mは、0、1、2または3を示し、
yは、0、1、2、3または4を示し、
zは、0、1、2、3または4を示す、
で表されるアニオンAを選択することである。
【0029】
ここで、アニオンの好適な有機基RまたはRは、以下のものである:C〜C20、特にC〜C12アルキル基、C〜C20、特にC〜C12アルケニル基またはC〜Cアルキル基により置換されていてもよい、飽和もしくは不飽和、即ちまた芳香族のC〜Cシクロアルキル基、特にフェニル。Rについての好適な有機基はまた、C〜C20、特にC〜C12アルキニル基である。
【0030】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の二重結合がまた存在し得る、直鎖状または分枝状アルケニルは、例えば、ビニル、アリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039;好ましくはアリル、2−または3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニルであり、好ましいのは、さらに、4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。
【0031】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の三重結合がまた存在し得る、直鎖状または分枝状アルキニルは、例えば、エチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜−C2037、好ましくはエチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルである。
【0032】
基Rは、パーフルオロ化されており、即ち、すべての炭素原子は、水素でではなく、代わりにフッ素原子で飽和されている。基Rは、ハロゲン原子により、特にFおよび/またはCl、CNまたはNOにより部分的に置換されていてもよい。
複数のRまたはRが、アニオン中に存在する場合において、これらはまた、単結合または二重結合により、単環式または二環式アニオンが形成するように対に結合していてもよい。
【0033】
さらに、置換基Rは、互いに隣接しておらず、ヘテロ原子に対してα位にはない、−O−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N=、−N=N−、−NR’−、−PR’−および−P(O)R’−の群から選択された1つまたは2つの原子または原子団を含むことができ、ここで、R’は、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−Cを含む、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環であってもよい。
【0034】
さらに、置換基Rは、互いに隣接しておらず、ヘテロ原子に対してα位にはない、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、P(O)R’O−、OP(O)R’O−、−PR’=N−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−または−SONR’−の群から選択された1つまたは2つの原子または原子団を含むことができ、ここで、R’は、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−Cを含む、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環であってもよい。
【0035】
一般性を制限せずに、アニオンの置換基RまたはRの例は、以下のものである:
【化9】

【0036】
【化10】

【0037】
一般性を制限せずに、アニオンAのいくつかの例を、以下に示す:
【化11】

【0038】
好ましいアニオンAは、
【化12】

である。
【0039】
式(3)で表される好ましい化合物は、
【化13】

である。
【0040】
式(3)で表される特に好ましい化合物は、
【化14】

である。
【0041】
式(2)で表されるジハロゲン化合物の、式(3)で表される化合物との反応を、有利には、水中で行うことができ、この場合において、0℃〜150℃、好ましくは0℃〜40℃の温度が好適である。反応を、特に好ましくは、室温で行う。
【0042】
しかし、反応を、あるいはまた、有機溶媒中で、−50℃〜150℃の温度において行うことができる。好適な溶媒は、ここで、水混和性溶媒、例えばジメトキシエタン、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、プロピオニトリル、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、または互いの、もしくは水との混合物である。アセトニトリルは、好ましい有機溶媒である。
反応を、好ましくは0℃〜100℃において、特に好ましくは10℃〜70℃において、極めて特に好ましくは室温で行う。
【0043】
式(2)で表されるジハロゲン化合物の、式(3)で表される化合物との反応をまた、溶媒を用いずに、正確には式(2)で表されるジハロゲン化合物が液体である温度において行うことができる。
【0044】
反応を、保護ガス雰囲気下で行うことが可能であり、これは、酸化感受性出発物質について好ましい。
本発明において、式(2)で表される化合物を、式(3)で表される化合物と、等モル量で、または過剰の式(3)で表される化合物と反応させる。5〜20%過剰の式(3)で表される化合物を、好ましく用いる。対イオンとして[N(CFを有する式(3)で表される化合物の、式(2)で表されるジクロロまたはジブロモ化合物との反応について、式(3)で表される化合物を、少なくとも2倍のモル量で用いるのが有利である。
【0045】
この第1の反応から生成する、式(4)
【化15】

式中、置換基R、XおよびAは、上記で示した意味または好ましいとして示した意味の1つを有する、
で表される化合物を、一般的に80%より高い、好ましくは90%より高い極めて良好な収率で単離することができる。ここで、生成した無機塩KtXの分離は、容易であり、式(4)で表される化合物は、ハロゲンアニオンXにより汚染されていないのが、有利である。
式(4)で表される化合物の、式(5)で表されるアンモニア、アルキルまたはアリールアミン類またはアミド類とのその後の反応は、カルボカチオンの高い求電子性を原動力とする。
【0046】
式(5)
【化16】

式中、置換基Rは、式(1)について示した、または好ましいとして示した意味を有し、かつ
Mは、水素、R”Si、アルカリまたはアルカリ土類金属を示し、かつ
R”は、各々の場合において、互いに独立して、フェニルまたは、フェニルにより置換されていてもよい、1〜6個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示す、
で表される化合物は、一般的には、同様に、商業的に入手できるか、または文献から、例えば標準的な学術書、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, StuttgartもしくはEncyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, Leo A. Paquette編、John Wiley and Sons Ltd, 1995において知られている合成方法により、製造することができる。また、ここで、自体公知であり、ここでは一層詳細には述べない変法を用いることができる。
【0047】
式(5)中の置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、好ましくは、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、もしくは完全に不飽和のシクロアルキルである。
【0048】
式(5)で表される好ましい化合物は、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、リチウムジメチルアミド、N,N−ジメチルトリメチルシリルアミンまたはN,N−ジエチルトリメチルシリルアミンである。
式(5)で表される特に好ましい化合物は、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルトリメチルシリルアミン、N,N−ジメチルトリメチルシリルアミンまたはリチウムジメチルアミドである。
【0049】
式(4)で表されるクロロホルムアミジニウム塩の式(5)で表される化合物との第2の反応を、2種の出発物質の少なくとも1種が液体である温度において行うことができる。この際に、溶媒を用いることは、有利には不必要である。反応を、好ましくは、15℃〜100℃の温度において、特に好ましくは50℃〜70℃において、または室温で行う。
【0050】
しかし、反応を、あるいはまた、有機溶媒中で、−50℃〜150℃の温度において行うことができる。好適な溶媒は、ここで、水混和性溶媒、例えばジメトキシエタン、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、プロピオニトリル、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、または互いの、もしくは水との混合物である。シリルアミンとの反応の場合において、水不混和性有機溶媒、例えばジクロロメタンまたはクロロホルム、好ましくはクロロホルムを、好ましくは用いる。
反応を、好ましくは10℃〜70℃において、特に好ましくは40℃〜50℃または室温において行う。
しかし、反応を、同様に、有利には、水中で行うことができ、この場合において、0℃〜150℃の温度が好適である。水中での反応を、好ましくは室温で行う。
【0051】
反応を、保護ガス雰囲気下で行うことが可能であり、これは、酸化されやすい出発物質について好ましい。これを、同様に、大気圧において行い、ここで、例えばアンモニア、メチルアミンまたはジメチルアミン、即ち式(5)で表されるガス状または容易に揮発性の化合物との反応を、有利には、密閉した容器中で行う。本発明の方法の段階2をまた、加圧下で行うことができ、ここで、50barまでの圧力が、有利であり得る。
【0052】
本発明において、式(4)で表される化合物を、式(5)で表される化合物と、等モル量で反応させる。過剰の式(5)で表される化合物が、有利であり得る。
上記したこの第2の段階から生成する、式(1)で表されるグアニジニウム塩を、一般的に80%より高い、好ましくは90%より高い極めて良好な収率で単離することができる。
【0053】
本発明の方法を、好ましくは、一般式(1)
【化17】

式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、水素または1〜12個のC原子、特に1、2、3、4、5、6、7もしくは8個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示し、
ただし、すべての6つの置換基Rは、水素ではなく、
あるいは少なくとも2つの置換基Rは、互いに、単環式カチオンが形成するように単結合もしくは二重結合により結合しており、
かつ対イオンAは、式(3)について示した意味または好ましいか、もしくは極めて好ましい意味の1つを有する、
で表されるグアニジニウム塩を製造するために用いる。
【0054】
本発明の方法を、式(1)で表され、式中置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、シクロヘキシルもしくはフェニルを示すか、または2つの置換基Rは、互いに、イミダゾリジニウムカチオンが形成するように結合しており、かつ対イオンAは、式(3)について示した意味または好ましいか、もしくは極めて好ましい意味の1つを有するグアニジニウム塩を製造するために、極めて特に好ましく用いる。
【0055】
本発明の方法の第1の段階の後に得られた、式(4)で表される中間体化合物は、同様に、これらの特性のために、イオン性液体として用いるのに適する化合物である。
【0056】
従って、本発明は、同様に、式(4)
【化18】

式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
【0057】
ここで1つまたは2つ以上の置換基Rは、ハロゲンにより部分的に、もしくは完全に置換されているか、またはCNもしくはNOにより部分的に置換されていてもよく、
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
ここで、4つまでの置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
かつここで、1つまたは2つ以上の置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−および−P(R’)=N−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
Xは、F、ClまたはBrを示し、
ただし、すべての4つの置換基Rは、同時には水素ではなく、
【0058】
は、
【化19】

の群から選択されており、
ここで、[CFSOは除外されており、かつ
【0059】
ここで、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルケニル、
パーフルオロアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N=、−N=N−、−NR’−、−PR’−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
【0060】
ここで、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで、置換基Rは、CN、NOまたはハロゲンにより部分的に置換されていてもよく、かつ
【0061】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、P(O)R’O−、OP(O)R’O−、−PR’=N−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−または−SONR’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
【0062】
変数
nは、1〜20を示し、
mは、0、1、2または3を示し、
yは、1、2、3または4を示し、
zは、1、2、3または4を示す、
で表される中間体化合物に関する。
【0063】
好ましいのは、式(4)で表され、式中、置換基Rは、水素または1〜12個のC原子、特に1、2、3、4、5、6、7もしくは8個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示し、
ただし、すべての4つの置換基Rは、水素ではなく、
あるいは少なくとも2つの置換基Rは、互いに、単環式カチオンが形成するように単結合もしくは二重結合により結合しており、かつ
対イオンAは、
【化20】

を示す化合物である。
【0064】
極めて特に好ましいのは、式(4)で表され、式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、シクロヘキシルもしくはフェニルを示すか、または2つの置換基Rは、互いに、イミダゾリジニウムカチオンが形成するように結合しており、かつ対イオンAは、
【化21】

を示す化合物である。
【0065】
本明細書中に述べたすべての出願明細書、特許明細書および刊行物の完全な開示内容は、参照により本出願中に導入される。
さらなるコメントを伴わなくても、当業者は、前述の記載を最も広い範囲において用いることができることが、推測される。従って、好ましい態様および例は、単に記載的な開示であり、これは絶対的にいかなる方法によっても限定的ではないと考慮されるべきである。
【0066】
NMRスペクトルを、重水素を含む溶媒に溶解した溶液上で、20℃で、Bruker Avance 250分光計上で測定した。種々の核の測定周波数は、以下の通りである:H:250.13MHz、19F:235.357MHzおよび31P:101.254MHz。参照方法を、各々のスペクトルまたは各々のデータの組について別個に示す。
【0067】
例1:
A)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウム
【化22】

258.6g(0.482mol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸五水和物を、室温で撹拌しながら、80.0g(0.473mol)の2,2−ジクロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジンを300mlの水に溶解した溶液に加える。混合物を、1/2時間撹拌し、その後固体を、濾別する。100mlの水で繰り返し洗浄した後に、生成した結晶を、60℃で、10.0Paの減圧下で乾燥し、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムが、ジクロロイミダゾリジンを基準として95.9%の収率で得られる。
【0068】
【化23】

【0069】
B)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウム
【化24】

63.5g(0.868mol)のジエチルアミンを、10分間にわたり、室温で撹拌しながら、167.5g(0.289mol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに加える。反応混合物を、12時間撹拌し、その後過剰のジエチルアミンを、蒸留して除去する。液体残留物を、100mlの水で多数回洗浄し、その後60℃で減圧(10.0Pa)の下で乾燥し、169.2gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムが得られ、95.2%の収率に相当する。
【0070】
【化25】

【0071】
C)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−ジブチルアミノイミダゾリジニウム
【化26】

13.4g(103.7mmol)のジブチルアミンを、10分間にわたり、室温で撹拌しながら、20.0g(34.6mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに加える。反応混合物を、12時間室温で、および2時間60℃で撹拌する。過剰のジブチルアミンを、ヘキサンで洗浄することにより除去する。得られた残留物を、50mlの水で多数回洗浄し、その後60℃で減圧(10.0Pa)の下で乾燥し、22.1gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−ジブチルアミノイミダゾリジニウムが得られ、95.1%の収率に相当する。
【0072】
【化27】

【0073】
D)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−アミノイミダゾリジニウム
【化28】

1.2g(17.62mmol)のアンモニアの25%水性溶液を、室温で撹拌しながら、2.0g(3.46mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムを5mlの水に溶解した溶液に加える。混合物を、1時間室温で撹拌し、濾過する。沈殿物を、5mlの水で多数回洗浄し、7Paにおける減圧および50〜60℃の下で乾燥し、1.79gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−アミノイミダゾリジニウムが得られ、92.5%の収率に相当する。
【0074】
【化29】

【0075】
E)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウム
【化30】

0.30g(2.06mmol)のN,N−ジエチルトリメチルシリルアミンを、数分間にわたり、室温で撹拌しながら、15mlのクロロホルム中の1.0g(1.73mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに加える。反応混合物を、30分間室温で、および30分間40〜50℃で撹拌する。揮発性の構成成分を、蒸留して除去し、得られた残留物を、50℃で減圧(7.0Pa)の下で乾燥し、0.99gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムが得られ、93.0%の収率に相当する。
融点:34〜35℃
NMRスペクトルは、例1Bからのものと同一である。
【0076】
例2:
A)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化31】

63.9g(0.119mol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸五水和物を、室温で撹拌しながら、20.0g(0.117mol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを100mlの水に溶解した溶液に加える。混合物を、1/2時間撹拌し、その後固体を、濾別する。50mlの水で繰り返し洗浄した後に、生成した結晶を、60℃で、10.0Paの減圧下で乾燥し、63.4gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが得られ、93.3%の収率に相当する。
【0077】
【化32】

【0078】
B)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウム
【化33】

4.53g(61.9mmol)のジエチルアミンを、5分間にわたり、室温で撹拌しながら、12.0g(20.7mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。反応混合物を、12時間撹拌し、その後過剰のジエチルアミンを、蒸留して除去する。液体残留物を、30mlの水で多数回洗浄し、その後60℃で減圧(10.0Pa)の下で乾燥し、12.1gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウムが得られ、94.7%の収率に相当する。
【0079】
【化34】

【0080】
C)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジブチルグアニジニウム
【化35】

13.4g(103.7mmol)のジブチルアミンを、10分間にわたり、室温で撹拌しながら、20.0g(34.4mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。反応混合物を、12時間室温で、および2時間60℃で撹拌する。過剰のジブチルアミンを、ヘキサンで洗浄することにより除去する。液体残留物を、50mlの水で多数回洗浄し、その後60℃で減圧(10.0Pa)の下で乾燥し、22.6gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジブチルグアニジニウムが得られ、97.5%の収率に相当する。
【0081】
【化36】

【0082】
D)トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジシクロヘキシルグアニジニウム
【化37】

18.7g(103.1mmol)のジシクロヘキシルアミンを、10分間にわたり、室温で撹拌しながら、20.0g(34.4mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。反応混合物を、12時間室温で、および2時間60℃で撹拌する。過剰のジシクロヘキシルアミンを、ヘキサンで洗浄することにより除去する。得られた残留物を、50mlの水で多数回洗浄し、その後60℃で減圧(10.0Pa)の下で乾燥し、22.8gのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジシクロヘキシルグアニジニウムが得られ、91.3%の収率に相当する。
【0083】
【化38】

【0084】
例3:
A)ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化39】

200mlの水中の134.1g(0.467mol)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、室温で撹拌しながら、80.0g(0.468mol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを300mlの水に溶解した溶液に加える。混合物を、1/2時間撹拌し、その後固体を、濾別する。100mlの水で繰り返し洗浄した後に、生成した結晶を、50℃で、10.0Paの減圧下で乾燥し、165.5gのビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが得られ、85.1%の収率に相当する。
【化40】

【0085】
B)ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化41】

4mlのアセトニトリル中の0.84g(2.92mmol)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、室温で撹拌しながら、0.5g(2.92mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを4mlのアセトニトリルに溶解した溶液に加える。混合物を、12時間撹拌し、その後固体のLiClを、濾別する。アセトニトリルを、蒸留して除去する。生成した結晶を、50℃で、10.0Paの減圧下で乾燥し、1.2gのビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが得られ、98.8%の収率に相当する。
この化合物は、3A)の下で調製したものと同一のNMRスペクトルを示す。
【0086】
C)N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジブチルグアニジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化42】

141.3g(1.1mol)のジブチルアミンを、20分間にわたり、室温で撹拌しながら、151.4g(0.364mol)のビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに加える。反応混合物を、12時間室温で、および2時間60℃で撹拌する。過剰のジブチルアミンを、ヘキサンで洗浄することにより除去する。液体残留物を、100mlの水で多数回洗浄し、その後60℃で減圧(10.0Pa)の下で乾燥し、183.1gのN,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジブチルグアニジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが得られ、98.9%の収率に相当する。
【化43】

【0087】
例4:
A)トリフルオロメタンスルホン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化44】

20mlのアセトニトリル中の2.01g(11.7mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムを、室温で撹拌しながら、2.0g(11.7mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを20mlのアセトニトリルに溶解した溶液に加える。混合物を、1時間撹拌し、40mlのジエチルエーテルを加える。その後、12時間撹拌した後に、固体のNaClを、濾過して除去する。溶媒を、蒸留して除去し、生成した結晶を、10.0Paの減圧下で乾燥し、3.29gのトリフルオロメタンスルホン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが得られ、98.8%の収率に相当する。
【化45】

【0088】
B)トリフルオロメタンスルホン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化46】

0.5g(2.92mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを、室温で、0.42gのトリメチルクロロシランを0.58gのトリフルオロメタンスルホン酸と、室温で反応させることにより調製した、0.86g(3.87mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルに加える。反応混合物を、5分間撹拌し、その後すべての揮発性生成物を、減圧下で除去する。残留物を、7Paにおける減圧および50℃の下で乾燥し、0.82gのトリフルオロメタンスルホン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが得られ、98.7%の収率に相当する。
融点:175〜177℃
NMRスペクトルは、例4A)のものと同一である。
【0089】
C)トリフルオロメタンスルホン酸ヘキサメチルグアニジニウム
【化47】

0.225g(4.41mmol)のリチウムジメチルアミドを、室温で、20mlのアセトニトリル中の1.26g(4.42mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。反応混合物を、12時間撹拌し、その後LiClを、濾過して除去する。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、20mlのジエチルエーテルで洗浄し、その後減圧(8.0Pa)の下で乾燥し、1.25gのトリフルオロメタンスルホン酸ヘキサメチルグアニジニウムが得られ、96.7%の収率に相当する。
【化48】

【0090】
例5:
A)トリフルオロメタンスルホン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウム
【化49】

5.0g(14.8mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸カルシウムを、室温で撹拌しながら、5.0g(29.6mmol)の2,2−ジクロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジンを80mlのアセトニトリルに溶解した溶液に加える。混合物を、12時間撹拌し、その後固体のCaClを、濾過して除去する。アセトニトリルを、蒸留して除去し、残留物を、40mlのジエチルエーテルで洗浄する。生成した結晶を、10.0Paの減圧下で乾燥し、8.28gのトリフルオロメタンスルホン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムが得られ、98.9%の収率に相当する。
【化50】

【0091】
B)トリフルオロメタンスルホン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウム
【化51】

0.62g(4.27mmol)のN,N−ジエチルトリメチルシリルアミンを、数分間にわたり、室温で撹拌しながら、15mlのクロロホルム中の1.0g(3.54mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに加える。反応混合物を、室温で30分間、および40〜50℃で30分間撹拌する。揮発性構成成分を、蒸留して除去し、得られた残留物を、50℃で減圧(7.0Pa)の下で乾燥し、1.11gのトリフルオロメタンスルホン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムが、油状物として得られ、98.2%の収率に相当する。
【化52】

【0092】
例6:トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”−エチルグアニジニウム
【化53】

24.0gのエチルアミンの水性溶液(70%)を、撹拌し、氷冷しながら、例2A)と同様にして調製した43.20g(74.4mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。その後、反応混合物を、3時間室温で撹拌する。混合物を、50mlの水で洗浄し、その後60℃で減圧(7.0Pa)の下で乾燥し、42.1gの液体トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”−エチルグアニジニウムが得られ、96.0%の収率に相当する。
【0093】
【化54】

【0094】
例7:トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−エチルアミノイミダゾリジニウム
【化55】

2.31gのエチルアミンの水性溶液(70%)を、撹拌し、氷冷しながら、例1A)と同様にして調製した4.07g(7.03mmol)のトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに加える。その後、反応混合物を、3時間室温で撹拌する。その後混合物を、60℃で減圧(7.0Pa)の下で乾燥し、3.76gの液体トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸1,3−ジメチル−2−エチルアミノイミダゾリジニウムが得られ、91.1%の収率に相当する。
【0095】
【化56】

【0096】
例8:
A)過塩素酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化57】

10mlの水中の3.60gの過塩素酸ナトリウムを、撹拌しながら、5.00g(29.2mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを20mlの水に溶解した溶液に加える。その後、反応混合物を、1時間氷冷しながら撹拌する。残留物を濾別し、10mlの氷水で洗浄し、その後50℃で減圧(7.0Pa)の下で乾燥し、6.64gの過塩素酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが得られ、94.0%の収率に相当する。
【化58】

【0097】
B)過塩素酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウム
【化59】

3.42g(46.8mmol)のジエチルアミンを、撹拌し、氷冷しながら、5.00g(21.3mmol)の過塩素酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。その後、反応混合物を、1時間室温で撹拌し、その後20mlの水に加える。有機相を、分離して除去し、20mlの水で洗浄する。その後、液体を、50℃で減圧(7.0Pa)の下で乾燥し、5.17gの過塩素酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウムが得られ、89.6%の収率に相当する。
【化60】

【0098】
例9:
A)トシル酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化61】

3.0g(17.5mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンおよび3.33g(17.5mmol)のp−トルエンスルホン酸一水和物を、混合する。混合物を、30分間にわたり100℃に加熱し、その後7Paの真空を、1時間にわたり適用する。室温に冷却することにより、5.25gのトシル酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが得られ、97.8%の収率に相当する。
【化62】

【0099】
B)トシル酸ヘキサメチルグアニジニウム
【化63】

1.50g(4.89mmol)のトシル酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムおよび0.25g(4.90mmol)のリチウムジメチルアミドを、15mlのアセトニトリルに、保護ガス雰囲気(アルゴン)下で溶解する。反応混合物を、5時間室温で撹拌し、その後、LiClを、濾別する。塩LiClを、5mlのアセトニトリルで洗浄し、有機相を混ぜ合わせる。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、7Paにおける減圧および50℃の下で乾燥し、1.49gのトシル酸ヘキサメチルグアニジニウムが得られ、96.6%の収率に相当する。
【化64】

【0100】
例10:
A)硫酸水素ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化65】

3.24g(33mmol)の硫酸を、撹拌し、氷冷しながら、5.65g(33.0mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを30mlの水に溶解した溶液に加える。反応混合物を、室温に加温する。すべての揮発性化合物を、減圧(7.0Pa)下で除去し、7.68gの高度に粘性の硫酸水素ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが得られ、事実上定量的な収率に相当する。
【化66】

【0101】
B)硫酸水素N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウム
【化67】

4.20g(57.4mmol)のジエチルアミンを、撹拌し、氷冷しながら、6.00g(25.8mmol)の硫酸水素ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。その後、反応混合物を、1時間室温で撹拌し、その後50mlの水を加える。有機相を、分離して除去し、水性相を、50mlのジクロロメタンで抽出する。混ぜ合わせた有機相を、20mlの水で洗浄し、溶媒を、減圧下で蒸留して除去する。その後、残留物を、50℃で減圧(7.0Pa)の下で乾燥し、5.7gの粘性の硫酸水素N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウムが得られ、82.0%の収率に相当する。
【化68】

【0102】
例11:
A)硝酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウム
【化69】

2.34g(24.1mmol)の65%硝酸を、激しく撹拌しながら、3.77g(22.3mmol)の2,2−ジクロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジンに加える。この反応混合物を、最初に室温で1時間4kPaにおいて、および20分間7Paにおいて排気する。氷浴を用いて冷却した後、混合物を、再び6時間7Paにおいて排気し、3.7gの硝酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムが、油状物として得られ、85.1%の収率に相当する。
【化70】

【0103】
B)硝酸1,3−ジメチル−2−ジメチルアミノイミダゾリジニウム
【化71】

3.00g(15.34mmol)の硝酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムおよび0.78g(15.29mmol)のリチウムジメチルアミドを、20mlのアセトニトリルに、保護ガス雰囲気(アルゴン)下で溶解する。反応混合物を、5時間室温で撹拌し、その後、LiClを、濾別する。塩LiClを、5mlのアセトニトリルで洗浄し、有機相を混ぜ合わせる。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、7Paにおける減圧および50℃の下で乾燥し、2.91gの硝酸1,3−ジメチル−2−ジメチルアミノイミダゾリジニウムが、液体として得られ、92.2%の収率に相当する。
【化72】

【0104】
例12:
A)トリフルオロ酢酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化73】

2.1g(18.4mmol)のトリフルオロ酢酸を、撹拌しながら、3.0g(17.5mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンに加える。反応を、1時間室温で撹拌し、その後、すべての揮発性生成物を、7Paにおける減圧および60℃の下で除去し、4.19gのトリフルオロ酢酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが、極めて粘性の油状物として得られ、96.1%の収率に相当する。
【化74】

【0105】
B)トリフルオロ酢酸ヘキサメチルグアニジニウム
【化75】

1.85g(7.44mmol)のトリフルオロ酢酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムおよび0.38g(7.45mmol)のリチウムジメチルアミドを、15mlのアセトニトリルに、保護ガス雰囲気(アルゴン)下で溶解する。反応混合物を、5時間室温で撹拌し、その後、LiClを、濾別する。塩LiClを、5mlのアセトニトリルで洗浄し、有機相を混ぜ合わせる。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、7Paにおける減圧および50℃の下で乾燥し、1.81gのトリフルオロ酢酸ヘキサメチルグアニジニウムが、粘性油状物として得られ、99.2%の収率に相当する。
【化76】

【0106】
例13:
A)チオシアン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化77】

2.84g(35.0mmol)のチオシアン酸ナトリウムを、室温で、3.0g(17.5mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを50mlのアセトニトリルに溶解した溶液に加える。反応混合物を、24時間撹拌し、その後、沈殿物NaClを、濾別する。その後、溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、50mlのジクロロメタンで多数回抽出する。ジクロロメタンを蒸留した後に、残留物を、60℃および7Paにおいて乾燥し、2.99gの液体のチオシアン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが得られ、88.2%の収率に相当する。
【化78】

【0107】
B)チオシアン酸ヘキサメチルグアニジニウム
【化79】

1.00g(5.16mmol)のチオシアン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムおよび0.26g(5.10mmol)のリチウムジメチルアミドを、10mlのアセトニトリルに、保護ガス雰囲気(アルゴン)下で溶解する。反応混合物を、5時間室温で撹拌し、その後、LiClを、濾別する。塩LiClを、2mlのアセトニトリルで洗浄し、有機相を混ぜ合わせる。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、7Paにおける減圧および50℃の下で乾燥し、0.99gのチオシアン酸ヘキサメチルグアニジニウムが、油状物として得られ、94.8%の収率に相当する。
【化80】

【0108】
例14:
A)テトラシアノホウ酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化81】

13.4g(78.3mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンを、室温で撹拌しながら、12.0g(77.9mmol)のテトラシアノホウ酸カリウムを200mlの水に溶解した溶液に加える。反応混合物を、10分間撹拌し、氷浴の補助により冷却する。その後、沈殿物を、濾別し、30mlの氷水で多数回洗浄する。混ぜ合わせた濾液を、7Paにおける減圧および60℃の下で、油浴中で3時間乾燥し、13.4gのテトラシアノホウ酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが、油状物として得られ、68.7%の収率に相当する。
【化82】

【0109】
B)テトラシアノホウ酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウム
【化83】

10.5g(143.6mmol)のジエチルアミンを、撹拌し、冷却しながら、12.0g(47.9mmol)のテトラシアノホウ酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。反応混合物を、3時間室温で撹拌し、次に30mlの水を加える。下方の相を、分離して除去し、30mlのジクロロメタンで希釈する。その後、有機相を、30mlの水で多数回洗浄し、MgSOを用いて乾燥する。次に、溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、7Paにおける減圧および60℃の下で3時間乾燥し、13.4gのテトラシアノホウ酸N,N,N’,N’−テトラメチル−N”,N”−ジエチルグアニジニウムが、液体として得られ、97.4%の収率に相当する。
【化84】

【0110】
例15:
A)1,3−ジメチル−2−フルオロイミダゾリジニウムビス(トリフルオロメチル)イミド
【化85】

0.46g(3.37mmol)の1,3−ジメチル−2,2−ジフルオロイミダゾリジンを4.57gの乾燥アセトニトリルに溶解した溶液を、室温で撹拌しながら、EP 1081129 B1から知られている、0.32gのRbFの、0.96gのフッ化トリフルオロメタンスルホニルとの反応から調製した、0.73g(3.10mmol)のRbN(CFを、7mlの乾燥アセトニトリルに溶解した溶液に加える。1,3−ジメチル−2,2−ジフルオロイミダゾリジンは、A.A. Kolomeitcev et al., J. of Fluorine Chem. 103 (2000)159-162からの記載と同様にして、1,3−ジメチル−2,2−ジクロロイミダゾリジンのKFとの、アセトニトリル中での反応により得られた。反応混合物を、30分間撹拌し、その後、RbFを、保護ガス雰囲気下で濾別し、3mlの乾燥アセトニトリルで多数回洗浄する。溶媒を、減圧下で0℃で蒸留して除去し、乾燥し、1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムビス(トリフルオロメチル)イミドが得られる。
【化86】

【0111】
B)1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムビス(トリフルオロメチル)イミド
【化87】

0.50g(3.44mmol)のN,N−ジエチルトリメチルシリルアミンを、5分にわたり、氷冷しながら、0.83g(3.10mmol)の1,3−ジメチル−2−フルオロイミダゾリジニウムビス(トリフルオロメチル)イミドを10mlの乾燥アセトニトリルに溶解した溶液に加える。反応混合物を、30分間0℃で撹拌し、その後室温とする。揮発性構成成分を、減圧下で蒸留して除去し、残留物を、7.0Paにおける減圧および室温の下で乾燥し、0.59gの1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムビス(トリフルオロメチル)イミドが得られ、59.4%の収率に相当する。
【化88】

【0112】
例16:
A)1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド
【化89】

3.9g(17.8mmol)のカリウムビス(フルオロスルホニル)イミドを20mlの水に溶解した溶液を、室温で撹拌しながら、3.0g(17.7mmol)の1,3−ジメチル−2,2−ジクロロイミダゾリジンを15mlの水に溶解した溶液に加える。反応混合物を、30分間撹拌し、その後、残留物を濾別し、20mlの水で洗浄し、7Paにおける減圧および60℃の下で乾燥し、5.15gの1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドが得られ、92.7%の収率に相当する。
【化90】

【0113】
B)1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド
【化91】

1.4g(19.14mmol)のジエチルアミンを、室温で撹拌しながら、2.0g(6.38mmol)の1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドに加える。反応混合物を、20分間撹拌し、10mlの水を加える。5分後、残留物を、濾別し、10mlの水で多数回洗浄し、7Paにおける減圧および60℃の下で乾燥し、2.15gの1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドが得られ、96.2%の収率に相当する。
【化92】

【0114】
例17:
A)メチル硫酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化93】

1.54g(11.48mmol)のメチル硫酸ナトリウムおよび10mlの乾燥アセトニトリルを、不活性ガス雰囲気下で、1.96g(11.46mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンに加える。反応混合物を、5時間室温で撹拌し、NaClの沈殿物を、濾別する。その後、濾液の溶媒を、濾別し、得られた残留物を、1時間50℃の油浴温度で、7.0Paにおける減圧の下で乾燥し、2.78gのメチル硫酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが、粘性液体として得られ、98.3%の収率に相当する。
【化94】

【0115】
B)メチル硫酸ヘキサメチルグアニジニウム
【化95】

10mlの乾燥クロロホルムおよび1.29g(11.00mmol)のN,N−ジメチルトリメチルシリルアミンを、2.45g(9.93mmol)のメチル硫酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。反応混合物を、1時間室温で撹拌し、その後すべての揮発性化合物を、減圧下で除去する。残留物を、7.0Paにおける減圧および50℃の油浴温度の下でさらに1時間乾燥し、2.42gのメチル硫酸ヘキサメチルグアニジニウムが得られ、95.5%の収率に相当する。
【化96】

【0116】
例18:
A)ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウム
【化97】

5.88g(19.47mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を、3.33g(19.47mmol)のビス(ジメチルアミノ)ジクロロメタンに加える。生成した塩化水素を、窒素の流れにおいて除去する。反応混合物を、室温で30分間撹拌し、残留物を、7Paにおける減圧および60℃の油浴温度の下で3時間乾燥し、8.48gのビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムが、液体として得られ、99.7%の収率に相当する。
【0117】
【化98】

【0118】
B)ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸ヘキサメチルグアニジニウム
【化99】

20mlの乾燥クロロホルムおよび1.85g(15.78mmol)のN,N−ジメチルトリメチルシリルアミンを、6.23g(14.27mmol)のビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸ビス(ジメチルアミノ)クロロカルベニウムに加える。反応混合物を、1時間室温で撹拌し、すべての揮発性生成物を、減圧下で除去する。その後、残留物を、7.0Paおよび50℃の油浴温度において1時間乾燥し、6.29gのビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸ヘキサメチルグアニジニウムが得られ、99%の収率に相当する。
【0119】
【化100】

【0120】
例19:
A)メチル硫酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウム
【化101】

3.00g(17.75mmol)の1,3−ジメチル−2,2−ジクロロイミダゾリジンおよび2.38g(17.75mmol)のメチル硫酸ナトリウムを、20mlの乾燥アセトニトリルと混合する。反応混合物を、5時間室温で撹拌し、沈殿物NaClを、濾別する。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、7Paの減圧の下で、50℃において1時間乾燥し、4.09gのメチル硫酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムが、粘性物質として得られ、94.2%の収率に相当する。
【化102】

【0121】
B)メチル硫酸1,3−ジメチル−2−ジメチルアミノイミダゾリジニウム
【化103】

1.33g(11.34mmol)のN,N−ジメチルトリメチルシリルアミンを、室温で激しく撹拌しながら、10mlの乾燥クロロホルム中の2.50g(10.22mmol)のメチル硫酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに、5分にわたり加える。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、5mlのジエチルエーテルで3回洗浄し、その後7.0Paの減圧の下で、50℃において1時間乾燥する。生成物を、テトラヒドロフラン:ジエチルエーテル(1:1)の混合物から結晶し、2.22gのメチル硫酸1,3−ジメチル−2−ジメチルアミノイミダゾリジニウムが得られ、85.7%の収率に相当する。
【化104】

【0122】
例20:
A)ジヒドロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウム
【化105】

5.0g(29.58mmol)の1,3−ジメチル−2,2−ジクロロイミダゾリジンおよび3.41gの85%リン酸(29.58mmol)を、室温で混合する。反応混合物を、1時間60℃で撹拌する。すべての揮発性構成成分を、7Paの減圧および60℃の下で除去し、6.82gのジヒドロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムが得られる。収率は、ほぼ定量的である。
【化106】

【0123】
B)ジヒドロリン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウム
【化107】

4.26g(58.24mmol)のジエチルアミンおよび10mlの水を、撹拌しながら、6.70g(29.06mmol)のジヒドロリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに加える。反応混合物を、さらに10分間撹拌し、溶液を、30mlのジクロロメタンで9回抽出する。抽出物を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶媒を、蒸留して除去する。残留物を、7Paにおける減圧および60℃の油浴温度の下で2時間乾燥し、5.58gのジヒドロリン酸1,3−ジメチル−2−ジエチルアミノイミダゾリジニウムが得られ、97.6%の収率に相当する。
【化108】

【0124】
例21:
A)ジメチルリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウム
【化109】

3.00g(17.75mmol)の1,3−ジメチル−2,2−ジクロロイミダゾリジンおよび2.63g(17.77mmol)のジメチルリン酸ナトリウムを、20mlのアセトニトリルおよび2mlの水と混合する。反応混合物を、12時間室温で撹拌し、その後、沈殿物NaClを、濾別する。溶媒を、蒸留して除去し、残留物を、7Paの減圧の下で、および70〜80℃の油浴温度において6時間乾燥し、4,39gのジメチルリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムが得られ、95.6%の収率に相当する。
【0125】
【化110】

【0126】
B)ジメチルリン酸1,3−ジメチル−2−ジメチルアミノイミダゾリジニウム
【化111】

1.14g(15.59mmol)のジエチルアミンおよび10mlの水を、撹拌しながら、2.0g(7.73mmol)のジメチルリン酸1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリジニウムに加える。反応混合物を、10分間室温で撹拌し、その後10mlのエタノールを、加える。溶液を、30mlのジクロロメタンで5回抽出する。水を、水性相から蒸留して除去する。残留物を、7Paの減圧下および70〜80℃の油浴温度において4時間乾燥し、1.85gのジメチルリン酸1,3−ジメチル−2−ジメチルアミノイミダゾリジニウムが得られ、81%の収率に相当する。
【0127】
【化112】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで1つまたは2つ以上の置換基Rは、ハロゲンにより部分的に、もしくは完全に置換されているか、またはCNもしくはNOにより部分的に置換されていてもよく、ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
ここで、4つまでの置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
かつここで、1つまたは2つ以上の置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−および−P(R’)=N−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
かつ、
は、スルホン酸、アルキルもしくはアリール硫酸、硫酸水素、イミド、メタニド、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ホウ酸、チオシアン酸、過塩素酸、フルオロケイ酸または硝酸である、
で表されるグアニジニウム塩の製造方法であって、
式(2)
【化2】

式中、置換基Rは、式(1)について示した意味を有し、Xは、F、ClまたはBrを示す、
で表される化合物を、式(3)
Kt (3)
式中、Aは、式(1)について示した意味を有し、かつ
Ktは、プロトン、R”Si、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンまたは11もしくは12族からのカチオンであってもよく、
式中、R”は、各々の場合において、互いに独立して、フェニルまたは、フェニルにより置換されていてもよい、1〜6個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示す、
で表される化合物と反応させ、
その後、式(4)
【化3】

式中、置換基R、XおよびAは、式(1)または(2)について示した意味を有する、
で表される得られた化合物を、式(5)
【化4】

式中、置換基Rは、式(1)について示した意味を有し、Mは、水素、R”Si、アルカリまたはアルカリ土類金属を示し、
R”は、各々の場合において、互いに独立して、フェニルまたは、フェニルにより置換されていてもよい、1〜6個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示す、
で表される化合物と反応させる
ことによる、前記方法。
【請求項2】
式Kt(3)で表される化合物を用い、ここで、Ktが、請求項1において示した意味を有し、かつ
が、
【化5】

式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルケニル、
パーフルオロアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N=、−N=N−、−NR’−、−PR’−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
ここで、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで、置換基Rは、CN、NOまたはハロゲンにより部分的に置換されていてもよく、かつ
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、P(O)R’O−、OP(O)R’O−、−PR’=N−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−または−SONR’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
変数
nは、1〜20を示し、
mは、0、1、2または3を示し、
yは、0、1、2、3または4を示し、
zは、0、1、2、3または4を示す、
の群から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、
【化6】

の群から選択されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の式(2)で表されるジハロゲン化合物中の置換基Xが、フッ素または塩素を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の式(5)で表される化合物中の置換基Rが、各々の場合において、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、または
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、部分的に、もしくは完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
方法の第1の段階を、水中で行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
方法の第1の段階を、0℃〜150℃の温度において行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
方法の第1の段階を、有機溶媒中で行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
方法の第1の段階を、−50℃〜150℃の温度において行うことを特徴とする、請求項1〜5および8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
方法の第2の段階を、溶媒を用いずに行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
方法の第2の段階を、少なくとも1種の成分が液体である温度において行うことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
方法の第2の段階を、有機溶媒中で行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
方法の第2の段階を、−50℃〜150℃の温度において行うことを特徴とする、請求項1〜9および12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
方法の第2の段階を、水中で行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
方法の第2の段階を、0℃〜150℃の温度において行うことを特徴とする、請求項1〜9および14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
式(4)
【化7】

式中、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで1つまたは2つ以上の置換基Rは、ハロゲンにより部分的に、もしくは完全に置換されているか、またはCNもしくはNOにより部分的に置換されていてもよく、
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
ここで、4つまでの置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
かつここで、1つまたは2つ以上の置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−および−P(R’)=N−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
Xは、F、ClまたはBrを示し、
ただし、すべての4つの置換基Rは、同時には水素ではなく、
は、
【化8】

の群から選択されており、
ここで、[CFSOは除外されており、かつ
ここで、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する、パーフルオロ化されている、直鎖状または分枝状アルケニル、
パーフルオロアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する、パーフルオロ化されている、飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−S−、−S(O)−、−SO−、−N=、−N=N−、−NR’−、−PR’−および−P(O)R’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
ここで、置換基Rは、各々の場合において、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、3〜7個のC原子を有する飽和の、部分的に、または完全に不飽和のシクロアルキル
の意味を有し、
ここで、置換基Rは、CN、NOまたはハロゲンにより部分的に置換されていてもよく、かつ
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIを示し、
ここで、置換基Rは、互いに、単結合または二重結合により対に結合していてもよく、
ここで、ヘテロ原子に対してα位にはない置換基Rの1個の炭素原子または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SO−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、P(O)R’O−、OP(O)R’O−、−PR’=N−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−または−SONR’−の群から選択された原子および/または原子団により置換されていてもよく、ここで、R’は、1〜6個のC原子を有する、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、もしくはパーフルオロ化されているアルキル、3〜7個のC原子を有する、飽和されているか、もしくは部分的に不飽和のシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環を示し、
変数
nは、1〜20を示し、
mは、0、1、2または3を示し、
yは、1、2、3または4を示し、
zは、1、2、3または4を示す、
で表される化合物。
【請求項17】
置換基Rが、水素または1〜12個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル基を示し、
ただし、すべての4つの置換基Rが、水素ではなく、または少なくとも2つの置換基Rが、互いに、単環式カチオンが形成するように単結合もしくは二重結合により結合しており、かつ
対イオンAが、
【化9】

を示すことを特徴とする、請求項16に記載の化合物。

【公表番号】特表2007−519760(P2007−519760A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551749(P2006−551749)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000389
【国際公開番号】WO2005/075413
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】