説明

グルタミン酸誘導体及びピログルタミン酸誘導体の製造方法並びに新規製造中間体

4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体をアルキル化剤によりアルキル化し、4−保護ヒドロキシ−4−アルキルグルタミン酸誘導体を得た後、加水分解及び保護基の脱保護工程を経て、モナティンに代表されるグルタミン酸誘導体を製造する方法。4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体はヒドロキシプロリンから容易に製造することができる。また4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体は4位が選択的かつ立体選択的にアルキル化され、アルキル化後は簡便にグルタミン酸誘導体に変換することができるため、特に光学純度の高いモナティンを効率的に製造するために好適に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、モナティンに代表されるグルタミン酸誘導体及びピログルタミン酸誘導体の製造方法、並びに当該製造方法に用いられる新規製造中間体に関する。
【背景技術】
モナティンに代表される特定のグルタミン酸誘導体は甘味剤、或いは医薬品等の製造中間体としての用途が期待される化合物である。モナティン(Monatin)は南アフリカの北部トランスバール(northern Transvaal)地方に自生する植物シュレロチトン イリシホリアス(Schlerochiton ilicifolius)の根皮から単離された天然由来のアミノ酸誘導体であり、R.Vleggaar等により、その構造は(2S,4S)−2−アミノ−4−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−(3−インドリル)ペンタン酸(((2S,4S)−4−ヒドロキシ−4−(3−インドリルメチル)−グルタミン酸;後記式(19)参照。)と報告されている(R.Vleggaar et.Al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.,3095−3098(1992)参照)。
また、この天然植物由来とされるモナティンの(2S,4S)体の甘味度(甘味強度)は、同文献によると、ショ糖の800倍とも1400倍とも報告されている。モナティンの合成法については、幾つかの方法が報告されているが工業的な製法として適当なものは無い(合成例としては、南アフリカ共和国特許出願第87/4288号明細書(P.J.van Wyk et.al.,ZA 87/4288)、C.W.Holzapfel et.al.,Synthetic Communications,24(22),3197−3211(1994)、米国特許第5,994,559号明細書、K.Nakamura et.al.,Organic Letters,2,2967−2970(2000)等が参照される)。
D.J.Oliveira等(D.J.Oliveira et.al.,Tetrahedron Letters,42,6793−6796(2001)参照。)は、下式(16)で示されるラクタム誘導体のアルキル化を行い、その後に、加水分解及び酸化反応に付すことで、下式(17)で示される保護基の付いたモナティン誘導体が立体選択的に合成されることが報告されている。

[式中、TBDMSはt−ブチルジメチルシリル(t−butyldimethylsilyl)基を示し、Cbzはベンジルオキシカルボニル(benzyloxycarbonyl)基を示し、tBocはt−ブトキシカルボニル(t−butoxycarbonyl)基を示し、Etはエチル(ethyl)基を示す。]

[式中、tBocは前記と同義である。]
この方法は、式(16)で示される化合物に活性水素が一つしかないために位置選択的なアルキル化が可能なものの、化合物(16)の調製に当たっては、ピログルタミン酸誘導体のカルボキシル基を一旦還元してヒドロキシメチル基に変換し、更に保護ヒドロキシメチル基に変換した後に4位への水酸基の導入を行っており、更に化合物(16)をアルキル化した後で、保護ヒドロキシメチル基を脱保護し、更にヒドロキシメチル基を酸化して再びカルボキシル基に戻すという煩雑な操作を行っている。
また、酸化反応に三酸化クロム(CrO)を用いているが、この試薬には毒性等の危険性が有り、これを用いた反応には製造法として多くの問題がある。更に、インドール環は酸化され易いため、インドール環を持つ化合物に対する酸化反応は製造工程に含まない方が望ましい。
また、上記の例とは異なるカルボキシル基が還元されていないピログルタミン酸誘導体の4位アルキル化については、例えば、J.Ezquerra等(J.Org.Chem.,59,4327−4331,(1994)参照。)が、下式(18)で示されるピログルタミン酸誘導体の4位をジアルキル化して、4,4−ジアルキルピログルタミン酸誘導体を得る方法を報告している。

[式中、tBoc及びEtは前記と同義である。]
しかしながら、後記式(1)で示される化合物のように4位に保護された水酸基を持ち尚且つカルボキシル基が還元されていないピログルタミン酸誘導体の4位への選択的アルキル化について報告された例はない。
【発明の開示】
本発明が解決しようとする課題は、モナティンに代表されるグルタミン酸誘導体及びその製造中間体として有用な化合物を、効率良く、簡便に製造しうる、工業的生産に適した製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、4位に保護された水酸基を持ち、且つカルボキシル基が還元されていない、式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体に着目し、該誘導体をアルキル化反応に付した場合も4位への位置及び立体選択的なアルキル化が可能であることを見出した。
即ち、式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体にアルキル化剤を作用させてアルキル化を行う場合の反応点としては、2位と4位の2ヶ所が考えられたが、本発明者等の検討の結果、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体の4位を選択的にアルキル化できることが見出された。また4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体の4位アルキル化は立体選択的に進行することが見出された。即ち、4位アルキル化においては、ピロリドン環に対して2位の置換基(−CO)が出ている面と逆の面からアルキル化が進行する。従って、アルキル化反応によって得られる4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体の2位と4位の相対的な立体配置は、モナティンの4種類の立体異性体のうち、(2S,4S)又は(2R,4R)−モナティンの2位と4位の相対的な立体配置と一致し、対応する立体配置を有するモナティンへと誘導することが可能である。
また本発明者らは、アルキル化反応によって得られる4−保護ヒドロキシ−4−置換グルタミン酸誘導体が、ラクタムの加水分解及び保護基の脱保護を行うのみで、モナティンに代表されるグルタミン酸誘導体を簡便に製造できることを見出した。
本発明者等はこれらの知見をもとに本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の内容を含むものである。
[1] 下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む。)をアルキル化反応に付して、下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(3)で示されるグルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
[2] 下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)をアルキル化反応に付することを特徴とする下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
[3] 下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(3)で示されるグルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む。)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
[4] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Rが炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基及び炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[1]又は[3]記載の製造方法。
[5] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Rが炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基及び炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[2]記載の製造方法。
[6] Rがベンジル基又はN−保護−3−インドリルメチル基である上記[1]〜[3]何れか記載の製造方法。
[7] アルキル化反応が下記式(4)で表されるアルキル化剤の存在下に行われる上記[1]又は[2]記載の製造方法;
−X (4)
式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
[8] アルキル化反応が塩基の存在下に行われる上記[7]記載の製造方法。
[9] 塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記[7]記載の製造方法。
[10] 塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記[7]記載の製造方法。
[11] 下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む。)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させ、下記式(6)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む。)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(7)で示されるモナティン誘導体(塩の形態にあるものを含む。)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
[12] 下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させることを特徴とする、下記式(6)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;


上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
[13] 下記式(6)で示される4−ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(7)で示されるモナティン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
[14] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[11]記載の製造方法。
[15] Rが水素原子、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[12]記載の製造方法。
[16] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[13]記載の製造方法。
[17] アルキル化反応が塩基の存在下に行われる上記[11]又は[12]記載の製造方法。
[18] 塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記[17]記載の製造方法。
[19] 塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記[17]記載の製造方法。
[20] 下記式(8)で示される光学活性4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させ、下記式(9)で示される光学活性4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(10)で示される光学活性モナティン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;


上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、*は不斉炭素原子であることを表し、式(8)中の2位の立体配置はR又はS、4位の立体配置はR、S又はRSであり、式(8)中の2位の立体配置がRのとき、式(9)及び式(10)の立体配置はそれぞれ(2R、4R)であり、式(8)の2位の立体配置がSのとき、式(9)及び式(10)の立体配置はそれぞれ(2S、4S)である。
[21] 下記式(8)で示される光学活性4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させることを特徴とする、下記式(9)で示される光学活性4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;


上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、*は不斉炭素原子であることを表し、式(8)中の2位の立体配置はR又はS、4位の立体配置はR、S又はRSであり、式(8)中の2位の立体配置がRのとき、式(9)の立体配置はそれぞれ(2R、4R)であり、式(8)の2位の立体配置がSのとき、式(9)の立体配置はそれぞれ(2S、4S)である。
[22] 下記式(9)で示される光学活性4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(10)で示される光学活性モナティン誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、*は不斉炭素原子であることを表し、式(9)の立体配置が(2R、4R)のとき、式(10)の立体配置は(2R、4R)であり、式(9)の立体配置が(2S,4S)のとき、式(10)の立体配置は(2S、4S)である。
[23] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[20]記載の製造方法。
[24] Rが水素原子、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[21]記載の製造方法。
[25] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[22]記載の製造方法。
[26] 式(8)で示される光学活性4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体と式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールとの反応が、塩基の存在下に行われる上記[20]又は[21]記載の製造方法。
[27] 塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記[26]記載の製造方法。
[28] 塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記[26]記載の製造方法。
[29] 下記式(11)で示される(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(15)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させ、下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(13)で示される(2R、4R)−モナティン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、式(11)中の4位の立体配置はR、S又はRSである。
[30] 下記式(11)で示される(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させることを特徴とする、下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;


上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、式(11)中の4位の立体配置はR、S又はRSである。
[31] 下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(13)で示される(2R、4R)−モナティン誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
[32] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[29]記載の製造方法。
[33] Rが水素原子、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[30]記載の製造方法。
[34] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[31]記載の製造方法。
[35] 式(11)で示される(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体と式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールとの反応が、塩基の存在下に行われる上記[29]又は[30]記載の製造方法。
[36] 塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記[26]記載の製造方法。
[37] 塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記[26]記載の製造方法。
[38] Rがメチル基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、Xが臭素原子を表し、P及びYがt−ブトキシカルボニル基を表す上記[29]記載の製造方法。
[39] Rがメチル基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、Xが臭素原子を表し、P及びYがt−ブトキシカルボニル基を表す上記[30]記載の製造方法。
[40] Rがメチル基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、P及びYがt−ブトキシカルボニル基を表す上記[31]記載の製造方法。
[41] 下記式(11)で示される(2R)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

式(11)中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、式(11)中の4位の立体配置はR、S又はRSである。
[42] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[41]記載の(2R)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体。
[43] Rがメチル基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基を表す上記[41]記載の(2R)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体。
[44] 下記式(14)で示されるN−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−D−ピログルタミン酸メチルエステル;

式中、tBocはt−ブトキシカルボニル基を表し、TBDMSはt−ブチルジメチルシリルオキシ基を表す。
[45] 下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
[46] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Rが炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基及び炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[45]記載の4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体。
[47] 下記式(6)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
[48] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記47記載の4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体。
[49] 下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
[50] Rが炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記[49]記載の(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体。
[51] 下記式(15)で示されるN−t−ブトキシカルボニル−(4R)−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−4−ベンジル−D−ピログルタミン酸メチルエステル;

式中、tBocはt−ブトキシカルボニル基を表し、TBDMSはt−ブチルジメチルシリルオキシ基を表す。
尚、天然型モナティンはその立体構造において(2S,4S)体を示すことが知られているが、本明細書においては、立体配置が異なる同一の構造式を有する化合物を全て含めて「モナティン」と総称する。また個々の立体異性体については、その立体異性を明示して「(2S,4S)−モナティン)」、「(2R,4R)−モナティン」等と称することがある。
本発明においては、式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体をアルキル化反応に付して、式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付し、式(3)で示されるグルタミン酸誘導体を製造する。
式(1)、式(2)及び式(3)で表される化合物は塩の形態であってもよい。本明細書において、特に断らない限り、これらの化合物には塩の形態が含まれるものとする。例えば、R、R及びRの少なくとも一つが水素原子である場合、即ち当該化合物がカルボキシル基を有する場合には、式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体、式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体及び式(3)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換グルタミン酸誘導体(グルタミン酸誘導体)は塩の形態でもよい。塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基との反応による塩、または塩酸などの無機酸や酢酸などの有機酸による酸付加塩を挙げることができる。
式(1)〜(3)中、Rは、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表す。Rはとして、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を挙げることができる。R及びRとして、好ましくは水素原子を挙げることができる。
式(1)及び(2)中、Rは水酸基の保護基を表す。水酸基の保護基としては、当業者に通常使用されているものを用いることができ、例えばt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
式(1)及び(2)中、Pはイミノ基の保護基を表す。イミノ基の保護基としては、アミノ基、イミノ基の保護基として当業者に通常使用されているものを用いることができ、例えばt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基等が挙げられる。
式(2)及び(3)中、Rは置換基を有してもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表す。
炭化水素基としては例えば炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基及び炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基を挙げることができる。複素環含有炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基が挙げられる。炭化水素基(又は複素環含有炭化水素基)は、鎖式構造、環式構造、又は双方の構造、何れの構造を含んでいてもよい。また鎖式構造を有する場合は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよい。
置換基を有していてもよい場合の置換基としては、例えばハロゲン原子(ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素原子等)、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。Rで表される基が、アミノ基、イミノ基、水酸基等の置換基を有する場合、当該置換基は上述したようなアミノ基、イミノ基、水酸基等の保護基で保護されていてもよい。またRで表される基がインドリルメチル基のように、その骨格内にインドリル基を有する場合、当該インドリル基は上述したようなイミノ基の保護基で保護されていてもよい。
で表される好ましい基としては、例えばベンジル基、又はN−保護−3−インドリルメチル基等を挙げることができる。
としてN−保護−3−インドリルメチル基を用いた場合、本発明はモナティンの製造方法として好適に使用される。N−保護−3−インドリルメチル基におけるインドリル基の保護基は上述したイミノ基の保護基と同じものを挙げることができる。
本発明に使用する式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン誘導体は、X.Zhang等(Tetrahedron Letters 42,5335−5338(2001)参照。)に記載された方法と同様の方法、またはこれに準じた方法、或いは必要によりペプチド化学で慣用される合成法を適用して、4−ヒドロキシプロリンを出発原料として容易に製造することができる。例えば、4−ヒドロキシプロリンを、好ましくはエステル化(例えばメチルエステル化)した後に、そのイミノ基に保護基(例えばt−ブトキシカルボニル基)、水酸基に保護基(例えばt−ブチルジメチルシリル基)をそれぞれ導入し、酸化ルテニウム及び過ヨウ素酸ナトリウムを用いた酸化反応に付すことにより目的とする4−保護ヒドロキシピログルタミン誘導体を得ることができる。
4−ヒドロキシプロリンとしては、目的とする化合物に応じて、シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリンの各光学異性体を用いることができる。例えば、(2S,4S)−モナティンを製造する場合、シス又はトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを用いて(2S)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体を製造し、これを本発明の製造方法の出発物質とすればよく、(2R,4R)−モナティンを製造する場合、シス又はトランス−4−ヒドロキシ−D−プロリンを用いて(2R)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体を製造し、これを本発明の製造方法の出発物質とすればよい。
式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体としては、例えば、Rがメチル基、Rがt−ブチルジメチルシリル基、Pがt−ブトキシカルボニル基である化合物を好ましい例として挙げることができる。また式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換保護ピログルタミン酸誘導体としては、例えば、Rがメチル基、Rがt−ブチルジメチルシリル基、RがN−t−ブトキシカルボニル−3−インドリルメチル基、及びPがt−ブトキシカルボニル基である化合物を好ましい例として挙げることができる。
尚、2位の立体化学が(R)である式(11)で示される(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む。)は新規物質である。
式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体のアルキル化反応は、アルキル化剤の存在下に行うことができる。尚、本発明において、「アルキル化」とは、メチル基、エチル基、ブチル基等の狭義のアルキル基のみの導入を意味することなく、例えば置換基を有していてもよい炭化水素残基の導入も含まれ、具体的には、Rで表される基を式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体に導入することを意味する。また「アルキル化剤」は、当該アルキル化に使用する試薬を意味する。アルキル化剤としてはハロゲン化アルキル(塩素化アルキル、臭素化アルキル、ヨウ素化アルキル等)を挙げることができ、具体的には、下記式(4)で示される化合物を挙げることができる。
−X (4)
[式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
について、より詳細は前記に説明した通りである。Xで表されるハロゲン原子の好ましいものとして、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
本発明によりモナティンの製造を行う場合、アルキル化剤としては下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールを用いることができる。

[式中、Yはインドリル基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
Yで表されるインドリル基の保護基としては、アミノ基、イミノ基の保護基として当業者に通常使用されているものを用いることができ、例えばt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基等が挙げられる。Xで表されるハロゲン原子については前述の通りである。式(5)で表されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールとしては、特に、Yがt−ブトキシカルボニル基であり、Xが臭素原子である、N−t−ブトキシカルボニル−3−ブロモメチルインドール(N−t−Butoxycarbonyl−3−bromomethylindole)が好ましい。
本発明におけるアルキル化反応には塩基を用いるのが好ましい。使用する場合の塩基の例としては、ヘキサメチルジシラザン・リチウム塩(Hexamethyldisilazane Lithium Salt)[リチウムヘキサメチルジシラザン(Lithium Hexamethyldisilazane)]、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩(Hexamethyldisilazane Potassium Salt)[ポタッシウムヘキサメチルジシラザン(Potassium Hexamethyldisilazanide)]、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩(Hexamethyldisilazane Sodium Salt)[ソディウムヘキサメチルジシラザン(Sodium Hexamethyldisilazanide)]、リチウムジイソプロピルアミド(Lithium Diisopropylamide)、ノルマルブチルリチウム(n−Butyllithium)等を挙げることができる。
用いる塩基の使用量は、モル比で、出発物質である4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し好ましくは1.0〜2.0程度、より好ましくは1.0〜1.3程度を選択することができる。出発物質が塩の形態にあるもの或いは塩の形態を含む場合、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体の遊離体としてのモル量を考慮して、モル比で上記範囲を適宜選択して使用することができる。
本発明におけるアルキル化反応は溶媒の存在下に行うのが好ましい。使用する溶媒は、当該反応に不活性な溶媒であれば特に制限はされない。好ましい溶媒としては、テトラヒドロフラン、エーテル、ジメトキシエタン、トルエン及びこれらの任意の混合溶媒を挙げることができる。
本発明におけるアルキル化反応においては、HMPA(ヘキサメチルホスホルアミド:Hexamethylphosphoramide)或いはDMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン:1,3−Dimethyl−3,4,5,6−tetrahydro−2(1H)−pyrimidinone)を添加して反応を行ってもよい。
本発明におけるアルキル化反応においては、用いる溶媒や添加物はできるだけ水分を除いたものを使用することが反応促進の上から望ましい。また、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で行うのが望ましい。
本発明におけるアルキル化反応の反応時間は特に限定されないが、好ましくは0.5〜24時間程度、より好ましくは1〜5時間程度を選択することができる。反応温度も特に限定されず、好ましくは−80〜50℃程度、より好ましくは−78〜30℃程度を選択することができる。
反応終了後は、抽出、クロマトグラフィー、晶析等、当業者に公知の方法を適宜適用して目的物を単離、精製することができる。尚、式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体は新規物質である。
このようにして得られる式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体は、加水分解及び脱保護工程を経て、式(3)で示されるグルタミン酸誘導体へと導くことができる。
本発明における「加水分解及び脱保護工程」とは、具体的には加水分解反応及び保護基の脱保護反応を行うことにより、式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体を、式(3)で示されるグルタミン酸誘導体へと導く工程を言う。
加水分解及び脱保護工程における加水分解は、主としてラクタム環を形成する結合を分解する反応として定義される。また加水分解及び脱保護工程における脱保護は、主としてRで表される水酸基の保護基、およびPで表されるイミノ基の保護基を脱保護する反応として定義される。
加水分解反応と脱保護反応の順番に特に限定はない。加水分解が脱保護反応を兼ねる場合(又は脱保護反応が加水分解反応を兼ねる場合)があるが、このように加水分解反応と脱保護反応が明確に区別されない場合も本発明にいう「加水分解及び脱保護工程」に含めることができる。
なお通常、加水分解によるラクタム環の開環反応では、式(3)中のRが水素原子である4位カルボキシル基を生成するが、例えば、加水分解をアルコール溶媒存在下で行った場合、4位のカルボキシル基がアルコールとのエステルとなることがある。このエステルが加水分解及び脱保護工程でカルボキシル基に変換されない場合、式(3)中のRはアルコール由来の炭化水素基となる。
また式(2)中のRが炭化水素基を表すとき、すなわち−COORがアルコキシカルボニル基である時、該アルコキシカルボニル基は加水分解及び脱保護工程を経た後、カルボキシル基に変換される場合がある。この場合式(2)中でRが炭化水素基であっても、式(3)中のRは水素原子となる。また加水分解及び脱保護工程の前に、アルコキシカルボニル基をカルボキシル基に変換する工程を含めることもできる。例えば、−COORがベンジルオキシカルボニル基(Rがベンジル基)であるとき、加水分解及び脱保護工程に先だって、これを接触水素添加反応によりカルボキシル基(Rが水素原子)へ誘導することができる。
式(3)中、R及び/又はRが炭化水素基である化合物、即ち式(3)中、アルコキシカルボニル基を有する化合物は、酸または塩基による加水分解等、当業者に公知の方法で、該アルコキシカルボニル基をカルボキシル基に変換し、R及び/又はRが水素原子である化合物に誘導することができる。
なお、式(2)中のRで表される基が、その構造中に、保護されたイミノ基、保護されたアミノ基、保護されたインドリル基、保護されたヒドロキシル基等を有するとき、これらイミノ基、アミノ基、インドリル基、ヒドロキシル基等の保護基も加水分解及び脱保護工程を経て脱保護される場合がある。従って、式(3)中のRと式(2)のRは同一の基を表さない場合がある。
加水分解反応は、塩基との反応、酸との反応、接触水素添加反応、フッ素化物との反応等によって行うことができる。なお脱保護反応もこれらの反応により行うことができる。
ラクタム環の加水分解反応は、好ましくは塩基による加水分解反応が適用される。塩基としては、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。
塩基を使用する場合、塩基の使用量については、モル比で、当該化合物(遊離体)1に対し、好ましくは1〜50程度、より好ましくは5〜20程度の塩基を選択することができる。4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体が塩の形態にあるもの或いは塩の形態を含む場合、4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体の遊離体としてのモル量を考慮して、モル比で上記範囲を適宜選択して使用することができる。
加水分解反応に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の水と混ざり合う有機溶媒と水の混合溶媒を反応溶媒として用いることができる。
なお、通常このような加水分解反応により、ラクタム環と同時にエステル結合も加水分解され、化合物中に存在するアルコキシカルボニル基はカルボキシル基へと変換される。
加水分解の反応時間としては、好ましくは1〜48時間程度、より好ましくは3〜15時間程度を選択することができる。加水分解の反応温度としては、好ましくは0〜100℃程度、より好ましくは20〜50℃程度を選択することができる。
前記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体の保護基の脱保護、例えばイミノ基、アミノ基、インドリル基、水酸基等の保護基を除去するには、ペプチド化学等で通常採用される脱保護方法に従えばよい。例えば、上記に説明した加水分解反応と同様の方法で行うことができる。例えば、t−ブトキシカルボニル基やt−ブチルジメチルシリル基は酸で、ベンジルオキシカルボニル基は接触水素添加反応で除去すればよい。また、例えば、t−ブチルジメチルシリル基のみを脱保護したい場合にはフッ素化物を用いればよい。
本発明の製造方法により得られる式(3)で示されるグルタミン酸誘導体は、反応終了後、抽出、クロマトグラフィー、晶析等、当業者に公知の方法を適宜適用して単離、精製することができる。好ましくは、塩酸等の酸との塩、アンモニア等の塩基との塩、ナトリウム等の金属による塩、或いは遊離の形態で水、アルコール或いはこれらの混合溶媒から晶析して、結晶として得ることができる。
尚、グルタミン酸誘導体が塩の形態で得られた場合に、塩を遊離体に変換すること、又は他の塩へ交換すること、或いは遊離体で得られた場合に塩の形態に変換することは、当業者に公知の遊離体形成反応、他の塩との塩形成反応、塩交換反応等を適宜適用して実施することができる。
本発明の製造方法におけるアルキル化反応は、目的とする基を式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体の4位に選択的に反応させることができ、かつこの反応は立体選択的に進行する。また、その後の加水分解及び脱保護工程を得た後も立体配置が保持される。従って、本発明の製造方法は光学活性を有する4−保護ヒドロキシ−4置換ピログルタミン酸誘導体、光学活性を有するグルタミン酸誘導体、特に光学活性モナティンの製造方法として極めて有用である。
例えば、式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体として(2S)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体を用いれば、下記式(19)で示される(2S,4S)−モナティンを選択的に製造することができ、また(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体を用いれば、下記式(20)で示される(2R,4R)−モナティンを選択的に製造することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は当該実施例に何等限定されるものではない。
H−NMRスペクトルについては、Bruker AVANCE400(400MHz)により、MSスペクトルについては、Thermo Quest TSQ700により、それぞれ測定した。
【実施例1】
N−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−D−ピログルタミン酸メチルエステルの合成

シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン(cis−4−hydroxy−D−proline)を出発原料とし、X.Zhang等(Tetrahedron Letters,42,5335−5338(2001)参照)の方法に準じて、N−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−D−ピログルタミン酸メチルエステル(N−t−Butoxycarbonyl−4−t−butyldimethylsilyloxy−D−pyroglutamic acid methyl ester)を総収率66%で無色油状物として得た。
(MSスペクトル)
ESI−MS:374.6(M+H)、396.59(M+Na)
(NMRスペクトル)
H−NMR(CDCl、400MHz)δppm:0.11(s,3H),0.16(s,3H),0.89(s,9H),1.50(s,9H),1.99(m,1H),2.57(m,1H),3.76(s,3H),4.28(t、1H),4.46(t,1H)。
【実施例2】
(2R,4R)−モナティンの合成

上記N−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−D−ピログルタミン酸メチルエステル1.45g(3.9ミリモル)をアルゴン雰囲気下に無水THF(テトラヒドロフラン)15mlに溶解した。得られた溶液を−78℃に冷却し、LHMDS(リチウムヘキサメチルジシラザン)2.8ml(4.8ミリモル;1.7ミリモル/ml)を加え1時間攪拌した。反応液にN−t−ブトキシカルボニル−3−ブロモメチルインドール(N−t−butoxycarbonyl−3−bromomethylindole)1.30g(4.2ミリモル)をTHF4mlに溶かした溶液を滴下し、−78℃で25分、室温で2時間攪拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチル50mlで2回抽出操作を行った。有機層を水50ml及び飽和食塩水50mlで洗い無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過して除き、濾液を減圧濃縮した。残渣をPTLC(分取薄層クロマトグラフィー)で精製しN−t−ブトキシカルボニル−(4R)−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−4−(N−t−ブトキシカルボニル−3−インドリルメチル)−D−ピログルタミン酸メチルエステル(N−t−Butoxycarbonyl−(4R)−4−t−butyldimethylsilyloxy−4−(N−t−butoxycarbonyl−3−indolylmetyl)−D−pyroglutamic acid methyl ester)1.21g(2.01ミリモル)を得た。H−NMRスペクトルでは当該化合物異性体の他に極僅かの(数%)の不純物由来のピークが観測された。
(MSスペクトル)
ESI−MS:626.0(M+Na)
(NMRスペクトル)
H−NMR(CDCl、400MHz)δppm:0.14(s,3H),0.30(s,3H),0.87(s,9H),1.45(s,9H),1.66(s,9H),2.09(dd,1H),2.42(dd,1H),3.02(d,1H),3.19(d,1H),3.71(s,3H),4.16(m,1H),7.22−7.32(m,2H),7.49(m,2H),8.17(brd,1H)。
上記化合物544mg(0.90ミリモル)をイソプロパノール6ml、THF3ml及び水8mlの混合溶媒に溶解し、0℃に保った。反応液に水酸化リチウムの1水和物605mg(14.43ミリモル)を加え室温で5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に水15mlを加え、2N−塩酸で溶液のpH値を3に調整した。酢酸エチル50mlで2回抽出操作を行い、有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過して除き濾液を減圧濃縮した。
残渣をギ酸4mlに溶解し、反応液を0℃に保った。これに4N−HCl/ジオキサン溶液4mlを加え室温で30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を水10mlに溶かし、エーテル20mlと酢酸エチル20mlで洗った。水溶液を2N−NaOHで中和し、約5分の1に濃縮した後にエタノール20mlを加えた。得られた結晶を濾過して集め減圧乾燥して(2R,4R)−モナティン((2R,4R)−Monatin)155mg(0.49ミリモル)をナトリウム塩として得た。光学活性カラムを用いてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で光学異性体の分析を行った所、(2R,4R)−体と(2R,4S)−体の異性体のみが検出され、そのピーク積分値の比は98:2であった。
(MSスペクトル)
ESI−MS:291(M−H)
(NMRスペクトル)
H−NMR(400MHz,DO)δppm:
<(2R,4R)−モナティン ナトリウム塩>
1.99(dd,1H,J=11.8Hz,J=15.2Hz),2.60(dd,1H,J=1.9Hz,J=15.2Hz),3.02(d,1H,J=14.6Hz),3.22(d,1H,J=14.6Hz),3.57(d,1H,J=10.2Hz),7.08(t,1H,J=7.2Hz),7.15(t,1H,J=7.2Hz),7.16(s,1H),7.42(d,1H,J=8.0Hz),7.66(d,1H,J=8.0Hz)。
【実施例3】
(2R,4R)−4−ヒドロキシ−4−ベンジルグルタミン酸の合成

N−t−ブトキシカルボニル−3−ブロモメチルインドールの替わりに、ベンジルブロミド(benzylbromide)を用いる以外は実施例2と同様にして、N−t−ブトキシカルボニル−(4R)−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−4−ベンジル−D−ピログルタミン酸メチルエステル(N−t−Butoxycarbonyl−(4R)−4−t−butyldimethylsilyloxy−4−benzyl−D−pyroglutamic acid methyl ester)を収率46.0%で固体として得た。H−NMRスペクトルでは単一の立体異性体が観測された。
(MSスペクトル)
ESI−MS:464.8(M+H),486.8(M+Na)
(NMRスペクトル)
H−NMR(CDCl、400MHz)δppm:0.13(s,3H),0.29(s,3H),0.86(s,9H),1.46(s,9H),1.96(dd,1H),2.45(dd,1H),2.88(d,1H),3.16(d,1H),3.71(s,3H),3.80(m,1H),7.20−7.31(m,5H)。
上記化合物を用い、実施例2と同様にして(2R,4R)−4−ヒドロキシ−4−ベンジルグルタミン酸((2R,4R)−4−Hidroxy−4−benzylglutamic acid)のナトリウム塩を57.4%の収率で得た。光学活性カラムを用いてHPLCで光学異性体の分析を行った所、(2R,4R)−体と(2R,4S)−体の異性体のみが検出され、そのピーク積分値の比は99:1以上であった。
(MSスペクトル)
ESI−MS:252(M−H)
(NMRスペクトル)
H−NMR(400MHz,DO)δppm:
<(2R,4R)−4−ヒドロキシ−4−ベンジルグルタミン酸 ナトリウム塩>
1.95(dd,1H,J=11.8Hz,J=15.3Hz),2.56(d,1H,J=15.2Hz),2.81(d,1H,J=13.6Hz),3.07(d,1H,J=13.6Hz),3.55(d,1H,J=11.8Hz),7.19−7.31(m,5H)。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、甘味剤として知られるモナティンに代表されるグルタミン酸誘導体、その製造中間体となる4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体を効率良く簡便に製造することができる。本発明における4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体のアルキル化反応は、4位選択的に、かつ立体選択的に行うことができるため、光学活性を有するグルタミン酸誘導体、特に光学活性モナティンの製造方法として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)をアルキル化反応に付して、下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(3)で示されるグルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
【請求項2】
下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)をアルキル化反応に付することを特徴とする下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;


上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
【請求項3】
下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(3)で示されるグルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
【請求項4】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Rが炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基及び炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲1又は3記載の製造方法。
【請求項5】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Rが炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基及び炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲2記載の製造方法。
【請求項6】
がベンジル基又はN−保護−3−インドリルメチル基である上記請求の範囲1〜3何れか記載の製造方法。
【請求項7】
アルキル化反応が下記式(4)で表されるアルキル化剤の存在下に行われる上記請求の範囲1又は2記載の製造方法;
−X (4)
式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び置換基を有していてもよい複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【請求項8】
アルキル化反応が塩基の存在下に行われる上記請求の範囲7記載の製造方法。
【請求項9】
塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記請求の範囲7記載の製造方法。
【請求項10】
塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記請求の範囲7記載の製造方法。
【請求項11】
下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させ、下記式(6)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(7)で示されるモナティン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
【請求項12】
下記式(1)で示される4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させることを特徴とする、下記式(6)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法。


上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
【請求項13】
下記式(6)で示される4−ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(7)で示されるモナティン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
【請求項14】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲11記載の製造方法。
【請求項15】
が水素原子、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲12記載の製造方法。
【請求項16】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲13記載の製造方法。
【請求項17】
アルキル化反応が塩基の存在下に行われる上記請求の範囲11又は12記載の製造方法。
【請求項18】
塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記請求の範囲17記載の製造方法。
【請求項19】
塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記請求の範囲17記載の製造方法。
【請求項20】
下記式(8)で示される光学活性4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させ、下記式(9)で示される光学活性4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(10)で示される光学活性モナティン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、*は不斉炭素原子であることを表し、式(8)中の2位の立体配置はR又はS、4位の立体配置はR、S又はRSであり、式(8)中の2位の立体配置がRのとき、式(9)及び式(10)の立体配置はそれぞれ(2R、4R)であり、式(8)の2位の立体配置がSのとき、式(9)及び式(10)の立体配置はそれぞれ(2S、4S)である。
【請求項21】
下記式(8)で示される光学活性4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させることを特徴とする、下記式(9)で示される光学活性4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、*は不斉炭素原子であることを表し、式(8)中の2位の立体配置はR又はS、4位の立体配置はR、S又はRSであり、式(8)中の2位の立体配置がRのとき、式(9)の立体配置はそれぞれ(2R、4R)であり、式(8)の2位の立体配置がSのとき、式(9)の立体配置はそれぞれ(2S、4S)である。
【請求項22】
下記式(9)で示される光学活性4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(10)で示される光学活性モナティン誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;


上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、*は不斉炭素原子であることを表し、式(9)の立体配置が(2R、4R)のとき、式(10)の立体配置は(2R、4R)であり、式(9)の立体配置が(2S,4S)のとき、式(10)の立体配置は(2S、4S)である。
【請求項23】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲20記載の製造方法。
【請求項24】
が水素原子、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲21記載の製造方法。
【請求項25】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲22記載の製造方法。
【請求項26】
式(8)で示される光学活性4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体と式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールとの反応が、塩基の存在下に行われる上記請求の範囲20又は21記載の製造方法。
【請求項27】
塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記請求の範囲26記載の製造方法。
【請求項28】
塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記請求の範囲26記載の製造方法。
【請求項29】
下記式(11)で示される(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(15)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させ、下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を製造した後、当該誘導体を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(13)で示される(2R、4R)−モナティン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、式(11)中の4位の立体配置はR、S又はRSである。
【請求項30】
下記式(11)で示される(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を下記式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールと反応させることを特徴とする、下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表し、式(11)中の4位の立体配置はR、S又はRSである。
【請求項31】
下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む)を加水分解及び脱保護工程に付することを特徴とする下記式(13)で示される(2R、4R)−モナティン誘導体(塩の形態にあるものを含む)の製造方法;

上記式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
【請求項32】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲29記載の製造方法。
【請求項33】
が水素原子、炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Xが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲30記載の製造方法。
【請求項34】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲31記載の製造方法。
【請求項35】
式(11)で示される(2R)−4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体と式(5)で示されるN−保護−3−ハロゲノメチルインドールとの反応が、塩基の存在下に行われる上記請求の範囲29又は30記載の製造方法。
【請求項36】
塩基がヘキサメチルジシラザン・リチウム塩、リチウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・カリウム塩、ポタッシウムヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン・ナトリウム塩、ソディウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ノルマルブチルリチウムから選ばれる1種以上の塩基である上記請求の範囲26記載の製造方法。
【請求項37】
塩基の使用量が、モル比で、4−保護ヒドロキシピログルタミン酸誘導体1に対し1.0〜2.0である上記請求の範囲26記載の製造方法。
【請求項38】
がメチル基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、Xが臭素原子を表し、P及びYがt−ブトキシカルボニル基を表す上記請求の範囲29記載の製造方法。
【請求項39】
がメチル基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、Xが臭素原子を表し、P及びYがt−ブトキシカルボニル基を表す上記請求の範囲30記載の製造方法。
【請求項40】
がメチル基を表し、R及びRが水素原子を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、P及びYがt−ブトキシカルボニル基を表す上記請求の範囲31記載の製造方法。
【請求項41】
下記式(11)で示される(2R)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

式(11)中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、式(11)中の4位の立体配置はR、S又はRSである。
【請求項42】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲41記載の(2R)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体。
【請求項43】
がメチル基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基を表す上記請求の範囲41記載の(2R)−4−ヒドロキシピログルタミン酸誘導体。
【請求項44】
下記式(14)で示されるN−t−ブトキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−D−ピログルタミン酸メチルエステル;

式中、tBocはt−ブトキシカルボニル基を表し、TBDMSはt−ブチルジメチルシリルオキシ基を表す。
【請求項45】
下記式(2)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基及び複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pはイミノ基の保護基を表す。
【請求項46】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Rが炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアラルキル基及び炭素数1〜20の複素環含有炭化水素基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲45記載の4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体。
【請求項47】
下記式(6)で示される4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
【請求項48】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、Pがt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記47記載の4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体。
【請求項49】
下記式(12)で示される(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体(塩の形態にあるものを含む);

上記式中、Rは水素原子及び炭化水素基から選ばれる基を表し、Rは水酸基の保護基を表し、Pはイミノ基の保護基を表し、Yはインドリル基の保護基を表す。
【請求項50】
が炭素数1〜5のアルキル基及びベンジル基から選ばれる基を表し、Rがt−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ベンジル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基から選ばれる基を表し、P及びYがそれぞれ独立してt−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及びベンジル基から選ばれる基を表す上記請求の範囲49記載の(2R、4R)−4−保護ヒドロキシ−4−置換ピログルタミン酸誘導体。
【請求項51】
下記式(15)で示されるN−t−ブトキシカルボニル−(4R)−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−4−ベンジル−D−ピログルタミン酸メチルエステル;

式中、tBocはt−ブトキシカルボニル基を表し、TBDMSはt−ブチルジメチルシリルオキシ基を表す。

【国際公開番号】WO2004/067494
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567573(P2004−567573)
【国際出願番号】PCT/JP2003/017016
【国際出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】