説明

ゲル化剤、ゲル状組成物および化粧料

【課題】シリコーンオイルをゲル化でき、取り扱いの容易なゲル化剤および、熱安定性、経時安定性に優れ、チキソトロピックなレオロジー特性を有し、化粧料への配合が容易なゲル状組成物および化粧料を提供する。
【解決手段】
平均単位式:RSiO(4−a−b−c)/2 (1)
〔式中、Rは一価炭化水素基または一価置換炭化水素基であり、
は一般式:-R4-O-(C2H4O)d(C3H6O)eR5(2)で示されるポリオキシアルキレン基であり、Rは一般式:−R4-O-C(CH2OH)H(OH)(3)で示されるカルビノール基を有する有機基(式中、Rはアルキレン基であり、1≦f≦10,1≦gであり、(g+i+h)=2f+1の関係を満たす)であり、
a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.0009≦b≦0.5、0.0009≦c≦0.5である。ただし、c≦bである。〕で示されるシリコーン化合物からなるゲル化剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレン基と1以上の末端ヒドロキシル基を有する有機基とを有するシリコーン化合物からなるゲル化剤に関するものであり、シリコーンオイル、低極性有機化合物および非極性有機化合物のゲル化剤に関するものである。さらに、本発明は該ゲル化剤とシリコーンオイル、低極性有機化合物または非極性有機化合物とからなるゲル状組成物に関し、該ゲル化剤または該ゲル状組成物を配合した経日安定性、感触、洗浄性、保湿性、ツヤ、化粧持続性、液ダレ防止性、製品の外観、クレンジング能力等に優れた化粧料および化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンオイル、特に低粘度のシリコーンオイルは、その優れた進展性、さっぱり感、潤滑性、撥水性、安全性等から多くの化粧品に配合されている。しかしながらシリコーンオイルは一般に他の油剤との相溶性が低く、安定性に優れた製品を調製することが困難であった。たとえば、低粘度のシリコーンオイルを基材とするゲル状製品を得るためにワックスを配合しても安定なものは得られず、しかも外観が濁るという問題点があった。また、ワックスの代わりに架橋型シリコーンを使用するとエラストマーの感触が前面にでるためにべたつき感が残り、シリコーンオイル本来のさっぱり感が失われるという欠点があった。これを解決するため特許文献1では、シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト等の有機変性粘土鉱物および水からなるゲル状シリコーン組成物が提案されている。しかしながら、このゲル状シリコーン組成物もやはり経時的に有機変性粘土鉱物が凝集してシリコーンオイルが分離するという問題があり、さらにこのゲル状シリコーン組成物を皮膚または毛髪に塗布すると、べとつき感があるという問題があった。
【0003】
特許文献2にも、シリコーンオイルのゲル化剤としてポリエーテルグラフト型オルガノポリシロキサンが提案されている。このゲル化剤より得られたゲル状組成物の経時安定性を向上させるにはポリマーの分子量を大きくしなければならず、それに伴い粘度が増大し、ハンドリングが悪くなるという欠点があった。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−113646号公報
【特許文献2】特開平7−215817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、シリコーンオイル、非極性有機化合物および低極性有機化合物をゲル化でき、取り扱いの容易なゲル化剤および、熱安定性、経時安定性に優れ、チキソトロピックなレオロジー特性を有し、化粧料への配合が容易なゲル状組成物を提供することを目的とする。また、該ゲル化剤または該ゲル状組成物を配合することで、経日安定性、保湿性、感触、ツヤ、洗浄性、液ダレ防止、製品の外観、クレンジング能力等に優れた化粧料および化粧品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、
平均単位式:RSiO(4−a−b−c)/2 (1)
〔式中、Rは一価炭化水素基または一価置換炭化水素基(ただし、R,Rに該当するものを除く)であり、
は一般式:−R−O−(CO)(CO)(2)で示されるポリオキシアルキレン基(式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基であり、Rは水素原子,炭素原子数1〜30のアルキル基またはR−(CO)−で表される有機基(Rは炭素原子数1〜30のアルキル基)から選択される基であり、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数である。ただし、1≦d+eである)であり、
は一般式:−R−O−C(CHOH)H(OH)(3)で示される1以上のカルビノール基を有する有機基(式中、Rは前記と同じであり、f,g,iおよびhはそれぞれ1≦f≦10,1≦g,(g+i+h)=2f+1の関係を満たす整数である)であり、
a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.0009≦b≦0.5、0.0009≦c≦0.5である。ただし、c≦bである。〕で示されるシリコーン化合物からなるゲル化剤を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
さらに、本発明者らは、
(A)前記のシリコーン化合物からなるゲル化剤 2〜30重量%、
(B)シリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物 20〜95重量%および
(C)水 0.2〜80重量%
からなることを特徴とするゲル状組成物および、該ゲル状組成物を含む化粧料により、前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、
「〔1〕平均単位式:RSiO(4−a−b−c)/2 (1)
〔式中、Rは一価炭化水素基または一価置換炭化水素基(ただし、R,Rに該当するものを除く)であり、
は一般式:−R−O−(CO)(CO)(2)で示されるポリオキシアルキレン基(式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基であり、Rは水素原子,炭素原子数1〜30のアルキル基またはR−(CO)−で表される有機基(Rは炭素原子数1〜30のアルキル基)から選択される基であり、d、eはそれぞれ0≦c≦50、0≦d≦50の整数である。ただし、1≦d+eである)であり、
は一般式:−R−O−C(CHOH)(OH)(3)で示される1以上のカルビノール基を有する有機基(式中、Rは前記と同じであり、f,g,iおよびhはそれぞれ1≦f≦10,1≦g,(g+i+h)=2f+1の関係を満たす整数である)であり、
a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.0009≦b≦0.5、0.0009≦c≦0.5である。ただし、c≦bである。〕で示されるシリコーン化合物からなるゲル化剤。
〔2〕シリコーン化合物が、下記構造式(4)
【化1】

(式中、R,R,Rは前記どおりであり、AはR,RおよびRから選択される同一または異種の基であり、m,n,pはそれぞれ50≦m≦1000、2≦n≦40、1≦p≦20である。ただし、p≦nである)
で示される〔1〕に記載のゲル化剤。
〔3〕Rが下式で示される一群のカルビノール基を有する有機基から選択される基である〔1〕または〔2〕に記載のゲル化剤。
【化2】

(式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基)
〔4〕シリコーン化合物の25℃における粘度が5,000〜1,000,000mPa・sの範囲にある〔1〕または〔2〕に記載のゲル化剤。
〔5〕シリコーンオイル(平均単位式(1)または構造式(4)で示されるシリコーン化合物を除く)用、非極性有機化合物用または低極性有機化合物用である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のゲル化剤。
〔6〕シリコーンオイルが25℃における粘度が0.65〜100,000mPa・sの疎水性シリコーンオイルである〔5〕に記載のゲル化剤。
〔7〕ゲル化剤のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)の50重量%溶液の粘度が1,000〜100,000mPa・sの範囲にある〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のゲル化剤。
〔8〕(A)〔1〕〜〔5〕または〔7〕のいずれか1項に記載のゲル化剤 2〜30重量%、
(B)シリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物 20〜95重量%および
(C)水 0.2〜80重量%
からなることを特徴とするゲル状組成物。
〔9〕(B)成分が25℃における粘度が0.65〜100,000mPa・sの疎水性シリコーンオイルである〔8〕に記載のゲル状組成物。
〔10〕(B)成分の一部または全部が揮発性である〔8〕に記載のゲル状組成物。
〔11〕屈折率が1.20〜1.60の範囲にある〔8〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のゲル状組成物。
〔12〕〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のゲル化剤を含有する化粧料。
〔13〕〔8〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のゲル状組成物を含有する化粧料。
〔14〕〔12〕または〔13〕に記載の化粧料からなる皮膚化粧料。
〔15〕〔12〕または〔13〕に記載の化粧料からなるクレンジング化粧品。」に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、シリコーンオイル、非極性有機化合物および低極性有機化合物を水と共にゲル化することでき、取り扱いの容易なゲル化剤および、熱安定性、経時安定性に優れ、チキソトロピックなレオロジー特性を有し、化粧料への配合が容易なゲル状組成物を提供することができる。また、該ゲル化剤または該ゲル状組成物を配合することで、経日安定性、保湿性、感触、ツヤ、洗浄性、液ダレ防止、製品の外観、クレンジング能力等に優れた化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のゲル化剤は、ポリオキシアルキレン基と1以上の末端ヒドロキシル基を有する有機基とを有するシリコーン化合物からなるものであり、平均単位式:RSiO(4−a−b−c)/2 (1)
〔式中、Rは一価炭化水素基または一価置換炭化水素基(ただし、R,Rに該当するものを除く)であり、
は一般式:−R−O−(CO)(CO)(2)で示されるポリオキシアルキレン基(式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基であり、Rは水素原子,炭素原子数1〜30のアルキル基またはR−(CO)−で表される有機基(Rは炭素原子数1〜30のアルキル基)から選択される基であり、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数である。ただし、1≦d+eである)であり、
は一般式:−R−O−C(CHOH)(OH)(3)で示される1以上のカルビノール基を有する有機基(式中、Rは前記と同じであり、f,g,iおよびhはそれぞれ1≦f≦10,1≦g,(g+i+h)=2f+1の関係を満たす整数である)であり、
a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.0009≦b≦0.5、0.0009≦c≦0.5である。ただし、c≦bである。〕で示されるシリコーン化合物であれば、その構成シロキサン単位、構造式、重合度、分子量等は特に制限されるものではない。
【0011】
は一価炭化水素基または一価置換炭化水素基(ただし、R,Rに該当するものを除く)である。Rは脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基または一価置換炭化水素基であることが好ましい。一価炭化水素基はアルキル基とアリール基が代表的であり、アラルキル基も例示される。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基が挙げられ、アリール基の具体例としてフェニル基、トリル基が挙げられ、アラルキル基の具体例としてベンジル基、フェネチル基が挙げられる。アルキル基の炭素原子数は1〜12が好ましく、アリール基とアラルキル基の炭素原子数は6〜8が好ましい。一価置換炭化水素基はフッ素置換アルキル基、塩化アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシル置換アルキル基、アミド置換アルキル基が代表的であり、アルコキシカルボニル置換アルキル基、アシルオキシ置換アルキル基も例示される。フッ素置換アルキル基の具体例としては、3,3,3−トリフロロプロピル基、3,3,4,4,4−ペンタフロロブチル基が挙げられ、アミノ置換アルキル基の具体例として、3−アミノプロピル基、3−[(2−アミノエチル)アミノ]アミノプロピル基が挙げられ、カルボキシル置換アルキル基の具体例としては、3−カルボキシプロピル基等が挙げられ、アミド置換アルキル基の具体例としては、アセチルアミノアルキル基等が挙げられる。これらの一価置換炭化水素基の炭素原子数は1〜12が好ましい。これらの中で、Rとして、アルキル基とフェニル基が一般的であり、メチル基がもっとも一般的であり、ついでメチル基とフェニル基の組み合わせが一般的である。また、R基の数、すなわち、平均単位式(1)におけるaは分子中のケイ素原子1個当たり平均1以上、2.5以下である。
【0012】
はアルキレン基を介してケイ素原子に結合したポリオキシアルキレン基であり、
一般式:−R−O−(CO)(CO) (2)
で示される。式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基であり、その炭素原子数は2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。かかるRはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が例示されるが、プロピレン基、ついでエチレン基が一般的である。Rは水素原子,炭素原子数1〜30のアルキル基またはR−(CO)−で表される有機基(Rは炭素原子数1〜30のアルキル基)から選択される基であり、アルキル基の炭素原子数は1〜12が好ましい。Rの具体例として、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、CH−(CO)−、C−(CO)−、C−(CO)−、C−(CO)−で表される有機基が挙げられ、水素原子、メチル基、エチル基、CH−(CO)−で表される有機基が一般的である。。
さらに、RはCOで表されるエチレンオキサイド単位および/またはCOで表されるプロピレンオキサイド単位からなるポリオキシアルキレン部分を有する有機基であり、該ポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方からなる場合には、これら両単位のブロック重合体、ランダム重合体の何れであってもよく、一般式(1)において、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数である。ただし、1≦d+eである。d、eがそれぞれ5≦d≦30、5≦e≦30の整数であることが好ましい。また、本発明のゲル化剤がゲル状組成物を得るのに十分な親水性を付与するためには、該ポリオキシアルキレン部分がエチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の両方からなり、d/e≧1であることが特に望ましい。また、R基の数、すなわち、平均単位式(1)におけるbは分子中のケイ素原子1個当たり平均0.0009以上、0.5以下である。
【0013】
は1以上のカルビノール基を有する有機基であり、本発明のゲル化剤はポリオキシアルキレン部分を有するRとカルビノール基を有するRが同一分子中に存在することにより、該ゲル化剤をシリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物と混合した場合には低粘度で取り扱いが容易であり、水を加えてゲル化させた際には熱安定性、経時安定性に優れ、チキソトロピックなレオロジー特性を有し、化粧料への配合が容易なゲル状組成物を形成することができるものである。
かかるRは一般式:−R−O−C(CHOH)(OH)(3)で示される1以上のカルビノール基を有する有機基であり、式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基であり、前記(段落0012)と同様の基が例示される。
また、一般式(3)において、−C(CHOH)(OH)で表される有機基は、炭素原子に結合した2f+1個の水素原子(H)のうち、g個がカルビノール基(−CHOH)、h個が水酸基(−OH)でそれぞれ置換された炭素原子数fのアルキル基を表す。その構造は分岐状であっても直鎖状であってもよく、カルビノール基による置換位置も特に限定されるものではない。ただし、本発明において、カルビノール基を必須とすることから、gは1以上であり、fは1以上10以下の整数であることが必要である。
従って、一般式(3)において、f,gおよびhは、1≦f≦10,1≦g,(g+i+h)=2f+1の関係を満たす整数である。さらに、ゲル化能の点から、f,gおよびhは、1≦g≦f≦4、0≦h≦3の整数であることが好ましい。また、平均単位式(1)におけるR基の数cは、分子中のケイ素原子1個当たり平均0.0009以上、0.5以下である。さらに、本発明のゲル化剤が水およびシリコーンオイル等と混合した際にゲル状組成物を形成するためには、分子中のR基の数はR基の数以下であることが必要である。すなわち、c≦bである。
【0014】
かかるRは具体的には、下式で示される一群の有機基が例示される。式中、Rは前記(段落0012)同様の基であり、炭素原子数2〜10のアルキレン基が好ましく、2〜6がより好ましい。Rはがエチレン基、プロピレン基またはブチレン基であることが特に好ましい。
【化3】

【0015】
本発明のゲル化剤は、さらに式RSiO1/2,RSiO2/2,RSiO3/2およびSiO4/2で示されるシロキサン単位の1種〜4種を含んでも良い。式中、Rは一価炭化水素基または一価置換炭化水素基(ただし、R,Rに該当するものを除く)であり、前記同様の基が例示される。
【0016】
平均単位式(1)で表されるシリコーン化合物は、1分子中に一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン基(−R)を少なくとも一個有するが、本発明の目的であるゲル化性能の見地から、二個以上含有することが好ましく、一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン基(−R)を分子量全体の0.5重量%以上含有することが好ましく、1.0重量%以上含有することが特に好ましい。該シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状が好ましい。また、一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン基(−R)および一般式(3)で示される1以上の炭素原子に結合したヒドロキシル基を有する有機基(−R)の結合位置は特に制限がなく、該シリコーン化合物が直鎖状または分岐状構造であるとき、その結合位置は分子鎖末端または側鎖のいずれでもよいが、側鎖が好ましい。
【0017】
平均単位式(1)で表されるシリコーン化合物は直鎖状であることが好ましく、構造式(4):
【化4】

で示される直鎖状オルガノポリシロキサンが挙げられる。式中、R,R,Rは前記どおりであり、AはR,RおよびRから選択される同一または異種の基である。また、mは50〜1000の整数であり、nは2〜40の整数であり、pは1〜20の整数であることが好ましい。mが50未満であり、nが1未満であると、ゲル化剤の増粘効果が不十分となる。また、mが1000を超え、かつnが40を超えると、得られたゲル状組成物がべとつき感を有し、化粧料に配合した際の感触が好ましくない。また、本発明のゲル化剤が水およびシリコーンオイル等と混合した際にゲル状組成物を形成するためには、分子中のR基の数はR基の数以下であることが必要である。すなわち、p≦nであることが必要である。さらに、m,nが前記範囲にある場合でも、pが前記下限未満では、ゲル化剤をシリコーンオイル等と混合した場合に、水を添加する前の混合物の粘度が増大しやすく、化粧品への配合等、ゲル化剤混合物の取り扱いが困難になりやすい。pが前記上限を超えると、ゲル化剤を水およびシリコーンオイル等と混合した際にゲル状組成物を形成しにくくなる。
【0018】
平均単位式(1)で表されるシリコーン化合物からなるゲル化剤、その構成シロキサン単位、構造式、重合度、分子量、25℃における粘度等は特に制限されるものではないが、特に経時安定性に優れたゲル状組成物を形成し、該ゲル状組成物を配合した化粧料がさらさら感を有することから、該ゲル化剤をオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)の50重量%溶液とした時の粘度が1,000〜100,000mPa・sの範囲であることが好ましく、5,000〜35,000mPa・sの範囲にあるものが特に好ましい。また、該シリコーン化合物からなるゲル化剤の25℃における粘度が5,000〜1,000,000mPa・sの範囲にあることが好ましい。
【0019】
平均単位式(1)で表されるシリコーン化合物からなるゲル化剤は、具体的には、以下の構造式で表される一群のオルガノポリシロキサンが例示される。式中、m,n,pおよびd,eは前記の条件を満たす値である。
【化5】

【化6】

【0020】
かかる平均単位式(1)で表されるシリコーン化合物からなるゲル化剤を製造する方法は限定されず、例えば、(a)ケイ素原子結合水素原子を有するシリコーンと(b)一般式:R−O−(CO)(CO) (5)
で示される末端アルケニル基を有するポリオキシアルキレン化合物(式中、Rは水素原子,炭素原子数1〜30のアルキル基またはR−(CO)−で表される有機基(Rは炭素原子数1〜30のアルキル基)から選択される基であり、Rは炭素原子数2〜30のアルケニル基である。)および
(c)一般式:R−O−C(CHOH)H(OH)(6)
で示される末端アルケニル基を有するカルビノール基含有化合物(式中、f,g,iおよびhはそれぞれ1≦f≦10,1≦g,(g+i+h)=2f+1の関係を満たす整数であり、Rは前記同様の基である)を、(d)ヒドロシリル化反応用触媒の存在下、ヒドロシリル化反応する方法が挙げられる。
【0021】
(a)成分は、分子中にケイ素原子結合水素原子を有することを特徴とする。(a)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合している基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の脂肪族不飽和結合を有さない置換もしくは非置換の一価炭化水素基、およびその他少量のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基あるいは水酸基が挙げられ、好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、(A)成分の分子構造は限定されず、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、環状が例示され、好ましくは、直鎖状である。
【0022】
好ましい直鎖状のシリコーンは、一般式:
【化7】

で表される。式中、Rは同じかまたは異なり、Rは一価炭化水素基または一価置換炭化水素基(ただし、前記のR,Rに該当するものを除く)であり、前記と同様の基が例示され、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基または一価置換炭化水素基であることが好ましく、好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、式中、Yは同じかまたは異なり、脂肪族不飽和結合を有さない置換もしくは非置換の一価炭化水素基または水素原子である。Yの一価炭化水素基としては、前記Rと同様の基が例示される。また、式中、mは0または正数であり、rは0または正数である。但し、式中、rが0である場合、分子鎖末端のYの少なくとも1個は水素原子である。
【0023】
(b)成分は、一般式:R−O−(CO)(CO) (5)
で示される末端アルケニル基を有するポリオキシアルキレン化合物であり、式中、Rは水素原子,炭素原子数1〜30のアルキル基またはR−(CO)−で表される有機基(Rは炭素原子数1〜30のアルキル基)から選択される基である。Rは炭素原子数2〜30のアルケニル基であり、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基である。
【0024】
(c)成分は、一般式:R−O−C(CHOH)H(OH)(6)
で示される末端アルケニル基を有するカルビノール基含有化合物である。式中、f,g,iおよびhはそれぞれ1≦f≦10,1≦g,(g+i+h)=2f+1の関係を満たす整数であり、Rは前記同様の基である。さらに、ゲル化能の点から、f,gおよびhは、1≦g≦f≦4、0≦h≦3の整数であることが好ましい。また、Rは前記同様の基である。かかる(c)成分は、具体的には、下式で示される一群の有機基が例示される。すなわち、2−アリロキシエタノール、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、グリセリル−α−モノアリルエーテル等のアルケニル基含有アルコール類およびアルケニル基含有グリセリルエーテル類が例示される。
【化8】

【0025】
(d)成分は、(a)成分、(b)成分および(c)成分のヒドロシリル化反応を促進するための触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。この白金系触媒としては、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のケトン錯体、白金のビニルシロキサン錯体、四塩化白金、白金微粉末、アルミナまたはシリカの担体に固体状白金を担持させたもの、白金黒、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末が例示され、好ましくは、塩化白金酸である。(d)成分の添加量は触媒の有効量であれば特に限定されないが、(a)成分、(b)成分および(c)成分の合計重量に対して(d)成分中の触媒金属が重量単位で0.1〜1,000ppmの範囲以内となるような量であることが好ましく、特に、0.5〜100ppmの範囲以内となる量であることが好ましい。
【0026】
上記の平均単位式(1)で表されるシリコーン化合物の製造方法では、有機溶媒を使用しても、しなくもよい。有機溶剤を使用する場合には、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジオキサン、THF等のエーテル系溶剤;脂肪族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、塩素化炭化水素系溶剤を用いることが好ましい。また、上記の方法では、反応温度は限定されないが、通常、50〜150℃の範囲以内であることが好ましい。なお、これらの有機溶剤を使用する場合には、反応後にデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)のような揮発性シリコーンを添加して減圧下にストリッピングすることにより、溶剤成分を留去しておくことが本発明の目的であるゲル化能の点から好ましい。さらに、上記の方法では、ヒドロシリル化反応後に酸性物質によるアリルエーテル基の除去あるいは水素添加反応によるアルキル化によって無臭化を行ってもよい。また、得られたポリエーテル変性シリコーンに酸化防止剤としてトコフェロールやBHTを添加してもよい。
【0027】
平均単位式(1)で表されるシリコーン化合物は、室温または加熱下でシリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物、および水と均一に混合することにより、ゲル化する、すなわち、ゲル状組成物を形成する性質を有するため、シリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物のゲル化剤として好適である。特に、25℃における粘度が0.65〜100,000mPa・sの疎水性シリコーンオイルのゲル化剤として好適であり、シリコーンオイルとの混合物の取り扱いが容易であり、熱安定性、経時安定性に優れるゲル状組成物を得ることができる。
【0028】
さらに、本発明のゲル化剤は、シリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物と均一に混合しても、比較的低粘度で取り扱いが容易である。特に、デカメチルペンタシクロシロキサン(D5)やオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)といった揮発性であり、疎水性かつ低粘度のシリコーンオイルと均一に混合した際に、低粘度の混合物を形成するため取り扱いが容易であり、水を添加して均一に混合することにより増粘して安定なゲル状組成物を形成するという利点がある。さらに、得られるゲル状組成物は、熱安定性、経時安定性に優れ、チキソトロピックなレオロジー特性を有し、化粧料への配合が容易であるという利点がある。
【0029】
本発明のゲル状組成物は、
(A)前記のシリコーン化合物からなるゲル化剤 2〜30重量%、
(B)シリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物 20〜95重量%および
(C)水 0.2〜80重量%
からなる。
【0030】
本発明のゲル状組成物において、(A)成分は(B)成分および(C)成分のゲル化剤として作用する。(B)成分のシリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物はそれぞれ単独で使用してもよく、シリコーンオイル、非極性有機化合物および低極性有機化合物の2〜3からなる混合物を使用してもよい。本発明において、(A)成分の配合量は特に限定されず、好ましくは2〜30重量%の範囲であり、特に好ましくは5〜15重量%の範囲である。これは本発明のゲル状組成物において、(A)成分の配合量が2重量%未満であると、安定なゲル状組成物を得ることができないためであり、また30重量%を超えるとゲル状組成物がべたつき感を有するようになるためである。
【0031】
(B)成分は(A)成分により、(C)成分と共にゲル状組成物を形成する成分であり、シリコーンオイル((A)成分を除く)、非極性有機化合物、低極性有機化合物またはこれらの混合物からなるものである。本発明の(A)成分であるゲル化剤は(B)成分と混合しても、増粘しないため、(C)成分を配合してゲル化させる前の状態で取り扱いが容易であり、ゲル状組成物を化粧品等に配合する際に、ゲル状組成物の調製前の取り扱いや保存が容易であるという利点を有する。(A)成分と(B)成分の配合量の比率は、(A)成分:(B)成分=2〜30:99〜70重量%の範囲であるが、5〜35:95〜65重量%の範囲が好ましく、10〜20:90〜80重量%の範囲がより好ましい。
【0032】
シリコーンオイルは、(A)成分に該当するものを含むものではなく、その構造は、環状、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。該シリコーンオイルは、(A)成分によるゲル化しやすさの点で疎水性シリコーンオイルであることが好ましく、25℃における粘度は、通常、0.65〜10,0000mPa・sの範囲であり、0.65〜10,000mPa・sの範囲が好ましい。さらに、得られるゲル状組成物の感触および化粧料への配合の点から、揮発性の直鎖状ジメチルポリシロキサン,分岐状メチルポリシロキサンおよび環状ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0033】
シリコーンオイルとして具体的には、環状オルガノポリシロキサンとして、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メルカプトプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−メタクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−ラウロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(メタクリロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサンが例示される。直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジメトキシポリジメチルシロキサン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンが例示される。本発明の(B)成分としては、環状ジメチルポリシロキサンが好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)が特に好適に使用される。
【0034】
非極性有機化合物または低極性有機化合物は5〜100℃で液状であることが好ましい。かかる非極性有機化合物または低極性有機化合物は、例えば炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;動植物油としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等;高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等;エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
【0035】
本発明のゲル状組成物は、前記の(A)成分および(B)成分に(C)成分の水を配合することにより調製される。本発明において、(A)成分と(C)成分の配合量の比率は、(A)成分:(C)成分=2〜30:0.2〜80重量%の範囲であるが、5〜35:0.3〜75重量%の範囲が好ましい。(C)成分の配合量が0.2重量%未満であると安定なゲル状組成物を得ることができにくくなるためであり、また80重量%を超えると、ゲル状組成物から水が分離し、安定なゲル状組成物が得られにくくなるからである。
【0036】
(A)成分〜(C)成分からなるゲル状組成物は、(A)成分に含まれる一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン基(−R)および一般式(3)で示される1以上のカルビノール基を有する有機基(−R)の種類と含有率、および(B)成分を選択することにより、透明性に優れたゲル状組成物を得ることができる。すなわち、(A)成分に含まれる一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン基(−R)の付加モル数、一般式(3)で示される1以上の炭素原子に結合したヒドロキシル基を有する有機基(−R)の数および/または種類を選択すること、または(B)成分として外観が無色透明で濁りのないシリコーンオイル、非極性有機化合物または低極性有機化合物を選択することにより、外観が透明なゲル状組成物を得ることができる。外観が透明なゲル状組成物を得るためには、(A)成分が平均単位式(1)において、c≦bであり、(B)成分が25℃における粘度が0.65〜10,000mPa・sであるジメチルポリシロキサンまたはメチルポリシロキサンであることが好ましい。本発明の外観が透明なゲル状組成物としては、ゲル状組成物の屈折率が1.20〜1.60の範囲にあることが好ましく、1.25〜1.45の範囲にあることが特に好ましい。
【0037】
(A)成分〜(C)成分から形成されるゲル状組成物は、熱安定性、経時安定性に優れ、チキソトロピックなレオロジー特性を有し、化粧料への配合が容易である。さらに、該ゲル状組成物が化粧料に配合された場合、塗布感触をなめらかでリッチ感に富んだ感触に変化させることができ、また、分離しやすい低重合度の環状オルガノポリシロキサンなどの揮発性シリコーンオイルを安定的に保持することができるため、化粧料の経日安定性を向上させる効果がある。
【0038】
本発明の化粧料では、本発明のゲル化剤またはゲル状組成物と共に、揮発性シリコーンを配合していることが好ましい。揮発性シリコーンは感触をさっぱりさせる効果に富み、また、サンスクリーン剤、リクイドファンデーションなど樹脂成分を含む場合には塗膜を肌に強固に固定する能力に富む。一方で、揮発性シリコーンは、容器中で除々に分離してくる場合があり、特にチューブ容器に揮発性シリコーン配合化粧料が充填されている場合では、揮発性シリコーンがチューブの先端に蓄積し、最初にチューブを使用する際に、分離した揮発性シリコーンのみが飛び出てくるという問題がある。本発明の化粧料では、揮発性シリコーンとの相性に優れる本発明のゲル化剤と揮発性シリコーンを一緒に組み合わせて使用することで、揮発性シリコーンの分離を抑制し、より安定な製剤が得られるという優れたメリットがある。本発明の化粧料における、本発明のゲル化剤と揮発性シリコーンの配合量は、化粧料の質量に対してゲル化剤0.2〜30質量%、揮発性シリコーン5〜80質量%の範囲にあることが好ましい。この範囲であれは本発明のゲル化剤が効果的に揮発性シリコーンと相溶し、安定性を向上させる機能を発揮できる。尚、揮発性シリコーンとしては、(i) 揮発性の低分子量線状もしくは環状メチルシロキサン、(ii)揮発性もしくは不揮発性の低分子量線状もしくは環状アルキルもしくはアリールシロキサン、または(iii) 低分子量の線状もしくは環状官能シロキサンが挙げられ、揮発性シリコーンは、式:(CH SiO(4−a)/2 (式中、aは2〜3の平均値を有する。)により表される平均単位を有する。この化合物は、≡Si−O−Si≡結合により結合したシロキサン単位を含む。代表的な単位は、1官能性「M」単位(CH SiO1/2 および2官能性「D」単位(CH SiO2/2 である。ここで、3官能性「T」単位CH SiO3/2 の存在によって、揮発性の枝分かれした線状または環状メチルシロキサンの形成が起こる。4官能性「Q」単位SiO4/2 の存在によって揮発性の枝分かれした線状または環状メチルシロキサンの形成が起こる。
【0039】
線状揮発性シリコーンは式:(CH3 ) SiO{(CH SiO}y Si(CH により表される。yの値は0〜5である。環状揮発性シリコーンは式:{(CHSiO}z により表される、zの値は3〜8、好ましくは3〜6である。これらの揮発性メチルシロキサンは概して250℃未満の沸点および0.65〜5.0センチストークス(mm /s)の粘度を有する。幾つかの代表的な揮発性線状メチルシロキサン(I)としては、沸点100℃および粘度0.65mm /sの式:(CH SiOSi(CH により表されるヘキサメチルジシロキサン(MM);沸点152℃および粘度1.04mm2 /sの式:(CH SiO(CH SiOSi(CH により表されるオクタメチルトリシロキサン(MDM);沸点194℃および粘度1.53mm2 /sの式:(CH SiO((CH SiO) Si(CH により表されるデカメチルテトラシロキサン(MD M);沸点229℃および粘度2.06mm2 /sの式:(CH SiO((CH SiO) Si(CH により表されるドデカメチルペンタシロキサン(MD M);沸点245℃および粘度2.63mm2 /sの式:(CH SiO((CH SiO) Si(CH により表されるテトラデカメチルヘキサシロキサン(MD4 M);沸点270℃および粘度3.24mm2 /sの式:(CH SiO((CH SiO) Si(CH により表されるヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MD M)が挙げられる。また、代表的な両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン(II)としては、式:(CH SiO((CH)(C17) SiO)Si(CHにより表わされるヘプタメチルオクチルトリシロキサン(MDRM)が挙げられる。
【0040】
幾つかの代表的な揮発性環状メチルシロキサン(III)としては、沸点134℃の式:{(CH SiO} により表されるヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3);沸点176℃および粘度2.3mm /sの式:{(CH SiO} により表されるオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4 );沸点210℃および粘度3.87mm2 /sの式:{(CHSiO} により表されるデカメチルシクロペンタシロキサン(D5 );ならびに沸点245℃および粘度6.62mm /sの式:{(CHSiO} により表されるドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6 )が挙げられる。そして、幾つかの代表的な揮発性の枝分かれしたメチルシロキサン(IV) および(V)としては、沸点192℃および粘度1.57mm /sの式:CHSi{OSi(CH により表されるヘプタメチル−3−{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(M3T);粘度2.3mm /sの式:CSi{OSi(CH により表されるヘキサメチル−3,3−プロピル,{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(M3T);式:C2H5Si{OSi(CH}3 により表されるヘキサメチル−3,3−エチル,{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(M3T);沸点222℃および粘度2.86mm2 /sの式:Si{OSi(CH により表されるヘキサメチル−3,3−ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(M4 Q);ならびに式:((CH3)SiO){CHSi(OSi(CH)O}により表されるペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン(MDT)が挙げられる。この内、特に環状5量体ジメチルポリシロキサンであるデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)との組み合わせが好ましい。
【0041】
本発明の化粧料では、本発明のゲル化剤またはゲル状組成物と共に、保湿成分として前記の炭化水素油、動植物油、高級アルコール、エステル油をさらに添加することもできる。これらの成分は、髪や肌上の水分を保持し、髪や皮膚に滑らかでしっとりした感触を与えることができる。本発明の化粧料では、かかる保湿成分および本発明のゲル化剤またはゲル状組成物を組み合わせて使用することにより、これらの保湿成分を肌上により安定かつ均一な状態で塗布することができる。また、本発明のゲル化剤またはゲル状組成物と組み合わせて使用しなかった場合に比較して、前記保湿成分の肌や髪上の保湿効果を向上させ、より滑らかでしっとりした感触を付与するというメリットがある。
【0042】
本発明にかかる化粧料には、さらに(D)成分としてアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種又は2種類以上の界面活性剤を配合することができる。洗浄活性の点から1種類以上の界面活性剤を配合することが好ましい。
【0043】
さらに詳しくは、アニオン性界面活性剤として、飽和または不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,リノレン酸ナトリウム等),アルキル硫酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸,トクチルベンゼンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等)およびその塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩,スルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,アルカンスルホン酸塩,オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,アルキルスルホネート,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩,アシルグルタミン酸塩,α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルまたはアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、さらにはアンモニウム塩が挙げられる。
【0044】
カチオン性界面活性剤として、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム,塩化アルキルジメチルベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0045】
ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシアルキレンエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類,ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類,ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類,ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類,ポリグリセリンアルキルエーテル類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類,ショ糖脂肪酸エステル類,脂肪酸アルカノールアミド,アルキルグルコシド類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類,ポリプロピレングリコール,ジエチレングリコール,ポリオキシアルキレン変性シリコーン,ポリグリセリル変性シリコーン,グリセリル変性シリコーン,糖変性シリコーン,フッ素系界面活性剤,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。特に、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、糖変性シリコーンを配合することが好ましい。これらの変性シリコーンは、本発明のゲル化剤と同じシリコーン骨格を持つため、組み合わせて用いることで洗浄力だけでなく、化粧料の安定性及びゲル化能をより向上できるメリットがある。
【0046】
両性界面活性剤としてイミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタインなどのアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインなどのアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタインなどのホスホベタイン型両性界面活性剤;N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウムなどのアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0047】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイドなどが例示され、炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8〜18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0048】
本発明の化粧料は、(D)成分を配合したクレンジングジェル,クレンジングクリーム,クレンジングミルク,クレンジングローション,洗顔料のような皮膚用洗浄剤やシャンプー等の頭髪洗浄剤、ヘアリンス等において、皮膚および毛髪の洗浄性能に優れ、洗い上がりの感触がべとつかずさっぱりとしているというメリットがある。かかる(D)成分の配合量としては、化粧料または化粧品の総量に対して1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
【0049】
本発明にかかる化粧料には、さらに(E)成分として粉体及び/または着色剤を配合することができる。これらの粉体及び/または着色剤は通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料 級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができるが、これらの粉体及び/または着色剤を顔料として配合する場合、平均粒子径が1nm〜20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、樹脂粉体から選択される1種類又は2種類以上を配合することが好ましい。
【0050】
(E)成分の粉体及び/または着色剤は例えば無機粉体 、有機粉体 、界面活性剤金属塩粉体 (金属石鹸)、有色顔料 、パール顔料 、金属粉末顔料 等が挙げられ、さらにこれらの顔料 を複合化したものも使用することができる。具体的には、無機粉体 としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体 としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体 、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体 、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体 、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体 としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料 としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料 、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料 、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料 、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料 、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料 、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料 、紺青、群青等の無機青色系顔料 、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等;パール顔料 としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料 としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
【0051】
さらに、(E)成分の粉体及び/または着色剤には、撥水化処理がされていることが特に好ましい。本発明の化粧料に用いられるゲル化剤およびゲル状組成物は、これら撥水性の顔料が移動してよれることを防止する効果があり、その結果、化粧持ち、化粧の持続性を向上することができる。また、本発明のゲル化剤は各種の油剤だけでなく、皮脂も吸い込むことが可能であるため、化粧料の耐皮脂性を向上させることも可能である。
【0052】
このような撥水化処理の例としては、前記の粉体及び/又は着色剤を各種の撥水化表面処理剤で処理したものが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理などのオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛処理などの金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理などのシラン処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理などのフッ素化合物処理、N-ラウロイル-L-リジン処理などのアミノ酸処理、スクワラン処理などの油剤処理、アクリル酸アルキル処理などのアクリル処理などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0053】
本発明にかかる化粧料には、さらに(F)成分として水溶性高分子を配合することができる。これらの水溶性高分子は、化粧料の使用感を向上させる目的で、通常の化粧品に使用されるものであれば、両性、カチオン性、アニオン性、非イオン性、水膨潤性粘土鉱物のいずれであっても用いることができ、1種類又は2種類以上の水溶性高分子を併用することもできる。
【0054】
両性水溶性高分子としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体)、メタクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−a−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)が例示される。
【0055】
カチオン性水溶性高分子としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(例えば、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)が例示される。
【0056】
アニオン性水溶性高分子としては、ポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、ポリメタアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩、アセチル化ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の加水分解物などの脂肪族カルボン酸またはその金属塩の水溶性重合体、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液、カルボキシビニルポリマーが例示される。
【0057】
非イオン性水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、高重合ポリエチレングリコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、ペクチン、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジュランガム、デキストラン、クインスシードガム、トラガントガム、キチン・キトサン誘導体、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等)、ケラチンおよびコラーゲンまたはその誘導体等の天然の高分子化合物が例示される。
【0058】
水膨潤性粘土鉱物は無機系水溶性高分子であって、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種で、一般的に、下記式(11)で表されるものが例示される。
(M,M2−3(Si,Al)10(OH)1/3・nHO (11)
(ただし、Mは、Al、Fe(III)、Mn(III)、または、Cr(III)であり、Mは、Mg、Fe(II)、Ni、Zn、または、Liであり、Mは、K、Na、または、Caである)
このような無機系水溶性高分子として、具体的には、ベントナイト、モンモリロナイト、パイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が例示され、これらは天然物および合成物のいずれであってもよい。
【0059】
かかる(F)成分の配合量は化粧料または化粧品の総量に対して0.01〜25.0重量であることが好ましい。配合量が前記下限未満では増粘性、皮膜性が不十分となり、前記上限を超えるとべたつきなどが増加し、化粧料として一般に好ましくない。
【0060】
本発明にかかる化粧料には、さらに(G)成分として1種類又は2種類以上のシリコーン樹脂を配合することができる。かかるシリコーン樹脂としては、本発明の目的に反しない限り、通常化粧料に用いられるシリコーン樹脂であればいずれのものも使用することができ、特にトリメチルシロキシケイ酸、ポリアルキルシロキシケイ酸、ジメチルシロキシ単位含有トリメチルシロキシケイ酸、パーフルオロアルキル基含有ポリアルキルシロキシケイ酸、ポリジメチルシロキサングラフト型アクリル共重合体、分岐状カルボキシシロキサンデンドリマーグラフト型アクリル共重合体から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらのシリコーン樹脂は室温でガム状または固体状であり、油溶性であることが好ましく、オクタメチルテトラシロキサン(D4)及び/またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)に溶解しうることが特に好ましい。
【0061】
具体的には、ガム状シリコーン樹脂は、一般式(CHSiO{(CHSiO}a{(CH)RSiO}bSi(CHで示される直鎖状シリコーンにおいて、Rがメチル基、または、炭素数が6〜20のアルキル基、炭素数が3〜15のアミノ基含有アルキル基、フッ素置換アルキル基、4級アンモニウム塩基含有アルキル基から選択され、aは1〜5000、a+bが2500〜25000であるものが好ましい。
【0062】
固体状のシリコーン樹脂 は、トリアルキルシロキシ単位(M単位)、ジアルキルシロキシ単位(D単位)、モノアルキルシロキシ単位(T単位)、4官能性のシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂であるシリコーン網状化合物であることが好ましい。さらに、カルボン酸アルキルエステル、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、カルボン酸などのアニオン部分からなる群から選択される少なくとも1種を分子中に含有するポリジメチルシロキサングラフト型及び分岐状カルボシロキサンデンドリマーグラフト型アクリル共重合体であることが特に好ましい。分岐状カルボシロキサンデンドリマーグラフト型アクリル共重合体の例としては、特開2000−063225、及び特開2003−226611公報等に挙げられているものが例示される。
【0063】
これらのシリコーン樹脂は、樹脂単独で化粧料中に配合しても構わないが、揮発性シリコーン、揮発性炭化水素油、不揮発性シリコーン、不揮発性炭化水素油への溶解物として配合することもできる。これらシリコーン樹脂を用いる場合の配合量としては、化粧料の総量に対して0.1〜20重量%が好ましく、更に好ましくは1〜10重量%である。また、より皮膚への密着性の高い化粧料を得るためには、本発明のシリコーン化合物100重量部に対して、シリコーン樹脂 50〜500重量部とからなる組成物として用いることが好ましい。
【0064】
本発明にかかる化粧料には、さらに(H)成分として、シリコーンエラストマーを含有することができる。ここで、シリコーンエラストマーとは、三次元的に架橋されたメチルポリシロキサン骨格を主鎖に有する高重合度のオルガノポリシロキサン化合物であり、球状あるいは扁平状の粒子形状を持つものであっても、形状を持たずに油分散体の形態を持つものでもよい。本発明において、粒子形状を有するシリコーンエラストマーであり、電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径及び/またはレーザー回析/散乱法で測定された平均一時粒子径が0.1〜50μmの範囲に入り、かつ一次粒子の形状が球状のシリコーンエラストマー球状粉体を用いることが好ましい。また、シリコーンエラストマー の硬さとしては、JISタイプAデュロメータによる硬さが80以下、特に65以下であることが好ましい。
【0065】
かかるシリコーンエラストマーの製造方法としては、ビニル性反応部位を有する架橋剤と2つ以上のケイ素原紙に結合した水素原子を有するアルキルハイドロジェンポリシロキサンを塩化白金酸などの触媒下に反応させ、三次元架橋させる方法が挙げられる。本発明のシリコーンエラストマーにおいて、三次元架橋構造を形成する架橋剤はアルケニル官能性オルガノポリシロキサン、α,ω−アルケニルジエン、グリセリントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化トリメチロールプロパントリアリルエーテルなどのように、分子中に二つ以上のビニル性反応部位をもつものが挙げられる。
【0066】
かかるシリコーンエラストマーは例えば、特開平2−243612号公報、特開平8−12545号公報、特開平8−12546号公報、特開平8−12524号公報、特開平9−241511号公報、特開平10−36219号公報、特開平11−193331号公報、特開2000−281523号公報等に記載されているものが挙げられ、具体的には東レ・ダウコーニング社から発売されているトレフィルE−505,506,507,508などのトレフィルEシリーズ、「化粧品種別配合成分規格」収載の架橋型シリコーン末等が該当する。また、これらの粉体はさらに表面処理がされていてもいなくても構わず、表面処理の例としては、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、シリコーンレジン、金属石鹸、シランカップリング剤、シリカ、酸化チタンなどの無機酸化物、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩などのフッ素化合物が挙げられる。
【0067】
さらに、粒子形状を持つシリコーンエラストマーが油剤に混練されたもの、または粉砕機により微粉砕されたもの、もしくは水系分散体から選ばれる1種以上の形態で製剤に配合することが好ましい。より詳しくは、シリコーンエラストマー と、エステル油、炭化水素油、高級アルコール、植物油、動物油から群から選ばれる常温で液体の油性成分の1種、または2種以上とを混練または粉砕してペースト状物にして配合する方法;シリコーンエラストマーを機械的に粉砕し、凝集をほぐして配合する方法;シリコーンエラストマーを機械的に粉砕し、機械力で水中に分散して配合する方法が挙げられる。
【0068】
シリコーンエラストマー球状粉体は粒子径が10μmを超えるものも多く、肌に固定することが難しかったが、本発明のゲル化剤およびゲル状組成物と組み合わせて用いることでより安定な塗膜が形成できるメリットがある。さらに、これらの粉体は光を散乱させるため、配合した化粧料はマット調となる場合があったが、本発明のゲル化剤はその表面を光沢性の膜で被覆できるため、組み合わせなかった場合と比べていくらかツヤを化粧塗膜に与えることができる。本発明の化粧料におけるオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の配合量としては、化粧料の質量に対して0.1〜30質量%が好ましい。前記下限未満では、滑水性が弱くなる問題があり、前記上限を超えると滑水性は得られるものの塗膜の物理的強度が低下してしまい、接触などに対して相対的に弱くなるため好ましくない。
【0069】
本発明にかかる化粧料には、さらに(I)成分として紫外線防御成分を配合することができる。本発明において、紫外線防御成分は無機系および有機系の紫外線防御成分を用いることができる。
【0070】
無機系の紫外線防御成分は、前記の無機系の粉体顔料、金属粉末顔料などを紫外線分散剤として配合するものであっても良く、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化鉄などの金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレークなどの金属フレーク類、炭化珪素などのセラミック類が挙げられる。このうち、平均粒子径が1〜100nmの範囲にある微粒子金属酸化物もしくは微粒子金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。これらの粉末は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理(パーフルオロアルキルリン酸エステル処理やパーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロポリエーテル処理、フルオロシリコーン処理、フッ素化シリコーン樹脂処理が好ましい)、シリコーン処理(メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、気相法テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン処理が好ましい)、シリコーン樹脂処理(トリメチルシロキシケイ酸処理が好ましい)、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖などを付加する方法)、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理(アルキルシランやアルキルシラザン処理が好ましい)、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理(ステアリン酸やミリスチン酸塩が好ましい)、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理などで表面処理されていることが好ましく、さらに好ましくは、これらの処理を複数組み合わせて用いることが好ましい。例えば、微粒子酸化チタン表面を酸化ケイ素やアルミナなどの金属酸化物で被覆した後、アルキルシランで表面処理することなどが挙げられる。表面処理量としては、粉体質量に対して表面処理量の総計で0.1〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
【0071】
有機系の紫外線防御成分は、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2―シアノ―3,3―ジフェニルプロパ―2―エン酸2―エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が例示される。
【0072】
さらに、前記の有機系紫外線防御成分がポリマー粉末中に封止されたものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくても良く、平均一次粒子径としては0.1〜50μmの範囲にあれば良く、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂等が挙げられる。これらのポリマー粉末中に、粉末質量の0.1〜30質量%の範囲で有機系紫外線防御成分を取り込ませた粉末が好ましく、特にUV−A吸収剤である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを配合することが好ましい。
【0073】
前記の紫外線防御成分のうち、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が、汎用されており、入手が容易で、かつ紫外線防御効果が高いため好適に使用することができる。特に、無機系と有機系の紫外線防御成分を併用することが好ましく、UV−Aに対応した紫外線防御成分とUV−Bに対応した紫外線防御成分を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0074】
本発明の化粧料における紫外線防御成分の配合量としては、無機系及び/又は有機系の合計で、化粧料の質量に対して0.1〜60質量%の範囲にあることが好ましく、特に好ましくは3〜40質量%である。さらに、無機系の紫外線防御成分の配合量としては化粧料の質量に対して0.1〜30質量%の範囲が好ましく、有機系紫外線吸収剤としては、化粧料の質量に対して0.1〜20質量%の範囲で配合することが好ましく、これに対して本発明の(a)成分(ゲル化剤)の配合量としては、化粧料の質量に対して0.1〜20質量%の範囲で配合することが好ましい。これらの組み合わせの範囲では、本発明のゲル化剤を配合しなかった場合と比べてより持続的な紫外線防御効果が得られる。さらに、本発明のゲル化剤およびゲル状組成物を配合した場合、製剤自体に良好な保湿効果やツヤを与えることができ、また、毛髪化粧料においてはカール保持性に優れ、ツヤ感、毛髪のまとまりに優れた効果がある。
【0075】
本発明の化粧料には、上記の各成分の他に、通常、化粧料に用いられる防菌防腐剤、生理活性成分、pH調整剤、酸化防止剤、溶媒、キレート剤、保湿成分、香料等の各種成分を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。これらの成分は前記の(b)成分に溶解してゲル状組成物を形成させて化粧料に配合することもでき、ゲル状組成物とは別に化粧料に配合することもできる。
【0076】
防腐剤としてはパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等が例示される。また、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素、フェノキシエタノール等が例示される。
【0077】
本発明で用いる生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。その中でも、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が特に好ましい。本発明では、これらの生理活性成分を1種、または2種以上配合することが好ましい。
【0078】
これらの成分としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0079】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等のアミノ酸、エストラジオール、エテニルエストラジオールなどのホルモン、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン等の抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等の抗酸化剤、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、カンフルなどの清涼剤、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコルチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤等が挙げられる。
【0080】
本発明で用いるpH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ、またキレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0081】
本発明で用いる溶媒の例としては、精製水、ミネラルウォーター等の水以外に、軽質流動イソパラフィン、エーテル類、LPG、N−メチルピロリドン、次世代フロン等が挙げられる。
【0082】
本発明で用いる酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等;キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0083】
本発明で用いる保湿成分としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。
【0084】
本発明の化粧料は、皮膚洗浄剤製品、スキンケア製品、メイクアップ製品、制汗剤製品、紫外線防御製品などの皮膚用化粧品;毛髪用洗浄剤製品、整髪料製品、毛髪用着色料製品、養毛料製品、ヘアリンス製品などの頭髪用化粧品;浴用化粧品が例示される。さらに、本発明のゲル状組成物は透明性と親油性に優れるため、各種の香水、オーデコロンにも容易に配合することができる。本発明の化粧料は特に皮膚用化粧品であることが好ましい。
【0085】
前記の皮膚用化粧品は、頭皮、顔面(口唇、眉目、頬を含む)、手指、爪、全身のいずれの部位についても用いることができる。具体的には、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、洗顔クリーム、アイメークアップリムーバー、洗顔フォーム、液体全身用石鹸、ハンドソープ、ゲル状石鹸、固形石鹸、フェイシャルリンス、ボディリンス、シェービングクリーム、除光液、アクネ対策化粧料等の皮膚洗浄剤製品;肌用クリーム、頭皮用トリートメント、スキンミルク、ミルクローション、乳液、化粧水、保湿液、美容液、フェイシャルパック、ボディパウダー、エッセンス、シェービングローション等のスキンケア製品;ファンデーション、メークアップベース、白粉、フェースパウダー、リップスティック、リップクリーム、練紅、リップグロス、アイシャドウ、アイライナー、アイクリーム、眉墨、まつげ化粧品、アイブローペンシル、アイブローブラッシュ、マスカラ、頬紅、頬化粧料(チークカラー、チークルージュ)、マニキュア、ペディキュア、ネイルカラー、ネイルラッカー、エナメルリムーバー、ネイルポリッシュ等のメイクアップ製品;デオドラント等の制汗剤;サンスクリーン剤、日焼け用薬剤(サンタン剤)等の紫外線防御製品が例示される。
【0086】
前記の頭髪用化粧品は、シャンプー、リンスインシャプー等の毛髪用洗浄剤;ヘアオイル、髪用カール保持剤、セット剤、ヘアクリーム、へアスプレー、ヘアリキッド等の整髪料製品;染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラーリンス、ヘアカラースティック等の毛髪用着色料製品;ヘアトニック、ヘアトリートメント、ヘアパック等の養毛料製品;オイルリンス、クリームリンス、トリートメントリンス等のヘアリンス製品が例示される。また、前記の浴用化粧品は、バスオイル、バスソルト、フォームバスが例示される。
【0087】
本発明にかかる化粧料および化粧品の形態は特に限定されるものではなく、液状、W/O乳液状、O/W乳液状、W/Oクリーム状、O/Wクリーム状、固体状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、ミスト状、顆粒状、フレーク状、碎石状等に好ましく適用が可能である。特に本発明のゲル化剤は、O/W、W/Oの油層部分が増粘もしくはゲル化されているために、経日安定性に優れた乳液、クリーム状の化粧料を得ることができる。
【0088】
本発明にかかる化粧料および化粧品の容器についても特に限定されるものではなく、ジャー、ポンプ、チューブ、ボトル、圧力缶吐出容器、耐圧エアゾール容器、遮光容器、コンパクト容器、金皿、スティック容器、繰り出し容器、噴霧容器、混合液吐出口を備えた仕切り付き容器等の任意の容器に充填することができる。チューブは、通常のシリコーン系製剤では分離が起きやすい傾向があるが、本発明にかかる化粧料および化粧品は安定性に優れるため、かかるチューブ容器に充填されても安定に保管することが可能であるというメリットがある。
【実施例】
【0089】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[屈折率]
ゲル状組成物の屈折率は、ERMA社製アッベ屈折率(型番ER−1)を用い、温度25℃で測定した。
[粘度]
合成例および実施例中の粘度は、回転粘度計(ローターNo.3)を用い、温度25℃で測定した。
【0090】
[合成例1]
平均構造式:
【化9】

で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体と平均構造式:
CH=CHCHO(CO)23(CO)16CH
で表されるアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとを、上記共重合体中のケイ素原子結合水素原子と上記アリルエーテル化ポリオキシアルキレン中のアリル基のモル比が1:1になるような量で混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール30重量部を加えた。更に塩化白金酸(反応原料の合計重量に対して15ppmになる量)を加えて反応温度86℃で2時間攪拌した後、赤外分光分析(IR)にて混合物中に残存するケイ素原子結合水素原子の量を測定した。次いで、残存するケイ素原子結合水素原子に対し、モル比で2倍当量の2−アリロキシエタノールを加えて1時間攪拌した後、IRにてケイ素原子結合水素原子を示すピークが消失していることを確認した。その後、反応混合物にデカメチルペンタシロキサン 100重量部を加え、10分間攪拌した後、減圧下にストリッピングすることにより、平均構造式:
【化10】

で表される粘度31,000mPa・sのカルビノール基およびポリオキシアルキレン基を含有するシリコーンNo−1を得た。
【0091】
[合成例2]
合成例1において、2−アリロキシエタノールの代わりにトリメチロールプロパンモノアリルエーテルを添加する以外は同様の条件で反応を行い、平均構造式:
【化11】

で表される粘度24,700mPa・sのカルビノール基およびポリオキシアルキレン基を含有するシリコーンNo−2を得た。
【0092】
[合成例3]
合成例1において、2−アリロキシエタノールの代わりにグリセリル−α−モノアリルエーテルを添加する以外は同様の条件で反応を行い、平均構造式:
【化12】


で表される粘度17,100mPa・sのカルビノール基およびポリオキシアルキレン基を含有するシリコーンNo−3を得た。
【0093】
[合成例4]
合成例1において、2−アリロキシエタノールを添加しない以外は同様の条件で反応を行い、平均構造式:
【化13】

で表される粘度45,000mPa・sのポリオキシアルキレン基のみを含有するシリコーンNo−4を得た。
【0094】
[合成例5]
平均構造式:
【化14】

で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体と平均構造式:
CH=CHCHO(CO)19(CO)19
で表されるアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとを、上記共重合体中のケイ素原子結合水素原子と上記アリルエーテル化ポリオキシアルキレン中のアリル基のモル比が1:1になるような量で混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール30重量部を加えた。更に塩化白金酸(反応原料の合計重量に対して15ppmになる量)を加えて反応温度86℃で2時間攪拌した後、赤外分光分析(IR)にて混合物中に残存するケイ素原子結合水素原子の量を測定した。次いで、残存するケイ素原子結合水素原子に対し、モル比で2倍当量の2−アリロキシエタノールを加えて1時間攪拌した後、IRにてケイ素原子結合水素原子を示すピークが消失していることを確認した。その後、反応混合物にデカメチルペンタシロキサン 100重量部を加え、10分間攪拌した後、減圧下にストリッピングすることにより、平均構造式:
【化15】

で表される粘度23,800mPa・sのカルビノール基およびポリオキシアルキレン基を含有するシリコーンNo−5を得た。
【0095】
[合成例6]
平均構造式:
【化16】

で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体と平均構造式:
CH=CHCHO(CO)19(CO)19
で表されるアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとを、上記共重合体中のケイ素原子結合水素原子と上記アリルエーテル化ポリオキシアルキレン中のアリル基のモル比が2:1になるような量で混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール30重量部を加えた。更に塩化白金酸(反応原料の合計重量に対して15ppmになる量)を加えて反応温度86℃で2時間攪拌した後、赤外分光分析(IR)にて混合物中に残存するケイ素原子結合水素原子の量を測定した。次いで、残存するケイ素原子結合水素原子に対し、モル比で2倍当量の2−アリロキシエタノールを加えて1時間攪拌した後、IRにてケイ素原子結合水素原子を示すピークが消失していることを確認した。その後、反応混合物にデカメチルペンタシロキサン 100重量部を加え、10分間攪拌した後、減圧下にストリッピングすることにより、平均構造式:
【化17】

で表される粘度16,400mPa・sのカルビノール基およびポリオキシアルキレン基を含有するシリコーンNo−6を得た。
【0096】
[合成例7]
平均構造式:
【化18】

で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体と平均構造式:
CH=CHCHO(CO)19(CO)19
で表されるアリルエーテル化ポリオキシアルキレンとを、上記共重合体中のケイ素原子結合水素原子と上記アリルエーテル化ポリオキシアルキレン中のアリル基のモル比が1:1になるような量で混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール30重量部を加えた。更に塩化白金酸(反応原料の合計重量に対して15ppmになる量)を加えて反応温度86℃で2時間攪拌した後、赤外分光分析(IR)にて混合物中に残存するケイ素原子結合水素原子の量を測定した。その後、反応混合物にデカメチルペンタシロキサン 100重量部を加え、10分間攪拌した後、減圧下にストリッピングすることにより、平均構造式:
【化19】

で表される粘度56,700mPa・sのポリオキシアルキレン基のみを含有するシリコーンNo−7を得た。
【0097】
[実施例1〜実施例5、比較例1、比較例2]
合成例1〜7で得たシリコーンNo−1〜No−7の50%デカメチルペンタシクロシロキサン(D5)溶液の粘度を測定した。また、これらのシリコーンNo−1〜No−7をゲル化剤として用い、以下に示す方法でゲル状組成物を調製した。調製直後と50℃で30日間静置後のゲル状組成物(ゲル)の外観、粘度の測定結果を表1に示す。
【0098】
[デカメチルペンタシクロシロキサン(D5)を用いたゲル状組成物の調製]
300mlポリカップに(A)シリコーン(ゲル化剤)20g、(B)デカメチルペンタシクロシロキサン(D5)78gを秤量した。該試料をTKホモディスパー(特殊機化工業株式会社製の商品名)を用いて均一に混合した後、回転数3000rpmで攪拌しながらイオン交換水2.0gを滴下した。90秒間攪拌した後、ポリカップおよびホモディスパーに付着した粗ゲルのかき落としを行い、さらに回転数3000rpmで更に300秒間攪拌してゲル状組成物(ソフトゲル)を調製した。該調製直後のゲルを容量100mlのガラス瓶に移し、25℃で3時間静置した後、外観と粘度を測定した。次いで、ゲルを入れたガラス瓶を50℃に保ったオーブン中で30日間静置した後、オーブンから取り出して25℃で3時間静置した後に外観と粘度を測定した。
【表1】

【0099】
表1の結果から、本発明の実施例であるシリコーンNo−1〜No−3,No−5,No−6は50%デカメチルペンタシクロシロキサン溶液の粘度がゲルの粘度より低く、取り扱いが容易であり、前記組成において得られるゲル状組成物は50℃における経時安定性が良好であることが分かった。一方、合成例4および合成例7のポリエーテル変性シリコーン(シリコーンNo−4,No−7)は、ゲル状組成物の粘度および経時安定性は実施例と同程度かあるいはやや悪いが、50%デカメチルペンタシクロシロキサン溶液の粘度が高く、水を配合しない状態で取り扱い性が悪い結果となった。
【0100】
[実施例6]
300mlポリカップに前記の方法で合成したシリコーンNo−2 20g、デカメチルペンタシクロシロキサン(D5) 58g、表2に示す化粧品油剤 20gを秤量した。該試料をTKホモディスパー(特殊機化工業株式会社製の商品名)を用いて均一に混合した後、回転数3000rpmで攪拌しながらイオン交換水2gを滴下した。90秒間攪拌した後、ポリカップおよびホモディスパーに付着した粗ゲルのかき落としを行い、さらに回転数3000rpmで更に300秒間攪拌してゲル状組成物(ゲル)を調製した。各種化粧品油剤を用いて得られたゲルの外観、粘度および屈折率を測定した結果を表2に示す。
【表2】

*1:デカメチルペンタシクロシロキサン78gでゲル化させたサンプル
*2:フェニルトリメチコンは東レ・ダウコーニング社製SH556を使用した
【0101】
表2に示す通り、本発明のカルビノール基およびポリオキシアルキレン基を含有するシリコーンからなるゲル化剤を用いることにより、化粧品に配合される代表的な非極性有機化合物または低極性有機化合物を用いて、外観の透明性に優れ、安定なゲル状組成物を形成することができた。
【0102】
[参考例]
下記平均構造式で表され、表3に示すm, n, p, d, eおよびR2の種類が異なるシリコーンからなるゲル化剤01〜17を合成し、これらのゲル化剤の50%デカメチルペンタシクロシロキサン(D5)溶液を調製した。また、これらのゲル化剤を300mlポリカップに20gずつ取り、デカメチルペンタシクロシロキサン(D5) 78gとTKホモディスパー(特殊機化工業株式会社製の商品名)を用いて均一に混合した後、回転数3000rpmで攪拌しながらイオン交換水2gを滴下した。90秒間攪拌した後、ポリカップおよびホモディスパーに付着した粗ゲルのかき落としを行い、さらに回転数3000rpmで更に300秒間攪拌してゲル状組成物(ゲル)を調製した。ゲル化の有無、50%D5溶液の粘度について目視により下記の基準により定性的にまとめた結果を表1に示す。本発明のm, n, p, d, eの値の範囲および官能基R2を有するシリコーンからなるゲル化剤(ゲル化剤02, 03, 05-15)は良好なゲル化能を有し、50%D5溶液が大きく増粘しないため、取り扱い性が良好であった。
[ゲル化の有無]: ○:ゲル状を呈する △:増粘するがゲル化は不十分 ×:ゲル化しない
[50%D5溶液の粘度]: ○:ほとんど増粘せず、取り扱い容易 △:増粘し、取り扱い性が低下 ×:ゲルより高粘度で取り扱い性が悪い
【化20】

【表3】

【0103】
以下、本発明の化粧料の実施例を示す。実施例中、特に断りが無い場合、「シリコーンNo−X(ゲル化剤)」のように記載されている場合、前記の合成例Xに示したシリコーンNo−Xからなるゲル化剤を指すものとする。また、%は重量%を表すものである。
【0104】
[実施例7:オイルクレンジングジェル(洗い流しタイプ)]
(組成) (重量%)
1.シリコーンNo−2(ゲル化剤) 20.0
2.流動パラフィン 30.0
3.デカメチルペンタシロキサン 40.0
4.ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体*1 5.0
5.プロピレングリコール 3.0
6.イオン交換水 2.0
*1:ジメチルシロキサン・メチルポリオキシエチレンシロキサン共重合体は東レ・ダウコーニング社製SH3772Mを用いた。
【0105】
(製造方法)
前記の成分1〜成分5をTKホモディスパー(特殊機化工業株式会社製の商品名)を用いて均一に混合した後、回転数3000rpmで攪拌しながらイオン交換水(成分6)を滴下した。90秒間攪拌した後、攪拌容器およびホモディスパーに付着した粗ゲルのかき落としを行い、さらに回転数3000rpmで更に300秒間攪拌してオイルクレンジングジェル(洗い流しタイプ)を調製した。
(クレンジングジェルの評価方法)
市販の耐皮脂性ファンデーション及びラスティングタイプの口紅をそれぞれ肌に塗布した後、塗膜上に実施例8のオイルクレンジングジェル(洗い流しタイプ)を適量乗せ、指でこすり十分に塗膜をなじませてから、水で洗い落とした後に石鹸洗浄した。
(評価結果)
該オイルクレンジングジェルを使うことにより、肌上に塗布されたファンデーション、及び口紅は全て洗い流され、該ゲルはクレンジング能力に優れていた。またゲルの感触もシリコーンオイル独特の軽い感触であり、使用感も優れていた。
【0106】
[実施例8:オイルクレンジングジェル(ふき取りタイプ)]
(組成) (重量%)
1.シリコーンNo−3(ゲル化剤) 20.0
2.イソノナン酸イソノニル 32.0
3.デカメチルペンタシロキサン 43.0
4.プロピレングリコール 3.0
5.イオン交換水 2.0
【0107】
(製造方法)
前記の成分1〜成分4をTKホモディスパー(特殊機化工業株式会社製の商品名)を用いて均一に混合した後、回転数3000rpmで攪拌しながらイオン交換水(成分5)を滴下した。90秒間攪拌した後、攪拌容器およびホモディスパーに付着した粗ゲルのかき落としを行い、さらに回転数3000rpmで更に300秒間攪拌してオイルクレンジングジェル(ふき取りタイプ)を調製した。
(評価方法)
市販の耐皮脂性ファンデーション及びラスティングタイプの口紅をそれぞれ肌に塗布した後、塗膜上に実施例8のオイルクレンジングジェル(ふき取りタイプ)を適量乗せ、指でこすり十分に塗膜をなじませてから、コットンを用いてふき取った。また、シリコーンNo−3の代わりにデカメチルペンタシロキサンを用いた他は全て同様にして製造したクレンジング料を作成し、同様の評価を実施した。
(評価結果)
該オイルクレンジングジェルを使うことにより、肌上に塗布された耐皮脂性油性ファンデーション、及び口紅は全てふき取られ、該ゲルはクレンジング能力に優れていることが判った。またゲルの感触もシリコーンオイル独特の軽い感触であり、使用感も優れ、ゲルの透明性に優れていた。一方、ゲル化剤を用いない場合は、耐皮脂性油性ファンデーションにおいて落ち残りが発生し、クレンジング性能が不十分であることがわかった。また、本発明のゲル化剤を用いない場合は粘度が低く、液だれが発生し、使用感も悪かった。
【0108】
[実施例9:リップグロス]
(成分) (重量%)
1.シリコーンNo−1(ゲル化剤) 20.0
2.ジメチルポリシロキサン(6mPa・s) 20.0
3.ジメチルポリシロキサン(10,000mPa・s) 残量
4.メチルフェニルポリシロキサン*2 10.0
5.顔料 適量
6.法定色素 適量
7.イオン交換水 2.0
*2:メチルフェニルポリシロキサンは東レ・ダウコーニング社製SH556を使用した
(製造方法)
成分1〜成分6をTKホモディスパー(特殊機化工業株式会社製の商品名)を用いて均一に混合した後、回転数3000rpmで攪拌しながらイオン交換水(成分7)を滴下した。90秒間攪拌した後、攪拌容器およびホモディスパーに付着した粗ゲルのかき落としを行い、さらに回転数3000rpmで更に300秒間攪拌してリップグロスを得た。
該リップグロスを使用感の評価を実施したところ、該組成による製造されたリップグロスは、伸び、つや、べたつきの無さに優れ、使用感に優れていた。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均単位式:RSiO(4−a−b−c)/2(1)
〔式中、Rは一価炭化水素基または一価置換炭化水素基(ただし、R,Rに該当するものを除く)であり、
は一般式:−R−O−(CO)(CO)(2)で示されるポリオキシアルキレン基(式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基であり、Rは水素原子,炭素原子数1〜30のアルキル基またはR−(CO)−で表される有機基(Rは炭素原子数1〜30のアルキル基)から選択される基であり、d、eはそれぞれ0≦c≦50、0≦d≦50の整数である。ただし、1≦d+eである)であり、
は一般式:−R−O−C(CHOH)(OH)(3)で示される1以上のカルビノール基を有する有機基(式中、Rは前記と同じであり、f,g,iおよびhはそれぞれ1≦f≦10,1≦g,(g+i+h)=2f+1の関係を満たす整数である)であり、
a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.0009≦b≦0.5、0.0009≦c≦0.5である。ただし、c≦bである。〕で示されるシリコーン化合物からなるゲル化剤。
【請求項2】
シリコーン化合物が、下記構造式(4)
【化1】

(式中、R,R,Rは前記どおりであり、AはR,RおよびRから選択される同一または異種の基であり、m,n,pはそれぞれ50≦m≦1000、2≦n≦40、1≦p≦20である。ただし、p≦nである)
で示される請求項1に記載のゲル化剤。
【請求項3】
が下式で示される一群のカルビノール基を有する有機基から選択される基である請求項1または請求項2に記載のゲル化剤。
【化2】

(式中、Rは炭素原子数2〜30のアルキレン基)
【請求項4】
シリコーン化合物の25℃における粘度が5,000〜1,000,000mPa・sの範囲にある請求項1または請求項2に記載のゲル化剤。
【請求項5】
シリコーンオイル(平均単位式(1)または構造式(4)で示されるシリコーン化合物を除く)用、非極性有機化合物用または低極性有機化合物用である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のゲル化剤。
【請求項6】
シリコーンオイルが25℃における粘度が0.65〜100,000mPa・sの疎水性シリコーンオイルである請求項5に記載のゲル化剤。
【請求項7】
ゲル化剤のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)の50重量%溶液の粘度が1,000〜100,000mPa・sの範囲にある請求項1〜請求項6に記載のゲル化剤。
【請求項8】
(A)請求項1〜請求項5または請求項7のいずれか1項に記載のゲル化剤 2〜30重量%、
(B)シリコーンオイル((A)成分を除く)、非極性有機化合物または低極性有機化合物 20〜95重量%および
(C)水 0.2〜80重量%
からなることを特徴とするゲル状組成物。
【請求項9】
(B)成分が25℃における粘度が0.65〜100,000mPa・sの疎水性シリコーンオイルである請求項8に記載のゲル状組成物。
【請求項10】
(B)成分の一部または全部が揮発性である請求項8に記載のゲル状組成物。
【請求項11】
屈折率が1.20〜1.60の範囲にある請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のゲル状組成物。
【請求項12】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のゲル化剤を含有する化粧料。
【請求項13】
請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載のゲル状組成物を含有する化粧料。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の化粧料からなる皮膚化粧料。
【請求項15】
請求項12または請求項13に記載の化粧料からなるクレンジング化粧品。


【公開番号】特開2007−254538(P2007−254538A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78968(P2006−78968)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】