ゲートバルブ装置
【課題】開口部を開閉するための弁体にヒーターを取り付け、且つこのヒーターに容易に電力を供給することができるようにする。
【解決手段】ゲートバルブ装置10は、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部112を開閉するための弁体12と、弁体12を移動させる弁体移動装置20と、弁体12を加熱するためのヒーター13と、ヒーター13に電気的に接続されていると共に、ヒーター13に供給される電力を出力する電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能なコネクタとを備えている。弁体12、ヒーター13およびコネクタは一体化されている。コネクタは、弁体12が開口部112を閉塞した状態では電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続され、弁体12が開口部112を開放した状態では電力出力部から電気的且つ物理的に乖離するように、弁体12と連動する。
【解決手段】ゲートバルブ装置10は、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部112を開閉するための弁体12と、弁体12を移動させる弁体移動装置20と、弁体12を加熱するためのヒーター13と、ヒーター13に電気的に接続されていると共に、ヒーター13に供給される電力を出力する電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能なコネクタとを備えている。弁体12、ヒーター13およびコネクタは一体化されている。コネクタは、弁体12が開口部112を閉塞した状態では電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続され、弁体12が開口部112を開放した状態では電力出力部から電気的且つ物理的に乖離するように、弁体12と連動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーの開口部のような、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉するためのゲートバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPD(フラットパネルディスプレイ)用のガラス基板等の基板に対して真空条件下でプラズマエッチング、プラズマアッシング、プラズマ成膜等の処理を行うために、真空処理システムが用いられている。この真空処理システムは、例えば、基板に対する処理が行われるプロセスチャンバーと、プロセスチャンバーへの基板の搬入およびプロセスチャンバーからの基板の搬出を行う搬送装置を収容した搬送チャンバーと、プロセスチャンバーと搬送チャンバーとの間に設けられたゲートバルブ装置等を備えている。プロセスチャンバーと搬送チャンバーは、いずれも、基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーである。
【0003】
プロセスチャンバーは、基板の搬入または搬出の際に基板を通過させるための開口部を有している。プロセスチャンバーと搬送チャンバーとの間に設けられたゲートバルブ装置は、プロセスチャンバーの開口部を開閉する弁体を有している。この弁体によってプロセスチャンバーの開口部が閉塞されることによって、プロセスチャンバーは気密にシールされる。
【0004】
プロセスチャンバー内で行われる処理には、酸化膜エッチングのように、処理中に、堆積し得る副生成物が生じる処理が含まれる。このような処理中に副生成物がプロセスチャンバーの内壁に付着すると、この副生成物が内壁から剥がれてパーティクル(浮遊粒子)が生じ、このパーティクルがエッチング不良を引き起こすおそれがある。そこで、このような処理を行う際には、プロセスチャンバーの内壁への副生成物の付着を防止するために、チラー(恒温装置)によってプロセスチャンバーの周囲において高温の媒体を循環させて、プロセスチャンバーを100℃程度に昇温することが行われている。
【0005】
プロセスチャンバー内で、処理が行われる際には、プロセスチャンバーの開口部はゲートバルブ装置の弁体によって閉塞されている。この状態で、弁体の表面の一部は、プロセスチャンバー内の空間に露出する。弁体は、チラーによって直接昇温することができない。また、弁体とプロセスチャンバーとの接触面積は小さいことから、前述のようにチラーによってプロセスチャンバーを100℃程度に昇温していても、弁体は、同じ様には昇温されない。そのため、プロセスチャンバーの開口部が弁体によって閉塞されている状態において、弁体の表面のうちプロセスチャンバー内の空間に露出している部分には副生成物が付着しやすい。この部分に副生成物が付着すると、プロセスチャンバーの内壁に副生成物が付着した場合と同様に、パーティクルが生じて、エッチング不良が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、従来、弁体の表面に副生成物が付着することを防止するために、例えば特許文献1ないし3に記載されているように、弁体にヒーターを取り付け、ヒーターによって弁体を直接加熱することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−4505号公報
【特許文献2】特開平10−132095号公報
【特許文献3】特開平11−325313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ゲートバルブ装置では、開口部を開閉するために弁体を移動させる駆動機構が必要である。この駆動機構としては、弁体が他の構造物と擦れることによるパーティクルの発生を防止するために、弁体が他の構造物と擦れない機構が好ましい。このように弁体が他の構造物と擦れない機構としては、例えば、弁体が開口部を閉塞する際には、開口部に対向する位置まで、開口部を有する壁の面に平行な方向に弁体を移動させ、その後、弁体を開口部に向けて壁の面に垂直な方向に移動させ、弁体が開口部を開放する際には、開口部を閉塞する際とは逆の動作を行う機構が考えられる。このような機構は、例えば、壁の面に平行な方向に駆動されるベース部材に対してリンク機構を介して弁体を接続することによって実現することができる。
【0009】
ここで、ベース部材に対してリンク機構を介して弁体が接続された駆動機構を含むゲートバルブ装置において、弁体にヒーターを取り付ける場合について考える。この場合、ヒーターに電力を供給するために、電力供給用のケーブルを、ベース部材およびリンク機構を経由してヒーターに接続されるように設けることが考えられる。しかし、ベース部材に対してリンク機構を介して弁体が接続された駆動機構を含むゲートバルブ装置では、弁体によって開口部を開閉する動作に伴って、一体化された弁体およびヒーターとベース部材との相対的な位置関係が変化するため、電力供給用のケーブルを、ベース部材およびリンク機構を経由してヒーターに接続されるように設けることが難しいという問題点がある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、開口部を開閉するための弁体にヒーターを取り付け、且つこのヒーターに容易に電力を供給することができるようにしたゲートバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のゲートバルブ装置は、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉するための弁体と、前記弁体によって前記開口部を開閉するために弁体を移動させる弁体移動手段と、前記弁体を加熱するためのヒーターと、前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能なコネクタとを備えている。前記弁体、ヒーターおよびコネクタは一体化されている。前記コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続され、前記弁体が前記開口部を開放した状態では前記電力出力部から電気的且つ物理的に乖離するように、前記弁体と連動する。
【0012】
本発明のゲートバルブ装置において、前記電力出力部は、前記壁に固定されていてもよい。
【0013】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタを収容する筐体を備え、前記電力出力部は、前記筐体に固定されていてもよい。この場合、前記筐体は、前記壁の少なくとも一部を構成する壁構成部分を有し、前記電力出力部は、前記壁構成部分に固定されていてもよい。
【0014】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記電力出力部との間に設けられ、前記電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えていてもよい。
【0015】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタと一体化され、前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能な副コネクタを備えていてもよい。前記副コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記第2の電力出力部から電気的且つ物理的に乖離し、前記弁体が前記開口部を開放した特定の状態では前記第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続されるように、前記弁体と連動する。
【0016】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記第2の電力出力部を備えていてもよい。この場合、ゲートバルブ装置は、更に、前記弁体、ヒーター、コネクタおよび副コネクタを収容する筐体を備え、前記第2の電力出力部は前記筐体に固定されていてもよい。また、ゲートバルブ装置は、更に、前記第2の電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記第2の電力出力部との間に設けられ、前記第2の電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えていてもよい。
【0017】
また、本発明のゲートバルブ装置において、前記弁体移動手段は、ベース部材と、前記ベース部材を前記壁の面に平行な方向に移動させる駆動手段と、前記ベース部材と前記弁体とを接続するリンク機構とを有し、前記弁体によって前記開口部を閉塞する際には、前記開口部に対向する位置まで前記弁体を前記壁の面に平行な方向に移動させ、その後、前記弁体を前記開口部に向けて前記壁の面に垂直な方向に移動させ、前記弁体が前記開口部を開放する際には、前記弁体に、前記開口部を閉塞する際とは逆の動作を行わせるものであってもよい。
【0018】
また、本発明のゲートバルブ装置において、前記2つの空間の一方は、基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーの内部であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のゲートバルブ装置では、弁体が開口部を開放した状態では、ヒーターに電気的に接続されたコネクタは電力出力部から電気的且つ物理的に乖離しているが、弁体が開口部を閉塞した状態では、コネクタが電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続されて、ヒーターに電力を供給することが可能になる。このように、本発明のゲートバルブ装置によれば、ヒーターに直接接続されるように電力供給用のケーブルを設けることなく、弁体にヒーターを取り付け、且つヒーターに容易に電力を供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置を含む真空処理システムを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した真空処理システムの内部を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示したゲートバルブ装置の他の状態を示す断面図である。
【図5】図3に示したゲートバルブ装置の更に他の状態を示す断面図である。
【図6】図4に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーターおよびコネクタ部を示す正面図である。
【図7】図6に示したコネクタ部に接続されるターミナル部を示す正面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置の動作を説明するための説明図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。
【図11】図10に示したゲートバルブ装置の他の状態を示す断面図である。
【図12】図10に示したゲートバルブ装置の更に他の状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。
【図14】図13に示したゲートバルブ装置の他の状態を示す断面図である。
【図15】図13に示したゲートバルブ装置の更に他の状態を示す断面図である。
【図16】図14に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーター、コネクタ部、副コネクタ部および副ターミナル部を示す正面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置を含むシステムの一例としての真空処理システム100の構成について説明する。図1は、真空処理システム100を概略的に示す斜視図である。図2は、真空処理システム100の内部を概略的に示す平面図である。真空処理システム100は、例えばFPD用のガラス基板(以下、単に「基板」と記す)Sに対してプラズマ処理を行うための処理システムとして構成されている。なお、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0022】
真空処理システム100は、十字形に連結された5つの真空チャンバーを備えている。具体的には、真空処理システム100は、5つの真空チャンバーとして、3つのプロセスチャンバー101a,101b,101cと、搬送チャンバー103と、ロードロックチャンバー105とを備えている。これらの真空チャンバーにおいて、搬送チャンバー103は中央に配置されている。搬送チャンバー103は、4つの側面を有している。プロセスチャンバー101a,101b,101cとロードロックチャンバー105は、搬送チャンバー103の各側面に隣接するように配置されている。
【0023】
図示しないが、真空処理システム100は、更に、それぞれプロセスチャンバー101a,101b,101cに取り付けられた3つのチラーを備えている。この3つのチラーは、それぞれ、プロセスチャンバー101a,101b,101cを所定の温度(例えば、120℃)に昇温できるようになっている。
【0024】
プロセスチャンバー101a,101b,101cは、その内部空間を所定の減圧雰囲気(真空状態)に維持できるように構成されている。プロセスチャンバー101a,101b,101c内には、それぞれ、基板Sを載置する載置台としてのサセプタ102が配備されている。
【0025】
プロセスチャンバー101a,101b,101cでは、基板Sをサセプタ102に載置した状態で、基板Sに対して、例えば真空条件でのエッチング処理、アッシング処理、成膜処理等のプラズマ処理が行なわれる。プロセスチャンバー101a,101b,101c内には、それぞれ、そこで行われる処理のための装置が収容されている。真空処理システム100では、3つのプロセスチャンバー101a,101b,101cで同種の処理を行ってもよいし、プロセスチャンバー毎に異なる種類の処理を行ってもよい。なお、プロセスチャンバーの数は3つに限らず、4つ以上であってもよい。
【0026】
搬送チャンバー103は、プロセスチャンバー101a,101b,101cと同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。真空処理システム100は、更に、搬送チャンバー103内に設けられた搬送装置133を備えている。搬送装置133は、進出、退避および旋回可能に構成されて基板Sを搬送する櫛歯状のフォーク135を有している。この搬送装置133によって、プロセスチャンバー101a,101b,101cとロードロックチャンバー105の間で基板Sの搬送が行われる。
【0027】
ロードロックチャンバー105は、プロセスチャンバー101a,101b,101cおよび搬送チャンバー103と同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。ロードロックチャンバー105は、減圧雰囲気の搬送チャンバー103と外部の大気雰囲気との間で基板Sの授受を行うためのものである。
【0028】
ロードロックチャンバー105は、大気圧状態と真空状態とを繰り返す関係上、極力その内容積が小さく構成されている。ロードロックチャンバー105には、基板Sを支持する複数のバッファ138が間隔をあけて配設されている。これらバッファ138同士の隙間は、櫛歯状のフォーク(例えばフォーク135)の逃げ溝となっている。
【0029】
真空処理システム100は、更に、5つのゲートバルブ装置10a,10b,10c,10d,10eを備えている。ゲートバルブ装置10aは、搬送チャンバー103とプロセスチャンバー101aとの間に配置されている。ゲートバルブ装置10bは、搬送チャンバー103とプロセスチャンバー101bとの間に配置されている。ゲートバルブ装置10cは、搬送チャンバー103とプロセスチャンバー101cとの間に配置されている。ゲートバルブ装置10dは、搬送チャンバー103とロードロックチャンバー105との間に配置されている。ゲートバルブ装置10eは、ロードロックチャンバー105におけるゲートバルブ装置10dとは反対側に配置されている。ゲートバルブ装置10a〜10eは、いずれも、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉する機能を有している。
【0030】
ゲートバルブ装置10a〜10dは、閉状態で各チャンバーを気密にシールすると共に、開状態でチャンバー間を連通させて基板Sの移送を可能にする。ゲートバルブ装置10eは、閉状態でロードロックチャンバー105の気密性を維持すると共に、開状態でロードロックチャンバー105内と外部との間で基板Sの移送を可能にする。
【0031】
真空処理システム100は、更に、ロードロックチャンバー105との間でゲートバルブ装置10eを挟む位置に配置された搬送装置125を備えている。搬送装置125は、基板保持具としてのフォーク127と、フォーク127を進出、退避および旋回可能に支持する支持部129と、この支持部129を駆動する駆動機構を備えた駆動部131とを有している。
【0032】
真空処理システム100は、更に、駆動部131の両側に配置されたカセットインデクサ121a,121bと、それぞれカセットインデクサ121a,121bの上に載置されたカセットC1,C2とを備えている。カセットインデクサ121a,121bは、それぞれ、カセットC1,C2を昇降する昇降機構部123a,123bを有している。各カセットC1,C2内には、基板Sを、上下に間隔を空けて多段に配置できるようになっている。搬送装置125のフォーク127は、カセットC1,C2の間に配置されている。
【0033】
また、図1および図2では図示しないが、真空処理システム100は、更に、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を制御する制御部を備えている。制御部は、例えば、CPUを備えたコントローラと、コントローラに接続されたユーザーインターフェースと、コントローラに接続された記憶部とを有している。コントローラは、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を統括して制御する。ユーザーインターフェースは、工程管理者が真空処理システム100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、真空処理システム100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成される。記憶部には、真空処理システム100で実行される各種処理をコントローラの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェースからの指示等にて任意のレシピを記憶部から呼び出してコントローラに実行させることで、コントローラの制御下で、真空処理システム100での所望の処理が行われる。
【0034】
前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどに格納された状態のものを利用できる。あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0035】
次に、真空処理システム100の動作について説明する。まず、搬送装置125のフォーク127を進退駆動させて、カセットC1から未処理の基板Sを受け取り、これを、ロードロックチャンバー105のバッファ138に載置する。次に、フォーク127を、ロードロックチャンバー105から退避させる。
【0036】
次に、ロードロックチャンバー105の大気側のゲートバルブ装置10eを閉じる。次に、ロードロックチャンバー105内を排気して、内部を所定の真空度まで減圧する。次に、搬送チャンバー103とロードロックチャンバー105との間のゲートバルブ装置10dを開く。次に、搬送装置133のフォーク135により、ロードロックチャンバー105に収容された基板Sを受け取る。
【0037】
次に、搬送装置133のフォーク135により、プロセスチャンバー101a,101b,101cのいずれかに基板Sを搬入し、サセプタ102に受け渡す。次に、基板Sが搬入されたプロセスチャンバーと搬送チャンバー103との間のゲートバルブ装置を閉じる。
【0038】
次に、基板Sが搬入されたプロセスチャンバー内で、基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。次に、処理が終了したら、処理が行われたプロセスチャンバーと搬送チャンバー103との間のゲートバルブ装置を開く。次に、処理済みの基板Sが、サセプタ102から搬送装置133のフォーク135に受け渡され、プロセスチャンバーから搬出される。
【0039】
基板Sは、搬入時とは逆の経路でロードロックチャンバー105を経て、搬送装置125によりカセットC2に収容される。なお、処理済みの基板Sを元のカセットC1に戻してもよい。
【0040】
次に、図3ないし図8を参照して、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成について詳しく説明する。図3ないし図5は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。なお、図3はゲートバルブ装置の開状態を表し、図4および図5はゲートバルブ装置の閉状態を表している。図6は、図4に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーターおよびコネクタ部を示す正面図である。図7は、図6に示したコネクタ部に接続されるコネクタ部を示す正面図である。図8は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【0041】
本実施の形態に係るゲートバルブ装置10は、図1および図2に示した真空処理システム100における5つのゲートバルブ装置10a,10b,10c,10d,10eのいずれにも適用することができるが、特に、プロセスチャンバー101a,101b,101cと搬送チャンバー103の間に設けられたゲートバルブ装置10a,10b,10cに適用するのに適している。そこで、以下、ゲートバルブ装置10a,10b,10cに適用した場合を例にとって、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10について説明する。この例では、ゲートバルブ装置10は、チャンバー101と搬送チャンバー103との間に配置されている。チャンバー101は、プロセスチャンバー101a,101b,101cのいずれかである。なお、図3ないし図5では、搬送チャンバー103の図示を省略している。
【0042】
図3ないし図5に示したように、チャンバー101は、チャンバー101内の空間を画定する筐体111を備えている。筐体111は、ゲートバルブ装置10に隣接する壁111Aを含んでいる。この壁111Aは、チャンバー101内の空間とそれに隣接するゲートバルブ装置10側の空間とを仕切っている。壁111Aには、チャンバー101と搬送チャンバー103との間で基板Sの移送を可能にする開口部112が設けられている。壁111Aは、ゲートバルブ装置10に向いた面111ASを有している。壁111Aには、面111ASにおいて露出するように、ターミナル部40が埋め込まれて固定されている。
【0043】
ゲートバルブ装置10は、筐体11と、開口部112を開閉するための弁体12と、開口部112を開閉するために弁体12を移動させる弁体移動装置20と、弁体12を加熱するためのヒーター13と、コネクタ部30とを備えている。弁体12、ヒーター13およびコネクタ部30は一体化されている。筐体11は、これら一体化された弁体12、ヒーター13およびコネクタ部30と、弁体移動装置20の一部を収容している。弁体移動装置20は、本発明における弁体移動手段に対応する。
【0044】
筐体11は、上部と、底部と、上部と底部とを連結する2つの側部とを有する四角筒形状をなしている。筐体11におけるチャンバー101側の端(図3における右端)と搬送チャンバー103側の端(図3における左端)はそれぞれ開口している。
【0045】
弁体12は、ほぼ直方体形状をなしている。弁体12は、チャンバー101に向き、開口部112を閉塞可能なシール面12Aと、このシール面12Aとは反対側の背面12Bと、上面12Cと、底面12Dと、2つの側面12E,12Fとを有している。シール面12Aは、開口部112を閉塞することができる大きさを有している。なお、図6では、開口部112を二点鎖線で表している。
【0046】
壁111Aの面111ASにおける開口部112の周囲には、Oリング19が取り付けられている。図4および図5に示したように、弁体12が開口部112を閉塞した状態では、Oリング19は、全周にわたって、面111ASとシール面12Aとの間に挟まれる。これにより、チャンバー101が気密にシールされる。
【0047】
ヒーター13は、底面12Dに接するように弁体12に取り付けられている。なお、ヒーター13は、シール面12A以外の面であれば、底面12D以外の面に接するように、弁体12に取り付けられていてもよい。ヒーター13としては、例えばプレート型ヒーターが用いられる。しかし、ヒーター13は、プレート型ヒーターに限られるものではなく、電力の供給を受けて発熱するものであればよい。
【0048】
図8に示したように、ゲートバルブ装置10は、更に、弁体12の温度を測定するための温度センサ73を備えている。図3ないし図6では温度センサ73を図示していないが、温度センサ73は弁体12に取り付けられている。
【0049】
弁体移動装置20は、エアシリンダー21と、ベース部材22と、リンク23,24,25,26とを有している。エアシリンダー21は、シリンダー部21aとロッド部21bとを含んでいる。シリンダー部21aは、筐体11の底部に取り付けられている。ロッド部21bは、シリンダー部21aから筐体11の底部に形成された開口部を通して、筐体11の内部に向けて突出している。ロッド部21bの一部は、シリンダー部21aに収容されている。ロッド部21bは、シリンダー部21aに供給されるエアにより、シリンダー部21aおよびロッド21bの軸方向(図3における上下方向)に往復運動する。なお、エアシリンダー21の代わりに、油圧シリンダーや、モータにより駆動するボールねじ機構を使用してもよい。
【0050】
ベース部材22は、ロッド部21bの先端部に取り付けられている。ベース部材22は、例えば、弁体12と同様に、ほぼ直方体形状をなし、弁体12に向いた前面と、その反対側の背面と、上面と、底面と、2つの側面とを有している。エアシリンダー21は、ベース部材22を壁111Aの面111ASに平行な方向に移動させる。エアシリンダー21は、本発明における駆動手段に対応する。
【0051】
リンク23〜26は、ベース部材22と弁体12とを接続するリンク機構を構成している。図3ないし図6に示したように、リンク23,24の一端部は、弁体12の側面12Eに対して回動可能に接続され、リンク23,24の他端部は、側面12Eに対応するベース部材22の側面に対して回動可能に接続されている。同様に、リンク25,26の一端部は、弁体12の側面12Fに対して回動可能に接続され、リンク25,26の他端部は、側面12Fに対応するベース部材22の側面に対して回動可能に接続されている。
【0052】
図示しないが、ベース部材22は、リンク23〜26を、それらのベース部材22の側面に対する接続部を中心として図3における反時計回り方向に回動するように付勢するばねと、反時計回り方向へのリンク23〜26の回動を規制するストッパとを含んでいる。図3は、ストッパによってリンク23〜26の回動が規制された状態を表している。この状態では、弁体12の上面12Cは、ベース部材22の上面よりも上方の位置にある。
【0053】
弁体12の上面12Cには、ローラー15,16が回転可能に取り付けられている。ローラー15,16の一部は、上面12Cよりも上方に突出している。なお、ローラー15,16としては、円柱状、球状等、種々の形状のものを用いることができる。
【0054】
弁体移動装置20は、弁体12を、図3に示した待機位置と、図4および図5に示した閉塞位置との間で移動させる。弁体移動装置20の動作については、後で詳しく説明する。
【0055】
以下、コネクタ部30とターミナル部40について詳しく説明する。コネクタ部30は後で説明する4つのコネクタを有し、ターミナル部40は後で説明する4つの入出力端子を有している。コネクタ部30とターミナル部40は、弁体12が閉塞位置にあるときに、コネクタ部30の4つのコネクタとターミナル部40の4つの入出力端子が互いに接続されるような位置に配置されている。図3ないし図6に示した例では、コネクタ部30は、ヒーター13の底面に取り付けられている。しかし、コネクタ部30は、弁体12の底面12D等、他の位置に設けられていてもよい。
【0056】
図6に示したように、コネクタ部30は、絶縁材料からなる本体30Aと、この本体30Aによって保持された電力用コネクタ31,32およびセンサ用コネクタ33,34を有している。本体30Aは、チャンバー101に向いた面30ASと、この面30ASにおいて開口し、それぞれコネクタ31,32,33,34を収容する4つの凹部を有している。コネクタ31,32は、ヒーター13に電気的に接続されている。コネクタ33,34は、温度センサ73に電気的に接続されている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、温度センサ73およびコネクタ33,34を設けなくてもよい。
【0057】
ここで、図3および図6を参照して、コネクタ31,32,33,34の構造の一例について説明する。この例では、コネクタ31,32,33,34は、それぞれ、対応する凹部内に進退可能に収容された金属製のプラグ31a,32a,33a,34aを有している。プラグ31a,32a,33a,34aは、それぞれ、フランジを有するほぼ円柱形状をなしている。コネクタ31,32,33,34は、それぞれ、更に、対応する凹部内に収容され、プラグ31a,32a,33a,34aを、対応する凹部から突出する方向(図3における右方向)に付勢するばねを有している。なお、図3には、コネクタ31,32,33,34のばねのうち、コネクタ31のばね31bのみを示している。なお、コネクタ31,32,33,34を収容する凹部は、それぞれ、凹部から抜けないようにプラグ31a,32a,33a,34aを保持している。プラグ31a,32aはヒーター13に電気的に接続され、プラグ33a,34aは温度センサ73に電気的に接続されている。
【0058】
図3および図7に示したように、ターミナル部40は、絶縁材料からなる本体40Aと、この本体40Aによって保持された電力出力端子41,42およびセンサ入力端子43,44を有している。以下、電力出力端子41,42およびセンサ入力端子43,44を、入出力端子41,42,43,44とも記す。本体40Aは、ゲートバルブ装置10に向いた面40ASと、この面40ASにおいて開口し、それぞれ入出力端子41,42,43,44を収容する4つの凹部を有している。図7に示したように、面40ASにおいて、電力出力端子41,42の周囲には、電力出力端子41,42とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、Oリング45,46が取り付けられている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、センサ入力端子43,44を設けなくてもよい。
【0059】
図4および図5に示したように、弁体12が開口部112を閉塞した状態では、コネクタ31,32,33,34のプラグ31a,32a,33a,34aは、それぞれ入出力端子41,42,43,44に接触する。これにより、コネクタ31,32,33,34(プラグ31a,32a,33a,34a)は、それぞれ入出力端子41,42,43,44に対して電気的且つ物理的に接続される。また、この状態において、Oリング45,46は、面30ASと面40ASとの間に挟まれる。
【0060】
入出力端子41,42,43,44には、それぞれ導線が接続されている。この4本の導線は、例えば、壁111Aの内部に形成された孔を通して、筐体111の外部に引き出されている。
【0061】
図8に示したように、真空処理システム100は、ヒーター13に供給される電力を発生する電源71と、スイッチ49と、制御部72とを備えている。電力出力端子41,42は、電源71に対して、スイッチ49を介して電気的に接続されている。スイッチ49は、導通状態と遮断状態とが選択されるものである。図8には、電力出力端子41と電源71の間にスイッチ49が設けられた例を示している。しかし、このようなスイッチ49の代わりに、電力出力端子41と電源71の間と、電力出力端子42と電源71の間を、同時に導通または遮断するスイッチを設けてもよい。コネクタ31,32が電力出力端子41,42に接続され、且つスイッチ49が導通状態のときには、電源71からヒーター13に対して電力が供給され得る。電力出力端子41,42は、本発明における電力出力部に対応する。
【0062】
センサ入力端子43,44は、制御部72に接続されている。従って、コネクタ33,34がセンサ入力端子43,44に接続されると、温度センサ73が制御部72に接続される。制御部72は、例えば、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を統括して制御するものである。制御部72は、ゲートバルブ装置10の動作を制御するために、コネクタ33,34およびセンサ入力端子43,44を介して接続される温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得すると共に、エアシリンダー21、電源71およびスイッチ49を制御する。なお、制御部72は、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を統括して制御するものではなく、ゲートバルブ装置10のみの制御を行うものであってもよい。この場合の制御部72は、例えば、真空処理システム100において統括的な制御を行う他の制御部によって制御される。
【0063】
後で詳しく説明するが、本実施の形態では、ヒーター13に接続されたコネクタ31,32は、弁体12が開口部112を閉塞した状態では電力出力部である電力出力端子41,42に対して電気的且つ物理的に接続され、弁体12が開口部112を開放した状態では電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離するように、弁体12と連動する。
【0064】
なお、ここまでの説明では、ゲートバルブ装置10は、構成要素として、ターミナル部40、スイッチ49および電源71を含んでいないものとしている。しかし、ゲートバルブ装置10は、構成要素として、ターミナル部40を含んでいてもよいし、更にスイッチ49を含んでいてもよいし、更に電源71を含んでいてもよい。
【0065】
次に、図3ないし図5および図9を参照して、チャンバー101において基板Sに対して所定の処理を施す場合を例にとって、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10の動作について詳しく説明する。図9は、ゲートバルブ装置10の動作を説明するための説明図である。図9では、チャンバー101への基板Sの搬入から、処理済みの基板Sのチャンバー101からの搬出までの6つのステップの各々における動作内容、開口部112の状態およびヒーター13の状態を表している。
【0066】
図9におけるステップ1では、開口部112が開放され、開口部112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。このステップ1では、弁体12は待機位置にある。図3は、弁体12が待機位置にある状態を示している。弁体12の待機位置は、エアシリンダー21のロッド部21bの先端部が可動範囲の最下端に位置するときの弁体12の位置である。弁体12が待機位置にある状態では、弁体12は開口部112を開放している。この状態で、開口部112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。
【0067】
また、ステップ1では、ヒーター13は、オフ状態、すなわち電力が供給されない状態にある。弁体12が待機位置にある状態を含めて、開口部112が開放されている状態では、コネクタ部30とターミナル部40は互いに分離されている。そのため、ヒーター13に接続されたコネクタ31,32は、電力出力部である電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離している。従って、開口部112が開放されている状態では、ヒーター13には電力は供給されない。また、開口部112が開放されている状態では、スイッチ49は遮断状態に設定されている。
【0068】
次のステップ2では、弁体12によって開口部112を閉塞する動作が行われる。図3に示した状態から、弁体12によって開口部112を閉塞する際には、弁体移動装置20のエアシリンダー21によってベース部材22を上昇させる。ベース部材22の上昇に伴って、弁体12も上昇する。このとき、ローラー15,16が筐体11の上部に当接するまでは、弁体12は、壁111Aの面111ASに平行な方向に移動する。
【0069】
ローラー15,16が筐体11の上部に当接したとき、弁体12は開口部112に対向する位置に達している。この状態から、更にエアシリンダー21によってベース部材22を上昇させると、弁体12は上昇できないため、リンク23〜26が、それらのベース部材22の側面に対する接続部を中心として図3における時計回り方向に回動しながら、弁体12は開口部112に向けて壁111Aの面111ASに垂直な方向に移動する。このとき、ローラー15,16の作用により、弁体12は筐体11と擦れることなく滑らかに移動する。そして、最終的には、図4に示したように、弁体12のシール面12Aが壁111Aの面111ASに押し付けられて、弁体12によって開口部112が閉塞される。この時点で、弁体移動装置20の動作は停止する。弁体12によって開口部112が閉塞されるとき、コネクタ部30はターミナル部40に接続される。具体的には、コネクタ31,32,33,34のプラグ31a,32a,33a,34aが、それぞれ入出力端子41,42,43,44に接触することによって、コネクタ31,32,33,34(プラグ31a,32a,33a,34a)が、それぞれ入出力端子41,42,43,44に対して電気的且つ物理的に接続される。
【0070】
図4に示したように、上記の動作により弁体12が開口部112を閉塞した時点では、スイッチ49は遮断状態になっている。従って、この時点では、ヒーター13には電力は供給されていない。
【0071】
次のステップ3では、ヒーター13がオン状態、すなわち電力が供給される状態にされる。このように、ヒーター13がオン状態にされるのは、弁体12によって開口部112が閉塞された後である。ステップ3では、図5に示したように、スイッチ49が導通状態に設定される。これにより、電源71から電力出力端子41,42およびコネクタ31,32を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。また、このとき、温度センサ73は、コネクタ33,34およびセンサ入力端子43,44を介して制御部72に接続されている。制御部72は、温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得し、この温度情報に基づいて電源71を制御して、弁体12の温度を制御する。なお、制御部72は、弁体12の温度を制御するため、スイッチ49の導通状態と遮断状態とを切り替えてもよい。
【0072】
次のステップ4では、弁体12によって開口部112が閉塞され、ヒーター13に電力が供給されて、弁体12が加熱されている状態で、チャンバー101において基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。
【0073】
チャンバー101における処理が終了すると、次のステップ5において、弁体12によって開口部112が閉塞されている状態で、スイッチ49が遮断状態に設定されて、ヒーター13に対する電力の供給が停止される。
【0074】
次のステップ6では、開口部112が開放され、開口部112を通して、チャンバー101から搬送チャンバー103へ、処理済みの基板Sが搬出される。このステップ6では、弁体移動装置20によって、弁体12に、開口部112を閉塞する際とは逆の動作を行わせて、開口部112を開放する。すなわち、弁体移動装置20のエアシリンダー21によってベース部材22を下降させる。このとき、初めのうちは、ローラー15,16が筐体11の上部に当接したままで、リンク23〜26が、それらのベース部材22の側面に対する接続部を中心として図3における反時計回り方向に回動しながら、弁体12は開口部112から離れるように壁111Aの面111ASに垂直な方向に移動する。これにより、開口部112が開放される。また、弁体12が開口部112を開放するとき、コネクタ部30はターミナル部40から分離される。
【0075】
リンク23〜26が、ストッパによって規制される位置まで回動すると、その後は、ベース部材22の下降に伴って、弁体12も下降する。このとき、弁体12は、壁111Aの面111ASに平行な方向に移動する。そして、最終的には、弁体12が図3に示した待機位置に達し、弁体移動装置20の動作は停止する。その後、開口部112を通して、チャンバー101から搬送チャンバー103へ、処理済みの基板Sが搬出される。
【0076】
次に、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10の効果について説明する。本実施の形態に係るゲートバルブ装置10は、弁体12を加熱するためのヒーター13を備えている。そのため、このゲートバルブ装置10によれば、チャンバー101内で、副生成物が生じる処理が行われる場合、ヒーター13によって弁体12を加熱することにより、副生成物が弁体12の表面に付着することを防止することができる。これにより、本実施の形態によれば、パーティクルが発生することを防止することができ、その結果、パーティクルに起因したエッチング不良等の不具合の発生を防止することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、弁体12と、ヒーター13と、ヒーター13に電気的に接続されたコネクタ31,32を含むコネクタ部30とが一体化されている。そして、コネクタ31,32は、弁体12が開口部112を閉塞した状態では電力出力部である電力出力端子41,42に対して電気的且つ物理的に接続され、弁体12が開口部112を開放した状態では電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離するように、弁体12と連動する。そのため、本実施の形態では、弁体12が開口部112を閉塞した状態においてのみ、コネクタ31,32が電力出力部である電力出力端子41,42に対して電気的且つ物理的に接続されて、ヒーター13に電力を供給することが可能になる。このように、本実施の形態によれば、ゲートバルブ装置10の筐体11内において、ベース部材22およびリンク機構を経由してヒーター13に直接接続されるように電力供給用のケーブルを設けることなく、ヒーター13に容易に電力を供給することができる。
【0078】
また、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10は、弁体移動装置20を経由してヒーター13に接続されるような電力供給用のケーブルを備えていない。そのため、本実施の形態によれば、ゲートバルブ装置10の取り付けやメンテナンスが容易になる。
【0079】
また、本実施の形態では、電源71と電力出力端子41,42の間に、電源71から電力出力端子41,42への電力の供給と遮断とを選択するスイッチ49が設けられている。そして、開口部112が開放された状態から開口部112が閉塞された状態に移行する際には、開口部112が閉塞されてコネクタ31,32が電力出力端子41,42に接続された後に、スイッチ49が導通状態に設定されて電力出力端子41,42に電力が供給される。また、開口部112が閉塞された状態から開口部112が開放された状態に移行する際には、スイッチ49が遮断状態に設定されて電力出力端子41,42に対する電力の供給が遮断された後に、開口部112が開放されてコネクタ31,32が電力出力端子41,42から乖離する。従って、本実施の形態では、電力出力端子41,42が電源71に接続された状態で露出することはない。そのため、本実施の形態によれば、電力出力端子41,42からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、コネクタ部30がターミナル部40に接続された状態では、電力出力端子41,42とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、電力出力端子41,42の周囲に設けられたOリング45,46が、コネクタ部30の本体30Aの面30ASとターミナル部40の本体40Aの面40ASとの間に挟まれる。これにより、本実施の形態によれば、より効果的に、電力出力端子41,42からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、ヒーター13は、弁体12の表面に取り付けられている。そのため、本実施の形態によれば、ヒーター13を弁体12の内部に設ける場合に比べて、弁体12の剛性の低下を防止することができる。
【0082】
[第2の実施の形態]
次に、図10ないし図12を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るゲートバルブ装置について説明する。図10ないし図12は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。なお、図10はゲートバルブ装置の開状態を表し、図11および図12はゲートバルブ装置の閉状態を表している。
【0083】
以下、本実施の形態に係るゲートバルブ装置80が、第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置10と異なる点について説明する。ゲートバルブ装置80は、ゲートバルブ装置10における筐体11の代わりに筐体81を備えている。筐体81は、上部と、底部と、上部と底部とを連結する4つの側部とを有する箱形状をなしている。筐体81の4つの側部のうちの1つは、チャンバー101の筐体111の壁111Aに接している。この側部を、壁構成部分81Aと呼ぶ。この壁構成部分81Aは、チャンバー101内の空間とそれに隣接するゲートバルブ装置10側の空間とを仕切る壁の少なくとも一部を構成する。壁構成部分81Aは、壁111Aに接する面と、その反対側の面81ASとを有している。また、筐体81の4つの側部のうち、壁構成部分81Aとは反対側の側部81Bは、図示しない搬送チャンバー103に接している。
【0084】
壁構成部分81Aと側部81Bには、それぞれ、基板Sの移送を可能にする開口部82,83が設けられている。開口部82は、チャンバー101における壁111Aの開口部112に連続している。一例として、壁構成部分81Aに接する壁111Aの面に垂直な方向から見たとき、開口部82,83の形状および位置は、開口部112の形状および位置と一致している。本実施の形態では、弁体12は、開口部82を開閉するようになっている。
【0085】
壁構成部分81Aの面81ASにおける開口部82の周囲には、Oリング89が取り付けられている。図11および図12に示したように、弁体12が開口部82を閉塞した状態では、Oリング89は、全周にわたって、面81ASとシール面12Aとの間に挟まれる。これにより、チャンバー101が気密にシールされる。
【0086】
本実施の形態では、ターミナル部40は、面81ASにおいて露出するように、壁構成部分81Aに埋め込まれて固定されている。入出力端子41,42,43,44に接続された4本の導線は、例えば、壁構成部分81Aの内部に形成された孔を通して、筐体81の外部に引き出されている。
【0087】
また、本実施の形態では、エアシリンダー21のシリンダー部21aは、筐体81の底部に取り付けられている。エアシリンダー21のロッド部21bは、シリンダー部21aから筐体81の底部に形成された開口部を通して、筐体81の内部に向けて突出している。
【0088】
本実施の形態では、ゲートバルブ装置80は、構成要素として、ターミナル部40を含んでいる。ゲートバルブ装置80は、構成要素として、更にスイッチ49を含んでいてもよいし、更に電源71を含んでいてもよい。
【0089】
次に、図10ないし図12を参照して、本実施の形態に係るゲートバルブ装置80の動作について説明する。図10は、弁体12が待機位置にある状態を示している。弁体12が待機位置にある状態を含めて、開口部82が開放されている状態では、コネクタ部30とターミナル部40は互いに分離されている。そのため、ヒーター13に接続されたコネクタ31,32は、電力出力部である電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離している。従って、開口部82が開放されている状態では、ヒーター13には電力は供給されない。また、開口部82が開放されている状態では、スイッチ49は遮断状態に設定されている。この状態で、開口部83,82,112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。
【0090】
図10に示した状態から、弁体12によって開口部82を閉塞する際には、第1の実施の形態と同様に、弁体移動装置20によって弁体12を移動させる。これにより、図11に示したように、弁体12のシール面12Aが壁81Aの面81ASに押し付けられて、弁体12によって開口部82が閉塞される。弁体12が開口部82を閉塞した時点では、スイッチ49は遮断状態になっている。従って、この時点では、ヒーター13には電力は供給されていない。
【0091】
弁体12によって開口部82が閉塞された後に、図12に示したように、スイッチ49が導通状態に設定される。これにより、電源71から電力出力端子41,42およびコネクタ31,32を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。
【0092】
その後、チャンバー101において基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。チャンバー101における処理が終了すると、弁体12によって開口部82が閉塞されている状態で、スイッチ49が遮断状態に設定されて、ヒーター13に対する電力の供給が停止される。次に、第1の実施の形態と同様に、弁体移動装置20によって弁体12を移動させて、開口部82を開放する。また、弁体12が開口部82を開放するとき、コネクタ部30はターミナル部40から分離される。
【0093】
本実施の形態では、ゲートバルブ装置80がターミナル部40を備えている。そのため、本実施の形態では、ターミナル部40を備えていない既存のチャンバー101に何ら変更を加えることなく、本実施の形態に係るゲートバルブ装置80を設けることができる。
【0094】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0095】
[第3の実施の形態]
次に、図13ないし図17を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るゲートバルブ装置について説明する。図13ないし図15は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。なお、図13はゲートバルブ装置の開状態を表し、図14および図15はゲートバルブ装置の閉状態を表している。図16は、図14に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーター、コネクタ部、副コネクタ部および副ターミナル部を示す正面図である。図17は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【0096】
本実施の形態に係るゲートバルブ装置90は、第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置10の構成要素に加えて、副コネクタ部50と副ターミナル部60を備えている。副コネクタ部50は、弁体12、ヒーター13およびコネクタ部30と一体化されている。副ターミナル部60は、筐体11の底部に固定されている。副コネクタ部50は後で説明する4つの副コネクタを有し、副ターミナル部60は後で説明する4つの副入出力端子を有している。副コネクタ部50と副ターミナル部60は、弁体12が待機位置にあるときに、副コネクタ部50の4つの副コネクタと副ターミナル部60の4つの副入出力端子が互いに接続されるような位置に配置されている。図13ないし図16に示した例では、副コネクタ部50は、ヒーター13の底面に取り付けられている。しかし、副コネクタ部50は、弁体12の底面12D等、他の位置に設けられていてもよい。本実施の形態において、弁体12が待機位置にある状態は、本発明における「弁体が開口部を開放した特定の状態」に対応する。
【0097】
副コネクタ部50の構成は、コネクタ部30の構成と同様である。すなわち、副コネクタ部50は、絶縁材料からなる本体50Aと、この本体50Aによって保持された電力用副コネクタ51,52およびセンサ用副コネクタ53,54を有している。本体50Aは、下に向いた面50ASと、この面50ASにおいて開口し、それぞれ副コネクタ51,52,53,54を収容する4つの凹部を有している。副コネクタ51,52は、ヒーター13に電気的に接続されている。副コネクタ53,54は、温度センサ73に電気的に接続されている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、副コネクタ53,54を設けなくてもよい。
【0098】
ここで、図14および図16を参照して、副コネクタ51,52,53,54の構造の一例について説明する。この例では、副コネクタ51,52,53,54は、それぞれ、対応する凹部内に進退可能に収容された金属製のプラグ51a,52a,53a,54aを有している。プラグ51a,52a,53a,54aは、それぞれ、フランジを有するほぼ円柱形状をなしている。副コネクタ51,52,53,54は、それぞれ、更に、対応する凹部内に収容され、プラグ51a,52a,53a,54aを、対応する凹部から突出する方向(図14における下方向)に付勢するばねを有している。なお、図14には、副コネクタ51,52,53,54のばねのうち、副コネクタ51のばね51bのみを示している。なお、副コネクタ51,52,53,54を収容する凹部は、それぞれ、凹部から抜けないようにプラグ51a,52a,53a,54aを保持している。プラグ51a,52aはヒーター13に電気的に接続され、プラグ53a,54aは温度センサ73に電気的に接続されている。
【0099】
副ターミナル部60の構成は、ターミナル部40の構成と同様である。すなわち、図16に示したように、副ターミナル部60は、絶縁材料からなる本体60Aと、この本体60Aによって保持された副電力出力端子61,62および副センサ入力端子63,64を有している。以下、副電力出力端子61,62および副センサ入力端子63,44を、副入出力端子61,62,63,64とも記す。本体60Aは、上に向いた面60ASと、この面60ASにおいて開口し、それぞれ副入出力端子61,62,63,64を収容する4つの凹部を有している。面60ASにおいて、副電力出力端子61,62の周囲には、電力出力端子61,62とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、Oリング65,66が取り付けられている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、副センサ入力端子63,64を設けなくてもよい。
【0100】
図13に示したように、弁体12が待機位置にある状態では、副コネクタ51,52,53,54のプラグ51a,52a,53a,54aは、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に接触する。これにより、副コネクタ51,52,53,54(プラグ51a,52a,53a,54a)は、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に対して電気的且つ物理的に接続される。また、この状態において、副電力出力端子61,62の周囲に設けられたOリング65,66は、面50ASと面60ASとの間に挟まれる。
【0101】
副入出力端子61,62,63,64には、それぞれ導線が接続されている。この4本の導線は、例えば、筐体11に形成された孔を通して、筐体11の外部に引き出されている。
【0102】
図17に示したように、副電力出力端子61,62は、電源71に対して、スイッチ69を介して電気的に接続されている。このスイッチ69は、ゲートバルブ装置90の構成要素であってもよい。スイッチ69は、導通状態と遮断状態とが選択されるものである。図17には、副電力出力端子61と電源71の間にスイッチ69が設けられた例を示している。しかし、このようなスイッチ69の代わりに、副電力出力端子61と電源71の間と、副電力出力端子62と電源71の間を、同時に導通または遮断するスイッチを設けてもよい。副コネクタ51,52が副電力出力端子61,62に接続され、且つスイッチ69が導通状態のときには、電源71からヒーター13に対して電力が供給され得る。副電力出力端子61,62は、本発明における第2の電力出力部に対応する。
【0103】
副センサ入力端子63,64は、制御部72に接続されている。従って、副コネクタ53,54が副センサ入力端子63,64に接続されると、温度センサ73が制御部72に接続される。なお、図17では、副コネクタ53,54および副センサ入力端子63,64の図示を省略している。制御部72は、ゲートバルブ装置10の動作を制御するために、コネクタ33,34およびセンサ入力端子43,44を介して、または副コネクタ53,54および副センサ入力端子63,64を介して接続される温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得すると共に、エアシリンダー21、電源71およびスイッチ49,69を制御する。
【0104】
次に、図13ないし図15を参照して、本実施の形態に係るゲートバルブ装置90の動作について詳しく説明する。図13は、弁体12が待機位置にある状態を示している。この状態では、弁体12は開口部112を開放している。この状態で、開口部112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。また、この状態では、コネクタ部30とターミナル部40は互いに分離され、副コネクタ部50と副ターミナル部60は互いに接続されている。具体的には、副コネクタ51,52,53,54のプラグ51a,52a,53a,54aが、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に接触することによって、副コネクタ51,52,53,54(プラグ51a,52a,53a,54a)が、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に対して電気的且つ物理的に接続されている。
【0105】
図13に示したように、弁体12が待機位置にある状態において、スイッチ69を導通状態にすると、電源71から副電力出力端子61,62および副コネクタ51,52を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。また、このとき、温度センサ73は、副コネクタ53,54および副センサ入力端子63,64を介して制御部72に接続されている。制御部72は、温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得し、この温度情報に基づいて電源71を制御して、弁体12の温度を制御する。なお、制御部72は、弁体12の温度を調整するため、スイッチ69の導通状態と遮断状態とを切り替えてもよい。
【0106】
図13に示した状態から、弁体12によって開口部112を閉塞する際には、スイッチ69を遮断状態に設定した後、弁体移動装置20のエアシリンダー21によってベース部材22を上昇させる。ベース部材22の上昇に伴って、弁体12も上昇する。これにより、副コネクタ部50は副ターミナル部60から分離される。弁体12によって開口部112を閉塞する際のゲートバルブ装置90の動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0107】
図14に示したように、弁体12が開口部112を閉塞した時点では、スイッチ49は遮断状態になっている。従って、この時点では、ヒーター13には電力は供給されていない。
【0108】
弁体12によって開口部112が閉塞された後に、図15に示したように、スイッチ49が導通状態に設定される。これにより、電源71から電力出力端子41,42およびコネクタ31,32を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。
【0109】
その後、チャンバー101において基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。チャンバー101における処理が終了すると、弁体12によって開口部112が閉塞されている状態で、スイッチ49が遮断状態に設定されて、ヒーター13に対する電力の供給が停止される。次に、第1の実施の形態と同様に、弁体移動装置20によって弁体12を移動させて、開口部112を開放する。また、弁体12が開口部82を開放するとき、コネクタ部30はターミナル部40から分離される。弁体12が図13に示した待機位置に達すると、副コネクタ部50が副ターミナル部60に接続される。
【0110】
以上説明したように、本実施の形態に係るゲートバルブ装置90は、第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置10の構成要素に加えて、ヒーター13に電気的に接続された副コネクタ51,52を含む副コネクタ部50と、第2の電力出力部である副電力出力端子61,62を含む副ターミナル部60とを備えている。副コネクタ51,52は、弁体12が開口部112を閉塞した状態では副電力出力端子61,62から電気的且つ物理的に乖離し、弁体12が開口部112を開放した特定の状態すなわち弁体12が待機位置にある状態では副電力出力端子61,62に対して電気的且つ物理的に接続されるように、弁体12と連動する。
【0111】
本実施の形態によれば、弁体12によって開口部112を閉塞する前に、弁体12を予備加熱することができる。これにより、本実施の形態によれば、弁体12によって開口部112を閉塞した後における弁体12の加熱時間を短縮することができる。その結果、本実施の形態によれば、基板Sへの処理が開始されるまでの待ち時間を短縮することができ、その結果、プロセス全体における処理時間を短縮することができる。
【0112】
また、本実施の形態では、弁体12が待機位置にある状態から開口部112が閉塞された状態に移行する際には、スイッチ69が遮断状態に設定された後に、副コネクタ51,52が副電力出力端子61,62から乖離する。また、開口部112が閉塞された状態から弁体12が待機位置にある状態に移行する際には、副コネクタ51,52が副電力出力端子61,62に接続された後に、スイッチ69が導通状態に設定されて副電力出力端子61,62に電力が供給される。従って、本実施の形態では、副電力出力端子61,62が電源71に接続された状態で露出することはない。そのため、本実施の形態によれば、副電力出力端子61,62からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、副コネクタ部50が副ターミナル部60に接続された状態では、副電力出力端子61,62とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、副電力出力端子61,62の周囲に設けられたOリング65,66が、副コネクタ部50の面50ASと副ターミナル部60の面60ASとの間に挟まれる。これにより、本実施の形態によれば、より効果的に、副電力出力端子61,62からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0114】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0115】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第3の実施の形態において、ゲートバルブ装置が筐体11の代わりに第2の実施の形態における筐体81を備え、ターミナル部40が、面81ASにおいて露出するように、壁構成部分81Aに埋め込まれて固定されていてもよい。
【0116】
また、第1ないし第3の実施の形態において、コネクタ部30を、弁体12の側面12Eまたは12Fに取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10,80,90…ゲートバルブ装置、11,81,111…筐体、12…弁体、13…ヒーター、19,89…Oリング、20…弁体移動装置、30…コネクタ部、40…ターミナル部、49,69…スイッチ、50…副コネクタ部、60…副ターミナル部、71…電源、82,112…開口部、100…真空処理システム、101…チャンバー、103…搬送チャンバー、S…基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーの開口部のような、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉するためのゲートバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPD(フラットパネルディスプレイ)用のガラス基板等の基板に対して真空条件下でプラズマエッチング、プラズマアッシング、プラズマ成膜等の処理を行うために、真空処理システムが用いられている。この真空処理システムは、例えば、基板に対する処理が行われるプロセスチャンバーと、プロセスチャンバーへの基板の搬入およびプロセスチャンバーからの基板の搬出を行う搬送装置を収容した搬送チャンバーと、プロセスチャンバーと搬送チャンバーとの間に設けられたゲートバルブ装置等を備えている。プロセスチャンバーと搬送チャンバーは、いずれも、基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーである。
【0003】
プロセスチャンバーは、基板の搬入または搬出の際に基板を通過させるための開口部を有している。プロセスチャンバーと搬送チャンバーとの間に設けられたゲートバルブ装置は、プロセスチャンバーの開口部を開閉する弁体を有している。この弁体によってプロセスチャンバーの開口部が閉塞されることによって、プロセスチャンバーは気密にシールされる。
【0004】
プロセスチャンバー内で行われる処理には、酸化膜エッチングのように、処理中に、堆積し得る副生成物が生じる処理が含まれる。このような処理中に副生成物がプロセスチャンバーの内壁に付着すると、この副生成物が内壁から剥がれてパーティクル(浮遊粒子)が生じ、このパーティクルがエッチング不良を引き起こすおそれがある。そこで、このような処理を行う際には、プロセスチャンバーの内壁への副生成物の付着を防止するために、チラー(恒温装置)によってプロセスチャンバーの周囲において高温の媒体を循環させて、プロセスチャンバーを100℃程度に昇温することが行われている。
【0005】
プロセスチャンバー内で、処理が行われる際には、プロセスチャンバーの開口部はゲートバルブ装置の弁体によって閉塞されている。この状態で、弁体の表面の一部は、プロセスチャンバー内の空間に露出する。弁体は、チラーによって直接昇温することができない。また、弁体とプロセスチャンバーとの接触面積は小さいことから、前述のようにチラーによってプロセスチャンバーを100℃程度に昇温していても、弁体は、同じ様には昇温されない。そのため、プロセスチャンバーの開口部が弁体によって閉塞されている状態において、弁体の表面のうちプロセスチャンバー内の空間に露出している部分には副生成物が付着しやすい。この部分に副生成物が付着すると、プロセスチャンバーの内壁に副生成物が付着した場合と同様に、パーティクルが生じて、エッチング不良が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、従来、弁体の表面に副生成物が付着することを防止するために、例えば特許文献1ないし3に記載されているように、弁体にヒーターを取り付け、ヒーターによって弁体を直接加熱することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−4505号公報
【特許文献2】特開平10−132095号公報
【特許文献3】特開平11−325313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ゲートバルブ装置では、開口部を開閉するために弁体を移動させる駆動機構が必要である。この駆動機構としては、弁体が他の構造物と擦れることによるパーティクルの発生を防止するために、弁体が他の構造物と擦れない機構が好ましい。このように弁体が他の構造物と擦れない機構としては、例えば、弁体が開口部を閉塞する際には、開口部に対向する位置まで、開口部を有する壁の面に平行な方向に弁体を移動させ、その後、弁体を開口部に向けて壁の面に垂直な方向に移動させ、弁体が開口部を開放する際には、開口部を閉塞する際とは逆の動作を行う機構が考えられる。このような機構は、例えば、壁の面に平行な方向に駆動されるベース部材に対してリンク機構を介して弁体を接続することによって実現することができる。
【0009】
ここで、ベース部材に対してリンク機構を介して弁体が接続された駆動機構を含むゲートバルブ装置において、弁体にヒーターを取り付ける場合について考える。この場合、ヒーターに電力を供給するために、電力供給用のケーブルを、ベース部材およびリンク機構を経由してヒーターに接続されるように設けることが考えられる。しかし、ベース部材に対してリンク機構を介して弁体が接続された駆動機構を含むゲートバルブ装置では、弁体によって開口部を開閉する動作に伴って、一体化された弁体およびヒーターとベース部材との相対的な位置関係が変化するため、電力供給用のケーブルを、ベース部材およびリンク機構を経由してヒーターに接続されるように設けることが難しいという問題点がある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、開口部を開閉するための弁体にヒーターを取り付け、且つこのヒーターに容易に電力を供給することができるようにしたゲートバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のゲートバルブ装置は、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉するための弁体と、前記弁体によって前記開口部を開閉するために弁体を移動させる弁体移動手段と、前記弁体を加熱するためのヒーターと、前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能なコネクタとを備えている。前記弁体、ヒーターおよびコネクタは一体化されている。前記コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続され、前記弁体が前記開口部を開放した状態では前記電力出力部から電気的且つ物理的に乖離するように、前記弁体と連動する。
【0012】
本発明のゲートバルブ装置において、前記電力出力部は、前記壁に固定されていてもよい。
【0013】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタを収容する筐体を備え、前記電力出力部は、前記筐体に固定されていてもよい。この場合、前記筐体は、前記壁の少なくとも一部を構成する壁構成部分を有し、前記電力出力部は、前記壁構成部分に固定されていてもよい。
【0014】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記電力出力部との間に設けられ、前記電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えていてもよい。
【0015】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタと一体化され、前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能な副コネクタを備えていてもよい。前記副コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記第2の電力出力部から電気的且つ物理的に乖離し、前記弁体が前記開口部を開放した特定の状態では前記第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続されるように、前記弁体と連動する。
【0016】
また、本発明のゲートバルブ装置は、更に、前記第2の電力出力部を備えていてもよい。この場合、ゲートバルブ装置は、更に、前記弁体、ヒーター、コネクタおよび副コネクタを収容する筐体を備え、前記第2の電力出力部は前記筐体に固定されていてもよい。また、ゲートバルブ装置は、更に、前記第2の電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記第2の電力出力部との間に設けられ、前記第2の電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えていてもよい。
【0017】
また、本発明のゲートバルブ装置において、前記弁体移動手段は、ベース部材と、前記ベース部材を前記壁の面に平行な方向に移動させる駆動手段と、前記ベース部材と前記弁体とを接続するリンク機構とを有し、前記弁体によって前記開口部を閉塞する際には、前記開口部に対向する位置まで前記弁体を前記壁の面に平行な方向に移動させ、その後、前記弁体を前記開口部に向けて前記壁の面に垂直な方向に移動させ、前記弁体が前記開口部を開放する際には、前記弁体に、前記開口部を閉塞する際とは逆の動作を行わせるものであってもよい。
【0018】
また、本発明のゲートバルブ装置において、前記2つの空間の一方は、基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーの内部であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のゲートバルブ装置では、弁体が開口部を開放した状態では、ヒーターに電気的に接続されたコネクタは電力出力部から電気的且つ物理的に乖離しているが、弁体が開口部を閉塞した状態では、コネクタが電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続されて、ヒーターに電力を供給することが可能になる。このように、本発明のゲートバルブ装置によれば、ヒーターに直接接続されるように電力供給用のケーブルを設けることなく、弁体にヒーターを取り付け、且つヒーターに容易に電力を供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置を含む真空処理システムを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した真空処理システムの内部を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示したゲートバルブ装置の他の状態を示す断面図である。
【図5】図3に示したゲートバルブ装置の更に他の状態を示す断面図である。
【図6】図4に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーターおよびコネクタ部を示す正面図である。
【図7】図6に示したコネクタ部に接続されるターミナル部を示す正面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置の動作を説明するための説明図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。
【図11】図10に示したゲートバルブ装置の他の状態を示す断面図である。
【図12】図10に示したゲートバルブ装置の更に他の状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。
【図14】図13に示したゲートバルブ装置の他の状態を示す断面図である。
【図15】図13に示したゲートバルブ装置の更に他の状態を示す断面図である。
【図16】図14に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーター、コネクタ部、副コネクタ部および副ターミナル部を示す正面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置を含むシステムの一例としての真空処理システム100の構成について説明する。図1は、真空処理システム100を概略的に示す斜視図である。図2は、真空処理システム100の内部を概略的に示す平面図である。真空処理システム100は、例えばFPD用のガラス基板(以下、単に「基板」と記す)Sに対してプラズマ処理を行うための処理システムとして構成されている。なお、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0022】
真空処理システム100は、十字形に連結された5つの真空チャンバーを備えている。具体的には、真空処理システム100は、5つの真空チャンバーとして、3つのプロセスチャンバー101a,101b,101cと、搬送チャンバー103と、ロードロックチャンバー105とを備えている。これらの真空チャンバーにおいて、搬送チャンバー103は中央に配置されている。搬送チャンバー103は、4つの側面を有している。プロセスチャンバー101a,101b,101cとロードロックチャンバー105は、搬送チャンバー103の各側面に隣接するように配置されている。
【0023】
図示しないが、真空処理システム100は、更に、それぞれプロセスチャンバー101a,101b,101cに取り付けられた3つのチラーを備えている。この3つのチラーは、それぞれ、プロセスチャンバー101a,101b,101cを所定の温度(例えば、120℃)に昇温できるようになっている。
【0024】
プロセスチャンバー101a,101b,101cは、その内部空間を所定の減圧雰囲気(真空状態)に維持できるように構成されている。プロセスチャンバー101a,101b,101c内には、それぞれ、基板Sを載置する載置台としてのサセプタ102が配備されている。
【0025】
プロセスチャンバー101a,101b,101cでは、基板Sをサセプタ102に載置した状態で、基板Sに対して、例えば真空条件でのエッチング処理、アッシング処理、成膜処理等のプラズマ処理が行なわれる。プロセスチャンバー101a,101b,101c内には、それぞれ、そこで行われる処理のための装置が収容されている。真空処理システム100では、3つのプロセスチャンバー101a,101b,101cで同種の処理を行ってもよいし、プロセスチャンバー毎に異なる種類の処理を行ってもよい。なお、プロセスチャンバーの数は3つに限らず、4つ以上であってもよい。
【0026】
搬送チャンバー103は、プロセスチャンバー101a,101b,101cと同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。真空処理システム100は、更に、搬送チャンバー103内に設けられた搬送装置133を備えている。搬送装置133は、進出、退避および旋回可能に構成されて基板Sを搬送する櫛歯状のフォーク135を有している。この搬送装置133によって、プロセスチャンバー101a,101b,101cとロードロックチャンバー105の間で基板Sの搬送が行われる。
【0027】
ロードロックチャンバー105は、プロセスチャンバー101a,101b,101cおよび搬送チャンバー103と同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。ロードロックチャンバー105は、減圧雰囲気の搬送チャンバー103と外部の大気雰囲気との間で基板Sの授受を行うためのものである。
【0028】
ロードロックチャンバー105は、大気圧状態と真空状態とを繰り返す関係上、極力その内容積が小さく構成されている。ロードロックチャンバー105には、基板Sを支持する複数のバッファ138が間隔をあけて配設されている。これらバッファ138同士の隙間は、櫛歯状のフォーク(例えばフォーク135)の逃げ溝となっている。
【0029】
真空処理システム100は、更に、5つのゲートバルブ装置10a,10b,10c,10d,10eを備えている。ゲートバルブ装置10aは、搬送チャンバー103とプロセスチャンバー101aとの間に配置されている。ゲートバルブ装置10bは、搬送チャンバー103とプロセスチャンバー101bとの間に配置されている。ゲートバルブ装置10cは、搬送チャンバー103とプロセスチャンバー101cとの間に配置されている。ゲートバルブ装置10dは、搬送チャンバー103とロードロックチャンバー105との間に配置されている。ゲートバルブ装置10eは、ロードロックチャンバー105におけるゲートバルブ装置10dとは反対側に配置されている。ゲートバルブ装置10a〜10eは、いずれも、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉する機能を有している。
【0030】
ゲートバルブ装置10a〜10dは、閉状態で各チャンバーを気密にシールすると共に、開状態でチャンバー間を連通させて基板Sの移送を可能にする。ゲートバルブ装置10eは、閉状態でロードロックチャンバー105の気密性を維持すると共に、開状態でロードロックチャンバー105内と外部との間で基板Sの移送を可能にする。
【0031】
真空処理システム100は、更に、ロードロックチャンバー105との間でゲートバルブ装置10eを挟む位置に配置された搬送装置125を備えている。搬送装置125は、基板保持具としてのフォーク127と、フォーク127を進出、退避および旋回可能に支持する支持部129と、この支持部129を駆動する駆動機構を備えた駆動部131とを有している。
【0032】
真空処理システム100は、更に、駆動部131の両側に配置されたカセットインデクサ121a,121bと、それぞれカセットインデクサ121a,121bの上に載置されたカセットC1,C2とを備えている。カセットインデクサ121a,121bは、それぞれ、カセットC1,C2を昇降する昇降機構部123a,123bを有している。各カセットC1,C2内には、基板Sを、上下に間隔を空けて多段に配置できるようになっている。搬送装置125のフォーク127は、カセットC1,C2の間に配置されている。
【0033】
また、図1および図2では図示しないが、真空処理システム100は、更に、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を制御する制御部を備えている。制御部は、例えば、CPUを備えたコントローラと、コントローラに接続されたユーザーインターフェースと、コントローラに接続された記憶部とを有している。コントローラは、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を統括して制御する。ユーザーインターフェースは、工程管理者が真空処理システム100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、真空処理システム100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成される。記憶部には、真空処理システム100で実行される各種処理をコントローラの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェースからの指示等にて任意のレシピを記憶部から呼び出してコントローラに実行させることで、コントローラの制御下で、真空処理システム100での所望の処理が行われる。
【0034】
前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどに格納された状態のものを利用できる。あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0035】
次に、真空処理システム100の動作について説明する。まず、搬送装置125のフォーク127を進退駆動させて、カセットC1から未処理の基板Sを受け取り、これを、ロードロックチャンバー105のバッファ138に載置する。次に、フォーク127を、ロードロックチャンバー105から退避させる。
【0036】
次に、ロードロックチャンバー105の大気側のゲートバルブ装置10eを閉じる。次に、ロードロックチャンバー105内を排気して、内部を所定の真空度まで減圧する。次に、搬送チャンバー103とロードロックチャンバー105との間のゲートバルブ装置10dを開く。次に、搬送装置133のフォーク135により、ロードロックチャンバー105に収容された基板Sを受け取る。
【0037】
次に、搬送装置133のフォーク135により、プロセスチャンバー101a,101b,101cのいずれかに基板Sを搬入し、サセプタ102に受け渡す。次に、基板Sが搬入されたプロセスチャンバーと搬送チャンバー103との間のゲートバルブ装置を閉じる。
【0038】
次に、基板Sが搬入されたプロセスチャンバー内で、基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。次に、処理が終了したら、処理が行われたプロセスチャンバーと搬送チャンバー103との間のゲートバルブ装置を開く。次に、処理済みの基板Sが、サセプタ102から搬送装置133のフォーク135に受け渡され、プロセスチャンバーから搬出される。
【0039】
基板Sは、搬入時とは逆の経路でロードロックチャンバー105を経て、搬送装置125によりカセットC2に収容される。なお、処理済みの基板Sを元のカセットC1に戻してもよい。
【0040】
次に、図3ないし図8を参照して、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成について詳しく説明する。図3ないし図5は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。なお、図3はゲートバルブ装置の開状態を表し、図4および図5はゲートバルブ装置の閉状態を表している。図6は、図4に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーターおよびコネクタ部を示す正面図である。図7は、図6に示したコネクタ部に接続されるコネクタ部を示す正面図である。図8は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【0041】
本実施の形態に係るゲートバルブ装置10は、図1および図2に示した真空処理システム100における5つのゲートバルブ装置10a,10b,10c,10d,10eのいずれにも適用することができるが、特に、プロセスチャンバー101a,101b,101cと搬送チャンバー103の間に設けられたゲートバルブ装置10a,10b,10cに適用するのに適している。そこで、以下、ゲートバルブ装置10a,10b,10cに適用した場合を例にとって、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10について説明する。この例では、ゲートバルブ装置10は、チャンバー101と搬送チャンバー103との間に配置されている。チャンバー101は、プロセスチャンバー101a,101b,101cのいずれかである。なお、図3ないし図5では、搬送チャンバー103の図示を省略している。
【0042】
図3ないし図5に示したように、チャンバー101は、チャンバー101内の空間を画定する筐体111を備えている。筐体111は、ゲートバルブ装置10に隣接する壁111Aを含んでいる。この壁111Aは、チャンバー101内の空間とそれに隣接するゲートバルブ装置10側の空間とを仕切っている。壁111Aには、チャンバー101と搬送チャンバー103との間で基板Sの移送を可能にする開口部112が設けられている。壁111Aは、ゲートバルブ装置10に向いた面111ASを有している。壁111Aには、面111ASにおいて露出するように、ターミナル部40が埋め込まれて固定されている。
【0043】
ゲートバルブ装置10は、筐体11と、開口部112を開閉するための弁体12と、開口部112を開閉するために弁体12を移動させる弁体移動装置20と、弁体12を加熱するためのヒーター13と、コネクタ部30とを備えている。弁体12、ヒーター13およびコネクタ部30は一体化されている。筐体11は、これら一体化された弁体12、ヒーター13およびコネクタ部30と、弁体移動装置20の一部を収容している。弁体移動装置20は、本発明における弁体移動手段に対応する。
【0044】
筐体11は、上部と、底部と、上部と底部とを連結する2つの側部とを有する四角筒形状をなしている。筐体11におけるチャンバー101側の端(図3における右端)と搬送チャンバー103側の端(図3における左端)はそれぞれ開口している。
【0045】
弁体12は、ほぼ直方体形状をなしている。弁体12は、チャンバー101に向き、開口部112を閉塞可能なシール面12Aと、このシール面12Aとは反対側の背面12Bと、上面12Cと、底面12Dと、2つの側面12E,12Fとを有している。シール面12Aは、開口部112を閉塞することができる大きさを有している。なお、図6では、開口部112を二点鎖線で表している。
【0046】
壁111Aの面111ASにおける開口部112の周囲には、Oリング19が取り付けられている。図4および図5に示したように、弁体12が開口部112を閉塞した状態では、Oリング19は、全周にわたって、面111ASとシール面12Aとの間に挟まれる。これにより、チャンバー101が気密にシールされる。
【0047】
ヒーター13は、底面12Dに接するように弁体12に取り付けられている。なお、ヒーター13は、シール面12A以外の面であれば、底面12D以外の面に接するように、弁体12に取り付けられていてもよい。ヒーター13としては、例えばプレート型ヒーターが用いられる。しかし、ヒーター13は、プレート型ヒーターに限られるものではなく、電力の供給を受けて発熱するものであればよい。
【0048】
図8に示したように、ゲートバルブ装置10は、更に、弁体12の温度を測定するための温度センサ73を備えている。図3ないし図6では温度センサ73を図示していないが、温度センサ73は弁体12に取り付けられている。
【0049】
弁体移動装置20は、エアシリンダー21と、ベース部材22と、リンク23,24,25,26とを有している。エアシリンダー21は、シリンダー部21aとロッド部21bとを含んでいる。シリンダー部21aは、筐体11の底部に取り付けられている。ロッド部21bは、シリンダー部21aから筐体11の底部に形成された開口部を通して、筐体11の内部に向けて突出している。ロッド部21bの一部は、シリンダー部21aに収容されている。ロッド部21bは、シリンダー部21aに供給されるエアにより、シリンダー部21aおよびロッド21bの軸方向(図3における上下方向)に往復運動する。なお、エアシリンダー21の代わりに、油圧シリンダーや、モータにより駆動するボールねじ機構を使用してもよい。
【0050】
ベース部材22は、ロッド部21bの先端部に取り付けられている。ベース部材22は、例えば、弁体12と同様に、ほぼ直方体形状をなし、弁体12に向いた前面と、その反対側の背面と、上面と、底面と、2つの側面とを有している。エアシリンダー21は、ベース部材22を壁111Aの面111ASに平行な方向に移動させる。エアシリンダー21は、本発明における駆動手段に対応する。
【0051】
リンク23〜26は、ベース部材22と弁体12とを接続するリンク機構を構成している。図3ないし図6に示したように、リンク23,24の一端部は、弁体12の側面12Eに対して回動可能に接続され、リンク23,24の他端部は、側面12Eに対応するベース部材22の側面に対して回動可能に接続されている。同様に、リンク25,26の一端部は、弁体12の側面12Fに対して回動可能に接続され、リンク25,26の他端部は、側面12Fに対応するベース部材22の側面に対して回動可能に接続されている。
【0052】
図示しないが、ベース部材22は、リンク23〜26を、それらのベース部材22の側面に対する接続部を中心として図3における反時計回り方向に回動するように付勢するばねと、反時計回り方向へのリンク23〜26の回動を規制するストッパとを含んでいる。図3は、ストッパによってリンク23〜26の回動が規制された状態を表している。この状態では、弁体12の上面12Cは、ベース部材22の上面よりも上方の位置にある。
【0053】
弁体12の上面12Cには、ローラー15,16が回転可能に取り付けられている。ローラー15,16の一部は、上面12Cよりも上方に突出している。なお、ローラー15,16としては、円柱状、球状等、種々の形状のものを用いることができる。
【0054】
弁体移動装置20は、弁体12を、図3に示した待機位置と、図4および図5に示した閉塞位置との間で移動させる。弁体移動装置20の動作については、後で詳しく説明する。
【0055】
以下、コネクタ部30とターミナル部40について詳しく説明する。コネクタ部30は後で説明する4つのコネクタを有し、ターミナル部40は後で説明する4つの入出力端子を有している。コネクタ部30とターミナル部40は、弁体12が閉塞位置にあるときに、コネクタ部30の4つのコネクタとターミナル部40の4つの入出力端子が互いに接続されるような位置に配置されている。図3ないし図6に示した例では、コネクタ部30は、ヒーター13の底面に取り付けられている。しかし、コネクタ部30は、弁体12の底面12D等、他の位置に設けられていてもよい。
【0056】
図6に示したように、コネクタ部30は、絶縁材料からなる本体30Aと、この本体30Aによって保持された電力用コネクタ31,32およびセンサ用コネクタ33,34を有している。本体30Aは、チャンバー101に向いた面30ASと、この面30ASにおいて開口し、それぞれコネクタ31,32,33,34を収容する4つの凹部を有している。コネクタ31,32は、ヒーター13に電気的に接続されている。コネクタ33,34は、温度センサ73に電気的に接続されている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、温度センサ73およびコネクタ33,34を設けなくてもよい。
【0057】
ここで、図3および図6を参照して、コネクタ31,32,33,34の構造の一例について説明する。この例では、コネクタ31,32,33,34は、それぞれ、対応する凹部内に進退可能に収容された金属製のプラグ31a,32a,33a,34aを有している。プラグ31a,32a,33a,34aは、それぞれ、フランジを有するほぼ円柱形状をなしている。コネクタ31,32,33,34は、それぞれ、更に、対応する凹部内に収容され、プラグ31a,32a,33a,34aを、対応する凹部から突出する方向(図3における右方向)に付勢するばねを有している。なお、図3には、コネクタ31,32,33,34のばねのうち、コネクタ31のばね31bのみを示している。なお、コネクタ31,32,33,34を収容する凹部は、それぞれ、凹部から抜けないようにプラグ31a,32a,33a,34aを保持している。プラグ31a,32aはヒーター13に電気的に接続され、プラグ33a,34aは温度センサ73に電気的に接続されている。
【0058】
図3および図7に示したように、ターミナル部40は、絶縁材料からなる本体40Aと、この本体40Aによって保持された電力出力端子41,42およびセンサ入力端子43,44を有している。以下、電力出力端子41,42およびセンサ入力端子43,44を、入出力端子41,42,43,44とも記す。本体40Aは、ゲートバルブ装置10に向いた面40ASと、この面40ASにおいて開口し、それぞれ入出力端子41,42,43,44を収容する4つの凹部を有している。図7に示したように、面40ASにおいて、電力出力端子41,42の周囲には、電力出力端子41,42とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、Oリング45,46が取り付けられている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、センサ入力端子43,44を設けなくてもよい。
【0059】
図4および図5に示したように、弁体12が開口部112を閉塞した状態では、コネクタ31,32,33,34のプラグ31a,32a,33a,34aは、それぞれ入出力端子41,42,43,44に接触する。これにより、コネクタ31,32,33,34(プラグ31a,32a,33a,34a)は、それぞれ入出力端子41,42,43,44に対して電気的且つ物理的に接続される。また、この状態において、Oリング45,46は、面30ASと面40ASとの間に挟まれる。
【0060】
入出力端子41,42,43,44には、それぞれ導線が接続されている。この4本の導線は、例えば、壁111Aの内部に形成された孔を通して、筐体111の外部に引き出されている。
【0061】
図8に示したように、真空処理システム100は、ヒーター13に供給される電力を発生する電源71と、スイッチ49と、制御部72とを備えている。電力出力端子41,42は、電源71に対して、スイッチ49を介して電気的に接続されている。スイッチ49は、導通状態と遮断状態とが選択されるものである。図8には、電力出力端子41と電源71の間にスイッチ49が設けられた例を示している。しかし、このようなスイッチ49の代わりに、電力出力端子41と電源71の間と、電力出力端子42と電源71の間を、同時に導通または遮断するスイッチを設けてもよい。コネクタ31,32が電力出力端子41,42に接続され、且つスイッチ49が導通状態のときには、電源71からヒーター13に対して電力が供給され得る。電力出力端子41,42は、本発明における電力出力部に対応する。
【0062】
センサ入力端子43,44は、制御部72に接続されている。従って、コネクタ33,34がセンサ入力端子43,44に接続されると、温度センサ73が制御部72に接続される。制御部72は、例えば、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を統括して制御するものである。制御部72は、ゲートバルブ装置10の動作を制御するために、コネクタ33,34およびセンサ入力端子43,44を介して接続される温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得すると共に、エアシリンダー21、電源71およびスイッチ49を制御する。なお、制御部72は、真空処理システム100において制御が必要な構成要素を統括して制御するものではなく、ゲートバルブ装置10のみの制御を行うものであってもよい。この場合の制御部72は、例えば、真空処理システム100において統括的な制御を行う他の制御部によって制御される。
【0063】
後で詳しく説明するが、本実施の形態では、ヒーター13に接続されたコネクタ31,32は、弁体12が開口部112を閉塞した状態では電力出力部である電力出力端子41,42に対して電気的且つ物理的に接続され、弁体12が開口部112を開放した状態では電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離するように、弁体12と連動する。
【0064】
なお、ここまでの説明では、ゲートバルブ装置10は、構成要素として、ターミナル部40、スイッチ49および電源71を含んでいないものとしている。しかし、ゲートバルブ装置10は、構成要素として、ターミナル部40を含んでいてもよいし、更にスイッチ49を含んでいてもよいし、更に電源71を含んでいてもよい。
【0065】
次に、図3ないし図5および図9を参照して、チャンバー101において基板Sに対して所定の処理を施す場合を例にとって、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10の動作について詳しく説明する。図9は、ゲートバルブ装置10の動作を説明するための説明図である。図9では、チャンバー101への基板Sの搬入から、処理済みの基板Sのチャンバー101からの搬出までの6つのステップの各々における動作内容、開口部112の状態およびヒーター13の状態を表している。
【0066】
図9におけるステップ1では、開口部112が開放され、開口部112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。このステップ1では、弁体12は待機位置にある。図3は、弁体12が待機位置にある状態を示している。弁体12の待機位置は、エアシリンダー21のロッド部21bの先端部が可動範囲の最下端に位置するときの弁体12の位置である。弁体12が待機位置にある状態では、弁体12は開口部112を開放している。この状態で、開口部112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。
【0067】
また、ステップ1では、ヒーター13は、オフ状態、すなわち電力が供給されない状態にある。弁体12が待機位置にある状態を含めて、開口部112が開放されている状態では、コネクタ部30とターミナル部40は互いに分離されている。そのため、ヒーター13に接続されたコネクタ31,32は、電力出力部である電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離している。従って、開口部112が開放されている状態では、ヒーター13には電力は供給されない。また、開口部112が開放されている状態では、スイッチ49は遮断状態に設定されている。
【0068】
次のステップ2では、弁体12によって開口部112を閉塞する動作が行われる。図3に示した状態から、弁体12によって開口部112を閉塞する際には、弁体移動装置20のエアシリンダー21によってベース部材22を上昇させる。ベース部材22の上昇に伴って、弁体12も上昇する。このとき、ローラー15,16が筐体11の上部に当接するまでは、弁体12は、壁111Aの面111ASに平行な方向に移動する。
【0069】
ローラー15,16が筐体11の上部に当接したとき、弁体12は開口部112に対向する位置に達している。この状態から、更にエアシリンダー21によってベース部材22を上昇させると、弁体12は上昇できないため、リンク23〜26が、それらのベース部材22の側面に対する接続部を中心として図3における時計回り方向に回動しながら、弁体12は開口部112に向けて壁111Aの面111ASに垂直な方向に移動する。このとき、ローラー15,16の作用により、弁体12は筐体11と擦れることなく滑らかに移動する。そして、最終的には、図4に示したように、弁体12のシール面12Aが壁111Aの面111ASに押し付けられて、弁体12によって開口部112が閉塞される。この時点で、弁体移動装置20の動作は停止する。弁体12によって開口部112が閉塞されるとき、コネクタ部30はターミナル部40に接続される。具体的には、コネクタ31,32,33,34のプラグ31a,32a,33a,34aが、それぞれ入出力端子41,42,43,44に接触することによって、コネクタ31,32,33,34(プラグ31a,32a,33a,34a)が、それぞれ入出力端子41,42,43,44に対して電気的且つ物理的に接続される。
【0070】
図4に示したように、上記の動作により弁体12が開口部112を閉塞した時点では、スイッチ49は遮断状態になっている。従って、この時点では、ヒーター13には電力は供給されていない。
【0071】
次のステップ3では、ヒーター13がオン状態、すなわち電力が供給される状態にされる。このように、ヒーター13がオン状態にされるのは、弁体12によって開口部112が閉塞された後である。ステップ3では、図5に示したように、スイッチ49が導通状態に設定される。これにより、電源71から電力出力端子41,42およびコネクタ31,32を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。また、このとき、温度センサ73は、コネクタ33,34およびセンサ入力端子43,44を介して制御部72に接続されている。制御部72は、温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得し、この温度情報に基づいて電源71を制御して、弁体12の温度を制御する。なお、制御部72は、弁体12の温度を制御するため、スイッチ49の導通状態と遮断状態とを切り替えてもよい。
【0072】
次のステップ4では、弁体12によって開口部112が閉塞され、ヒーター13に電力が供給されて、弁体12が加熱されている状態で、チャンバー101において基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。
【0073】
チャンバー101における処理が終了すると、次のステップ5において、弁体12によって開口部112が閉塞されている状態で、スイッチ49が遮断状態に設定されて、ヒーター13に対する電力の供給が停止される。
【0074】
次のステップ6では、開口部112が開放され、開口部112を通して、チャンバー101から搬送チャンバー103へ、処理済みの基板Sが搬出される。このステップ6では、弁体移動装置20によって、弁体12に、開口部112を閉塞する際とは逆の動作を行わせて、開口部112を開放する。すなわち、弁体移動装置20のエアシリンダー21によってベース部材22を下降させる。このとき、初めのうちは、ローラー15,16が筐体11の上部に当接したままで、リンク23〜26が、それらのベース部材22の側面に対する接続部を中心として図3における反時計回り方向に回動しながら、弁体12は開口部112から離れるように壁111Aの面111ASに垂直な方向に移動する。これにより、開口部112が開放される。また、弁体12が開口部112を開放するとき、コネクタ部30はターミナル部40から分離される。
【0075】
リンク23〜26が、ストッパによって規制される位置まで回動すると、その後は、ベース部材22の下降に伴って、弁体12も下降する。このとき、弁体12は、壁111Aの面111ASに平行な方向に移動する。そして、最終的には、弁体12が図3に示した待機位置に達し、弁体移動装置20の動作は停止する。その後、開口部112を通して、チャンバー101から搬送チャンバー103へ、処理済みの基板Sが搬出される。
【0076】
次に、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10の効果について説明する。本実施の形態に係るゲートバルブ装置10は、弁体12を加熱するためのヒーター13を備えている。そのため、このゲートバルブ装置10によれば、チャンバー101内で、副生成物が生じる処理が行われる場合、ヒーター13によって弁体12を加熱することにより、副生成物が弁体12の表面に付着することを防止することができる。これにより、本実施の形態によれば、パーティクルが発生することを防止することができ、その結果、パーティクルに起因したエッチング不良等の不具合の発生を防止することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、弁体12と、ヒーター13と、ヒーター13に電気的に接続されたコネクタ31,32を含むコネクタ部30とが一体化されている。そして、コネクタ31,32は、弁体12が開口部112を閉塞した状態では電力出力部である電力出力端子41,42に対して電気的且つ物理的に接続され、弁体12が開口部112を開放した状態では電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離するように、弁体12と連動する。そのため、本実施の形態では、弁体12が開口部112を閉塞した状態においてのみ、コネクタ31,32が電力出力部である電力出力端子41,42に対して電気的且つ物理的に接続されて、ヒーター13に電力を供給することが可能になる。このように、本実施の形態によれば、ゲートバルブ装置10の筐体11内において、ベース部材22およびリンク機構を経由してヒーター13に直接接続されるように電力供給用のケーブルを設けることなく、ヒーター13に容易に電力を供給することができる。
【0078】
また、本実施の形態に係るゲートバルブ装置10は、弁体移動装置20を経由してヒーター13に接続されるような電力供給用のケーブルを備えていない。そのため、本実施の形態によれば、ゲートバルブ装置10の取り付けやメンテナンスが容易になる。
【0079】
また、本実施の形態では、電源71と電力出力端子41,42の間に、電源71から電力出力端子41,42への電力の供給と遮断とを選択するスイッチ49が設けられている。そして、開口部112が開放された状態から開口部112が閉塞された状態に移行する際には、開口部112が閉塞されてコネクタ31,32が電力出力端子41,42に接続された後に、スイッチ49が導通状態に設定されて電力出力端子41,42に電力が供給される。また、開口部112が閉塞された状態から開口部112が開放された状態に移行する際には、スイッチ49が遮断状態に設定されて電力出力端子41,42に対する電力の供給が遮断された後に、開口部112が開放されてコネクタ31,32が電力出力端子41,42から乖離する。従って、本実施の形態では、電力出力端子41,42が電源71に接続された状態で露出することはない。そのため、本実施の形態によれば、電力出力端子41,42からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、コネクタ部30がターミナル部40に接続された状態では、電力出力端子41,42とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、電力出力端子41,42の周囲に設けられたOリング45,46が、コネクタ部30の本体30Aの面30ASとターミナル部40の本体40Aの面40ASとの間に挟まれる。これにより、本実施の形態によれば、より効果的に、電力出力端子41,42からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、ヒーター13は、弁体12の表面に取り付けられている。そのため、本実施の形態によれば、ヒーター13を弁体12の内部に設ける場合に比べて、弁体12の剛性の低下を防止することができる。
【0082】
[第2の実施の形態]
次に、図10ないし図12を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るゲートバルブ装置について説明する。図10ないし図12は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。なお、図10はゲートバルブ装置の開状態を表し、図11および図12はゲートバルブ装置の閉状態を表している。
【0083】
以下、本実施の形態に係るゲートバルブ装置80が、第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置10と異なる点について説明する。ゲートバルブ装置80は、ゲートバルブ装置10における筐体11の代わりに筐体81を備えている。筐体81は、上部と、底部と、上部と底部とを連結する4つの側部とを有する箱形状をなしている。筐体81の4つの側部のうちの1つは、チャンバー101の筐体111の壁111Aに接している。この側部を、壁構成部分81Aと呼ぶ。この壁構成部分81Aは、チャンバー101内の空間とそれに隣接するゲートバルブ装置10側の空間とを仕切る壁の少なくとも一部を構成する。壁構成部分81Aは、壁111Aに接する面と、その反対側の面81ASとを有している。また、筐体81の4つの側部のうち、壁構成部分81Aとは反対側の側部81Bは、図示しない搬送チャンバー103に接している。
【0084】
壁構成部分81Aと側部81Bには、それぞれ、基板Sの移送を可能にする開口部82,83が設けられている。開口部82は、チャンバー101における壁111Aの開口部112に連続している。一例として、壁構成部分81Aに接する壁111Aの面に垂直な方向から見たとき、開口部82,83の形状および位置は、開口部112の形状および位置と一致している。本実施の形態では、弁体12は、開口部82を開閉するようになっている。
【0085】
壁構成部分81Aの面81ASにおける開口部82の周囲には、Oリング89が取り付けられている。図11および図12に示したように、弁体12が開口部82を閉塞した状態では、Oリング89は、全周にわたって、面81ASとシール面12Aとの間に挟まれる。これにより、チャンバー101が気密にシールされる。
【0086】
本実施の形態では、ターミナル部40は、面81ASにおいて露出するように、壁構成部分81Aに埋め込まれて固定されている。入出力端子41,42,43,44に接続された4本の導線は、例えば、壁構成部分81Aの内部に形成された孔を通して、筐体81の外部に引き出されている。
【0087】
また、本実施の形態では、エアシリンダー21のシリンダー部21aは、筐体81の底部に取り付けられている。エアシリンダー21のロッド部21bは、シリンダー部21aから筐体81の底部に形成された開口部を通して、筐体81の内部に向けて突出している。
【0088】
本実施の形態では、ゲートバルブ装置80は、構成要素として、ターミナル部40を含んでいる。ゲートバルブ装置80は、構成要素として、更にスイッチ49を含んでいてもよいし、更に電源71を含んでいてもよい。
【0089】
次に、図10ないし図12を参照して、本実施の形態に係るゲートバルブ装置80の動作について説明する。図10は、弁体12が待機位置にある状態を示している。弁体12が待機位置にある状態を含めて、開口部82が開放されている状態では、コネクタ部30とターミナル部40は互いに分離されている。そのため、ヒーター13に接続されたコネクタ31,32は、電力出力部である電力出力端子41,42から電気的且つ物理的に乖離している。従って、開口部82が開放されている状態では、ヒーター13には電力は供給されない。また、開口部82が開放されている状態では、スイッチ49は遮断状態に設定されている。この状態で、開口部83,82,112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。
【0090】
図10に示した状態から、弁体12によって開口部82を閉塞する際には、第1の実施の形態と同様に、弁体移動装置20によって弁体12を移動させる。これにより、図11に示したように、弁体12のシール面12Aが壁81Aの面81ASに押し付けられて、弁体12によって開口部82が閉塞される。弁体12が開口部82を閉塞した時点では、スイッチ49は遮断状態になっている。従って、この時点では、ヒーター13には電力は供給されていない。
【0091】
弁体12によって開口部82が閉塞された後に、図12に示したように、スイッチ49が導通状態に設定される。これにより、電源71から電力出力端子41,42およびコネクタ31,32を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。
【0092】
その後、チャンバー101において基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。チャンバー101における処理が終了すると、弁体12によって開口部82が閉塞されている状態で、スイッチ49が遮断状態に設定されて、ヒーター13に対する電力の供給が停止される。次に、第1の実施の形態と同様に、弁体移動装置20によって弁体12を移動させて、開口部82を開放する。また、弁体12が開口部82を開放するとき、コネクタ部30はターミナル部40から分離される。
【0093】
本実施の形態では、ゲートバルブ装置80がターミナル部40を備えている。そのため、本実施の形態では、ターミナル部40を備えていない既存のチャンバー101に何ら変更を加えることなく、本実施の形態に係るゲートバルブ装置80を設けることができる。
【0094】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0095】
[第3の実施の形態]
次に、図13ないし図17を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るゲートバルブ装置について説明する。図13ないし図15は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。なお、図13はゲートバルブ装置の開状態を表し、図14および図15はゲートバルブ装置の閉状態を表している。図16は、図14に示した状態におけるゲートバルブ装置の弁体、ヒーター、コネクタ部、副コネクタ部および副ターミナル部を示す正面図である。図17は、本実施の形態に係るゲートバルブ装置の回路構成を示す回路図である。
【0096】
本実施の形態に係るゲートバルブ装置90は、第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置10の構成要素に加えて、副コネクタ部50と副ターミナル部60を備えている。副コネクタ部50は、弁体12、ヒーター13およびコネクタ部30と一体化されている。副ターミナル部60は、筐体11の底部に固定されている。副コネクタ部50は後で説明する4つの副コネクタを有し、副ターミナル部60は後で説明する4つの副入出力端子を有している。副コネクタ部50と副ターミナル部60は、弁体12が待機位置にあるときに、副コネクタ部50の4つの副コネクタと副ターミナル部60の4つの副入出力端子が互いに接続されるような位置に配置されている。図13ないし図16に示した例では、副コネクタ部50は、ヒーター13の底面に取り付けられている。しかし、副コネクタ部50は、弁体12の底面12D等、他の位置に設けられていてもよい。本実施の形態において、弁体12が待機位置にある状態は、本発明における「弁体が開口部を開放した特定の状態」に対応する。
【0097】
副コネクタ部50の構成は、コネクタ部30の構成と同様である。すなわち、副コネクタ部50は、絶縁材料からなる本体50Aと、この本体50Aによって保持された電力用副コネクタ51,52およびセンサ用副コネクタ53,54を有している。本体50Aは、下に向いた面50ASと、この面50ASにおいて開口し、それぞれ副コネクタ51,52,53,54を収容する4つの凹部を有している。副コネクタ51,52は、ヒーター13に電気的に接続されている。副コネクタ53,54は、温度センサ73に電気的に接続されている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、副コネクタ53,54を設けなくてもよい。
【0098】
ここで、図14および図16を参照して、副コネクタ51,52,53,54の構造の一例について説明する。この例では、副コネクタ51,52,53,54は、それぞれ、対応する凹部内に進退可能に収容された金属製のプラグ51a,52a,53a,54aを有している。プラグ51a,52a,53a,54aは、それぞれ、フランジを有するほぼ円柱形状をなしている。副コネクタ51,52,53,54は、それぞれ、更に、対応する凹部内に収容され、プラグ51a,52a,53a,54aを、対応する凹部から突出する方向(図14における下方向)に付勢するばねを有している。なお、図14には、副コネクタ51,52,53,54のばねのうち、副コネクタ51のばね51bのみを示している。なお、副コネクタ51,52,53,54を収容する凹部は、それぞれ、凹部から抜けないようにプラグ51a,52a,53a,54aを保持している。プラグ51a,52aはヒーター13に電気的に接続され、プラグ53a,54aは温度センサ73に電気的に接続されている。
【0099】
副ターミナル部60の構成は、ターミナル部40の構成と同様である。すなわち、図16に示したように、副ターミナル部60は、絶縁材料からなる本体60Aと、この本体60Aによって保持された副電力出力端子61,62および副センサ入力端子63,64を有している。以下、副電力出力端子61,62および副センサ入力端子63,44を、副入出力端子61,62,63,64とも記す。本体60Aは、上に向いた面60ASと、この面60ASにおいて開口し、それぞれ副入出力端子61,62,63,64を収容する4つの凹部を有している。面60ASにおいて、副電力出力端子61,62の周囲には、電力出力端子61,62とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、Oリング65,66が取り付けられている。なお、弁体12の温度を測定する必要がない場合には、副センサ入力端子63,64を設けなくてもよい。
【0100】
図13に示したように、弁体12が待機位置にある状態では、副コネクタ51,52,53,54のプラグ51a,52a,53a,54aは、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に接触する。これにより、副コネクタ51,52,53,54(プラグ51a,52a,53a,54a)は、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に対して電気的且つ物理的に接続される。また、この状態において、副電力出力端子61,62の周囲に設けられたOリング65,66は、面50ASと面60ASとの間に挟まれる。
【0101】
副入出力端子61,62,63,64には、それぞれ導線が接続されている。この4本の導線は、例えば、筐体11に形成された孔を通して、筐体11の外部に引き出されている。
【0102】
図17に示したように、副電力出力端子61,62は、電源71に対して、スイッチ69を介して電気的に接続されている。このスイッチ69は、ゲートバルブ装置90の構成要素であってもよい。スイッチ69は、導通状態と遮断状態とが選択されるものである。図17には、副電力出力端子61と電源71の間にスイッチ69が設けられた例を示している。しかし、このようなスイッチ69の代わりに、副電力出力端子61と電源71の間と、副電力出力端子62と電源71の間を、同時に導通または遮断するスイッチを設けてもよい。副コネクタ51,52が副電力出力端子61,62に接続され、且つスイッチ69が導通状態のときには、電源71からヒーター13に対して電力が供給され得る。副電力出力端子61,62は、本発明における第2の電力出力部に対応する。
【0103】
副センサ入力端子63,64は、制御部72に接続されている。従って、副コネクタ53,54が副センサ入力端子63,64に接続されると、温度センサ73が制御部72に接続される。なお、図17では、副コネクタ53,54および副センサ入力端子63,64の図示を省略している。制御部72は、ゲートバルブ装置10の動作を制御するために、コネクタ33,34およびセンサ入力端子43,44を介して、または副コネクタ53,54および副センサ入力端子63,64を介して接続される温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得すると共に、エアシリンダー21、電源71およびスイッチ49,69を制御する。
【0104】
次に、図13ないし図15を参照して、本実施の形態に係るゲートバルブ装置90の動作について詳しく説明する。図13は、弁体12が待機位置にある状態を示している。この状態では、弁体12は開口部112を開放している。この状態で、開口部112を通して、搬送チャンバー103からチャンバー101へ基板Sが搬入される。また、この状態では、コネクタ部30とターミナル部40は互いに分離され、副コネクタ部50と副ターミナル部60は互いに接続されている。具体的には、副コネクタ51,52,53,54のプラグ51a,52a,53a,54aが、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に接触することによって、副コネクタ51,52,53,54(プラグ51a,52a,53a,54a)が、それぞれ副入出力端子61,62,63,64に対して電気的且つ物理的に接続されている。
【0105】
図13に示したように、弁体12が待機位置にある状態において、スイッチ69を導通状態にすると、電源71から副電力出力端子61,62および副コネクタ51,52を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。また、このとき、温度センサ73は、副コネクタ53,54および副センサ入力端子63,64を介して制御部72に接続されている。制御部72は、温度センサ73によって得られる弁体12の温度情報を取得し、この温度情報に基づいて電源71を制御して、弁体12の温度を制御する。なお、制御部72は、弁体12の温度を調整するため、スイッチ69の導通状態と遮断状態とを切り替えてもよい。
【0106】
図13に示した状態から、弁体12によって開口部112を閉塞する際には、スイッチ69を遮断状態に設定した後、弁体移動装置20のエアシリンダー21によってベース部材22を上昇させる。ベース部材22の上昇に伴って、弁体12も上昇する。これにより、副コネクタ部50は副ターミナル部60から分離される。弁体12によって開口部112を閉塞する際のゲートバルブ装置90の動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0107】
図14に示したように、弁体12が開口部112を閉塞した時点では、スイッチ49は遮断状態になっている。従って、この時点では、ヒーター13には電力は供給されていない。
【0108】
弁体12によって開口部112が閉塞された後に、図15に示したように、スイッチ49が導通状態に設定される。これにより、電源71から電力出力端子41,42およびコネクタ31,32を経由してヒーター13に電力が供給されて、ヒーター13が発熱し、弁体12が加熱される。
【0109】
その後、チャンバー101において基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。チャンバー101における処理が終了すると、弁体12によって開口部112が閉塞されている状態で、スイッチ49が遮断状態に設定されて、ヒーター13に対する電力の供給が停止される。次に、第1の実施の形態と同様に、弁体移動装置20によって弁体12を移動させて、開口部112を開放する。また、弁体12が開口部82を開放するとき、コネクタ部30はターミナル部40から分離される。弁体12が図13に示した待機位置に達すると、副コネクタ部50が副ターミナル部60に接続される。
【0110】
以上説明したように、本実施の形態に係るゲートバルブ装置90は、第1の実施の形態に係るゲートバルブ装置10の構成要素に加えて、ヒーター13に電気的に接続された副コネクタ51,52を含む副コネクタ部50と、第2の電力出力部である副電力出力端子61,62を含む副ターミナル部60とを備えている。副コネクタ51,52は、弁体12が開口部112を閉塞した状態では副電力出力端子61,62から電気的且つ物理的に乖離し、弁体12が開口部112を開放した特定の状態すなわち弁体12が待機位置にある状態では副電力出力端子61,62に対して電気的且つ物理的に接続されるように、弁体12と連動する。
【0111】
本実施の形態によれば、弁体12によって開口部112を閉塞する前に、弁体12を予備加熱することができる。これにより、本実施の形態によれば、弁体12によって開口部112を閉塞した後における弁体12の加熱時間を短縮することができる。その結果、本実施の形態によれば、基板Sへの処理が開始されるまでの待ち時間を短縮することができ、その結果、プロセス全体における処理時間を短縮することができる。
【0112】
また、本実施の形態では、弁体12が待機位置にある状態から開口部112が閉塞された状態に移行する際には、スイッチ69が遮断状態に設定された後に、副コネクタ51,52が副電力出力端子61,62から乖離する。また、開口部112が閉塞された状態から弁体12が待機位置にある状態に移行する際には、副コネクタ51,52が副電力出力端子61,62に接続された後に、スイッチ69が導通状態に設定されて副電力出力端子61,62に電力が供給される。従って、本実施の形態では、副電力出力端子61,62が電源71に接続された状態で露出することはない。そのため、本実施の形態によれば、副電力出力端子61,62からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、副コネクタ部50が副ターミナル部60に接続された状態では、副電力出力端子61,62とその周辺部分との間の絶縁性を高めるために、副電力出力端子61,62の周囲に設けられたOリング65,66が、副コネクタ部50の面50ASと副ターミナル部60の面60ASとの間に挟まれる。これにより、本実施の形態によれば、より効果的に、副電力出力端子61,62からのアーク放電や漏電の発生を防止することができる。
【0114】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0115】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第3の実施の形態において、ゲートバルブ装置が筐体11の代わりに第2の実施の形態における筐体81を備え、ターミナル部40が、面81ASにおいて露出するように、壁構成部分81Aに埋め込まれて固定されていてもよい。
【0116】
また、第1ないし第3の実施の形態において、コネクタ部30を、弁体12の側面12Eまたは12Fに取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10,80,90…ゲートバルブ装置、11,81,111…筐体、12…弁体、13…ヒーター、19,89…Oリング、20…弁体移動装置、30…コネクタ部、40…ターミナル部、49,69…スイッチ、50…副コネクタ部、60…副ターミナル部、71…電源、82,112…開口部、100…真空処理システム、101…チャンバー、103…搬送チャンバー、S…基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉するための弁体と、
前記弁体によって前記開口部を開閉するために弁体を移動させる弁体移動手段と、
前記弁体を加熱するためのヒーターと、
前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能なコネクタとを備えたゲートバルブ装置であって、
前記弁体、ヒーターおよびコネクタは一体化され、
前記コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続され、前記弁体が前記開口部を開放した状態では前記電力出力部から電気的且つ物理的に乖離するように、前記弁体と連動することを特徴とするゲートバルブ装置。
【請求項2】
前記電力出力部は、前記壁に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ装置。
【請求項3】
更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタを収容する筐体を備え、前記電力出力部は、前記筐体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記壁の少なくとも一部を構成する壁構成部分を有し、前記電力出力部は、前記壁構成部分に固定されていることを特徴とする請求項3に記載のゲートバルブ装置。
【請求項5】
更に、前記電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記電力出力部との間に設けられ、前記電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゲートバルブ装置。
【請求項6】
更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタと一体化され、前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能な副コネクタを備え、
前記副コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記第2の電力出力部から電気的且つ物理的に乖離し、前記弁体が前記開口部を開放した特定の状態では前記第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続されるように、前記弁体と連動することを特徴とする請求項1または2に記載のゲートバルブ装置。
【請求項7】
更に、前記第2の電力出力部を備えたことを特徴とする請求項6に記載のゲートバルブ装置。
【請求項8】
更に、前記弁体、ヒーター、コネクタおよび副コネクタを収容する筐体を備え、
前記第2の電力出力部は前記筐体に固定されていることを特徴とする請求項7に記載のゲートバルブ装置。
【請求項9】
更に、前記第2の電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記第2の電力出力部との間に設けられ、前記第2の電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えたことを特徴とする請求項7または8に記載のゲートバルブ装置。
【請求項10】
前記弁体移動手段は、ベース部材と、前記ベース部材を前記壁の面に平行な方向に移動させる駆動手段と、前記ベース部材と前記弁体とを接続するリンク機構とを有し、前記弁体によって前記開口部を閉塞する際には、前記開口部に対向する位置まで前記弁体を前記壁の面に平行な方向に移動させ、その後、前記弁体を前記開口部に向けて前記壁の面に垂直な方向に移動させ、前記弁体が前記開口部を開放する際には、前記弁体に、前記開口部を閉塞する際とは逆の動作を行わせることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のゲートバルブ装置。
【請求項11】
前記2つの空間の一方は、基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーの内部であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のゲートバルブ装置。
【請求項1】
隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉するための弁体と、
前記弁体によって前記開口部を開閉するために弁体を移動させる弁体移動手段と、
前記弁体を加熱するためのヒーターと、
前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能なコネクタとを備えたゲートバルブ装置であって、
前記弁体、ヒーターおよびコネクタは一体化され、
前記コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続され、前記弁体が前記開口部を開放した状態では前記電力出力部から電気的且つ物理的に乖離するように、前記弁体と連動することを特徴とするゲートバルブ装置。
【請求項2】
前記電力出力部は、前記壁に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ装置。
【請求項3】
更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタを収容する筐体を備え、前記電力出力部は、前記筐体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記壁の少なくとも一部を構成する壁構成部分を有し、前記電力出力部は、前記壁構成部分に固定されていることを特徴とする請求項3に記載のゲートバルブ装置。
【請求項5】
更に、前記電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記電力出力部との間に設けられ、前記電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゲートバルブ装置。
【請求項6】
更に、前記弁体、ヒーターおよびコネクタと一体化され、前記ヒーターに電気的に接続されていると共に、前記ヒーターに供給される電力を出力する第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続可能な副コネクタを備え、
前記副コネクタは、前記弁体が前記開口部を閉塞した状態では前記第2の電力出力部から電気的且つ物理的に乖離し、前記弁体が前記開口部を開放した特定の状態では前記第2の電力出力部に対して電気的且つ物理的に接続されるように、前記弁体と連動することを特徴とする請求項1または2に記載のゲートバルブ装置。
【請求項7】
更に、前記第2の電力出力部を備えたことを特徴とする請求項6に記載のゲートバルブ装置。
【請求項8】
更に、前記弁体、ヒーター、コネクタおよび副コネクタを収容する筐体を備え、
前記第2の電力出力部は前記筐体に固定されていることを特徴とする請求項7に記載のゲートバルブ装置。
【請求項9】
更に、前記第2の電力出力部に対して電力を供給するための電源と前記第2の電力出力部との間に設けられ、前記第2の電力出力部に対する電力の供給と遮断とを選択するスイッチを備えたことを特徴とする請求項7または8に記載のゲートバルブ装置。
【請求項10】
前記弁体移動手段は、ベース部材と、前記ベース部材を前記壁の面に平行な方向に移動させる駆動手段と、前記ベース部材と前記弁体とを接続するリンク機構とを有し、前記弁体によって前記開口部を閉塞する際には、前記開口部に対向する位置まで前記弁体を前記壁の面に平行な方向に移動させ、その後、前記弁体を前記開口部に向けて前記壁の面に垂直な方向に移動させ、前記弁体が前記開口部を開放する際には、前記弁体に、前記開口部を閉塞する際とは逆の動作を行わせることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のゲートバルブ装置。
【請求項11】
前記2つの空間の一方は、基板を真空条件下で処理するための真空チャンバーの内部であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のゲートバルブ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−230076(P2010−230076A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77968(P2009−77968)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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