説明

コアヤーン製造方法およびコアヤーン製造装置

【課題】コアヤーン中の芯糸の有無を糸太さ検出装置で検出することが困難であった。
【解決手段】コアヤーン製造方法に、空気式紡績装置4にスライバ10および非ストレッチ性の芯糸11を導入し、該空気式紡績装置4が発生させる旋回気流により、芯糸11の周囲にスライバ10を構成する繊維を巻き付けて鞘繊維を形成することでコアヤーン12を製造する方法であって、コアヤーン12の製造開始に際して、芯糸11を空気式紡績装置4に送り出す芯糸送出工程(ステップ101)と、空気式紡績装置4を通過した芯糸11の有無を検出する芯糸有無検出工程(ステップ102)と、空気式紡績装置4を通過した芯糸11が検出されると、空気式紡績装置4にスライバ10を送り出す繊維束送出工程(ステップ103)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
芯糸の周囲に、紡績装置による紡績により繊維束を巻き付けて、コアヤーンを製造する方法、および、コアヤーン製造装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯糸の周辺に、紡績により繊維束を巻き付けて鞘繊維を形成することで、コアヤーンを製造する装置(コアヤーン製造装置)がある。このコアヤーン製造装置には、鞘繊維となる繊維束を紡績するための装置として、繊維束を延伸するドラフト装置、延伸された繊維束を紡績する紡績装置、が備えられている。また、ドラフト装置を通過している繊維束内に芯糸が導入されるように、芯糸の供給装置が配置されている。そして、紡績装置において、芯糸の挿入された繊維束が、芯糸の周囲に巻き付くように紡績されて、コアヤーンが製造される。
【0003】
特許文献1には、このようなコアヤーン製造装置において、鞘繊維がなく芯糸のみの状態となっているコアヤーン異常糸の検出を行うための技術が開示されている。鞘繊維や芯糸の欠如したコアヤーン異常糸の検出は、糸送り方向で紡績装置の下流側に配置される光学式クリアラー等の糸太さ検出装置により行われている。鞘繊維や芯糸が欠如しているコアヤーン異常糸は、正常なコアヤーンより糸太さが細くなっているため、この糸太さ異常の有無を検出することにより、コアヤーン異常糸の発生の有無を特定するものである。
【0004】
糸継ぎ開始時や満玉交換時など糸切断後に、コアヤーン製造の開始(再開)した際に、芯糸や鞘繊維の供給に失敗したまま、コアヤーン異常糸の生成が継続されてしまう恐れがある。このような不具合を防止するために、コアヤーン製造の開始(再開)に際しては、芯糸や鞘繊維の欠如の有無を確認し、正常なコアヤーンの生成が開始されていない場合は、コアヤーンの製造を中断するようにしている。
【0005】
ここで、コアヤーン製造の再開およびコアヤーン異常糸の検出に係る手順は、次のようなものである。
(1)繊維束の供給が開始されて、ドラフト装置を経由して、紡績装置で繊維束が紡糸される。
(2)繊維束の紡糸後、芯糸供給装置より芯糸の供給が開始され、この芯糸がドラフト装置内の繊維束内へエア噴射により挿入される。
(3)芯糸の挿入された繊維束が紡績装置で紡績されて製造されたコアヤーンについて、紡績装置の下流側に配置されるクリアラーで糸太さ異常の有無を検出する。
(4)芯糸がなかったり鞘繊維がないなど、正常なコアヤーンの糸太さより、検出された糸太さが細くて異常と判断される場合は、コアヤーンの製造を中断する。正常な場合は、コアヤーンの製造を継続する。
【特許文献1】特開平3−167330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、コアヤーン異常糸の製造が継続されてしまうのを防止するため、コアヤーンの製造開始(再開)に際して、製造初期のコアヤーンについて、芯糸の有無の検出が行われている。
ここで、コアヤーンにおける芯糸の有無の検出は、芯糸のある場合の正常な糸太さと、芯糸がない場合の異常な糸太さとを比較して行われる。
ところが、芯糸の厚み(径)に対する鞘繊維の厚みの比が一定以上となると、芯糸の有無をクリアラー(糸太さ検出装置)で検出することが困難となる。例えば、コアヤーンの径の全体を100%として、そのうち芯糸の芯糸の厚み(径)が20%とし、鞘繊維の厚みが80%となる場合、芯糸のある場合のコアヤーンの厚み100%に対して、芯糸のない場合の異常なコアヤーンの厚みは80%となる。このように、芯糸の厚み(径)に対する鞘繊維の厚みの比が大きくなるにつれ、芯糸の有無によるコアヤーンの厚みの変動が小さくなってくる。そうすると、鞘繊維自体の紡績の異常による糸太さの変動なのか、芯糸の欠如による糸太さの変動なのか、区別することも困難になってくる。
また、このような不具合を回避するために、芯糸の厚み(径)に対する鞘繊維の厚みの比を小さくし、細番手紡糸を行うようにして、芯糸の有無によるコアヤーンの厚みの変動を大きくすることが考えられる。この場合は、コアヤーンに占める鞘繊維の絶対量が少ないため、鞘繊維となる繊維束に芯糸をエア噴射を利用して挿入するときに、繊維束を吹き飛ばしてしまう不具合が発生する。そうすると、芯糸供給装置におけるエア圧を調整したり、挿入のタイミングを調整するなどの作業が不可欠で、作業の煩雑化を招いていた。
【0007】
つまり、解決しようとする問題点は、コアヤーン中の芯糸の有無を糸太さ検出装置で検出することが困難であった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
請求項1に記載のコアヤーン製造方法は、
空気式紡績装置に繊維束および芯糸を導入し、該空気式紡績装置が発生させる旋回気流により、前記芯糸の周囲に繊維束を巻き付けて鞘繊維を形成することでコアヤーンを製造する方法であって、
コアヤーンの製造開始に際して、前記芯糸を前記空気式紡績装置に送り出す芯糸送出工程と、
前記空気式紡績装置を通過した前記芯糸の有無を検出する芯糸有無検出工程と、
前記空気式紡績装置を通過した前記芯糸が検出されると、前記空気式紡績装置に繊維束を送り出す繊維束送出工程と、
を備える、ものである。
【0010】
以上構成により、次の作用がある。
芯糸が空気式紡績装置を通過したことが確認された後、繊維束の供給が開始されて、コアヤーンが製造される。
【0011】
請求項2に記載のコアヤーン製造方法は、請求項1において、次の構成としたものである。
前記芯糸有無検出工程において前記芯糸の有無を検出する手段を、前記芯糸の糸送り経路上で前記空気式紡績装置の下流位置に配置される糸有無検出装置とした、ものである。
【0012】
以上構成により、次の作用がある。
糸有無検出装置の検出結果に基づいて、芯糸が空気式紡績装置を通過したか否かが確認される。
【0013】
請求項3に記載のコアヤーン製造装置は、
請求項1または請求項2に記載のコアヤーン製造方法を適用して前記コアヤーンを製造する、ものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本発明においては、
コアヤーンの製造開始に際して、鞘繊維に被覆された状態の芯糸ではなく、鞘繊維に被覆されていない状態の芯糸が、空気式紡績装置を通過したか否かを確認することで、製造されるコアヤーン中の芯糸の有無を判定することができる。このため、コアヤーン中の芯糸の有無の判定を、糸太さの異常検出ではなく、糸の有無検出によって行うことができる。
【0016】
特に、請求項2に記載の発明においては、次の効果もある。
コアヤーン中の芯糸の有無の判定に係る検出手段を、糸太さ検出装置ではなく、糸有無検出装置とできるので、装置構成が簡素化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0018】
図1を用いて、コアヤーン製造装置を説明する。
コアヤーン製造装置には、図1に示す一錘のコアヤーンを製造するコアヤーン製造ユニット1が多数並設されて備えられている。図1の紙面に垂直な方向が、コアヤーン製造ユニット1の並設方向となっている。
【0019】
コアヤーン製造装置には、コアヤーン製造ユニット1の並設方向に沿って延出する機台15およびレール14が備えられている。機台15には、各コアヤーン製造ユニット1が支持される。また、レール14を往復走行可能な糸継ぎ台車9が設けられている。この糸継ぎ台車9は、糸継ぎを要求するコアヤーン製造ユニット1の正面位置まで移動して停止し、当該コアヤーン製造ユニット1に対して糸継ぎ作業を行う。
また、コアヤーン製造装置にはホストコントローラ(制御装置)が備えられている。このホストコントローラが、各コアヤーン製造ユニット1を統括制御すると共に、糸継ぎ台車9の走行および糸継ぎ動作の駆動を制御する。
【0020】
各コアヤーン製造ユニット1には、繊維束(スライバ10)の送り経路に沿って、ドラフト装置3、空気式紡績装置4、糸送り装置5、糸切断装置(カッター6)、糸太さ検出装置(クリアラー7)、巻取り装置8、が備えられている。また、各コアヤーン製造ユニット1には、非ストレッチ性の芯糸11を、ドラフト装置3を通過するスライバ10中へ供給する芯糸供給装置2も、備えられている。
概略的には、芯糸11の挿入されたスライバ10が、空気式紡績装置4が発生させる旋回気流を受けて、芯糸11の周囲に巻き付くことでコアヤーン12が製造される。製造されたコアヤーン12は、巻取り装置8で巻き取られてパッケージ13に形成される。
【0021】
スライバ10は、機台15の背部に設けられたスライバケンス(図示略)より引き出されて、ドラフト装置3へと供給される。このドラフト装置3は4線式の装置であり、スライバ10の送り方向に沿って、四つのトップローラ(バックローラ31、サードローラ32、ミドルローラ33、フロントローラ34)と、各トップローラに対向して配置される四つのバックローラ(符号略)と、を備えている。そして、スライバ10は、ドラフト装置3を通過することで延伸される。
【0022】
芯糸供給装置2は、非ストレッチ性の芯糸11の巻かれたボビン20と、このボビン20から解舒された芯糸11に所定張力を与えるテンサー21と、芯糸11を吸引して送り出すエアサッカー装置22と、エアサッカー装置22からドラフト装置3側(芯糸11の挿入位置)へ芯糸11を案内する導糸菅23および供給ガイド筒24と、導糸菅23内の芯糸11を切断・把持するためのクランプカッター25と、を備えている。
【0023】
ここで、供給ガイド筒24の先端は、ドラフト装置3におけるミドルローラ33とフロントローラ34との間に向けられている。そして、ボビン20から解舒された芯糸11は、エアサッカー装置22の発揮するエア圧を受けて、供給ガイド筒24より吐出され、ミドルローラ33とフロントローラ34との間のスライバ10中へと挿入される。
【0024】
空気式紡績装置4は、スライバ10に圧縮空気の旋回気流を作用させて紡績する装置である。スライバ10中に芯糸11が挿入されている場合、この旋回気流により、芯糸11の周囲にスライバ10を構成する各繊維が巻き付いて、芯糸11の周囲に鞘繊維を構成し、コアヤーン12が生成される。
【0025】
糸送り装置5は、回転駆動されるデリベリローラ5aと、このデリベリローラ5aと接触して従動回転するニップローラ5bと、を備えている。デリベリローラ5aおよびニップローラ5bは、空気式紡績装置4より排出されたコアヤーン12を挟み込んで巻取り装置8側へと搬送する。
【0026】
クリアラー7およびカッター6は、コアヤーン12の送り経路上で、糸送り装置5と巻取り装置8との間に配置されている。クリアラー7により、コアヤーン12の糸太さ異常(糸欠点)が検出されると、カッター6が作動して、コアヤーン12を切断するように構成している。
【0027】
巻取り装置8は、コアヤーン12を巻き取って形成されるパッケージ13のボビンを支持するクレードルアーム81と、回転駆動されるフリクションローラ82と、を備えている。そして、フリクションローラ82をパッケージ13に接触させることで、パッケージ13を従動回転させて、コアヤーン12をパッケージ13に巻き取るようにしている。
【0028】
糸継ぎ台車9は、カッター6での糸切断により空気紡績装置4側とパッケージ13側とに分離された上糸・下糸(共にコアヤーン12)をそれぞれ吸引捕捉するサクションパイプ(供給側糸端捕捉手段)91およびサクションマウス(巻取り側糸端捕捉手段)92と、サクションパイプ91およびサクションマウス92がそれぞれ捕捉した各コアヤーン12を繋ぐための糸継ぎ装置93と、を備えている。
サクションパイプ91およびサクションマウス92には、吸引空気流の発生源と、吸引捕捉したコアヤーン12を導入する管と、この管内のコアヤーン12の有無を検出する糸センサー(糸有無検出装置)91a・92a(91aはサクションパイプ91側、92aはサクションマウス92側)と、が備えられている。なお、これら糸センサー91a・92aは、糸太さではなく糸の有無を検出する手段であるので、クリアラー7に要求されるような検出精度は要求されず、装置構成もクリアラー7に比して単純化されるものである。このような糸センサー91a・92aには、例えば、投受光型の光電センサーが適用される。
また、糸継ぎ装置93は、図示しないクランプ手段、カッター手段、スプライサー(空気流発生手段)等で構成される。
【0029】
図2を用いて、コアヤーン製造装置に適用されるコアヤーン製造方法を説明する。
このコアヤーン製造方法は、特に、糸継ぎ開始時や満玉交換時など、糸切断後におけるコアヤーンの製造開始(再開)に際して、実行される手順である。
このコアヤーン製造方法は、主として、次の三つの工程、芯糸送出工程(ステップ101)、芯糸有無検出工程(ステップ102)、繊維束送出工程(ステップ103)、からなっている。
【0030】
まず、糸切断後におけるコアヤーンの製造開始(再開)に先立って、前記ホストコントローラが、コアヤーンの製造(再開)を開始するコアヤーン紡績ユニット1の正面位置に、糸継ぎ台車9を走行させて停止させる。
【0031】
ステップ101においては、糸切断後におけるコアヤーンの製造開始(再開)に際して、まず、前記ユニットコントローラが、芯糸供給装置2に芯糸11の供給を開始させ、この芯糸11を空気式紡績装置4へと送り出す(芯糸送出工程)。
【0032】
ここで、ドラフト装置3のバックローラ31およびサードローラ32が停止されていることを除いて、ミドルローラ33よりスライバ10の送り経路上に沿って配置される各種ローラ(フロントローラ34、デリベリローラ5a)は、駆動されている。このため、芯糸11は、エアサッカー装置22の吐出圧によって、供給ガイド筒24よりミドルローラ33とフロントローラ34との間に吐出されると、フロントローラ34と接触し、このフロントローラ34の回転により空気式紡績装置4側へと送られる。
加えて、ユニットコントローラは、空気式紡績装置4を作動させて、芯糸11の糸端を捕捉すべく空気吸引を行わせており、フロントローラ34を通過した芯糸11を空気式紡績装置4に導入させる。
【0033】
また、このとき、ホストコントローラにより糸継ぎ台車9に備えるサクションパイプ91を回転駆動させ、サクションパイプ91の先端を、空気式紡績装置4の糸吐出口に接近した位置へと移動させている(図1の二点鎖線の位置にサクションパイプ91が移動)。そして、ホストコントローラは、サクションパイプ91にも空気吸引を行わせて、空気式紡績装置4の糸吐出口より吐出される芯糸11をサクションパイプ91に捕捉させ、このサクションパイプ91内へ芯糸11を導入させる。
【0034】
ステップ102においては、ホストコントローラは、サクションパイプ91内における芯糸11の有無を、糸センサー91aの検出結果に基づいて判定する(芯糸有無検出工程)。
芯糸供給装置2から供給された芯糸11が、空気式紡績装置4を経由してサクションパイプ91に捕捉されていれば、糸センサー91aは芯糸11の存在を検出する。一方、芯糸11が芯糸供給装置2からサクションパイプ91に至るまでの途中で問題があってサクションパイプ91に捕捉されていない場合、糸センサー91aは芯糸11を検出しない。
【0035】
ステップ102において、糸センサー91aにより芯糸11が存在すると判定された場合、スライバ10の供給開始に係るステップ103へ処理が進む。一方、糸センサー91aにより芯糸11が存在しないと判定された場合、コアヤーン製造開始の中断に係るステップ104へ処理が進む。
【0036】
ステップ103においては、ユニットコントローラは、ドラフト装置3のバックローラ31およびサードローラ32を駆動させて、スライバケンスのスライバ10を、ドラフト装置3から空気式紡績装置4へ向けて送り出す(繊維束送出工程)。
【0037】
このとき、スライバ10の送り経路上に沿って配置される各種ローラ(ドラフト装置3のローラやデリベリローラ5a)は駆動されている。このため、スライバ10は、ミドルローラ33とフロントローラ34との間で、先に供給が開始されている芯糸11と合流して、空気式紡績装置4へと送られる。
ユニットコントローラは、空気式紡績装置4の駆動を制御して、空気式紡績装置4内に旋回気流を発生させる。この旋回気流の作用により、芯糸11の周囲にスライバ10を構成する各繊維が巻き付いて、芯糸11の周囲に鞘繊維が形成され、コアヤーン12が生成される。
生成されたコアヤーン12は、サクションパイプ91に吸引捕捉される。ホストコントローラは、サクションパイプ91に、先に芯糸11を吸引捕捉させたときから継続して空気吸引を行わせている。
【0038】
一方、供給側のコアヤーン12(上糸)がサクションパイプ91に吸引捕捉されるのに合わせて、パッケージ13側のコアヤーン12(下糸)が、サクションマウス92により吸引捕捉されている。ここで、ホストコントローラが、サクションマウス92の駆動を制御している。
また、サクションマウス92によるコアヤーン12の捕捉の成否は、糸センサー92aの検出結果に基づいて判定される。
【0039】
ホストコントローラは、サクションパイプ91およびサクションマウス92を回転駆動させて、サクションパイプ91およびサクションマウス92がそれぞれ捕捉した各コアヤーン12を、糸継ぎ装置93へと導入させる。それに伴って、ホストコントローラは、糸継ぎ装置9を駆動して、上糸および下糸(共にコアヤーン12)の糸継ぎを行わせる。
また、このとき、サクションパイプ91が捕捉するコアヤーン12は、糸継ぎ装置93にコアヤーン12を導入させるために回転駆動される際に、デリベリローラ5aおよびニップローラ5b内を通過するように案内されて糸送り装置5に保持されると共に、カッター6およびクリアラー7を通過するように案内される。
【0040】
コアヤーン12について、鞘繊維が適切に芯糸11をカバーしているか否かの判定は、クリアラー7による糸太さ検出に基づいて行われる。ユニットコントローラは、クリアラー7による糸太さの検出結果が、芯糸11の糸太さに基づいて設定される一定基準値以下である場合、スライバ10の供給等に問題があって鞘繊維のカバーリング(コアヤーン12の生成)に失敗していると判定する。
【0041】
以上構成により、芯糸11が空気式紡績装置4を通過したことが確認された後、スライバ10の供給が開始されて、コアヤーン12が製造される。
また、コアヤーン12の製造開始に際して、鞘繊維に被覆された状態の芯糸11ではなく、鞘繊維に被覆されていない状態の芯糸11が、空気式紡績装置4を通過したか否かを確認することで、製造されるコアヤーン12中の芯糸11の有無を判定することができる。このため、コアヤーン12中の芯糸11の有無を判定を、糸太さの異常検出ではなく、糸の有無検出によって行うことができる。つまり、コアヤーン12中の芯糸11の有無に関する判定材料を、クリアラー7のような糸太さ検出装置ではなく、前記糸センサー91a(糸有無検出装置)による検出結果より得ることができる。
【0042】
以上においては、コアヤーン製造装置を構成する各装置が、ホストコントローラおよびユニットコントローラの制御を受けて、全自動で駆動制御される例を説明したが、各装置の駆動が手動で行われる構成であっても良い。
このような場合、前記芯糸有無検出工程(ステップ102)における芯糸の有無判定を糸センサー(糸有無検出装置)による検出結果に基づいて行うことに代えて、サクションパイプ91に芯糸11が吸引されているか否かを作業者の目視により判別させることで、芯糸の有無判定を行わせるようにしても良い。
【0043】
なお、上記コアヤーンの芯糸としては、空気式紡績装置4の通過性からは非ストレッチ(非伸縮)性の糸が好適である。ストレッチ性の芯糸の場合、糸切断などで芯糸の捕捉が外れると、芯糸が収縮して空気式紡績装置4より抜けてしまうことがあり、空気式紡績装置4の通過性が不良である。場合によっては、伸縮性のある弾性糸(ストレッチ性の糸)であっても、伸縮率が小さい糸であれば、その糸を芯糸としたコアヤーンの製造に、本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】コアヤーン製造ユニットを示す側面図。
【図2】コアヤーン製造方法の手順図。
【符号の説明】
【0045】
1 コアヤーン製造ユニット
2 芯糸供給装置
4 空気式紡績装置
10 スライバ(繊維束)
11 芯糸
91a 糸センサー(糸有無検出装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気式紡績装置に繊維束および芯糸を導入し、該空気式紡績装置が発生させる旋回気流により、前記芯糸の周囲に繊維束を巻き付けて鞘繊維を形成することでコアヤーンを製造する方法であって、
コアヤーンの製造開始に際して、前記芯糸を前記空気式紡績装置に送り出す芯糸送出工程と、
前記空気式紡績装置を通過した前記芯糸の有無を検出する芯糸有無検出工程と、
前記空気式紡績装置を通過した前記芯糸が検出されると、前記空気式紡績装置に繊維束を送り出す繊維束送出工程と、
を備える、
ことを特徴とするコアヤーン製造方法。
【請求項2】
前記芯糸有無検出工程において前記芯糸の有無を検出する手段を、前記芯糸の糸送り経路上で前記空気式紡績装置の下流位置に配置される糸有無検出装置とした、
ことを特徴とする請求項1に記載のコアヤーン製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコアヤーン製造方法を適用して前記コアヤーンを製造する、
ことを特徴とするコアヤーン製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−101308(P2008−101308A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286841(P2006−286841)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】