説明

コネクタ

【課題】 小形化でき、操作力が小さいコネクタを提供すること。
【解決手段】 コンタクト11を保持するベース部材21と、前記接続対象物51の挿入を案内するガイド部材31とを有し、前記接続対象物51を前記コンタクト11に接続する際に前記接続対象物51を嵌合方向Iへ押圧することによって接続し、前記接続対象物51を離脱させる際に嵌合している前記接続対象物51を嵌合方向Iへ押圧することにより前記接続対象物51が離脱可能になるイジェクト機構41を有し、前記ベース部材21は前記嵌合方向I及び離脱方向IIにおいて前記ガイド部材31に所定の範囲内で移動可能に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続対象物と電気的に接続し、さらに接続対象物を離脱するイジェクト機構を備えているコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術1としては、インシュレータと、インシュレータに保持されるコンタクトと、カードを離脱するイジェクトレバーと、イジェクトレバーをカードの離脱方向へ常時付勢するバネとを有するプッシュ-プッシュ式カード用コネクタが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
インシュレータは、カードを離脱する一対のフレーム部を有している。フレーム部の一方にイジェクトレバーがスライド可能に装着されている。イジェクトバーは、フレームの一方にスライド可能に装着されるガイド部と、カードの挿入時にその先端に押され、かつカードの離脱時にその先端を押すカード当接部を有する。
【0004】
従来技術2としては、基体と、この基体との間にICカード収容空間を形成するカバーと、基体上を移動し得るイジェクト部材、その中央部に配置され、イジェクト部材の移動を規制するハートカムとカムレバー及びイジェクト部材の両側部に配置される2つのコイルバネを有するイジェクト機構と、ICカードの凹部に係合する係止爪及びイジェクト部材の長孔に係合する突起を含むロック部材及び復帰バネを有するカードロック機構とを備えているカードロック機構付カードコネクタがある(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−267013号公報
【特許文献2】特開2005−108569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2では、カードがスライドする際に、インシュレータと干渉する部分を逃げる必要があるため、小型化ができないという問題がある。
【0007】
また、カードを離脱する際に、コンタクトの接触力による摩擦力が生じるので、バネ荷重が大きくなることから大きな力で操作しなければならないという問題がある。
【0008】
また、カードが嵌合状態にあるとき、カードを離脱させる意思がないにもかかわらず、誤ってカードをプッシュしてしまうと電気的な接続が外れてしまうという問題がある。
【0009】
さらに、カードを離脱する際には、バネの与勢でカードが飛び出すことがある。
【0010】
それ故に、本発明の課題は、小型化できかつ小さな操作力によって接続対象物を離脱することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、接続対象物と接続するコネクタにおいて、前記接続対象物と接続する導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するベース部材と、前記接続対象物の挿入を案内するガイド部材とを有し、前記接続対象物を前記コンタクトに接続する際に前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することによって接続し、前記接続対象物を離脱させる際に嵌合している前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することにより前記接続対象物が離脱可能になるイジェクト機構をさらに有し、前記ベース部材は、前記接続対象物との前記嵌合方向及び前記嵌合方向とは逆向きの離脱方向において前記ガイド部材に所定の範囲内で移動可能に保持されていることを特徴とするコネクタであることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコネクタによれば、接続対象物がスライドする際に、接続対象物とベース部材とが一体に移動するように構成したので小型化することが可能となる。
【0013】
また、接続対象物を離脱する際に接続対象物とベース部材とが一体に移動するため、コンタクトの接触力による摩擦力が生じず、コイルバネの荷重を小さくでき、小さな力で操作できる。
【0014】
また、接続対象物が嵌合状態にあるとき、接続対象物を離脱させる意思がないにもかかわらず、誤って接続対象物をプッシュしてしまっても、電気的な接続が外れないため、接続対象物を再度プッシュすれば使用を継続できる。
【0015】
さらに、接続対象物が離脱位置にあるときには、接続対象物とベース部材の接続は外れていないため、バネの与勢で接続対象物が飛び出してしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のコネクタは、接続対象物と接続するコネクタにおいて、前記接続対象物と接続する導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するベース部材と、前記接続対象物の挿入を案内するガイド部材とを有し、前記接続対象物を前記コンタクトに接続する際に前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することによって接続し、前記接続対象物を離脱させる際に嵌合している前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することにより前記接続対象物が離脱可能になるイジェクト機構をさらに有し、前記ベース部材は、前記接続対象物との前記嵌合方向及び前記嵌合方向とは逆向きの離脱方向において前記ガイド部材に所定の範囲内で移動可能に保持されていることにより実現した。
【実施例1】
【0017】
図1及び図2は、本発明に係るコネクタの実施例1を示している。図1及び図2を参照して、コネクタ1は、接続対象物(図示せず)と接続する導電性の第1コンタクト11と、複数の第1コンタクト11を保持している絶縁性の第1ベース部材21と、接続対象物の挿入を案内するガイド部材31とを有している。
【0018】
なお、以下の説明では、接続対象物をメモリカードとして、単にカードと呼ぶことにする。また、カードがガイド部材31の挿入口から挿入されて第1ベース部材21へ接続される方向を嵌合方向(図1に矢印で示したI方向)と呼び、第1ベース部材21に嵌合しているカードを嵌合方向Iとは逆向きに移動させる方向を離脱方向(図1に矢印で示したII方向)と呼ぶことにする。
【0019】
第1コンタクト11は、カードに設けられているカード側コンタクトに接触する第1接触部13と、コネクタ1を搭載する基板(図示せず)に接続する第2接触部15aとを有している。
【0020】
第1ベース部材21は、第1ベース基部23と、嵌合方向I及び離脱方向IIを直交する第1ベース基部23の両端部に形成されている一対のスライド部25と、第1ベース基部23から離脱方向IIへ延びている嵌合部27とを有している。
【0021】
第1ベース部材21には複数本の第1コンタクト11が嵌合方向Iを直交する第1ベース部材21の長手方向で互いに間隔をもって並列に保持されている。第1ベース部材21の嵌合部27には、第1コンタクト11の第1接触部13が位置している。
【0022】
ガイド部材31は、嵌合方向I及び離脱方向IIに長い四角板形状の主板部33と、嵌合方向I及び離脱方向IIを直交する主板部33の辺のそれぞれから相対向しかつ互いに平行に対向している一対のガイドフレーム部35,36とを有している。
【0023】
第1ベース部材21は、ガイド部材21の嵌合方向Iの奥部で一対のガイドフレーム部35,36部間に位置している。ガイド部材31には、図3にも示すように、主板部33と一対のガイドフレーム部35,36との接続部分にスライド溝37が形成されている。スライド溝37はガイド部材31の嵌合方向Iの奥部にかつ嵌合方向I及び離脱方向IIに長穴形状となっている部分である。スライド溝37には、第1ベース部材27のスライド部25が係合している。
【0024】
したがって、第1ベース部材21のスライド部25は、スライド溝37に係合しているので、嵌合方向I及び離脱方向IIにおいてガイド部材31に所定の範囲内で移動可能に保持されている。
【0025】
さらに、一方のガイドフレーム部35の外側面には、嵌合方向Iの奥部にイジェクト機構41が設けられている。イジェクト機構41は、プッシュ-プッシュ式イジェクト機構として周知なものであり、特開2005−108569号公報、特開2004−119148号公報、特開2002−151205号公報、及び特開2001−267013号公報などに開示されている。
【0026】
ここで、プッシュ-プッシュ式イジェクト機構について、概略構成を説明すると、イジェクト機構41は、一方のガイドフレーム部35にスライド可能に装着されているスライダ43と、一方のガイドフレーム部35の一方に嵌合方向Iの一端部が係止されているコイルバネ44と、一方のガイドフレーム部35に設けられているハートカム45と、ハートカム45内に形成されているハート型のカム溝(図示せず)を移動するカムフォロア(図示せず)とを有する。
【0027】
カードをコンタクト11に接続する際には、カードを嵌合方向Iへ押圧することによって接続し、カードを離脱させる際にはコネクタ1に嵌合しているカードを嵌合方向Iへ押圧することによりカードが離脱可能となる。
【0028】
図4は、コネクタ1をノート型パーソナルコンピュータに搭載した状態を示している。なお、図4では、パーソナルコンピュータの筐体61にコネクタ1を搭載しており、筐体61上の操作キーや操作部を省略している。
【0029】
図5は、図4に示したコネクタ1に挿入されるカード51の位置を示しており、図5(A)はカード51をコネクタ1に嵌合している嵌合位置、図5(B)はカード51をコネクタに押し込むプッシュ位置、図5(C)はカード51がコネクタ1から離脱されている離脱位置を示している。
【0030】
通常、図5(A)に示したようにカード51が嵌合位置にあるとき、カード51の離脱方向IIの端面と筐体61の外形線63は同じ面にされる。また、図5(C)に示したカード51が離脱位置にあるとき、カード51は筐体61の外形線63から外に出るため、カード51を手の指によって摘み外へ引き出すことができる。
【0031】
図6は、図5に示したコネクタ1に挿入されるカード51の位置と第1ベース部材21の位置との関係を示しており、図6(A)はカード51をコネクタ1に挿入する初期状態、図6(B)はプッシュ位置、図6(C)は嵌合位置、図6(D)はプッシュ位置、図6(E)は離脱位置を示している。
【0032】
第1ベース部材21は、図6(B)に示したプッシュ位置か又はそれよりも嵌合方向Iの奥部までスライドできる。また、第1ベース部材21は、図6(E)に示した離脱位置か又はそれよりも離脱方向IIの手前までスライドできる。
【0033】
図6(A)に示すようにカード51をコネクタ1に挿入する初期状態で手の指によってカード51をコネクタ1に挿入し、図6(C)に示した嵌合位置を通過し規定位置まで押す。ここで、カード51を押していた手の指を離すと、コイルバネ44の荷重によりカード51が図6(C)に示した嵌合位置まで戻る。次に、カード51を押し、規定位置までスライドさせる。ここで指を離すとカード51が図6(C)に示した嵌合位置を越えて移動し、図6(E)に示した離脱位置まで移動する。次に、カード51を引き抜く。
【0034】
第1ベース部材21は、図6(B)に示したプッシュ位置から図6(E)に示した離脱位置までの間で電気的な接続が保たれている。通常、カード51が図6(C)に示した嵌合位置にあるとき、カード51の離脱方向IIの端面と図4に示した筐体61の外形線63を合わせるようレイアウトされる。
【0035】
図6(E)に示した離脱位置までカード51が出っ張ると、カード51を手の指によって摘み引っ張り易くなる。また、第1ベース部材21のスライド量は、図6(E)に示した離脱位置までであるが、離脱位置を越えてスライドする場合もある。
【実施例2】
【0036】
図7乃至図9は、本発明に係るコネクタの実施例2を示している。図7乃至図9において、実施例1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0037】
図7乃至図9を参照して、第1ベース部材21は、ガイド部材21の嵌合方向Iの奥部で一対のガイドフレーム部35,36間に位置している。ガイド部材31には、図9にも示すように、主板部33と一対のガイドフレーム部35,36との接続部分にスライド溝37′が形成されている。
【0038】
スライド溝37′は、ガイド部材31の嵌合方向Iの奥部にかつ嵌合方向I及び離脱方向IIに長穴形状となっている部分である。スライド溝37′には、第1ベース部材のスライド部25が係合している。
【0039】
したがって、第1ベース部材21のスライド部25は、スライド溝37′に係合しているので、嵌合方向I及び離脱方向IIにおいてガイド部材31に所定の範囲内で移動可能に保持されている。
【0040】
図10は、図7乃至図9に示したコネクタに挿入されるカード51の位置と第1ベース部材21の位置との関係を示している。図10(A)はカード51がコネクタ1から離脱している離脱位置、図10(B)はプッシュ位置、図10(C)は嵌合位置、図10(D)はプッシュ位置を示している。
【0041】
第1ベース部材21は、図10(B)に示したプッシュ位置か又はそれよりも嵌合方向Iの奥までスライドできる。また、第1ベース部材21は、図10(C)に示した嵌合位置か又はそれよりも離脱方向IIの手前までスライドできる。第1ベース部材21は、図10(A)に示した離脱位置より奥で止まる。
【0042】
図10(A)に示す離脱位置で手の指によってカード51をコネクタ1に挿入し、図10(C)に示した嵌合位置を通過し規定位置まで押す。ここで、カード51を押していた手の指を離すと、コイルバネ44の荷重によりカード51が図10(C)に示した嵌合位置まで戻る。次に、カードを押し、規定位置までスライドさせる。ここで手の指を離すとカード51が図10(C)に示した嵌合位置を越えて移動し、離脱する。
【0043】
第1ベース部材21は、図10(B)に示したプッシュ位置から図10(C)に示した嵌合位置までスライドするため、第1ベース部材21とカード51との接続が外れる。図10(A)に示した離脱位置では、第1コンタクト11の接点は外れており、摩擦なしでカード51を取り出せる。
【0044】
通常、カードが図10(C)に示した嵌合位置にあるとき、カードの離脱方向IIの端面と図6に示した筐体61の外形線63を合わせるようレイアウトされる。
【0045】
図10(A)に示した離脱位置までカード51が出っ張ると、カードを手の指によって摘み引っ張り易くなる。また、第1ベース部材21のスライド量は、図6(C)に示した離脱位置までであるが、嵌合位置を越えて離脱位置を越えない範囲までスライドする場合もある。
【0046】
図11は、実施例1及び実施例2に示したコネクタ1の第1ベース部材21に保持した第1コンタクト11と基板との接続例1を示している。
【0047】
図11を参照して、第1ベース部材21に保持した第1コンタクト11の第2接触部15aは、FPC(フレキシブル プリンティド サーキット)、FFC(フレキシブル フラットケーブル)などの基板71の導電部71aに接続している。即ち、基板71は、第1ベース部材21がカード51との嵌合方向I及び離脱方向IIにおいて第1ベース部材21に所定の範囲内で移動可能に保持されてフレキシブルな基板71が第1ベース部材21と一体に変位する。
【0048】
図12は、実施例1及び2に示したコネクタ1のベース部材に保持した第1コンタクト11と基板73との接続例2を示している。
【0049】
図12を参照して、第1ベース部材21に保持した第1コンタクト11の第2接触部15aは、プリント配線基板のような基板73の導電部73aに接続している。即ち、基板73は、第1ベース部材21がカード51との嵌合方向I及び離脱方向IIにおいて第2ベース部材21に所定の範囲内で移動可能に保持されて第1ベース部材21と一体にスライドする。
【0050】
図13は、実施例1及び2に示したコネクタのベース部材に保持した第1コンタクト11と基板75との接続例3を示している。
【0051】
図13を参照して、第1コンタクト11の第2接触部15bは、機器に固定される基板75に設けられている導電部(導電パッド)75aに接触している。即ち、第2接触部15bは、第1ベース部材21がカード51との嵌合方向I、及び離脱方向IIにおいて第2ベース部材21に所定の範囲内で移動可能に保持されて基板75の導電部75a上をスライドして接触する。
【0052】
図14は、実施例1及び実施例2に示したコネクタの第1ベース部材21に保持した第1コンタクト11と基板76との接続例4を示した斜視図である。
【0053】
図14を参照して、コネクタ1は、第2コンタクト77aを保持しかつ機器の固定される基板76の導電部76aに保持されている第2ベース部材77を有している。第2コンタクト77aは、基板76の導電部76aと接続する第1接続部77aと、第1コンタクト11の第2接触部15bと接続する第2接続部(導電パッド)77bとを有している。
【0054】
第2ベース部材77は、カード51との嵌合方向I及び離脱方向IIにおいて第2ベース部材77に所定の範囲内で移動可能に保持されて第2接続部77bを第2接触部がスライドする。
【0055】
図15は、実施例1及び2に示したコネクタ1の第1ベース部材21に保持した第1コンタクト11と第2ベース部材81に保持した第2コンタクト83を保持した基板85との接続例5を一部断面して示している。図16は、図15に示したコネクタ1と基板85とを示している。
【0056】
図15及び図16を参照して、機器に固定される基板85には、導電部(導電パッド)85aが設けられている。基板85上には、第1ベース部材21と、第1ベース部材21に組み合わされている第2ベース部材81が搭載されている。
【0057】
第1ベース部材21は、カード51と接続する導電性の第1コンタクト11を保持している。第2ベース部材81は、第2コンタクト83を保持している。第1コンタクト11はカード51と接続する第1接触部(図示せず)と、第2コンタクト83と接続する第2接触部15cとを有している。
【0058】
第2コンタクト83は、基板85の導電部85aと接続する第1接続部83aと、第1コンタクト11の第2接触部15cと接続する第2接続部83bとを有している。
【0059】
第2ベース部材81には、長手方向の両端部に第1ベース部材21のスライド部25に係合して第1ベース部材21が嵌合方向I及び離脱方向IIへ移動可能とする一対のガイド枠部81dが形成されている。第1ベース部材21は、カード51との嵌合方向I及び離脱方向IIにおいて第2ベース部81に所定の範囲内で移動可能に保持されており、第2接続部83bが第2接触部15cに接触する。
【0060】
第2接続部83bは、片持ちバネ形状に形成されており、第2接続部83bの先端部分が略U字状に曲げられており、先端部の外側面が接点部83fとなっている。接点部83fは、第1コンタクト11の第2接触部15cに接触している。
【0061】
なお、第2コンタクト83の第2接続部83bはバネ接点となっているが、第1ベース部21の第2接触部15cをバネ接点としてバネ荷重により第2ベース部81内をスライドするようにするようにしてもよい。
【0062】
図17及び図18は、実施例1及び実施例2に示したコネクタ1に接続するカード側コネクタを示している。
【0063】
図17及び図18を参照して、カード側コネクタ91は、複数の相手コンタクト92と、相手コンタクト92を保持している相手ベース部材94とを有している。
【0064】
相手コンタクト92は、第1コンタクト11の第1接触部13に接続させる相手第1接触部92aと、カード51の回路に接続する相手第2接触部92bとを有している。相手ベース部材94には、第1ベース部材21の嵌合部27を受け入れて嵌合する相手嵌合部95が形成されている。相手嵌合部95には相手第1接触部92bが位置している。
【0065】
図19は、実施例1及び2に示したコネクタに採用したプッシュ−プッシュ式イジェクト機構を分解して示している。
【0066】
プッシュ-プッシュ式イジェクト機構41は、一方のガイドフレーム部35にスライド可能に装着されている。イジェクト機構41は、スライダ43と、スライダ43に接続しているコイルバネ44と、ハートカム45と、ハートカム45内のカム溝45aを移動するカムフォロア46とを有している。
【0067】
スライダ43は、ガイドフレーム部35に嵌合方向Iの一端部が係止されているコイルバネ44の他端に接続されている。カムフォロア46は、スライダ43の移動によってハートカム45内のカム溝45aを移動する。また,カムフォロア46には、カム溝45aに沿って移動するガイドピン46aが設けられており、カムフォロア46を所定角度で回動可能に保持する。
【0068】
カード51の一部がコネクタ1内に挿入された初期位置では、カムフォロア46のガイドピン46aは、ハートカム45の出発点に位置する。次に、カード51を嵌合方向Iへプッシュし、カード51の先端がスライダ43のカード当接部分43aに当接することによって、カード51とスライダ43とが一体となって、コネクタ1内へコイルバネ44の圧縮力に抵抗しながらスライドする。ガイドピン46aは、ハートカム45におけるスライダ43のスライド方向に対して傾斜したガイド部分に位置する。
【0069】
続いて、カード51を最大ストロークまで、プッシュした後に、プッシュを中止すると、カード51とスライダ43とは、コイルバネ44の復元力によってわずかに戻されて、ガイドピン46aはハートカム45のカム溝45aに没入して位置する。これでカード51の嵌合状態は完了する。
【0070】
再び、カード51を最大のストロークまでプッシュした後に、プッシュを中止すると、ガイドピン46aは、ハートカム45のカム溝45aから脱出してスライダ43のスライド方向に対して平行なガイド部分を経て終着点、即ち、出発点に至る。カード51とスライダ43とは、コイルバネ44の復元力によって戻りカード51の離脱操作が完了する。
【0071】
図20(A)及び図20(B)は、本発明に係るコネクタ1と、従来のコネクタ1′のとの比較例を示している。図20(A)は実施例1及び実施例2のコネクタ1、図20(B)は従来のコネクタ1′を示している。
【0072】
図20(A)に示したように、第1ベース部材21と図17及び図18に示したカード側コネクタ91とが一緒にスライドするため、図20(B)に示した従来のコネクタ1′のような嵌合方向I及び離脱方向IIにおけるクリアランスCRが不要となる。
【0073】
また、クリアランスCRが不要な分、図17及び図18に示したカード側コネクタ91を小形化することが可能であり、カード51の内部のデッドスペースを少なくすることが可能となる。
【0074】
一方、図20(B)に示した従来のコネクタ1′では、嵌合位置からプッシュ位置までのスライド距離分のクリアランスCRが必要であるから、カード側コネクタ91′が大きくなる。
【実施例3】
【0075】
図21乃至図24は、本発明に係るコネクタの実施例3を示している。図21乃至図24を参照して、コネクタ101は、カード151と接続する導電性の第1コンタクト111と、第1コンタクト111を保持する第1ベース部材121と、カード151の挿入を案内するガイド部材131と、イジェクト機構141と、第1コンタクトに接続するFPC171とを有している。
【0076】
イジェクト機構141は、カード151と接続する際にカード151を嵌合方向Iへ押圧することによって接続し、カード151を離脱させる際に嵌合しているカード151を嵌合方向Iへ押圧することによりカード151が離脱可能になる。
【0077】
第1コンタクト111は、第1接触部113と、FPC171に設けられているFPCコネクタ172に接続している第2接触部151とを有する。
【0078】
第1ベース部材121は、ベース基部123と、嵌合方向I及び離脱方向IIを直交するベース基部123の両端部に形成されているスライド部125,126と、離脱方向IIへ延びている一対の嵌合部127とを有している。
【0079】
第1ベース部材121には、複数本の第1コンタクト111が嵌合方向Iを直交する第1ベース部材121の長手方向で互いに間隔をもって並列に保持されている。さらに、第1ベース部材121の嵌合部113には、第1コンタクト111の第1接触部113が位置している。
【0080】
ガイド部材131は、四角板形状の主板部133と、嵌合方向I及び離脱方向IIを直交する主板部133の一対の辺のそれぞれから相対向しかつ互いに平行な一対のガイドフレーム部135,136とを有している。
【0081】
第1ベース部材121は、ガイド部材131の嵌合方向Iの奥部で一対のガイドフレーム部135、136間に位置している。ガイド部材131には、嵌合方向Iの一対のガイドフレーム部135a、136aにスライド穴135b、136bが形成されている。スライド穴135b、136bはガイド部材131の嵌合方向Iの奥部にかつ嵌合方向I及び離脱方向IIに長穴形状となっている部分である。スライド穴135b、136bには、ベース部材121のスライド部125,126が一対一に係合している。
【0082】
したがって、第1ベース部材121のスライド部125,126は、スライド穴135b、136bに係合しているので、嵌合方向I及び離脱方向IIにおいてガイド部材131に所定の範囲内で移動可能に保持されている。
【0083】
イジェクト機構141は、嵌合方向I及び離脱方向IIを直交する方向に長いカム部材145と、2つのコイルバネ147とを有している。カム部材145には中央にカム突部(ハートカム)146が設けられている。主板部133の嵌合方向I側で嵌合方向I及び離脱方向IIを直交する中央部に主板部133を切り起こして形成されている係止片133aは、図19のカムフォロア46のガイドピン46aに相当するものである。
【0084】
コイルバネ147の一端は、主板部133の離脱方向II側で主板部133を切り起こし形成されている係止片133bに係止されている。コイルバネ147の他端は、カム部材145の長手方向の両端部にそれぞれ係止されている。
【0085】
図25は図21に示したコネクタ101にカード151が嵌合している状態を示している。図26は、コネクタ101からカード151が離脱された状態を示している。図25及び図26によってカード151の離脱量Pを示している。
【0086】
図27は、図21に示したコネクタの動作を示している。図27(A)はカード初期位置、図27(B)はカード151を押し込み時、図27(C)はカード離脱時、図27(D)はカード挿入時を示している。
【0087】
カム部材145は、コネクタ101に水平に移動できる。カム部材145は、コイルバネ147により常に中心に戻ろうとする。コネクタ101は、コイルバネ147により常にカード151の離脱方向IIに力を受けている。カム部材145はコネクタ101の挿入、離脱方向の移動に追従する。カム部材145は図27(C)に示したようにカム突起146によって挿入、離脱方向の位置を規制される。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のコネクタは、PDA(personal digital assistance)、携帯電話機、電話機、携帯型オーディオ、カメラなどの電子機器に取り付けられて、SDメモリカード、マルチメディアカード(MMC)、ICメモリが内蔵されているICメモリカードなどのカードを接続するコネクタとしての用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係るコネクタを示す斜視図である(実施例1)。
【図2】図1に示したコネクタを底面側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示したコネクタのスライド溝の部分を拡大して示した斜視図である。
【図4】図1に示したコネクタをノート型パーソナルコンピュータに搭載した状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示したコネクタに挿入されるカードの位置を示す平面図であり、(A)は嵌合位置、(B)はプッシュ位置、(C)は離脱位置を示している。
【図6】図5に示したコネクタに挿入されるカードの位置とベース部材の位置との関係を示す平面図であり、(A)はカードをコネクタに挿入した状態を示しており、(B)はプッシュ位置、(C)は嵌合位置、(D)はプッシュ位置、(E)は離脱位置を示してる。
【図7】本発明に係るコネクタを示す斜視図である(実施例2)。
【図8】図7に示したコネクタを底面側から見た状態を示す斜視図である。
【図9】図7に示したコネクタのスライド溝の部分を拡大して示した斜視図である。
【図10】図7に示したコネクタに挿入されるカードの位置とベース部材の位置との関係を示す平面図であり、(A)はカードをコネクタに挿入した初期状態を示しており、(B)はプッシュ位置、(C)は嵌合位置、(D)はプッシュ位置を示している。
【図11】実施例1及び2に示したコネクタのベース部材に保持したコンタクトと基板との接続例1を示した斜視図である。
【図12】実施例1及び2に示したコネクタのベース部材に保持したコンタクトと基板との接続例2を示した斜視図である。
【図13】実施例1及び2に示したコネクタのベース部材に保持したコンタクトと基板との接続例3を示した斜視図である。
【図14】実施例1及び2に示したコネクタのベース部材に保持したコンタクトと基板との接続例4を示した斜視図である。
【図15】実施例1及び2に示したコネクタの第1ベース部材に保持した第1コンタクトと第2ベース部材に保持した第2コンタクトを保持した基板との接続例6を、一部断面して示した斜視図である。
【図16】図15に示したコネクタと基板とを示した斜視図である。
【図17】実施例1及び2に示したコネクタに接続するカード側コネクタを示す斜視図である。
【図18】図17に示したコネクタを背面から見た状態の斜視図である。
【図19】実施例1及び2に示したコネクタに採用したプッシュ−プッシュ式イジェクト機構を分解して示した斜視図である。
【図20】本発明に係るコネクタと、従来のコネクタとの比較例を示した側面図であり、(A)は実施例1及び2のコネクタ、(B)は従来技術におけるコネクタを示している。
【図21】本発明に係るコネクタを示す斜視図である(実施例3)。
【図22】図21に示したコネクタの底面側から見た斜視図である。
【図23】図21のコネクタの側面図である。
【図24】図21に示したコネクタを分解して示した斜視図である。
【図25】図21に示したコネクタの平面図である。
【図26】図25に示したコネクタにおけるカードの離脱量を示す平面図である。
【図27】図21に示したコネクタの動作を示す平面図であり、(A)はカード初期位置、(B)はカード押し込み時、(C)はカード離脱時、(D)はカード挿入時を示している。
【符号の説明】
【0090】
1,1′,101 コネクタ
11,111 第1コンタクト
13 第1接触部
15a 第2接触部
21,121 第1ベース部材
23 第1ベース基部
25 スライド部
27 嵌合部
31,131 ガイド部材
35,36、135,136 ガイドフレーム部
37,37′ スライド溝
41,141 イジェクト機構
43 スライダ
44,147 コイルバネ
45 ハートカム
46 カムフォロア
46a ガイドピン
51,151 カード
61 筐体
63 外形線
75,76,85 基板
75a,76a, 85a 導電部
77a,83 第2コンタクト
77 第2ベース部材
77a,83a 第1接続部
77b,83b 第2接続部
81 第2ベース部材
91 カード側コネクタ
171 FPC
I 嵌合方向
II 離脱方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と接続するコネクタにおいて、
前記接続対象物と接続する導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するベース部材と、前記接続対象物の挿入を案内するガイド部材とを有し、
前記接続対象物を前記コンタクトに接続する際に前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することによって接続し、前記接続対象物を離脱させる際に嵌合している前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することにより前記接続対象物が離脱可能になるイジェクト機構をさらに有し、
前記ベース部材は、前記接続対象物との前記嵌合方向及び前記嵌合方向とは逆向きの離脱方向において前記ガイド部材に所定の範囲内で移動可能に保持されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
接続対象物と接続するコネクタにおいて、
前記接続対象物と接続する導電性の第1コンタクトと、該第1コンタクトを保持する第1ベース部材と、第2コンタクトを保持しかつ基板に保持される第2ベース部材と、接続対象物の挿入を案内するガイド部材とを有し、
前記接続対象物と接続する際に前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することによって接続し、前記接続対象物を離脱させる際に嵌合している前記接続対象物を嵌合方向へ押圧することにより前記接続対象物が離脱可能になるイジェクト機構をさらに有し、
前記第1コンタクトは、前記接続対象物と接続する第1接触部と、前記第2コンタクトと接続する第2接触部とを有し、
前記第2コンタクトは、前記基板の導電部と接続する第1接続部と、前記第1コンタクトと接続する第2接続部とを有し、
前記第1ベース部材は、前記接続対象物との前記嵌合方向及び前記嵌合方向とは逆向きの離脱方向において前記第2ベース部材に所定の範囲内で移動可能に保持されていることを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−66838(P2007−66838A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254836(P2005−254836)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】