コンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁
【課題】例えば鉄道用レ−ルの敷設用PC桁または道路若しくは橋梁のPC床版、建築物のスラブとその連結法に好適で、連結するPC桁等の移動と移動スペ−スの確保を要することなく、またPC桁や施工上の誤差を吸収かつ許容して容易かつ合理的に施工でき、工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、確実かつ精密に連結し、しかも軌道の曲線区間や勾配区間の施工にも応じられる、コンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁を提供すること。
【解決手段】接合側端部に連結枠16〜23を突設した一対のコンクリ−ト桁2〜5を対向配置する。
相対する連結枠16〜23の接合側端部を離間して配置する。
相対する連結枠16〜23に接続具50〜63を配置する。
該接続具50〜63を介して前記連結枠16〜23を連結するコンクリ−ト構造物の連結方法であること。
前記接続具50〜63を前記連結枠16〜23に重合配置する。
前記重合部を締結部材64,65を介して連結する。
【解決手段】接合側端部に連結枠16〜23を突設した一対のコンクリ−ト桁2〜5を対向配置する。
相対する連結枠16〜23の接合側端部を離間して配置する。
相対する連結枠16〜23に接続具50〜63を配置する。
該接続具50〜63を介して前記連結枠16〜23を連結するコンクリ−ト構造物の連結方法であること。
前記接続具50〜63を前記連結枠16〜23に重合配置する。
前記重合部を締結部材64,65を介して連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道用レ−ルの敷設用PC桁または道路若しくは橋梁のPC床版、建築物のスラブとその連結法に好適で、連結するPC桁等の移動と移動スペ−スの確保を要することなく、またPC桁や施工上の誤差を吸収かつ許容して容易かつ合理的に施工でき、工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、確実かつ精密に連結し、しかも軌道の曲線区間や勾配区間の施工にも応じられる、コンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば道路用橋梁に使用されるプレキャストコンクリ−ト床板の接続方法として、平面矩形のプレキャストコンクリ−ト床板の両側の短辺に地覆を突設し、長辺側の両側に湾曲径を異にするフック筋を突設し、大きな湾曲径のフック筋の下部を載置部に埋設し、該載置部のフック筋間に凹部を形成し、その接続に際して、プレキャストコンクリ−ト床板の長辺側を突き合わせて並べ、隣接する大小の湾曲径のフック筋によってル−プを形成し、該ル−プの間隙部に主筋を挿入し、当該部にコンクリ−トを打設して、接続したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記プレキャストコンクリ−ト床板は、コンクリ−ト板の両側に湾曲径を異にするフック筋を突設し、このうち大きな湾曲径のフック筋の下部を載置部に埋設し、該載置部に凹凸を形成しているため、構造が複雑で製作に手間が掛かり、またその接続に主筋の挿入やコンクリ−トの打設を要して、作業が煩雑で手間が掛かる問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、プレキャストコンクリ−トブロックのそれぞれにU字形状の鉄筋を埋設し、該鉄筋の湾曲部に係止金具を係合し、これらの係止金具をボルト・ナットで連結して、二つのプレキャストコンクリ−トブロックを接続するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記プレキャストコンクリ−トブロックは、U字形状の鉄筋の埋設や複雑な係止金具の製作を要して高価になり、またその接続時は狭小な鉄筋のスペ−ス内でのボルト・ナットの緊締作業を強いられるため、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
また、プレキャストコンクリ−トブロックの他の接続方法として、プレキャストコンクリ−トブロックの接合端面にT字形状の連結材挿入部を形成し、該連結材挿入部を突き合わせ、これらにI字形断面の連結鋼材を挿入し、その隙間に充填材を充填して固化し、二つのプレキャストコンクリ−トブロックを接続するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、前記プレキャストコンクリ−トブロックは、接合端面に精密な平滑加工を要するとともに、連結鋼材による連結強度に不安があり、経年的にガタツキを生じ易いという問題があった。
【0008】
一方、鉄道用レ−ルの敷設用PC桁の接続方法として、二つのPC桁の接合端面を突き合わせ、これらにPC鋼材を貫通してナット締めして、これらのPC桁を接続するものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
しかし、前記の接続方法は、長尺かつ高価なPC鋼材と、PC鋼材の挿入スペ−スを要するとともに、PC鋼材の緊締によって二つのPC桁を引き寄せるため、PC桁の移動スペ−スを要し、それだけ広い作業スペ−スを要するとともに、PC鋼材を貫通して配置する構造上、軌道の曲線区間や勾配区間の施工には応じられないという問題があった。
【0010】
【特許文献1】特許第3176309号公報
【特許文献2】特開平10−140670号公報
【特許文献3】特開平10−299100号公報
【特許文献4】特開2004−263551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような問題を解決し、例えば鉄道用レ−ルの敷設用PC桁または道路若しくは橋梁のPC床版、建築物のスラブとその連結法に好適で、連結するPC桁等の移動と移動スペ−スの確保を要することなく、またPC桁や施工上の誤差を吸収かつ許容して容易かつ合理的に施工でき、工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、確実かつ精密に連結し、しかも軌道の曲線区間や勾配区間の施工にも応じられる、コンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、接合側端部に連結枠を突設した一対のコンクリ−ト桁を対向配置し、相対する連結枠の接合側端部を離間して配置し、相対する連結枠に接続具を配置し、該接続具を介して前記連結枠を連結するコンクリ−ト構造物の連結方法において、前記接続具を前記連結枠に重合配置し、該重合部を締結部材を介して連結し、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結し得るようにしている。
請求項2の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間に配置し、接続具を確実かつ連結枠に重合配置し得るようにしている。
請求項3の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間の両側面に配置し、前記接続具を介し連結枠を挟持し、接続具によって連結枠を強固に連結し得るようにしている。
【0013】
請求項4の発明は、前記一対のコンクリ−ト桁の接合側端部と連結枠を交差方向に配置し、前記一対の連結枠に接続具を配置し、該接続具の圧接位置を移動または選択可能にし、交差して配置した一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結し得るようにしている。
請求項5の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部にそれぞれ複数の連結枠を突設し、各連結枠を対向配置し、それらに接続具を重合配置するとともに、該重合部を締結部材を介して連結し、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固に連結するようにしている
請求項6の発明は、前記接続具の外側にコンクリ−トを打設し、コンクリ−トの固化によって、コンクリ−ト桁の連結の安定化と強度の向上を図るようにしている。
請求項7の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に、前記コンクリ−ト桁と略同形断面にコンクリ−トを打設し、コンクリ−トの打設部に対し、コンクリ−ト桁と同様の機能を得られるようにしている。
【0014】
請求項8の発明は、対向配置するコンクリ−ト桁の内部に連結枠を埋設し、該連結枠の一端を接合側端部に突設し、前記連結枠に接続具の一端を連結可能に設け、前記接続具の他端を他方の連結枠に連結可能に設けたコンクリ−ト桁において、前記接続具の一端を前記連結枠の一端に重合し、それらの重合部を締結部材を介して連結可能にし、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結し得るようにしている。
請求項9の発明は、前記連結枠に、水平のフランジ部および/または垂直のウェブ部を設け、連結枠の剛性を強化するとともに、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結するようにしている。
【0015】
請求項10の発明は、前記フランジ部および/またはウェブ部の一側または両側に、板状の接続具を連結可能に重合配置し、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結するようにしている。
請求項11の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に複数の連結枠を突設し、これらに板状の接続具を重合配置し、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結するようにしている。
請求項12の発明は、前記複数の連結枠の接合側端部位置を相違させ、その境界部に張出段部を形成し、打設したコンクリ−ト桁の結合力を強化し得るようにしている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、接続具を前記連結枠に重合配置し、該重合部を締結部材を介して連結するから、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に、しかも容易に連結することができる。
請求項2の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間に配置するから、接続具を確実かつ連結枠に重合配置することができる。
請求項3の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間の両側面に配置し、前記接続具を介し連結枠を挟持するから、接続具によって連結枠を強固に連結することができる。
請求項4の発明は、前記一対のコンクリ−ト桁の接合側端部と連結枠を交差方向に配置し、前記一対の連結枠に接続具を配置するから、該接続具の連結位置を移動または選択可能にし、交差して配置した一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結することができる
【0017】
請求項5の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部にそれぞれ複数の連結枠を突設し、各連結枠を対向配置し、それらに接続具を重合配置するとともに、該重合部を締結部材を介して連結するから、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固に連結することができる。
請求項6の発明は、前記接続具の外側にコンクリ−トを打設し、コンクリ−トの固化によって、コンクリ−ト桁の連結の安定化と強度の向上を図ることができる。
請求項7の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に、前記コンクリ−ト桁と略同形断面にコンクリ−トを打設するから、コンクリ−トの打設部にコンクリ−ト桁と同様の機能を得られる効果がある。
【0018】
請求項8の発明は、接続具の一端を前記連結枠の一端に重合し、それらの重合部を締結部材を介して連結可能にしたから、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に、しかも容易に連結することができる。
請求項9の発明は、前記連結枠に、水平のフランジ部および/または垂直のウェブ部を設けたから、連結枠の剛性を強化するとともに、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結することができる。
【0019】
請求項10の発明は、前記フランジ部および/またはウェブ部の一側または両側に、板状の接続具を連結可能に重合配置したから、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結することができる。
請求項11の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に複数の連結枠を突設し、これらに板状の接続具を重合配置したから、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結することができる。
請求項12の発明は、前記複数の連結枠の接合側端部位置を相違させ、その境界部に張出段部を形成したから、打設したコンクリ−ト桁の結合力を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をコンクリ−ト桁として、鉄道高架橋に施工するPC(プレストレスコンクリ−ト)桁に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図13において1は鉄道高架橋上に架設されたプレキャストコンクリ−ト製の床版で、該床版1上に緩衝シ−ト(図示略)を介して、コンクリ−ト桁である左右一対の主桁2,3と4,5とを床版1の長さ方向に敷設して連結している。
前記主桁2,3および4,5は実質的に同一に構成され、その各一対を向き合わせて離間して配置し、また床版1の長さ方向に主桁2,4と3,5の端面を向き合わせて離間して配置している。
【0021】
前記主桁2,3および4,5の断面形状は、図2および図5のように略L字形状に形成され、その内側に幅広な平坦面の段部6〜9が形成され、その外側に凸部10〜13が突設されていて、前記段部6,7および8,9の間に枕木14が掛け渡されている。
前記主桁2と段部6の接合端部、主桁3と段部7の接合端部、前記主桁4と段部8の接合端部、主桁5と段部9の接合端部の各境界部に張出段部6a,7aおよび8a,9aが形成され、後述する打設コンクリ−トの結合力を強化している。図中、15は前記枕木14の両側に敷設されたレ−ルである。
【0022】
前記主桁2,3および4,5の両側の接合端部側に、所定長さの金属製の連結枠16〜23が埋め込まれ、このうち一方の連結枠16,19,20,23は実質的に同一に構成され、これらが凸部6〜9の内部に対向して配置されている。
また、他方の連結枠17,18,21,22は実質的に同一に構成され、これらが段部10,11,12,13の内部の内端部側に互いに対称に配置されている。
【0023】
前記連結枠16〜23は略コ字形若しくはI字形断面に形成され、これらは三枚の鋼板を溶接して前記形状に構成され、その上下フランジ部を平行に配置し、該フランジ部の端部側の間にウェブ部を垂直に配置して連結している。
このうち、凸部10〜13側に配置する連結枠16,19,20,23の上下フランジ部は、段部6〜9側に配置する連結枠17,18,21,22の上下フランジ部の板厚よりも薄厚に形成して、その強度を増強し、それ以外は同形同大に形成している。
【0024】
この場合、連結枠16〜23を周辺部材との干渉を回避して配置設計し、市販のH型鋼またはI型鋼を利用可能にすれば、その分安価かつ容易に製作できる。
【0025】
前記連結枠16,19,20,23の上下フランジ部上に、通孔を形成した複数のアンカ−板24,25が溶接して上向きに突設され、また前記連結枠17,18,21,22の上下フランジ部の内側面に、通孔を形成した複数の支持板26,27が溶接して突設されている。
【0026】
前記連結枠16,19,20,23のウェブ部の上下位置に透孔が形成され、該透孔と支持板26の通孔との間に連結ロッド28が挿入され、その両側の螺軸端部にナット29がねじ込まれている。
また、また前記アンカ−板25と、支持板27の各通孔との間に連結ロッド30が挿入され、その両側の螺軸端部にナット31がねじ込まれている。
【0027】
図中、32,33は前記主桁2〜5の接合端部側内部に配置した定着板、34,35は前記主桁2〜5の内部に複数配置したフ−プ筋、36〜38は前記主桁2〜5の内部に長さ方向に配筋した主筋である。
【0028】
前記主桁2,3および4,5の接合端部の間にスペ−ス枠39,40が介挿され、該枠39,40の両側版に前記連結ロッド28,30の螺軸端部が突出し、該螺軸端部に前記ナット29,31がねじ込まれている。
前記連結ロッド28,30の外端部に防水キャップ41が被着され、その内部にモルタル等の充填材42を充填して防錆処理している。
【0029】
前記連結枠16〜23の接合端部は、前記主桁2,3および4,5の接合端面から突出し、前記主桁2〜5の施工時には対応する主桁2,4および2,5の間に微小な間隔43〜46、実施形態では10〜40mmを設けて施工され、該間隔43〜46を介して主桁2〜5の形状寸法および施工誤差を吸収かつ許容可能にしている。
【0030】
前記連結枠16〜23の接合端部の各上下フランジ部とウェブ部に、複数のボルト挿通孔47〜49が形成され、その両側面に所定厚の鋼板製の接続具ないし接続板である、添接板50〜63が締結部材である、ボルト64およびナット65を介して連結されている
この場合、前記ボルト挿通孔47〜49を連結枠16〜23の長さ方向に沿う長孔に形成することも可能である。
【0031】
前記添接板50〜63にボルト挿通孔(図示略)が形成され、その形状は各上下フランジ部およびウェブ部と同形に形成され、上下フランジ部の内側に取り付ける添接板を、ウェブ部の両側に分かれて大小に形成している。この場合、前記ボルト挿通孔を連結枠16〜23の長さ方向に長めの長孔に形成し、前記間隙43〜46の変化に対応させることが望ましい。
【0032】
前記添接板50〜63の板厚は、凸部2〜5側に配置する連結枠16,20、19,23の上下フランジ部に用いるものを、段部6〜9側に配置する連結枠17,21、18,22の上下フランジ部に用いるものよりも若干厚肉に形成し、連結強度を増強している。
また、前記ナット65はボルト64よりも高さ寸法が大きいため、寸法の確保が厳しい内側の連結枠21,22の上フランジ部に対しては、下方からナット締めしている。
【0033】
前記主桁2〜5の接合端部間に保護コンクリ−ト66,67が打設され、これらは主桁2〜5の断面形状と同形に成形されていて、該保護コンクリ−ト66,67内に前記連結枠16〜23の接合端部と添接板50〜63とが埋設され、それらの防錆と剛性の向上を図っている。
【0034】
図中、68,69は前記凸部10〜13内の上下位置と、段部6〜9内の中央位置に、それぞれ長さ方向に沿って埋設されたPC鋼線、70は前記段部6〜9上に取り付けたレ−ル固定板で、一対のボルト埋込栓71が取り付けられている。
72は主桁2〜5の施工位置直下に立設した支持脚で、その上部に載架枠73を掛け渡し、該載架枠73に主桁2〜5を直交方向に載置可能にしている。
【0035】
このように構成した本発明のコンクリ−ト構造物は、概ね主桁2〜5と、該主桁2〜5の両側端部に大半部を埋設する連結枠16〜23と、連結枠16〜23の接合側端部を連結する添接板50〜63と、左右一対の主桁2〜5の間に配置して連結するスペ−ス枠39,40とで構成される。
【0036】
これらを製作する場合は、先ず主桁2〜5を略L字断面形状に成形し、その内部にフ−プ筋34,35と主筋36〜38を配筋して、鉄筋コンクリ−ト構造物を成形するとともに、主桁2〜5の接合側端部の凸部2〜5側と段部6〜9側の内部に連結枠16〜23を埋め込み、その一端部を主桁2〜5の接合側端部から突出する。
また、各主桁2〜5の内部の長さ方向にPC鋼棒68,69を挿入し、かつその軸端部のナットを緊締して緊張しプレストレスを付与する。
【0037】
前記連結枠16〜23は、三枚の肉厚の鋼板を溶接して不規則なI字またはエ字形断面に形成し、その上下フランジ部とウェブ部の接合側端部に複数のボルト挿通孔47〜49を形成する。この場合、前記ボルト挿通孔47〜49を連結枠16〜23の長さ方向に沿う長孔に形成することも可能である。
また、前記凸部2〜5の内部に埋め込む連結枠16,19,20,23の上下フランジ部を、段部6〜9の内部に埋め込む連結枠17,18,21,22の上下フランジ部に比べて肉厚に形成し、強度を増強する。
【0038】
前記主桁2〜5内部の連結枠16,19,20,23の上下フランジ部に、通孔を形成した複数のアンカ−板24,25を溶接して上向きに突設し、また前記主桁2〜5内部の前記連結枠17,18,21,22の上下フランジ部の内側面に、通孔を形成した複数の支持板26,27を溶接して突設する。
【0039】
そして、前記主桁2〜5内部の支持板26の通孔と同軸上に、ロッド貫通孔を形成し、また連結枠16,19,20,23のウェブ部の上部に同径の貫通孔を形成し、これらに外部から連結ロッド28を挿入可能にする。
また、前記アンカ−板25と支持板27の各通孔と同軸上に、ロッド貫通孔を形成し、これらに外部から連結ロッド30を挿入可能にする。
【0040】
前記添接板50〜63を所定厚の鋼板で矩形に形成し、その形状を前記連結枠16〜23の各上下フランジ部およびウェブ部と同形に形成し、上下フランジ部の内側に取り付ける添接板51〜54、58〜61を、ウェブ部の両側に分けて大小に形成し、それらに複数のボルト挿通孔(図示略)を形成する。この場合、前記ボルト挿通孔を連結枠16〜23の長さ方向に沿う長孔に形成することも可能である。
【0041】
また、前記添接板50〜63の板厚は、凸部2〜5側に配置する連結枠16,20、19,23の上下フランジ部に用いるものを、段部6〜9側に配置する連結枠17,21、18,22の上下フランジ部に用いるものよりも若干厚肉に形成して、連結強度を増強する。
前記スペ−ス枠39,40は、肉厚の鋼板を溶接して平面略H字形状に組み立て、その両側板に連結ロッド28,30を挿入可能な通孔(図示略)を形成する。
【0042】
次に前記製作したコンクリ−ト構造物の構成部材を用いて、主要なコンクリ−ト構造物である主桁2〜5を連結する場合は、図7乃至図13の手順で施工する。
先ず、主桁2〜5を載架する床版1の施工位置直下に、複数の支持脚72を所定間隔で立設し、該支持脚72,72間に載架枠73を主桁2〜5の施工方向と直交方向に架設する。
【0043】
そして、前記載架枠7の所定位置に左右一対の主桁2,3を順次掛け渡し、それらを離間して向き合わせ、それらの接合側端部の間にスペ−ス枠39を配置する。
この後、前記連結ロッド28,30を主桁2の外側から前記ロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠39の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
同様に、連結ロッド28,30を主桁3の外側からロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠39の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
このようにして、左右一対の主桁2,3を連結する。
【0044】
次に、前記主桁2,3に近接する載架枠7の所定位置に左右一対の主桁4,5を順次掛け渡し、それらを離間して向き合わせ、それらの接合側端部の間にスペ−ス枠40を配置する。
そして、前記連結ロッド28,30を主桁4の外側から前記ロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠40の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
同様に、連結ロッド28,30を主桁5の外側からロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠40の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
このようにして、左右一対の主桁4,5を連結する。
【0045】
こうして、左右一対の主桁2,3と主桁4,5が長さ方向に配置され、それらの接合側端部が近接して配置される。この状況は図7および図8のようである。ただし、これらの図では片側の主桁2,4の施工状態を示している。
前記施工状態では主桁2〜5の接合側端部から、連結枠16〜23の接合側端部が表出し、それらの上下部フランジ部とウェブ部にボルト挿通孔47〜49が表出している。
また、前記主桁2〜5のうち、施工方向に配置した各一組の連結枠16,20、17、18,22、19,23の端部が近接して配置され、それらの間に微小な間隙43〜46が形成されている。
【0046】
このような状況の下で、前記各連結枠16〜23の接合側端部のウェブ部の両側に添接板56および63を位置付け、それらのボルト挿通孔を前記ボルト挿通孔49に位置合わせし、その一方、実施形態では外側から内側方向へボルト64を挿入し、ウェブ部の他側に突出した螺軸端部にナット65をねじ込み、これを緊締してウェブ部の両側に添接板56および63を固定する。この状況は図9のようである。
【0047】
次に、前記各連結枠16〜23の接合側端部の上側フランジ部の上下両面に、添接板50と大小の添接板51,52、および添接板57と大小の添接板58,59とを位置付け、また下側フランジ部の上下両面に、添接板55と大小の添接板53,54、および添接板62と大小の添接板60,61とを位置付ける。
【0048】
そして、前記添接板51〜61のボルト挿通孔を前記ボルト挿通孔47,48に位置合わせし、その一方、実施形態では下方からボルト64を挿入し、また連結枠17,21、18,22の上側フランジ部では上方からボルト64を挿入し、上下フランジ部の他側に突出した螺軸端部にナット65をねじ込み、これを緊締して上下フランジ部の両側に添接板51〜61を固定する。この状況は図10および図11のようである。
【0049】
このように本発明は主桁2〜5の連結に際して、主桁2〜5から連結枠16〜23を突出し、該連結枠16〜23の接合側端部に添接板50〜63を掛け渡し、これらをボルト64およびナット65を介して連結するから、主桁2〜5を当初の静止位置で精密かつ合理的に連結し得る。
【0050】
したがって、従来のように複数の主桁に長尺のPC鋼棒を貫通して連結する手法のような桁移動や、その大掛かりな移動作業が不要になり、その分工期を短縮し工費を低減できるとともに、主桁の移動スペ−スやPC鋼棒挿入用の作業スペ−スの確保が不要になり、またPC鋼棒を挿入する際の主桁周辺の煩雑なバラストの撤去作業を要しない。
【0051】
しかも、前記主桁2〜5の連結は、載架枠73の所定位置に主桁2〜5を載置した際に形成される間隙43〜46を介在して行われ、前記間隙43〜46によって、主桁2〜5や連結枠18〜23の成形および組み付け上の誤差と、それらの施工上の誤差を吸収し許容するから、各部の成形および組み付け並びに施工の精密性を要することなく、前記連結作業を合理的に行なえる。
【0052】
こうして、各連結枠16〜23の接合側端部の上下フランジ部およびウェブ部の添接板50〜63を取り付け、前記接合側端部を連結したところで、前記主桁2〜5の接合端部の周囲にコンクリ−ト打設用の型枠(図示略)を取り付け、該型枠内に保護コンクリ−ト66,67を打設する。
この状況は図12および図13のようで、各連結枠16〜23の接合側端部と、その周面に取り付けた添接板50〜63とが保護コンクリ−ト66,67に埋設され、隠蔽されて防錆処理される。
【0053】
また、これと前後して主桁2〜5の外側に突出した連結ロッド28,30の端部に防水キャップ41を被着し、該キャップ41の内部にモルタル等の充填材42を充填し、当該部を防錆処理する。
一方、前記各連結枠16〜23の連結施工の間に、主桁2〜5の直下に床版1を配置し、または築造し、該床版1に主桁2〜5を受け替えれば、一連の連結作業が終了する。
【0054】
前記施工後のコンクリ−ト構造物は図1乃至図6のようで、前記連結枠18〜23の各接続側端部の間隙43〜46は添接板51〜61に連結され、その周囲を保護コンクリ−ト66,67に埋設して補強され、かつ防錆されている。
また、凸部10〜13側に埋設した連結枠16,19,20,23と、その上下フランジ部に取り付けた添接板50〜55を肉厚に形成し、前記連結枠16,19,20,23の連結部の強度を増強している。
したがって、曲線区間を走行する鉄道車両に作用する遠心力に対し、外側に配置した連結枠16,19,20,23がその荷重負担に堪えられる。
【0055】
図14乃至図16は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、図14および図15は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は連結枠18〜23を主桁2〜5に埋設することなく、凸部10〜13側の外側周面に表出させて配置し、埋設成形の煩雑な作業を要せず容易に成形するとともに、連結枠18〜23を大形化して、コンクリ−ト構造物の強度を強化している。
【0056】
そして、この実施形態のコンクリ−ト構造物と、前述の実施形態のコンクリ−ト構造物を混合して使用し、例えば曲線区間等の荷重負担の大きな部分に、この実施形態のコンクリ−ト構造物を使用し、比較的荷重負担の小さな部分に前述の実施形態のコンクリ−ト構造物を使用すれば、その合理的な使用を図れる。
【0057】
図16は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は鉄道車両の曲線走行区間に施工した、保護コンクリ−ト66の打設前の状況を示している。
すなわち、施工方向に配置した一対の主桁2,4および主桁3,5を、その接合中心部でθ角度交差して配置し、その際、添接板50〜63のボルト挿通孔の位置を、連結枠16,17,20,21のボルト挿通孔47〜49の位置変化に応じて形成して対応する。
【0058】
この場合、前記位置変化に応じた長孔を予め形成した添接板50〜63を使用し、または予めボルト挿通孔を形成しない添接板50〜63を使用し、その連結時にボルト挿通孔47〜49の位置変化に応じて孔明加工することで、対応することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のコンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁は、連結するPC桁の等の移動と移動スペ−スの確保を要することなく、またPC桁や施工上の誤差を吸収かつ許容して容易かつ合理的に施工でき、工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、確実かつ精密に連結し、しかも軌道の曲線区間や勾配区間の施工にも応じられるから、例えば鉄道用レ−ルの敷設用PC桁または道路若しくは橋梁のPC床版、建築物のスラブとその連結法に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を鉄道高架橋のPC桁の施工に適用した平面図で、左右一対の主桁を施工方向に離間して配置し、その連結枠の接合側端部を添接板で連結し、その周辺に保護コンクリ−トを打設して埋設した状況を示している。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【0061】
【図4】図1のC−C線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図5】図1のD−D線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図6】図1のE−E線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図7】本発明の連結方法による施工状態を示す平面図で、片側の一対の主桁の接合端部を対向配置し、その連結枠の接合側端部を近接して配置している状況を示している。
【0062】
【図8】図7のF−F線に沿う断面図である。
【図9】図8において近接配置した連結枠のウェブ部の両側面に、添接板を取り付けた状況を示す断面図である。
【図10】図9において近接配置した連結枠のウェブ部と上下フランジ部の両側面および上下両面に、添接板を取り付けた状況を示す断面図である。
【図11】図10の平面図である。
【0063】
【図12】図10において連結枠のウェブ部と上下フランジ部の両側面および上下両面に、添接板を取り付けた後、接合部周辺に保護コンクリ−トを打設した状況を示す断面図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態を示す平面図で、連結枠を主桁の接合側端部の外側面に取り付け、その間に保護コンクリ−トを打設した状況を示している。
【0064】
【図15】図14のG−G線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図16】本発明の第3の実施形態を示す平面図で、保護コンクリ−トの打設前に、片側の一対の主桁を接合中心部で交差して配置した状況を示している。
【符号の説明】
【0065】
2〜5 コクリ−ト桁(主桁)
16〜23 連結枠
50〜63 接続具(添接板、接続板)
64 締結部材(ボルト)
65 締結部材(ナット)
6a,7a,8a,9a 張出段部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道用レ−ルの敷設用PC桁または道路若しくは橋梁のPC床版、建築物のスラブとその連結法に好適で、連結するPC桁等の移動と移動スペ−スの確保を要することなく、またPC桁や施工上の誤差を吸収かつ許容して容易かつ合理的に施工でき、工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、確実かつ精密に連結し、しかも軌道の曲線区間や勾配区間の施工にも応じられる、コンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば道路用橋梁に使用されるプレキャストコンクリ−ト床板の接続方法として、平面矩形のプレキャストコンクリ−ト床板の両側の短辺に地覆を突設し、長辺側の両側に湾曲径を異にするフック筋を突設し、大きな湾曲径のフック筋の下部を載置部に埋設し、該載置部のフック筋間に凹部を形成し、その接続に際して、プレキャストコンクリ−ト床板の長辺側を突き合わせて並べ、隣接する大小の湾曲径のフック筋によってル−プを形成し、該ル−プの間隙部に主筋を挿入し、当該部にコンクリ−トを打設して、接続したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記プレキャストコンクリ−ト床板は、コンクリ−ト板の両側に湾曲径を異にするフック筋を突設し、このうち大きな湾曲径のフック筋の下部を載置部に埋設し、該載置部に凹凸を形成しているため、構造が複雑で製作に手間が掛かり、またその接続に主筋の挿入やコンクリ−トの打設を要して、作業が煩雑で手間が掛かる問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、プレキャストコンクリ−トブロックのそれぞれにU字形状の鉄筋を埋設し、該鉄筋の湾曲部に係止金具を係合し、これらの係止金具をボルト・ナットで連結して、二つのプレキャストコンクリ−トブロックを接続するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記プレキャストコンクリ−トブロックは、U字形状の鉄筋の埋設や複雑な係止金具の製作を要して高価になり、またその接続時は狭小な鉄筋のスペ−ス内でのボルト・ナットの緊締作業を強いられるため、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
また、プレキャストコンクリ−トブロックの他の接続方法として、プレキャストコンクリ−トブロックの接合端面にT字形状の連結材挿入部を形成し、該連結材挿入部を突き合わせ、これらにI字形断面の連結鋼材を挿入し、その隙間に充填材を充填して固化し、二つのプレキャストコンクリ−トブロックを接続するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、前記プレキャストコンクリ−トブロックは、接合端面に精密な平滑加工を要するとともに、連結鋼材による連結強度に不安があり、経年的にガタツキを生じ易いという問題があった。
【0008】
一方、鉄道用レ−ルの敷設用PC桁の接続方法として、二つのPC桁の接合端面を突き合わせ、これらにPC鋼材を貫通してナット締めして、これらのPC桁を接続するものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
しかし、前記の接続方法は、長尺かつ高価なPC鋼材と、PC鋼材の挿入スペ−スを要するとともに、PC鋼材の緊締によって二つのPC桁を引き寄せるため、PC桁の移動スペ−スを要し、それだけ広い作業スペ−スを要するとともに、PC鋼材を貫通して配置する構造上、軌道の曲線区間や勾配区間の施工には応じられないという問題があった。
【0010】
【特許文献1】特許第3176309号公報
【特許文献2】特開平10−140670号公報
【特許文献3】特開平10−299100号公報
【特許文献4】特開2004−263551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような問題を解決し、例えば鉄道用レ−ルの敷設用PC桁または道路若しくは橋梁のPC床版、建築物のスラブとその連結法に好適で、連結するPC桁等の移動と移動スペ−スの確保を要することなく、またPC桁や施工上の誤差を吸収かつ許容して容易かつ合理的に施工でき、工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、確実かつ精密に連結し、しかも軌道の曲線区間や勾配区間の施工にも応じられる、コンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、接合側端部に連結枠を突設した一対のコンクリ−ト桁を対向配置し、相対する連結枠の接合側端部を離間して配置し、相対する連結枠に接続具を配置し、該接続具を介して前記連結枠を連結するコンクリ−ト構造物の連結方法において、前記接続具を前記連結枠に重合配置し、該重合部を締結部材を介して連結し、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結し得るようにしている。
請求項2の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間に配置し、接続具を確実かつ連結枠に重合配置し得るようにしている。
請求項3の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間の両側面に配置し、前記接続具を介し連結枠を挟持し、接続具によって連結枠を強固に連結し得るようにしている。
【0013】
請求項4の発明は、前記一対のコンクリ−ト桁の接合側端部と連結枠を交差方向に配置し、前記一対の連結枠に接続具を配置し、該接続具の圧接位置を移動または選択可能にし、交差して配置した一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結し得るようにしている。
請求項5の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部にそれぞれ複数の連結枠を突設し、各連結枠を対向配置し、それらに接続具を重合配置するとともに、該重合部を締結部材を介して連結し、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固に連結するようにしている
請求項6の発明は、前記接続具の外側にコンクリ−トを打設し、コンクリ−トの固化によって、コンクリ−ト桁の連結の安定化と強度の向上を図るようにしている。
請求項7の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に、前記コンクリ−ト桁と略同形断面にコンクリ−トを打設し、コンクリ−トの打設部に対し、コンクリ−ト桁と同様の機能を得られるようにしている。
【0014】
請求項8の発明は、対向配置するコンクリ−ト桁の内部に連結枠を埋設し、該連結枠の一端を接合側端部に突設し、前記連結枠に接続具の一端を連結可能に設け、前記接続具の他端を他方の連結枠に連結可能に設けたコンクリ−ト桁において、前記接続具の一端を前記連結枠の一端に重合し、それらの重合部を締結部材を介して連結可能にし、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結し得るようにしている。
請求項9の発明は、前記連結枠に、水平のフランジ部および/または垂直のウェブ部を設け、連結枠の剛性を強化するとともに、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結するようにしている。
【0015】
請求項10の発明は、前記フランジ部および/またはウェブ部の一側または両側に、板状の接続具を連結可能に重合配置し、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結するようにしている。
請求項11の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に複数の連結枠を突設し、これらに板状の接続具を重合配置し、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結するようにしている。
請求項12の発明は、前記複数の連結枠の接合側端部位置を相違させ、その境界部に張出段部を形成し、打設したコンクリ−ト桁の結合力を強化し得るようにしている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、接続具を前記連結枠に重合配置し、該重合部を締結部材を介して連結するから、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に、しかも容易に連結することができる。
請求項2の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間に配置するから、接続具を確実かつ連結枠に重合配置することができる。
請求項3の発明は、板状の接続具を相対する連結枠間の両側面に配置し、前記接続具を介し連結枠を挟持するから、接続具によって連結枠を強固に連結することができる。
請求項4の発明は、前記一対のコンクリ−ト桁の接合側端部と連結枠を交差方向に配置し、前記一対の連結枠に接続具を配置するから、該接続具の連結位置を移動または選択可能にし、交差して配置した一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に連結することができる
【0017】
請求項5の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部にそれぞれ複数の連結枠を突設し、各連結枠を対向配置し、それらに接続具を重合配置するとともに、該重合部を締結部材を介して連結するから、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固に連結することができる。
請求項6の発明は、前記接続具の外側にコンクリ−トを打設し、コンクリ−トの固化によって、コンクリ−ト桁の連結の安定化と強度の向上を図ることができる。
請求項7の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に、前記コンクリ−ト桁と略同形断面にコンクリ−トを打設するから、コンクリ−トの打設部にコンクリ−ト桁と同様の機能を得られる効果がある。
【0018】
請求項8の発明は、接続具の一端を前記連結枠の一端に重合し、それらの重合部を締結部材を介して連結可能にしたから、一対の連結枠を移動することなく定位置で連結し、一対のコンクリ−ト桁を正確かつ精密に、しかも容易に連結することができる。
請求項9の発明は、前記連結枠に、水平のフランジ部および/または垂直のウェブ部を設けたから、連結枠の剛性を強化するとともに、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結することができる。
【0019】
請求項10の発明は、前記フランジ部および/またはウェブ部の一側または両側に、板状の接続具を連結可能に重合配置したから、連結枠の連結強度を強化し、コンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結することができる。
請求項11の発明は、前記コンクリ−ト桁の接合側端部に複数の連結枠を突設し、これらに板状の接続具を重合配置したから、複数の連結枠によってコンクリ−ト桁を強固かつ安定して連結することができる。
請求項12の発明は、前記複数の連結枠の接合側端部位置を相違させ、その境界部に張出段部を形成したから、打設したコンクリ−ト桁の結合力を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をコンクリ−ト桁として、鉄道高架橋に施工するPC(プレストレスコンクリ−ト)桁に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図13において1は鉄道高架橋上に架設されたプレキャストコンクリ−ト製の床版で、該床版1上に緩衝シ−ト(図示略)を介して、コンクリ−ト桁である左右一対の主桁2,3と4,5とを床版1の長さ方向に敷設して連結している。
前記主桁2,3および4,5は実質的に同一に構成され、その各一対を向き合わせて離間して配置し、また床版1の長さ方向に主桁2,4と3,5の端面を向き合わせて離間して配置している。
【0021】
前記主桁2,3および4,5の断面形状は、図2および図5のように略L字形状に形成され、その内側に幅広な平坦面の段部6〜9が形成され、その外側に凸部10〜13が突設されていて、前記段部6,7および8,9の間に枕木14が掛け渡されている。
前記主桁2と段部6の接合端部、主桁3と段部7の接合端部、前記主桁4と段部8の接合端部、主桁5と段部9の接合端部の各境界部に張出段部6a,7aおよび8a,9aが形成され、後述する打設コンクリ−トの結合力を強化している。図中、15は前記枕木14の両側に敷設されたレ−ルである。
【0022】
前記主桁2,3および4,5の両側の接合端部側に、所定長さの金属製の連結枠16〜23が埋め込まれ、このうち一方の連結枠16,19,20,23は実質的に同一に構成され、これらが凸部6〜9の内部に対向して配置されている。
また、他方の連結枠17,18,21,22は実質的に同一に構成され、これらが段部10,11,12,13の内部の内端部側に互いに対称に配置されている。
【0023】
前記連結枠16〜23は略コ字形若しくはI字形断面に形成され、これらは三枚の鋼板を溶接して前記形状に構成され、その上下フランジ部を平行に配置し、該フランジ部の端部側の間にウェブ部を垂直に配置して連結している。
このうち、凸部10〜13側に配置する連結枠16,19,20,23の上下フランジ部は、段部6〜9側に配置する連結枠17,18,21,22の上下フランジ部の板厚よりも薄厚に形成して、その強度を増強し、それ以外は同形同大に形成している。
【0024】
この場合、連結枠16〜23を周辺部材との干渉を回避して配置設計し、市販のH型鋼またはI型鋼を利用可能にすれば、その分安価かつ容易に製作できる。
【0025】
前記連結枠16,19,20,23の上下フランジ部上に、通孔を形成した複数のアンカ−板24,25が溶接して上向きに突設され、また前記連結枠17,18,21,22の上下フランジ部の内側面に、通孔を形成した複数の支持板26,27が溶接して突設されている。
【0026】
前記連結枠16,19,20,23のウェブ部の上下位置に透孔が形成され、該透孔と支持板26の通孔との間に連結ロッド28が挿入され、その両側の螺軸端部にナット29がねじ込まれている。
また、また前記アンカ−板25と、支持板27の各通孔との間に連結ロッド30が挿入され、その両側の螺軸端部にナット31がねじ込まれている。
【0027】
図中、32,33は前記主桁2〜5の接合端部側内部に配置した定着板、34,35は前記主桁2〜5の内部に複数配置したフ−プ筋、36〜38は前記主桁2〜5の内部に長さ方向に配筋した主筋である。
【0028】
前記主桁2,3および4,5の接合端部の間にスペ−ス枠39,40が介挿され、該枠39,40の両側版に前記連結ロッド28,30の螺軸端部が突出し、該螺軸端部に前記ナット29,31がねじ込まれている。
前記連結ロッド28,30の外端部に防水キャップ41が被着され、その内部にモルタル等の充填材42を充填して防錆処理している。
【0029】
前記連結枠16〜23の接合端部は、前記主桁2,3および4,5の接合端面から突出し、前記主桁2〜5の施工時には対応する主桁2,4および2,5の間に微小な間隔43〜46、実施形態では10〜40mmを設けて施工され、該間隔43〜46を介して主桁2〜5の形状寸法および施工誤差を吸収かつ許容可能にしている。
【0030】
前記連結枠16〜23の接合端部の各上下フランジ部とウェブ部に、複数のボルト挿通孔47〜49が形成され、その両側面に所定厚の鋼板製の接続具ないし接続板である、添接板50〜63が締結部材である、ボルト64およびナット65を介して連結されている
この場合、前記ボルト挿通孔47〜49を連結枠16〜23の長さ方向に沿う長孔に形成することも可能である。
【0031】
前記添接板50〜63にボルト挿通孔(図示略)が形成され、その形状は各上下フランジ部およびウェブ部と同形に形成され、上下フランジ部の内側に取り付ける添接板を、ウェブ部の両側に分かれて大小に形成している。この場合、前記ボルト挿通孔を連結枠16〜23の長さ方向に長めの長孔に形成し、前記間隙43〜46の変化に対応させることが望ましい。
【0032】
前記添接板50〜63の板厚は、凸部2〜5側に配置する連結枠16,20、19,23の上下フランジ部に用いるものを、段部6〜9側に配置する連結枠17,21、18,22の上下フランジ部に用いるものよりも若干厚肉に形成し、連結強度を増強している。
また、前記ナット65はボルト64よりも高さ寸法が大きいため、寸法の確保が厳しい内側の連結枠21,22の上フランジ部に対しては、下方からナット締めしている。
【0033】
前記主桁2〜5の接合端部間に保護コンクリ−ト66,67が打設され、これらは主桁2〜5の断面形状と同形に成形されていて、該保護コンクリ−ト66,67内に前記連結枠16〜23の接合端部と添接板50〜63とが埋設され、それらの防錆と剛性の向上を図っている。
【0034】
図中、68,69は前記凸部10〜13内の上下位置と、段部6〜9内の中央位置に、それぞれ長さ方向に沿って埋設されたPC鋼線、70は前記段部6〜9上に取り付けたレ−ル固定板で、一対のボルト埋込栓71が取り付けられている。
72は主桁2〜5の施工位置直下に立設した支持脚で、その上部に載架枠73を掛け渡し、該載架枠73に主桁2〜5を直交方向に載置可能にしている。
【0035】
このように構成した本発明のコンクリ−ト構造物は、概ね主桁2〜5と、該主桁2〜5の両側端部に大半部を埋設する連結枠16〜23と、連結枠16〜23の接合側端部を連結する添接板50〜63と、左右一対の主桁2〜5の間に配置して連結するスペ−ス枠39,40とで構成される。
【0036】
これらを製作する場合は、先ず主桁2〜5を略L字断面形状に成形し、その内部にフ−プ筋34,35と主筋36〜38を配筋して、鉄筋コンクリ−ト構造物を成形するとともに、主桁2〜5の接合側端部の凸部2〜5側と段部6〜9側の内部に連結枠16〜23を埋め込み、その一端部を主桁2〜5の接合側端部から突出する。
また、各主桁2〜5の内部の長さ方向にPC鋼棒68,69を挿入し、かつその軸端部のナットを緊締して緊張しプレストレスを付与する。
【0037】
前記連結枠16〜23は、三枚の肉厚の鋼板を溶接して不規則なI字またはエ字形断面に形成し、その上下フランジ部とウェブ部の接合側端部に複数のボルト挿通孔47〜49を形成する。この場合、前記ボルト挿通孔47〜49を連結枠16〜23の長さ方向に沿う長孔に形成することも可能である。
また、前記凸部2〜5の内部に埋め込む連結枠16,19,20,23の上下フランジ部を、段部6〜9の内部に埋め込む連結枠17,18,21,22の上下フランジ部に比べて肉厚に形成し、強度を増強する。
【0038】
前記主桁2〜5内部の連結枠16,19,20,23の上下フランジ部に、通孔を形成した複数のアンカ−板24,25を溶接して上向きに突設し、また前記主桁2〜5内部の前記連結枠17,18,21,22の上下フランジ部の内側面に、通孔を形成した複数の支持板26,27を溶接して突設する。
【0039】
そして、前記主桁2〜5内部の支持板26の通孔と同軸上に、ロッド貫通孔を形成し、また連結枠16,19,20,23のウェブ部の上部に同径の貫通孔を形成し、これらに外部から連結ロッド28を挿入可能にする。
また、前記アンカ−板25と支持板27の各通孔と同軸上に、ロッド貫通孔を形成し、これらに外部から連結ロッド30を挿入可能にする。
【0040】
前記添接板50〜63を所定厚の鋼板で矩形に形成し、その形状を前記連結枠16〜23の各上下フランジ部およびウェブ部と同形に形成し、上下フランジ部の内側に取り付ける添接板51〜54、58〜61を、ウェブ部の両側に分けて大小に形成し、それらに複数のボルト挿通孔(図示略)を形成する。この場合、前記ボルト挿通孔を連結枠16〜23の長さ方向に沿う長孔に形成することも可能である。
【0041】
また、前記添接板50〜63の板厚は、凸部2〜5側に配置する連結枠16,20、19,23の上下フランジ部に用いるものを、段部6〜9側に配置する連結枠17,21、18,22の上下フランジ部に用いるものよりも若干厚肉に形成して、連結強度を増強する。
前記スペ−ス枠39,40は、肉厚の鋼板を溶接して平面略H字形状に組み立て、その両側板に連結ロッド28,30を挿入可能な通孔(図示略)を形成する。
【0042】
次に前記製作したコンクリ−ト構造物の構成部材を用いて、主要なコンクリ−ト構造物である主桁2〜5を連結する場合は、図7乃至図13の手順で施工する。
先ず、主桁2〜5を載架する床版1の施工位置直下に、複数の支持脚72を所定間隔で立設し、該支持脚72,72間に載架枠73を主桁2〜5の施工方向と直交方向に架設する。
【0043】
そして、前記載架枠7の所定位置に左右一対の主桁2,3を順次掛け渡し、それらを離間して向き合わせ、それらの接合側端部の間にスペ−ス枠39を配置する。
この後、前記連結ロッド28,30を主桁2の外側から前記ロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠39の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
同様に、連結ロッド28,30を主桁3の外側からロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠39の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
このようにして、左右一対の主桁2,3を連結する。
【0044】
次に、前記主桁2,3に近接する載架枠7の所定位置に左右一対の主桁4,5を順次掛け渡し、それらを離間して向き合わせ、それらの接合側端部の間にスペ−ス枠40を配置する。
そして、前記連結ロッド28,30を主桁4の外側から前記ロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠40の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
同様に、連結ロッド28,30を主桁5の外側からロッド貫通孔に挿入し、その軸端部をスペ−ス枠40の側板から突出し、その螺軸端部にナット29,31をねじ込んで緊締する。
このようにして、左右一対の主桁4,5を連結する。
【0045】
こうして、左右一対の主桁2,3と主桁4,5が長さ方向に配置され、それらの接合側端部が近接して配置される。この状況は図7および図8のようである。ただし、これらの図では片側の主桁2,4の施工状態を示している。
前記施工状態では主桁2〜5の接合側端部から、連結枠16〜23の接合側端部が表出し、それらの上下部フランジ部とウェブ部にボルト挿通孔47〜49が表出している。
また、前記主桁2〜5のうち、施工方向に配置した各一組の連結枠16,20、17、18,22、19,23の端部が近接して配置され、それらの間に微小な間隙43〜46が形成されている。
【0046】
このような状況の下で、前記各連結枠16〜23の接合側端部のウェブ部の両側に添接板56および63を位置付け、それらのボルト挿通孔を前記ボルト挿通孔49に位置合わせし、その一方、実施形態では外側から内側方向へボルト64を挿入し、ウェブ部の他側に突出した螺軸端部にナット65をねじ込み、これを緊締してウェブ部の両側に添接板56および63を固定する。この状況は図9のようである。
【0047】
次に、前記各連結枠16〜23の接合側端部の上側フランジ部の上下両面に、添接板50と大小の添接板51,52、および添接板57と大小の添接板58,59とを位置付け、また下側フランジ部の上下両面に、添接板55と大小の添接板53,54、および添接板62と大小の添接板60,61とを位置付ける。
【0048】
そして、前記添接板51〜61のボルト挿通孔を前記ボルト挿通孔47,48に位置合わせし、その一方、実施形態では下方からボルト64を挿入し、また連結枠17,21、18,22の上側フランジ部では上方からボルト64を挿入し、上下フランジ部の他側に突出した螺軸端部にナット65をねじ込み、これを緊締して上下フランジ部の両側に添接板51〜61を固定する。この状況は図10および図11のようである。
【0049】
このように本発明は主桁2〜5の連結に際して、主桁2〜5から連結枠16〜23を突出し、該連結枠16〜23の接合側端部に添接板50〜63を掛け渡し、これらをボルト64およびナット65を介して連結するから、主桁2〜5を当初の静止位置で精密かつ合理的に連結し得る。
【0050】
したがって、従来のように複数の主桁に長尺のPC鋼棒を貫通して連結する手法のような桁移動や、その大掛かりな移動作業が不要になり、その分工期を短縮し工費を低減できるとともに、主桁の移動スペ−スやPC鋼棒挿入用の作業スペ−スの確保が不要になり、またPC鋼棒を挿入する際の主桁周辺の煩雑なバラストの撤去作業を要しない。
【0051】
しかも、前記主桁2〜5の連結は、載架枠73の所定位置に主桁2〜5を載置した際に形成される間隙43〜46を介在して行われ、前記間隙43〜46によって、主桁2〜5や連結枠18〜23の成形および組み付け上の誤差と、それらの施工上の誤差を吸収し許容するから、各部の成形および組み付け並びに施工の精密性を要することなく、前記連結作業を合理的に行なえる。
【0052】
こうして、各連結枠16〜23の接合側端部の上下フランジ部およびウェブ部の添接板50〜63を取り付け、前記接合側端部を連結したところで、前記主桁2〜5の接合端部の周囲にコンクリ−ト打設用の型枠(図示略)を取り付け、該型枠内に保護コンクリ−ト66,67を打設する。
この状況は図12および図13のようで、各連結枠16〜23の接合側端部と、その周面に取り付けた添接板50〜63とが保護コンクリ−ト66,67に埋設され、隠蔽されて防錆処理される。
【0053】
また、これと前後して主桁2〜5の外側に突出した連結ロッド28,30の端部に防水キャップ41を被着し、該キャップ41の内部にモルタル等の充填材42を充填し、当該部を防錆処理する。
一方、前記各連結枠16〜23の連結施工の間に、主桁2〜5の直下に床版1を配置し、または築造し、該床版1に主桁2〜5を受け替えれば、一連の連結作業が終了する。
【0054】
前記施工後のコンクリ−ト構造物は図1乃至図6のようで、前記連結枠18〜23の各接続側端部の間隙43〜46は添接板51〜61に連結され、その周囲を保護コンクリ−ト66,67に埋設して補強され、かつ防錆されている。
また、凸部10〜13側に埋設した連結枠16,19,20,23と、その上下フランジ部に取り付けた添接板50〜55を肉厚に形成し、前記連結枠16,19,20,23の連結部の強度を増強している。
したがって、曲線区間を走行する鉄道車両に作用する遠心力に対し、外側に配置した連結枠16,19,20,23がその荷重負担に堪えられる。
【0055】
図14乃至図16は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。
このうち、図14および図15は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は連結枠18〜23を主桁2〜5に埋設することなく、凸部10〜13側の外側周面に表出させて配置し、埋設成形の煩雑な作業を要せず容易に成形するとともに、連結枠18〜23を大形化して、コンクリ−ト構造物の強度を強化している。
【0056】
そして、この実施形態のコンクリ−ト構造物と、前述の実施形態のコンクリ−ト構造物を混合して使用し、例えば曲線区間等の荷重負担の大きな部分に、この実施形態のコンクリ−ト構造物を使用し、比較的荷重負担の小さな部分に前述の実施形態のコンクリ−ト構造物を使用すれば、その合理的な使用を図れる。
【0057】
図16は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は鉄道車両の曲線走行区間に施工した、保護コンクリ−ト66の打設前の状況を示している。
すなわち、施工方向に配置した一対の主桁2,4および主桁3,5を、その接合中心部でθ角度交差して配置し、その際、添接板50〜63のボルト挿通孔の位置を、連結枠16,17,20,21のボルト挿通孔47〜49の位置変化に応じて形成して対応する。
【0058】
この場合、前記位置変化に応じた長孔を予め形成した添接板50〜63を使用し、または予めボルト挿通孔を形成しない添接板50〜63を使用し、その連結時にボルト挿通孔47〜49の位置変化に応じて孔明加工することで、対応することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のコンクリ−ト構造物の連結方法およびコンクリ−ト桁は、連結するPC桁の等の移動と移動スペ−スの確保を要することなく、またPC桁や施工上の誤差を吸収かつ許容して容易かつ合理的に施工でき、工期の短縮化と工費の低減を図れるとともに、確実かつ精密に連結し、しかも軌道の曲線区間や勾配区間の施工にも応じられるから、例えば鉄道用レ−ルの敷設用PC桁または道路若しくは橋梁のPC床版、建築物のスラブとその連結法に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を鉄道高架橋のPC桁の施工に適用した平面図で、左右一対の主桁を施工方向に離間して配置し、その連結枠の接合側端部を添接板で連結し、その周辺に保護コンクリ−トを打設して埋設した状況を示している。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【0061】
【図4】図1のC−C線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図5】図1のD−D線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図6】図1のE−E線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図7】本発明の連結方法による施工状態を示す平面図で、片側の一対の主桁の接合端部を対向配置し、その連結枠の接合側端部を近接して配置している状況を示している。
【0062】
【図8】図7のF−F線に沿う断面図である。
【図9】図8において近接配置した連結枠のウェブ部の両側面に、添接板を取り付けた状況を示す断面図である。
【図10】図9において近接配置した連結枠のウェブ部と上下フランジ部の両側面および上下両面に、添接板を取り付けた状況を示す断面図である。
【図11】図10の平面図である。
【0063】
【図12】図10において連結枠のウェブ部と上下フランジ部の両側面および上下両面に、添接板を取り付けた後、接合部周辺に保護コンクリ−トを打設した状況を示す断面図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態を示す平面図で、連結枠を主桁の接合側端部の外側面に取り付け、その間に保護コンクリ−トを打設した状況を示している。
【0064】
【図15】図14のG−G線に沿う断面図で、拡大して図示している。
【図16】本発明の第3の実施形態を示す平面図で、保護コンクリ−トの打設前に、片側の一対の主桁を接合中心部で交差して配置した状況を示している。
【符号の説明】
【0065】
2〜5 コクリ−ト桁(主桁)
16〜23 連結枠
50〜63 接続具(添接板、接続板)
64 締結部材(ボルト)
65 締結部材(ナット)
6a,7a,8a,9a 張出段部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合側端部に連結枠を突設した一対のコンクリ−ト桁を対向配置し、相対する連結枠の接合側端部を離間して配置し、相対する連結枠に接続具を配置し、該接続具を介して前記連結枠を連結するコンクリ−ト構造物の連結方法において、前記接続具を前記連結枠に重合配置し、該重合部を締結部材を介して連結することを特徴とするコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項2】
板状の接続具を相対する連結枠間に配置する請求項1記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項3】
板状の接続具を相対する連結枠間の両側面に配置し、前記接続具を介し連結枠を挟持する請求項2記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項4】
前記一対のコンクリ−ト桁の接合側端部と連結枠を交差方向に配置し、前記一対の連結枠に接続具を配置し、該接続具の圧接位置を移動または選択可能にする、請求項1乃至3のうち何れか一項記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項5】
前記コンクリ−ト桁の接合側端部にそれぞれ複数の連結枠を突設し、各連結枠を対向配置し、それらに接続具を重合配置するとともに、該重合部を締結部材を介して連結する請求項1記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項6】
前記接続具の外側にコンクリ−トを打設する請求項1または5記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項7】
前記コンクリ−ト桁の接合側端部に、前記コンクリ−ト桁と略同形断面にコンクリ−トを打設する請求項6記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項8】
対向配置するコンクリ−ト桁の内部に連結枠を埋設し、該連結枠の一端を接合側端部に突設し、前記連結枠に接続具の一端を連結可能に設け、前記接続具の他端を他方の連結枠に連結可能に設けたコンクリ−ト桁において、前記接続具の一端を前記連結枠の一端に重合し、それらの重合部を締結部材を介して連結可能にしたことを特徴とするコンクリ−ト桁。
【請求項9】
前記連結枠に、水平のフランジ部および/または垂直のウェブ部を設けた請求項8記載のコンクリ−ト桁。
【請求項10】
前記フランジ部および/またはウェブ部の一側または両側に、板状の接続具を連結可能に重合配置した請求項8記載のコンクリ−ト桁。
【請求項11】
前記コンクリ−ト桁の接合側端部に複数の連結枠を突設し、これらに板状の接続具を重合配置した請求項8乃至10のうち何れか一項記載のコンクリ−ト桁。
【請求項12】
前記複数の連結枠の接合側端部位置を相違させ、その境界部に張出段部を形成した請求項11記載のコンクリ−ト桁。
【請求項1】
接合側端部に連結枠を突設した一対のコンクリ−ト桁を対向配置し、相対する連結枠の接合側端部を離間して配置し、相対する連結枠に接続具を配置し、該接続具を介して前記連結枠を連結するコンクリ−ト構造物の連結方法において、前記接続具を前記連結枠に重合配置し、該重合部を締結部材を介して連結することを特徴とするコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項2】
板状の接続具を相対する連結枠間に配置する請求項1記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項3】
板状の接続具を相対する連結枠間の両側面に配置し、前記接続具を介し連結枠を挟持する請求項2記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項4】
前記一対のコンクリ−ト桁の接合側端部と連結枠を交差方向に配置し、前記一対の連結枠に接続具を配置し、該接続具の圧接位置を移動または選択可能にする、請求項1乃至3のうち何れか一項記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項5】
前記コンクリ−ト桁の接合側端部にそれぞれ複数の連結枠を突設し、各連結枠を対向配置し、それらに接続具を重合配置するとともに、該重合部を締結部材を介して連結する請求項1記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項6】
前記接続具の外側にコンクリ−トを打設する請求項1または5記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項7】
前記コンクリ−ト桁の接合側端部に、前記コンクリ−ト桁と略同形断面にコンクリ−トを打設する請求項6記載のコンクリ−ト構造物の連結方法。
【請求項8】
対向配置するコンクリ−ト桁の内部に連結枠を埋設し、該連結枠の一端を接合側端部に突設し、前記連結枠に接続具の一端を連結可能に設け、前記接続具の他端を他方の連結枠に連結可能に設けたコンクリ−ト桁において、前記接続具の一端を前記連結枠の一端に重合し、それらの重合部を締結部材を介して連結可能にしたことを特徴とするコンクリ−ト桁。
【請求項9】
前記連結枠に、水平のフランジ部および/または垂直のウェブ部を設けた請求項8記載のコンクリ−ト桁。
【請求項10】
前記フランジ部および/またはウェブ部の一側または両側に、板状の接続具を連結可能に重合配置した請求項8記載のコンクリ−ト桁。
【請求項11】
前記コンクリ−ト桁の接合側端部に複数の連結枠を突設し、これらに板状の接続具を重合配置した請求項8乃至10のうち何れか一項記載のコンクリ−ト桁。
【請求項12】
前記複数の連結枠の接合側端部位置を相違させ、その境界部に張出段部を形成した請求項11記載のコンクリ−ト桁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−231694(P2007−231694A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57814(P2006−57814)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【Fターム(参考)】
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