コンタクト
【課題】製品特性を変化させることなく吸着ノズルによる自動実装が可能で、ストロークも良好に確保できるコンタクトの提供。
【解決手段】下面2Aがはんだ接合面となっているはんだ接合部2の一端2Bには、弾性変形して接地導体に圧接される弾性接触部3が連接されている。弾性接触部3の折り返し部3Aと先端3Bとの間には、矩形の穴部3Cが形成されている。はんだ接合部2の他端2Cには吸着部4が連接され、その吸着部4の先端4Bは、はんだ接合部2と平行となる方向に屈曲し、弾性接触部3の穴部3Cを貫通して弾性接触部3の上面側に露出している。この先端4Bが自動実装機の吸着ノズルに吸着されるので、吸着部4の上面に対して吸着ノズルが押し込まれても、弾性接触部3に歪が生じるのを抑制でき、コンタクト1の製品特性を安定して維持することができる。
【解決手段】下面2Aがはんだ接合面となっているはんだ接合部2の一端2Bには、弾性変形して接地導体に圧接される弾性接触部3が連接されている。弾性接触部3の折り返し部3Aと先端3Bとの間には、矩形の穴部3Cが形成されている。はんだ接合部2の他端2Cには吸着部4が連接され、その吸着部4の先端4Bは、はんだ接合部2と平行となる方向に屈曲し、弾性接触部3の穴部3Cを貫通して弾性接触部3の上面側に露出している。この先端4Bが自動実装機の吸着ノズルに吸着されるので、吸着部4の上面に対して吸着ノズルが押し込まれても、弾性接触部3に歪が生じるのを抑制でき、コンタクト1の製品特性を安定して維持することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のコンタクトとして、下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、を備えたものが提案されている。このように構成されたコンタクトは、はんだ接合部の下面(はんだ接合面)をプリント配線基板の導体パターンにはんだ接合すると共に、そのはんだ接合部の一端に連接された弾性接触部に上方から接地導体等の導電性部材を接触させてその弾性接触部を弾性変形させて使用される。すると、上記弾性接触部はその弾性変形により上記導電性部材に圧接され、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続することができる。
【0003】
また、この種のコンタクトでは、自動実装機の吸着ノズルで吸着することにより、プリント配線基板に自動実装する試みもなされている。そして、その場合に、上記弾性接触部の先端に上記はんだ接合部の下面と平行に配設された第1の本体部を連接して、その第1の本体部を上記吸着ノズルのための吸着面とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3192570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、吸着面を有する第1の本体部を弾性接触部の先端に連接した場合、その吸着面に対して上記吸着ノズルを押し込み過ぎると、上記弾性接触部に永久歪が生じる場合がある。すると、その弾性接触部の、上記導電性部材に対する圧接力などといった製品特性が変化する可能性がある。また、上記弾性接触部の先端に上記第1の本体部を連接すると、上記弾性接触部の上記折り返された部分から先端までの長さ(いわゆるストローク)がその分だけ短くなる。そこで、本発明は、製品特性を変化させることなく吸着ノズルによる自動実装が可能で、ストロークも良好に確保できるコンタクトの提供を目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達するためになされた本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、上記はんだ接合部に上記弾性接触部とは独立して連接され、先端が上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、はんだ接合部の下面(はんだ接合面)がプリント配線基板の導体パターンにはんだ接合される。また、そのはんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返された弾性接触部は、導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる。そこで、本発明のコンタクトは、上記弾性接触部の上方から上記導電性部材(例えば、接地導体,シールド板等)を接触させてその弾性接触部を弾性変形させて使用される。すると、上記弾性接触部はその弾性変形により上記導電性部材に圧接され、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続することができる。
【0008】
また、吸着部は、先端が上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されており、当該先端は自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる。また、この吸着部は、上記はんだ接合部に上記弾性接触部とは独立して連接されている。このため、上記吸着面に対して吸着ノズルが押し込まれても、その吸着面は上記弾性接触部と独立しているので上記弾性接触部に歪が生じるのを抑制でき、上記製品特性を安定して維持することができる。しかも、上記吸着部先端の吸着面は上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設されているので、上記弾性接触部のストロークがその吸着部を設けるために減少されることもない。従って、上記弾性接触部のストロークを確保することによってその弾性接触部を上記導電性部材に良好に圧接することができ、延いては、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを良好に電気的に接続することができる。
【0009】
なお、本発明において、上記吸着部は上記弾性接触部に形成された穴部を貫通しており、上記穴部は、上記弾性接触部の弾性変形を上記吸着部が妨げない大きさを有してもよい。この場合、上記弾性接触部に上記一端と平行な方向に外力が加わった場合でも、上記穴部の内壁面が上記吸着部に当接することで、上記弾性接触部が倒れてしまうのを抑制することができる。しかも、上記穴部は、上記弾性接触部の弾性変形を上記吸着部が妨げない大きさを有しているので、上記吸着部が上記穴部を貫通したことによって上記製品特性が変化することもない。
【0010】
また、上記目的を達するためになされた本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、上記弾性接触部の、上記折り返された折り返し部と上記導電性部材に接触する接触部との間に連接され、上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、上記吸着部に連接され、上記弾性接触部が弾性変形していないときは上記吸着部と上記はんだ接合部との距離を規定可能な位置に配設され、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って変移することにより上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される規定部と、を備えたことを特徴とするものであってもよい。
【0011】
このように構成された本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、はんだ接合部の下面(はんだ接合面)がプリント配線基板の導体パターンにはんだ接合される。また、そのはんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返された弾性接触部は、導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる。そこで、本発明のコンタクトは、上記弾性接触部の上方から上記導電性部材(例えば、接地導体,シールド板等)を接触させてその弾性接触部を弾性変形させて使用される。すると、上記弾性接触部はその弾性変形により上記導電性部材に圧接され、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続することができる。
【0012】
また、本発明の吸着部は、上記弾性接触部の、上記折り返された折り返し部と上記導電性部材に接触する接触部との間に連接されており、上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる。また、この吸着部には、次のような規定部が連接されている。すなわち、上記規定部は、上記弾性接触部が弾性変形していないときは上記吸着部と上記はんだ接合部との距離をつっかえ棒状に規定可能な位置に配設され、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って変移することにより上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される。
【0013】
自動実装機の吸着ノズルによる自動実装時には上記弾性接触部は弾性変形していないので、上記吸着部は上記はんだ接合部との距離を上記規定部によって規定される。このため、上記吸着部の吸着面に対して吸着ノズルが押し込まれても、上記規定部によって上記吸着部の変位が抑制されて上記弾性接触部に歪が生じるのを抑制することができ、上記製品特性を安定して維持することができる。しかも、上記吸着部は上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設されているので、上記弾性接触部のストロークがその吸着部を設けるために減少されることもない。従って、上記弾性接触部のストロークを確保することによってその弾性接触部を上記導電性部材に良好に圧接することができ、延いては、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを良好に電気的に接続することができる。
【0014】
また、上記導電性部材の接触により上記弾性接触部が弾性変形する際には、その弾性変形に伴って上記規定部が変移することにより、その規定部は上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される。このため、上記規定部を設けたことによって上記製品特性が変化することもない。
【0015】
なお、本発明において、上記規定部の下端は上記はんだ接合部の下面に沿う方向に屈曲しており、上記はんだ接合部には、上記弾性接触部が弾性変形していないときに上記規定部の下端を周囲から囲む枠部が形成され、上記規定部の下端は、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って上記枠部から抜け出してもよい。この場合、上記弾性接触部が弾性変形していないときには、上記はんだ接合部の下面に沿う方向に屈曲した上記規定部の下端が、上記はんだ接合部に形成された枠部によって周囲を囲まれる。このため、上記弾性接触部に上記一端と平行な方向に外力が加わった場合でも、上記規定部の下端が上記枠部の内壁面に当接することで、上記弾性接触部の変形を抑制することができる。しかも、上記規定部の下端は、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って上記枠部から抜け出すので、上記規定部の下端が上記枠部によって囲まれたことによって上記製品特性が変化することもない。
【0016】
また、上記いずれかの発明において、上記はんだ接合面に投影された上記弾性接触部の形状は、上記はんだ接合面と同一またはそのはんだ接合面を包含してもよい。この場合、上記はんだ接合面よりも上記弾性接触部の外形の面積を大きくすることができ、上記吸着部の吸着面を上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設して上記ストロークを確保した効果が一層顕著に表れる。
【0017】
また、上記いずれかの発明において、上記はんだ接合部の上記一端から上記弾性接触部の先端に至る長さが、上記はんだ接合部の上記一端から上記はんだ接合部の他端に至る長さよりも長くてもよい。この場合も、上記吸着部の吸着面を上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設して上記ストロークを確保した効果が一層顕著に表れる。
【0018】
更に、上記いずれかの発明において、1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されたことを更なる特徴としてもよい。この場合、コンタクトの製造工程を簡略化して、その製造コストを一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図2】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図3】第2実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図4】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図5】第3実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図6】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図7】第4実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図8】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図9】第5実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図10】第6実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図11】第7実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図12】第8実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図13】第9実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図14】第10実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図15】第11実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図16】第12実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図17】第13実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態を、実施例を挙げて図面と共に説明する。なお、本発明は以下の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0021】
[第1実施例]
図1は第1実施例のコンタクト1の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト1は、バネ性金属(例えばリン青銅,ベリリウム銅,SUS等)からなる1枚の薄板を、所定形状に打ち抜くと共に折り曲げて形成されている。
【0022】
図1に示すように、このコンタクト1は、下面2Aが後述のはんだ接合面となっている略矩形のはんだ接合部2を備えており、そのはんだ接合部2の一端2Bには弾性接触部3が連接されている。弾性接触部3は、正面視アーチ状に湾曲した折り返し部3Aを介してはんだ接合部2の一端2Bに連接されており、先端3Bも正面視アーチ状に下方にカールしている。先端3Bが何らかの物体によって下方に押圧されたとき、弾性接触部3は、折り返し部3Aを中心に弾性変形して、当該物体に圧接する状態になる。更に、弾性接触部3の上記折り返し部3Aと先端3Bとの間には、上記一端2Bに平行な2辺とその2辺に直交する2辺とを有する矩形の穴部3Cが形成されている。
【0023】
また、はんだ接合部2の他端2Cは、凸字状に細くなっており、その細く形成された他端2Cには吸着部4が連接されている。吸着部4も正面視アーチ状に湾曲した折り返し部4Aを介してはんだ接合部2の他端2Cに連接されている。また、吸着部4の先端4Bは、はんだ接合部2と平行となる方向に屈曲しており、弾性接触部3の穴部3Cを貫通して弾性接触部3の上面側に露出している。また、吸着部4は全体に亘って穴部3Cよりも狭い幅を有する帯状に構成されており、外力が加わらない状態では穴部3Cのどの辺にも接触していない。
【0024】
このように構成された本実施例のコンタクト1は、図2(B)に実線で例示するように、プリント配線基板910と導電性部材の一例としての接地導体920(シールド板や筐体等であってもよい)との間に挟みこんで使用される。この場合、図示省略したエンボステープ等に収容されたコンタクト1の吸着部4の先端4Bが、図2(A)に点線で示すように自動実装機の吸着ノズル930を当接されることによってその吸着ノズル930に吸着される。そして、吸着ノズル930に吸着されたコンタクト1は、プリント配線基板910の導体パターン(図示省略)の表面に配置された上で、はんだ接合部2の下面2Aがプリント配線基板910の導体パターンにはんだ接合される。
【0025】
そのはんだ接合された状態を図2(B)に一点鎖線で示す。その状態から、弾性接触部3の先端3Bに上方から接地導体920を接触させて、図2(B)に実線で示すように弾性接触部3を弾性変形させた状態でコンタクト1は使用される。
【0026】
すると、弾性接触部3はその弾性変形により接地導体920に圧接され、プリント配線基板910の導体パターンと上記接地導体920とを電気的に接続することができる。なお、吸着部4は、前述のように、はんだ接合部2に弾性接触部3とは独立して連接されている。このため、吸着部4の上面に対して吸着ノズル930が押し込まれても、弾性接触部3に歪が生じるのを抑制でき、弾性接触部3の接地導体920に対する圧接力などといったコンタクト1の製品特性を安定して維持することができる。なお、通常は、吸着ノズル930を押し込み過ぎた場合でも、穴部3Cの下辺に吸着部4の先端4Bが当接することはない。
【0027】
しかも、吸着部4の先端4Bは穴部3Cを貫通することによって弾性接触部3の接地導体920側に配設されているので、弾性接触部3のストロークがその吸着部4を設けるために減少されることもなく、はんだ接合部2の下面2Aに投影された弾性接触部3の形状ははんだ接合部2の下面2A(はんだ接合面)を包含する。従って、弾性接触部3のストロークを確保することによってその弾性接触部3を接地導体920に良好に圧接することができ、延いては、プリント配線基板910の導体パターンと接地導体920とを良好に電気的に接続することができる。
【0028】
なお、本実施例のコンタクト1は、図2(B)に例示するように、吸着部4の先端4Bに接地導体920が接触しない程度に弾性接触部3を弾性変形させて使用するのが推奨の使用方法であるが、接地導体920が先端4Bに接触すると吸着部4がストッパとして機能してコンタクト1が潰れ過ぎるのを抑制することができる。また、吸着部4が接地導体920に接触すると上記導体パターンと接地導体920との間のインピーダンスが変化するので、そのインピーダンスを測定することでコンタクト1が潰れ過ぎたことを検出することができる。更に、上記インピーダンスを低下させることを優先したい場合は、コンタクト1を敢えて上記のように潰れ過ぎた状態で使用してもよい。
【0029】
また、吸着部4の先端4Bは、外力が加わらない状態では穴部3Cのどの辺にも接触しておらず、上下の辺に対しては、弾性接触部3の上記弾性変形を吸着部4が妨げない程度の間隔を有している。このため、弾性接触部3に吸着部4が接触して上記製品特性に影響を与えるのも抑制することができる。更に、吸着部4の先端4Bが穴部3Cを貫通していないと、弾性接触部3に上記一端2Bと平行な方向に外力が加わった場合に弾性接触部3が変形してめくれる場合があるが、本実施例では、上記外力が加わった場合でも、穴部3Cの内壁面が吸着部4に当接することで、弾性接触部3の変形を抑制することができる。なお、コンタクト1は、溶接などにより複数の部品を組み合わせて作成することもできるが、本実施例のコンタクト1は1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されているので、製造工程を簡略化して、その製造コストを一層低減することができる。
【0030】
[第2実施例]
図3は第2実施例のコンタクト21の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト21は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に20を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0031】
このコンタクト21では、穴部23Cが弾性接触部23の下端まで達しており、更にはんだ接合部22まで延びてはんだ接合部22の一端22Bは凹字状に構成されている。そして、そのはんだ接合部22の凹字状に窪んだ部分が上方に切り起されて吸着部24を構成している。この吸着部24の先端24Bも、はんだ接合部22と平行となる方向に屈曲して穴部23Cを貫通している。このように構成された第2実施例のコンタクト21でも、図4(A)に示すように吸着ノズル930で吸着して図4(B)に示すように装着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト21では、はんだ接合部22の一部を切り起すことによって吸着部24が形成されているので、金属のロスを低減することができる。
【0032】
[第3実施例]
図5は第3実施例のコンタクト31の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト31は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に30を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0033】
このコンタクト31でも、穴部33Cが弾性接触部33の下端まで達しており、更にはんだ接合部32まで延びてはんだ接合部32の一端32Bは凹字状に構成されている。但し、穴部33Cがはんだ接合部32に延びる量はコンタクト21に比べて少なく、穴部33Cとして打ち抜かれた部分がはんだ接合部32から上方に切り起されて吸着部34を構成している。この吸着部34の先端34Bも、はんだ接合部32と平行となる方向に屈曲して穴部33Cを貫通している。但し、この先端34Bは、弾性接触部33の上面側から穴部33Cを貫通し、先端34Bの穴部33C貫通する手前の部分が、図6(A)に示すように吸着ノズル930による吸着面とされる。このように構成された第3実施例のコンタクト31でも、図6(A)に示すように吸着ノズル930で吸着して図6(B)に示すように装着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト31でも、弾性接触部33の一部を切り起すことによって吸着部34が形成されているので、金属のロスを低減することができる。
【0034】
[第4実施例]
図7は第4実施例のコンタクト41の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト41は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に40を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0035】
このコンタクト41でも、穴部43Cが弾性接触部43の下端まで達しており、更にはんだ接合部42まで延びてはんだ接合部42の一端42Bは凹字状に構成されている。そして、本実施例では、穴部43Cとして打ち抜かれた部分が、次のような吸着部44,規定部46,枠部47を構成している。
【0036】
吸着部44は、穴部43Cの上辺に連接してはんだ接合部42と平行に配設されている。規定部46は、吸着部44の先端に連接してはんだ接合部42と直交するように配設されている。また、枠部47は、はんだ接合部42に連接し、はんだ接合部42と直交しかつ規定部46と平行となるようにはんだ接合部42から切り起されている。また、枠部47には矩形の穴部47Aが形成されている。規定部46の下端46Aははんだ接合部42の下面42Aに沿う方向に屈曲し、その下端46Aは前述の穴部47Aに挿入されている。穴部47Aに挿入された下端46Aは、穴部47Aの上辺に接触若しくは極めて近接しているが、他の3辺とは隙間を有している。
【0037】
このように構成されたコンタクト41では、吸着部44が、図8(A)に点線で示すように自動実装機の吸着ノズル930を当接されることによってその吸着ノズル930に吸着される。そして、吸着部44の上面に対して吸着ノズル930が押し込まれても、規定部46の下端46Aが枠部47の穴部47Aの下辺に当接することで、規定部46がつっかえ棒状に作用して吸着部44とはんだ接合部42との距離が規定される。このため、弾性接触部43に歪が生じるのを抑制でき、弾性接触部43の接地導体920に対する圧接力などといったコンタクト41の製品特性を安定して維持することができる。なお、このとき吸着部44の位置は若干下方に押し込まれるが、吸着部44の付け根の両端には弾性接触部43の先端43B(接触部に相当)に向かって切り込み43Dが形成されているので(図7参照)、その吸着部44の移動が弾性接触部43に歪を生じさせるのも抑制できる。
【0038】
しかも、弾性接触部43の先端43Bに接地導体920が接触して弾性接触部43が図8(B)に例示するように弾性変形すると、その弾性変形に伴って規定部46の下端46Aは枠部47の穴部47Aから抜け出すように変位する。このため、つっかえ棒が外れた状態となって規定部46は上記弾性変形を妨げなくなり、その規定部46が上記製品特性に影響を与えるのも抑制することができる。
【0039】
また、吸着部44は弾性接触部43の接地導体920側に配設されているので、弾性接触部43のストロークがその吸着部44を設けるために減少されることもなく、はんだ接合部42の下面42Aに投影された弾性接触部43の形状ははんだ接合部42の下面42Aを包含する。従って、弾性接触部43のストロークを確保することによってその弾性接触部43を接地導体920に良好に圧接することができ、延いては、プリント配線基板910の導体パターンと接地導体920とを良好に電気的に接続することができる。
【0040】
なお、本実施例のコンタクト41は、図8(B)に例示するように、吸着部44に接地導体920が接触しない程度に弾性接触部3を弾性変形させて使用するのが推奨の使用方法である。但し、多接点で使用したい場合などでは、吸着部44が接地導体920に接触するように、コンタクト41を敢えて潰れ過ぎた状態で使用してもよい。
【0041】
更に、コンタクト41に外力が加わらない状態で規定部46の下端46Aが枠部47の穴部47Aに挿入されていないと、弾性接触部43にはんだ接合部42の一端42Bと平行な方向に外力が加わった場合に弾性接触部43が変形してめくれる場合がある。これに対して、本実施例では、上記方向に外力が加わった場合でも、規定部46の下端46Aが枠部47の穴部47Aの内壁面に当接することで、弾性接触部43の変形を抑制することができる。なお、このコンタクト41も、溶接などにより複数の部品を組み合わせて作成することもできるが、本実施例のコンタクト41は1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されているので、製造工程を簡略化して、その製造コストを一層低減することができる。また、このコンタクト41でも、弾性接触部43,はんだ接合部42の一部を切り起すことによって吸着部44,規定部46,枠部47が形成されているので、金属のロスを低減することができる。
【0042】
[第5実施例]
図9は第5実施例のコンタクト51の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト51は、弾性接触部53の構成のみがコンタクト1と異なり、はんだ接合部52,吸着部54はコンタクト1とほぼ同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に50を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0043】
このコンタクト51では、弾性接触部53の先端53Bが穴部53Cよりも先端側で上方に屈曲され、更に、穴部53Cから露出した吸着部54の先端54Bに向けて正面視アーチ状に折り返されている。そして、この構成によって弾性接触部53の先端53Bは、はんだ接合部52の他端52Cより内側、すなわちはんだ接合部52の上方に配設されている。このように構成された第5実施例のコンタクト51でも吸着部54の先端54Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト51では、先端53Bが上記のように上方に屈曲しているので、接地導体920等による押圧時に弾性接触部53がはんだ接合部52の上方から側方に飛び出すのを良好に抑制することができる。
【0044】
[第6実施例]
図10は第6実施例のコンタクト61の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト61は、弾性接触部63の構成のみがコンタクト1と異なり、はんだ接合部62,吸着部64はコンタクト1とほぼ同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に60を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0045】
このコンタクト61の弾性接触部63は、中間で正面視アーチ状に湾曲した折り返し部63Eを介して折り返されており、全体として正面視略くの字形に構成されている。また、弾性接触部63の先端63Bは、上方に向かって正面視アーチ状にカールしている。そして、この構成によって、弾性接触部63の先端63Bは、はんだ接合部62の一端62Bより内側、すなわちはんだ接合部62の上方に配設されている。更に、穴部63Cは、折り返し部63Eを跨いで形成されている。
【0046】
このように構成された第6実施例のコンタクト61でも吸着部64の先端64Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト61では、弾性接触部63が上記のように中間で折り返されているので、接地導体920等による押圧時に弾性接触部63がはんだ接合部62の上方から側方に飛び出すのを良好に抑制すると共に大きなストロークを確保することができる。
【0047】
[第7実施例]
図11は第7実施例のコンタクト71の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト71は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に70を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0048】
このコンタクト71でも、穴部73Cが弾性接触部73の下端まで達しており、はんだ接合部72との連接部の間に、そのはんだ接合部72と吸着部74との連接部が凸字状に配設されている。吸着部74は、穴部73Cとして打ち抜かれた部分がはんだ接合部72から上方に切り起されて構成されて穴部73Cを貫通し、この吸着部74の先端74Bも、はんだ接合部72と平行となる方向に屈曲している。また、弾性接触部73の折り返し部73Aは正面視U字状に大きく湾曲し、更に、その弾性接触部73は、中間でも折り返し部73Eを介して正面視U字状に大きく湾曲して折り返されており、全体として正面視S字状に構成されている。また、弾性接触部73の先端73Bは、上方に向かって屈曲した後、正面視で約270°アーチ状にカールしている。更に、穴部73Cは、折り返し部73Eを跨いで形成されている。
【0049】
このように構成された第7実施例のコンタクト71でも、吸着部74の先端74Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト71でも、弾性接触部73の一部を切り起すことによって吸着部74が形成されているので、金属のロスを低減することができる。更に、このコンタクト71では、折り返し部73A,73EのR(曲率半径)を大きくして、弾性接触部73を正面視S字状に構成している。このため、はんだ接合部72に対する弾性接触部73の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部73の圧縮時におけるはんだ接合部72の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部73のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。
【0050】
[第8実施例]
図12は第8実施例のコンタクト81の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト81は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に80を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0051】
このコンタクト81では、はんだ接合部82は直方体状に構成され、その一端82Bに弾性接触部83が、他端82Cの中央に吸着部84が、それぞれ連接されている。はんだ接合部82と平行に配置された吸着部84の先端84Bの更に先端部は、折り返し部84Aに向かって下方に折り返された折り返し片84Cを構成している。そして、弾性接触部83の穴部83Cの下側端縁83Fは、はんだ接合部82の上方でこの折り返し片84Cと上下方向に対向している。
【0052】
また、弾性接触部83の折り返し部83Aは一旦垂直に起された後大きく湾曲し、更に、その弾性接触部83は、中間でも折り返し部83Eを介して大きく湾曲して折り返されている。また、弾性接触部83の先端83Bは、下方に向かってアーチ状にカールしている。更に、穴部83Cは、折り返し部83Eを跨いで形成されている。
【0053】
このように構成された第8実施例のコンタクト81でも、吸着部84の先端84Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト81でも、折り返し部83A,83EのR(曲率半径)を大きくしているため、はんだ接合部82に対する弾性接触部83の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部83の圧縮時におけるはんだ接合部82の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部83のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。更に、このコンタクト81では、吸着部84の先端84Bに過剰な負荷が加わった場合、折り返し片84Cが穴部83Cの下側端縁83Fに当接することで、その先端84Bの変位を抑制することができる。
【0054】
[第9実施例]
図13は第9実施例のコンタクト91の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト91は、吸着部94の構成のみがコンタクト81と異なり、はんだ接合部92,弾性接触部93はコンタクト81とほぼ同様に構成されているので、一部の構成に対しては図12で使用した符号に10を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0055】
このコンタクト91では、吸着部94が折り返し部94Aで鋭角に折り返され、先端94Bは、その折り返し方向と逆方向に折り返されてはんだ接合部92と平行に配置されている。このため、吸着部94の中間部94Dは、弾性接触部93の穴部93Cの下側端縁93Fと上下方向に対向している。
【0056】
このように構成された第9実施例のコンタクト91でも、吸着部94の先端94Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト91でも、折り返し部93A,93EのR(曲率半径)を大きくしているため、はんだ接合部92に対する弾性接触部93の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部93の圧縮時におけるはんだ接合部92の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部93のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。更に、このコンタクト91では、吸着部94の先端94Bに過剰な負荷が加わった場合、その吸着部94の中間部94Dが穴部93Cの下側端縁93Fに当接することで、その先端94Bの変位を抑制することができる。
【0057】
[第10実施例]
図14は第10実施例のコンタクト101の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト101は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に100を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0058】
このコンタクト101では、はんだ接合部102は直方体状に構成され、その一端102Bに弾性接触部103が、他端102Cの中央に吸着部104が、それぞれ連接されている。弾性接触部103は、図11に示した弾性接触部73と同様に、折り返し部103A,103Eを介してU字状に大きく湾曲して折り返されることで全体として正面視S字状に構成され、先端103Bは上方に向かって屈曲して更にカールしている。また、吸着部104の先端104Bは吸着部4に比べて高い位置に配設され、穴部103Cは弾性接触部103の下端まで達していないものの吸着部104と接触しない大きさを有している。
【0059】
このように構成された第10実施例のコンタクト101でも、吸着部104の先端104Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト101でも、折り返し部103A,103EのR(曲率半径)を大きくして、弾性接触部103を正面視S字状に構成している。このため、はんだ接合部102に対する弾性接触部103の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部103の圧縮時におけるはんだ接合部102の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部103のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。
【0060】
[第11実施例]
図15は第11実施例のコンタクト111の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト111は、弾性接触部113の穴部113Cをその弾性接触部113の先端まで開口させ、先端113Bが2つに分かれている点においてコンタクト81と異なり、他はほぼ同様に構成されている。そこで、一部の構成に対しては図12で使用した符号に30を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。このように構成されたコンタクト111では、コンタクト81と同様の効果に加えて、接地導体920との接点を多接点とすることができるといった効果が生じる。
【0061】
[第12実施例]
図16は第12実施例のコンタクト121の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト121は、弾性接触部123の折り返し部123A,123EのR(曲率半径)を更に大きくし、弾性接触部123,吸着部124の高さをより高くした点においてコンタクト91と異なり、他はほぼ同様に構成されている。そこで、一部の構成に対しては図13で使用した符号に30を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。このように構成されたコンタクト121では、コンタクト91と同様の効果に加えて、弾性接触部123のバネ定数を所望の値に設計するのが一層容易になるといった効果が生じる。
【0062】
[第13実施例]
図17は第13実施例のコンタクト131の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト131は、以下に説明する部分を除いてコンタクト51と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図9で使用した符号に80を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0063】
このコンタクト131では、弾性接触部133の先端133Bの上端部に、両側端縁近傍から更に上方に向けて一対の突起133Hを設けている。このように構成された第13実施例のコンタクト131でも、吸着部134の先端134Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト51と同様の作用・効果が生じる。
【0064】
更に、本発明を実施する形態としては上記各実施例外にも種々の形態が考えられる。例えば、はんだ接合部2の一端2Bに隣接する辺に、吸着部が連接されていてもよい。この場合も、その吸着部の先端が弾性接触部3の上方側でかつその弾性接触部3の先端3Bよりも下方においてはんだ接合部2と平行に配設されていれば、上記第1実施例等と同様の作用・効果が生じる。
【符号の説明】
【0065】
1,21,31,41,51,61…コンタクト
2,22,32,42,52,62…はんだ接合部
3,23,33,43,53,63…弾性接触部
3C,23C,33C,52C,62C…穴部
4,24,34,44,54,64…吸着部
46…規定部
47…枠部
910…プリント配線基板
920…接地導体
930…吸着ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のコンタクトとして、下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、を備えたものが提案されている。このように構成されたコンタクトは、はんだ接合部の下面(はんだ接合面)をプリント配線基板の導体パターンにはんだ接合すると共に、そのはんだ接合部の一端に連接された弾性接触部に上方から接地導体等の導電性部材を接触させてその弾性接触部を弾性変形させて使用される。すると、上記弾性接触部はその弾性変形により上記導電性部材に圧接され、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続することができる。
【0003】
また、この種のコンタクトでは、自動実装機の吸着ノズルで吸着することにより、プリント配線基板に自動実装する試みもなされている。そして、その場合に、上記弾性接触部の先端に上記はんだ接合部の下面と平行に配設された第1の本体部を連接して、その第1の本体部を上記吸着ノズルのための吸着面とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3192570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、吸着面を有する第1の本体部を弾性接触部の先端に連接した場合、その吸着面に対して上記吸着ノズルを押し込み過ぎると、上記弾性接触部に永久歪が生じる場合がある。すると、その弾性接触部の、上記導電性部材に対する圧接力などといった製品特性が変化する可能性がある。また、上記弾性接触部の先端に上記第1の本体部を連接すると、上記弾性接触部の上記折り返された部分から先端までの長さ(いわゆるストローク)がその分だけ短くなる。そこで、本発明は、製品特性を変化させることなく吸着ノズルによる自動実装が可能で、ストロークも良好に確保できるコンタクトの提供を目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達するためになされた本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、上記はんだ接合部に上記弾性接触部とは独立して連接され、先端が上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、はんだ接合部の下面(はんだ接合面)がプリント配線基板の導体パターンにはんだ接合される。また、そのはんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返された弾性接触部は、導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる。そこで、本発明のコンタクトは、上記弾性接触部の上方から上記導電性部材(例えば、接地導体,シールド板等)を接触させてその弾性接触部を弾性変形させて使用される。すると、上記弾性接触部はその弾性変形により上記導電性部材に圧接され、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続することができる。
【0008】
また、吸着部は、先端が上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されており、当該先端は自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる。また、この吸着部は、上記はんだ接合部に上記弾性接触部とは独立して連接されている。このため、上記吸着面に対して吸着ノズルが押し込まれても、その吸着面は上記弾性接触部と独立しているので上記弾性接触部に歪が生じるのを抑制でき、上記製品特性を安定して維持することができる。しかも、上記吸着部先端の吸着面は上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設されているので、上記弾性接触部のストロークがその吸着部を設けるために減少されることもない。従って、上記弾性接触部のストロークを確保することによってその弾性接触部を上記導電性部材に良好に圧接することができ、延いては、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを良好に電気的に接続することができる。
【0009】
なお、本発明において、上記吸着部は上記弾性接触部に形成された穴部を貫通しており、上記穴部は、上記弾性接触部の弾性変形を上記吸着部が妨げない大きさを有してもよい。この場合、上記弾性接触部に上記一端と平行な方向に外力が加わった場合でも、上記穴部の内壁面が上記吸着部に当接することで、上記弾性接触部が倒れてしまうのを抑制することができる。しかも、上記穴部は、上記弾性接触部の弾性変形を上記吸着部が妨げない大きさを有しているので、上記吸着部が上記穴部を貫通したことによって上記製品特性が変化することもない。
【0010】
また、上記目的を達するためになされた本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、上記弾性接触部の、上記折り返された折り返し部と上記導電性部材に接触する接触部との間に連接され、上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、上記吸着部に連接され、上記弾性接触部が弾性変形していないときは上記吸着部と上記はんだ接合部との距離を規定可能な位置に配設され、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って変移することにより上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される規定部と、を備えたことを特徴とするものであってもよい。
【0011】
このように構成された本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、はんだ接合部の下面(はんだ接合面)がプリント配線基板の導体パターンにはんだ接合される。また、そのはんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返された弾性接触部は、導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる。そこで、本発明のコンタクトは、上記弾性接触部の上方から上記導電性部材(例えば、接地導体,シールド板等)を接触させてその弾性接触部を弾性変形させて使用される。すると、上記弾性接触部はその弾性変形により上記導電性部材に圧接され、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続することができる。
【0012】
また、本発明の吸着部は、上記弾性接触部の、上記折り返された折り返し部と上記導電性部材に接触する接触部との間に連接されており、上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる。また、この吸着部には、次のような規定部が連接されている。すなわち、上記規定部は、上記弾性接触部が弾性変形していないときは上記吸着部と上記はんだ接合部との距離をつっかえ棒状に規定可能な位置に配設され、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って変移することにより上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される。
【0013】
自動実装機の吸着ノズルによる自動実装時には上記弾性接触部は弾性変形していないので、上記吸着部は上記はんだ接合部との距離を上記規定部によって規定される。このため、上記吸着部の吸着面に対して吸着ノズルが押し込まれても、上記規定部によって上記吸着部の変位が抑制されて上記弾性接触部に歪が生じるのを抑制することができ、上記製品特性を安定して維持することができる。しかも、上記吸着部は上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設されているので、上記弾性接触部のストロークがその吸着部を設けるために減少されることもない。従って、上記弾性接触部のストロークを確保することによってその弾性接触部を上記導電性部材に良好に圧接することができ、延いては、上記プリント配線基板の導体パターンと上記導電性部材とを良好に電気的に接続することができる。
【0014】
また、上記導電性部材の接触により上記弾性接触部が弾性変形する際には、その弾性変形に伴って上記規定部が変移することにより、その規定部は上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される。このため、上記規定部を設けたことによって上記製品特性が変化することもない。
【0015】
なお、本発明において、上記規定部の下端は上記はんだ接合部の下面に沿う方向に屈曲しており、上記はんだ接合部には、上記弾性接触部が弾性変形していないときに上記規定部の下端を周囲から囲む枠部が形成され、上記規定部の下端は、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って上記枠部から抜け出してもよい。この場合、上記弾性接触部が弾性変形していないときには、上記はんだ接合部の下面に沿う方向に屈曲した上記規定部の下端が、上記はんだ接合部に形成された枠部によって周囲を囲まれる。このため、上記弾性接触部に上記一端と平行な方向に外力が加わった場合でも、上記規定部の下端が上記枠部の内壁面に当接することで、上記弾性接触部の変形を抑制することができる。しかも、上記規定部の下端は、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って上記枠部から抜け出すので、上記規定部の下端が上記枠部によって囲まれたことによって上記製品特性が変化することもない。
【0016】
また、上記いずれかの発明において、上記はんだ接合面に投影された上記弾性接触部の形状は、上記はんだ接合面と同一またはそのはんだ接合面を包含してもよい。この場合、上記はんだ接合面よりも上記弾性接触部の外形の面積を大きくすることができ、上記吸着部の吸着面を上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設して上記ストロークを確保した効果が一層顕著に表れる。
【0017】
また、上記いずれかの発明において、上記はんだ接合部の上記一端から上記弾性接触部の先端に至る長さが、上記はんだ接合部の上記一端から上記はんだ接合部の他端に至る長さよりも長くてもよい。この場合も、上記吸着部の吸着面を上記弾性接触部の上記導電性部材側に配設して上記ストロークを確保した効果が一層顕著に表れる。
【0018】
更に、上記いずれかの発明において、1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されたことを更なる特徴としてもよい。この場合、コンタクトの製造工程を簡略化して、その製造コストを一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図2】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図3】第2実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図4】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図5】第3実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図6】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図7】第4実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図8】そのコンタクトの使用状態を表す説明図である。
【図9】第5実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図10】第6実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)である。
【図11】第7実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図12】第8実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図13】第9実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図14】第10実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図15】第11実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図16】第12実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【図17】第13実施例のコンタクトの構成を表す平面図(A)、左側面図(B)、正面図(C)、右側面図(D)、底面図(E)、左上斜視図(F)、右上斜視図(G)、左下斜視図(H)、右下斜視図(I)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態を、実施例を挙げて図面と共に説明する。なお、本発明は以下の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0021】
[第1実施例]
図1は第1実施例のコンタクト1の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト1は、バネ性金属(例えばリン青銅,ベリリウム銅,SUS等)からなる1枚の薄板を、所定形状に打ち抜くと共に折り曲げて形成されている。
【0022】
図1に示すように、このコンタクト1は、下面2Aが後述のはんだ接合面となっている略矩形のはんだ接合部2を備えており、そのはんだ接合部2の一端2Bには弾性接触部3が連接されている。弾性接触部3は、正面視アーチ状に湾曲した折り返し部3Aを介してはんだ接合部2の一端2Bに連接されており、先端3Bも正面視アーチ状に下方にカールしている。先端3Bが何らかの物体によって下方に押圧されたとき、弾性接触部3は、折り返し部3Aを中心に弾性変形して、当該物体に圧接する状態になる。更に、弾性接触部3の上記折り返し部3Aと先端3Bとの間には、上記一端2Bに平行な2辺とその2辺に直交する2辺とを有する矩形の穴部3Cが形成されている。
【0023】
また、はんだ接合部2の他端2Cは、凸字状に細くなっており、その細く形成された他端2Cには吸着部4が連接されている。吸着部4も正面視アーチ状に湾曲した折り返し部4Aを介してはんだ接合部2の他端2Cに連接されている。また、吸着部4の先端4Bは、はんだ接合部2と平行となる方向に屈曲しており、弾性接触部3の穴部3Cを貫通して弾性接触部3の上面側に露出している。また、吸着部4は全体に亘って穴部3Cよりも狭い幅を有する帯状に構成されており、外力が加わらない状態では穴部3Cのどの辺にも接触していない。
【0024】
このように構成された本実施例のコンタクト1は、図2(B)に実線で例示するように、プリント配線基板910と導電性部材の一例としての接地導体920(シールド板や筐体等であってもよい)との間に挟みこんで使用される。この場合、図示省略したエンボステープ等に収容されたコンタクト1の吸着部4の先端4Bが、図2(A)に点線で示すように自動実装機の吸着ノズル930を当接されることによってその吸着ノズル930に吸着される。そして、吸着ノズル930に吸着されたコンタクト1は、プリント配線基板910の導体パターン(図示省略)の表面に配置された上で、はんだ接合部2の下面2Aがプリント配線基板910の導体パターンにはんだ接合される。
【0025】
そのはんだ接合された状態を図2(B)に一点鎖線で示す。その状態から、弾性接触部3の先端3Bに上方から接地導体920を接触させて、図2(B)に実線で示すように弾性接触部3を弾性変形させた状態でコンタクト1は使用される。
【0026】
すると、弾性接触部3はその弾性変形により接地導体920に圧接され、プリント配線基板910の導体パターンと上記接地導体920とを電気的に接続することができる。なお、吸着部4は、前述のように、はんだ接合部2に弾性接触部3とは独立して連接されている。このため、吸着部4の上面に対して吸着ノズル930が押し込まれても、弾性接触部3に歪が生じるのを抑制でき、弾性接触部3の接地導体920に対する圧接力などといったコンタクト1の製品特性を安定して維持することができる。なお、通常は、吸着ノズル930を押し込み過ぎた場合でも、穴部3Cの下辺に吸着部4の先端4Bが当接することはない。
【0027】
しかも、吸着部4の先端4Bは穴部3Cを貫通することによって弾性接触部3の接地導体920側に配設されているので、弾性接触部3のストロークがその吸着部4を設けるために減少されることもなく、はんだ接合部2の下面2Aに投影された弾性接触部3の形状ははんだ接合部2の下面2A(はんだ接合面)を包含する。従って、弾性接触部3のストロークを確保することによってその弾性接触部3を接地導体920に良好に圧接することができ、延いては、プリント配線基板910の導体パターンと接地導体920とを良好に電気的に接続することができる。
【0028】
なお、本実施例のコンタクト1は、図2(B)に例示するように、吸着部4の先端4Bに接地導体920が接触しない程度に弾性接触部3を弾性変形させて使用するのが推奨の使用方法であるが、接地導体920が先端4Bに接触すると吸着部4がストッパとして機能してコンタクト1が潰れ過ぎるのを抑制することができる。また、吸着部4が接地導体920に接触すると上記導体パターンと接地導体920との間のインピーダンスが変化するので、そのインピーダンスを測定することでコンタクト1が潰れ過ぎたことを検出することができる。更に、上記インピーダンスを低下させることを優先したい場合は、コンタクト1を敢えて上記のように潰れ過ぎた状態で使用してもよい。
【0029】
また、吸着部4の先端4Bは、外力が加わらない状態では穴部3Cのどの辺にも接触しておらず、上下の辺に対しては、弾性接触部3の上記弾性変形を吸着部4が妨げない程度の間隔を有している。このため、弾性接触部3に吸着部4が接触して上記製品特性に影響を与えるのも抑制することができる。更に、吸着部4の先端4Bが穴部3Cを貫通していないと、弾性接触部3に上記一端2Bと平行な方向に外力が加わった場合に弾性接触部3が変形してめくれる場合があるが、本実施例では、上記外力が加わった場合でも、穴部3Cの内壁面が吸着部4に当接することで、弾性接触部3の変形を抑制することができる。なお、コンタクト1は、溶接などにより複数の部品を組み合わせて作成することもできるが、本実施例のコンタクト1は1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されているので、製造工程を簡略化して、その製造コストを一層低減することができる。
【0030】
[第2実施例]
図3は第2実施例のコンタクト21の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト21は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に20を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0031】
このコンタクト21では、穴部23Cが弾性接触部23の下端まで達しており、更にはんだ接合部22まで延びてはんだ接合部22の一端22Bは凹字状に構成されている。そして、そのはんだ接合部22の凹字状に窪んだ部分が上方に切り起されて吸着部24を構成している。この吸着部24の先端24Bも、はんだ接合部22と平行となる方向に屈曲して穴部23Cを貫通している。このように構成された第2実施例のコンタクト21でも、図4(A)に示すように吸着ノズル930で吸着して図4(B)に示すように装着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト21では、はんだ接合部22の一部を切り起すことによって吸着部24が形成されているので、金属のロスを低減することができる。
【0032】
[第3実施例]
図5は第3実施例のコンタクト31の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト31は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に30を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0033】
このコンタクト31でも、穴部33Cが弾性接触部33の下端まで達しており、更にはんだ接合部32まで延びてはんだ接合部32の一端32Bは凹字状に構成されている。但し、穴部33Cがはんだ接合部32に延びる量はコンタクト21に比べて少なく、穴部33Cとして打ち抜かれた部分がはんだ接合部32から上方に切り起されて吸着部34を構成している。この吸着部34の先端34Bも、はんだ接合部32と平行となる方向に屈曲して穴部33Cを貫通している。但し、この先端34Bは、弾性接触部33の上面側から穴部33Cを貫通し、先端34Bの穴部33C貫通する手前の部分が、図6(A)に示すように吸着ノズル930による吸着面とされる。このように構成された第3実施例のコンタクト31でも、図6(A)に示すように吸着ノズル930で吸着して図6(B)に示すように装着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト31でも、弾性接触部33の一部を切り起すことによって吸着部34が形成されているので、金属のロスを低減することができる。
【0034】
[第4実施例]
図7は第4実施例のコンタクト41の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト41は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に40を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0035】
このコンタクト41でも、穴部43Cが弾性接触部43の下端まで達しており、更にはんだ接合部42まで延びてはんだ接合部42の一端42Bは凹字状に構成されている。そして、本実施例では、穴部43Cとして打ち抜かれた部分が、次のような吸着部44,規定部46,枠部47を構成している。
【0036】
吸着部44は、穴部43Cの上辺に連接してはんだ接合部42と平行に配設されている。規定部46は、吸着部44の先端に連接してはんだ接合部42と直交するように配設されている。また、枠部47は、はんだ接合部42に連接し、はんだ接合部42と直交しかつ規定部46と平行となるようにはんだ接合部42から切り起されている。また、枠部47には矩形の穴部47Aが形成されている。規定部46の下端46Aははんだ接合部42の下面42Aに沿う方向に屈曲し、その下端46Aは前述の穴部47Aに挿入されている。穴部47Aに挿入された下端46Aは、穴部47Aの上辺に接触若しくは極めて近接しているが、他の3辺とは隙間を有している。
【0037】
このように構成されたコンタクト41では、吸着部44が、図8(A)に点線で示すように自動実装機の吸着ノズル930を当接されることによってその吸着ノズル930に吸着される。そして、吸着部44の上面に対して吸着ノズル930が押し込まれても、規定部46の下端46Aが枠部47の穴部47Aの下辺に当接することで、規定部46がつっかえ棒状に作用して吸着部44とはんだ接合部42との距離が規定される。このため、弾性接触部43に歪が生じるのを抑制でき、弾性接触部43の接地導体920に対する圧接力などといったコンタクト41の製品特性を安定して維持することができる。なお、このとき吸着部44の位置は若干下方に押し込まれるが、吸着部44の付け根の両端には弾性接触部43の先端43B(接触部に相当)に向かって切り込み43Dが形成されているので(図7参照)、その吸着部44の移動が弾性接触部43に歪を生じさせるのも抑制できる。
【0038】
しかも、弾性接触部43の先端43Bに接地導体920が接触して弾性接触部43が図8(B)に例示するように弾性変形すると、その弾性変形に伴って規定部46の下端46Aは枠部47の穴部47Aから抜け出すように変位する。このため、つっかえ棒が外れた状態となって規定部46は上記弾性変形を妨げなくなり、その規定部46が上記製品特性に影響を与えるのも抑制することができる。
【0039】
また、吸着部44は弾性接触部43の接地導体920側に配設されているので、弾性接触部43のストロークがその吸着部44を設けるために減少されることもなく、はんだ接合部42の下面42Aに投影された弾性接触部43の形状ははんだ接合部42の下面42Aを包含する。従って、弾性接触部43のストロークを確保することによってその弾性接触部43を接地導体920に良好に圧接することができ、延いては、プリント配線基板910の導体パターンと接地導体920とを良好に電気的に接続することができる。
【0040】
なお、本実施例のコンタクト41は、図8(B)に例示するように、吸着部44に接地導体920が接触しない程度に弾性接触部3を弾性変形させて使用するのが推奨の使用方法である。但し、多接点で使用したい場合などでは、吸着部44が接地導体920に接触するように、コンタクト41を敢えて潰れ過ぎた状態で使用してもよい。
【0041】
更に、コンタクト41に外力が加わらない状態で規定部46の下端46Aが枠部47の穴部47Aに挿入されていないと、弾性接触部43にはんだ接合部42の一端42Bと平行な方向に外力が加わった場合に弾性接触部43が変形してめくれる場合がある。これに対して、本実施例では、上記方向に外力が加わった場合でも、規定部46の下端46Aが枠部47の穴部47Aの内壁面に当接することで、弾性接触部43の変形を抑制することができる。なお、このコンタクト41も、溶接などにより複数の部品を組み合わせて作成することもできるが、本実施例のコンタクト41は1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されているので、製造工程を簡略化して、その製造コストを一層低減することができる。また、このコンタクト41でも、弾性接触部43,はんだ接合部42の一部を切り起すことによって吸着部44,規定部46,枠部47が形成されているので、金属のロスを低減することができる。
【0042】
[第5実施例]
図9は第5実施例のコンタクト51の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト51は、弾性接触部53の構成のみがコンタクト1と異なり、はんだ接合部52,吸着部54はコンタクト1とほぼ同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に50を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0043】
このコンタクト51では、弾性接触部53の先端53Bが穴部53Cよりも先端側で上方に屈曲され、更に、穴部53Cから露出した吸着部54の先端54Bに向けて正面視アーチ状に折り返されている。そして、この構成によって弾性接触部53の先端53Bは、はんだ接合部52の他端52Cより内側、すなわちはんだ接合部52の上方に配設されている。このように構成された第5実施例のコンタクト51でも吸着部54の先端54Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト51では、先端53Bが上記のように上方に屈曲しているので、接地導体920等による押圧時に弾性接触部53がはんだ接合部52の上方から側方に飛び出すのを良好に抑制することができる。
【0044】
[第6実施例]
図10は第6実施例のコンタクト61の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図である。なお、このコンタクト61は、弾性接触部63の構成のみがコンタクト1と異なり、はんだ接合部62,吸着部64はコンタクト1とほぼ同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に60を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0045】
このコンタクト61の弾性接触部63は、中間で正面視アーチ状に湾曲した折り返し部63Eを介して折り返されており、全体として正面視略くの字形に構成されている。また、弾性接触部63の先端63Bは、上方に向かって正面視アーチ状にカールしている。そして、この構成によって、弾性接触部63の先端63Bは、はんだ接合部62の一端62Bより内側、すなわちはんだ接合部62の上方に配設されている。更に、穴部63Cは、折り返し部63Eを跨いで形成されている。
【0046】
このように構成された第6実施例のコンタクト61でも吸着部64の先端64Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト61では、弾性接触部63が上記のように中間で折り返されているので、接地導体920等による押圧時に弾性接触部63がはんだ接合部62の上方から側方に飛び出すのを良好に抑制すると共に大きなストロークを確保することができる。
【0047】
[第7実施例]
図11は第7実施例のコンタクト71の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト71は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に70を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0048】
このコンタクト71でも、穴部73Cが弾性接触部73の下端まで達しており、はんだ接合部72との連接部の間に、そのはんだ接合部72と吸着部74との連接部が凸字状に配設されている。吸着部74は、穴部73Cとして打ち抜かれた部分がはんだ接合部72から上方に切り起されて構成されて穴部73Cを貫通し、この吸着部74の先端74Bも、はんだ接合部72と平行となる方向に屈曲している。また、弾性接触部73の折り返し部73Aは正面視U字状に大きく湾曲し、更に、その弾性接触部73は、中間でも折り返し部73Eを介して正面視U字状に大きく湾曲して折り返されており、全体として正面視S字状に構成されている。また、弾性接触部73の先端73Bは、上方に向かって屈曲した後、正面視で約270°アーチ状にカールしている。更に、穴部73Cは、折り返し部73Eを跨いで形成されている。
【0049】
このように構成された第7実施例のコンタクト71でも、吸着部74の先端74Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト71でも、弾性接触部73の一部を切り起すことによって吸着部74が形成されているので、金属のロスを低減することができる。更に、このコンタクト71では、折り返し部73A,73EのR(曲率半径)を大きくして、弾性接触部73を正面視S字状に構成している。このため、はんだ接合部72に対する弾性接触部73の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部73の圧縮時におけるはんだ接合部72の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部73のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。
【0050】
[第8実施例]
図12は第8実施例のコンタクト81の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト81は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に80を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0051】
このコンタクト81では、はんだ接合部82は直方体状に構成され、その一端82Bに弾性接触部83が、他端82Cの中央に吸着部84が、それぞれ連接されている。はんだ接合部82と平行に配置された吸着部84の先端84Bの更に先端部は、折り返し部84Aに向かって下方に折り返された折り返し片84Cを構成している。そして、弾性接触部83の穴部83Cの下側端縁83Fは、はんだ接合部82の上方でこの折り返し片84Cと上下方向に対向している。
【0052】
また、弾性接触部83の折り返し部83Aは一旦垂直に起された後大きく湾曲し、更に、その弾性接触部83は、中間でも折り返し部83Eを介して大きく湾曲して折り返されている。また、弾性接触部83の先端83Bは、下方に向かってアーチ状にカールしている。更に、穴部83Cは、折り返し部83Eを跨いで形成されている。
【0053】
このように構成された第8実施例のコンタクト81でも、吸着部84の先端84Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト81でも、折り返し部83A,83EのR(曲率半径)を大きくしているため、はんだ接合部82に対する弾性接触部83の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部83の圧縮時におけるはんだ接合部82の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部83のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。更に、このコンタクト81では、吸着部84の先端84Bに過剰な負荷が加わった場合、折り返し片84Cが穴部83Cの下側端縁83Fに当接することで、その先端84Bの変位を抑制することができる。
【0054】
[第9実施例]
図13は第9実施例のコンタクト91の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト91は、吸着部94の構成のみがコンタクト81と異なり、はんだ接合部92,弾性接触部93はコンタクト81とほぼ同様に構成されているので、一部の構成に対しては図12で使用した符号に10を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0055】
このコンタクト91では、吸着部94が折り返し部94Aで鋭角に折り返され、先端94Bは、その折り返し方向と逆方向に折り返されてはんだ接合部92と平行に配置されている。このため、吸着部94の中間部94Dは、弾性接触部93の穴部93Cの下側端縁93Fと上下方向に対向している。
【0056】
このように構成された第9実施例のコンタクト91でも、吸着部94の先端94Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト91でも、折り返し部93A,93EのR(曲率半径)を大きくしているため、はんだ接合部92に対する弾性接触部93の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部93の圧縮時におけるはんだ接合部92の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部93のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。更に、このコンタクト91では、吸着部94の先端94Bに過剰な負荷が加わった場合、その吸着部94の中間部94Dが穴部93Cの下側端縁93Fに当接することで、その先端94Bの変位を抑制することができる。
【0057】
[第10実施例]
図14は第10実施例のコンタクト101の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト101は、以下に説明する部分を除いてコンタクト1と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図1,図2で使用した符号に100を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0058】
このコンタクト101では、はんだ接合部102は直方体状に構成され、その一端102Bに弾性接触部103が、他端102Cの中央に吸着部104が、それぞれ連接されている。弾性接触部103は、図11に示した弾性接触部73と同様に、折り返し部103A,103Eを介してU字状に大きく湾曲して折り返されることで全体として正面視S字状に構成され、先端103Bは上方に向かって屈曲して更にカールしている。また、吸着部104の先端104Bは吸着部4に比べて高い位置に配設され、穴部103Cは弾性接触部103の下端まで達していないものの吸着部104と接触しない大きさを有している。
【0059】
このように構成された第10実施例のコンタクト101でも、吸着部104の先端104Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト1と同様の作用・効果が生じる。また、このコンタクト101でも、折り返し部103A,103EのR(曲率半径)を大きくして、弾性接触部103を正面視S字状に構成している。このため、はんだ接合部102に対する弾性接触部103の投影面積を抑制すると共に、弾性接触部103の圧縮時におけるはんだ接合部102の上方からの飛び出しを抑制しつつ、その弾性接触部103のバネ定数を所望の値に容易に設計することができる。
【0060】
[第11実施例]
図15は第11実施例のコンタクト111の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト111は、弾性接触部113の穴部113Cをその弾性接触部113の先端まで開口させ、先端113Bが2つに分かれている点においてコンタクト81と異なり、他はほぼ同様に構成されている。そこで、一部の構成に対しては図12で使用した符号に30を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。このように構成されたコンタクト111では、コンタクト81と同様の効果に加えて、接地導体920との接点を多接点とすることができるといった効果が生じる。
【0061】
[第12実施例]
図16は第12実施例のコンタクト121の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト121は、弾性接触部123の折り返し部123A,123EのR(曲率半径)を更に大きくし、弾性接触部123,吸着部124の高さをより高くした点においてコンタクト91と異なり、他はほぼ同様に構成されている。そこで、一部の構成に対しては図13で使用した符号に30を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。このように構成されたコンタクト121では、コンタクト91と同様の効果に加えて、弾性接触部123のバネ定数を所望の値に設計するのが一層容易になるといった効果が生じる。
【0062】
[第13実施例]
図17は第13実施例のコンタクト131の構成を表す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は右側面図、(E)は底面図、(F)は左上斜視図、(G)は右上斜視図、(H)は左下斜視図、(I)は右下斜視図である。なお、このコンタクト131は、以下に説明する部分を除いてコンタクト51と同様に構成されているので、一部の構成に対しては図9で使用した符号に80を加えた符号を使用して構成の詳細な説明を省略する。
【0063】
このコンタクト131では、弾性接触部133の先端133Bの上端部に、両側端縁近傍から更に上方に向けて一対の突起133Hを設けている。このように構成された第13実施例のコンタクト131でも、吸着部134の先端134Bを吸着ノズル930(図2参照)で吸着することができ、コンタクト51と同様の作用・効果が生じる。
【0064】
更に、本発明を実施する形態としては上記各実施例外にも種々の形態が考えられる。例えば、はんだ接合部2の一端2Bに隣接する辺に、吸着部が連接されていてもよい。この場合も、その吸着部の先端が弾性接触部3の上方側でかつその弾性接触部3の先端3Bよりも下方においてはんだ接合部2と平行に配設されていれば、上記第1実施例等と同様の作用・効果が生じる。
【符号の説明】
【0065】
1,21,31,41,51,61…コンタクト
2,22,32,42,52,62…はんだ接合部
3,23,33,43,53,63…弾性接触部
3C,23C,33C,52C,62C…穴部
4,24,34,44,54,64…吸着部
46…規定部
47…枠部
910…プリント配線基板
920…接地導体
930…吸着ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、
下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、
上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、
上記はんだ接合部に上記弾性接触部とは独立して連接され、先端が上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、
を備えたことを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
上記吸着部は上記弾性接触部に形成された穴部を貫通しており、
上記穴部は、上記弾性接触部の弾性変形を上記吸着部が妨げない大きさを有することを特徴とする請求項1記載のコンタクト。
【請求項3】
金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、
下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、
上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、
上記弾性接触部の、上記折り返された折り返し部と上記導電性部材に接触する接触部との間に連接され、上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、
上記吸着部に連接され、上記弾性接触部が弾性変形していないときは上記吸着部と上記はんだ接合部との距離を規定可能な位置に配設され、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って変移することにより上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される規定部と、
を備えたことを特徴とするコンタクト。
【請求項4】
上記規定部の下端は上記はんだ接合部の下面に沿う方向に屈曲しており、
上記はんだ接合部には、上記弾性接触部が弾性変形していないときに上記規定部の下端を周囲から囲む枠部が形成され、
上記規定部の下端は、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って上記枠部から抜け出すことを特徴とする請求項3記載のコンタクト。
【請求項5】
上記はんだ接合面に投影された上記弾性接触部の形状が、上記はんだ接合面と同一またはそのはんだ接合面を包含することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項6】
上記はんだ接合部の上記一端から上記弾性接触部の先端に至る長さが、上記はんだ接合部の上記一端から上記はんだ接合部の他端に至る長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項7】
1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項1】
金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、
下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、
上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、
上記はんだ接合部に上記弾性接触部とは独立して連接され、先端が上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、
を備えたことを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
上記吸着部は上記弾性接触部に形成された穴部を貫通しており、
上記穴部は、上記弾性接触部の弾性変形を上記吸着部が妨げない大きさを有することを特徴とする請求項1記載のコンタクト。
【請求項3】
金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、上記プリント配線基板と上記プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、上記プリント配線基板が備える導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続するコンタクトであって、
下面が上記導体パターンにはんだ接合されるはんだ接合面となっているはんだ接合部と、
上記はんだ接合部の一端に連接されて当該はんだ接合部の上方に折り返され、上記導電性部材に接触した際に弾性変形を伴って上記導電性部材に圧接する状態になる弾性接触部と、
上記弾性接触部の、上記折り返された折り返し部と上記導電性部材に接触する接触部との間に連接され、上記弾性接触部の上記導電性部材側で上記はんだ接合部の下面と平行に配設されることにより自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる吸着部と、
上記吸着部に連接され、上記弾性接触部が弾性変形していないときは上記吸着部と上記はんだ接合部との距離を規定可能な位置に配設され、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って変移することにより上記弾性接触部の弾性変形を妨げない位置に配設される規定部と、
を備えたことを特徴とするコンタクト。
【請求項4】
上記規定部の下端は上記はんだ接合部の下面に沿う方向に屈曲しており、
上記はんだ接合部には、上記弾性接触部が弾性変形していないときに上記規定部の下端を周囲から囲む枠部が形成され、
上記規定部の下端は、上記弾性接触部の弾性変形時にはその弾性変形に伴って上記枠部から抜け出すことを特徴とする請求項3記載のコンタクト。
【請求項5】
上記はんだ接合面に投影された上記弾性接触部の形状が、上記はんだ接合面と同一またはそのはんだ接合面を包含することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項6】
上記はんだ接合部の上記一端から上記弾性接触部の先端に至る長さが、上記はんだ接合部の上記一端から上記はんだ接合部の他端に至る長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンタクト。
【請求項7】
1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンタクト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−124200(P2011−124200A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51832(P2010−51832)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]