コンバインの刈取装置昇降油圧制御装置
【課題】本発明では、昇降操作レバー等の手元操作で刈取装置の下降速度を任意に変更出来るようにすると共に、昇降操作レバー等の操作に応じて直ちに下降速度を変化させる応答性を良好にすることを課題とする。
【解決手段】油圧ポンプ12から刈取装置1を昇降する刈取昇降シリンダ37へオイルを供給する刈取油路70に刈取電磁切換弁36を設けると共に該刈取電磁切換弁36の戻り側に下げ速度調整用の電磁可変絞り弁35を設け、この電磁可変絞り弁35を刈取電磁切換弁36のオフ時に最大開放状態に保持すべく制御する構成とした。
【解決手段】油圧ポンプ12から刈取装置1を昇降する刈取昇降シリンダ37へオイルを供給する刈取油路70に刈取電磁切換弁36を設けると共に該刈取電磁切換弁36の戻り側に下げ速度調整用の電磁可変絞り弁35を設け、この電磁可変絞り弁35を刈取電磁切換弁36のオフ時に最大開放状態に保持すべく制御する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取装置昇降油圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの刈取装置昇降油圧制御装置は、例えば、特開2002−21805公報に記載されている。
この刈取装置昇降油圧制御装置は、従来の高価な高速切換弁を使用せずに刈取装置の昇降速度を変更する手段として、油圧ポンプから昇降シリンダへの供給油路に供給量を複数段階に切換える主電磁制御弁を配置し、昇降シリンダから主電磁制御弁の間の油路から分岐したドレン油路に副電磁制御弁と可変絞り弁を配置して、刈取装置の昇降速度を二段或いは三段に切換えられるようにしている。
【特許文献1】特開2002−21805公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記刈取装置昇降油圧制御装置は、昇降シリンダと主電磁制御弁の間で分岐したドレン油路に副電磁制御弁と定可変絞り弁を設けているために、刈取装置の下降速度を変更するには、定可変絞り弁を事前に所望の下降速度になるように調整しなければならない。
【0004】
そこで、本発明では、昇降操作レバー等の手元操作で刈取装置の下降速度を任意に変更出来るようにすると共に、昇降操作レバー等の操作に応じて直ちに下降速度を変化させる応答性を良好にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、以下のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明では、油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取電磁切換弁(36)のオフ時に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置とした。
【0006】
この構成で、刈取電磁切換弁36をオンにして電流を流して徐々に下降側へ切換えると電磁可変絞り弁35が最大開放状態になっているので、刈取昇降シリンダ37のオイルが迅速に戻って刈取電磁切換弁36の切換速度に対応した下降速度で刈取装置1が下降を開始する。
【0007】
また、請求項2記載の発明では、油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取作業開始と共に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置とした。
【0008】
この構成で、刈取り作業を開始すると、刈取電磁切換弁36の切換速度に対応した下降速度で刈取装置1が下降する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、刈取電磁切換弁36の切換速度に対応した下降速度で刈取装置1が下降を開始するので、刈取電磁切換弁36をオペレータの手許に設ける昇降レバーで切換操作すれば、コンバインを圃場に入れて刈取装置1を下降させる刈取り作業開始時や旋回後の刈取装置1を下降させる操作が迅速に行え、刈取作業の能率を高めることができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明によると、電磁可変絞り弁35をコンバインの移動時に絞りを閉じた状態にしていても、作業を開始すると絞りを最大に開くので、刈取電磁切換弁36をオペレータの手許に設ける昇降レバーで切換操作すれば、刈取装置1を迅速に下降させることができ、刈取作業の能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明を具備したコンバインの全体側面図である。
【0012】
コンバイン11は、車台2の下部に左右一対のクローラ走行装置4,4を具備し、その車台2上に脱穀装置6を搭載している。車台2は、クローラ走行装置4,4に対して左右に傾けてローリングしたり前後に傾けてピッチングしたり可能に取り付けている。
【0013】
この脱穀装置6の前側で車台2の最前部に上端の枢支軸10を中心にして前側を昇降可能にした刈取フレーム5に刈取装置1を設けている。この刈取装置1は刈取り作業中は地面近くに位置させて刈取り作業を行い、旋回時や移動時には上昇させ、路上走行時には最大に上昇させて地面から離した状態にする。脱穀装置6の右側部前側にオペレータが搭乗するキャビン7を設け、その後側にグレンタンク9を設け、脱穀装置6の上側にグレンタンク9内の収穫穀粒を排出する穀粒排出オーガ8を起伏及び伸縮するように設けている。
【0014】
米や麦などの穀物を収穫する場合は、オペレータがキャビン7に搭乗して、刈取装置1を地面近くに位置させて左右のクローラ走行装置4,4を駆動して前進し、穀稈を刈取装置1で刈り取って脱穀装置6へ送り穀粒を脱穀してグレンタンク8に溜める。グレンタンク8の穀粒が満杯になれば、穀稈の刈り取りを中断して道路端に止めているトラックに近づき、グレンタンク8内の穀粒を穀粒排出オーガ8でトラック上の穀粒タンクへ排出する。
【0015】
図2と図3において、145はコンバイン等の作業機の走行装置のミッションケースであり、上部位置に走行速度を変速する走行用油圧式主変速装置(ハイドロスタチックトランスミッション)146を設けている。
【0016】
147はエンジンからの回転を走行用油圧式主変速装置146に入力する入力プーリ、148は走行用油圧式主変速装置146の出力軸であるが、ミッションケース145の入力軸となる。149は副変速軸であり、副変速軸149には一体的に回転するように歯車群150を設け、歯車群150にはカウンタ軸151の歯車152を選択的に噛み合わせる。カウンタ軸151により回転する中間軸153にはセンターギヤ154を設け、センターギヤ154はサイドクラッチ軸155に固定の受動歯車156と常時噛合っている。
【0017】
サイドクラッチ軸155にはサイドクラッチ歯車157を摺動自在に設け、サイドクラッチ歯車157に設けたクラッチ爪を受動歯車156の内歯に係脱自在に嵌合させて、左右サイドクラッチ158を形成する。左右サイドクラッチ158の構成は任意であり、実施例には限定されない。
【0018】
サイドクラッチ歯車157は左右車軸159に設けた車軸歯車160に夫々噛み合わせて、車軸159に回転を伝達する。
しかして、サイドクラッチ軸155の近傍には差動機構161を設け、差動機構161はその左右差動出力軸162に相互の回転数を変更して出力する。差動機構161は、ミッションケース145内に回転自在にケース163を設け、ケース163内には前記左右差動出力軸162の夫々の先端を臨ませる。実施例の左右差動出力軸162は軸筒形状に形成し、左右差動出力軸162はミッションケース145に設けた取付軸164に夫々独立して回転するように嵌合させる。この左右差動出力軸162の先端には左右傘歯車165を相対峙するように設ける。左右傘歯車165も実施例では左右差動出力軸162の先端に一体に設け、取付軸164に遊嵌させている。
【0019】
左右傘歯車165にはそれぞれケース163に固定の軸166に回転自在に取付けた中間傘歯車167を噛合わせ、前記ケース163の外周にはケース回転受動歯車167を設け、左右差動出力軸162の夫々に設けた旋回伝達歯車168を車軸歯車160に夫々噛み合わせる。
【0020】
差動機構161は、ケース回転受動歯車167を介してケース163の回転を変更し、左右差動出力軸162の夫々に設けた旋回伝達歯車168の回転を変更することにより旋回内側となる車軸を旋回外側の車軸より遅く駆動回転させて行なう緩旋回と、旋回内側となる車軸を停止させて行なうブレーキターンと、旋回内側となる車軸を旋回外側の車軸と反対に駆動回転させて行なうスピンターンとを行う。
【0021】
しかして、差動機構161の近傍には、前記ケース回転受動歯車167に回転を伝達する旋回用伝達装置169を設ける。170はケース回転受動歯車167に常時噛合う旋回用伝達装置169の一部を構成するケース回転歯車であり、旋回用中間軸171に設ける。旋回用中間軸171には内側ボス172を回転のみ自在に嵌合させ、内側ボス172には直進用入力歯車173を一体回転するように設ける。直進用入力歯車173は前記センターギヤ154と常時噛合っている受動歯車156に常時噛合せる。
【0022】
また、前記旋回用中間軸171の外周にはケーシング174を一体回転するように設け、ケーシング174の内周にはディスクを設け、該ディスクは前記内側ボス172の外周に設けたディスクと継脱自在に当接するようにして直進用クラッチ175を構成する。
【0023】
直進用クラッチ175は入りになると、前記センターギヤ154の回転を直進用入力歯車173から内側ボス172を介してケーシング174に伝達し、ケーシング174が旋回用中間軸171を回転させてケース回転歯車170を回転させる。
【0024】
差動機構161は、直進用クラッチ175が入りのとき、差動機構161から伝達する回転が左右サイドクラッチ158から伝達される回転と同じにしてメカロックしないように、左右差動出力軸162、21の夫々が同じ回転数になるようにケース163を回転させて直進用に作動させ、同一回転している左右傘歯車165の回転を旋回伝達歯車168を介して左右車軸159に伝達させて直進する。
【0025】
前記ケーシング174の外周にはドラム176を設け、ドラム176の基部側にはピストン177を設け、ピストン177とミッションケース145の間に外側シリンダ室178を形成する。
【0026】
ドラム176には内側プレート179を設け、送油口180から外側シリンダ室178に送油されると、ピストン177とドラム176と内側プレート179が図3の矢印方向に移動してケーシング174のディスクを内側ボス172の外周のディスクから離脱させて、直進用クラッチ175を切りにする。
【0027】
内側プレート179のケース回転歯車170側には外側プレート45を設け、前記内側プレート179と外側プレート181の間に直進用クラッチ175を入り方向に付勢するスプリング182を設け、スプリング182により直進用クラッチ175を常時入りにする。
【0028】
前記内側ボス172の外周には外側ボス184を回転のみ自在に設け、外側ボス184の外周に設けたディスクにケーシング174の内周に設けたディスクを、継脱自在に当接するようにして旋回用クラッチ186を構成する。外側ボス184には旋回用入力歯車187を設け、旋回用入力歯車187には旋回用中間歯車187aを噛み合わせる。
【0029】
旋回用入力歯車187と旋回用中間歯車187aとは、サイドクラッチ158から車軸159に伝達する回転に対して所定の旋回半径となる回転を伝達しうるギヤ比に設定する(旋回用クラッチ186が完全に入り状態のとき前記差動機構161がスピンターン用の出力可能に設定)。
【0030】
旋回用クラッチ186は、外側シリンダ室178に送油して直進用クラッチ175を切りにすると、入りとなって、旋回用中間歯車187a→旋回用入力歯車187→外側ボス184→ディスク→ケーシング174→旋回用中間軸171を介してケース回転歯車170に伝達し、差動機構161を旋回用に作動させる。
【0031】
即ち、直進用クラッチ175と旋回用クラッチ186は何れか一方が切りになると何れか他方が入りになるようにケーシング174に、夫々のディスクの移動方向に並設し、直進用クラッチ175のディスクの移動方向切り側に外側シリンダ室178を設け、直進用クラッチ175のディスクの移動方向入り側にスプリング182を設け、外側シリンダ室178に送油すると、ピストン177がドラム176と内側プレート179を移動させ、ケーシング174のディスクが内側ボス172の外周のディスクから離脱して、直進用クラッチ175を切りにし、ケーシング174の移動により外側プレート181が移動して旋回用クラッチ186を入りにする。
【0032】
この場合、旋回用クラッチ186は、ディスクの接触圧力を変更し、回転伝達「0」の切り状態(直進用クラッチ175が入りで接触圧力が「0」)から入り状態へ無段階に伝達するようにし、これにより、前記差動機構161のケース163の回転を、前記したように、緩旋回と、ブレーキターンと、スピンターンとをできるように変速する。
【0033】
したがって、旋回用伝達装置169には、差動機構161を旋回用に作動させるための回転の伝達を継脱させる旋回用クラッチ186と、差動機構161を直進用に作動させるために回転伝達を継脱させる直進用クラッチ175とを設けている。
【0034】
なお、実施例では、ブレーキターンは、差動機構161により旋回内側の車軸159の回転を停止させて行い、機体の制動は後述する走行速度を変更操作する主変速レバーにより行う。また、別途駐車ブレーキペダルを設けてもよい。
【0035】
図4は、コンバインの油圧回路を示している。
オイルタンク13から油圧ポンプ12で吸い上げられ高圧で吐出されるオイルが、クラッチ系油路14と操作系油路15と調圧油路16に分配される。
【0036】
調圧油路16は、高圧リリーフ弁69がオイルをオイルタンク13へ戻すドレン油路38に繋がり、クラッチ系油路14と操作系油路15のオイル圧を一定の高圧に保持する。
クラッチ系油路14は、低圧リリーフ弁57で減圧されて固定絞り63とフィルタ64を通って電磁切換弁58に供給され、メインクラッチ61の動作に使われる。
【0037】
操作系油路15は、フィルタ65を通って流路切換弁17でサイドクラッチ系油路66単独かサイドクラッチ系油路66と作業系油路67の両方に流される。サイドクラッチ系油路66に流れるオイルは絞り18とフィルタ68を通って左右サイドクラッチ操作弁20,21へ送られ、左右サイドクラッチシリンダ59,60の動作に使われる。左右サイドクラッチシリンダ59,60の伸び側に繋がる戻り油路78には手動リリーフ弁77が設けられている。なお、このイドクラッチ系油路66の余剰オイルはチェック弁19を通じて作業系油路67に送られる。
【0038】
作業系油路67のオイルは、調圧弁32によって二つの絞り30,31とリリーフ弁29を通じて圧を調整されてメイン作業油路39へ送られる。
メイン作業油路39のオイルは、刈取装置1の昇降用として刈取油路70から刈取電磁制御弁36へ送られる。刈取電磁制御弁36からはパイロットチェク弁33と固定絞り34を通って刈取昇降シリンダ37へ送る油路と絞り量を変更する下げ速度調整用可変絞り弁35を介してドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。なお、固定絞り34は、チェック弁付きの固定絞り弁にする場合もある。
【0039】
下げ速度調整用可変絞り弁35は、電磁絞り調整弁であって、オフ状態或いは刈取り作業時には絞りを最大に開放しておいて刈取電磁制御弁36の昇降切換速度を制御することで刈取装置1の下降速度変更を迅速に行える。また、運転席の前に設ける刈取装置昇降レバーと下げ速度調整用可変絞り弁35の絞り開放を連動して、刈取装置昇降レバーの回動角度を大きくするに従って電磁比例ソレノイドの出力を変えて下げ速度調整用可変絞り弁35の絞りの開放を大きくしてオイルの流れを増やし刈取装置1の下降速度を速く出来る。
【0040】
この電磁絞り調整弁35は、絞りを零から大きくするのではなく、最小限の絞りから最大絞りに変化させて、刈取電磁制御弁36の下降への切換のみで刈取装置1が僅かに下降するようにすれば、刈取装置昇降レバーを僅かに倒したり戻したりするオン・オフ操作で刈取装置1を徐々に下降させるような操作が行える。
【0041】
また、刈取作業中は、刈取装置1を大きく昇降させることがないので、電磁絞り調整弁35を最小絞りのままで固定して使うようにしても良い。
また、電磁絞り調整弁35の制御は、刈取装置昇降レバーの回動角を変更することで絞りを変化させるのではなく、刈取装置昇降レバーの回動速度が速いほど絞りの開放速度を大きくするように制御しても良い。
【0042】
さらに、刈取装置1に地面に接近したことを検出するセンサを設けて、電磁絞り調整弁35の絞りを大きく開いて速く下降させている際に該センサが地面近くを検出すると絞りを小さくして刈取装置1の下降速度を緩やかにして刈高さ調整を容易にして刈取装置1が地面に衝突することを防ぐことも出来る。
【0043】
電磁絞り調整弁35は、具体的には0.7〜1.7mmの範囲で絞りを変更するが、この絞り範囲の最大で刈取装置1の下降速度を速くできない場合には前記の固定絞り34を大きなものに交換すると装置1の最大下降速度を速く出来る。
【0044】
図6は、制御弁の具体的構成で、速度調整弁35を挟んで刈取電磁制御弁36とパイロットチェク弁33を一体的に組み付けている。
下げ速度調整用可変絞り弁35を2位置切換タイプの三方切換弁として、戻り側油路を絞り有りと無しにして戻り油を絞るか絞らないかの高・低に切換えるようにしても良い。
【0045】
また、下げ速度調整用可変絞り弁35を電磁比例減速弁で構成し、二段階或いは無段階に流量を変更して刈取装置1の下降速度を変更するようにしても良い。電磁比例減速弁は、電磁比例ソレノイドに通電する電流値を上昇すると絞りの開放度合いを大きくするように制御する。
【0046】
メイン作業油路39から分岐したオーガ油路71は、穀粒排出オーガ8の昇降用としてオーガ制御弁42へ送られる。オーガ制御弁42からはチェク弁40と絞り41を通ってオーガ昇降シリンダ43へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。なお、戻り油路に前記の下げ速度調整用可変絞り弁35を設けて、穀粒排出オーガ8の下降速度を変更出来るようにすれば、穀粒排出オーガ8の受けへの収納速度を調整できて操作が容易になる。その際に、穀粒排出オーガ8が受けに近づくに従って下降速度をゆっくりとして収納ショックを無くする。
【0047】
メイン作業油路39から分岐した左ローリング油路72は、車台2の左ローリング用として左ローリング制御弁46へ送られる。左ローリング制御弁46からはチェク弁44と絞り45とチェック弁53を通って左ローリングシリンダ47へ送る油路と左ローリングシリンダ47の縮側へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。
【0048】
メイン作業油路39から分岐した右ローリング油路73は、車台2の右ローリング用として右ローリング制御弁50へ送られる。右ローリング制御弁51からはチェク弁48と絞り49とチェック弁54を通って右ローリングシリンダ51へ送る油路と右ローリングシリンダ51の縮側へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。
【0049】
なお、左ローリングシリンダ47と右ローリングシリンダ51の戻り油路に前記の下げ速度調整用可変絞り弁35を設けて、車台2の左右下降速度を変更出来るようにすれば、車台2の左右水平制御の感度変更が可能になる。
【0050】
メイン作業油路39の終端部のピッチング油路74は、車台2のローリング用としてピッチング制御弁55へ送られる。ピッチング制御弁55からはチェク弁52を通ってピッチングシリンダ56の伸び側へ送る油路とピッチングシリンダ56の縮側へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。
【0051】
なお、ピッチングシリンダ56の戻り油路に前記の下げ速度調整用可変絞り弁35を設けて、車台2の前後傾き速度を変更出来るようにすれば、車台2の前後水平制御の感度変更が可能になる。
【0052】
なお、油圧ポンプ12とフィルタ75の間からHST駆動油圧回路の吸引油路76が接続されている。
図7〜図10には、前記手動リリーフ弁77の具体的構造の実施例が記載されている。手動リリーフ弁77は、本体80内に供給口81からのオイル圧で吐出口82への流路を開くポペット83が設けられ、本体80の供給口81と反対側に螺合する調整ネジ87に摺動可能に設けたプッシュピン86の先端に嵌合した圧縮バネ84でポペット83を押して流入圧を調整する構造である。
【0053】
図7の構造では、プッシュピン86がブッシュ90とOリング98,99で調整ネジ87の先端部に嵌合支持され、このプッシュピン86側にストッパ91がリング100で取り付けられ、調整ネジ87の端部とストッパ91との間に圧縮バネ92を介在させている。調整ネジ87の端面87pとストッパ91の端面91pの間隔Aは、本体80内部のポペット83とプッシュピン86の間隔Bよりも狭くして、ストッパ91の端面91pが調整ネジ87の端面87pに当たるまでプッシュピン86を押し込んでもプッシュピン86の先端がポペット83に当たらず、ポペット83やその周りを損傷することがない。
【0054】
プッシュピン86のポペット83側先端の位置は、調整ネジ87の本体80への捩じ込み程度によって調整され、調整ネジ87を固定ネジ88で固定する。
図8の構造で図7との違いは、調整ネジ87の端部構造とOリング99を一体装着型ダストシール93にしたところと、ストッパ91の構造で、プッシュピン86に捩じ込んだストッパ91を固定ネジ95で固定している。この構造では、調整ネジ87の端面87pとストッパ91の端面91pの間隔Aが、プッシュピン86に対するストッパ91の捩じ込み位置を調整することで行える特徴がある。
【0055】
図9の構造で図8との違いは、一体装着型ダストシール93を金属環付きダストシール94にして、これを押える押え具96を装着したところで、押え具96の端面96pとストッパ91の端面91pの間隔Aでプッシュピン86の許容ストロークが決まる。
【0056】
図10の構造で図9との違いは、押え具96を調整ネジ87へ埋め込む座金97としたところで、座金97の端面97pとストッパ91の端面91pの間隔Aでプッシュピン86の許容ストロークが決まる。
【0057】
コンバインの油圧回路で、油圧ポンプから送られるオイルを比例流量制御弁で刈取装置又は穀粒排出オーガの昇降を行う作業用油路と車体のローリングやピッチングを行う車体制御用油路に分岐する回路構成があるが、この回路構成で、刈取装置又は穀粒排出オーガの上昇操作と車体の下降操作を同時に行うと、刈取装置を一瞬下がってから上昇する問題が有るが、これは車体制御用油路の圧力低下が作業用油路の圧力低下となるためで、この対策のために、車体制御用油路の供給側にスプリングで通過圧力を所定圧以上とする圧力保持型逆止弁を設けたり、固定絞り付のリリーフ弁を設けたり、各左右ローリングシリンダとピッチンシリンダの戻り油路に所定オイル圧を保持するカウンタバランス弁を設けたりする。カウンタバランス弁を設ける構成では、チェク弁の入り口側プラグにカウンタバランス弁を設ければ、製作コストの低下になる。
【0058】
図11は、リリーフ弁の具体的実施例で、本体101内のボウル106を入口栓107に保持するスプリング座104を調整ネジ102との間に介在させるバネ108で押圧し、調整ネジ102に形成するピン部103をスプリング座104に形成する穴部105に挿入してダンパ機能を持たせている。この構造で、従来よりも部品が少なく、加工が容易になる。
【0059】
図12もリリーフ弁の具体的実施例で、図11との違いは、スプリング座104にピン部109を形成し、このピン部109を調整ネジ102に形成した穴部110に挿入してダンパ機能を持たせているところである。
【0060】
図13のリリーフ弁の実施例では、バネ108を押えるバネ押え112の受穴112aと調整ネジ102の受穴102aとで挟んでボール111を介在させているところが従来との違いで、バネ押え112の穴部113にスプリング座104のピン部109を挿入しているところは従来と同じである。
【0061】
図14は、パイロットチェック弁の具体的実施例で、本体114内に設けるパイロットスプール118を挟んでチェック弁115とプラグ116を本体114へ取り付けている。パイロットスプール118を本体内へ組み込む際の位置決めとして、パイロットスプール118の端部に穴部118aを設け、この穴部118にプラグ116の先端に形成するピン部116aを嵌入するようにしている。
【0062】
図15のパイロットチェック弁の具体的実施例では、パイロットスプール118をチェック弁115のスリーブ121先端にC型止輪120で取り付け、図12のプラグ116を沈みプラグ119に換えている。この構成では、パイロットスプール118がチェック弁115と一体になっているために組み付けが容易になる。
【0063】
図16は、走行装置の自動制御にかかる制御ブロック図である。
まず、コントローラ125に入力するデータ信号は、旋回操作を行うパワステレバーの左右傾動信号をパワステポジションセンサ126が入力し、左右クローラ駆動軸の回転信号が回転センサ(左)127と回転センサ(右)128から入力し、左右サイドクラッチを作動する左右シリンダの圧力信号がシリンダ圧力感知センサ(左)129とシリンダ圧力感知センサ(右)130から入力し、サイドクラッチを作動させるパワステソレノイドの電圧がパワステソレノイド電圧変化感知センサ(左)131とパワステソレノイド電圧変化感知センサ(右)132から入力する。
【0064】
コントローラ125から出力する制御信号は、旋回ブレーキ圧調整用比例弁133へ作動信号が出力され、左右サイドクラッチを入・切するパワステソレノイド(左)134とパワステソレノイド(右)135へ作動信号が出力され、走行安定を表示するモニタランプ136へ点滅信号が出力され、旋回方向を表示するウインカ137へ点滅信号が出力され、自動方向制御状態を表示するACDランプ138へ点滅信号が出力され、機体の後進時に鳴動するバックブザー139へ鳴動信号が出力され、エンジン回転を停止するエンジン停止ソレノイド140へ停止信号が出力され、無段変速装置のトラニオン軸を中立にするHST中立復帰用モータ141に中立信号が出力され、無段変速装置へのテンションクラッチを入・切するHST入力テンション入切モータ143に入切信号が出力される。
【0065】
本実施例の走行装置の旋回構成は、サイドクラッチとデフ機構を併用したもので、サイドクラッチを切った後にデフ機構を作用させるようにしているために、サイドクラッチが完全に切られていないと二重噛み合いとなって伝動機構が破損する。以下の制御は、上記の二重噛み合いを防ぐためである。
【0066】
第一の制御は、パワステソレノイド電圧変化感知センサ(左)131とパワステソレノイド電圧変化感知センサ(右)132の電圧変化を監視し、パワステレバーを旋回操作しても電圧変化が無ければ、サイドクラッチが切れていないので、旋回ブレーキ圧調整用比例弁133を圧力上昇にしないか、HST中立復帰用モータ141を作動して無段変速装置を中立にしてサイドクラッチへの動力伝動を断つか、エンジン停止ソレノイド140を作動してエンジンを停止させるか、バックブザー139を鳴動させたり、ウインカ137やモニタランプ136やACDランプ138を点滅させたり、HST入力テンション入切モータ143をクラッチ切にする等の緊急制御を行う。
【0067】
また、回転センサ(左)127と回転センサ(右)128の出力差を監視し、パワステレバーを旋回操作しても出力差が無ければ、サイドクラッチが切れていないので、上記と同様の緊急制御を行う。
【0068】
さらに、圧力信号がシリンダ圧力感知センサ(左)129とシリンダ圧力感知センサ(右)130の出力を監視し、パワステレバーを旋回操作しても圧力上昇が無ければ、サイドクラッチが切れていないので、上記と同様の緊急制御を行う。
【0069】
回路構成として、左右サイドクラッチを作動する油圧シリンダを通ったオイルを旋回ブレーキ圧調整用比例弁133へ流すようにすれば、該油圧シリンダが作動しない限り、デフ機構が作動しないので、二重噛み合いとなることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施例のコンバインの全体側面図である。
【図2】ミッションケースの断面図である。
【図3】ミッションケースの一部拡大断面図である。
【図4】コンバインの油圧回路図である。
【図5】油圧回路の一部拡大図である。
【図6】油圧ブロックの側断面図である。
【図7】手動リリーフ弁の側断面図である。
【図8】別実施例の手動リリーフ弁の側断面図である。
【図9】リリーフ弁の側断面図である。
【図10】別実施例のリリーフ弁の側断面図である。
【図11】パイロットチェック弁の側断面図である。
【図12】別実施例のリリーフ弁の側断面図である。
【図13】別実施例のリリーフ弁の側断面図である。
【図14】別実施例のパイロットチェック弁の側断面図である。
【図15】別実施例のパイロットチェック弁の側断面図である。
【図16】制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
1 刈取装置
12 油圧ポンプ
35 電磁可変絞り弁
36 刈取電磁切換弁
37 刈取昇降シリンダ
70 刈取油路
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取装置昇降油圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインの刈取装置昇降油圧制御装置は、例えば、特開2002−21805公報に記載されている。
この刈取装置昇降油圧制御装置は、従来の高価な高速切換弁を使用せずに刈取装置の昇降速度を変更する手段として、油圧ポンプから昇降シリンダへの供給油路に供給量を複数段階に切換える主電磁制御弁を配置し、昇降シリンダから主電磁制御弁の間の油路から分岐したドレン油路に副電磁制御弁と可変絞り弁を配置して、刈取装置の昇降速度を二段或いは三段に切換えられるようにしている。
【特許文献1】特開2002−21805公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記刈取装置昇降油圧制御装置は、昇降シリンダと主電磁制御弁の間で分岐したドレン油路に副電磁制御弁と定可変絞り弁を設けているために、刈取装置の下降速度を変更するには、定可変絞り弁を事前に所望の下降速度になるように調整しなければならない。
【0004】
そこで、本発明では、昇降操作レバー等の手元操作で刈取装置の下降速度を任意に変更出来るようにすると共に、昇降操作レバー等の操作に応じて直ちに下降速度を変化させる応答性を良好にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、以下のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明では、油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取電磁切換弁(36)のオフ時に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置とした。
【0006】
この構成で、刈取電磁切換弁36をオンにして電流を流して徐々に下降側へ切換えると電磁可変絞り弁35が最大開放状態になっているので、刈取昇降シリンダ37のオイルが迅速に戻って刈取電磁切換弁36の切換速度に対応した下降速度で刈取装置1が下降を開始する。
【0007】
また、請求項2記載の発明では、油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取作業開始と共に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置とした。
【0008】
この構成で、刈取り作業を開始すると、刈取電磁切換弁36の切換速度に対応した下降速度で刈取装置1が下降する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、刈取電磁切換弁36の切換速度に対応した下降速度で刈取装置1が下降を開始するので、刈取電磁切換弁36をオペレータの手許に設ける昇降レバーで切換操作すれば、コンバインを圃場に入れて刈取装置1を下降させる刈取り作業開始時や旋回後の刈取装置1を下降させる操作が迅速に行え、刈取作業の能率を高めることができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明によると、電磁可変絞り弁35をコンバインの移動時に絞りを閉じた状態にしていても、作業を開始すると絞りを最大に開くので、刈取電磁切換弁36をオペレータの手許に設ける昇降レバーで切換操作すれば、刈取装置1を迅速に下降させることができ、刈取作業の能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明を具備したコンバインの全体側面図である。
【0012】
コンバイン11は、車台2の下部に左右一対のクローラ走行装置4,4を具備し、その車台2上に脱穀装置6を搭載している。車台2は、クローラ走行装置4,4に対して左右に傾けてローリングしたり前後に傾けてピッチングしたり可能に取り付けている。
【0013】
この脱穀装置6の前側で車台2の最前部に上端の枢支軸10を中心にして前側を昇降可能にした刈取フレーム5に刈取装置1を設けている。この刈取装置1は刈取り作業中は地面近くに位置させて刈取り作業を行い、旋回時や移動時には上昇させ、路上走行時には最大に上昇させて地面から離した状態にする。脱穀装置6の右側部前側にオペレータが搭乗するキャビン7を設け、その後側にグレンタンク9を設け、脱穀装置6の上側にグレンタンク9内の収穫穀粒を排出する穀粒排出オーガ8を起伏及び伸縮するように設けている。
【0014】
米や麦などの穀物を収穫する場合は、オペレータがキャビン7に搭乗して、刈取装置1を地面近くに位置させて左右のクローラ走行装置4,4を駆動して前進し、穀稈を刈取装置1で刈り取って脱穀装置6へ送り穀粒を脱穀してグレンタンク8に溜める。グレンタンク8の穀粒が満杯になれば、穀稈の刈り取りを中断して道路端に止めているトラックに近づき、グレンタンク8内の穀粒を穀粒排出オーガ8でトラック上の穀粒タンクへ排出する。
【0015】
図2と図3において、145はコンバイン等の作業機の走行装置のミッションケースであり、上部位置に走行速度を変速する走行用油圧式主変速装置(ハイドロスタチックトランスミッション)146を設けている。
【0016】
147はエンジンからの回転を走行用油圧式主変速装置146に入力する入力プーリ、148は走行用油圧式主変速装置146の出力軸であるが、ミッションケース145の入力軸となる。149は副変速軸であり、副変速軸149には一体的に回転するように歯車群150を設け、歯車群150にはカウンタ軸151の歯車152を選択的に噛み合わせる。カウンタ軸151により回転する中間軸153にはセンターギヤ154を設け、センターギヤ154はサイドクラッチ軸155に固定の受動歯車156と常時噛合っている。
【0017】
サイドクラッチ軸155にはサイドクラッチ歯車157を摺動自在に設け、サイドクラッチ歯車157に設けたクラッチ爪を受動歯車156の内歯に係脱自在に嵌合させて、左右サイドクラッチ158を形成する。左右サイドクラッチ158の構成は任意であり、実施例には限定されない。
【0018】
サイドクラッチ歯車157は左右車軸159に設けた車軸歯車160に夫々噛み合わせて、車軸159に回転を伝達する。
しかして、サイドクラッチ軸155の近傍には差動機構161を設け、差動機構161はその左右差動出力軸162に相互の回転数を変更して出力する。差動機構161は、ミッションケース145内に回転自在にケース163を設け、ケース163内には前記左右差動出力軸162の夫々の先端を臨ませる。実施例の左右差動出力軸162は軸筒形状に形成し、左右差動出力軸162はミッションケース145に設けた取付軸164に夫々独立して回転するように嵌合させる。この左右差動出力軸162の先端には左右傘歯車165を相対峙するように設ける。左右傘歯車165も実施例では左右差動出力軸162の先端に一体に設け、取付軸164に遊嵌させている。
【0019】
左右傘歯車165にはそれぞれケース163に固定の軸166に回転自在に取付けた中間傘歯車167を噛合わせ、前記ケース163の外周にはケース回転受動歯車167を設け、左右差動出力軸162の夫々に設けた旋回伝達歯車168を車軸歯車160に夫々噛み合わせる。
【0020】
差動機構161は、ケース回転受動歯車167を介してケース163の回転を変更し、左右差動出力軸162の夫々に設けた旋回伝達歯車168の回転を変更することにより旋回内側となる車軸を旋回外側の車軸より遅く駆動回転させて行なう緩旋回と、旋回内側となる車軸を停止させて行なうブレーキターンと、旋回内側となる車軸を旋回外側の車軸と反対に駆動回転させて行なうスピンターンとを行う。
【0021】
しかして、差動機構161の近傍には、前記ケース回転受動歯車167に回転を伝達する旋回用伝達装置169を設ける。170はケース回転受動歯車167に常時噛合う旋回用伝達装置169の一部を構成するケース回転歯車であり、旋回用中間軸171に設ける。旋回用中間軸171には内側ボス172を回転のみ自在に嵌合させ、内側ボス172には直進用入力歯車173を一体回転するように設ける。直進用入力歯車173は前記センターギヤ154と常時噛合っている受動歯車156に常時噛合せる。
【0022】
また、前記旋回用中間軸171の外周にはケーシング174を一体回転するように設け、ケーシング174の内周にはディスクを設け、該ディスクは前記内側ボス172の外周に設けたディスクと継脱自在に当接するようにして直進用クラッチ175を構成する。
【0023】
直進用クラッチ175は入りになると、前記センターギヤ154の回転を直進用入力歯車173から内側ボス172を介してケーシング174に伝達し、ケーシング174が旋回用中間軸171を回転させてケース回転歯車170を回転させる。
【0024】
差動機構161は、直進用クラッチ175が入りのとき、差動機構161から伝達する回転が左右サイドクラッチ158から伝達される回転と同じにしてメカロックしないように、左右差動出力軸162、21の夫々が同じ回転数になるようにケース163を回転させて直進用に作動させ、同一回転している左右傘歯車165の回転を旋回伝達歯車168を介して左右車軸159に伝達させて直進する。
【0025】
前記ケーシング174の外周にはドラム176を設け、ドラム176の基部側にはピストン177を設け、ピストン177とミッションケース145の間に外側シリンダ室178を形成する。
【0026】
ドラム176には内側プレート179を設け、送油口180から外側シリンダ室178に送油されると、ピストン177とドラム176と内側プレート179が図3の矢印方向に移動してケーシング174のディスクを内側ボス172の外周のディスクから離脱させて、直進用クラッチ175を切りにする。
【0027】
内側プレート179のケース回転歯車170側には外側プレート45を設け、前記内側プレート179と外側プレート181の間に直進用クラッチ175を入り方向に付勢するスプリング182を設け、スプリング182により直進用クラッチ175を常時入りにする。
【0028】
前記内側ボス172の外周には外側ボス184を回転のみ自在に設け、外側ボス184の外周に設けたディスクにケーシング174の内周に設けたディスクを、継脱自在に当接するようにして旋回用クラッチ186を構成する。外側ボス184には旋回用入力歯車187を設け、旋回用入力歯車187には旋回用中間歯車187aを噛み合わせる。
【0029】
旋回用入力歯車187と旋回用中間歯車187aとは、サイドクラッチ158から車軸159に伝達する回転に対して所定の旋回半径となる回転を伝達しうるギヤ比に設定する(旋回用クラッチ186が完全に入り状態のとき前記差動機構161がスピンターン用の出力可能に設定)。
【0030】
旋回用クラッチ186は、外側シリンダ室178に送油して直進用クラッチ175を切りにすると、入りとなって、旋回用中間歯車187a→旋回用入力歯車187→外側ボス184→ディスク→ケーシング174→旋回用中間軸171を介してケース回転歯車170に伝達し、差動機構161を旋回用に作動させる。
【0031】
即ち、直進用クラッチ175と旋回用クラッチ186は何れか一方が切りになると何れか他方が入りになるようにケーシング174に、夫々のディスクの移動方向に並設し、直進用クラッチ175のディスクの移動方向切り側に外側シリンダ室178を設け、直進用クラッチ175のディスクの移動方向入り側にスプリング182を設け、外側シリンダ室178に送油すると、ピストン177がドラム176と内側プレート179を移動させ、ケーシング174のディスクが内側ボス172の外周のディスクから離脱して、直進用クラッチ175を切りにし、ケーシング174の移動により外側プレート181が移動して旋回用クラッチ186を入りにする。
【0032】
この場合、旋回用クラッチ186は、ディスクの接触圧力を変更し、回転伝達「0」の切り状態(直進用クラッチ175が入りで接触圧力が「0」)から入り状態へ無段階に伝達するようにし、これにより、前記差動機構161のケース163の回転を、前記したように、緩旋回と、ブレーキターンと、スピンターンとをできるように変速する。
【0033】
したがって、旋回用伝達装置169には、差動機構161を旋回用に作動させるための回転の伝達を継脱させる旋回用クラッチ186と、差動機構161を直進用に作動させるために回転伝達を継脱させる直進用クラッチ175とを設けている。
【0034】
なお、実施例では、ブレーキターンは、差動機構161により旋回内側の車軸159の回転を停止させて行い、機体の制動は後述する走行速度を変更操作する主変速レバーにより行う。また、別途駐車ブレーキペダルを設けてもよい。
【0035】
図4は、コンバインの油圧回路を示している。
オイルタンク13から油圧ポンプ12で吸い上げられ高圧で吐出されるオイルが、クラッチ系油路14と操作系油路15と調圧油路16に分配される。
【0036】
調圧油路16は、高圧リリーフ弁69がオイルをオイルタンク13へ戻すドレン油路38に繋がり、クラッチ系油路14と操作系油路15のオイル圧を一定の高圧に保持する。
クラッチ系油路14は、低圧リリーフ弁57で減圧されて固定絞り63とフィルタ64を通って電磁切換弁58に供給され、メインクラッチ61の動作に使われる。
【0037】
操作系油路15は、フィルタ65を通って流路切換弁17でサイドクラッチ系油路66単独かサイドクラッチ系油路66と作業系油路67の両方に流される。サイドクラッチ系油路66に流れるオイルは絞り18とフィルタ68を通って左右サイドクラッチ操作弁20,21へ送られ、左右サイドクラッチシリンダ59,60の動作に使われる。左右サイドクラッチシリンダ59,60の伸び側に繋がる戻り油路78には手動リリーフ弁77が設けられている。なお、このイドクラッチ系油路66の余剰オイルはチェック弁19を通じて作業系油路67に送られる。
【0038】
作業系油路67のオイルは、調圧弁32によって二つの絞り30,31とリリーフ弁29を通じて圧を調整されてメイン作業油路39へ送られる。
メイン作業油路39のオイルは、刈取装置1の昇降用として刈取油路70から刈取電磁制御弁36へ送られる。刈取電磁制御弁36からはパイロットチェク弁33と固定絞り34を通って刈取昇降シリンダ37へ送る油路と絞り量を変更する下げ速度調整用可変絞り弁35を介してドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。なお、固定絞り34は、チェック弁付きの固定絞り弁にする場合もある。
【0039】
下げ速度調整用可変絞り弁35は、電磁絞り調整弁であって、オフ状態或いは刈取り作業時には絞りを最大に開放しておいて刈取電磁制御弁36の昇降切換速度を制御することで刈取装置1の下降速度変更を迅速に行える。また、運転席の前に設ける刈取装置昇降レバーと下げ速度調整用可変絞り弁35の絞り開放を連動して、刈取装置昇降レバーの回動角度を大きくするに従って電磁比例ソレノイドの出力を変えて下げ速度調整用可変絞り弁35の絞りの開放を大きくしてオイルの流れを増やし刈取装置1の下降速度を速く出来る。
【0040】
この電磁絞り調整弁35は、絞りを零から大きくするのではなく、最小限の絞りから最大絞りに変化させて、刈取電磁制御弁36の下降への切換のみで刈取装置1が僅かに下降するようにすれば、刈取装置昇降レバーを僅かに倒したり戻したりするオン・オフ操作で刈取装置1を徐々に下降させるような操作が行える。
【0041】
また、刈取作業中は、刈取装置1を大きく昇降させることがないので、電磁絞り調整弁35を最小絞りのままで固定して使うようにしても良い。
また、電磁絞り調整弁35の制御は、刈取装置昇降レバーの回動角を変更することで絞りを変化させるのではなく、刈取装置昇降レバーの回動速度が速いほど絞りの開放速度を大きくするように制御しても良い。
【0042】
さらに、刈取装置1に地面に接近したことを検出するセンサを設けて、電磁絞り調整弁35の絞りを大きく開いて速く下降させている際に該センサが地面近くを検出すると絞りを小さくして刈取装置1の下降速度を緩やかにして刈高さ調整を容易にして刈取装置1が地面に衝突することを防ぐことも出来る。
【0043】
電磁絞り調整弁35は、具体的には0.7〜1.7mmの範囲で絞りを変更するが、この絞り範囲の最大で刈取装置1の下降速度を速くできない場合には前記の固定絞り34を大きなものに交換すると装置1の最大下降速度を速く出来る。
【0044】
図6は、制御弁の具体的構成で、速度調整弁35を挟んで刈取電磁制御弁36とパイロットチェク弁33を一体的に組み付けている。
下げ速度調整用可変絞り弁35を2位置切換タイプの三方切換弁として、戻り側油路を絞り有りと無しにして戻り油を絞るか絞らないかの高・低に切換えるようにしても良い。
【0045】
また、下げ速度調整用可変絞り弁35を電磁比例減速弁で構成し、二段階或いは無段階に流量を変更して刈取装置1の下降速度を変更するようにしても良い。電磁比例減速弁は、電磁比例ソレノイドに通電する電流値を上昇すると絞りの開放度合いを大きくするように制御する。
【0046】
メイン作業油路39から分岐したオーガ油路71は、穀粒排出オーガ8の昇降用としてオーガ制御弁42へ送られる。オーガ制御弁42からはチェク弁40と絞り41を通ってオーガ昇降シリンダ43へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。なお、戻り油路に前記の下げ速度調整用可変絞り弁35を設けて、穀粒排出オーガ8の下降速度を変更出来るようにすれば、穀粒排出オーガ8の受けへの収納速度を調整できて操作が容易になる。その際に、穀粒排出オーガ8が受けに近づくに従って下降速度をゆっくりとして収納ショックを無くする。
【0047】
メイン作業油路39から分岐した左ローリング油路72は、車台2の左ローリング用として左ローリング制御弁46へ送られる。左ローリング制御弁46からはチェク弁44と絞り45とチェック弁53を通って左ローリングシリンダ47へ送る油路と左ローリングシリンダ47の縮側へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。
【0048】
メイン作業油路39から分岐した右ローリング油路73は、車台2の右ローリング用として右ローリング制御弁50へ送られる。右ローリング制御弁51からはチェク弁48と絞り49とチェック弁54を通って右ローリングシリンダ51へ送る油路と右ローリングシリンダ51の縮側へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。
【0049】
なお、左ローリングシリンダ47と右ローリングシリンダ51の戻り油路に前記の下げ速度調整用可変絞り弁35を設けて、車台2の左右下降速度を変更出来るようにすれば、車台2の左右水平制御の感度変更が可能になる。
【0050】
メイン作業油路39の終端部のピッチング油路74は、車台2のローリング用としてピッチング制御弁55へ送られる。ピッチング制御弁55からはチェク弁52を通ってピッチングシリンダ56の伸び側へ送る油路とピッチングシリンダ56の縮側へ送る油路とドレン油路38に繋がる戻り油路が接続されている。
【0051】
なお、ピッチングシリンダ56の戻り油路に前記の下げ速度調整用可変絞り弁35を設けて、車台2の前後傾き速度を変更出来るようにすれば、車台2の前後水平制御の感度変更が可能になる。
【0052】
なお、油圧ポンプ12とフィルタ75の間からHST駆動油圧回路の吸引油路76が接続されている。
図7〜図10には、前記手動リリーフ弁77の具体的構造の実施例が記載されている。手動リリーフ弁77は、本体80内に供給口81からのオイル圧で吐出口82への流路を開くポペット83が設けられ、本体80の供給口81と反対側に螺合する調整ネジ87に摺動可能に設けたプッシュピン86の先端に嵌合した圧縮バネ84でポペット83を押して流入圧を調整する構造である。
【0053】
図7の構造では、プッシュピン86がブッシュ90とOリング98,99で調整ネジ87の先端部に嵌合支持され、このプッシュピン86側にストッパ91がリング100で取り付けられ、調整ネジ87の端部とストッパ91との間に圧縮バネ92を介在させている。調整ネジ87の端面87pとストッパ91の端面91pの間隔Aは、本体80内部のポペット83とプッシュピン86の間隔Bよりも狭くして、ストッパ91の端面91pが調整ネジ87の端面87pに当たるまでプッシュピン86を押し込んでもプッシュピン86の先端がポペット83に当たらず、ポペット83やその周りを損傷することがない。
【0054】
プッシュピン86のポペット83側先端の位置は、調整ネジ87の本体80への捩じ込み程度によって調整され、調整ネジ87を固定ネジ88で固定する。
図8の構造で図7との違いは、調整ネジ87の端部構造とOリング99を一体装着型ダストシール93にしたところと、ストッパ91の構造で、プッシュピン86に捩じ込んだストッパ91を固定ネジ95で固定している。この構造では、調整ネジ87の端面87pとストッパ91の端面91pの間隔Aが、プッシュピン86に対するストッパ91の捩じ込み位置を調整することで行える特徴がある。
【0055】
図9の構造で図8との違いは、一体装着型ダストシール93を金属環付きダストシール94にして、これを押える押え具96を装着したところで、押え具96の端面96pとストッパ91の端面91pの間隔Aでプッシュピン86の許容ストロークが決まる。
【0056】
図10の構造で図9との違いは、押え具96を調整ネジ87へ埋め込む座金97としたところで、座金97の端面97pとストッパ91の端面91pの間隔Aでプッシュピン86の許容ストロークが決まる。
【0057】
コンバインの油圧回路で、油圧ポンプから送られるオイルを比例流量制御弁で刈取装置又は穀粒排出オーガの昇降を行う作業用油路と車体のローリングやピッチングを行う車体制御用油路に分岐する回路構成があるが、この回路構成で、刈取装置又は穀粒排出オーガの上昇操作と車体の下降操作を同時に行うと、刈取装置を一瞬下がってから上昇する問題が有るが、これは車体制御用油路の圧力低下が作業用油路の圧力低下となるためで、この対策のために、車体制御用油路の供給側にスプリングで通過圧力を所定圧以上とする圧力保持型逆止弁を設けたり、固定絞り付のリリーフ弁を設けたり、各左右ローリングシリンダとピッチンシリンダの戻り油路に所定オイル圧を保持するカウンタバランス弁を設けたりする。カウンタバランス弁を設ける構成では、チェク弁の入り口側プラグにカウンタバランス弁を設ければ、製作コストの低下になる。
【0058】
図11は、リリーフ弁の具体的実施例で、本体101内のボウル106を入口栓107に保持するスプリング座104を調整ネジ102との間に介在させるバネ108で押圧し、調整ネジ102に形成するピン部103をスプリング座104に形成する穴部105に挿入してダンパ機能を持たせている。この構造で、従来よりも部品が少なく、加工が容易になる。
【0059】
図12もリリーフ弁の具体的実施例で、図11との違いは、スプリング座104にピン部109を形成し、このピン部109を調整ネジ102に形成した穴部110に挿入してダンパ機能を持たせているところである。
【0060】
図13のリリーフ弁の実施例では、バネ108を押えるバネ押え112の受穴112aと調整ネジ102の受穴102aとで挟んでボール111を介在させているところが従来との違いで、バネ押え112の穴部113にスプリング座104のピン部109を挿入しているところは従来と同じである。
【0061】
図14は、パイロットチェック弁の具体的実施例で、本体114内に設けるパイロットスプール118を挟んでチェック弁115とプラグ116を本体114へ取り付けている。パイロットスプール118を本体内へ組み込む際の位置決めとして、パイロットスプール118の端部に穴部118aを設け、この穴部118にプラグ116の先端に形成するピン部116aを嵌入するようにしている。
【0062】
図15のパイロットチェック弁の具体的実施例では、パイロットスプール118をチェック弁115のスリーブ121先端にC型止輪120で取り付け、図12のプラグ116を沈みプラグ119に換えている。この構成では、パイロットスプール118がチェック弁115と一体になっているために組み付けが容易になる。
【0063】
図16は、走行装置の自動制御にかかる制御ブロック図である。
まず、コントローラ125に入力するデータ信号は、旋回操作を行うパワステレバーの左右傾動信号をパワステポジションセンサ126が入力し、左右クローラ駆動軸の回転信号が回転センサ(左)127と回転センサ(右)128から入力し、左右サイドクラッチを作動する左右シリンダの圧力信号がシリンダ圧力感知センサ(左)129とシリンダ圧力感知センサ(右)130から入力し、サイドクラッチを作動させるパワステソレノイドの電圧がパワステソレノイド電圧変化感知センサ(左)131とパワステソレノイド電圧変化感知センサ(右)132から入力する。
【0064】
コントローラ125から出力する制御信号は、旋回ブレーキ圧調整用比例弁133へ作動信号が出力され、左右サイドクラッチを入・切するパワステソレノイド(左)134とパワステソレノイド(右)135へ作動信号が出力され、走行安定を表示するモニタランプ136へ点滅信号が出力され、旋回方向を表示するウインカ137へ点滅信号が出力され、自動方向制御状態を表示するACDランプ138へ点滅信号が出力され、機体の後進時に鳴動するバックブザー139へ鳴動信号が出力され、エンジン回転を停止するエンジン停止ソレノイド140へ停止信号が出力され、無段変速装置のトラニオン軸を中立にするHST中立復帰用モータ141に中立信号が出力され、無段変速装置へのテンションクラッチを入・切するHST入力テンション入切モータ143に入切信号が出力される。
【0065】
本実施例の走行装置の旋回構成は、サイドクラッチとデフ機構を併用したもので、サイドクラッチを切った後にデフ機構を作用させるようにしているために、サイドクラッチが完全に切られていないと二重噛み合いとなって伝動機構が破損する。以下の制御は、上記の二重噛み合いを防ぐためである。
【0066】
第一の制御は、パワステソレノイド電圧変化感知センサ(左)131とパワステソレノイド電圧変化感知センサ(右)132の電圧変化を監視し、パワステレバーを旋回操作しても電圧変化が無ければ、サイドクラッチが切れていないので、旋回ブレーキ圧調整用比例弁133を圧力上昇にしないか、HST中立復帰用モータ141を作動して無段変速装置を中立にしてサイドクラッチへの動力伝動を断つか、エンジン停止ソレノイド140を作動してエンジンを停止させるか、バックブザー139を鳴動させたり、ウインカ137やモニタランプ136やACDランプ138を点滅させたり、HST入力テンション入切モータ143をクラッチ切にする等の緊急制御を行う。
【0067】
また、回転センサ(左)127と回転センサ(右)128の出力差を監視し、パワステレバーを旋回操作しても出力差が無ければ、サイドクラッチが切れていないので、上記と同様の緊急制御を行う。
【0068】
さらに、圧力信号がシリンダ圧力感知センサ(左)129とシリンダ圧力感知センサ(右)130の出力を監視し、パワステレバーを旋回操作しても圧力上昇が無ければ、サイドクラッチが切れていないので、上記と同様の緊急制御を行う。
【0069】
回路構成として、左右サイドクラッチを作動する油圧シリンダを通ったオイルを旋回ブレーキ圧調整用比例弁133へ流すようにすれば、該油圧シリンダが作動しない限り、デフ機構が作動しないので、二重噛み合いとなることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施例のコンバインの全体側面図である。
【図2】ミッションケースの断面図である。
【図3】ミッションケースの一部拡大断面図である。
【図4】コンバインの油圧回路図である。
【図5】油圧回路の一部拡大図である。
【図6】油圧ブロックの側断面図である。
【図7】手動リリーフ弁の側断面図である。
【図8】別実施例の手動リリーフ弁の側断面図である。
【図9】リリーフ弁の側断面図である。
【図10】別実施例のリリーフ弁の側断面図である。
【図11】パイロットチェック弁の側断面図である。
【図12】別実施例のリリーフ弁の側断面図である。
【図13】別実施例のリリーフ弁の側断面図である。
【図14】別実施例のパイロットチェック弁の側断面図である。
【図15】別実施例のパイロットチェック弁の側断面図である。
【図16】制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
1 刈取装置
12 油圧ポンプ
35 電磁可変絞り弁
36 刈取電磁切換弁
37 刈取昇降シリンダ
70 刈取油路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取電磁切換弁(36)のオフ時に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置。
【請求項2】
油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取作業開始と共に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置。
【請求項1】
油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取電磁切換弁(36)のオフ時に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置。
【請求項2】
油圧ポンプ(12)から刈取装置(1)を昇降する刈取昇降シリンダ(37)へオイルを供給する刈取油路(70)に刈取電磁切換弁(36)を設けると共に、該刈取電磁切換弁(36)の戻り側に刈取装置(1)の下げ速度調整用の電磁可変絞り弁(35)を設け、この電磁可変絞り弁(35)を刈取作業開始と共に最大開放状態に保持すべく制御する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置昇降油圧制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−261304(P2009−261304A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113844(P2008−113844)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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