説明

コンプレッサ用サージ制御システムおよび方法

電動モータにより動力を与えられるコンプレッサにおけるガスサージを制御するためのシステムおよび方法。コンプレッサを駆動する電動モータは、3相電力源によりにより動力を与えられるマイクロプロセッサを搭載する可変速度ドライブ(ASD)により制御される。コンプレッサのガス入力とガス吐出との間には、バイパスバルブが挿入される。バイパスバルブは、モータのパワーおよび速度に基づいてサージラインおよび関連する任意の制御ラインをプロットした格納されたサージマップを解析することによりガスサージを検出する、ASDからの信号に応答して開く。モータの動作点が制御ラインを越えると、ASDは、バイパスバルブを開かせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年3月30日に出願された米国仮特許出願第61/164,641号の優先権を主張するものであり、当該出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、パイプライン、液化天然ガスプラント、および他の産業施設におけるアプリケーションにおいてガス流サージにより引き起こされる損傷から電動モータ駆動式コンプレッサを保護するプロセス制御システムに関する。より詳細には、本システムおよび方法は、サージコントローラとして可変速度ドライブを用いる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
コンプレッサに対するサージは、ひどい振動、時として回転機器の損傷を引き起こす深刻な問題である。従来技術において既知の典型的なサージ制御システムを図1に示し、かかるシステムでは、モータ5がコンプレッサ10を駆動する。ガスは、パイプ15に沿って低圧入力吸込パイプ20を介してコンプレッサ10に流入し、パイプ25に沿ってガス出力パイプ30に吐出される。ガス流は、ライン40に沿ってサージコントローラ35により測定および監視される一方、吸込圧は、変化することが分かっている場合、ライン45に沿って測定および監視され、吐出圧は、ライン50に沿って測定および監視される。単純に言えば、サージは、パイプ25に沿うコンプレッサの吐出における過剰な圧力により、ガス流がコンプレッサ10に逆流する結果発生する。サージは、吐出における高圧ガスを低圧吸込パイプ20に逆流させて圧力を緩和する大型のバイパスバルブ55で制御される。バイパスバルブ55は、信号線60に沿ってサージコントローラ35により制御される。単純なバイパスバルブ以外の装置を用いてもよい。例えば、高吐出圧ガスをフレア(バーナ)に運ぶスプリング装荷ブローオフバルブが1つの可能性である。しかし、かかるバルブは、圧力を低く設定する必要があり、多用されると無駄が多く高くつく。第3の同様の機構には、吐出側のスプリング装荷リリーフバルブがあり、かかるバルブは、圧力が事前に設定された高い値に到達すると開き、ガスを吸込側に運び戻す。この種のバルブも、安全のために圧力を低く設定する必要があり、上記と同じ欠点を有する。
【0004】
コンプレッサ10の工場試験の際は、ある回転速度範囲において圧力およびガス流を測定し、サージの発生を注意深く測定し、入力ガス流と吐出圧との間の関係を表すグラフ形式の2次元サージマップ上に描く。各圧力およびガス流点について、図2に示すように、対応する馬力およびモータ速度を測定し、マップ上に描く。このマップを用いて、ガス流の条件が図2に示すサージ限界に接近するとバイパスバルブ55を開くようにサージコントローラ35をプログラムする。特定の構成において吸込圧も変化する可能性がある場合は、図2の縦軸を圧力比(吐出圧/吸込圧)を表すように修正し、サージ制御に用いられる同様の形状の1組の曲線を作成する。
【0005】
通常のコンプレッサの動作中、横軸上のコンプレッサ吸込流と縦軸上の様々な動作点におけるコンプレッサ吐出との間の関係のグラフ形式のサージマップを提示する図3に示すように、動作点Xは、制御ラインAに対して右側の領域である安全動作領域にある。制御ラインA自体は、システム動作において安全マージンを提供するため、サージラインBに対して任意の量だけ右側にコントローラにプログラムされている。プロセス条件の変更またはコンプレッサ速度の変化により動作点が制御ラインAを跨いで移動すると、コントローラ35は、バイパスバルブ55を開き始め、吐出圧を緩和するとともにコンプレッサ10を安全運転領域に戻す。図3は、モータ5のRPMにおける様々な例示的な定速C、D、E、F、およびGにおけるコンプレッサ吸込流対コンプレッサ吐出圧の関係も示す。それらの定速が増加するにつれ、相対的な吸込流および圧力も増加する。
【0006】
サージコントローラ35は、115におけるサージコントローラマップからの動作点と120におけるサージコントローラマップからの制御ラインからの設定点とを入力として有する比例積分(PI)コントローラ100を有する。図4に示すように、PI100は、電流出力105を発生させる。電流出力は、変換器110により、常閉のバイパスバルブ55を作動させる空気圧または油圧のいずれかに変換される。制御エラーが検出されると、PI100は、バイパス流を生じさせるようにバルブ55を開き始めさせる出力を生成する。エラーが低減すると、出力は減少し、バルブは閉じる。特別な条件についての制御を行うため、適応制御をPIに追加することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の伝統的なサージ制御システムは、マイクロプロセッサベースのサージコントローラに加え、ガス流、吸込圧、および吐出圧を測定する少なくとも3つのセンサを要求する。より簡単で、より信頼性が高く、より安価なサージ制御システムがユーザにとって有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電動モータにより動力を与えられる産業用コンプレッサにおけるガスサージを防止するためのシステムおよび方法に関する。システムは、ガス入力ラインおよびガス出力ラインを有する。ガス入力ラインとコンプレッサへの入力との間には、低圧入力吸込ラインが接続されている。ガス出力ラインとコンプレッサからの出力との間には、ガス吐出ラインが接続されている。ガス吐出ラインと低圧入力ラインとの間には、バイパスバルブに接続された空気/油圧変換器を含んでもよいバイパス手段が接続されている。マイクロプロセッサを搭載する可変速度ドライブ(ASD)は、3相電力供給により動力を与えられ、電動モータとバイパス手段との間に接続されている。ASDは、2次元コンプレッササージマップを生成するとともに格納し、かかるサージマップから、ガス吐出ラインにおけるガスサージの発生を判定する。ガスサージの発生が検出されると、バイパスバルブに接続された空気/油圧変換器に信号を送ることによりバイパスバルブが閉じられ、電動モータの速度およびパワーが修正される。代替の実施形態では、多数のセンサにより提供される圧力およびガス流の情報に基づいて動作するサージコントローラに依拠する既存のシステムにASDを追加することにより、バイパス手段の冗長制御が提供される。
【0009】
サージ制御方法も開示され、かかる方法では、ASDにおけるマイクロプロセッサにより、システムにより用いられるコンプレッサの速度およびパワーに基づいて、いずれの所与の速度またはパワーについても望ましくないサージが生じる点を指示するサージラインのグラフ表現を含む2次元サージマップが生成される。いずれの所与の速度においても制御ラインがより高いコンプレッサ馬力を指示するとともにいずれの所与のコンプレッサ馬力においても制御ラインがより低い速度を指示するように、すべての点においてサージラインから任意の距離だけ離間された、さらなるグラフ状の制御ラインが生成される。サージラインおよび制御ラインを含むグラフがマイクロプロセッサに格納され、コンプレッサの入力におけるガス温度および吸込圧などの任意の追加入力に基づく修正がなされる。少なくとも5ミリ秒毎に、マイクロプロセッサは、速度およびパワーについてコンプレッサの動作点を確認し、その点が制御ライン上のいずれかの点に等しいかまたはいずれかの点を越えているかを判定する。等しいかまたは越えている場合、空気/油圧変換器を介してバイパスバルブに開くように指令するアナログ信号が発せられる。等しくも越えてもなく、バルブが既に開くように指令されている場合、閉じる指令が送られる。冗長サージ制御を提供する代替の実施形態では、本方法は、ASDおよびサージコントローラから送られた信号が異なる場合にそれらの信号の大きい方に応答してバイパスバルブを制御するステップを提供する。
【0010】
本発明の上述および他の目的、態様、および利点は、下記の添付図面を参照して本発明の後続の詳細な説明からより深く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術において既知の典型的なサージ制御システムをブロック図形式で示す。
【図2】様々なモータ馬力および速度におけるガス流と吐出圧との間の関係のグラフ形式の典型的な2次元サージマップである。
【図3】制御ラインを示す、コンプレッサ吸込流とコンプレッサ吐出圧との間の関係のグラフ形式のサージマップである。
【図4】サージコントローラのPI部およびバイパスバルブを示すブロック図である。
【図5】本発明の原理を具現化する装置のブロック図である。
【図6】コンプレッササージマップのグラフ表現である。
【図7】本発明の原理を具現化する代替の装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明の好適な実施形態についての装置を図5に示し、かかる装置では、図1と同様に、電動モータ5がコンプレッサ10に動力を与え、かかるコンプレッサは、ガス入力流パイプ15に接続された低圧入力吸込パイプ20とガス出力パイプ30に接続されたコンプレッサガス吐出パイプ25とを有する。しかし、GE Oil & Gas、Dresser Rand、三菱、およびSiemensによりかかる用途のために製造されたものなどのコンプレッサが用いられるときは、電動モータ5は、図5に示すように、スムーズにモータ5を始動させるとともにコンプレッサ10の速度を制御するために用いられる可変速度ドライブ(ASD)200により制御される。ASD200は、3相電力供給205により動力を与えられ、モータ5に供給するライン210を介して可変周波数の3相動力を生成し、モータ速度およびパワーを制御する。モータ5に適合しモータ5を制御するのに適切なサイズを有するとともにマイクロプロセッサベースの制御を含むものであれば、いずれのASDもこの目的に用いることができる。本明細書に開示の種類の編成において用いることが可能なASDの例には、ともに東芝三菱電機産業システム株式会社製のDura-Bilt5i MVおよびTMdrive-XL85がある。かかるコンプレッサに適合可能な電動モータは、東芝三菱電機産業システム株式会社、GE、およびSiemensなどの会社により生産されている。
【0013】
ASDおよび電動モータを用いてコンプレッサに動力を与えるときは、コンプレッサ圧およびコンプレッサガス流の各点の間と、ならびにASDパワーおよびモータ速度の各点の間との両方に対応関係が生じる。ASDの周波数は電動モータの速度に対応しているため、ASDがデータ格納能力を有する限り、パワー/速度2次元サージマップの形式のコンプレッササージマップを作成し、ASDに格納することが可能である。ASDにおいて、パワーおよび速度は、kWおよび周波数により表され、容易に利用可能である。図6は、縦軸がコンプレッサ馬力を表すとともに横軸がRPMで表されたコンプレッサ速度を表す、この場合は、制御ラインAに対して左側の安全領域にある点Xにおいて動作するコンプレッサを示すサージマップのグラフ表現である。非安全領域は、制御ラインAで始まり制御ラインAに対して右側の、サージラインBを含む図面の部分である。制御ラインAは、サージラインBから任意の距離だけ離れて配置されている。定圧ラインH、I、およびJは、このサージマップと図2に示すマップとの間の一対一対応を指示するように示しているが、これらのラインは、動作点、制御ライン、またはサージラインの設定に関してサージ制御を実施する際に何の役割も果たさない。
【0014】
ASDは、その出力電圧および電流を継続的に監視し、モータへの負荷が増加すると、ASDのパワー出力を速やかに増加させる。このため、ASDは、常時、モータへの負荷(HP)に対して敏感である。同様に、ASDは、ユーザにより所望される周波数を生成するので、常時、モータ速度に対しても敏感である。
【0015】
代替として、2次元モータトルク−速度マップから導出された異なるASDサージマップを用いることが可能である。ASDは、同期モータ周波数を把握しており、モータトルクを指示するモータ電流を継続的に測定しているため、この種のマップを作成し、ASDに格納し、サージマップとして機能させてもよい。
【0016】
動作中、ライン15に沿うコンプレッサ10へのガス入力温度が感知可能なほどに変化した場合、コンプレッササージマップを変更してもよい。かかる温度データは、監視し、ライン215上のマイクロプロセッサへの任意のアナログ入力としてASD200に提供し、その結果、必要に応じて適切な補償を行うようにサージマップを修正してもよい。同様に、コンプレッサ吸込圧を任意選択に監視し、ライン220に沿ってASD200に提供し、サージマップをさらに修正してもよい。
【0017】
ASD200は、その自らのマイクロプロセッサを有しているため、そのマイクロプロセッサにおいて比例積分(PI)制御アルゴリズムを実行するか、または、別体の外部PIコントローラに接続することが可能である。サージラインから任意の距離だけ離れて配置された事前にプログラムされた制御ラインを有する格納された2次元ASDサージマップを用いて、ASD200は、115におけるASDサージマップからの動作点と120におけるASDサージマップからの制御ラインからの設定点とのPIへの入力に基づいて、制御エラーがいつ生じるかを判定することが可能である。エラーが生じた場合、ライン225に沿ってサージ制御信号が発せられ、上記の種類の1つであってもよいコンプレッサバイパスバルブ55を直接作動させる。他のオプションも存在し、例えば、ASD200は、そのローカルエリアネットワークポートを通じてプロセス制御システムにサージ警報を発し、もしくは要求に応じてコンプレッサ速度またはトルクを変更し、またはこれらのいずれの組み合わせも行うことが可能である。サージエラーが検出されなくなると、サージ制御信号は減少し、バイパスバルブは閉じる。
【0018】
本発明の装置の代替の実施形態を図7に示す。この編成を用いて、本発明のサージ制御システムを伝統的なサージ制御システムを既に用いているコンプレッサに追加して、バイパスバルブ55の冗長制御を提供することが可能である。本実施形態では、サージコントローラからの第1のアナログ信号60およびASDからの第2のアナログ信号225は、信号値の0〜100%を表す4〜20maで変化する連続電流である。アッパセレクタなどの、しかしそれに限定されない装置230は、2つのアナログ信号を比較し、2つの入力信号の大きい方をバイパスバルブ55に送る。この編成は、サージを防止するためにバイパスバルブ55を開く、およびサージまたは潜在的なサージが防止された後にバイパスバルブ55を閉じる両方に用いられる。いずれかの信号が故障しゼロになると、他方の信号が必要に応じてバイパスバルブ55を動作させ、冗長性が提供される。この編成によれば、システムは、バイパスバルブ55が何をしているかを把握する必要がなく、システムの信頼性が高められる。
【0019】
本発明は、伝統的なスタンドアローン型サージコントローラに対して改善されたサージ制御を提供する。この代替は、3つのセンサを用いないので、信頼性がより高く、より低コストである。伝統的なサージ制御を既に有するコンプレッサには、本発明は、低コストで追加可能な冗長サージ制御を提供することが可能である。かかる二重構成では、システムのいずれかがバイパスバルブを制御することで、システムの全体的な信頼性をオーダ単位で増加させることが可能である。これらのコンプレッサトレインは非常に高価で大きい収入を生むため、本発明によりもたらされる安全システムの信頼性の増加および機器損傷の可能性の低下は、著しい利点である。その上、ASDを用いることにより、例えば、一時的に速度を変更して条件をサージラインから離れさせることが所望される場合に、顧客が制御目的で用いることが可能なモータ速度およびトルクの直接制御が提供される。最後に、本発明のシステムでは、駆動電流がモータトルクの変化に対してほとんど瞬時に反応し、ドライブがその制御アルゴリズムを概ね5ミリ秒毎に実行するため、スタンドアローン型外部サージコントローラよりも速く作用するサージ信号が提供される。
【0020】
上述の発明は、好適な実施形態により説明した。しかし、本発明の要旨から逸脱することなく開示の装置および方法に様々な修正および変形を行うことが可能であり、本発明の具体的に開示された要素に法的均等物を代用してもよいことが、当業者には明白であろう。明細書および例は、単に例示的なものであり、本発明の真の範囲は、後続の請求項により定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス入力およびガス出力を有する産業用コンプレッサにおけるガスサージを防止するためのプロセス制御編成におけるシステムであって、前記コンプレッサは、3相電力供給により動力を与えられる電動モータにより駆動される、システムであって、
システムガス入力供給ラインと、
システムガス出力ラインと、
前記ガス入力供給ラインと前記コンプレッサの前記ガス入力との間に接続された低圧入力吸込ラインと、
前記コンプレッサの前記ガス出力と前記ガス出力ラインとの間に接続されたガス吐出ラインと、
前記ガス吐出ラインと前記低圧入力吸込ラインとの間に接続された、前記コンプレッサガス吐出ラインにおける過剰な圧力を緩和するためのバイパス手段と、
3相電力供給により動力を与えられるとともに前記電動モータと前記バイパス手段との間に接続された可変速度ドライブ(ASD)手段であって、前記ASD手段は、2次元コンプレッササージマップを生成して前記ASDに格納し、前記ガス吐出ラインにおけるガスサージの発生を判定し、かかるサージの検出に反応し、前記モータの速度およびパワーを制御するためのものであり、前記バイパス手段は、前記ASDにより作動される、ASD手段と、を含む、システム。
【請求項2】
前記2次元サージマップは、前記電動モータのパワーおよび速度のみから導出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記2次元サージマップは、前記電動モータのトルクおよび速度のみから導出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記可変速度ドライブ手段は、さらに、
前記格納されたサージマップ上にプロットされた前記コンプレッサの動作点と前記格納されたサージマップ上にプロットされたサージ制御が必要な点を指示する制御ラインとを入力として有するとともに1つの出力を有する比例積分(PI)コントローラと、
前記PIコントローラを制御するとともにPIアルゴリズムを実行することが可能なマイクロプロセッサと、
前記ASD手段から前記バイパス手段に延在する制御ラインと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンプレッサへのガス入力の温度を表すデータを測定および収集するとともにそのデータを前記ASD手段に供給するための温度センサ手段と、
前記低圧入力吸込ラインにおける圧力を表すデータを測定および収集するとともにそのデータを前記ASD手段に供給するための圧力センサ手段と、をさらに任意で含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ガスサージを検出すると、前記ASD手段は、前記バイパス手段の作動、サージ警報のプロセスコントローラへの送信、または前記コンプレッサの速度もしくはトルクの修正、のうちの1つ以上を生じさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記バイパス手段は、さらに、空気/油圧変換器と、バイパスバルブとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンプレッサへのガス入力の温度を表すデータを測定および収集するとともにそのデータを前記ASD手段に供給するための温度センサ手段と、
前記低圧入力吸込ラインにおける圧力を表すデータを測定および収集するとともにそのデータを前記ASD手段に供給するための圧力センサ手段と、をさらに任意で含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ガス入力およびガス出力を有する産業用コンプレッサにおけるガスサージを防止するためのプロセス制御編成におけるシステムであって、前記コンプレッサは、3相電力供給により動力を与えられる電動モータにより駆動される、システムであって、
システムガス入力供給ラインと、
システムガス出力ラインと、
前記ガス入力供給ラインと前記コンプレッサの前記ガス入力との間に接続された低圧入力吸込ラインと、
前記コンプレッサの前記ガス出力と前記ガス出力ラインとの間に接続されたガス吐出ラインと、
前記ガス吐出ラインと前記低圧入力吸込ラインとの間に接続された、前記コンプレッサガス吐出ラインにおける過剰な圧力を緩和するためのバイパス手段と、
入力ガス流と吐出圧との間の関係を表す事前にプログラムされた2次元サージマップを格納し、前記サージマップに基づいて前記ガス吐出ラインにおけるガスサージの発生を判定し、サージが検出された場合に前記バイパス手段を開く信号を発するためのサージコントローラ手段であって、前記サージコントローラ手段は、1つの出力と3つの入力とを有する、サージコントローラ手段と、
前記低圧入力吸込ラインと前記サージコントローラ手段の第1の入力との間に接続されたガス流センサと、
前記低圧入力吸込ラインと前記サージコントローラ手段の第2の入力との間に接続された第1の圧力センサと、
前記ガス吐出ラインと前記サージコントローラ手段の第3の入力との間に接続された第2の圧力センサと、
3相電力供給により動力を与えられるとともに1つの出力を有する可変速度ドライブ(ASD)手段であって、前記ASD手段は、前記電動モータに接続され、2次元コンプレッササージマップを生成して前記ASDに格納し、前記サージマップに基づいて前記ガス吐出ラインにおけるガスサージの発生を判定し、かかるサージの検出に反応し、前記モータの速度およびパワーを制御するためのものであり、前記バイパス手段は、前記ASDにより作動可能である、ASD手段と、
前記ASD手段の前記出力と前記サージコントローラ手段の前記出力とに接続されたサージ制御監視手段であって、前記サージコントローラ手段が適正に動作しているかを検出し、前記サージコントローラ手段の故障が検出された場合に前記ASD手段からの命令に応答して前記サージ制御監視手段からの出力に沿って前記バイパス手段を作動させるためのサージ制御監視手段と、を含む、システム。
【請求項10】
前記ASD手段は、さらに、
前記格納されたサージマップ上にプロットされた前記コンプレッサの動作点と前記格納されたサージマップ上にプロットされたサージ制御が必要な点を指示する制御ラインとを入力として有するとともに1つの出力を有する比例積分(PI)コントローラと、
前記PIコントローラを制御するとともにPIアルゴリズムを実行することが可能なマイクロプロセッサと、
前記ASD手段の前記出力から前記サージ制御監視手段に延在する制御ラインと、を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記サージコントローラ手段は、さらに、
前記格納されたサージマップ上にプロットされた前記コンプレッサの動作点と前記格納されたサージマップ上にプロットされたサージ制御が必要な点を指示する制御ラインとを入力として有するとともに1つの出力を有する比例積分(PI)コントローラと、
前記PIコントローラを制御するとともにPIアルゴリズムを実行することが可能なマイクロプロセッサと、
前記PIコントローラの前記出力から前記サージコントローラ手段の前記出力に延在する制御ラインと、を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記バイパス手段は、さらに、空気/油圧変換器と、バイパスバルブとを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンプレッサへのガス入力の温度を表すデータを測定および収集するとともにそのデータを前記ASD手段に供給するための温度センサ手段と、
前記低圧入力吸込ラインにおける圧力を表すデータを測定および収集するとともにそのデータを前記ASD手段に供給するための圧力センサ手段と、をさらに任意で含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
ガスコンプレッサを駆動する電動モータであって、前記ガスコンプレッサは、低圧入力吸込ラインによりガス入力流ラインに接続された入力とコンプレッサガス吐出ラインによりガス出力ラインに接続された出力とを有する、電動モータと、前記低圧入力吸込ラインと前記コンプレッサガス吐出ラインとの間に接続されたバイパスバルブであって、かかるバイパスバルブの動作は、マイクロプロセッサを搭載し3相動力を受ける可変速度ドライブ(ASD)により送られる空気/油圧変換器への信号により制御され、かかるASDは、前記電動モータに供給される可変周波数の3相動力を生成する、バイパスバルブとを有するプロセス制御システムにおけるガスサージを防止するための方法であって、
前記電動モータのパワーおよび速度のみに基づいて、いずれの所与の速度またはパワーについても望ましくないサージが生じる点を指示するサージラインのグラフ表現を含む2次元サージマップを、前記ASDにおける前記マイクロプロセッサにおいて生成するステップと、
いずれの所与の速度においても制御ラインがより高いコンプレッサ馬力を指示するとともにいずれの所与のコンプレッサ馬力においても制御ラインがより低い速度を指示するように、すべての点において前記サージラインから任意の距離だけ離間されたグラフ状の制御ラインを構成するステップと、
前記制御ラインを前記ASDにおける前記サージマップに挿入するステップと、
前記サージマップを前記ASDにおける前記マイクロプロセッサに格納するステップと、
少なくとも5ミリ秒毎に、前記電動モータの動作馬力および速度で表された前記コンプレッサの動作点を判定するステップと、
前記動作点が前記制御ラインと一致するかまたは前記制御ラインを越えるかを算出するステップと、
一致するかまたは越える場合、前記空気/油圧変換器を介して前記ASDから前記バイパスバルブに所定量だけ開くように指令するアナログ信号を発するステップと、
一致も越えることもせず、前記バイパスバルブが過去に開くように指令されている場合、前記空気/油圧変換器を介して前記ASDから前記バイパスバルブに閉じるようにさらに指令するステップと、
それ以外の場合、判定するステップに戻るステップと、を含む、方法。
【請求項15】
生成ステップの後に、
前記コンプレッサへのガス入力の温度と、前記コンプレッサへのガス入力の吸込圧とを前記マイクロプロセッサに送信するステップと、
前記温度および圧力のデータに応答して要求に応じて前記サージラインを修正するステップと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ガスコンプレッサを駆動する電動モータであって、前記ガスコンプレッサは、ガス流センサおよび第1の圧力センサが接続された低圧入力吸込ラインを介してガス入力流ラインに接続された入力と第2の圧力センサが接続されたコンプレッサガス吐出ラインに接続された出力とを有し、前記コンプレッサガス吐出ラインは、さらに、ガス出力ラインに接続されている、電動モータと、前記低圧入力吸込ラインと前記コンプレッサガス吐出ラインとの間に接続されたバイパスバルブであって、かかるバイパスバルブの動作は、前記バイパスバルブに接続されたマイクロプロセッサを搭載し3相動力を受ける可変速度ドライブ(ASD)であって、かかるASDは、前記電動モータに供給される可変周波数の3相動力を生成する、ASD、または前記バイパスバルブに接続されたサージコントローラのいずれかにより制御することができ、前記ASDと前記サージコントローラとの両方の出力は、前記バイパスバルブの動作を調整するコンパレータを搭載する空気/油圧変換器に接続されている、バイパスバルブとを有するプロセス制御システムにおけるガスサージを防止するための方法であって、
前記電動モータのパワーおよび速度に基づいて、いずれの所与の速度またはパワーについても望ましくないサージが生じる点を指示するサージラインのグラフ表現を含む2次元サージマップを、前記ASDにおける前記マイクロプロセッサにおいて生成するステップと、
いずれの所与の速度においても制御ラインがより高いコンプレッサ馬力を指示するとともにいずれの所与のコンプレッサ馬力においても制御ラインがより低い速度を指示するように、すべての点において前記サージラインから任意の距離だけ離間されたグラフ状の制御ラインを構成するステップと、
前記制御ラインを前記ASDにおける前記サージマップに挿入するステップと、
前記サージマップを前記ASDにおける前記マイクロプロセッサに格納するステップと、
少なくとも5ミリ秒毎に、前記電動モータの動作馬力および速度で表された前記コンプレッサの動作点を判定するステップと、
前記動作点が前記制御ラインと一致するかまたは前記制御ラインを越えるかを算出するステップと、
一致するかまたは越える場合、前記サージコントローラが第1のアナログ信号を、前記ASDが第2のアナログ信号を発し、前記空気/油圧変換器に所定量だけ開くように指令し、このとき前記第1のアナログ信号を前記第2のアナログ信号と比較し、前記2つの信号の大きい方を前記空気/油圧変換器に送るステップと、
一致も越えることもせず、前記バイパスバルブが過去に開くように指令されている場合、前記サージコントローラが第1のアナログ信号を、前記ASDが第2のアナログ信号を発し、前記空気/油圧変換器に閉じるように指令し、このとき前記第1のアナログ信号を前記第2のアナログ信号と比較し、前記2つの信号の大きい方を前記空気/油圧変換器に送るステップと、
それ以外の場合、判定するステップに戻るステップと、を含む、方法。
【請求項17】
生成ステップの後に、
前記低圧入力吸込ラインに取り付けられた温度センサからの前記コンプレッサへのガス入力の温度と、前記第1の圧力センサからの前記コンプレッサへのガス入力の吸込圧とを前記マイクロプロセッサに送信するステップと、
前記温度および圧力のデータに応答して要求に応じて前記サージマップにおける前記サージラインを修正するステップと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−522182(P2012−522182A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503547(P2012−503547)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/029012
【国際公開番号】WO2010/114786
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511235777)ティーエムイーアイシー コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】