説明

コンベヤベルト全長測定装置

【課題】簡便かつ迅速に精度よく無端ベルトの全長を測定できるコンベヤベルト全長測定装置を提供すること。
【解決手段】ベルトコンベヤ5を構成する無端ベルト6に一定の測定間隔Lで設置する第1反射部材12及び第2反射部材13と、無端ベルト6に設置された反射部材12,13に向けて所定の光を出射するLED15aと反射部材12,13からの反射光を受光するフォトトランジスタ15bとからなるセンサ部15と、無端ベルト6が起動されているときに、センサ部15からの出力信号に基づいて反射部材12,13が一定距離を通過するのに要する通過時間を計測する計測制御部20と、計測制御部20によって計測された結果を表示すると共に必要な情報を表示する表示部21と、計測制御部20に所定の信号を入力する入力部22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭火力発電所や製鉄事業所その他の施設の各種設備において、石炭、石灰石、セメント、鉱石、石膏等の搬送物を搬送するベルトコンベヤのコンベヤベルト全長測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、石炭火力発電所等の石炭等の供給系統に使用されるベルトコンベヤを例にして説明する。従来より、ベルトコンベヤは、無端ベルト(コンベヤベルト)によって石炭等をボイラ等へ長距離搬送する。このようなベルトコンベヤは、石炭等の搬送物の量を計量する計量装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
計量装置は、無端ベルトの単位長さで搬送する搬送量と、無端ベルトの全長とに基づいて全搬送量を計量できるようになっている。無端ベルトは、経年変化等により全長が変化するので、計量装置によって正確な計量をするためには、計量装置を定期的(例えば、年間3回)に校正する必要があり、この校正に使用されるデータとして無端ベルトの全長を正確に測定する必要がある。
【0004】
ところで、石炭火力発電所等で使用されるベルトコンベヤの無端ベルトの全長は、数百メートル(例えば、750m)に達する場合も少なくない。このため従来は、複数の作業員が、停止された無端ベルト上に上がり、長尺の巻尺(例えば、200mの全長を有し、1/1000mmの精度を有するもの)を用いて手作業で無端ベルトの全長を測定していた。
【特許文献1】特開2000−198547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したきわめて長い巻尺を利用して手作業で測定する場合、無端ベルト上で巻尺を一直線に弛みなく伸ばす必要がある。すなわち、巻尺を何度も引っ張りながら巻尺の弛みをとらなければならず、熟練度を要すると共にかなりの重労働であった。
【0006】
また、市販されている巻尺の長さには限度があるため(例えば、200m)、作業員が測定点を慎重にマーキングしながら複数回に分けて測定作業をする必要がある。このため、熟練者であっても高い測定精度を確保するのが難しく、多大な作業時間を要していた。
【0007】
また、無端ベルトの弛みや蛇行の影響を最小限にするために、測定作業の前には、ベルトコンベヤの起動・停止を複数回、繰り返す必要があった。特に、ベルトコンベヤを起動する場合には、無端ベルト上に作業員がいないかどうか等の安全確認を十分に行う必要があるため、多大な確認時間を要していた。
【0008】
そして、上記安全確認後に作業員は無端ベルト上に上がり、ベルトコンベヤに設けられている多数の梁、安全カバー、安全柵、歩廊等の障害物を回避しながら、狭隘かつ粉粒物が舞い易いという過酷な作業環境の中で測定作業をしなければならなかった。
【0009】
このように従来の測定方法は、作業性がきわめて悪く、多大な作業時間を要すると共に、測定精度の確保も難しかった。このため、簡便かつ迅速に精度よく無端ベルトの全長を測定できる手段の提供が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡便かつ迅速に精度よく無端ベルトの全長を測定できるコンベヤベルト全長測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、以下のようなコンベヤベルト全長測定装置を提供する。
【0012】
(1) ベルトコンベヤを構成する無端ベルトに一定の測定間隔で設置する複数の反射部材と、前記無端ベルトに設置された前記反射部材に向けて所定の光を出射する発光部と当該反射部材からの反射光を受光する受光部とからなるセンサ部と、前記無端ベルトが起動されているときに前記センサ部からの出力信号に基づいて前記反射部材が一定距離を通過するのに要する通過時間を計測する計測制御部と、前記計測制御部によって計測された結果を表示すると共に必要な情報を表示する表示部と、前記計測制御部に所定の信号を入力する入力部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
(1)の発明によれば、無端ベルトを駆動させた状態で当該無端ベルトの搬送速度と周回時間を非接触で計測できるので、作業員の手作業による巻尺を用いた測定が不要となり、簡便かつ迅速に精度よく無端ベルトの全長を測定できるコンベヤベルト全長測定装置を提供することができる。
【0014】
(2) (1)の発明においては、前記センサ部は、複数の前記発光部を有し、当該発光部による発光量を調節する発光量調節部を備えることが好ましい。
【0015】
(2)の発明によれば、発光部の発光量を増減調節することができるので、測定環境に応じた反射信号を検出することができる。
【0016】
(3) (1)又は(2)に記載の発明においては、前記計測制御部と前記表示部と前記入力部とは一の筐体に設けられていると共に、前記センサ部は前記筐体とは別体に構成され、前記センサ部と前記計測制御部とは、有線手段又は無線手段によって通信可能に構成されていることが好ましい。
【0017】
(3)の発明によれば、作業員は、センサ部の設置状況(設置姿勢)にかかわらず、表示部を見易いように筐体を把持又は設置することができるので、計測結果を確認し易くすることができる。
【0018】
(4) (1)から(3)のいずれか一つに記載の発明においては、前記計測制御部は、前記無端ベルトが起動されているときに前記センサ部からの出力信号に基づいて前記反射部材が一定距離を通過するのに要する通過時間を計測することによって前記無端ベルトの搬送速度を算出し、当該搬送速度と前記無端ベルトが一周するのに要する周回時間とに基づいて前記無端ベルトの全長を算出することが好ましい。
【0019】
(4)の発明によれば、別途の計算機による計算が不要であり、無端ベルトの全長を自動的に算出することができる。
【0020】
(5) (4)に記載の発明においては、前記計測制御部によって算出された前記無端ベルトの全長が所定の基準値を超えていた場合に報知する報知部を備えることが好ましい。
【0021】
(5)の発明によれば、無端ベルトの全長が所定の基準値を超えていた場合に報知されるので、メンテナンス時期の注意喚起ができる。
【0022】
(6) (1)から(5)のいずれか一つに記載の発明においては、前記計測制御部によって計測又は算出された結果を記憶する記憶部を備えることが好ましい。
【0023】
(6)の発明によれば、計測又は算出された結果を記憶部に保存できるので、後に当該記憶結果を用いてデータを分析・検討する等、広範に活用することができる。
【0024】
(7) (1)から(6)のいずれか一つに記載の発明においては、前記計測制御部によって計測又は算出された結果を印字する印字部を備えることが好ましい。
【0025】
(7)の発明によれば、計測又は算出された結果を印字できるので、後に当該印字結果を用いてデータを分析・検討する等、広範に活用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡便かつ迅速に精度よく無端ベルトの全長を測定できるコンベヤベルト全長測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンベヤベルト全長測定装置を示す正面図、図2は、コンベヤベルト全長測定装置を用いて無端ベルトの全長を測定する様子を示すブロック図である。なお、図2においては、説明の便宜上、ベルトコンベヤ5を模式的に小さく示してある。
【0029】
図2に示すように、ベルトコンベヤ5には、石炭等を搬送する無端ベルト6が周回自在に設けられている。無端ベルト6の所定箇所(例えば、側端縁部)には、任意の測定間隔L(例えば、30m)で第1反射部材(反射部材)12及び第2反射部材(反射部材)13が設置されている。
【0030】
なお、測定間隔Lは、予め作業員等が所定精度の巻尺で設定するものとする。この場合、設定距離が短いため、従来の全長測定時のような大掛かりな作業は不要であり、迅速かつ高精度に設定することができる。
【0031】
第1反射部材12及び第2反射部材13は、例えば、表面にアルミ薄膜等が形成された反射テープを用いることが好ましい。また、この反射テープの幅は、例えば、5mm以上であることが好ましいが、測定環境に応じて適宜増減してもよい。
【0032】
また、図1及び図2に示すように、コンベヤベルト全長測定装置10は、装置本体18と、センサ筐体16に収納されたセンサ部15とが別体に構成され、ケーブル(有線手段)17によって通信可能に接続されている。装置本体18及びセンサ筐体16は、作業員が携帯し易いように小型・軽量に構成されている。
【0033】
なお、ケーブル17と装置本体18とは、直付けでもよいが、所定のコネクタを介して着脱自在に接続されていてもよい。また、センサ筐体16は、作業員が把持し易い形状となっていることが好ましく、三脚等に固定するためのねじ等の固定手段を有してもよい。
【0034】
センサ部15は、第1反射部材12及び第2反射部材13に向けて所定の光を出射する発光ダイオードであるLED(発光部)15aと、第1反射部材12及び第2反射部材13からの反射光を受光するフォトトランジスタ(受光部)15bとからなる。フォトトランジスタ15bの出力信号は、ケーブル17を介して、後述する計測制御部20(図2参照)に入力される。
【0035】
また、図1に示すように、正面視円形のセンサ筐体16の中央部にフォトトランジスタ15bが凹設されている。フォトトランジスタ15bを凹設したのは、LED15aからの出射光を直接、受光しないようにするためである。
【0036】
フォトトランジスタ15bの周囲には、6つのLED15aが放射状に配設されている。LED15aの電源は、装置本体18が備える内蔵バッテリから供給されるようになっている。
【0037】
また、図1及び図2に示すように、センサ部15は、6つのLED15aによる発光量を調節する発光量調節部23を備える。具体的には、点灯するLED15aの数を増減することによって発光量を増減調節する。発光量調節部23は、入力量を調節可能なスイッチとして装置本体18に設けられている。なお、この発光量調節部23は、センサ筐体16に設けられていてもよい。
【0038】
計測制御部20は、タイマーカウンタを有し、ラップタイム計測機能を有するストップウォッチであると共に、入力部22や表示部21及び発光量調節部23等と接続され、これらを統括制御する制御部として機能するものである。
【0039】
すなわち、計測制御部20は、無端ベルト6が起動されているときに、センサ部15からの出力信号に基づいて第1反射部材12及び第2反射部材13が測定間隔L(一定距離)を通過するのに要する通過時間を計測することができる。
【0040】
具体的には、第1反射部材12がセンサ部15の前を通過したときの検出信号に基づいて上記タイマーカウンタによる計測が開始され、第2反射部材13がセンサ部15の前を通過したときの検出信号に基づいてラップタイムが計測される。これにより、第1反射部材12がセンサ部15の前を通過してから、第2反射部材13がセンサ部15の前を通過するまでの時間(通過時間)が計測される。
【0041】
なお、計測制御部20は、計測値を一時的に記憶するバッファメモリ等を有している。また、計測制御部20は、装置本体18内に設けられている。
【0042】
表示部21は、装置本体18の正面に設けられており(図1参照)、例えば液晶モニタとして構成されている。表示部21は、計測制御部20によって計測された結果を表示すると共に、測定操作等に必要な種々の情報を表示可能に構成されている。
【0043】
入力部22は、装置本体18に設けられており、計測制御部20に所定の信号を入力する部分である。入力部22は、図1に示すように、例えば、電源/計測スイッチ22aやリセットボタン22b、発光スイッチ24等からなる。
【0044】
電源/計測スイッチ22aは、装置本体18の電源のONOFFと、ストップウォッチとして上記ラップタイム計測を行うモードに切り換えるときに使用される。リセットボタン22bは、計測されたタイム等をリセットする場合に使用される。
【0045】
発光スイッチ24は、LED15aのONOFFを行う。なお、発光スイッチ24は、装置本体18ではなく、センサ筐体16に設けられていてもよく、或いは、装置本体18とセンサ筐体16の両者に設けられていてもよい。
【0046】
また、装置本体18の正面には、説明部19が設けられている。説明部19には、例えば、コンベヤベルト全長測定装置10の取り扱い方法や、無端ベルト6の全長測定手順等、測定に必要な種々の情報が表示されている。
【0047】
なお、図2では、ロードセル31上の無端ベルト6にテストチェーン30が設置されている状態を示している。テストチェーン30は、ベルトコンベヤ5に対して基準重量(例えば、100kg、300kg等)を付与するための基準器である。また、ロードセル31は、無端ベルト6にかかる重量を計測するための重量計量器である。
【0048】
ロードセル31は、異なる重量のテストチェーン30を無端ベルト6に載置することで、計量装置32による演算によって補正される。計量装置32は、無端ベルト6の全長値と、無端ベルト6の単位長さ当たりの搬送量(搬送重量)とから、無端ベルト6全体の搬送量を算出できるように構成されている。
【0049】
次に、コンベヤベルト全長測定装置10を用いた無端ベルト6の全長測定方法について、図3に基づいて図1及び図2を参照しつつ説明する。ここで、図3は、コンベヤベルト全長測定装置10を用いた測定方法を示すフローチャートである。
【0050】
先ず、無端ベルト6を起動し(ステップS10)、一定時間(例えば、数分間)が経過してから(ステップS11、YES)、ステップS12に移り、コンベヤベルト全長測定装置10による測定を開始する。一定時間が経過するまでは、ステップS12には移らない(ステップS11、NO)。
【0051】
このような暖機運転により、無端ベルト6の弛みや蛇行の影響を極力排除すると共に、搬送速度を一定に保ち、搬送速度の測定精度を向上することができる。
【0052】
ステップS12では、センサ部15により第1反射部材12及び第2反射部材13からの反射信号を検出する。第1反射部材12及び第2反射部材13が設置されている測定点と、設置されていない点(無端ベルト6の表面がむき出しの部分)とでは、光の反射率が全く異なる。すなわち、第1反射部材12及び第2反射部材13からは、強い光が反射されてくる。
【0053】
したがって、光の反射率を高めた第1反射部材12及び第2反射部材13がセンサ部15の前を通過すると、それぞれの通過時に反射信号の強弱を検出できる。この強弱を検出したときに、第1反射部材12及び第2反射部材13がセンサ部15の前を通過したと判定し、この通過した時を基準として各種時間を計測することができる。
【0054】
ステップS13では、センサ部15により検出された上記反射信号に基づいて、計測制御部20のタイマーカウンタがONOFFする。すなわち、ラップタイム計測機能により、第1反射部材12がセンサ部15の前を通過した時間と、第2反射部材13がセンサ部15の前を通過した時間とが計測され、通過に要した時間(通過時間)がラップタイムとして計測される。
【0055】
次に、ステップS14では、センサ部15により、無端ベルト6の周回時間を計測する。すなわち、第1反射部材12の周回時の反射信号を検出する。上記ステップS13において、第1反射部材12の通過時の時間が既に計測されているので、この時間を周回の始期とし、上記タイマーカウンタのラップタイム計測機能によって次の通過時間(1周後の通過時間)を計測すれば、周回時間を容易に計測することができる。
【0056】
なお、無端ベルト6が1周する時間を計測できればよいので、上記と同様の要領で、第2反射部材13の周回時の反射信号を検出することにより周回時間を計測してもよい。
【0057】
次に、ステップS16では、既知の測定間隔Lと、上記ステップS13で計測された通過時間(通過に要した時間)とから、無端ベルト6の搬送速度が算出される。そして、この搬送速度と、上記ステップS15で計測された周回時間とから、無端ベルト6の全長が算出される。なお、この第1実施形態では、上記搬送速度や無端ベルト6の全長は、上記測定間隔Lの値、通過時間及び周回時間を、作業員等が別途の計算機に入力することにより算出することができる。
【0058】
以上のように、この第1実施形態に係るコンベヤベルト全長測定装置10によれば、無端ベルト6を駆動させた状態で当該無端ベルト6の搬送速度と周回時間を非接触で計測できるので、作業員の巻尺を用いた手作業による測定が不要となり、簡便かつ迅速に精度よく無端ベルト6の全長を測定できる。
【0059】
また、コンベヤベルト全長測定装置10は、発光量調節部23を備えることにより、LED15aの発光量を増減調節することができるので、測定環境に応じた反射信号を検出することができる。
【0060】
また、センサ部15は、装置本体18とは別体に構成されているので、作業員は、センサ部15の設置状況(設置姿勢)にかかわらず、表示部21を見易いように装置本体18を把持又は設置することができるので、計測結果を確認し易くすることができる。
【0061】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係るコンベヤベルト全長測定装置10を示す正面図、図5は、コンベヤベルト全長測定装置10を用いて無端ベルト6の全長を測定する様子を示すブロック図である。なお、以下の説明において、既に説明した部材と同一若しくは相当する部材には、同一の符号を付して重複説明を省略又は簡略化する。
【0062】
上記第1実施形態においては、コンベヤベルト全長測定装置10によって計測された各計測値を用い、別途の計算機(例えば、電卓)によって無端ベルト6の全長を算出していたが、この第2実施形態は、コンベヤベルト全長測定装置10に測定間隔Lの値を予め入力しておくことにより、無端ベルト6の全長を自動的に算出できるように構成したものである。
【0063】
このため、図4及び図5に示すように、上記第1実施形態で示したコンベヤベルト全長測定装置10の構成に、情報入力部(入力部)29を追加した。そして更に、報知部25、送風部26、記憶部27及び印字部28を追加した。
【0064】
図4及び図5に示すように、情報入力部29は、装置本体18に設けられ、測定間隔Lの値やその他測定に必要な情報を入力する部分である。したがって、図4に示す情報入力部29は、図5に示す入力部22として機能する。情報入力部29は、例えば、関数電卓が備えているような数値キー、エンタキー、削除キー、クリアキー、四則演算キー、関数キー等を備えている。
【0065】
なお、情報入力部29は、必要に応じてローマ字や、日本語の平仮名、カタカナ文字等を入力可能に構成されていてもよい。また、情報入力部29は、装置本体18に物理的なキーとして設けられるのではなく、表示部21に表示される、いわゆるタッチパネル方式で構成されていてもよい。
【0066】
報知部25は、装置本体18に設けられ、計測制御部20によって算出された無端ベルト6の全長が所定の基準値を超えていた場合に、その旨を報知するものである。報知部25は、例えば、アラーム発音手段として構成することができ、所定の警告音や音声メッセージ等を発音するように構成される。また、報知内容を文字や画像情報として表示部21に表示することもできる。これにより、無端ベルト6のメンテナンス時期の注意喚起を行う。
【0067】
上述したように、コンベヤベルト全長測定装置10による測定は、無端ベルト6の駆動中に行われる。したがって、無端ベルト6に残留・付着していた石炭等の粉塵が舞い散って、出射光や反射光を遮る場合もある。そこで、コンベヤベルト全長測定装置10に送風部26を付加し、送風によってセンサ部15近傍の粉塵を排除するように構成した。
【0068】
すなわち、送風部26は、図5に示すように、センサ部15のLED15a及びフォトトランジスタ15bに送風する送風ファンとして構成され、例えばセンサ筐体16に設けられている。なお、送風部26は、作業員が操作可能な入力スイッチによって動作させてもよいが、センサ部15の動作中に自動的に動作するように構成してもよい。
【0069】
記憶部27は、計測又は算出された結果を記録し、保存する部分である。記憶部27は、例えば、計測又は算出された結果を内部メモリやメモリカード等の記録媒体に記録できるように構成されている。
【0070】
印字部28は、計測又は算出された結果を所定の用紙等に印字する部分であり、小型プリンタとして構成され、印字用のロール紙等を備える。
【0071】
上記情報入力部29、報知部25、送風部26、記憶部27及び印字部28は、計測制御部20に接続され、統括制御されるようになっている。
【0072】
次に、コンベヤベルト全長測定装置10を用いた無端ベルト6の全長測定方法について、図6に基づいて図4及び図5を参照しつつ説明する。ここで、図6は、コンベヤベルト全長測定装置10を用いた測定方法を示すフローチャートである。
【0073】
上述したように、この第2実施形態は、測定間隔Lの値をコンベヤベルト全長測定装置10の情報入力部29から予め入力しておくことにより、無端ベルト6の全長を自動的に算出できるように構成したものである。
【0074】
したがって、基本的な測定手順は、上記第1実施形態の図3に示したステップS10〜ステップS16の内容と同様であるので、重複説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0075】
先ず、例えば、ステップS12よりも以前に、測定間隔Lを情報入力部29から予め入力しておく。すなわち、無端ベルト6の起動前か暖機運転中に入力しておく。入力された測定間隔Lの値は、計測制御部20のバッファメモリ等に記憶される。なお、ステップS16の全長算出時において測定間隔Lを入力するようにしてもよい。
【0076】
次に、無端ベルト6の暖機運転が済み(ステップS11、YES)、通過時間及び周回時間が計測されると(ステップS12〜ステップS15)、これらの計測値は、計測制御部20のバッファメモリ等に記憶される。ステップS12以降の制御は、計測制御部20によって実行される。
【0077】
そして、ステップS16では、予め入力された測定間隔Lの値と上述のステップS13で得られた通過時間とから搬送速度を算出し、当該搬送速度と上述のステップS15で得られた周回時間とに基づいて無端ベルト6の全長を算出する。
【0078】
このように本第2実施形態は、無端ベルト6の全長を自動的に算出することができ、別途の計算機(例えば、電卓)による計算が不要である。
【0079】
続いて、更に特徴的な制御動作について説明する。すなわち、ステップS17では、ステップS16で算出された無端ベルト6の全長が、予め定められている所定の基準値以内か否かを判断する。
【0080】
無端ベルト6の全長が所定の基準値以内であるならば(ステップS17、YES)、算出結果(全長)及び「基準値以内であるという判定結果」を、表示部21に表示する(ステップS18)。
【0081】
一方、無端ベルト6の全長が所定の基準値を超えているならば(ステップS17、NO)、報知部25によって異常が報知され(ステップS23)、算出結果(全長)及び「異常であるという判定結果」を、表示部21に表示する(ステップS18)。これにより、作業員等は、無端ベルト6がメンテナンス時期であることを容易に知ることができる。
【0082】
次に、ステップS19では、上記結果(全長及び判定結果)を内部メモリやメモリカード等の記録媒体に記録するか否かの判断を作業員等に求める。すなわち、その旨の質問が上記表示部21に表示され、例えば作業員等は、その質問に対して「はい」又は「いいえ」の選択肢を選択し、情報入力部29から入力することができる。なお、上記質問の音声メッセージ等を報知部25から発してもよく、表示部21への表示と併用してもよい。
【0083】
「上記結果を記憶する」との指示情報を得た場合には(ステップS19、YES)、結果を記憶して(ステップS20)、ステップS21に進む。これにより、後に当該記憶結果を用いてデータを分析・検討する等、広範に活用することができる。
【0084】
一方、「上記結果を記憶しない」との指示情報を得た場合には(ステップS19、NO)、結果を記憶せずにステップS21に進む。
【0085】
次に、ステップS21では、上記結果(全長及び判定結果)を印字部28により印刷するか否かの判断を作業員等に求める。すなわち、その旨の質問が上記表示部21に表示され、例えば作業員等は、その質問に対して「はい」又は「いいえ」の選択肢を選択し、情報入力部29から入力することができる。なお、上記質問の音声メッセージ等を報知部25から発してもよく、表示部21への表示と併用してもよい。
【0086】
「上記結果を印字する」との指示情報を得た場合には(ステップS21、YES)、結果を所定の用紙等に印字して(ステップS22)、制御を終了する。これにより、後に当該印字結果を用いてデータを分析・検討する等、広範に活用することができる。
【0087】
一方、「上記結果を印字しない」との指示情報を得た場合には(ステップS21、NO)、結果を印字せずに制御を終了する。
【0088】
以上のように、この第2実施形態に係るコンベヤベルト全長測定装置10によれば、別途の計算機による計算が不要であり、無端ベルト6の全長を自動的に算出することができる。
【0089】
また、報知部25を設けたことにより、無端ベルト6の全長が所定の基準値を超えていた場合に報知されるので、メンテナンス時期の注意喚起ができる。
【0090】
また、送風部26を設けたことにより、無端ベルト6の駆動中に石炭等の粉塵が舞っても、送風部26による送風によって測定時の粉塵の影響を排除することができる。
【0091】
また、記憶部27を設けたことにより、計測又は算出された結果を記憶部27に保存できるので、後に当該記憶結果を用いてデータを分析・検討する等、広範に活用することができる。
【0092】
また、印字部28を設けたことにより、計測又は算出された結果を所定の用紙等に印字できるので、後に当該印字結果を用いてデータを分析・検討する等、広範に活用することができる。
【0093】
なお、上記各実施形態においては、センサ部15と装置本体18とは別体に構成され、ケーブル17で接続されるものとして説明したが、これに限定されず、無線手段(例えば、無線通信や赤外線通信等)によって通信可能に接続してもよい。この場合、装置の携帯性が向上すると共に、ケーブル17を不要とできるので、作業現場での取り回しもよくなり、作業性が更に向上する。
【0094】
また、上記各実施形態においては、センサ部15と装置本体18とは別体に構成され、ケーブル17で接続されるものとして説明したが、これに限定されず、センサ部15を装置本体18に一体に設けてもよい。
【0095】
また、上記各実施形態においては、センサ部15に6つのLED15aを備えるものとして説明したが、これに限定されず、6つ未満或いは7つ以上のLED15aを備えるものであってもよい。また、フォトトランジスタ15bの受光感度を調節する感度調節部をセンサ筐体16や装置本体18に設けてもよい。
更に、発光部は、LED以外の任意の発光素子(例えば、半導体レーザ素子等)を用いてもよいし、フォトトランジスタ以外の任意の受光素子(例えば、フォトダイオード等)を用いてもよい。また、上記発光素子や受光素子をアレイ化したものや駆動回路等を備えICチップ化されたものを用いてもよい。
【0096】
また、上記各実施形態においては、装置本体18の正面に説明部19を設けるものとして説明したが、これに限定されず、説明部19を装置本体18の背面に設けたり、或いは説明部19を装置本体18に設けなくてもよい。
【0097】
また、上記各実施形態において図示した各構成要素の配設位置は、図示例のものに限定されず、他の適宜の位置に配設してもよい。例えば、上記各実施形態においては、第1反射部材12及び第2反射部材13の無端ベルト6への設置箇所として、無端ベルト6の側端縁部を例にして説明したが、これに限定されず、無端ベルト6の上部表面や裏面等、所定の反射信号を検出できる箇所であれば、何れの箇所であってもよい。
【0098】
また、上記各実施形態においては、石炭火力発電所等の石炭等の供給系統に使用されるベルトコンベヤを例にして説明したが、これに限定されず、製鉄事業所その他の施設の各種設備において使用されるベルトコンベヤに対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンベヤベルト全長測定装置を示す正面図である。
【図2】コンベヤベルト全長測定装置を用いて無端ベルトの全長を測定する様子を示すブロック図である。
【図3】コンベヤベルト全長測定装置を用いた測定方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るコンベヤベルト全長測定装置を示す正面図である。
【図5】コンベヤベルト全長測定装置を用いて無端ベルトの全長を測定する様子を示すブロック図である。
【図6】コンベヤベルト全長測定装置を用いた測定方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
L 測定間隔
5 ベルトコンベヤ
6 無端ベルト
10 コンベヤベルト全長測定装置
12 第1反射部材(反射部材)
13 第2反射部材(反射部材)
15 センサ部
15a LED(発光部)
15b フォトトランジスタ(受光部)
16 センサ筐体
17 ケーブル(有線手段)
18 装置本体(筐体)
19 説明部
20 計測制御部
21 表示部
22 入力部
22a 電源/計測スイッチ(入力部)
22b リセットボタン(入力部)
23 発光量調節部
24 発光スイッチ(入力部)
25 報知部
26 送風部
27 記憶部
28 印字部
29 情報入力部(入力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤを構成する無端ベルトに一定の測定間隔で設置する複数の反射部材と、
前記無端ベルトに設置された前記反射部材に向けて所定の光を出射する発光部と当該反射部材からの反射光を受光する受光部とからなるセンサ部と、
前記無端ベルトが起動されているときに前記センサ部からの出力信号に基づいて前記反射部材が一定距離を通過するのに要する通過時間を計測する計測制御部と、
前記計測制御部によって計測された結果を表示すると共に必要な情報を表示する表示部と、
前記計測制御部に所定の信号を入力する入力部と、
を備えることを特徴とするコンベヤベルト全長測定装置。
【請求項2】
前記センサ部は、複数の前記発光部を有し、当該発光部の発光量を調節する発光量調節部を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤベルト全長測定装置。
【請求項3】
前記計測制御部と前記表示部と前記入力部とは一の筐体に設けられていると共に、前記センサ部は前記筐体とは別体に構成され、
前記センサ部と前記計測制御部とは、有線手段又は無線手段によって通信可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベヤベルト全長測定装置。
【請求項4】
前記計測制御部は、前記無端ベルトが起動されているときに前記センサ部からの出力信号に基づいて前記反射部材が一定距離を通過するのに要する通過時間を計測することによって前記無端ベルトの搬送速度を算出し、当該搬送速度と前記無端ベルトが一周するのに要する周回時間とに基づいて前記無端ベルトの全長を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンベヤベルト全長測定装置。
【請求項5】
前記計測制御部によって算出された前記無端ベルトの全長が所定の基準値を超えていた場合に報知する報知部を備えることを特徴とする請求項4に記載のコンベヤベルト全長測定装置。
【請求項6】
前記計測制御部によって計測又は算出された結果を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のコンベヤベルト全長測定装置。
【請求項7】
前記計測制御部によって計測又は算出された結果を印字する印字部を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコンベヤベルト全長測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−139456(P2010−139456A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317924(P2008−317924)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【Fターム(参考)】