説明

ゴムクローラの製造装置及び製造方法

【課題】 スパイラル形式の抗張体の内周側に位置する中成形型と、抗張体の外周側に位置する上下の上成形型及び下成形型との間で、クローラ外周側ゴム及びクローラ内周側ゴムを、抗張体の略半周長分加硫成形した後に、残りの略半周長分のクローラ外周側ゴム及びクローラ内周側ゴムを加硫成形するようにしたゴムクローラの製造装置を安価に提供する。
【解決手段】 中成形型11を横方向に移送自在に案内する案内レール8を設けて該中成形型11を上成形型12と下成形型13との間に出入り自在とし、中成形型11を上成形型12と下成形型13との間から引き出した状態で、中成形型移送方向Xに直交する横方向に、ゴムクローラの中間製品を中成形型11から取出し又は中成形型11にセットすることができるように案内レール8の一部を取り外し可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の農業機械やバックホー等の建設作業機械等の走行部に採用されるゴムクローラの製造装置及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムクローラは、一般的に、ゴムによって無端帯状に形成されたクローラ本体内に周方向に沿って埋設されていて該クローラ本体に加えられる周方向の張力に耐える機能を持つ抗張体を備えている。
この抗張体として、1本のスチールコード等の抗張力コードをクローラ本体の周方向に沿うようにスパイラル状に巻回することで無端状に構成されたスパイラル形式の抗張体と、クローラ本体の周方向に沿うように一周巻回状とすると共に端部側同士をオーバーラップさせた1本の有端の抗張力コードをクローラ本体の帯幅方向に多数配設することで無端状に構成されたオーバーラップジョイント形式の抗張体とがある。
【0003】
前記スパイラル形式の抗張体は、オーバーラップジョイント形式の抗張体に比べて、抗張力コードのオーバーラップ部分がない為、製品の耐久性としては優れている。
このスパイラル形式の抗張体が採用されたゴムクローラの製造方法として、抗張体の周方向の一部分を挟むように配置された上型と下型との間でクローラ外周側のゴムとクローラ内周側のゴムとを加硫成形することによりゴムクローラの一部を形成すると共に、これをクローラ周方向全長にわたって順に繰り返すことにより無端帯状のゴムクローラを製造するようにした送り加硫方式のゴムクローラの製造方法がある。
【0004】
また、スパイラル形式の抗張体が採用されたゴムクローラの他の製造方法として、抗張体の内周側に配置した中成形型と、抗張体の外周側の上下に配置した上下成形型との間でクローラ外周側ゴム及びクローラ内周側ゴムを抗張体の略半周長分加硫成形した後に、前記中成形型と上成形型及び下成形型との間でクローラ外周側ゴム及びクローラ内周側ゴムの残りの略半周長分を加硫成形することにより無端帯状のゴムクローラを製造するようにした2段加硫方式のゴムクローラの製造方法がある。
【特許文献1】特開2006−264515号公報
【特許文献2】特開2000−301538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記送り加硫方式のゴムクローラの製造方法では、1つの金型で順繰りに加硫してゴムクローラを製造するので、製造装置の構造としては簡素であるが、加硫回数が5〜6回となってしまい、手間がかかる上、コスト高となってしまうという問題がある。
また、2段加硫方式のゴムクローラの製造方法では、加硫回数は2回で少ないが、ゴムクローラの中間製品(仕掛品及び半製品)をゴムクローラの加硫成形装置に対して出し入れをするのに動きが複雑であり、ゴムクローラの中間製品をゴムクローラの加硫成型装置に対して出し入れする機構の構造が複雑となって設備投資が高価なものとなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、加硫回数が少なく且つ安価に提供することができるゴムクローラの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じたゴムクローラの製造装置は、1本の抗張力コードをスパイラル状に巻回することで無端状に構成された抗張体の内周側に位置する中成形型と、この中成形型の上方で且つ抗張体の外周側に位置する上成形型と、前記中成形型の下方で且つ抗張体の外周側に位置する下成形型とを有する加硫成形装置を備え、この加硫成形装置の中成形型と、上成形型及び下成形型との間で、クローラ外周側ゴム及びクローラ内周側ゴムを、抗張体の略半周長分加硫成形した後に、残りの略半周長分のクローラ外周側ゴム及びクローラ内周側ゴムを加硫成形するようにしたゴムクローラの製造装置において、
前記中成形型を横方向に移送自在に案内する案内レールを設けて該中成形型を上成形型と下成形型との間に出入り自在とし、中成形型を上成形型と下成形型との間から引き出した状態で、中成形型移送方向に直交する横方向に、ゴムクローラの中間製品を中成形型から取出し又は中成形型にセットすることができるように案内レールの一部を取り外し可能としたことを特徴とする。
【0008】
また、技術的課題を解決するために本発明が講じたゴムクローラの製造方法は、前述したゴムクローラの製造装置によってゴムクローラを製造するゴムクローラの製造方法であって、
中成形型を上成形型と下成形型との間から引き出した状態で、最初の略半周長分に相当する未加硫のクローラ外周側ゴム及びクローラ内周側ゴムの一次成形品を抗張体と共に中成形型移送方向に直交する横方向から中成形型にセットし、該一次成形品及び抗張体がセットされた中成形型を上成形型と下成形型との間に挿入して一次加硫し、
その後、中成形型を上成形型と下成形型との間から引き出して一次加硫品を中成形型移送方向に直交する横方向に取り出し、
残りの略半周長分に相当する未加硫のクローラ内周側ゴムの二次成形品を中成形型にセットした後に、前記一次加硫品を中成形型移送方向に直交する横方向から中成形型にセットすると共に残りの略半周長分に相当する未加硫のクローラ外周側ゴムの二次成形品を中成形型にセットし、
該一次加硫品及び二次成形品がセットされた中成形型を上成形型と下成形型との間に挿入して二次加硫することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2段加硫方式のゴムクローラの製造装置及び製造方法であるので、ゴムクローラを製造する際の加硫回数は少なく、また、ゴムクローラの製造過程において、中成形型は上成形型と下成形型との間に対して横方向の動きで出入りさせることができると共に、ゴムクローラの中間製品は、案内レールの一部を取り外すことにより、中成形型移送方向に直交する横方向に、中成形型から取り出せ又は中成形型へのセットが行えるので、ゴムクローラの中間製品の中成形型からの取出しや中成形型へのセットが容易に行えると共に、ゴムクローラの中間製品をゴムクローラの加硫成型装置に対して出し入れする機構の構造を簡素化でき、設備投資を安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はゴムクローラを製造する製造装置1を示している。
このゴムクローラの製造装置1は、ゴムによって無端帯状に形成されたクローラ本体内に、1本のスチールコード等からなる抗張力コードをクローラ本体の周方向に沿うようにスパイラル状に巻回することで無端状に構成されたスパイラル形式の抗張体2が埋設されたゴムクローラを製造する装置であり、且つ、図2に示すように、ゴムクローラ(抗張体2)の略1/4周長分のクローラ外周側ゴム3A及びクローラ内周側ゴム4Aを上側の金型5と下側の金型6との各々で同時に加硫成形することによりトータルとして抗張体2の略半周長分を加硫成形し、その後に、前記上下2段の金型5,6によって残りの略半周長分に対応するクローラ外周側ゴム3B及びクローラ内周側ゴム4Bを同時に加硫成形するようにした2段加硫方式のゴムクローラの製造装置1である。
【0011】
このゴムクローラの製造装置1は、ゴムクローラを加硫成形(加熱・加圧)する加硫成形装置7と、案内レール8と、第1作業台9と、第2作業台10とを備えている。
加硫成形装置7は、図1,図2に示すように、スパイラル形式の抗張体2の内周側に位置する中成形型11と、この中成形型11の上方で且つ抗張体2の外周側に位置する上成形型12と、前記中成形型11の下方で且つ抗張体2の外周側に位置する下成形型13と、上成形型12を支持するフレーム14と、下成形型13の下方側に配置されていて該下成形型13を昇降させる昇降装置15とを備えている。
【0012】
中成形型11は、平面視矩形状の中熱盤16と、この中熱盤16の上下両側の面に設けられた上下の中型17とを備えており、前記中熱盤16によって前記上下の中型17が加熱可能とされていると共に、前記上下の中型17でゴムクローラの内周側ゴム4A,4Bが加硫成形可能とされている。
上成形型12は、平面視矩形状の上熱盤18と、この上熱盤18の下面側に設けられた上型19とを備えていて、前記上熱盤18によって前記上型19が加熱可能とされていると共に、前記上型19でゴムクローラの外周側ゴム3A,3B(接地側ゴム)が加硫成形可能とされている。
【0013】
下成形型13は、平面視矩形状の下熱盤20と、この下熱盤20の上面側に設けられた下型21とを備えていて、前記下熱盤20によって前記下型21が加熱可能とされていると共に、前記下型21でゴムクローラの外周側ゴム3A,3B(接地側ゴム)が加硫成形可能とされている。
上成形型12の上型19と中成形型11の上側の中型17とは上下方向に対向状とされていて、これら上型19と中型17とでゴムクローラの略1/4周長分を加硫成形する上側の金型5が構成されており、また、同様に、中成形型11の下側の中型17と下成形型13の下型21とは上下方向に対向状とされていて、これら中型17と下型21とでゴムクローラの略1/4周長分を加硫成形する下側の金型6を構成している。
【0014】
フレーム14は上熱盤18の4つのコーナー部分にそれぞれ配置された支柱14Aを備えており、この4本の支柱14Aの上端側に前記上成形型12(上熱盤18)が固定され、中成形型11(中熱盤16)は、前記案内レール8によって下方移動不能に支持されていると共に案内レール8から離反して上方移動可能とされ、下成形型13(下熱盤20)は昇降装置15によって昇降自在に支持されている。
この加硫成形装置7にあっては、下成形型13を下降させた状態では、図2(a),(c)に示すように、上成形型12の上型19と中成形型11の上側の中型17とは上下方向で間隔があいていて上側の金型5が開いており、且つ、中成形型11の下側の中型17と下成形型13の下型21も上下方向で間隔があいていて下側の金型6も開いている。
【0015】
この状態から昇降装置15によって下成形型13を上昇させると、下成形型13の下型21が中成形型11の下側の中型17に密着して下側の金型6が閉じ、さらに下成形型13を上昇させると、下成形型13と共に中成形型11も上昇して中成形型11の上側の中型17が上成形型12の上型19に密着して上側の金型5が閉じるように構成されている(したがって、本実施形態の加硫成形装置7にあっては、下成形型13を昇降させることにより上側及び下側の金型5,6が開閉される)。
そして、一回目の加硫工程で、上下のクローラ外周側ゴム3A及びクローラ内周側ゴム4Aを上側及び下側の金型5,6によって同時に加硫成形することにより、図2(b)に示すように、ゴムクローラの略1/4周長分が周方向に等間隔をおいて2カ所成形されていてトータル長さでゴムクローラの略半周長分が成形された一次加硫品22が形成される。
【0016】
また、その後、二回目の加硫工程で、図2(c)に示すように、前記一次加硫品22の加硫成形部分の間の未成形部分について、該未成形部分に配置した上下のクローラ外周側ゴム3B及びクローラ内周側ゴム4Bを前記上側及び下側の金型5,6によって加硫成形することにより、図2(d)に示すように、ゴムクローラの全長が加硫成形された二次加硫品23が形成される。
また、ゴムクローラの最初の略半周長分を成形する場合においては、上型19,中型17及び下型21のそれぞれのクローラ周方向の端部側に、冷却部分を設けておくことで、クローラ外周側ゴム3A及びクローラ内周側ゴム4Aのクローラ周方向の端部側を未加硫部分又は半加硫部分としておき、残りの略半周長を成形するときには、前記冷却部分を型から取り外すと共に、前記未加硫部分又は半加硫部分を型に挿入して残りの略半周長を加硫成形することにより、最初の成形部分3A,3Bと後の成形部分3B,4Bとが接続されるようにしている。
【0017】
前記案内レール8は、中成形型11を横方向(上下方向に直交する方向、水平方向)の一方向Xに往復移送自在に案内することによって該中成形型11を上成形型12と下成形型13との間に出入り自在とさせるものであり、中成形型移送方向Xに直交する横方向一対のレール部材24,25を備えていて、この一対のレール部材24,25の間で中成形型11を抗張体2が外囲いした状態で、抗張体2の長さ方向(周方向)の横方向部分に沿って中成形型11が移送可能とされている(抗張体2の周方向の横方向部分が中成形型移送方向Xに一致するように構成されている)。
【0018】
一方のレール部材24は長さ方向で分割されていて、一部が取外し可能とされている。
本実施形態では、一方のレール部材24は、第1レール部24Aと、第2レール部24Bと、第3レール部24Cと、第4レール部24Dと、第5レール部24Eとに5分割されており、第1レール部24Aは加硫成形装置7の支柱14Aに固定されて支持されていると共に支持脚26によっても支持されており、第2〜5レール部は、この第1レール部24Aから順に中成形型11を上成形型12と下成形型13との間から引出す方向Yに向けて配置されている。
【0019】
本実施形態では、第2レール部24Bと第4レール部24Dとが取り外し可能とされている。
他方のレール部材25は、本実施形態では、1本の部材で形成されており、該他方のレール部材25の長さ方向一端側は加硫成形装置7の支柱14Aに固定されて支持されており、中途部及び他端側は支持脚26によって支持されている。
第1作業台9及び第2作業台10は、前記一方のレール部材24の中成形型移送方向Xに直交する横方向の外側方(対向するレール部材24,25の反対向側)に配置されており、第1作業台9は第3レール部24Cの外側方(中成形型11の移送経路の中途部)に配置され、第2作業台10は第5レール部24Eの外側方(中成形型11の引出し方向Yの後端側)に配置されている。
【0020】
第1作業台9及び第2作業台10は、天板27と、この天板27を支持する4本の支持脚28とを有していて自立しており、第3レール部24Cは第1作業台9の天板27に固定されて支持され、第5レール部24Eは第2作業台10の天板27に固定されて支持されている。
第2レール部24Bは第1レール部24A及び第3レール部24Cに着脱自在に取り付けられ、第4レール部24Dは第3レール部24C及び第5レール部24Eに着脱自在に取り付けられている。
【0021】
また、第1作業台9と第2作業台10の天板27の、一方のレール部材24と支持脚28との間Wはゴムクローラの帯幅以上に形成されていて、該天板27の一方のレール部材24と支持脚28との間Wにゴムクローラの中間製品を、該中間製品の帯幅方向が中成形型移送方向Xに直交する横方向に一致する状態で支持することができるように構成されている。
第3レール部24C及び第5レール部24Eの長さは、その短手方向をゴムクローラの帯幅方向に一致させた状態で、ゴムクローラの内周側を通過することができる長さに形成され、また、第1、2作業台9,10の天板27の中成形型移送方向Xの長さは、第3レール部24C及び第5レール部24Eの長さよりも短く形成されている。
【0022】
したがって、第2レール部24B及び第4レール部24Dを取り外すことにより、作業台9,10から中成形型11へ、または、中成形型11から作業台9,10へとゴムクローラの中間製品を移し替えることができるようになっている。
また、本実施形態では、第1作業台9が、加硫後のゴムクローラの中間製品(一次加硫品22、二次加硫品23)を取り出すための取出し用の作業台とされ、第2作業台10が未加硫のクローラ外周側ゴム3A,3B及びクローラ内周側ゴム4A,4Bを加硫用の金型5,6のキャビティの形状に合うように未加硫ゴム成形用の金型で成形する未加硫ゴム成形用の作業台とされている。
【0023】
なお、第1作業台9が未加硫ゴム成形用の作業台とされ、第2作業台10が取出し用の作業台とされていてもよい。
また、各作業台9,10は、中成形型11の重量の半分以上及びゴムクローラの中間製品の重量を支えることができる耐荷重性能を有するように設計されている。
前記ゴムクローラの製造装置1でゴムクローラを製造する製造工程は、ゴムクローラの最初の略半周長分を加硫成形する一次加硫工程と、ゴムクローラの残りの略半周長分を加硫成形する二次加硫工程とからなる。
【0024】
最初に一次加硫工程について説明する。
先ず、図3(a)に示すように、第2作業台10上において、最初の略半周長分のゴムクローラを成形するための、未加硫のクローラ外周側ゴム3A及びクローラ内周側ゴム4Aの一次成形品29を前記加硫用の金型5,6のキャビティの形状に合うように図示省略の未加硫ゴム成形用の金型で成形する。
このとき、未加硫のクローラ外周側ゴム3A及びクローラ内周側ゴム4Aの一次成形品29で抗張体2を内外周両側から挟むようにしておく。
【0025】
また、この際、芯金入りタイプのゴムクローラにあっては、クローラ内周側ゴム4A内に芯金を埋設させる。
次に、図4に示すように、中成形型11を加硫成形装置7から引き出して第2作業台10の側方に移送し、該中成形型11を第5レール部24E及び他方のレール部材25によって支持する。
その後、第4レール部24Dを取り外して、抗張体2と共に一次成形品29を第2作業台10から中成形型11に移して、クローラ内周側ゴム4Aの一次成形品29を中成形型11の上下の中型17にセットする。
【0026】
なお、下側の中型17にセットされる一次成形品29は、該一次成形品29を中型17のキャビティ内面に密着させるように押し付けることにより、又は、抗張体2にテンションを加えることにより、中型17から離脱するのを防止することができる。
抗張体2及び一次成形品29を中成形型11にセットした後、第4レール部24Dを取り付けて、中成形型11を加硫成形装置7へと移送して上成形型12と下成形型13との間に挿入し、昇降装置15によって下成形型13を上昇させて上側及び下側の金型5,6を閉じて、クローラ外周側ゴム3A及びクローラ内周側ゴム4Aを加硫する。
【0027】
以上のようにして、ゴムクローラの略半周長分が加硫成形された一次加硫品22が成形される。
次に、二次加硫工程について説明する。
一次加硫品22を成形した後、図5に示すように、加硫成形装置7から中成形型11を引き出して該中成形型11を第1作業台9の側方に移送し、該中成形型11を第3レール部24C及び他方のレール部材25によって支持する。
次に、第2レール部24B及び第4レール部24Dを取り外すと共に、一次加硫品22を中成形型11から取り出して第1作業台9へと移す。
【0028】
第1作業台9に移された一次加硫品22は、該第1作業台9で仕上げ作業(バリ等の不要ゴムの除去等)が行われる。
一次加硫品22を中成形型11から第1作業台9へと移した後に、図6に示すように、第4レール部24Dを取り付けると共に中成形型11を第2作業台10の側方に移送して第5レール部24E及び他方のレール部材25で支持する。
第2作業台10には、図5に示すように、残りの半周長分のゴムクローラを成形するための、未加硫のクローラ外周側ゴム3B及びクローラ内周側ゴム4Bの二次成形品30が加硫用の金型5,6のキャビティの形状に合うように図示省略の未加硫ゴム成形用の金型で成形されて準備されている。
【0029】
この二次成形品30の成形は、前記一次成形品29を中成形型11にセットした後から、再び中成形型11を第2作業台10へと移送するまでの間に行っておけばよい。
次に、図3(b)に示すように、第2作業台10の側方に位置する中成形型11の上下の中型17にクローラ内周側ゴムの二次成形品30をセットする。
その後、図7に示すように、中成形型11を第1作業台9の側方に移送し、第4レール部24Dを取り外し、第1作業台9から中成形型11へと一次加硫品22を移す。
このとき、図3(c)に示すように、一次加硫品22のゴムクローラの未成形部分を中成形型11の中型17に対応させる(一次加硫品22のゴムクローラの未成形部分における抗張体2をクローラ内周側ゴム4Bの二次成形品30に重ねる)。
【0030】
次に、未加硫のクローラ外周側ゴム3Bの二次成形品30を中成形型11の上下の中型17にセットすると共に第2レール部24B及び第4レール部24Dを取り付け、その後、中成形型11を加硫成形装置7へと移送して、クローラ外周側ゴム3B及びクローラ内周側ゴム4Bの二次成形品30を上側及び下側の金型5,6で加硫する。
こうして成形された二次加硫品23を中成形型11と共に第1作業台9の側方に移送して第2レール部24B及び第4レール部24Dを取り外し、二次加硫品23を第1作業台9に移して、二次加硫品23の仕上げ作業(バリ等の不要ゴムの除去等)を行うことにより、ゴムクローラの製品が得られる。
【0031】
本実施形態において、二次加硫品23の仕上げが行われた後のゴムクローラが製品であり、抗張体2に一次成形品29を取り付けたもの,一次加硫品22,一次加硫品22に二次成形品30を取り付けたもの及び二次加硫品23は中間製品である。
図8は他の形態のゴムクローラの製造装置1を示しており、未加硫ゴム成形用の作業台と取出し用の作業台とを、1つの作業台31で兼用したものである。
この形態のゴムクローラの製造装置1にあっては、一方のレール部材24が、第1〜3のレール部24A,24B,24Cによって構成され、第2レール部24Bが取り外し可能とされ、第3レール部24Cが作業台31の天板27に固定されている。
【0032】
その他の構成は、前記実施形態と同様に構成される。
作業台が2つの場合は、加硫品の取出し作業と未加硫ゴムの成形及び該成形品のセット作業とを分けることができ、お互いが交差することなく作業が行えることができ、また、加硫成形装置7での加硫中に、取り出した加硫品の仕上げ作業と、未加硫ゴムの成形品の成形作業とが並行して同時に行えるというメリットがあり、また、作業台が1つの場合は、設置スペースが小スペースですむというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ゴムクローラの製造装置の斜視図である。
【図2】加硫成形装置、一加硫品、二次加硫品を示す側面図である。
【図3】ゴムクローラの加硫工程の一部を示す側面図である。
【図4】ゴムクローラの加硫工程を示す斜視図である。
【図5】ゴムクローラの加硫工程を示す斜視図である。
【図6】ゴムクローラの加硫工程を示す斜視図である。
【図7】ゴムクローラの加硫工程を示す斜視図である。
【図8】他の形態のゴムクローラの製造装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
2 抗張体
3A クローラ外周側ゴム
3B クローラ外周側ゴム
4A クローラ内周側ゴム
4B クローラ内周側ゴム
7 加硫成形装置
8 案内レール
11 中成形型
12 上成形型
13 下成形型
22 一次加硫品
29 一次成形品
30 二次成形品
X 中成形型移送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の抗張力コードをスパイラル状に巻回することで無端状に構成された抗張体(2)の内周側に位置する中成形型(11)と、この中成形型(11)の上方で且つ抗張体(2)の外周側に位置する上成形型(12)と、前記中成形型(11)の下方で且つ抗張体(2)の外周側に位置する下成形型(13)とを有する加硫成形装置(7)を備え、この加硫成形装置(7)の中成形型(11)と、上成形型(12)及び下成形型(13)との間で、クローラ外周側ゴム(3A)及びクローラ内周側ゴム(4A)を、抗張体(2)の略半周長分加硫成形した後に、残りの略半周長分のクローラ外周側ゴム(3B)及びクローラ内周側ゴム(4B)を加硫成形するようにしたゴムクローラの製造装置において、
前記中成形型(11)を横方向に移送自在に案内する案内レール(8)を設けて該中成形型(11)を上成形型(12)と下成形型(13)との間に出入り自在とし、中成形型(11)を上成形型(12)と下成形型(13)との間から引き出した状態で、中成形型移送方向(X)に直交する横方向に、ゴムクローラの中間製品を中成形型(11)から取出し又は中成形型(11)にセットすることができるように案内レール(8)の一部を取り外し可能としたことを特徴とするゴムクローラの製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製造装置によってゴムクローラを製造するゴムクローラの製造方法であって、
中成形型(11)を上成形型(12)と下成形型(13)との間から引き出した状態で、最初の略半周長分に相当する未加硫のクローラ外周側ゴム(3A)及びクローラ内周側ゴム(4A)の一次成形品(29)を抗張体(2)と共に中成形型移送方向(X)に直交する横方向から中成形型(11)にセットし、該一次成形品(29)及び抗張体(2)がセットされた中成形型(11)を上成形型(12)と下成形型(13)との間に挿入して一次加硫し、
その後、中成形型(11)を上成形型(12)と下成形型(13)との間から引き出して一次加硫品(22)を中成形型移送方向(X)に直交する横方向に取り出し、
残りの略半周長分に相当する未加硫のクローラ内周側ゴム(4B)の二次成形品(30)を中成形型(11)にセットした後に、前記一次加硫品(22)を中成形型移送方向(X)に直交する横方向から中成形型(11)にセットすると共に残りの略半周長分に相当する未加硫のクローラ外周側ゴム(3B)の二次成形品(30)を中成形型(11)にセットし、
該一次加硫品(22)及び二次成形品(30)がセットされた中成形型(11)を上成形型(12)と下成形型(13)との間に挿入して二次加硫することを特徴とするゴムクローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−52586(P2010−52586A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219706(P2008−219706)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】