説明

サンプリングレートを低減した2重エネルギー撮像

【課題】サンプリングレートを低減した多重エネルギー撮像を提供すること。
【解決手段】本開示は、単一エネルギー撮像で利用されるレートに匹敵するデータサンプリングレートを用いた2重エネルギーX線データ(62、64)の生成に関する。本技法によれば、従来の2重エネルギー撮像と比較して利用するkVp切替速度が低速となる。作成した画像において全角度分解能が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示している主題は非侵襲的な撮像に関し、また詳細には2重エネルギー撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
医用撮像及びセキュリティスクリーニングの分野では、非侵襲的な撮像技法は非突出性、利便性及び高速性を含む恩恵のために重要性が増している。医学や研究のコンテキストでは、皮膚表面の下にある臓器や組織を撮像するために非侵襲的撮像技法が使用される。同様に、工業や品質管理(QC)のコンテキストでは、部品や製品について外部検査からは明らかとし得ない隠れた欠陥の有無を検査するために非侵襲的撮像技法が使用される。セキュリティスクリーニングでは非侵襲的な撮像技法は典型的には、入れ物(例えば、包装物、バッグや手荷物)の中身を入れ物を開けずに検査するためかつ/またはセキュリティ箇所に出入りする個々人をスクリーニングするために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今日、多数の非侵襲的な撮像モダリティが存在している。こうした技法の1つである2重エネルギー(DE)放射線撮像法は、比較的短い時間間隔内で異なるエネルギーでX線減衰データを収集することが不可避である。異なるエネルギーレベルにおける減衰データは次いで、撮像対象の解剖部位を分解し、第1の材料(例えば、水や骨)からなる第1の画像及び第2の材料(例えば、ヨウ素その他のコントラスト剤)からなる第2の画像を作成するために使用されることがある。複数のX線エネルギーで十分な減衰データを収集することが必要であるため、単一エネルギーだけでデータが収集されるようなスキャンと比較してデータまたは撮像サンプリングレートがかなり増大する(例えば、2倍になる)ことがある。こうしたサンプリングレートの増大は、撮像システムハードウェアにより課せられる物理的、電気的及び/または機械的な制約のために得難いことがある。さらに、サンプリングレートの高速化に関連するビュー時間の低下のために、こうしたサンプリングスキームに有用な信号と比べてノイズが増大することがある。したがって、2重エネルギー画像の収集及び再構成に関連する問題を克服するような技法が必要である。本明細書に記載した技法は、2重エネルギー撮像システムに関連するこうした問題のうちの1つまたは幾つかに対処することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、2重エネルギー投影データを収集するための方法を提供する。本方法は、低kVpの各放出に対して低kVp投影データの対応組が収集されかつ高kVpの各放出に対して高kVp投影データの対応組が収集されるように低kVp及び高kVpに対応するX線を交互に放出する動作を含む。低kVp投影データまたは高kVp投影データを単独で取った場合の総計組は全角度分解能を提供しない。しかし、低kVp投影データと高kVp投影データの合成組によれば全角度分解能が提供される。低kVp投影データと高kVp投影データの合成データを用いて混合kVp画像が作成される。この混合kVp画像に基づいてシード画像が作成される。このシード画像は更新済み画像が作成されるように更新される。この更新済み画像は、密度投影が全角度分解能で作成されるように再投射される。少なくとも一部で作成した密度投影に基づいて高kVp画像、低kVp画像、材料分解画像、単色画像のうちの1つまたは幾つかが作成される。
【0005】
別の実施形態では、2重エネルギー投影データを収集するための方法を提供する。本方法は、低kVpの各放出に対して低kVp投影データの対応組が収集されかつ高kVpの各放出に対して高kVp投影データの対応組が収集されるように低kVp及び高kVpに対応するX線を交互に発生させる動作を含む。この低kVp投影データと高kVp投影データの合成データを用いて混合kVp画像が作成される。この混合kVp画像に基づいて1つの基礎材料を近似しているシード画像が作成される。このシード画像は、更新済み画像が作成されるように更新される。この更新済み画像は、密度投影が全角度分解能で作成されるように再投射される。この作成した密度投影を用いて、低kVp投影データ組または高kVp投影データ組に関する不足の角度ビューが計算される。少なくとも一部でこの低kVp投影データ組または高kVp投影データ組に関する1つまたは複数の計算した不足角度ビューに基づいて、高kVp画像、低kVp画像、材料分解画像、単色画像のうちの1つまたは幾つかが作成される。
【0006】
さらに別の実施形態では、多重エネルギー撮像システムを提供する。こうした実施形態の1つではその多重エネルギー撮像システムは、低kVp及び高kVpでX線を放出することが可能なX線源と、該放出されたX線に応答して信号を生成することが可能な検出器アセンブリと、を含む。本撮像システムはさらに、低kVpの各放出に対して低kVp投影データの対応組が収集されかつ高kVpの各放出に対して高kVp投影データの対応組が収集されるように検出器アセンブリが発生させた信号を収集するように構成されたデータ収集システムを含んでおり、低kVp投影データまたは高kVp投影データを単独で取った場合の総計組では全角度分解能が提供されないが低kVp投影データと高kVp投影データの合成組では全角度分解能が提供される。さらに本撮像システムは、1つまたは複数のアルゴリズムを実行するように構成された画像処理回路を含む。画像処理回路により実行させたときにこの1つまたは複数のアルゴリズムは、低kVp投影データと高kVp投影データの合成データを用いて混合kVp画像を作成し、該混合kVp画像に基づいてシード画像を抽出し、更新済み画像を作成するように該シード画像を更新し、密度投影が全角度分解能で作成されるように該更新済み画像を再投射し、かつ少なくとも一部で作成した密度投影に基づいて高kVp画像、低kVp画像、材料分解画像、単色画像のうちの1つまたは幾つかを作成する。
【0007】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本技法の一実施形態による2重エネルギー(DE)X線撮像システムの概要図である。
【図2】本技法の一実施形態による2重エネルギー撮像アルゴリズムの各ステップを表した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で詳細に記載することにするが、2重エネルギー(DE)撮像システム及び技法に関する実施形態は、単一エネルギーでの画像データの収集と比較してサンプリングレートの増大がほとんど無くまたは全く無く材料分解(MD)画像及び/または単色画像を作成することができる。この方式では、kVp(キロボルトピーク)切替速度(2重エネルギーデータ収集で使用される2つのX線エネルギー間での切り替えに関連する速度)を従来の2重エネルギー方式と比較して半分に低速化することを可能にした基礎材料分解アルゴリズムを利用する。本方式の一実施形態では、全角度分解能で混合kVp画像が取得される。ある基礎材料に対応するシード画像が抽出されかつ更新される。次いで、この更新された基礎材料画像を用いて全角度分解能の低エネルギーまたは高エネルギー画像、基礎材料画像、あるいは単色画像が作成される。本明細書で例証する実施形態は医用撮像のコンテキストで記載しているが、目下のところ企図される技法はさらにセキュリティや品質管理のコンテキストでも利用可能となり得ることに留意すべきである。
【0010】
上述のことを考慮しながらここで添付の図面を見ると、図1は本技法に従って使用し得る多重エネルギーX線撮像システム10を表している。図示した実施形態では、多重エネルギーX線撮像システム10は画像データの収集と表示のための処理の両方を行うように設計されたディジタルX線システムである。システム10は、2つ以上のX線エネルギーレベルでX線減衰画像データを収集することが可能である。例えば一実施形態ではそのシステム10は、第1のエネルギーレベル(例えば、高エネルギー)にあるX線並びに別の第2のエネルギーレベル(例えば、低エネルギー)にあるX線を用いて関心領域の投影データを収集することが可能である。さらに図示したシステム10は、様々な角度位置で投影データを収集することがある。この様々な角度位置に関する画像データは、このX線エネルギーレベルの両方で収集されることも、これらX線エネルギーレベルのうちの一方のみで収集されることもある。多重エネルギーX線撮像システム10(例えば、2重エネルギー撮像システム)は、異なるX線エネルギーレベルで収集したデータに基づいた画像(すなわち、高エネルギー画像と低エネルギー画像)、異なる基礎材料(例えば、骨画像、水画像、コントラスト画像、その他)に基づいた画像、あるいは指定された波長(すなわち、単色画像)に基づいた画像、を作成するために使用されることがある。
【0011】
例えば基礎材料画像に関しては、第1の基礎材料と第2の基礎材料はシステム10が発生させる低エネルギーX線と高エネルギーX線に対する吸収特性が異なっており、これがシステム10に対して第1の基礎材料により生じたX線吸収と第2の基礎材料により生じたX線吸収との識別を可能にする。こうした吸収差によってシステム10は、所望の解剖部位をさらに解析するための基礎材料画像(例えば、水画像、骨画像、ヨウ素画像、カルシウム画像、その他)を作成するように(これらの吸収差特性に基づいて)材料分解し得るような高エネルギー投影と低エネルギー投影の両方を生成するように動作可能とすることができる。図示した撮像システム10について医用撮像のコンテキストで検討しているが、本明細書で検討した技法及び構成は、セキュリティスクリーニングや製造部品の工業用の非破壊的評価などの別の非侵襲的撮像のコンテキストでも利用可能である。
【0012】
図1に示した実施形態では、X線源12を含むコンピュータ断層(CT)撮像システムとするように多重エネルギー撮像システム10を図示している。このX線源は、本明細書で検討したような様々なエネルギーレベルでX線を発生させるように構成されている。線源12はコリメータ14の近傍に位置決めされることがある。コリメータ14は、線源12の各放出点ごとに鉛やタングステン製のシャッタなどの1つまたは複数のコリメート領域からなることがある。コリメータ14は、人間の患者などの対象18をその内部に位置決めする領域に進入する1つまたは複数のX線ビーム16のサイズ及び形状を規定するのが典型的である。各X線ビーム16は、以下で検討することにするような検出器アレイの構成及び/または所望のデータ収集方法に応じて概して扇形や円錐の形状とすることがある。各X線ビーム16の減衰部分20は対象18内を通過し、その全体を参照番号22で示した検出器アレイに当たる。
【0013】
図示したシステム10は、対象18がその内部に位置決めされる領域に向けて導かれる放出された放射線ストリームを整形または制限する1つまたは複数のコリメータ14またはフィルタを含むことがある。しかし幾つかの実施形態ではシステム10がコリメータを含まないことがあり、また画像がシステム10の全視野域を用いて取得されることがある。別法としてある種の実施形態では、X線源12が発生させたX線の広がりを低減させるためにシステム10の視野域をコリメータ14によって縮小させることがある。コリメータ14は所望によりX線源12を覆うように選択的に配置させることが可能であり、あるいはX線源12を覆うようなコリメータ14の配置を維持させることがある。さらにコリメータ14は、X線源12を覆うようにコリメータを配置させた状態でフルの(すなわち、広い)視野域画像や低減の(すなわち、狭い)視野域画像が取得できるように調節可能とすることがある。本技法は、標準コリメータ、スリットコリメータ、適当な別の任意のコリメータを有する撮像システム、あるいはコリメータを全く有しない撮像システムにおいて使用し得ることに留意すべきである。
【0014】
検出器22は一般に、対象18の中またはその周囲を通過した後のX線ビーム16を検出する複数の検出器素子により形成される。各検出器素子は、X線ビームが検出器22に当たったときにその検出器素子の位置に入射したX線強度ビーム16を表す電気信号を発生させる。別法として検出器22の各素子は、X線ビーム16における入射光子をカウントすることがあり、またそのエネルギーを決定することもある。典型的にはX線ビーム16は、複数の放射線投影ビューの収集を可能とするように関心対象の周りの様々な角度位置で発生させて、対応する電気信号を収集している。この電気信号は、対象18内部のフィーチャを示す画像を再構成するように収集されかつ処理される(これについては以下でさらに詳細に検討することにする)。
【0015】
ディジタルX線検出器22は、2重エネルギーX線撮像を実行するように動作可能な任意の検出器とし得ることに留意すべきである。例えばこのディジタルX線検出器22は、2つの画像を高速連続で収集する能力を有するアモルファスシリコン製フラットパネルとすることがある。さらに検出器22は、1つの収集からのX線光子を2つのエネルギービンに分離することができるエネルギー弁別検出器材料を含むことがある。こうした検出器は、エネルギー弁別または光子計数方式でデータを収集する際に有用となり得る。すなわちディジタル検出器22は、改良型の画像サブトラクションに変換し得るようにエネルギー分離を大きくした(スペクトルを概ね90keVの大きさの平均エネルギー分離とした)高エネルギー及び低エネルギー画像の収集を可能とさせた画像収集スピードを容易にすることが可能である。一実施形態ではそのX線検出器22は、その表面上で受け取ったX線光子をより低エネルギーの光子に変換し、さらに続いて電気信号に変換する、これが対象内部のフィーチャに関する1つまたは複数の画像を再構成するように収集されかつ処理される。
【0016】
システム制御器24は、検査プロトコルを実行し収集したデータを処理するように撮像システム10の動作を指令する。線源12は典型的には、システム制御器24により制御を受ける。一般にシステム制御器24は、多重エネルギー検査シーケンスのためにパワー、焦点箇所、制御信号その他を提供する。検出器22はシステム制御器24に結合されており、このシステム制御器24は検出器22が発生させた信号の収集を指令している。システム制御器24はさらに、ダイナミックレンジの初期調整、ディジタル画像データの交互配置、その他といった様々な信号処理及びフィルタ処理機能を実行することがある。本コンテキストではシステム制御器24はさらに、信号処理回路及び付属のメモリ回路を含むことがある。さらに詳細には以下で検討することにするがこの付属メモリ回路は、ここで開示した技法を実現するためのプログラムやルーチンなど、システム制御器24やシステム制御器24と連絡したプロセッサベースのシステムが実行するプログラム及び/またはルーチンを保存することがある。さらにシステム制御器24のメモリ回路は、構成パラメータ、画像データ、その他を保存することがある。一実施形態ではそのシステム制御器24は、汎用または特定用途向けのコンピュータシステムなどのプロセッサベースのシステムの全体または一部分として実現されることがある。
【0017】
図1に示した実施形態ではシステム制御器24は、モータ制御器32を介して直線位置決めサブシステム28及び回転サブシステム26の動きを制御することがある。撮像システム10が線源12及び/または検出器22の回転を含むような一実施形態では、回転サブシステム26は対象18の周りに線源12、コリメータ14及び/または検出器22を回転させることがある。回転サブシステム26は静止した構成要素(静止体)と回転する構成要素(回転体)の両方を備えたガントリを含むことがあり得ることに留意すべきである。直線位置決めサブシステム28によって、対象18(またより具体的には、対象18を支持するための患者テーブル)を直線的に変位させることを可能とし得る。したがって患者テーブルは、ガントリ内部であるいは撮像ボリューム(例えば、線源12と検出器22の間に位置するボリューム)内部で直線的に移動を受けることができ、対象18の具体的な部位からデータを収集し、これにより当該部位に関連する画像を作成することが可能となる。さらに直線位置決めサブシステム28は、コリメータ14の1つまたは複数の構成要素を変位させ、これによりX線ビーム16の形状及び/または方向を調整することがある。静止した線源12と静止した検出器22を備える実施形態では、様々な角度での投影収集を可能とさせるために放出体を様々な回数付勢させるのではなく放出体を対象の周りの様々な角度箇所で離間させるようにして機械的な回転サブシステムを存在させないことがある。同様に、線源12及び検出器22がz軸(すなわち、対象18の主たる長さに関連する軸)に沿って広げられたまたは十分なカバー域を提供するように構成されている、かつ/または対象に関する直線運動が不要であるような実施形態では直線位置決めサブシステム28を存在させないことがある。
【0018】
線源12は、システム制御器24の内部に配置させたX線制御器30により制御されることがある。X線制御器30は、線源12に対してパワー及びタイミング信号を提供するように構成されることがある。さらにX線制御器は、所与の任意の時点で線源12が放出するX線のエネルギーレベルを制御するように動作することがある。さらに幾つかの実施形態ではそのX線制御器30は、システム10内部の様々な箇所にある管球または放出体が互いに同期してあるいは互いに独立に動作し得るように、線源12を選択的に付勢するように構成されることがある。
【0019】
さらにシステム制御器24はデータ収集システム34を備えることがある。こうした一実施形態ではその検出器22は、システム制御器24に結合され、またさらに詳細にはデータ収集システム34に結合されている。データ収集システム34は、検出器22の読み出し用電子回路が収集したデータを受け取る。データ収集システム34は典型的には、検出器22からサンプリング済みのアナログ信号を受け取り、コンピュータ36などのプロセッサベースのシステムによる後続の処理のためにこのデータをディジタル信号に変換する。別法として別の実施形態ではその検出器22は、データ収集システム34に送る前にサンプリング済みアナログ信号をディジタル信号に変換することがある。
【0020】
図示した実施形態では、コンピュータ36はシステム制御器24に結合されている。データ収集システム34が収集したデータは後続の処理及び再構成のためにコンピュータ36に送られる。例えば検出器22から収集したデータは、対象18及びスキャン対象物の減衰係数の線積分の描出を生成するためにデータ収集システム34及び/またはコンピュータ36において事前処理及び較正を受けることがある。一実施形態ではそのコンピュータ36は、検出器22から収集したデータに対する処理及びフィルタ処理のための画像処理回路37を包含する。一般に投影と呼ばれるこの処理済みデータは次いで、対象18及び/またはスキャン対象部位の画像を形成するように画像処理回路37により再構成されることがある。一実現形態ではその投影は、本明細書で検討した技法に従って高エネルギー及び/または低エネルギー画像、材料分解(MD)画像、及び/または単色画像に再構成される。例えば画像処理回路37は、収集した画像データの受け取るための命令、以下で詳細に記載する技法に従った高エネルギーまたは低エネルギー画像、材料分解画像または単色画像を作成するための命令、並びにディスプレイ42、プリンタ44その他などの出力デバイスを介して作成画像を出力するための命令を含むことがある。再構成の後に図1のシステム10により作成した画像は、診断、評価その他のために使用可能な対象18の内部関心領域を明らかにし得る。
【0021】
コンピュータ36は、コンピュータ36により処理したデータ、コンピュータ36に処理させようとするデータ、あるいは画像データを本技法に従って処理するためなどコンピュータ36に実行させようとするルーチン及び/またはアルゴリズムの保存が可能なメモリ38を備える、あるいはこれと連絡することができる。こうしたシステム10は、所望量のデータ及び/またはコードの保存が可能なコンピュータアクセス可能な任意のタイプのメモリデバイスを利用し得ることを理解すべきである。さらにメモリ38は、システム10に対してローカル及び/またはリモートとし得る同じタイプまたは異なるタイプとした磁気式、半導体式または光学式のデバイスなどの1つまたは複数のメモリデバイスを含むことがある。メモリ38は、本明細書に記載した画像処理及び再構成技法を実行するためのデータ、処理用パラメータ、及び/または1つまたは複数のルーチンまたはアルゴリズムを含むコンピュータプログラムを保存することがある。
【0022】
コンピュータ36はさらに、システム制御器24により有効化させる機能(すなわち、スキャン動作及びデータ収集)を制御するように適応させることがある。さらにコンピュータ36は、キーボード及び/またはその他の入力デバイスを装備し得るオペレータワークステーション40を介してオペレータからコマンド及びスキャン用パラメータを受け取るように構成されることがある。これによりオペレータは、オペレータワークステーション40を介してシステム10を制御することができる。したがってオペレータは、再構成画像やシステム10に関連するその他のデータのコンピュータ36からの観察、撮像の開始、画像フィルタの選択及び適用、その他を行うことができる。さらにオペレータは、フィーチャ及び関心領域に対する再構成画像からの手作業での特定及び/または検討をすることがある。このフィーチャまたは関心領域の特定及び/または操作を支援するために自動式の検出アルゴリズムを適用することがある。
【0023】
図示したようにシステム10はさらに、オペレータワークステーション40に結合させたディスプレイ42を含むこともある。ディスプレイ42は例えば再構成画像の観察のために利用されることがある。さらにシステム10は、オペレータワークステーション40に結合させたプリンタ44を含むと共に、1つまたは複数の再構成画像のコピーをプリントアウトするように構成されることがある。ディスプレイ42及びプリンタ44はさらに、コンピュータ36に対して直接またはオペレータワークステーション40を介して接続されることがある。さらにオペレータワークステーション40は、画像蓄積伝送システム(PACS)46を含むことやこれに結合されることがある。PACS46は、リモートシステム48、放射線科情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)に、あるいは内部または外部のネットワークに結合させ、異なる箇所にいる他の者がその画像データにアクセスできるようにすることもあり得ることに留意すべきである。
【0024】
オペレータワークステーションを1つだけ図示しているが、システムパラメータの出力、検査の要求、画像の観察その他のためにシステム10内で1つまたは複数のオペレータワークステーション40をリンクさせることがある。一般にシステム10内部に提供されたディスプレイ42、プリンタ44、ワークステーション40及び同様のデバイスはデータ収集構成要素に対してローカルとすることや、インターネット、仮想プライベートネットワークその他などの1つまたは複数の構成可能ネットワークを介して画像収集システム10とリンクさせて、ある施設や病院内部のどこかあるいは全体的に異なる箇所などこれらの構成要素からリモートとすることもある。さらに、上の検討では撮像システム10の典型的な実施形態を開示しているが、本明細書に記載した技法を介した画像データの収集及びこのデータの処理のために適当な別の任意のシステム構成が利用されることもある。
【0025】
上述のシステム検討を考慮に入れると、上述したような撮像システム10は多重エネルギー(例えば、2重エネルギー)撮像プロトコルで使用することがある。従来の方式では、そのデータ収集に関する所望のX線エネルギープロフィールを達成するために、低kVp設定と高kVp設定の間でX線源に関連するkVpを高速で変調させることがあり得る。こうした従来の方式では低kVpまたは高kVpでのビュー数を、kVp投影の各々によってビュー欠乏アーチファクト無く画像が形成可能となるように個別に十分な数としなければならない。このためスキャン中におけるサンプリングレートを単一kVpスキャンと比較して2倍にしなければならない。こうしたサンプリング増加のスキームでは、高電圧ランプアップ(ramp up)及びランプダウン(ramp down)の傾斜が有限であるため低kVpと高kVpの間の有効な光子エネルギー分離が低下する。さらに、ビュー時間が短縮された結果として信号対電子ノイズ比が増大する。本開示によれば、十分な角度分解能を維持しながらもそのサンプリングレートを2倍にしないような基礎材料分解方式が記述される。
【0026】
従来の基礎材料分解(BMD)では、空間的に完全に整列させた低kVp及び高kVp投影線束の計測値が収集される。これらの高kVp及び低kVp投影は、その各々が線束経路に沿った対応する基礎材料の密度線積分を表している以下のように数学的に記述されるような新たな投影組に変換される。
【0027】
(1) m=F(plow,phigh
(2) m=F(plow,phigh
上式において、m及びmは材料1及び2のそれぞれに関する密度積分であり、plow及びphighは低kVp及び高kVpで計測し処理された投影であり、また関数F()はシステム較正から導出される。
【0028】
この従来方式では、分解が実行されるようにplow及びphighを同じ線束経路にある投影としている。高速kVp切り替えの実現形態では、phigh線束経路内のplowを、phigh線束経路の周りの近傍にある低kVp投影間で精密なphigh線束経路に補間することによってこれが取得される、あるいはこの逆を行っている。角度分解能のロスを回避するためには多くのビュー数の低kVp及び高kVp投影が利用されており、これにより高速切り替えモードが使用されることになる。高速の切り替えによって低kVp及び高kVp状態の持続時間が短縮され、低ビューと高ビューの両ビューにおけるkVp遷移時間の部分がかなり増大する。その結果として2つの投影同士の実効エネルギー分離が狭くなる。さらに信号対電子ノイズ比が低下する。エネルギーが狭くなる影響によって、BMD処理の性質のために分解投影mとm内のノイズを上昇させることになる。一般に、低kVpと高kVp状態間のエネルギー分離が大きいほど、分解させた材料密度画像におけるノイズ特性がそれだけ改善される。
【0029】
本方式によれば、スキャンでかなり低速のkVp切替速度を利用しても基礎材料分解された画像に関して同じ角度分解能が維持される。ここで図2を参照すると例えば一実現形態では、低kVp及び高kVp投影62、64を必要な角度分解能を満足するだけの十分な角度ビュー総数となるように低kVp及び高kVpX線の放出を連続的に交代させている(ブロック60)。こうした実現形態の1つでは、そのサンプリングレートは直接基礎材料分解の場合の概ね半分である。図示した実施形態では、個別画像を形成するように低kVpと高kVpの投影62、64を分離させておらず、これに代えて混合kVp画像ボリューム68を形成するようにこれらを一体に合成させている(ブロック66)。混合kVp画像ボリューム68(Imgmix(x,y,z))は、中央または中間kVpの画像と等価である。すなわち一実現形態では、80kVpと140kVpのそれぞれで低エネルギーと高エネルギーのX線放出を得たときに混合kVp画像ボリューム68によって120kVpで得られる画像ボリュームが近似される。全角度ビューによるそれぞれ低kVpまたは高kVpを用いて再構成した画像(すなわち、従来の高エネルギー画像や低エネルギー画像)と比較して混合kVp画像ボリューム68では、追加のアーチファクトは全く観測されないのが一般的である。
【0030】
関心対象の材料分解対に関連する画像データ74、76は、混合kVp画像ボリューム68から近似的に抽出(ブロック72)することができ、かつ/または関心対象のこうした基礎材料と関連しない画像データは混合kVp画像ボリューム68から除外すなわち除去することができる。例えば一実現形態では、混合kVp画像ボリューム68から骨及びヨウ素のデータ点が個別に抽出され、コントラスト強調の無い軟部組織が排除される。こうした一例は、ヨウ素(すなわち、コントラスト)及び骨(例えば、カルシウム)の材料分解画像が作成されるような実現形態に関する。一実現形態では、抽出を実施するために(例えば、ハウンスフィールド値(HU)のしきい値に基づいた)強度値しきい値が利用されることがある。別の実現形態では、骨位置輪郭及びHU差を利用することなどによってヨウ素から骨が切り出されることがある。
【0031】
抽出した画像データ74、76は、後続の処理で使用するためのシード画像82の作成(ブロック80)のために用いることがある。シード画像82は、全角度分解能を有する混合kVp画像ボリューム68から抽出されたものであるので全角度分解能を有する。例えば上述の実現形態では、高kVp及び低kVpスペクトル、骨組成並びに純粋なヨウ素とヨウ素溶液の組の間の差に関する事前の知見に基づいて、切り出された骨のHU画像データ点とコントラスト溶液のHU画像データ点が別々に純粋ヨウ素密度描出に変換される。この例では、新たな画像ボリュームがシード用の非水の対象画像(例えば、シード画像82)の役割をする。作成したときのシード画像82が正確であればあるほど、以降の段階において必要となる強度修正がそれだけ少なくする。本例では、シード画像82内でヨウ素コントラストが不十分な小さな血管や病変は見逃されることがあり、また変換したヨウ素密度画像と真のヨウ素密度の間に差が生じることがある。
【0032】
こうした差は、直接投影ベースの基礎材料分解からの疎サンプリングの投影を用いて更新済みまたは真の密度画像88が作成されるようにシードヨウ素画像を更新すること(ブロック86)によって低減または排除することができる。例えば上記の例に従うと、シードヨウ素画像を更新するために、直接基礎材料分解(ブロック90)からの疎サンプリング(ビュー数を半分以下とした)投影m及びm(92、94)が、角度方向の補間によって角度整列させた低kVp投影plow及び高kVp投影phighから取得される。mがヨウ素投影であるようなこうした例の1つでは、mと同じ角度方向のシードヨウ素pからの再投射線束とに関する差分投影pupdateが計算される。
【0033】
(3) pupdate=R(m)−p
上式において、演算子R()は、シード画像82に基づいて直接基礎材料分解からのヨウ素投影の空間分解能を再投射線束pからの空間分解能に一致させている。
【0034】
の差分投影pupdateから差分画像を再構成し、これにシードヨウ素画像を加えて更新したヨウ素画像88を形成することができる。シードヨウ素画像が真のヨウ素画像に非常に近ければ、差分画像の規模が小さいため、シード画像82に加えられるノイズ混入は限られる。この差分画像は、シード画像82内で失われている小さな血管及び/または小さなその他のフィーチャを表す画像データを包含し得る、かつこの画像によればまたシード画像82内のヨウ素の不正確な密度値を真のヨウ素密度描出に補正し得る。更新処理のこれらの両特徴は、本明細書で検討した後続の画像作成が依拠する正確なヨウ素密度画像の提供に役立つ。材料分解空間においてビームハードニング効果が大幅に低減されるため、この更新は物理的に正確である。
【0035】
更新済みの密度または材料画像88は全角度分解能でのヨウ素密度投影102を取得するように再投射される(ブロック100)。例えば、初めにサンプリングした低kVp及び高kVp投影62、64に対応する角度方向における再投射のヨウ素密度投影102をpidとしてみる。低kVp及び高kVp投影62、64はpidの助けによって中間変換(inter−tranform)することができる(ブロック104)。この変換は一実施形態では、システム較正の間に取り込み可能な以下のような関数形式をとることがある。
【0036】
(4) plow_tranformed=Tlow2high(phigh,pid
(5) phigh_tranformed=Thigh2low(plow,pid
この変換の後、最初の低kVpまたは高kVp投影内の不足の角度ビューが補強され、変換済みと最初のkVp投影組を用いて全角度分解能のkVp画像112、114を作成することができる(ブロック110)。さらに、全角度分解能の低kVp及び高kVp投影が作成されると、水とヨウ素の画像対などの対応する材料分解画像118、120を実際に計算することが可能である(ブロック116)。さらにkVp投影の変換済みと当初の投影組を用いて、単色画像124を作成することができる(ブロック122)。この処理は、材料分解画像118、120を取得した後で、2つの材料分解画像118、120に対して以下のように適正に重み付けすることによって実施することができる。
【0037】
(6) Immono=Imm1μm1(E)+Imm2μm2(E)
上式において、Imm1及びImm2は、エネルギーEにおいて対応する質量減衰係数μm1(E)及びμm2(E)を有する2つの材料分解画像118、120(上の例では、それぞれ水とヨウ素の画像)である。
【0038】
したがって、本明細書に開示した基礎材料分解アルゴリズムを用いると、高速kVp切替速度を実際上2分の1に低くすることが可能である。この切り替え頻度の低減によって、低kVpと高kVpの投影間のエネルギー分離を大幅に増大させ、これにより材料分解画像のノイズを削減することが可能である。さらに、2重エネルギースキャンに関する典型的な画像を角度分解能のロス無しにかつビュー欠乏アーチファクト無しに導出することが可能である。このアルゴリズムは、拍動する心臓により時間分解能要件が課せられるために速いサンプリングレートを必要とする2重エネルギー心臓撮像において有用となり得る。したがって本アルゴリズムによれば、2重エネルギースキャンに関連するのが典型的であるようなサンプリングレートを有効に低減するための代替形態が提供される。さらにこのアルゴリズムによれば、そのサンプリングを必ずしも低kVp1つ/高kVp1つのパターンに従わせる必要がない。例えば低kVpサンプルを、ヨウ素密度画像更新処理においてビュー欠乏アーチファクトを生じない程度にさらに低減することが可能である。
【0039】
本発明の技術的効果は、低減したkVp切替速度において高kVp及び/または低kVp画像、材料分解画像、及び/または単色画像を作成することを含む。別の技術的効果には、2重エネルギースキャンに関連する材料分解(または、別の)画像を、従来の技法で作成したのと同じ角度分解能を有しながら従来技法で使用される切替速度の実質的に半分のkVp切替速度で作成することを含む。さらに本開示の技術的効果は、サンプリングレートを2倍にしていないが角度分解能が維持されるような多重エネルギーまたは2重エネルギー撮像プロトコルを実行する多重エネルギーまたは2重エネルギー撮像システムにある。
【0040】
この記載では、本発明(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む本発明の実施を可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0041】
10 X線撮像システム
12 X線源
14 コリメータ
16 X線
18 対象
20 減衰X線
22 検出器アレイ
24 システム制御器
26 回転サブシステム
28 直線位置決めサブシステム
30 X線制御器
32 モータ制御器
34 データ収集システム
36 コンピュータ
37 画像処理回路
38 メモリ
40 オペレータワークステーション
42 ディスプレイ
44 プリンタ
46 PACS
48 リモートクライアント
60 高kVp及び低kVp投影データの収集
62 高kVp投影
64 低kVp投影
66 合成投影の再構成
68 混合kVp画像ボリューム
72 M1及びM2データ組の抽出
74 M1画像データ
76 M2画像データ
80 シード画像の作成
82 シード画像
86 シード画像の更新
88 更新済み密度画像
90 基礎材料分解
92 疎サンプリングのM1投影
94 疎サンプリングのM2投影
100 更新済み密度画像の再投射
102 密度投影
104 低kVp及び高kVp投影の変換
106 変換済み低kVp投影
108 変換済み高kVp投影
110 低kVp及び/または高kVp画像の再構成
112 低kVp画像ボリューム
114 高kVp画像ボリューム
116 材料分解画像の再構成
118 M1画像
120 M2画像
122 単色画像の作成
124 単色画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2重エネルギー投影データ(62、64)を収集するための方法であって、
低kVpの各放出に対して低kVp投影データの対応組(64)が収集されかつ高kVpの各放出に対して高kVp投影データ(62)の対応組が収集されるように低kVp及び高kVpに対応するX線を交互に放出するステップであって、低kVp投影データ(64)または高kVp投影データ(62)を単独で取った場合の総計組では全角度分解能が提供されないが低kVp投影データ(64)と高kVp投影データ(62)からなる合成組では全角度分解能が提供されるようにした放出ステップと、
低kVp投影データ(64)と高kVp投影データ(62)の合成データを用いて混合kVp画像(68)を作成するステップ(66)と、
前記混合kVp画像(68)に基づいてシード画像(82)を抽出するステップ(80)と、
更新済み画像(88)が作成されるように前記シード画像(82)を更新するステップ(86)と、
密度投影(102)が全角度分解能で作成されるように前記更新済み画像(88)を再投射するステップ(100)と、
少なくとも一部で作成した前記密度投影(102)に基づいて高kVp画像(114)、低kVp画像(112)、材料分解画像(118、120)または単色画像(124)のうちの1つまたは幾つかを作成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
シード画像(82)を更新する前記ステップ(86)は、基礎材料分解処理(90)から作成した疎サンプリング投影(92、94)を用いるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シード画像(82)を更新する前記ステップ(86)は、差分画像を作成し該差分画像をシード画像(82)に足し合わせて更新済み画像(88)を作成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一部で作成した密度投影(102)に基づいて高kVp画像(114)、低kVp画像(112)、材料分解画像(118、120)または単色画像(124)のうちの1つまたは幾つかを作成する前記ステップは、低kVp投影データ組(64)または高kVp投影データ組(62)に関する1つまたは複数の不足の角度ビューを計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
2重エネルギー投影データを収集するための方法であって、
低kVpの各放出に対して低kVp投影データの対応組(64)が収集されかつ高kVpの各放出に対して高kVp投影データ(62)の対応組が収集されるように低kVp及び高kVpに対応するX線を交互に発生させるステップと、
低kVp投影データ(64)と高kVp投影データ(62)の合成データを用いて混合kVp画像(68)を作成するステップ(66)と、
前記混合kVp画像(68)に基づいて1つの基礎材料を近似しているシード画像(82)を抽出するステップ(80)と、
更新済み画像(88)が作成されるように前記シード画像(82)を更新するステップ(86)と、
密度投影(102)が全角度分解能で作成されるように前記更新済み画像(88)を再投射するステップ(100)と、
低kVp投影データ組(64)または高kVp投影データ組(62)に対する不足の角度ビューを計算するために前記作成した密度投影(102)を用いるステップと、
少なくとも一部で低kVp投影データ組(64)または高kVp投影データ組(62)に対する1つまたは複数の前記計算した不足の角度ビューに基づいて高kVp画像(114)、低kVp画像(112)、材料分解画像(118、120)または単色画像(124)のうちの1つまたは幾つかを作成するステップと、
を含む方法。
【請求項6】
前記低kVp投影データ組(64)と高kVp投影データ組(62)のうちの一方または両方によって提供される角度レンジが全角度未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合kVp画像(68)は、低kVpと高kVpの中間のkVpで作成するとした画像と等価である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
シード画像(82)を抽出する前記ステップ(80)はハウンスフィールド値(HU)しきい値または切り出し方式を利用するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記シード画像(82)は全角度分解能を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
シード画像(82)を更新する前記ステップ(86)は、直接投影ベースの基礎材料分解(90)からの疎サンプリング投影(92、94)によってシード画像(82)を更新するステップ(86)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
低kVp及び高kVpでX線(16)を放出することが可能なX線源(12)と、
前記放出されたX線(16)に応答して信号を生成することが可能な検出器アセンブリ(22)と、
低kVpの各放出に対して低kVp投影データの対応組(64)が収集されかつ高kVpの各放出に対して高kVp投影データ(62)の対応組が収集されるように検出器アセンブリ(22)が発生させた信号を収集するように構成されたデータ収集システム(34)であって、低kVp投影データ(64)または高kVp投影データ(62)を単独で取った場合の総計組では全角度分解能が提供されないが低kVp投影データ(64)と高kVp投影データ(62)からなる合成組では全角度分解能が提供されるようなデータ収集システム(34)と、
1つまたは複数のアルゴリズムを実行するように構成された画像処理回路(37)であって、該アルゴリズムは該画像処理回路(37)による実行の際に、
低kVp投影データ(64)と高kVp投影データ(62)の合成データを用いて混合kVp画像(68)を作成すること(66)、
前記混合kVp画像(68)に基づいてシード画像(82)を抽出すること(80)、
更新済み画像(88)を作成するように前記シード画像(82)を更新すること(86)、
密度投影(102)が全角度分解能で作成されるように前記更新済み画像(88)を再投射すること(100)、
少なくとも一部で前記作成した密度投影(102)に基づいて高kVp画像(114)、低kVp画像(112)、材料分解画像(118、120)または単色画像(124)のうちの1つまたは幾つかを作成すること、
を行っている画像処理回路(37)と、
を備える多重エネルギー撮像システム(10)。
【請求項12】
前記シード画像(82)は、基礎材料分解処理(90)から作成した疎サンプリング投影(92、94)を用いて更新される(86)、請求項11に記載の多重エネルギー撮像システム(10)。
【請求項13】
前記シード画像(82)は、差分画像を作成し該差分画像をシード画像(82)に足し合わせて更新済み画像(88)を作成することによって更新される(86)、請求項11に記載の多重エネルギー撮像システム(10)。
【請求項14】
前記1つまたは複数の高kVp画像(114)、低kVp画像(112)、材料分解画像(118、120)または単色画像(124)は、低kVp投影データ組(64)または高kVp投影データ組(62)に関する1つまたは複数の不足の角度ビューを計算することによって作成される、請求項11に記載の多重エネルギー撮像システム(10)。
【請求項15】
前記混合kVp画像(68)は、低kVpと高kVpの中間のkVpで作成するとした画像と等価である、請求項11に記載の多重エネルギー撮像システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−139899(P2011−139899A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−283899(P2010−283899)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】