説明

シクロプロピルポリメラーゼ阻害剤

式I:
【化1】


[式中:Rは水素又はC−Cアルキルであり;R及びRは水素、−C(=O)R又は−C(=O)CHR−NHであるか;あるいはRは水素であり、そしてRはモノホスフェート−、ジホスフェート−もしくはトリホスフェートエステルであるか、あるいはRは水素、−C(=O)CHR又は−C(=O)CHR−NHであり、そしてRは(式2)であり、各Rは水素、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルであり;Rは水素又はC−Cアルキルであり;Rは、場合により置換されていることができるフェニル;ナフチル;又はインドリルであり;Rは及びRは水素、C−Cアルキル、ベンジルであるか;あるいはR及びRは一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;RはC−Cアルキル、ベンジル又は場合により置換されていることができるフェニルであり;但しR、R及びRはすべてが水素であることはない]
の化合物;あるいはその製薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物;化合物Iを用いる製薬学的調製物;R、R及びRがすべて水素である式Iの化合物を含む化合物IのHCV阻害剤としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術的分野
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)の阻害剤であるヌクレオシド誘導体ならびにHCVの処置又は予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
HCVは、ヘパシウイルス(hepacivirus)属のウイルスのフラビウイルス(flaviviridae)科に属する一本鎖ポジティブセンス(positive−sense)RNAウイルスである。初期の急性の感染に続き、感染した患者の大部分は慢性肝炎を発症し、それはHCVが肝細胞中で優先的に複製するが、直接細胞障害性ではないからである。特に、激しいT−リンパ球反応の欠如及びウイルスが突然変異する高い傾向は、慢性の感染の高率を助長すると思われる。慢性肝炎は肝線維症に進行し、肝硬変、末期肝臓病及びHCC(肝細胞ガン)に導き得、それを肝臓移植の第1の原因としている。
【0003】
6個の主要なHCV遺伝子型及び50個より多いサブタイプがあり、それらは地理的に種々に分布する。遺伝子型1HCVはヨーロッパ及び米国で優勢な遺伝子型である。HCVの広範囲の遺伝子的異質性は、重要な診断的及び臨床的意味を有し、おそらくワクチン開発における困難性及び現在の治療の限られた有効性を説明する。
【0004】
HCVの伝染は、例えば輸血又は静脈内薬物使用に続く汚染された血液又は血液製剤との接触を介して起こり得る。血液のスクリーニングにおいて用いられる診断的試験の導入は、輸血−後HCV出現率を下げる傾向に導いた。しかしながら、末期肝臓病への遅い進行を考えると、現存する感染は重大な医学的及び経済的重荷を非常に長期間の間、与え続けるであろう。
【0005】
現在の抗−HCV医療標準は、リバビリンと組み合わされた(ポリエチレングリコール化(pegylated))インターフェロン−アルファ(IFN−α)に基づく。この組み合わせ治療は、遺伝子型1ウイルスに感染した患者の約50%において、ならびに遺伝子型2及び3に感染した患者の約80%において持続性のウイルス学的反応を生ずる。遺伝子型1HCVへの限られた有効性の他に、この組み合わせ治療は有意な副作用を有し、多くの患者においてあまり耐えられない。主な副作用にはインフルエンザ−様症状、血液学的異常及び神経精神医学的症状が含まれる。従って、より有効、簡便且つより耐えられる処置が必要である。
【0006】
HIV薬及び特にHIVプロテアーゼ阻害剤を用いる経験は、最適以下の薬物動態学及び複雑な投薬管理が、不注意のコンプライアンスの失敗を迅速に生ずることを教えた。これは代わって、HIV管理におけるそれぞれの薬剤に関する24時間トラフ濃度(trough concentration)(最小血漿濃度)が、頻繁にその日の大きな部分に及んでIC90又はED90閾値より低く下がることを意味する。少なくともIC50そしてより現実的にはIC90又はED90の24時間トラフレベル(trough level)は、薬剤逸脱突然変異体の出現を遅らせるのに必須であると思われる。そのようなトラフレベルを可能にするのに必要な薬物動態学及び薬剤代謝を達成することは、薬剤設計に厳しい挑戦を与える。
【0007】
RNAポリジーンのNS5B領域は、ウイルス複製に必須であるRNA依存性RNAポ
リメラーゼ(RdRp)をコードする。従ってこの酵素は、医薬品化学者の間で有意な興味を引いた。NS5Bのヌクレオシド及び非−ヌクレオシド阻害剤の両方が既知である。ヌクレオシド阻害剤は、鎖終結因子として、又はポリメラーゼへのヌクレオチド結合を妨害する競合阻害剤として働くことができる。鎖終結因子として機能するために、ヌクレオシド類似物は細胞により吸収され且つ生体内で三リン酸塩に転換されねばならない。この三リン酸塩への転換は通常細胞キナーゼにより媒介され、それはヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤の可能性のあるものに追加の構造的な必要条件を与える。さらにこれは、HCV複製の阻害剤としてのヌクレオシドの直接の評価を、その場リン酸化の可能な細胞に基づくアッセイ制限する。
【0008】
HCV RdRpの阻害剤としてのヌクレオシドを開発するいくつかの試みが成されたが、一握りの化合物が臨床的開発に入りながら、登録へのすべての道を進んだものはなかった。今日までにHCVを標的とするヌクレオシドが遭遇した問題の中に、毒性、突然変異誘発性、選択性の欠如、低い有効性、低いバイオアベイラビリティー、最適以下の投薬管理及び結果としての高い薬剤負荷(pill burden)ならびに製品のコストがある。
【0009】
いくつかの特許及び特許出願ならびに科学的刊行物(scientific publications)が、HCV阻害活性を有するヌクレオシド類似物を開示している。特許文献1は、フラビウイルス感染の処置のための修飾2’及び3’−ヌクレオシドプロドラッグを開示している。特許文献2は、HCVポリメラーゼ阻害剤としての4−アミノ−1−((2R,3S,4S,5R)−5−アジド−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン及びエステル誘導体を開示している。Murakami Eisuke et al.は、非特許文献1において、β−D−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’C−メチルシチジン及びいくつかの類似物のリン酸化及びHCV NS5Bポリメラーゼの阻害を開示している。これらの化合物のいずれも2’−スピロシクロプロピル置換基を有していない。
【0010】
副作用、限られた有効性、耐性の出現及びコンプライアンスの失敗のような現在のHCV治療の欠点の1つもしくはそれより多くを克服することができ、ならびに持続的なウイルス反応を向上させることができるHCV阻害剤が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2004/002999号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2008/043704号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Murakami Eisuke et al.著,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,American Society for Microbiology,Vol.51,no.2,2007年,pp.503−509
【発明の概要】
【0013】
本発明は、以下のパラメーター:抗ウイルス有効性、好ましい耐性発現の側面、好ましいウイルス学的側面、好ましい毒性学的及び遺伝子毒性学的側面ならびに好ましい薬物動態学及び薬力学ならびに調製及び投与の容易さの1つもしくはそれより多くに関する有用
な性質を有するHCV阻害性4−アミノ−1−(7−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−5−オキサ−スピロ[2.4]ヘプチ−4−イル)−1H−ピリミジン−2−オンに関する。1つのそのような化合物、すなわち2’デオキシ−2’−スピロシクロプロピルシチジンと呼ばれる−4−アミノ−1−((4R,6R,7S)−7−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−5−オキサ−スピロ[2.4]ヘプチ−4−イル)−1H−ピリミジン−2−オンはCan.J.Chem.,vol.71,pp.413−416に記載されているが、HCV阻害剤としてではない。
【0014】
本発明の化合物は、それらが他のウイルスに対する、特にHIVに対する活性がないことの故にも魅力的であり得る。HIV感染患者は多くの場合にHCVのような共−感染に苦しむ。HIVをも阻害するHCV阻害剤を用いるそのような患者の処置は、耐性HIV株の出現に導き得る。
【0015】
発明の記述
1つの側面において、本発明は、いずれかの可能な立体異性体を含む式I:
【0016】
【化1】

【0017】
[式中:
は水素又はC−Cアルキルであり;
及びRは独立して水素、−C(=O)R及び−C(=O)CHR−NHより成る群から選ばれるか;あるいは
は水素であり、そしてRはモノホスフェート−、ジホスフェート−もしくはトリホスフェートエステルであるか;あるいはRは水素、−C(=O)CHR又は−C(=O)CHR−NHであり、そしてRは式
【0018】
【化2】

【0019】
の基であり、
各Rは独立して水素、C−Cアルキル及びC−Cシクロアルキルより成る群から選ばれ;
は水素又はC−Cアルキルであり;
は場合によりハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ及びアミノからそれぞれ独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができるフェニルであるか、あるいはRはナフチルであるか;あるい
はRはインドリルであり;
は水素、C−Cアルキル、ベンジルであり;
8’は水素、C−Cアルキル、ベンジルであるか;あるいは
及びR8’はそれらが結合する炭素原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
はC−Cアルキル、ベンジル又はフェニルであり、ここで該フェニルは場合によりヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、モノ−及びジC−Cアルキルアミノからそれぞれ独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができ;
但しR、R及びRはすべてが水素であることはない]
により示すことができる化合物又はその製薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0020】
さらに別の側面において、本発明は、HCV感染を妨げるか又は処置するための、R、R及びRがすべて水素である式Iの化合物を含む本明細書で規定される式Iの化合物の使用に関する。あるいはまた、HCV感染を妨げるか又は処置するための薬剤の製造のための、R、R及びRがすべて水素である式Iの化合物を含む本明細書で規定される式Iの化合物の使用を提供する。
【0021】
基−NH−C(R)(R8’)−C(=O)−はアミノ酸残基を形成し、それは天然及び非−天然アミノ酸残基を含む。興味深いのは、R8’が水素であるアミノ酸残基である。後者の場合においてRが水素以外である場合、Rを有する不斉炭素原子における立体配置は、L−アミノ酸の立体配置であることができる。この立体配置をS−立体配置と称することもできる。例はアラニン(Ala)、すなわちR8’が水素であり、Rがメチルである場合;あるいはバリン(Val)、すなわちR8’が水素であり、Rがイソプロピルである場合;ロイシン(Leu)、すなわちR8’が水素であり、Rが−CHCH(CHである場合;イソロイシン(Ile)、すなわちR8’が水素であり、Rが−CH(CH)CHCHである場合;及びフェニルアラニン(Phe)、すなわちR8’が水素であり、Rがベンジルである場合;特にL−Ala、L−Val、L−Ile及びL−Pheである。R及びR8’が、それらが結合する炭素原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成するアミノ酸残基の例は、1,1−シクロプロピルアミノ酸である。R及びR8’が両方とも水素である場合、基−NH−C(R)(R8’)−C(=O)−はグリシン(Gly)を形成する。
【0022】
基−C(=O)CHR−NHはアミノ酸エステルを形成し、アミノ酸は側鎖を有していないか(Rは水素である)、あるいはC−Cアルキル側鎖を有する。そのようなアミノ酸はグリシン(Rは水素である)、バリン(Rはイソプロピルである)、ロイシン(Rは−CHCH(CHである)又はイソロイシン(Rは−CH(CH)CHCHである)を含み、特にL−立体異性体、H−L−Val−、H−L−Leu又はH−L−Ileを含む。
【0023】
式Iの化合物のサブグループは、Rが水素である本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0024】
式Iの化合物のサブグループは、Rが水素である本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0025】
式Iの化合物のサブグループは、Rが水素である本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0026】
式Iの化合物のサブグループは、R及びRの一方が水素であり、R及びRの他
方がアセチル、ピバロイル及び好ましくはイソブチリルから選ばれるか;あるいはR及びRの一方が水素であり、R及びRの他方がロイシル、イソロイシル及び好ましくはバリルから選ばれるか;あるいはR及びRの両方がアセチル、ピバロイル及び好ましくはイソブチリルから選ばれるか;あるいはR及びRの両方がロイシル、イソロイシル及び好ましくはバリルから選ばれる本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。1つの態様において、Rは水素であり、Rは上記で定義された通りである。別の態様において、Rは水素であり、Rは上記で定義された通りである。式Iの化合物の特別なサブグループは、R及びRが両方ともイソブチリル(−C(=O)−CH(CH)である本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0027】
式Iの化合物のサブグループは、Rが水素又は−C(=O)Rであり、Rが式
【0028】
【化3】

【0029】
の基である本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0030】
式Iの化合物のサブグループは、各RがC−Cアルキル、特にメチル、イソプロピル(1−メチルエチル)、イソブチル(2−メチルプロピル)、sec−ブチル(1−メチルプロピル)である本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0031】
式Iの化合物のサブグループは、Rが水素又はC−Cアルキル、特に水素、メチル又はイソブチルである本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0032】
式Iの化合物のサブグループは:
(a)Rが、場合によりハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ及びアミノからそれぞれ独立して選ばれる1又は2個の置換基で置換されていることができるフェニルであるか、あるいはRがナフチルであるか;あるいはRがインドリルであるか;
(b)Rが、場合によりハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル又はC−Cアルコキシで置換されていることができるフェニルであるか、あるいはRがナフチルであるか;
(c)Rが、場合によりハロ又はC−Cアルキルで置換されていることができるフェニルであるか、あるいはRがナフチルであるか;
(d)Rが、場合によりハロで置換されていることができるフェニルである
本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0033】
1つの態様において、式Iの化合物又はそのサブグループのいずれか中の基インドリルは、5−インドリルである。
【0034】
式Iの化合物のサブグループは、Rが水素であり、R8’がメチル又はC−Cアルキル、例えばイソプロピル又はイソブチルである本明細書で定義される式Iの化合物又
は式Iの化合物のサブグループである。式Iの化合物のサブグループは、
【0035】
【化4】

【0036】
部分がグリシル、アラニル又はバリル(Gly、Ala又はVal;特にGly、L−Ala又はL−Val)である本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0037】
式Iの化合物のサブグループは、
(a)RがC−Cアルキル又はベンジルであるか;
(b)RがC−Cアルキルであるか;
(c)RがC−Cアルキルであるか;あるいは
(d)Rがメチル、エチル又はt−ブチルである
本明細書で定義される式Iの化合物又は式Iの化合物のサブグループである。
【0038】
式Iの化合物は、特に炭素原子1’、3’及び4’においていくつかのキラリティーの中心を有する。これらの炭素原子における立体化学は固定されているが、化合物は、キラル中心のそれぞれにおいて少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、例えば95%より過剰におけるエナンチオマー的純度を示すことができる。キラリティーは置換基中にも、例えばR及び/又はRが−C(=O)CHR−NHであり、Rが水素以外である場合;あるいは例えば基
【0039】
【化5】

【0040】
中にも存在し得、後者の基はR保有炭素(R及びR8’が異なる場合)及びリン原子においてキラリティーを有し得る。リン中心はR又はSあるいはラセミ体を含んでそのような立体異性体の混合物として存在し得る。キラルリン中心及びキラル炭素原子から生ずるジアステレオ異性体は同様に存在し得る。
【0041】
本発明の態様は、遊離の形態又はその製薬学的に許容され得る酸付加塩もしくは溶媒和物の形態の両方における;2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルシチジンと示される化合物(R、R及びRがすべて水素である式Iの化合物);あるいはビス3’,5’−イソブチリル−2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルシチジンと示される化合物(Rが水素であり、R及びRが両方とも−C(=O)Rであり、ここでRはイソプロピルである式Iの化合物)の;HCVの阻害剤としての、あるいはHCV感染の処置又は予防における使用に関する。
【0042】
1つの態様は、遊離の形態における本明細書下記の実施例の節で挙げられる化合物1、2a、2b、2c、2d、3、4、5、6及び7と称される化合物に関する。別の態様は、これらの化合物ならびにその製薬学的に許容され得る塩及び溶媒和物に関する。特別な態様は、遊離の形態における化合物ビス3’,5’−イソブチリル−2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルシチジンに関する。さらに別の特別な態様は、ビス3’,5’−イソブチリル−2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルシチジン、その製薬学的に許容され得る酸付加塩及び溶媒和物に関する。
【0043】
さらに別の側面において、本発明は、HCV感染の処置又は予防(あるいは処置又は予防用の薬剤の製造)における使用のための式Iの化合物あるいはその製薬学的に許容され得る塩、水和物又は溶媒和物を提供する。本発明に従う処置又は予防の関係における代表的なHCV遺伝子型には、遺伝子型1b(ヨーロッパで流行している)又は1a(北アメリカで流行している)が含まれる。本発明は、特に遺伝子型1a又は1bのHCV感染の処置又は予防方法も提供する。
【0044】
式Iの化合物は限定された立体異性体として示される。当該技術分野において既知の方法、例えばX−線回折又はNMR及び/又は既知の立体化学の出発材料から示されることを用いて、そのような化合物の絶対立体配置を決定することができる。本発明に従う製薬学的組成物は、好ましくは示される立体異性体の実質的に立体異性体的に純粋な調製物(preparations)を含むであろう。
【0045】
本明細書で言及する化合物及び中間体の純粋な立体異性体は、該化合物又は中間体の同じ基本的分子構造の他のエナンチオマーもしくはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に「立体異性体的に純粋な」という用語は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち最小で90%の一方の異性体及び最大で10%の他方の可能な異性体)から最高で100%の立体異性体過剰率(すなわち100%の一方の異性体及び他方の異性体なし)を有する化合物又は中間体、さらに特定的には90%から100%までの立体異性体過剰率を有する、さらにもっと特定的には94%から100%までの立体異性体過剰率を有する、そして最も特定的には97%から100%までの立体異性体過剰率を有する化合物又は中間体に関する。「エナンチオマー的に純粋な」及び「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は、類似して理解されるべきであるが、その場合には問題の混合物のそれぞれエナンチオマー過剰率及びジアステレオマー過剰率に関する。
【0046】
本発明の化合物及び中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野において既知の方法の適用により得ることができる。例えばエナンチオマーを、光学的に活性な酸もしくは塩基とのそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により互いから分離することができる。その例は酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸及びカンファースルホン酸である。あるいはまた、キラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によりエナンチオマーを分離することができる。該純粋な立体化学的異性体を、適した出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもでき、但し反応は立体特異的に起こる。好ましくは、特定の立体異性体が望まれる場合、該化合物は立体特異的製造方法により合成されるであろう。これらの方法は、有利にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を用いるであろう。
【0047】
式Iの化合物のジアステレオマー的ラセミ体を、通常の方法により別々に得ることができる。有利に用いることができる適した物理的分離法は、例えば選択的結晶化及びクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0048】
本発明は、本化合物上に存在する原子のすべての同位体を含むことも意図されている。同位体は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として且つ制限ではなく、水素の同位体はトリチウム及びジューテリウムを含む。炭素の同位体はC−13及びC−14を含む。
【0049】
製薬学的に許容され得る付加塩は、式Iの化合物の治療的に活性な無−毒性酸及び塩基付加塩の形態を含む。興味深いのは、本明細書に規定される式Iの化合物又は式Iの化合物のいずれかのサブグループの遊離の(すなわち非−塩の)形態である。本明細書で用いられる場合、「遊離の形態」という用語は、塩の形態又は溶媒和物でない式Iの化合物を指す。
【0050】
製薬学的に許容され得る酸付加塩は、適した酸を用いて遊離の形態を処理することにより簡単に得ることができる。適した酸は例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの酸;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわちヒドロキシブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などの酸を含む。逆に、適した塩基を用いる処理により該酸付加塩の形態を遊離の形態に転換することができる。
【0051】
酸性プロトンを含有する式Iの化合物を、適した有機及び無機塩基を用いる遊離の形態の処理により、それらの製薬学的に許容され得る金属もしくはアミン付加塩の形態に転換することもできる。適した塩基塩の形態は、例えばアンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など;有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含む。逆に、適した酸を用いる処理により、該金属もしくはアミン付加塩の形態を遊離の形態に転換することができる。
【0052】
「溶媒和物」という用語は、式Iの化合物ならびにその塩が形成することができるいずれの製薬学的に許容され得る溶媒和物を包含する。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラート、例えばエタノラート、プロパノラートなどである。
【0053】
式Iの化合物のいくつかは、それらの互変異性体においても存在し得る。例えばアミド(−C(=O)−NH−)基の互変異性体はイミノアルコール(−C(OH)=N−)であり、それは芳香族性を有する環において安定になることができる。そのような形態は、本明細書に示される構造式中に明白に示されてはいないが、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0054】
本明細書で用いられる場合、基として又は基の一部としての「C1−4アルキル」は、1〜4個の炭素原子を有する飽和直鎖状もしくは分枝鎖状炭化水素基、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピルを定義する。「C1−6アルキル」は、C1−4アルキル基及び5もしくは6個の炭素原子を有するその高級同族体、例えば1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ペンチル、2−エチル−1−ブチル、3−メチル−2−ペンチルなどを包含する。C1−6アルキルの中で興味深いのはC1−4アルキルである。
【0055】
「C−Cアルコキシ」は、C−Cアルキルが上記で定義した通りである基−O−C−Cアルキルを意味する。C−Cアルコキシの例はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシである。
【0056】
「C3−7シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シ
クロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。これらのサブグループはC−Cシクロアルキルである。興味深いのはシクロプロピルである。
【0057】
基として又は基の一部としての「C3−6アルケニル」という用語は、飽和炭素−炭素結合及び少なくとも1個の二重結合を有し、且つ3〜6個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状炭化水素基、例えば1−プロペニル、2−プロペニル(又はアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ペンテニルなどを定義する。C3−6アルケニルの中で興味深いのはC3−4アルケニルである。C3−6アルケニル又はC3−4アルケニルの中で興味深いのは、1個の二重結合を有する基である。
【0058】
ハロという用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードの総称である。
【0059】
本明細書前記で用いられる場合、「(=O)」又は「オキソ」という用語は、炭素原子に結合する場合にはカルボニル部分を形成する。原子は、その原子の原子価が許す場合のみに、オキソ基で置換され得ることに注目しなければならない。
【0060】
「モノホスフェート、ジホスフェート又はトリホスフェートエステル」という用語は基:
【0061】
【化6】

【0062】
を指す。
【0063】
本明細書で用いられる場合、定義において用いられるいずれの分子部分の上の基の位置も、そのような部分が化学的に安定である限り、そのような部分の上のどこであることもできる。いずれかの可変項(variable)がいずれかの与えられる部分中に1回より多く存在する場合、この可変項の各定義は独立している。
【0064】
本明細書で「式Iの化合物」又は「本化合物」という用語あるいは類似の用語が用いられる場合は常に、可能な立体化学的異性体を含む式Iの化合物ならびにそれらの製薬学的に許容され得る塩及び溶媒和物を含むものとする。
【0065】
製造方法
及びRが両方とも水素である式Iの化合物は本明細書で式I−aにより示され、2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルウリジン1fから対応する2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルシチジン1gに、ウラシルからシトシンへの転換反応を行い、続いて保護基PGを除去して所望の最終的な生成物I−aを与えることにより製造され得る。このウラシルからシトシンへの転換反応は、ウラシル誘導体をPOCl又はホスホロジクロリデート、例えばフェニルもしくは置換フェニルホスホロジクロリデート、例えば4−クロロフェニルホスホロジクロリデート及びトリアゾール又はテトラゾールと反応させることにより行うことができる。この反応を、塩基の存在下における反応に不活性な溶媒中で、例えばトリエチルアミンのような第3級アミンの存在下におけるジクロロ
メタンのようなハロゲン化炭化水素中で行うことができる。あるいはピリジンのような塩基性溶媒を用いることもできる。所望に応じて、得られる式
【0066】
【化7】

【0067】
のトリアゾール又はテトラゾール誘導体を単離して精製することができる。後者をアンモニア又はR−NHで処理すると、対応するシトシン誘導体1gを与える。PG基の除去は、最後に所望の最終的な生成物Iに導く。本明細書で用いられる場合、PGはヒドロキシ−保護基、特に本明細書下記に挙げる基の1つを示す。
【0068】
上記の転換において用いられる中間体1fは、中間体1d中のエキソ二重結合におけるシクロプロパン環形成反応及び続く中間体1e中の窒素保護基の除去により得られる。シクロプロパン環形成は、エキソ二重結合へのジアゾメタンの付加、ならびに続く好ましくはベンゾフェノンのような光増感剤の存在下におけるシクロプロパン部分の形成及び窒素の排除を伴う光化学的転位を含む。これらの反応は、好ましくは反応に不活性な溶媒中で行われ、例えばジアゾメタン反応をジエチルエーテルのようなエーテル中で行うことができ、光化学的転位をベンゼン又はトルエンのような芳香族炭化水素あるいはアセトニトリルのような双極性非プロトン性溶媒あるいはそれらの混合物中で行うことができる。
【0069】
中間体1dは、中間体1cからWittig反応により得られる。この反応において、エーテル、例えばジエチルエーテル又はテトラヒドロフランのような反応に不活性な溶媒中で、中間体1cをメチルトリフェニルホスホニウムハライド、好ましくはクロリド又はブロミドと反応させる。代わって中間体1cは、例えば無水酢酸の存在下にピリジン中で三酸化クロムを用いる中間体1b中の2’−ヒドロキシ基の酸化反応により誘導される。1a中の4’及び5’−ヒドロキシ基の選択的保護は、中間体1bを与える。
【0070】
副反応を避けるために、4’及び5’−ヒドロキシ基を好ましくはヒドロキシ保護基PGで保護し、ウラシル部分中のアミノ(NH)官能基をアミノ保護基PGで保護する。ヒドロキシ保護基PGは異なるかもしくは同じであることができるか、あるいは組み合わされて環状保護基を形成することができる。PGは例えばトリアルキルシリル基、例えばトリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)又はトリイソプロピルシリル(TIPS)である。あるいは2個のPG基は、組み合わされてポリアルキル化ジシロキサン−1,3−ジイル基、例えばテトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル(TIPDS)を形成する。これらの基を酸又はフルオリドイオン(例えばNaF又はテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド−TBAF)により除去することができる。アミノ保護基でもあり得る別のヒドロキシ保護基は、トリチル基又は置換トリチル基、例えば4−メトキシ−トリチル((4−メトキシフェニル)(ビスフェニル)メチル)であり、それは酸性条件下で、例えばエタノール/HClを用いるか又は酢酸を用いる処理により除去される。
【0071】
アミノ保護基PGは、それがPG基に対して選択的に切断可能であるように選ばれる。用いられ得るアミノ保護基はベンゾイル基である。別のそのような基はジメチルアミノメチレン基であり、それはジメチルホルムアミドジメチルアセタールを用いて導入され得る。ジメチルアミノメチレン基は酸性条件下で、例えばエタノール/HClを用いる処理により除去される。
【0072】
上記の反応を以下の反応スキーム中に例示する。
【0073】
【化8】

【0074】
式I−aの化合物を、次いで以下の反応スキームに概述する通りにホスホルアミデートに転換することができる。化合物I−aを塩基の存在下でホスホロクロリデート2aと反応させてホスホルアミデートI−bを与える。この反応において用いることができる溶媒は、エーテル、例えばジエチルエーテル又はTHFあるいはピリジンあるいはそれらの混合物を含む。反応の間に形成される酸を捕獲するために、N−メチルイミダゾールのような塩基を加えることができる。
【0075】
【化9】

【0076】
I−aのモノ−もしくはジ−エステルの合成を、本明細書下記のスキーム3に描く。このスキームにおいて、R3a及びR4aは独立して−C(=O)R又は−C(=O)CHR−NHであるか、あるいは特にR3a及びR4aは独立して−C(=O)Rである。R3a及びR4aが独立して−C(=O)CHR−NHである場合、後者の基中のアミノは、好ましくは上記のアミノ保護基PGのいずれかのようなアミノ保護基により保護され、この基を−C(=O)CHR−NH−PGにより示すことができる。アミノ保護基を、そのような基の除去に適した反応条件を用いて除去することができる。例えばPGはBOC基であることができ、酸性条件下で除去され得る。遊離のアミノ基がもはや続く反応段階を妨げ得ないいずれの段階にも、アミノ保護基を除去することができるが、通常は最後の段階で除去する。
【0077】
中間体3a中のより反応性の5’−ヒドロキシ基を、中間体3bにおけるように選択的に保護することができ、それを次いで3cにエステル化し、それに3dへのウラシルからシトシンへの転換が続く。3dを脱保護して3’−モノエステルI−cを与える。I−c中の5’−ヒドロキシのエステル化は、最終的な生成物I−dを与える。より反応性の5’−ヒドロキシを選択的にエステル化して基Rを導入し、3eを与えることもでき、得られる5’−エステル中間体を続いて異なる酸を用いてエステル化し、それにより上記で定義された通りである基R3aを導入することができる。これらのエステル化反応は、ジ−エステル中間体3fを与え、それをウラシルからシトシンへの転換に供し、最終的な生成物I−dを与える。ウラシルからシトシンへの転換は、中間体1gの製造に関して上記に記載した方法を用いて行われる。
【0078】
【化10】

【0079】
3aが水素であり、R4aが上記で規定した通りのエステルである式Iの化合物はI−eにより示され、それは、中間体3b中の遊離のヒドロキシを、他のヒドロキシ−保護基に対して選択的に切断可能なヒドロキシ−保護基で保護し、中間体4aを与えることにより、製造され得る。その場合、次の段階は5’−ヒドロキシ保護基の除去を含み、中間体4bを与え、中間体4cへのエステル化反応が続く。続くウラシルからシトシンへの転換は対応する4’−ヒドロキシ保護シチジン誘導体4dを与え、それを脱保護して5’−置換4’−非置換誘導体I−eを与える。これらの反応をスキーム4に示し、スキームにおいて基PGはPGと同じ意味を有するが、PGがPGに対して選択的に切断可能であるように選ばれる。例えばPGはトリチル又は4−メトキシトリチル基であることができ、PGはトリアルキルシリル基、例えばトリメチルシリル又はt.ブチルジメチルシ
リルであることができる。
【0080】
【化11】

【0081】
3a及びR4aが同じエステル基である式Iの化合物は、下記でI−fにより示され、それは化合物3aから、両方のヒドロキシ基を同じカルボン酸でエステル化することにより製造され得る。
【0082】
【化12】

【0083】
出発材料3aは、中間体1f中のヒドロキシ保護基PGを除去することにより製造され得、中間体1fは上記でスキーム1において例示した通りに製造され得る。
【0084】
「アミノ保護」又は「N−保護基」という用語は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモ−ベンゾイル、4−ニトロベンゾイルなどのようなアシル基;ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニルなどのようなスルホニル基;ベンジルオキシカルボニル、p−クロロ−ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシ−カルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニル)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブトキシ−カルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのようなカルバメート形成基;ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなどのようなアルキル基;ならびにトリメチルシリルなどのようなシリル基を含む。
【0085】
ヒドロキシ−保護基はエーテル、例えばメチル、置換メチルエーテル、例えばメトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチルなど;シリルエーテル、例えばトリメチルシリル(TMS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルなど;置換エチルエーテル、例えば1−エトキシメチル、1−メチル−1−メトキシエチル;t−ブチル、アリル、ベンジル、p−メトキシベンジル、ジフェニルメチル、トリチルなどを含む。エステルヒドロキシ保護基は、ホルメート、ベンジルホルメート、クロロアセテート、メトキシアセテート、フェノキシアセテート、ピバロエート、アダマントエート、メシトエート、ベンゾエートなどのようなエステルを含む。
【0086】
さらに別の側面において、本発明は、本明細書で規定される式Iの化合物の治療的に有効な量及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物に関する。これに関し、治療的に有効な量は、感染した患者又は感染する危険にある患者において、ウイルス感染、特にHCVウイルス感染に対して予防的に作用するか、それを安定化するか、又は減少させるのに十分な量である。さらにもっと別の側面において、本発明は本明細書で規定される製薬学的組成物の調製方法に関し、それは製薬学的に許容され得る担体を本明細書で規定される式Iの化合物の治療的に有効な量と緊密に混合することを含んでなる。
【0087】
本発明の化合物又はそのいずれかのサブグループを、投与目的のための種々の製薬学的形態に調製することができる。適した組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられるすべての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物の調製のために、場合により付加塩の形態又は金属錯体にあることができる特定の化合物の活性成分として有効な量を、製薬学的に許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、その担体は、投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、特に経口的、直腸的、経皮的又は非経口的注入による投与に適した単位投薬形態にある。例えば経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれか、例えば懸濁剤、シロップ、エリキシル剤、乳剤及び溶液のような経口用液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど;あるいは粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。非経口用組成物の場合、担体は通常少なくとも大部分において無菌水を含んでなるが、例えば溶解性を助けるための他の成分が含まれることができる。例えば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を調製することができる。注入可能な懸濁剤も調製することができ、その場合には適した液体担体、懸濁化剤などを用いることができる。使用の直前に液体形態の調製物に転換されることが意図されている固体形態の調製物も含まれる。経皮的投与に適した組成物において、担体は場合により浸透促進剤及び/又は適した湿潤剤を含んでなることができ、それらは場合により小さい割合におけるいずれかの性質の適した添加剤と組み合わされていることができ、その添加剤は皮膚に有意な悪影響を導入しない。本発明の化合物を、溶液、懸濁剤又は乾燥粉剤の形態で、当該技術分野において既知のいずれかの送達系を用い、経口的吸入又は吹入を介して投与することもできる。
【0088】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、前記の製薬学的組成物を単位投薬形態物において調製するのが特に有利である。本明細書で用いられる単位投薬形態物は、1回の投薬量として適した物理的に分離された単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあらかじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的担体と一緒に含有する。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、座薬、粉剤小包、ウェハース、注入可能な溶液又は懸濁剤など、ならびに分離されたそれらの複数である。
【0089】
式Iの化合物はHCVに対する活性を示し、HCV感染又はHCVと関連する疾患の処置及び予防において用いられ得る。後者には、進行性肝線維症、炎症及び肝硬変に導く壊死、末期肝臓病ならびにHCCが含まれる。本発明の化合物はさらに、HCVの突然変異株に対して活性であり得る。さらに、本発明の化合物は好ましい薬物動態学的側面を示すことができ、且つ許容され得る半減期、AUC(曲線下の面積)及びピーク値を含むバイオアベイラビリティーの点で魅力的な性質を有することができ、そして不十分な迅速開始及び組織保持(tissue retention)のような好ましくない現象がない。
【0090】
本発明の化合物は、例えば細胞毒性試験において示され得る通り、それらの低い毒性及
び好ましい選択指数の故にも魅力的である。さらに本発明の化合物は、他のウイルスに対する、特にHIVに対する活性がない。共−感染患者において二重又は多重抗ウイルス効果を有する薬剤を用いることは、他のウイルスに対する最適以下の投薬を生じ得、それは今度は耐性ウイルス株の出現に導き得る。
【0091】
式Iの化合物のHCVに対する試験管内抗ウイルス活性を、Krieger et al.著,Journal of Virology 75:2001年,4614−4624(引用することによりその記載事項は本明細書の内容となる)により記載されたさらなる修正を有し、実施例の節でさらに例示されるLohmann et al.著,Science 285:1999年,110−113に基づく細胞HCVレプリコン系において調べることができる。このモデルは、HCVに関する完全な感染モデルではないが、現在利用できる自律HCV RNA複製の最も頑健(robust)且つ有効なモデルとして広く受け入れられている。HCV機能を特異的に妨げる化合物を、HCVレプリコンモデルにおいて細胞毒性もしくは静細胞効果を発揮し、結局HCV RNA又は連鎖リポーター酵素濃度を低下させる化合物から区別することが重要であることは、認識されるであろう。例えばレサズリン(resazurin)のような蛍光発光性(fluorogenic)レドックス色素を用いるミトコンドリア酵素の活性に基づく、細胞毒性(cellular cytotoxicity)の評価のためのアッセイが、技術分野で既知である。さらに、ホタルルシフェラーゼのような、連鎖リポーター遺伝子活性の非−選択的阻害の評価のための細胞逆選択物質(cellular counter screens)が存在する。発現が構成的に活性な遺伝子プロモーターに依存するルシフェラーゼリポーター遺伝子を、安定なトランスフェクションにより適した細胞型に備えることができ、そのような細胞を非−選択的阻害剤の除去のための逆選択物質(counter−screen)として用いることができる。
【0092】
可能な立体異性体を含む式Iの化合物、その製薬学的に許容され得る付加塩又は溶媒和物は、それらの抗ウイルス性、特にそれらの抗−HCV性の故に、HCVに感染した温血動物、特に人間の処置において、ならびに温血動物、特に人間におけるHCV感染の予防のために有用である。本発明はさらに、HCVに感染したか、もしくはHCVに感染する危険にある温血動物、特に人間の処置方法に関し、該方法は、本明細書に規定される式Iの化合物の抗−HCV有効量を投与することを含んでなる。
【0093】
従って本発明の化合物を薬剤として、特に抗−HCV薬剤として又はHCV−阻害性薬剤として用いることができる。本発明は、HCV感染の処置又は予防用の薬剤の製造における化合物の使用にも関する。該薬剤としての使用あるいは処置方法は、HCV感染に関連する状態と戦うのに有効な量の本明細書で規定される式Iの化合物を、HCV感染患者又はHCV感染し易い患者に全身的に投与することを含んでなる。
【0094】
一般に、抗ウイルス的に有効な1日の量は、体重のkg当たり約0.01〜約700mg又は体重のkg当たり約0.5〜約400mg又は体重のkg当たり約1〜約250mg又は体重のkg当たり約2〜約200mg又は体重のkg当たり約10〜約150mgであろうと思われる。必要な投薬量を2、3、4回もしくはそれより多い細分−投薬量として、1日を通じて適した間隔で投与するのが適しているかも知れない。該細分−投薬量を、例えば単位投薬形態物当たりに約1〜約5000mg又は約50〜約3000mg又は約100〜約1000mg又は約200〜約600mg又は約100〜約400mgの活性成分を含有する単位投薬形態物として調製することができる。
【0095】
本発明は、式Iの化合物、その製薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物ならびに他の抗ウイルス性化合物、特に他の抗−HCV化合物の組み合わせにも関する。「組み合わせ」という用語は、HCV感染の処置における同時、個別又は逐次的使用のための組み合わせ
調製物として、(a)上記で規定される式Iの化合物及び(b)場合により他の抗−HCV化合物を含有する製品に関することができる。
【0096】
そのような組み合わせ中で用いられ得る抗−HCV化合物には、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVライフサイクル中の他の標的の阻害剤及び免疫調節剤ならびにそれらの組み合わせが含まれる。HCVポリメラーゼ阻害剤にはNM283(バロピシタビン(valopicitabine))、R803、JTK−109、JTK−003、HCV−371、HCV−086、HCV−796及びR−1479、R−7128、MK−0608、VCH−759、PF−868554、GS9190、XTL−2125、NM−107、GSK625433、R−1626、BILB−1941、ANA−598、IDX−184、IDX−375、MK−3281、MK−1220、ABT−333、PSI−7851、PSI−6130、VCH−916が含まれる。HCVプロテアーゼの阻害剤(NS2−NS3阻害剤及びNS3−NS4A阻害剤)にはBILN−2061、VX−950(テラプレビル(telaprevir))、GS−9132(ACH−806)、SCH−503034(ボセプレビル(boceprevir))、TMC435350(TMC435とも呼ばれる)、TMC493706、ITMN−191、MK−7009、BI−12202、BILN−2065、BI−201335、BMS−605339、R−7227、VX−500、BMS650032、VBY−376、VX−813、SCH−6、PHX−1766、ACH−1625、IDX−136、IDX−316が含まれる。HCV NS5A阻害剤の例はBMS790052、A−831、A−689、NIM−811であり、DEBIO−025はNS5Bシクロフィリン阻害剤の例である。
【0097】
NS3ヘリカーゼを含むHCVライフサイクル中の他の標的の阻害剤;メタロプロテアーゼ阻害剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤、例えばISIS−14803及びAVI−4065;siRNA’s、例えばSIRPLEX−140−N;ベクター−コードされたショートヘアピンRNA(vector−encoded short hairpin RNA)(shRNA);DNAザイム;HCV特異的リボザイム、例えばヘプタザイム、RPI.13919;エントリー阻害剤、例えばHepeX−C、HuMax−HepC;アルファグルコシダーゼ阻害剤、例えばセルゴシビル(celgosivir)、UT−231Bなど;KPE−02003002;及びBIVN401。
【0098】
免疫調節剤には、α−インターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフェロン及びω−インターフェロンを含む天然及び組み換えインターフェロンイソ型化合物、例えばIntron A(登録商標)、Roferon−A(登録商標)、Canferon−A300(登録商標)、Advaferon(登録商標)、Infergen(登録商標)、Humoferon(登録商標)、Sumiferon MP(登録商標)、Alfaferone(登録商標)、IFN−beta(登録商標)及びFeron(登録商標);ポリエチレングリコール誘導体化(ポリエチレングリコール化)インターフェロン化合物、例えばPEG インターフェロン−α−2a(Pegasys(登録商標))、PEG インターフェロン−α−2b(PEG−Intron(登録商標))及びポリエチレングリコール化IFN−α−con1;長時間作用性調剤及びインターフェロン化合物の誘導体(derivatizations)、例えばアルブミン−融合インターフェロン、アルブフェロン α;細胞中のインターフェロンの合成を刺激する化合物、例えばレシクイモド(resiquimod);インターロイキン;1型ヘルパーT細胞反応の発現を強化する化合物、例えばSCV−07;TOLL−様受容体アゴニスト、例えばCpG−10101(アクチロン(actilon))及びイサトリビン(isatoribine);チモシン α−1;ANA−245;ANA−246;ヒスタミン二塩酸塩;プロパゲルマニウム(propagermanium);テトラクロロデカオキシド;アンプリゲン(ampligen);IMP−321;KRN−7000;抗体、例え
ばシバシル(civacir)及びXTL−6865;ならびに予防的及び治療的ワクチン、例えばInno Vac C及びHCV E1E2/MF59が含まれる。
【0099】
他の抗ウイルス剤にはリバビリン(ribavirin)、アマンタジン(amantadine)、ビラミジン(viramidine)、ニタゾクサニド(nitazoxanide);テルビブジン(telbivudine);NOV−205;タリバビリン(taribavirin);内部リボソームエントリーの阻害剤;広範囲ウイルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤ならびにミコフェノール酸(mycophenolic acid)及びVX−497(メリメポジブ(merimepodib))、VX−148及び/又はVX−944を含むがこれらに限られないその誘導体;あるいは上記のいずれかの組み合わせが含まれる。
【0100】
該組み合わせ中で用いるための特定の薬剤には、インターフェロン−α(IFN−α)、ポリエチレングリコール化インターフェロン−α又はリバビリンならびにHCVエピトープを標的とする抗体、低分子干渉性RNA(small interfering RNA)(SiRNA)、リボザイム、DNAザイム、アンチセンスRNA、例えばNS3プロテアーゼ、NS3ヘリカーゼ及びNS5Bポリメラーゼの低分子アンタゴニストに基づく治療薬が含まれる。
【0101】
さらに別の側面において、本明細書で規定される式Iの化合物及び抗−HIV化合物の組み合わせを提供する。後者は、好ましくは薬剤代謝及び/又は薬物動態学にバイオアベイラビリティーを向上させる正の効果を有するHIV阻害剤である。そのようなHIV阻害剤の例はリトナビル(ritonavir)である。従って本発明は、(a)式Iの化合物又はその製薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物;及び(b)リトナビル又はその製薬学的に許容され得る塩を含んでなる組み合わせをさらに提供する。化合物リトナビル、その製薬学的に許容され得る塩ならびにその製造方法は、国際公開第94/14436号パンフレットに記載されている。米国特許第6,037,157号明細書及びそこで引用されている参照文献:米国特許第5,484,801号明細書、米国特許第08/402,690号明細書、国際公開第95/07696号パンフレット及び国際公開第95/09614号パンフレットは、リトナビルの好ましい投薬形態物を開示している。
【0102】
本発明は、上記で規定した式Iの化合物及び他の薬剤、例えば抗−HCVもしくは抗−HIV剤を含む抗ウイルス剤、特に上記のものを組み合わせる段階を含んでなる本明細書に記載の組み合わせの調製方法にも関する。
【0103】
該組み合わせは、HCVに感染した哺乳類におけるHCV感染の処置のための薬剤の製造において用途を見出すことができ、該組み合わせは特に上記で規定した式Iの化合物ならびにインターフェロン−α(IFN−α)、ポリエチレングリコール化インターフェロン−α又はリバビリンを含んでなる。あるいは本発明は、本明細書に規定される組み合わせの有効量をHCVに感染した哺乳類に投与することを含んでなる、HCVに感染した哺乳類、特に人間の処置方法を提供する。特に該処置は該組み合わせの全身的投与を含んでなり、有効量は、HCV感染と関連する臨床的状態の処置において有効である量である。
【0104】
1つの態様において、上記で記載した活性成分及び上記で記載した担体を含む製薬学的組成物の形態で上記の組み合わせを調製する。活性成分のそれぞれを別に調製し、調剤を共−投与することができるか、あるいは両方及び必要ならさらに別の活性成分を含有する1つの調剤を与えることができる。前者の場合、HCV治療における同時、個別もしくは逐次的使用のための組み合わせ調製物として組み合わせを調製することもできる。該組成物は上記の形態のいずれをとることもできる。1つの態様において、両方の成分を固定投薬組み合わせ(fixed dosage combination)のような1つの投
薬形態物において調製する。特別な態様において、本発明は(a)可能な立体異性体を含む式Iの化合物又はその製薬学的に許容され得る塩もしくはその製薬学的に許容され得る溶媒和物の治療的に有効な量ならびに(b)リトナビル又はその製薬学的に許容され得る塩の治療的に有効な量ならびに(c)担体を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0105】
本発明の組み合わせのそれぞれの成分を、治療の経過中の異なる時点に個別に、あるいは分けられたもしくは単一の組み合わせ形態において同時に投与することができる。本発明はすべてのそのような同時もしくは交互処置の管理を包含するものとし、「投与する」という用語はそれに従って解釈されるべきである。好ましい態様において、個別の投薬形態物が同時に投与される。
【0106】
1つの態様において、本発明の組み合わせは、式Iの化合物のバイオアベイラビリティーを、単独で該式Iの化合物が投与される時のバイオアベイラビリティーに対して臨床的に向上させるのに十分である量のリトナビル又はその製薬学的に許容され得る塩を含有する。あるいは本発明の組み合わせは、t1/2、Cmin、Cmax、Css、12時間におけるAUC又は24時間におけるAUCから選ばれる式Iの化合物の薬物動態学的変数の少なくとも1つを、単独で式Iの化合物が投与される時の該少なくとも1つの薬物動態学的変数に対して向上させるのに十分である量のリトナビル又はその製薬学的に許容され得る塩を含有する。
【0107】
本発明の組み合わせを、該組み合わせ中に含まれる各成分に関して特異的な投薬量範囲内で人間に投与することができる、例えば上記で規定した式Iの化合物及びリトナビル又は製薬学的に許容され得る塩は、0.02〜5.0g/日の範囲内の投薬量レベルを有していることができる。式Iの化合物対リトナビルの重量比は、約30:1〜約1:15又は約15:1〜約1:10又は約15:1〜約1:1又は約10:1〜約1:1又は約8:1〜約1:1又は約5:1〜約1:1又は約3:1〜約1:1又は約2:1〜1:1の範囲内であることができる。式Iの化合物及びリトナビルを1日1回もしくは2回、好ましくは経口的に共−投与することができ、ここで投薬量当たりの式Iの化合物の量は上記の通りであり;そして投薬量当たりのリトナビルの量は1〜約2500mg又は約50〜約1500mg又は約100〜約800mg又は約100〜約400mg又は40〜約100mgのリトナビルである。
【0108】
本明細書で引用するすべての参照文献は、引用することによりその記載事項が本発明の内容となる。
【発明を実施するための形態】
【0109】
実施例
以下の実施例において、化合物名はChemdraw UltraTM ソフトウェア,Cambridgesoft,version 9.0.7により作成された(generated)。
【実施例1】
【0110】
4−アミノ−1−(7−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−5−オキサ−スピロ[2.4]ヘプチ−4−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(1)
【0111】
【化13】

【0112】
段階1:1−((6aR,8R,9R,9aS)−9−ヒドロキシ−2,2,4,4−テトライソプロピル−6a,8,9,9a−テトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−1)
ピリジン(300mL)中のD−ウリジン(20g)及び1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(1.018当量)の混合物を、室温で64時間撹拌した。ピリジンを真空中(30℃)で除去した。残留物を100mLのCHCl中に再溶解し、水で洗浄し(3x75mL)、無水MgSOを用いて乾燥し、濾過し
た。濾液を蒸発乾固し、次の反応においてそのまま用いた。LC−MS:Rt:3.16分,m/z:487(M+H)
【0113】
段階2:1−((6aR,8R,9aR)−2,2,4,4−テトライソプロピル−9−オキソテトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−2)
中間体I−1(19.93g)を200mLのCHCl中に溶解し、ピリジン(1当量)及び無水酢酸(2.91当量)を加え、続いてCrO(2.75当量)を加えた。混合物を室温で撹拌し、30分後に穏やかな還流が観察された。90分撹拌した後、LC−MSは反応生成物I−2が生成し(50%)、且つ出発材料I−1が残っている(50%)ことを示した。2時間の追加の撹拌は55%の生成物I−2を生じ、45%のI−1が残った。さらに10mLのピリジン、5mLの無水酢酸及び5グラムのCrOを加え、混合物をさらに室温で終夜撹拌した。LC−MSは少しの進行を示した。暗褐色の溶液を1300mLの酢酸エチル中に注ぎ、残留物をジカライトのパッドを介して濾過した。沈殿を追加の酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液を蒸発乾固した。CHClからCHCl/酢酸エチル 1:1を用いるカラムクロマトグラフィーにより、中間体I−2を精製した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、2個のスポットを示した。従ってヘプタンからヘプタン/アセトン 7:3を用いるカラムクロマトグラフィーにより中間体I−2を再精製した。生成物を含有する画分を集め、蒸発させ、8.5グラムの白色の固体(I−2)を生じた。LC−MS:Rt:3.31分,m/z:485(M+H),注:ケトンの水和物も観察された:LC−MS:Rt:3.20分,m/z:503(M+H)
【0114】
段階3:1−((6aR,8R,9aS)−2,2,4,4−テトライソプロピル−9−メチレンテトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−3)
NaH(0.897g)を15mLの乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)中に懸濁させ、Ar下で65℃に1.5時間加熱した。メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(12.84g)を撹拌しながら加え、続いて30mLの乾燥DMSO及び15mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)を加えた。混合物を室温で1.5時間撹拌した。黄/オレンジ色の混合物が生成した。次いで20mLの乾燥THF中に溶解された中間体I−2(6.97g)を、シリンジを介して滴下し、全体を室温で1.5時間及び次いで50℃で1時間撹拌した。次いで混合物を室温に冷ました。ジカライトの栓上で沈殿を濾過し、濾液を濃縮し(THFを除去するため)、残留物をCHClと水(それぞれ300mL)に分配した。有機層を分離し、水層をCHClで再抽出した。合わせた層をジカライトの栓上で濾過し、濃縮した。生成物を、溶離剤としてCHClからCHCl/酢酸エチル 7:3を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。蒸発は2.97gの中間体I−3を白色の固体として生じた。LC−MS:Rt:3.56分,m/z:483(M+H)
【0115】
段階4:3−ベンゾイル−1−((6aR,8R,9aS)−2,2,4,4−テトライソプロピル−9−メチレンテトラヒドロ−6H−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−4)
中間体I−3(2.4g)を20mLの乾燥ピリジンと一緒に2回蒸発させた。次いでそれを30mLの乾燥ピリジン中に再溶解した。ジ−イソプピルエチルアミン(3当量)を加え、続いてベンゾイルクロリド(1.5当量)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。ピリジンを真空中で30℃より低温において蒸発させ、150mLのCHClを加えた。得られる混合物を50mLの飽和NaHCOで2回洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させ、残留物を真空中で64時間乾燥した。中間体I−
4を、溶離剤としてCHClからCHCl/酢酸エチル 8:2を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。蒸発の後、2.89gのI−4が白色の泡として得られた。LC−MS:Rt:3.79分,m/z:587(M+H)
【0116】
段階5:3−ベンゾイル−1−((3’R,6aR,8R,9aS)−2,2,4,4−テトライソプロピル−4’,5’,6,6a,8,9a−ヘキサヒドロスピロ[フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−9,3’−ピラゾール]−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン及びそのエピマー、3−ベンゾイル−1−((3’S,6aR,8R,9aS)−2,2,4,4−テトライソプロピル−4’,5’,6,6a,8,9a−ヘキサヒドロスピロ[フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン−9,3’−ピラゾール]−8−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−5)
ジエチルエーテル及び2−(2−エトキシエトキシ)エタノール中のN−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド(DIAZALD)(4.862g)及びKOH(2.9g)から生成するジアゾメタンを、氷−水浴中で冷却されたジエチルエーテル(20mL)中のI−4(1.072g)の撹拌溶液中に蒸留した。蒸留が完了したら、TLC又はLC−MSが反応の完了を示すまで、黄色の溶液を室温で撹拌した。混合物を蒸発乾固して、1.149gの白色の泡を生じた。LC−MSはエピマー(I−5)の3:1混合物を示し、それを次の反応においてそのまま用いた。LC−MS:Rt:3.67及び3.68分,m/z:629(M+H)
【0117】
段階6:3−ベンゾイル−1−((6a’R,8’R,9a’S)−2’,2’,4’,4’−テトライソプロピルヘキサヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン]−8’−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−6)
5mLの乾燥ベンゼン/CHCN 1:1中に溶解された中間体I−5(250mg)及びベンゾフェノン(1当量)の混合物を、Ar下に室温で撹拌した。LC−MSが出発材料の完全な転換を示すまで、150Wのハロゲンランプを用いて混合物を照射した。混合物を蒸発乾固し、溶離剤としてCHClを用いるカラムクロマトグラフィーにより中間体I−6を精製した。純粋な画分の蒸発の後、I−6を透明な油として得た(150mg)。LC−MS:Rt:3.91分,m/z:601(M+H)
【0118】
段階7:1−((6a’R,8’R,9a’S)−2’,2’,4’,4’−テトライソプロピルヘキサヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン]−8’−イル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−7)
中間体I−6(150mg)を3mLのCHCl中に溶解し、10mLのNH/メタノールを加えた。混合物を1時間撹拌し、蒸発乾固し、溶離剤としてCHClからCHCl/酢酸エチル 9:1を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。蒸発の後、無色の油が得られ、それはジエチルエーテルを用いる磨砕及び蒸発の後、87mgの中間体I−7を白色の泡として生じた。LC−MS:Rt:3.66分,m/z:497(M+H)
【0119】
段階8:4−アミノ−1−((6a’R,8’R,9a’S)−2’,2’,4’,4’−テトライソプロピルヘキサヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−フロ[3,2−f][1,3,5,2,4]トリオキサジシロシン]−8’−イル)ピリミジン−2(1H)−オン(I−8)
I−7(1.0g)の溶液を20mLの乾燥ピリジン中に溶解し、溶液を氷−浴中で冷却した。4−クロロフェニルホスホロジクロリデート(1.5当量)を滴下し、溶液を5分間冷却して撹拌した。次いでテトラゾール(3当量,CHCN中の0.45M溶液)
を滴下した。氷−浴を除去し、LC−MSがさらなる進行を示さなくなるまで、反応を進行させた。さらに1当量の4−クロロフェニルホスホロジクロリデートを加え、混合物を室温でさらに3時間撹拌した。LC−MSは、出発材料が残されていないことを示した。混合物を蒸発乾固し(<40℃)、残留物をCHCl(75mL)中に取り上げ、飽和NaHCOで2回洗浄した。NaSOを用いて有機相を乾燥し、濾過し、蒸発させた。前の反応の残留物を、25mLのジオキサン中のNH溶液(0.5M)中に溶解した。LC−MSにより反応が完了したと判断されるまで一定の間隔で、追加のジオキサン中のNHを加えた。完了したら、混合物を蒸発乾固した。溶離剤としてCHClからCHCl/メタノール 9:1を用いるカラムクロマトグラフィーにより中間体I−8を精製した。蒸発の後、I−8が黄からオレンジ色の粘着性の固体として得られた(840mg)。LC−MS:Rt:3.42分,m/z:496(M+H)
【0120】
段階9:4−アミノ−1−(7−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−5−オキサ−スピロ[2.4]ヘプチ−4−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(1)
中間体I−8(840mg)を25mLのTHF中に溶解した。テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF;2当量)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで真空中で蒸発させた。溶離剤としてCHCl/メタノール 9:1からCHCl/メタノール 3:1を用いるカラムクロマトグラフィーにより、化合物を2回精製した。生成物含有画分の蒸発の後、化合物1(300mg)が白色の固体として得られた。LC−MS:Rt:1.25分,m/z:254(M+H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.31−0.59(m,3H),0.93−1.02(m,1H),3.51−3.65(m,1H),3.71(d,J=4.89Hz,2H),3.97(t,J=5.87Hz,1H),4.98(t,J=4.99Hz,1H),5.12(d,J=5.87Hz,1H),5.72(d,J=7.43Hz,1H),6.01(s,1H),7.13(br.s.,2H),7.77(d,J=7.24Hz,1H)。
【実施例2】
【0121】
(2S)−ベンジル 2−((((4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−7−ヒドロキシ−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−6−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(2a)
【0122】
【化14】

【0123】
化合物1(100mg)を、(2S)−ベンジル 2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(279mg,2.0当量)と一緒に乾燥THF/ピリジン中に溶解した。混合物を−78℃に冷却した。N−メチルイミダゾール(NMI)(259mg,8当量)を加え、この混合物を−78℃で15分間撹拌し、次いで室温で終夜撹拌した。得られる混合物を蒸発乾固した。10mLのCHClを加え、残留物を10mLの0.5N HClで洗浄した。有機層を分離し、10mLの水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。溶離剤としてCHClからCHCl/MeOH 9−1を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより化合物を精製した。(この溶離剤中でRf=0.2)。黄色の固体が得られ、それを溶離剤としてEtOAcからEtOAc/MeOH 8−2を用いるカラムクロマトグラフィーを用いて再精製した。蒸発及び真空中における終夜の乾燥の後、80mg(33.4%)の2aが得られた(ジアステレオマーの混合物)。LC−MS:Rt:3.37分,m/z:569(M−H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.31−0.41(m,1H),0.43−0.58(m,2H),0.95−1.06(m,1H),1.20−1.31(m,3H),3.82−4.01(m,3H),4.09−4.23(m,1H),4.23−4.36(m,1H),4.98−5.15(m,2H),5.29−5.39(m,1H),5.70(d,J=7.43Hz,1H),6.07(s,1H),6.13(dd,J=12.81,10.47Hz,1H),7.08−7.25(m,6H),7.29−7.39(m,6H),7.54(d,1H)。
【0124】
類似の方法で以下の化合物を製造した:
(2S)−ベンジル 2−((((4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−7−ヒドロキシ−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−6−イル)メトキシ)(4−クロロフェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(2b)
【0125】
【化15】

【0126】
LC−MS:Rt:3.65分,m/z:603(M−H)H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.30−0.43(m,1H),0.44−0.60(m,2H),0.95−1.06(m,1H),1.20−1.31(m,3H),3.84−4.01(m,3H),4.09−4.23(m,1H),5.04−5.14(m,2H),5.29−5.39(m,1H),5.71(d,J=7.63Hz,1H),6.07(s,1H),6.12−6.27(m,1H),7.08−7.26(m,5H),7.27−7.43(m,7H),7.55(d,J=7.24Hz,1H)。
【0127】
(2S)−エチル 2−((((4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソピ
リミジン−1(2H)−イル)−7−ヒドロキシ−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−6−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)−3−フェニルプロパノエート(2c)
【0128】
【化16】

【0129】
(2S)−メチル 2−((((4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−7−ヒドロキシ−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−6−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(2d)
【0130】
【化17】

【実施例3】
【0131】
(4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−6−(イソブチリル−オキシメチル)−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−7−イルイソブチレート(3)
【0132】
【化18】

【0133】
中間体I−7(11.00g,22.14ミリモル)をTHF(280mL)中に溶解し、TBAF(59.8mL,59.8ミリモル)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。ピリジン、メタノール及び水の混合物(80mL,3:1:1)を加え、続いてピリジン、メタノール及び水の混合物(320mL,3:1:1)中の強力に酸性のカチオン交換剤、Dowex 50 Wx4(128g)を加えた。反応混合物を45分間撹拌し、濾過した。Dowex残留物をピリジン、メタノール及び水の混合物(320mL,3:1:1)で2回洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより、酢酸エチル中の0から10%メタノールの勾配溶離によって精製し、中間体I−9(5.597g,84%)を白色の泡として生じた。LC−MS:Rt:2.05分,m/z=253(M−H)
【0134】
中間体I−9(5.16g,20.30ミリモル)を乾燥ピリジン(100mL)中に溶解し、冷水を用いて外部から溶液を冷却した。イソ酪酸無水物(16.85mL,101ミリモル)を加え、室温で終夜反応を進行させた。再び反応物を冷水で外部から冷却し、メタノールの添加により過剰のイソ酪酸無水物をクエンチングした。室温で20分間撹拌し、揮発性物質を蒸発させた後、酢酸エチルを加え、混合物を飽和NaHCO水溶液(2x)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、真空中で濃縮して、I−10(7.68g,96%)を白色の固体として与えた。LC−MS:Rt:2.26分,m/z=
393(M−H)
【0135】
乾燥CHCl(50mL)中のI−10(7.68g,19.47ミリモル)、1H−1,2,4−トリアゾール(15.20g,220ミリモル)及びトリエチルアミン(30.7mL,220ミリモル)の冷却された混合物に、POCl(4.72mL,50.6ミリモル)を加えた。混合物を室温で2.5時間撹拌した。冷水の添加により過剰のPOClをクエンチングし、有機層を分離し、真空中で濃縮した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより、CHCl/酢酸エチル90:10から85:15の勾配溶離によって精製し、中間体I−11(7.5g,86%)を生じた。LC−MS:Rt:2.38分,m/z=446(M+H)
【0136】
中間体I−11(7.49g,16.81ミリモル)をTHF(200mL)中に溶解し、濃NHOH水溶液(15mL)で処理した。3.5時間後、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルクロマトグラフィーにより、CHCl中の0から5%メタノールを用いる勾配溶離によって、混合物を精製した。生成物を酢酸エチル中に溶解し、混合物を水(2x)及びブライン(2x)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濾過の後、真空中で濃縮し、化合物3(5.597g,84%)を白色の泡として生じた。LC−MS:Rt:1.95分,m/z=394(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.36−0.46(m,1H)0.64−0.75(m,1H)0.77−0.92(m,2H)1.06−1.15(m,12H)2.53−2.66(m,2H)4.18−4.36(m,3H)4.98−5.02(m,1H)5.77(d,J=7.4Hz,1H)6.25(s,1H)7.25(br.s.,1H)7.29(br.s.,1H)7.55(d,J=7.4Hz,1H)
【実施例4】
【0137】
((4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−7−ヒドロキシ−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−6−イル)メチルイソブチレート(4)
【0138】
【化19】

【0139】
乾燥ピリジン(15mL)中の中間体I−9(350mg,1.377ミリモル)の溶液を氷−水浴上で冷却し、(クロロ(4−メトキシフェニル)メチレン)ジベンゼン(900mg,2.91ミリモル)を加えた。反応混合物を融解する氷−水浴上に放置し、次いで室温で終夜撹拌した。過剰のメタノールを加え、30分後、反応混合物を濃縮し、乾燥し、次の反応においてそのまま用いた。LC−MS:Rt:2.48分,m/z=525(M−H)
【0140】
乾燥DMF(15mL)中の上記の残留物の溶液に、tert−ブチルクロロジメチルシラン(TBDMSCI;311mg,2.065ミリモル)及びイミダゾール(169mg,2.478ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。翌日の間に合計で6当量のTBDMSCI及びイミダゾールを加え、さらに終夜撹拌を続けた。メタノールを用いて混合物をクエンチングし、揮発性物質を部分的に除去し、酢酸エチルで希釈し、混合物を水(2x)及びブラインで洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濾過の後、真空中で濃縮した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより、CHClからCHCl/メタノール 19:1を用いる勾配溶離によって精製し、中間体I−13を生じ、それをそのまま続く反応において用いた。LC−MS:Rt:3.70分,m/z=639(M−H)
【0141】
中間体I−13を80%酢酸水溶液(10mL)中に溶解し、混合物を室温で撹拌した。8時間後、揮発性物質を蒸発させ、混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより、CHClから4%メタノール/CHClを用いる勾配溶離よって精製した。溶媒の蒸発は中間体I−14(318mg,73%)を与えた。LC−MS:Rt:2.46分,m/z=367(M−H)
【0142】
中間体I−14(318mg,0.863ミリモル)を乾燥ピリジン(8mL)中に溶解し、冷水を用いて溶液を外部から冷却した。シリンジを介してイソ酪酸無水物(430μl,2.59ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌した。メタノールの添加により過剰のイソ酪酸無水物をクエンチングし、次いで揮発性物質を除去した。酢酸エチルを加え、溶液を飽和NaHCOで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過の後、真空中で濃縮し、中間体I−15(307mg,81%)を生じた。LC−MS:Rt:3.0分,m/z=437(M−H)
【0143】
中間体I−15(307mg,0.700ミリモル)、1H−1,2,4−トリアゾール(546mg,7.91ミリモル)及びトリエチルアミン(1.1mL,7.91ミリモル)を乾燥CHCl(7mL)中に溶解し、0℃で冷却した。反応温度を25℃より低く保ちながら、POCl(0.170mL,1.820ミリモル)を加えた。混合物を終夜撹拌した。3.0当量の1H−1,2,4−トリアゾール及びトリエチルアミンならびにCHCl(5mL)を加え、混合物を室温でさらに3時間撹拌した。冷水を注意深く加えることにより、過剰のPOClをクエンチングした。有機低層を分離し、真空下における蒸発により濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーにより、CHClから4%メタノール/CHClを用いる勾配溶離によって混合物を精製し、中間体I−16(200mg,58%)を生じた。LC−MS:Rt:3.09分,m/z=490(M+H)
【0144】
中間体I−16(200mg,0.408ミリモル)をTHF(5mL)中に溶解し、濃NHOH水溶液(0.5mL)で処理した。7時間後、揮発性物質を除去し、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーにより、CHClから5%メタノール/CHClを用いる勾配溶離によって混合物を精製した。溶媒の蒸発の後、中間体I−17(179mg,100%)が得られた。LC−MS:Rt:2.74分,m/z=438(M+H)
【0145】
THF(10mL)中の中間体I−17(179mg,0.409ミリモル)及び酢酸(147mg,2.454ミリモル)の溶液に、TBAF(1227μL,1.227ミリモル,THF中の1M)を加えた。混合物を室温で撹拌した。撹拌を2時間続け、次いで溶媒を除去した。シリカゲルクロマトグラフィーにより、メタノール/CHCl4%から8%を用いる勾配溶離によって混合物を精製した。生成物(100mg)をTHF
(10mL)中のCaCO(60mg)及びDowex 50 Wx4(200mg)と混合し、室温で2時間撹拌した。混合物を濾過し、揮発性物質の蒸発の後、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶離:クロロホルム中の0から15%メタノール)によって再精製し、化合物4を白色の固体として生じた(59mg,44%)。LC−MS:Rt:1.08分,m/z=324(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.36−0.45(m,1H)0.46−0.57(m,2H)0.96−1.05(m,1H)1.10(d(app.)),J=6.5Hz,6H)2.58(h(app.)),J=6.5Hz,1H)3.86−3.91(m,1H)3.97−4.01(m,1H)4.21(dd,J=12.0,5.9Hz,1H)4.33(dd,J=12.0,2.3Hz,1H)5.34(d,J=5.7Hz,1H)5.74(d,J=7.4Hz,1H),6.01(s,1H)7.06−7.28(m,2H)7.57(d,J=7.4Hz,1H)。
【実施例5】
【0146】
(4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1(2H)−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−7−イルイソブチレート(5)
【0147】
【化20】

【0148】
中間体I−12(250mg,0.475ミリモル)を乾燥ピリジン(10mL)中に溶解し、冷水を用いて溶液を外部から冷却した。シリンジを介してイソ酪酸無水物(236μl,1.424ミリモル)を溶液に加え、反応物を室温で2時間撹拌した。さらにイソ酪酸無水物(236μl,1.424ミリモル)を加え、混合物をさらに2時間撹拌した。さらにイソ酪酸無水物(236μl,1.424ミリモル)を加え、混合物を終夜撹拌した、続いてメタノールの添加により過剰のイソ酪酸無水物をクエンチングした。溶液を室温で20分間撹拌し、次いで濃縮乾固した。残留物を酢酸エチル(30mL)中に取り上げ、溶液を飽和NaHCO水溶液(2x20mL)で洗浄した。有機相をNaSO上で乾燥し、固体を濾過し、溶媒を蒸発により除去した。I−18を無色の油として生じ、それを次の反応においてそのまま用いた。LC−MS:Rt:3.07分。
【0149】
反応温度を25℃より低く保ちながら、中間体I−18(250mg,0.419ミリモル)、1H−1,2,4−トリアゾール(327mg,4.73ミリモル)、トリエチルアミン(661μl,4.73ミリモル)及びCHCl(6.0mL)の冷却された混合物にPOCl(102μl,1.089ミリモル)を加えた(白色の沈殿を生じた)。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応が完了したら、冷HOの注意深い添加
により過剰のPOClをクエンチングした。有機層を分離し、真空下における蒸発により濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーにより、勾配溶離CHCl/酢酸エチル
90:10から85:15によって混合物を精製し、中間体I−19を油として生じた(200mg,74%)。:Rt:3.15分。
【0150】
中間体I−19(200mg,0.309ミリモル)をTHF(5mL)中に溶解し、濃NHOH水溶液(0.6mL)で処理した。4時間後、さらなる濃NHOH水溶液(0.3mL)を加え、混合物を終夜撹拌した。溶媒を真空中で除去し、油を酢酸エチル中に取り上げ、水及びブラインで洗浄した。NaSOを用いる乾燥、濾過及び揮発性物質の蒸発の後、残留物(I−20)を次の反応においてそのまま用いた。LC−MS:Rt:2.86分,m/z=594(M−H)
【0151】
中間体I−20(180mg,0.302ミリモル)を80%酢酸水溶液(5mL)中に溶解し、反応混合物を室温で撹拌した。9時間後、揮発性物質を除去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより、CHCl中の5%から15%メタノールを用いる勾配溶離によって混合物を精製した。得られる残留物を、iPrOを用いて磨砕し、真空中で乾燥した。化合物5(60.8mg,62%)を生じた。LC−MS:Rt:1.25分,m/z=324(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.33−0.41(m,1H)0.62−0.71(m,1H)0.74−0.82(m,2H)1.08−1.14(m,6H)2.55−2.64(1H,m)3.62−3.68(m,2H)3.99−4.04(m,1H)4.98−5.03(m,1H)5.12(t,J=5.2Hz,1H)5.76(d,J=7.4Hz,1H)6.27(s,1H)7.14−7.33(m,2H)7.80(d,J=7.4Hz,1H)
【実施例6】
【0152】
(2S)−ベンジル 2−((((4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソ−ピリミジン−1(2H)−イル)−7−ヒドロキシ−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−6−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル−アミノ)プロパノエートのイソブチリルエステル(6)
【0153】
【化21】

【0154】
化合物5を乾燥THF/ピリジン中に、(2S)−ベンジル 2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(2.0当量)と一緒に溶解した。混合物を−78℃に冷却した。N−メチルイミダゾール(NMI)(8当量)を加え、混合物を−78℃で15分間撹拌し、次いで室温で終夜撹拌した。混合物を蒸発乾固した。10mLのCHClを加え、残留物を10mLの0.5N HClで洗浄した。有機層を分離し、10mLの水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。溶離剤としてC
Cl/MeOHの勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより化合物を精製した。
【0155】
同じ方法に従い、しかし(2S)−エチル 2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエートから出発して、(2S)−エチル 2−((((4R,6R,7S)−4−(4−アミノ−2−オキソ−ピリミジン−1(2H)−イル)−7−ヒドロキシ−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−6−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル−アミノ)プロパノエートのイソブチリルエステル(7)も製造した:
【0156】
【化22】

【0157】
生物学的実施例
レプリコンアッセイ
HCV RNA複製の阻害における活性に関し、HCVレプリコンとしても知られるHCV機能性細胞複製細胞系を阻害する化合物の同定を目的とする細胞アッセイにおいて式Iの化合物を調べた。細胞アッセイは、多重−標的スクリーニング(multi−target screening)戦略において、Krieger et al.著,Journal of Virology 75:2001年,4614−4624により記載された修正を有するLohmann et al.著,Science vol.285:1999年,110−113により記載されたビシストロン性発現構築物(bicistronic expression construct)に基づいた。
【0158】
アッセイは、安定にトランスフェクションされた細胞系Huh−7 luc/neo(下記でHuh−Lucと呼ぶ)を使用した。この細胞系は、脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの内部リボソーム侵入部位(Internal Ribosome Entry Site)(IRES)から翻訳された型1bHCVの野生型NS3−NS5B領域を含んでなり、それにリポーター部分(FfL−ルシフェラーゼ)及び選択可能マーカー部分(neo,ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)が先行しているビシストロン性発現構築物をコードするRNAを宿している。構築物は型1bHCVからの5’及び3’NTRs(非−翻訳領域)により境界付けられている。G418(neo)の存在下におけるレプリコン細胞の培養の継続は、HCV RNAの複製に依存する。自律的に且つ高いレベルまで複製され、中でもルシフェラーゼをコードするHCV RNAを発現する安定にトランスフェクションされたレプリコン細胞を、抗ウイルス性化合物のスクリーニングに用いた。
【0159】
レプリコン細胞を、種々の濃度で加えられる試験化合物及び標準化合物の存在下で384ウェルプレートにおいて平板培養した。3日間のインキュベーションの後、ルシフェラーゼ活性のアッセイ(標準的なルシフェラーゼアッセイ基質及び試薬ならびにPerkin Elmer ViewLuxTM ultraHTS ミクロプレートイメージャーを用いて)によりHCV複製を測定した。標準培養中のレプリコン細胞は、阻害剤の不在
下で高いルシフェラーゼ発現を有した。ルシフェラーゼ活性への化合物の阻害活性をHuh−Luc細胞上で監視し、各試験化合物に関する用量−反応曲線を可能にした。次いでEC50値を計算し、その値は、検出されるルシフェラーゼ活性、あるいはもっと特定的に、遺伝子的に連鎖したHCVレプリコンRNAが複製する能力のレベルを50%低下させるのに必要な化合物の量を示す。
【0160】
細胞毒性
Huh7−CMV−Lucレプリコンアッセイにおいて、細胞毒性を決定した。サイトメガロウイルス(CMV)構成的プロモーターの制御下でルシフェラーゼリポーター遺伝子を用いて安定に形質転換されたたレプリコン細胞(ウェル当たり2500個の細胞)を、試験化合物の濃厚液の存在下又は不在下で培養した。加湿された5%CO雰囲気下に37℃において3日間インキュベーションした後、Luc活性の測定により細胞増殖を定量し、CC50値(細胞毒性,細胞成長の50%阻害濃度)として表わした。384−ウェルプレートにおいて試験を行った。
【0161】
HIVアッセイ
本発明の化合物を、野生型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対するそれらの力価に関して調べた。以下の方法に従って行われる細胞アッセイを用いて、抗ウイルス活性を評価した。ヒトT−細胞系MT4を、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein)(GFP)及びHIV−特異的プロモーター、HIV−1長末端反復(LTR)を用いて処理した(engineered)。MT4 LTR−EGFPと称されるこの細胞系を、研究化合物の抗−HIV活性の試験管内評価のために用いることができる。HIV−1に感染した細胞において、Tatタンパク質が生産され、それはLTRプロモーターを上方調節し(upregulates)、結局GFPリポーター生産の刺激に導き、進行するHIV−感染を蛍光測定により測定することを可能にする。50%有効濃度(EC50)のような有効濃度値を決定することができ、それは通常μMにおいて表わされる。EC50値は、HIV−感染細胞の蛍光を50%低下させる試験化合物の濃度として定義される。走査型顕微鏡を用いてHIV−1感染の監視を行った。画像分析は、ウイルス感染の非常に敏感な検出を可能にする。通常感染から約5日後に起こる細胞壊死の前に測定を行い、特に感染から3日後に測定を行った。表中の欄IIIBは、野生型株IIIBに対するEC50値を挙げている。
【0162】
以下の表中の結果は、本発明の化合物がHCVに対する活性を示すが、HIVに対する活性がないことを示している。それらは毒性の点で好ましい結果を示し、許容され得る選択指数(EC50とCC50の間の比)を有する。
【0163】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれかの可能な立体異性体を含む式I:
【化1】

[式中:
は水素又はC−Cアルキルであり;
及びRは独立して水素、−C(=O)R及び−C(=O)CHR−NHより成る群から選ばれるか;あるいは
は水素であり、そしてRはモノホスフェート−、ジホスフェート−もしくはトリホスフェートエステルであるか;あるいはRは水素、−C(=O)CHR又は−C(=O)CHR−NHであり、そしてRは式
【化2】

の基であり、
各Rは独立して水素、C−Cアルキル及びC−Cシクロアルキルより成る群から選ばれ;
は水素又はC−Cアルキルであり;
は場合によりハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ及びアミノからそれぞれ独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができるフェニルであるか、あるいはRはナフチルであるか;あるいはRはインドリルであり;
は水素、C−Cアルキル、ベンジルであり;
8’は水素、C−Cアルキル、ベンジルであるか;あるいは
及びR8’はそれらが結合する炭素原子と一緒になってC−Cシクロアルキルを形成し;
はC−Cアルキル、ベンジル又はフェニルであり、ここで該フェニルは場合によりヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、モノ−及びジC−Cアルキルアミノからそれぞれ独立して選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されていることができ;
但しR、R及びRはすべてが水素であることはない]
の化合物又はその製薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
が水素である請求項1に従う化合物。
【請求項3】
及びRが水素である請求項1に従う化合物。
【請求項4】
が水素であり、Rが式
【化3】

の基である請求項1〜2のいずれかに従う化合物。
【請求項5】
が場合によりハロ又はC−Cアルキルで置換されていることができるフェニルであるか、あるいはRがナフチルである請求項1〜2のいずれか又は請求項4に従う化合物。
【請求項6】
が水素であり、R8’が水素又はC−Cアルキルである請求項1〜2のいずれか又は請求項4もしくは5に従う化合物。
【請求項7】
及びRの一方が−C(=O)Rであり、R及びRの他方が水素であるか;あるいはR及びRの両方が−C(=O)Rであり;そしてRがC−Cアルキルである請求項1〜2のいずれか又は請求項4もしくは5に従う化合物。
【請求項8】
がイソプロピルである請求項7の化合物。
【請求項9】
がC−Cアルキル又はベンジルである請求項1〜2のいずれか又は請求項4〜8に従う化合物。
【請求項10】
化合物が式:
【化4】

を有する請求項1の化合物。
【請求項11】
化合物が遊離の形態にある請求項10の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかで定義された式Iの化合物の抗−ウイルス的に有効な量及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項13】
HCV阻害剤としての使用のための請求項1〜11のいずれかで定義された式Iの化合物ならびにR、R及びRがすべて水素である式Iの化合物。
【請求項14】
式Iの化合物においてR、R及びRがすべて水素である請求項13に従うHCV阻害剤としての使用のための式Iの化合物。
【請求項15】
化合物が遊離の形態にある請求項14に従うHCV阻害剤としての使用のための式Iの化合物。
【請求項16】
式Iの化合物ならびにR、R及びRがすべて水素である式Iの化合物を別のHCV阻害剤と一緒に含んでなる組み合わせ。
【請求項17】
(a)2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルウリジン1fから対応する2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルシチジン1gに、ウラシルからシトシンへの転換反応を行い、続いて保護基PGを除去して化合物I−aを与えることにより、ここで式I−aにより示されるR及びRが両方とも水素である式Iの化合物を製造するか:
【化5】

(b)化合物I−aを塩基の存在下でホスホロクロリデート2aと反応させてホスホルアミデートI−bを与えることにより、Rが水素であり、R
【化6】

である式Iの化合物を製造するか:
【化7】

(c)中間体3a中の5’−ヒドロキシ基を選択的に保護して中間体3bを与え、それを次いで中間体3cにエステル化し、続いてウラシルからシトシンへの転換を行って中間体3dとし;後者を脱保護して3’−モノエステルI−cとすることによるか;あるいはI−c中の5’−ヒドロキシをエステル化して化合物I−dとすることによるか;あるいは中間体3a中の5’−ヒドロキシ基を選択的にエステル化し、かくして基R4aを導入して中間体3eを生ぜしめ、中間体3eを続いて異なる酸を用いてエステル化し、それによ
り基R3aを導入してジ−エステル中間体3fを与え、それをウラシルからシトシンへの転換に供して化合物I−dを与えることにより、
式Iの化合物を製造し、ここでRは水素であり、RはここでR4aにより示される−C(=O)R又は−C(=O)CHR−NHであり、該化合物は式I−cにより示されるか;あるいはR及びRは互いに独立して−C(=O)R又は−C(=O)CHR−NHであり、下記でそれぞれR3a及びR4aにより示され、該化合物は式I−dにより示され;且つ−C(=O)CHR−NH中のアミノ基は、後で除去され得るアミノ保護基で保護されていることができるか:
【化8】

(d)基PGがPGと同じ意味を有するが、それが基PGに対して選択的に切断可能であるように選ばれる以下のスキームにおいて示される通り;中間体3b中の遊離のヒドロキシを、他のヒドロキシ保護基に対して選択的に切断可能なヒドロキシ保護基で保護し、中間体4aを生ぜしめ;5’−ヒドロキシ保護基を除去して中間体4bを与え;後者をエステル化して中間体4cとし;後者をウラシルからシトシンへの転換に供し、かくして4
’−ヒドロキシ保護シチジン誘導体4dを得、それを脱保護して化合物I−eを与えることにより、式I−eにより示されるRが水素であり、Rが上記で規定した通りのR4aである式Iの化合物を製造するか:
【化9】

(e)中間体3a中の両方のヒドロキシ基をエステル化することにより、式I−fにより示されるR3a及びR4aが同じであり、上記で規定した通りである式Iの化合物を製造する:
【化10】

請求項1〜11のいずれかで定義された式Iの化合物の製造方法。

【公表番号】特表2011−526270(P2011−526270A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515237(P2011−515237)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004748
【国際公開番号】WO2010/000459
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511004014)セントコア・オーソ・バイオテツク・プロダクツ・エル・ピー (2)
【出願人】(508030109)
【Fターム(参考)】