説明

シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法

本発明は、式Iのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製(re arin)のための新規な方法(rocess)ならびに精製プロセスを提供(rovides)する。また、本発明は、本発明の方法に有用な新規な窒素保護型合成中間体を提供する。さらに、本発明は、新規な置換カルバミン酸塩不純物およびその調製方法を提供する。

式I

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【0002】
【化1】

式I
のシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の新規な調製方法を提供する。
【0003】
また、本発明は、本発明の方法に有用な新規な窒素保護型合成中間体を提供する。特に、本発明は、塩酸シナカルセトの調製のための産業上好都合な方法を提供する。
【0004】
本発明は、シナカルセトの不純物であるシナカルセトの置換カルバミン酸塩を提供する。
【0005】
さらに、本発明は、シナカルセトおよびその塩の精製方法を提供する。
【背景技術】
【0006】
式Iのシナカルセト、および塩酸シナカルセトは、細胞外カルシウム感知受容体を、副甲状腺ホルモンに対するカルシウム抑制効果に対してより感受性にすることによってモジュレートする新規なカルシウム模倣剤であり、化学物質としては、N−[1−(R)−(−)−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−アミノプロパン
【0007】
【化2】

式I
として公知である。
【0008】
これは、原発性および続発性副甲状腺機能亢進症の処置に使用されている。副甲状腺機能亢進症は、1つ以上の副甲状腺による副甲状腺ホルモンの分泌の増大による高レベルの循環カルシウムを特徴とする。副甲状腺機能亢進症は骨粗鬆症に至ることがあり得る。続発性副甲状腺機能亢進症に苦しむ腎不全の患者は、例えば、腎臓性骨疾患、軟部組織石灰化および血管の疾患のリスクが高い。
【0009】
シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩などのカルシウム受容体活性分子は、PCT公開公報WO1994/18959、米国特許第6,211,244号、同第6,313,146号、同第6,031,003号、同第6,001,068号、同第6,011,884号、同第5,962,314号、同第5,858,684号、同第5,841,368号、同第5,763,569号および同第5,688,938号などに開示された。米国特許第6,211,244号には、シナカルセトなどのカルシウム受容体活性分子の調製方法が開示されているが、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製例はなんら示されていない。
【0010】
このような化合物の調製に関する上記の特許に開示された方法は、ナトリウムシアノボロヒドリドまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの存在下での、第1級アミンでの市販のアルデヒドまたはケトンの還元的アミノ化を含む。
【0011】
あるいはまた、一部の化合物は、チタン(IV)イソプロポキシドの存在下での、第1級アミンとアルデヒドまたはケトンとの縮合により調製された。得られたイミン中間体は、次いで、ナトリウムシアノボロヒドリド、ナトリウムボロヒドリドまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの作用によりインサイチュで還元され、次いで、中間体エナミンは、二水酸化パラジウム担持炭素を使用し、触媒的に還元された。
【0012】
アミンとニトリルとの水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)媒介性縮合により、種々の化合物が調製された。得られたイミン中間体は、ナトリウムシアノボロヒドリドまたはナトリウムボロヒドリドの作用によりインサイチュで還元された。中間体アルケンは、パラジウム担持炭素を使用し、エタノール中での接触水素化によって還元された。さらに、上記の方法によって得られた化合物は、該遊離塩基を、エーテルまたはヘキサン中の塩化水素ガスと塩化水素ガスとの組合せで処理することにより、対応する塩酸塩に変換された。ここに開示された方法は、高価な試薬の使用を伴うものである。また、そのようにして調製される化合物は、カラムクロマトグラフィーによって精製される。
【0013】
Drugs of future 2002,27(9),831−836には、米国特許第6,211,244号に開示された一般的な方法に従うシナカルセトの調製方法が開示されている。該方法は、チタンイソプロポキシドの存在下での1−アセチルナフタレンと3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピルアミンとの反応によりイミンを得、これをメタノール性水素化ホウ素ナトリウムで処理することによりラセミ体(racemic)塩基を得、次いで、キラルクロマトグラフィーによって分割することを伴う。
【0014】
米国特許第7,250,533号には、下記のスキーム:
【0015】
【化3】

に従って、まず、3−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロパノールのヒドロキシル部分を、良好な脱離基を含む化合物に変換させ、さらに、これを、塩基の存在下、有機溶媒中で(R)−1−ナフチルエチルアミンと結合させ、シナカルセトを得るシナカルセトの合成方法が開示されている。
【0016】
中間体3−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロパノールは、1−ブロモ−3−トリフルオロメチルベンゼンとアクリル酸エチルとのヘックカップリングで不飽和エステルを得た後、還元して対応する飽和アルコールを得ることにより調製される。
【0017】
PCT公開公報WO2007/127445には、下記のスキーム:
【0018】
【化4】

に示すように、3−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロパン酸の反応性誘導体と、(R)−1−ナフチルエチルアミンとの縮合により、N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを得、次いで、これを還元してシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩を得る、シナカルセトの調製方法が開示されている。
【0019】
また、同様の方法が、PCT公開公報WO2008/035381、WO2008/058235;インド特許出願第555/MUM/2007号;論文雑誌Tetrahedron Letters 2008 49(1)13−15およびSynthetic Communications 2008 38(10)1512−1517にも開示されている。
【0020】
PCT公開公報WO2007/127449には、3−ブロモトリフルオロトルエンと、下記の式
【0021】
【化5】

のアリルアミンとを、触媒および少なくとも1種類の塩基の存在下で縮合させて不飽和シナカルセトを得、次いで、これを還元してシナカルセトを得る、シナカルセトの調製方法が開示されている。
【0022】
PCT公開公報WO2008/063645には、下記の式
【0023】
【化6】

(式中、Xは、C〜Cスルホン酸アルキル、置換および非置換C〜C10スルホン酸アリールまたはハロゲンである)
の化合物を、(R)−1−ナフチルエチルアミンと、最小量の溶媒を用いて、任意選択で塩基の存在下で縮合させることによる、シナカルセトの調製方法が開示されている。
【0024】
PCT公開公報WO2008/068625には、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの存在下、(R)−1−ナフチルエチルアミンでの3−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロパナールの還元的アミノ化によるシナカルセトの調製方法が開示されている。
【0025】
上記のように、先行技術の方法のほとんどは、チタンイソプロポキシドおよび水素化ジイソブチルアルミニウムなどの、高価であり、かつ該方法が大規模で使用される場合、大容量で取り扱わなければならない試薬の使用を伴うものである。このような水分感受性で自然発火性の試薬は、特別な取り扱いを要する。該方法の一例では、既知の発癌性物質であり、高度に可燃性で、水分に曝露されると激しい反応が引き起こされ得、かつ酸化剤に対して不安定であり得るアクリル酸エチルの使用を伴う。アクリル酸エチルなどの化合物の使用は、上記の条件に対する不安定性のため賢明でない。精製のためのカラムクロマトグラフィー;キラル化合物の単離のためのキラルクロマトグラフィーの使用、高価で有害な試薬を使用するため、先行技術において公知の方法は、工業的規模拡大に適さない。
【0026】
シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩などの任意の合成化合物には、外来化合物または不純物が含まれていることがあり得ることは、よく知られている。このような不純物は、例えば、出発材料、反応の副生成物、副反応の生成物、または分解生成物であり得る。シナカルセトなどの任意の医薬活性成分中の不純物は望ましくなく、極端な場合は、APIを含有する投薬形態での処置対象の患者に対して有害なことさえあり得、したがって、塩酸シナカルセトなどの最終API中に存在してはならない。したがって、医薬活性化合物には、製剤化の前に、かかるプロセス不純物、副生成物または分解不純物が含まれてはならない。
【0027】
活性成分を精製して不純物を除去することに加え、存在する不純物の解析も必要である。したがって、最終API中に存在するかかる不純物は、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩などのAPIの加工処理中のある特定の段階で解析され得る。米国特許第7,294,735号には、シナカルセトのカルバミン酸塩不純物、およびその調製方法(塩基の存在下、溶媒中、高温でのメタンスルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステルと、(R)−ナフチルエチルアミンとの反応による)が開示されている。また、この特許には、シナカルセトのカルバミン酸塩不純物を除去する、塩酸シナカルセトを精製方法も開示されている。該方法は、3〜6パーセントのカルバミン酸塩不純物を含むシナカルセトを、アセトン、線状または分枝鎖C2〜8エーテルおよびその混合物もしくは水との混合物から選択される溶媒中で精製し、次いで、これを塩酸シナカルセトに変換させることを伴う。この特許には、工業規模には適さないカラムクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーによるシナカルセトのカルバミン酸塩不純物の除去のための別の方法が開示されている。
【0028】
米国特許第7,294,533号には、出発材料である(R)−1−ナフチルエチルアミンを不純物として除去する、シナカルセトの精製方法が開示されている。この特許に開示された方法は、まず、溶媒中でのシナカルセトの酸性化によってシナカルセトの塩を形成させ、次いで、中和によってシナカルセトを得ることを伴うものであるが、製剤に使用される活性化合物が塩酸シナカルセトであるため、塩酸シナカルセトにさらに変換させなければならない。これは、(R)−1−ナフチルアミン不純物を含まない塩酸シナカルセトの取得には、時間のかかるプロセスと思われる。また、この特許には、カラムクロマトグラフィーによる粗製シナカルセトの精製が例示されているが、これは、非常に煩雑な手法であり、商業的生産には適用可能ではない。
【0029】
PCT公開公報WO2008/58236には、塩酸シナカルセトをニトリル溶媒に溶解させた後、この溶液に貧溶媒を添加することによる塩酸シナカルセトの精製が開示されている。
【0030】
したがって、当該技術分野において、工業的に適用可能であり、アクリル酸エチルおよび水素化ジイソブチルアルミニウムなどの有害で高価な試薬の使用を伴わない、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法を開発する緊急の必要性が存在する。化学物質の純度は、医薬品分野においてもたいへん重要であり、したがって、同様に塩酸シナカルセトが高純度で得られる必要性がある。高い化学物質純度を得るためには、塩酸シナカルセトに、既知および未知の不純物が含まれてはならない。そのため、不純物を含まない、または不純物が許容量である塩酸シナカルセトが提供される精製プロセスを開発する必要性が存在する。また、シナカルセトおよびシナカルセトの薬学的に許容され得る塩の試料中に存在し得る不純物の同定も、構造ならびに性質の同定後に除去方法の選択を可能にするために必要である。したがって、本発明は、当該技術分野の必要性を満たすものであり、新規な中間体を用いて、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製のための産業上好都合な方法を提供する。本発明の方法は、費用効果が高く、環境に優しく、商業的に実現可能であるとともに、工業規模で再現可能であり、規制機関の要件を満たすものである。本発明は、シナカルセトおよびその塩の精製方法を提供するとともに、シナカルセトまたはその薬学的に許容され得る塩の試料中においてその存在が容易に確認できるような新規な不純物である置換カルバミン酸塩不純物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】PCT公開公報WO1994/18959
【特許文献2】米国特許第6,211,244号
【特許文献3】米国特許第6,313,146号
【特許文献4】米国特許第6,031,003号
【特許文献5】米国特許第6,001,068号
【特許文献6】米国特許第6,011,884号
【特許文献7】米国特許第5,962,314号
【特許文献8】米国特許第5,858,684号
【特許文献9】米国特許第5,841,368号
【特許文献10】米国特許第5,763,569号
【特許文献11】米国特許第5,688,938号
【特許文献12】米国特許第7,250,533号
【特許文献13】PCT公開公報WO2007/127445
【特許文献14】PCT公開公報WO2008/035381
【特許文献15】PCT公開公報WO2008/058235
【特許文献16】インド特許出願第555/MUM/2007号
【特許文献17】PCT公開公報WO2007/127449
【特許文献18】PCT公開公報WO2008/063645
【特許文献19】PCT公開公報WO2008/068625
【特許文献20】米国特許第7,294,735号
【特許文献21】米国特許第7,294,533号
【特許文献22】PCT公開公報WO2008/58236
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Drugs of future 2002,27(9),831−836
【非特許文献2】Tetrahedron Letters 2008 49(1)13−15
【非特許文献3】Synthetic Communications 2008 38(10)1512−1517
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明の主目的は、単純性、費用効果の高さ、および工業的規模での操作の簡便性に関して特異である、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製のための効率的で新規な方法を提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、合成中間体の調製のための新規な方法を提供することである。
【0035】
本発明の別の目的は、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製において重要な役割を果たす新規な合成中間体を提供することである。
【0036】
本発明の別の目的は、シナカルセトおよびその塩の精製方法を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、特定の同定された不純物および同定されていない不純物を除去する、シナカルセトの精製方法を提供することである。
【0038】
本発明の別の目的は、不純物が許容制限範囲内である、または好ましくは不純物を含まない塩酸シナカルセトが得られる、塩酸シナカルセトの精製のための産業上好都合な方法を提供することである。
【0039】
本発明のさらに別の目的は、シナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物、および置換カルバミン酸塩不純物の方法を提供することである。
【0040】
本発明のまた別の目的は、塩酸シナカルセトの試料からの置換カルバミン酸塩不純物の除去方法を提供することである。
【0041】
本発明のまた別の目的は、置換カルバミン酸塩不純物が0.03〜0.15%(HPLCによる)である塩酸シナカルセトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
一態様によれば、本発明は、式I
【0043】
【化7】

式I
のシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製のための新規で産業上好都合な方法であって、
(a)式II
【0044】
【化8】

式II
(式中、R、R、RおよびRは水素である;またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である);またはR、R、RおよびRすべてが一緒に結合して三重結合を形成している)
の化合物を準備する工程;
(b)活性化剤と溶媒の存在下での反応によって、式IIの化合物のヒドロキシル基を良好な脱離基に変換させ、式III
【0045】
【化9】

式III
(式中、R、R、RおよびRは、上記に規定のとおりであり、Xは良好な脱離基であり、好ましくは、ハライド(クロロ、ブロモ、ヨードなど);または一般式-SOR’(式中、R’は、直鎖もしくは分枝のC1〜10アルキル基;置換もしくは非置換C1〜10アリール基;窒素、イオウあるいは酸素から選択される1個以上のヘテロ原子を有する置換もしくは非置換C1〜10ヘテロアリール基から選択される)のスルホニルオキシ官能基から選択される)の化合物を得る工程;
(c)式IIIの化合物を式IV
【0046】
【化10】

式IV
(式中、Zは、アミン保護基である)
の化合物と、適当な塩基の存在下で縮合させ、式V
【0047】
【化11】

式V
(式中、R、R、R、RおよびZは、上記に規定のとおりである)
の化合物を調製する工程;ならびに
(d)式Vの化合物を、式Iのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩に変換させる工程
を含む、方法を提供する。
【0048】
別の態様によれば、本発明は、式VI
【0049】
【化12】

式VI
(式中、R、R、RsおよびRは、上記に規定のとおりであり、およびRは、水素、アルキルまたは任意の適当な活性化基から選択され得る)
の化合物を、適当な還元剤を用いて環元することによる、式IIの化合物の調製のための新規な方法を提供する。
【0050】
別の態様によれば、本発明は、式Vの新規な中間体(その塩、水和物、溶媒和物、ラセミ化合物、エナンチオマー、多形、誘導体)、ならびに該中間体の調製方法、ならびにシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩への変換を提供する。
【0051】
また別の態様によれば、本発明は、式VII
【0052】
【化13】

式VII
を有するシナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物を提供する。
【0053】
別の実施形態によれば、本発明は、HPLCで測定したときの置換カルバミン酸塩不純物の量が0.03%〜0.15%である塩酸シナカルセト、およびその調製方法を提供する。
【0054】
該方法は、
(a)式IV
【0055】
【化14】

式IV
(式中、Zは、水素または一般式−COOR”(式中、R”は、直鎖もしくは分枝C1〜8アルキル基置換もしくは非置換アリール基から選択される)の官能基;から選択される)
の化合物を、式IIIa
【0056】
【化15】

式IIIa
(式中、Xは、上記に規定のとおりである)
の化合物と、溶媒中、塩基の存在下で反応させ、2〜20%(HPLCによる)の範囲の式VIIの置換カルバミン酸塩不純物を有する式Va
【0057】
【化16】

式Va
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
の化合物を形成する工程;
(b)式Vaの化合物を、溶媒中にて塩化水素源で処理し、塩酸シナカルセトを形成する工程;
(c)塩酸シナカルセトを適当な溶媒により精製する工程;および
(d)式VIIの置換カルバミン酸塩不純物が0.15%未満(HPLCによる)である塩酸シナカルセトを単離する工程
を含む。
【0058】
別の一態様によれば、本発明は、
(a)溶媒中のシナカルセト溶液を準備する工程;
(b)該溶液にシリカゲルを添加する工程;
(c)この混合物から該溶媒を、蒸留またはエバポレーションによって除去する工程;
(d)残渣に溶媒を添加する工程;
(e)この混合物の溶媒を濾過する工程;
(f)任意選択で、工程(d)〜(e)を反復する工程;
(g)純粋なシナカルセトを濾液から回収する工程;および
(h)任意選択で、シナカルセトを塩酸シナカルセトに変換させる工程
を含む、シナカルセトの精製方法を提供する。
【0059】
別の態様によれば、本発明は、
(a)塩酸シナカルセトを適当な溶媒中でスラリーにすること;および
(b)塩酸シナカルセトを反応混合物から単離すること
塩酸シナカルセトの精製方法を提供する。
【0060】
別の態様によれば、本発明は、
(a)溶媒中の塩酸シナカルセト溶液を準備する工程;
(b)該溶液を水または適当な酸の水溶液で洗浄する工程;
(c)該溶媒を蒸留する工程;
(d)得られた残渣を適当な溶媒中でスラリーにする工程;および
(e)塩酸シナカルセトを反応混合物から単離する工程
を含む、塩酸シナカルセトの精製方法を提供する。
【0061】
また別の態様によれば、本発明は、
(a)適当な溶媒中の塩酸シナカルセト溶液を準備すること;
(b)該溶液を適当な塩基で中和すること;
(c)該溶媒を該溶液から除去すること;
(d)任意選択で、シナカルセトを単離すること;
(e)得られた残渣に溶媒を添加すること;
(f)この溶液を水素化アルミニウムリチウムで処理すること;
(g)反応混合物をクエンチすること;
(h)該溶媒を除去して残渣を得ること;および
(i)得られた残渣を、溶媒中にて塩化水素源で処理し、塩酸シナカルセトを形成すること
を含む、塩酸シナカルセトの精製方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本明細書において記載されている場合、「あらゆる中間体、不純物ならびに最終生成物」には、その塩、水和物、溶媒和物、ラセミ化合物、エナンチオマー、多形、誘導体が包含される。
【0063】
本発明は、式IIの化合物(異性体またはその混合物を含む)から開始する、式Iのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の新規で産業上好都合な調製方法を提供する。
【0064】
本発明の一態様によれば、式IIの化合物(異性体またはその混合物を含む)のヒドロキシ基を、活性化試薬の存在下、適当な溶媒中で良好な脱離基に変換させ、式IIIの化合物(異性体またはその混合物を含む)を形成させる。
【0065】
一般的には、適当な溶媒中の式IIの化合物を、適当な溶媒中の良好な脱離基を含む活性化試薬と反応させ、反応混合物を0℃〜180℃の温度に維持する。反応温度は、活性化剤の性質に応じて異なり得る。式IIIの化合物を取得するための時間は、出発化合物の量とともに性質、活性化試薬および反応条件に依存し、好ましくは、反応は、半時間から24時間;より好ましくは反応が完結するまで維持する。良好な脱離基を含む活性化試薬は、一般的には共役塩基である。活性化試薬としては、限定されないが、ハロゲン化チオニル、ハロゲン化脂肪族または芳香族スルホニル、ハロゲン化リン、オキシハロゲン化リンなどが挙げられ、好ましくは、活性化試薬は、臭化チオニルもしくは塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化4−ニトロベンゼンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、三臭化リンなどである。溶媒としては、限定されないが、水、ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど);C2〜8エーテル(イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなど);C3〜8芳香族および脂肪族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど);C2〜5ニトリル(アセトニトリルなど);C3〜8ケトン(アセトン、エチルメチルケトン;メチルイソブチルケトンなど);アミド溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど);など、またはその混合物が挙げられる。反応は、好ましくは、無水条件または含水条件で行なわれ得る。無水条件は、無水の出発材料、試薬ならびに溶媒を使用することにより作出され得、あるいは、水分を水の共沸蒸留によって除去してもよい。適当な塩基を反応混合物に添加することが好都合である。塩基は、有機塩基であっても無機塩基であってもよい。有機塩基としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなど、またはその組合せから選択される第3級アミンが挙げられる。無機塩基としては、限定されないが、アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など、またはその組合せが挙げられ、好ましくは、塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウムなどから選択され得る。
【0066】
好ましい態様において、R、R、RおよびRが水素である式IIの化合物は、式IIa
【0067】
【化17】

式IIa
の構造(異性体またはその混合物を含む)を有し、上記のものと同様のプロセスによって、対応する式IIIa
【0068】
【化18】

式IIIa
(式中、Xは、良好な脱離基である)
の化合物(異性体またはその混合物を含む)に変換させる。
【0069】
別の好ましい態様において、R、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)式IIの化合物は、式IIb
【0070】
【化19】

式IIb
の構造(異性体またはその混合物を含む)を有し、上記のものと同様のプロセスによって、対応する式IIIb
【0071】
【化20】

式IIIb
(式中、Xは、上記に規定のとおりである)
の化合物に変換させる。
【0072】
また別の好ましい態様では、R、R、RおよびRすべてが一緒に結合して三重結合を形成している式IIの化合物は、式IIc
【0073】
【化21】

式IIc
の構造(異性体またはその混合物を含む)を有し、上記のものと同様のプロセスによって、対応する式IIIc
【0074】
【化22】

式IIIc
(式中、Xは、上記に規定のとおりである)
の化合物に変換させる。
【0075】
別の態様によれば、本発明は、式IIIaの化合物の調製方法を提供する。
【0076】
一般的に、式IIIaの化合物は、適当な還元剤での式IIIbまたはIIIcの化合物の還元によって調製され得る。同様に、式IIIbの化合物は、適当な還元剤での式IIIcの化合物の選択的還元によって調製され得る。還元反応は、接触水素化(金属触媒上での水素)によって行なわれ得る。金属触媒としては、限定されないが、遷移金属、遷移金属担持支持体(この場合、支持体は炭素もしくは硫酸バリウムであり得る)、遷移金属の有機金属化合物(均一系触媒)、または他の遷移金属誘導体もしくは二酸化白金などが挙げられる。遷移金属としては、限定されないが、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムまたはニッケルなどが挙げられる。反応に使用される水素圧は1〜5気圧であり得る。水素化は、反応が完結するまで、好ましくは1〜24時間行なう(carried)。還元剤としては、限定されないが、ボラン錯体(例えば、ボラン−テトラヒドロフラン、ボラン−ジメチルスルフィド、ボランアミン、ボランルイス塩基、ボラン−トリフェニルホスフィンなど);ヒドリド移動試薬が挙げられる。還元剤MBRHまたはMAlRHは、助触媒(限定されないが、コバルトまたはニッケルの誘導体および配位子(例えば、ジメチルグリオキシムなど)を有するもの、または有しないものが挙げられる)とともに、またはなしで使用され得る(式中、Mは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属もしくは遷移金属などの金属または適当な金属であり得、Rは、アルコキシ、RN、(R)N、(R)N、RCOO、RS、CNなどから選択される任意の配位子であり得;Rは、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキルなどから選択される);あるいは、Richard.C.Larockによるcomprehensive organic transformationに記載された他の適切な環元試薬が使用され得る。還元反応のための好適な溶媒は、反応条件および還元剤の性質に応じて選択され得る。好適な溶媒としては、限定されないが、水;C1〜5アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、n−ブタノールなど);C5〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど);C3〜8エステル(酢酸エチルなど);C2〜8エーテル(イソプロピルエーテル、tert−ブチルエーテルなど);など、またはその混合物が挙げられる。
【0077】
別の態様によれば、本発明は、式V
【0078】
【化23】

式V
(式中、R、R、RおよびRは、上記に規定のとおりであり;Zは、アミン保護基であり、アリル;置換アリル;線状、分枝または環状C1〜8アルキル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキル;線状、分枝または環状C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状C1〜8アルキニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキニル;−CN;-SOR”;−COOR”(式中、R”は、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり得る);−CONR’’’R’’’(式中、R’’’およびR’’’’は、同じであっても、異なっていてもよく、個々に、アルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリールから選択され得る);などから選択され得;上記の基はすべて、炭素が、アルキル、アルコキシまたはアリールなど(and like)から選択される基で置換されていてもよく、好ましくは、Zは、カルボベンジルオキシ、p−メトキシベンジルカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシフェニル、tert−ブチルジメチルシリル;p−ニトロベンゼンスルホニル、メタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル基などの他のスルホニルなどから選択される)
の化合物を、式IIIの化合物と式IV
【0079】
【化24】

式IV
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
の化合物と、塩基の存在下で縮合させることにより調製方法を提供する。
【0080】
一般的に、縮合反応は、塩基の存在下、適当な溶媒中で約0〜100℃の温度にて数分間から数時間行なわれ得る。反応の温度および時間は、保護基の性質に応じて異なり得る。好ましくは、反応は、反応が完結するまで行なう。溶媒としては、限定されないが、水、C1〜5アルコール;C3〜8ケトン;C5〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素;C3〜7エステル;C2〜8エーテル;C2〜5ニトリル;アミド溶媒(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなど);非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシドなど)など、またはその混合物が挙げられる。好適な塩基は有機塩基または無機塩基であり得る。有機塩基としては、限定されないが、第3級アミン;RMまたはRMgX(式中、Rは、アルキルもしくはアリールであり得、Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属であり得る);あるいは、アルカリまたはアルカリ土類金属のアルコキシドが挙げられる。無機塩基としては、限定されないが、アルカリまたはアルカリ土類金属の水素化物または水酸化物または炭酸塩または重炭酸塩;あるいはMNHまたはMNSiR(式中、Mはアルカリ金属であり得、Rは、C1〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素などであり得る);あるいは添加剤を含む、または含まない有機金属塩基が挙げられる。任意選択で、相間移動触媒が反応混合物に添加され得る。相間移動触媒としては、第4級アンモニウム化合物:ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物もしくは合成樹脂、テトラブチルアンモニウムブロミドもしくはクロリド;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド;水酸化テトラブチルアンモニウム;トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、ドデシル硫酸ナトリウム塩(ラウリル硫酸ナトリウムなど);硫酸水素テトラブチルアンモニウム;臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたは樹脂アンバーライトIRA−410などが挙げられる。相間移動触媒は、約0.05〜約1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量の量で存在させ得る。式Vの化合物は反応から、式Vの化合物の性質に応じて、適当な慣用的な方法を用いて単離され得る。
【0081】
本発明の好ましい実施形態において、R、R、RおよびRが水素である式Vの化合物は、
構造式Va
【0082】
【化25】

式Va
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
を有し、式IIIaの化合物と式IVの化合物との縮合によって調製され得、さらに、本発明の進歩性部分を構成する。
【0083】
本発明のより好ましい実施形態において、Zがp−ニトロベンゼンスルホニルである式Vaの化合物は、式Va−1
【0084】
【化26】

式Va−1
の構造を有し、式IIIaの化合物と式IV−1
【0085】
【化27】

式IV−1
の化合物との縮合によって調製され得る。
【0086】
一般的に、該プロセスは、式IIIaの化合物(式中、xは、上記に規定のとおりである)と式IV−1の化合物とを、塩基の存在下、適当な溶媒中で約10〜100℃の温度にて数分間から数時間、好ましくは反応が完結するまでの縮合反応を伴う。溶媒としては、限定されないが、水、C1〜5アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど);C3〜8ケトン(アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなど);C5〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど);C3〜7エステル(酢酸エチルなど);C2〜8エーテル(イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなど);C2〜5ニトリル(アセトニトリルなど);アミド溶媒(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなど)、および非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシドなど)など、またはその混合物が挙げられる。好適な塩基は有機塩基または無機塩基であり得る。有機塩基としては、限定されないが、第3級アミン;RMまたはRMgX(式中、Rは、アルキルもしくはアリールであり得、Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属であり得る);あるいは、アルカリまたはアルカリ土類金属のアルコキシドが挙げられる。無機塩基としては、限定されないが、アルカリまたはアルカリ土類金属の水素化物または水酸化物または炭酸塩または重炭酸塩;あるいはMNHまたはMNSiR(式中、MおよびRは、上記に規定のとおりである);あるいは添加剤を含む、または含まない有機金属塩基が挙げられ、好ましくは、塩基は、例えば、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カリウム;などから選択される。反応は、任意選択で相間移動触媒の存在下で行なうことが好都合であり、該触媒としては、限定されないが、第4級アンモニウム化合物:ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物もしくは合成樹脂、テトラブチルアンモニウムブロミドもしくはクロリド;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド;水酸化テトラブチルアンモニウム;トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、ドデシル硫酸ナトリウム塩(ラウリル硫酸ナトリウムなど);硫酸水素テトラブチルアンモニウム;臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたは樹脂アンバーライトIRA−410など、好ましくは、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドが挙げられる。相間移動触媒は、約0.05〜約1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量の量で存在させ得る。式Va−1の化合物は反応混合物から、当該技術分野で公知の適当な手法(エバポレーション、蒸留などによる反応混合物からの溶媒の除去など)を用いて単離され得る。
【0087】
具体的には、式IIIaの化合物(式中、xはp−トルエンスルホニルである)と式IV−1の化合物との縮合は、塩基の存在下、および任意選択で相間移動触媒の存在下、適当な溶媒中で行なう。反応は、好ましくは、室温から90℃の温度で行ない、反応の完結には約10〜15時間かかる。反応終了後、反応物を冷却し、水と希釈酸溶液を用いて中和する。その後、溶媒を蒸留によって除去してもよく、得られた残渣に別の溶媒を添加し、固形の化合物を単離してもよい。別の溶媒は、脂肪族もしくは芳香族炭化水素(n−ヘプタン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなど);エーテル(イソプロピルエーテルなど)など、またはその混合物から選択され得る。好ましくは、別の溶媒は、所望の生成物が溶解性をもたない、または溶解性が低い任意の溶媒から選択され得る。
【0088】
本発明のさらに別のより好ましい実施形態において、Zがtert−ブチルオキシカルボニルである式Vaの化合物は、式Va−2
【0089】
【化28】

式Va−2
の構造を有し、式IIIaの化合物と式IV−2
【0090】
【化29】

式IV−2
の化合物との縮合によって調製され得る。
【0091】
典型的には、該プロセスは、式IIIaの化合物(式中、Xは、上記に規定のとおりである)と式IV−2の化合物とを、塩基の存在下、適当な溶媒中で約0〜100℃の温度にて数分間から数時間、好ましくは反応が完結するまで縮合反応させることを伴う。溶媒としては、限定されないが、水、C1〜5アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなど);C3〜8ケトン(アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなど);C5〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど);C3〜7エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなど);C2〜8エーテル(テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなど);C2〜5ニトリル(アセトニトリルなど);アミド溶媒(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなど)、および非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシドなど)など、またはその混合物が挙げられる。反応に使用される溶媒の性質は、他の官能基に対して影響がないものであれば制限はない。反応に使用される塩基は、有機系(第3級アミンなど(such as to));RMまたはRMgX(式中、Rは、アルキルもしくはアリールであり得、Mは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属であり得る);あるいは、アルカリまたはアルカリ土類金属のアルコキシド;またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水素化物もしくは水酸化物もしくは炭酸塩もしくはアルコキシドもしくは重炭酸塩;あるいはMNHまたはMNSiR(式中、MおよびRは、上記に規定のとおりである);あるいは添加剤を含む、または含まない有機金属塩基である無機塩基から選択され得、好ましくは、塩基は、例えば、水酸化カリウム、カリウムターシャリーブトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウムなどから選択される。任意選択で、反応は相間移動触媒の存在下で行なわれ得、該触媒は、上記に列挙したものから選択され得る。式Va−2の化合物は、そのまま次の工程にすすめてもよく、反応混合物から単離してもよい。単離は、当該技術分野で公知の適当な手法(適当な溶媒からの抽出後、エバポレーション、蒸留などによる反応混合物からの溶媒の除去など)を用いて行なわれ得、任意の他の方法も使用され得る。
【0092】
具体的には、式IIIaの化合物(式中、xは、p−トルエンスルホニルまたはメタンスルホニル)と式IV−2の化合物との縮合は、塩基を使用し、適当な溶媒中で行なう。反応は、任意選択で、相間移動触媒の存在下で行なわれ得る。反応は、好ましくは10〜70℃の温度で行なわれ得、反応の完結には約1〜25時間かかる。式Va−2の化合物は反応混合物から、任意の慣用的な方法を用いて単離され得る。具体的には、式Va−2の化合物は反応液から、水を添加した後、水不混和性溶媒を用いて層分離することによって単離する。好ましくは、使用される水不混和性溶媒としては、ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど);エーテル(2−メチルテトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど)など、またはその混合物が挙げられる。その後、式Va−2の中間体化合物を、任意の適当な手法(例えば、蒸留、エバポレーションなどを用いた溶媒の除去)によって溶液から回収する。
【0093】
同様に、R、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)式Vの化合物は、構造式Vb
【0094】
【化30】

式Vb
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
を有し、
式IIIbの化合物と式IVの化合物との縮合によって調製され得、さらに、本発明の進歩性部分を構成する。
【0095】
同様に、R、R、RおよびRすべてが一緒に結合して三重結合を形成している式Vの化合物は、構造式Vc
【0096】
【化31】

式Vc
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
を有し、式IIIcの化合物と式IVの化合物との縮合によって調製され得、さらに、本発明の進歩性部分を構成する。
【0097】
得られた式Vの化合物は、Hおよび13C核磁気共鳴(NMR)、紫外分光法(UV)、質量分析(MS)、赤外分光法(IR)などの種々の分光学的手法によってキャラクタライズされ得る。さらに、化合物のX線回折パターンにより、該化合物が結晶性形態で存在しているか、非晶質形態で存在しているのかかの情報が提供される。式Va−1の化合物が固体形態で存在している場合、種々の多形または非晶質形態で存在し得る。化合物の結晶性または非晶質性は、X線回折パターンによってキャラクタライズされる。さらに、式Vの化合物(その塩、水和物、溶媒和物、ラセミ化合物、エナンチオマー、多形を含む)は、本発明の一部を構成する。
【0098】
具体的には、式Va−1の化合物は、δ8.46(d,1H);8.25(d,2H);7.93(d,2H);7.82(m,2H);7.59(t,1H);7.52(t,1H);7.35(m,3H);7.26(m,1H);6.90(m,2H);6.07(dd,1H);3.07(m,2H);2.18(t,2H);1.37(m,1H);および0.8(m,1H)にピークを示すH−NMR(CDCl)によってキャラクタライズされる。
【0099】
また、式Va−2の化合物は、8.07(bs,1H);7.74(d,1H);7.67(d,1H);7.24−7.44(m,4H);7.19(d,1H);7.08(t,1H);6.80(bs,1H);6.71(d,1H);6.0(m,1H);2.7(m,2H);2.0(m,2H);1.48(d,3H);1.40(s,9H);1.13(m,1H);および0.77(m,1H)にピークを示すH−NMR(CDCl)によってキャラクタライズされる。
【0100】
式Vの化合物は、所望により、所望の中間体の純度を向上させるため、または中間体中の不要な不純物を除去するため、適当な方法を用いて精製しされ得る。任意の適当な精製手順、例えば、晶出、誘導体化、スラリー洗浄、塩の調製、種々のクロマトグラフィー手法、溶媒、貧溶媒晶出など、またはこれらの手順の組合せを用いて、精製物質が得られ得る。しかしながら、他の同等の手順、例えば、酸−塩基処理などもまた、式Vの中間体の精製に使用され得る。精製に使用される溶媒は、精製対象の化合物の性質に応じて選択され得るが、溶媒は、水、C1〜6アルコール(メタノール、エタノール、tert−ブタノール、イソプロパノールなど);脂肪族C3〜6ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなど);C3〜6エーテル(メチルターシャリーブチルエーテル、イソプロピルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)など、またはその適当な割合での混合物から選択され得る。
【0101】
具体的には、式Vaの化合物は、該化合物が、室温または高温のいずれかで、ある程度の溶解性を有する適当な溶媒を用いて晶出させることができ、溶媒としては、C1〜6アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールなど);脂肪族C3〜6ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど)など、またはその混合物が挙げられる。
【0102】
あるいはまた、式Vaの化合物は、該化合物の溶解性が不純物と比べて低い適当な溶媒中でのスラリー洗浄によって精製することができ、かかる溶媒としては、限定されないが、脂肪族炭化水素(n−ヘプタン、シクロヘキサン、ヘキサン、n−ヘキサンなど);エーテル(メチルターシャリーブチルエーテル、イソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなど);ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなど、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる。
【0103】
あるいはまた、式Vaの中間体化合物は、特別な処理を使用することにより、式Vaの中間体化合物中に存在し得る特定の任意の不純物(式VbおよびVcの化合物など)を除去することにより精製することができる。例えば、アルケン官能基を有する任意の不純物が式Vaの中間体化合物中に存在する場合、これは、該アルケン官能基と結合して複合体を形成するか、または適当な方法(例えば、抽出または濾過など)を用いて該アルケン不純物が容易に除去され得るか、もしくは反応混合物から単離され得るように該アルケン不純物の性質を変化させるかのいずれかである適当な試薬を用いて除去することができる。好適な試薬(regent)は、酸化剤(過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム、クロム酸など);または銀塩(該アルケン官能基と結合する硝酸銀など)から選択され得る。好ましくは、式Vaの中間体化合物は、適当な試薬で数分間から数時間処理される。反応は、任意選択で、不活性な溶媒の存在下で行なわれ得、該溶媒としては、限定されないが、ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタンなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエンなど);など、またはその混合物が挙げられる。任意選択で、適当な相間移動触媒が反応混合物に添加され得、該触媒は、上記に列挙したものから選択され得る。その後、アルケン不純物を含まない精製中間体は反応混合物から、濾過によって、または水を添加して反応混合物を二相にすることによって単離され得る。所望の生成物は混合物から、有機層からの溶媒の除去によって抽出され得る。
【0104】
このようにして、中間体の純度の向上に必要とされる溶媒および精製の型は、式Vの中間体の性質および除去対象の不純物に基づいて選択され得る。同様に、式VbおよびVcの化合物も、適当な方法を用いて精製することができる。精製プロセスは、所望の中間体の純度に達するまで反復してもよく、他のものと組み合わせて使用してもよい。
【0105】
別の態様によれば、本発明は、式Vの中間体化合物(その塩、水和物、溶媒和物、ラセミ化合物、エナンチオマー、多形を含む)を、式Iのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩に変換する方法を提供する。本発明の好ましい実施形態では、式Vaの化合物が、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩に変換され得る。
【0106】
一般的に、脱保護剤およびアミン保護基脱保護のための反応条件は、保護基の性質に応じて適切に選択される。アミノ保護基は、慣用的な手順および試薬を用いて除去され得る。例えば、ベンジル保護基または置換ベンジル保護基は、触媒(例えば、パラジウムなど)の存在下での選択的水素化分解などによって除去され得る;tert−ブトキシカルボニル基は、強酸(例えば、塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸など)での処理によって除去され得る;9−フルオレニルメチルオキシカルボニルは、適当な塩基での処理によって除去され得る;tert−ブチルジメチルシリル基は、フッ化物イオン源(例えば、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩など)での処理によって除去され得る;p−メトキシフェニルは、硝酸セリウム(IV)アンモニウムによって除去され得る;p−トルエンスルホニル基は、濃縮酸(例えば、臭化水素酸、硫酸など)または強力な還元剤(例えば、ナトリウム含有液体アンモニア、ナフタレンナトリウムなど)での処理によって除去され得る;スルホンアミドは、置換もしくは非置換チオフェノール;ヨウ化サマリウム、水素化トリブチルスズによって脱保護され得る。適切な脱保護剤は、当業者により「Protecting Groups by Philip J.Kocienski(Thieme,2000)」または「Protective Groups in Organic Synthesis by Theodora W.Greene,Peter GM.Wuts’から認識され得るもの、あるいは文献から入手可能なもの、および文献に十分記載されたものである。反応に使用される溶媒は、除去対象の保護基の性質に応じて選択され得る。反応終了後、シナカルセトは、反応混合物から単離され得るが、またはインサイチュでシナカルセトの薬学的に許容され得る塩に変換され得る。したがって、式Vaの化合物(その塩、水和物、溶媒和物、ラセミ化合物、エナンチオマー、多形を含む)は、直接シナカルセトの薬学的に許容され得る塩に変換することができる。
【0107】
本発明のより好ましい実施形態では、本発明は、式Va−1の中間体化合物を脱保護することにより、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法を提供する。
【0108】
典型的には、該プロセスは、式Va−1の化合物を適当な脱保護剤で、0〜100℃の温度にて、反応が完結するまで反応させることを伴う。p−ニトロベンゼンスルホニル基が有効に除去され得る任意の脱保護試薬が反応に使用され得、該試薬は、かかる目的のための当該技術分野で公知の任意の試薬から選択され得る。好ましくは、適当な脱保護剤としては、限定されないが、置換もしくは非置換チオフェノール、ヨウ化サマリウム、水素化トリブチルスズなどが挙げられる。好ましくは、使用される脱保護剤は、置換もしくは非置換チオフェノールである。反応に使用される溶媒の性質は、他の官能基に対して有害な効果を有しないものであれば制限はない。特に、溶媒としては、限定されないが、エーテル(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなど);アミド溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど;非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシドなど);ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリルなど)など、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる。さらに、反応は、塩基を相間移動触媒とともに、またはなしで用いて行なう。反応に使用される塩基は、有機塩基であっても無機塩基であってもよい。有機塩基としては、限定されないが、トリアルキルアミンなどのアミンが挙げられる。無機塩基としては、アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、水素化物、アルコキシド(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)などが挙げられる。相間移動触媒としては、限定されないが、第4級アンモニウム化合物:ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド ホスホニウム化合物もしくは合成樹脂、テトラブチルアンモニウムブロミドもしくはクロリド;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド;水酸化テトラブチルアンモニウム;トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、ドデシル硫酸ナトリウム塩(ラウリル硫酸ナトリウムなど);硫酸水素テトラブチルアンモニウム;臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたは樹脂アンバーライトIRA−410などが挙げられる。反応終了後、所望の化合物、すなわちシナカルセトは、反応混合物から単離され得るか、または反応混合物は、そのまま次の工程、すなわちシナカルセトの薬学的に許容され得る塩の調製に使用される。シナカルセトは反応混合物から、当該技術分野の慣用的な任意の方法によって単離され得る。具体的には、シナカルセトは反応液から、溶媒の除去、適当な溶媒での抽出、層分離などによって単離され得る。このようにして得られるシナカルセト、または反応混合物を、適当な酸と反応させて、シナカルセトの薬学的に許容され得る塩を形成する。
【0109】
本発明の別のより好ましい一実施形態において、本発明は、式Va−2の中間体化合物を脱保護することによる、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法を提供する。
【0110】
典型的には、該プロセスは、式Va−2の化合物を適当な脱保護剤と、0〜100℃の温度で数分間から数時間、好ましくは反応が完結するまで反応させることを伴う。tert−ブチルオキシカルボニル基が有効に除去され得る任意の脱保護試薬が反応に使用され得、該試薬は、かかる目的のための当該技術分野で公知の任意の試薬から選択される。好ましくは、適当な脱保護剤としては、濃縮強酸または強酸水溶液、例えば、塩酸またはトリフルオロ酢酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などが挙げられる。反応に使用される酸は、ガス状の酸、酸の水溶液または溶媒を酸で飽和させたもの、溶媒との酸の混合物であり得る。本明細書において使用される溶媒の性質に対する制限はないが、具体的には、エーテル(イソプロピルエーテル1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテルなど);アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノールなど);エステル(酢酸エチル、酢酸イソブチルなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエンなど);アミド溶媒(ジメチルホルムアミドなど);非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシドなど);など、またはその混合物が挙げられる。反応終了後、所望の化合物、すなわちシナカルセトは、反応混合物から単離され得るか、または反応混合物は、そのまま次の工程、シナカルセトの薬学的に許容され得る塩の調製に使用される。シナカルセトは反応混合物から、当該技術分野の慣用的な任意の方法によって単離され得る。反応混合物を塩酸シナカルセトの合成に進めることが好都合である。
【0111】
あるいはまた、式Va−2の化合物を、脱保護のために塩酸を使用することにより、シナカルセトの遊離塩基を単離せずに塩酸シナカルセトに変換させてもよく、これにより、塩酸シナカルセトが直接得られる。反応に使用される塩酸は、ガス状の塩化水素、塩化水素の水溶液または溶媒を塩化水素で飽和させたもの、溶媒との塩酸の混合物であり得る。本明細書において使用される溶媒性質に対する制限はないが、具体的には、エーテル(イソプロピルエーテル1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテルなど);アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノールなど);エステル(酢酸エチル、酢酸イソブチルなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエンなど);アミド溶媒(ジメチルホルムアミドなど);非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシドなど);など、またはその混合物が挙げられる。このようにして調製された塩酸シナカルセトは、任意の慣用的な手法を使用することにより単離され得る。
【0112】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明は、式VbまたはVcの中間体化合物からのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法を提供する。該方法は、式VbまたはVcの化合物を環元して式Vaの化合物を形成し、次いで、これを、上記のシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩に変換させることを含む。
【0113】
一般的には、式VbまたはVcの化合物を、還元剤および適当な溶媒の存在下、25〜100℃の温度で環元させ、式Vaの化合物を形成する。還元反応は、二重結合または三重結合を有する官能基の完全還元のための先行技術において公知の任意の方法によって行なわれ得る。好ましくは、還元は、接触水素化(金属触媒上での水素)によって行なわれ得る。金属触媒としては、限定されないが、遷移金属、遷移金属担持支持体(この場合、支持体は炭素もしくは硫酸バリウムであり得る)、遷移金属の有機金属化合物(均一系触媒)、または他の遷移金属誘導体もしくは二酸化白金などが挙げられる。遷移金属としては、限定されないが、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムまたはニッケルなどが挙げられる。反応に使用される水素圧は1〜5気圧であり得る。水素化は、反応が完結するまで、好ましくは1〜24時間行なう。還元剤としては、限定されないが、ボラン錯体(ボラン−テトラヒドロフラン、ボラン−ジメチルスルフィド、ボランアミン、ボランルイス塩基、ボラン−トリフェニルホスフィンなど);ヒドリド移動試薬が挙げられる。還元剤MBRHまたはMAlRHは、助触媒(限定されないが、コバルトまたはニッケルの誘導体および配位子(例えば、ジメチルグリオキシムなど)を有するもの、または有しないものが挙げられる)とともに、またはなしで使用され得る(式中、Mは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属もしくは遷移金属などの金属または適当な金属であり得、Rは、アルコキシ、RN、(R)N、(R)N、RCOO、RS、CNなどから選択される任意の配位子であり得、Rは、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキルなどから選択される);あるいは、R.C.Larockによるcomprehensive organic transformationに記載された他の適切な環元試薬が使用され得る。好適な溶媒としては、C1〜5アルコール、C5〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素、C3〜8エステル、C2〜8エーテル、水など、またはその混合物が挙げられる。得られた式Vaの化合物は、次いで上記の方法によって、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩に変換される。
【0114】
別の態様によれば、本発明は、式Vcの中間体化合物を式Vbの化合物に環元し、次いで、これをシナカルセトまたはその薬学的に許容され得る塩に、
a).式Vbの化合物をVaに変換し、これを脱保護してシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩を得ること;または
b).二重結合の還元とアミン保護基の除去を同時に行なうことにより、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩を得ること、
のいずれかによって変換することによる、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の別の調製方法を提供する。
【0115】
別の態様によれば、本発明は、二重結合または三重結合の還元とアミン保護基の除去を同時に行なうことによる、式VbまたはVcの中間体化合物からのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法を提供する。
【0116】
シナカルセトの遊離塩基は本発明の方法において、任意選択で単離され得る。シナカルセトの遊離塩基は、単離した場合は、シナカルセト中に存在する任意の不純物を除去するために、任意の適当な方法(具体的には、ゲル精製)によって任意選択で精製され得る。
【0117】
一態様によれば、本発明は、ゲル精製によるシナカルセトの精製方法を提供する。
【0118】
一般的に、該プロセスは、適当な溶媒中のシナカルセト溶液へのシリカゲルの添加を伴う。シナカルセト溶液は、シナカルセトを適当な溶媒中に懸濁させることにより調製され得るか、またはかかる溶液は、シナカルセトが形成される反応混合物から直接得られ得る。好適な溶媒は、限定されないが、芳香族または脂肪族炭化水素、C1〜8エーテル、ハロゲン化物溶媒またはその混合物から選択され得る。好ましくは、溶媒は、ヘプタン、シクロヘキサン、ヘキサン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、イソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルムまたはその混合物から選択される。溶媒中のシナカルセト溶液は、任意選択で、使用される溶媒に応じて約25〜135℃の温度で加熱され得る。シナカルセトの安定性が障害されず、かつ透明な溶液が得られる限り、任意の他の温度も許容され得る。
【0119】
上記のシナカルセト溶液に、シリカゲルを添加し、混合物を数分間から数時間、好ましくは、シリカゲル上で完全な吸着が行われるまで攪拌する。その後、溶媒を蒸留またはエバポレーションによって除去し、シナカルセトを不純物とともにシリカゲルに完全に吸着させる。溶媒の除去後、新たな溶媒(上記のものと同じ)を残渣に添加し、混合物を、−5〜35℃の温度で数分間から数時間、好ましくは、室温で30分間、シナカルセトがシリカゲルから完全に抽出されるまで再度攪拌する。不純物はシリカゲル上に吸着されたままである。その後、シリカゲルを溶液から除去する。シリカゲルは、例えば、濾過などの適当な手法によって除去され得る。収率を向上させるため、任意選択で、生成物をシリカゲルから、上記の適当な溶媒での抽出を1回以上行なうことにより抽出してもよい。次いで、シナカルセトを濾液から、蒸留による溶媒のエバポレーションによって回収する。シナカルセト中に存在する不純物はシリカゲル上に吸着されたままであるため、精製後に得られるシナカルセトは、極性不純物を含まない。精製に使用されるシリカゲルは、50〜400メッシュ、好ましくは、230〜400メッシュ、100〜230メッシュ、200〜300メッシュおよび50〜80メッシュの範囲のメッシュサイズを有するものであり得る。シリカゲルに対する粗製シナカルセトの比率は、1:1〜1:3、好ましくは1:3、より好ましくは1:2であり得る。
【0120】
具体的には、シナカルセトを適当な無極性溶媒に溶解させた後、この溶液にシリカゲルを添加する。シナカルセトが不純物とともにシリカゲル上に完全に吸着されることが確実となるように、溶媒を混合物から除去する。完全な吸着後、適当な無極性溶媒を添加して、シナカルセトをシリカゲルから抽出させ、攪拌する。シリカゲルを濾過によって除去し、この溶液から純粋なシナカルセトを、蒸留などの適当な手法によって回収する。
【0121】
精製前に得られたシナカルセトをその薬学的に許容され得る塩に変換してもよく、精製後に得られたシナカルセトを変換してもよい。好ましくは、シナカルセトは、その薬学的に許容され得る塩に、先行技術において公知の方法によって変換させる。具体的には、シナカルセトの遊離塩基を、適切な酸を含む適当な溶媒(水溶液もしくは水−アルコール溶液、エステルなど、またはその混合物など)に溶解させ、次いで、溶液のエバポレーションによって単離する。薬学的に許容され得る塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、およびキナ酸などの酸から得られ得る。薬学的に許容され得る塩としては、硫酸塩、塩酸塩、マレイン酸塩、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、およびキナ酸などを含むものなどの酸付加塩が挙げられる。
【0122】
好ましくは、塩酸シナカルセトは、シナカルセトを塩酸で、0℃〜130℃の温度にて数分間から数時間処理することにより調製される。塩化水素源としては、限定されないが、塩酸水、塩化水素ガスまたはその混合物が挙げられる。適当な溶媒は、アルコール、エステル、エーテルなどから選択される。好ましくは、塩化水素源としては、メタノール性塩酸塩、酢酸エチル塩酸塩などが挙げられる。該塩酸塩の形成は、エステル(酢酸エチルなど);エーテル(イソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフランなど);ニトリル(アセトニトリルなど);アルコール(メタノールなど)など、またはその混合物から選択される溶媒中で行なわれ得る。塩酸シナカルセトは反応混合物から、例えば、蒸留、エバポレーション、溶媒での抽出などの適当な方法によって単離され得る。
【0123】
本発明の方法は、下記のスキームによって示され得る。
【0124】
【化32】

【0125】
本発明の別の実施形態において、ラセミ体シナカルセトまたはその薬学的に許容され得る塩は、式IIIの化合物を式IVのラセミ化合物と縮合させて式Vのラセミ化合物を形成し、次いで、これを、本明細書において上記のものと同じプロセスに従って、ラセミ体シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩に変換させることにより調製され得る。このようにして調製されたラセミ体シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩をキラル分割に供すると、(R)−シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩が得られる。分割は、ラセミ化合物を、適当な溶媒中にて適当な分割剤で処理することにより行なわれ得る。分割剤としては、限定されないが、ナプロキセン、酒石酸、マンデル酸、2,3:4,6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−グルコン酸などが挙げられる。分割のための好適な溶媒としては、限定されないが、C1〜5アルコール;C3〜8ケトン;ハロゲン化物溶媒;C1〜6直鎖、分枝または芳香族クロロ炭化水素;エーテルが挙げられ、好ましくは、溶媒は、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエチル、メチルターシャリーブチルエーテル、1,4−ジオキサンなど;およびその混合物またはその種々の割合での水との組合せから選択され得る。エナンチオマーの酸とのラセミ化合物の塩を分離し、次いで、所望のジアステレオマーの塩を、シナカルセトまたはその薬学的に許容され得る塩に変換させる。
【0126】
本発明者は、式IIIaの化合物(式中、Xは、上記に規定のとおりである)を、式IVの化合物(式中、Zは、水素または一般式−COOR”(式中、R”は、上記に規定のとおりである)の官能基から選択される)と、塩基の存在下、有機溶媒中で縮合させると、式VIIの置換カルバミン酸塩不純物が混入した式Vaの化合物の形成がもたらされ得ることを見い出した。
【0127】
式Vaの化合物(式VIIの置換カルバミン酸塩不純物が混入)を、さらに最終生成物、すなわちシナカルセトおよびその塩に変換させた場合、これにも置換カルバミン酸塩不純物が混入していることがわかった。本発明者らは、反応に使用される式IIIaの化合物のモル当量数が不純物の生成に重要であることを観察した。式IIIaの化合物の量の増加とともに、得られる生成物中の不純物の割合は増大する。過剰量の式IIIaの化合物が反応に採用された場合、反応中、反応混合物中に残留している未反応の式IIIaの化合物が、得られた生成物と反応し、高量でのシナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物の形成がもたらされることがわかった。
【0128】
当該技術分野で公知であるように、プロセス不純物のマネージメントは、その化学構造の理解によって、および最終生成物中の不純物の量に影響を及ぼすパラメータの確認によって大きく向上しており、したがって、本発明の不純物は、その化学構造を理解するためのHおよび13C核磁気共鳴(NMR)、紫外分光法(UV)、質量分析(MS)、赤外分光法(IR)などの種々の分光学的手法によってキャラクタライズされ得る。シナカルセトまたはその塩中に存在する不純物の割合は、薄層クロマトグラフィー(TLC)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー手法によって、好ましくは高速液体クロマトグラフィーによって確認され得る。
【0129】
本発明の置換カルバミン酸塩不純物は、質量分析(「MS」)による分析によってキャラクタライズされ、588g/モルの分子量を有することがわかった。質量分析(「MS」)による分析では、M+1のピークは589に示される。
【0130】
本発明の置換カルバミン酸塩不純物は、以下の核磁気共鳴(「NMR」)スペクトルデータ:
H−NMR δ(CDCl):6.83−8.2(15H,m,Ar−H);6.23(1H,bs,CHN);4.23(2H,bs,CHO);2.90(2H,bs,NCH);2.75(2H,bs,ArCH....O);2.17(2H,bs,ArCH...N);2.05(2H,bs,ArCHCH...O);1.6(3H,d,CH);1.3(2H,bs,ArCHCH....N)
によってキャラクタライズされる。
【0131】
本発明の置換カルバミン酸塩不純物は、不純物のカルボニル基(C=O)の吸収が1693cm−1に示される赤外(「IR」)スペクトルデータによってキャラクタライズされる。
【0132】
最終生成物と同様、中間体中の不純物の同定も、この不純物がマーカーとしての使用に必要とされるため、非常に重要である。したがって、本発明は、商業規模で販売される前に、該プロセスが当該製品の担当機関の承認を得る(set down in)のに必要とされる基準に適合することが確認されるように、式Vaのシナカルセトまたは中間体中の不純物の有無が任意の品質管理プロセスで同定され得るような、または確認され得るような不純物の調製方法を提供する。
【0133】
一実施形態によれば、本発明は、式VIIを有する、シナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物の調製方法を提供する。
【0134】
一般的に、該反応は、式IIIaの化合物(式中、Xは、上記に規定のとおりである)を、式IVの化合物(式中、Zは、水素または一般式−COOR”(式中、R”は、上記に規定のとおりである)の官能基から選択される)と、塩基および適当な溶媒の存在下、25℃から溶媒の還流温度までの温度で数分間から30時間縮合させることを伴う。好ましくは、反応混合物は、周囲温度で1〜20時間攪拌する。高量の置換体不純物の生成のためには、過剰の式IIIaの化合物を採用することが好都合である。反応のための有機溶媒としては、限定されないが、ケトン(メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなど);エーテル(イソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルなど);ニトリル(アセトニトリルなど);ハロゲン化物溶媒(クロロホルム、ジメチルスルホキシドなど);アミド溶媒(ジメチルホルムアミドなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエンなど);など、またはその混合物が挙げられる。反応に使用される塩基は、有機塩基であっても無機塩基であってもよい。有機塩基としては、例えば、C1〜8トリアルキルアミンなどのアミン塩基が挙げられる。無機塩基としては、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、重炭酸塩が挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウムが反応に使用される。反応は、任意選択で、相間移動触媒の存在下または非存在下で行なう。反応終了後、生成物は反応混合物から、適当な手法、例えば、蒸留、エバポレーション、適当な溶媒での抽出などによって単離され得る。好ましくは、生成物は、水の添加後、適当な溶媒での抽出;その後、溶媒の除去によって生成物を得ることにより単離される。好適な抽出溶媒としては、限定されないが、芳香族炭化水素(トルエンなど);エーテル(イソプロピルエーテルなど);ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタンなど)など、またはその混合物が挙げられる。
【0135】
反応混合物から単離した生成物は、式Vaの化合物と式VIIの置換カルバミン酸塩不純物の混合物であることがわかった。混合物中の式VIIの置換カルバミン酸塩不純物の量は、出発材料の量、温度、溶媒および他の反応条件によって、1%から50%までで異なり得る。好ましくは、置換カルバミン酸塩不純物の割合は、5〜50%(HPLCによる)で存在し得る。
【0136】
得られた生成物、すなわち、式Vaの化合物と式VIIの置換カルバミン酸塩不純物の混合物を、さらに、式VIIの置換カルバミン酸塩不純物を含有する(この不純物は、最終段階まで持ち越されるため)塩酸シナカルセトに変換させてもよい。
【0137】
シナカルセトのカルバミン酸塩不純物は式Vaの化合物から、または塩酸シナカルセトから、不純物を生成物から分離するための当該技術分野で公知の手法によって分離され得る。好ましくは、例えば、分取用プレートクロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィーなどなどのクロマトグラフィー手法によって分離する。最も好ましくは、不純物の分離は、カラムクロマトグラフィーによって行なわれる。
【0138】
好ましくは、式VIIの置換カルバミン酸塩不純物は、置換カルバミン酸塩不純物を有する式Vaの化合物を、カラムクロマトグラフィーに供することにより単離され得る。カラムクロマトグラフィーは、固定相としてシリカゲル、および式VIIの置換カルバミン酸塩不純物が吸着されたカラムから該不純物を除去するための溶離剤の勾配の使用を含む。固定相である固相吸着体を垂直のガラス製(通常)カラムに入れ、移動相である液体をカラムの上面に添加し、カラム中を流下させる(重力または外圧または真空のいずれかによって)。カラムクロマトグラフィーは、一般的に、所望の化合物を混合物から単離するための手法として使用される。式Vaの化合物と置換カルバミン酸塩不純物の混合物は、カラムの上面に適用する。液体溶媒(溶離剤)は、重力によって、または空気圧もしくは真空の適用によってカラムを通過させる。吸着体上に吸着された溶質とカラム中を流下する移動相との間に平衡が確立される。混合物中の異なる成分は、固定相および移動相と異なる相互作用を有するため、移動相とともに種々の程度で持ち越され、分離がなされる。式VIIの置換カルバミン酸塩不純物は、溶媒画分としてカラムから収集される。
【0139】
あるいはまた、式VIIのシナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物は、式VIII
【0140】
【化33】

式VIII
のカルバミン酸塩シナカルセト化合物から調製され得る。
【0141】
一般的に、該反応は、式VIIIのカルバミン酸シナカルセト化合物を式IIIaの化合物と、塩基および適当な溶媒の存在下、0℃から溶媒の還流温度までの温度で数分間から数時間縮合させることを伴う。好ましくは、反応混合物は、周囲温度で2〜20時間攪拌する。反応に使用される溶媒および塩基は、不純物の生成で上記のものと同じである。反応終了後、生成物は反応混合物から、適当な手法、例えば、蒸留、エバポレーション、適当な溶媒での抽出などによって単離され得る。好ましくは、生成物は、水の添加後、適当な溶媒での抽出、その後、溶媒の除去によって生成物を得ることにより単離される。好適な抽出溶媒としては、限定されないが、脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエンなど);エーテル(イソプロピルエーテルなど);ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタンなど)など、またはその混合物が挙げられる。
【0142】
本発明の方法による単離された式VIIの置換カルバミン酸塩不純物は、およそ50%〜92.75%(HPLCによる)の純度を有するものであり得る。単離された不純物は、所望により、さらに、化合物の純度を向上させるために上記のようにしてカラムクロマトグラフィーに供され得る。
【0143】
本発明の方法によって調製される、またはカラムから得た溶媒画分からの単離後の単離されたシナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物は純粋である。好ましくは、88.0%(HPLCによる)より低くない純度を有する。好ましくは、置換カルバミン酸塩不純物は約90.0%の純度(HPLCによる)で単離され;より好ましくは、置換カルバミン酸塩不純物は約92.75%の純度(HPLCによる)で単離される。
【0144】
本発明の方法によりこのようにして調製された最終生成物であるシナカルセトまたは塩酸シナカルセトは、最終APIの純度を向上させるため、または中間体中の不要な不純物を除去するために、慣用的な方法を用いて精製され得る。任意の適当な精製手順、例えば、晶出、誘導体化、スラリー洗浄、塩の調製、種々のクロマトグラフィー手法、溶媒貧溶媒系など、またはこれらの手順の組合せが、精製物質の取得に使用され得る。しかしながら、酸−塩基処理などの他の同等の手順もまた使用され得る。本発明の最終化合物および中間体の精製に使用される溶媒は、精製対象の化合物の性質に応じて選択され得、しかしながら、溶媒は、水、C1〜6アルコール(エタノール、イソプロパノールなど);脂肪族C3〜6ケトン(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、n−ヘプタン、シクロヘキサンなど);C3〜6エーテル(メチルターシャリーブチルエーテル、イソプロピルエーテルなど);ニトリル(アセトニトリルなど)など、またはその適当な割合での混合物から選択され得る。
【0145】
具体的には、本発明は、塩酸シナカルセトの試料からの式VIIの置換カルバミン酸塩不純物の除去方法を提供する。また、本発明は、置換カルバミン酸塩不純物が0.15%未満である塩酸シナカルセトを提供する。
【0146】
一般的に、該反応は、式IVの化合物を式IIIaの化合物と、塩基および適当な溶媒の存在下、25℃から溶媒の還流温度までの温度で、数分間から30時間縮合させることを伴う。有機溶媒、塩基および反応条件は、式VIIの置換カルバミン酸塩不純物を有する式Vaの化合物の調製で上記のものと同じである。得られた式Vaの化合物には、置換カルバミン酸塩不純物が、2〜20%(HPLCによる)の範囲で含まれ得る。置換カルバミン酸塩不純物を有する式Vaの化合物を、シナカルセトまたはシナカルセトの薬学的に許容され得る塩に変換させる。該方法は、式Vaの化合物を塩化水素源と反応させ、直接、塩酸シナカルセトを形成させることを伴う。反応は、任意選択のシナカルセトの遊離塩基の単離を伴って行なわれ得る。式Vaの化合物は塩化水素源で、溶媒中にて、0〜130℃の温度で、数分間から数時間処理する。式Vaの化合物は、任意選択で、インサイチュで塩酸シナカルセトに変換させ得る。好ましくは、反応混合物を周囲温度で1〜6時間、より好ましくは反応が完結するまで攪拌する。溶媒および塩化水素源は、上記に列挙したものから選択され得る。塩酸シナカルセトは反応混合物から、適当な手法、例えば、蒸留、エバポレーション、適当な溶媒での抽出などによって単離される。好ましくは、塩酸シナカルセトは、反応液から溶媒の除去によって単離される。反応混合物から得られた粗製塩酸シナカルセトには、10%までの式VIIの置換カルバミン酸塩不純物、好ましくは5%までの置換カルバミン酸塩不純物が含まれていることを見い出している。
【0147】
置換カルバミン酸塩不純物を有する塩酸シナカルセトは、次いで、適当な溶媒を用いて精製され、式VIIの置換カルバミン酸塩不純物が除去される。
【0148】
精製プロセスは、塩酸シナカルセトを適当な溶媒で0〜35℃の温度で数分間から数時間処理することを伴う。好適な溶媒としては、限定されないが、エステル(酢酸エチルなど);エーテル(ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテルなど);炭化水素(n−ヘプタンなど)など、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる。好ましくは、使用される溶媒混合物は、エチルとジイソプロピルエーテルとの任意の適当な割合での混合物である。混合物中の溶媒の割合は、塩酸シナカルセトに対して1:1から1:100までの種々であり得、好ましくは1:9、より好ましくは1:1である。好ましくは、塩酸シナカルセトは、適当な溶媒中、周囲温度で10分間〜5時間、より好ましくは2時間攪拌する。精製した生成物は反応混合物から、例えば、濾過などの適当な手法によって単離され得る。所望により、塩酸シナカルセトの純度を向上させるため、および不純物レベルを許容制限範囲内まで低下させるため、好ましくは不純物を含まないようにするため、精製プロセスを反復してもよい。
【0149】
別の態様において、本発明は、置換カルバミン酸塩不純物の量が約0.03%〜0.15%(HPLCによる)である塩酸シナカルセト、好ましくは、置換カルバミン酸塩不純物が0.15%未満(HPLCによる)である塩酸シナカルセトを提供する。より好ましくは、本発明は、置換カルバミン酸塩不純物を含まない塩酸シナカルセトを提供する。
【0150】
最終生成物、すなわち塩酸シナカルセトの純度は、ほとんどの場合で重要である。本発明の方法によって調製される、または当該技術分野で公知の方法によって調製される塩酸シナカルセトは、生成物中の不要な不純物を除去するための精製が必要である。したがって、本発明は、純度を向上させるため、ならびに同定された不純物および同定されていない不純物を最小限にするための、任意の方法によって調製される塩酸シナカルセトの精製方法を提供する。
【0151】
一態様によれば、本発明は、適当な溶媒または溶媒混合物でのスラリー洗浄を使用することによる塩酸シナカルセトの精製方法を提供する。
【0152】
一般的に、該プロセスは、適当な溶媒中の塩酸シナカルセトのスラリーを、−10〜70℃の温度で1〜5時間攪拌することを伴う。好ましくは、塩酸シナカルセトは、適当な溶媒を用いて25〜50℃の温度で1時間攪拌する。好適な溶媒としては、限定されないが、エステル(酢酸エチルなど);エーテル(ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテルなど)、炭化水素溶媒(n−ヘプタンなど)など、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる。混合物中の溶媒の割合は、1:1〜1:100までの種々であり得、好ましくは1:9、より好ましくは1:1である。1:9の溶媒混合物で、続いて1:1の溶媒混合物でのスラリー洗浄を使用することが好都合である。好ましくは、酢酸エチルとジイソプロピルエーテルとの混合物が使用される。塩酸シナカルセトは混合物から、例えば、濾過などの適当な手法によって単離される。塩酸シナカルセトの純度を向上させるため、および塩酸シナカルセト中の不純物レベルを低下させるために、精製プロセスを反復してもよい。
【0153】
別の態様によれば、本発明は、水または適当な酸の水溶液で洗浄することによる塩酸シナカルセトの精製方法を提供する。
【0154】
一般的に、該プロセスは、塩酸シナカルセトを適当な溶媒に溶解させた後、水または適当な酸の水溶液で、続いて水で−10〜70℃の温度で数分間から7時間、好ましくは40〜50℃の温度で0.5時間洗浄することを伴う。好適な溶媒として、芳香族溶媒(トルエンなど);エステル(酢酸エチルなど);ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど);など、またはその混合物が挙げられる。好適な酸は、塩酸などの無機酸から選択される。洗浄プロセスの後、水層を分取する。溶媒は有機層から、例えば、エバポレーション、蒸留などの適当な手法によって除去される。塩酸シナカルセトは反応混合物から、任意の適当な方法によって単離される。好ましくは、塩酸シナカルセトの単離は、得られた残渣に適当な溶媒を、0〜40℃の温度で添加した後、数分間から数時間攪拌することよって行なわれ得る。好ましくは、混合物は、周囲温度で45分間攪拌する。好適な溶媒としては、限定されないが、エステル(酢酸エチルなど);エーテル(ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテルなど);炭化水素溶媒(n−ヘプタンなど)など、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる。混合物中の溶媒の割合は、1:1〜1:100までの種々であり得、好ましくは1:9、より好ましくは1:1である。1:9の溶媒混合物で、続いて1:1の溶媒混合物でのスラリー洗浄を使用することが好都合である。酢酸エチルとジイソプロピルエーテルとの混合物が好ましく使用される。上記の精製プロセスにより、同定されていない不純物と同定された不純物が塩酸シナカルセトから除去される。
【0155】
別の実施形態によれば、本発明は、塩酸シナカルセトをシナカルセトに中和した後、水素化アルミニウムリチウムでの処理、次いで、高度に純粋な塩酸シナカルセトへのさらなる変換によって塩酸シナカルセトを精製する方法を提供する。
【0156】
一般的に、該プロセスは、適当な塩基を塩酸シナカルセト溶液に、−20℃〜40℃の温度で数分間から数時間添加することを伴う。好ましくは、反応混合物は周囲温度で1〜5時間攪拌する。塩酸シナカルセト溶液は、塩酸シナカルセトを適当な溶媒中で混合することにより調製され得るか、またはかかる溶液は、塩酸シナカルセトが形成される反応混合物から直接得られ得る。好適な溶媒は、限定されないが、脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなど);エーテル(イソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなど);エステル(酢酸エチルなど);ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど)など、またはその混合物から選択され得る。好適な塩基は有機または無機であり得る。有機塩基としては、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミンなどが挙げられる。無機塩基としては、アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アルコキシドもしくは水素化物が挙げられる。好ましくは、無機塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたはナトリウムメトキシドから選択される。より好ましくは、炭酸ナトリウムが反応に使用される。反応終了後、溶媒を反応混合物から、例えば、エバポレーション、蒸留などの適当な手法によって除去する。反応混合物からのシナカルセトの単離は任意選択であり、溶媒除去後に得た残渣をそのまま、さらなる反応に使用してもよい。
【0157】
適当な溶媒中の得られた残渣を水素化アルミニウムリチウムとともに、−5〜5℃の温度で数分間から数時間攪拌し、好ましくは、0℃の温度で0.5〜2時間攪拌する。好適な溶媒として、エーテル(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルなど);脂肪族もしくは芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど);など、またはその混合物が挙げられる。溶媒中のシナカルセト溶液は、任意選択で0℃未満の温度に冷却した後、水素化アルミニウムリチウムが添加され得る。反応液は、エステル(酢酸エチル)、アルコール(メタノール)またはその混合物などの適当なクエンチング剤の添加によってクエンチされ得る。クエンチ後、溶媒を留去して残渣を得る。上記の残渣を、溶媒の存在下、塩化水素源で処理し、高度に純粋な塩酸シナカルセトを得る。塩化水素源としては、限定されないが、塩酸、塩化水素ガスまたはその混合物が挙げられ、適当な溶媒は、水、アルコール、エステル、芳香族炭化水素、エーテルなどから選択される。好ましくは、塩化水素源としては、メタノール性塩酸塩、酢酸エチル塩酸塩、トルエン塩酸塩、塩酸水などが挙げられる。塩酸塩の調製のための溶媒は、エーテル(イソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテルなど)など、またはその混合物から選択され得る。塩酸シナカルセトは反応混合物から、適当な手法、例えば、蒸留、エバポレーション、適当な溶媒での抽出などによって単離される。好ましくは、塩酸シナカルセトは、反応液から溶媒の除去によって単離される。
【0158】
本発明の方法によって得られる塩酸シナカルセトは、高度の化学的純度および光学純度(HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による)を有するものである。一態様において、本発明は、97%面積(HPLCによる)より低くない、好ましくは、99%面積(HPLCによる)より低くない、より好ましくは、99.5%面積(HPLCによる)より低くない純度を有し、含まれる(contains)全不純物(同定されたものおよび同定されていないものなど)の量が約0.5%未満であるか、または個々の不純物が約0.15重量%未満である、より好ましくは不純物を含まない塩酸シナカルセトを提供する。
【0159】
出発物質の式IIの化合物は、先行技術において公知の方法(EP 0194764 A1に報告された方法など)または本明細書に記載の本発明の方法によって調製され得る。
【0160】
別の態様によれば、本発明は、式VI
【0161】
【化34】

式VI
(式中、R、R、RおよびRは、上記に規定のとおりであり、Rは、水素、アルキル(例えば、メチル、エチルなど)または任意の適当な活性化基から選択され得る)の化合物を、還元剤の存在下で還元することによる、式IIの化合物の調製のための新規な方法を提供する。
【0162】
式VIの化合物の異型の一例において、R、R、RおよびRはすべて水素であり、したがって、式VIの化合物は、構造Via
【0163】
【化35】

式VIa
(式中、Rは、上記に規定のとおりである)
を有する。
【0164】
式VIの化合物の別の異型では、RとRが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成しており(ただし、RとRは水素である)、したがって、式VIの化合物は、構造Vib
【0165】
【化36】

式VIb
(式中、Rは、上記に規定のとおりである)
を有する。
【0166】
式VIの化合物の異型の一例では、R、R、RおよびRがすべて一緒になって三重結合を形成しており、したがって、式VIの化合物は、構造Vic
【0167】
【化37】

式VIc
(式中、Rは、上記に規定のとおりである)
を有する。
【0168】
本発明の一態様によれば、本発明は、VIの化合物の還元による式IIaの化合物の調製方法を提供する。
【0169】
具体的には、式VIの化合物は式IIaの化合物に還元され得る。還元は、接触水素化(金属触媒上での水素)によって行なわれ得る。金属触媒としては、限定されないが、遷移金属、遷移金属担持支持体(この場合、支持体は炭素もしくは硫酸バリウムであり得る)、遷移金属の有機金属化合物(均一系触媒)、または他の遷移金属誘導体もしくは二酸化白金などが挙げられる。遷移金属としては、限定されないが、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムまたはニッケルなどが挙げられる。反応に使用される水素圧は1〜5気圧であり得る。水素化は、反応が完結するまで、好ましくは1〜24時間行なう。還元剤としては、限定されないが、ボラン錯体(例えば、ボラン−テトラヒドロフラン、ボラン−ジメチルスルフィド、ボランアミン、ボランルイス塩基、ボラン−トリフェニルホスフィンなど);ヒドリド移動試薬が挙げられる。還元剤MBRHまたはMAlRH(式中、MおよびRは、上記に規定のとおりである)は、助触媒(限定されないが、コバルトまたはニッケルの誘導体および配位子(例えば、ジメチルグリオキシムなど)を有するもの、または有しないものが挙げられる)とともに、またはなしで使用され得る。
【0170】
あるいは、Richard C.Larockによるcomprehensive organic transformationに記載された他の適切な環元試薬が使用され得る。還元反応のための適当な溶媒は、反応条件および還元剤の性質に応じて選択され得る。好適な溶媒としては、限定されないが、C1〜5アルコール、C5〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素、C3〜8エステル、C2〜8エーテル、水など、またはその混合物が挙げられる。
【0171】
別の態様によれば、本発明は、VIの化合物の還元による、式IIbの化合物の調製のための新規な方法を提供する。
【0172】
具体的には、式IIbの化合物は、式VIcの化合物の還元によって、あるいはまた、式VIbの化合物の選択的還元によって調製される。還元反応は、還元について上記の還元剤および溶媒を使用することにより行なわれ得る。
【0173】
別の態様によれば、本発明は、VIcの化合物の還元による、式IIcの化合物の調製のための新規な方法を提供する。
【0174】
別の態様によれば、本発明は、式IIaまたはIIbの化合物の別の調製方法を提供する。
【0175】
式IIaの化合物は、適当な還元剤での式IIbまたはIIcの化合物の還元によって調製され得る。同様に、式IIbの化合物は、適当な還元剤での式IIcの化合物の選択的還元によって調製され得る。還元剤は、Richard C.Larockによるcomprehensive organic transformationに記載されたもの、または上記のものから選択され得る。
【0176】
同様に、出発式IVの化合物は、先行技術において公知の方法によって調製され得る。具体的には、出発物質の式IVの化合物は、1−ナフタレン−1−イル−エチルアミンおよびその異性体へのアミン保護基の導入によって調製され得る。1−ナフタレン−1−イル−エチルアミンおよびその異性体に対する保護基は、保護および縮合に適しており、かつ適切な脱保護剤を使用する後の段階で除去され得る任意の適切な試薬を用いて導入され得る。アミンに対する適切な試薬および適切な脱保護剤は、当業者により「Protecting Groups by Philip J.Kocienski(Thieme,2000)」または「Protective Groups in Organic Synthesis by Theodora W.Greene,Peter G.M.Wuts」から認識され得るもの、あるいは文献から入手可能なもの、および文献に十分記載されたものである。好適な保護基としては、限定されないが、芳香族または脂肪族スルファニルハロゲン化物、アリール、置換アリール、アルコキシカルボニル、置換アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、置換アリールオキシカルボニル、ケイ素誘導体など(ここで、置換基は、ハロゲン、アルキルなどから選択され得る)が挙げられる。好ましくは、保護基は、カルボベンジルオキシ、p−メトキシベンジルカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシフェニル、tert−ブチルジメチルシリル;例えば、p−ニトロベンゼンスルホニル、メタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル基などの他のスルホニルから選択される。好適な溶媒としては、限定されないが、ハロゲン化炭化水素、C3〜8ケトン、C5〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素、C3〜8エステル、C2〜8エーテル、水、C2〜5ニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなど、またはその混合物が挙げられる。好適な塩基は、有機または無機塩基から選択され得る。有機塩基としては、限定されないが、第3級アミン;RMまたはRMgX(式中、Rは、アルキルもしくはアリールであり得、Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属であり得る);あるいは、アルカリまたはアルカリ土類金属のアルコキシドが挙げられる。無機塩基としては、限定されないが、
アルカリまたはアルカリ土類金属の水素化物または水酸化物または炭酸塩または重炭酸塩;あるいはMNHまたはMNSiR(式中、MおよびRは、上記に規定のとおりである);あるいは添加剤を含む、または含まない有機金属塩基が挙げられる。任意選択で、相間移動触媒が反応混合物に添加され得る。相間移動触媒は、上記に列挙したものから選択され得る。相間移動触媒は、約0.05〜約1.0モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量の量で存在させ得る。
【0177】
具体的には、式IV−1の化合物は、1−ナフタレン−1−イル−エチルアミンまたはその異性体を、p−ニトロベンゼンスルホニル基を含む適当な試薬と、適当な塩基を用いて相間移動触媒とともに、またはなしで、反応の完結に十分な温度で反応させることにより調製され得る。好適な試薬は、p−ニトロベンゼンスルホニルハロゲン化物(haide)、無水物または無水物の混合から選択され得、好ましくは、反応は、ハロゲン化p−ニトロベンゼンスルホニルを用いて行なう。反応は、一般的に数分間から数時間、好ましくは5時間、より好ましくは反応が完結するまで行なう。反応は溶媒の存在下で行ない、溶媒としては、水、ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど);エーテル(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、イソプロピルエーテルなど);トルエン、アセトニトリルなど、またはその混合物が挙げられる。反応に使用される塩基および相間移動触媒は、上記のものである。
【0178】
また、具体的には、式IV−2の化合物は、1−ナフタレン−1−イル−エチルアミンまたはその異性体を、tert−ブチルオキシカルボニル基を含む適当な試薬と、適当な塩基を用いて相間移動触媒とともに、またはなしで、反応の完結に十分な温度で反応させることにより調製され得る。好適な試薬は、重炭酸ジターシャリーブチルおよびtert−ブチルオキシカルボニル基などを導入することができる任意の他のものから選択され得る。水素化反応は、一般的に、数分間から数時間、好ましくは反応が完結するまで行なう。反応は、好ましくは溶媒の存在下で行ない、溶媒としては、水、エーテル溶媒(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなど);エーテル(イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなど);ハロゲン化物溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど)など、またはその混合物が挙げられる。反応に使用される塩基および相間移動触媒は、上記のものである。
【0179】
本発明の中間体は、単離してもよく、単離せずにそのまま、あるいは、任意選択で、先行技術において公知の適当な手法(例えば、エバポレーション、濾過または洗浄など)によって反応混合物から回収し、次の工程で使用してもよい。本発明における本明細書に記載の最終化合物および中間体の単離および精製は、所望により、任意の適当な分離または精製手順、例えば、濾過、抽出、晶出、誘導体化、スラリー洗浄、塩の調製など、またはこれらの手順の組合せによって行なわれ得る。しかしながら、もちろん、酸−塩基処理などの他の同等の手順も使用され得る。好ましくは、中間体は、なんら精製せずに直接、次の段階で使用する。
【0180】
プロセスの任意の段階で反応体を合わせる順序および様式は、重要ではなく、種々であり得る。反応体は、固体として反応混合物に添加してもよく、個々に溶解させて溶液として合わせてもよい。さらに、任意の反応体を一緒に溶解させて亜群とし、該亜群の溶液を任意の順で合わせてもよい。必要とされる場合はいつでも、反応の進行を、適当なクロマトグラフィー手法(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)など)によってモニタリングする。
【0181】
本明細書で用いる場合、用語「慣用的な方法」は、反応の性質、反応生成物の性質、反応媒体などに応じて異なり得、適当な慣用的な方法は、限定されないが、溶媒の蒸留、反応混合物への水の添加後、水不混和性溶媒での抽出、濾過または遠心分離またはデカンテーションによる反応混合物からの不溶性粒子の除去(存在する場合)、水不混和性有機溶媒の添加、反応混合物への溶媒の添加による生成物の析出、適当な酸または塩基(いずれか適用可能な方)での反応混合物の中和から選択され得る。
【0182】
本発明における本明細書に記載の中間体は、その塩、水和物、溶媒和物、ラセミ化合物、エナンチオマー、多形などを包含する。
【0183】
本発明の大きな利点は、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の新規で効率的で産業上好都合な調製方法が提供されることである。さらに、本発明はまた、シナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の化学合成において効率的に使用され得る新規な窒素保護型中間体を提供する。本発明の別の利点は、塩酸シナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物の単離にあり、置換カルバミン酸塩不純物が0.15%未満であるか、または好ましくは置換カルバミン酸塩不純物を含まない式Iの塩酸シナカルセトが提供されることである。
【0184】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲を限定するものである解釈されるべきでない。
【実施例1】
【0185】
実施例1:3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オールの調製
方法A:3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸(5g,0.023mol)のテトラヒドロフラン(25ml)溶液に、ボラン−ジメチルスルフィド(1.74g,0.023mol)を添加し、2時間還流した。反応混合物を冷却し、メタノール(10ml)を5〜10℃で添加した。溶媒を留去した後、イソプロピルエーテル(25ml)と5N塩酸(20ml)を添加した。反応混合物を45〜50℃で2時間加熱し、次いで25〜30℃まで冷却した。層を分離し、有機層を水で洗浄し、乾燥させ、エバポレートし、4.11gの標題化合物を得た。
【0186】
方法B:3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸(300g,1.375mol)のトルエン(1.5L)溶液を1時間共沸させ、40〜45℃まで冷却した。その後、ボラン−ジメチルスルフィド(126.52g,1.67mol)を添加し、反応混合物を85℃で3〜4時間加熱し、0〜5℃まで冷却した。反応混合物をメタノール(900ml)でクエンチし、0〜5℃で1時間攪拌した。溶媒を真空下、50〜55℃で留去した。得られた残渣をトルエン(900ml)に溶解させ、水(600ml)で洗浄した。トルエンを真空下、60〜65℃で留去し、97%の純度を有する(HPLCによる)274.38gの標題化合物を得た。
【実施例2】
【0187】
実施例2:トルエン−4−スルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステルの調製
塩化p−トルエンスルホニル(11.21g,0.0588mol)を、3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オール(10g,0.049mol)、トリエチルアミン(9.0ml,0.06468mol)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.66g,0.0054mol)のジクロロメタン(50ml)溶液に、25〜30℃で添加した。反応混合物を35〜40℃の温度で15時間攪拌した。その後、層を分離し、ジクロロメタン層を水(2×20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を留去し、15gの標題化合物を得た。
【実施例3】
【0188】
実施例3:トルエン−4−スルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステルの調製
塩化p−トルエンスルホニル(360g,1.89mol)のジクロロメタン(1.0L)攪拌溶液に、トリエチルアミン(243g,2.4mol)と4−N,N−ジメチルアミノピリジン(21g,0.17mol)を添加した。その後、反応混合物を0〜−5℃まで冷却した後、3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オール(350g,1.714mol)を添加し、0〜10℃の温度に3時間維持した。水(1.05L)を反応混合物に添加し、15分間攪拌した。層を分離し、逐次、炭酸ナトリウム(1.05L,10%)、塩酸(1.05L,1N)および水(1.05L)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
させ、真空下、25〜30℃で留去し、97.67%の純度を有する(HPLCによる)522gの標題化合物を得た。
【実施例4】
【0189】
実施例4:メタンスルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステルの調製
3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−1−オール(250g,1.224mol)とトリエチルアミン(148.52g,1.47mol)のジクロロメタン(1.25L)攪拌溶液に、塩化メタンスルホニル(161.32g,1.41mol)を25℃〜40℃で添加し、反応混合物を40℃で2〜3時間攪拌した。その後、反応混合物を脱塩水(500ml×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。ジクロロメタンを留去し、91.58%の純度を有する(HPLCによる)335gの標題化合物を得た。
【実施例5】
【0190】
実施例5:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
方法A:(R)−1−ナフタレン−1−イル−エチルアミン(5.0g,0.0292mol)を、重炭酸ジターシャリーブチル(10.0g,0.04582mol)と水(25ml)およびテトラヒドロフラン(0.5ml)との混合物に25〜30℃で添加し、5時間攪拌した。次いで、反応混合物をジクロロメタン(3×15ml)で抽出した。合わせた抽出物を水で洗浄し、溶媒を留去し、99.2%の純度を有する(HPLCによる)8.2gの標題化合物を得た。
【0191】
方法B:(R)−1−ナフタレン−1−イル−エチルアミン(150g,0.876mol)のジクロロメタン(750ml)溶液に、重炭酸ジターシャリーブチル(210.3g,0.964mol)を周囲温度で添加し、2時間攪拌した。ジクロロメタンを留去した後、n−ヘプタン(150ml)を添加し、次いでn−ヘプタンを留去した。得られた残渣に、再度n−ヘプタン(900ml)を添加し、攪拌した。得られた生成物を濾過し、45〜50℃で真空乾燥させ、99.8%の純度を有する(HPLCによる)223gの標題化合物を得た。
【実施例6】
【0192】
実施例6:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
方法A:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.5g,5.528mmol)を、水素化ナトリウム(鉱油中50%の懸濁液,0.402g,0.0084mol)とジメチルスルホキシド(10ml)の混合物に添加し、50〜55℃で30分間攪拌した後、トルエン−4−スルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(2.0g,5.58mmol)のジメチルスルホキシド(1ml)溶液を添加した。反応混合物を50〜55℃で1時間加熱した。その後、反応混合物を5℃まで冷却し、氷水(20ml)でクエンチし、イソプロピルエーテル(3×25ml)で抽出した。合わせたイソプロピルエーテル層を水(2×20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を留去し、1.9gの標題化合物を得た。
【0193】
方法B:メタンスルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(7.28g,1.4当量)、(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.0g)および水酸化ナトリウム(2.95g)をジメチルスルホキシド(25ml)中に入れ、反応混合物を25〜30℃で20時間攪拌した。水(50ml)を反応混合物に添加し、トルエンで抽出した。トルエン層を分離し、留去し、置換カルバミン酸塩不純物を11.62%有する(HPLCによる)8.4gの標題化合物を得た。
【0194】
方法C:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(210g,0.774mol)を、水酸化ナトリウム(124g,3.1mol)のジメチルスルホキシド(1.05L)攪拌懸濁液に15〜20℃で添加し、30分間攪拌した。その後、メタンスルホン酸−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(284g,1.006mol)を反応混合物に、20〜25℃で添加し、25〜30℃で20時間攪拌した。反応混合物を10〜15℃まで冷却した後、冷水(2.1L)を添加した。反応混合物をトルエン(1.0L×2)で抽出し、合わせたトルエン抽出物をブライン(420ml×1)で洗浄した。次いで、溶媒を真空下、50〜60℃で留去し、83.59%の純度を有する(HPLCによる)374gの標題化合物を得た。
【0195】
方法D:メタンスルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(284g,1.3当量)、(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(210g)および水酸化ナトリウム(124g)を、ジメチルスルホキシド(1.05L)中に入れ、反応混合物を25〜30℃で20時間攪拌した。水(2.1L)を反応混合物に添加し、反応混合物をトルエンで抽出した。トルエン層を分離し、留去し、置換カルバミン酸塩不純物を5.14%有する(HPLCによる)350gの標題化合物を得た。
【実施例7】
【0196】
実施例7:塩酸シナカルセトの調製
方法A:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1g)を5N塩酸(15ml)に添加し、反応混合物を80〜85℃で6時間、次いで25〜30℃で1時間加熱した。イソプロピルエーテル(5ml)を反応混合物に添加し、5分間攪拌した。反応混合物を濾過し、水(2ml)、次いでイソプロピルエーテル(2ml)で洗浄し、乾燥させ、99.52%の純度を有する(HPLCによる)0.4gの標題化合物を得た。
【0197】
方法B:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(10g,置換カルバミン酸塩不純物を7.8%有する(HPLCによる))のトルエン(50ml)溶液に、濃塩酸(30%,50ml)を添加し、2時間還流した。反応混合物を40℃にて、水(1.05L×3)で洗浄した。溶媒を留去し、86.46%の純度(HPLCによる)を有し、置換カルバミン酸塩不純物を5.7%有する(HPLCによる)8.0gの標題化合物を得た。
【0198】
方法C:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(350g,置換カルバミン酸塩不純物を5.14%有する(HPLCによる))に、酢酸エチル塩酸塩(12%,2.33L)を添加し、4時間攪拌した。反応混合物を40℃にて水(1.05L×3)で洗浄した。溶媒を留去し、87.24%の純度(HPLCによる)を有し、置換カルバミン酸塩不純物を2.82%有する(HPLCによる)280gの標題化合物を得た。
【0199】
方法D:(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(374g,0.817モル)に、酢酸エチル−HCl(12%,2.33L)を20〜25℃で、2〜4時間の所要時間で添加した。次いで、反応混合物を0〜5℃まで冷却した後、冷水(1.1L×3)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、真空下(150mm/Hg)、50〜55℃で蒸留によって酢酸エチルを除去した。得られた生成物を酢酸エチル:イソプロピルエーテル(1:9,1.75L)中で1時間攪拌し、濾過し、50℃で真空乾燥させ、99.81%の純度を有する(HPLCによる)227gの標題化合物を得た。
【実施例8】
【0200】
実施例8:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドの調製
方法A:(R)−1−ナフタレン−1−イル−エチルアミン(100g,0.583mol)トリエチルアミン(97.64ml,OJOlmol)と4−N,N−ジメチルアミノピリジン(7.13g lOmol%)のジクロロメタン(500ml)攪拌溶液に、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル(129.42g,0.584mol)を25〜30℃で添加し、6〜8時間攪拌した。反応混合物を、塩酸水(150ml×2)、脱塩水(300ml×2)で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。ジクロロメタンを留去し、200gの標題化合物を得、これを、さらに80〜85℃でイソプロパノール(1.0L)に溶解させ、室温で3時間攪拌し、濾過し、真空乾燥させ、85.40%の純度を有する(HPLCによる)167gの標題の生成物を得た。
【0201】
方法B:(R)−1−ナフタレン−1−イル−エチルアミン(200g,1.17mol)のジクロロメタン(1.5L)溶液を、炭酸ナトリウム(371.4g,3.5mol)、水(2.0L)およびトリエチルベンジルアンモニウムクロライド(26.6g,0.117mol)攪拌溶液に25〜35℃で添加した。その後、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル(310.6g,1.40mol)およびジクロロメタン(500ml)を反応混合物に添加した後、38〜40℃で4時間攪拌した。層を分離し、炭酸ナトリウム(1.0L,10%)、5N塩酸(1.0L)および水(1.0L)で連続的に洗浄した。有機層を留去した。得られた残渣にn−ヘプタン(1.6L)を添加し、攪拌し、濾過し、真空乾燥させ、88.14%の純度を有する(HPLCによる)413gの標題の生成物を得た。
【実施例9】
【0202】
実施例9:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドの精製
(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(400g,88.14%の純度を有する(HPLCによる))を、エタノール(800ml)に85〜90℃で溶解させ、25〜30℃で3時間攪拌した。得られた生成物を濾過し、真空乾燥させ、89.14%の純度を有する(HPLCによる)330gの純粋な標題化合物を得た。
【実施例10】
【0203】
実施例10:(R)−4−ニトロ−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−N−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミドの調製
方法A:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(5g,)を、炭酸カリウム(5.8g)とトルエン(50ml)の攪拌懸濁液に添加した。反応混合物を周囲温度で1時間攪拌した。その後、トルエン−4−スルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(10.05g)を反応混合物に添加し、85〜90℃で10〜15時間加熱した。次いで、反応混合物を25℃まで冷却し、脱塩水(30ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を留去し、得られた残渣にn−ヘプタン(50ml)を添加した。反応混合物を2時間攪拌し、濾過し、真空乾燥させ、93%の純度を有する(HPLCによる)6.5gの標題化合物を得た。
【0204】
方法B:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(10.0g,0.028mol)を、炭酸カリウム(11.62g,0.08mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド(0.63g,10mol%)およびメチルイソブチルケトン(100ml)の攪拌懸濁液に添加し、周囲温度で1時間攪拌した。その後、トルエン−4−スルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(15.1g,0.042mol)を反応混合物に添加し、85〜90℃で15時間加熱した。次いで、反応混合物を25℃まで冷却し、脱塩水(30ml×2)、塩酸水(30ml,1%)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を留去し、得られた残渣にn−ヘプタン(50ml)を添加した。反応混合物を2時間攪拌し、真空下で濾過し、真空乾燥させ、95%の純度を有する(HPLCによる)14.5gの標題化合物を得た。
【0205】
方法C:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(320g,0.9mol)を、炭酸カリウム(434.15g,3.14mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド(20.47g,10mol%)およびトルエン(2.5L)の攪拌懸濁液に添加し、25〜30℃で1時間攪拌した。その後、トルエン−4−スルホン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(483g,1.35mol)を含むトルエン(700ml)を反応混合物に添加し、65〜70℃で15時間加熱した。次いで、反応混合物を25℃まで冷却した。水(3.2L)を反応混合物に添加し、攪拌し、濾過した。有機層を分離し、逐次、水(3.2L)、塩酸(1%,960ml)および再度水(960ml×2)で洗浄した。溶媒を真空下(150mm/Hg)、65〜70℃で留去した。得られた残渣にn−ヘプタン(320ml)を添加し、3時間攪拌し、濾過し、乾燥させ、94%の純度を有する(HPLCによる)470gの標題化合物を得た。
【実施例11】
【0206】
実施例11:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−N−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミドの精製
方法A:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−N−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド(0.5g)のジクロロメタン(5ml)攪拌溶液に、硝酸銀(3mg)を添加し、混合物を24時間攪拌した。脱塩水(5ml)を反応混合物に添加し、層を分離した。有機層を脱塩水(5ml×2)で洗浄した。溶媒を留去した。得られた生成物をイソプロパノール(2ml)で晶出させ、99.28%の純度を有する(HPLCによる)0.3gの標題化合物を得た。
【0207】
方法B:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−N−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド(12g,95%の純度を有する)を、イソプロパノール(70ml)に85〜90℃で溶解させた。混合物を周囲温度まで冷却し、濾過し、45〜50℃で真空乾燥させ、98.75%の純度を有する(HPLCによる)10.6gの標題化合物を得た。
【0208】
方法C:(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−N−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド(440g,94%の純度を有する)とジクロロメタンおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(9.23g,0.041mol)の攪拌溶液に、過マンガン酸カリウム(8.25g,0.0522mol)の水(1.64L)溶液を25〜30℃で添加した。反応混合物を25〜30℃で24時間攪拌し、hyflo床に通して濾過した。このジクロロメタン溶液を水(1.0L×2)で洗浄し、活性炭(44g)で1時間処理し、濾過した。ジクロロメタンを真空下、30〜40℃で留去し、標題化合物を得た。得られた生成物を、85〜90℃でイソプロパノール(1.32L)に溶解させた。反応混合物を25〜30℃まで冷却し、濾過し、40〜45℃で真空乾燥させ、99.53%の純度を有する(HPLCによる)337gの標題化合物を結晶性固形物として得た。
【実施例12】
【0209】
実施例12:シナカルセトの遊離塩基の調製
チオフェノール(3.4ml)、炭酸カリウム(8g)、アセトニトリル(50ml)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.37g)の懸濁液を周囲温度で1時間攪拌した。その後、N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−N−[3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド(9g)を反応混合物に添加し、60〜70℃で5〜8時間加熱した。溶媒を留去した。得られた残渣に、水(27ml)とトルエン(45ml)を添加し、攪拌した。層を分離し、トルエンを留去し、標題化合物を得た。
【実施例13】
【0210】
実施例13:シナカルセトの精製
シナカルセト(4.2g,85.0%の純度を有する(HPLCによる))のn−ヘプタン(10ml)溶液に、シリカゲル(8.4g)を添加し、溶媒を留去した。n−ヘプタン(40ml)を上記の残渣に添加し、30分間攪拌した。混合物を濾過し、溶媒を留去し、97.50%の純度を有する(HPLCによる)2.52gの標題化合物を得た。
【実施例14】
【0211】
実施例14:塩酸シナカルセトの調製
(R)−N−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−4−ニトロ−N−[3−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロピル]ベンゼンスルホンアミド(300g,0.553mol)を、炭酸カリウム(228.78g,1.655mol)、チオフェノール(91.4g,0.83mol)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(12.58g,0.055mol)のジメチルスルホキシド(900ml)攪拌懸濁液に25〜35℃で入れ、25〜35℃で24時間攪拌した。水(1.8L)およびイソプロピルエーテル(1.5L)を反応混合物に添加し、さらに攪拌した。層を分離し、有機層を水(600ml×2)で洗浄した。溶媒を留去した。得られた残渣に、酢酸エチル塩酸塩(9%,246ml)を0〜5℃で添加した後、20〜25℃で2時間攪拌した。その後、トルエン(3L)と水(1L)を混合物に添加し、攪拌した。層を分離し、有機層を真空下、60〜65℃で留去した。イソプロピルエーテル(2.4L)を上記の残渣に添加し、さらに24時間還流した。次いで、反応混合物を周囲温度まで冷却し、濾過し、乾燥させ、99.43%の純度を有する(HPLCによる)180gの標題化合物を得た。
【実施例15】
【0212】
実施例15:塩酸シナカルセトの精製
方法A:塩酸シナカルセト(2.5g,97.5%の純度を有する(HPLCによる))を、ジイソプロピルエーテル:酢酸エチル混合物(12ml,9:1)で処理した。混合物を攪拌し、濾過し、99.7%の純度を有する(HPLCによる)2.0gの標題化合物を得た。
【0213】
方法B:塩酸シナカルセト(3.5g,99.0%の純度を有する(HPLCによる))を、ジイソプロピルエーテル:酢酸エチル混合物(1:1)中で1時間攪拌し、濾過し、99.8%の純度を有する(HPLCによる)3gの標題化合物を得た。
【0214】
方法C:塩酸シナカルセト(180g,99.43%の純度を有する))を含むイソプロピルエーテル(1.44L)5時間還流した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、濾過し、乾燥させ、99.72%の純度を有する(HPLCによる)177gの標題化合物を得た。
【0215】
方法D:塩酸シナカルセト(200g,99.64%の純度を有する)を、酢酸エチル:イソプロピルエーテル(1:1、1.05L)中で、周囲温度にて2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、50℃で真空乾燥させ、99.81%の純度を有する(HPLCによる)190gの標題化合物を得た。
【実施例16】
【0216】
実施例16:塩酸シナカルセトの精製
方法A:塩酸シナカルセト(実施例7,方法Bで調製したもの)を、ジイソプロピルエーテル−酢酸エチル混合物(9:1)中で1時間攪拌し、濾過し、99.77%の純度を有し、置換カルバミン酸塩不純物が0.07%である(HPLCによる)5gの標題化合物を得た。
【0217】
得られた生成物を、ジイソプロピルエーテル−酢酸エチル混合物(1:1)中で1時間、さらに攪拌し、濾過し、99.81%の純度を有し、置換カルバミン酸塩不純物は検出されなかった(HPLCによる)3.5gの標題化合物を得た。
【0218】
方法B:塩酸シナカルセト(実施例7,方法Cで調製したもの)を、ジイソプロピルエーテル−酢酸エチル混合物(9:1)中で1時間攪拌し、濾過し、99.7%の純度を有し、置換カルバミン酸塩不純物が0.03%である(HPLCによる)210gの標題化合物を得た。
【実施例17】
【0219】
実施例17:塩酸シナカルセトの精製
方法A:塩酸シナカルセト(5g,純度96.5%,R−NEAを2.9%を有する(HPLCによる))を、トルエン(25ml)に溶解させ、塩酸水(15ml)で洗浄した後、40℃の温度にて水(15ml×2)で洗浄した。トルエンを留去した後、ジイソプロピルエーテル:酢酸エチル混合物(9:1)を添加した。混合物を攪拌し、濾過し、99%の純度を有し、R−NEAが0.03%である(HPLCによる)4.5gの標題化合物を得た。
【0220】
方法B:塩酸シナカルセト(5g,純度97.5%,R−NEAを2.0%を有する(HPLCによる))を、トルエン(25ml)に溶解させ、40℃の温度にて水(15ml×2)で洗浄した。トルエンを留去した後、ジイソプロピルエーテル:酢酸エチル混合物(9:1)を添加した。混合物を攪拌し、濾過し、99.6%の純度を有し、R−NEAが0.02%である(HPLCによる)4.5gの標題化合物を得た。
【実施例18】
【0221】
実施例18:塩酸シナカルセトの精製
塩酸シナカルセト(5g,98.0%の純度を有する(HPLCによる))のイソプロピルエーテル(25ml)溶液に、10%炭酸ナトリウム水溶液(40ml)を添加し、1時間攪拌した。有機層を分離し、水(10ml×2)で洗浄した。溶媒を留去し、4.2gのシナカルセトを得た。上記で調製したシナカルセト(2.52g)のテトラヒドロフラン(13ml)溶液に、窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(54mg)を0〜−5℃で添加し、30分間攪拌した。酢酸エチル(3ml)とメタノール(3ml)を反応混合物に添加し、30分間攪拌した。反応混合物をセライト上で濾過し、溶媒を留去した。イソプロピルエーテル(10ml)と5N塩酸(4ml)を上記の残渣に添加した。反応混合物を30分間攪拌し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、98.59%の純度を有する(HPLCによる)2.5gの標題化合物を得た。得られた生成物(2.0g,98.59%の純度を有する)を、ジイソプロピルエーテル:酢酸エチル(10ml,9:1)中で攪拌した。混合物を濾過し、99.8%の純度を有する(HPLCによる)1.7gの標題化合物を得た。
【実施例19】
【0222】
実施例19:塩酸シナカルセトの精製
塩酸シナカルセト(250g,99.3%の純度を有する(HPLCによる))のイソプロピルエーテル(1.25L)溶液に、25℃で、15%炭酸ナトリウム水溶液を添加し、2.0時間攪拌した。有機層を水(250ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を留去した後、テトラヒドロフラン(1.1L)を添加し、0℃まで冷却した。水素化アルミニウムリチウム(4.67g)を反応混合物に添加し、0℃で2時間攪拌した後、酢酸エチル(100ml)とメタノール(100ml)を0℃で添加した。攪拌を30分間継続し、反応内容物をhyflo床に通して濾過し、メタノールで洗浄した後、溶媒を蒸留した。イソプロピルエーテル(1.1L)と5N塩酸(1.1L)を添加し、20〜25℃で1.0時間攪拌した。固形物を濾過し、水(220ml)で洗浄し、乾燥させた。湿潤ケークをジクロロメタン(1.1L)に溶解させ、水層を廃棄した。活性炭(12g)をジクロロメタン層に添加し、40℃で30分間攪拌した。このジクロロメタン溶液をhyflo床に通して濾過し、真空蒸留した。アセトニトリル(1.1l)を添加し、完全に溶解するまで90℃に加熱した後、20〜25℃で3時間攪拌した。生成物を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、吸引乾燥させた。生成物を、真空にて45〜50℃でさらに乾燥させ、99.6%の純度を有する(HPLCによる)216gの標題化合物を得た。
【実施例20】
【0223】
実施例20:置換カルバミン酸塩不純物の調製
(R)−(1−ナフタレン−1−イル−エチル)−カルバミン酸3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(2g)、ジメチルスルホキシド(10ml)および水酸化ナトリウム(0.6g)の溶液に、25〜30℃で、メタンスルホン酸−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル(2.8g)を添加し、20時間攪拌した。水(50ml)を反応混合物に添加し、トルエン(20ml×3)で抽出した。トルエン層を分離し、留去し、44.18%の純度を有する(HPLCによる)4gの標題化合物を得た。生成物を、カラムクロマトグラフィーによってさらに精製し、純度92.75%(HPLCによる)の標題化合物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式I
のシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法であって、
(a)式II
【化2】

式II
(式中、R、R、RおよびRは水素であるか、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、R、RおよびRすべてが一緒に結合して三重結合を形成している)
の化合物(異性体またはその混合物を含む)を準備する工程;
(b)活性化剤と溶媒の存在下での反応によって、式IIの化合物のヒドロキシル基を良好な脱離基に変換させ、式III
【化3】

式III
(式中、R、R、RおよびRは、上記に規定のとおりであり、Xは良好な脱離基である)
の化合物(異性体またはその混合物を含む)を得る工程;
(c)式IIIの化合物を式IV
【化4】

式IV
(式中、Zは、アミン保護基であり、アリル;置換アリル;線状、分枝または環状C1〜8アルキル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキル;線状、分枝または環状C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状C1〜8アルキニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキニル;−CN;-SOR”;−COOR”(式中、R”は、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり得る);−CONR’’’R’’’(式中、R’’’およびR’’’’は、同じであっても、異なっていてもよく、個々に、アルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリールから選択され得る);などから選択され得;上記の基はすべて、炭素が、アルキル、アルコキシまたはアリールなどから選択される基で置換されていてもよい)
の化合物と、適当な塩基の存在下で縮合させ、式V
【化5】

式V
(式中、R、R、R、RおよびZは、上記に規定のとおりである)
の化合物を調製する工程;ならびに
(d)式Vの化合物を、式Iのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩に変換させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程b)において、活性化剤が、ハロゲン化チオニル、ハロゲン化脂肪族または芳香族スルホニル、ハロゲン化リン、オキシハロゲン化リンなど、好ましくは、臭化チオニル、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化4−ニトロベンゼンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、三臭化リンなどから選択され、溶媒として、水、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化物溶媒;イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなどのC2〜8エーテル;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのC3〜8芳香族および脂肪族炭化水素;アセトニトリルなどのC2〜5ニトリル;アセトン、エチルメチルケトン;メチルイソブチルケトンなどのC3〜8ケトン;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド溶媒;など、またはその混合物が挙げられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程b)が、さらに、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリドンなどの有機塩基、またはアルカリもしくはアルカリ土類(alkaline)金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの(such)無機塩基など、またはその組合せ、好ましくは、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウムなど、またはその組合せから選択される塩基の存在下で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程c)において、塩基は、有機塩基および無機塩基を包含し、第3級アミン;RMまたはRMgX(式中、Rは、アルキルもしくはアリールであり得、Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属であり得る);あるいは、アルカリまたはアルカリ土類金属のアルコキシド;アルカリまたはアルカリ土類金属の水素化物または水酸化物または炭酸塩または重炭酸塩;あるいはMNHまたはMNSiR(式中、Mはアルカリ金属であり得、Rは、C1〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素などであり得る);あるいは添加剤を含む、または含まない有機金属塩基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程c)が相間移動触媒の存在下で行なわれ、該触媒として、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物もしくは合成樹脂、テトラブチルアンモニウムブロミドもしくはクロリド;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド;水酸化テトラブチルアンモニウム;トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、ラウリル硫酸ナトリウムなどのドデシル硫酸ナトリウム塩;硫酸水素テトラブチルアンモニウム;臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたは樹脂アンバーライトIRA−410などが挙げられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
、R、RおよびRが水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
、R、RおよびRすべてが一緒に結合して三重結合を形成している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
a).式IIa
【化6】

式IIa
の化合物(異性体またはその混合物を含む)を準備する工程;
b).式IIaの化合物のヒドロキシル基を良好な脱離基に、活性化剤と溶媒の存在下での反応によって変換させ、式IIIa
【化7】

式IIIa
(式中、Xは、良好な脱離基である)
の化合物(異性体またはその混合物を含む)を得る工程;
c).式IIIaの化合物を、式IV
【化8】

式IV
(式中、Zは、アミン保護基であり、アリル;置換アリル;線状、分枝または環状C1〜8アルキル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキル;線状、分枝または環状C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状C1〜8アルキニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキニル;−CN;-SOR”;−COOR”(式中、R”は、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり得る);−CONR’’’R’’’(式中、R’’’およびR’’’’は、同じであっても、異なっていてもよく、個々に、アルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリールから選択され得る);などから選択され得;上記の基はすべて、炭素が、アルキル、アルコキシまたはアリールなどから選択される基で置換されていてもよい)
の化合物と、適当な塩基の存在下で縮合させ、式Va
【化9】

式Va
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
の化合物を調製する工程;ならびに
d).式Vaの化合物を変換させて、式Iのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩を形成する工程
を含む、式Iのシナカルセトおよびその薬学的に許容され得る塩の調製方法。
【請求項10】
工程b)において、活性化剤が、ハロゲン化チオニル、ハロゲン化脂肪族または芳香族スルホニル、ハロゲン化リン、オキシハロゲン化リンなど、好ましくは、臭化チオニル、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化4−ニトロベンゼンスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、三臭化リンなどから選択され、溶媒として、水、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化物溶媒;イソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなどのC2〜8エーテル;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのC3〜8芳香族および脂肪族炭化水素;アセトニトリルなどのC2〜5ニトリル;アセトン、エチルメチルケトン;メチルイソブチルケトンなどのC3〜8ケトン;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド溶媒;など、またはその混合物が挙げられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程b)は、さらに、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリドンなどの有機塩基、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの無機塩基など、またはその組合せ、好ましくは、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウムなど、またはその組合せから選択される塩基の存在下で行なわれる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
工程c)において、塩基は、有機塩基および無機塩基を包含し、第3級アミン;RMまたはRMgX(式中、Rは、アルキルもしくはアリールであり得、Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属であり得る);あるいは、アルカリまたはアルカリ土類金属のアルコキシド;アルカリまたはアルカリ土類金属の水素化物または水酸化物または炭酸塩または重炭酸塩;あるいはMNHまたはMNSiR(式中、Mはアルカリ金属であり得、Rは、C1〜8脂肪族もしくは芳香族炭化水素などであり得る);あるいは添加剤を含む、または含まない有機金属塩基から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
工程c)が相間移動触媒の存在下で行なわれ、該触媒として、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドおよびブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド ホスホニウム化合物もしくは合成樹脂、テトラブチルアンモニウムブロミドもしくはクロリド;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド;水酸化テトラブチルアンモニウム;トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、ラウリル硫酸ナトリウムなどのドデシル硫酸ナトリウム塩;硫酸水素テトラブチルアンモニウム;臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドまたは樹脂アンバーライトIRA−410などが挙げられる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
工程d)において、式Vaの化合物のシナカルセトへの変換プロセスが、
a).式Vaの化合物を適当な脱保護剤と反応させる工程;
b).任意選択で、シナカルセトを反応混合物から単離する工程;および
c).これを、そのシナカルセトの薬学的に許容され得る塩に変換させる工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
工程a)で、Zがtert−ブトキシカルボニル基である場合、脱保護剤は強酸から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程a)で、Zがp−ニトロベンゼンスルホニル基である場合、脱保護剤は、置換もしくは非置換チオフェノール、またはヨウ化サマリウム、水素化トリブチルスズなどから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
式V
【化10】

式V
(式中、R、R、RおよびRは水素であるか、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、Rが一緒になって二重結合を形成している(ただし、RとRは水素である)か、またはR、R、RおよびRすべてが一緒に結合して三重結合を形成している;ならびに
Zは、アミン保護基であり、アリル;置換アリル;線状、分枝または環状C1〜8アルキル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキル;線状、分枝または環状C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルケニル;線状、分枝または環状C1〜8アルキニル;線状、分枝または環状の置換C1〜8アルキニル;−CN;-SOR”;−COOR”(式中、R”は、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり得る);−CONR’’’R’’’(式中、R’’’およびR’’’’は、同じであっても、異なっていてもよく、個々に、アルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリールから選択され得る);などから選択され得;上記の基はすべて、炭素が、アルキル、アルコキシまたはアリールなどから選択される基で置換されていてもよい)
の化合物。
【請求項18】
、R、RおよびRが水素であり、式Va
【化11】

式Va
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
の構造を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Zが、カルボベンジルオキシ、p−メトキシベンジルカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシフェニル、tert−ブチルジメチルシリル;p−ニトロベンゼンスルホニル、メタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル基などの他のスルホニルなどから選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Zが、p−ニトロベンゼンスルホニルまたはtert−ブチルオキシカルボニルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
式VII
【化12】

式VII
を有するシナカルセトの置換カルバミン酸塩不純物。
【請求項22】
単離された請求項21に記載の置換カルバミン酸塩不純物。
【請求項23】
約0.03面積パーセント〜約0.15面積パーセントの請求項21に記載の置換カルバミン酸塩不純物を有する塩酸シナカルセト。
【請求項24】
a).式IV
【化13】

式IV
(式中、Zは、一般式−COOR”(式中、R”は、直鎖または分枝C1〜8アルキル基;置換または非置換アリール基から選択される)の官能基から選択される)
の化合物を、式IIIa
【化14】

式IIIa
(式中、Xは、良好な脱離基である)
の化合物と、溶媒中、塩基の存在下で反応させ、式VIIの置換カルバミン酸塩不純物を有する式Va
【化15】

式Va
(式中、Zは、上記に規定のとおりである)
の化合物を形成する工程;
b).式Vaの化合物を、溶媒中にて塩化水素源で処理し、塩酸シナカルセトを形成する工程;
c).塩酸シナカルセトを適当な溶媒により精製する工程;および
d).式VIIの置換カルバミン酸塩不純物が0.15%未満(HPLCによる)である塩酸シナカルセトを単離する工程
を含む、式VIIの置換カルバミン酸塩不純物が0.15%未満である塩酸シナカルセトの調製方法。
【請求項25】
工程a)において、塩基として、C1〜8トリアルキルアミン、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、重炭酸塩などの有機塩基または無機塩基が挙げられ、溶媒として、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン;イソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルなどのエーテル;アセトニトリルなどのニトリル;クロロホルム;ジメチルスルホキシドなどのハロゲン化物溶媒;など、またはその混合物が挙げられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程b)において、塩化水素源として、塩酸水、塩化水素ガスまたはその混合物が挙げられ、適当な溶媒は、アルコール、エステル、エーテルなどから選択され、工程c)において、適当な溶媒として、酢酸エチルなどのエステル;ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルなどのエーテル;n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素など、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
a).溶媒中のシナカルセト溶液を準備すること;
b).該溶液にシリカゲルを添加すること;
c).この混合物から該溶媒を、蒸留またはエバポレーションによって除去すること;
d).残渣に溶媒を添加すること;
e).この混合物の溶媒を濾過すること;
f).任意選択で、工程(d)〜(e)を反復すること;および
g).純粋なシナカルセトを濾液から回収すること
を含む、シナカルセトの精製方法。
【請求項28】
工程a)およびd)において、適当な溶媒として、ヘプタン、シクロヘキサン、ヘキサン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンなどの芳香族または脂肪族炭化水素;イソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルなどのC1〜8エーテル;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化物溶媒;またはその混合物が挙げられる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
a).塩酸シナカルセトを適当な溶媒中でスラリーにすること;および
b).塩酸シナカルセトを反応混合物から単離すること
を含む、塩酸シナカルセトの精製方法。
【請求項30】
工程a)において、適当な溶媒として、酢酸エチルなどのエステル;ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル、n−ヘプタンなどの炭化水素溶媒など、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
a).溶媒中の塩酸シナカルセト溶液を準備する工程;
b).該溶液を水または適当な酸の水溶液で洗浄すること;
c).該溶媒を蒸留すること;
d).得られた残渣を適当な溶媒中でスラリーにすること;および
e).塩酸シナカルセトを反応混合物から単離すること
を含む、塩酸シナカルセトの精製方法。
【請求項32】
工程a)において、溶媒として、トルエンなどの芳香族溶媒;酢酸エチルなどのエステル;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化物溶媒;など、またはその混合物が挙げられ、工程b)において、適当な酸として、塩酸などの無機酸が挙げられ、工程d)において、適当な溶媒として、酢酸エチルなどのエステル;ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル;n−ヘプタンなどの炭化水素溶媒など、またはその任意の適当な割合での混合物が挙げられる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
a).適当な溶媒中の塩酸シナカルセト溶液を準備する工程;
b).該溶液を適当な塩基で中和すること;
c).該溶媒を該溶液から除去すること;
d).任意選択で、シナカルセトを単離すること;
e).得られた残渣に溶媒を添加すること;
f).この溶液を水素化アルミニウムリチウムで処理すること;
g).反応混合物をクエンチすること;
h).該溶媒を除去して残渣を得ること;および
i).得られた残渣を、溶媒中にて塩化水素源で処理し、塩酸シナカルセトを形成すること
を含む、塩酸シナカルセトの精製方法。
【請求項34】
工程a)において、適当な溶媒として、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族もしくは芳香族炭化水素;イソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル;酢酸エチルなどのエステル;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化物溶媒など、またはその混合物が挙げられ、工程b)において、適当な塩基が、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミンが挙げられる有機塩基;または水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムもしくはナトリウムメトキシドなどの、アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アルコキシドもしくは水素化物が挙げられる無機塩基である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
工程e)において、溶媒として、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテルなどのエーテル;トルエン、キシレンなどの脂肪族もしくは芳香族炭化水素;など、またはその混合物が挙げられ、工程g)において、クエンチが、酢酸エチルなどのエステル;メタノールなどのアルコールまたはその混合物が挙げられる溶媒を添加することにより行なわれる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
工程i)において、溶媒として、イソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテルなど、またはその混合物が挙げられ、塩化水素源としては、塩酸、塩化水素ガスまたはその混合物が挙げられ、適当な溶媒が、水、アルコール、エステル、芳香族炭化水素、メタノール性塩酸塩、酢酸エチル塩酸塩、トルエン塩酸塩、塩酸水などのエーテルなどから選択される、請求項33に記載の方法。

【公表番号】特表2012−500187(P2012−500187A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517317(P2011−517317)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000401
【国際公開番号】WO2010/004588
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(509327552)アイエヌディー−スイフト ラボラトリーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】