説明

シフト切換機構の制御装置および制御方法

【課題】車両の停車状態に応じて自動的にパーキングポジションにシフトポジションを切り換える。
【解決手段】SBW−ECUは、車両が停止中であって(S100にてYES)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であると(S102にてYES)、タイマをリセットするステップ(S104)と、予め定められた時間が経過するまでに(S106にてNO)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)よりも減少すると(S110にてNO)、タイマカウントを終了するステップ(S112)と、予め定められた時間が経過すると(S106にてYES)、Pポジション入り制御を実行するステップ(S108)とを含む、プログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト切換機構の制御に関し、特に、ブレーキペダルの踏み込み量に基づいて、自動的にシフトポジションを切り換える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転者によるシフトレバーの操作に従い自動変速機のシフトポジション(以下の説明においてはレンジともいう)をアクチュエータにより切り換えるシフト切換機構においては、シフトポジション切換用の動力源として電動機(たとえば直流モータ)を備えたものが知られている。
【0003】
このようなシフト切換機構によれば、自動変速機のシフトポジションを運転者によるシフトレバーの操作力によって直接切り換える一般的な切換機構のように、シフトレバーとシフト切換機構とを機械的に接続する必要がないことから、これら各部を車両に搭載する際のレイアウト上の制限がなく、設計の自由度を高めることができる。また、車両への組み付け作業を簡単に行なうことができるという利点があった。
【0004】
このようなシフト切換機構が搭載される車両について、たとえば、特開2004−256013号公報(特許文献1)は、ブレーキ機構部が作動状態のまま凍結されることを確実に防止することができる駐車ブレーキ装置を開示する。この駐車ブレーキ装置は、車輪に配設され制動力を付与するブレーキ機構部と、ブレーキ機構部を作動させるブレーキアクチュエータと、駐車ブレーキ指令信号を出力する駐車ブレーキ指令手段と、車両外気温を検出し車両外気温に対応した外気温検出信号を出力する外気温検出手段と、駐車ブレーキ指令手段からの駐車ブレーキ指令信号に基づいてブレーキ機構部にて制動力が生じるように作動させるべくブレーキアクチュエータを制御する駐車ブレーキ制御を行なう一方、外気温検出手段からの外気温検出信号に基づいて車両外気温が凍結温度以下になったことを検出すると、駐車ブレーキ指令信号が入力されてもブレーキ機構部の作動を解除状態とするようにブレーキアクチュエータを制御する駐車ブレーキ解除制御を行なう制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0005】
この駐車ブレーキ装置によると、ブレーキ機構部が作動状態のまま凍結されることを確実に防止することができる。
【特許文献1】特開2004−256013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した公報に開示された駐車ブレーキ装置においては、シフトポジションをパーキングポジションに切り換えるためには、運転者のシフトポジションの切換操作が必須となる。そのため、車両が完全に停車状態になっているにもかかわらず、運転者の失念により、シフトポジションがパーキングポジションに切り換わらない場合がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両の停車状態に応じて自動的にパーキングポジションにシフトポジションを切り換えるシフト切換機構の制御装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るシフト切換機構の制御装置は、操作部材の状態に対応した信号に基づいてアクチュエータにより、車両に搭載された自動変速機のシフトポジションを切り換えるシフト切換機構の制御装置である。この制御装置は、車両の速度に関連する物理量を検出するための車速検出手段と、車両の制動力の要求の度合いを検出するための要求検出手段と、検出された物理量に基づいて、車両が停止中であるか否かを判定するための判定手段と、車両が停止中であるときに、検出された度合いに基づいて、シフトポジションをパーキングポジションに切り換えるようにアクチュエータを制御するための制御手段とを含む。第8の発明に係るシフト切換機構の制御方法は、第1の発明に係るシフト切換機構の制御装置と同様の構成を有する。
【0009】
第1または8の発明によると、制御手段は、車両が停止中であるときに検出された度合いに基づいて、シフトポジションをパーキングポジションに切り換えるようにアクチュエータを制御する。これにより、たとえば、検出された度合いが高い状態が継続したときに、シフトポジションをパーキングポジションに切り換えるようにすると、車両の停車状態の継続に応じて自動変速機をパーキングポジションに自動的に切り換えることができる。そのため、運転者が停車状態の継続を意図しながらも、シフトポジションの切換操作を行なわない場合においても、自動的にパーキングポジションに切り換えることができる。したがって、車両の停車状態に応じて自動的にパーキングポジションにシフトポジションを切り換えるシフト切換機構の制御装置を提供することができる。
【0010】
第2の発明に係るシフト切換機構の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、車両が停止中であることに加えて、検出された度合いが予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、パーキングポジションに切り換えるように、アクチュエータを制御するための手段を含む。第9の発明に係るシフト切換機構の制御方法は、第2の発明に係るシフト切換機構の制御装置と同様の構成を有する。
【0011】
第2または9の発明によると、車両が停止中であることに加えて、検出された度合いが予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、運転者が車両の停止状態の継続を意図している可能性が高い。そのため、パーキングポジションに切り換えるようにすると車両の停車状態の継続に応じて、自動的にパーキングポジションにシフトポジションを切り換えることができる。
【0012】
第3の発明に係るシフト切換機構の制御装置においては、第2の発明の構成に加えて、制御手段は、車両が停止中であることに加えて、検出された度合いが継続して予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、パーキングポジションに切り換えるように、アクチュエータを制御するための手段を含む。第10の発明に係るシフト切換機構の制御方法は、第3の発明に係るシフト切換機構の制御装置と同様の構成を有する。
【0013】
第3または10の発明によると、車両が停止中であることに加えて、検出された度合いが継続して予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、運転者が車両の停止状態の継続を意図している可能性が高い。そのため、パーキングポジションに切り換えるようにすると、車両の停車状態の継続に応じて、自動的にパーキングポジションにシフトポジションを切り換えることができる。
【0014】
第4の発明に係るシフト切換機構の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、車両が停止中であることに加えて、検出された度合いが予め定められた度合い以上となる回数が2回以上であると、パーキングポジションに切り換えるように、アクチュエータを制御するための手段を含む。第11の発明に係るシフト切換機構の制御方法は、第4の発明に係るシフト切換機構の制御装置と同様の構成を有する。
【0015】
第4または11の発明によると、車両が停止中であることに加えて、検出された度合いが予め定められた度合い以上となる回数が2回以上であると、運転者が車両の停止状態の継続を意図している可能性が高い。そのため、パーキングポジションに切り換えるようにすると、車両の停車状態の継続に応じて、自動的にパーキングポジションにシフトポジションを切り換えることができる。
【0016】
第5の発明に係るシフト切換機構の制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、制御手段は、車両が停止中であることに加えて、運転者からの指示を受けると、検出された度合いに基づいて、パーキングポジションに切り換えるようにアクチュエータを制御するための手段を含む。第12の発明に係るシフト切換機構の制御方法は、第5の発明に係るシフト切換機構の制御装置と同様の構成を有する。
【0017】
第5または12の発明によると、車両が停止中であることに加えて、運転者からの指示を受けると、検出された度合いに基づいて、パーキングポジションに切り換えるようにすると、運転者は、自動的にパーキングポジションに切り換える制御を実行するか否かを選択することができる。
【0018】
第6の発明に係るシフト切換機構の制御装置においては、第5の発明の構成に加えて、車両には、指示を受けるスイッチが設けられる。第13の発明に係るシフト切換機構の制御方法は、第6の発明に係るシフト切換機構の制御装置と同様の構成を有する。
【0019】
第6または13の発明によると、運転者は、車両に設けられたスイッチにより自動的にパーキングポジションに切り換える制御を実行するか否かを選択することができる。
【0020】
第7の発明に係るシフト切換機構の制御装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、車両には、検出された度合いに応じて、車両の制動力を制御する制動力制御装置が搭載される。制御手段は、車両が停止中であることに加えて、検出された度合いに応じて、制動力制御よりも優先して、パーキングポジションに切り換えるように、アクチュエータを制御するための手段を含む。第14の発明に係るシフト切換機構の制御方法は、第7の発明に係るシフト切換機構の制御装置と同様の構成を有する。
【0021】
第7または14の発明によると、車両には、検出された度合いに応じて、車両の制動力を制御する制動力制御装置が搭載されるため、制動力制御とシフトポジションの制御とが競合する場合がある。そのため、検出された度合いに応じて、制動力制御よりも優先して、パーキングポジションに切り換えるようにすると、制動力制御とシフトポジションの制御とが競合することを回避して、両制御を選択的に実行することができる。そのため、車両の停車状態に適した制御を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0023】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を備えたシフト制御システム10の構成を示す。本実施の形態に係るシフト制御システム10は、車両のシフトポジションを切り換えるために用いられる。シフト制御システム10は、Pスイッチ20と、シフトスイッチ26と、車両電源スイッチ28と、車両の制御装置(以下、「EFI−ECU(Electronic Control Unit)」と表記する)30と、パーキング制御装置(以下、「SBW(Shift By Wire)−ECU」と表記する)40と、アクチュエータ42と、エンコーダ46と、シフト切換機構48と、表示部50と、メータ52と、駆動機構60と、ブレーキECU80と、ペダル踏力センサ82と、制動装置84と、車速センサ86とを含む。シフト制御システム10は、電気制御によりシフトポジションを切り換えるシフトバイワイヤシステムとして機能する。具体的にはシフト切換機構48がアクチュエータ42により駆動されてシフトポジションの切り換えを行なう。本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置は、SBW−ECU40により実現される。
【0024】
車両電源スイッチ28は、車両電源のオン・オフを切り換えるためのスイッチである。車両電源スイッチ28は、特に限定されるものではないが、たとえば、イグニッションスイッチである。車両電源スイッチ28がドライバなどのユーザから受付けた指示はEFI−ECU30に伝達される。たとえば、車両電源スイッチ28がオンされることにより、図示しない補機バッテリから電力が供給されて、シフト制御システム10が起動される。
【0025】
Pスイッチ20は、シフトポジションをパーキングポジション(以下、「Pポジション」と呼ぶ)とパーキング以外のポジション(以下、「非Pポジション」と呼ぶ)との間で切り換えるためのスイッチであり、スイッチの状態をドライバに示すためのインジケータ22、およびドライバからの指示を受付ける入力部24を含む。ドライバは、入力部24を通じて、シフトポジションをPポジションに入れる指示を入力する。入力部24はモーメンタリスイッチであってもよい。入力部24が受付けたドライバからの指示を示すP指令信号は、SBW−ECU40に送信される。なお、このようなPスイッチ20以外により、非PポジションからPポジションにシフトポジションを切り換えるものであってもよい。
【0026】
SBW−ECU40は、シフトポジションをPポジションと非Pポジションとの間で切り換えるために、シフト切換機構48を駆動するアクチュエータ42の動作を制御し、現在のシフトポジションの状態をインジケータ22に提示する。シフトポジションが非Pポジションであるときにドライバは入力部24を押下すると、SBW−ECU40はシフトポジションをPポジションに切り換えて、インジケータ22に現在のシフトポジションがPポジションである旨を提示する。
【0027】
アクチュエータ42は、スイッチドリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」と表記する)により構成され、SBW−ECU40からのアクチュエータ制御信号を受信してシフト切換機構48を駆動する。エンコーダ46は、アクチュエータ42と一体的に回転し、SRモータの回転状況を検知する。本実施の形態のエンコーダ46は、A相、B相およびZ相の信号を出力するロータリーエンコーダである。SBW−ECU40は、エンコーダ46から出力される信号を取得してSRモータの回転状況を把握し、SRモータを駆動するための通電の制御を行なう。
【0028】
シフトスイッチ26は、シフトポジションをD(前進走行)ポジション、R(後進走行)ポジション、N(ニュートラル)ポジションなどのポジションに切り換えたり、またPポジションに入れられているときには、Pポジションを解除したりするためのスイッチである。シフトスイッチ26が受付けたドライバからの指示を示すシフト信号はSBW−ECU40に送信される。すなわち、シフトスイッチ26は、運転者により操作された操作部材(たとえば、シフトレバー)の位置に対応したシフトポジションを示すシフト信号をSBW−ECU40に送信する。SBW−ECU40は、ドライバからの指示を示すシフト信号に基づき、EFI−ECU30を通じて、駆動機構60におけるシフトポジションを切り換える制御を行なうとともに、現在のシフトポジションの状態をメータ52に提示する。駆動機構60は、有段変速機構から構成されてもよいし、無段変速機構から構成されてもよい。
【0029】
EFI−ECU30は、シフト制御システム10の動作を統括的に管理する。表示部50は、EFI−ECU30またはSBW−ECU40が発したドライバに対する指示や警告などを表示する。メータ52は、車両の機器の状態やシフトポジションの状態などを提示する。
【0030】
ペダル踏力センサ82は、ブレーキペダル(図示せず)に設けられる。ペダル踏力センサ82は、運転者によるブレーキペダルへの踏力を検知する。ペダル踏力センサ82は、たとえば、運転者の足と当接するペダル部分に設けられる圧力センサにより実現される。ペダル踏力センサ82は、運転者によるブレーキペダルへの踏力を示す信号(以下の説明においては、「踏力信号」と表記する)をブレーキECU80に送信する。
【0031】
ブレーキECU80は、SBW−ECU40と通信可能に接続されており、ペダル踏力センサ82から受信した踏力信号をSBW−ECU40に送信する。なお、ペダル踏力センサ82は、SBW−ECU40に踏力信号を直接送信するようにしてもよい。
【0032】
また、運転者の車両の制動力の要求の度合いが検出できれば、特にペダル踏力センサ82を用いることに限定されるものではない。たとえば、ペダル踏力センサ82に代えて、ブレーキペダルのストロークセンサを用いるようにしてもよい。
【0033】
本実施の形態においては、ブレーキECU80は、制動装置84による車両の制動力を制御する。制動装置84は、ブレーキペダルと、ブレーキペダルへの踏力を倍力する倍力装置と、倍力された踏力に応じて油圧を変化させるブレーキマスタシリンダと、ブレーキ機構に油圧を供給する油圧回路と、油圧回路における油圧を制御するブレーキアクチュエータと、各車輪に設けられたブレーキ機構(いずれも図示せず)とを含む。
【0034】
なお、制動装置84は、ブレーキペダルの操作量に基づく信号に応じて、ブレーキアクチュエータにより直接的にブレーキ機構における各車輪への制動力を制御する構成であってもよい。また、ブレーキ機構は、たとえば、ディスクブレーキあるいはドラムブレーキ等を含む。
【0035】
また、車速センサ86は、車両の速度に対応する物理量を検出する。具体的には、車速センサ86は、車輪の回転数を検出する。車速センサ86は、検出された車輪の回転数を示す信号をEFI−ECU30に送信する。EFI−ECU30は、受信した車輪の回転数に基づいて車両の速度を算出する。EFI−ECU30は、算出された車両の速度を示す信号をSBW−ECU40に送信する。なお、車速センサ86は、車両の速度に対応する物理量を検出すればよく、特に、車輪の回転数に限定されるものではない。たとえば、車速センサ86は、自動変速機の出力軸の回転数を検出するようにしてもよい。また、車速センサ86は、車輪の回転数を示す信号をSBW−ECU40に直接送信するようにしてもよい。
【0036】
図2は、シフト切換機構48の構成を示す。以下、シフトポジションは、Pポジション、非Pポジション(R、N、Dの各ポジションを含み、さらにDポジションに加えて1速固定のD1ポジションや、2速固定のD2ポジションを含んでも良い)とを含む。
【0037】
シフト切換機構48は、アクチュエータ42により回転されるシャフト102、シャフト102の回転に伴って回転するディテントプレート100、ディテントプレート100の回転に伴って動作するロッド104、図示しない変速機の出力軸に固定されたパーキングロックギヤ108、パーキングロックギヤ108をロックするためのパーキングロックポール106、ディテントプレート100の回転を制限してシフトポジションを固定するディテントスプリング110およびころ112を含む。ディテントプレート100は、アクチュエータ42により駆動されてシフトポジションを切り換える。またエンコーダ46は、アクチュエータ42の回転量に応じた計数値を取得する計数手段として機能する。
【0038】
なお、図2の斜視図においては、ディテントプレート100の谷(Pポジション位置)しか示していないが、実際には図2の拡大平面図に示すように、ディテントプレート100には、D、N、R、Pの4つのポジションに対応する4つの谷が存在する。なお、以下においては、D、N、Rの各ポジションを(まとめて)非Pポジションとして、Pポジションと非Pポジションとの切り換えについて説明する。
【0039】
図2は、シフトポジションが非Pポジションであるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール106がパーキングロックギヤ108をロックしていないので、車両の駆動軸の回転は妨げられない。この状態からアクチュエータ42によりシャフト102を時計回り方向に回転させると、ディテントプレート100を介してロッド104が図2に示す矢印Aの方向に押され、ロッド104の先端に設けられたテーパ部によりパーキングロックポール106が図2に示す矢印Bの方向に押し上げられる。ディテントプレート100の回転に伴ってディテントプレート100の頂部に設けられた2つの谷のうちの一方、すなわち非Pポジション位置120にあったディテントスプリング110のころ112は、山122を乗り越えて他方の谷、すなわちPポジション位置124へ移る。ころ112は、その軸方向に回転可能にディテントスプリング110に設けられている。ころ112がPポジション位置124に来るまでディテントプレート100が回転したとき、パーキングロックポール106は、パーキングロックポール106の突起部分がパーキングロックギヤ108の歯部間に嵌合する位置まで押し上げられる。これにより、車両の駆動軸が機械的に固定され、シフトポジションがPポジションに切り換わる。
【0040】
本実施の形態に係るシフト制御システム10では、シフトポジション切換時にディテントプレート100、ディテントスプリング110およびシャフト102などのシフト切換機構の構成部品に係る負荷を低減するために、SBW−ECU40が、ディテントスプリング110のころ112が山122を乗り越えて落ちるときの衝撃を少なくするように、アクチュエータ42の回転量を制御する。
【0041】
SBW−ECU40は、エンコーダ46で検出された回転量に基づく、アクチュエータ42の回転位置(ディテントプレート100におけるころ112の相対位置)がPポジションに対応する予め定められた範囲内にあるときには、シフトポジションがPポジションであることを判定する。
【0042】
一方、SBW−ECU40は、エンコーダ46で検出された回転量に基づく、アクチュエータ42の回転位置が非Pポジション(たとえば、D、R、N)に対応する予め定められた範囲内にあるときには、シフトポジションが非Pポジションであることを判定する。
【0043】
また、ディテントプレート100あるいはシャフト102は、自動変速機のマニュアルバルブのスプール(いずれも図示せず)に最終的に接続される。アクチュエータ42の回転位置がDポジション、Rポジション、Nポジションになると、マニュアルバルブのスプールがそれぞれのシフトポジションに対応する位置に移動させられる。このようにして、自動変速機のシフトポジションがアクチュエータ42により切り換えられる。
【0044】
SBW−ECU40は、エンコーダ46により検知されるカウンタ値に基づいてアクチュエータ42の回転量を検出する。
【0045】
SBW−ECU40は、規制部材により規制されたアクチュエータの回転位置に基づいて、複数のシフトポジションのうちの少なくとも1つのシフトポジションの位置を設定する。
【0046】
以上のような構成を有するシフト制御システム10において、本発明は、SBW−ECU40が、車両が停止中であるときに、検出されたブレーキペダル踏力に基づいて、シフトポジションをPポジションに切り換えるようにアクチュエータ42を制御する点に特徴を有する。
【0047】
具体的には、SBW−ECU40は、車両が停止中であることに加えて、検出された踏力が継続して予め定められた踏力以上となる時間が予め定められた時間以上であると、パーキングポジションに切り換えるように、アクチュエータ42を制御する。
【0048】
図3に、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の機能ブロック図を示す。
【0049】
SBW−ECU40は、入力インターフェース(以下、入力I/Fと記載する)300と、演算処理部400と、記憶部600と、出力インターフェース(以下、出力I/Fと記載する)500とを含む。
【0050】
入力I/F300は、Pスイッチ20からのP指令信号と、車速センサ86からの車輪速信号と、ブレーキECU80からのペダル踏力信号とを受信して、演算処理部400に送信する。
【0051】
演算処理部400は、車両停止判定部402と、踏力判定部404と、タイマ部406と、Pポジション入り制御部408とを含む。
【0052】
車両停止判定部402は、車両が停止中であるか否かを判定する。具体的には、車両停止判定部402は、車速センサ86からの車輪速信号に基づいて算出される車両の速度が予め定められた速度V(0)以下であるか否かを判定する。なお、車両停止判定部402は、車両の速度が予め定められた速度V(0)以下の状態が予め定められた時間継続すると、車両が停止中であることを判定するようにしてもよい。また、車両停止判定部402は、たとえば、車両が停止中であることを判定すると停車判定フラグをオンするようにしてもよい。また、「予め定められた速度V(0)」は、車両が停車状態であることを示す速度であれば特に限定されるものではない。
【0053】
踏力判定部404は、運転者からのブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する。すなわち、踏力判定部404は、ブレーキECU80から受信する踏力信号に基づいて、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する。予め定められた踏力Fp(0)は、特に限定されるものではない。なお、踏力判定部404は、たとえば、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であると、踏力判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0054】
タイマ部404は、車両が停車状態であって、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上となる状態が予め定められた時間継続するか否かを判定する。すなわち、タイマ部404は、車両が停車状態であって、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上となる状態となった時点で、カウント値をリセットする。タイマ部404は、リセットされたカウント値に計算サイクル毎に予め定められたカウント値を加算していき、加算されたカウント値が予め定められた時間に対応するカウント値C(0)となる時点で、予め定められた時間が経過したことを判定する。予め定められた時間は、実験等により適合されるものであって、特に限定されるものではない。
【0055】
なお、タイマ部404は、停車判定フラグがオンであって、踏力判定フラグがオンであると、時間計測を開始して、停車判定フラグおよび踏力判定フラグがオンの状態が予め定められた時間継続すると、タイマ判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0056】
Pポジション入り制御部408は、タイマ部404において予め定められた時間以上継続して、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上になると、シフトポジションがPポジションに切り換わるように、アクチュエータ42を制御する。すなわち、Pポジション入り制御部408は、ころ112がPポジション位置に移動するようにディテントプレート100が回転するようにアクチュエータ42を制御する。Pポジション入り制御部408は、出力I/F500を経由して、アクチュエータ42にアクチュエータ駆動制御信号を送信する。
【0057】
なお、本実施の形態において、車両停止判定部402、踏力判定部404、タイマ部406およびPポジション入り制御408は、いずれも演算処理部400であるCPU(Central Processing Unit)が記憶部600に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記録媒体に記録されて車両に搭載される。
【0058】
記憶部600には、各種情報、プログラム、しきい値、マップ等が記憶され、必要に応じて演算処理部400からデータが読み出されたり、格納されたりする。
【0059】
以下、図4を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0060】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、SBW−ECU40は、車両が停止中であるか否かを判定する。車両が停止中であると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。
【0061】
S102にて、SBW−ECU40は、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する。ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であると(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS100に戻される。
【0062】
S104にて、SBW−ECU40は、カウントタイマをリセットする。S106にて、SBW−ECU40は、予め定められた時間が経過したか否かを判定する。予め定められた時間が経過すると(S106にてYES)、処理はS108に移される。もしそうでないと(S106にてNO)、処理はS110に移される。
【0063】
S108にて、SBW−ECU40は、Pポジションに切り換わるようにアクチュエータ42を制御する。
【0064】
S110にて、SBW−ECU40は、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する。ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であると(S110にてYES)、処理はS106にに戻される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS112に移される。S112にて、SBW−ECU40は、タイマカウントを終了して、処理をS100に戻す。
【0065】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について図5を参照しつつ説明する。
【0066】
車両の走行中に、運転者がブレーキペダルを踏み込むなどすると、車両に働く制動力が増加して、車両の速度が低下していく。
【0067】
時間T(0)において、車両の速度が予め定められた速度V(0)以下の停止状態になると(S100にてYES)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する(S102)。
【0068】
時間T(1)において、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上になると(S102にてYES)、カウントタイマがリセットされて(S104)、時間計測が開始される。予め定められた時間が経過するまで(S106にてNO)、ブレーキペダル踏力は、継続して予め定められた踏力Fp(0)以上であるため(S110にてYES)、タイマによる時間計測が継続される(S106)。
【0069】
時間T(2)において、時間T(1)からカウント値が予め定められたカウント値C(0)となる予め定められた時間が経過すると(S106にてYES)、SBW−ECU40は、アクチュエータ42を制御して、シフトポジションをPポジションに切り換える。
【0070】
なお、予め定められた時間が経過するまでに(S106にてNO9、ブレーキペダル踏力が、予め定められた踏力Fp(0)を下回ると(S110にてNO)、タイマによる時間計測が終了する(S112)。
【0071】
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置によると、検出されブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上の状態が予め定められた時間継続すると、車両の停車状態の継続に応じて自動変速機をPポジションに自動的に切り換えることができる。そのため、運転者が停車状態の継続を意図しつつ、シフトポジションの切換操作を行なわない場合においても、自動的にPポジションに切り換えることができる。したがって、車両の停車状態に応じて自動的にPポジションにシフトポジションを切り換えるシフト切換機構の制御装置および制御方法を提供することができる。
【0072】
なお、本実施の形態においては、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上となる時間が予め定められた時間継続するという条件が成立すると、一律に、自動的にシフトポジションをPポジションに切り換えることとしたが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、車両にスイッチが設けられ、運転者がスイッチにより自動的にシフトポジションを切り換える指示を受けると、上述した条件が成立したときに、自動的にシフトポジションをPポジションに切り換えるようにしてもよい。
【0073】
あるいは、車両が停止中であると判定されてから予め定められた期間において、ブレーキ踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上となる時間の割合が予め定められた割合以上であると、自動的にシフトポジションをPポジションに切り換えるようにしてもよい。
【0074】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置について説明する。本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を搭載する車両は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を搭載する車両の構成と比較して、SBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を搭載する車両の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0075】
本実施の形態においては、シフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40が、車両が停止中であることに加えて、検出されたブレーキペダル踏力が予め定められた踏力以上となる回数が2回以上であると、Pポジションに切り換えるように、アクチュエータを制御する点に特徴を有する。
【0076】
以下、図6を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0077】
なお、図6に示したフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについて処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0078】
S202にて、SBW−ECU40は、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)より小さい状態から予め定められた踏力Fp(0)以上の状態に変化したか否かを判定する。予め定められた踏力Fp(0)より小さい状態から予め定められた踏力Fp(0)以上の状態に変化すると(S202にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S202にてNO)、この処理は終了する。
【0079】
S206にて、SBW−ECU40は、S104にてタイマがリセットされてから予め定められた時間が経過したか否かを判定する。予め定められた時間が経過すると(S206にてYES)、この処理は終了する。もしそうでないと(S206にてNO)、処理はS208に移される。
【0080】
S208にて、SBW−ECU40は、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)よりも減少したか否かを判定する。ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)よりも減少すると(S208にてYES)、処理はS210に移される。もしそうでないと(S208にてNO)、処理はS206に戻される。
【0081】
S210にて、SBW−ECU40は、S104にてタイマがリセットされてから予め定められた時間が経過したか否かを判定する。予め定められた時間が経過すると(S210にてYES)、この処理は終了する。もしそうでないと(S210にてNO)、処理はS212に移される。
【0082】
S212にて、SBW−ECU40は、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上に増加したか否かを判定する。ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上に増加すると(S212にてYES)、処理はS108に移される。もしそうでないと(S212にてNO)、処理はS210に移される。
【0083】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について図7を参照しつつ説明する。
【0084】
車両の走行中に、運転者がブレーキペダルを踏み込むなどすると、車両に働く制動力が増加して、車両の速度が低下していく。
【0085】
時間T(3)において、車両の速度が予め定められた速度V(0)以下の停止状態になると(S100にてYES)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する(S102)。
【0086】
時間T(4)において、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上になると(S202にてYES)、カウントタイマがリセットされて(S104)、時間計測が開始される。カウント値が予め定められた値C(0)となる予め定められた時間が経過するまでの(S206にてNO)、時間T(5)において、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fpよりも減少して(S208にてYES)、さらに、予め定められた時間が経過するまでの(S210にてNO)、時間T(6)において、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上に増加すると(S212にてYES)、Pポジション入り制御が実行される(S108)。すなわち、シフトポジションがPポジションに切り換えられる。
【0087】
一方、予め定められた時間が経過するまでに、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)よりも減少しなかったり(S206にてYES)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力よりも減少した状態で(S208にてYES)、予め定められた時間が経過すると(S210にてYES)、再度車両が停止中であるか否かが判断される(S100)。
【0088】
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置によると、車両が停止中であることに加えて、検出されたブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上となる回数が2回以上であると、運転者が車両の停止状態の継続を意図している可能性が高いため、Pポジションに切り換えるようにすると、車両の停車状態の継続に応じて、自動的にPポジションにシフトポジションを切り換えることができる。
【0089】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置について説明する。本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を搭載する車両は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を搭載する車両の構成と比較して、SBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造およびブレーキECU80においてブレーキペダル踏力に応じたヒルホールドブレーキ制御を実行する点が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置を搭載する車両の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0090】
本実施の形態においては、シフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40が、車両が停止中であることに加えて、検出されたブレーキペダル踏力に応じて、制動力制御よりも優先して、パーキングポジションに切り換えるように、アクチュエータを制御する点に特徴を有する。
【0091】
制動力制御は、たとえば、ヒルホールドブレーキ制御である。ヒルホールドブレーキ制御は、ブレーキECU80より実行される。ブレーキECU80は、車両の停止中において、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(1)以上になると、車両が勾配を有する登坂路に停車している場合を想定して、ブレーキペダルが解放されたときに、制動力を徐々に減少するようにブレーキアクチュエータを制御する。
【0092】
以下、図8を参照して、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0093】
なお、図8のフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについて処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0094】
S302にて、SBW−ECU40は、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する。ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であると(S302にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S302にてNO)、処理はS306に移される。
【0095】
S306にて、SBW−ECU40は、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(1)以上であるか否かを判定する。なお、Fp(1)は、少なくともFp(0)よりも小さい踏力であれば、特に限定されるものではない。ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(1)以上であると(S306にてYES)、処理はS308に移される。もしそうでないと(S306にてNO)、この処理は終了する。
【0096】
S308にて、SBW−ECU40は、ヒルホールドブレーキ制御を許可する。具体的には、SBW−ECU40は、ブレーキECU80に対して許可信号を送信する。ブレーキECU80は、許可信号を受信すると、ブレーキペダルが解放されるとともに、上述したような制動力の徐減制御を実行する。
【0097】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECU40の動作について図9を参照しつつ説明する。
【0098】
車両の走行中に、運転者がブレーキペダルを踏み込むなどすると、車両に働く制動力が増加して、車両の速度が低下していく。
【0099】
時間T(7)において、車両の速度が予め定められた速度V(0)以下の停止状態になると(S100にてYES)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上であるか否かを判定する(S302)。
【0100】
時間T(8)において、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上になると(S302にてYES)、カウントタイマがリセットされて(S104)、時間計測が開始される。
【0101】
時間T(9)において、予め定められた時間が経過するまでに(S106にてNO)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)よりも減少すると(S110にてNO)、タイマカウントが終了する(112)。
【0102】
車両の停車状態が継続中であると(S100にてYES)、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)よりも小さいため、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(1)以上であるか否かが判定される(S306)。ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(1)以上であると(S306にてYES)、ヒルホールドブレーキ制御の許可信号がオンされる。そのため、ブレーキECU80において、ヒルホールドブレーキ制御が実行されることとなる。
【0103】
一方、ブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上の状態が予め定められた時間が経過するまで継続すると(S106にてYES)、Pポジション入り制御が実行される(S108)。すなわち、シフトポジションがPポジションに切り換えられる。このとき、ヒルホールドブレーキ制御の許可信号はオフのままであるため、ブレーキECU80によりヒルホールドブレーキ制御が実行されることはない。
【0104】
以上のようにして、本実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置によると、停車中の車両において、検出されたブレーキペダル踏力が予め定められた踏力Fp(0)以上の状態が予め定められた時間継続すると、ブレーキペダル踏力がFp(0)よりも低いFp(1)以上であると実行されるヒルホールドブレーキ制御よりも優先して、パーキングポジションに切り換えるようにアクチュエータを制御する。これにより、ヒルホールドブレーキ制御とシフトポジションの制御とが競合することを回避して、両制御を選択的に実行することができる。そのため、車両の停車状態に適した制御を実行することができる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置が搭載された車両の構成を示す図である。
【図2】シフト機構の構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUの機能ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUの動作を示すタイミングチャートである。
【図8】第3の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態に係るシフト切換機構の制御装置であるSBW−ECUの動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0107】
10 シフト制御システム、20 Pスイッチ、22 インジケータ、24 入力部、26 シフトスイッチ、28 車両電源スイッチ、30 EFI−ECU、40 SBW−ECU、42 アクチュエータ、46 エンコーダ、48 シフト切換機構、50 表示部、52 メータ、60 駆動機構、80 ブレーキECU、82 ペダル踏力センサ、84 制動装置、86 車速センサ、100 ディテントプレート、102 シャフト、104 ロッド、106 パーキングロックポール、108 パーキングロックギヤ、110 ディテントスプリング、112 ころ、120 非Pポジション位置、122 山、124 Pポジション位置、300 入力I/F、400 演算処理部、402 車両停止判定部、404 踏力判定部、406 タイマ部、408 Pポジション入り制御部、500 出力I/F、600 記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の状態に対応した信号に基づいてアクチュエータにより、車両に搭載された自動変速機のシフトポジションを切り換えるシフト切換機構の制御装置であって、
前記車両の速度に関連する物理量を検出するための車速検出手段と、
前記車両の制動力の要求の度合いを検出するための要求検出手段と、
前記検出された物理量に基づいて、車両が停止中であるか否かを判定するための判定手段と、
前記車両が停止中であるときに、前記検出された度合いに基づいて、前記シフトポジションをパーキングポジションに切り換えるように前記アクチュエータを制御するための制御手段とを含む、シフト切換機構の制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いが予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するための手段を含む、請求項1に記載のシフト切換機構の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いが継続して予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するための手段を含む、請求項2に記載のシフト切換機構の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いが予め定められた度合い以上となる回数が2回以上であると、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するための手段を含む、請求項1に記載のシフト切換機構の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記車両が停止中であることに加えて、運転者からの指示を受けると、前記検出された度合いに基づいて、前記パーキングポジションに切り換えるように前記アクチュエータを制御するための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のシフト切換機構の制御装置。
【請求項6】
前記車両には、前記指示を受けるスイッチが設けられる、請求項5に記載のシフト切換機構の制御装置。
【請求項7】
前記車両には、前記検出された度合いに応じて、前記車両の制動力を制御する制動力制御装置が搭載され、
前記制御手段は、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いに応じて、前記制動力制御よりも優先して、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するための手段を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のシフト切換機構の制御装置。
【請求項8】
操作部材の状態に対応した信号に基づいてアクチュエータにより、車両に搭載された自動変速機のシフトポジションを切り換えるシフト切換機構の制御方法であって、
前記車両の速度に関連する物理量を検出するステップと、
前記車両の制動力の要求の度合いを検出するステップと、
前記検出された物理量に基づいて、車両が停止中であるか否かを判定するステップと、
前記車両が停止中であるときに、前記検出された度合いに基づいて、前記シフトポジションをパーキングポジションに切り換えるように前記アクチュエータを制御する制御ステップとを含む、シフト切換機構の制御方法。
【請求項9】
前記制御ステップは、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いが予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するステップを含む、請求項8に記載のシフト切換機構の制御方法。
【請求項10】
前記制御ステップは、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いが継続して予め定められた度合い以上となる時間が予め定められた時間以上であると、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するステップを含む、請求項9に記載のシフト切換機構の制御方法。
【請求項11】
前記制御ステップは、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いが予め定められた度合い以上となる回数が2回以上であると、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するステップを含む、請求項8に記載のシフト切換機構の制御方法。
【請求項12】
前記制御ステップは、前記車両が停止中であることに加えて、運転者からの指示を受けると、前記検出された度合いに基づいて、前記パーキングポジションに切り換えるように前記アクチュエータを制御するステップを含む、請求項8〜11のいずれかに記載のシフト切換機構の制御方法。
【請求項13】
前記車両には、前記指示を受けるスイッチが設けられる、請求項12に記載のシフト切換機構の制御方法。
【請求項14】
前記車両には、前記検出された度合いに応じて、前記車両の制動力を制御する制動力制御装置が搭載され、
前記制御ステップは、前記車両が停止中であることに加えて、前記検出された度合いに応じて、前記制動力制御よりも優先して、前記パーキングポジションに切り換えるように、前記アクチュエータを制御するステップを含む、請求項8〜14のいずれかに記載のシフト切換機構の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−116002(P2008−116002A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301801(P2006−301801)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】