説明

シャフトと回転部品の接合

本発明は、シャフトと回転部品、特にシャフト(10)とエグゾーストターボチャージャ(16)のタービンホイール(12)との接合に関し、この場合、シャフト(10)と回転部品(12)とを間接的に接合している中間部品(18)が設けられている。その際、回転部品(12)と中間部品(18)との接合は、ポジティブ結合及び/又は摩擦結合、特にリベット接合として行われる。さらに、本発明は、このような種類の接合を行う方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャフト、特に、請求項1の前提部分に示されている種類の、エグゾーストターボチャージャのタービンホイールを備えるシャフトと回転部品との接合に関する。さらに、本発明は、請求項7の前提部分に基づく、このような種類の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エグゾーストターボチャージャのエグゾースト側タービンでは、シャフトとタービンホイール(両方とも金属素材からなる)との接合は、通常、溶接接合又ははんだ付けによって行われる。
【0003】
しかし、問題となるのは、シャフトとタービンホイール間の接合が質的に十分適切に行われるように、シャフト又はタービンホイール両方の素材ペアを互いに適合させなければならないことである。とはいえ、この場合、タービンホイールをできるだけ熱的負荷に耐える材料から製造する必要がある一方で、シャフト自体は、通常の、タービンホイールとは反対に低コストの素材から製造できるという対立がしばしば生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、シャフトと回転部品、特にタービンホイールとを、とりわけ有利な方法で接合することのできる、冒頭に述べた種類の接合及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に基づいて、請求項1又は7の特徴を備える接合、及びこうした接合を行うための方法によって解決される。本発明の適切かつ重要な発展形態を備える有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0006】
シャフトと回転部品、特にエグゾーストターボチャージャとの接合を特に有利に行うため、請求項1に基づく接合では、シャフトと回転部品(タービンホイール)とを間接的に接合する中間部品が取り付けられている。この場合、中間部品と回転部品とは、ポジティブ結合及び/又は摩擦結合、特にリベット結合、によって接合される。別の表現を用いれば、本発明に基づいて、シャフトと回転部品、特にタービンホイールとを直接接合するのではなく、むしろ、中間部品を介して接合するが、その際、中間部品及び回転部品は、ポジティブ結合及び/又は摩擦結合によって接合される。このことによって、例えば、1つには中間部品と回転部品、特にタービンホイールとを、もう1つには中間部品とシャフトとを、とりわけ有利に接合できるように中間部品を形成することが可能となるか、又はそのような種類の素材を使用することが可能となる。
【0007】
例えば、チタン・アルミニウム(TiAl)とスチールのような組合せの接合は極めて難しいか、溶接又ははんだ付けすることが全くできないため、部品を相互に固定するためには、こうしたポジティブ結合がとりわけよく適合する。この場合、本発明の別の実施形態において、中間部品と回転部品、特にタービンホイールとを接合するリベットが、回転部品の残片(端片)として形成されている場合は、特に有利であり、この残片は、次に、例えば適切な押込み加工用工具によってリベットに変形され、中間部品をポジティブ結合によって回転部品に保持する。しかし、同様に、回転溶接又は同様の方法により、回転部品又はタービンホイールの中にリベットを固定することも、回転部品の素材がこれを許容するものである場合は、考えられるであろう。
【0008】
本発明の特に有利な実施形態では、例えば、中間部品を熱耐性かつ溶接可能な素材、特にニッケル合金製にすることにより、作動中に高温となるタービンホイールと中間部品とを極めて有利に接合できるようなっている。タービンホイール自体が熱負荷に耐えるように、タービンホイールを特に熱耐性又は高温耐性の素材から製造することができる。これには、特にチタン・アルミニウム(TiAl)が適合している。
【0009】
これに加えて、溶接可能な素材、特に調質鋼からなるシャフトと中間部品とを接続できるようにするため、この好ましい方法に従って、中間部品は、熱耐性に形成されるばかりではなく、さらに溶接可能な素材からできている。
【0010】
本発明のもう1つの実施形態における好ましい方法では、中間部品が溶接接合、特に摩擦溶接又はEB溶接(すなわち電子ビーム溶接法)によってシャフトと接合されている。特に、接合する部品の直径に関して、半径方向の外側に位置する溶接接合の場合、摩擦溶接によって、極めて有利な加熱が生じるため、中間部品が特に確実にシャフトと接合される。
【0011】
特に有利であるのは、タービンホイールと中間部品との材料組合せ及び構造が、加熱の際に、場合によっては部品の熱膨張が異なることにより接合強度が向上するか、又は少なくとも減少しないようになっていることである。
【0012】
本発明に基づいて説明されている接合と関連して、先行して説明されている利点は、同様に請求項6に基づく方法に当てもはまる。このことは、さらに、1つの実施形態において、まず中間部品が回転部品(タービンホイール)とポジティブ結合、特にリベット結合によって接合されることによって特徴づけられる。この場合は、特に、熱間リベットの接合技術が適している。ここに説明されている方法のバリエーションにおける第2のプロセス段階では、次に、中間部品がシャフトと溶接され、これによって回転部品(タービンホイール)とシャフトとの間接接合が実現する。
【0013】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、好ましい実施例及び図に基づく以下の説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】タービンホイールとして示されている、エグゾーストターボチャージャの回転部品とシャフトとが接合されている側面断面図及び部分的側面断面図とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図は、タービンホイールとして示されている、エグゾーストターボチャージャの回転部品とシャフトとが接合されている側面断面図及び部分的側面断面図とを示し、この場合、断面で示されたタービンホイールと断面で示されていないシャフトとは、断面で示されている中間部品によって間接的に接合され、その際、中間部品とタービンホイールとの間では、ポジティブ結合がリベット接合の形で実施され、中間部品とシャフトの間では溶接接合が実施される。
【0016】
図には、このシャフト10の端部が側面断面図の中に示されており、この端部は、タービンホイール12の形をした回転部品側を向いている。シャフト10とタービンホイール12とは、この場合、エグゾーストターボチャージャ16のタービン14の部品である。
【0017】
個々の部品10、12の素材選択は、この場合、それらの熱的負荷に基づいて行われる。このタービンホイール12又はロータは、金属間層が高強度であり、熱耐性及び耐水性であるチタン・アルミニウム(TiAl)からできている。さらにTiAlは、軽量であるという利点がある。
【0018】
シャフト10は、ターボチャージャシャフト用の低コストの一般的なスチールからできており、ここでは調質鋼(42CrMo4)から製造されている。この調質鋼は、溶接に有利である。ここに示されている調質鋼の他に、例えば標準仕様に適するインコネル製シャフトなど、その他の素材によるシャフト10も考えられる。
【0019】
シャフト10とタービンホイール12の接合は、ここでは、直接的ではなく、中間部品18を介して間接的に行われている。中間部品18は、図の中ではタービンホイール12と同様に断面で示されている。
【0020】
中間部品18は、一方で、高温のロータ又はタービンホイール12と接触しているため、この中間部品は、熱耐性素材、例えばニッケル合金(インコネル)から製造されていることが必要である。この素材は、とりわけ熱耐性であるというばかりでなく、溶接に適しているという特性も有している。
【0021】
図から、タービンホイール12がポジティブ結合によって(ここではリベット接合)、中間部品18と接続されているのが分かる。このために、タービンホイール12には、中間部品18又はシャフト10の方向に突き出している残片20があり、これは、通常のタービンホイール12と一体形成されており、鍛造温度まで伝導的に適切に加熱され、次に、適当な押し込み加工用工具によって中間部品18とリベット留めされる。中間部品18は、この場合、貫通開口部22の他に、拡張されている凹部24を有しており、そのため、貫通開口部22と凹部24とは、断面図の中ではT型に示されている。リベットに形成された残片20のヘッド26は、この場合、凹部24の内部にあり、タービンホイール12と中間部品18との間のポジティブ結合を実施している。この実施例において予定されている伝導加熱の他にも、代替として誘導加熱又はその他の適切な加熱を行うこともできる。
【0022】
中間部品18と回転部品12との間のリベット接合によって実施される純粋なポジティブ結合の他に、これらの部品間のリベット接合によって摩擦結合も実施される。この摩擦結合は、関与する部品の両方の素材がそれぞれ異なる熱膨張を有し、これらの素材が収縮及び膨張することによって生じる。
【0023】
チタン・アルミニウム(TiAl)は溶接が比較的難しく、TiAlとスチールでは熱膨張率の差が極めて大きいことから、前述したポジティブ結合、特にリベット接合によって、作動中に強い応力が溶接シームに生じるおそれのあることが考慮される。一方で、チタン・アルミニウム(TiAl)は、その低密度及び比較的高い熱耐性により、タービンホイールの素材として、動的に使用するタービンホイールにとりわけ適している。低密度であることから、迅速な加速ができるため、素早いチャージ圧の上昇が可能となる。
【0024】
さらに、図から、中間部品18は溶接接合、特に摩擦溶接又は電子ビーム溶接(EB溶接)によってシャフトと接合されていることが分かる。このことは、中間部品18(インコネル)もシャフト10(調質鋼42CrMo4)も、両方とも溶接可能な素材からできていることによって可能となる。この場合、中間部品18とシャフト10とは、これらが外周でのみ相互に接合されるように形成される。このことによって、外周では回転速度を速くすることができるため、例えば、特に有利な摩擦溶接を実施することができる。
【0025】
さらに、破線28は、シャフト10の正面に、該当する切欠き30が設けられていることを示している。この切欠きは、残片20のヘッド26によって占められていない凹部24のスペースと合わせて、熱スロットルとしてベアリングの役割をする空洞部32を形成する。従って、特に、タービンホイール12又は中間部分18を介することによって、シャフト10への入熱を小さくすることができる。
【0026】
残片20と貫通開口部22とは、それらの形状を互いに適合させることができる。例えば、それらを円形の断面にすることが考えられるであろう。同様に、タービンホイール12と中間部品18との間でより良いトルク伝達を行えるように、それぞれの断面を角のある多角形として形成することもできる。タービンホイール12は鋳造技術によって製造され、中間部品18は、例えば鍛造することができるため、このことは、技術的には比較的問題なく可能である。
【0027】
従って、全体として、ここではシャフト10とタービンホイール12とが中間部品18を介して、間接的に接合が行われていることが分かり、そのため、例えばタービンホイール12にはチタン・アルミニウム(TiAl)素材を用いることができる。もう1つの利点は、空洞部32が熱スロットルとして作られていることである。中間部品18を使用する場合は、最適な素材選択が可能であり、その際、さらに、接合方法を選択することによって、接合の残留応力を回避することができる。これに加えて、高温耐性のタービンホイール12とより有利なシャフト10とが極めて低コストで接合される。もう1つの利点は、チタン・アルミニウム(TiAl)からなるタービンホイール12の、危険な応力のかかる直接接合が回避されることである。
【0028】
本接合方法の場合、第1段階において、タービンホイール12を中間部品18とリベット留めすることは特に有利である。これによって、残片20は、例えばまず鍛造温度まで伝導的に加熱され、その後、適切な押し込み加工用工具によって変形される。次の段階では、中間部品18とシャフト10とが、適切な溶接方法によって接合される。
【0029】
電子ビーム接合法を使って中間部品18とシャフト10とを上述のように接合する他にも、別のビーム溶接法、例えばレーザー溶接などが接合に適している。
【0030】
これらの溶接法の代替として、中間部品18とシャフト10とをはんだ付け法で接合することも可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと回転部品、特にシャフト(10)とエグゾーストターボチャージャ(16)のタービンホイール(12)との接合であり、前記シャフト(10)と前記回転部品(12)とを間接的に接合する中間部品(18)が設けられ、
前記中間部品(18)と前記回転部品(12)とは、ポジティブ結合及び/又は摩擦結合、特にリベット接合によって接合されていることを特徴とする接合。
【請求項2】
前記回転部品(12)が,熱耐性素材、特にTiAlからできていることを特徴とする、請求項1に記載の結合。
【請求項3】
前記中間部品(18)が、熱耐性かつ溶接可能な素材、特にニッケル合金からできていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の接合。
【請求項4】
前記シャフト(10)が、溶接可能な素材、特に調質鋼からできていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合。
【請求項5】
前記中間部品(18)が、溶接接合、特に摩擦溶接又はEB溶接によって前記シャフト(10)と接合されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合。
【請求項6】
前記中間部品(18)が、はんだ付けによって前記シャフト(10)と接合されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合。
【請求項7】
シャフトと回転部品、特にシャフト(12)とエグゾーストターボチャージャ(16)のタービンホイール(12)とを接合する方法であり、
前記シャフト(10)と前記回転部品(12)とは、中間部品(18)によって間接的に相互に接合され、
前記中間部品(18)と前記回転部品(12)とは、リベット法によって接合されることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2011−514947(P2011−514947A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546222(P2010−546222)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010569
【国際公開番号】WO2009/100749
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】