説明

シリコン膜の形成方法およびその形成装置

【課題】ボイドやシームの発生を抑制することができるシリコン膜の形成方法およびその形成装置を提供する。
【解決手段】シリコン膜の形成方法は、第1成膜工程と、エッチング工程と、ドープ工程と第2成膜工程とを備えている。第1成膜工程では、被処理体の溝を埋め込むように不純物でドープされていないノンドープシリコン膜を成膜する。エッチング工程では、第1成膜工程で成膜されたノンドープシリコン膜をエッチングする。ドープ工程では、エッチング工程でエッチングされたノンドープシリコン膜を不純物でドープする。第2成膜工程では、ドープ工程でドープされたシリコン膜を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン膜の形成方法およびその形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の製造プロセスでは、シリコン基板上の層間絶縁膜にトレンチ、ホール形状の溝(コンタクトホール)を形成し、例えば、不純物でドープされたポリシリコン膜及びアモルファスシリコン膜等のシリコン膜(Si膜)を埋め込んで電極を形成する工程がある。
【0003】
このような工程として、例えば、特許文献1には、シリコン基板上の層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、CVD(Chemical Vapor Deposition)法でポリシリコン膜を成膜し、そのポリシリコン膜の僅かなエッチングの後に、再度ポリシリコン膜を成膜する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−321556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなSi膜を形成する方法では、Si膜として、不純物でドープされたポリシリコン膜、例えば、PドープSi膜を用いると、エッチングにより、その表面ラフネスが悪化しやすくなる。これは、PドープSi膜中のPサイトからエッチングされるためであると考えられる。このように、表面ラフネスが悪化したPドープSi膜上に、さらにPドープSi膜を成膜すると、ボイドやシームが発生しやすくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ボイドやシームの発生を抑制することができるシリコン膜の形成方法およびその形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるシリコン膜の形成方法は、
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成方法であって、
前記被処理体の溝を埋め込むように不純物でドープされていないノンドープシリコン膜を成膜する第1成膜工程と、
前記第1成膜工程で成膜されたノンドープシリコン膜をエッチングするエッチング工程と、
前記エッチング工程でエッチングされたノンドープシリコン膜を不純物でドープするドープ工程と、
前記ドープ工程でドープされたシリコン膜を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0008】
例えば、前記第1成膜工程では、開口部を有するように、ノンドープシリコン膜を成膜し、
前記エッチング工程では、前記ノンドープシリコン膜の開口部を広げるように、該ノンドープシリコン膜をエッチングし、
前記ドープ工程では、開口部が広げられたノンドープシリコン膜を不純物でドープし、
前記第2成膜工程では、ドープされたシリコン膜の開口部を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する。
【0009】
前記被処理体の表面にシード層を形成するシード層形成工程をさらに備えてもよい。この場合、前記第1成膜工程では、前記シード層上にノンドープシリコン膜を成膜する。
前記被処理体の溝の底部に形成された自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去工程をさらに備えてもよい。
前記ドープ工程でドープする不純物、及び、前記第2成膜工程で成膜するシリコン膜にドープされている不純物は、PまたはBを含む不純物と、C、O、Nから選ばれる1つ以上の不純物と、を有してもよい。
【0010】
前記第1成膜工程、前記エッチング工程、及び、ドープ工程を複数回繰り返した後、前記第2成膜工程を実行してもよい。
反応室内に前記被処理体が収容された状態で、前記第1成膜工程、前記エッチング工程、ドープ工程、及び、前記第2成膜工程を連続して行ってもよい。
【0011】
本発明の第2の観点にかかるシリコン膜の形成装置は、
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成装置であって、
前記被処理体の溝を埋め込むように不純物でドープされていないノンドープシリコン膜を成膜する第1成膜手段と、
前記第1成膜手段で成膜されたノンドープシリコン膜をエッチングするエッチング手段と、
前記エッチング手段でエッチングされたノンドープシリコン膜を不純物でドープするドープ手段と、
前記ドープ手段でドープされたシリコン膜を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0012】
例えば、前記第1成膜手段は、開口部を有するように、ノンドープシリコン膜を成膜し、
前記エッチング手段は、前記ノンドープシリコン膜の開口部を広げるように、該ノンドープシリコン膜をエッチングし、
前記ドープ手段は、開口部が広げられたノンドープシリコン膜を不純物でドープし、
前記第2成膜手段は、ドープされたシリコン膜の開口部を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する。
【0013】
前記被処理体の表面にシード層を形成するシード層形成手段をさらに備えてもよい。この場合、前記第1成膜手段は、前記シード層上にノンドープシリコン膜を成膜する。
前記被処理体の溝の底部に形成された自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去手段をさらに備えてもよい。
前記ドープ手段でドープする不純物、及び、前記第2成膜手段で成膜するシリコン膜にドープされている不純物は、PまたはBを含む不純物と、C、O、Nから選ばれる1つ以上の不純物と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ボイドやシームの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の熱処理装置を示す図である。
【図2】図1の制御部の構成を示す図である。
【図3】本実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するレシピを示した図である。
【図4】本実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するための図である。
【図5】本実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するための図である。
【図6】他の実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するレシピを示した図である。
【図7】他の実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するための図である。
【図8】他の実施の形態のシリコン膜の形成方法を説明するレシピを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のシリコン膜の形成方法およびその形成装置について説明する。本実施の形態では、シリコン膜の形成装置として、図1に示すバッチ式の縦型の熱処理装置を用いた場合を例に説明する。
【0017】
図1に示すように、熱処理装置1は、長手方向が垂直方向に向けられた略円筒状の反応管2を備えている。反応管2は、内管3と、内管3を覆うとともに内管3と一定の間隔を有するように形成された有天井の外管4とから構成された二重管構造を有する。内管3及び外管4は、耐熱及び耐腐食性に優れた材料、例えば、石英により形成されている。
【0018】
外管4の下方には、筒状に形成されたステンレス鋼(SUS)からなるマニホールド5が配置されている。マニホールド5は、外管4の下端と気密に接続されている。また、内管3は、マニホールド5の内壁から突出するとともに、マニホールド5と一体に形成された支持リング6に支持されている。
【0019】
マニホールド5の下方には蓋体7が配置され、ボートエレベータ8により蓋体7は上下動可能に構成されている。そして、ボートエレベータ8により蓋体7が上昇すると、マニホールド5の下方側(炉口部分)が閉鎖され、ボートエレベータ8により蓋体7が下降すると、マニホールド5の下方側(炉口部分)が開口される。
【0020】
蓋体7には、例えば、石英からなるウエハボート9が載置されている。ウエハボート9は、被処理体、例えば、半導体ウエハ10が垂直方向に所定の間隔をおいて複数枚収容可能に構成されている。
【0021】
反応管2の周囲には、反応管2を取り囲むように断熱体11が設けられている。断熱体11の内壁面には、例えば、抵抗発熱体からなる昇温用ヒータ12が設けられている。この昇温用ヒータ12により反応管2の内部が所定の温度に加熱され、この結果、半導体ウエハ10が所定の温度に加熱される。
【0022】
マニホールド5の側面には、複数の処理ガス導入管13が挿通(接続)されている。なお、図1では処理ガス導入管13を1つだけ描いている。処理ガス導入管13は、内管3内を臨むように配設されている。例えば、図1に示すように、処理ガス導入管13は、支持リング6より下方(内管3の下方)のマニホールド5の側面に挿通されている。
【0023】
処理ガス導入管13は、図示しないマスフローコントローラ等を介して、図示しない処理ガス供給源が接続されている。このため、処理ガス供給源から処理ガス供給管13を介して所望量の処理ガスが反応管2内に供給される。処理ガス導入管13から供給される処理ガスとして、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜、不純物でドープされたポリシリコン膜及びアモルファスシリコン膜等のシリコン膜(Si膜)を成膜する成膜用ガスがある。成膜用ガスとして、不純物でドープされていないノンドープSi膜を成膜する場合には、例えば、SiH等が用いられる。また、不純物でドープされたSi膜を成膜する場合には、例えば、P(PH)、B(BCl、B)、C(C)、O(NO)、N(NO)等の不純物が含まれたガスとSiH等とが用いられる。なお、不純物でドープされていないノンドープSi膜を不純物でドープする場合には、前述のPH、BCl等が用いられる。
【0024】
また、本発明のシリコン膜の形成方法では、後述するように、半導体ウエハ10の表面に形成された溝に第1成膜工程でSi膜を埋め込まれた後、エッチング工程で埋め込まれた溝の開口部が広げられ、第2成膜工程で開口部が広げられた溝にSi膜が埋め込まれる。このため、処理ガス導入管13から供給される処理ガスとして、エッチングガスがある。エッチングガスとしては、例えば、Cl、F、ClFなどのハロゲンガスが用いられる。
【0025】
また、本発明のシリコン膜の形成方法において、後述するように、第1成膜工程前に溝にシード層を形成する場合には、処理ガス導入管13からシード層形成用ガス、例えば、アミノ基を含むシラン、Si、Si10等の高次シランが反応管2内に供給される。アミノ基を含むシランとしては、例えば、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、トリ−ジメチルアミノシラン(3DMAS)、テトラ−ジメチルアミノシラン(4DMAS)、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)、ビスジエチルアミノシラン(BDEAS)、ビスジメチルアミノシラン(BDMAS)等がある。さらに、シリコン膜の形成方法において、後述するように、第1成膜工程前に溝の自然酸化膜を除去する場合には、処理ガス導入管13から自然酸化膜除去用ガス、例えば、アンモニアとHF又はアンモニアとNFとが同時に反応管2内に供給される。
【0026】
マニホールド5の側面には反応管2内のガスを排気するための排気口14が設けられている。排気口14は支持リング6より上方に設けられており、反応管2内の内管3と外管4との間に形成された空間に連通する。そして、内管3で発生した排ガス等が内管3と外管4との間の空間を通って排気口14に排気される。
【0027】
マニホールド5の側面の排気口14の下方には、パージガス供給管15が挿通されている。パージガス供給管15には、図示しないパージガス供給源が接続されており、パージガス供給源からパージガス供給管15を介して所望量のパージガス、例えば、窒素ガスが反応管2内に供給される。
【0028】
排気口14には排気管16が気密に接続されている。排気管16には、その上流側から、バルブ17と、真空ポンプ18とが介設されている。バルブ17は、排気管16の開度を調整して、反応管2内の圧力を所定の圧力に制御する。真空ポンプ18は、排気管16を介して反応管2内のガスを排気するとともに、反応管2内の圧力を調整する。
【0029】
なお、排気管16には、図示しないトラップ、スクラバー等が介設されており、反応管2から排気された排ガスを、無害化した後、熱処理装置1外に排気するように構成されている。
【0030】
また、熱処理装置1は、装置各部の制御を行う制御部100を備えている。図2に制御部100の構成を示す。図2に示すように、制御部100には、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等が接続されている。
【0031】
操作パネル121は、表示画面と操作ボタンとを備え、オペレータの操作指示を制御部100に伝え、また、制御部100からの様々な情報を表示画面に表示する。
【0032】
温度センサ(群)122は、反応管2内、処理ガス導入管13内、排気管16内等の各部の温度を測定し、その測定値を制御部100に通知する。
圧力計(群)123は、反応管2内、処理ガス導入管13内、排気管16内等の各部の圧力を測定し、その測定値を制御部100に通知する。
【0033】
ヒータコントローラ124は、昇温用ヒータ12を個別に制御するためのものであり、制御部100からの指示に応答して、これらに通電してこれらを加熱し、また、これらの消費電力を個別に測定して、制御部100に通知する。
【0034】
MFC制御部125は、処理ガス導入管13、及び、パージガス供給管15に設けられた図示しないマスフローコントローラ(MFC)を制御して、これらに流れるガスの流量を制御部100から指示された量にするとともに、実際に流れたガスの流量を測定して、制御部100に通知する。
【0035】
バルブ制御部126は、各管に配置されたバルブの開度を制御部100から指示された値に制御する。
【0036】
制御部100は、レシピ記憶部111と、ROM112と、RAM113と、I/Oポート114と、CPU115と、これらを相互に接続するバス116とから構成されている。
【0037】
レシピ記憶部111には、セットアップ用レシピと複数のプロセス用レシピとが記憶されている。熱処理装置1の製造当初は、セットアップ用レシピのみが格納される。セットアップ用レシピは、各熱処理装置に応じた熱モデル等を生成する際に実行されるものである。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行う熱処理(プロセス)毎に用意されるレシピであり、例えば、反応管2への半導体ウエハ10のロードから、処理済みの半導体ウエハ10をアンロードするまでの、各部の温度の変化、反応管2内の圧力変化、処理ガスの供給の開始及び停止のタイミングと供給量などを規定する。
【0038】
ROM112は、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU115の動作プログラム等を記憶する記録媒体である。
RAM113は、CPU115のワークエリアなどとして機能する。
【0039】
I/Oポート114は、操作パネル121、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等に接続され、データや信号の入出力を制御する。
【0040】
CPU(Central Processing Unit)115は、制御部100の中枢を構成し、ROM112に記憶された制御プログラムを実行し、操作パネル121からの指示に従って、レシピ記憶部111に記憶されているレシピ(プロセス用レシピ)に沿って、熱処理装置1の動作を制御する。すなわち、CPU115は、温度センサ(群)122、圧力計(群)123、MFC制御部125等に反応管2内、処理ガス導入管13内、及び、排気管16内の各部の温度、圧力、流量等を測定させ、この測定データに基づいて、ヒータコントローラ124、MFC制御部125、バルブ制御部126等に制御信号等を出力し、上記各部がプロセス用レシピに従うように制御する。
バス116は、各部の間で情報を伝達する。
【0041】
次に、以上のように構成された熱処理装置1を用いたシリコン膜の形成方法について説明する。なお、以下の説明において、熱処理装置1を構成する各部の動作は、制御部100(CPU115)により制御されている。また、各処理における反応管2内の温度、圧力、ガスの流量等は、前述のように、制御部100(CPU115)がヒータコントローラ124(昇温用ヒータ12)、MFC制御部125、バルブ制御部126等を制御することにより、例えば、図3に示すようなレシピに従った条件に設定される。
【0042】
また、本実施の形態では、被処理体としての半導体ウエハ10には、図4(a)に示すように、基板51上に絶縁膜52が形成されており、被処理体10の表面にはコンタクトホールを形成するための溝53が形成されている。
【0043】
本実施の形態のシリコン膜の形成方法では、溝53を埋め込むように、開口部54を有し、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜等の不純物でドープされていないノンドープシリコン膜(Si膜)55を成膜する第1成膜工程と、成膜されたノンドープSi膜55をエッチングして開口部54を広げるエッチング工程と、開口部54が広げられたノンドープSi膜55を不純物でドープ(不純物を有するSi膜56を形成)するドープ工程と、不純物がドープされたSi膜56の開口部54を埋め込むように、不純物がドープされたSi膜57を成膜する第2成膜工程と、を備えている。以下、これらの工程を含むシリコン膜の形成方法について説明する。
【0044】
まず、反応管2(内管3)内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、400℃に設定する。また、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3(反応管2)内に所定量の窒素を供給する。次に、図4(a)に示す半導体ウエハ10が収容されているウエハボート9を蓋体7上に載置する。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内にロードする(ロード工程)。
【0045】
続いて、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、525℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図3(b)に示すように、74.5Pa(0.56Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0046】
ここで、反応管2内の温度は、450℃〜700℃であることが好ましく、490℃〜650℃であることがさらに好ましい。また、反応管2内の圧力は、1.33Pa〜133Pa(0.01Torr〜1Torr)であることが好ましい。反応管2内の温度及び圧力をかかる範囲にすることにより、Si膜をより均一に成膜することができるためである。
【0047】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図3(d)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の成膜用ガス、例えば、SiHを供給する(第1成膜工程)。この第1成膜工程により、図4(b)に示すように、半導体ウエハ10の絶縁膜52上、及び、溝53内に、開口部54を有し、不純物でドープされていないノンドープSi膜55が形成される。
【0048】
ここで、第1成膜工程では、開口部54を有するように、半導体ウエハ10の絶縁膜52上、及び、溝53内にノンドープSi膜55を形成することが好ましい。すなわち、第1成膜工程では、溝53を完全に埋めるようにノンドープSi膜55を形成するのではなく、溝53内に開口部54を有するようにノンドープSi膜55を形成することが好ましい。これにより、第1成膜工程で溝53内のボイドが発生することを確実に防止することができる。
【0049】
半導体ウエハ10に所定量のノンドープSi膜55が形成されると、処理ガス導入管13からの成膜用ガスの供給を停止する。次に、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、300℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図3(b)に示すように、40Pa(0.3Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(パージ・安定化工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0050】
ここで、反応管2内の温度は、100℃〜550℃であることが好ましい。100℃より低いと後述するエッチング工程においてノンドープSi膜55をエッチングできないおそれがあり、550℃より高いとノンドープSi膜55のエッチング制御が困難となるおそれがあるためである。反応管2内の圧力は、1.33Pa〜133Pa(0.01Torr〜1Torr)であることが好ましい。
【0051】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、図3(e)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量のエッチング用ガス、例えば、Clを供給する(エッチング工程)。このエッチング工程により、図4(c)に示すように、半導体ウエハ10の溝53に形成された開口部54を有するノンドープSi膜55がエッチングされる。
【0052】
ここで、エッチングされるSi膜として、不純物でドープされていないノンドープSi膜55が用いられているので、その表面ラフネスが悪化しにくくなる。これは、エッチングされるSi膜として不純物でドープされたSi膜、例えば、PドープSi膜を用いると、PドープSi膜中のPサイトからエッチングされてしまうためである。このように、ノンドープSi膜55の表面ラフネスが悪化しにくいことから、後述する第2成膜工程でSi膜を成膜しても、ボイドやシームの発生を抑制することができる。
【0053】
また、このエッチング工程では、第1成膜工程で形成されたノンドープSi膜55の開口部54が広がるようにエッチングする。すなわち、図4(c)に示すように、開口部54に形成されたノンドープSi膜55のエッチング量を多くするとともに、溝53の底部付近に形成されたノンドープSi膜55のエッチング量を少なくする。これにより、後述する第2成膜工程で溝53の底部付近にSi膜を形成しやすくなる。また、後述するドープ工程で溝53の底部付近のノンドープSi膜55に不純物をドープしやすくなる。
【0054】
また、エッチング用ガスは、ノンドープSi膜55のエッチング制御が容易なClを用いることが好ましい。エッチング用ガスにClを用いた場合には、反応管2内の温度を250℃〜300℃にすることが好ましい。また、反応管2内の圧力を1.33Pa〜40Pa(0.01Torr〜0.3Torr)にすることが好ましい。反応管2内の温度及び圧力をかかる範囲にすることにより、エッチング均一性を良好にすることができる。
【0055】
ノンドープSi膜55の所望のエッチングが完了すると、処理ガス導入管13からのエッチング用ガスの供給を停止する。次に、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、525℃に加熱するとともに、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図3(b)に示すように、74.5Pa(0.56Torr)に減圧する。そして、図3(f)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の不純物、例えば、P(PH)を供給する(ドープ工程)。このドープ工程により、ノンドープSi膜55に不純物(P)がドープされ、図5(d)に示すように、PがドープされたSi膜56が形成される。
【0056】
ここで、エッチング工程により第1成膜工程で形成されたノンドープSi膜55の開口部54が広がるようにエッチングされているので、溝53の底部付近のノンドープSi膜55に不純物をドープしやすくなる。
【0057】
次に、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を525℃、74.5Pa(0.56Torr)で安定させる(パージ・安定化工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0058】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図3(d)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の成膜用ガス、例えば、SiH及びPHを供給する(第2成膜工程)。この第2成膜工程により、図5(e)に示すように、PがドープされたSi膜56上に、PがドープされたSi膜57が形成される。
【0059】
ここで、エッチング工程により第1成膜工程で形成されたノンドープSi膜55の開口部54が広がるようにエッチングされているので、溝53の底部付近にSi膜57を形成しやすくなる。このため、溝53へのSi膜57埋め込み時に、溝53内にボイドやシームが発生することを抑制することができる。
【0060】
所望のSi膜57が形成されると、処理ガス導入管13からの成膜用ガスの供給を停止する。次に、図3(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図3(a)に示すように、400℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を常圧に戻す(パージ工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を下降させることにより、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内からアンロードする(アンロード工程)。これにより、Si膜の形成が終了する。
【0061】
次に、本発明のシリコン形成方法の効果を確認するため、図3に示すレシピに沿って、図4(a)に示す半導体ウエハ10に、図5(e)のようにSi膜を形成した。形成したSi膜をSEM観察したところ、ボイドやシームが発生していないことが確認できた。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態によれば、開口部54を有するノンドープSi膜55を成膜する第1成膜工程後に、ノンドープSi膜をエッチングして開口部54を広げるエッチング工程、開口部54が広げられたノンドープSi膜55を不純物でドープするドープ工程、及び、不純物がドープされたSi膜57を成膜する第2成膜工程を実施しているので、形成するSi膜のボイドやシームの発生を抑制することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0064】
上記実施の形態では、第1成膜工程、エッチング工程、ドープ工程、及び、第2成膜工程を実施した場合を例に本発明を説明したが、例えば、第1成膜工程前に、絶縁膜52及び溝53上にシード(seed)層を形成するシード層形成工程を実施してもよい。図6に、シード層形成工程を実施するレシピを示す。
【0065】
まず、反応管2(内管3)内を所定の温度、例えば、図6(a)に示すように、400℃に設定する。また、図6(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3(反応管2)内に所定量の窒素を供給する。次に、図7(a)に示す半導体ウエハ10が収容されているウエハボート9を蓋体7上に載置する。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内にロードする(ロード工程)。
【0066】
続いて、図6(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図6(a)に示すように、400℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図6(b)に示すように、133Pa(1Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0067】
反応管2内の温度は、350℃〜500℃であることがさらに好ましい。なお、シード層形成用ガスにアミノ基を含むシランを用いた場合には、反応管2内の温度を、350℃〜450℃にすることがより好ましい。また、反応管2内の圧力は、1.33Pa〜133Pa(0.01Torr〜1Torr)であることが好ましい。反応管2内の温度及び圧力をかかる範囲にすることにより、シード層をより均一に形成することができるためである。
【0068】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図6(g)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量のシード層形成用ガス、例えば、Siを供給する(シード層形成工程)。このシード層形成工程により、図7(b)に示すように、半導体ウエハ10の絶縁膜52、及び、溝53上にシード層58が形成される。本例では、シード層形成用ガスとしてSiという高次シランを用いているので、シード層58は、その厚さが1nm〜2nm程度形成されていることが好ましい。1nm〜2nm程度形成することにより、シード層58上に形成するノンドープSi膜55の表面ラフネスを低減することができるためである。また、シード層形成用ガスとしてアミノ基を含むシラン用いる場合には、成膜工程における成膜用ガス(ソースガス)の熱分解が起こらない条件でシード層58を形成することが好ましい。
【0069】
半導体ウエハ10上に所望厚のシード層58が形成されると、処理ガス導入管13からのシード層形成用ガスの供給を停止する。次に、図6(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図6(a)に示すように、525℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図6(b)に示すように、74.5Pa(0.56Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(パージ・安定化工程)。
【0070】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図6(d)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の成膜用ガス、例えば、SiHを供給する(第1成膜工程)。この第1成膜工程により、図7(c)に示すように、半導体ウエハ10のシード層58上にノンドープSi膜55が形成される。
【0071】
ここで、ノンドープSi膜55は、シード層58上に形成されている。このため、上記実施の形態のように、基板51と絶縁膜52との2種類の材料上に形成される場合に比べて、ノンドープSi膜55の表面ラフネスを低減することができる。この結果、ボイドやシームの発生をさらに抑制することができる。
【0072】
そして、上記実施の形態と同様に、パージ・安定化工程、エッチング工程、ドープ工程、パージ・安定化工程、第2成膜工程、パージ工程、及び、アンロード工程を実施することにより、シリコン膜の形成が終了する。
【0073】
このように、第1成膜工程前にシード層を形成するシード層形成工程を実施することにより、形成されるノンドープSi膜55の表面ラフネスを低減することができ、ボイドやシームの発生をさらに抑制することができる。
【0074】
また、上記実施の形態では、第1成膜工程、エッチング工程、ドープ工程、及び、第2成膜工程を実施した場合を例に本発明を説明したが、例えば、第1成膜工程前に、溝53の底部に形成された自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去工程を実施してもよい。図8に、自然酸化膜除去工程を実施するレシピを示す。なお、本例では自然酸化膜除去用ガスとしてアンモニア(NH)及びHFを用いる場合を例に説明する。
【0075】
まず、反応管2(内管3)内を所定の温度、例えば、図8(a)に示すように、150℃に設定する。また、図8(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3(反応管2)内に所定量の窒素を供給する。次に、半導体ウエハ10が収容されているウエハボート9を蓋体7上に載置する。そして、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、半導体ウエハ10(ウエハボート9)を反応管2内にロードする(ロード工程)。
【0076】
続いて、図8(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図8(a)に示すように、150℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図8(b)に示すように、4Pa(0.03Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(安定化工程)。
【0077】
反応管2内の温度は、25℃〜200℃であることがさらに好ましい。また、反応管2内の圧力は、0.133Pa〜133Pa(0.001Torr〜1Torr)であることが好ましい。反応管2内の温度及び圧力をかかる範囲にすることにより、自然酸化膜の除去が容易となるためである。なお、自然酸化膜除去用ガスとしてアンモニアとNFを用いる場合には、半導体ウエハ10の温度が600℃を超える温度にすることが好ましい。
【0078】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図8(g)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量のアンモニア及びHFを供給する(自然酸化膜除去工程)。この自然酸化膜除去工程により、半導体ウエハ10の溝53の底部に形成された自然酸化膜を除去することができる。
【0079】
半導体ウエハ10の溝53の底部の自然酸化膜が除去されると、処理ガス導入管13からの自然酸化膜除去用ガスの供給を停止する。次に、図8(c)に示すように、パージガス供給管15から内管3内に所定量の窒素を供給するとともに、反応管2内を所定の温度、例えば、図8(a)に示すように、525℃に設定する。また、反応管2内のガスを排出し、反応管2を所定の圧力、例えば、図8(b)に示すように、74.5Pa(0.56Torr)に減圧する。そして、反応管2内をこの温度及び圧力で安定させる(パージ・安定化工程)。なお、アンモニアとHFにより自然酸化膜を除去処理した場合には、ケイフッ化アンモンが基板51上に残ることがあるが、第1成膜工程における反応管2内の温度が535℃であるため、ケイフッ化アンモンは昇華する。
【0080】
反応管2内が所定の圧力および温度で安定すると、パージガス供給管15からの窒素の供給を停止する。そして、図8(d)に示すように、処理ガス導入管13から反応管2内に所定量の成膜用ガス、例えば、SiHを供給する(第1成膜工程)。この第1成膜工程により、半導体ウエハ10の絶縁膜52上、及び、溝53内にノンドープSi膜55が形成される。
【0081】
そして、上記実施の形態と同様に、パージ・安定化工程、エッチング工程、ドープ工程、パージ・安定化工程、第2成膜工程、パージ工程、及び、アンロード工程を実施することにより、シリコン膜の形成が終了する。
【0082】
このように、第1成膜工程前に溝53の底部に形成された自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去工程を実施しているので、形成されるSi膜の電極としての特性の劣化を抑制することができる。
【0083】
また、上記実施の形態では、第1成膜工程、エッチング工程、ドープ工程、及び、第2成膜工程を実施した場合を例に本発明を説明したが、例えば、第1成膜工程、エッチング工程、及び、ドープ工程を複数回繰り返した後、第2成膜工程を実施してもよい。また、第1成膜工程前にシード層形成工程や自然酸化膜除去工程を実施した場合にも、第1成膜工程、エッチング工程、及び、ドープ工程を複数回繰り返した後、第2成膜工程を実施してもよい。これらの場合、ボイドやシームの発生をさらに抑制することができる。
【0084】
また、自然酸化膜除去工程を実施した後にシード層形成工程を実施し、その後、第1成膜工程、エッチング工程、ドープ工程、及び、第2成膜工程を実施してもよい。この場合、さらに、ボイドやシームの発生をさらに抑制することができる。
【0085】
上記実施の形態では、第1成膜工程で開口部54を有するように、半導体ウエハ10の絶縁膜52上、及び、溝53内にノンドープSi膜55を形成する場合を例に本発明を説明したが、第1成膜工程で開口部54を有しないようにノンドープSi膜55を成膜してもよい。この場合、エッチング工程でノンドープSi膜55をエッチングし、不純物でドープした後に、ドープされたシリコン膜を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜することにより、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
上記実施の形態では、成膜用ガスとしてSiHを用いた場合を例に本発明を説明したが、Si膜、すなわち、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜を成膜可能なガスであれば、他のガスを用いてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、ドープ種(不純物)としてP(PH)を用いた場合を例に本発明を説明したが、ドープ種はこれに限定されるものではなく、例えば、B、As、C、O、Nであってもよい。また、不純物は、1種類に限定されるものではなく、複数種類であってもよい。複数種類の不純物を用いる場合には、電気的なキャリアを発生するP、B、または、Asを含む不純物と、結晶の性質を変えるC、O、Nから選ばれる1つ以上の不純物とを有することが好ましい。C、O、Nから選ばれる1つ以上の不純物を有することにより、例えば、グレインの成長を抑制することができる。
【0088】
上記実施の形態では、エッチングガスとして、Clを用いた場合を例に本発明を説明したが、第1成膜工程で形成されたノンドープSi膜をエッチング可能なガスであればよく、F、ClFなどの他のハロゲンガスを用いてもよい。
【0089】
上記実施の形態では、シード層形成用ガスとしてSiを用いた場合を例に本発明を説明したが、例えば、アミノ基を含むシラン、Si10等の高次シランであってもよい。例えば、アミノ基を含むシランを用いた場合、Si膜の成長に対してインキュベーションタイムを低減したり、表面ラフネスを改善することができる。また、上記実施の形態では、自然酸化膜除去用ガスとして、アンモニアとHFとをを用いた場合を例に本発明を説明したが、溝53底部の自然酸化膜を除去可能であれば、例えば、アンモニアとNF等の各種のガスを用いてもよい。
【0090】
上記実施の形態では、熱処理装置として、二重管構造のバッチ式縦型熱処理装置を用いた場合を例に本発明を説明したが、例えば、本発明を単管構造のバッチ式熱処理装置に適用することも可能である。
【0091】
本発明の実施の形態にかかる制御部100は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部100を構成することができる。
【0092】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、シリコン膜の形成方法およびその形成装置に有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 熱処理装置
2 反応管
3 内管
4 外管
5 マニホールド
6 支持リング
7 蓋体
8 ボートエレベータ
9 ウエハボート
10 半導体ウエハ
11 断熱体
12 昇温用ヒータ
13 処理ガス導入管
14 排気口
15 パージガス供給管
16 排気管
17 バルブ
18 真空ポンプ
100 制御部
111 レシピ記憶部
112 ROM
113 RAM
114 I/Oポート
115 CPU
116 バス
121 操作パネル
122 温度センサ
123 圧力計
124 ヒータコントローラ
125 MFC制御部
126 バルブ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成方法であって、
前記被処理体の溝を埋め込むように不純物でドープされていないノンドープシリコン膜を成膜する第1成膜工程と、
前記第1成膜工程で成膜されたノンドープシリコン膜をエッチングするエッチング工程と、
前記エッチング工程でエッチングされたノンドープシリコン膜を不純物でドープするドープ工程と、
前記ドープ工程でドープされたシリコン膜を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜工程と、
を備える、ことを特徴とするシリコン膜の形成方法。
【請求項2】
前記第1成膜工程では、開口部を有するように、ノンドープシリコン膜を成膜し、
前記エッチング工程では、前記ノンドープシリコン膜の開口部を広げるように、該ノンドープシリコン膜をエッチングし、
前記ドープ工程では、開口部が広げられたノンドープシリコン膜を不純物でドープし、
前記第2成膜工程では、ドープされたシリコン膜の開口部を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項3】
前記被処理体の表面にシード層を形成するシード層形成工程をさらに備え、
前記第1成膜工程では、前記シード層上にノンドープシリコン膜を成膜する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項4】
前記被処理体の溝の底部に形成された自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去工程をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項5】
前記ドープ工程でドープする不純物、及び、前記第2成膜工程で成膜するシリコン膜にドープされている不純物は、PまたはBを含む不純物と、C、O、Nから選ばれる1つ以上の不純物と、を有する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項6】
前記第1成膜工程、前記エッチング工程、及び、ドープ工程を複数回繰り返した後、前記第2成膜工程を実行する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項7】
反応室内に前記被処理体が収容された状態で、前記第1成膜工程、前記エッチング工程、ドープ工程、及び、前記第2成膜工程を連続して行う、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成方法。
【請求項8】
表面に溝が形成された被処理体の溝にシリコン膜を形成するシリコン膜の形成装置であって、
前記被処理体の溝を埋め込むように不純物でドープされていないノンドープシリコン膜を成膜する第1成膜手段と、
前記第1成膜手段で成膜されたノンドープシリコン膜をエッチングするエッチング手段と、
前記エッチング手段でエッチングされたノンドープシリコン膜を不純物でドープするドープ手段と、
前記ドープ手段でドープされたシリコン膜を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する第2成膜手段と、
を備える、ことを特徴とするシリコン膜の形成装置。
【請求項9】
前記第1成膜手段は、開口部を有するように、ノンドープシリコン膜を成膜し、
前記エッチング手段は、前記ノンドープシリコン膜の開口部を広げるように、該ノンドープシリコン膜をエッチングし、
前記ドープ手段は、開口部が広げられたノンドープシリコン膜を不純物でドープし、
前記第2成膜手段は、ドープされたシリコン膜の開口部を埋め込むように、不純物がドープされたシリコン膜を成膜する、
ことを特徴とする請求項8に記載のシリコン膜の形成装置。
【請求項10】
前記被処理体の表面にシード層を形成するシード層形成手段をさらに備え、
前記第1成膜手段は、前記シード層上にノンドープシリコン膜を成膜する、ことを特徴とする請求項8または9に記載のシリコン膜の形成装置。
【請求項11】
前記被処理体の溝の底部に形成された自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成装置。
【請求項12】
前記ドープ手段でドープする不純物、及び、前記第2成膜手段で成膜するシリコン膜にドープされている不純物は、PまたはBを含む不純物と、C、O、Nから選ばれる1つ以上の不純物と、を有する、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載のシリコン膜の形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−33933(P2013−33933A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116061(P2012−116061)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】