説明

シリビン配糖体水溶液及び皮膚外用組成物

【課題】着色安定性に優れたシリビン配糖体溶液を開発する
【解決手段】ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、1,3−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上とシリビン配糖体を含有するシリビン配糖体水溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリビン溶解技術及びその溶解液の利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シリマリンはI型コラーゲン産生促進作用、エラスチン産生促進作用(特許文献1:WO2004/85429号公報)、表皮細胞分化抑制作用(特許文献2:特開2004−91397号公報)、光老化防止作用(特許文献3:特開2006−265186号公報)、異常タンパク質除去作用(特許文献4:特開2007−99650号公報)を有することが知られている。
一方、シリビンは、水、油にはほとんど溶解しないため、皮膚外用剤等の組成物に配合し難いという課題点を有しており、多価アルコール、界面活性剤、強塩基を用いて分散する技術(特許文献5:特開2006−89418号公報)、リン脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンを用いて分散する技術(特許文献6:特開2006−282568号公報)が開示されている。
しかしながら、これらの技術を用いると処方設計上の制約がある。
シリビンのグルコース配糖体、ガラクトース配糖体、ラクトース配糖体、マルトース配糖体が、シリビンと比べて水溶性に優れることが知られている(非特許文献1:Kosina P.et al.,Phytother. Res. 16,S33-S39(2002)参照)。
【0003】
本出願人は、シリビン配糖体の研究を継続しており、シリビン配糖体を含有し、シワ形成抑制効果、表皮角化細胞分化抑制効果、I型コラーゲン産生促進効果を有する皮膚外用組成物を特許出願している(特願2008−14361)。
本発明者は、シリビン配糖体を皮膚外用剤に配合した際に、シリビン配糖体溶液の経時的な褐変の問題に直面した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/85429号公報
【特許文献2】特開2004−91397号公報
【特許文献3】特開2006−265186号公報
【特許文献4】特開2007−99650号公報
【特許文献5】特開2006−89418号公報
【特許文献6】特開2006−282568号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kosina P.et al.,Phytother. Res. 16,S33-S39(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、着色安定性に優れたシリビン配糖体溶液を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、1,3−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上とシリビン配糖体を含有することを特徴とするシリビン配糖体水溶液。
2.シリビン配糖体を、ポリオキシプロピレン基を有する化合物を含有する水溶液に溶解したことを特徴とするシリビン配糖体水溶液。
3.ポリオキシプロピレン基を有する化合物が、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビトールからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする2.記載のシリビン配糖体水溶液。
4.シリビン配糖体がシリビンマルトシドであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のシリビン配糖体水溶液。
5.1.〜4.のいずれかに記載のシリビン配糖体水溶液を含有する皮膚外用剤。
6.1.〜4.のいずれかに記載のシリビン配糖体水溶液を含有するシワ形成抑制剤。
【発明の効果】
【0008】
ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、1,3−ブタンジオールのいずれかを配合することにより、経時的な褐変を抑えることができる安定したシリビン配糖体水溶液を実現することができた。また、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビトールなどのポリオキシプロピレン基を有する化合物を配合することにより、経時的な褐変を抑えることができる安定したシリビン配糖体水溶液を実現することができた。
安定した長期保存及び透明性に優れたシリビン高濃度水溶液が実現できたので、水溶液を使用した皮膚外用剤や化粧料などの剤型へ、実用的な適用範囲を拡大することができた。
即ち、
1.溶解性の高いシリビン配糖体を用いることにより、シリビンの作用機序を向上させた皮膚外用組成物、シワ形成抑制剤、表皮角化細胞分化抑制剤、老化防止用皮膚外用組成物、I型コラーゲン産生促進剤、日焼けによる肌荒れ改善剤を提供することが可能となった。特に、水溶解性が高く、安全性、低刺激性、使用範囲が向上する。
2.特に、シリビン配糖体として、化学式(1)に示されるシリビンマルトシドが有効である。
3.本発明で用いるシリビン配糖体は水溶性が高く、水溶液タイプの剤型として利用できる。化粧水、ジェル状美容液、乳液、クリーム、パック等の皮膚外用組成物、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状又はクリーム状のファンデーションといったメイクアップ皮膚外用組成物、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用皮膚外用組成物、入浴剤等とすることができる。
4.本発明で用いるシリビン配糖体は、乳液やクリームなどでも、水性部分に高配合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における50℃5ヶ月保存試験による色変化を示すグラフ。
【図2】実施例2における50℃保存色変化について30日間推移を示すグラフ。
【図3】実施例3における50℃3ヶ月保存試験による色変化を示すグラフ。
【図4】表皮角化細胞増殖維持試験結果を示すグラフ。
【図5】I型コラーゲン産生促進試験結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシリビン配糖体水溶液は、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、1,3−ブタンジオールのいずれかを含有する水溶液にシリビン配糖体が溶解しているものである。
また、本発明のシリビン配糖体水溶液は、ポリオキシプロピレン基を有する化合物を含有する水溶液にシリビン配糖体が溶解しているものである。ポリオキシプロピレン基を有する化合物としては、例えば、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビトールが挙げられる。
シリビン(Silybin;CAS No.22888−70−6)は、キク科マリアアザミ(学名シリバム・マリアナムSilibum marianum Gaertn、別名オオアザミ、オオヒレアザミ、ミルクアザミ;CAS No.84604−20−6)から抽出されるフラボノリグナンの一種である。マリアアザミから抽出されるフラボノリグナンはシリマリン(Silymarin;CAS No.65666−07−1)の総称で呼ばれ、シリビン以外に、シリジアニン(Silydianin;CAS No.29782−68−1)、シリクリスチン(Silychristin;CAS No.33889−69−9)、イソシリビン(Isosilybin;CAS No.72581−71−6)などが含まれている。
シリビンはシリマリンからクロマトグラフィーを用いて単離することが可能であり、また、試薬を購入して入手することが可能である。
【0011】
本発明に用いるシリビン配糖体は文献(Kren V. et al., J.Chem.Soc.,Perkin Trans 1,2467-2474(1997))に従って、ルイス酸を触媒として、シリビンにアセチル基で水酸基を保護した糖を結合し、脱アセチル化することにより調製できる。この反応系ではシリマリンの第一級アルコールの水酸基に糖が選択的にグリコシド結合する。
【0012】
シリビンに、ルイス酸を触媒として、パーアセチルマルトースを反応させてグリコシド結合を生成し、脱アセチル化することにより、式(1)のシリビンマルトシドが得られる。
【0013】
【化1】

式(1)
【0014】
具体的には、以下の手順によりシリビンマルトシドを合成できる。
〔シリビンマルトシドの合成〕
Helferichの方法に従ってシリビンマルトシドを合成した。
シリビン(3.0g、6.2mol)とオクタ−O−アセチル−D−マルトース(6.3g、9.2mol)とを180mlのジクロロメタン−アセトニトリル(1:1、v/v)の溶媒中で、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体(1.14ml、12.4mmol)を窒素存在下、室温で19時間攪拌反応させた。反応終了後、氷冷しながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、150mlジクロロメタンで2回抽出処理し、無水硫酸ナトリウム処理後に抽出溶媒をエバポレーターにて除去した。
トリエチルアミン−メタノール−水(1:8:1)を35℃30時間反応させたのち、エバポレーターにより溶媒を除去した。BONDESIL-C18(Varian)を用いて精製を行い、シリビンマルトシド(1.0g, 収率20%)を得た。得られたシリビンマルトシドをMSスペクトルで確認し、[M+H]:807.5のピークを検出した。
【0015】
シリビンに、ルイス酸を触媒として、パーアセチルラクトースを反応させてグリコシド結合を生成し、脱アセチル化することにより、式(2)のシリビンラクトシドが得られる。
【0016】
【化2】

式(2)
【0017】
具体的には、以下の手順によりシリビンラクトシドを合成できる。
〔シリビンラクトシドの合成〕
Helferichの方法に従ってシリビンラクトシドを合成した。
シリビン(3.0g、6.2mol)とオクタ−O−アセチル−D−ラクトース(6.3g、9.2mol)とを180mlのジクロロメタン−アセトニトリル(1:1、v/v)の溶媒中で、三ふっ化ほう素ジメチルエーテル錯体(1.14ml、12.4mmol)を窒素存在下、室温で19時間攪拌反応させた。反応終了後、氷冷しながら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、150mlジクロロメタンで2回抽出処理し、無水硫酸ナトリウム処理後に抽出溶媒をエバポレーターにて除去した。
トリエチルアミン−メタノール−水(1:8:1)を35℃30時間反応させたのち、エバポレーターにより溶媒を除去した。BONDESIL-C18(Varian)を用いて精製を行い、シリビンラクトシド(1.0g, 収率20%)を得た。得られたシリビンラクトシドをMSスペクトルで確認し、[M+H]:807.5のピークを検出した。
【0018】
本発明のシリビン配糖体を有効成分とするシワ形成抑制剤としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等のシワ改善用皮膚外用組成物、シワ改善用の医薬部外品、シワ改善用医薬品が挙げられる。乳液やクリームであっても、水性部分にシリビン配糖体を高濃度で配合することができる。
【0019】
本発明のシリビン配糖体を有効成分とする表皮角化細胞分化抑制剤は、表皮角化細胞の分化を抑制し、増殖を維持し、ターンオーバーの遅延を予防、防止、改善し、加齢や紫外線照射により引き起こされる表皮の偏平化を防ぎ、老化した皮膚を再生する作用を有するので、老化防止用皮膚外用組成物として用いることができる。
本発明の、シリビン配糖体を有効成分とするI型コラーゲン産生促進剤は、皮膚のはりや弾力性を向上させ、しわやたるみを予防、防止、改善することが期待できるので、老化防止用皮膚外用組成物として用いることができる。
【0020】
本発明に用いるポリオキシアルキレンジグリセリルエーテルは、ジグリセリンに酸化アルキレンを付加重合して得られる化合物である。
ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテルとしては、ジグリセリンに酸化プロピレンを付加重合したポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ジグリセリンに酸化エチレンを付加重合したポリオキシエチレンジグリセリルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルは市販品を用いることができる。市販品としては、阪本薬品工業株式会社製SY−DP4(表示名称PPG−4ジグリセリル:ジグリセリンへの酸化プロピレンの平均付加モル数が4)、SY−DP9(表示名称PPG−9ジグリセリル:ジグリセリンへの酸化プロピレンの平均付加モル数が9)、SY−DP14T(表示名称PPG−14ジグリセリル:ジグリセリンへの酸化プロピレンの平均付加モル数が14)、SC−P400、SC−P750、SC−P1000、日油株式会社製ユニルーブDGP−700(表示名称PPG−9ジグリセリル:ジグリセリンへの酸化プロピレンの平均付加モル数が9)、DGP−950(表示名称PPG−14ジグリセリル:ジグリセリンへの酸化プロピレンの平均付加モル数が14)等が挙げられる。
ポリオキシエチレンジグリセリルエーテルは市販品を用いることができる。市販品としては、阪本薬品工業株式会社製SC−E450、SC−E750、SC−E1000等が挙げられる。
本発明に用いるポリオキシプロピレンメチルグルコシドは、メチルグルコシドのポリプロピレングリコールエーテルであり、CH(C10)(OC(CH)HCHOHで表される。ポリオキシプロピレンメチルグルコシドは、市販品を用いることができる。例えば日油製マクビオブライドMG−10P(POP(10)メチルグルコシド 表示名称PPG−10メチルグルコース:エーテル結合しているポリプロピレングリコールの鎖長nの平均は10)、マクビオブライドMG−20P(POP(20)メチルグルコシド 表示名称PPG−20メチルグルコース:エーテル結合しているポリプロピレングリコールの鎖長nの平均は20)、ノベオン製GLUCAM P−10(POP(10)メチルグルコシド 表示名称PPG−10メチルグルコース)、GLUCAM P−20(POP(20)メチルグルコシド 表示名称PPG−20メチルグルコース)が挙げられる。
本発明に用いるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリンは、グリセリンの全てのヒドロキシ基にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドを付加して得られる化合物であり、市販品を用いることができる。例えば日油製ウィルブライドS−753(表示名称PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン)が挙げられる。
本発明に用いるポリオキシプロピレングリセリルエーテルは、グリセリンのポリプロプレングリコールエーテルであり、C(OC(CH)HCHOHで表される。ポリオキシプロピレングリセリルエーテルは、市販品を用いることができる。例えば日油製ユニオールTG−1000(表示名称PPG−16グリセリル:エーテル結合しているポリプロピレングリコールの鎖長nの平均は16)、ユニオールSGP−65(表示名称PPG−8グリセリル:エーテル結合しているポリプロピレングリコールの鎖長nの平均は8)、ユニオールTG−1500(表示名称PPG−24グリセリル:エーテル結合しているポリプロピレングリコールの鎖長nの平均は24)等が挙げられる。
本発明に用いるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは、高級アルコールにエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加したエーテルで、R−(OC(CH)CH(OCHCHOHで表される。市販品を用いることができる。例えば日光ケミカルズ社製PEN−4620(POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 表示名称PPG−6デシルテトラデセス−20:デシルテトラデカノールに平均6モルのプロピレンオキシドと平均20モルのエチレンオキシドを付加重合した化合物)、PEN−4612(POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 表示名称PPG−6デシルテトラデセス−12:デシルテトラデカノールに平均6モルのプロピレンオキシドと平均12モルのエチレンオキシドを付加重合した化合物)、PEN−4630(POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 表示名称PPG−6デシルテトラデセス−30:デシルテトラデカノールに平均6モルのプロピレンオキシドと平均30モルのエチレンオキシドを付加重合した化合物)、日油製ユニルーブ50MT−2200B(POE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテル 表示名称PPG−13デシルテトラデセス−24:デシルテトラデカノールに平均13モルのプロピレンオキシドと平均24モルのエチレンオキシドを付加重合した化合物)、ユニルーブ50MT−2000B(POE(10)POP(20)デシルテトラデシルエーテル 表示名称PPG−20デシルテトラデセス−10:デシルテトラデカノールに平均20モルのプロピレンオキシドと平均10モルのエチレンオキシドを付加重合した化合物)等が挙げられる。
本発明に用いるポリオキシプロピレンソルビトールはソルビトールのポリプロピレングリコールエーテルである。市販品を用いることができ、例えば日油製ユニオールHS−1600D(POP(25)ソルビトール 表示名称PPG−25ソルビトール:プロピレンオキシドの平均付加モル数は25)が挙げられる。
【0021】
本発明に用いるジプロピレングリコール(DPG)、1,2−ヘキサンジオール(1,2−HD)、1,2−ペンタンジオール(1,2−PD)、ポリエチレングリコール(PEG1540、PEG4000)、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(メチルグルセス−10)、1,3−ブタンジオールはいずれも化粧品原料として汎用されている。
市販品としては、例えば、1,2−ヘキサンジオールは株式会社感光社製KMO−6等を用いることができる。1,2−ペンタンジオールはシムライズ株式会社製ハイドロライト−5等を用いることができる。ポリエチレングリコールは東邦化学工業株式会社製PEG1540、PEG4000等を用いることができる。ポリオキシエチレンメチルグルコシドは日本ルーブリゾール株式会社製グルカムE−10、日油株式会社製マグビオブライドMG−10E等を用いることができる。
【0022】
本発明のシリビン配糖体水溶液を含有する皮膚外用剤は、化粧料、医薬部外品、医薬品として用いることができる。本発明の皮膚外用剤は、溶液のみならず、乳化組成物であってもよい。乳化組成物は水中油型、油中水型のいずれにも適用できる。具体的には、化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック等の剤型とすることができる。
本発明の皮膚外用剤には、油剤、界面活性剤、防腐剤、多価アルコール、エタノール、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、保湿剤、香料、pH調整剤等を含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【実施例1】
【0023】
1.0質量%相当量のシリビンマルトシド(岩城製薬社製)を50質量%相当量の以下の17種類の親水性溶媒(グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン4量体、ポリグリセリン10量体、ポリグリセリン6量体、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、エタノール、1,3−ブタンジオール、POE(10)メチルグルコシド(ポリオキシエチレンメチルグルコシド)、PEG1540(ポリエチレングリコール)、PEG4000(ポリエチレングリコール)、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、SY−DP14T(PPG−14ジグリセリル:ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で14モルの酸化プロピレンが付加重合した化合物)、SY−DP9(PPG−9ジグリセリル:ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で9モルの酸化プロピレンが付加重合した化合物))に分散した後、精製水に溶解し、1%KOH水溶液にてpHを5.5に調整して、100質量%とした。。
コニカミノルタ製分光測色計CM−3500dを用いて、厚さ2mmのガラスセル(CM−A97)に17種類のシリビンマルトシド水溶液を入れて、透過法により測色した。
17種類のシリビンマルトシド水溶液を50℃で5ヶ月保存し、同様に測色し、50℃で保存する前との色差を求めた。また、以下の基準により、50℃5ヶ月保存後の褐変度合を目視評価した。
【0024】
目視評価の基準
○:ごくわずかに黄変、殆ど変化なし
△:やや黄変
×:褐変
結果を表1に示す。表1の結果を図1にグラフ化した。
【0025】
【表1】

【実施例2】
【0026】
1.0質量%相当量のシリビンマルトシド(岩城製薬社製)を50質量%相当量の以下の5種類の親水性溶媒(ジグリセリン、SY−DP4(PPG−4ジグリセリル:ジグリセリンのヒドロキシ基に合計4モルの酸化プロピレンが付加重合した化合物)、SY−DP9(PPG−9ジグリセリル:ジグリセリンのヒドロキシ基に合計9モルの酸化プロピレンが付加重合した化合物)、SY−DP14T(PPG−14ジグリセリル:ジグリセリンのヒドロキシ基に合計14モルの酸化プロピレンが付加重合した化合物)、SC−E750(ジグリセリンのヒドロキシ基に合計13モルの酸化エチレンが付加重合した化合物)に分散した後、精製水に溶解し、1%KOH水溶液にてpHを5.5に調整して、100質量%とした。
コニカミノルタ製分光測色計CM−3500dを用いて、厚さ2mmのガラスセル(CM−A97)に5種類のシリビンマルトシド水溶液を入れて、透過法により測色した。
5種類のシリビンマルトシド水溶液を50℃に保存し、7日後、14日後、28日後に同様に測色し、50℃で保存する前との色差を求めた。
結果を図2にグラフ化した。
【実施例3】
【0027】
1.0質量%相当量のシリビンマルトシド(岩城製薬社製)を50質量%相当量の以下の7種類の親水性溶媒(POP(10)メチルグルコシド(ポリオキシプロピレンメチルグルコシド日油製マクビオブライドMG−10P)、PPG−14ジグリセリル(ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル 阪本薬品工業製SY−DP14Tジグリセリンのヒドロキシ基に合計で14モルの酸化プロピレンが付加重合した化合物)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン 日油製ウィルブライドS−753)、PPG−16グリセリル(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル 日油製ユニオール TG−1000)、PPG−9ジグリセリル(ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル 阪本薬品工業製SY−DP9ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で9モルの酸化プロピレンが付加重合した化合物))、POE(20)POP(16)デシルテトラデシルエーテル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル 日光ケミカルズ製PEN−4620)、PPG−25ソルビトール(ポリオキシプロピレンソルビトール 日油製ユニオールHS−1600D)に分散した後、精製水に溶解し、1%KOH水溶液にてpHを5.5に調整して、100質量%とした。
コニカミノルタ製分光測色計CM−3500dを用いて、厚さ2mmのガラスセル(CM−A97)に7種類のシリビンマルトシド水溶液を入れて、透過法により測色した。
7種類のシリビンマルトシド水溶液を50℃で3ヶ月保存し、同様に測色し、50℃で保存する前との色差を求めた。また、以下の基準により、50℃3ヶ月保存後の褐変度合を目視評価した。
【0028】
目視評価の基準
○:ごくわずかに黄変、殆ど変化なし
△:やや黄変
×:褐変
結果を表5に示す。表5の結果を図3にグラフ化した。
【0029】
(表5)

【0030】
実施例1にて、PPG−14ジグリセリルの50℃保管5ヵ月後の色差は、10.8であったが、実施例3においては、50℃保管3ヶ月後の色差が14.5であった。一方、実施例1にて、PPG−9ジグリセリルの50℃保管5ヵ月後の色差は、9.1であったが、実施例3においては、50℃保管3ヶ月後の色差が7.3であった。この様な差が生じたのは、別時期に、別ロットのシリビンマルトシドで実験を行ったためである。
実施例1並びに実施例3に示されたように、PPG−14ジグリセリルとPPG−9ジグリセリルはシリビンマルトシド水溶液の経時的な褐変を抑制する効果に優れるが、同様にポリオキシエチレン基を有するPOP(10)メチルグルコシド(ポリオキシプロピレンメチルグルコシド)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン)、PPG−16グリセリルエーテル(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル)、POE(20)POP(16)デシルテトラデシルエーテル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル)、PPG−25ソルビトール(ポリオキシプロピレンソルビトール)についても、シリビンマルトシド水溶液の経時的な褐変を抑制する優れた効果が認められた。
【0031】
[試験例1]
表皮角化細胞分化抑制試験・増殖維持作用
1.実験材料
1.1 ヒト正常表皮角化細胞
ヒト正常表皮角化細胞NHEK(旭テクノグラス)を表皮角化細胞用培地:KGM(旭テクノグラス)で37℃-5% COインキュベーターにて培養した。本実験には経代数が3〜5代の細胞を利用した。
1.2 KGM(表皮角化細胞用培地)
KGMは表皮角化細胞基礎培地にヒト上皮細胞増殖因子(0.1ng/ml)、インシュリン(5.0μg/ml)、ハイドロコルチゾン(0.5μg/ml)、ゲンタマイシン(50μg/ml)、アンフォテリシンB(50μg/ml)、牛脳下垂体抽出液(2ml)を添加したものである。シリビン配糖体をはじめとするサンプルを細胞に添加する場合には、牛脳下垂体抽出液のみを除いた、KGM培地を用いて実験を行った。
1.3 添加サンプル
シリビン(SB)、シリビンマルトシド(SBM)、シリビンラクトシド(SBL)をDMSO(ジメチルスフフォキシド:和光純薬)に溶解し、各種濃度にて添加した。
【0032】
2.実験方法
2.1 表皮角化細胞分化抑制試験
NHEKをKGMで5×10/mlになるように懸濁し、4ml/ウエルで6穴プレートに播種し、24時間培養して、プレートに細胞を接着させた。各化合物を添加した牛脳下垂体抽出液を除いたKGMを4ml/ウエルで処理し、2日毎に培地交換しながら、8〜10日間培養した。毎日顕微鏡で形態観察を行い、DMSO処理したコントロール細胞が分化様の形態変化(扁平化)を示した時点で、写真撮影を行い、培養を終了した。
2.2 表皮角化細胞増殖維持試験
上記実験で得られた細胞をトリプシン処理によりプレートからはがした後に、KGM中で2.5×10/mlとなるように懸濁した。細胞懸濁液を2ml/ウエルで24穴プレートに播種し、2日ごとに培地交換しながら、8日間培養した。培養後、NHEKをトリプシン処理によりプレートからはがし、コールカウンター(ベックマン・コールター)により細胞数を測定した。
3.実験結果
3.1 表皮角化細胞分化抑制試験
DMSOを処理した比較対照群であるControl並びにSB 3μM(シリビンを3μM添加した培地で培養)では、表皮角化細胞は扁平化し、分化様の形態変化を示した。それに対して、SBM3μM、SBL3μMでは分化様の形態は認められなかった。SB、SBL、SBMをそれぞれ10μM添加した培地で培養した場合には、全て、表皮角化細胞の分化が抑制された。SB、SBL、SBMは表皮角化細胞の分化抑制作用を有するが、SBM、SBLはSBに比べて表皮角化細胞分化抑制効果に優れている。
【0033】
3.2 表皮角化細胞増殖維持試験
上記の表皮角化細胞分化抑制試験において、分化が抑制されていれば細胞は増殖能を維持し、継代作業をすることで順次増殖するはずである。分化誘導された細胞は分化が付加逆的な反応であるため増殖することはできない。
そこで上記試験で得られた細胞を経代し、維持されている増殖能を増殖した細胞の数を測定することで調べた。
【0034】
その結果を図4に示す。試料濃度3μMでは、SBを添加したものについて細胞増殖能は殆ど維持されていないが、SBMは試料無添加と比べて1.8倍、SBLは試料無添加と比べて1.4倍に細胞数が増加し、細胞増殖能の維持効果が認められた。試料濃度10μMでは、SB、SBM、SBLともに細胞数が増加し、SBは試料無添加と比べて1.5倍、SBMは試料無添加と比べて2.1倍、SBLは試料無添加と比べて1.8倍に細胞数が増加し、細胞増殖能の維持効果が認められた。SBと比べて、SBM、SBLの細胞増殖能の維持効果が高いことがわかる。
【0035】
[試験例2]
I型コラーゲン産生促進作用
1.実験材料
1.1 ヒト皮膚繊維芽細胞
ヒト皮膚繊維芽細胞CCD1074SK(大日本住友製薬)をD−MEM中で37℃-5% COインキュベーターにて培養した。本実験には経代数が10〜15代の細胞を利用した。
1.2 D−MEM
D−MEMは、D−MEM基礎培地(GIBCO)に牛胎児血清(Hyclone)を10%になるよう添加して用いた。またサンプルを処理する際には、牛胎児血清を入れないD−MEMを用いて実験を行った。
2.実験方法
ヒト皮膚繊維芽細胞CCD1074SKを10%牛胎児血清を含むD−MEM培地で3×10/mlになるように懸濁し、10cmシャーレに1ml播種し、24時間培養し、プレートに細胞を接着させた。培地をDMSOに溶解させた各サンプルを各濃度で添加した牛胎児血清を入れないD−MEM培地に交換した。培地交換48時間後に細胞培養液を回収し、限外ろ過装置を用いて培養液を濃縮した。約500ml以下に濃縮後、タンパク質定量を行い、タンパク質量をそろえた後に、細胞培養液濃縮サンプルとしてウエスタンブロティングに使用した。
1レーン当り10μgのタンパク質をアプライし、SDS-PAGEで分離後、ニトロセルロース膜に転写した。転写後のニトロセルロース膜をブロッキング溶液(スキムミルクを5%の濃度になるように0.1%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むPBSで溶解した溶液)に浸し、4℃で一昼夜ブロッキングした。洗浄液{0.1%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むPBS}で洗浄後、一次抗体{洗浄液で500ng/mlに調製したI型コラーゲンに対するポリクローナル抗体(ロックランド)}に浸し、室温で1時間反応させた。洗浄後、二次抗体(洗浄液で250ng/mlに調製したホースラディッシュパーオキシダーゼ標識化抗ウサギイムノグロブリンG)に浸し、室温で1時間反応させた。洗浄後、ECLプラスウエスタンプロッティング検出試薬(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて検出した。
【0036】
実験結果
実験の結果、SBと同様にSBL、SBMの両者にもI型コラーゲン産生促進作用が認められた。実験結果を図5に示す。
【0037】
得られたバンドの強度をプログラムソフトImage Jにより数値化した結果、及びDMSO処理時のI型コラーゲンの産生量を1とした際の比較産生量を表2に示す
【0038】
【表2】

【0039】
SB、SBM、SBLともにI型コラーゲン産生促進作用を示した。SBと比べて、SBM、SBLはI型コラーゲン産生促進効果が強い。特に、試料濃度10μMでは、SBM、SBLの作用効果が大きく、高濃度での顕著な作用効果が認められる。
【0040】
[試験例3]
紫外線照射による水分蒸散抑制作用シワ形成抑制作用
1.実験材料・器具
実験動物ヘアレスマウスHos;HR1 ♀ 5週齢 (星野実験材料)
1.2 紫外線照射装置
紫外線A波(FL32SBL/DMR:(株)クリニカルサプライ製)
紫外線B波(FL32SE/DMR:(株)クリニカルサプライ製)
1.3 経皮水分蒸散量測定装置
Vapometer(キーサイエンス社製)
1.4 レプリカ採取器具およびレプリカ解析システム
(有)アサヒバイオメッド製の反射型レプリカ採取キット及びレプリカ解析システムASA‐03RXD
【0041】
2.実験方法
2.1 飼育環境
25℃±2℃、湿度50%±5%、食餌は飼料MR、水道水をそれぞれ自由摂取できるコンベンショナルな飼育環境で飼育した。
一群につき5匹を群分けし同一ケージにて飼育した。
日照は午前7時〜午後7時までの12時間ごとに昼夜を設定した。
2.2 紫外線照射
へアレスマウスHos;HR1を1週間馴化したのち紫外線照射を開始した。紫外線照射時は、ヘアレスマウスを専用のケージに移し、1群ずつUVB20mJ/cmおよびUVA10J/cmの紫外線を照射した。照射は月、水および金の週3日サイクルで10週間実施し、合計30回紫外線を照射した。
【0042】
2.3 群設定
紫外線照射後30分以内にSB、SBL、SBMメタノール溶液又は溶媒(メタノール)をマウス背部皮膚全面に100μL処理した。SB、SBL、SBM塗布の濃度設定をそれぞれ1.0%、0.3%、0.1%の3点設定し、これら全群については紫外線照射を行った。溶媒であるメタノールのみを塗布するものについて、紫外線未照射及び紫外線照射の群を設けた。溶媒にメタノールを用いたのはSBを溶解するためである。メタノール中において、SBM、SBLは1%濃度においても完全に溶解していたが、SBは0.1%のみが完全に溶解しているが、0.3%は若干析出が認められ、1%においては不溶物が認められた。
SBメタノール溶液に不溶物が認められた場合も、そのまま実験に用いた。
【0043】
2.4 経皮水分蒸散量の測定
経皮水分蒸散量の測定は、VapoMeter(キーストン サイエンティフィック社製)を用い、背部の尾付け根より首に向かい2cm、腰椎から右側に0.5cm部位を3回測定して平均を求めた。測定端末の開口部はNailモード(開口部を狭くすることで、マウス皮膚の狭い範囲に対応した)を用い、1回ごとの測定時間に約19秒を要した。測定日は、紫外線照射10週間後に行った。
【0044】
2.5 レプリカ画像解析
シワの形成を正確に把握するためレプリカを採取した。レプリカ画像解析は反射用レプリカ解析システムASA−03RXD((有)アサヒバイオメッド製)を使用して行った。ASA−03RXDを用いて、採取したレプリカに角度27度からの平行光(LED光源)を照射する事により得られるシワの形状に応じた陰影画像をCCDカメラで撮像し、コンピュータに取り込み画像処理することでレプリカ表面のしわ体積率(μm/mm/100)を計測した。
【0045】
2.6 統計解析
試験結果は平均値±標準偏差(S.D.)で表し、有意差検定は等分散性の検定をバートレット検定により行った。等分散性の仮定が棄却されなかった時はDunnettの多重検定を行い、等分散性の仮定が棄却された時は参考データとしてDunnettの多重検定を行った。
【0046】
3.試験結果
3.1 体重変動、外観観察
10週間照射終了後、各群間で体重変遷に目立った違いは無かった。重篤な病変を示したマウスもいなかった。
マウス皮膚の外観を観察した結果、群2の紫外線照射メタノール処理群ではシワ形成が認められるのに対し、群4の0.3%シリビン塗布群、群6〜群8の全てのSBM塗布群、群9〜群11の全てのSBL塗布群においてシワ抑制作用が認められた。
【0047】
3.2 経皮水分蒸散量
肌荒れの指標として、紫外線照射10週間後にVapoMeterを用いて各群の水分蒸散量を測定した。結果を表3に示す。
群1の紫外線未照射群に比べて群2の紫外線照射群では経皮水分蒸散量が高くなる。群3〜群11のシリビン(SB)、シリビン配糖体(SBM、SBL)塗布群では、危険率1%以下で有意に経皮水分蒸散量の上昇が抑制されていた。
【0048】
1群(紫外線非照射、メタノール塗布)の水分蒸散量を0%、2群(紫外線照射、メタノール塗布)の水分蒸散量を100%としたとき、3〜5群(紫外線照射、SB0.1〜1%塗布)の水分蒸散量は26〜76%、6〜8群(紫外線照射、SBM0.1〜1%塗布)の水分量は11〜21%、9〜11群(紫外線照射、SBL0.1〜1%塗布)の水分量は24〜27%となり、SB、SBM、SBLを添加することにより水分蒸散量の上昇が抑制された。特に、シリビン配糖体であるSBM、SBLの水分蒸散量の上昇抑制効果が高い。つまり日焼けによる肌荒れを改善する効果がある。
【0049】
【表3】

【0050】
3.3 シワ体積率
10週間照射終了後、シワの形成を正確に把握するためレプリカを採取し、画像解析によりレプリカ表面のしわ体積率(μm/mm/100)を計測した。結果を表4に示す。
【0051】
Dunnettの有意差検定を実施した結果、群2(紫外線照射メタノール塗布)に対して、群1(紫外線未照射メタノール塗布)、群4(紫外線照射 SB0.3%塗布)、群7(紫外線照射 SBM0.3%塗布)、群11(紫外線照射 SBL1.0%塗布)は、それぞれ危険率5%以下で有意にシワ体積が抑制された。
【0052】
【表4】

【0053】
〔処方例1 化粧水〕
質量%
1.シリビンマルトシド 0.3
2.SY−DP9(ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で9モルの酸化プロピレンが付加
重合した化合物) 5.0
3.ジプロピレングリコール 5.0
4.水酸化カリウム 適量
5.クエン酸 適量
6.精製水 残余
(製法)
6に1〜5を溶解した。

【0054】
〔処方例2 乳液〕
質量%
1.シリビンマルトシド 3.0
2.水素添加大豆リン脂質 0.7
3.ステアリン酸デカグリセリル(HLB12) 2.0
4.SY−DP9(ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で9モルの酸化プロピレンが付加
重合した化合物) 8.0
5.オリーブ油 8.0
6.ベヘニルアルコール 1.0
7.ジプロピレングリコール 8.0
8.カルボキシビニルポリマー 0.1
9.キサンタンガム 0.2
10.水酸化カリウム 適量
11.クエン酸 適量
12.精製水 残余
(製法)
1〜4及び7〜12を80℃で加温溶解する。これに、約80℃に加温した5、6を加え、ホモミキサーで攪拌混合し、30℃まで冷却し、乳液を得た。

【0055】
〔処方例3 モイスチャー美容液〕
質量%
1.シリビンマルトシド 0.2
2.水素添加大豆リン脂質 0.6
3.モノオレイン酸デカグリセリル(HLB12) 1.5
4.ジプロピレングリコール 7.0
5.1,3−ブタンジオール 5.0
6.ポリエチレングリコール4000 0.1
7.スクワラン 5.0
8.シリコーン 0.5
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)
0.2
10.キサンタンガム 0.3
11.水酸化カリウム 適量
12.クエン酸 適量
13.精製水 残余
(製法)
1及び11〜13を攪拌溶解し、4〜6、10を添加後約80℃に加温溶解する。
これに、約80℃に加温した2、3、7〜9を加え、30℃まで冷却し、モイスチャー美容液
を得た。

【0056】
〔処方例4 エモリエントクリーム〕
質量%
1.シリビンマルトシド 0.5
2.SY−DP9(ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で9モルの酸化プロピレンが付加
重合した化合物) 10.0
3.ジプロピレングリコール 8.0
4.1,2−ペンタンジオール 0.5
5.L−セリン 0.01
6.ジステアリン酸デカグリセリル(HLB9.5) 0.5
7.モノミリスチン酸デカグリセリル(HLB14) 1.5
8.オリーブ油 10.0
9.マカデミアナッツ油 1.0
10.ベヘニルアルコール 1.5
11.シリコーン 2.0
12.ホホバ油 3.0
13.トコフェロール 0.001
14.SIMULGEL NS(SEPPIC社製) 2.0
15.キサンタンガム 0.1
16.水酸化カリウム 適量
17.クエン酸 適量
18.精製水 残余
(製法)
1及び16〜18を攪拌溶解し、2〜5を添加後約80℃に加温溶解する。これに、約80℃に加温した6〜14を加え、30℃まで冷却し、エモリエントクリームを得た。
【0057】
〔処方例5 ボディ用乳液〕
質量%
1.シリビンマルトシド 0.2
2.PEG−60水添ヒマシ油(HLB14) 1.5
3.SY−DP14T(ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で14モルの酸化プロピレン
が付加重合した化合物) 9.0
4.ジプロピレングリコール 7.0
5.ヒアルロン酸Na 0.001
6.流動パラフィン 10.0
7.シリコーン 3.0
8.オクチルドデカノール 4.0
9.(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 適量
11.クエン酸 適量
12.精製水 残余
13. エタノール 2.5
(製法)
1及び10〜12を攪拌溶解し、2〜5、9を添加後約80℃に加温溶解する。これに、約80℃に加温した6〜8を加え、30℃まで冷却、13を添加し、ボディ用乳液を得た。

【0058】
〔処方例6 マッサージクリーム〕
質量%
1.シリビンマルトシド 0.05
2.SY−DP4(ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で4モルの酸化プロピレンが付加
重合した化合物) 10.0
3.POE(10)メチルグルコシド 2.0
4.ジプロピレングリコール 7.0
5.モノステアリン酸デカグリセリル(HLB12) 1.0
6.エチルヘキサン酸セチル 1 2.0
7.ベヘニルアルコール 2.0
8.ステアリン酸 0.5
9.セピノブ EMT10(SEPPIC社製) 0.5
10.香料 適量
11.フェノキシエタノール 0.3
12.水酸化カリウム 適量
13.クエン酸 適量
14.精製水 残余
(製法)
1及び11〜14を攪拌溶解し、2〜4を添加後約80℃に加温溶解する。これに、約80℃に加温した5〜9を加え、30℃まで冷却、10を添加し、マッサージクリームを得た。

【0059】
〔処方例7 乳化型ファンデーション〕
質量%
1.シリビンマルトシド 0.1
2.SY−DP9(ジグリセリンのヒドロキシ基に合計で9モルの酸化プロピレンが付加
重合した化合物) 10.0
3.ジプロピレングリコール 8.0
4.1,2−ペンタンジオール 1.0
5.キサンタンガム 0.3
6.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 1.0
7.シクロメチコン 8.0
8.シリコーン 5.0
9.ネオペンタン酸イソステアリル 5.0
10.イソステアリン酸 1.5
11.ベヘニルアルコール 0.5
12.パルミチン酸デキストリン 1.0
13.タルク 3.0
14.二酸化チタン 5.0
15.ベンガラ 0.5
16.黄酸化鉄 1.4
17.黒酸化鉄 0.1
18.水酸化カリウム 適量
19.クエン酸 適量
20.精製水 残余
(製法)
1及び18〜20を攪拌溶解し、2〜5を添加後約70℃に加温溶解する。次に、よく粉砕した13〜17を添加し、攪拌混合する。これに、約80℃に加温した6〜12を加え、30℃まで冷却し、乳化型ファンデーションを得た。

〔処方例8 ジェル状美容液〕
質量%
1.シリビンマルトシド 1.0
2.ユニルーブ DGP−700 5.0
3.1,3−ブタンジオール 7.0
4.ベタイン 2.0
5.ヒアルロン酸Na(1%水溶液) 1.0
6.スクレロチウムガム 0.1
7.カルボキシビニルポリマー 0.2
8.水酸化カリウム 適量
9.精製水 残余
(製法)
9に7を溶解させ、1〜6を攪拌溶解する。8を添加しジェル状美容液を得た。

〔処方例9 シート状マスク〕
質量%
1.シリビンマルトシド 0.5
2.ユニルーブ DGP−700 5.0
3.ジプロピレングリコール 8.0
4.ウィルブライドS−753 1.0
5.ネオペンタン酸イソステアリル 5.0
6.ビタミンA油 0.001
7.水素添加大豆リン脂質 1.0
8.ポリソルベート60 0.2
9.アルカリゲネス産生多糖体 0.1
10.カルボキシビニルポリマー 0.2

11.水酸化カリウム 適量
12.精製水 残余
(製法)
5〜8まで80℃に加温溶解し、1〜4および9、10、12を加温溶解したものを添加し、攪拌混合する。
11を加えて中和した後、30℃まで冷却する。
その後、不織布に含浸させシート状マスクとする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、1,3−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上とシリビン配糖体を含有することを特徴とするシリビン配糖体水溶液。
【請求項2】
シリビン配糖体を、ポリオキシプロピレン基を有する化合物を含有する水溶液に溶解したことを特徴とするシリビン配糖体水溶液。
【請求項3】
ポリオキシプロピレン基を有する化合物が、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビトールからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項2記載のシリビン配糖体水溶液。
【請求項4】
シリビン配糖体がシリビンマルトシドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリビン配糖体水溶液。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシリビン配糖体水溶液を含有する皮膚外用剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のシリビン配糖体水溶液を含有するシワ形成抑制剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−270105(P2010−270105A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77761(P2010−77761)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】