シリルエチニル基類を有するアセン−チオフェンの共重合体類を含む電子機器
アセン−チオフェン共重合体を含む電子機器、及びこのような電子機器の作製方法を記載する。より具体的には、該アセン−チオフェン共重合体は、結合したシリルエチニル基類を有する。該共重合体は、半導体層、又は第1の電極と第2の電極との間に配置される層に使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シリルエチニル基を有するアセン−チオフェン共重合体を含む、電子機器及び電子機器の作製方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機材料は、電子機器産業の中心となっている。例えば、ヒ化ケイ素及びヒ化ガリウムは、半導体材料として使用され、二酸化ケイ素は、絶縁体材料として使用され、アルミニウム及び銅などの金属類は、電極材料として使用されている。しかしながら、近年、電子機器において従来の無機材料よりもむしろ、有機材料を使用することを目的としたさらなる研究努力がなされている。その他の利益の中でもとりわけ、有機材料の使用は、電子機器の製造費の削減を可能にし、広い領域での応用を可能にし、ディスプレイバックプレーン及び集積回路ためのフレキシブル回路支持体の使用を可能にし得る。
【0003】
様々な有機半導体材料が考えられるが、ペンタセン含有の化合物類、テトラセン含有の化合物類、アントラセン含有の化合物類、ビス(アセニル)アセチレン化合物類、及びアセン−チオフェン化合物類などの小分子により例示されるように、縮合芳香環化合物類が最も一般的である。またポリ(3−アルキルチオフェン)により例示される、立体規則性ポリチオフェン類、及び縮合チオフェンユニット又はビス−チオフェンユニットを有するポリマー類などの幾つかの高分子材料も考えられている。しかしながら、少なくとも幾つかのポリマー類は、酸化する傾向があり、電子機器の処理能力の低下をもたらす可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電子機器及び電子機器の作製方法を記載する。更に具体的には、該電子機器は、結合したシリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む。共重合体は、例えば、半導体層又は第1の電極と第2の電極との間に配置された層において使用することができる。
【0005】
一態様において、式Iのアセンチオフェン共重合体を含む電子機器を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】
アセン−チオフェン共重合体は、結合したシリルエチニル基類を有する。式Iにおいて、Acは、2〜5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基である。Ac基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができる。Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択される。二価基Qは、式II、III、IV、又はVである。
【0008】
【化2】
【0009】
式IIからVのR1及びR2のそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択される。下付き文字nは、4より大きい整数である。星印は、それぞれのEは、式−C≡C−Si(Ra)3である、式−Ac(E)2−Q−の別の繰り返し単位のような、別の基との結合位置を示す。
【0010】
別の態様において、電子機器の作製方法が提供される。該方法は、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む層を提供する工程を含む。
【0011】
本発明の上述の発明の開示は、本発明の開示された各実施形態、又はあらゆる実施も記載することを意図していない。発明を実施するための最良の形態、及び後の実施例が、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、結合したシリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器を提供する。共重合体は、例えば、誘電体層、導電層、又はこれらの組み合わせに隣接する層に存在し得る。より具体的には、共重合体は、有機薄膜トランジスタなどの電子機器の半導体材料として機能する、又は有機光電池若しくは有機電子発光機器などの電子機器の2つの電極間に配置することができる。
【0013】
また本発明は、シリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器の作製方法を提供する。該方法は、シリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む層を提供する工程を含む。この層の提供には、多くの場合、溶媒中に溶解した共重合体を含むコーティング溶液を調製する工程と、表面上のコーティング溶液から溶液層を形成する工程と、溶液層から少なくともいくらかの溶媒を除去する工程と、を伴う。共重合体を含有する層は、多くの場合、基材の表面上又は電子機器内の別の層の表面上に形成される。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの(at least one)」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1以上を意味する。
【0015】
「アセン」は、mが0又はそれ以上の整数である、以下の式で示される、1つの直線配列内に少なくとも2つの縮合ベンゼン環を有する多環芳香族炭化水素基を意味する。
【0016】
【化3】
【0017】
通常アセンは、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、又はペンタセンから選択される。
【0018】
用語「アセン−チオフェン共重合体」、「結合したシリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体」、及び「シリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体」は、式Iの共重合体を指すために、置き換え可能に使用される。
【0019】
「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンの基である、一価基を意味する。アルキルは、線状、分岐状、環状、又はその組み合わせであることができ、通常1〜30の炭素原子を含む。幾つかの実施形態では、アルキル基は、4〜30、1〜20、4〜20、1〜14、1〜10、4〜10、4〜8、1〜8、1〜6、又は1〜4の炭素原子を含む。アルキル基類の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第3ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、n−へプチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素であるアルケンの基である、一価基を意味する。アルケニルは、線状、分岐状、環状、又はその組み合わせであることができ、通常2〜30の炭素原子を含む。幾つかの実施形態では、アルケニルは、2〜20、2〜14、2〜10、4〜10、4〜8、2〜8、2〜6、又は2〜4の炭素原子を含む。例示的なアルケニル基類には、エテニル、プロペニル、及びブテニルが挙げられる。
【0021】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する炭化水素であるアルキンの基である、一価基を意味する。アルキニルは、線状、分岐状、環状、又はその組み合わせであることができ、通常2〜30の炭素原子を含む。幾つかの実施形態では、アルキニルは、2〜20、2〜14、2〜10、4〜10、4〜8、2〜8、2〜6、又は2〜4の炭素原子を含む。例示的なアルキニル基類には、エチニル、プロピニル、及びブチニルが挙げられる。エチニルなどの幾つかのアルキニル基類は、シリル基で更に置換することができる。
【0022】
「アルコキシ」は、Rは、アルキル基である、式−ORの一価基を意味する。例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「アリール」は、芳香族炭素環式化合物の基である、一価基を意味する。アリールは、1つの芳香環を有することができる、又は芳香環と結合している、若しくは融合している、炭素環構造を5つまで含有することができる。その他の環状構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであってもよい。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキルを意味する。
【0025】
「ハロ」は、ハロゲン基(即ち、−F、−Cl、−Br、又は−I)を意味する。
【0026】
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロ基で置換されたアルキルを意味する。
【0027】
「ヒドロキシルアルキル」は、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたアルキルを意味する。
【0028】
「ヘテロアルキル」は、チオ、オキシ、Rbが水素若しくはアルキルである、式−NRb−の基、或いはアリールで置換された−CH2−基を1つ以上有するアルキル、又はRは、アルキルである、式−SiR2−の基の群を意味する。ヘテロアルキルは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであることができ、30までの炭素原子及び20までのヘテロ原子を含むことができる。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキルは、25までの炭素原子、20までの炭素原子、15までの炭素原子、又は10までの炭素原子を含む。チオアルキル基類及びアルコキシ基類は、ヘテロアルキル基類の部分集合である。
【0029】
「ヘテロアリール」は、環内のS、O、N、又はその組み合わせから独立して選択されるヘテロ原子を1つ以上含む、5〜7員芳香環を有する一価基を意味する。そのようなヘテロアリール環は、芳香族、脂肪族、又はその組み合わせである環状構造に5つまで結合若しくは融合することができる。ヘテロアリール基類の例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、カルバゾイル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンジミダゾリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアジニル、フェナジニル、フェナントリジニル、アクリジニル、及びインダゾリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを意味する。
【0031】
「シリルエチニル」は、それぞれのRaは、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキルから独立して選択される、式−C≡C−Si(Ra)3の一価基を意味する。これらの基類は、シラニルエチニル基類と称される場合がある。
【0032】
「チオアルキル」は、Rがアルキル基である、式−SRの一価基を意味する。
【0033】
式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器を提供する。
【0034】
【化4】
【0035】
アセン−チオフェン共重合体は、結合したシリルエチニル基類を有する。式Iにおいて、Acは、2〜5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基である。Ac基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができる。Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択される。二価基Qは、式II、III、IV、又はVである。
【0036】
【化5】
【0037】
式IIからVのR1及びR2はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択される。下付き文字nは、4以上の整数である。星印は、それぞれのEは、式−C≡C−Si(Ra)3である、式−Ac(E)2−Q−の別の繰り返し単位のような、別の基との結合位置を示す。
【0038】
Ac基は、アセンの基である。アセンは、直線状に配列された縮合芳香環(即ち、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、又はペンタセン)を2〜5有することができる。好適なアセンは、多くの場合、ナフタレン、アントラセン、又はペンタセンから選択される。アセンは、一般に、順序番号が付与され、1つの環のみの員である炭素原子のそれぞれに番号が付けられる。例示的なアセン−ジイル(即ち、アセンの二価基)の様々な位置がナフチレン−2,6−ジイルの以下の構造内に示される。
【0039】
【化6】
【0040】
アントラセン−2,6−ジイル、及び
【0041】
【化7】
【0042】
ペンタセン−2,9−ジイル。
【0043】
【化8】
【0044】
それぞれのAc基は、式−C≡C−Si(Ra)3の2つの共有結合したシリルエチニル基類を有する。Ac基がナフタレンに由来する場合、2つのシリルエチニル基は、典型的に、同一の芳香環に結合される。Ac基がアントラセン又はペンタセンに由来する場合、2つのシリルエチニル基は、共に同一の内側の芳香環に結合する、又は1つのシリルエチニル基が外側の芳香環のそれぞれに結合することができる。本明細書で使用するとき、用語「内側の芳香環」は、2つの他の芳香環と融合したアセンの芳香環を意味する。例えば、9位及び10位の位置を含む環は、アントラセン系Ac基の内側の芳香環と称される。本明細書で使用するとき、用語「外側の芳香環」は、1つの芳香環とのみ融合したアセンの芳香環を意味する。例えば、1位、2位、3位、及び4位の位置を含む環、並びに5位、6位、7位、及び8位の位置を含む環は、アントラセン系Ac基の外側の芳香環と称される。
【0045】
多くの実施形態では、シリルエチニル基類がAc基の内側の環に結合されていることが好ましい。例えば、Ac基がアントラセンに由来する場合、シリルエチニル基類は、好ましくは、9位及び10位の位置に結合される。共重合体を調製するために使用されるアセン前駆体の安定性は、多くの場合、シリルエチニル基類がAc基の内側の芳香環に結合することによって、向上することができる。複数の内側の芳香環で、ペンタセン由来Ac基の6位及び13位の位置などの、最も内側の環へのシリルエチニル基類の結合によって、アセン前駆体の最高の安定性をもたらす可能性がある。本明細書で使用するとき、安定性とは、酸化及び/又は二量化に対する耐性を意味する。
【0046】
それぞれのシリルエチニル基は、式−C≡C−Si−(Ra)3であり、それぞれのRaは、独立して水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルである。例示的なアルキル、アルコキシ、アルケニル、ヘテロアルキル、及びヒドロキシアルキル基は、線状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせであってよく、通常10までの炭素原子、8までの炭素原子、6までの炭素原子、又は4までの炭素原子を有する。例示的なアリール基は、フェニルであり、例示的なアラルキルは、フェニル基で置換された10までの炭素原子を有するアルキルである。例示的なヘテロアリール基類は、多くの場合、1つ又は2つのヘテロ原子を含む5又は6員不飽和複素環であり、例示的なヘテロアラルキルは、1つ又は2つのヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールで置換された炭素原子を10まで有する、アルキルである。
【0047】
より具体的な例では、それぞれのRaは、10まで、8まで、又は6までの炭素原子を有するアルキルである。つまり、シリルエチニル基は、トリアルキルシリルエチニル基である。それぞれのアルキル基は、多くの場合、少なくとも1つの炭素原子、少なくとも2つの炭素原子、又は少なくとも3つの炭素原子を有する。例えば、式Iの幾つかの共重合体では、シリルエチニル基は、Raがイソプロピルである、トリイソプロピルシリルエチニルである。
【0048】
2つのシリルエチニル基に加え、Ac基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができる。Ac置換基を参照する場合、用語「これらの組み合わせ」は、Ac基上の複数の置換基、又は第2の置換基で更に置換された第1の置換基のいずれかを意味する。少なくとも幾つかの実施形態では、置換基を1つ以上添加することは、有機溶媒内の式Iの共重合体の溶解度を向上することができる、又は様々なコーティング組成物を有する共重合体の相溶性を改善することができる。
【0049】
基Qは、Acの結合したシリルエチニル基を欠如している、いずれの位置に結合することができる。式Iのアセン−チオフェン共重合体は、ビチオフェン又はポリチオフェン基を欠如している。つまり、いかなる2つのAc(E)2基は、式II〜Vの単独基から選択される基Qによって分離される。共重合体は、通常、共重合体の長さに渡り、接合される。典型的に、共重合体内の式−Ac(E)2−Q−の2つの繰り返し単位間に、共重合体の主鎖に沿った二重結合の接合を分裂させるスペーサ基類は無い。
【0050】
多くの実施形態では、Qは、Acの外側の芳香環に結合される。例えば、基Qは、ナフタレン系又はアントラセン系のいずれかのAc基の1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、又は8位の位置、及びペンタセン系Ac基の1位、2位、3位、4位、8位、9位、10位、又は11位の位置で結合することができる。QがAcの外側の芳香環に結合され、Ac基がアントラセン又はペンタセンから由来する場合、2つのシリルエチニル基は、通常、Acの内側の芳香環、好ましくは同一の内側の芳香環に結合される。
【0051】
その他の実施形態では、Qは、Acの内側の芳香環に結合される。例えば、基Qは、アントラセン系Ac基の9位又は10位の位置、又はペンタセン系Ac基の5位、6位、7位、12位、13位、又は14位の位置で結合することができる。QがAcの内側の芳香環に結合されている場合、2つのシリルエチニル基は、通常、Ac外側の芳香環に結合される。例えば、1つのシリルエチニル基は、アントラセン又はペンタセンに由来するAc基の外側の芳香環のそれぞれに配置することができる。
【0052】
基Q及び2つのシリルエチニルに結合されていることに加え、Ac基は、共重合体、又はEが、シリルエチニル基類(即ち、結果として生じる共重合体材料は、少なくとも5と同等の下付き文字nを有する)である、式−Ac(E)2−Q−の別の繰り返し単位の末端基などの第4の基に結合される。式Iの基QがAc基の芳香環の内側に結合される場合、第4の基は、多くの場合、同一の内側の芳香環に結合される。基Qが外側のAc基の芳香環に結合される場合、第4の基は、多くの場合、反対側の外側の芳香環に結合される。つまり、基Q及び第4の基は、多くの場合、Ac基の芳香環の内側に結合する2つのシリルエチニル基を有するAc基の反対側の遠位端に結合される。
【0053】
例示的なAc(E)2基類には、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの基類のいずれもアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせで置換されたAc基を任意に有することができる。用語「ジイル」の前の位置番号は、Q基及び第4の基がAc基に結合される炭素原子を示す。
【0054】
幾つかのより具体的なAc(E)2基類には、1,4−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの基類のいずれもアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせで置換されたAc基を任意に有することができる。用語「ジイル」の前の位置番号は、Q基及び第4の基がAc基に結合される炭素原子を示す。
【0055】
共重合体が半導体材料として機能するような幾つかの用途において、直鎖方向(即ち、共重合体の主鎖に沿った)に伸張した共役長さを有するAc基を選択することが望ましい場合がある。このような共重合体は、積み重ね様構造の構成で互いにきれいに一直線になる傾向がある。つまり、幾つかの用途において、内側の芳香環がある場合、Q基は、内側の芳香環に結合する2つのシリルエチニル基を有するアセンの外側の芳香環に結合することが好ましい。例示的なAc(E)2基類には、1,4−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイルなどの1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、9,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイルなどの9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、又は6,13−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイルなどの6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの基類のいずれもアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせで置換されたAc基を任意に有することができる。
【0056】
基Qは、上記に記載されるように、式II〜Vから選択される。これらの式のR1及びR2のそれぞれは、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせから独立して選択される。基R1及びR2を参照する場合、用語「これらの組み合わせ」は、別の基で更に置換された第1の基を意味する。
【0057】
基Qの幾つかの実施形態では、4〜30の炭素原子、4〜20の炭素原子、4〜16の炭素原子、又は4〜10の炭素原子など、少なくとも4つの炭素原子を含む、少なくとも1つのR1基又はR2基が存在する。より具体的には、少なくとも1つのR1基又はR2基は、少なくとも4つの炭素原子を有するアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルコキシ、少なくとも4つの炭素原子を有するチオアルキル、少なくとも6つの炭素原子を有するアリール、少なくとも10の炭素原子を有するアラルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するハロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヒドロキシアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヘテロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルケニル、又はこれらの組み合わせから選択される。そのような基を少なくとも1つ選択することは、多くの場合、共通の有機溶媒中の式Iの共重合体の溶解度を向上することができる、又は様々なコーティング組成物を有するアセン−チオフェン共重合体の相溶性を改善することができる。
【0058】
幾つかの例示的な共重合体は、少なくとも4つの炭素原子を有するアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルコキシ、少なくとも4つの炭素原子を有するチオアルキル、少なくとも6つの炭素原子を有するアリール、少なくとも10の炭素原子を有するアラルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するハロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヒドロキシアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヘテロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルケニル、又はこれらの組み合わせから選択される、同一のR1及びR2基を有する。
【0059】
式Iの共重合体は、反応スキームAに示されるような、スズキカップリング反応を使用して調製することができる。
【0060】
【化9】
【0061】
2つの結合したシリルエチニル基(即ち、Acはアセン基を示し、Eは、式−C≡C−Si(Ra)3の基を示し、Xは、ハロを示す)を有するジハロアセンは、最初にビス(ピナコラト)ジボロンなどのジオキサボロランと反応して、2つのジオキサボロラン基(例えば、テトラメチルジオキサボロラン)を有するアセン化合物を形成する。その後結果として生じるアセン化合物は、ジハロチオフェン化合物(即ち、X−Q−X)と反応して、式Iの共重合体を形成する。第2の反応のハロ基類は、第1の反応のハロ基類と同一であっても異なっていてもよい。これらの反応の両方は、典型的に、例えば、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム及びテトラキス(トリフェニル)ホスフィン)パラジウム(0)など、パラジウム触媒の存在下で行われる。反応スキームAの別の手段として、ジハロチオフェン化合物を最初にジオキサボロランと反応させた後、スズキカップリング反応を使用して、2つの結合したシリルエチニル基を有するジハロアセンと反応させることができる。スズキカップリング反応は、イトウ(Ito)らの論文、アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew. Chem. Int. Ed.)、42,1159〜1162(2003)、及び本明細書で参照される関連情報に更に記載される。
【0062】
また反応スキームBに示されるように、スティルカップリング反応を使用して、式Iの共重合体を合成することもできる。
【0063】
【化10】
【0064】
チオフェン化合物をリチオ化した後、塩化トリブチルスズなどの酸化トリアルキルスズと反応させて、2つの酸化トリアルキルスズ基で置換されたチオフェン化合物を形成することができる。結果として生じるチオフェン化合物を、2つの結合したシリルエチニル基を有するジハロアセンを有するパラジウム触媒の存在下で反応させることができる。反応スキームBの別の手段として、2つの結合したシリルエチニル基を有するアセンをリチオ化し、次いで酸化トリアルキルスズと反応させて、2つの酸化トリアルキルスズ基で置換されたアセンを形成することができる。次いで結果として生じるアセン化合物を、パラジウム触媒の存在下でジハロチオフェンと反応させることができる。スティルカップリング反応は、ミラー(Miller)らの有機化学ジャーナル(J. Org. Chem.)、60、6813〜6819(1995)、及びカッツ(Katz)らのアカウント・オブ・ケミカル・リサーチ(Acc. Chem. Res.)、34、359〜369(2001)の論文に更に記載される。
【0065】
2つのシリルエチニル基を有するジハロアセンは、実施例又は反応スキームCに示されるように、ジハロアセンから合成することができる。例えば、1,4−ビス(シリルエチニル)−2,6−ジハロナフタレンは、英国オックスフォードシャー州(Oxfordshire)のアピン・ケミカルズ社(Apin Chemicals Ltd.)から市販される、2,6−ジクロロナフタレンなどの2,6−ジハロナフタレンを始めとして、合成することができる。
【0066】
【化11】
【0067】
2,6−ジハロナフタレンを酸化して、2,6−ジハロナフタキノンにすることができる。リチオ化型のシリルアセチレン化合物を構成することにより、シリルエチニル基類を添加することができ、続いて2,6−ジハロナフタキノンと反応する。様々なシリルアセチレン化合物が市販されている。例えば、(トリメチルシリル)アセチレン、(トリエチルシリル)アセチレン、(トリイソプロピルシリル)アセチレン、及び(tert−ブチルジメチルシリル)アセチレンがオハイオ州コロンバス(Columbus)にあるGFSケミカルズ(GFS Chemicals)から入手可能である。(ジメチルフェニルシリル)アセチレン、(メチルジフェニルシリル)アセチレン、及び(トリフェニルシリル)アセチレンは、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)にあるアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手可能である。次いで結果として生じるジオール生成物は、塩化第一スズなどの還元剤との反応により、対応する芳香族化合物に変換することができる。
【0068】
反応スキームDに示されるように、2,9又は2,10の位置にハロ基を有するジハロペンタセンを合成することができる。典型的なフリーデル−クラフツ条件下(例えば、強ルイス酸であるAlCl3)、不活性溶媒中で、又は熱を伴う溶媒としてハロベンゼンを用いた、ハロベンゼンとピロメリット無水物との反応によりは、2つの異性体ビス(ハロベンゾイル)フタル酸A及びBを生じる。これらの変異体は、部分再結晶、クロマトグラフィー、又は溶解度の差により、分離することができる。個々のビス(ハロベンゾイル)フタル酸A及びBの更なる反応は、別々に行われ、最初にトリフルオロメタンスルホン酸を使用して対応するテトロンC及びDに環化し、続いて水酸化ホウ素ナトリウム及び塩化第一スズで所望のペンタセンE及びFに還元する。以下のR3基は、水素又は置換基である。
【0069】
【化12】
【0070】
結果として生じるジハロペンタセンは、反応スキームCに示される方法と類似の方法を使用して反応させ、2つのシリルエチニル基に結合することができる。化合物E及びFの酸化は、対応するキノンG及びHをそれぞれ生じるであろう。次いで、ペンタセンの6位及び13位の位置で結合されるシリルエチニル基で、これらの化合物を誘導体に変換することができる。
【0071】
【化13】
【0072】
式IIaのジブロモチオフェン化合物
【0073】
【化14】
【0074】
は、対応するチオフェン化合物の臭素化によって調製することができる。つまり、対応するチオフェンは、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)などの臭素化剤で反応させることができる。例えば、アルキル基類と同等のR1及びR2を有する式IIaの化合物は、2モルの所望のアルキル基類を含むグリニャ−ル試薬で3,4−ジハロチオフェンと反応させ、続いて臭素化反応を行うことによって、調製することができる。この方法は、ビダル(Vidal)らの論文ヨーロッパ化学ジャーナル(Chem. Eur. J.)、6、1663〜1673(2000)に更に記載される。
【0075】
式IIIaのジハロチエノ[3,2−b]チオフェン
【0076】
【化15】
【0077】
は、対応するチエノ[3,2−b]チオフェンを臭素化することによって調製することができる。幾つかのチエノ[3,2−b]チオフェンは、英国コーンウォール(Cornwall)にあるメイブリッジ(Maybridge)から市販されている。3,6−ジメチルチエノ[3,2−b]チオフェンは、独国カッセル(Kassel)にあるシンケムOHG(Synchem OHG)から入手可能であり、2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェンは、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)にあるアルドリッチ(Aldrich)から入手可能である。
【0078】
その他のチエノ[3,2−b]チオフェンは、チャン(Zhang)らの論文、巨大分子(Macromolecules)、37、6306〜6315(2004)に記載されるように合成することができる。
【0079】
式IVaのジハロチエノ[2,3−b]チオフェン
【0080】
【化16】
【0081】
は、対応するチエノ[2,3−b]チオフェンを臭素化することによって調製することができる。3,4−ジメチルチエノ[2,3−b]チオフェンは、マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill)にある、アルファ・エイサー・ジョンソン・マッセイ(Alfa Aesar Johnson Mathey)から市販されている。その他の置換チエノ[2,3−b]チオフェンは、コメル(Comel)らの論文ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Journal of Heterocyclic Chemistry)、38、1167〜1171(2001)に記載される反応と類似する反応を使用して、調製することができる。
【0082】
同様に、式Vaのジハロエチレンジオキシチオフェン化合物
【0083】
【化17】
【0084】
は、対応するエチレンジオキシチオフェンを臭素化することによって調製することができる。対応するエチレンジオキシチオフェンは、例えば、市販されている、2,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオールなどのようなジェム状ジオールを有する3,4−ジメトキシチオフェンを、p−トルエンスルホン酸のような酸触媒の存在下でエステル交換環化縮合反応させることによって、調製することができる。結果として生じる3,4−二置換チオフェンは、次いでN−ブロモコハク酸イミド又はその他の好適な臭素化剤で2位及び5位の位置でジ臭素化することができる。本方法は、ニールソン(Nielson)らの論文、巨大分子(Macromolecules)、38、10379(2005)に更に記載される。
【0085】
式Iの共重合体は、典型的に、少なくとも5,000g/モルの重量平均分子量を有する。幾つかの実施形態では、重量平均分子量は、少なくとも7,000g/モル、少なくとも8,000g/モル、少なくとも10,000g/モル、少なくとも12,000g/モル、又は少なくとも15,000g/モルである。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定してもよい。
【0086】
所望により、更なる沈殿工程又はソックレー抽出のような当該技術分野において既知の手法を使用して、共重合体材料の純度を向上することができる。
【0087】
式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器内の層は、多くの場合、溶媒系組成物から調製される。つまり、少なくとも幾つかの式Iのアセン−チオフェン共重合体は、溶媒中で可溶性である。式Iの共重合体の溶解に好適な溶媒には、トルエン、ベンゼン、及びキシレンなどの芳香族溶媒類、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどのエーテル類、メチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、及びジクロロベンゼンなどの塩素系溶剤類、シクロヘキサン及びヘプタンなどのアルカン類、並びにN,N−ジメチルホルムアミド及び1−メチルピロリドンなどのアミド類が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、用語「可溶性」は、共重合体が溶媒に溶解し、溶液の重量に基づき、少なくとも0.05重量パーセントの共重合体を含む溶液を提供することができることを意味する。幾つかの共重合体は、溶液の重量に基づき、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、又は少なくとも5重量パーセントの溶解度を有する。
【0088】
アセン−チオフェン共重合体及び溶媒を含む組成物は、コーティングを提供するために使用することができる。コーティングは、電子機器の基材の表面、又は別の層の表面などの表面に組成物を塗布することによって、形成することができる。コーティングは、いずれの好適な塗布手法、例えば、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、及び転写印刷などを使用して塗布することができる。溶媒は、塗布後、周囲条件(例えば、約20℃〜約25℃)下で蒸発させる、又は約80℃まで、約100℃まで、約120℃まで、約150℃まで、若しくは約200℃までの温度のような高温で乾燥させることにより、コーティングから除去することができる。
【0089】
電子機器の幾つかの例示的な作製方法では、方法は、誘電体層、導電層、又は基材から選択される第1の層を提供する工程と、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む層を第1の層に隣接して配置する工程と、を含む。作製する、又は提供する特定の順序はないが、アセン−チオフェン共重合体を含む層は、多くの場合、誘電体層、導電層、又は基材など、別の層の表面上に作製される。導電層は、例えば、ソース電極及びドレイン電極、アノード、又はカソードを含むことができる。
【0090】
本明細書で使用するとき、用語「配置される」、「配置する」、「配置された」、「堆積した」、「堆積する」、「隣接する」は、別の層又は言及される層の存在を除外しない。本明細書で使用するとき、これらの用語は、第1の層が第2の層付近に配置されることを意味する。第1の層は、多くの場合、第2の層に接触するが、第3の層または複数の層を第1の層と第2の層との間に配置することができる。
【0091】
式Iのアセン−チオフェン共重合体は、幾つかの電子機器内で半導体材料としての役割を果たすことができる。つまり、電子機器は、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む半導体層を含む半導体機器であってもよい。半導体機器は、例えば、S・M・セー(S. M. Sze)により、半導体機器の物理学(Physics of Semiconductor Devices)、第2版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(New York)(1981)に記載されている。そのような機器は、整流器、トランジスタ(p−n−p、n−p−n、及び薄膜トランジスタを含む多くの種類がある)、光伝導体、電流制限器、サーミスタ、p−n接合、電界効果ダイオード、ショットキーダイオードなどを含む。半導体機器は、回路を形成するために使用されるトランジスタ、トランジスタのアレイ、ダイオード、コンデンサ、内蔵コンデンサ、及びレジスタなどの構成要素を含むことができる。また半導体機器は、電子的機能を実行する多数の回路を含むこともできる。これらのアレイ又は統合回路の例には、インバータ、オシレータ、シフトレジスタ、及び論理回路が挙げられる。これらの半導体機器及びアレイの用途には、高周波識別装置(RFIDs)、スマートカード、ディスプレイバックプレーン、センサー、メモリー機器などが挙げられる。
【0092】
幾つかの半導体機器は、図1〜6に図式的に示される、有機薄膜トランジスタである。図1〜6に示される様々な薄膜トランジスタのいずれの任意の層は、材料の多層を含むことができる。更に、いずれの層も単一材料又は複合材料を含むことができる。
【0093】
有機薄膜トランジスタ100の一実施形態を図1に図式的に示す。有機薄膜トランジスタ(OTFT)100は、ゲート電極14、ゲート電極14上に配置されるゲート誘電体層16、ソース電極22、ドレイン電極24、及びソース電極22及びドレイン電極24の双方に接触している半導体層20を含む。ソース電極22及びドレイン電極24は互いから離れ(即ち、ソース電極22は、ドレイン電極24に接触しない)、かつ誘電体層16に隣接して配置される。ソース電極22及びドレイン電極24の双方は、半導体層の一部分がソース電極とドレイン電極との間に配置されるように、半導体層20と接触している。ソース電極とドレイン電極との間に配置される半導体層の一部分は、チャンネル21と称される。チャンネルは、ゲート誘電体層16に隣接する。幾つかの半導体機器は、ゲート誘電体層16と半導体層20との間に任意の表面処置層を有する。
【0094】
任意の基材を有機薄膜トランジスタ内に含むことができる。例えば、任意の基材12は、OTFT200の図2に図式的に示すように、ゲート電極14に隣接する、又はOTFT300の図3に図式的に示すように、半導体層20に隣接することができる。OTFT300は、基材12と半導体層20との間に任意の表面処置層を含むことができる。
【0095】
有機薄膜トランジスタの別の実施形態を図4に図式的に示す。この有機薄膜トランジスタ400は、ゲート電極14、ゲート電極14上に配置されるゲート誘電体層16、半導体層20、並びに半導体層20上に配置されるソース電極22及びドレイン電極24を含む。本実施形態では、半導体層20は、ゲート誘電体層16とソース電極22及びドレイン電極24の双方との間にある。ソース電極22及びドレイン電極24は互いから分離している(即ち、ソース電極22は、ドレイン電極24に接触しない)。ソース電極22及びドレイン電極24の双方は、半導体層の一部分がソース電極とドレイン電極との間に配置されるように、半導体層と接触している。チャンネル21は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される半導体層の一部分である。1つ以上の任意の表面処置層を半導体機器に含むことができる。例えば、ゲート誘電体層16と半導体層20との間に任意の表面処置層を含むことができる。
【0096】
任意の基材を有機薄膜トランジスタ内に含むことができる。例えば、任意の基材12は、OTFT500の図5に図式的に示すようにゲート電極14に接触する、又はOTFT600の図6に図式的に示すように半導体層20に接触することができる。OTFT600は、基材12と半導体層20との間に任意の表面処置層を含むことができる。
【0097】
図1〜6に示される半導体機器形体の運用において、ドレイン電極24に電圧を印加することができる。しかしながら、少なくとも理想的には、ゲート電極14にも電圧が印加されない限り、電荷(即ち、電流)は、ソース電極22を通過しない。つまり、ゲート電極14に電圧が印加されない限り、半導体層20内のチャンネル21は、非導電性状態のままである。ゲート電極14への電圧の印加により、チャンネル21は、導電性となり、電荷がチャンネル21を通ってソース電極22からドレイン電極24に流れる。
【0098】
基材12は、多くの場合、製造、試験、及び/又は使用中、OTFTを支持する。任意で、基材は、OTFTに電気的機能を提供することができる。例えば、基材の裏側は、電気接点を提供する。有用な基材の材料には、有機ガラス、セラミック材、ポリマー材、充填ポリマー材(例えば、強化繊維ポリマー材)、金属類、紙、織布又は不織布、コーティングされた又はコーティングされていない金属フォイル、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
ゲート電極14は、導電性材料の層を1つ以上含むことができる。例えば、ゲート電極は、ドープシリコン材、金属、合金、導電性ポリマー、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好適な金属類及び合金類には、アルミニウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、タンタル、チタン、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な導電性ポリマーには、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、又はポリピロールが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの有機薄膜トランジスタでは、同一材料がゲート電極機能及び基材の支持体機能の両方を提供することができる。例えば、ドープシリコンは、ゲート電極として及び基材としての両方の役割を果たすことができる。
【0100】
幾つかの実施形態におけるゲート電極は、導電性のナノ粒子又は導電性のポリマー材などの導電性材料を含む、分散性を有する基材表面のコーティングにより形成される。導電性ナノ粒子には、ITOナノ粒子、ATOナノ粒子、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、又は炭素ナノチューブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
ゲート誘電体層16は、ゲート電極14上に配置される。このゲート誘電体層16は、ゲート電極14をOTFT機器の残部から電気的に絶縁する。ゲート誘電体に有用な材料には、例えば、無機誘電体材料、ポリマー誘電体材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ゲート誘電体は、好適な誘電体材料の単層又は多層であり得る。単一層又は多層の誘電体のそれぞれの層は、誘電体材料を1つ以上含むことができる。
【0102】
有機薄膜トランジスタは、ゲート誘電体層16と有機半導体層20の少なくとも一部分との間、又は基材12と有機半導体層20の少なくとも一部分との間に配置される任意の表面処置層を含むことができる。幾つかの実施形態では、任意の表面処置層は、ゲート誘電体層と半導体層との間、又は基材と半導体層との間の境界面としての役目を果たす。表面処置層は、米国特許第6,433,359 B1号(ケリー(Kelley)ら)に記載されるような自己組織化した単層、又は米国特許出願公報第2003/0102471 A1号(ケリー(Kelley)ら)、及び米国特許第6,617,609号(ケリー(Kelley)ら)に記載されるようなポリマー材であり得る。
【0103】
ソース電極22及びドレイン電極24は、金属類、合金類、金属化合物、導電性金属酸化物類、導電性セラミック、導電性分散体類、並びに例えば、金、銀、ニッケル、クロム、バリウム、白金、パラジウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモン酸化スズ(ATO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリアニリン、その他の導電性ポリマー類、これらの合金類、これらの組み合わせ、及びこれらの多層を含む導電性ポリマー類であり得る。当該技術分野において既知であるように、これらの材料幾つかは、n型半導体材料への使用に適しており、その他は、p型半導体材料への使用に適している。
【0104】
図1〜3に例示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極、ゲート誘電体層、互いから分離されるソース電極及びドレイン電極を有する層、ソース電極及びドレイン電極の双方に接触する半導体層の順で多層を配列する工程を含む方法により、作製することができる。半導体層は、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む。
【0105】
例えば、図1に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極14を提供すること、ゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置すること、ソース電極22及びドレイン電極24が互いから分離するようにソース電極22及びドレイン電極24をゲート誘電体層16に隣接して配置すること、並びにソース電極22上、ドレイン電極24上、及びソース電極22とドレイン電極24との間の領域21に配置される半導体層20を形成することによって作製することができる。半導体層20は、ソース電極22及びドレイン電極24の双方に接触する。ソース電極とドレイン電極との間の領域に配置される半導体層の一部分は、チャンネルを画定する。
【0106】
図2に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供する工程、ゲート電極14を基材12上に配置する工程、ゲート電極14が基材12とゲート誘電体層16との間に配置されるようにゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置する工程、2つの電極が互いから分離するようにソース電極22及びドレイン電極24をゲート誘電体層16に隣接して配置する工程、並びにソース電極22、ドレイン電極24、及びソース電極22とドレイン電極24との間の領域21に隣接して半導体層20を形成する工程により、作製することができる。半導体層20は、ソース電極22及びドレイン電極24の双方に接触する。ソース電極とドレイン電極との間の領域に配置される半導体層の一部分は、チャンネルを画定する。
【0107】
図3に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供すること、基材12に隣接して半導体層20を形成すること、ソース電極22及びドレイン電極24が互いから分離するように基材12の反対側の半導体層20に隣接してソース電極22及びドレイン電極24を配置すること、ソース電極22、ドレイン電極24、及びソース電極22とドレイン電極24との間の半導体層20の一部分に隣接してゲート誘電体層16を配置すること、並びにゲート電極14をゲート誘電体層16に隣接して配置することにより、作製することができる。ソース電極22及びドレイン電極24の双方は、半導体層20に接触する。半導体層の一部分は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される。この半導体層の一部分は、チャンネルを画定する。
【0108】
図4〜6に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極、ゲート誘電体層、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む半導体層、互いから分離するソース電極及びドレイン電極を有する層、の順で多層を配列し、該半導体層が、ドレイン電極及びソース電極の双方と接触する、工程を含む方法により、作製することができる。
【0109】
幾つかの実施形態では、表面処置層は、ゲート誘電体層と半導体層との間に配置することができる。基材は、ゲート電極又はソース電極及びドレイン電極を含む層に隣接して配置することができる。
【0110】
例えば、図4に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極14を提供する工程、ゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置する工程、ゲート誘電体層16に隣接して半導体層20を形成する(即ち、ゲート誘電体層16は、ゲート電極14と半導体層20との間に配置される)工程、及び半導体層20に隣接してソース電極22及びドレイン電極24を配置する工程により、作製することができる。ソース電極22及びドレイン電極24は、互いから分離され、双方の電極は、半導体層20と接触する。半導体層の一部分は、ソース電極とドレイン電極との間に配置される。
【0111】
図5に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供すること、ゲート電極14を基材12に隣接して配置すること、ゲート電極14が基材12とゲート誘電体層16との間に配置されるようにゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置すること、ゲート誘電体層16に隣接して半導体層20を形成すること、並びにソース電極22及びドレイン電極24を半導体層20に隣接して配置することにより、作製することができる。ソース電極22及びドレイン電極24は、互いから分離され、双方の電極は、半導体層20と接触する。半導体層の一部分20は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される。
【0112】
図6に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供すること、ソース電極22及びドレイン電極24が互いから分離するように、ソース電極22及びドレイン電極24を基材に隣接して配置すること、ソース電極22及びドレイン電極24と接触する半導体層20を形成すること、ソース電極22及びドレイン電極24の反対側の半導体層に隣接してゲート誘電体層16を配置すること、並びにゲート電極14をゲート誘電体層16に隣接して配置することにより、作製することができる。半導体層の一部分20は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される。
【0113】
式Iのアセン−チオフェン共重合体は、共重合体が第1の電極(例えば、アノード)と第2の電極(例えば、カソード)との間の層に配置される電子機器のような、その他の種類の電子機器に使用することができる。例示的な電子機器には、有機光電池、及び有機発光ダイオードなどの有機電子発光デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
有機光電池及び有機電子発光デバイスは、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に配置される材料など、多くの共通コンポーネントを含む。しかしながら、これら2つの種類の機器の運用概念は、反転される。有機電子発光デバイスでは、2つの電極間の電荷輸送の結果として光が発光される。電子は、低仕事関数を有する第1の電極(即ち、カソード)で導入され、正孔は、高仕事関数を有する第2の電極(即ち、アノード)で導入される。有機発光要素は、2つの電極間に配置され、電子及び正孔は、再結合して発光する。逆に、光電池では、2つの電極間の電荷輸送は、活性物質層を光に当てることに起因する。2つの電極間に配置される活性物質層は、光を吸収し、一方の電極を通して通過させる。光の吸収は、エキシトン(即ち、励起電子−正孔対)の形成を引き起こし、続いて反対側の電極に向かって移動する電子及び正孔に解離する。
【0115】
有機発光ダイオードなどの有機電子発光(OEL)機器は、2つの電極間(即ち、アノード及びカソード)に配置される有機発光要素を含む。有機電子発光デバイスの有機発光要素は、通常、電子発光材料を含む、発光層を少なくとも1つ含む。また正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、正孔遮断層、電子遮断層、緩衝層などのようなその他の層は、有機発光要素に存在することもできる。更に、可視発光材料は、例えば、電子発光材料により放出される光の色を別の色に変換するために、有機発光要素内の発光層又はその他の層に存在することができる。これら及びその他のこのような層、並びに材料は、層状OEL機器の電子特性及び性質を変化させる、又は調整するために、使用することができる。例えば、所望の電流/電圧レスポンス、所望の機器効率、所望の色、所望の白色度などを達成するために、追加層を使用することができる。
【0116】
図7A〜7Dは、異なるOEL機器(例えば、有機発光ダイオード)形状の例を示す。それぞれの形体は、基材30、アノード32、カソード34、及び発光層36を含む。また図7C及び7Dの形体は、正孔輸送層38を含み、図7B及び7Dの形体は、電子輸送層40を含む。2つの電極間に配置される層は、正孔をアノードから、又は電子をカソードからそれぞれ伝導する。アセン−チオフェン共重合体は、発光層、正孔輸送層、又はこれらの組み合わせにあってよい。いずれの層内で、アセン−チオフェン共重合体は、単独で、又はその他の材料と組み合わせて存在してもよい。
【0117】
幾つかの有機発光要素では、アセン−チオフェン共重合体は、発光層に存在する。アセン−チオフェン共重合体は、単独で、又は1つ以上の材料と組み合わせて発光層に使用することができる。例えば、共重合体は、発光層内でホスト材料又はドーパント材料として機能することができる。
【0118】
本明細書で使用するとき、用語「ドーパント」は、ホスト材料からエネルギーを移動することによって励起することができる材料を意味する。励起ドーパントは、発光する。ドーパントは、典型的に、材料の重量に基づき、50重量パーセント未満、40重量パーセント未満、20重量パーセント未満、10重量パーセント未満、又は5重量パーセント未満の量で発光層に存在する。ドーパントは、典型的に、材料の重量に基づき、少なくとも0.1重量パーセント、0.2重量パーセント、0.5重量パーセント、又は1重量パーセントの量で発光層に存在する。
【0119】
アセン−チオフェン共重合体がドーパントとして発光層に使用される場合、例えば、電荷移動材などのホスト材料と組み合わせることができる。電荷移動材は、多くの場合、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、又はこれらの組み合わせなどの正孔移動材である。例示的なジアミン誘導体には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(TPD)、N,N’−ビス(2−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(ベータ−NPB)、及びN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なトリアリールアミン誘導体には、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)及び4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)が挙げられるが、これらに限定されない。更にその他のホスト材料には、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)などの電子移動材、並びに1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル−2−イル]ベンゼン、及び2−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ルなどのオキサジアゾ−ル化合物が挙げられる。
【0120】
本明細書で使用するとき、用語「ホスト」は、発光する励起ドーパントを形成するために、エネルギー移動することができる材料を意味する。ホスト材料は、典型的に、発光層の材料の重量に基づき、少なくとも少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセントの量で存在する。
【0121】
発光層がホスト材料及びドーパントを含む場合、励起された状態のホスト材料は、典型的に、エネルギーをホスト材料からドーパントに移動できるように、励起された状態のドーパントより高エネルギー水準である。励起されたホスト材料は、通常、励起されたドーパントよりもより短波長の光を放出する。例えば、青色の光を放つホスト材料は、緑色又は赤色の光を放つドーパントへとエネルギーを移動させることができ、緑色の光を放つホスト材料は、赤色の光を放つドーパントへとエネルギーを移動させることができるが、青色の光を放つドーパントへのエネルギー移動はできない。
【0122】
アセン−チオフェン共重合体が有機発光要素の発光層に存在する場合、その他の発光材料は、同一発光層又は異なる発光層に存在することができる。幾つかの発光層は、小分子(SM)エミッタ、小分子エミッタドープポリマー、発光ポリマー(LEP)、小分子エミッタドープ発光ポリマー、発光ポリマー類の混合物、又はこれらの組み合わせを有する。有機発光要素から放出された光は、発光層の電子発光組成物の組成物によって、可視スペクトルのいずれの部分にあってもよい。
【0123】
好適なLEP材料は、典型的に、共役ポリマー又はオリゴマー分子であり、好ましくは、溶液処理に十分なフィルム形成特性を有する。本明細書で使用するとき、「共役ポリマー類又はオリゴマー分子」は、ポリマー主鎖に沿って非局在化π−電子系を有するポリマー類又はオリゴマー類を意味する。このようなポリマー類又はオリゴマー類は、半導体であり、ポリマー又はオリゴマー鎖に沿って正若しくは負の電荷キャリアを支持することができる。
【0124】
例示的なLEP材料には、ポリ(フェニレンビニレン類)、ポリ(パラ−フェニレン類)、ポリフルオレン類、現時点で既知、又は今後開発されるその他のLEP材料、及びこれらの共重合体若しくは混合物が挙げられる。また好適なLEPは、小分子エミッタをドープする、蛍光染料又は可視発光材料を分散する、活性又は非活性物質と混合することなどが可能である。好適なLEP材料の例は、クラフト(Kraft)らのアンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew. Chem. Int. Ed.)、37、402〜428(1998)、米国特許第5,621,131号、第5,708,130号、第5,728,801号、第5,840,217号、第5,869,350号、第5,900,327号、第5,929,194号、第6,132,641号、及び第6,169,163号、並びにPCT特許出願公報第99/40655号に更に記載される。
【0125】
LEP材料は、例えば、LEP材料の溶媒溶液を基材上に鋳造し、溶媒を蒸発させてポリマー被膜を生成することによって、発光構造を形成することができる。或いは、LEP材料は、前駆体種の反応により、基材上にその場で形成することができる。LEP層の好適な形成方法は、米国特許第5,408,109号に記載される。LEP材料から発光構造を形成するためのその他の方法には、レーザー熱パターンニング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、サーマルヘッド印刷、フォトリソグラフィーパターンニング、噴霧、及び押し出し被覆が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
好適なSM電子発光材料には、電荷移動化合物、電荷遮断化合物、及び半導体有機又は有機金属化合物が挙げられる。典型的に、SM材料を、溶液から真空蒸着又はコーティングし、機器の薄層を形成することができる。任意の材料が一般的に所望の電荷輸送及び電子発光特性の両方を有さないことから、実際には、SM材料の多層は典型的に、効率的な有機電子発光デバイスを作製するために使用される。
【0127】
例示的なSM材料には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)及びトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化合物が挙げられる。その他のSM材料は、例えば、C.H.チェン(C.H. Chen)らの高分子シンポジウム(Macromol. Symp.)、125、1(1997)、日本特許出願公開第2000−195673号、米国特許第6,030,715号、第6,150,043号、及び第6,242,115号、並びにPCT特許出願公報第WO 00/18851(二価ランタニド金属錯体)、第WO 00/70655(シクロ金属化イリジウム化合物及びその他)、及び第WO 98/55561号に記載される。
【0128】
アノード32及びカソード34は、典型的に、例えば、金、銀、ニッケル、クロム、バリウム、白金、パラジウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモン酸化スズ(ATO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリアニリン、その他の導電性ポリマー類、これらの合金類、これらの組み合わせ、及びこれらの多層を含む、金属類、合金類、金属化合物、導電性金属酸化物類、導電性セラミック、導電性分散体類、並びに導電性ポリマー類などの導電性材料を使用して形成される。アノード32及びカソード34は、導電性材料の単層であってよく、又は多層を含むことができる。例えば、アノード又はカソードは、アルミニウムの層及び金層の層、カルシウムの層及びアルミニウムの層、アルミニウムの層及びフッ化リチウムの層、又は金属層及び導電性有機層を含んでもよい。
【0129】
有機電子発光デバイスの典型的なアノードは、プラスチック又はガラスのような透明な基材上にスパッタされた酸化インジウムスズ(ITO)である。好適な基材には、例えば、ガラス、ポリオレフィン類、ポリエーテルスルホン類、ポリカーボネート類、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類、ポリアリレート類、及びポリマー多層フィルムなどの透明なプラスチック、3M(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から入手可能なプラスチックフィルムコンダクタ(Plastic Film Conductor)などのITOコーティング障壁フィルム、表面処理済みのフィルム、並びに選択されたポリイミドが挙げられる。
【0130】
基材をコーティングするアノード材料は、導電性であり、かつ視覚的に透明又は半透明であってよい。ITOに加え、好適なアノード材料には、酸化インジウム、フッ素酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化インジウムスズ、金、白金、パラジウム、その他の高仕事関数金属類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
任意で、平坦面を提供することを助長し、アノードの有効仕事関数を変更するために、アノードを緩衝層でコーティングすることができる。緩衝層は、典型的に、5000オングストロームまで、4000オングストロームまで、3000オングストロームまで、1000オングストロームまで、800オングストロームまで、600オングストロームまで、400オングストロームまで、又は200オングストロームまでの厚さを有する。緩衝層は、多くの場合、少なくとも5オングストローム、少なくとも10オングストローム、又は少なくとも20オングストロームの厚さを有する。緩衝層は、蒸着コーティング又は溶液コーティングすることができる。
【0132】
好適な緩衝層は、ポリ(3,4−オキシエチレンオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリアニリンエメラルジン、又は酸ドープポリピロールなどのイオンポリマーであってもよい。その他の好適な緩衝層は、参照として本明細書に組み込まれている米国特許出願第2004/0004433A1号に記載されるものを含み、それらは、(a)トリアリールアミン部分を有する正孔輸送材料、及び(b)電子アクセプタ材料を含む。好適な正孔輸送材料は、小分子又はポリマー材であってよい。例示的な正孔輸送材料には、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4”,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDAA)、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA)、及び4,4’,4”−トリス(N−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な電子輸送材料は、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロ−テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、クロルアニル、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル−6−フェニル−4H−チオピラン−4−イリデン)−プロパンジニトリル−1,1−ジオキシド(PTYPD)、及び2,4,7−トリニトロフルオレンが挙げられるが、これらに限定されない、このような緩衝層に含むことができる。
【0133】
典型的なカソード類としては、アルミニウム、バリウム、カルシウム、サマリウム、マグネシウム、銀、マグネシウム/銀合金類、リチウム、フッ化リチウム、イッテルビウム、及びカルシウム/マグネシウム合金類などの低仕事関数金属類が挙げられる。カソードは、これらの材料の単層又は多層であることができる。例えば、カソードは、フッ化リチウムの層、アルミニウムの層、及び銀の層を含むことができる。
【0134】
正孔輸送層38は、正孔をアノードから機器に注入すること、及びそれらが再結合領域に向かって移動することを促進する。正孔輸送層38は、更に、電子がアノード32へ通過する際の障壁として機能することができる。幾つかの実施例では、正孔輸送層にアセン−チオフェン共重合体を使用することができる。その他の実施例では、正孔輸送層38は、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(TPD)、N,N’−ビス(2−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(ベータ−NPB)、及びN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)などのジアミン誘導体、又は4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリ(N−フェノキサジニル)トリフェニルアミン(TPOTA)、及び1,3,5−トリス(4−ジフェニルアミノフェニル)ベンゼン(TDAPB)などのトリアリールアミン誘導体を含むことができる。
【0135】
電子輸送層40は、電子をカソードから機器に注入すること、及びそれらが再結合領域に向かって移動することを促進する。電子輸送層40は、正孔がカソード34へ通過する際の障壁として機能することができる。幾つかの実施例では、電子輸送層40は、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(Alq3)及びビフェニレートビス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(BAlq)などの有機金属化合物を使用して形成することができる。電子輸送層260において有用な電子輸送材料のその他の例には、1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル−2−イル]ベンゼン、2−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル、又は3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)が挙げられる。
【0136】
またその他の層、例えば、ポルフィリン化合物類似の銅フタロシアニン(CuPc)及び亜鉛フタロシアニンを含む追加の正孔注入層、例えば、アルカリ金属酸化物類又はアルカリ金属塩類を含む電子注入層、例えば、分子のオキサジアゾ−ル、及び2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル(PBD)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントラリン(BCP)、ビフェニレートビス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(BAlq)、又は3−(4ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)などのトリアゾール誘導体を含む正孔遮断層、例えば、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)、又は4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)を含む電子遮断層なども、有機発光要素内に存在することができる。更に、例えばエレクトロルミネセント材料から放射された光の色を別の色に変換させるために、光輝性材料がこれらの層内に存在することができる。例えば、所望の電流/電圧レスポンス、所望の機器効率、所望の色、所望の白色度、所望の機器寿命、又は所望のこれらの特性の組み合わせなどの特性の1つ以上を達成するために、これら及びその他のそのような層並びに材料を使用して、層状OEL機器の電子特性及び性質を変更又は調整することができる。
【0137】
別の種類の電子機器であり、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含むことができる、例示的な光電池を図8に図式的に示す。活性物質層54は、アノード52とカソード56との間に配置される。電極の一方は、任意の基材の1つに隣接して配置することができる。例えば、アノード52は、基材50に隣接して配置することができる。電極の少なくとも一方は、透明又は半透明である。透明又は半透明な電極が生地に隣接する場合、典型的に、基材も透明又は半透明である。基材50、アノード52、及びカソード56は、有機電子発光デバイスについて上記に記載されるものと同一であってよい。電極又は基材のいずれかは、材料の多層を含む。例えば、アノードは、ITOの第1の層、及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)などの導電性ポリマーの第2の層を含むことができる。
【0138】
活性物質層は、通常、半導体材料を含む。式Iのアセン−チオフェン共重合体は、活性物質層にあってよい。多くの実施形態では、活性物質層は、電子ドナー材料及び電子アクセプタの両方を含む。このような活性物質層では、アセン−チオフェン共重合体は、電子ドナー材料として機能する。例示的な電子アクセプタ材料には、例えば、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)などのフラーレン誘導体、[70]PCBM、単層炭素ナノチューブ類(SWNTs)、ナノ結晶CdSe粒子又はテトラポッド、ポリ(2,5,2’,5’−テトラヘキシルオキシ−7,8’−ジシアノ−ジ−p−フェニレンビニレン)(CN−PPV)、シアノ−ポリ(2−メトキシ−5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニルビニレン(MEH−CN−PPV)、ポリ(オキサ−1,4−フェニレン−(1−シアノ−1,2−ビニレン)−(2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレン)−1,2−(2−シアノビニレン)−1,4−フェニレン)(PCNEPV)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシビス−ベンジミダゾール(PTCBI)、及びポリ(2,5−ジへプチルオキシ−p−フェニレンビニレン)(HO−PPV)が挙げられる。
【0139】
前述の事項は、現在予見されない、本発明の実質的でない修正が、本発明の均等物を表しうるにもかかわらず、本発明者らによって権能付与的記載が入手できる予見された実施形態の観点から本発明を記載している。
【実施例】
【0140】
すべての試薬は、市販供給元から購入され、特に記載がない限り、更に精製することなく使用した。
【0141】
n−オクタデシルトリクロロシラン(OTS)及び1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)は、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))から入手した。トルエンは、Naから蒸留した。100ナノメートル熱成長酸化物を有する高濃度ドープp型シリコンウエファー(100)(シリコンバレー・マイクロエレクトロニクス社(Silicon Valley Microelectronics, Inc.))を基材として使用した。
【0142】
炭酸ナトリウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、スズ(II)塩化物、ビス(ピナコラト)ジボロン、2,5−ジブロモチオフェン、及び2,5−ジブロモ3−ヘキシルチオフェンは、アルドリッチ(Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))から購入し、ALIQUAT336(相間移動触媒)、n−ブチルリチウム、及びジクロロメタンを有する。
【0143】
[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム錯体は、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill)から入手し、トリイソプロピルシリルアセチレンは、GFSケミカルズ(GFS Chemicals)(オハイオ州コロンバス(Columbus)から購入した。ヘキサン及びテトラヒドロフラン(THF)をナトリウム上で蒸留した。以下の出発物質は、以下のように公開手順を使用して調製した。
【0144】
2,6−ジブロモアントラキノンは、イトウ(Ito)らのアンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew. Chem. Int. Ed.)42、1159〜1162(2003)に記載されるように、市販されている2,6−ジアミノアントラキノン(シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich))から、調製した。昇華後、DMFからの再結晶化により、これを更に精製した。
【0145】
2,5−ジブロモ−3,4−ジヘキシルチオフェンは、ビダル(Vidal)らのヨーロッパ化学ジャーナル(Chem. Eur. J.)、6、1663〜1673(2000)に記載されるように、市販されている3,4−ジブロモチオフェン(アルファ・エイサー(Alfa Aesar))から調製した。
【0146】
2,5−ジブロモ−3,4−エチレンジオキシチオフェンは、ソジン(Sotzing)らの化学物質(Chem. Mater.,)8、882〜889(1996)に記載されるように、市販されている3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT、バイエル(Bayer)、独国レバークーゼン(Leverkusen))から調製した。
【0147】
2,5−ジブロモ−3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェンは、N−ブロモコハク酸イミドを使用して、3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェンを臭素化することによって調製した。3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェンは、チャン(Zhang)らのJ.巨大分子ジャーナル(J. Macromolecules)、37、6306〜6315(2004)に記載されるように、3,4−ジブロモチオフェンの多段階合成から取得した。
【0148】
前駆体2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセンは、予備的な実施例1及び2に記載されるように、反応スキーム1に従って合成した。
【0149】
【化18】
【0150】
予備的な実施例1−2,6−ジブロモ−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)−エチニル]アントラセンの合成
トリイソプロピルシリルアセチレン(12.32g、67.5mmol)及び乾燥ヘキサン(140mL)を乾燥窒素ブランケット下でオーブン乾燥丸底フラスコ(1L)に添加した。ブチルリチウム(ヘキサン中2.7M、14.5mL、39.2mmol)を、乾燥窒素下で注射器により1滴づつ混合物に添加した。混合物を室温で2時間攪拌した。この無色溶液に、乾燥THF(300mL)及び2,6−ジブロモアントラキノン(5.49g、15.0mmol)を乾燥窒素下で添加した。溶液は、即座に赤色になり、2,6−ジブロモアントラキニノンは、数分で溶解した。混合物を室温で一晩攪拌し、溶液は暗い赤色になった。脱イオン(DI)水(6.0mL)を添加し、色は明るい赤色に変わり、白い沈殿物が現れた。その後、HCI(18mL、10%)水溶液中のスズ(II)塩化物(8.088g、42.6mmol)を添加した。混合物を60℃まで2時間加熱し、次いで室温まで冷却した。回転蒸発により、溶媒を除去した。混合物にDI水(100mL)を添加し、次いでヘキサン(100mL×3)で抽出した。ヘキサン溶液を中性になるまでDI水で洗浄した。それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン、Rf=0.7)で濃縮し、精製した。明るい黄色の固体(8.55g、収率:82%)が生成物として取得された。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.797〜8.802(d,2H,J=2.0Hz)、8.431〜8.454(d,2H,J=8.8Hz)、7.647〜7.674(dd,2H,J=8.8Hz,J=2.0Hz)、1.259(s,36H)、1.247(s,6H)。
【0151】
予備的な実施例2−2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセンの合成
予備的な実施例1の2,6−ジブロモ−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(5.225g、7.5mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(4.763g、18.8mmol)、KOAc(2.940g、30.0mmol)、及びCHCl3(100mL)を乾燥窒素下で250mLのフラスコに入れた。懸濁KOAcを有する黄色い溶液を得た。懸濁液を脱気して酸素の痕跡を除去した。次いで[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.205g)を乾燥窒素下で添加した。溶液はオレンジ色に変化した。混合物を70℃で3日間攪拌した後、室温まで冷却した。それをDI水(100mL×3)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。回転蒸発により、溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3)で固体残基を精製し、エチルアセテートから再結晶させた。オレンジ色の針状結晶が生成物として取得された(3.20g、収率55%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm9.250〜9.254(dd,2H,J=0.8Hz,J=0.8Hz)、8.579〜8.603(dd,2H,J=8.8Hz,J=0.8Hz)、7.901〜7.926(dd,2H,J=8.8Hz,J=1.2Hz)、1.384(s,24H)、1.288(s,36H)、1.279(s,6H)。
【0152】
反応スキーム2に示されるように、スズキカップリング反応を使用して、予備的な実施例3〜7のアセン−チオフェン共重合体を合成した。
【0153】
【化19】
【0154】
Br−Q−Br化合物は、2,5−ジブロモ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(予備的な実施例3)、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(予備的な実施例4)、2,5−ジブロモ−3,4−ジヘキシルチオフェン(予備的な実施例5)、2,5−ジブロモチオフェン(予備的な実施例6)、及び2,5−ジブロモ−3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェン(予備的な実施例7)であった。
【0155】
予備的な実施例3−ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
250mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(1.552g、2.00mmol)、2,5−ジブロモ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(0.600g、2.00mmol)、炭酸ナトリウム(1.060g、10.0mmol)、ALIQUAT336(0.241g)、蒸留水(10mL)、及びトルエン(100mL)を充填した。酸素を除去するために、窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。次いで、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.025g、0.02mmol)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で46時間攪拌した。共重合体をエンドキャップするために、更に2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.015g)を添加し、続いて24時間後にブロモベンゼン(0.5mL)を添加した。溶液を更に24時間攪拌し、室温まで冷却した。トルエン溶液を分離し、DI水(150mL×3)で洗浄した。次いで、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を勢いよく攪拌しながらMeOH(350mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(1.39g、収率:およそ100%)を生成物として得た。Mw=11,000g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.91〜9.30(br,2H)、8.49〜8.91(br,2H)、7.75〜8.31(br,2H)、4.19〜4.71(br,4H)、1.12〜1.15(br,42H)。
【0156】
予備的な実施例4−ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
250mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(1.552g、2.00mmol)、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(0.652g、2.00mmol)、炭酸ナトリウム(1.060g、10.0mmol)、ALIQUAT336(0.241g)、蒸留水(10mL)、及びトルエン(100mL)を充填した。酸素を除去するために、乾燥窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.030g、0.02mmol)乾燥窒素流下で添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で48時間攪拌した。更に2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.015g)を添加し、反応物を15時間攪拌し、続いてブロモベンゼン(80μL(マイクロリットル))を添加した。反応混合物を更に24時間攪拌し、室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(100mL×4)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を濃縮し、勢いよく攪拌しながらMeOH(300mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(1.24g、収率:88%)を生成物として得た。Mw=11,600g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.89〜9.06(br,1H)、8.78〜8.87(br,1H)、8.62〜8.74(br,2H)、7.88〜8.01(br,1H)、7.74〜7.86(br,1H)、7.52〜7.65(br,1H)、2.82〜3.03(br,2H)、1.69〜1.84(br,2H)、1.08〜1.50(br,48H)、0.71〜0.90(br,3H)。
【0157】
予備的な実施例5−ポリ(3,4−ジヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
250mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(3.909g、5.04mmol)、2,5−ジブロモ−3,4−ジヘキシルチオフェン(2.121g、5.17mmol)、炭酸ナトリウム(2.65g、25.0mmol)、ALIQUAT336(1.0g)、蒸留水(10mL)、及びトルエン(100mL)を充填した。酸素を除去するために、窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。次いで、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.125g、0.10mmol)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で72時間攪拌した。その後、それを室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(150mL×3)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を勢いよく攪拌しながらMeOH(350mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(3.53g、収率:89%)を生成物として得た。Mw=36,300g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.81〜8.90(br,2H)、8.61〜8.76(br,2H)、7.71〜7.87(br,2H)、2.68〜3.05(br,4H)、1.46〜1.63(br,4H)、1.09〜1.40(br,54H)、0.69〜0.84(br,6H)。
【0158】
予備的な実施例6−ポリ(2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
シュレンクフラスコ(250mL)に、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.3888g、0.50mmol)、2,5−ジブロモチオフェン(0.121g、0.50mmol)、炭酸ナトリウム0.265g、2.50mmol)、ALIQUAT336(0.118g)、蒸留水(3mL)、及びトルエン(30mL)を充填した。酸素を除去するために、窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。その後、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.016g、0.01mmol)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で48時間攪拌した。それを室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(150mL×3)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を勢いよく攪拌しながらMeOH(200mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(0.28g、収率:91%)を生成物として得た。Mw=8,500g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.10〜9.00(br,4H)、7.50〜8.00(br,2H)、7.00〜7.50(br,2H)、0.93〜1.96(br,42H)。
【0159】
予備的な実施例7−ポリ(3,6−ジノニル−2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
100mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.233g、0.30mmol)、2,5−ジブロモ−3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェン(0.165g、0.30mmol)、炭酸ナトリウム(0.159g、1.5mmol)、ALIQUAT336(0.096g)、蒸留水(1.5mL)、及びトルエン(30mL)を充填した。酸素を除去するために、乾燥窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。その後、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.009g)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で45時間攪拌した。それを室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(100mL×3)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を濃縮し、勢いよく攪拌しながらMeOH(200mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(0.105g、収率:38%)を生成物として得た。Mw=13,100g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.78〜8.95(br,2H)、8.54〜8.77(br,2H)、7.70〜7.97(br,2H)、2.58〜3.17(br,4H)、1.68〜2.00(br,4H)、1.03〜1.50(br,66H)、0.68〜0.90(br,6H)。
【0160】
(実施例1〜5)薄膜トランジスタ
OTS処理基材の作製:
シリコンウエファーをイソプロパノール中で30分間超音波で洗浄した。乾燥窒素流下で乾燥後、室温で20時間、乾燥窒素下でn−オクタデシルトリクロロシラントルエン溶液(0.1% v/v)にそれらを浸漬した。その後、それらをCHCl3で洗浄し、乾燥窒素下で乾燥し、膜蒸着の前に乾燥窒素中に保管した。
【0161】
HMDS処理基材の作製:
シリコンウエファーをイソプロパノール中で30分間超音波で洗浄した。乾燥窒素流下で乾燥後、乾燥窒素下、室温で20時間、密閉容器内でそれらを1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン蒸気に暴露した。それらを膜蒸着前に乾燥窒素中に保管した。
【0162】
薄膜トランジスタの製造
ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例1)、ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例2)、ヘプタン溶液(およそ0.4質量%)中のポリ(3,4−ジヘキシルチオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例3)及びポリ(2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)中のポリ(3,4−ジヘキシルチオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例4)、THF溶液(およそ0.8質量%)中のポリ(3,6−ジノニル−2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例5)を、それぞれシリコンウエファー、OTS処理シリコンウエファー、又はHMDS処理シリコンウエファー上でナイフコーティングした。風乾後、金ソース/ドレイン電極(厚さ60ナノメートル)をポリマーシャドーマスクにより、熱蒸発法を使用してパターン形成した。チャンネル長(L)107マイクロメートル及びチャンネル幅(W)1000マイクロメートルを使用した。
【0163】
有機薄膜トランジスタの特性化
ヒューレット・パッカード半導体パラメータ分析機(Hewlett Packard Semiconductor Parameter Analyzer)(モデル4145A、ヒューレット・パッカード社(Hewlett Packard Corporation)、カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)から入手可能)を使用して、ドレイン電圧(Vd)を−40Vに維持する一方、ゲート電圧(Vg)を+10V〜−40Vまで掃引することによって、薄膜トランジスタを周囲条件下で特性化した。Id1/2−Vgへの線状適合のトレースは、飽和移動度及び閾値電圧(Vt)の抽出を可能にした。Id−Vgへの線状適合のトレースは、電流オン/オフ率を算出できるようにした。
【0164】
実施例1については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、HMDS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、8×10−6cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。閾値電圧(Vt)は、−16Vであり、閾値以下の傾き(S)は、2.3V/decadeであった。実施例2については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、OTS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、7×10−6cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。Vt及びSは、それぞれ、−8V及び1.4V/decadeであった。実施例3については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3,4−ジヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、シリコンウエファー(未処理)上にナイフコーティングした。電荷移動度は、2×10−5cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。Vt及びSは、それぞれ、−11V及び0.9V/decadeであった。実施例4については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、HMDS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、2×10−5cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。Vt及びSは、それぞれ、−8V及び1.5V/decadeであった。実施例5については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3,6−ジノニル−2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、HMDS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、1×10−5cm2/Vsであり、オン/オフ率は、102であった。Vt及びSは、それぞれ、−22V及び1.4V/decadeであった。
【0165】
(実施例6〜8)光電池
薄膜光電池の作製
3つの薄膜光電池は、以下のように、25ohm/squareの抵抗を有するITO/ガラス基材をシン・フィルム・デバイシーズ(Thin Film Devaices)(カリフォルニア州アナハイム(Anaheim))から入手し、石鹸溶液、脱イオン水、アセトン、次いでイソプロパノール中で、続けて超音波で洗浄して作製された。洗浄された基材を窒素ガス流中で乾燥した。
【0166】
以下のように、溶液Iの1つの部分と溶液IIの2つの部分を共に混合することによって、導電性ポリマーコーティング溶液を調製した。水中、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSS)が1.3重量パーセントの溶液にソルビトールを添加して、溶液Iを調製した。ソルビトールの濃度は、溶液の重量に基づき、3重量パーセントであった。溶液IIには、32重量パーセントの水、3.7重量パーセントのN−メチル−2−ピロリジノン、0.3重量パーセントのTERGITOL TMN−6、並びにエチレングリコール、グリセロール、及びエタノールの混合物である、64重量パーセントの(SOL−IJ−G−SI)溶媒が含まれていた。導電性ポリマーコーティング溶液を、1000回転/分で50秒間、きれいにしたITO/ガラス基材の表面にスピンコーティングした。結果として生じる試料を100℃で2分間前ベーキングし、窒素中、165℃で15分間硬化した。コーティングの厚さは、およそ100ナノメートルであった。
【0167】
実施例6については、1.6重量パーセントの電子ドナー半導体ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を含んだ溶液を調製した。最初に、電子ドナー半導体をクロロベンゼンに溶解し、0.45μ注射器フィルタを通してろ過し、次に電子ドナー溶液中の1.6重量パーセントの電子アクセプタ半導体[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)に添加した。次いで、更に数日間、混合溶液を磁気的に攪拌した。実施例7及び8については、使用された電子ドナー半導体が異なる点以外は、実施例6と同一方法により、溶液を調製した。実施例7に使用された電子ドナー半導体は、ポリ(3,4−ジヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)であり、実施例8には、ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を使用した。
【0168】
その後、十分に混合した溶液混合物を、PEDOT/PSSコーティングされたITO/ガラス基材の表面に、回転速度800回転/分で50秒間、スピンコーティングした。次いで3つの試料を、窒素環境で、110℃で30分間、ホットプレート上でベーキングし、続いて微小な相互貫入ドナー−アクセプタネットワークを形成するために、更に約140℃で1.5時間ベーキングした。平均コーティング厚さ約225ナノメートルが得られた。最終的に、試料を直径2ミリメートルの円形正孔アレイを有するシャドーマスクで被覆された真空チャンバーに装填した。カルシウム(20ナノメートル)、次いでアルミニウム(80ナノメートル)を活性物質層に蒸着し、直径2ミリメートルの円形カソードアレイを形成した。
【0169】
機器性能特性
キースレー(Keithley)マルチメーター、モデル197A(オハイオ州クリーブランド(Cleveland))を使用して、光電流測定を行った。光源は、3M 9200オーバーヘッドプロジェクターであった。3M 9200プロジェクターランプの出力密度は、約40〜60mW/cm2であった。光電池を、プロジェクターランプから約2cmの距離から暴露した。最初に、ショートが発生していないことを確認するために、アノードとカソードとの間の電気抵抗を最初に測定した。測定された電気抵抗は、実施例6については、1,000MΩ(106Ω)を上回り、実施例7については、30MΩを上回り、実施例8については、20MΩを上回った。プロジェクターランプに暴露したとき、実施例6については、光電流密度は、約8μA/cm2、であり、実施例7については、光電流密度は、2μA/cm2であり、実施例8については、光電流密度は、約70μA/cm2であった。
【0170】
添付図面と併せて本発明の様々な実施形態の「発明を実施するための最良の形態」を検討することにより、本発明をより完全に理解することができる。
【0171】
図面は、いかなる層の特定の厚さ、又は様々な層の特定の相対厚さを意味しない。
【0172】
本発明は様々な変更例及び代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すと共に詳細に説明する。しかしながら、その意図は、説明した特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されたい。それに反して、本発明は、本発明の精神及び範囲内にあるすべての修正形態、等価形態、及び代替形態を網羅することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】第1の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図2】第2の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図3】第3の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図4】第4の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図5】第5の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図6】第6の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図7A】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図7B】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図7C】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図7D】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図8】例示的な光電池の略図。
【技術分野】
【0001】
シリルエチニル基を有するアセン−チオフェン共重合体を含む、電子機器及び電子機器の作製方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機材料は、電子機器産業の中心となっている。例えば、ヒ化ケイ素及びヒ化ガリウムは、半導体材料として使用され、二酸化ケイ素は、絶縁体材料として使用され、アルミニウム及び銅などの金属類は、電極材料として使用されている。しかしながら、近年、電子機器において従来の無機材料よりもむしろ、有機材料を使用することを目的としたさらなる研究努力がなされている。その他の利益の中でもとりわけ、有機材料の使用は、電子機器の製造費の削減を可能にし、広い領域での応用を可能にし、ディスプレイバックプレーン及び集積回路ためのフレキシブル回路支持体の使用を可能にし得る。
【0003】
様々な有機半導体材料が考えられるが、ペンタセン含有の化合物類、テトラセン含有の化合物類、アントラセン含有の化合物類、ビス(アセニル)アセチレン化合物類、及びアセン−チオフェン化合物類などの小分子により例示されるように、縮合芳香環化合物類が最も一般的である。またポリ(3−アルキルチオフェン)により例示される、立体規則性ポリチオフェン類、及び縮合チオフェンユニット又はビス−チオフェンユニットを有するポリマー類などの幾つかの高分子材料も考えられている。しかしながら、少なくとも幾つかのポリマー類は、酸化する傾向があり、電子機器の処理能力の低下をもたらす可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電子機器及び電子機器の作製方法を記載する。更に具体的には、該電子機器は、結合したシリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む。共重合体は、例えば、半導体層又は第1の電極と第2の電極との間に配置された層において使用することができる。
【0005】
一態様において、式Iのアセンチオフェン共重合体を含む電子機器を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】
アセン−チオフェン共重合体は、結合したシリルエチニル基類を有する。式Iにおいて、Acは、2〜5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基である。Ac基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができる。Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択される。二価基Qは、式II、III、IV、又はVである。
【0008】
【化2】
【0009】
式IIからVのR1及びR2のそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択される。下付き文字nは、4より大きい整数である。星印は、それぞれのEは、式−C≡C−Si(Ra)3である、式−Ac(E)2−Q−の別の繰り返し単位のような、別の基との結合位置を示す。
【0010】
別の態様において、電子機器の作製方法が提供される。該方法は、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む層を提供する工程を含む。
【0011】
本発明の上述の発明の開示は、本発明の開示された各実施形態、又はあらゆる実施も記載することを意図していない。発明を実施するための最良の形態、及び後の実施例が、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、結合したシリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器を提供する。共重合体は、例えば、誘電体層、導電層、又はこれらの組み合わせに隣接する層に存在し得る。より具体的には、共重合体は、有機薄膜トランジスタなどの電子機器の半導体材料として機能する、又は有機光電池若しくは有機電子発光機器などの電子機器の2つの電極間に配置することができる。
【0013】
また本発明は、シリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器の作製方法を提供する。該方法は、シリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体を含む層を提供する工程を含む。この層の提供には、多くの場合、溶媒中に溶解した共重合体を含むコーティング溶液を調製する工程と、表面上のコーティング溶液から溶液層を形成する工程と、溶液層から少なくともいくらかの溶媒を除去する工程と、を伴う。共重合体を含有する層は、多くの場合、基材の表面上又は電子機器内の別の層の表面上に形成される。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの(at least one)」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1以上を意味する。
【0015】
「アセン」は、mが0又はそれ以上の整数である、以下の式で示される、1つの直線配列内に少なくとも2つの縮合ベンゼン環を有する多環芳香族炭化水素基を意味する。
【0016】
【化3】
【0017】
通常アセンは、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、又はペンタセンから選択される。
【0018】
用語「アセン−チオフェン共重合体」、「結合したシリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体」、及び「シリルエチニル基類を有するアセン−チオフェン共重合体」は、式Iの共重合体を指すために、置き換え可能に使用される。
【0019】
「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンの基である、一価基を意味する。アルキルは、線状、分岐状、環状、又はその組み合わせであることができ、通常1〜30の炭素原子を含む。幾つかの実施形態では、アルキル基は、4〜30、1〜20、4〜20、1〜14、1〜10、4〜10、4〜8、1〜8、1〜6、又は1〜4の炭素原子を含む。アルキル基類の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第3ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、n−へプチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素であるアルケンの基である、一価基を意味する。アルケニルは、線状、分岐状、環状、又はその組み合わせであることができ、通常2〜30の炭素原子を含む。幾つかの実施形態では、アルケニルは、2〜20、2〜14、2〜10、4〜10、4〜8、2〜8、2〜6、又は2〜4の炭素原子を含む。例示的なアルケニル基類には、エテニル、プロペニル、及びブテニルが挙げられる。
【0021】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する炭化水素であるアルキンの基である、一価基を意味する。アルキニルは、線状、分岐状、環状、又はその組み合わせであることができ、通常2〜30の炭素原子を含む。幾つかの実施形態では、アルキニルは、2〜20、2〜14、2〜10、4〜10、4〜8、2〜8、2〜6、又は2〜4の炭素原子を含む。例示的なアルキニル基類には、エチニル、プロピニル、及びブチニルが挙げられる。エチニルなどの幾つかのアルキニル基類は、シリル基で更に置換することができる。
【0022】
「アルコキシ」は、Rは、アルキル基である、式−ORの一価基を意味する。例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「アリール」は、芳香族炭素環式化合物の基である、一価基を意味する。アリールは、1つの芳香環を有することができる、又は芳香環と結合している、若しくは融合している、炭素環構造を5つまで含有することができる。その他の環状構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであってもよい。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキルを意味する。
【0025】
「ハロ」は、ハロゲン基(即ち、−F、−Cl、−Br、又は−I)を意味する。
【0026】
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロ基で置換されたアルキルを意味する。
【0027】
「ヒドロキシルアルキル」は、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたアルキルを意味する。
【0028】
「ヘテロアルキル」は、チオ、オキシ、Rbが水素若しくはアルキルである、式−NRb−の基、或いはアリールで置換された−CH2−基を1つ以上有するアルキル、又はRは、アルキルである、式−SiR2−の基の群を意味する。ヘテロアルキルは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであることができ、30までの炭素原子及び20までのヘテロ原子を含むことができる。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキルは、25までの炭素原子、20までの炭素原子、15までの炭素原子、又は10までの炭素原子を含む。チオアルキル基類及びアルコキシ基類は、ヘテロアルキル基類の部分集合である。
【0029】
「ヘテロアリール」は、環内のS、O、N、又はその組み合わせから独立して選択されるヘテロ原子を1つ以上含む、5〜7員芳香環を有する一価基を意味する。そのようなヘテロアリール環は、芳香族、脂肪族、又はその組み合わせである環状構造に5つまで結合若しくは融合することができる。ヘテロアリール基類の例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、カルバゾイル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンジミダゾリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアジニル、フェナジニル、フェナントリジニル、アクリジニル、及びインダゾリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを意味する。
【0031】
「シリルエチニル」は、それぞれのRaは、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキルから独立して選択される、式−C≡C−Si(Ra)3の一価基を意味する。これらの基類は、シラニルエチニル基類と称される場合がある。
【0032】
「チオアルキル」は、Rがアルキル基である、式−SRの一価基を意味する。
【0033】
式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器を提供する。
【0034】
【化4】
【0035】
アセン−チオフェン共重合体は、結合したシリルエチニル基類を有する。式Iにおいて、Acは、2〜5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基である。Ac基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができる。Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択される。二価基Qは、式II、III、IV、又はVである。
【0036】
【化5】
【0037】
式IIからVのR1及びR2はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択される。下付き文字nは、4以上の整数である。星印は、それぞれのEは、式−C≡C−Si(Ra)3である、式−Ac(E)2−Q−の別の繰り返し単位のような、別の基との結合位置を示す。
【0038】
Ac基は、アセンの基である。アセンは、直線状に配列された縮合芳香環(即ち、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、又はペンタセン)を2〜5有することができる。好適なアセンは、多くの場合、ナフタレン、アントラセン、又はペンタセンから選択される。アセンは、一般に、順序番号が付与され、1つの環のみの員である炭素原子のそれぞれに番号が付けられる。例示的なアセン−ジイル(即ち、アセンの二価基)の様々な位置がナフチレン−2,6−ジイルの以下の構造内に示される。
【0039】
【化6】
【0040】
アントラセン−2,6−ジイル、及び
【0041】
【化7】
【0042】
ペンタセン−2,9−ジイル。
【0043】
【化8】
【0044】
それぞれのAc基は、式−C≡C−Si(Ra)3の2つの共有結合したシリルエチニル基類を有する。Ac基がナフタレンに由来する場合、2つのシリルエチニル基は、典型的に、同一の芳香環に結合される。Ac基がアントラセン又はペンタセンに由来する場合、2つのシリルエチニル基は、共に同一の内側の芳香環に結合する、又は1つのシリルエチニル基が外側の芳香環のそれぞれに結合することができる。本明細書で使用するとき、用語「内側の芳香環」は、2つの他の芳香環と融合したアセンの芳香環を意味する。例えば、9位及び10位の位置を含む環は、アントラセン系Ac基の内側の芳香環と称される。本明細書で使用するとき、用語「外側の芳香環」は、1つの芳香環とのみ融合したアセンの芳香環を意味する。例えば、1位、2位、3位、及び4位の位置を含む環、並びに5位、6位、7位、及び8位の位置を含む環は、アントラセン系Ac基の外側の芳香環と称される。
【0045】
多くの実施形態では、シリルエチニル基類がAc基の内側の環に結合されていることが好ましい。例えば、Ac基がアントラセンに由来する場合、シリルエチニル基類は、好ましくは、9位及び10位の位置に結合される。共重合体を調製するために使用されるアセン前駆体の安定性は、多くの場合、シリルエチニル基類がAc基の内側の芳香環に結合することによって、向上することができる。複数の内側の芳香環で、ペンタセン由来Ac基の6位及び13位の位置などの、最も内側の環へのシリルエチニル基類の結合によって、アセン前駆体の最高の安定性をもたらす可能性がある。本明細書で使用するとき、安定性とは、酸化及び/又は二量化に対する耐性を意味する。
【0046】
それぞれのシリルエチニル基は、式−C≡C−Si−(Ra)3であり、それぞれのRaは、独立して水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルである。例示的なアルキル、アルコキシ、アルケニル、ヘテロアルキル、及びヒドロキシアルキル基は、線状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせであってよく、通常10までの炭素原子、8までの炭素原子、6までの炭素原子、又は4までの炭素原子を有する。例示的なアリール基は、フェニルであり、例示的なアラルキルは、フェニル基で置換された10までの炭素原子を有するアルキルである。例示的なヘテロアリール基類は、多くの場合、1つ又は2つのヘテロ原子を含む5又は6員不飽和複素環であり、例示的なヘテロアラルキルは、1つ又は2つのヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールで置換された炭素原子を10まで有する、アルキルである。
【0047】
より具体的な例では、それぞれのRaは、10まで、8まで、又は6までの炭素原子を有するアルキルである。つまり、シリルエチニル基は、トリアルキルシリルエチニル基である。それぞれのアルキル基は、多くの場合、少なくとも1つの炭素原子、少なくとも2つの炭素原子、又は少なくとも3つの炭素原子を有する。例えば、式Iの幾つかの共重合体では、シリルエチニル基は、Raがイソプロピルである、トリイソプロピルシリルエチニルである。
【0048】
2つのシリルエチニル基に加え、Ac基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができる。Ac置換基を参照する場合、用語「これらの組み合わせ」は、Ac基上の複数の置換基、又は第2の置換基で更に置換された第1の置換基のいずれかを意味する。少なくとも幾つかの実施形態では、置換基を1つ以上添加することは、有機溶媒内の式Iの共重合体の溶解度を向上することができる、又は様々なコーティング組成物を有する共重合体の相溶性を改善することができる。
【0049】
基Qは、Acの結合したシリルエチニル基を欠如している、いずれの位置に結合することができる。式Iのアセン−チオフェン共重合体は、ビチオフェン又はポリチオフェン基を欠如している。つまり、いかなる2つのAc(E)2基は、式II〜Vの単独基から選択される基Qによって分離される。共重合体は、通常、共重合体の長さに渡り、接合される。典型的に、共重合体内の式−Ac(E)2−Q−の2つの繰り返し単位間に、共重合体の主鎖に沿った二重結合の接合を分裂させるスペーサ基類は無い。
【0050】
多くの実施形態では、Qは、Acの外側の芳香環に結合される。例えば、基Qは、ナフタレン系又はアントラセン系のいずれかのAc基の1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、又は8位の位置、及びペンタセン系Ac基の1位、2位、3位、4位、8位、9位、10位、又は11位の位置で結合することができる。QがAcの外側の芳香環に結合され、Ac基がアントラセン又はペンタセンから由来する場合、2つのシリルエチニル基は、通常、Acの内側の芳香環、好ましくは同一の内側の芳香環に結合される。
【0051】
その他の実施形態では、Qは、Acの内側の芳香環に結合される。例えば、基Qは、アントラセン系Ac基の9位又は10位の位置、又はペンタセン系Ac基の5位、6位、7位、12位、13位、又は14位の位置で結合することができる。QがAcの内側の芳香環に結合されている場合、2つのシリルエチニル基は、通常、Ac外側の芳香環に結合される。例えば、1つのシリルエチニル基は、アントラセン又はペンタセンに由来するAc基の外側の芳香環のそれぞれに配置することができる。
【0052】
基Q及び2つのシリルエチニルに結合されていることに加え、Ac基は、共重合体、又はEが、シリルエチニル基類(即ち、結果として生じる共重合体材料は、少なくとも5と同等の下付き文字nを有する)である、式−Ac(E)2−Q−の別の繰り返し単位の末端基などの第4の基に結合される。式Iの基QがAc基の芳香環の内側に結合される場合、第4の基は、多くの場合、同一の内側の芳香環に結合される。基Qが外側のAc基の芳香環に結合される場合、第4の基は、多くの場合、反対側の外側の芳香環に結合される。つまり、基Q及び第4の基は、多くの場合、Ac基の芳香環の内側に結合する2つのシリルエチニル基を有するAc基の反対側の遠位端に結合される。
【0053】
例示的なAc(E)2基類には、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの基類のいずれもアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせで置換されたAc基を任意に有することができる。用語「ジイル」の前の位置番号は、Q基及び第4の基がAc基に結合される炭素原子を示す。
【0054】
幾つかのより具体的なAc(E)2基類には、1,4−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの基類のいずれもアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせで置換されたAc基を任意に有することができる。用語「ジイル」の前の位置番号は、Q基及び第4の基がAc基に結合される炭素原子を示す。
【0055】
共重合体が半導体材料として機能するような幾つかの用途において、直鎖方向(即ち、共重合体の主鎖に沿った)に伸張した共役長さを有するAc基を選択することが望ましい場合がある。このような共重合体は、積み重ね様構造の構成で互いにきれいに一直線になる傾向がある。つまり、幾つかの用途において、内側の芳香環がある場合、Q基は、内側の芳香環に結合する2つのシリルエチニル基を有するアセンの外側の芳香環に結合することが好ましい。例示的なAc(E)2基類には、1,4−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイルなどの1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、9,10−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイルなどの9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、又は6,13−ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイルなどの6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの基類のいずれもアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせで置換されたAc基を任意に有することができる。
【0056】
基Qは、上記に記載されるように、式II〜Vから選択される。これらの式のR1及びR2のそれぞれは、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はこれらの組み合わせから独立して選択される。基R1及びR2を参照する場合、用語「これらの組み合わせ」は、別の基で更に置換された第1の基を意味する。
【0057】
基Qの幾つかの実施形態では、4〜30の炭素原子、4〜20の炭素原子、4〜16の炭素原子、又は4〜10の炭素原子など、少なくとも4つの炭素原子を含む、少なくとも1つのR1基又はR2基が存在する。より具体的には、少なくとも1つのR1基又はR2基は、少なくとも4つの炭素原子を有するアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルコキシ、少なくとも4つの炭素原子を有するチオアルキル、少なくとも6つの炭素原子を有するアリール、少なくとも10の炭素原子を有するアラルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するハロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヒドロキシアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヘテロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルケニル、又はこれらの組み合わせから選択される。そのような基を少なくとも1つ選択することは、多くの場合、共通の有機溶媒中の式Iの共重合体の溶解度を向上することができる、又は様々なコーティング組成物を有するアセン−チオフェン共重合体の相溶性を改善することができる。
【0058】
幾つかの例示的な共重合体は、少なくとも4つの炭素原子を有するアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルコキシ、少なくとも4つの炭素原子を有するチオアルキル、少なくとも6つの炭素原子を有するアリール、少なくとも10の炭素原子を有するアラルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するハロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヒドロキシアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するヘテロアルキル、少なくとも4つの炭素原子を有するアルケニル、又はこれらの組み合わせから選択される、同一のR1及びR2基を有する。
【0059】
式Iの共重合体は、反応スキームAに示されるような、スズキカップリング反応を使用して調製することができる。
【0060】
【化9】
【0061】
2つの結合したシリルエチニル基(即ち、Acはアセン基を示し、Eは、式−C≡C−Si(Ra)3の基を示し、Xは、ハロを示す)を有するジハロアセンは、最初にビス(ピナコラト)ジボロンなどのジオキサボロランと反応して、2つのジオキサボロラン基(例えば、テトラメチルジオキサボロラン)を有するアセン化合物を形成する。その後結果として生じるアセン化合物は、ジハロチオフェン化合物(即ち、X−Q−X)と反応して、式Iの共重合体を形成する。第2の反応のハロ基類は、第1の反応のハロ基類と同一であっても異なっていてもよい。これらの反応の両方は、典型的に、例えば、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム及びテトラキス(トリフェニル)ホスフィン)パラジウム(0)など、パラジウム触媒の存在下で行われる。反応スキームAの別の手段として、ジハロチオフェン化合物を最初にジオキサボロランと反応させた後、スズキカップリング反応を使用して、2つの結合したシリルエチニル基を有するジハロアセンと反応させることができる。スズキカップリング反応は、イトウ(Ito)らの論文、アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew. Chem. Int. Ed.)、42,1159〜1162(2003)、及び本明細書で参照される関連情報に更に記載される。
【0062】
また反応スキームBに示されるように、スティルカップリング反応を使用して、式Iの共重合体を合成することもできる。
【0063】
【化10】
【0064】
チオフェン化合物をリチオ化した後、塩化トリブチルスズなどの酸化トリアルキルスズと反応させて、2つの酸化トリアルキルスズ基で置換されたチオフェン化合物を形成することができる。結果として生じるチオフェン化合物を、2つの結合したシリルエチニル基を有するジハロアセンを有するパラジウム触媒の存在下で反応させることができる。反応スキームBの別の手段として、2つの結合したシリルエチニル基を有するアセンをリチオ化し、次いで酸化トリアルキルスズと反応させて、2つの酸化トリアルキルスズ基で置換されたアセンを形成することができる。次いで結果として生じるアセン化合物を、パラジウム触媒の存在下でジハロチオフェンと反応させることができる。スティルカップリング反応は、ミラー(Miller)らの有機化学ジャーナル(J. Org. Chem.)、60、6813〜6819(1995)、及びカッツ(Katz)らのアカウント・オブ・ケミカル・リサーチ(Acc. Chem. Res.)、34、359〜369(2001)の論文に更に記載される。
【0065】
2つのシリルエチニル基を有するジハロアセンは、実施例又は反応スキームCに示されるように、ジハロアセンから合成することができる。例えば、1,4−ビス(シリルエチニル)−2,6−ジハロナフタレンは、英国オックスフォードシャー州(Oxfordshire)のアピン・ケミカルズ社(Apin Chemicals Ltd.)から市販される、2,6−ジクロロナフタレンなどの2,6−ジハロナフタレンを始めとして、合成することができる。
【0066】
【化11】
【0067】
2,6−ジハロナフタレンを酸化して、2,6−ジハロナフタキノンにすることができる。リチオ化型のシリルアセチレン化合物を構成することにより、シリルエチニル基類を添加することができ、続いて2,6−ジハロナフタキノンと反応する。様々なシリルアセチレン化合物が市販されている。例えば、(トリメチルシリル)アセチレン、(トリエチルシリル)アセチレン、(トリイソプロピルシリル)アセチレン、及び(tert−ブチルジメチルシリル)アセチレンがオハイオ州コロンバス(Columbus)にあるGFSケミカルズ(GFS Chemicals)から入手可能である。(ジメチルフェニルシリル)アセチレン、(メチルジフェニルシリル)アセチレン、及び(トリフェニルシリル)アセチレンは、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)にあるアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手可能である。次いで結果として生じるジオール生成物は、塩化第一スズなどの還元剤との反応により、対応する芳香族化合物に変換することができる。
【0068】
反応スキームDに示されるように、2,9又は2,10の位置にハロ基を有するジハロペンタセンを合成することができる。典型的なフリーデル−クラフツ条件下(例えば、強ルイス酸であるAlCl3)、不活性溶媒中で、又は熱を伴う溶媒としてハロベンゼンを用いた、ハロベンゼンとピロメリット無水物との反応によりは、2つの異性体ビス(ハロベンゾイル)フタル酸A及びBを生じる。これらの変異体は、部分再結晶、クロマトグラフィー、又は溶解度の差により、分離することができる。個々のビス(ハロベンゾイル)フタル酸A及びBの更なる反応は、別々に行われ、最初にトリフルオロメタンスルホン酸を使用して対応するテトロンC及びDに環化し、続いて水酸化ホウ素ナトリウム及び塩化第一スズで所望のペンタセンE及びFに還元する。以下のR3基は、水素又は置換基である。
【0069】
【化12】
【0070】
結果として生じるジハロペンタセンは、反応スキームCに示される方法と類似の方法を使用して反応させ、2つのシリルエチニル基に結合することができる。化合物E及びFの酸化は、対応するキノンG及びHをそれぞれ生じるであろう。次いで、ペンタセンの6位及び13位の位置で結合されるシリルエチニル基で、これらの化合物を誘導体に変換することができる。
【0071】
【化13】
【0072】
式IIaのジブロモチオフェン化合物
【0073】
【化14】
【0074】
は、対応するチオフェン化合物の臭素化によって調製することができる。つまり、対応するチオフェンは、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)などの臭素化剤で反応させることができる。例えば、アルキル基類と同等のR1及びR2を有する式IIaの化合物は、2モルの所望のアルキル基類を含むグリニャ−ル試薬で3,4−ジハロチオフェンと反応させ、続いて臭素化反応を行うことによって、調製することができる。この方法は、ビダル(Vidal)らの論文ヨーロッパ化学ジャーナル(Chem. Eur. J.)、6、1663〜1673(2000)に更に記載される。
【0075】
式IIIaのジハロチエノ[3,2−b]チオフェン
【0076】
【化15】
【0077】
は、対応するチエノ[3,2−b]チオフェンを臭素化することによって調製することができる。幾つかのチエノ[3,2−b]チオフェンは、英国コーンウォール(Cornwall)にあるメイブリッジ(Maybridge)から市販されている。3,6−ジメチルチエノ[3,2−b]チオフェンは、独国カッセル(Kassel)にあるシンケムOHG(Synchem OHG)から入手可能であり、2,5−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェンは、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)にあるアルドリッチ(Aldrich)から入手可能である。
【0078】
その他のチエノ[3,2−b]チオフェンは、チャン(Zhang)らの論文、巨大分子(Macromolecules)、37、6306〜6315(2004)に記載されるように合成することができる。
【0079】
式IVaのジハロチエノ[2,3−b]チオフェン
【0080】
【化16】
【0081】
は、対応するチエノ[2,3−b]チオフェンを臭素化することによって調製することができる。3,4−ジメチルチエノ[2,3−b]チオフェンは、マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill)にある、アルファ・エイサー・ジョンソン・マッセイ(Alfa Aesar Johnson Mathey)から市販されている。その他の置換チエノ[2,3−b]チオフェンは、コメル(Comel)らの論文ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Journal of Heterocyclic Chemistry)、38、1167〜1171(2001)に記載される反応と類似する反応を使用して、調製することができる。
【0082】
同様に、式Vaのジハロエチレンジオキシチオフェン化合物
【0083】
【化17】
【0084】
は、対応するエチレンジオキシチオフェンを臭素化することによって調製することができる。対応するエチレンジオキシチオフェンは、例えば、市販されている、2,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオールなどのようなジェム状ジオールを有する3,4−ジメトキシチオフェンを、p−トルエンスルホン酸のような酸触媒の存在下でエステル交換環化縮合反応させることによって、調製することができる。結果として生じる3,4−二置換チオフェンは、次いでN−ブロモコハク酸イミド又はその他の好適な臭素化剤で2位及び5位の位置でジ臭素化することができる。本方法は、ニールソン(Nielson)らの論文、巨大分子(Macromolecules)、38、10379(2005)に更に記載される。
【0085】
式Iの共重合体は、典型的に、少なくとも5,000g/モルの重量平均分子量を有する。幾つかの実施形態では、重量平均分子量は、少なくとも7,000g/モル、少なくとも8,000g/モル、少なくとも10,000g/モル、少なくとも12,000g/モル、又は少なくとも15,000g/モルである。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定してもよい。
【0086】
所望により、更なる沈殿工程又はソックレー抽出のような当該技術分野において既知の手法を使用して、共重合体材料の純度を向上することができる。
【0087】
式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む電子機器内の層は、多くの場合、溶媒系組成物から調製される。つまり、少なくとも幾つかの式Iのアセン−チオフェン共重合体は、溶媒中で可溶性である。式Iの共重合体の溶解に好適な溶媒には、トルエン、ベンゼン、及びキシレンなどの芳香族溶媒類、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどのエーテル類、メチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、及びジクロロベンゼンなどの塩素系溶剤類、シクロヘキサン及びヘプタンなどのアルカン類、並びにN,N−ジメチルホルムアミド及び1−メチルピロリドンなどのアミド類が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、用語「可溶性」は、共重合体が溶媒に溶解し、溶液の重量に基づき、少なくとも0.05重量パーセントの共重合体を含む溶液を提供することができることを意味する。幾つかの共重合体は、溶液の重量に基づき、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、又は少なくとも5重量パーセントの溶解度を有する。
【0088】
アセン−チオフェン共重合体及び溶媒を含む組成物は、コーティングを提供するために使用することができる。コーティングは、電子機器の基材の表面、又は別の層の表面などの表面に組成物を塗布することによって、形成することができる。コーティングは、いずれの好適な塗布手法、例えば、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、及び転写印刷などを使用して塗布することができる。溶媒は、塗布後、周囲条件(例えば、約20℃〜約25℃)下で蒸発させる、又は約80℃まで、約100℃まで、約120℃まで、約150℃まで、若しくは約200℃までの温度のような高温で乾燥させることにより、コーティングから除去することができる。
【0089】
電子機器の幾つかの例示的な作製方法では、方法は、誘電体層、導電層、又は基材から選択される第1の層を提供する工程と、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む層を第1の層に隣接して配置する工程と、を含む。作製する、又は提供する特定の順序はないが、アセン−チオフェン共重合体を含む層は、多くの場合、誘電体層、導電層、又は基材など、別の層の表面上に作製される。導電層は、例えば、ソース電極及びドレイン電極、アノード、又はカソードを含むことができる。
【0090】
本明細書で使用するとき、用語「配置される」、「配置する」、「配置された」、「堆積した」、「堆積する」、「隣接する」は、別の層又は言及される層の存在を除外しない。本明細書で使用するとき、これらの用語は、第1の層が第2の層付近に配置されることを意味する。第1の層は、多くの場合、第2の層に接触するが、第3の層または複数の層を第1の層と第2の層との間に配置することができる。
【0091】
式Iのアセン−チオフェン共重合体は、幾つかの電子機器内で半導体材料としての役割を果たすことができる。つまり、電子機器は、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む半導体層を含む半導体機器であってもよい。半導体機器は、例えば、S・M・セー(S. M. Sze)により、半導体機器の物理学(Physics of Semiconductor Devices)、第2版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク(New York)(1981)に記載されている。そのような機器は、整流器、トランジスタ(p−n−p、n−p−n、及び薄膜トランジスタを含む多くの種類がある)、光伝導体、電流制限器、サーミスタ、p−n接合、電界効果ダイオード、ショットキーダイオードなどを含む。半導体機器は、回路を形成するために使用されるトランジスタ、トランジスタのアレイ、ダイオード、コンデンサ、内蔵コンデンサ、及びレジスタなどの構成要素を含むことができる。また半導体機器は、電子的機能を実行する多数の回路を含むこともできる。これらのアレイ又は統合回路の例には、インバータ、オシレータ、シフトレジスタ、及び論理回路が挙げられる。これらの半導体機器及びアレイの用途には、高周波識別装置(RFIDs)、スマートカード、ディスプレイバックプレーン、センサー、メモリー機器などが挙げられる。
【0092】
幾つかの半導体機器は、図1〜6に図式的に示される、有機薄膜トランジスタである。図1〜6に示される様々な薄膜トランジスタのいずれの任意の層は、材料の多層を含むことができる。更に、いずれの層も単一材料又は複合材料を含むことができる。
【0093】
有機薄膜トランジスタ100の一実施形態を図1に図式的に示す。有機薄膜トランジスタ(OTFT)100は、ゲート電極14、ゲート電極14上に配置されるゲート誘電体層16、ソース電極22、ドレイン電極24、及びソース電極22及びドレイン電極24の双方に接触している半導体層20を含む。ソース電極22及びドレイン電極24は互いから離れ(即ち、ソース電極22は、ドレイン電極24に接触しない)、かつ誘電体層16に隣接して配置される。ソース電極22及びドレイン電極24の双方は、半導体層の一部分がソース電極とドレイン電極との間に配置されるように、半導体層20と接触している。ソース電極とドレイン電極との間に配置される半導体層の一部分は、チャンネル21と称される。チャンネルは、ゲート誘電体層16に隣接する。幾つかの半導体機器は、ゲート誘電体層16と半導体層20との間に任意の表面処置層を有する。
【0094】
任意の基材を有機薄膜トランジスタ内に含むことができる。例えば、任意の基材12は、OTFT200の図2に図式的に示すように、ゲート電極14に隣接する、又はOTFT300の図3に図式的に示すように、半導体層20に隣接することができる。OTFT300は、基材12と半導体層20との間に任意の表面処置層を含むことができる。
【0095】
有機薄膜トランジスタの別の実施形態を図4に図式的に示す。この有機薄膜トランジスタ400は、ゲート電極14、ゲート電極14上に配置されるゲート誘電体層16、半導体層20、並びに半導体層20上に配置されるソース電極22及びドレイン電極24を含む。本実施形態では、半導体層20は、ゲート誘電体層16とソース電極22及びドレイン電極24の双方との間にある。ソース電極22及びドレイン電極24は互いから分離している(即ち、ソース電極22は、ドレイン電極24に接触しない)。ソース電極22及びドレイン電極24の双方は、半導体層の一部分がソース電極とドレイン電極との間に配置されるように、半導体層と接触している。チャンネル21は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される半導体層の一部分である。1つ以上の任意の表面処置層を半導体機器に含むことができる。例えば、ゲート誘電体層16と半導体層20との間に任意の表面処置層を含むことができる。
【0096】
任意の基材を有機薄膜トランジスタ内に含むことができる。例えば、任意の基材12は、OTFT500の図5に図式的に示すようにゲート電極14に接触する、又はOTFT600の図6に図式的に示すように半導体層20に接触することができる。OTFT600は、基材12と半導体層20との間に任意の表面処置層を含むことができる。
【0097】
図1〜6に示される半導体機器形体の運用において、ドレイン電極24に電圧を印加することができる。しかしながら、少なくとも理想的には、ゲート電極14にも電圧が印加されない限り、電荷(即ち、電流)は、ソース電極22を通過しない。つまり、ゲート電極14に電圧が印加されない限り、半導体層20内のチャンネル21は、非導電性状態のままである。ゲート電極14への電圧の印加により、チャンネル21は、導電性となり、電荷がチャンネル21を通ってソース電極22からドレイン電極24に流れる。
【0098】
基材12は、多くの場合、製造、試験、及び/又は使用中、OTFTを支持する。任意で、基材は、OTFTに電気的機能を提供することができる。例えば、基材の裏側は、電気接点を提供する。有用な基材の材料には、有機ガラス、セラミック材、ポリマー材、充填ポリマー材(例えば、強化繊維ポリマー材)、金属類、紙、織布又は不織布、コーティングされた又はコーティングされていない金属フォイル、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
ゲート電極14は、導電性材料の層を1つ以上含むことができる。例えば、ゲート電極は、ドープシリコン材、金属、合金、導電性ポリマー、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好適な金属類及び合金類には、アルミニウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、タンタル、チタン、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な導電性ポリマーには、ポリアニリン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、又はポリピロールが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの有機薄膜トランジスタでは、同一材料がゲート電極機能及び基材の支持体機能の両方を提供することができる。例えば、ドープシリコンは、ゲート電極として及び基材としての両方の役割を果たすことができる。
【0100】
幾つかの実施形態におけるゲート電極は、導電性のナノ粒子又は導電性のポリマー材などの導電性材料を含む、分散性を有する基材表面のコーティングにより形成される。導電性ナノ粒子には、ITOナノ粒子、ATOナノ粒子、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、又は炭素ナノチューブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
ゲート誘電体層16は、ゲート電極14上に配置される。このゲート誘電体層16は、ゲート電極14をOTFT機器の残部から電気的に絶縁する。ゲート誘電体に有用な材料には、例えば、無機誘電体材料、ポリマー誘電体材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ゲート誘電体は、好適な誘電体材料の単層又は多層であり得る。単一層又は多層の誘電体のそれぞれの層は、誘電体材料を1つ以上含むことができる。
【0102】
有機薄膜トランジスタは、ゲート誘電体層16と有機半導体層20の少なくとも一部分との間、又は基材12と有機半導体層20の少なくとも一部分との間に配置される任意の表面処置層を含むことができる。幾つかの実施形態では、任意の表面処置層は、ゲート誘電体層と半導体層との間、又は基材と半導体層との間の境界面としての役目を果たす。表面処置層は、米国特許第6,433,359 B1号(ケリー(Kelley)ら)に記載されるような自己組織化した単層、又は米国特許出願公報第2003/0102471 A1号(ケリー(Kelley)ら)、及び米国特許第6,617,609号(ケリー(Kelley)ら)に記載されるようなポリマー材であり得る。
【0103】
ソース電極22及びドレイン電極24は、金属類、合金類、金属化合物、導電性金属酸化物類、導電性セラミック、導電性分散体類、並びに例えば、金、銀、ニッケル、クロム、バリウム、白金、パラジウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモン酸化スズ(ATO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリアニリン、その他の導電性ポリマー類、これらの合金類、これらの組み合わせ、及びこれらの多層を含む導電性ポリマー類であり得る。当該技術分野において既知であるように、これらの材料幾つかは、n型半導体材料への使用に適しており、その他は、p型半導体材料への使用に適している。
【0104】
図1〜3に例示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極、ゲート誘電体層、互いから分離されるソース電極及びドレイン電極を有する層、ソース電極及びドレイン電極の双方に接触する半導体層の順で多層を配列する工程を含む方法により、作製することができる。半導体層は、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む。
【0105】
例えば、図1に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極14を提供すること、ゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置すること、ソース電極22及びドレイン電極24が互いから分離するようにソース電極22及びドレイン電極24をゲート誘電体層16に隣接して配置すること、並びにソース電極22上、ドレイン電極24上、及びソース電極22とドレイン電極24との間の領域21に配置される半導体層20を形成することによって作製することができる。半導体層20は、ソース電極22及びドレイン電極24の双方に接触する。ソース電極とドレイン電極との間の領域に配置される半導体層の一部分は、チャンネルを画定する。
【0106】
図2に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供する工程、ゲート電極14を基材12上に配置する工程、ゲート電極14が基材12とゲート誘電体層16との間に配置されるようにゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置する工程、2つの電極が互いから分離するようにソース電極22及びドレイン電極24をゲート誘電体層16に隣接して配置する工程、並びにソース電極22、ドレイン電極24、及びソース電極22とドレイン電極24との間の領域21に隣接して半導体層20を形成する工程により、作製することができる。半導体層20は、ソース電極22及びドレイン電極24の双方に接触する。ソース電極とドレイン電極との間の領域に配置される半導体層の一部分は、チャンネルを画定する。
【0107】
図3に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供すること、基材12に隣接して半導体層20を形成すること、ソース電極22及びドレイン電極24が互いから分離するように基材12の反対側の半導体層20に隣接してソース電極22及びドレイン電極24を配置すること、ソース電極22、ドレイン電極24、及びソース電極22とドレイン電極24との間の半導体層20の一部分に隣接してゲート誘電体層16を配置すること、並びにゲート電極14をゲート誘電体層16に隣接して配置することにより、作製することができる。ソース電極22及びドレイン電極24の双方は、半導体層20に接触する。半導体層の一部分は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される。この半導体層の一部分は、チャンネルを画定する。
【0108】
図4〜6に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極、ゲート誘電体層、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含む半導体層、互いから分離するソース電極及びドレイン電極を有する層、の順で多層を配列し、該半導体層が、ドレイン電極及びソース電極の双方と接触する、工程を含む方法により、作製することができる。
【0109】
幾つかの実施形態では、表面処置層は、ゲート誘電体層と半導体層との間に配置することができる。基材は、ゲート電極又はソース電極及びドレイン電極を含む層に隣接して配置することができる。
【0110】
例えば、図4に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、ゲート電極14を提供する工程、ゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置する工程、ゲート誘電体層16に隣接して半導体層20を形成する(即ち、ゲート誘電体層16は、ゲート電極14と半導体層20との間に配置される)工程、及び半導体層20に隣接してソース電極22及びドレイン電極24を配置する工程により、作製することができる。ソース電極22及びドレイン電極24は、互いから分離され、双方の電極は、半導体層20と接触する。半導体層の一部分は、ソース電極とドレイン電極との間に配置される。
【0111】
図5に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供すること、ゲート電極14を基材12に隣接して配置すること、ゲート電極14が基材12とゲート誘電体層16との間に配置されるようにゲート誘電体層16をゲート電極14に隣接して配置すること、ゲート誘電体層16に隣接して半導体層20を形成すること、並びにソース電極22及びドレイン電極24を半導体層20に隣接して配置することにより、作製することができる。ソース電極22及びドレイン電極24は、互いから分離され、双方の電極は、半導体層20と接触する。半導体層の一部分20は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される。
【0112】
図6に図式的に示される有機薄膜トランジスタは、基材12を提供すること、ソース電極22及びドレイン電極24が互いから分離するように、ソース電極22及びドレイン電極24を基材に隣接して配置すること、ソース電極22及びドレイン電極24と接触する半導体層20を形成すること、ソース電極22及びドレイン電極24の反対側の半導体層に隣接してゲート誘電体層16を配置すること、並びにゲート電極14をゲート誘電体層16に隣接して配置することにより、作製することができる。半導体層の一部分20は、ソース電極22とドレイン電極24との間に配置される。
【0113】
式Iのアセン−チオフェン共重合体は、共重合体が第1の電極(例えば、アノード)と第2の電極(例えば、カソード)との間の層に配置される電子機器のような、その他の種類の電子機器に使用することができる。例示的な電子機器には、有機光電池、及び有機発光ダイオードなどの有機電子発光デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
有機光電池及び有機電子発光デバイスは、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に配置される材料など、多くの共通コンポーネントを含む。しかしながら、これら2つの種類の機器の運用概念は、反転される。有機電子発光デバイスでは、2つの電極間の電荷輸送の結果として光が発光される。電子は、低仕事関数を有する第1の電極(即ち、カソード)で導入され、正孔は、高仕事関数を有する第2の電極(即ち、アノード)で導入される。有機発光要素は、2つの電極間に配置され、電子及び正孔は、再結合して発光する。逆に、光電池では、2つの電極間の電荷輸送は、活性物質層を光に当てることに起因する。2つの電極間に配置される活性物質層は、光を吸収し、一方の電極を通して通過させる。光の吸収は、エキシトン(即ち、励起電子−正孔対)の形成を引き起こし、続いて反対側の電極に向かって移動する電子及び正孔に解離する。
【0115】
有機発光ダイオードなどの有機電子発光(OEL)機器は、2つの電極間(即ち、アノード及びカソード)に配置される有機発光要素を含む。有機電子発光デバイスの有機発光要素は、通常、電子発光材料を含む、発光層を少なくとも1つ含む。また正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、正孔遮断層、電子遮断層、緩衝層などのようなその他の層は、有機発光要素に存在することもできる。更に、可視発光材料は、例えば、電子発光材料により放出される光の色を別の色に変換するために、有機発光要素内の発光層又はその他の層に存在することができる。これら及びその他のこのような層、並びに材料は、層状OEL機器の電子特性及び性質を変化させる、又は調整するために、使用することができる。例えば、所望の電流/電圧レスポンス、所望の機器効率、所望の色、所望の白色度などを達成するために、追加層を使用することができる。
【0116】
図7A〜7Dは、異なるOEL機器(例えば、有機発光ダイオード)形状の例を示す。それぞれの形体は、基材30、アノード32、カソード34、及び発光層36を含む。また図7C及び7Dの形体は、正孔輸送層38を含み、図7B及び7Dの形体は、電子輸送層40を含む。2つの電極間に配置される層は、正孔をアノードから、又は電子をカソードからそれぞれ伝導する。アセン−チオフェン共重合体は、発光層、正孔輸送層、又はこれらの組み合わせにあってよい。いずれの層内で、アセン−チオフェン共重合体は、単独で、又はその他の材料と組み合わせて存在してもよい。
【0117】
幾つかの有機発光要素では、アセン−チオフェン共重合体は、発光層に存在する。アセン−チオフェン共重合体は、単独で、又は1つ以上の材料と組み合わせて発光層に使用することができる。例えば、共重合体は、発光層内でホスト材料又はドーパント材料として機能することができる。
【0118】
本明細書で使用するとき、用語「ドーパント」は、ホスト材料からエネルギーを移動することによって励起することができる材料を意味する。励起ドーパントは、発光する。ドーパントは、典型的に、材料の重量に基づき、50重量パーセント未満、40重量パーセント未満、20重量パーセント未満、10重量パーセント未満、又は5重量パーセント未満の量で発光層に存在する。ドーパントは、典型的に、材料の重量に基づき、少なくとも0.1重量パーセント、0.2重量パーセント、0.5重量パーセント、又は1重量パーセントの量で発光層に存在する。
【0119】
アセン−チオフェン共重合体がドーパントとして発光層に使用される場合、例えば、電荷移動材などのホスト材料と組み合わせることができる。電荷移動材は、多くの場合、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、又はこれらの組み合わせなどの正孔移動材である。例示的なジアミン誘導体には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(TPD)、N,N’−ビス(2−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(ベータ−NPB)、及びN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なトリアリールアミン誘導体には、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)及び4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)が挙げられるが、これらに限定されない。更にその他のホスト材料には、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)などの電子移動材、並びに1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル−2−イル]ベンゼン、及び2−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ルなどのオキサジアゾ−ル化合物が挙げられる。
【0120】
本明細書で使用するとき、用語「ホスト」は、発光する励起ドーパントを形成するために、エネルギー移動することができる材料を意味する。ホスト材料は、典型的に、発光層の材料の重量に基づき、少なくとも少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセントの量で存在する。
【0121】
発光層がホスト材料及びドーパントを含む場合、励起された状態のホスト材料は、典型的に、エネルギーをホスト材料からドーパントに移動できるように、励起された状態のドーパントより高エネルギー水準である。励起されたホスト材料は、通常、励起されたドーパントよりもより短波長の光を放出する。例えば、青色の光を放つホスト材料は、緑色又は赤色の光を放つドーパントへとエネルギーを移動させることができ、緑色の光を放つホスト材料は、赤色の光を放つドーパントへとエネルギーを移動させることができるが、青色の光を放つドーパントへのエネルギー移動はできない。
【0122】
アセン−チオフェン共重合体が有機発光要素の発光層に存在する場合、その他の発光材料は、同一発光層又は異なる発光層に存在することができる。幾つかの発光層は、小分子(SM)エミッタ、小分子エミッタドープポリマー、発光ポリマー(LEP)、小分子エミッタドープ発光ポリマー、発光ポリマー類の混合物、又はこれらの組み合わせを有する。有機発光要素から放出された光は、発光層の電子発光組成物の組成物によって、可視スペクトルのいずれの部分にあってもよい。
【0123】
好適なLEP材料は、典型的に、共役ポリマー又はオリゴマー分子であり、好ましくは、溶液処理に十分なフィルム形成特性を有する。本明細書で使用するとき、「共役ポリマー類又はオリゴマー分子」は、ポリマー主鎖に沿って非局在化π−電子系を有するポリマー類又はオリゴマー類を意味する。このようなポリマー類又はオリゴマー類は、半導体であり、ポリマー又はオリゴマー鎖に沿って正若しくは負の電荷キャリアを支持することができる。
【0124】
例示的なLEP材料には、ポリ(フェニレンビニレン類)、ポリ(パラ−フェニレン類)、ポリフルオレン類、現時点で既知、又は今後開発されるその他のLEP材料、及びこれらの共重合体若しくは混合物が挙げられる。また好適なLEPは、小分子エミッタをドープする、蛍光染料又は可視発光材料を分散する、活性又は非活性物質と混合することなどが可能である。好適なLEP材料の例は、クラフト(Kraft)らのアンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew. Chem. Int. Ed.)、37、402〜428(1998)、米国特許第5,621,131号、第5,708,130号、第5,728,801号、第5,840,217号、第5,869,350号、第5,900,327号、第5,929,194号、第6,132,641号、及び第6,169,163号、並びにPCT特許出願公報第99/40655号に更に記載される。
【0125】
LEP材料は、例えば、LEP材料の溶媒溶液を基材上に鋳造し、溶媒を蒸発させてポリマー被膜を生成することによって、発光構造を形成することができる。或いは、LEP材料は、前駆体種の反応により、基材上にその場で形成することができる。LEP層の好適な形成方法は、米国特許第5,408,109号に記載される。LEP材料から発光構造を形成するためのその他の方法には、レーザー熱パターンニング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、サーマルヘッド印刷、フォトリソグラフィーパターンニング、噴霧、及び押し出し被覆が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
好適なSM電子発光材料には、電荷移動化合物、電荷遮断化合物、及び半導体有機又は有機金属化合物が挙げられる。典型的に、SM材料を、溶液から真空蒸着又はコーティングし、機器の薄層を形成することができる。任意の材料が一般的に所望の電荷輸送及び電子発光特性の両方を有さないことから、実際には、SM材料の多層は典型的に、効率的な有機電子発光デバイスを作製するために使用される。
【0127】
例示的なSM材料には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)及びトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化合物が挙げられる。その他のSM材料は、例えば、C.H.チェン(C.H. Chen)らの高分子シンポジウム(Macromol. Symp.)、125、1(1997)、日本特許出願公開第2000−195673号、米国特許第6,030,715号、第6,150,043号、及び第6,242,115号、並びにPCT特許出願公報第WO 00/18851(二価ランタニド金属錯体)、第WO 00/70655(シクロ金属化イリジウム化合物及びその他)、及び第WO 98/55561号に記載される。
【0128】
アノード32及びカソード34は、典型的に、例えば、金、銀、ニッケル、クロム、バリウム、白金、パラジウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素酸化スズ(FTO)、アンチモン酸化スズ(ATO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリアニリン、その他の導電性ポリマー類、これらの合金類、これらの組み合わせ、及びこれらの多層を含む、金属類、合金類、金属化合物、導電性金属酸化物類、導電性セラミック、導電性分散体類、並びに導電性ポリマー類などの導電性材料を使用して形成される。アノード32及びカソード34は、導電性材料の単層であってよく、又は多層を含むことができる。例えば、アノード又はカソードは、アルミニウムの層及び金層の層、カルシウムの層及びアルミニウムの層、アルミニウムの層及びフッ化リチウムの層、又は金属層及び導電性有機層を含んでもよい。
【0129】
有機電子発光デバイスの典型的なアノードは、プラスチック又はガラスのような透明な基材上にスパッタされた酸化インジウムスズ(ITO)である。好適な基材には、例えば、ガラス、ポリオレフィン類、ポリエーテルスルホン類、ポリカーボネート類、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類、ポリアリレート類、及びポリマー多層フィルムなどの透明なプラスチック、3M(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から入手可能なプラスチックフィルムコンダクタ(Plastic Film Conductor)などのITOコーティング障壁フィルム、表面処理済みのフィルム、並びに選択されたポリイミドが挙げられる。
【0130】
基材をコーティングするアノード材料は、導電性であり、かつ視覚的に透明又は半透明であってよい。ITOに加え、好適なアノード材料には、酸化インジウム、フッ素酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化インジウムスズ、金、白金、パラジウム、その他の高仕事関数金属類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0131】
任意で、平坦面を提供することを助長し、アノードの有効仕事関数を変更するために、アノードを緩衝層でコーティングすることができる。緩衝層は、典型的に、5000オングストロームまで、4000オングストロームまで、3000オングストロームまで、1000オングストロームまで、800オングストロームまで、600オングストロームまで、400オングストロームまで、又は200オングストロームまでの厚さを有する。緩衝層は、多くの場合、少なくとも5オングストローム、少なくとも10オングストローム、又は少なくとも20オングストロームの厚さを有する。緩衝層は、蒸着コーティング又は溶液コーティングすることができる。
【0132】
好適な緩衝層は、ポリ(3,4−オキシエチレンオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリアニリンエメラルジン、又は酸ドープポリピロールなどのイオンポリマーであってもよい。その他の好適な緩衝層は、参照として本明細書に組み込まれている米国特許出願第2004/0004433A1号に記載されるものを含み、それらは、(a)トリアリールアミン部分を有する正孔輸送材料、及び(b)電子アクセプタ材料を含む。好適な正孔輸送材料は、小分子又はポリマー材であってよい。例示的な正孔輸送材料には、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4”,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDAA)、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA)、及び4,4’,4”−トリス(N−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な電子輸送材料は、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロ−テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、クロルアニル、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル−6−フェニル−4H−チオピラン−4−イリデン)−プロパンジニトリル−1,1−ジオキシド(PTYPD)、及び2,4,7−トリニトロフルオレンが挙げられるが、これらに限定されない、このような緩衝層に含むことができる。
【0133】
典型的なカソード類としては、アルミニウム、バリウム、カルシウム、サマリウム、マグネシウム、銀、マグネシウム/銀合金類、リチウム、フッ化リチウム、イッテルビウム、及びカルシウム/マグネシウム合金類などの低仕事関数金属類が挙げられる。カソードは、これらの材料の単層又は多層であることができる。例えば、カソードは、フッ化リチウムの層、アルミニウムの層、及び銀の層を含むことができる。
【0134】
正孔輸送層38は、正孔をアノードから機器に注入すること、及びそれらが再結合領域に向かって移動することを促進する。正孔輸送層38は、更に、電子がアノード32へ通過する際の障壁として機能することができる。幾つかの実施例では、正孔輸送層にアセン−チオフェン共重合体を使用することができる。その他の実施例では、正孔輸送層38は、例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(TPD)、N,N’−ビス(2−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(ベータ−NPB)、及びN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)などのジアミン誘導体、又は4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリ(N−フェノキサジニル)トリフェニルアミン(TPOTA)、及び1,3,5−トリス(4−ジフェニルアミノフェニル)ベンゼン(TDAPB)などのトリアリールアミン誘導体を含むことができる。
【0135】
電子輸送層40は、電子をカソードから機器に注入すること、及びそれらが再結合領域に向かって移動することを促進する。電子輸送層40は、正孔がカソード34へ通過する際の障壁として機能することができる。幾つかの実施例では、電子輸送層40は、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(Alq3)及びビフェニレートビス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(BAlq)などの有機金属化合物を使用して形成することができる。電子輸送層260において有用な電子輸送材料のその他の例には、1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル−2−イル]ベンゼン、2−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル、又は3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)が挙げられる。
【0136】
またその他の層、例えば、ポルフィリン化合物類似の銅フタロシアニン(CuPc)及び亜鉛フタロシアニンを含む追加の正孔注入層、例えば、アルカリ金属酸化物類又はアルカリ金属塩類を含む電子注入層、例えば、分子のオキサジアゾ−ル、及び2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−ル(PBD)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントラリン(BCP)、ビフェニレートビス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(BAlq)、又は3−(4ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)などのトリアゾール誘導体を含む正孔遮断層、例えば、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)、又は4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)を含む電子遮断層なども、有機発光要素内に存在することができる。更に、例えばエレクトロルミネセント材料から放射された光の色を別の色に変換させるために、光輝性材料がこれらの層内に存在することができる。例えば、所望の電流/電圧レスポンス、所望の機器効率、所望の色、所望の白色度、所望の機器寿命、又は所望のこれらの特性の組み合わせなどの特性の1つ以上を達成するために、これら及びその他のそのような層並びに材料を使用して、層状OEL機器の電子特性及び性質を変更又は調整することができる。
【0137】
別の種類の電子機器であり、式Iのアセン−チオフェン共重合体を含むことができる、例示的な光電池を図8に図式的に示す。活性物質層54は、アノード52とカソード56との間に配置される。電極の一方は、任意の基材の1つに隣接して配置することができる。例えば、アノード52は、基材50に隣接して配置することができる。電極の少なくとも一方は、透明又は半透明である。透明又は半透明な電極が生地に隣接する場合、典型的に、基材も透明又は半透明である。基材50、アノード52、及びカソード56は、有機電子発光デバイスについて上記に記載されるものと同一であってよい。電極又は基材のいずれかは、材料の多層を含む。例えば、アノードは、ITOの第1の層、及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)などの導電性ポリマーの第2の層を含むことができる。
【0138】
活性物質層は、通常、半導体材料を含む。式Iのアセン−チオフェン共重合体は、活性物質層にあってよい。多くの実施形態では、活性物質層は、電子ドナー材料及び電子アクセプタの両方を含む。このような活性物質層では、アセン−チオフェン共重合体は、電子ドナー材料として機能する。例示的な電子アクセプタ材料には、例えば、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)などのフラーレン誘導体、[70]PCBM、単層炭素ナノチューブ類(SWNTs)、ナノ結晶CdSe粒子又はテトラポッド、ポリ(2,5,2’,5’−テトラヘキシルオキシ−7,8’−ジシアノ−ジ−p−フェニレンビニレン)(CN−PPV)、シアノ−ポリ(2−メトキシ−5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニルビニレン(MEH−CN−PPV)、ポリ(オキサ−1,4−フェニレン−(1−シアノ−1,2−ビニレン)−(2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレン)−1,2−(2−シアノビニレン)−1,4−フェニレン)(PCNEPV)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシビス−ベンジミダゾール(PTCBI)、及びポリ(2,5−ジへプチルオキシ−p−フェニレンビニレン)(HO−PPV)が挙げられる。
【0139】
前述の事項は、現在予見されない、本発明の実質的でない修正が、本発明の均等物を表しうるにもかかわらず、本発明者らによって権能付与的記載が入手できる予見された実施形態の観点から本発明を記載している。
【実施例】
【0140】
すべての試薬は、市販供給元から購入され、特に記載がない限り、更に精製することなく使用した。
【0141】
n−オクタデシルトリクロロシラン(OTS)及び1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)は、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))から入手した。トルエンは、Naから蒸留した。100ナノメートル熱成長酸化物を有する高濃度ドープp型シリコンウエファー(100)(シリコンバレー・マイクロエレクトロニクス社(Silicon Valley Microelectronics, Inc.))を基材として使用した。
【0142】
炭酸ナトリウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、スズ(II)塩化物、ビス(ピナコラト)ジボロン、2,5−ジブロモチオフェン、及び2,5−ジブロモ3−ヘキシルチオフェンは、アルドリッチ(Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))から購入し、ALIQUAT336(相間移動触媒)、n−ブチルリチウム、及びジクロロメタンを有する。
【0143】
[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム錯体は、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill)から入手し、トリイソプロピルシリルアセチレンは、GFSケミカルズ(GFS Chemicals)(オハイオ州コロンバス(Columbus)から購入した。ヘキサン及びテトラヒドロフラン(THF)をナトリウム上で蒸留した。以下の出発物質は、以下のように公開手順を使用して調製した。
【0144】
2,6−ジブロモアントラキノンは、イトウ(Ito)らのアンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew. Chem. Int. Ed.)42、1159〜1162(2003)に記載されるように、市販されている2,6−ジアミノアントラキノン(シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich))から、調製した。昇華後、DMFからの再結晶化により、これを更に精製した。
【0145】
2,5−ジブロモ−3,4−ジヘキシルチオフェンは、ビダル(Vidal)らのヨーロッパ化学ジャーナル(Chem. Eur. J.)、6、1663〜1673(2000)に記載されるように、市販されている3,4−ジブロモチオフェン(アルファ・エイサー(Alfa Aesar))から調製した。
【0146】
2,5−ジブロモ−3,4−エチレンジオキシチオフェンは、ソジン(Sotzing)らの化学物質(Chem. Mater.,)8、882〜889(1996)に記載されるように、市販されている3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT、バイエル(Bayer)、独国レバークーゼン(Leverkusen))から調製した。
【0147】
2,5−ジブロモ−3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェンは、N−ブロモコハク酸イミドを使用して、3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェンを臭素化することによって調製した。3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェンは、チャン(Zhang)らのJ.巨大分子ジャーナル(J. Macromolecules)、37、6306〜6315(2004)に記載されるように、3,4−ジブロモチオフェンの多段階合成から取得した。
【0148】
前駆体2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセンは、予備的な実施例1及び2に記載されるように、反応スキーム1に従って合成した。
【0149】
【化18】
【0150】
予備的な実施例1−2,6−ジブロモ−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)−エチニル]アントラセンの合成
トリイソプロピルシリルアセチレン(12.32g、67.5mmol)及び乾燥ヘキサン(140mL)を乾燥窒素ブランケット下でオーブン乾燥丸底フラスコ(1L)に添加した。ブチルリチウム(ヘキサン中2.7M、14.5mL、39.2mmol)を、乾燥窒素下で注射器により1滴づつ混合物に添加した。混合物を室温で2時間攪拌した。この無色溶液に、乾燥THF(300mL)及び2,6−ジブロモアントラキノン(5.49g、15.0mmol)を乾燥窒素下で添加した。溶液は、即座に赤色になり、2,6−ジブロモアントラキニノンは、数分で溶解した。混合物を室温で一晩攪拌し、溶液は暗い赤色になった。脱イオン(DI)水(6.0mL)を添加し、色は明るい赤色に変わり、白い沈殿物が現れた。その後、HCI(18mL、10%)水溶液中のスズ(II)塩化物(8.088g、42.6mmol)を添加した。混合物を60℃まで2時間加熱し、次いで室温まで冷却した。回転蒸発により、溶媒を除去した。混合物にDI水(100mL)を添加し、次いでヘキサン(100mL×3)で抽出した。ヘキサン溶液を中性になるまでDI水で洗浄した。それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン、Rf=0.7)で濃縮し、精製した。明るい黄色の固体(8.55g、収率:82%)が生成物として取得された。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.797〜8.802(d,2H,J=2.0Hz)、8.431〜8.454(d,2H,J=8.8Hz)、7.647〜7.674(dd,2H,J=8.8Hz,J=2.0Hz)、1.259(s,36H)、1.247(s,6H)。
【0151】
予備的な実施例2−2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセンの合成
予備的な実施例1の2,6−ジブロモ−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(5.225g、7.5mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(4.763g、18.8mmol)、KOAc(2.940g、30.0mmol)、及びCHCl3(100mL)を乾燥窒素下で250mLのフラスコに入れた。懸濁KOAcを有する黄色い溶液を得た。懸濁液を脱気して酸素の痕跡を除去した。次いで[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(0.205g)を乾燥窒素下で添加した。溶液はオレンジ色に変化した。混合物を70℃で3日間攪拌した後、室温まで冷却した。それをDI水(100mL×3)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。回転蒸発により、溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3)で固体残基を精製し、エチルアセテートから再結晶させた。オレンジ色の針状結晶が生成物として取得された(3.20g、収率55%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm9.250〜9.254(dd,2H,J=0.8Hz,J=0.8Hz)、8.579〜8.603(dd,2H,J=8.8Hz,J=0.8Hz)、7.901〜7.926(dd,2H,J=8.8Hz,J=1.2Hz)、1.384(s,24H)、1.288(s,36H)、1.279(s,6H)。
【0152】
反応スキーム2に示されるように、スズキカップリング反応を使用して、予備的な実施例3〜7のアセン−チオフェン共重合体を合成した。
【0153】
【化19】
【0154】
Br−Q−Br化合物は、2,5−ジブロモ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(予備的な実施例3)、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(予備的な実施例4)、2,5−ジブロモ−3,4−ジヘキシルチオフェン(予備的な実施例5)、2,5−ジブロモチオフェン(予備的な実施例6)、及び2,5−ジブロモ−3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェン(予備的な実施例7)であった。
【0155】
予備的な実施例3−ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
250mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(1.552g、2.00mmol)、2,5−ジブロモ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(0.600g、2.00mmol)、炭酸ナトリウム(1.060g、10.0mmol)、ALIQUAT336(0.241g)、蒸留水(10mL)、及びトルエン(100mL)を充填した。酸素を除去するために、窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。次いで、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.025g、0.02mmol)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で46時間攪拌した。共重合体をエンドキャップするために、更に2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.015g)を添加し、続いて24時間後にブロモベンゼン(0.5mL)を添加した。溶液を更に24時間攪拌し、室温まで冷却した。トルエン溶液を分離し、DI水(150mL×3)で洗浄した。次いで、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を勢いよく攪拌しながらMeOH(350mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(1.39g、収率:およそ100%)を生成物として得た。Mw=11,000g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.91〜9.30(br,2H)、8.49〜8.91(br,2H)、7.75〜8.31(br,2H)、4.19〜4.71(br,4H)、1.12〜1.15(br,42H)。
【0156】
予備的な実施例4−ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
250mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(1.552g、2.00mmol)、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(0.652g、2.00mmol)、炭酸ナトリウム(1.060g、10.0mmol)、ALIQUAT336(0.241g)、蒸留水(10mL)、及びトルエン(100mL)を充填した。酸素を除去するために、乾燥窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.030g、0.02mmol)乾燥窒素流下で添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で48時間攪拌した。更に2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.015g)を添加し、反応物を15時間攪拌し、続いてブロモベンゼン(80μL(マイクロリットル))を添加した。反応混合物を更に24時間攪拌し、室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(100mL×4)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を濃縮し、勢いよく攪拌しながらMeOH(300mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(1.24g、収率:88%)を生成物として得た。Mw=11,600g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.89〜9.06(br,1H)、8.78〜8.87(br,1H)、8.62〜8.74(br,2H)、7.88〜8.01(br,1H)、7.74〜7.86(br,1H)、7.52〜7.65(br,1H)、2.82〜3.03(br,2H)、1.69〜1.84(br,2H)、1.08〜1.50(br,48H)、0.71〜0.90(br,3H)。
【0157】
予備的な実施例5−ポリ(3,4−ジヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
250mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(3.909g、5.04mmol)、2,5−ジブロモ−3,4−ジヘキシルチオフェン(2.121g、5.17mmol)、炭酸ナトリウム(2.65g、25.0mmol)、ALIQUAT336(1.0g)、蒸留水(10mL)、及びトルエン(100mL)を充填した。酸素を除去するために、窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。次いで、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.125g、0.10mmol)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で72時間攪拌した。その後、それを室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(150mL×3)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を勢いよく攪拌しながらMeOH(350mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(3.53g、収率:89%)を生成物として得た。Mw=36,300g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.81〜8.90(br,2H)、8.61〜8.76(br,2H)、7.71〜7.87(br,2H)、2.68〜3.05(br,4H)、1.46〜1.63(br,4H)、1.09〜1.40(br,54H)、0.69〜0.84(br,6H)。
【0158】
予備的な実施例6−ポリ(2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
シュレンクフラスコ(250mL)に、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.3888g、0.50mmol)、2,5−ジブロモチオフェン(0.121g、0.50mmol)、炭酸ナトリウム0.265g、2.50mmol)、ALIQUAT336(0.118g)、蒸留水(3mL)、及びトルエン(30mL)を充填した。酸素を除去するために、窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。その後、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.016g、0.01mmol)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で48時間攪拌した。それを室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(150mL×3)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を勢いよく攪拌しながらMeOH(200mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(0.28g、収率:91%)を生成物として得た。Mw=8,500g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.10〜9.00(br,4H)、7.50〜8.00(br,2H)、7.00〜7.50(br,2H)、0.93〜1.96(br,42H)。
【0159】
予備的な実施例7−ポリ(3,6−ジノニル−2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)の合成
100mLのシュレンクフラスコに、2,6−ビス−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン(0.233g、0.30mmol)、2,5−ジブロモ−3,6−ジノニルチエノ[3,2−b]チオフェン(0.165g、0.30mmol)、炭酸ナトリウム(0.159g、1.5mmol)、ALIQUAT336(0.096g)、蒸留水(1.5mL)、及びトルエン(30mL)を充填した。酸素を除去するために、乾燥窒素下で、シュレンクラインを使用して混合物を3度脱気した。その後、乾燥窒素流下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.009g)を添加した。もう1度脱気した後、混合物を乾燥窒素下で90℃で45時間攪拌した。それを室温まで冷却した。赤色のトルエン溶液を分離し、DI水(100mL×3)で洗浄した。その後、それをろ過して固体不純物の痕跡を除去した。ろ液を濃縮し、勢いよく攪拌しながらMeOH(200mL)に添加した。ろ過により、赤色の沈殿物が回収された後、MeOH(ソックレー抽出により)で24時間洗浄した。赤色の固体(0.105g、収率:38%)を生成物として得た。Mw=13,100g/mol。1H NMR(400MHz、CDCl3)。δppm8.78〜8.95(br,2H)、8.54〜8.77(br,2H)、7.70〜7.97(br,2H)、2.58〜3.17(br,4H)、1.68〜2.00(br,4H)、1.03〜1.50(br,66H)、0.68〜0.90(br,6H)。
【0160】
(実施例1〜5)薄膜トランジスタ
OTS処理基材の作製:
シリコンウエファーをイソプロパノール中で30分間超音波で洗浄した。乾燥窒素流下で乾燥後、室温で20時間、乾燥窒素下でn−オクタデシルトリクロロシラントルエン溶液(0.1% v/v)にそれらを浸漬した。その後、それらをCHCl3で洗浄し、乾燥窒素下で乾燥し、膜蒸着の前に乾燥窒素中に保管した。
【0161】
HMDS処理基材の作製:
シリコンウエファーをイソプロパノール中で30分間超音波で洗浄した。乾燥窒素流下で乾燥後、乾燥窒素下、室温で20時間、密閉容器内でそれらを1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン蒸気に暴露した。それらを膜蒸着前に乾燥窒素中に保管した。
【0162】
薄膜トランジスタの製造
ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例1)、ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例2)、ヘプタン溶液(およそ0.4質量%)中のポリ(3,4−ジヘキシルチオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例3)及びポリ(2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)中のポリ(3,4−ジヘキシルチオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例4)、THF溶液(およそ0.8質量%)中のポリ(3,6−ジノニル−2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)(実施例5)を、それぞれシリコンウエファー、OTS処理シリコンウエファー、又はHMDS処理シリコンウエファー上でナイフコーティングした。風乾後、金ソース/ドレイン電極(厚さ60ナノメートル)をポリマーシャドーマスクにより、熱蒸発法を使用してパターン形成した。チャンネル長(L)107マイクロメートル及びチャンネル幅(W)1000マイクロメートルを使用した。
【0163】
有機薄膜トランジスタの特性化
ヒューレット・パッカード半導体パラメータ分析機(Hewlett Packard Semiconductor Parameter Analyzer)(モデル4145A、ヒューレット・パッカード社(Hewlett Packard Corporation)、カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)から入手可能)を使用して、ドレイン電圧(Vd)を−40Vに維持する一方、ゲート電圧(Vg)を+10V〜−40Vまで掃引することによって、薄膜トランジスタを周囲条件下で特性化した。Id1/2−Vgへの線状適合のトレースは、飽和移動度及び閾値電圧(Vt)の抽出を可能にした。Id−Vgへの線状適合のトレースは、電流オン/オフ率を算出できるようにした。
【0164】
実施例1については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、HMDS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、8×10−6cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。閾値電圧(Vt)は、−16Vであり、閾値以下の傾き(S)は、2.3V/decadeであった。実施例2については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、OTS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、7×10−6cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。Vt及びSは、それぞれ、−8V及び1.4V/decadeであった。実施例3については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3,4−ジヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、シリコンウエファー(未処理)上にナイフコーティングした。電荷移動度は、2×10−5cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。Vt及びSは、それぞれ、−11V及び0.9V/decadeであった。実施例4については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、HMDS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、2×10−5cm2/Vsであり、オン/オフ率は、103であった。Vt及びSは、それぞれ、−8V及び1.5V/decadeであった。実施例5については、薄膜トランジスタの半導体層である、ポリ(3,6−ジノニル−2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を、HMDS処理シリコンウエファー上にナイフコーティングした。電荷移動度は、1×10−5cm2/Vsであり、オン/オフ率は、102であった。Vt及びSは、それぞれ、−22V及び1.4V/decadeであった。
【0165】
(実施例6〜8)光電池
薄膜光電池の作製
3つの薄膜光電池は、以下のように、25ohm/squareの抵抗を有するITO/ガラス基材をシン・フィルム・デバイシーズ(Thin Film Devaices)(カリフォルニア州アナハイム(Anaheim))から入手し、石鹸溶液、脱イオン水、アセトン、次いでイソプロパノール中で、続けて超音波で洗浄して作製された。洗浄された基材を窒素ガス流中で乾燥した。
【0166】
以下のように、溶液Iの1つの部分と溶液IIの2つの部分を共に混合することによって、導電性ポリマーコーティング溶液を調製した。水中、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSS)が1.3重量パーセントの溶液にソルビトールを添加して、溶液Iを調製した。ソルビトールの濃度は、溶液の重量に基づき、3重量パーセントであった。溶液IIには、32重量パーセントの水、3.7重量パーセントのN−メチル−2−ピロリジノン、0.3重量パーセントのTERGITOL TMN−6、並びにエチレングリコール、グリセロール、及びエタノールの混合物である、64重量パーセントの(SOL−IJ−G−SI)溶媒が含まれていた。導電性ポリマーコーティング溶液を、1000回転/分で50秒間、きれいにしたITO/ガラス基材の表面にスピンコーティングした。結果として生じる試料を100℃で2分間前ベーキングし、窒素中、165℃で15分間硬化した。コーティングの厚さは、およそ100ナノメートルであった。
【0167】
実施例6については、1.6重量パーセントの電子ドナー半導体ポリ(3−ヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス−[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を含んだ溶液を調製した。最初に、電子ドナー半導体をクロロベンゼンに溶解し、0.45μ注射器フィルタを通してろ過し、次に電子ドナー溶液中の1.6重量パーセントの電子アクセプタ半導体[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)に添加した。次いで、更に数日間、混合溶液を磁気的に攪拌した。実施例7及び8については、使用された電子ドナー半導体が異なる点以外は、実施例6と同一方法により、溶液を調製した。実施例7に使用された電子ドナー半導体は、ポリ(3,4−ジヘキシル−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)であり、実施例8には、ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン−アルト−9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]−2,6−アントラセン)を使用した。
【0168】
その後、十分に混合した溶液混合物を、PEDOT/PSSコーティングされたITO/ガラス基材の表面に、回転速度800回転/分で50秒間、スピンコーティングした。次いで3つの試料を、窒素環境で、110℃で30分間、ホットプレート上でベーキングし、続いて微小な相互貫入ドナー−アクセプタネットワークを形成するために、更に約140℃で1.5時間ベーキングした。平均コーティング厚さ約225ナノメートルが得られた。最終的に、試料を直径2ミリメートルの円形正孔アレイを有するシャドーマスクで被覆された真空チャンバーに装填した。カルシウム(20ナノメートル)、次いでアルミニウム(80ナノメートル)を活性物質層に蒸着し、直径2ミリメートルの円形カソードアレイを形成した。
【0169】
機器性能特性
キースレー(Keithley)マルチメーター、モデル197A(オハイオ州クリーブランド(Cleveland))を使用して、光電流測定を行った。光源は、3M 9200オーバーヘッドプロジェクターであった。3M 9200プロジェクターランプの出力密度は、約40〜60mW/cm2であった。光電池を、プロジェクターランプから約2cmの距離から暴露した。最初に、ショートが発生していないことを確認するために、アノードとカソードとの間の電気抵抗を最初に測定した。測定された電気抵抗は、実施例6については、1,000MΩ(106Ω)を上回り、実施例7については、30MΩを上回り、実施例8については、20MΩを上回った。プロジェクターランプに暴露したとき、実施例6については、光電流密度は、約8μA/cm2、であり、実施例7については、光電流密度は、2μA/cm2であり、実施例8については、光電流密度は、約70μA/cm2であった。
【0170】
添付図面と併せて本発明の様々な実施形態の「発明を実施するための最良の形態」を検討することにより、本発明をより完全に理解することができる。
【0171】
図面は、いかなる層の特定の厚さ、又は様々な層の特定の相対厚さを意味しない。
【0172】
本発明は様々な変更例及び代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すと共に詳細に説明する。しかしながら、その意図は、説明した特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されたい。それに反して、本発明は、本発明の精神及び範囲内にあるすべての修正形態、等価形態、及び代替形態を網羅することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】第1の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図2】第2の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図3】第3の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図4】第4の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図5】第5の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図6】第6の例示的な有機薄膜トランジスタの略図。
【図7A】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図7B】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図7C】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図7D】様々な例示的な有機発光ダイオードの略図。
【図8】例示的な光電池の略図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのアセン−チオフェンの共重合体を備える電子機器であって、
【化1】
(式中、
Acは、2〜5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基であり、Acは、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができ、
Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択され、
Qは、式II、III、IV、又はVの二価基であり、
【化2】
R1及びR2はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択され、
nは、4以上の整数である、電子機器。
【請求項2】
Acが、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、又はペンタセンから選択される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
各Eが、式−C≡C−Si(Ra)3のシリルエチニル基である、式−Ac(E)2−の二価基は、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルから選択される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
式−Ac(E)2−の前記二価基が、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、又は6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイルから選択される、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
式Iの前記共重合体が、半導体層に存在する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器が、有機薄膜トランジスタを備える、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
式Iの前記共重合体が、第1の電極と第2の電極との間の層に存在する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器が、光電池である、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
電子機器が、有機エレクトロルミネセント素子を備え、式Iの前記共重合体が、該有機エレクトロルミネセント素子内の正孔輸送層に存在する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電子機器が、有機エレクトロルミネセント素子を備え、式Iの前記共重合体が、該有機エレクトロルミネセント素子内の発光層に存在する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
電子機器を作製する方法であって、式Iのアセン−チオフェン共重合体を備える共重合体層を提供する工程を含み、
【化3】
(式中、
Acは、2から5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基であり、Acは、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができ、
Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択され、
Qは、式II、III、IV、又はVの二価基であり、
【化4】
R1及びR2はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択され、
nは、4以上の整数である、方法。
【請求項12】
前記共重合体層を提供する工程が、
前記アセン−チオフェン共重合体及び溶媒を含むコーティング溶液を調製する工程であって、該アセン−チオフェン共重合体は、該コーティング溶液の重量に基づき、少なくとも0.05重量%の量で存在する、工程と、
前記コーティング溶液から溶液層を形成する工程と、
該溶液層から少なくともいくらかの該溶媒を除去する工程と、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記共重合体層に隣接する第1の層を提供する工程を更に備え、該第1の層が、導電層又は誘電体層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
電子機器が、有機薄膜トランジスタであり、前記方法が、
ゲート電極、
ゲート誘電体層、
前記共重合体層を含む半導体層、
ソース電極とドレイン電極とを含む層、の順で多層を配列する工程を更に含み、該ソース電極及び該ドレイン電極が、互いに分離し、該半導体層が、該ドレイン電極及び該ソース電極の双方に接触する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
電子機器が、有機薄膜トランジスタであり、前記方法が、
ゲート電極、
ゲート誘電体層、
ソース電極及びドレイン電極を含む層であって、該ソース電極及び該ドレイン電極が互いに分離する層と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の双方に接触する半導体層であって、前記共重合体層を含む半導体層、の順で多層を配列する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
第1の電極と第2の電極との間に前記共重合体層を配置する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記電子機器が、光電池を備え、前記方法は、アノードとカソードとの間に前記共重合体層を配置する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
電子機器が、有機エレクトロルミネセント素子を備え、前記方法が、アノードとカソードとの間に前記共重合体層を配置する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記有機エレクトロルミネセント素子が、前記共重合体層を含む正孔輸送層を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有機エレクトロルミネセント素子が、前記共重合体層を含む発光層を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
各Eが、式−C≡C−Si(Ra)3のシリルエチニル基である、式−Ac(E)2−の二価基が、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルから選択される、請求項10に記載の電子機器。
【請求項1】
式Iのアセン−チオフェンの共重合体を備える電子機器であって、
【化1】
(式中、
Acは、2〜5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基であり、Acは、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができ、
Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択され、
Qは、式II、III、IV、又はVの二価基であり、
【化2】
R1及びR2はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択され、
nは、4以上の整数である、電子機器。
【請求項2】
Acが、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、又はペンタセンから選択される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
各Eが、式−C≡C−Si(Ra)3のシリルエチニル基である、式−Ac(E)2−の二価基は、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルから選択される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
式−Ac(E)2−の前記二価基が、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、又は6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイルから選択される、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
式Iの前記共重合体が、半導体層に存在する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器が、有機薄膜トランジスタを備える、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
式Iの前記共重合体が、第1の電極と第2の電極との間の層に存在する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器が、光電池である、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
電子機器が、有機エレクトロルミネセント素子を備え、式Iの前記共重合体が、該有機エレクトロルミネセント素子内の正孔輸送層に存在する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電子機器が、有機エレクトロルミネセント素子を備え、式Iの前記共重合体が、該有機エレクトロルミネセント素子内の発光層に存在する、請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
電子機器を作製する方法であって、式Iのアセン−チオフェン共重合体を備える共重合体層を提供する工程を含み、
【化3】
(式中、
Acは、2から5の縮合ベンゼン環を有するアセンの基であり、Acは、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、又はその組み合わせから選択される置換基で任意に置換することができ、
Raはそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアルキル、又はヒドロキシアルキルから独立して選択され、
Qは、式II、III、IV、又はVの二価基であり、
【化4】
R1及びR2はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、又はアルケニルから独立して選択され、
nは、4以上の整数である、方法。
【請求項12】
前記共重合体層を提供する工程が、
前記アセン−チオフェン共重合体及び溶媒を含むコーティング溶液を調製する工程であって、該アセン−チオフェン共重合体は、該コーティング溶液の重量に基づき、少なくとも0.05重量%の量で存在する、工程と、
前記コーティング溶液から溶液層を形成する工程と、
該溶液層から少なくともいくらかの該溶媒を除去する工程と、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記共重合体層に隣接する第1の層を提供する工程を更に備え、該第1の層が、導電層又は誘電体層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
電子機器が、有機薄膜トランジスタであり、前記方法が、
ゲート電極、
ゲート誘電体層、
前記共重合体層を含む半導体層、
ソース電極とドレイン電極とを含む層、の順で多層を配列する工程を更に含み、該ソース電極及び該ドレイン電極が、互いに分離し、該半導体層が、該ドレイン電極及び該ソース電極の双方に接触する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
電子機器が、有機薄膜トランジスタであり、前記方法が、
ゲート電極、
ゲート誘電体層、
ソース電極及びドレイン電極を含む層であって、該ソース電極及び該ドレイン電極が互いに分離する層と、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極の双方に接触する半導体層であって、前記共重合体層を含む半導体層、の順で多層を配列する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
第1の電極と第2の電極との間に前記共重合体層を配置する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記電子機器が、光電池を備え、前記方法は、アノードとカソードとの間に前記共重合体層を配置する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
電子機器が、有機エレクトロルミネセント素子を備え、前記方法が、アノードとカソードとの間に前記共重合体層を配置する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記有機エレクトロルミネセント素子が、前記共重合体層を含む正孔輸送層を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有機エレクトロルミネセント素子が、前記共重合体層を含む発光層を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
各Eが、式−C≡C−Si(Ra)3のシリルエチニル基である、式−Ac(E)2−の二価基が、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−ビス(シリルエチニル)ナフタレン−2,7−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,6−ジイル、9,10−ビス(シリルエチニル)アントラセン−2,7−ジイル、2,6−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、2,7−ビス(シリルエチニル)アントラセン−9,10−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,9−ジイル、6,13−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−2,10−ジイル、2,9−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイル、又は2,10−ビス(シリルエチニル)ペンタセン−6,13−ジイルから選択される、請求項10に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【公表番号】特表2009−534853(P2009−534853A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506695(P2009−506695)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/066622
【国際公開番号】WO2007/124286
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/066622
【国際公開番号】WO2007/124286
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]