説明

シリンダ、特に凹版印刷機の拭き取りシリンダをコーティングするための装置

シリンダ(C)、特に凹版印刷機の拭き取りシリンダをプラスチック組成物によってコーティングするための装置(1)に関する。シリンダ回転中に全長にわたって輻射熱を付与し且つシリンダの長手に沿って周辺の少なくとも一部の周りに複数の加熱要素(60)が配置された加熱手段(6)を具え、加熱要素はシリンダの長手に沿って相互に平行に設けられた個別の列(60a〜60h)に配列されている。この装置は、シリンダの長手に沿ったシリンダの表面温度を測定するための温度感知システム(9)と、測定された表面温度と所望の温度設定(tC)の関数として加熱要素(60)の作用を制御するために温度感知システム(9)に連結された処理ユニットを更に含む。温度感知システム(9)は、シリンダの長手に沿って測定されたシリンダの表面温度を表す温度測定プロファイル(Tm)を出力するように構成され、温度測定プロファイルは複数のゾーン(Z1〜Z8)に区切られ、各々が加熱要素(60a〜60h)の対応する列に連結される。加熱要素(60a〜60h)の各列の作用は、少なくとも一つのゾーン(Z1〜Z8)内で測定された表面温度に基づいて処理ユニットによって制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、プラスチック組成物によってシリンダ(限定的ではないが、特に凹版印刷機の拭き取りシリンダ)をコーティングするための装置、並びにその装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
凹版印刷機において、凹版印刷版の表面を拭き取って清掃するための拭き取り装置として凹版印刷版を担持した版胴に接触する拭き取りシリンダを使用することが周知である。このような拭き取りシリンダの目的は、印刷版上に堆積したインキを刻印内に押し込み、同時に過剰なインキを印刷版のプレナム、即ち刻印の外側の印刷版の刻印されていない領域から清掃することにある。
【0003】
良好な印刷品質を得るために、拭き取りシリンダは、印刷版に接するその外側表面が物理的かつ化学的耐性を有し、即ち印刷版に対して高い接触圧と摩擦を維持するように構成され、且つインキ成分と顔料、並びに拭き取りシリンダの表面を清掃するのに使用される清掃溶液との物理的、化学的接触に耐えることができる。
【0004】
PVC等の熱硬化性プラスチック等の弾性合成組成物の外層を有する拭き取りシリンダを提供することは既に提案されている。例えば米国特許3,785,286号、3,900,595号、及び4,054,685号は、このような拭き取りシリンダを製造する方法と、この方法を実行するための装置を開示している。これらの文献は、特にこれらのシリンダを形成するために使用される材料、及びこれらの拭き取りシリンダを製造するのに使用される方法に関しては、参考として本出願中に組み込まれている。例えば、米国特許4,054,685号に記載されたコーティング装置を参照すると、コーティングされるシリンダをその回転軸を中心に水平回転するように取付けるための手段が設けられている。コーティングはシリンダを、前記シリンダの片側に設けられて、シリンダの軸に平行に伸びたストレートエッジの付いたスクレーパ型ブレード機構からなるコーティングユニットを通して回転させることによって行われ、このブレード機構は前記シリンダに対して遠近方向に動くように構成されている。このブレード機構は、相互に機械的に連結された二つのブレード、即ち下ブレードと上ブレードからなり、これらのブレードはコーティング対象のシリンダ表面に熱硬化性プラスチック材料をうまく供給して、堆積される材料の厚さを調節できるように設計されている。このブレード機構は、下ブレードのストレートエッジ(即ちシリンダの長手に沿って延びた縁)をシリンダの回転軸に平行に維持しながら、シリンダに対して遠近方向に動くように構成されている。プラスチック材料は上ブレードの上方からブレード機構に供給され、上ブレードはシリンダのコーティングの際にシリンダに対して傾斜して配置され、上ブレードの上側とコーティングされるシリンダの外周との間に溜めを形成している。前記溜めからプラスチック材料が横方向に流れないように抑制する手段が設けられている。このブレード機構は、シリンダの全長に沿って下ブレードのストレートエッジとシリンダの外周との間に所望の均一な間隔(2mm以下)を維持するように、シリンダに対して遠近方向に動き得る。シリンダは一方向に回転し、シリンダの外周がブレード機構を過ぎて下方へ移動し、それによってシリンダの外周に、下ブレードのストレートエッジとシリンダの外周との間隔によって決定される厚さを有するプラスチック組成物の薄い均一な層を付与する。プラスチック材料のこの層は、シリンダが回転する際に全長にわたってシリンダに輻射熱を付与することによって熱硬化され、プラスチック材料の堆積層を硬化させ、所望の硬度の硬化層を生成する。異なる硬度と厚さを有する数層が、このようにしてシリンダの表面に形成されることが望ましい。
【0005】
米国特許4,054,685号に記載された解決策によれば、シリンダの全長に沿って延在し且つシリンダの外周の少なくとも一部を取り囲む加熱要素(例えば加熱ランプや抵抗要素)によって、輻射熱がシリンダに付与される。これらの加熱要素の位置は、シリンダの全長にわたって実質的に均一な熱分布が得られるように、シリンダの位置に対して手動で調節可能である。コーティング工程の前に、高温計が使用されてシリンダに沿った温度プロファイルを制御し、高温計はシリンダの前に手動で動かされる。加熱要素の最初の調節が行われると、高温計は中央位置に静止して留められ、自動的な熱制御のためのセンサーとして機能し、これによって温度と時間が所定のプログラムによって制御される。
【0006】
この解決策の一つの欠点は、各加熱要素がシリンダの全長にわたって延在し、且つ熱制御がシリンダの長手に沿ってあまり精確には行われないことであり、特にシリンダの両端においてシリンダの回転とシリンダを周回する気流によって生じるエッジ効果に起因して温度が相当に変動する。更に、熱制御はシリンダの表面温度の局部的計測、即ち中央位置での計測に基づいて行われ、これはシリンダの全長に沿った温度プロファイルを精確に反映していない。
【0007】
米国特許5,180,612号は、各列がシリンダの長手に沿って延在する5〜6列の8個の要素(セラミックのタイル等)のマトリックスに配置された複数の別個の加熱要素を具えた別のコーティング装置を開示している。各タイルは凹んだ表面を表すように湾曲し、前記表面はシリンダの曲率に向かい幾分追従する。これらのタイルは後端において、シリンダの装着個所に向かって或いは遠ざかるように回動するフード部の内側に装着されたステンレス鋼製の反射器上に取付けられている。
【0008】
各タイルへの電力は、任意時にスイッチオンされるタイルが対応する押しボタンの照明によって示されるように、内部照明能力を有する押しボタンのマトリックスパネルによって独立して入力可能である。こうして、加熱プロファイルはマトリックスパネル上の押しボタンの照明状態によって表示される。更に、種々のタイルに供給される電力量は、シリンダの表面温度を監視する三つの非接触型IR温度センサーの出力に応じて制御される。更に詳しくは、左側及び右側の外部センサーは、マトリックスの左側及び右側端のタイルの外周の列における全てである三つ、二つ或いは最も外側の一つを監視する。マトリックスのこれらの列はこれらの外方に位置するセンサーによって独立して或いは個々に制御される。マトリックスの中程にある八つのタイルの列の残りの一つ、即ち第四及び第五列、或いは第三〜第六列、或いは第二〜第七列は中央に位置するセンサーによって電気的に制御可能になっている。
【0009】
この解決策の欠点も、前述と同様にシリンダの長手に沿って非常に精確には加熱制御できないことにある。三つの別個のセンサーを設けたことによって、加熱プロファイルの更に均一な制御が得られるようになったが、この提案された制御技術はなお不充分である。実際、少なくとも一つのセンサー(中央のセンサー或いは外側センサーのいずれか一つ)が加熱要素の複数の列を制御し、共通の温度測定がこのセンサーに関連する加熱要素のすべての列の加熱電力を調整するのに使用されている。加熱制御がシリンダの表面温度の局部的な測定に基づいて行われ、加熱要素の対応する列の群によって生成される加熱を受けるシリンダの長手部分に沿った温度プロファイルを精確には反映していないので、これも満足な解決策ではない。
【0010】
この解決策のもう一つの欠点は、提案された構成が加熱要素とセンサーに関してシリンダの位置に制約を与えることにある。実際、シリンダの左側、中央部、右側の表面温度を監視するのに三つのセンサーが使われているが、コーティング対象のシリンダは、その中心点が中央に位置するセンサーに多少なりとも正確に対面し、しかも外側のセンサーはシリンダの外側領域の表面温度を読取可能なように位置決めされなければならない。これに加えて、処理対象のシリンダの長さに応じて、IR放射線を射出する加熱タイルの外列が外センサーに干渉しないようにする必要がある。このことは、加熱要素の外列を完全にスイッチオフにするか、或いは外センサーをシリンダの背後に部分的に隠されている加熱タイルに直接的に対面しないような方法で位置決めすることを意味する。
【発明の開示】
【0011】
(発明の概要)
本発明の目的は、これらの公知装置と方法を改善することにある。
更に詳しくは、本発明の目的は、シリンダの長手に沿って相互に平行に配置された個別の加熱装置を具えたタイプの、プラスチック組成物によってシリンダをコーティングするための装置であって、公知装置よりも簡単な構造の装置を提供することにある。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、シリンダの全長に沿って加熱プロファイルをより良く制御、調節可能なコーティング装置を提供することにある。
【0013】
本発明の更に別の目的は、異なるサイズのシリンダに対してより大きな融通性と適合性を示し、加熱要素及び/又は温度感知システムに対してシリンダの特別な位置決めの制約が不要なコーティング装置を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、改善されたコーティング品質を示すシリンダの製造を可能にするコーティング装置を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、コーティング対象のシリンダの加熱を制御する方法を提供することにある。
【0016】
これらの目的は、特許請求の範囲に記載された装置と方法によって達成される。
【0017】
本発明によれば、シリンダの表面温度を測定するのに使用される温度感知システムは、シリンダの長手に沿って測定されたシリンダの表面温度を表す温度測定プロファイルを出力するように構成され、この温度測定プロファイルは、加熱要素の対応する列に関連して複数のゾーンに区分される。処理ユニットは、少なくとも一つの前記ゾーン内で測定された表面温度に基づいて、加熱要素の各列の作用を制御するように構成される。この加熱制御機構によって、加熱要素の各列は、加熱要素の列の作用を受けるシリンダ表面の部分から得られる温度測定に基づいて制御される。こうして前述の解決策とは異なって、加熱要素の各列は、シリンダ表面の対応する部分の表面温度に直接対応して制御され、別の個所で得られた温度測定とは無関係である。更に、ゾーンに区分けすることによって、シリンダの長手に沿った加熱プロファイルの選択的な調節が可能となる。
【0018】
本発明の好適実施形態は、従属請求項の主題である。
【0019】
本発明の他の特長と利点は、非限定的な例によって表され、添付図面に示された以下の本発明の実施形態の詳細な説明を読むことにより更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、全体的に符号1で示された本発明のコーティング装置の一実施態様の斜視図を示す。このコーティング装置1は、コーティング対象のシリンダ(図示されていない)を回転軸を中心に回転させるように水平に装着する手段3を支持する機械本体2と、この実施形態において熱硬化可能なプラスチック組成物を付与するためにシリンダの一側に配置された一つのブレード40を有するコーティングユニット4と、ブレード機構(このブレード機構は図1においてシリンダの装着位置から離れるように引き戻された休止位置に示されている)と、シリンダの外周が前記コーティングユニット4を通過するようにシリンダを回転させる駆動手段5(例えば電気モータ等)と、シリンダが回転している間にシリンダの長手に沿ってシリンダに輻射熱を付与して、プラスチック組成物の堆積層を硬化させる加熱手段6とを具えている。
【0021】
図示されていないが、この機械の機能的部分に連結され、作業者が機械を操作し機械と相互作用する公知のユーザーインターフェースを具えた中央処理ユニットが存在する。この中央処理ユニットは、好ましくはコーティング装置を作動させ制御するのに必要なソフトウエアを実行するコンピュータユニットを具え、このコンピュータユニットは、好ましくは機械本体2の前側(好ましくは機械2の前側の右隅)に連結されて、作業者が機械の前側からシリンダに対面して機械の種々のパラメータを調節・監視できるように連結された回動可能な支持アーム上に装着されたタッチスクリーン形状のグラフィック式ユーザーインターフェースに連結されている。このコンピュータユニットは機械本体2或いはコーティング装置1の近傍に設置された別の電子キャビネット内に設置されてよい。本発明の範囲において、中央処理ユニットは、後に詳述するようにシリンダの表面の温度測定の関数としての加熱手段6の作用の制御を特に行う。
【0022】
この好適実施形態において、加熱手段6は、作動機構70(一端で機械本体2に連結され、他端でフード部7に連結された空気作動式アーム等)によって、シリンダの位置から遠近方向に回動可能なフード部7に設けられている。このフード部7はフード本体71と、透明な耐熱ガラス窓73を担持した窓フレームを具えた窓パネル72とを有することが好ましい。この例では、窓パネル72は一対のヒンジ部材72a、72bによってフード本体71に上部で回転可能に取付けられることが好ましく、この窓パネル72は図1では開放位置で示されている。窓パネル72は、フード部7が閉鎖位置にある場合(パネル72がフード部7の上へ閉鎖されているときでも)、シリンダのコーティングと加熱の際にシリンダ表面をはっきりと作業者が見えるようにしている。図示されているように、この好適実施形態では、窓パネル72は、更に一対のピストン式の支持部材74a、74bによってフード本体71に連結され、複数の開放位置のいずれかに留まることが可能である。
【0023】
加熱手段6は、フード部7の内側に位置する湾曲した支持フレーム62上に装着された複数の個別の加熱要素60(好ましくは湾曲したタイル形状のセラミックの加熱要素)を具えている。図示例では、加熱要素60は、コーティング対象のシリンダの曲率に従ってシリンダの全長にわたって延在するように、湾曲した支持フレーム62上に装着された六個の加熱要素により八列のアレイを形成するように配置されている。
【0024】
図には詳細に示されていないが、フード部7には吸気手段が更に設けられ、コーティング・加熱工程の際に発生する煙霧を適宜に吸引する。これらの煙霧は、排出される前に外部の凝縮・濾過ユニット(図示しない)まで吸引されることが望ましい。
【0025】
コーティング対象のシリンダを回転軸を中心に回転可能に水平に装着する手段3は、旋盤の主軸台と芯押し台に似た一対の軸受3a、3bを具えている。主軸台3aは、コーティング対象のシリンダの一端に連結されてシリンダを回転させる駆動手段5によって駆動される回転スピンドルを保持している。芯押し台3bは、シリンダの他端に固定され且つ異なる長さのシリンダを収容する、コーティング対象のシリンダの回転軸に沿って軸方向に移動する。必要に応じて、短いシリンダを装着するために、主軸台3aと芯押し台3bの一方或いは両方にシャフト延長部が固定されてよい。
【0026】
前述したように、コーティングユニット4が図1では休止位置(或いは清掃位置)に示されている。ブレード40は、コーティング対象のシリンダの回転軸に実質的に平行な回転軸を中心に回転するように、コーティングユニット4上に装着される。更に詳しくは、休止位置において、ブレード40は回転してコーティング工程からの屑材がブレードから清掃されて、ブレード40の下方に設けられた収集容器45に入るようにされる(この例では、ブレード40は、上側が機械の前部に対面している作業者の方を向くように回転する)。収集容器45は、コーティング対象のシリンダに対する遠近運動に従うようにコーティングユニット4に固定されることが有利である。選択的に、収集容器は機械本体2に固定されてよい。
【0027】
コーティングユニット4はコーティング対象のシリンダに対して遠近方向に動くように構成される。この結果、コーティングユニット4は、その両側に設けられた一対のガイド部材8a、8bを具えた移動手段に連結される。ガイド部材8a、8bへのコーティングユニット4の移動は、適宜な駆動手段、好ましくは電気モータによって行われる。この移動手段は、図1に示された清掃位置と図2に示された作業位置(或いはコーティング位置)との間のコーティングユニット4の適正な変位を確実にすると共に、コーティング作業の際のコーティングユニット4のシリンダ表面からの微小後退を確実に行う。
【0028】
図2は、閉鎖位置にあるフード部7(窓パネル72はまだ開放位置に示されている)と閉鎖位置にあるコーティングユニット4を示す図1の実施形態の斜視図である。図2はコーティング対象のシリンダを主軸台3aと芯押し台3bとの間に装着した後の状態として、主軸台3aの方へ軸方向に移動した芯押し台3bを示している(図2でも簡単化のためにシリンダは示されていない)。
【0029】
図2は、更にコーティングユニット4のブレード40がコーティング対象のシリンダの方へ回転したことを示し、ブレード40のストレートエッジ40a(図1を参照)はシリンダの外周の方を向いている。更に詳しくは、ブレード40は、シリンダのコーティング時にシリンダに対して傾斜して、ブレード40の上側とシリンダの外周との間に熱硬化性プラスチック組成物を供給するためのタンクを形成する。
【0030】
図1に示された清掃位置と図2に示されたコーティング位置との間のブレード40の回転は、シャフト部材44を介してブレード40の下側に連結された回転アーム43を作動させるアクチュエータ(空気ピストン等)によって行われることが望ましい(シャフト部材44はコーティングユニット4の各側においてガイド部材8a、8b上に支持されている二つの軸受44a、44bの間に装着されている)。ブレード40を回転させるこれらの手段42,43,44は、コーティング工程の終期にプラスチック組成物の付与を停止するための手段を形成する。
【0031】
図3aは窓パネル72(閉鎖位置)にほぼ垂直に見た図1及び2の装置の模式的正面図であり、図3bはシリンダCの回転軸に垂直に見たコーティング装置1の(機械の右側から見た)側面図であって、作動機構70によってシリンダ装着位置に回動する閉鎖状態のフード部7を示している。図1及び2に関連して前述した要素は対応する符号で示されている。図3aと3bにはコーティングユニット4は示されていないが、シリンダCのコーティングの際にコーティングユニット4は、図2に示されているように、前方に変位してシリンダCの外周面に接近する。コーティング作業の際、コーティングユニット4はコーティングユニットのブレード40とシリンダCの表面との間に所望の間隙を維持しつつ、シリンダCの外周面から僅かに離れるように後退する。この間隙はシリンダの表面に付与されるプラスチック材料の層の厚さを画定するものである。コーティング工程の終期には、ブレード40は回転してプラスチック材料の付与を中止し、コーティングユニット4は図1に示された清掃位置まで引き戻される。
【0032】
図3aと3bには符号9で全体的に表された温度感知システムが示され、これを用いてシリンダCの表面温度を計測し、シリンダでの長手に沿って測定されたシリンダCの表面温度を表す温度測定プロファイルを出力する。好ましくは、この温度感知システム9は、機械本体2に固定されてシリンダCの全長を走査するように構成された一つの非接触型センサー90を具えている。このセンサー90は、シリンダCの表面を光学的に走査してシリンダ表面の温度測定を行うために、シリンダ表面からの赤外線放射を測定する赤外線(IR)センサーであることが望ましい。この好適実施形態によれば、センサー90は加熱手段6に関してほぼ中央位置に設けられている。
【0033】
好ましくは、温度感知システム9は、シリンダCの長手に沿って設けられた複数の測定サンプルを含む温度測定プロファイルTMを出力するように構成される。このサンプル解決策(resolution)(即ち単位距離当りのサンプル数)は、充分な精度を有する温度測定プロファイルTMを生成する見地で選ばれるべきである。一例として1mm当り0.2〜0.3個のサンプル解決策がこの目的のために適当であることが見出された。かかるサンプル解決策によれば、900mmの長さを有するシリンダの温度測定プロファイルTMは、180〜270個の連続的サンプルを含む。
【0034】
図3aと3bに示されたような中央に位置決めされたセンサーの代わりに、シリンダCの回転軸に平行に延在し、シリンダCの表面上の完全な線のスナップショットを撮るように構成されたラインセンサーを用いてもよい。しかし、中央に位置決めされた走査センサーは、寸法が小さく且つ、通常はコストも安いので好ましい。
【0035】
図4は、加熱手段6、センサー90を有する温度感知システム90、支持手段3の主軸台3a、並びにシリンダCのみを示したコーティング装置の模式図である。シリンダCのシャフト部分は図示されていないが、このシャフト部分は主軸台3aと芯押し台3bにそれぞれ連結されていることは理解されるであろう。加熱要素60の八列のそれぞれは図4の上部に模式的に示され、対応する符号60a〜60h(左から右に)によって表され、列60aと60hは加熱要素60の外方に位置する二つの列を示している。図4に示されているように、シリンダCの左側と右側には二つの付加的加熱要素601と602(或いは側方加熱要素)が示されている。前出のいずれの図にも示されていないこれら二つの加熱要素601と602は、フード本体71の左側と右側に設けられた垂直サイドパネルに配置されることが望ましい。これらの側方加熱要素601,602の目的は、熱をシリンダCの各端部まで加えることにある。これら二つの側方加熱要素601,602は、シリンダの回転によって生じる空気の乱れに起因して温度が変動しやすいシリンダCの両端に所望の加熱温度を維持することを助ける。
【0036】
この意味で、加熱要素60の外方に位置する少なくとも二つの列60aと60hの加熱電力を中央の列60b〜60gよりも大きくして、シリンダCの両端に生じる温度損失を補償し、加熱要素601,602の使用を避けるように加熱手段6を構成することが望ましい。
【0037】
図4において、センサー90の走査領域はシリンダCを包括する有効測定領域(その測定領域は図に破線でハッチングにより示されている)よりも広いことが判る。
センサー90の走査領域は、サイズ広範囲のシリンダを走査できるように選択されなければならない(図4に示されたシリンダCはコーティング装置で処理可能な大きいシリンダサイズの一つを示している)。小さなシリンダサイズに対しては、シリンダを包括する有効測定領域は、これに対応して小さくなることが理解されるであろう。実際、温度測定プロファイルTMの有効測定部分はシリンダの寸法のみではなく、装置内における装着位置、更に詳しくは支持手段3の主軸台3aと芯押し台3bとの間の位置にも依存している。図示例において、有効測定領域は、図4に示されている距離の値d0、L0、r0に基づいて決められる始点P1と終点P2によって画定される。距離値L0、r0は、それぞれ、シリンダCの長さと半径を表し、距離値d0はシリンダのオフセット、即ち主軸台3aに固定されたシリンダCの端部とこの例において機械本体2の左側に位置する基準点との間の距離である。これら三つの値d0、L0、r0は、コーティング装置上で処理されるシリンダの各タイプのための設定パラメータとして中央処理ユニット(図示しない)に記憶される。コーティング対象のシリンダに対応する適宜な設定パラメータを選択することによって、センサー90の有効測定領域が、作業者による特別な設定操作を必要とすることなく、自動的に調節可能になる。
【0038】
シリンダの半径 r0は、図示好適実施形態の中央に位置決めされたセンサー90の有効測定領域を調節するための設定パラメータと考えられている。しかし、シリンダCの回転軸に平行に延びるラインセンサーを使用した感知システムの場合には、感知はシリンダCの回転軸に実質的に垂直に行われるので、このパラメータの考慮は不要である。
【0039】
要約すれば、好適実施形態によれば、温度感知システム9はシリンダCの領域よりも大きい領域を走査するように構成され、処理ユニットはシリンダCの寸法(L0、r0)と位置(d0)に基づいて処理対象のシリンダCに対応する温度測定プロファイルTMの有効測定部分を隔離するように構成され、加熱手段6の作用の制御は温度測定プロファイルTMのこの有効測定部分に基づいて行われる。
【0040】
上述した走査技術の利点は、加熱手段6及び/又は感知システム9に対するシリンダCの実際の位置が、シリンダCの全長が加熱手段6によって加熱され且つ感知システム9によって走査される限り、余り重要ではないことにある。従って、シリンダCは、加熱手段6及び/又は感知システム9に関して対称的に配置される必要はない。このことは、シリンダCを支持手段3,3a、3b上に取付ける方法に関して、特に大きな融通性を与える。
【0041】
図5はコーティング装置の模式図であり、シリンダCと八列の加熱要素60a〜60h及び二つの予備的な側方加熱要素601,602を有する加熱手段6のみが示されている。本発明によれば、独特なゾーンが形成され且つ加熱要素60の各列60a〜60hと側方加熱要素601,602に関連している。更に詳しくは、符号Z0〜Z9で示された全部で十個のゾーンが形成され、ゾーンZ0とZ9はそれぞれ側方加熱要素601,602に関連し、他方、ゾーンZ1〜Z8は、それぞれ加熱要素60a〜60hの列に対応している。この小分けされたゾーンの目的は、図6を参照して後述される。
【0042】
図6は温度測定プロファイルTMを示す模式的ダイアグラムであり、これはシリンダC(図6に点線で模式的に示されている)の長手に沿って測定され、シリンダの表面が加熱されて決められた温度tCに達したシリンダCの処理時の或る瞬間に、感知システム9によって出力されたものである。図6において、温度測定プロファイルTMはセンサー90の全走査領域に対して表されている。しかし、加熱制御の目的で温度測定プロファイルTMの一部、即ち処理されるシリンダCの両端に対応する図6のP1及びP2の間の測定部分のみが使用されている。温度測定プロファイルTMの残りの部分は考慮されない。この特別な例では、加熱制御の目的で使用される温度測定プロファイルTMの部分は、加熱要素60a〜60h(図5に規定さている)の列の対応するゾーンZ1〜Z8と重なるが、その中でゾーンZ1とZ8とは部分的にしか重なっていない。
【0043】
加熱要素60a〜60hの各列の作用は、関連するゾーンZ1〜Z8内に位置する温度測定プロファイルTMの対応する部分に基づいて、更に詳しくはこのゾーン内に位置する一連の測定サンプルに基づいて制御される。各ゾーンに対して、ゾーンに含まれる測定サンプルに基づいて中央処理ユニットによって温度測定値が計算され、この値が加熱要素の関連する列の作用(即ち有効加熱電力の出力)を調節するのに使用される。この温度測定値は、対応する一連の測定サンプルの中の平均値又は最大値として規定されることが望ましい。
【0044】
シリンダCの加熱時に、加熱要素60a〜60hの各列の作用は、対応する各ゾーンZ1〜Z8に対して誘導された温度値に基づいて調節される。更に詳しくは、所望の表面温度tCに達すると、加熱要素60a〜60hの各列の電力の出力は、シリンダの表面温度を所望の表面温度tCの近傍に維持するように調節される。
【0045】
側方加熱要素601,602(ゾーンZ0とZ9)は、加熱工程の全体を通して所定の公称値で作動可能である(即ち、他の加熱要素とは無関係に)。好ましくは、側方加熱要素601,602の作用は、加熱要素60a〜60hの列の一つと連携する(即ち、他の加熱要素とは独立)。図示例では、側方加熱要素601,602の作用は、例えば、ゾーンZ1とZ8にそれぞれ連携する。このように、所望の表面温度に達すると、側方加熱要素601,602の作用は、それぞれ加熱要素60aと60hの列の作用に従う。
【0046】
シリンダ(特に小さいサイズのシリンダ)の寸法に対応して、一つ以上のゾーン(例えば外方に位置するゾーンZ1及び/又はZ8)と加熱制御の目的で使用される温度測定プロファイルTMの有効測定部分との間には、全く重なりが無い。この場合、重なりが無いゾーンに対応する加熱要素の列は、単にスイッチが切られてよい。好ましくは、この列のスイッチを切るよりも、加熱要素の列の作用を隣接する列に接続する方が更に望ましい(例えば、列60aの作用を列60bの作用に接続し、及び/又は列60hの作用を列60gの作用に接続する)。
【0047】
前述の例において、ゾーンZ1〜Z8は全く重合しないゾーンとして形成されている。しかし、ゾーンZ1〜Z8を部分的に重合するゾーンとして形成し、従って、測定サンプルの一部が隣接する二つにゾーンに属することが望ましい。ゾーンの重合は、加熱要素の列の放射領域相互間に実質的な重なりがある場合(即ち、加熱要素の隣接する二つの列がシリンダ表面の共通部分の加熱に寄与している場合)に、特に有用である。これらのゾーン相互間の重合の量は、加熱要素の隣接する二つの列相互間の「加熱重合」に基づいて決定される。
【0048】
作業者に大きい融通性を与えて加熱要素の作用を調節するために、ゾーンZ0〜Z9のそれぞれの中の加熱要素の作用を付加的に手動で調節できることが更に好ましい。図7はこの付加的な調節能力を模式的に示している。各ゾーンZ0〜Z9が垂直のバーとして図7に模式的に描かれている。中間位置の水平なゼロの線がこれらのゾーンのゼロ調節を示している。即ち、ゾーンZ0〜Z9を有する加熱要素の作用が、一般的な設定に従って共通の目標表面温度tCに達して維持される通常の設定である。上下の水平線は、それぞれ、一般の温度設定(例えば、tCの10℃上とtCの10℃下)を表している。図7の点線によるハッチングは可能な手動設定を模式的に表したものであり、ゾーンZ0とZ9(即ち側方加熱要素601,602を包括するゾーン)は所望の表面温度tCより約+10℃で作動し、ゾーンZ1とZ8は所望の表面温度tCより約+4℃で作動し、他のゾーンZ2とZ7は公称調節設定に維持される。これによって、作業者は各加熱ゾーンZ0〜Z9に対する加熱手段6の加熱プロファイルを選択的に調節可能である。
【0049】
当業者にとって自明な種々の修正や改良が、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲内において前述の実施形態に対して行えることは理解されるであろう。例えば、シリンダとその周辺領域を走査し、その後、得られた温度測定プロファイルから適宜な測定部分を選ぶ代わりに、温度感知システムを調節してシリンダの有効表面のみを走査するように企図してよい。しかし上述の走査技術は、温度感知システムの特別な調節を必要とせず、すべての処理が中央処理ユニットによって行われるので、好ましい。更に、全領域の走査はシリンダの両端における温度動向に関する有益な情報をもたらす。更に、温度測定プロファイルにおける左側と右側の鋭く降下は(図6に示されているように)、シリンダの有効寸法の有用な確認になる。
【0050】
上述のように、この装置は次の着実な作業計画によってシリンダCのコーティングを実行するように構成されることが理解されるであろう。
(a)シリンダCはその回転軸を中心に回転するように水平に装着される。
(b)シリンダCは回転駆動される。
(c)シリンダCの表面は、シリンダCが回転している間に加熱手段によって予備加熱される。
(d)熱硬化可能なプラスチック組成物の層がシリンダCの予備加熱された表面上へ付与される。
(e)シリンダCの表面上に付与された熱硬化可能なプラスチック組成物の層が、加熱手段6によって熱硬化する。
【0051】
工程(c)と工程(e)は、(i)シリンダの長手に沿ってシリンダCの表面温度を測定し、(ii)測定された表面温度と所望の温度設定tCの関数として、加熱要素60の作用を制御する工程を含む。本発明によれば、測定工程(i)は、シリンダの長手に沿って測定したシリンダの表面温度を表す温度測定プロファイルTMを出力することを含み、前記温度測定プロファイルTMは、それぞれが加熱要素60a〜60の対応する列に関連する複数のゾーンZ1〜Z8に分割される。他方、制御工程(ii)は、ゾーンZ1〜Z8の少なくとも一つの中で測定された表面温度に基づいて、加熱要素60a〜60hの各列の作用を制御することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】開放状態にある装置のフード部を示すコーティング装置の一実施形態の斜視図。
【図2】閉鎖状態にある装置のフード部を示す図1のコーティング装置の斜視図。
【図3a】図1と2のコーティング装置の模式的正面図。
【図3b】シリンダの回転軸に垂直に切断したコーティング装置の右側から見た模式的側面図。
【図4】コーティング装置の支持手段、加熱手段及び温度感知手段に対するシリンダの位置を示す模式的正面図。
【図5】加熱手段と加熱制御が行われる関連ゾーンを詳しく示す模式的正面図。
【図6】シリンダの表面が所定温度に達するまで加熱されるシリンダ処理時に、所定時点で温度感知システムによって出力されるときにシリンダの長手に沿って測定された温度測定プロファイルの模式的ダイアグラム。
【図7】作業者が手動で各加熱ゾーンの加熱プロファイルを調節できるシステムの付加的な能力を示す模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ(C)を回転軸を中心に回転するように水平に装着する支持手段(3、3a、3b)と、
前記シリンダ(C)の表面に熱硬化可能なプラスチック組成物の層を選択的に付与するために、シリンダの側面に設けられたコーティングユニット(4)と、
前記シリンダ(C)の外周面が前記コーティングユニット(4)を通過するように前記シリンダ(C)を所定方向に回転させるための駆動手段(5)と、
前記シリンダ(C)の回転中に全長にわたってシリンダ(C)に輻射熱を付与する加熱手段(6)であって、シリンダの長手に沿って前記シリンダ(C)の外周面の少なくとも一部の周囲に配置された複数の個別の加熱要素(60)を具え、前記加熱要素(60)はシリンダの長手に沿って相互に平行に設けられた個別の列(60a〜60h)に配置されている、加熱手段(6)と、
前記シリンダの長手に沿ってシリンダ(C)の表面温度を測定するための温度感知システム(9)と、
測定された表面温度と所望の温度設定(tC)との関数として前記加熱要素(60)の作用を制御するために前記温度感知システム(9)に連結された処理ユニットとを含み、
前記温度感知システム(9)は、前記シリンダの長手に沿って測定されたシリンダの表面温度を表す温度測定プロファイル(Tm)を出力するように構成され、前記温度測定プロファイルは、加熱要素の対応する列(60a〜60h)に関連して複数のゾーン(Z1〜Z8)に区分けされ、
前記処理ユニットは、少なくとも一つの前記ゾーン(Z1〜Z8)内で測定された表面温度に基づいて加熱要素の各列(60a〜60h)の作用を制御するように構成されている、
プラスチック組成物によってシリンダ、特に凹版印刷機の拭き取りシリンダをコーティングするための装置(1)。
【請求項2】
前記温度感知システム(9)が、前記シリンダ(C)の長手に沿って得られた複数の測定サンプルを含む温度測定プロファイル(Tm)を出力するように構成され、各前記ゾーン(Z1〜Z8)は対応する一連の測定サンプルを包括する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各前記ゾーン(Z1〜Z8)に対して、前記処理ユニットはこれらのゾーン(Z1〜Z8)の一連の測定サンプルに基づいて温度測定値を計算するように構成され、温度測定値は、前記ゾーンの一連の測定サンプルの平均値或いは最大値とされる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ゾーン(Z1〜Z8)は前記温度測定プロファイル(Tm)の重なっていないゾーンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ゾーン(Z1〜Z8)は前記温度測定プロファイル(Tm)の重なったゾーンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
加熱要素の少なくとも一つの列が、加熱要素の隣接する列のゾーンに基づいて全体的に或いは部分的に制御される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
輻射熱をシリンダ(C)の各端に付与するための側方加熱要素(601,602)を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各前記側方加熱要素(601,602)の作用が、少なくとも一つの前記ゾーン(Z1〜Z8)内で測定された表面温度に基づいて制御される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
加熱要素の少なくとも二つの外方に位置する列(60a、60h)の加熱電力が、加熱要素の中央に位置する列(60b〜60g)よりも大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記温度感知システム(9)がシリンダの領域よりも大きな領域を走査するように構成され、前記処理ユニットが、シリンダ(C)の寸法(L0、0)及び位置(d0)に基づいてコーティング対象のシリンダ(C)に対応する前記温度測定プロファイル(Tm)の有効測定部分を隔離するように構成され、前記処理ユニットは、前記温度測定プロファイル(Tm)の有効測定部分に基づいて前記加熱手段(6)の作用の制御を行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記温度感知システムが装置に固定された一つの非接触センサー(90)を含み、これはシリンダの全長を走査するように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記温度感知システムが中央に位置決めされている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記温度感知システムはシリンダ(C)の回転軸に沿って平行に延在し、シリンダの表面上の完全な線のスナップショットを得るように構成されているラインセンサーである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記加熱要素の加熱出力が付加的に手動調節可能である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
プラスチック組成物によって、シリンダ(C)、特に凹版印刷機の拭き取りシリンダをコーティングするために次の(a)から(e)の工程を含み、
(a)シリンダ(C)を回転軸を中心に回転するように水平に装着し、
(b)シリンダ(C)を駆動して回転させ、
(c)シリンダ(C)を回転させながら、加熱手段(6)によってシリンダ(C)の表面を予備加熱し、前記加熱手段(6)は前記シリンダに全長にわたって輻射熱を付与し、且つシリンダの長手に沿ってシリンダ(C)の外周面の少なくとも一部の周りに配置された複数の個別の加熱要素(60)を具え、前記加熱手段は、シリンダの長手に沿って相互に平行に配置された個別の列(60a〜60h)に区分けされている、
(d)シリンダ(C)の表面に熱硬化可能なプラスチック組成物の層を付与し、且つ
(e)シリンダ(C)の表面に付与された熱硬化可能なプラスチック組成物の層を、前記加熱手段(6)によって熱硬化させ、
前記予備加熱の工程(c)と熱硬化の工程(e)は、それぞれ次の(i)と(ii)の工程を含み、
(i)シリンダ(C)の長手に沿ってシリンダ(C)の表面温度を測定し、且つ
(ii)測定された表面温度と所望の温度設定(tC)の関数として加熱要素(60)の作用を制御し、
前記測定工程(i)は、シリンダ(C)の長手に沿って測定されたシリンダの表面温度の代表値としての温度測定プロファイル(TM)を出力することを含み、前記温度測定プロファイルは、加熱要素の対応する列(60a〜60h)に関連して複数のゾーン(Z1〜Z8)に区分けされ、且つ
前記制御工程(ii)は、前記ゾーン(Z1〜Z8)の少なくとも一つにおいて測定された表面温度に基づいて、加熱要素の各列(60a〜60h)の作用を制御することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−508686(P2009−508686A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531830(P2008−531830)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053231
【国際公開番号】WO2007/034362
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591031371)カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム (54)
【Fターム(参考)】