説明

シロキサン系分散剤およびこれを含むナノ粒子ペースト組成物

【課題】UV−LEDなどの高出力光源に用いられるシリコン樹脂にナノ粒子を分散させる際、ナノ粒子の分散性を向上させうる手段を提供する。
【解決手段】ナノ粒子との親和性を有する頭部と、シリコン樹脂との親和性を有する尾部と、を含むシロキサン系分散剤であり、シロキサン系分散剤、ナノ粒子、およびシリコン樹脂を含むナノ粒子ペースト組成物であり、また窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部と、シリコーン部分を有する尾部とを含むシロキサン系分散剤を用いて、ナノ粒子をシリコン樹脂に分散させ、さらにエポキシ基を有するシリコン樹脂を添加した後、熱処理して形成されるシリコンゴムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン系分散剤およびこれを含むナノ粒子ペースト組成物に関し、より詳細には、ナノ粒子との親和性を有する頭部と、シリコン樹脂との親和性を有する尾部と、を含むシロキサン系分散剤およびこれを含むナノ粒子ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
量子ドットは、量子閉じ込め効果を示すナノサイズの半導体物質であり、優れた物理的、化学的および電気的特性を有するため、多様な電気的および光学的素子に用いられている。
【0003】
前記量子ドットは、各種の素子に用いられるために、通常、溶媒または樹脂などの分散媒と混合されてペースト状に製造される。しかし、前記量子ドットは、ナノ粒子の特性上、各粒子間の凝集力が非常に大きいため凝集体を形成する傾向がある。結果として、量子ドットの独特な特性を十分に発揮できなくなる。したがって、ナノ粒子が溶媒または樹脂内で互いに凝集することを防止するために、分散剤の選択が重要となる。
【0004】
一方、従来のナノ粒子の分散媒としては、トルエン、ヘキサンなどの非極性有機溶媒、またはエポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂などの極性樹脂が知られている。これらのうち、主鎖がシロキサンの構造を有するシリコン樹脂は、熱、紫外線、および酸化物質に対する高い安定性、優れた透明度、比較的低い屈折率、ならびに高い絶縁性などの特性のために、電子材料、特に、光学材料として非常に有用である。
【0005】
しかしながら、ナノ粒子の合成の際に用いられる分散剤が、非極性の炭化水素系溶媒であるため、前記ナノ粒子の表面は、シリコン樹脂との親和性に乏しい。よって、表面性質の変更なしには、ナノ粒子の分散が不可能であるという問題がある。したがって、ナノ粒子がシリコン樹脂内で凝集または沈殿せずに、容易に分散する新しいタイプの分散剤の開発が切実に望まれている。
【0006】
これと関連し、特許文献1は、シロキサン主鎖にポリエチレンオキサイド基やトリメチルアンモニウム基を導入して、インクジェットプリント用ナノ粒子の分散性を向上させる技術を開示している。また、特許文献2は、シロキサン主鎖にポリエチレンオキサイド基やポリプロピレンオキサイド基を導入した化合物によってナノ粒子をコーティングすることで、ナノ粒子の分散性を向上させる技術を開示している。
【0007】
この他にも、非特許文献1は、ポリジメチルシロキサン−ポリ[(3−シアノプロピル)メチルシロキサン]−ポリジメチルシロキサンの構造を有するトリブロック共重合体に、コバルト前駆体を溶解させてコバルトナノ粒子を形成し、これをシリコン樹脂に分散させる技術を開示している。
【特許文献1】米国特許第6,645,569号明細書
【特許文献2】米国特許第5,919,487号明細書
【非特許文献1】Journal of Magnetism and Magnetic Materials,225(2001),p47−58
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の技術によれば、分散剤は、ナノ粒子と直接結合する官能基を含んでおらず、ナノ粒子の分散性が十分でなかった。
【0009】
本発明は、上記のような技術的要求に応えるものであり、その目的は、UV−LEDなどの高出力光源に用いられるシリコン樹脂にナノ粒子を分散させる際、その分散性を向上させうる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、ナノ粒子との親和性を有する頭部と、シリコン樹脂との親和性を有する尾部と、を含むシロキサン系分散剤を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記シロキサン系分散剤、ナノ粒子、およびシリコン系樹脂を含むことを特徴とする、ナノ粒子ペースト組成物を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部と、シリコーン部分を有する尾部とを含むシロキサン系分散剤を用いて、ナノ粒子をシリコン樹脂に分散させ、さらにエポキシ基を有するシリコン樹脂を添加した後、熱処理して形成されたシリコンゴムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シリコン樹脂に対するナノ粒子の分散性が向上しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明のシロキサン系分散剤は、ナノ粒子との親和性を有する頭部と、シリコン樹脂との親和性を有する尾部と、を含むことを特徴とする。
【0016】
具体的には、本発明のシロキサン系分散剤は、下記化学式(1)および化学式(2)で表される頭部からなる群より選択される頭部と、下記化学式(3)で表される尾部からなる群より選択される尾部と、を含むことが好ましい。
【0017】
【化1】

【0018】
【化2】

【0019】
前記化学式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状のもしくは分岐状のアルキル基であり、
【0020】
【化3】

【0021】
前記化学式(3)中、nは、2〜30の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立して、2〜20の整数である。
【0022】
すなわち、本発明のシロキサン系分散剤は、前記化学式(1)および(2)で表される群から選択される頭部を含むことで、頭部に存在する非共有電子対がナノ粒子表面の金属イオンと容易に配位結合するようになり、前記化学式(3)で表されるシリコーン部分を有する尾部を含むことで、分散媒であるシリコン樹脂との親和性が大きくなる。
【0023】
さらに具体的には、前記シロキサン系分散剤は、下記化学式(4)〜(26)で表されるシロキサン系分散剤からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
【化7】

【0028】
【化8】

【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
【化11】

【0032】
【化12】

【0033】
【化13】

【0034】
【化14】

【0035】
【化15】

【0036】
【化16】

【0037】
【化17】

【0038】
【化18】

【0039】
【化19】

【0040】
【化20】

【0041】
【化21】

【0042】
【化22】

【0043】
【化23】

【0044】
【化24】

【0045】
【化25】

【0046】
【化26】

【0047】
前記化学式(4)〜(26)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、nは、2〜30の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立して、2〜20の整数である。
【0048】
前記化学式(1)、(5)〜(10)、(16)〜(19)、(21)〜(23)、および(26)中のRとして用いられる基の具体的な例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、またはイソブチル基などが挙げられる。
【0049】
また、本発明は、ナノ粒子ペースト組成物を提供する。本発明によるナノ粒子ペースト組成物は、本発明のシロキサン系分散剤、ナノ粒子、およびシリコン樹脂を含む。
【0050】
具体的には、本発明に用いられるナノ粒子としては、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体、IV−VI族化合物半導体、IV族化合物半導体、金属、および磁性粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、SiC、Fe、Pt、Ni、Co、Al、Ag、Au、Cu、FePt、Fe、Fe、Si、およびGeからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましいが、これらに限定されるものではない。また、本発明では、コア−シェル構造を有するナノ粒子も好ましく用いられる。本発明で使用可能なナノ粒子の大きさは、特に制限されることはないが、2〜30nmの範囲であることが好ましい。
【0051】
また、本発明に用いられるシリコン樹脂の例としては、従来のナノ粒子ペースト組成物に用いられるポリジメチルシロキサンまたはその誘導体が好ましく挙げられる。
【0052】
本発明のナノ粒子ペースト組成物には、組成物の物性を失わない範囲で、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、平滑剤、または消泡剤などの添加剤が添加されうる。これらの添加剤は、商業的に入手可能であることが当業者には広く知られている。
【0053】
本発明のナノ粒子蛍光体ペースト組成物は、前記シロキサン系分散剤、前記ナノ粒子、および前記シリコン樹脂の総質量100質量%を基準として、40〜70質量%のナノ粒子、0.1〜3質量%のシロキサン系分散剤、および残部のシリコン樹脂を含むことが好ましい。前記組成物において、シロキサン系分散剤の含有量が、前記シロキサン系分散剤、前記ナノ粒子、および前記シリコン樹脂の総質量100質量%を基準として0.1質量%未満である場合、ナノ粒子の使用量の増加および組成物の粘度維持などの効果が十分に得られない場合がある。一方、シロキサン系分散剤の含有量が、前記シロキサン系分散剤、前記ナノ粒子、および前記シリコン樹脂の総質量100質量%を基準として3質量%を超える場合、他の成分の含有量が減少することによって、ペーストの物性が低下する場合がある。
【0054】
さらに、本発明は、窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部と、シリコーン部分を有する尾部とを含むシロキサン系分散剤を用いて、ナノ粒子をシリコン樹脂に分散させ、さらにエポキシ基を有するシリコン樹脂を添加した後、熱処理して形成されるシリコンゴムを提供する。
【0055】
ここで、本発明における「窒素含有基」とは、窒素原子を含む基であれば特に制限されず、例えば、アミノ基、ピリジン環、またはアザビシクロ環などが窒素含有基の例として好ましく挙げられる。
【0056】
本発明によるナノ粒子ペースト組成物は、ルイス塩基であるシロキサン系分散剤の頭部を含んでいる。金属触媒の存在下で硬化しうる樹脂(例えば、シラン−ビニル架橋シリコン樹脂)を用いた場合、金属触媒が前記シロキサン系分散剤の頭部と結合することで、硬化を阻害するという問題がある。したがって、ルイス塩基である頭部を含む前記シロキサン系分散剤の存在下で、硬化したシリコンゴムを製造する必要がある場合は、金属触媒を使用せずに硬化反応を進行させるべきである。したがって、本発明のシリコンゴムの製造方法は、窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部を含むシロキサン系分散剤とともにナノ粒子をシリコン樹脂か、またはシリコン樹脂とエポキシ基を有するシリコン樹脂とを混合したものの中に分散させる工程と、その後の熱処理の工程を含む。前記熱処理は、シロキサン系分散剤の窒素含有基が触媒となるエポキシ基の開環および交差反応による化学的な硬化をもたらす。その結果、硬化したシリコンゴムを得ることが可能となる。
【0057】
窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部とシリコーン部分を有する尾部とを含む本発明のシロキサン系分散剤は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができるが、2種以上併用することが、シリコンゴムの硬度の制御の面から好ましい。
【0058】
さらに具体的には、本実施形態において、ナノ粒子およびシリコン樹脂は、上述の通りである。また、本実施形態において、窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部とシリコーン部分を有する尾部とを含む本発明のシロキサン系分散剤は、前記化学式(1)および前記化学式(2)で表される頭部からなる群より選択される窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部と、前記化学式(3)で表される尾部からなる群より選択されるシリコーン部分を有する尾部と、を含むシロキサン系分散剤であることが好ましく、前記化学式(4)〜(11)および前記化学式(15)〜(23)で表されるシロキサン系分散剤からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、前記化学式(19)で表されるシロキサン系分散剤および前記化学式(23)で表されるシロキサン系分散剤のいずれか一方または両方であることがさらに好ましい。
【0059】
また、前記エポキシ基を有するシリコン樹脂は、下記化学式(27)で表されるシリコン樹脂であることが好ましい。
【0060】
【化27】

【0061】
前記化学式(27)中、nは、2〜30の整数である。
【0062】
本発明において、熱処理条件は特に制限されないが、前記シロキサン系分散剤を用いて、前記ナノ粒子を前記シリコン樹脂に分散させ、さらにエポキシ基を有するシリコン樹脂を添加し、その後得られた混合物を70〜150℃の温度範囲で、0.5〜12時間の間熱処理することが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を通して、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、下記の各実施例は、説明のために例示されたものに過ぎずなく、本発明を制限するものではない。
【0064】
(製造例1:シロキサン系分散剤(1)の製造)
【0065】
【化28】

【0066】
窒素雰囲気のガラスフラスコ中で、乾燥したトルエンに1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン20gを溶解させた。次いで、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサンとトリメチルシラノールとのモル比が1:1となるように、トリメチルシラノールをゆっくり添加して反応させた後、生成された酸および残存したクロロ基をヒドロキシ基に変えるために、アンモニア水を入れて強く攪拌した。その後、得られた反応溶液を水で洗ってから、乾燥剤で乾燥させた。乾燥させた反応溶液に、乾燥したトルエンに溶かしたN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランを、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサンに対して0.5当量となる量でゆっくり添加した。混合溶液を、80〜100℃の温度で加熱し、24時間反応させた。その後、反応溶液を減圧加熱することで、揮発性物質を全て除去し、上記化学式(28)で表されるシロキサン系分散剤(1)を得た。得られたシロキサン系分散剤(1)のH−NMRスペクトルを下記図1に示す。
【0067】
(製造例2:シロキサン系分散剤(2)の製造)
【0068】
【化29】

【0069】
1,7-ジクロロオクタメチルテトラシロキサンの代わりに、重量平均分子量が550であるヒドロキシ基末端のポリジメチルシロキサンと、1,7-ジクロロオクタメチルテトラシロキサンとを1:2で反応させたこと以外は、製造例1と同様の方法で、上記化学式(29)で表されるシロキサン系分散剤(2)を得た。
【0070】
(製造例3:シロキサン系分散剤(3)の製造)
【0071】
【化30】

【0072】
ヘキサメチルシクロトリシロキサンに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランを1〜10モル%混合した後、触媒としてトリメチルシラノールのカリウム塩を少量加えて重合反応を行った。重合反応を停止させるために、クロロトリメチルシランを反応系内に加え、副生成物である塩化カリウムを水で洗って除去した。結果物を乾燥させ、減圧することで、揮発性成分を除去し、上記化学式(30)で表されるシロキサン系分散剤(3)を得た。分散剤の粘度は、クロロトリメチルシランを加えるまでの時間を変化させることによって調節可能である。
【0073】
(実施例1:ナノ粒子ペースト組成物(1)の製造)
ナノ粒子として、市販のCdSe/ZnS(Evident社製、商品名:EviDots(商標))を使用した。約3質量%のナノ粒子のトルエン溶液0.5mlに、製造例1で得たシロキサン系分散剤(1)を20ml添加した後、トルエンを真空除去した。その後、残ったナノ粒子に、重量平均分子量が700であるシリコン樹脂(ダウコーニング社製、動粘度:5cSt)2mlを加え、本発明のナノ粒子ペースト組成物(1)を製造した。
【0074】
(実施例2:ナノ粒子ペースト組成物(2)の製造)
シロキサン系分散剤(1)の代わりに、製造例2で得られたシロキサン系分散剤(2)を20ml添加すること以外は、前記実施例1と同様の方法でナノ粒子ペースト組成物(2)を製造した。
【0075】
(比較例)
シロキサン系分散剤(1)を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法でナノ粒子ペースト組成物を製造した。
【0076】
(実施例3:シリコンゴム(1)の製造)
シロキサン系分散剤(1)の代わりに、製造例3で得られたシロキサン系分散剤1gを添加すること以外は、実施例1と同様の方法でナノ粒子ペースト組成物を製造した。その後、前記化学式(27)で表されるエポキシ基を有するシリコン樹脂(Gelest社製、商品名:Epoxypropoxypropyl Terminated Polydimethylsiloxane)0.2gをさらに添加した後、80℃で12時間加熱することによって、硬化したシリコンゴムを製造した。
【0077】
(実施例4:シリコンゴム(2)の製造)
製造例3で得られた分散剤を添加する前に、製造例2で得られたシロキサン系分散剤(2)20mlを添加すること以外は、実施例3と同様の方法で、硬化したシリコンゴムを製造した。
【0078】
上記の実施例1および比較例1で得られたナノ粒子ペースト組成物の分散性を写真で撮影し、その結果を図2に示した。図2に示すように、本発明のシロキサン系分散剤が添加された実施例1の場合、優れた分散性を示すが、分散剤が添加されていない比較例1の場合、ほとんど分散していないことが確認できた。
【0079】
また、実施例2で得られたナノ粒子ペースト組成物の分散性を写真で撮影し、その結果を図3に示した。図3に示すように、ナノ粒子が、シリコン樹脂に均一に分散し、発光していることが確認できた。
【0080】
さらに、実施例3で得られた硬化したシリコンゴムを写真で撮影し、その結果を図4に示した。図4に示すように、ナノ粒子が、小さな棒状で硬化したシリコンゴム中に均一に分散し、発光していることが確認できた。
【0081】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、当業者によって多様に変形可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の製造例1で得られた分散剤のH-NMRスペクトルである。
【図2】本発明の実施例1および比較例1で得られたナノ粒子ペースト組成物の分散性を示す写真である。
【図3】本発明の実施例2で得られたナノ粒子ペースト組成物の分散性を示す写真である。
【図4】本発明の実施例3で得られたシリコンゴムの発光を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子との親和性を有する頭部と、
シリコン樹脂との親和性を有する尾部と、
を含むシロキサン系分散剤。
【請求項2】
前記シロキサン系分散剤が、下記化学式(1)および下記化学式(2)で表される頭部からなる群より選択される頭部と、下記化学式(3)で表される尾部からなる群より選択される尾部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のシロキサン系分散剤:
【化1】

【化2】

前記化学式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状のもしくは分岐状のアルキル基であり、
【化3】

前記化学式(3)中、nは、2〜30の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立して、2〜20の整数である。
【請求項3】
前記シロキサン系分散剤が、下記化学式(4)〜(26)で表されるシロキサン系分散剤からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載のシロキサン系分散剤:
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

前記化学式(4)〜(26)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、nは、2〜30の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立して、2〜20の整数である。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシロキサン系分散剤、ナノ粒子、およびシリコン樹脂を含むことを特徴とする、ナノ粒子ペースト組成物。
【請求項5】
シロキサン系分散剤、ナノ粒子、およびシリコン樹脂の総質量100質量%を基準として、
40〜70質量%のナノ粒子と、
0.1〜3質量%のシロキサン系分散剤と、
残部のシリコン樹脂と、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載のナノ粒子ペースト組成物。
【請求項6】
前記ナノ粒子が、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体、IV−VI族化合物半導体、IV族化合物半導体、金属、および磁性粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4または5に記載のナノ粒子ペースト組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子が、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、SiC、Fe、Pt、Ni、Co、Al、Ag、Au、Cu、FePt、Fe、Fe、Si、およびGeからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6に記載のナノ粒子ペースト組成物。
【請求項8】
前記ナノ粒子が、コア−シェル構造を有することを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載のナノ粒子ペースト組成物。
【請求項9】
窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部と、シリコーン部分を有する尾部とを含むシロキサン系分散剤を用いて、ナノ粒子をシリコン樹脂に分散させ、さらにエポキシ基を有するシリコン樹脂を添加した後、熱処理して形成されるシリコンゴム。
【請求項10】
前記窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部と、シリコーン部分を有する尾部とを含むシロキサン系分散剤が、2種以上併用して用いられることを特徴とする、請求項9に記載のシリコンゴム。
【請求項11】
前記窒素含有基、カルボキシル基、メルカプト基、またはリン酸基を有する頭部と、シリコーン部分を有する尾部とを含むシロキサン系分散剤が、下記化学式(4)〜(11)および下記化学式(15)〜(23)で表されるシロキサン系分散剤からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項9または10に記載のシリコンゴム:
【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

前記化学式(4)〜(11)および(15)〜(23)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、nは、2〜30の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立して、2〜20の整数である。
【請求項12】
前記エポキシ基を有するシリコン樹脂が、下記化学式(27)で表されるシリコン樹脂であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のシリコンゴム:
【化44】

前記化学式(27)中、nは、2〜30の整数である。
【請求項13】
前記熱処理が、70〜150℃の温度範囲で、0.5〜12時間の間、行われることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載のシリコンゴム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−196224(P2007−196224A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4880(P2007−4880)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】