説明

シンセサイザ

【課題】本発明は、周波数可変間隔(チャネルステップ)を細かく設定できると同時に位相比較周波数を高く設定し信号近傍の位相雑音を抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るシンセサイザは、高周波信号を発生させる第1のループ84に、第1のループ84の基準周波数を調整するための第2のループ85を設けたことを特徴とする。第2のループ85が第1のループ84の基準周波数を目的の周波数に調整する。第1のループ84は、第2のループ85の調整した基準周波数を用いて高周波信号を発生させる。第2のループ85が第1のループ84の基準周波数を微調整するので、第1のループ84の分周回路の分母を小さくしても周波数設定の分解能は粗くならない。第1のループ84の分周回路の分母を小さくしても、分解能を落とすことなく所望の周波数を発振する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された発振波の信号周波数及びチャネル間隔を調整するシンセサイザに関し、特に出力信号に混入するスプリアスを除去するシンセサイザに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の整数分周PLLシンセサイザを示す概略構成図である。従来の一般的な整数分周PLLシンセサイザは、所望の信号周波数及びチャネル間隔を実現するため、分周回路126がチャネル間隔となる周波数まで分周し、位相比較回路127が分周回路111からの発振波との位相比較を行い、平滑回路114にて平滑化の後、VCO120にて位相同期を行う。位相比較回路の雑音は、希望周波数からの分周数分だけ位相同期ループ内雑音となり発振出力信号の近傍に現れるため、できるだけ位相比較周波数を高くする工夫がなされている。
【0003】
図6は、一般的に用いられているフラクショナル・シンセサイザ(小数点分周方式PLL)である。位相比較回路129にて位相比較を行うために必要な信号を得るための分周器128の設定が小数設定可能となっている。周波数チャネルを細かく設定できると同時に比較周波数を高くできるため、ループ内雑音を低く抑えることができる。
【0004】
しかし、小数点分周方式では、比較周波数のM分の1の周波数成分スプリアスが出力周波数信号の近傍に発生するという欠点があった。図7は、従来の整数分周PLLシンセサイザからの出力信号の一例である。比較周波数のMの値が大きければ大きいほど、発生するスプリアスの離調周波数は低くなり、ループフィルタで除去することが困難となる。
【特許文献1】特開平6−77823号公報
【特許文献2】特開平4−59808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周波数可変間隔(チャネルステップ)を細かく設定できると同時に位相比較周波数を高く設定し信号近傍の位相雑音を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るシンセサイザは、高周波信号を発生させる第1のループに、第1のループの基準周波数を調整するための第2のループを設けたことを特徴とする。第2のループが第1のループの基準周波数を目的の周波数に調整する。第1のループは、第2のループの調整した基準周波数を用いて高周波信号を発生させる。
【0007】
第2のループが第1のループの基準周波数を微調整するので、第1のループの分周回路の分母を小さくしても周波数設定の分解能は粗くならない。第1のループの分周回路の分母を小さくしても、分解能を落とすことなく所望の周波数を発振する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小数点分周により発生する近傍スプリアスを容易に抑制することが可能となるため、スプリアスが発生する離調周波数を高くしループフィルタによるスプリアス抑圧効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。本実施形態に係るシンセサイザは、高周波信号を発生させる第1のループ84と、基準信号を発生させる第2のループ85と、を備え、これらが2重の帰還ループを形成している。
【0011】
第2のループ85は、第1のループの基準周波数を目的の周波数に調整する。第1のループ84は、第2のループ85が微調整した基準周波数を用いて高周波信号を発生させる。第2のループ85が、第1のループ84で使用する基準周波数を高く設定した場合に生じる設定周波数の分解能の低下を防ぐ。高周波信号の安定化に必要な第1のループ84の基準信号を第2のループ85により制御することで、出力側帰還路小数点分周回路17のカウンタ分周分母を小さくすることが可能となり、希望波近傍に発生するスプリアスを抑制することができる。比較的簡単な回路構成で発振器の低雑音化、低スプリアス化が実現可能である。また、第2のループ85で生成する信号は、第1のループ84で発生する信号のための基準信号であるため、第1のループ84から出力される希望波に、スプリアスなどの大きな影響を与えることはない。以下、具体的に説明する。
【0012】
本実施形態に係るシンセサイザは、入力端子10と、入力側整数分周回路11と、入力側帰還路小数点分周回路12と、入力側位相比較回路13と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO(Voltage Controlled Xtal Oscillator)15と、出力側整数分周回路16と、出力側帰還路小数点分周回路17と、出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO(Voltage Controlled Oscillator)20と、出力端子21と、を備える。
【0013】
出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、出力側帰還路小数点分周回路17とは、第1のループ84を形成する。入力側位相比較回路13と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO15と、出力側整数分周回路16と、出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、入力側帰還路小数点分周回路12は、第2のループ85を形成する。
【0014】
入力側整数分周回路11は、入力端子10からの発振波を整数分周する。入力端子10からの発振波は、例えば、TCXO(Temperature Compensated Xtal Oscillator)9の発振した発振波である。入力側整数分周回路11は、入力端子10からの発振波の周波数を、入力側位相比較回路13の基準周波数になるように分周する。
【0015】
入力側帰還路小数点分周回路12は、出力端子21に接続されている帰還路からの発振波を小数点分周する。帰還路は、出力端子21の出力する発振波をフィードバックするための帰還路である。帰還路は、出力側VCO20の後段に接続される。入力側帰還路小数点分周回路12は、出力端子21の出力する周波数を、入力側位相比較回路13の基準周波数に合わせる。
【0016】
入力側位相比較回路13は、入力側整数分周回路11の出力と入力側帰還路小数点分周回路12の出力との位相を比較する。入力側位相比較回路13は、入力側帰還路小数点分周回路12から入力された発振波を、入力側整数分周回路11から入力された基準周波数と比較し、出力端子21から出力されている発振波の位相差を検出する。入力側位相比較回路13は、検出した位相差に応じた電圧を出力する。
【0017】
入力側低域周波数濾波回路14は、入力側位相比較回路13の出力を平滑化する。入力側低域周波数濾波回路14は、入力側位相比較回路13の出力した信号に応じた電圧に平滑化する。入力側低域周波数濾波回路14は、例えば、低域透過フィルタである。
【0018】
入力側VCXO15は、入力側低域周波数濾波回路14の出力により発振周波数を決定して発振波を出力する。入力側VCXO15は、VCXOに限られず、VCOを用いることができる。他の実施形態でも同様に、入力側VCXO15はVCXOに限られずVCOを用いることができる。
【0019】
出力側整数分周回路16は、入力側VCXO15からの発振波を整数分周する。入力側VCXO15からの発振波の周波数を、出力側位相比較回路18の基準周波数になるように分周する。
【0020】
出力側帰還路小数点分周回路17は、出力端子21に接続されている帰還路からの発振波を小数点分周する。帰還路は、出力端子21の出力する発振波をフィードバックするための帰還路であるので、出力側VCO20の後段に接続される。出力側帰還路小数点分周回路17は、出力端子21の出力する周波数を、出力側位相比較回路18の基準周波数に合わせる。
【0021】
出力側位相比較回路18は、出力側整数分周回路16の出力と出力側帰還路小数点分周回路17の出力との位相を比較する。出力側位相比較回路18は、出力側帰還路小数点分周回路17から入力された発振波を、出力側整数分周回路16から入力された基準周波数と比較し、出力端子21から出力されている発振波の位相差を検出する。出力側位相比較回路18は、検出した位相差に応じた電圧を出力する。
【0022】
出力側低域周波数濾波回路19は、出力側位相比較回路18の出力を平滑化する。出力側低域周波数濾波回路19は、出力側位相比較回路18の出力した信号に応じた電圧に平滑化する。出力側低域周波数濾波回路19は、例えば、低域透過フィルタである。
【0023】
出力側VCO20は、出力側低域周波数濾波回路19の出力により発振周波数を決定して発振波を出力端子21へ出力する。
【0024】
本実施形態に係るシンセサイザの具体的な動作の一例について説明する。入力端子10に入力される発振波の周波数が10MHzであり、本実施形態に係るシンセサイザの出力する所望の周波数を1234.56MHzとする。
【0025】
入力側整数分周回路11は、入力端子10から入力された10MHzの発振波を1/100に整数分周する。これによって、入力側位相比較回路13の周波数100kHzに合わせる。入力側帰還路小数点分周回路12は、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波を、1/(I+F/M)=1/(12345+6/10)に小数点分周する。これによって、入力側位相比較回路13の周波数100kHzに合わせる。
【0026】
入力側位相比較回路13は、入力側整数分周回路11から入力された周波数100kHzの発振波に対する、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波の位相差を検出し、当該位相差に応じた信号を出力する。入力側低域周波数濾波回路14は、入力側位相比較回路13の出力する信号を平滑化した電圧を出力する。入力側VCXO15は、入力側低域周波数濾波回路14の出力する電圧の大きさに応じて、発振する周波数9.9964MHzの位相を調整する。第2のループ85は、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波の位相差に応じて、第1のループ84に入力する基準周波数9.9964MHzの微調整を行う。
【0027】
出力側整数分周回路16は、入力側VCXO15から入力された周波数9.9964MHzの発振波を、1/1に整数分周する。これによって、出力側位相比較回路18の周波数9.9964MHzに合わせる。出力側帰還路小数点分周回路17は、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波を、1/(I+F/M)=1/(123+5/10)に小数点分周する。これによって、出力側位相比較回路18の周波数9.9964MHzに合わせる。
【0028】
出力側位相比較回路18は、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波の位相差に応じた信号を出力する。出力側低域周波数濾波回路19は、出力側位相比較回路18の出力する信号を平滑化した電圧を出力する。出力側VCO20は、出力側低域周波数濾波回路19の出力する電圧の大きさに応じて、発振する周波数1234.56MHzの位相を調整する。これによって、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波の位相差に応じて、出力端子21から出力する発振波の周波数を周波数1234.56MHzに微調整することができる。
【0029】
出力側帰還路小数点分周回路17の分母Mを10とすることで、スプリアスをループフィルタで抑圧することができる。スプリアス発生の離調周波数をおよそ1MHzとできるため、十分な抑圧効果が得られることになる。分母を小さくしたことにより周波数設定の分解能が粗くなるため、所望の周波数が得られなくなる。例えば、ずれ、または周波数設定間隔が大きくなる。第2のループ85が基準周波数を制御し(ここでは9.9964MHz)、目的の周波数(この場合1234.56MHz)が得られるようになる。Iを12345、Fを6、Mを10とし、12345.6分周することで所望の周波数が得られる。
【0030】
(実施形態2)
図2は、本実施形態に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。本実施形態に係るシンセサイザは、第1のループ84と第2のループ86とを備える点で実施形態1と共通する。しかし、本実施形態に係るシンセサイザは、第1のループ84と第2のループ86とがタンデム型の帰還ループを形成している点で実施形態1と相違する。
【0031】
具体的には、本実施形態に係るシンセサイザは、入力端子10と、入力側整数分周回路11と、入力側帰還路小数点分周回路12と、入力側位相比較回路13と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO15と、出力側整数分周回路16と、出力側帰還路小数点分周回路17と、出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、出力端子21と、を備える。そして、入力側帰還路小数点分周回路12に発振波を入力する帰還路が入力側VCXO15からの帰還路であり、出力側帰還路小数点分周回路17に発振波を入力する帰還路が出力側VCOから20の帰還路である。
【0032】
出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、出力側帰還路小数点分周回路17とは、第1のループ84を形成する。入力側位相比較回路13と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO15と、入力側帰還路小数点分周回路12は、第2のループ86を形成する。
【0033】
入力側帰還路小数点分周回路12は、入力側VCXO15の出力する発振波をフィードバックするための帰還路からの発振波を小数点分周する。入力側帰還路小数点分周回路12は、入力側VCXO15の出力する周波数を、入力側位相比較回路13の基準周波数に合わせる。
【0034】
本実施形態に係るシンセサイザの具体的な動作の一例について説明する。入力端子10に入力される発振波の周波数が10MHzであり、本実施形態に係るシンセサイザの出力する所望の周波数を1234.56MHzとする。
【0035】
入力側整数分周回路11は、入力端子10から入力された10MHzの発振波を1/100に整数分周する。これによって、入力側位相比較回路13の周波数100kHzに合わせる。入力側帰還路小数点分周回路12は、入力側VCXO15の出力する周波数9.9964MHzの発振波を、1/(I+F/M)=1/(99+964/1000)に小数点分周する。これによって、入力側位相比較回路13の周波数100kHzに合わせる。
【0036】
入力側位相比較回路13は、入力側整数分周回路11から入力された周波数100kHzの発振波に対する、入力側VCXO15の出力する周波数9.9964MHzの発振波の位相差を検出し、当該位相差に応じた信号を出力する。入力側低域周波数濾波回路14は、入力側位相比較回路13の出力する信号を平滑化した電圧を出力する。入力側VCXO15は、入力側低域周波数濾波回路14の出力する電圧の大きさに応じて、発振する周波数9.9964MHzの位相を調整する。第2のループ86は、入力側VCXO15の出力する周波数9.9964MHzの発振波の位相差に応じて、第1のループ84に入力する基準周波数9.9964MHzの微調整を行う。出力側整数分周回路16以降の動作については、実施形態1と同様である。
【0037】
(実施形態3)
図3は、本実施形態に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。本実施形態に係るシンセサイザは、第1のループ84と第2のループ87とを備え、これらが2重の帰還ループを形成している点で実施形態1と共通する。しかし、本実施形態に係るシンセサイザは、実施形態1における入力側帰還路小数点分周回路12が入力側帰還路整数分周回路24であり、実施形態1における入力側位相比較回路13が入力側位相比較回路25である点で相違する。
【0038】
具体的には、本実施形態に係るシンセサイザは、入力端子10と、入力側整数分周回路11と、入力側帰還路整数分周回路24と、入力側位相比較回路25と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO15と、出力側整数分周回路16と、出力側帰還路小数点分周回路17と、出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、出力端子21と、を備える。
【0039】
出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、出力側帰還路小数点分周回路17とは、第1のループ84を形成する。入力側位相比較回路25と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO15と、出力側整数分周回路16と、出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、入力側帰還路整数分周回路24は、第2のループ87を形成する。
【0040】
入力側帰還路整数分周回路24は、出力端子21に接続されている帰還路からの発振波を整数分周する。帰還路は、出力端子21の出力する発振波をフィードバックするための帰還路である。帰還路は、出力側VCO20の後段に接続される。入力側帰還路整数分周回路24は、出力端子21の出力する周波数を、入力側位相比較回路25の基準周波数に合わせる。出力端子21から出力する発振波の所望の周波数や安定度、または設定する周波数間隔によって、帰還路からの発振波を整数分周する入力側帰還路整数分周回路24を用いることができる。
【0041】
入力側位相比較回路25は、入力側整数分周回路11の出力と入力側帰還路整数分周回路24の出力との位相を比較する。入力側位相比較回路25は、入力側帰還路整数分周回路24から入力された発振波を、入力側整数分周回路11から入力された基準周波数と比較し、入力側VCXO15から出力されている発振波の位相差を検出する。
【0042】
本実施形態に係るシンセサイザの具体的な動作の一例について説明する。入力端子10に入力される発振波の周波数が10MHzであり、本実施形態に係るシンセサイザの出力する所望の周波数を1234.56MHzとする。
【0043】
入力側整数分周回路11は、入力端子10から入力された10MHzの発振波を1/1000に整数分周する。これによって、入力側位相比較回路25の周波数10kHzに合わせる。入力側帰還路整数分周回路24は、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波を、1/N=1/123456に整数分周する。これによって、入力側位相比較回路13の周波数10kHzに合わせる。
【0044】
入力側位相比較回路25は、入力側整数分周回路11から入力された周波数10kHzの発振波に対する、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波の位相差を検出し、当該位相差に応じた信号を出力する。入力側低域周波数濾波回路14は、入力側位相比較回路25の出力する信号を平滑化した電圧を出力する。入力側VCXO15は、入力側低域周波数濾波回路14の出力する電圧の大きさに応じて、発振する周波数9.9964MHzの位相を調整する。これによって、第2のループ87は、出力端子21の出力する1234.56MHzの発振波の位相差に応じて、第1のループ84に入力する基準周波数9.9964MHzの微調整を行う。出力側整数分周回路16以降の動作については、実施形態1と同様である。
【0045】
(実施形態4)
図4は、本実施形態に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。本実施形態に係るシンセサイザは、第1のループ84と第2のループ88とを備える点で実施形態3と共通する。しかし、本実施形態に係るシンセサイザは、第1のループ84と第2のループ88とがタンデム型の帰還ループを形成している点で実施形態3と相違する。
【0046】
具体的には、本実施形態に係るシンセサイザは、入力端子10と、入力側整数分周回路11と、入力側帰還路整数分周回路24と、入力側位相比較回路25と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO15と、出力側整数分周回路16と、出力側帰還路小数点分周回路17と、出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、出力端子21と、を備える。そして、入力側帰還路整数分周回路24に発振波を入力する帰還路が入力側VCXO15からの帰還路であり、出力側帰還路整数分周回路17に発振波を入力する帰還路が出力側VCO20からの帰還路である。
【0047】
出力側位相比較回路18と、出力側低域周波数濾波回路19と、出力側VCO20と、出力側帰還路小数点分周回路17とは、第1のループ84を形成する。入力側位相比較回路25と、入力側低域周波数濾波回路14と、入力側VCXO15と、入力側帰還路整数分周回路24は、第2のループ88を形成する。
【0048】
入力側帰還路整数分周回路24は、入力側VCXO15の出力する発振波をフィードバックするための帰還路からの発振波を整数分周する。入力側帰還路整数分周回路24は、入力側VCXO15の出力する周波数を、入力側位相比較回路25の基準周波数に合わせる。
【0049】
本実施形態に係るシンセサイザの具体的な動作の一例について説明する。入力端子10に入力される発振波の周波数が10MHzであり、本実施形態に係るシンセサイザの出力する所望の周波数を1234.56MHzとする。
【0050】
入力側整数分周回路11は、入力端子10から入力された10MHzの発振波を1/100000に整数分周する。これによって、入力側位相比較回路25の周波数100Hzに合わせる。入力側帰還路整数分周回路24は、入力側VCXO15の出力する周波数9.9964MHzの発振波を、1/N=1/99964に整数分周する。これによって、入力側位相比較回路25の周波数100Hzに合わせる。
【0051】
入力側位相比較回路13は、入力側整数分周回路11から入力された周波数100kHzの発振波に対する、入力側VCXO15の出力する周波数9.9964MHzの発振波の位相差を検出し、当該位相差に応じた信号を出力する。入力側低域周波数濾波回路14は、入力側位相比較回路13の出力する信号を平滑化した電圧を出力する。入力側VCXO15は、入力側低域周波数濾波回路14の出力する電圧の大きさに応じて、発振する周波数9.9964MHzの位相を調整する。第2のループ88は、入力側VCXO15の出力する周波数9.9964MHzの発振波の位相差に応じて、第1のループ84に入力する基準周波数9.9964MHzの微調整を行う。出力側整数分周回路16以降の動作については、実施形態1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
無線通信用途に用いられる周波数変換用局部発振器として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。
【図2】実施形態2に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。
【図3】実施形態3に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。
【図4】実施形態4に係るシンセサイザの一例を示す概略構成図である。
【図5】従来の整数分周PLLシンセサイザを示す概略構成図である。
【図6】一般的に用いられているフラクショナル・シンセサイザ(小数点分周方式PLL)である。
【図7】従来の整数分周PLLシンセサイザからの出力信号の一例である。
【符号の説明】
【0054】
9 TCXO
10 入力端子
11 入力側整数分周回路
12 入力側帰還路小数点分周回路
13 入力側位相比較回路
14 入力側低域周波数濾波回路
15 入力側VCXO
16 出力側整数分周回路
17 出力側帰還路小数点分周回路
18 出力側位相比較回路
19 出力側低域周波数濾波回路
20 出力側VCO
21 出力端子
24 入力側帰還路整数分周回路
25 入力側位相比較回路
84 第1のループ
85、86、87、88 第2のループ
111 分周回路
114 平滑回路
120 VCO
126 分周回路
127 位相比較回路
128 分周器
129 位相比較回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振波の入力される入力端子と、
発振波を外部へ出力する出力端子と、
前記入力端子からの発振波を整数分周する入力側整数分周回路と、
前記出力端子に接続されている帰還路からの発振波を小数点分周する入力側帰還路小数点分周回路と、
前記入力側整数分周回路の出力と前記入力側帰還路小数点分周回路の出力との位相を比較する入力側位相比較回路と、
前記入力側位相比較回路の出力を平滑化する入力側低域周波数濾波回路と、
前記入力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を出力する入力側VCOと、
前記入力側VCOからの発振波を整数分周する出力側整数分周回路と、
前記出力端子に接続されている帰還路からの発振波を小数点分周する出力側帰還路小数点分周回路と、
前記出力側整数分周回路の出力と前記出力側帰還路小数点分周回路の出力との位相を比較する出力側位相比較回路と、
前記出力側位相比較回路の出力を平滑化する出力側低域周波数濾波回路と、
前記出力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を前記出力端子へ出力する出力側VCOと、
を備えることを特徴とするシンセサイザ。
【請求項2】
入力端子からの発振波を整数分周する入力側整数分周回路と、
帰還路からの発振波を小数点分周する入力側帰還路小数点分周回路と、
前記入力側整数分周回路の出力と前記入力側帰還路小数点分周回路の出力との位相を比較する入力側位相比較回路と、
前記入力側位相比較回路の出力を平滑化する入力側低域周波数濾波回路と、
前記入力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を出力する入力側VCOと、
前記入力側VCOからの発振波を整数分周する出力側整数分周回路と、
帰還路からの発振波を小数点分周する出力側帰還路小数点分周回路と、
前記出力側整数分周回路の出力と前記出力側帰還路小数点分周回路の出力との位相を比較する出力側位相比較回路と、
前記出力側位相比較回路の出力を平滑化する出力側低域周波数濾波回路と、
前記出力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を出力する出力側VCOと、を備え、
前記入力側帰還路小数点分周回路に発振波を入力する前記帰還路が前記入力側VCOからの帰還路であり、
前記出力側帰還路小数点分周回路に発振波を入力する前記帰還路が前記出力側VCOからの帰還路であることを特徴とするシンセサイザ。
【請求項3】
発振波の入力される入力端子と、
発振波を外部へ出力する出力端子と、
前記入力端子からの発振波を整数分周する入力側整数分周回路と、
前記出力端子に接続されている帰還路からの発振波を整数分周する入力側帰還路整数分周回路と、
前記入力側整数分周回路の出力と前記入力側帰還路整数分周回路の出力との位相を比較する入力側位相比較回路と、
前記入力側位相比較回路の出力を平滑化する入力側低域周波数濾波回路と、
前記入力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を出力する入力側VCOと、
前記入力側VCOからの発振波を整数分周する出力側整数分周回路と、
前記出力端子に接続されている帰還路からの発振波を小数点分周する出力側帰還路小数点分周回路と、
前記出力側整数分周回路の出力と前記出力側帰還路小数点分周回路の出力との位相を比較する出力側位相比較回路と、
前記出力側位相比較回路の出力を平滑化する出力側低域周波数濾波回路と、
前記出力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を前記出力端子へ出力する出力側VCOと、
を備えることを特徴とするシンセサイザ。
【請求項4】
入力端子からの発振波を整数分周する入力側整数分周回路と、
帰還路からの発振波を整数分周する入力側帰還路整数分周回路と、
前記入力側整数分周回路の出力と前記入力側帰還路整数分周回路の出力との位相を比較する入力側位相比較回路と、
前記入力側位相比較回路の出力を平滑化する入力側低域周波数濾波回路と、
前記入力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を出力する入力側VCOと、
前記入力側VCOからの発振波を整数分周する出力側整数分周回路と、
帰還路からの発振波を小数点分周する出力側帰還路小数点分周回路と、
前記出力側整数分周回路の出力と前記出力側帰還路小数点分周回路の出力との位相を比較する出力側位相比較回路と、
前記出力側位相比較回路の出力を平滑化する出力側低域周波数濾波回路と、
前記出力側低域周波数濾波回路の出力により発振周波数を決定して発振波を出力する出力側VCOと、を備え、
前記入力側帰還路整数分周回路に発振波を入力する前記帰還路が前記入力側VCOからの帰還路であり、
前記出力側帰還路小数点分周回路に発振波を入力する前記帰還路が前記出力側VCOからの帰還路であることを特徴とするシンセサイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−16973(P2009−16973A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173626(P2007−173626)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】