説明

シート処理装置及び画像形成装置

【課題】本発明の目的は、折り端部処理を行うシート束の端部が、次シート束を積載する領域内に残ってしまう場合であっても、装置を大型化することなく生産性を向上させることである。
【解決手段】後続折り束の搬送方向の長さが、折り端部の処理のために一旦停止した際に搬送方向上流端が収納部803の領域内に残る長さである場合には、折り束トレイ840に既に積載されている先行折り束をコンベアベルト844,845により搬送方向上流の第2積載位置へ戻し終わる前に、折搬送ローラ対811,812により折り端部の処理が完了した後続折り束をその搬送方向上流端が前記収納部803の領域外に抜けるまで搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のシートからなるシート束を2つ折り等の処理を行って排出し積載するシート処理装置、及びこのシート処理装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ等のシートに画像を形成する画像形成装置において、画像形成されたシートを束状にし、略中央付近を綴じ処理、折り処理等を行い冊子状に中綴じ製本するシート処理装置を備えたものがある。図21〜図23に示すようなシート処理装置では、画像形成されたシートを収納部803に収納して束にし、そのシート束の略中央付近を綴じ処理する。更にそのシート束の略中央付近を突き出し部材830で突いて折りローラ対810のニップ部に押し込み、その折りローラ対810で搬送させながら2つ折り処理を行う。そして、その2つ折り処理されたシート束(以下、折り束という)の折り端部を更に強化する事を目的とした折り端部処理を行い、その後、折り束トレイ840に排出し積載する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−184311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来装置における2部目以降の折り処理の際のフローチャートを図20に示す。中綴じ製本モードを選択されると、シートが収納部803に収納され、整合・ステイプル処理(S101)が行われる。その後、ステイプル処理されたシート束は、ステイプル処理された略中央付近が突き出し部材830で突かれて折りローラ対810のニップ部に押し込まれ、その折りローラ対810で搬送されながら2つ折り処理される(S102)。折り処理がなされた折り束は、その折り端部がプレスユニット860により折り端部処理がなされる位置で停止される(S103)。
【0005】
そして、折り端部処理が行われる(S104)が、この折り端部処理をしている間は、既に折り束トレイ840に排出積載されている折り束P1はプレスユニット860の移動領域外に位置されている(図21)。そして、前記移動領域外に位置されていた折り束P1は、後続の折り束P2の折り端部処理終了後にコンベアベルト844,845を逆転させて第2折搬送ローラ対812の近傍の束受け取り位置まで戻される(S105、図22)。
【0006】
なお、この折り束の戻し量Lは、次折り束P2の排出時に次折り束P2の先端(搬送方向下流端)が既に積載されている先行折り束P1の後端(搬送方向上流端)よりも搬送方向下流に位置するよう、使用するシート種類に合わせて決定される。
【0007】
その後、折り束P2を折り束トレイ840へ排出し(S106)、コンベアベルト844,845を正転させて折り束を瓦積み状に積載することでシート詰まりやシート折れを防いでいる(S107)。
【0008】
このとき、折り端部処理を行う折り束P2の搬送方向の長さが束搬送ガイド813,814に収まる長さの場合は、折り束の後端が収納部803の領域外になる。そのため、折り束の折り端部処理中に次シート束のシートを収納部803に搬送することができる。
【0009】
しかしながら、折り端部処理を行う折り束P2の搬送方向の長さが束搬送ガイド813,814に収まらない長さの場合、折り束の後端が収納部803の領域内に残る状態(図23)になる。この場合、この後続折り束P2は、折り端部処理終了後、既に折り束トレイ840に排出積載されている先行折り束P1の後端が第2折搬送ローラ対812近傍に戻し終わるまで排出することができない。そのため、次シート束のシートの収納部への搬送開始が遅れてしまい、従来の制御方法では生産性が落ちてしまうという問題がある。
【0010】
また、折り端部処理を行う折り束P2が収まるように、束搬送ガイド813,814の搬送路長を搬送方向長さに合わせて大きくすると、生産性の低下は防げるものの、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、折り端部処理を行う折り束の端部が、次シート束を積載する領域内に残ってしまう場合であっても、装置を大型化することなく生産性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、送られてきたシートを積載するシート積載手段と、前記シート積載手段に積載された複数枚のシートからなるシート束を2つ折り処理する折り手段と、前記折り手段により2つ折りされた折り束を搬送する折り束搬送手段と、折り束の折り端部に当接して搬送方向と直交する方向へ移動することで前記折り端部を処理する折り端部処理手段と、前記折り束搬送手段により排出される折り束を積載する折り束積載手段と、前記折り束積載手段に設けられ、前記折り束積載手段に積載された先行折り束をその搬送方向上流端が前記折り端部処理手段に干渉しない第1積載位置に移動させた後、前記折り束積載手段に積載された先行折り束の搬送方向上流端が前記折り束搬送手段により排出される後続折り束の搬送方向下流端より搬送方向上流に位置するように先行折り束を前記第1積載位置より前記折り束搬送手段に近づけた第2積載位置に移動させる折り束移送手段と、前記後続折り束の搬送方向の長さに応じて、前記折り束搬送手段、前記折り端部処理手段、及び前記折り束移送手段の動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記後続折り束の搬送方向の長さが、前記折り端部の処理のために一旦停止した際に搬送方向上流端が前記シート積載手段の領域内に残る長さである場合には、前記折り束移送手段による先行折り束の前記第2積載位置への移動が終わる前に、前記折り束搬送手段により前記折り端部の処理が完了した後続折り束をその搬送方向上流端が前記シート積載手段の領域外に抜けるまで搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、折り端部の処理中に折り束の後端がシート積載手段の領域内に残る場合、折り束積載手段に積載されている折り束を搬送方向上流へと戻し終わる前に、折り端部の処理が完了した折り束をその後端がシート積載手段の領域外に抜けるまで搬送する。これにより、従来の装置よりも早いタイミングで次に折られるシート束のシートをシート積載手段に搬送することが可能となり、結果として装置構成を変更したり、装置を大型化することなく、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の断面図
【図2】本発明に係るシート処理装置の断面図
【図3】プレスユニットの斜視図
【図4】プレスユニットの正面図
【図5】制御部のブロック図
【図6】中綴じ製本部の動作を示す断面図
【図7】中綴じ製本部の動作を示す断面図
【図8】中綴じ製本部の動作を示す断面図
【図9】中綴じ製本部の動作を示す断面図
【図10】折り端部処理動作の説明図
【図11】折り端部処理動作の説明図
【図12】束排出動作の説明図
【図13】束排出動作の説明図
【図14】束排出動作の説明図
【図15】束排出動作の説明図
【図16】束排出動作の説明図
【図17】束排出動作を示すフローチャート
【図18】束排出動作の説明図
【図19】束排出動作の説明図
【図20】従来装置の束排出動作を示すフローチャート
【図21】従来装置の断面図
【図22】従来装置の断面図
【図23】従来装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
(画像形成装置)
図1は画像形成装置及びシート処理装置の構成図である。図1に示すように、画像形成装置1000は、白黒/カラー画像形成を行う画像形成装置本体600と、これに接続したシート処理装置としての中綴じ製本装置(以下、フィニッシャという)500を有している。このため、画像形成装置本体600から排出されるシートは、オンラインに接続されたフィニッシャ500で処理することができる。
【0017】
なお、画像形成装置本体600は、フィニッシャ500を排出口に接続しないで、単独でも使用できるようになっている。また、画像形成装置本体600は、フィニッシャ500をシート排出装置として一体に組み込んでもよい。
【0018】
ここで、ユーザーが画像形成装置本体600に対して各種入力/設定を行うため操作部601に臨む位置を画像形成装置の正面手前側(以下、手前側)といい、装置背面側を奥側という。図1は、装置手前側から見た画像形成装置の構成を示したものである。フィニッシャ500は画像形成装置本体600の側部に接続される。
【0019】
画像形成装置本体600は、原稿給送部100、イメージリーダ部200及びプリンタ部300を有する。原稿給送部100は、イメージリーダ部200の画像読取位置に向けて原稿を一枚ずつ順次給送するものである。イメージリーダ部200は、原稿の画像を読み取るものである。プリンタ部300は、感光ドラム、現像装置、転写部からなる画像形成部を備え、イメージリーダ部200で読み取った原稿の画像情報、又は送られてきた画像情報に基づいて感光ドラム上に形成された静電潜像を現像装置によりトナー現像する。そして、タイミングを合わせて転写部に供給されたシートにトナー画像を転写し、転写されたトナー画像を定着装置において熱、圧力によりシート上に定着して画像形成するものである。
【0020】
画像形成装置本体600内のカセット909a,909bから供給されたシートPは、それぞれ画像形成部を構成するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光ドラム914a〜914d等によって、4色のトナー像を転写される。そして、前記シートPは、定着器904に搬送されてトナー画像を定着され、片面の画像形成モードであれば、そのまま、排出ローラ対907から装置本体外に排出される。両面の画像形成モードであれば、シートPは定着器904から反転ローラ905に受け渡され、シートの搬送方向の後端が反転切替部を超えると反転ローラ905を反回転させ、搬送方向と逆の両面搬送ローラ906a〜906fの方向へ搬送する。そして、前記シートPは、再度、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光ドラム914a〜914d等によって、4色のトナー像を転写される。両面に転写されたシートPは再度定着器904に搬送されてトナー画像を定着し、排出ローラ対907から装置本体外に排出される。
【0021】
(フィニッシャ500)
フィニッシャ500は、画像形成装置本体600から搬送されてきた複数枚のシートを整合して、シートの処理を行うようになっている。
【0022】
図2に示すように、フィニッシャ500は、搬送されてきたシートを装置内部に取り込むための搬送パス520を有している。
【0023】
搬送パス520の終端に設けられた切替部材513は、下流に繋がれた上排出パス521と下排出パス522とに経路を切り替えるようになっている。上排出パス521は、サンプルトレイ701へシートを案内するようになっている。一方、下排出パス522の途中には切替部材514が設けられている。切替部材514は、シートを処理トレイ550又はサドル排出パス523に案内する。切替部材514によりサドル排出パス523に案内されたシートは、中綴じ製本部800へ送られる。
【0024】
処理トレイ550に排出されたシートは、順次整合処理されながら束状に積載されて、操作部601(図1)からの設定に応じて、仕分け処理やステイプラ560による針綴じ処理が行われる。処理されたシート束は、束排出ローラ対551によりスタックトレイ700とサンプルトレイ701とに選択的に排出される。
【0025】
スタックトレイ700とサンプルトレイ701は、フィニッシャ500の装置本体に沿って昇降するようになっている。上側のサンプルトレイ701は、上排出パス521と処理トレイ550からのシートを受け取るようになっている。また、下側のスタックトレイ700は、処理トレイ550からのシートを受け取るようになっている。このように、スタックトレイ700とサンプルトレイ701とには大量のシートが積載されるようになっている。積載されたシートは、その後端を上下方向に延びる後端ガイド710に受け止められて整列されるようになっている。
【0026】
(中綴じ製本部)
次に、シート処理装置としての中綴じ製本部800の構成を説明する。
【0027】
中綴じ製本部800に送られたシートは、サドル入口ローラ対801に受け渡され、サイズに応じてソレノイドにより動作する切替部材802により搬入口を選択されて、シート積載手段としての収納部803内に搬入される。収納部803は、シートの搬送方向下流側が上流側より低く傾斜している。搬入されたシートは、滑りローラ804により搬送が継続され、下流に併設された第1送りローラ806、第2送りローラ807に受け渡される。滑りローラ804は滑り性を有するローラであり、第1送りローラ806及び第2送りローラ807も滑りローラ804と同様に滑り性を有している。第1送りローラ806及び第2送りローラ807は、シートを収納部803のシート積載面に押さえる当接位置(図2の実線位置)と、前記シートの押さえを解除する退避位置(図2の破線位置)に移動可能なシート束押さえ手段である。
【0028】
サドル入口ローラ対801と滑りローラ804は入口ローラモータM1により駆動される。そして第1送りローラ806及び第2送りローラ807は送りローラモータM6により駆動される。
【0029】
収納部803に搬送されてきたシートは、シートサイズ(シートの搬送方向の長さ)に応じて、予め所定の位置に移動されている端部ストッパ805に端部(搬送方向下流端)が当接するまで搬送される。端部ストッパ805は、収納部803のシート搬送方向下流側が上流側よりも低く傾斜したシート積載面に沿ってシート搬送方向に移動可能であり、端部ストッパ移動モータM2の駆動を受けてシートの搬送方向に移動することができる。また、端部ストッパ805は、収納部803から突出した規制面805aを持ち、この規制面805aで収納部803に搬送されてきたシートの搬送方向下流側の端部を受け止めて保持する。
【0030】
端部ストッパ805は、第1送りローラ806又は第2送りローラ807のそれぞれの下流側で、所定範囲の間隔をもった第1受け取り位置又は第2受け取り位置でシートを受け取る。第1受け取り位置は、図2に示す実線位置であり、第1送りローラ806よりシートが座屈しないよう予め設定された間隔だけ下流側の受け取り位置である。第2受け取り位置は、図2に示す破線位置であり、第2送りローラ807より前記間隔と同じ間隔だけ下流側の受け取り位置である。ここでいう所定範囲とは、シートが前記規制面805aに突き当たった後、更に送りローラの搬送力を受けても座屈しない範囲である。
【0031】
シートの座屈(撓み)のし易さはシートの搬送方向の長さに比例することから、端部ストッパ805による受け取り位置は、前述の所定範囲の中で短い方が好ましい。シートの剛性(坪量)や送りローラの搬送力によって異なるが、ここでは前記所定範囲を15〜30mmに設定している。なお、この値は実験などで定められるものであり、前述の値に限定されるものではない。先に収納されたシートが座屈してしまうと、次に収納されるシートの搬入路を塞いでしまい、紙詰まりの原因となるので、紙詰まりが発生しない範囲で、前記所定範囲が設定される。
【0032】
収納部803の途中位置には、収納部803を挟んで対向配置されたステイプラ820が設けられている。ステイプラ820は、収納部803に収納された複数枚のシートからなる束の搬送方向中央部を綴じる綴じ手段である。ステイプラ820は、針を突き出すドライバー820aと、突き出された針を折り曲げるアンビル820bとに分割されていて、シートの収納が完了すると、そのシートからなる束の搬送方向中央部を針綴じする。
【0033】
したがって、端部ストッパ805で受けるシート端部の受け取り位置は、針綴じ位置(あるいは折り位置)までの移動が短い方が処理時間を短縮でき、又は束搬送の安定の観点で好ましい。ここでは、前記シート端部からシート上の処理されるべき位置までの長さは、搬送されるシートの搬送方向の長さLの半分の長さL/2である。そこで後述する制御部では、搬送されるシートの搬送方向の長さLの半分の長さL/2が、針綴じ位置から第1受け取り位置の規制面までの第1間隔(長さ)L1、針綴じ位置から第2受け取り位置の規制面までの第2間隔(長さ)L2のどちらに近いかを判断する。そして、針綴じ位置までの長さがシートの長さL/2に近い方の端部ストッパ805の受け取り位置が選択される。
【0034】
ステイプラ820の下流側には、収納部803を介して、折りローラ対810a,810bと突き出し部材830が対向するように設けられている。この折りローラ対810a,810bと突き出し部材830は、収納部803に積載収納された複数枚のシートからなるシート束を搬送方向中央部で2つ折り処理する折り手段である。
【0035】
突き出し部材830は、収納部803から退避した位置をホームポジションとし、突きモータM3の駆動により収納部803に収納されたシート束の搬送方向中央部に向けて突出する。これにより、前記シート束を折りローラ対810a,810bのニップに押し込みながら、前記中央部で2つ折りに折り畳むものである。シート束を突き出した後、突き出し部材830は、再びホームポジションに戻る。
【0036】
なお、折りローラ対810間には、シート束に折り目を付けるのに充分な圧F1がバネ(不図示)により付与されている。折り目が付けられたシート束(折り束)は、第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bを介して、折り束積載手段としての折り束トレイ840に排出される。折り束搬送手段を構成する第1折搬送ローラ対811及び第2折搬送ローラ対812にも、折り目が付けられたシート束(折り束)を搬送、停止させるのに充分な圧F2,F3がそれぞれ付与されている。なお、折りローラ対810、第1折搬送ローラ対811、第2折搬送ローラ対812は、同一の折搬送モータM4により等速回転する。
【0037】
また、綴じ処理を行わずにシート束を折り畳む場合は、収納部803に収納されたシート束の搬送方向中央部が折りローラ対810a,810bのニップ位置となるように、シート束を移動させる。一方、ステイプラ820で綴じられたシート束を折り畳む場合は、ステイプル処理終了後に、シート束のステイプル位置(搬送方向中央部)が折りローラ対810のニップ位置となるように、ステイプル位置にあるシート束を移動させる。これによりステイプル処理を施した位置を中心にしてシート束を折り畳むことが出来る。
【0038】
シート収納位置(各受け取り位置)からステイプル位置まで、またステイプル位置から折り位置までのシート束の移動は、モータM2により端部ストッパ805が下降又は上昇することでなされる。
【0039】
また、折りローラ対810a,810bの位置には、折りローラ対810a,810bの外周面を周りながら収納部803に突出した面を持つ整合板対815が設けられている。整合板対815は、整合板移動モータM5の駆動を受けて、シートの搬送方向と直交する幅方向に移動することで、収納部803に収納されたシートの幅方向の整合(位置決め)を行う。
【0040】
(プレスユニット)
次に、プレスユニット860について図3及び図4を参照して説明する。図3はプレスユニットの斜視図であり、図4はプレスユニットの内部説明図である。
【0041】
プレスユニット860は、2つ折りされたシート束(折り束)の折り端部に当接して搬送方向と直交する方向へ移動することで前記折り端部を処理する折り端部処理手段である。
【0042】
プレスユニット860は、図3に示すように、主要部を組み込んだベース板金863と2本のスライドシャフト864,865を有し、前後側板に固定されている。2本のスライドシャフト864,865は、折り束の排出方向と直交するシート幅方向に延びて並設されていて、それぞれプレスホルダ862に固定されたスライド軸受874,875に貫通してプレスホルダ862を支持している。
【0043】
前記プレスホルダ862にはプレスローラ対861が回動可能に取り付けられ、このプレスローラ対861に対するシートガイド871が取り付けられている。
【0044】
また、図4に示すように、プレスアーム873a,873bはフレーム839に固定された揺動軸874a,874bに、軸受を介して揺動可能に支持されている。プレスアーム873a,873bの一端部とフレーム839には、引張バネ875a,875bが掛けられていて、プレスローラ対861a,861bは互いに近づく方向の圧を有してニップしている。但し、プレスローラ対861に折り束が挿入されると、プレスアーム873a,873bは揺動軸874a,874bを支点に回転し、ローラ間が離間される。
【0045】
更に、図3に示すギア883は前記スライドシャフト864,865と平行に伸びてベース板金863に固定されたラックギア851と噛合っている。そして、モータM6が回転すると、タイミングベルト868の移動に伴い、プレスホルダ862はスライドシャフト864,865に支持されながら移動する。この移動時には、プレスホルダ862のギア883はラックギア851と噛合いながら回転する。このため、前記ギア883と図示しないギア列で連結したプレスローラ対861a,861bにも駆動が伝達される。なお、プレスホルダ862の移動速度と、2つのプレスローラ対861a,861bの周速度は等速になるように、前記各ギア列は設定されている。
【0046】
折りローラ対810a,810bで折られた折り束は、プレスローラ対861にて折り端部の折り目を強化する折り端部処理される際には、処理されるサイズに関わらず、折り束は、2つ以上のローラ対で保持される。このように保持することにより、折り端部処理される折り束がプレスローラ対861の移動によってずれてしまうことはない。なお、折り端部処理する際の折り束の先端停止位置(プレス先端位置)は、サイズに関わらずプレスローラ対861との相対関係が一定になるように、図2に示す搬送ガイド814に設けられた束排出センサ884を利用して制御されている。
【0047】
一方、折り端部処理する際の折り束後端位置(プレス後端位置)は、後端が収納部803等で規制され、後端が開いてしまわないように、各部の配置が決定されている。プレス後端位置は前記収納部803の領域外となる搬送方向長さの場合、プレスローラ対861で折り端部強化処理されている間も、後続シート束を形成するシートの収納部803への収納、整合動作を可能にしている。これは装置の生産性向上に寄与するものである。
【0048】
また、図2に示す折り束搬送ガイド813,814は、プレスホルダ862を含めて、収納部803と後端ガイド710の間に収まるように配置されている。これは、折り束トレイ840とプレスユニット860の空間的重ね配置とともに、装置搬送方向の大きさを小さくする効果がある。
【0049】
(折り束トレイ)
次にシート束を折り処理した折り束を積載し、搬送する折り束積載手段である折り束トレイ840の構成について、図2を用いて説明する。
【0050】
図2に示すように、折り束トレイ840は、折り束の排出方向に連続して第1積載面841、第2積載面842、第3積載面843が順に設けられていて、第2折搬送ローラ対812から排出される折り束を積載する。
【0051】
第1積載面841は、プレスユニット860の下方にあって、プレスユニット860と鉛直方向の空間が一部重なっており、搬送方向の下流側が下方に傾斜している。この傾斜角は、前述した第2折搬送ローラ対812による折り束の排出角度と略等しくなるように構成され、傾斜の頂点は、プレスユニット860の動作に干渉しない高さまで極力上げられている。
【0052】
第1積載面841及び第2積載面842には、排出された折り束を折り束排出方向下流側または上流側に移送するための折り束移送手段となるコンベアベルト844,845が設けられている。
【0053】
コンベアベルト844,845は、折り束トレイ840に設けられている。コンベアベルト844,845は、折り束トレイ840に積載した先行折り束をその後端(搬送方向上流端)が前記プレスユニット860に干渉しない第1積載位置に移動させる。または、コンベアベルト844,845は、前記積載した先行折り束を前記第1積載位置より前記プレスユニット860に近づけた第2積載位置に移動させる。この第2積載位置は、前記積載した先行折り束の後端(搬送方向上流端)が前記プレスユニット860により排出される後続折り束の先端(搬送方向下流端)より搬送方向上流に位置するように設定された位置である。
【0054】
コンベアベルト844,845の一方端は、屈曲部付近の駆動プーリ846に掛けられている。他方端は、第1コンベアベルト844はアイドラプーリ847に、第2コンベアベルト845はアイドラプーリ848に、積載面と平行になるように掛けられている。そして駆動プーリ846の軸に連結されたコンベアモータM7の駆動を受けて、それぞれのコンベアベルト844,845が同一の方向に正逆回転する。
【0055】
また、第1積載面841には、プレスユニット860の動作領域の直下に積載された折り束を検出可能な束検知センサ849が設けられており、検出信号に基づき排出された折り束の積載位置が制御される。
【0056】
(インサータ)
次に、インサータ900の構成について説明する。図2に示すように、インサータ900は、フィニッシャ500の上部に設けられている。インサータ900は、シートの先頭ページ、最終ページ、又は、途中ページに、通常のシートとは別のシート(インサートシート)を挿入するためのものである。すなわち、インサータ900は、画像形成装置本体600のプリンタ部300にて画像が形成されたシート間にインサートシートや表紙用のシートを挿入するためのものである。
【0057】
インサータ900は、ユーザーによりインサートトレイ901,902にセットされたシートを、プリンタ部300を通さずに、サンプルトレイ701,スタックトレイ700、折り束トレイ840のいずれかに給送するためのものである。インサートトレイ901,902上に積載されたシートは、1枚ずつ順次分離され、所望のタイミングで搬送パス520に合流する。
【0058】
(制御部)
ここで、図5を用いて画像形成装置1000の制御系について説明する。図5は、画像形成装置1000の制御系の構成を示すブロック図である。CPU回路部150はプリンタ部300に設けられ、CPU(不図示)、ROM151、RAM152を有している。そして、CPU回路部150は、ROM151に格納された制御プログラム及び操作部601の設定に従い、以下の各部を制御する。すなわち、CPU回路部150は、原稿給送制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、フィニッシャ制御部501、外部I/F(外部インターフェース)203を制御する。
【0059】
そして、原稿給送制御部101は原稿給送部100を、イメージリーダ制御部201はイメージリーダ部200を、プリンタ制御部301はプリンタ部300を制御する。さらに、フィニッシャ制御部501はフィニッシャ500に搭載され、フィニッシャ500、中綴じ製本部800、インサータ900を制御する。詳しくは、前述した中綴じ製本部800の各モータM1〜M7は、フィニッシャ制御部501によってその駆動が制御される。なお、フィニッシャ制御部501が行う中綴じ製本部800の動作制御については後述する。
【0060】
操作部601は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー、設定状態を表示するための表示部等を有する。操作部601は、ユーザーによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力すると共に、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
【0061】
RAM152は、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部I/F203は、画像形成装置1000と外部のコンピュータ204とのインターフェースであり、コンピュータ204からのプリントデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部202へ出力する。また、イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へは、イメージセンサ109で読み取った原稿の画像が出力される。プリンタ制御部301は、画像信号制御部202からの画像データを露光制御部110へ出力する。
【0062】
ここでは、後述する中綴じ製本部800の各部の動作を制御する制御手段としてのフィニッシャ制御部501をフィニッシャ500に搭載した構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、この制御手段をCPU回路部150と一体的にプリンタ部300に設け、プリンタ部300側からフィニッシャ500を制御するようにしてもよい。
【0063】
(製本排出動作)
次に上記構成に基づき、本実施形態における中綴じ製本排出について、シートの流れとともに各部の動作を図6〜図11を用いて説明する。図6〜図9は、中綴じ製本部の動作を示す断面図である。図10及び図11は、折り端部処理動作の説明図である。
【0064】
ユーザーにより、中綴じ製本モードが設定されると(図17のS201)、適宜面付けされて画像形成されたシートが順次、プリンタ部300の排出ローラ対907(図1参照)から排出される。
【0065】
図2に示すように、シートは、フィニッシャ500の入口ローラ対511に受け渡された後、搬送パス520を通過して、下排出パス522に進入する。その後のシートは、下排出パス522途中の切替部材514によりサドル排出パス523に導かれる。
【0066】
図6に示すように、シートのサイズに応じた切替部材802にガイドされながら収納部803に排出される。また、滑りローラ804、第1送りローラ806又は第2送りローラ807の搬送力も受けながら、予め搬送方向長さに適合した位置で停止している端部ストッパ805に突き当てられて、搬送方向の位置決めがされる。
【0067】
続いて、シート排出時には支障のない位置で待機していた整合板対815による挟み込み整合がなされて、シートの搬送方向と直交する幅方向の位置決めも行われる。以上のシート収容、整合動作が、シートが排出されるごとに行われる。
【0068】
1部のシート束としての最終シートの整合が終了すると、ステイプラ820がシート束の搬送方向中央部を針綴じする(図17のS202)。針綴じされたシート束Pは、図7に示すように、端部ストッパ805の移動に伴って、下方(矢印D方向)に移動する。端部ストッパ805は、シート束の中央部、すなわち針綴じ部が、折りローラ対810のニップに相当する位置で停止する。
【0069】
次に、待機位置にいた突き出し部材830が折りローラ対810のニップ部へ向けて動き出し(矢印E方向)、図8に示すように、シート束Pはその中央部が折りローラ対810を押し広げながら移動して、ローラ対のニップ部に挿入されて折り畳まれる。このとき、折りローラ対810は第1折搬送ローラ対811、第2折搬送ローラ対812とともに、モータM4の駆動を受けて矢印方向に回転しており、折り束Pは折り端部を先頭にして搬送ガイド813,814内を搬送していく(図17のS203)。
【0070】
そして、図9に示すように、折り束の折り端部がプレスローラ対861にニップさせる位置まで搬送されると、モータM4により停止する(図17のS204)。停止位置制御は、折り束P1の先端をセンサ884が検出することによりなされる。このとき上述したように、折り束P1は搬送方向中心を挟んで、先端部を第2折搬送ローラ対812で、後端側を第1折搬送ローラ対811、及び折り束P1のサイズ(搬送方向の長さ)によっては、折りローラ対810で確実に保持される。なお、前記突き出し部材830は、突き出しが終了すると、再び退避位置へ移動する。
【0071】
折り端部処理をする場合には、図10に示すように、折り束P1の搬送に先立ち、プレスホルダ862は、折り束P1のサイズ(幅方向)に応じた待機位置(奥側)にて待機している。そして、折り束P1を、折り端部を処理する所定の位置(折り端部処理位置)に一旦停止させる。折り束P1の停止が完了して、折り束P1の折り端部がシートガイド871(鎖線)に挿入されると、モータM6の駆動を受け、プレスローラ対861を回転しながら、手前側(矢印F方向)への移動を開始する。
【0072】
その後、プレスローラ対861は停止保持されている折り束P1の折り端部付近の側面に当接するが、プレスローラ対861自体が両側駆動で回転しているため、図11に示すように、スムーズに側面を駆け上って折り端部をニップすることができる。この効果は、折り束の厚みが増えても変わることはなく、プレスホルダ862の移動に同期して、応答遅れなしで折り束をプレスローラ対861にニップできるため、折り束P1に対してシワや破れ、ローラ跡等のダメージを与えない。
【0073】
プレスローラ対861が移動完了後、プレスユニット860はホームポジションに移動して、折り束P1の搬送方向の経路を開放する。このように、プレスローラ対861は、折り束の搬送方向と直交する方向へ移動することで、所定の位置に一旦停止した折り束の折り端部を処理する。
【0074】
なお、折り端部処理位置で停止させた先行の折り束のその後の処理動作と、これに続く後続のシート束の処理動作の順序は、先行の折り束の後端が収納部の領域内に残る搬送方向長さであるか否かによって異なる。以下、説明する。
【0075】
(折り束トレイに積載された折り束の移送動作)
次に折り束の後端(搬送方向上流端)が収納部803の領域内に残らない搬送方向長さにおいて、折り束が排出されるときに既に折り束トレイ840に排出積載されている折り束の動作制御について図12〜図17を用いて説明する。なお、図12〜図16は、束排出動作の説明図である。また、図17は、束排出動作を示すフローチャートである。
【0076】
ここで、折り束の後端が収納部の領域内に残らない搬送方向長さとは、折られる前のシート搬送方向長さで18inch以下の長さである。この搬送方向長さは、適宜設定されるものであって、これに限定されるものではない。
【0077】
図12に示すように、コンベアベルト844,845は、コンベアモータM7によって所定のタイミングで搬送方向の回転が開始され、折り束トレイ840に排出された折り束P1を移送する。そして図13に示すように折り束P1の後端を束検知センサ849が検出するとコンベアモータM7は停止する(第1積載位置)。上述したように束検知センサ849は、プレスユニット860の動作領域の直下に配設されているため、停止した折り束P1の後端もプレスユニット860の動作領域外である。すなわち、折り束トレイ840に積載した折り束P1はその後端(搬送方向上流端)がプレスユニット860の動作領域外となるプレスユニット860に干渉しない第1積載位置に移動される。
【0078】
こうしている間にも、次の折り束P2を構成するシートに対する排出、整合動作は継続されていて、次の折り束P2も同様にプレスユニット860による折り端部処理がなされる。このとき、前記第1積載位置にある折り束P1の後端(搬送方向上流端)は、プレスユニット860のプレスホルダ862の動作領域よりも排出方向下流側に位置している。このため、排出された折り束P1がプレスユニット860による折り端部処理の支障となることはない。
【0079】
そして、図14に示すように、2部目となる次の折り束P2の折り端部処理が行われ、プレスユニット860がホームポジションに移行して折り端部処理が終了する。この折り端部処理が終了(S207)した後、コンベアベルト844,845はコンベアモータM7の駆動を受けて、折り束の搬送方向と逆側に回転する。そして、第1積載位置にある折り束P1を、それよりも上流側であって第2折搬送ローラ対812に近づいた位置(第2積載位置)まで戻し(S212)、停止する。
【0080】
このときの戻し量は、第2積載位置にある折り束P1の後端(搬送方向上流端)が第2折搬送ローラ対812によって排出される次の折り束P2が自重によって垂れ下がって排出されるときの先端位置よりも折り束排出方向上流側に位置するように設定する。
【0081】
その後、折り束P2は図15に示すように第2折搬送ローラ対812によって排出され(S213)、その先端(搬送方向下流端)が第2積載位置に停止している折り束P1に着地する。折り束P2の排出途中でコンベアベルト844,845が搬送方向に正転駆動され(S214)、図16に示すように折り束P1とともに瓦積み状に積載された折り束P2の後端が束検知センサ849に検出される(S215)。すると、束検知センサ849が折り束P2の後端を検出するとコンベアモータM7は停止し、今度は折り束P2が第1積載位置で停止する(S216)。これにより、プレスユニット860は折り束トレイ840に積載した折り束に干渉することなく動作できる。以上の動作を折り束トレイ840上に所望の部数束が排出されるまで繰り返し(S217)、ジョブを終了する(S218)。
【0082】
なお、上記では、折り端部処理が済んだ折り束P2の折り束トレイ840への排出タイミングを、折り束P1が第2積載位置へ戻した後としているが、これに限定されるものではない。先行の折り束P1を第2積載位置に戻し終わる前に後続の折り束P2の排出動作を開始し、折り束P2の先端(搬送方向下流端)が着地する前に、折り束P1が第2積載位置へ戻し終わるように、折り束P1、折り束P2の搬送速度を設定しても良い。
【0083】
また、上記説明における折り束の搬送方向長さは、折り束の後端が収納部803の領域内に残らない搬送方向長さであり、すなわち折られる前のシート搬送方向長さが18inch以下(S205)である。そのため、先行の折り束を折り端部処理位置に停止させた後、この先行の折り束の折り端部処理とともに、これに続く後続のシート束のシートを収納部へ積載する動作も行われる(S206)。すなわち、先行の折り束の折り端部処理が完了する前に、後続のシート束の処理も併行して行うことができる。
【0084】
次に折り束の後端(搬送方向下流端)が収納部803の領域内に残る搬送方向長さである場合において、折り束が排出されるときに既に折り束トレイ840に排出積載されている折り束の動作制御について図18、図19を用いて説明する。図18、図19は、束排出動作の説明図である。
【0085】
このとき、シートが収納部803に積載され、ステイプラ820による針綴じ(S202)、突き出し部材830と折りローラ対810による折り処理・搬送(S203)、折り束を折り端部処理位置に停止(S204)させる。この動作は、上述の折り束の後端が収納部803の領域内に残らない搬送方向長さである場合と同様である。
【0086】
ここで、折り束の後端が収納部の領域内に残る搬送方向長さとは、折られる前のシート搬送方向の長さで18inchを超える搬送方向長さである。この搬送方向長さは、前述したように適宜設定されるものであって、これに限定されるものではない。
【0087】
そして、搬送方向長さが折られる前のシート搬送方向長さで18inchを超える場合(S205)は、先行の折り束の後端(搬送方向下流端)が収納部803の領域内に残った状態で折り端部処理手段による折り端部処理が行われる(S208、図18)。そして、先行の折り束の折り端部処理が完了(S209)した後、この先行の折り束の後端が収納部を抜けるまで折搬送ローラ対811,812により前記折り束を下流へと搬送し、停止させる(S210)。
【0088】
収納部803の領域内に残っていた折り束P2の後端(搬送方向下流端)が抜けると、次のシート束のシートを収納部803へ搬送させる(S211、図19)。すなわち、先行の折り束の折り端部処理が完了し、その後端が収納部を抜けた後に、後続のシート束の収納部への搬送が開始される。
【0089】
以降の折り束排出動作は、図17のフローチャートが示すように折り束の後端(搬送方向下流端)が収納部803の領域内に残らない搬送方向長さと同様である。
【0090】
また、上記説明では、折り端部処理が済んだ折り束P2を収納部803の領域内に折り束P2の後端が残らない位置で一度停止させ、折り束P1が第2積載位置へ戻した後に折り束トレイ840へ排出している。しかしながら、この動作に限定されるものではない。例えば、折り端部処理が済んだ折り束P2の排出を、折り束P1が第2積載位置に戻る前に開始し、折り束P2の先端が第2積載位置へ戻した折り束P1に着地するように、折り束P1、P2の搬送速度を設定しても良い。
【0091】
このように、折り端部処理後の折り束の排出の際、コンベアベルトを束受け取り位置へ戻す時間を利用して、折り束を後端が収納部の領域内から抜けるまでプレ排出することで、後続のシートを収納部へ搬入可能とする。これにより、折り端部処理を行う折り束の後端が、次シート束を積載する領域内に残ってしまう場合であっても、後続のシートの搬入の中断を短くして、装置を大型化することなく生産性を向上させることができる。
【0092】
また、コンベアベルトを束受け取り位置へ戻すのは、折り束を瓦積み積載させて折り束の後端が開くのを抑えるためである。折り端部処理中に既積載折り束を載せたままコンベアベルトを戻すと、プレスユニット860と既積載折り束が衝突するおそれがある。そのため、折り端部処理が完了した後にコンベアベルトを束受け取り位置に移動させるようにしている。なお、前述の如くプレ排出しても、先行の折り束の折り端部処理中は後続のシートの搬入を中断しなければならないが、画像形成を止めるだけでなく、後続のシートをバッファで待機させるようにしてもよい。
【0093】
上述の実施形態において、シートサイズ(搬送方向長さ)情報はユーザーが操作部601により入力した情報をもとに得られている。また、上述の実施形態では、収納部803の領域内の残る搬送方向長さを折られる前で18inch超えと設定している。しかしながら、束搬送ガイド813,814の搬送路長に応じて決定されるものであり、装置の構成に応じて収納部803の領域内の残る搬送方向長さは適宜設定されることはいうまでもない。つまり、装置の小型化を優先する場合、束搬送ガイド813,814の搬送路長を短くすることが挙げられるが、その時は収納部803の領域内の残る搬送方向長さ設定はその搬送路長に応じてより短い長さとなる。
【0094】
上述の実施形態では、中綴じ製本の折り動作について説明したが、未綴じ折りについても同様な束排出動作を行う。
【0095】
上述のように、束搬送ガイド813,814の搬送路長よりも折り束時の搬送方向長さが大きく、折り端部処理時に収納部803の領域内に折り束後端が残る場合は、折り端部処理後の折り束の排出タイミングを早める。このようにすることで、収納部803を従来装置よりも早いタイミングで空けることができる。そのため、折り束トレイ840上の既積載折り束の戻し動作中においても、次の束のシートを収納部803へ搬送することができるので、結果として装置構成を変更することなく生産性を向上させることができる。つまり、搬送方向長さに合わせて束搬送ガイド813,814の搬送路長を長くすることなく、生産性を向上させることが可能であるため、装置の小型化を図る事ができる。
【0096】
また、上述した形態では、画像形成装置本体に対して適宜取り付けることが可能なシート処理装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像形成装置が一体的に有するシート処理装置であっても良く、該シート処理装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0097】
また、上述した形態では、画像形成装置として複写機を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばスキャナ、プリンタ、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられるシート処理装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0098】
M1 …入口ローラモータ
M2 …端部ストッパ移動モータ
M3 …突きモータ
M4 …折搬送モータ
M6 …送りローラモータ
M7 …コンベアモータ
P …シート、シート束
150 …CPU回路部
200 …イメージリーダ部
300 …プリンタ部
500 …フィニッシャ
501 …フィニッシャ制御部
600 …画像形成装置本体
601 …操作部
700,701 …スタックトレイ
800 …中綴じ製本部
803 …収納部
805 …端部ストッパ
810,810a,810b …折りローラ対
811,811a,811b …第1折搬送ローラ対
812,812a,812b …第2折搬送ローラ対
813,814 …搬送ガイド
815 …整合板対
820 …ステイプラ
830 …突き出し部材
840 …折り束トレイ
844,845 …コンベアベルト
849 …束検知センサ
860 …プレスユニット
861 …プレスローラ対
914 …感光ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送られてきたシートを積載するシート積載手段と、
前記シート積載手段に積載された複数枚のシートからなるシート束を2つ折り処理する折り手段と、
前記折り手段により2つ折りされた折り束を搬送する折り束搬送手段と、
折り束の折り端部に当接して搬送方向と直交する方向へ移動することで前記折り端部を処理する折り端部処理手段と、
前記折り束搬送手段により排出される折り束を積載する折り束積載手段と、
前記折り束積載手段に設けられ、前記折り束積載手段に積載された先行折り束をその搬送方向上流端が前記折り端部処理手段に干渉しない第1積載位置に移動させた後、前記折り束積載手段に積載された先行折り束の搬送方向上流端が前記折り束搬送手段により排出される後続折り束の搬送方向下流端より搬送方向上流に位置するように先行折り束を前記第1積載位置より前記折り束搬送手段に近づけた第2積載位置に移動させる折り束移送手段と、
前記後続折り束の搬送方向の長さに応じて、前記折り束搬送手段、前記折り端部処理手段、及び前記折り束移送手段の動作を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記後続折り束の搬送方向の長さが、前記折り端部の処理のために一旦停止した際に搬送方向上流端が前記シート積載手段の領域内に残る長さである場合には、前記折り束移送手段による先行折り束の前記第2積載位置への移動が終わる前に、前記折り束搬送手段により前記折り端部の処理が完了した後続折り束をその搬送方向上流端が前記シート積載手段の領域外に抜けるまで搬送することを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記折り束搬送手段により排出される後続折り束の搬送方向下流端が先行折り束に着地する前に、前記折り束移送手段による先行折り束の前記第2積載位置へ移動を終わらせることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
後続折り束の搬送方向の長さが、前記折り端部の処理のために一旦停止した際に搬送方向上流端が前記シート積載手段の領域内に残らない長さある場合には、前記折り束搬送手段により前記折り端部の処理が完了した後続折り束の搬送が開始される前に前記シート積載手段へ次のシート束のシートの積載を開始し、
後続折り束の搬送方向の長さが、前記折り端部の処理のために一旦停止した際に搬送方向上流端が前記シート積載手段の領域内に残る長さである場合には、前記折り束搬送手段により前記折り端部の処理が完了した後続折り束をその搬送方向上流端が前記シート積載手段の領域外に抜けるまで搬送した後に前記シート積載手段へ次のシート束のシートの積載を開始することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記シート積載手段に積載されたシート束を綴じ処理する綴じ手段を有し、前記折り手段は、前記綴じ手段により綴じ処理されたシート束の綴じ位置に折り処理することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像が形成された複数枚のシートからなるシート束に対して処理を施す請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシート処理装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2013−23322(P2013−23322A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158572(P2011−158572)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】