説明

シート給送装置および画像形成装置

【課題】タンデム給送動作時に、用紙束崩れの発生を検知し判断可能に構成することにより、サービス等に問い合わせて見てもらわないといけなくなってしまうことのないシート給送装置および画像形成装置を実現し提供する。
【解決手段】右トレイ下限センサからの非停止位置である非下限位置に係るオフ検知信号、左トレイ下限センサからの停止位置である下限位置に係るオン検知信号、およびタンデムセンサからのノンタンデム給紙に係るオン検知信号に基づいて、用紙束崩れ(用紙詰まり)と判断する判断手段として機能する制御装置(CPU)を有し、制御装置(CPU)は用紙束崩れと判断したとき、用紙束崩れの警告表示を行うように操作パネルの液晶表示部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置およびこれを有する画像形成装置に関し、詳しくは、シート給送装置、および孔版印刷機、オフセット印刷機等を含む印刷機、PPC(プレイン・ペーパ・コピア:普通紙複写機)等を含む複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、プロッタ、インクジェット記録装置等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート給送装置である給紙装置、およびこれを有する孔版印刷機、オフセット印刷機等を含む印刷機、PPC等を含む複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、プロッタ、インクジェット記録装置等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置において、用紙(シート)束を積載して昇降可能な第1給紙トレイ(第1のシート積載台)と、この第1給紙トレイから用紙を1枚ずつ分離して給送する給紙手段(シート給送手段)と、第1給紙トレイに対してほぼ水平に並設され用紙束を積載して昇降可能な第2給紙トレイ(第2のシート積載台)と、第2給紙トレイ上の用紙束を一括して第1給紙トレイへ移送する移送手段と、給紙手段による給紙動作中に第1給紙トレイ上の用紙が無くなると移送手段が第2給紙トレイ上の用紙束を第1給紙トレイ上に自動的に移送して給紙動作を継続して行うタンデム給紙動作が実行可能な給紙装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
タンデム給紙動作が実行可能な給紙装置では、通常、ノンタンデム給紙動作(以下、「ノンタンデム給紙モード」ともいう)も実行可能に構成されている。ここで、ノンタンデム給紙動作とは、第1給紙トレイまたは第2給紙トレイに積載可能な用紙サイズよりも大きな大サイズ用紙を、第1給紙トレイと第2給紙トレイとに亘り積載し、両トレイが同時に上昇して給紙手段によって給紙する給紙動作を意味する。
上述のタンデムおよびノンタンデム給紙モード実行可能な給紙装置によれば、用紙の補充・補給が容易になると共に大量給紙も可能となり、装置の稼働率および操作性が大幅に向上するという効果を奏する。
【0004】
【特許文献1】特開平4−45022号公報
【特許文献2】特開平11−240630号公報
【特許文献3】特開2002−338126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の給紙装置が搭載された画像形成装置の使われ方はユーザによってさまざまであり、画像形成装置として例えば孔版印刷機を例に取り、これを搬送・移動したり、それ相当の振動を受けたりした際に発生する問題点を、図2および図8を参照して具体的に説明する。
図8(a)、(b)、(c)に示すように、タンデムおよびノンタンデム給紙モード実行可能な給紙装置は、多数枚の小サイズの用紙P2からなる用紙束PAを積載して昇降可能な右トレイ19Aと、この右トレイ19A上の用紙束PAの用紙P2を1枚ずつ分離して給紙する図示しない給紙手段と、右トレイ19Aに対してほぼ水平に並設され多数枚の小サイズの用紙P2からなる用紙束PBを積載して昇降可能な左トレイ19Bと、左トレイ19B上の用紙束PBを一括して右トレイ19Aへ移送する移送手段(図示せず)と、この図示しない移送手段による用紙束PBの移送時に、右トレイ19Aと左トレイ19Bとが同じ高さ位置に停止して各下限位置を検知する右トレイ下限センサ35Aおよび左トレイ下限センサ35Bと、タンデム給紙またはノンタンデム給紙であることを検知するタンデムセンサ36とを具備している。
図8(a)、(b)、(c)において、19は、右トレイ19Aと左トレイ19Bとを総称するタンデム給紙トレイを示している。各トレイ下限位置センサ35A,35Bは、例えば透過型のフォトセンサからなり、タンデムセンサ36は、例えば反射型のフォトセンサからなる。
【0006】
図8(a)は、用紙束PAを右トレイ19Aに、用紙束PBを左トレイ19Bにそれぞれ積載・セットしたタンデム給紙時の用紙積載状態を示している。このような用紙セット状態の各トレイ19A,19Bは、図2に示されているように、ユーザの操作位置に対向する正面・前後方向(用紙搬送方向Xと直交する用紙幅方向Y)に挿脱可能に構成された右・左のトレイユニット240,241内に収納されている。
【0007】
上記のように用紙束PAがセットされた右トレイ19Aを収納した右トレイユニット240および用紙束PBがセットされた左トレイ19Bを収納した左トレイユニット241を、バンク給紙装置本体側の本体フレーム200に対して挿入装着すべくそれぞれ閉めると、図8(b)に示すように、印刷開始時にタンデム給紙を直ぐに開始することが可能な状態とする初期化が開始実行される。すなわち、印刷開始時に直ぐに右トレイ19A上の最上位の用紙P2を給紙することができるように、右トレイ19Aは太矢印方向に上昇し、図示しない給紙手段により給紙可能となる給紙位置(給送位置)から僅かに下降した微下降位置で待機するように、図示しない制御手段を備えた制御装置によって右トレイ19Aの昇降動作が制御される。
【0008】
図8(b)に示した状態で、孔版印刷機の電源スイッチ(図示せず)を切り、孔版印刷機を例えば図において右側に移動・搬送したり、あるいは振動が加えられたりすることによって、図8(c)に示すように、左トレイ19B上の用紙束PBが慣性によって右トレイ19Aの下に潜り込むように動いて用紙束PBの用紙P2(以下、単に「用紙束崩れ」もしくは「用紙束PB崩れ」ともいう)が崩れてしまうことがあった。この状態で上記図示しない電源スイッチを投入すると、タンデム給紙トレイ19の初期化の際、右トレイ19Aが左トレイ19Bの移動した用紙束PBが障害となって下降することができなくなってしまい、これにより右トレイ下限センサ35Aが右トレイ19Aをオン検知できなくなるので、上記図示しない制御手段によって右トレイ下限センサ35Aの不良と判断される。
【0009】
一般ユーザは上記現象に気づかないため、崩れた用紙束PBを取り除き、左トレイ19B上に正しく積載・セットし直すだけの後処理で済むものが、サービス等に問い合わせて見てもらわないといけなくなってしまう、いわゆるサービスコールとなってしまう問題点があった。
なお、右トレイ19A側の用紙束PAも用紙束崩れが発生するが、この場合は用紙束PAが左トレイ19Bの下に潜り込まない。よって、左トレイ下限センサ35Bの不良とならないため、問題になっていない。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題点・事情に鑑みてなされたものであり、タンデム給送動作時に、用紙(シート)束崩れの発生を検知し判断可能に構成することにより、サービス等に問い合わせて見てもらわないといけなくなってしまうことのないシート給送装置および画像形成装置を実現し提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決すると共に上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、シート束を積載して昇降可能な第1のシート積載台と、この第1のシート積載台からシートを給送するシート給送手段と、第1のシート積載台に対してほぼ水平に並設されシート束を積載して昇降可能な第2のシート積載台と、第2のシート積載台上のシート束を一括して第1のシート積載台へ移送する移送手段と、該移送手段によるシート束の移送時に、第1のシート積載台と第2のシート積載台とがほぼ同じ高さ位置に停止する各停止位置を検知する第1の停止位置検知手段および第2の停止位置検知手段とを具備し、前記シート給送手段によるシート給送動作中に第1のシート積載台上のシートが無くなると前記移送手段が第2のシート積載台上のシート束を第1のシート積載台上に自動的に移送して前記シート給送動作を継続して行うタンデム給送動作が実行可能なシート給送装置において、前記タンデム給送またはノンタンデム給送であることを検知するタンデム検知手段と、第1の停止位置検知手段からの非停止位置に係る信号、第2の停止位置検知手段からの前記停止位置に係る信号、および前記タンデム検知手段からの前記ノンタンデム給送に係る信号に基づいて、シート束崩れと判断する判断手段とを有することを特徴とする。
ここで、「第1のシート積載台と第2のシート積載台とがほぼ同じ高さ位置に停止する」において、「ほぼ同じ高さ位置」とは、設計上設定される公差等を含む高さ位置を意味する。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシート給送装置において、前記タンデム給送動作開始時、第1のシート積載台は、該第1のシート積載台上のシート束の最上位のシートが前記シート給送手段により給送可能となる給送位置から僅かに下降した微下降位置で待機していることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のシート給送装置において、第1のシート積載台上のシートの有無を検知する第1のシート有無検知手段と、第2のシート積載台上のシートの有無を検知する第2のシート有無検知手段とを有し、前記判断手段は、第1および第2のシート有無検知手段からの各シート有無検知内容に係る信号に関わらず、前記シート束崩れと判断することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート給送装置において、第1のシート積載台上のシートサイズを検知する第1のシートサイズ検知手段と、第2のシート積載台上のシートサイズを検知する第2のシートサイズ検知手段とを有し、前記判断手段は、第1および第2のシートサイズ検知手段からの各シートサイズ検知内容に係る信号に関わらず、前記シート束崩れと判断することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、シートを給送するシート給送装置と、該シート給送装置から給送されてきたシートに画像形成を行う画像形成手段とを具備する画像形成装置において、前記シート給送装置が、請求項1ないし4の何れか一つに記載のシート給送装置であることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像形成装置において、前記判断手段は、前記シート給送動作中に、前記シート束崩れを判断しても、前記画像形成動作を継続させることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記シート束崩れの警告報知を行う報知手段を有し、前記判断手段は、画像形成動作停止時に、前記シート束崩れの警告報知を行うように前記報知手段を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項5または6記載の画像形成装置において、前記シート束崩れの警告報知を行う報知手段を有し、前記判断手段は、前記シート束崩れと判断したとき、前記シート束崩れの警告報知を行うように前記報知手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記課題を解決した新規なシート給送装置および画像形成装置を実現し提供することができる。請求項ごとの発明の効果を挙げれば、以下のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、判断手段は、第1の停止位置検知手段からの非停止位置に係る信号、第2の停止位置検知手段からの停止位置に係る信号、およびタンデム検知手段からのノンタンデム給送に係る信号に基づいて、シート束崩れと判断するので、ユーザ自身が後処理で対処することができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、前記構成により、タンデム給送動作を素早く開始することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、判断手段は、第1および第2のシート有無検知手段からの各シート有無検知内容に係る信号に関わらず、シート束崩れと判断するので、シート束崩れの処理を確実に行うことができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、判断手段は、第1および第2のシートサイズ検知手段からの各シートサイズ検知内容に係る信号に関わらず、シート束崩れと判断するので、シート束崩れの処理を確実に行うことができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一つに記載のシート給送装置による効果を、画像形成装置において奏する。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、判断手段は、シート給送動作中に、シート束崩れを判断しても、画像形成動作を継続させるので、画像形成動作に支障がない。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、判断手段は、画像形成動作停止時に、シート束崩れの警告報知を行うように報知手段を制御するので、ユーザが警告報知を認識して確実に対処できるようになる。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、判断手段は、シート束崩れと判断したとき、シート束崩れの警告報知を行うように報知手段を制御するので、ユーザが警告報知を認識して確実に対処できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。図8に示した従来の技術および各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明をできるだけ省略する。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0028】
図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、本発明を適用したシート給紙装置および画像形成装置の一実施形態を示す孔版印刷機1の全体構成および印刷動作の概要を説明する。孔版印刷機1は、装置本体2のほぼ中央部に設けられた画像形成部3と、該画像形成部3の下部に設けられたバンク給紙装置としてのバンク給紙部4と、画像形成部3の上部に設けられた画像読取装置としての光学読取部5と、シート排出装置としての排紙部6等を有している。
【0029】
画像形成部3は、バンク給紙部4から給送・給紙されてくるシートないしシート状記録媒体の一例としての印刷用紙(以下、「用紙」という)に画像を形成する画像形成手段としての印刷部7と、図示しないマスタに製版して印刷部7の印刷ドラム11に給版する製版部8と、印刷ドラム11上の図示しない使用済みのマスタを排版する排版部9等を有している。印刷部7は、内部にインキ供給手段10を備えると共に外周部にインキ通過性の多孔性の版胴を備えた印刷ドラム11と、該印刷ドラム11に対して接離自在に設けられた押圧手段としてのプレスローラ12等を有している。インキ供給手段10は、印刷ドラム11の回転支軸を兼ねるインキ供給パイプ13と、インキローラ14と、ドクターローラ15を有している。
シートないしシート状記録媒体には、孔版印刷機1で主に用いられる用紙(普通紙、薄紙、はがきや画用紙等の厚紙を含む)の他に、電子写真方式の複写機等で用いられる記録紙、転写紙、用紙、OHPフィルム等が含まれる。
【0030】
インキ供給パイプ13から供給されるインキはインキローラ14とドクターローラ15間の楔状のインキ溜まりに滴下され、インキ溜まりのインキはドクターローラ15によって層厚みを規制されながらインキローラ14に供給される。インキローラ14に供給されたインキは印刷ドラム11の内周面に供給される。
【0031】
図3および図4に示す操作パネル16における図示しない製版スタートキーが押下されると、光学読取部5において原稿画像の読み取り動作が開始されると共に、排版部9によって印刷ドラム11上の上記図示しない使用済みのマスタの剥離動作がなされる。
製版部8では光学読取部5からの画像情報に基づいて図示しないサーマルヘッドが駆動され、図示しないマスタへの穿孔製版がなされる。製版されたマスタは、印刷ドラム11の版胴外周部に設けられた開閉自在なクランパ17によってその先端部を挟持され、印刷ドラム11の図中矢印方向の回転に伴って該印刷ドラム11の版胴外周面に巻き付けられる。
【0032】
バンク給紙部4には、図1および図2に示すように、大サイズであるA3サイズの用紙P1が積載収容された簡略的に示す給紙トレイ18を備えた下段給紙部202と、それぞれ小サイズのA4サイズの用紙P2が積載収容されたタンデム給紙トレイ19等を備えた上段給紙部201とを有している。タンデム給紙トレイ19は、右トレイ19Aと、該右トレイ19Aを昇降させる図示しない昇降機構と、左トレイ19Bと、該左トレイ19Bを昇降させる図示しない昇降機構と、左トレイ19B上の用紙を右トレイ19Aに一括して水平移送する図示しない移送手段等を有している。タンデム給紙トレイ19の基本的構成は、例えば公知技術である上記特許文献2(特開平11−240630号公報)記載の構成を採用することができる。
【0033】
給紙トレイ18に収容された用紙P1は、該給紙トレイ18を昇降させる図示しない昇降機構による上昇動作が図3に示す制御装置によって給紙コロ21に所定の給紙圧で接触するように制御されることで、給紙可能となる給紙位置を占める。このようにバンク給紙部4の下段給紙部202の構成も、例えば公知技術である上記特許文献2(特開平11−240630号公報)記載の構成を採用することができる。また、これに限らず、給紙トレイ18に収容された用紙P1が比較的少数枚(例えば100枚程度)であれば、給紙カセット方式の底板を図示しないバネを用いて、給紙トレイ18の最上位の用紙P1を給紙コロ21に押圧する構成でもよい。
給紙位置を占めた給紙トレイ18上の最上位の用紙P1は、給紙コロ21により順に引き出され、分離コロ22と分離パッド23との協働動作により1枚ずつに分離されて給紙・給送され、さらに搬送ローラ対24、25により搬送されてレジストローラ対26へ送られる。給紙コロ21、分離コロ22および分離パッド23は、用紙P1を1枚ずつに分離して給紙する給紙手段を構成している。
【0034】
タンデム給紙トレイ19の右トレイ19Aに収容された用紙P2(図1では右トレイ19A上の用紙P2が全て給紙された状態を示しており、例えば図8(b)参照)は、右トレイ19Aにおける上記図示しない昇降機構による上昇動作が図3に示す制御装置によって給紙コロ27に所定の給紙圧で接触するように制御されることで、給紙可能となる給紙位置を占める。給紙位置を占めた右トレイ19A上の最上位の用紙P1は、給紙コロ27によって順に引き出される。引き出された用紙P2は、分離コロ28と分離パッド29との協働動作により1枚ずつに分離されて給紙・給送され、さらに搬送ローラ対25により搬送されてレジストローラ対26へ送られる。左トレイ19Bに収容された用紙P2が右トレイ19Aへ移送された場合も同様の給紙動作となる。
給紙コロ27、分離コロ28および分離パッド29は、用紙P2を1枚ずつに分離して給紙する給紙手段を構成している。分離パッド29により用紙のセンターで用紙を分離するセンター分離方式を採用している。
【0035】
給紙された用紙P1またはP2の先端は、レジストローラ対26で一旦停止され、斜めずれを修正された後、印刷ドラム11上における図示しない製版済みのマスタの製版画像の先端と用紙搬送方向の所定位置とが一致するタイミングで該レジストローラ対26により画像形成部位である印刷部位へ送られる。レジストローラ対26の送りタイミングに合わせてプレスローラ12が上昇し、用紙P1またはP2は印刷ドラム11上の図示しない製版済みのマスタに押圧される。この押圧動作により、印刷ドラム11の内周面に供給されたインキは印刷ドラム11の図示しない版胴開孔部およびマスタの穿孔部を通って滲み出し、用紙P1またはP2上に転移して、用紙P1またはP2にインキ画像が形成される。
【0036】
インキ画像を形成された印刷済みの用紙P1またはP2は、印刷ドラム11の外周面にプレスローラ12が押圧されて形成される印刷ニップ部の下流側近傍において印刷ドラム11の外周面に近接自在に配設された図示しない分離爪により、印刷ドラム11上の図示しない製版済みのマスタから分離され、負圧の空気圧を生成することでベルト上にエア吸引吸着する方式の排紙搬送手段30により搬送され、排紙部6における装置本体2の一側面に支持された排紙台31上に排出・積載される。この際、印刷済みの用紙P1またはP2は、その先端部が排紙台31上に起立したエンドフェンス32に衝突して用紙排出(排紙)方向の揃えが、また排紙台31上に起立して用紙(排紙)幅方向に移動自在に設けられる図示しない一対のサイドフェンスにより用紙幅方向の揃えがそれぞれ行われ、排紙台31上に排紙揃えが行われた状態で整然と積載される。
【0037】
図1および図2を参照して、本実施形態のバンク給紙部4における主として上段給紙部201の構成について、上述した構成をさらに詳細に補説する。上段給紙部201は、図8に示したと同様に、タンデムおよびノンタンデム給紙モード実行可能な給紙装置であり、図3に示す制御装置70を備えた制御構成によって、図5〜図7に示す特有の動作が実行可能に構成されていることを特徴としている。
【0038】
上段給紙部201は、図1、図2および図8に示すように、シート束として多数枚のA4サイズの用紙P2からなる用紙束PAを積載して昇降可能な第1のシート積載台としての右トレイ19Aと、この右トレイ19A上の用紙束PAの用紙P2を1枚ずつ分離して給紙(給送)するシート給送手段としての上記給紙手段(給紙コロ27、分離コロ28および分離パッド29)と、非給紙時に分離コロ28から分離パッド29を引き離すための右トレイ分離パッドソレノイド45と、右トレイ19Aに対してほぼ水平に並設され、シート束として多数枚のA4サイズの用紙P2からなる用紙束PBを積載して第2のシート積載台としての昇降可能な左トレイ19Bと、左トレイ19B上の用紙束PBを一括して右トレイ19Aへ移送する移送手段(図示せず)と、この図示しない移送手段による用紙束PBの移送時に、右トレイ19Aと左トレイ19Bとが同じ高さ位置に停止する各停止位置としての各下限位置を検知する右トレイ下限センサ35A(第1の停止位置検知手段)および左トレイ下限センサ35B(第2の停止位置検知手段)と、タンデム給紙またはノンタンデム給紙であることを検知するタンデム検知手段としてのタンデムセンサ36とを有している。
【0039】
各トレイ下限位置センサ35A,35Bは、例えば発光素子と受光素子等とを備えた透過型のフォトセンサからなり、タンデムセンサ36は、例えば発光素子と受光素子等とを備えた反射型のフォトセンサからなる。透過型のフォトセンサからなる各トレイ下限位置センサ35A,35Bは、右トレイ19Aおよび左トレイ19Bの外壁に突出形成された遮光板(図示せず)との係合により、オン検知する公知の構成である(以下、透過型のフォトセンサからなるセンサも同様)。
【0040】
上記図示しない移送手段は、例えば上記特許文献2の段落「0054」〜「0059」に記載され、その図1、図3および図6等に示されていると同様の、左トレイ(2)上に積載された用紙(P1’)の後端部に接触して用紙搬送方向(X)に沿って移動可能なエンドフェンス(71)と、このエンドフェンス(71)を右トレイ(1)近傍へ案内するエンドフェンス案内手段としての一対のガイドシャフト(72,72)と、エンドフェンス(71)を移動させるエンドフェンス駆動手段とを具備する公知のものである。また、上記図示しない移送手段としては、例えば特開平11−240632号公報記載の独立移送手段ユニット(100)を採用してもよい。
【0041】
右トレイ分離パッドソレノイド45は、非給紙時、非印刷時および右トレイユニット240の挿脱・開閉時に、図3の制御装置70からの制御指令によって、右トレイ分離パッドソレノイド45自身が自動的に下降するようにオン駆動されることで、分離コロ28から分離パッド29が引き離されて、分離パッド29との常時接触を防止したり、ジャム処理の作業を容易にしたりするものである。給紙時、印刷時には、右トレイ分離パッドソレノイド45はオフ駆動され、図示しないバネの付勢力によって分離コロ28に分離パッド29が所定の分離圧で圧接するようになっている。なお、後述する下段給紙部202に設けられている下トレイ分離パッドソレノイド53も、同様の機能を果たすものである。
【0042】
上段給紙部201は、さらに図2に示すように、右トレイ19Aに設けられ、右トレイ19A(図2では省略、以下同様)上の用紙の有無を検知する第1のシート有無検知手段としての右トレイ用紙有無センサ38Aと、左トレイ19Bに設けられ、左トレイ19B(図2では省略、以下同様)上の用紙の有無を検知する第2のシート有無検知手段としての左トレイ用紙有無センサ38Bと、右トレイ19Aに設けられ、右トレイ19A上のシートサイズである用紙サイズを検知する第1のシートサイズ検知手段としての複数の右トレイ用紙幅センサ40A1,40A2と、左トレイ19Bに設けられ、左トレイ19B上の用紙サイズを検知する第2のシートサイズ検知手段としての複数の左トレイ用紙幅センサ41B1,41B2と、右トレイ19A上の最上位の用紙が給紙位置を占めたことを検知する図示しない右トレイ上限センサと、右トレイ19A上の用紙積載量の概略を検知すると共に、タンデム給紙トレイ19の初期化時に図8を参照して説明した微下降位置へ下降させるために機能する右トレイエンコーダセンサ44と、両トレイ19A,19Bを一体的に連結するためのトレイ連結ソレノイド46とを有する。
【0043】
各トレイ用紙有無センサ38A,38Bは、例えば発光素子と受光素子等とを備えた反射型のフォトセンサからなり、各トレイ用紙幅センサ40A1,40A2,41B1,41B2、上記図示しない右トレイ上限センサ、右トレイエンコーダセンサ44は、例えば発光素子と受光素子等とを備えた透過型のフォトセンサからなる。
右トレイ用紙幅センサ40A1,40A2は、右トレイ19A上に積載された用紙束PAもしくは用紙P2の用紙幅揃えを行うべく用紙幅方向Yに互いに同じ移動量同期して移動可能に設けられた図示しない一対のサイドフェンスの移動に連動して、右トレイ19A上の用紙束PAないし用紙P2の幅サイズを検出する公知の構成からなる。左トレイ用紙幅センサ41B1,41B2も上記と同様の用紙幅サイズ検出方式を採用している。
左トレイ用紙有無センサ38Bは、シート搬送方向としての用紙搬送方向Xの長さを検知するシート長さ検知手段としての用紙長さセンサを兼用している。
【0044】
右トレイエンコーダセンサ44は、右トレイ19Aを昇降する上記図示しない昇降機構の昇降モータの出力軸に取り付けられたエンコーダを挟む態様で設けられており、右トレイ19Aの昇降動作により回転されるエンコーダとの協働により生成されるエンコーダパルスを検出する。すなわち、右トレイエンコーダセンサ44は、右トレイ下限センサ35Aがオフとなった位置から上記図示しない右トレイ上限センサ・オンと判断されるまでの右トレイ19Aの上昇距離を計測し、この計測後、微下降位置まで下降させる制御のために用いられる。
上記エンコーダと右トレイエンコーダセンサ44とによるパルス分解能は上記エンコーダの1周につき90パルスで、右トレイ19Aが1mm移動する距離当たり1パルスに相当するように設定されている。なお、後述する下段給紙部202に設けられている下トレイエンコーダセンサ52も、同様の機能を果たすものである。
【0045】
下段給紙部202は、本発明に余り関係しないので簡単に説明する。下段給紙部202は、図2に示すように、給紙トレイ(以下、「下トレイ」ともいう)18の下限位置を検知する下トレイ下限センサ48と、下トレイ18に設けられ、下トレイ18上の用紙の有無を検知する給紙トレイ用紙有無センサ49と、下トレイ18上の用紙サイズを検知する複数の給紙トレイ用紙幅センサ50と、上記した下トレイエンコーダセンサ52と、上記した下分離パッドソレノイド53とを有する。
【0046】
孔版印刷機1の各構成要素の制御および印刷動作の制御は、図3に示す制御装置70によってなされる。制御装置70は、それぞれ図示しない、CPU(中央演算処理装置)、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM、タイマ、I/Oインターフェース等を含むマイクロコンピュータを具備している。制御装置70の上記CPUには、上述した各センサ等の構成要素から検知信号等が入力され、制御装置70の上記CPUはこれに基づいて上述した各ソレノイドやモータ等の駆動手段に係る構成要素に指令信号を出力してそれらを制御する。制御装置70の上記CPUは、後述のように本発明の判断手段および制御手段として機能する。
制御装置70は、孔版印刷機1におけるタンデム給紙トレイ19を備えた上段給紙部201を具備するバンク給紙部4の場合には、装置本体2の図示しない制御盤等に配置されるが、タンデム給紙トレイ19を備えた上段給紙部201を具備するバンク給紙部4単独でシート給送装置としての給紙装置を構成する場合には、給紙装置本体に配置されてもよい(請求項1〜4)。
【0047】
上記ROMには、図5〜図7に示されているフローチャートに係る動作プログラムや、関係データ等が予め記憶されている。制御装置70の上記CPU(以下、混同の虞がない限り単に「制御装置70」ともいう)は、上記ROMから上記動作プログラムや上記関係データ等を適宜呼出し、また適宜上記RAMにデータ信号やオン/オフ信号あるいは演算結果に係る信号を記憶・入出力させながら、上記フローチャートに従う制御動作を実行させる。
【0048】
図3において、上述した以外の制御構成要素について説明すると、制御装置70には、上記図示しないI/Oインターフェース等を介して、孔版印刷機1へのメイン電源供給をオン/オフするメインスイッチ64、図4にその一部を示す操作パネル16に設けられた上記した各種キー、液晶表示部16A等が接続されている。操作パネル16は、光学読取部5の近傍に配置され操作部として機能する。
【0049】
ここで、操作パネル16の液晶表示部16Aは、用紙束(シート束)崩れの警告報知を行う報知手段ないし表示手段として機能する。報知手段としては、液晶表示部16Aに限らず、例えば単なるLCD表示やLED表示、音声による報知や、操作パネル等に配設されたブザーによる吹鳴警告音あるいはLEDの7セグメントを使用したコード表記でもよいし、あるいはそれらを適宜組み合せたものも含まれる。
【0050】
次に、図5〜図7のフローチャートおよび図8を参照して、制御装置70の上記CPUによる制御の下に実行される、タンデム給紙トレイ19を用いて大量印刷を行う場合の特有の動作例を説明する。
(動作例1)
まず、図5のフローチャートに基づいて、メインスイッチ64投入時に関する動作例1を説明する。この際、制御装置70(上記CPU)は、右トレイ下限センサ35Aからの非停止位置である非下限位置に係るオフ検知信号、左トレイ下限センサ35Bからの停止位置である下限位置に係るオン検知信号、およびタンデムセンサ36からのノンタンデム給紙に係るオン検知信号に基づいて、用紙束(シート束)崩れと判断する判断手段としての機能を有する(請求項1)。
また、制御装置70(上記CPU)は、タンデム給紙動作開始時、右トレイ下限センサ35A、上記図示しない右トレイ上限センサ、右トレイエンコーダセンサ44からの各信号に基づいて、右トレイ19Aは、該右トレイ19A上の用紙束の最上位の用紙が上記給紙手段(給紙コロ27等)により給送可能となる給送位置から僅かに下降した微下降位置で待機・停止するように、右トレイ19Aを昇降する上記図示しない昇降機構の昇降モータを制御する機能を有する(請求項2)。
また、制御装置70(上記CPU)は、用紙束崩れと判断したとき、用紙束崩れの警告報知・表示を行うように操作パネル16の液晶表示部16Aを制御する制御手段として機能する(請求項8)。
【0051】
メインスイッチ64投入後、図5のステップS1において、先ず、左トレイ下限センサ35Bがオンしているか否か、すなわち左トレイ19Bが下限位置を占めている(図8(a)に示す状態)か否かがチェック・判断(以下、単に「チェック」ともいう)される。次いで、左トレイ19Bが下限位置を占めていて、左トレイ下限センサ35Bがオンしている場合には、右トレイ下限センサ35Aがオンしているか否か、すなわち右トレイ19Aが下限位置を占めている(図8(a)に示す状態)か否かがチェックされる(ステップS2)。次いで、右トレイ19Aが下限位置を占めておらず、右トレイ下限センサ35Aがオフしている場合(図8(b)に示す状態)には、ステップS3に進み、タンデムセンサ36がオンしているか否か、すなわちノンタンデム給紙の状態であるか否かがチェックされる。ここで、タンデムセンサ36がオンしていてノンタンデム給紙の状態である場合、すなわち図8(c)に示す状態の場合には、制御装置70は用紙束崩れと判断して、「用紙詰まり表示」(サブルーチンプログラム)を行うように操作パネル16の液晶表示部16Aを制御する(ステップS4)。
【0052】
図4に示す表示・報知の具体例のように、「用紙ミスフィード(Y1)点灯している部分の用紙を取り除いて下さい。」という表示が液晶表示部16Aになされる。ユーザは液晶表示部16Aの上記表示を視認して、図8(c)において、左トレイ19Bから崩れた用紙束PBを取り除き、これをまたは新しい用紙束PBを用意して左トレイ19B上に正しくセットすることとなる。
【0053】
一方、図5のステップS1において、左トレイ下限センサ35Bがオフしていて、左トレイ19Bが非下限位置を占めている場合で、かつ、ステップS2において右トレイ下限センサ35Aがオンしていて、右トレイ19Aが下限位置を占めている場合であって、なおかつ、ステップS3においてタンデムセンサ36がオフしていて、タンデム給紙の状態である場合には、制御装置70は「トレイ初期化開始」(サブルーチンプログラム)を行うように上記図示しない各昇降機構を制御することとなる(ステップS5)。
すなわち、印刷開始時に直ぐに右トレイ19A上の最上位の用紙P2を給紙することができるように、図8(b)に示すように右トレイ19Aは太矢印方向に上昇し、上記給紙手段(図1に示す給紙コロ27、分離コロ28および分離パッド29参照)により給紙可能となる給紙位置(給送位置)から僅かに下降した微下降位置で待機するように、制御装置70によって右トレイ19Aの上記図示しない昇降モータによる昇降動作が制御される。
【0054】
動作例1において、制御装置70(上記CPU)は、右トレイ用紙有無センサ38A、左トレイ用紙有無センサ38Bからの各用紙有無検知内容に係る信号に関わらず、用紙束崩れ(用紙詰まり)と判断する(請求項3)。
これは、右トレイ用紙有無センサ38A、左トレイ用紙有無センサ38Bからの信号がオフ検知で、たとえ用紙が右トレイ19A、左トレイ19Bに積載されていなくても、タンデムセンサ36がオンということは、右トレイ用紙有無センサ38A、左トレイ用紙有無センサ38Bオフの領域で用紙束の用紙崩れが発生している可能性があるためである。
【0055】
動作例1において、制御装置70(上記CPU)は、右トレイ用紙幅センサ40A1,40A2、左トレイ用紙幅センサ41B1,41B2からの各用紙トサイズ検知内容に係る信号に関わらず、用紙束崩れ(用紙詰まり)と判断する(請求項4)。
右トレイ19Aと左トレイ19B上の用紙サイズが異なっていても、動作例1の状態であった場合は用紙束の用紙が崩れている(用紙詰まり)と検知する。これは、用紙束の用紙が崩れてしまったせいで、図示しないサイドフェンスが移動したり、用紙幅・用紙長さセンサが誤検知している可能性があるためである。通常は、タンデム給紙の場合、異なる用紙サイズの用紙束を右トレイ19Aと左トレイ19Bとにセットしてはいけないからでもある。
【0056】
(動作例2)
図6のフローチャートに基づいて、印刷動作(画像形成動作)時に関する動作例2を説明する。この際、制御装置70(上記CPU)は、給紙動作中に、用紙束崩れを判断しても、印刷動作(画像形成動作)を継続させる機能を有する(請求項6)。
換言すれば、制御装置70(上記CPU)は、給紙・印刷動作中における上記タイマからの定期的な時間計時信号に基づいて、動作例1と同様のチェックを行う。すなわち、制御装置70(上記CPU)は、給紙・印刷動作中における上記タイマからの定期的な時間計時信号に基づいて、右トレイ下限センサ35Aからの非下限位置に係るオフ検知信号、左トレイ下限センサ35Bからの下限位置に係るオン検知信号、およびタンデムセンサ36からのノンタンデム給紙に係るオン検知信号に基づいて、用紙束崩れの検知により用紙束崩れと判断しても、印刷動作を継続させるものである(請求項1を引用した請求項6)。
【0057】
動作例2では、上述したように給紙・印刷動作中における上記タイマからの定期的な時間計時信号に基づいて、制御装置70(上記CPU)は以下のチェックを行う。動作例2は、図6のステップS10から始まり、動作例1と同様のチェックが行われる。先ず、左トレイ下限センサ35Bがオンしているか否かがチェックされる。次いで、左トレイ下限センサ35Bがオンしている場合には、右トレイ下限センサ35Aがオンしているか否かがチェックされる(ステップS11)。次いで、右トレイ下限センサ35Aがオフしている場合には、ステップS12に進み、タンデムセンサ36がオンしているか否かがチェックされる。ここで、タンデムセンサ36がオンしていてノンタンデム給紙の状態である場合、すなわち図8(c)に示す状態の場合であって用紙束崩れの検知により用紙束崩れと判断しても、右トレイ19A上の用紙が無くならない限り、印刷動作に影響がないため、印刷動作を継続させることとなる(ステップS13)。
【0058】
(動作例3)
図7のフローチャートに基づいて、印刷動作(画像形成動作)終了時・印刷動作停止時に関する動作例3を説明する。この際、制御装置70(上記CPU)は、印刷動作停止時に、用紙束崩れと判断したとき、用紙束崩れの警告報知・表示を行うように操作パネル16の液晶表示部16Aを制御する制御手段として機能する(請求項7)。
【0059】
動作例3は、図7のステップS20から始まる。動作例2では、上述したように用紙束崩れの検知により用紙束崩れと判断しても、給紙動作に影響が無いなら印刷動作を継続させる。したがって、動作例3では、印刷動作中に用紙束崩れを検知し用紙束崩れと判断した場合には、その印刷停止時に、図4に示した操作パネル16の液晶表示部16Aに用紙束崩れの警告報知・表示である「用紙詰まり表示」(サブルーチンプログラム)を行い、ユーザに用紙束崩れの上記した後処理を促すものである(ステップS21)。印刷停止時には、主に印刷枚数の置数による印刷終了時や、右トレイ19A上の用紙無しによる停止、他の用紙詰まり等がある。
【0060】
上述したとおり、本実施形態によれば、上記発明の効果の欄に記載した諸効果を奏することは無論である。
【0061】
以上説明したとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や動作例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
また、シート給送装置である給紙装置、およびこれを有する孔版印刷機に限らず、オフセット印刷機等を含む印刷機、PPC等を含む複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、プロッタ、インクジェット記録装置等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置においても、本発明を適用できることは無論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のシート給送装置を備えた画像形成装置に係る一実施形態を示す孔版印刷機の概略的な一部断面正面図である。
【図2】バンク給紙部の構成を示す概略的な斜視図である。
【図3】孔版印刷機の主な制御構成を示すブロック図である。
【図4】操作パネルの液晶表示部に警告表示される例を示す平面図である。
【図5】電源(メインスイッチ)投入時の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】印刷動作時の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】印刷終了時の制御動作を示すフローチャートである。
【図8】(a)、(b)、(c)は、本発明が解決すべきタンデム給紙に係る問題点を説明するための図であって、左トレイ上の用紙束崩れに至る動作推移を説明する簡略的な正断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 孔版印刷機(画像形成装置)
2 装置本体
4 バンク給紙部(シート給送装置)
7 印刷部(画像形成手段)
11 印刷ドラム
16 操作パネル
16A 液晶表示部(報知手段)
19 タンデム給紙トレイ
19A 右トレイ(第1のシート積載台)
19B 左トレイ(第2のシート積載台)
27 給紙コロ(給紙手段)
28 分離コロ(給紙手段・分離手段)
29 分離パッド(給紙手段・分離手段)
31 排紙台(シート排出台)
35A 右トレイ下限センサ(第1の停止位置検知手段)
35B 左トレイ下限センサ(第2の停止位置検知手段)
36 タンデムセンサ(タンデム検知手段)
38A 右トレイ用紙有無センサ(第1のシート有無検知手段)
38B 左トレイ用紙有無センサ(第2のシート有無検知手段、第2のシートサイズ検知手段兼用)
40A1,40A2 右トレイ用紙幅センサ(第1のシートサイズ検知手段)
41B1,41B2 左トレイ用紙幅センサ(第2のシートサイズ検知手段)
64 メインスイッチ
70 制御装置(判断手段・制御手段)
201 上段給紙部
202 下段給紙部
240 右トレイユニット
241 左トレイユニット
P2 用紙(シート・シート状記録媒体)
PA,PB 用紙束(シート束)
X 用紙搬送方向(シート搬送方向)
Y 用紙幅方向(シート幅方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束を積載して昇降可能な第1のシート積載台と、この第1のシート積載台からシートを給送するシート給送手段と、第1のシート積載台に対してほぼ水平に並設されシート束を積載して昇降可能な第2のシート積載台と、第2のシート積載台上のシート束を一括して第1のシート積載台へ移送する移送手段と、該移送手段によるシート束の移送時に、第1のシート積載台と第2のシート積載台とがほぼ同じ高さ位置に停止する各停止位置を検知する第1の停止位置検知手段および第2の停止位置検知手段とを具備し、前記シート給送手段によるシート給送動作中に第1のシート積載台上のシートが無くなると前記移送手段が第2のシート積載台上のシート束を第1のシート積載台上に自動的に移送して前記シート給送動作を継続して行うタンデム給送動作が実行可能なシート給送装置において、
前記タンデム給送またはノンタンデム給送であることを検知するタンデム検知手段と、
第1の停止位置検知手段からの非停止位置に係る信号、第2の停止位置検知手段からの前記停止位置に係る信号、および前記タンデム検知手段からの前記ノンタンデム給送に係る信号に基づいて、シート束崩れと判断する判断手段と、
を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート給送装置において、
前記タンデム給送動作開始時、第1のシート積載台は、該第1のシート積載台上のシート束の最上位のシートが前記シート給送手段により給送可能となる給送位置から僅かに下降した微下降位置で待機していることを特徴とするシート給送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のシート給送装置において、
第1のシート積載台上のシートの有無を検知する第1のシート有無検知手段と、第2のシート積載台上のシートの有無を検知する第2のシート有無検知手段とを有し、
前記判断手段は、第1および第2のシート有無検知手段からの各シート有無検知内容に係る信号に関わらず、前記シート束崩れと判断することを特徴とするシート給送装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート給送装置において、
第1のシート積載台上のシートサイズを検知する第1のシートサイズ検知手段と、第2のシート積載台上のシートサイズを検知する第2のシートサイズ検知手段とを有し、
前記判断手段は、第1および第2のシートサイズ検知手段からの各シートサイズ検知内容に係る信号に関わらず、前記シート束崩れと判断することを特徴とするシート給送装置。
【請求項5】
シートを給送するシート給送装置と、該シート給送装置から給送されてきたシートに画像形成を行う画像形成手段とを具備する画像形成装置において、
前記シート給送装置が、請求項1ないし4の何れか一つに記載のシート給送装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
前記判断手段は、前記シート給送動作中に、前記シート束崩れを判断しても、前記画像形成動作を継続させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記シート束崩れの警告報知を行う報知手段を有し、
前記判断手段は、画像形成動作停止時に、前記シート束崩れの警告報知を行うように前記報知手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5または6記載の画像形成装置において、
前記シート束崩れの警告報知を行う報知手段を有し、
前記判断手段は、前記シート束崩れと判断したとき、前記シート束崩れの警告報知を行うように前記報知手段を制御することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−263014(P2009−263014A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110650(P2008−110650)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】