説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】 シートの保存期間が長くなってもシート内の含有水分量を適度に維持し、含有水分量の過度の減少によるシートの搬送不良又はシートへの画像形成不良を抑制し、高品位な印刷物を安定して出力することを課題とする。
【解決手段】 シート収納庫4の内部に配置され、シート7aを積載するリフタ板23と、リフタ板23に積載したシート7aに対して加熱エアを吹き付けるエアヒータ14及びファン11と、を備えるシート給送装置80において、リフタ板23の上にシート7aが保存される保存期間に基づいて、エアヒータ14及びファン11が吹き出す加熱エアの制御条件を変更する制御装置16を備えることを特徴とするシート給送装置80を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 シート給送装置本体の内部に配置されてシートを積載するシート積載部と、シート積載部に積載したシートに対して加熱エアを吹き付ける加熱エア吹き付け手段とを備えるシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、連続的に給送可能なシートは、通常、上質紙や複写機メーカー指定の普通紙に限られていた。このようなシートでは、表面の平滑性が低く、通気性が高い(空気が通り易い)ので、シートの間に容易に空気が流入する。したがって、積載したシートから一枚ずつシートを取り出す際に、シート同士の吸着が抑制されてシートの重送は低減されていた。
【0003】
一方、近年、記録媒体の多様化に伴い、厚紙、OHPシート、トレーシングペーパー等に画像形成されることがある。また、カラー化の市場要求に応じて白色度や光沢を出すために、シートの表面にコーティング処理を施したアート紙及びコート紙等の表面の平滑なシートにも画像形成の要求が高まっている。ところが、OHPシート、トレーシングペーパー、アート紙及びコート紙等は、平滑性が高く、通気性が低い(空気が通り難い)ので、シートの間に容易に空気が流入しない。したがって、特に高湿の環境下でシートが積載される場合には、シート同士が吸着し、従来の複写機やプリンタ等で一般的に用いられている摩擦分離方式では重送やミスフィードが多発するといった問題が生じた。
【0004】
こうした高い平滑性及び低い通気性を示すシートに関して、シート同士の吸着を抑制してシートの重送やミスフィードを低減させる発明として特許文献1乃至3が提案される。
【0005】
特許文献1に記載の発明では、「給紙トレイに積載した用紙の上方が負圧となるようにエア流を制御し、この負圧による上方向の揚力で用紙を一枚ずつ分離して給紙する給紙方法」が開示される。こうした給紙方法によれば、平滑な用紙同士の吸着の解消に大きな効果をあげることができる。
【0006】
特許文献2に記載の発明では、「収納枠体の下部に配設された除湿ヒータによって熱せられた空気を用紙積載トレイ上の最上位の用紙上面もしくは用紙側面へ切り替え排風させる排風手段を備える給紙装置」が開示される。こうした給紙装置によれば、平滑な用紙同士の吸着の解消に大きな効果をあげることができる。
【0007】
特許文献3に記載の発明では、「シート収容手段に収容されたシートに対してエアを吹き付けるエア吹き付け手段を備えるシート供給装置」が開示される。このシート供給装置は、エア加熱手段により加熱される前のエアの温度を検出するエア温度検出手段、エア吹き付け手段により吹き付けられるエアを加熱するエア加熱手段を備える。また、シート給送装置は、検出されたエアの温度に基づいてエア加熱手段による加熱動作を制御する制御手段を備える。こうしたシート給送装置によれば、平滑シート同士の吸着は解消される。同時に、シートの乾燥し過ぎによる画質ディフェクトも防止される。
【0008】
【特許文献1】特開平11−5643号公報
【特許文献2】特開平6−32473号公報
【特許文献3】特開2001−048366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1乃至3のようなシートの給送に関する技術では、シート供給装置内にシートが残っている状態でシート束が追加して積載されると、シート供給装置内に残っていたシートが底部となる。この底部となったシートは、シート供給装置内でシートが無い状態にならない限りいつまでも給送装置内に残留する。このようにシートが使用されない状態のまま長期間が経過すると、シートが含有する水分は、ヒータによって蒸発し続けてしまう。シートに適度な水分が含まれないと、シートに反りが生じてシートの搬送不良が発生し易くなったり、シートの表面性や静電抵抗値が変化して画像形成に不良が発生し易くなるといった問題がある。したがって、底部に残留したシートほどシート供給装置内に保管される期間が長いために、同じ印刷生成物であっても、新たに積載したシートと残留していたシートとでは、画像の品位が異なるという問題が発生していた。こうした問題を回避するために、表面性が様々なシートの含有水分量をシートの給送搬送時に瞬時に測定することは難しいし、シート給送装置にシートの水分量を測定する測定装置を設けるためには莫大なコストアップが必要になる。
【0010】
そこで、本発明は、上記実情から、シートの保存期間が長くてもシート内の含有水分量を適度に維持し、含有水分量の減少によるシートの搬送不良及びシートへの画像形成不良を抑制し、高品位な印刷物を出力できるシート給送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のシート給送装置は、シート給送装置本体の内部に配置され、シートを積載するシート積載部と、該シート積載部に積載したシートに対して加熱エアを吹き付ける加熱エア吹き付け手段と、を備えるシート給送装置において、前記シート積載部の上にシートが保存される保存期間に基づいて、前記加熱エア吹き付け手段が吹き出す加熱エアの制御条件を変更するエア条件変更手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シートの保存期間に基づいて、エア条件変更手段は、加熱エア吹き付け手段が吹き出す加熱エアの制御条件を変更する。シート給送装置本体の内部ではシートの保存期間の長さによってシートの含有水分量は変わり、保存期間が短いほどにシートの含有水分量は多く、保存期間が長いほどにシートの含有水分量は少なくなる。エア条件変更手段がシートの保存期間に基づいて加熱エアの制御条件を変更し、加熱エアの状態がシートの含有水分量に応じて調節されると、シートの含有水分量は一定水準に維持される。その結果、シートの含有水分量の過度な増減が防止され、シートの搬送不良又はシートへの画像形成不良は抑制され、高品位な印刷物が安定して出力される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る複写機1の主要構成を示す断面図である。図1に示すように、『画像形成装置』である複写機1は、原稿画像を読み取るイメージリーダ200、プリンタ300および給送部400を備える。給送部400には共通の給送機構を備えたシート収納庫401、451を備える。シート収納庫401、451にはシート7aの束すなわちシート束7が収納される。シート収納庫401には1000枚のシート束7が収納可能となっており、シート収納庫451には1500枚のシート束7が収納可能となっている。
【0014】
シート収納庫401、451は、シート収納庫401、451の内部の温度や湿度の条件に基づいてシート7aに吹き付けるエアの温度を調節する『加熱エア吹き付け手段』であるエアヒータやファンを備えても良い。また、シート収納庫401、451は、シート収納庫401、451の内部のエアの温度や湿度の条件を一定に保つための除湿ヒータを備えても良い。
【0015】
イメージリーダ200には原稿給送装置100が搭載されている。原稿給送装置100は、原稿トレイ113上に上向きにセットされた『シート』である原稿シートを先頭頁から順に1枚づつ左方向へ給送する。原稿給送装置100は、湾曲したパスを介してプラテンガラス102上を左から流し読み取り位置を経て右へ搬送し、その後外部の排出トレイ112に向けて排出する。この原稿シートがプラテンガラス102上の流し読み取り位置を左から右へ向けて通過するときに、この原稿画像は流し読み取り位置に対応する位置に保持されたスキャナユニット104により読み取られる。この読み取り方法は、一般的に、原稿流し読みと呼ばれる方法である。具体的には、原稿シートが流し読み取り位置を通過する際に、原稿シートの読み取り面がスキャナユニット104のランプ103の光で照射され、その原稿シートからの反射光がミラー105、106、107を介してレンズ108に導かれる。このレンズ108を通過した光は、イメージセンサ109の撮像面に結像する。
【0016】
このように流し読み取り位置を左から右へ通過するように原稿シートを搬送することによって、原稿シートの搬送方向に対して直交する方向を主走査方向とし、搬送方向を副走査方向とする原稿読み取り走査が行われる。すなわち、原稿シートが流し読み取り位置を通過する際に主走査方向に原稿画像を1ライン毎にイメージセンサ109で読み取りながら、原稿シートを副走査方向に搬送することで原稿画像全体の読み取りが行われる。そして、光学的に読み取られた画像はイメージセンサ109によって画像データに変換されて出力される。イメージセンサ109から出力された画像データは、図示しない画像信号制御部において所定の処理が施された後にプリンタ300の露光制御部110にビデオ信号として入力される。
【0017】
なお、原稿給送装置100により原稿をプラテンガラス102上に搬送して所定位置に停止させ、この状態でスキャナユニット104を左から右へ走査させることにより原稿シートを読み取ることも可能である。この読み取り方法は、いわゆる原稿固定読みと呼ばれる方法である。原稿給送装置100を使用しないで原稿を読み取るときには、まず、ユーザにより原稿給送装置100を持ち上げてプラテンガラス102上に原稿シートを載置し、そして、スキャナユニット104を左から右へ走査させることにより原稿シートの読み取りを行う。すなわち、原稿給送装置100を使用しないで原稿シートを読み取るときには、原稿固定読みが行われる。
【0018】
プリンタ300の露光制御部110は、入力されたビデオ信号に基づきレーザ光を変調して出力し、レーザ光はポリゴンミラーにより走査されながら感光ドラム111上に照射される。感光ドラム111には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。ここで、露光制御部110は、後述するように、原稿固定読み時には、正しい画像(鏡像でない画像)が形成されるようにレーザ光を出力する。
【0019】
この感光ドラム111上の静電潜像は、不図示の現像器から供給される現像剤によって現像剤像として可視像化される。また、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、各シート収納庫401,451、または両面搬送パスからシートが給送され、このシートは感光ドラム111と転写部116との間に搬送される。感光ドラム111に形成された現像剤像は転写部116により給送されたシート上に転写される。
【0020】
現像剤像が転写されたシートは定着部117に搬送され、定着部117はシート7aを熱圧することによって現像剤像をシート7a上に定着させる。定着部117を通過したシート7aは不図示のフラッパを切り替えることで、第1排出ローラ118を経て第1排出トレイ119、又は、第2排出ローラ120を経て第2排出トレイ121へ排出される。
【0021】
図2は、複写機1に装着されるシート給送装置80の構成を示す概略図である。こうしたシート給送装置80は、図2に示すように複写機1と別体に設けられても良いし、又は、複写機1の内部に設けられても良い。シート給送装置80は、前述したように図示しないエア捌き機構、エアヒータ、除湿ヒータを備え、これらは『シート給送装置本体』であるシート収納庫4の内部に設けられる。
【0022】
図2に示されるように、複写機1にはシート収納庫4から搬送ローラ2及び搬送路3を介してシート7aが供給され、複写機1はシート7aに画像形成を行う。ピックアップローラ5は給送開始と同時に回転を開始し、最も上に載置された最上シート6は搬送ローラ2及び搬送路3に送られる。ここでは、ピックアップローラ5を用いてシート7aの給送を行っているが、図示せぬエア吸引ベルトによるエア給送であっても良い。
【0023】
『シート束位置検知手段』である『シート面位置検知手段』としてのシート検知センサ8は、『シートの情報』として例えば、シート7aの厚さ、密度、寸法を検知して、『エア条件変更手段』である『制御手段』すなわち制御装置16に情報を送信する。この制御装置16は温風の制御条件を変更する『温風制御条件変更手段』として機能する。なお、『シートの情報』は、操作画面30等からユーザによって入力されても良い。また、シート検知センサ8は、シート束7の最上シート6がシート収納庫4の内部で最上の位置まで移動されたことを検知する。
【0024】
『温度検知手段』である温度検知センサ9は、シート収納庫4の内部の温度を検知して制御装置16に情報を送信する。『湿度検知手段』である湿度検知センサ10は、シート収納庫4の内部の湿度を検知して制御装置16に情報を送信する。
【0025】
『シート給送装置本体』であるシート収納庫4には、シート7aを積載可能な『シート積載手段』の一部である『シート積載部』としてのリフタ板23が配置される。リフタ板23はシート収納庫4の内部で昇降可能に構成されている。リフタ板23の側方にはダクト13が配置される。ダクト13の出口開口側には『加熱エア吹き付け手段』の一部であるファン11が配置される。ファン11は、シート7aの最上の位置に配置される最上シート6の付近に『加熱エア』を吹き付けて捌き、コートシート等の重送を防止する。スウィングシャッタ19は、例えば『シートの積載方向』例えば上下方向に往復で移動し、ファン11からの加熱エアを一部遮ったり通過させたりしてシート7aを捌く。スウィングシャッタ19は図示せぬスイングモータによって駆動される。
【0026】
シート7aはリフタ板23の上に積載される。リフタ板23は、シート収納庫4が閉じられた状態で後述するリフタモータ512(図3参照)によって常に最上シート6が『シート束位置検知手段』であるシート検知センサ8で検知できる位置まで持ち上げられる。
【0027】
また、リフタ板23には、シート有無検知センサ21及びリフタ板下限検知センサ22とが装備される。シート有無検知センサ21は、リフタ板23の上のシート7aの有無を検知する。シート有無検知センサ21は、シート収納庫4が開いた状態でシート7aが入れ替えられる場合を検知するために用いられる。一旦、シート収納庫4からシート7aが引き抜かれた場合に、『保存期間』は全てクリアになる。シート有無検知センサ21は、シート収納庫4が閉じた状態でも開いた状態でも検知できるようになっている。
【0028】
リフタ板下限検知センサ22は、リフタ板23がシート収納庫4の床面に対して移動する移動量を検知する。後述するが、シート検知センサ8及びリフタ板下限検知センサ22によってリフタ板23の昇降量は検知され、シート7aの補給前後の昇降量からシート束7の追加量は算出される。なお、シート有無検知センサ21はシート収納庫4が開いていても検知することができる。
【0029】
リフタ板23の側方にはダクト13が配置される。ダクト13の内部にはエアヒータ14が取り付けられる。空気は、ダクト13の下方から吸気され、エアヒータ14で温められ、ファン11で排気される。このエアヒータ14は、シート7aの給送開始前及びシート7aの給送動作中に加熱エアをシート7aに吹き付けるように設定される。なお、シート7aの給送開始前又は給送動作中の何れか一方のみの間に、加熱エアをシート7aに吹き付けるように設定することもできる。AC電圧18に接続されるSSR17が制御装置16で制御されると、エアヒータ14は内部の抵抗体を発熱して下方から吸気された空気を温める。
【0030】
『エアヒータ温度検知手段』であるエアヒータ温度検知センサ15は、エアヒータ14に接触してエアヒータ14の温度に関する情報を制御装置16に送信する。制御装置16は、エアヒータ温度検知センサ15からの情報に基づいてAC電圧18及びSSR17のオンオフ制御をする。制御装置16の制御条件は温度条件である。制御装置16は、後述する温度テーブル(図6参照)及び温度補正テーブル(図7参照)に基づいて、エアヒータ14の温度が一定値になるように温調制御を行う。詳細な制御に関しては後述する。また、エアヒータ14のエラー検知方法に関しては、エアヒータ温度検知センサ15を用いて、所定の温度以上に到達した場合に高温エラーを出すように制御される。また、制御装置16からエアヒータ14の駆動信号が出力されてから所定時間後に所定の温度に達しない場合には、低温エラーを出力するようになっている。ただし、エアヒータ14の低温エラーに関しては、後述するカセットヒータ40の低温エラーも同時に発生した場合に限り、低温エラーとして操作画面30上に表示するように制御される。
【0031】
『カセットヒータ温度検知手段』であるカセットヒータ温度検知センサ41はカセットヒータ40に接触し、カセットヒータ40に関する温度の情報を制御装置16に送る。制御装置16は、エアヒータ14と同様に、カセットヒータ温度検知センサ41からの情報を元に、AC電圧18とSSR17のオンオフ制御を行う。ただし、カセットヒータ40に関しては温度検知センサ9及び湿度検知センサ10によって算出された値を元に、カセットヒータ40への通電を制御しても構わない。
【0032】
図3は制御装置16のブロック図である。CPU501は、シート収納庫4の各駆動制御を行うプログラムを実行する。図3の下方側に示すように、CPU501にはRAM503及びROM502が接続される。ROM502の内容は図4で後述し、RAMの内容は図5で後述する。また、CPU501には、『シート有無検知手段』であるシート有無検知センサ21及び『シート束位置検知手段』である『シート面位置検知手段』としてのリフタ板下限検知センサ22が接続される。
【0033】
図3の上方側に示すように、CPU501にはAD変換器504が接続され、このAD変換器504には、シート検知センサ8、温度検知センサ9、湿度検知センサ10、カセットヒータ温度検知センサ41及びエアヒータ温度検知センサ15が接続される。これらの各センサ8,9,10,41,15からのアナログ入力は、CPU501でアナログレベルが判別可能なデジタル値に変換される。505はPWM生成回路であり、図2で説明したSSR17に対してオン/オフパルスを生成する。
【0034】
図3の左方側に示すように、CPU501にはモータドライバ506及びパルスエンコーダ507が接続される。モータドライバ506及びパルスエンコーダ507は、さらに『シート積載手段』の一部である『シート面持ち上げ機構』としてのリフタモータ512に接続される。リフタモータ512は、シート束7の補給後に所定の位置まで最上シート6のシート面を持ち上げる。また、パルスエンコーダ507は、リフタモータ512が駆動するときの駆動パルス数を計測する。この駆動パルス数の情報はCPU501で受信され、この駆動パルス数に基づいてCPU501はシート収納庫4のリフタ板23の位置を測定する。なお、モータドライバ506は、前述のようにリフタ板23を駆動するリフタモータ512を駆動する他に、搬送ローラを駆動する搬送モータ510、スイングシャッタを駆動するスイングシャッタ駆動モータ511に接続されてそれらを駆動する。
【0035】
図3の右方側に示すように、CPU501は開口ソレノイドスイッチ20を操作することによりシート収納庫4を開けるためのソレノイドを操作することができる。またCPU501はファン駆動ドライバ508を操作することにより、ファン11を操作することができる。また、CPU501は、シリアル通信ドライバ509を介して複写機1と通信する事が可能である。また、特に図示しないがCPU501は、CPU501内部に時計を有し、任意の時刻を認識することができる。また、特に図示しないがCPU501はシリアル通信ドライバ509を介して複写機1から時刻の情報を入手する構成であっても同じ効果が得られる事は自明である。
【0036】
図4は、ROM502のアドレスマップを示した図である。ROM502には、プログラム領域601、モータ駆動設定テーブル602及びヒータ制御温度テーブル603が格納される。プログラム領域601には制御プログラム本体及びデータが格納されている。モータ駆動設定テーブル602には、搬送モータ510、スイングシャッタ駆動モータ511、リフタモータ512を駆動するための駆動スピードや加速レート等の駆動パラメータが格納されている。ヒータ制御温度テーブル603には、後述するヒータ制御のための温度テーブル(図6参照)や、後述するヒータ制御のための温度補正テーブル(図7参照)が格納されている。
【0037】
図5は、RAM503のアドレスマップを示した図である。RAM503には、ワーク及びスタック領域701、並びに、シート束管理メモリ702が格納される。ワーク及びスタック領域701には、プログラムの実行に必要なワーク及びスタックの領域である。シート束管理メモリ702には、後述するシート束7に関する情報(図8参照)が格納される。
【0038】
上記構成において、エアヒータ14が温調を開始し、シート7aを捌いて、ピックアップローラ5が給送を開始する迄の動作に関して説明する。先ず、制御装置16は、温度検知センサ9及び湿度検知センサ10から制御装置16に送られた『温度湿度情報』と、シート検知センサ8から制御装置16に送られた『シート情報』とを元に、最適な目標となるエアヒータ温度を決定する。『シート情報』には具体的には、紙の厚さ、密度、サイズ等に関する情報がある。
【0039】
図6は、ヒータ制御のための温度テーブルである。図6に示すように、『加熱エア吹き付け手段』であるエアヒータ14の目標温度は設定される。まず、図6(a)に示すように、シート検知センサ8がシート収納庫4の内部に収容されるシートPをコートシートと判断する場合を想定する。
【0040】
点Jに示されるように、温度検知センサ9がシート収納庫4の内部の温度を25℃と検知し、湿度検知センサ10がシート収納庫4の内部の湿度を70%と検知したとする。その場合には、エアヒータ14の目標温度は90℃に設定される。ここでは、この90℃温調の環境をE2環境と呼ぶ。E2環境は、湿度がH2(=60%)以上である場合に設定される目標の環境である。エアヒータ温度検知センサ15からの情報に基づいて、制御装置16は、シート収納庫4の内部の温度が90℃以下と判断すると、SSR17の電源をオンしてエアヒータ14に通電して温度を上昇させる。反対に、制御装置16は、シート収納庫4の内部の温度が90℃よりも大きいと判断すると、SSR17の電源をオフしてエアヒータ14に対する通電を停止する。
【0041】
次に、点Kに示されるように、温度検知センサ9がシート収納庫4の内部の温度を35℃と検知し、湿度検知センサ10がシート収納庫4の内部の湿度を50%と検知したとする。その場合には、エアヒータ14の目標温度は60℃に設定される。ここでは、この60℃温調の環境をE1環境と呼ぶ。E1環境は、湿度がH2(=40%〜60%)である場合であって、温度がT1(=50℃)以下である場合に設定される目標の環境である。エアヒータ温度検知センサ15からの情報に基づいて、制御装置16は、シート収納庫4の内部の温度が60℃以下であると判断すると、SSR17の電源をオンしてエアヒータ14に通電して温度を上昇させる。反対に、制御装置16は、シート収納庫4の内部の温度が60℃よりも大きいと判断すると、SSR17の電源をオフしてエアヒータ14に対する通電を停止する。
【0042】
次に、点Lに示されるように、温度検知センサ9がシート収納庫4の内部の温度を55℃と検知し、湿度検知センサ10がシート収納庫4の内部の湿度を40%と検知したとする。その場合には、エアヒータ14はオフ(図中では「OFF」と記載、以下同じ)される。このようにエアヒータ14がオフされるのは、シート収納庫4の内部で湿度がH2(=60%)未満、かつ、温度がT1(=50℃)よりも大きい場合が相当する。または、エアヒータ14がオフされるのは、シート収納庫4の内部で湿度がH1(=40%)未満、かつ、温度がT1(50℃)未満である場合が相当する。ただし、この図6(a)のチャートは一例であり、最適な温調仕様としては更に細かく分ける必要があるが、ここでは簡単に示した。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、シート検知センサ8がシート収納庫4の内部に収容されるシートPを非コートシートと判断する場合を想定する。この場合には、エアヒータ14に通電されない。つまり、制御装置16は、SSR17をオフしたままの状態を継続する。ただし、この図6(b)のチャートは一例であり、最適な温調仕様としては更に細かく分ける必要があるが、ここでは簡単に示した。
【0044】
図7は、ヒータ制御のための温度補正テーブルである。図7に示すように、シートPがコートシートであってシート収納庫4の内部の環境がE1環境であると制御装置16が判断する場合には、シート収納庫4の内部におけるシートPの『保存期間』である待機時間によって補正温度が異なる。例えば、待機時間が『所定の期間以内』例えば2時間以内であれば補正温度は『第1目標温度』である『補正無しの温度』としての0℃とする。
【0045】
待機時間が『所定の期間を経過した後』例えば2時間以上24時間未満ならば補正温度は『第2目標温度』である『補正有りの温度』としての−10℃とする。待機時間が『所定の期間を経過した後』例えば24時間以上ならば補正温度は『第2目標温度』である『補正有りの温度』としての−15℃とする。
【0046】
シートPがコートシートであってシート収納庫4の内部の環境がE2環境であると制御装置16が判断する場合には、同様に、シート収納庫4の内部におけるシートPの『保存期間』である待機時間によって補正温度が異なる。例えば、待機時間が『所定の期間以内』例えば2時間以内であれば補正温度は『第1目標温度』である『補正無しの温度』としての0℃とする。
【0047】
待機時間が『所定の期間を経過した後』例えば2時間以上24時間未満ならば補正温度は『第2目標温度』である『補正有りの温度』としての−15℃とする。待機時間が『所定の期間を経過した後』例えば24時間以上ならば補正温度は『第2目標温度』である『補正有りの温度』としての−30℃とする。
【0048】
このように『第2目標温度』は『第1目標温度』よりも低く設定されている。なお、シートPが非コートシートである場合には、E1環境であるかE2環境であるかに関わらず補正温度は0℃とする。補正温度が0℃の場合には、エアヒータ14は制御されない。
【0049】
このようにシート束7がシート収納庫4に格納された時からのシート7aの保存時間に応じて、エアヒータ14の目標温度が補正される。例えば、図6(a)のK点で示すように、シート束7がコートシートの束で、シート収納庫本体4a内で温度が35℃、湿度が50%の場合を想定する。この場合には制御による目標温度は60℃である。加えて、このコートシートのシート束7がE1環境下で5時間保存される場合を想定する。この場合には目標温度60℃から10℃が引かれる。その結果、補正後の目標温度は50度となる。なお、シート7aが非コートシートの場合にはエアヒータ14を動作させないため、補正温度は0℃であり、目標温度は60℃のままである。
【0050】
図8(a)は、シート束7に関するデータ構造のフォーマットを示す概略図である。シート束管理メモリのデータ構造800は、シート束ID801、シート束上面位置802、シート束底面位置803、シート束補給時刻804、シート補給時のリフトアップ量805、底面のシート束ID806を備える。シート束管理メモリのデータ構造800は、『シート束毎』すなわちシート束7毎に、シート検知センサ8及びリフタ板下限検知センサ22で検知される『シート束の位置』すなわちシート束上面位置802及びシート束底面位置803を『位置情報』として記憶する。データ構造800はそうした『位置記憶手段』として機能する。また、このシート束管理メモリ702のデータ構造800は、シート束7毎に、時計で認識されるシート束補給時刻804を『補給時刻情報』として記憶する『補給時刻記憶手段』として機能する。シート束ID(ID)801はシート束を識別するためのIDである。ID801のエリアには、底に位置するシート束から順に1,2,,,の番号が割り振られる。
【0051】
シート束上面位置(Lup)802は、リフタ板23に補給されたシート束7の上面位置である。Lup802のエリアにはリフタモータ512の駆動パルスの数値が格納される。ここでは、シート束7がリフタ板23に積載される度に検知されるシート束上面位置802といった最上面位置情報は、シート束7毎に記憶される。リフタ板23上にシート7aが無い場合には、リフタ板23が最低位置に配置されるときにLup802は0となる。
【0052】
シート束底面位置(Ldwn)803は、リフタ板23に補給されたシート束7の底面位置である。Ldwn803のエリアにはリフタモータ512の駆動パルスの数値が格納される。ここでは、シート束7がリフタ板23に積載される度に検知されるシート束底面位置803といった最低面位置情報は、シート束7毎に記憶される。リフタ板23上におけるシート7aの有無に関わらず、リフタ板23が最低位置に配置されるときにLdwn803は0となる。
【0053】
このシート束上面位置(Lup)802及びシート束底面位置(Ldwn)803に関しては、図10に関する説明で後述する。
【0054】
シート束補給時刻(TsupN)804は、シート束7を補給してシート収納庫4を閉じた時の時刻である。シート束7がリフタ板23に積載される度に検知されるシート束7の補給時刻に関する補給時刻情報はシート束7毎に記憶される。シート束補給時のリフトアップ量(LiftN)805は、シート束7を補給してシート収納庫4を閉じたときにリフタ板23が持ち上がった移動量すなわち変位である。LiftN804のエリアには、リフタモータ512の駆動パルスの数値が格納される。
【0055】
底面のシート束ID(IDp)806は、新たに積載されるシート束7の下方で既に積載されているシート束7のシート束ID(ID)801が格納されている。
【0056】
なお、前述のシート束上面位置(Lup)802、シート束底面位置(Ldwn)803及びシート束補給時のリフトアップ量(LiftN)805は『位置情報』として活用される。
【0057】
図8(b)〜(d)は、シート束7に関するデータ構造の使用実施例を示す概略図である。シート束7が載置されないリフタ板23をリフトアップするときに、リフタモータ512の駆動パルスの数値を1000とする。シート束7は、シート束7を継ぎ足して積載される場合を想定する。
【0058】
シート束管理メモリのデータ構造807は、リフタ板23の最下部に格納されているシート束7を表す。図8(b)に示すように、リフタ板23に最初に載置されることからID=1に関するデータ構造が付される。シート束7がリフタ板23の最下部に配置されることからLdwn=0となる。シート束7の補給時のリフトアップ量LiftN=850とすると、シート束上面位置Lup=150となる。この場合に、シート束補給時刻TsupN=2007年、7月10日、16時40分が記録される。下部にはシート束7が存在しないことからIDp=0が付される。
【0059】
次に、シート束管理メモリのデータ構造808は、リフタ板23上のシート束7上に格納されるシート束7に関するデータ構造を表す。図8(c)に示すように、リフタ板23に2回目に載置されることからID=2が付される。シート束7がリフタ板23上でシート束7上に配置されることからLdwn=150となる。シート束7のリフトアップ量LiftN=530とすると、シート束上面位置Lup=470となる。この場合に、シート束補給時刻TsupN=2007年、7月10日、21時12分が記録される。下部にはシート束7が存在することからIDp=1が付される。
【0060】
次に、シート束管理メモリ809は、リフタ板23上のシート束7上に格納されるシート束7を表す。図8(d)に示すように、リフタ板23に3回目に載置されることからID=3が付される。シート束7がリフタ板23上でシート束7上に載置されることからLdwn=470となる。シート束7のリフトアップ量LiftN=170とすると、シート束上面位置Lup=830となる。この場合に、シート束補給時刻TsupN=2007年、7月10日、23時37分が記録される。下部にはシート束7が存在することからIDp=2が付される。
【0061】
このようにリフタ板23上に残存するシート束7上に新たなシート束7が追加されると、新たなシート束管理メモリが新たにRAM503の内部に追加される。また、特に図示しないが、シート収納庫4を開けてシート収納庫4の内部のシート束7が全て抜き取られた場合には、全てのシート束管理メモリはクリアされる。また、特に図示しないが、全てのシート7aが給送されたシート束7に関してもシート束管理メモリはクリアされる。
【0062】
図9は、シート収納庫4を開閉してリフタ板23上にシート束7を補給する工程を示すフローチャートである。制御装置16がシート収納庫4の開閉時のアルゴリズムを開始する(ステップ901、以下「ステップ」を単に「S」という。)。制御装置16は、シート収納庫4が開かれたか否かを判断する(S902)。YESであれば、制御装置16の指令により、リフタ板23がリフタ板下限検知センサ22をオンする位置までリフトダウンされる(S903)。この状態で操作者はシート収納庫4にシート7aを補充する。NOであれば、制御装置16は、再びシート収納庫4が開かれたか否かを判断する(S902)。
【0063】
次に、リフタ板23がリフトダウンされると(S903)、シート束7がリフタ板23に載置される。その後、制御装置16は、シート収納庫4が閉じられたか否かを判断する(S904)。YESであれば、制御装置16はリフタ板23のリフトアップを開始する。(S905)。制御装置16は、シート検知センサ8がオンされたか否かを監視し(S906)、YESであれば、シート束管理メモリを新たに生成する(S907)。シート束管理メモリの新たな生成にあたって、シート束IDの追加、シート束底面位置の演算、シート束補給時刻の記憶、『移動距離』としてのリフトアップ量の記憶、底面のシート束IDの追加等が行われる(S907)。
【0064】
NOであれば、所定時間を経過したか、すなわち、タイムアウトか否かを監視し(S908)、YESであれば、シート収納庫4にシート束7が無いことを図示しない表示部に表示する(S909)。NOであれば、再びシート検知センサ8がオンされたか否かを監視する(S906)。シート束管理メモリが新たに生成されるとアルゴリズムは戻り(S910)、再びシート収納庫4の開閉時のアルゴリズムを開始する(S901)。
【0065】
図10は、シート束を補給する場合のリフタ板23及びシート束7の位置の関係を示す概略図である。図10(a)(c)(e)に示すように、シート収納庫4が閉じられる場合には、リフタ板23は、シート束7の最上シート6がシート検知センサ8に接触してシート検知センサ8がオンするまで上昇する。また、図10(b)(d)(f)に示すように、シート収納庫4が開かれる場合には、リフタ板23は、シート収納庫4の底面までリフトダウンされ、シート束7は補充される。
【0066】
このときに、リフタモータ512の駆動パルスはカウントされ、ID=Nにシート束管理メモリに保管される。シート収納庫4の底部からシート検知センサ8までの高さがKパルス数に相当するとすれば、継ぎ足されたシート束上面位置Lup(N)は次式で表される。
【0067】
【数1】

また、同様に、シート束Nの底面位置Ldwn(N)は、次式で表される。
【0068】
【数2】

こうしてシート束7の境界は認識される。また、制御装置16は、シート束管理メモリ702が記憶するシート7aの補給前後のリフタ板23の昇降量の上方に基づいて、補給されたシート束7の位置情報を算出することになる。
【0069】
以下、シート収納庫4の底部からシート有無検知センサ21までの高さがK=1000パルス数に相当する場合を例示する。
【0070】
図10(a)に示すように、N−2段目のシート束7がリフタ板23の上に積載された場合に、N−2段目のシート束7の最上シート6がシート検知センサ8に接触する位置までリフタ板23は持ち上げられる。この場合に、リフタ板23がシート収納庫4の底面から上昇し、リフタ板23は、最上シート6がシート検知センサ8に接触する位置まで移動する。リフタ板下限検知センサ22はLiftN=850パルス数であることを検知する。そして、図10(b)に示すように、リフタ板23がシート収納庫4の底面に移動すると、CPU501は、N−2段目のシート束7は、Lup=150パルス数、Ldwn=0パルス数であると判断する。
【0071】
次に、図10(c)に示すように、N−1段目のシート束7がN−2段目のシート束7の上に積載された場合に、N−1段目のシート束7の最上シート6がシート検知センサ8に接触する位置までリフタ板23は持ち上げられる。この場合に、リフタ板23がシート収納庫4の底面から上昇し、リフタ板23は、最上シート6がシート検知センサ8に接触する位置まで移動する。リフタ板下限検知センサ22はLiftN=530パルス数であることを検知する。そして、図10(d)に示すように、リフタ板23がシート収納庫4の底面に移動すると、CPU501は、N−1段目のシート束7は、Lup=470パルス数、Ldwn=150パルス数であると判断する。
【0072】
次に、図10(e)に示すように、N段目のシート束7がN−1段目のシート束7の上に積載された場合に、N段目のシート束7の最上シート6がシート検知センサ8に接触する位置までリフタ板23は持ち上げられる。この場合に、リフタ板23がシート収納庫4の底面から上昇し、リフタ板23は、最上シート6がシート検知センサ8に接触する位置まで移動する。リフタ板下限検知センサ22はLiftN=170パルス数であることを検知する。そして、図10(f)に示すように、リフタ板23がシート収納庫4の底面に移動すると、CPU501は、N段目のシート束7は、Lup=830パルス数、Ldwn=470パルス数であると判断する。
【0073】
このようなN−2段目からN段目のシート束7が時期を違えてリフタ板23上に積載される場合には、『シート束7の厚み』が最も厚いシート束7の『保存期間』が基準として含まれて加熱エアの目標温度が設定される。こうしたシート束7の『厚み』、『保存期間』及び『設置環境』に応じてエアヒータ14の制御温度が変えられることにより、より最適な制御が可能となる。
【0074】
なお、N−2段目〜N段目のシート束7が時期を違えてリフタ板23上に積載される場合には、再下段にあるN−2段目のシート束7の『保存期間』が基準として含まれて加熱エアの目標温度が設定されることも可能である。あるいは、再下段にあるN−2段目のシート束7の『保存期間』及び『厚み』に基づいて加熱エアの目標温度が設定されることも可能である。
【0075】
さらには、再下段にあるN−2段目のシート束7から最上段にあるN段目のシート束7までの個々のシート束7の『保存期間』及び『厚み』といったパラメータの組み合わせに基づいて、より細かい目標温度が設定されることも可能である。
【0076】
なお、こうしたリフタ板23に既に保存されるシート束7が『既保存シート』に該当し、『既保存シート』に追加されるシート束7が『追加シート』に該当する。
【0077】
図11は、シート収納庫4からシート束7を給送するときの給送動作フローチャートである。制御装置16は給送手段の動作を開始する(S1101)。制御装置16は、給送時にまず現在時刻Tnowを取得する(S1102)。次に、制御装置16は、温度検知センサ9と湿度検知センサ10で現在の温度と湿度を取得し、環境区分ENVnowを決定する(S1103)。制御装置16は、現在のリフタ板23からシート面の高さLup(N)now=K−LiftNを求める(S1104)。ここで特に図示しないが、CPU501はリフタモータ512の駆動パルスより、常にシート面の高さを検知している。
【0078】
シート束7は、シート束IDが最も大きいシート束7であることから、現在時刻Tnowとシート束7がシート収納庫4に継ぎ足された時刻の差分Tstaynowを演算する(S1105)。
【0079】
次に、ENVnowとTstaynowを元に、図6のヒータ制御のための温度テーブルと、図7のヒータ制御のための温度補正テーブルからエアヒータ14の制御温度を決定し、加熱エアの制御温度を変更し、給送動作を開始する(S1107)。給送動作へと戻す(S1108)。
【0080】
本発明によれば、シート収納庫4に保存されたシート7aの保存期間に基づいて、制御装置16は加熱エアの制御条件を変更する。したがって、シート収納庫4の内部ではシート7aの保存期間の長さによってシート7aの水分含有量は変わり、保存期間が短いほどにシート7aの含有水分量は多く、保存期間が長いほどにシート7aの含有水分量は少なくなる。制御装置16がシート7aの保存期間に基づいて加熱エアの制御条件を変更し、加熱エアの状態がシート7aの含有水分量に応じて調節されると、シート7aの含有水分量は常に一定水準に維持される。その結果、シート7aの含有水分量の過度な増減が防止され、シート7aの搬送不良又はシート7aへの画像形成不良は抑制され、高品位な印刷物が安定して出力される。また、シート7aの含有水分量の予測のために、高価な含有雨水分量計測装置を設ける必要はない。
【0081】
また、制御装置16は加熱エアの温度条件を変更することから、シート7a内の含有水分量は蒸発の度合いによって変化する。
【0082】
さらに、シート7aの保存期間が短い場合には比較的に高い第1目標温度に設定され、シート7aの保存期間が長い場合には比較的に低い第2目標温度に設定される。したがって、保存期間が長いシート7aは、必要以上に高い温度で温められることはなくなる。その結果、保存期間が長いシート7aは従来以上に適度な含有水分量を適度に保持することができる。
【0083】
また、シート7aの保存期間に加えて、シート収納庫4の内部の温度、湿度、シート7aの種類が組み合わせられて制御条件が変更されると、加熱エアの制御条件はきめ細かく設定される。
【0084】
さらに、シート検知センサ8は、シート束7が新たにリフタ板23に積載される度にシート束7の位置を検知する。こうした複数のシート束7に関する位置情報に基づいて、シート7aの制御条件が段階的に変更される。実際には、一番古くからリフタ板23上に残存するシート束7に基づいて、シート7aの制御条件が変更される。
【0085】
また、複数のシート束7の補給時刻に関する補給時刻情報に基づいて、シート7aの制御条件が段階的に変更される。実際には、一番古くからリフタ板23上に残存するシート束7に基づいて、シート7aの制御条件が変更される。
【0086】
なお、前述しているが、シート給送装置80及び感光ドラム111等の画像形成部で画像形成装置が構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る複写機の主要構成を示す断面図である。
【図2】複写機に装着されるシート給送装置の構成を示す概略図である。
【図3】制御装置のブロック図である。
【図4】ROMのアドレスマップを示す図である。
【図5】RAMのアドレスマップを示す図である。
【図6】ヒータ制御のための温度テーブルである。
【図7】ヒータ制御のための温度補正テーブルについて示した図である。
【図8】シート束に関するデータ構造すなわちシート束管理メモリについて示す図である。
【図9】シート収納庫を開閉してリフタ板上にシートの束を補給する工程を示すフローチャートである。
【図10】シートの束を補給する場合のリフタ板及びシート束の位置関係を示す概略図である。
【図11】シート収納庫からシート束を給送するときの給送動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 複写機
4 シート収納庫(シート給送装置本体)
6 最上シート
7a シート
7 シート束
8 シート検知センサ(シート面位置検知手段)(シート束位置検知手段)
9 温度検知手段
10 湿度検知手段
11 ファン(加熱エア吹き付け手段)
14 エアヒータ(加熱エア吹き付け手段)
16 制御装置(エア条件変更手段)
21 シート有無検知センサ
22 リフタ板下限検知センサ(シート面位置検知手段)(シート束位置検知手段)
23 リフタ板(シート積載部)(シート積載手段)
80 シート給送装置
512 リフタモータ(シート積載手段)
800 シート束管理メモリ(位置記憶手段)
802 シート束上面位置(Lup)(位置情報)
803 シート束底面位置(Ldwn)(位置情報)
804 シート束補給時刻(TsupN)(補給時刻情報)
805 シート補給時のリフトアップ量(LiftN)(位置情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート給送装置本体の内部に配置され、シートを積載するシート積載部と、該シート積載部に積載したシートに対して加熱エアを吹き付ける加熱エア吹き付け手段と、を備えるシート給送装置において、
前記シート積載部の上にシートが保存される保存期間に基づいて、前記加熱エア吹き付け手段が吹き出す加熱エアの制御条件を変更するエア条件変更手段を備えることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記加熱エアの制御条件は温度条件であり、前記エア条件変更手段は加熱エアの温度を変更することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記加熱エアの制御条件は温度条件であり、加熱エアから吹き付けるエアの温度を、シートの保存期間が所定の期間以内である場合には第1目標温度に設定し、シートの保存期間が所定の期間を経過した後の場合には前記第1目標温度よりも低い第2目標温度に設定し、設定された温度に基づいて加熱エアの温度を変更することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記エア条件変更手段は、前記シートの保存期間に加え、前記シート給送装置本体の内部の温度、湿度、保存されるシートの種類の少なくともいずれか1つに基づいて、前記加熱エアの制御条件を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記シート給送装置本体の内部でシート束の位置を検知するシート束位置検知手段と、
前記シート給送装置本体の内部に補給されるシート束毎に、前記シート束位置検知手段で検知されるシート束の位置を位置情報として記憶する位置記憶手段とをさらに備え、
前記エア条件変更手段は、前記位置記憶手段が記憶する位置情報を加えた情報に基づいて、前記加熱エア吹き付け手段が吹き出す加熱エアの制御条件を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記シート給送装置本体の内部に補給されるシート束毎に、シート束の補給時刻を補給時刻情報として記憶する補給時刻記憶手段をさらに備え、
前記エア条件変更手段は、前記補給時刻記憶手段が記憶する補給時刻情報からシート束の保存期間を算出し、該シート束の保存期間に基づいて、前記加熱エア吹き付け手段が吹き出す加熱エアの制御条件を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
シートの保存期間は、シートが補給された時からシートの給送を開始する時までの期間であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記加熱エア吹き付け手段は、ヒータと、ファンとを備え、前記エア条件変更手段は、前記ヒータの温度を変更することによってシートに吹き付けられる加熱エアの温度を変更することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記シート積載部は昇降可能であり、
前記シート束位置検知手段は、前記シート積載部の上にシート束が補給される前の前記シート積載部の昇降量、及び、前記シート積載部の上にシート束が補給された後の前記シート積載部の昇降量を検知し、前記エア条件変更手段は、前記位置記憶手段が記憶する補給前後の前記シート積載部の昇降量の情報に基づいて、補給されたシート束の前記位置情報を算出することを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のシート給送装置と、シートに画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−298489(P2009−298489A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151280(P2008−151280)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】