説明

シーリングシステム

【課題】組立作業が容易で、密封性能にも優れたシーリングシステムを提供する。
【解決手段】密封対象流体が大気側に漏れるのを防ぐメインシール200と、メインシール200よりも大気側に配置されて、ダストが密封対象流体側に侵入するのを防ぐ第2ダストシール20と、を備えるシーリングシステムにおいて、第2ダストシール20は、柔軟性と弾性復元力とを有する素材によって構成されると共に、ハウジング450は、締結及び締結解除自在に構成される複数の部材により構成されており、第2ダストシール20は、これら複数の部材により挟み込まれることによってハウジング450に固定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダストシールを備えるシーリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設機械用の油圧シリンダにおいては、シリンダ(ハウジング)とピストン(軸)との間の環状隙間を封止するために、複数のシールから構成されるシーリングシステムが用いられる。かかるシーリングシステムは、油などの密封流体の漏れを防ぐメインシールと、ダストが密封領域内に侵入するのを防ぐダストシールとを備えている。一般的には、ダストシールは大気側に1つだけ配置される。しかしながら、非常に過酷な環境下で利用される場合には、ダストシールが2つ並べて用いられる。このような従来例に係るシーリングシステムについて、図6及び図7を参照して説明する。図6は従来例に係るシーリングシステムの使用状態を示す模式的断面図である。図7は従来例に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールを模式的に示す平面図である。
【0003】
図示の従来例に係るシーリングシステムは、ハウジング500に設けられた軸孔の内周面と、該軸孔に挿通される軸300の外周面との間の環状隙間を封止するために用いられるものである。そして、この従来例に係るシーリングシステムは、密封対象流体が大気側(A)に漏れるのを防ぐメインシール600と、ダストが密封対象流体側(O)に侵入するのを防ぐダストシール700とを備えている。この従来例では、ダストシール700は、メインシール600側に設けられる第1ダストシール710と、この第1ダストシール710よりも大気側に設けられる第2ダストシール720から構成されている。
【0004】
ここで、ハウジング500は、ハウジング本体510と、このハウジング本体510に対して、ボルトなどによって締結及び締結解除自在に構成される被締結部材520とから構成される。
【0005】
ハウジング本体510の軸孔の内周面には、環状溝511が設けられている。この環状溝511内に、メインシール600が装着される。なお、この従来例においては、メインシール600は、断面がU字形状のU字パッキン610と、U字パッキン610における大気側(A)の内周端縁を保護するためのバックアップリング620とから構成される。
【0006】
また、ハウジング本体510の軸孔の大気側(A)の開口端部には、段差を形成する環状凹部512が設けられている。この環状凹部512内に、第1ダストシール710が装着される。第1ダストシール710は、金属環711と、この金属環711に一体的に設けられるシール本体712とから構成される。この第1ダストシール710は、被締結部材520が締結されることにより、軸方向に位置決めされた状態で固定される。
【0007】
また、被締結部材520の軸孔の大気側(A)の開口端部には、段差を形成する環状凹部521が設けられている。この環状凹部521内に、第2ダストシール720が装着される。第2ダストシール720は、第1ダストシール710と同様に、金属環721と、この金属環721に一体的に設けられるシール本体722とから構成される。この第2ダストシール720は、被締結部材520の軸孔の内周面に設けられた環状溝に、止め輪530が嵌め込まれることにより、軸方向に位置決めされた状態で固定される。
【0008】
このように、この従来例に係るシーリングシステムにおいては、ダストシールが2つ並べて用いられる。したがって、ダストシールが1つだけの場合に比べて、密封対象流体側(O)にダストが侵入してしまうことを、より確実に防ぐことができる。
【0009】
ここで、第1ダストシール710に関しては、一般的なダストシールと同様に、周方向に対して切断された部分はない。そのため、組立時においては、軸300の端部側から第1ダストシール710を嵌めていく、あるいは、第1ダストシール710に対して軸300を挿入する作業が必要となる。
【0010】
これに対して、第2ダストシール720に関しては、大気に曝されるため、非常に過酷な環境下で利用される場合には、劣化の進行が激しい。例えば、シール本体722に泥水等が付着してこびりついてしまったり、シール本体722に付着した泥水等が氷結してしまったりし、その状態でシール本体722と軸300が摺動することによって、シール本体722のシールリップの摩耗が促進されてしまう。
【0011】
このように、第2ダストシール720は、劣化してしまい易いため、簡単に交換できるように構成されている。より具体的には、第2ダストシール720は、2つに分割された構成となっている。すなわち、図7に示すように、上面側から見て円形のものを2つに切断し、半円形状の2つの部材で構成するようにしている。これにより、分割された各部材を軸300の外周側から着脱できるため、被締結部材520をハウジング本体から外して、劣化したものを取り外し、新しいものを付けた状態で再び被締結部材520を締結させるだけで第2ダストシール720を簡単に交換することができる。
【0012】
しかしながら、第2ダストシール720は、製造上、まず上面側から見て円形のものを作成した後に、切断によって2つに分割される。そして、第2ダストシール720は金属環721を備えているため、金属環721の部分を切断するために、ある程度の厚みを有する刃によって切断しなければならない。なお、一般的には、グラインダーなどによって切断する。
【0013】
そのため、切断によって、金属環721の一部とシール本体722の一部は、削り取られることになる(図7中のC1とC2は削り取られる部分を示している)。従って、切断部分にはバリが発生するため、バリを除去する仕上げ加工が必要となっている。また、金属がインサートされたものを切断しなければならないため、専用の加工機によって切断しなければならない。
【0014】
また、一部が削り取られていることから、2つに分割されたものを合わせても完全な円にはならず、ハウジング500に装着した状態で、切断端部同士の間に隙間が生じることを避けることができない。具体的には、最大で2.5mm程度の隙間が発生している。また、切断端部の付近に隙間が生じることから、シールリップに力が加わると隙間に逃げるように変形できるので、シールリップの剛性も小さくなってしまう。これらのことから、シール性が劣ってしまい、特に切断端部同士の間に生じる隙間の辺りではシール性を発揮させることができない。
【0015】
また、2つに分割されたもののみでは、軸300に対して保持されない。そのため、できる限り隙間が小さくなるように適切な状態で第2ダストシール720を組み付けるためには、その作業に手間がかかる。従って、第2ダストシール720の交換作業が十分に容易であるとは必ずしも言えない。
【0016】
なお、関連する技術としては、特許文献1,2に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実開昭59−22360号公報
【特許文献2】特開2000−120608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、組立作業が容易で、密封性能にも優れたシーリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0020】
すなわち、本発明のシーリングシステムは、
ハウジングに設けられた軸孔の内周面と、該軸孔に挿通される軸の外周面との間の環状隙間を封止するシーリングシステムであって、
密封対象流体が大気側に漏れるのを防ぐメインシールと、
該メインシールよりも大気側に配置されて、ダストが密封対象流体側に侵入するのを防ぐダストシールと、
を備えるシーリングシステムにおいて、
前記ダストシールは、柔軟性と弾性復元力とを有する素材によって構成されると共に、
前記ハウジングは、締結及び締結解除自在に構成される複数の部材により構成されており、前記ダストシールは、これら複数の部材により挟み込まれることによって前記ハウジングに固定されることを特徴とする。
【0021】
前記ダストシールはウレタンゴムのみから構成されるとよい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、組立作業が容易で、密封性能にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るシーリングシステムの使用状態を示す模式的断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールを模式的に示す平面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールを模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールの模式的断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例2に係るシーリングシステムの使用状態を示す模式的断面図である。
【図6】図6は従来例に係るシーリングシステムの使用状態を示す模式的断面図である。
【図7】図7は従来例に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0025】
(実施例1)
図1〜図4を参照して、本発明の実施例1に係るシーリングシステムについて説明する。図1は本発明の実施例1に係るシーリングシステムの使用状態を示す模式的断面図である。図2は本発明の実施例1に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールを模式的に示す平面図である。図3は本発明の実施例1に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールを模式的に示す斜視図である。図4は本発明の実施例1に係るシーリングシステムにおける第2ダストシールの模式的断面図である。なお、図4は図2におけるAA断面図に相当する。
【0026】
<シーリングシステム>
特に、図1を参照して、本発明の実施例1に係るシーリングシステム全体の構成について説明する。本実施例に係るシーリングシステムは、ハウジング400に設けられた軸孔の内周面と、該軸孔に挿通される軸300の外周面との間の環状隙間を封止するために用いられるものである。より具体的な例としては、建設機械用の油圧シリンダなどに用いられる。油圧シリンダの場合には、シリンダがハウジング400に相当し、ピストンが軸300に相当し、ハウジング400内において、軸300が往復移動する。
【0027】
そして、本実施例に係るシーリングシステムは、密封対象流体(例えばオイル)が大気側(A)に漏れるのを防ぐメインシール200と、ダスト(埃、泥水など)が密封対象流体側(O)に侵入するのを防ぐダストシール100とを備えている。また、ダストシール100は、メインシール200側に設けられる第1ダストシール10と、この第1ダストシール10よりも大気側に設けられる第2ダストシール20とから構成されている。
【0028】
ここで、ハウジング400は、ハウジング本体410と、このハウジング本体410に対して、ボルトなどによって締結及び締結解除自在に構成される第1被締結部材420及び第2被締結部材430とから構成される。
【0029】
ハウジング本体410の軸孔の内周面には、環状溝411が設けられている。この環状溝411内に、メインシール200が装着される。なお、本実施例においては、メインシール200は、断面がU字形状のU字パッキン210と、U字パッキン210における大気側(A)の内周端縁を保護するためのバックアップリング220とから構成される。U字パッキン210は、軸300に対して摺動するシールリップを備えている。
【0030】
また、ハウジング本体410の軸孔の大気側(A)の開口端部には、段差を形成する環状凹部412が設けられている。この環状凹部412内に、第1ダストシール10が装着される。第1ダストシール10は、金属環11と、この金属環11に一体的に設けられるシール本体12とから構成される。シール本体12はウレタンゴムにより構成されており、密封対象流体側(O)に伸びる第1シールリップ12aと大気側(A)に伸びる第2シールリップ12bとを備えている。第1シールリップ12aと第2シールリップ12bは軸300に対して摺動する。なお、第1ダストシール10は、周方向に対して切断された部分はない。
【0031】
この第1ダストシール10は、第1被締結部材420がハウジング本体410に締結されることにより、軸方向に位置決めされた状態で固定される。第1被締結部材420は、ハウジング本体410の端面に密着する板状部421と、軸方向に伸びる筒状部422とを一体的に備えている。そして、第1被締結部材420がハウジング本体410に締結されることで、ハウジング本体410に設けられた環状凹部412と第1被締結部材420との間で環状溝が形成される。この環状溝に第1ダストシール10が嵌まることで、第1ダストシール10はハウジング400に対して固定される。
【0032】
また、第2被締結部材430の密封対象流体側(O)の開口端部には、段差を形成する
環状凹部431が設けられている。この環状凹部431内に、第2ダストシール20が装着される。なお、第2被締結部材430は、この第2被締結部材430とハウジング本体410との間に第1被締結部材420を挟みこむようにして、ハウジング本体410に対して固定される。
【0033】
第2ダストシール20は、環状の本体部21と、密封対象流体側(O)に伸びる第1シールリップ22と、大気側(A)に伸びる第2シールリップ23とを一体的に備えている。第2被締結部材430がハウジング本体410に対して固定されると、第2ダストシール20の本体部21が、第1被締結部材420と第2被締結部材430との間に挟みこまれることで、第2ダストシール20はハウジング400に対して固定される。なお、第2ダストシール20の本体部21の内周面も、第1被締結部材420に設けられた筒状部422によって支えられる。また、環状凹部431の内径は、第2ダストシール20の外径よりも小さく設定されている。従って、第2ダストシール20は軸300の軸心に向かって押し付けられるため、第1シールリップ22と第2シールリップ23は軸300の表面に対してより確実に密着する。
【0034】
<第2ダストシール>
特に、図2〜図4を参照して、第2ダストシール20について更に詳しく説明する。本実施例に係る第2ダストシール20は、ウレタンゴムのみから構成されており、周方向の1箇所にのみ切断部Cを有している。
【0035】
ここで、第2ダストシール20は、まず、公知の成形法によって、切断部のない環状の中間製品が成形される。そして、削り代を不要とする程度の薄い刃(例えば、かみそり)によって周方向の1箇所のみが切断されて、最終製品である第2ダストシール20が得られる(特に、図2及び図3参照)。なお、各図においては、円周方向に対して垂直に切断するストレートカットの場合を示しているが、円周方向に対して斜めに切断するバイアスカットとすることもできる。
【0036】
そして、ウレタンゴムのみによって構成された第2ダストシール20は、切断部Cの切断端部同士の隙間が軸300の径以上となるように変形させることができ、かつ外力をなくすと元の形に復元する程度の柔軟性と弾性復元力とを有する。なお、上記の変形には、切断端部同士を軸方向にずらすように変形させる場合も含まれる。
【0037】
<本実施例の優れた点>
本実施例に係るシーリングシステムによれば、第1ダストシール10と第2ダストシール20を2つ並べて配置する構成を採用したので、ダストシールが1つだけの場合に比べて、密封対象流体側(O)にダストが侵入してしまうことを、より確実に防ぐことができる。
【0038】
そして、大気側(A)に配置される第2ダストシール20は、切断端部同士の隙間を軸300の径以上となるように変形させることができるので、軸300に対して、軸300の外周側から簡単に着脱することができる。また、第2ダストシール20は、外力をなくすと元の形に復元するので、軸300に対して簡単に保持させることができる。これにより、簡単な作業で、第2ダストシール20を、ハウジング400に設けられた軸孔の内周面と該軸孔に挿通される軸300の外周面との間の環状隙間に対して、適切な状態となるように組み付けることができる。なお、環状のダストシールを切断する構成を採用する場合、ダストシールにおける相手部材(軸やハウジング)に対する面圧分布は、切断部の付近で乱れが生じてしまい、シール性を低下させる原因となる。本実施例では、切断部は1箇所のみであるので、面圧分布の乱れを最小限に抑えることができる。
【0039】
また、第2ダストシール20の切断部Cは、削り代を不要とする程度の薄い刃によって切断される。そのため、切断によってバリが生じてしまうこともないので、バリを除去する仕上げ加工を必要としない。また、第2ダストシール20が環状隙間に配置された状態において、切断端部同士の間に隙間が生じてしまうことを防止できる。更に、切断端部同士の間に隙間が生じることはないので、第1シールリップ22や第2シールリップ23に力が加わっても隙間に逃げるように変形してしまうというようなことはないので、これらのシールリップの剛性の低下を抑制することができる。なお、第2ダストシール20は、柔軟性を有することから、第2ダストシール20と第1ダストシール10との間にできる密閉空間内で密封流体による圧力が増加した場合、圧力が一定以上になると切断端部付近の一部が変形し、隙間ができて圧力を逃すことができる。従って、蓄圧を防止するための特別な構造を必要とすることはない。
【0040】
また、第2ダストシール20はウレタンゴムのみから構成される。これにより、削り代を不要とする程度の薄い刃でも簡単に切断することができる。また、切断するために、金属がインサートされたようなものを切断する場合に必要とするような専用の加工機を必要としない。ここで、薄い刃で切断可能な素材としては、例えば、フッ素ゴム、NBR、H−NBRを挙げることができる。ただし、耐寒性を考慮すると、ウレタンゴムを用いるのが好適である。
【0041】
また、第2被締結部材430をハウジング本体410から外して、第2ダストシール20を軸300の外周側に取り外し、新たな第2ダストシール20を軸300の外周側から取り付けてから再び第2被締結部材430をハウジング本体410に締結させるだけで、簡単に第2ダストシール20を交換することができる。
【0042】
以上のように、本実施例に係る第2ダストシール20によれば、第2ダストシール20を、従来に比べて簡単に製造することができ、しかも、第2ダストシール20の交換作業を従来に比べてより簡単にすることができる。さらに、シール性についても従来に比べて向上させることができる。
【0043】
(実施例2)
図5には、本発明の実施例2が示されている。本実施例では、上記実施例1の構成に対して、更に、へたり対策を図った構成を示す。なお、実施例1の構成と同一の構成部分については同一の符号を付して、適宜その説明は省略する。
【0044】
図5は本発明の実施例2に係るシーリングシステムの使用状態を示す模式的断面図である。本実施例においても、上記実施例1の場合と同様に、ハウジング450は、ハウジング本体410と、このハウジング本体410に対して、ボルトなどによって締結及び締結解除自在に構成される第1被締結部材460及び第2被締結部材470とから構成される。ハウジング本体410に関しては、実施例1の場合と同じ構成である。また、第2被締結部材470も、実施例1の場合と同様に、密封対象流体側(O)の開口端部には、段差を形成する環状凹部471が設けられた構成である。
【0045】
ただし、第1被締結部材460に関しては、実施例1の場合とは異なり、ハウジング本体410の端面に密着する板状の部分のみを有し、軸方向に伸びる筒状の部分は有していない。
【0046】
また、本実施例におけるシーリングシステムにおいても、実施例1の場合と同様に、メインシール200と、第1ダストシール10及び第2ダストシール20とから構成されるダストシール100とを備えている。
【0047】
そして、本実施例では、更に、第2ダストシール20を軸方向に対して押圧する押圧部材として機能するOリング30を備えている。このOリング30は、第2ダストシール20の本体部21の軸方向端面と第1被締結部材460との間に挟み込まれるように配置される。これにより、第2ダストシール20は、軸方向(ここでは、メインシール200から遠ざける方向)に押圧され、ハウジング450の一部である第2被締結部材470の環状凹部471の内壁面に対して押し付けられる。
【0048】
従って、第2ダストシール20が経時劣化によってへたってしまった場合でも、第2ダストシール20は軸方向に対して、位置決めされる。なお、Oリング30を第2被締結部材470の環状凹部471の隅部側に配置させて、第2ダストシール20をメインシールに近付ける側に押圧することで、第2ダストシール20を第1被締結部材460に対して押し付けるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 第1ダストシール
11 金属環
12 シール本体
12a 第1シールリップ
12b 第2シールリップ
20 第2ダストシール
21 本体部
22 第1シールリップ
23 第2シールリップ
30 Oリング
100 ダストシール
200 メインシール
210 U字パッキン
220 バックアップリング
300 軸
400 ハウジング
410 ハウジング本体
411 環状溝
412 環状凹部
420 第1被締結部材
421 板状部
422 筒状部
430 第2被締結部材
431 環状凹部
450 ハウジング
460 第1被締結部材
470 第2被締結部材
471 環状凹部
C 切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに設けられた軸孔の内周面と、該軸孔に挿通される軸の外周面との間の環状隙間を封止するシーリングシステムであって、
密封対象流体が大気側に漏れるのを防ぐメインシールと、
該メインシールよりも大気側に配置されて、ダストが密封対象流体側に侵入するのを防ぐダストシールと、
を備えるシーリングシステムにおいて、
前記ダストシールは、柔軟性と弾性復元力とを有する素材によって構成されると共に、
前記ハウジングは、締結及び締結解除自在に構成される複数の部材により構成されており、前記ダストシールは、これら複数の部材により挟み込まれることによって前記ハウジングに固定されることを特徴とするシーリングシステム。
【請求項2】
前記ダストシールはウレタンゴムのみから構成されることを特徴とする請求項1に記載のシーリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−21648(P2012−21648A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192777(P2011−192777)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2007−63531(P2007−63531)の分割
【原出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】