説明

シール部材の貼付け構造およびシール部材の貼付け方法

【課題】シール部材を複層構造とした場合にその構造を歪めることなくシール部材を貼り付けることが可能なシール部材の貼付け構造およびそのシール部材の貼付方法を提供する。
【解決手段】シール部材20の貼付け構造は、少なくとも2つの第1取付け面および第2取付け面を有する取付け部材30と、第1伸縮率を有する材料からなる第1シール層24と、第1シール層24の第1面22に接合され、第1伸縮率よりも小さい第2伸縮率を有する材料からなる第2シール層25と、第1シール層24の第2面23に設けられて、第1シール層24を第1取付け面から第2取付け面にかけて貼り付ける接着層27とを有するシール部材20とを含み、接着層27における第2取付け面への接着部分37は、その一部が第1シール層24側に押し込まれて第1シール層24内に埋入された状態の埋入部分38を有しており、埋入部分38では、接着層27同士が貼り合わされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層構造からなるシール部材を所定の取付け部材に貼り付ける貼付け構造、およびそのシール部材を取付け部材に貼り付ける貼付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した、複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置は、像担持体(例えば、感光体ドラムや転写ベルト)にトナーを供給して該像担持体上にトナー像を形成する現像装置を含む。
【0003】
現像装置は、基本的な構成要素として、現像剤を貯留する現像剤貯留部と、現像剤貯留部から現像剤を受け取って該現像剤を像担持体に供給することにより、該像担持体上にトナー像を形成する現像ローラと、現像剤貯留部および現像ローラを収容するハウジングとを含む。
【0004】
上記構成の現像装置では、現像ローラが像担持体に現像剤を供給するときに現像剤がハウジングの外部に漏出しないよう、現像ローラとハウジングとの間に介在させたシール部材が採用されている(例えば、特許文献1)。このシール部材により、漏出した現像剤が画像形成装置の内部において粉体汚染を発生させることを抑制している。
【0005】
特許文献1の現像装置では、シール部材として、フェルト材が用いられているが、近年の現像装置では、シール性をさらに高めることが要求されている。シール性を高める手段として、シール部材を複層構造(例えば内側シール層と外側シール層とからなる複層構造)とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−122694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複層構造としたシール部材を直角に曲がった面に貼り付けた場合、内側シール層の端面位置と外側シール層の端面位置とが揃わなくなる。内側シール層の端面位置と外側シール層の端面位置とが揃わないと、現像剤が現像装置から漏出しないようにシール部材を取り付けることは難しい。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、シール部材を複層構造とした場合にシール部材の端面を揃えた状態でシール部材を貼り付けることが可能なシール部材の貼付け構造およびそのシール部材の貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るシール部材の貼付け構造は、配向角度が異なり、隣接して配置された少なくとも2つの第1取付け面および第2取付け面を有する取付け部材と、互いに対向する第1面および第2面を有し、第1伸縮率を有する材料からなる第1シール層と、前記第1シール層の前記第1面に接合され、前記第1伸縮率よりも小さい第2伸縮率を有する材料からなる第2シール層と、前記第1シール層の前記第2面に設けられて、前記第1シール層を前記第1取付け面から前記第2取付け面にかけて貼り付ける接着層とを有するシール部材とを含み、前記接着層における前記第2取付け面への接着部分は、その一部が前記第1シール層側に押し込まれて前記第1シール層内に埋入された状態の埋入部分を有しており、前記埋入部分では、前記接着層同士が貼り合わされている。
【0010】
シール部材を取付け部材に貼り付けるシール部材の貼付け方法は、互いに対向する第1面および第2面を有し、第1伸縮率を有する材料からなる第1シール層と、前記第1シール層の前記第1面に接合され、前記第1伸縮率よりも小さい第2伸縮率を有する材料からなる第2シール層と、前記第1シール層の前記第2面に設けられた接着層とを有するシール部材を用意し、配向角度が異なり、隣接して配置された少なくとも2つの第1取付け面および第2取付け面を有する取付け部材を用意し、前記シール部材を、前記第1シール層を介して前記接着層により前記第1取付け面に貼付け、前記シール部材を前記第2取付け面に沿わせるように曲げ、前記接着層における前記第2取付け面に対向する対向部分の一部を前記第1シール層側に押し込んで、該一部が前記第1シール層内に埋入された埋入部分を形成し、前記シール部材を、前記第1シール層を介して前記接着層により前記第2取付け面に貼り付ける、各ステップを含む。
【0011】
上記構成のシール部材を、配向角度が異なり、隣接して配置された第1取付け面から第2取付け面にわたって貼り付けるとき、特に、第2取付け面が第1取付け面から見て屈曲面(90度または90度に近い面)である場合、第1取付け面と第2取付け面との間の角部においてシール部材の曲げが大きくなるため、第2シール層よりも大きい伸縮率を備えた第1シール層がシール部材の端面において第2シール層よりも出っ張ってしまい、第1シール層の端面位置と第2シール層の端面位置とが揃わない。
【0012】
しかしながら、本発明に係るシール部材の貼付け構造およびシール部材の貼付け方法によれば、接着層における第2取付け面に対する接着部分の一部を、第1シール層側に押し込んで該第1シール層内に埋入させることにより埋入部分を形成しているので、接着層の押し込みに伴って第1シール層が引っ張られる。これにより、シール部材の端面から出っ張った第1シール層の出っ張り部分を引っ込ませることができる。その結果、シール部材の端面において第1シール層の端面位置と第2シール層の端面位置とが揃う。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、前記接着層は両面テープからなる。この構成によれば、埋入部分において接着層同士を容易に貼り合わせることができる。
【0014】
本発明の他の好ましい実施形態において、前記第1シール層は発泡スポンジからなり、前記第2シール層はフェルトからなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るシール部材の貼付け構造および貼付け方法によれば、シール部材を第1シール層と第2シール層とからなる複層構造とした場合であっても、シール部材の端面において第1シール層の端面位置と第2シール層の端面位置とを揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の本実施形態に係るシール部材の貼付け構造および貼付け方法において用いられるシール部材の側面図である。
【図2】図1のシール部材を所定の取付け部材に貼り付ける手順を模式的に示す図である。
【図3】図1のシール部材を所定の取付け部材に貼り付ける手順を模式的に示す図である。
【図4】図1のシール部材を所定の取付け部材に貼り付ける手順を模式的に示す図である。
【図5】凹部が形成されたシール部材の拡大図である。
【図6】凹部が形成されたシール部材の拡大図である。
【図7】図1のシール部材を所定の取付け部材に貼り付ける手順を模式的に示す図である。
【図8】本実施形態に係るシール部材の貼付け構造が適用された現像装置を有する画像形成装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図9】現像装置の内部構造を示す断面図である。
【図10】シール部材が貼り付けられた現像剤漏出抑制部材の平面図である。
【図11】現像剤漏出抑制部材を現像装置に装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
まず、本実施形態に係るシール部材の貼付け方法およびその方法によって貼り付けられたシール部材の貼付け構造について説明する。図1は、本実施形態で用いられるシール部材の構造を示す側面図である。シール部材20は、互いに対向する第1面(図1では上面)22および第2面(図1では下面)23を有する第1シール層24と、第1シール層24の第1面22に接合される第2シール層25と、第1シール層24と第2シール層25とを接合する接合層26と、第1シール層24の第2面23に設けられた接着層27とからなる複層構造のものである。シール部材20の長手方向における両端部の各端面28,29は均一に揃っている、つまり、第1シール層24または第2シール層25が各端面28,29から出っ張っておらず、第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが揃っている。
【0019】
本実施形態では、第1シール層24は、例えば発泡スポンジから形成され、その材料に応じた第1伸縮率を有する。一方、第2シール層25は、例えばフェルトから形成され、その材料に応じた第2伸縮率を有する。第1シール層24および第2シール層25の材料は適宜選択可能であり、その材料選択は、第1伸縮率が第2伸縮率よりも大きくなるように行われる。
【0020】
接着層27は、第1シール層24の第1伸縮率を低下させない接着剤や、両面テープからなる。
【0021】
次に、図2〜図7を参照しながら、上記構成のシール部材20を所定の取付け部材に貼り付ける方法について模式的に説明する。図2に示すように、取付け部材30は、側面視において、第1取付け面31、第2取付け面32および第3取付け面33を有する略矩形状の部材であり、第1取付け面31、第2取付け面32および第3取付け面33は、互いに異なる配向角度を有し、互いに隣接した面である。具体的には、第1取付け面31と第2取付け面32との間の角部34は略90度であり、第2取付け面32と第3取付け面33との間の角部35も略90度である。シール部材20は、第1取付け面31から第3取付け面33にわたって貼り付けられる。
【0022】
シール部材20を取付け部材30に貼り付けるにあたり、まず、図2に示すように、シール部材20を、第1シール層24を介して接着層27によって前記長手方向における所定の長さ分だけ第1取付け面31に貼り付ける。
【0023】
次に、図3に示すように、シール部材20を、第1取付け面31と第2取付け面32との間の角部34において第2取付け面32に沿わせるようにして曲げた後、第1シール層24を介して接着層27によって第2取付け面32に貼り付ける。このとき、第1シール層24がシール部材20の一端部の端面29から出っ張った状態となる突出部36が形成されやすく、第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが揃っていない。なお、シール部材20の第2取付け面32への貼付けは、第1シール層24と角部34周辺部分との間に隙間が形成されないように行われる。
【0024】
第1シール層24の突出部36の発生について説明する。すなわち、角部34が略90度であるため、シール部材20を第1取付け面31から第2取付け面32にわたって貼り付けようとするとき、角部34においてシール部材20の曲げ度合いが大きくなる。そのため、シール部材20は、第1シール層24の第1伸縮率と第2シール層25の第2伸縮率との差に基づき変形する。具体的には、第2伸縮率よりも大きい第1伸縮率を有する第1シール層24は、シール部材20の長手方向に伸びやすく、逆に、第2シール層25は前記長手方向に伸びにくい、つまり、第1シール層24が前記長手方向に伸びる距離は、第2シール層25が前記長手方向に伸びる距離よりも大きい。
【0025】
したがって、第1シール層24と第2シール層25との間には、シール部材20の前記長手方向において互いに逆方向に作用する力が作用する。第1シール層24から見た場合、第1シール層24は第2シール層25を引っ張って該第2シール層25を前記長手方向に伸ばそうとする力Aを作用させる。逆に、第2シール層25から見た場合、第2シール層25は第1シール層24を引っ張って該第1シール層24が前記長手方向に伸びないように規制する力Bを作用させる。そして、第1シール層24が作用させる力Aのほうが、第2シール層25が作用させる力Bよりも大きいので、第1シール層24の突出部36が発生してしまう。このような突出部36の発生により、第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが揃わなくなる。
【0026】
図3に示す第1シール層24が出っ張った状態でシール部材20を第3取付け面33に貼り付けようとすると、第1シール層24の突出部36は、角部35によりさらに出っ張ってしまうことは明らかである。
【0027】
そこで、本実施形態では、第1シール層24の突出部36の発生を抑制するために、以下に説明するようにしてシール部材20を第3取付け面33に貼り付けている。すなわち、まず、図4に示すように、接着層27における第3取付け面33への接着部分37の一部を、平板状の治具を用いる等して矢印Cで示すように第1シール層24側に押し込んで第1シール層24内に埋入させる。これにより、接着部分37の一部が第1シール層24内に埋入された埋入部分38が形成される。第1シール層24は発泡スポンジから形成されているので、接着部分37の第1シール層24への押し込み(埋入)は容易である。接着部分37の押し込みに伴い、第1シール層24が凹み、接着部分37と第1シール層24からなる凹部39が形成される。図5は、凹部39が形成されたシール部材20の拡大図である。
【0028】
このとき、埋入部分38、つまり凹部39の形成に伴い、第1シール層24が矢印D(図4)で示すようにシール部材20の長手方向に、つまり、力A(図3)の作用方向とは逆方向に引っ張られて、図3に示す第1シール層24の突出部36が引っ込む。これにより、シール部材20の一端部の端面29が均一に揃う、具体的には、第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが均一に揃う。
【0029】
また、このとき、凹部39では、シール部材20の長手方向において接着層27同士が凹部空間を挟んで対向した状態、つまり、前記長手方向において接着層27からなる凹部壁46,46が対向した状態となっている。そして、その状態から、シール部材20に長手方向に力を作用させると、図6に示すように、接着層27からなる凹部壁同士46,46が貼り合わされ、凹部空間が消滅する。これにより、第1シール層24が前記長手方向に常時引っ張られた状態となるので、突出部36を引っ込ませた状態が維持され、第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが均一に揃う。
【0030】
そして、最後に、図7に示すように、シール部材20を、第1シール層24を介して接着層27によって第3取付け面33に貼り付ける。シール部材20は、長手方向両端部の各端面28,29が均一に揃った状態で、つまり第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが均一に揃った状態で取付け部材30に貼り付けられている。
【0031】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るシール部材20の貼付け方法およびその方法による貼付け構造によれば、シール部材20の取付け部材30への貼付けに伴う第1シール層24の突出部36の発生を抑制することが可能なので、シール部材20の端面28,29において第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが均一に揃う。
【0032】
また、接着層27は両面テープからなるので、埋入部分38において接着層27(凹部壁46)同士を容易に貼り合わせることができる。
【0033】
次に、上述したシール部材20の貼付け構造が適用された現像装置について説明する。まず、その現像装置を搭載する画像形成装置について間単に説明する。図8は、画像形成装置の内部構造を概略的に示す。画像形成装置10は、例えばタンデム式のカラープリンタであり、箱形を呈する装置本体11を含む。装置本体11は、内部に、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、画像形成部12によって形成され、用紙Pに転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙Pを貯留する用紙貯留部14とを含む。装置本体11の上部には、定着処理後の用紙Pが排出される用紙排出部15が設けられている。
【0034】
画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙Pにトナー画像を形成するものであって、本実施形態では、上流側(図8の紙面の右方)から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナー(現像剤)を用いるマゼンタ用ユニット12Mと、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット12Cと、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット12Yと、ブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット12Kとを含む。
【0035】
各ユニット12M,12C,12Y,12Kは、感光体ドラム121および現像装置122を含む。感光体ドラム121は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像(可視像)を形成するものであって、図8において反時計方向に回転しつつ対応する現像装置122からトナーの供給を受ける。各現像装置122は、図略のトナーカートリッジからトナーの補給を受ける。
【0036】
各感光体ドラム121の直下位置には、帯電装置123が設けられているとともに、各帯電装置123の下方位置には露光装置124が設けられている。各感光体ドラム121は、帯電装置123によって周面が一様に帯電され、コンピュータ等から入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が露光装置124から帯電後の感光体ドラム121のドラム表面に照射される。これにより、各感光体ドラム121のドラム表面に静電潜像が形成される。そして、静電潜像に現像装置122からトナーが供給されると、感光体ドラム121のドラム表面にトナー像が形成される。
【0037】
感光体ドラム121の上方には、駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間に張設された転写ベルト125が配設されている。転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた転写ローラ126によって感光体ドラム121のドラム表面に押し付けられた状態で、各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。
【0038】
駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間であって、従動ローラ125b側へ寄った位置にテンションローラ125cが設けられている。テンションローラ125cは、転写ベルト125に張力を与えるものであり、図略の付勢部材の付勢力で上方に付勢されている。したがって、転写ベルト125は、駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間でテンションローラ125cにより上方に押し上げられている。
【0039】
転写ベルト125の周回と共に、転写ベルト125の表面(像担持面)に対して、まず、マゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の一次転写が行なわれる。ついで、転写ベルト125におけるマゼンタトナー像の転写位置に、シアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。以下同様にして、イエロー用ユニット12Yによるイエローのトナー像の転写、およびブラック用ユニット12Kによるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。これにより、転写ベルト125の表面にカラーのトナー像が形成される。
【0040】
各感光体ドラム121の図8における左方位置には、感光体ドラム121のドラム表面上の残留トナーを除去して清浄化するドラムクリーニング装置127が設けられている。ドラムクリーニング装置127によって清浄化処理された感光体ドラム121のドラム表面は、新たな帯電処理のために帯電装置123へ向かう。ドラムクリーニング装置127で感光体ドラム121のドラム表面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収される。
【0041】
画像形成部12の図8における左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対110が設けられており、用紙貯留部14からの用紙Pは、搬送ローラ対110の駆動で転写ベルト125へ向けて搬送される。また、用紙搬送路111には、駆動ローラ125aと対向した位置で転写ベルト125の表面(像担持面)と当接した二次転写ローラ113が設けられている。二次転写ローラ113は転写ベルト125の像担持面との間で転写ニップ部を形成する。用紙Pは、転写ニップ部において転写ベルト125と二次転写ローラ113とに押圧挟持され、これにより、転写ベルト125上のトナー像が用紙Pに二次転写される。
【0042】
さらに、用紙搬送路111における転写ニップ部の下方には、一対のレジストローラ112が配設されている。レジストローラ112は、用紙Pを転写ニップ部に向けて適切なタイミングで搬送すると共に、用紙Pの斜め送りを修正する。
【0043】
用紙貯留部14は、装置本体11の図8における右側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、装置本体11内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された用紙トレイ142とを含む。用紙トレイ142には複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1が貯留される。用紙トレイ142は、上方に開口した箱体で構成され、用紙束P1が貯留可能になっている。用紙トレイ142に貯留された用紙束P1の最上位の用紙Pは、ピックアップローラ143の駆動で用紙搬送路111へ向けて1枚ずつ繰り出される。用紙トレイ142から繰り出された用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で用紙搬送路111を通って転写ニップ部へ向けて搬送される。
【0044】
定着部13は、二次転写された用紙P上のトナー像に対して定着処理を施す。定着部13は、内部に加熱源である通電発熱体を有する加熱ローラ131と、加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、定着ローラ132および加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、定着ベルト133を介して定着ローラ132と対向配置された加圧ローラ134とを含む。定着部13へ供給された用紙Pは、加圧ローラ134と高温の定着ベルト133との間を通過しながら定着ベルト133からの熱を得て定着処理が施される。定着処理の完了したカラー印刷済みの用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って用紙排出部15の排紙トレイ151へ向けて排出される。
【0045】
図9は、現像装置122の内部構造を示す断面図である。現像装置122は、該現像装置122の内部空間を画定する現像容器21を含む。現像装置122は、現像容器21内に、現像剤を貯留すると共に、現像剤を攪拌しつつ搬送することが可能とされた現像剤貯留部40と、現像剤貯留部40の上方に配置された磁気ローラ41と、磁気ローラ41の斜め上方位置で磁気ローラ41に対向配置された現像ローラ42と、先端が磁気ローラ41に対向するように配置された現像剤規制ブレード55とを含む。
【0046】
現像剤貯留部40は、現像装置122の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室40a,40bから構成されており、現像剤貯留室40a,40bは、現像容器21に一体に形成された仕切り板45によって長手方向において互いに仕切られているが、長手方向における両隅部において互いに連通されている。また、各現像剤貯留室40a,40bには、回転により現像剤を攪拌するスクリューフィーダ43,44が回転可能に装着されている。スクリューフィーダ43,44は、回転方向が互いに逆方向に設定されているので、現像剤は、現像剤貯留室40aおよび現像剤貯留室40b間を攪拌されつつ搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが帯電される。
【0047】
磁気ローラ41は、図略の駆動源によってローラ軸411回りに同心で回転される。磁気ローラ41は、現像装置122の長手方向に延びるように配設されている。磁気ローラ41が回転すると、磁気ローラ41の内部に配置された図略の磁石によって現像剤貯留部40から現像剤が磁気的に汲み上げられ、搬送される。
【0048】
磁気ローラ41の前記周面に磁気的に付着した現像剤の層厚は、現像剤規制ブレード55によって規制される。現像剤規制ブレード55は、磁気ローラ41の長手方向に沿って延び、その先端が前記周面との間で所定の隙間を形成するように配設された板部材である。磁気ローラ41が回転すると、現像剤規制ブレード55の前記先端によって、磁気ローラ41の前記周面上の現像剤の穂切りが行われる。この穂切りによって、現像剤の層厚が規制され、磁気ローラ41の前記周面上に、所定厚みの現像剤層、つまり磁気ブラシ層が均一に形成される。
【0049】
現像ローラ42は、図略の駆動源によってローラ軸421回りに同心で回転される。現像ローラ42は、現像装置122の長手方向に延びるように配設されている。現像ローラ42の周面は、磁気ローラ41の前記周面との間で所定の隙間を形成するように配設されている。また、現像ローラ42は、現像容器21に形成された所定の開口を通して感光体ドラム121に臨むように配設されており、現像ローラ42の周面と感光体ドラム121のドラム表面との間には所定の隙間が形成されている。
【0050】
現像ローラ42は、矢印の方向に回転されると、その周面が磁気ローラ41上の磁気ブラシ層と接触する。このとき、現像ローラ42と磁気ローラ41との間にバイアスを印加すると、電位差によって磁気ブラシ層からトナーのみが現像ローラ42の周面に移動し、前記周面上にトナー層が形成される。そして、現像ローラ42の周面上のトナー層が、現像ローラ42と感光体ドラム121との間の電位差によって感光体ドラム121のドラム表面に移動すると、感光体ドラム121のドラム表面に形成されている静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
【0051】
次に、図10および図11を参照しながら、上記構成の現像装置122において、図1〜図7に示すシール部材20の貼付け構造が適用された場合について説明する。図1に示すシール部材20は、現像装置122では、現像剤の外部への漏出を抑制する現像剤漏出抑制部材50に用いられる第1シール部材521として用いられている。図10は、第1シール部材521(シール部材20)が貼り付けられた現像剤漏出抑制部材50の平面図であり、図11は、現像剤漏出抑制部材50を現像装置122に装着した状態を示す斜視図である。
【0052】
図10に示すように、現像剤漏出抑制部材50は、現像ローラ42のローラ軸421の長手方向端部に外嵌されるシール部材保持体51と、シール部材保持体51に貼り付けられる第1シール部材521および第2シール部材522とを含む。
【0053】
シール部材保持体51は、現像ローラ42のローラ軸421の長手方向端部に外嵌される筒体511と、筒体511に軸方向に外嵌される保持部材512とを含む。保持部材512は、現像剤漏出抑制部材50が現像装置122に装着されたときに感光体ドラム121のドラム表面に対向する第1貼付け面61と、筒体511を挟んで第1貼付け面61の略反対側に位置する第2貼付け面62と、第1貼付け面61と第2貼付け面62とを連結する第3貼付け面63および第4貼付け面64とを有する。第2貼付け面62は、現像剤漏出抑制部材50が現像装置122に装着されたときに磁気ローラ41の周面に対向する面である。
【0054】
第1シール部材521(シール部材20)は、保持部材512の第3貼付け面63、第1貼付け面61、第4貼付け面64にわたって貼り付けられている。第1貼付け面61と第3貼付け面63との間および第1貼付け面61と第4貼付け面64との間には、それぞれ角部65,66が形成されているが、第1シール部材521は、上述した図2〜図7に示す貼付け方法に従い、埋入部分38が形成された状態で第3貼付け面63、第1貼付け面61、第4貼付け面64にわたって貼り付けられているので、長手方向両端部の各端面28,29が均一に揃った状態で、つまり第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが均一に揃った状態となっている。
【0055】
第2シール部材522は、第1シール部材521の一方の端面28、保持部材512の第2貼付け面62、第1シール部材521の他方の端面29にわたって貼り付けられている。第1シール部材521では、第1シール層24の端面位置と第2シール層25の端面位置とが均一に揃っているので、第2シール部材522が第1シール部材521に貼り付けられたとき、第1シール部材521の両端面28,29と第2シール部材522との間に隙間が形成されない。
【0056】
上記のように保持部材512に貼り付けられた第1シール部材521は、シール部材保持体51が現像装置122に装着されたとき、感光体ドラム121のドラム表面に摺接するので、現像ローラ42の周面上のトナーが該周面から軸方向外方に移動して現像容器21から漏出することが抑制される。また、第2シール部材522は磁気ローラ41の周面に摺接するので、磁気ローラ41の周面上のトナーが該周面から軸方向外方に移動して現像容器21から漏出することが抑制される。
【0057】
また、第1シール部材521の両端面28,29と第2シール部材522とは密着しているので、両端面28,29と第2シール部材522との間から現像剤が現像容器21の外部に漏出することが抑制されている。
【0058】
さらに、第1シール部材521の第2シール層25はフェルトからなるので、第1シール部材521は、感光体ドラム121のドラム表面に対する摺動性を確保することができる。
【符号の説明】
【0059】
20 シール部材
22 第1面
23 第2面
24 第1シール層
25 第2シール層
26 接合層
27 接着層
28,29 端面
30 取付け部材
31 第1取付け面
32 第2取付け面
33 第3取付け面
34,35 角部
36 突出部
38 埋入部分
39 凹部
46 凹部壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向角度が異なり、隣接して配置された少なくとも2つの第1取付け面および第2取付け面を有する取付け部材と、
互いに対向する第1面および第2面を有し、第1伸縮率を有する材料からなる第1シール層と、前記第1シール層の前記第1面に接合され、前記第1伸縮率よりも小さい第2伸縮率を有する材料からなる第2シール層と、前記第1シール層の前記第2面に設けられて、前記第1シール層を前記第1取付け面から前記第2取付け面にかけて貼り付ける接着層とを有するシール部材と、
を備え、
前記接着層における前記第2取付け面への接着部分は、その一部が前記第1シール層側に押し込まれて前記第1シール層内に埋入された状態の埋入部分を有しており、
前記埋入部分では、前記接着層同士が貼り合わされているシール部材の貼付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシール部材の貼付け構造において、前記接着層は両面テープからなるシール部材の貼付け構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシール部材の貼付け構造において、前記第1シール層は発泡スポンジからなり、前記第2シール層はフェルトからなるシール部材の貼付け構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシール部材の貼付け構造を備えた現像装置。
【請求項5】
シール部材を取付け部材に貼り付けるシール部材の貼付け方法であって、
互いに対向する第1面および第2面を有し、第1伸縮率を有する材料からなる第1シール層と、前記第1シール層の前記第1面に接合され、前記第1伸縮率よりも小さい第2伸縮率を有する材料からなる第2シール層と、前記第1シール層の前記第2面に設けられた接着層とを有するシール部材を用意し、
配向角度が異なり、隣接して配置された少なくとも2つの第1取付け面および第2取付け面を有する取付け部材を用意し、
前記シール部材を、前記第1シール層を介して前記接着層により前記第1取付け面に貼付け、
前記シール部材を前記第2取付け面に沿わせるように曲げ、
前記接着層における前記第2取付け面に対向する対向部分の一部を前記第1シール層側に押し込んで、該一部が前記第1シール層内に埋入された埋入部分を形成し、
前記シール部材を、前記第1シール層を介して前記接着層により前記第2取付け面に貼り付けるシール部材の貼付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−75863(P2011−75863A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227737(P2009−227737)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】