ジイミド系半導体材料およびジイミド系半導体材料を調製する方法
ジイミド系半導体材料が、それを調製する方法と共に提供される。そのジイミド系半導体材料を含む複合材および電子デバイスもまた提供される。式Iにおいて、Qは、1〜4個のRa基により場合によって置換されている縮合環部分であり、特にQは、
である。より具体的には、本教示は、N−官能化ジイミドに基づく有機半導体化合物および材料を提供する。これらの化合物は、溶液相処理に好適であり得る一連の特性を示すと同時に有用な電気特性を提供することができることが見出されている。本教示は、また、本明細書に開示されている化合物を含むさまざまな組成物、製品、構造物、およびデバイスも提供する。
である。より具体的には、本教示は、N−官能化ジイミドに基づく有機半導体化合物および材料を提供する。これらの化合物は、溶液相処理に好適であり得る一連の特性を示すと同時に有用な電気特性を提供することができることが見出されている。本教示は、また、本明細書に開示されている化合物を含むさまざまな組成物、製品、構造物、およびデバイスも提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
序論
ほとんどの有機半導体の電子構造は、主としてsp2混成の炭素原子およびある程度ヘテロ原子例えば硫黄、セレン、窒素、および酸素などを構成する分子/ポリマーσ骨格内の非局在化π軌道からなる。有機固体中の電荷輸送の一次機構は、電気接点で注入された電荷担体の分子から分子(鎖から鎖)への移動を可能にするπ−π軌道相互作用をもたらす高効率の分子/ポリマー鎖スタッキングに基づく。
【0002】
n型(ここでは電子が大部分の電荷担体である)トランジスタに適用するために設計された有機半導体の場合は、さらなる要件を考慮に入れる必要がある。これらのさらなる要件としては、LUMO(最低空分子軌道−無機半導体用の伝導体に相当)エネルギーに関する材質の適合性、ソース/ドレイン電極に適合した適切なエネルギー、ならびにON状態のトランジスタにおける導電率を最大にするための最適化した膜の形態および微細構造が挙げられる。
【0003】
今日まで、最適化された有機材料は、それらの改良された環境安定性のために主としてp型(ここでは正孔が大部分の電荷担体である)半導体である。対照的に、n型有機材料は、少数の小分子およびポリマーに限られている。その限られた数の有望なn型半導体の中で、それらのほとんどは、空気中での不十分な安定性および通常の有機溶媒中での不十分な溶解性を含めた重大な欠点が問題であり、それによりこれらn型半導体化合物で使用することができる製造プロセスの様式(例えば印刷堆積)が限定される。
【0004】
それ故、当技術分野には、コンプリメンタリ回路、有機発光ダイオード(OLED)、有機起電素子、キャパシタ、およびセンサーを含むがこれらに限定されないさまざまなデバイス設計に組み込むことができる新規な空気中で安定であり溶液処理が可能なn型の有機半導体化合物、組成物、および材料に対する要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述を踏まえて、本教示は、上で概説したことを含む従来技術のさまざまな欠陥および短所に対処することができる有機半導体化合物および材料ならびに関連するデバイスを提供する。
【0006】
より具体的には、本教示は、N−官能化ジイミドに基づく有機半導体化合物および材料を提供する。これらの化合物は、溶液相処理に好適であり得る一連の特性を示すと同時に有用な電気特性を提供することができることが見出されている。
【0007】
1態様において、本開示は、式:
【0008】
【化1】
(式中、QおよびR1は、本明細書に定義されている通りである)を有する化合物を提供する。
【0009】
本教示は、また、本明細書に開示されている化合物を含むさまざまな組成物、製品、構造物、およびデバイスも提供する。
【0010】
本教示の前記のおよびその他の特徴ならびに利点は、以下に続く図面、記述、および特許請求の範囲からより十分に理解されよう。
【0011】
当然のことながら、以下に記載の図面は、説明目的のみのためのものであり本教示の範囲を多少なりとも限定しようとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】クロロホルム中の本教示の化合物(PDIPhl2−CN2)の紫外−可視(UV−vis)吸収スペクトルの図である。
【図2】クロロホルム中の本教示の化合物(PDIPhPh8−CN2)のUV−vis吸収スペクトルの図である。
【図3】クロロホルム中の本教示の化合物(PDI1Ph−CN2)のUV−vis吸収スペクトルの図である。
【図4】本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図5】本教示の化合物(PDIPhPh8−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図6】本教示の化合物(PDIPh6−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図7】本教示の化合物(PDIPhPhCitr−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図8】本教示の化合物(PDIPhCitr−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図9】本教示の化合物(PDIPhCitr−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図10】本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図11】本教示の化合物(PDIPhl2−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図12】本教示の化合物(PDIPhPhCitr−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図13】本教示の化合物(PDIPhl2−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、蒸気相から析出させた。
【図14】本教示の化合物(PDI1Ph4−CN2)の50nm厚の膜の広角X線回折(WAXRD)Θ/2Θスキャン(および001反射のロッキングカーブ)の図である。
【図15】図15Aは、本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の蒸気相析出膜に対するWAXRDΘ/2Θスキャンの図である。図15Bは、本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の溶液相析出膜に対するWAXRDΘ/2Θスキャンの図である。
【図16】図16Aは、本教示の化合物(PDI8−CN2)のクロロホルムからスピンコートした膜に対して空気中で測定した代表的移動プロットの図である。図16Bは、本教示の化合物(PDI2EH−CN2)のクロロホルムからスピンコートした膜に対して空気中で測定した代表的移動プロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本教示は、化合物、例えば、有機半導体化合物、同じものを調製するための方法、ならびに、上記化合物を含む組成物、材料、製品、構造物、およびデバイスに関する。
【0014】
本教示は、さまざまな有機電子物品、構造物およびデバイスを組み立てるために使用することができる有用な電気的性質を示す蒸着された、溶液処理が可能な、例えばスピンコートができ、印刷することができる有機半導体材料(化合物および組成物を含む)を提供する。本明細書に開示されている該有機半導体材料は、n型半導体材料(この場合電荷担体は実質的に電子である)として有用であり得、他にも用途はあるが、無機または有機のいずれかであるp型半導体(この場合その電荷担体は実質的に正孔である)によるコンプリメンタリ回路を形成するために使用することができる。
【0015】
特に、本教示は、さまざまなジイミド類を提供し、その窒素原子は、全体としての化合物の溶解性を高めることができる官能基により置換される。これらの化合物は、一般的には1つまたは複数の通常の溶媒中で少なくともいくらかの溶解性を有しており、周囲条件において安定であり得る。特定の理論に拘泥するつもりはないが、窒素原子における適切な官能化は、また、電荷移動度を高めるフィルム内の微細構造の秩序化を増進することもできる。特定の実施形態において、2−アルキル置換アルキル基による本教示の化合物のイミド窒素の官能化は、スピンコートしたとき、結果として生じるデバイスの電子移動度および電流Ion:Ioff比に予期しない増加を与える組成物をもたらす。本教示は、また、1つまたは複数のこれらの化合物を含む組成物、製品、構造物、およびデバイスも提供する。
【0016】
本記述を通して、組成物が特定の成分を有する、包含する、もしくは含むと記載されている場合、またはプロセスが、特定のプロセスステップを有する、包含する、もしくは含むと記載されている場合、それは本教示の組成物が、また、列挙された成分から本質的に構成されるか、その成分から構成されており、本教示のプロセスも、列挙した処理ステップから本質的に構成されるか、そのステップから構成されていることを言おうとしている。
【0017】
用語「包含する」、「包含している」、「有する」、または「有している」は、別段の記述がない限り、上限が決められておらず、限定されないものと一般に理解すべきである。
【0018】
本出願において、要素または成分が、列挙した要素または成分のリストに包含され、かつ/またはそこから選択されると言われる場合、その要素または成分は、列挙された要素または成分のどれか1つであり得、その列挙された要素または成分の2つ以上からなる群から選択することができるものと理解すべきである。さらに、本明細書に記載の組成物の要素および/または特徴、装置、あるいは方法は、本明細書において明示されていようと黙示的であろうと、本教示の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな方法で組み合わせることができることを理解すべきである。
【0019】
本明細書における単数形の使用は、別段の記述がない限り、複数を含む(逆の場合もある)。加えて、用語「約」の使用が、定量値の前にある場合、別段の記述がない限り、本教示は、その特定の定量値そのものも含む。本明細書で使用される用語「約」は、名目値から±10%の変動を意味する。
【0020】
ステップの順序または一定の行動を実施するための順序は、本教示が実施可能のままである限りは重要でないことは当然である。その上、2つ以上のステップまたは操作を同時に行うことができる。
【0021】
本明細書で使用する「溶液処理可能な」とは、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア、フレキソグラフィー)、スプレーコーティング、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスティング、ディップコーティング、およびブレードコーティングを含むさまざまな溶液相プロセスで使用することができる化合物、材料、または組成物を指す。
【0022】
本明細書で使用する「縮合環部分」とは、少なくとも1つの環が芳香族であり、その芳香環(炭素環または複素環)が、芳香族または非芳香族で、炭素環または複素環であり得る少なくとも1つの他の環と共通の結合を有している少なくとも2つの環を有する多環式環系を指す。これらの多環式環系は、高度にπ共役することができ、無制限に、式:
【0023】
【化2】
を有し、式中、aは、0〜3の範囲の整数であり得るリレン(rylene)、および式:
【0024】
【化3】
を有し、式中、bは、0〜4の範囲の整数であり得る線状アセン(acene)を含むことができる。
【0025】
本明細書で使用する「イミド」とは、窒素原子を本明細書に開示されているように置換することができる−C(O)−NH−C(O)−基を指す。
【0026】
本明細書で用いる「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0027】
本明細書で用いる「オキソ」とは、二重結合した酸素(すなわち、=O)を指す。
【0028】
本明細書で用いる「アルキル」とは、直鎖または分枝飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)基などが挙げられる。さまざまの実施形態において、アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC1〜20アルキル基である。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有することができ、「低級アルキル基」と称することができる。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、およびブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル)基が挙げられる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここで、Rbは、本明細書に開示されているものである。
【0029】
本明細書で用いる「2−アルキル置換アルキル」とは、その2の位置がアルキル基によって置換されているアルキル基を指す。例えば、2−アルキル置換アルキル基が、本明細書に述べられている式中のR1のようなイミドの窒素上に存在するとき、そのイミドの窒素から離れた2番目の炭素原子が、アルキル基により置換されている。2−置換アルキル基は、3〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC3〜20アルキル基である。いくつかの実施形態において、該2−置換アルキル基は、3〜10個の炭素原子(すなわちC3〜10アルキル基)または3〜8個の炭素原子(すなわちC3〜8アルキル基)を有することができる。置換基のアルキル基は、1〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC1〜20アルキル基であり得る。いくつかの実施形態において、該置換基のアルキル基は、1〜10個の炭素原子(すなわちC1〜10アルキル基)、1〜8個の炭素原子(すなわちC1〜8アルキル基)、または1〜6個の炭素原子(すなわちC1〜6アルキル基)を有することができ、後の例は「低級アルキル基」と称することができる。勿論、アルキル基の各具体例は、2−置換アルキル基と置換基のアルキル基とのさまざまな具体的な組合せの中で個々に列挙されるものが考えられる。例えば、その2−置換アルキル基は、n−プロピル、n−ブチル、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基またはデシル基であり得る。これらの2−置換アルキル基のそれぞれと組み合わされる置換基のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル基(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などであり得る。特定の実施形態において、該2−アルキル置換アルキル基は、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−プロピルへキシル、2−ブチルへキシル、2−ペンチルへキシル、または2−ヘキシルへキシルであり得る。当然のことながら、2−アルキル置換アルキル基は、置換が3番目以上の炭素原子で起こっているという条件で二置換または三置換のものであり得る。
【0030】
本明細書で用いる「3−アルキル置換アルキル」とは、その3の位置がアルキル基によって置換されているアルキル基を指す。例えば、3−アルキル置換アルキル基が、本明細書に述べられている式中のR1のようなイミドの窒素上に存在するとき、そのイミドの窒素から離れた3番目の炭素原子が、アルキル基により置換されている。3−アルキル置換アルキル基のさまざまな実施形態は、置換が起こっている炭素原子が異なることを別にすれば2−アルキル置換アルキル基について上で記したものと類似している。当然のことながら、3−アルキル置換アルキル基は、置換が4番目以上の炭素原子で起こっているという条件で二置換または三置換のものであり得る。
【0031】
本明細書で用いる「アルコキシ」とは、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基は、1〜20個の炭素原子、例えば1〜10個の炭素原子(すなわち、C1〜10アルコキシ基)を有することができる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ基などが挙げられるがこれらに限定はされない。
【0032】
本明細書で用いる「アルキルチオ」とは、−S−アルキル基を指す。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(例えば、n−プロピルチオおよびイソプロピルチオ)、t−ブチルチオ基などが挙げられるがこれらに限定はされない。
【0033】
本明細書で用いる「ハロアルキル」とは、1つまたは複数のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。ハロアルキル基の例としては、CF3、C2F5、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、CH2Cl、C2Cl5などが挙げられるがこれらに限定されない。ペルハロアルキル基、すなわちすべての水素原子がハロゲン原子により置き換わっているアルキル基(例えばCF3およびC2F5)は、「ハロアルキル」の定義の中に含まれる。例えば、C1〜20ハロアルキル基は、式−CnX2n+1または−CnX2n+1−tXtを有することができ、式中、Xは、F、Cl、Br、またはIであり、nは、1〜20の範囲の整数であり、tは、tが2n+1以下であることを条件として0〜41の範囲の整数である。
【0034】
本明細書で用いる「アリールアルキル」とは、−アルキル−アリール基を指し、ここで該アリールアルキル基は、アルキル基を介して当該定義されている化学構造に共有結合している。アリールアルキル基は、−L−C6〜14アリール基、−L’−C6〜14アリール基または−Y−C6〜14アリール基の定義の範囲内であり、ここでL、L’およびYは、独立に、二価のC1〜20アルキル基である。アリールアルキル基の1例は、ベンジル基(−CH2−C6H5)である。アリールアルキル基のアリール基は、本明細書に開示されているように場合によって置換されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、−L−Ar1−R2および−L’−Ar2−R3は、独立に−C1〜20アルキル−C6〜14アリール基であることができ、ここでR2およびR3はHであり、C6〜14アリール基は1〜4個のRd基により場合によって置換されていてよく、Rdは本明細書に定義されている通りである。上記の場合によって置換されているアリールアルキル基は、式:
【0035】
【化4】
によって表すことができ、式中、p’は、1〜20の範囲の整数であり、qは、0〜4の範囲の整数であり、Rdは本明細書に定義されている通りである。
【0036】
本明細書で用いる「アルケニル」とは、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝アルキル基を指す。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基などが挙げられるがこれらに限定されない。その1つまたは複数の炭素−炭素二重結合は、内部に(例えば2−ブテン中など)または末端に(例えば1−ブテン中など)にあることができる。さまざまな実施形態において、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC2〜20アルケニル基であり得る。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0037】
本明細書で用いる「アルキニル」とは、1つまたは複数の三重の炭素−炭素結合を有する直鎖または分枝アルキル基を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。その1つまたは複数の三重の炭素−炭素結合は、内部に(例えば2−ブチン中など)または末端に(例えば1−ブチン中など)にあることができる。さまざまな実施形態において、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC2〜20アルキニル基であり得る。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0038】
本明細書で用いる「シクロアルキル」とは、環化されたアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含めた非芳香族炭素環基を指す。シクロアルキル基は、炭素原子が、環系の内側または外側に位置する単環式(例えばシクロヘキシル)または多環式(例えば、縮合、架橋、および/またはスピロ環系を含む)であり得る。そのシクロアルキル基の任意の適当な環の位置を当該定義されている化学構造に共有結合させることができる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカリル、アダマンチル、およびスピロ[4.5]デカニル基、ならびにそれらの同族体、異性体などが挙げられるがこれらに限定されない。さまざまな実施形態において、シクロアルキル基は、3〜14個の炭素原子を有することができ、3〜10個の炭素原子(すなわちC3〜10シクロアルキル)を含む。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0039】
本明細書で用いる「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外の任意の元素であり、例えば、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、およびセレンを含めた原子を指す。
【0040】
本明細書で用いる「シクロへテロアルキル」とは、O、N、SおよびSeから選択される少なくとも1つの環へテロ原子を含み、1つまたは複数の二重結合または三重結合を場合によっては含む非芳香族シクロアルキル基を指す。さまざまな実施形態において、シクロへテロアルキル基は、3〜20個の環原子を有することができ、3〜14個の環原子(すなわち3〜14員のシクロへテロアルキル基)を含む。シクロへテロアルキル環中の1つまたは複数のNまたはS原子は、酸化されていてもよい(例えば、モルホリンN−オキシド、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド)。いくつかの実施形態において、シクロへテロアルキル基の窒素原子は、置換基、例えば、水素原子、アルキル基または本明細書に記載されているようなその他の置換基を持つことができる。シクロへテロアルキル基は、また、1つまたは複数のオキソ基、例えば、オキソピペリジル、オキソオキサゾリジル、ジオキソ−(1H,3H)−ピリミジル、オキソ−2(1H)−ピリジルなどを含有することができる。シクロへテロアルキル基の例としては、とりわけ、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、などが挙げられる。いくつかの実施形態において、シクロへテロアルキル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0041】
本明細書で用いる「アリール」とは、芳香族単環式炭化水素環系または2つ以上の芳香族炭化水素環が共に縮合している(すなわち、共通の結合を有する)か、または少なくとも1つの芳香族単環式炭化水素環が1つまたは複数のシクロアルキルおよび/またはシクロへテロアルキル環に縮合している多環式環系を指す。アリール基は、複数の縮合環を含むことができるその環系において6〜14個の炭素原子を有することができる。いくつかの実施形態において、多環式アリール基は、7〜14個の炭素原子を有することができる。そのアリール基の任意の適当な環の位置を当該定義されている化学構造に共有結合させることができる。芳香族炭素環(1つ以上)のみを有するアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル(二環式)、2−ナフチル(二環式)、アントラセニル(三環式)、フェナントレニル(三環式)などの基が挙げられるがこれらに限定はされない。少なくとも1つの芳香族炭素環が1つまたは複数のシクロアルキルおよび/またはシクロへテロアルキル環に縮合している多環式環系の例としては、とりわけ、シクロペンタン(すなわち、5,6−二環式シクロアルキル/芳香環系であるインダニル基)、シクロヘキサン(すなわち、6,6−二環式シクロアルキル/芳香環系であるテトラヒドロナフチル基)、イミダゾリン(すなわち、5,6−二環式シクロへテロアルキル/芳香環系であるベンズイミダゾリニル基)、およびピラン(すなわち、6,6−二環式シクロへテロアルキル/芳香環系であるクロメニル基)のベンゾ誘導体類が挙げられる。アリール基のその他の例としては、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基などが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、アリール基は、本明細書に開示されているRaまたはRd基から独立に選択される最大4個までの基によって置換されていてもよい。ある一定の実施形態において、アリール基は、別のアリール基によって置換されており、ビアリール基と称することができる。ビアリール基中のそれぞれのアリール基は、本明細書に開示されている最大4個までのRd基によって置換されていてもよい。
【0042】
本明細書で用いる「ヘテロアリール」とは、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびセレン(Se)から選択される少なくとも1個の環へテロ原子を含有する芳香族単環式環系、または環系に存在する少なくとも1つの環が芳香族であり、少なくとも1つの環へテロ原子を含有する多環式環系を指す。多環式ヘテロアリール基としては、一緒に縮合している2つ以上のヘテロアリール環ならびに1つまたは複数の芳香族炭素環、非芳香族炭素環、および/または非芳香族シクロへテロアルキル環に縮合している単環式へテロアリール環が挙げられる。ヘテロアリール基は、全体として、例えば、5〜14個の環原子を有し、1〜5個の環へテロ原子を含有することができる。そのヘテロアリール基は、当該定義されている化学構造に、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子のところで結合することができる。一般に、ヘテロアリール環はO−O、S−S、またはS−O結合は含有しない。しかしながら、ヘテロアリール基中の1つまたは複数のNまたはS原子は、酸化され得る(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例としては、例えば、以下に示す5員の単環式および5〜6員の二環式環系:
【0043】
【化5】
が挙げられ、ここで、Tは、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、またはN−(アリールアルキル)(例えばN−ベンジル)である。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノリル、イソキノリル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサゾリル、シノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドリジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピラダジニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリルなどが挙げられる。ヘテロアリール基のさらなる例としては、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾチエノピリジル、ベンゾフロピリジルなどが挙げられるがこれらに限定はされない。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、本明細書に開示されている最高4個までのRaまたはRd基により置換することができる。
【0044】
本教示の化合物は、2つの他の部分と共有結合を形成することができる連結基として本明細書では定義される「二価の基」を含むことができる。例えば、本教示の化合物は、二価のC1〜20アルキル基、例えば、メチレン基などを含むことができる。
【0045】
本明細書のさまざまな場所に、化合物の置換基が群または範囲の形で開示されている。その記述は、かかる群および範囲の要素のあらゆる個々の副次的組合せを含むことが特に意図されている。例えば、用語「C1〜6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1−C6、C1〜C5、C1〜C4、C1〜C3、C1〜C2、C2〜C6、C2〜C5、C2〜C4、C2〜C3、C3〜C6、C3〜C5、C3〜C4、C4〜C6、C4〜C5、およびC5〜C6アルキルを個々に開示することが特に意図されている。その他の例として、0〜40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、および40を個々に開示することが特に意図されており、1〜20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20を個々に開示することが特に意図されている。
【0046】
本明細書に記載されている化合物は、不斉原子(キラル中心とも呼ばれる)を含有することができ、化合物によっては1つまたは複数の不斉原子または中心を含有することができ、それは従って光学異性体(鏡像異性体)およびジアステレオマーを生じさせることができる。本教示は、かかる光学異性体(鏡像異性体)およびジアステレオマー(幾何異性体)、ならびにラセミ化合物の分割された鏡像異性的に純粋な(+)および(−)の立体異性体、ならびに(+)および(−)の立体異性体のその他の混合物を含む。いくつかの実施形態において、光学異性体は、例えば、キラル分離、ジアステレオマー塩の形成、速度論的分割、および不斉合成を含めた当業者には既知の標準的な方法によって、鏡像異性的に濃縮された形または純粋な形で得ることができる。本教示は、また、アルケニル部分を含有する化合物類(例えば、アルケン類およびイミン類)のシスおよびトランス異性体も包含する。
【0047】
また、当然のことながら、本教示の化合物は、純粋な形のすべての可能な位置異性体およびそれらの混合物を網羅的に含む。そのような異性体を、例えば当業者には既知の標準的な分離方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、擬似移動床クロマトグラフィー、および高性能液体クロマトグラフィーを用いて分離することは可能であり得る。しかしながら、位置異性体の混合物は、本明細書に記載されておりかつ/または熟練した職人によって知られている本教示の特定の化合物の使用と同じように使用することができる。すなわち、本教示のリレン化合物類およびそれらの使用は、リレン化合物類のそれらの純粋な形およびそれらの混合物のそれぞれの位置異性体を含むことが特に意図されている。例えば、本教示の化合物、組成物、およびデバイスは、リレン化合物が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の置換基により置換されていてもよいその純粋な形の任意のリレン化合物またはその位置異性体もしくはその他の異性体の混合物を含むことができる。
【0048】
より具体的には、該リレン化合物は、部分:
【0049】
【化6】
を有する化合物を含むことができ、ここで、Yは、出現するごとに、HまたはRaであり得、Raは、本明細書で定義されている通りである。さまざまな実施形態において、そのY基の2つはHであり得、その他の2つのY基は独立にRaであり得る。それ故、2つのY基がHであり、その他の2つがRaである複数の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0050】
【化7】
を有する位置異性体を有することができ、式中、Yは、出現するごとに、Raであり得、ここでRaは本明細書に定義されている通りである。ある一定の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0051】
【化8】
を有する化合物およびそれらの混合物を含むことができ、式中、Yは、独立にRaであり得、Raは本明細書に定義されているもの、例えばBr等のハロゲンまたはCN基である。
【0052】
本明細書で使用する「p型半導体材料」または「p型半導体」とは、主要な電流キャリアとして正孔を有する半導体材料を指す。いくつかの実施形態において、p型半導体材料が基板上に堆積されると、それは約10−5cm2/Vsを超える正孔移動度を提供することができる。電界効果デバイスの場合、p型半導体は、また、約10より大きい電流on/off比を示すこともできる。
【0053】
本明細書で使用する「n型半導体材料」または「n型半導体」とは、主要な電流キャリアとして電子を有する半導体材料を指す。いくつかの実施形態において、n型半導体材料が基板上に堆積されると、それは約10−5cm2/Vsを超える電子移動度を提供することができる。電界効果デバイスの場合、n型半導体は、また、約10より大きい電流on/off比を示すこともできる。
【0054】
本明細書を通して、構造は、化学名により示すことができるかまたは示すことができない。命名法に関して疑問が生じた場合はその構造が優先する。
【0055】
本教示の1態様は、式:
【0056】
【化9】
を有する化合物であって、
式中、
Qは、1〜4個のRa基により場合によって置換されている縮合環部分であり、
ここで、
Raは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)C1〜20アルキル基、g)C2〜20アルケニル基、h)C2〜20アルキニル基、i)C1〜20アルコキシ基、j)C1〜20アルキルチオ基、k)C1〜20ハロアルキル基、l)−Y−C3〜10シクロアルキル基、m)−Y−C6〜14アリール基、n)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはo)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、ここで、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C3〜10シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜12員のシクロへテロアルキル基、および該5〜14員のヘテロアリール基のそれぞれは1〜4個のRb基により場合によって置換されており;
Rbは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜20アルキル)、h)−N(C1〜20アルキル)2、i)−N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、j)−N(−Y−C6〜14アリール)2、k)−S(O)mH、l)−S(O)m−C1〜20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m−OC1〜20アルキル、o)−S(O)m−O−Y−C6〜14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜20アルキル、r)−C(O)−Y−C6〜14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜20アルキル、u)−C(O)−O−Y−C6〜14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜20アルキル、x)−C(O)N(C1〜20アルキル)2、y)−C(O)NH−Y−C6〜14アリール、z)−C(O)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、aa)−C(O)N(−Y−C6〜14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜20アルキル、ad)−C(S)N(C1〜20アルキル)2、ae)−C(S)N(−Y−C6〜14アリール)2、af)−C(S)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、ag)−C(S)NH−Y−C6〜14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1〜20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1〜20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(−Y−C6〜14アリール)、al)−S(O)mN(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、am)−S(O)mN(−Y−C6〜14アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜20アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜20アルキル)、ar)−Si(C1〜20アルキル)3、as)C1〜20アルキル基、at)C2〜20アルケニル基、au)C2〜20アルキニル基、av)C1〜20アルコキシ基、aw)C1〜20アルキルチオ基、ax)C1〜20ハロアルキル基、ay)−Y−C3〜10シクロアルキル基、az)−Y−C6〜14アリール基、ba)−Y−3〜12員シクロへテロアルキル基、またはbb)−Y−5〜14員ヘテロアリール基であり;
Yは、出現するごとに、独立に、二価のC1〜6アルキル基、二価のC1〜6ハロアルキル基または共有結合であり;
mは、0、1または2であり、
R1は、出現するごとに、独立に、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、分枝C3〜20ハロアルキル基、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり;
ここで、
Lは、出現するごとに、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
ここで、
Rcは、出現するごとに、H、C1〜6アルキル基または−Y−C6〜14アリール基であり;
Ar1は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
ここで、
Rdは、出現するごとに、ハロゲン、−CN、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、およびC1〜6ハロアルキル基から独立に選択され;
R2は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基、C1〜20アルコキシ基、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり;
ここで、
L’は、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
Ar2は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
R3は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である化合物を提供する。
【0057】
いくつかの実施形態において、Qは、
【0058】
【化10】
であり、ここで、a、b、c、d、e、f、gおよびhは、独立に、CH、CRa、SiH、SiRa、NまたはPであり、Raは、本明細書で定義されている通りである。例えば、a、b、c、d、e、f、gおよびhは、独立に、CH、C(Br)またはC(CN)であり得る。
【0059】
特定の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0060】
【化11】
(式中、R1は、本明細書で定義されている通りである)を有することができる。例えば、ある一定の実施形態において、各R1は、独立に、3−アルキル置換アルキル基または3−アルキル置換アルケニル基、例えば、それぞれ、下に述べられている:
【0061】
【化12】
のような、3,7−ジアルキル置換アルキル基および3,7−ジアルキル置換アルケニル基であり得る。
【0062】
直上の化合物の特定の実施形態において、各R1は、独立に、2−アルキル置換アルキル基であり得る。例えば、各R1は、独立に、2−C1〜20アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜20アルキル基(C3〜l0アルキル基)、2−C1〜20アルキル基(C3〜8アルキル基)、2−C1〜10アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜10アルキル基(C3〜l0アルキル基)、2−C1〜10アルキル基(C3〜8アルキル基)、2−C1〜8アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜8アルキル基(C3〜10アルキル基)、2−C1〜8アルキル基(C3〜8アルキル基)、2−C1〜6アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜6アルキル基(C3〜10アルキル基)、または2−C1〜6アルキル基(C3〜8アルキル基)であり得る。ある一定の実施形態において、各R1は、独立に、2−メチルプロピル、2−エチルプロピル、2−プロピルプロピル、2−ブチルプロピル、2−ペンチルプロピル、2−ヘキシルプロピル、2−メチルブチル、2−エチルブチル、2−プロピルブチル、2−ブチルブチル、2−ペンチルブチル、2−ヘキシルブチル、2−メチルペンチル、2−エチルペンチル、2−プロピルペンチル、2−ブチルペンチル、2−ペンチルペンチル、2−ヘキシルペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘキシル、2−ブチルヘキシル、2−ペンチルヘキシル、2−ヘキシルヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−プロピルヘプチル、2−ブチルヘプチル、2−ペンチルヘプチル、2−ヘキシルヘプチル、2−メチルオクチル、2−エチルオクチル、2−プロピルオクチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルオクチル、2−ヘキシルオクチル、2−メチルノニル、2−エチルノニル、2−プロピルノニル、2−ブチルノニル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルノニル、2−メチルデシル、2−エチルデシル、2−プロピルデシル、2−ブチルデシル、2−ペンチルデシル、または2−ヘキシルデシルであり得る。
【0063】
ある一定の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0064】
【化13】
を有することができ、それらの、特に同じイミド窒素置換を有するシスおよびトランス異性体の混合物も含む。
【0065】
特定の理論に拘泥するつもりはないが、個々のリレンイミド化合物の分子間のコア−コアの積み重ねが効率的な電荷輸送に対して重要であるものと考えられる。該イミド基をそのコアに対しておよび/またはお互いに対して比較的柔らかいリンカー(例えば、LおよびL’)によって連結している比較的硬い芳香族単位(例えば、Ar1、Ar2)によりイミド基を官能化することによって、これらのリレンイミド化合物の溶解性ならびに微細構造の秩序化を高めることができることがさらに考えられる。特定の理論に拘泥するつもりはないが、高められた微細構造の秩序化は、電荷移動度を促進するものと考えられる。
【0066】
それ故、いくつかの実施形態において、各R1は、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり得、ここで、L、Ar1およびR2は、本明細書で定義されている通りである。例えば、各R1は、
【0067】
【化14】
であり得、式中、i、j、k、l、o、r、sおよびuは、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり得、wは、CH、CR2、SiH、SiR2、NまたはPであり得、L、R2およびRdは、本明細書で定義されている通りである。特定の実施形態において、i、j、k、l、o、r、sおよびuは、独立に、CH、CFまたはNであり得、wは、CR2であり得る。例えば、各R1は、
【0068】
【化15】
であり得、式中、LおよびR2は、本明細書で定義されている通りである。例えば、Lは、二価のC1〜10アルキル基、二価のハロアルキル基または共有結合であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、R2は、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。例えば、R2は、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。特定の実施形態において、各R2は、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基であり得る。ある一定の実施形態において、各R2は、
【0070】
【化16】
であり得る。
【0071】
その他の実施形態において、各R2は、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり得、ここで、L’、Ar2およびR3は本明細書で定義されている通りである。例えば、各R1は、
【0072】
【化17】
であり得、ここで、i’、j’、k’、l’、o’、r’、s’、およびu’が、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり得、w’は、CH、CR3、SiH、SiR3、NまたはPであり得、i、j、k、l、o、r、s、u、w、L、L’、R3およびRdは、本明細書で定義されている通りである。特定の実施形態において、i、j、k、l、o、r、s、u、i’、j’、k’、o’、r’、s’、およびu’は、独立に、CH、CFまたはNであり得、w’は、CR3であり得る。例えば、各R1は、
【0073】
【化18】
であり得、ここで、L、L’、およびR3は、本明細書で定義されている通りである。例えば、Lは、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり得、L’は、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、R3は、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。ある一定の実施形態において、R3は、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。特定の実施形態において、R3は、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基であり得る。例えば、各R3は、
【0075】
【化19】
であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、各R1は、アリール基、ビアリール基、アリールアルキル基またはビアリールアルキル基であり得、そのアリール基のそれぞれは、RdおよびR2の基から独立に選択される1〜4個の基により場合によって置換されていてもよい。ある一定の実施形態において、各R1は、以下の式:
【0077】
【化20】
を有することができ、ここで、pは0〜20の範囲の整数であり、qは0〜4の範囲の整数であり、R2およびRdは本明細書で定義されている通りである。
【0078】
例えば各R1は、以下:
【0079】
【化21】
に示されるような、ベンジル基、ビフェニル基またはフルオロ置換ビフェニル基であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、該ベンジル基、該ビフェニル基、および該フルオロ置換ビフェニル基は、−L’−アリール基または−L’−ビアリール基によりさらに置換されていてもよく、ここでそのアリール基のそれぞれは、1〜4個のRd基およびR3基により場合によって置換されていてもよい。ある一定の実施形態において、各R1は、
【0081】
【化22】
から選択することができ、ここで、L’、Rd、R3、pおよびqは、本明細書に定義されている通りである。
【0082】
特定の実施形態において、R1は、
【0083】
【化23】
であり得、ここでL’、Rd、R3、pおよびqは、本明細書に定義されている通りである。例えば、Rdは、Fであり得、pは、0、1または2であり得、各qは、独立に、0または4であり得、L’は、−CH2−、−CH2CH2−、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−であり得、R3は、H、Fまたはメチル基であり得る。
【0084】
各イミド基の窒素原子のところで置換されている官能基は、異なり得るが、ほとんどの実施形態において、その2つのイミド基は、同じものであるR1基により置換されている。
【0085】
本教示の化合物としては、下の表1および2に示す化合物が挙げられるがこれらに限定はされない。
【0086】
【表1−1】
【0087】
【表1−2】
【0088】
【表1−3】
【0089】
【表2】
。
【0090】
本教示は、また、式:
【0091】
【化24】
であって、式中、Zは、O、S、S(O)、C(O)またはCReRfであり得、ReおよびRfが、独立に、a)H、b)ハロゲン、c)−(CH2CH2O)xH、d)−(CH2CH2O)x−CH3、e)C1〜20アルコキシ基、f)C1〜20アルキル基、g)C2〜20アルケニル基、h)C2〜20アルキニル基、i)−Y−C3〜10シクロアルキル基、j)−Y−C6〜14アリール基、k)−Y−3〜12員シクロへテロアルキル基、またはl)−Y−5〜14員へテロアリール基であり、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C3〜10シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜12員シクロへテロアルキル基、該5〜14員へテロアリール基のそれぞれが、1〜4個のRa基により場合によって置換されていてよく、xが1〜20の範囲の整数であり、Q、R1、Ra、およびYが本明細書で定義されている通りである式を有するものを含めた本明細書に開示されているものと関連する化合物も提供する。
【0092】
本明細書に開示されているある一定の実施形態の化合物は、通常の溶媒に溶解可能であり得るので、本開示の化合物は、電気デバイス、光学デバイス、および光電子デバイス、例えば薄膜トランジスタ、電界効果デバイス、有機発光ダイオード(OLED)、有機起電素子、光検知器、キャパシタ、およびセンサーなどを製作するために使用するとき加工上の利点を提供することができる。本明細書で用いるとき、化合物が溶媒に溶けると考えることができるのは、少なくとも1mgのその化合物が1mLのその溶媒に溶けるときである。通常の有機溶媒の例としては、石油エーテル;アセトニトリル;芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンなど;線状および環状ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノンなど;エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、およびt−ブチルメチルエーテルなど;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、およびイソプロピルアルコールなど;脂肪族炭化水素類、例えば、ヘキサンなど;酢酸エステル類、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸イソプロピル、および酢酸ブチルなど;ハロゲン化脂肪族および芳香族炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、およびフルオロベンゼンなど;ならびに環状溶媒、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、および2−メチルピロリドンなどが挙げられる。通常の無機溶媒の例としては、水およびイオン性液体が挙げられる。
【0093】
それ故、本教示は、液体媒体、例えば、有機溶媒、無機溶媒、またはそれらの組合せ(例えば、有機溶媒、無機溶媒、または有機および無機溶媒の混合物)に溶解または分散した本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物を含む組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態において、上記組成物は、本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物を含むことができ、例えば、本教示の1つまたは複数の異なる化合物を有機溶媒に溶解して堆積用の組成物を調製することができる。ある一定の実施形態において、該組成物は、2つ以上の位置異性体、例えば、式:
【0094】
【化25】
(式中、YおよびR1は、本明細書に定義されているものであり、例えば、各Yは、独立に、CNまたはBrなどのハロゲンであり得る)を有する化合物を含むことができる。さらに、当然のことながら、本明細書に記載されているデバイスは、また、本教示の1つまたは複数の化合物、例えば、本明細書に記載されている2つ以上の位置異性体を含むことができる。
【0095】
特定の実施形態において、該組成物は、式:
【0096】
【化26】
(式中、R1は、本明細書で定義されている通りである)を有する2つ以上の位置異性体を含むことができる。さまざまな実施形態において、各R1は、独立に、上で論じて定義した2−アルキル置換アルキル基である。例えば、各R1は、独立に、2−メチルペンチル、2−エチルペンチル、2−プロピルペンチル、2−ブチルペンチル、2−ペンチルペンチル、2−ヘキシルペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘキシル、2−ブチルヘキシル、2−ペンチルヘキシル、2−ヘキシルヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−プロピルヘプチル、2−ブチルヘプチル、2−ペンチルヘプチル、または2−ヘキシルヘプチルであり得る。
【0097】
本教示は、薄膜半導体などの半導体または半導体材料を調製する方法をさらに提供する。該方法は、有機溶媒、無機溶媒または溶媒の混合物などの液体媒体中の本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物(例えば、位置異性体の混合物)を含む組成物を準備するステップ、およびその組成物を基板に堆積させて本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物を含む半導体を提供するステップを含むことができる。
【0098】
さまざまな溶液処理技術を含めたさまざまな堆積技術が、有機エレクトロニクスでは使用されてきている。例えば、印刷されるエレクトロニクス技術の多くは、インクジェット印刷に集中しており、第一にそれはこの技術が特徴位置および多層の重ね合わせに関してより大きな制御を提供するからである。インクジェット印刷は非コンタクトプロセスであり、前もって形成されたマスターを必要としない(コンタクト印刷技術と比較して)こと、ならびにインク放出のデジタル制御の利点を示し、それによってドロップオンデマンド印刷を提供する。しかしながら、コンタクト印刷技術は、非常に高速のロールからロールへのプロセシングに対して適切である重要な有利性を有する。典型的なコンタクト印刷技術としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、タコ印刷、およびミクロコンタクト印刷が挙げられるがこれらに限定されない。その他の溶液処理技術としては、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、または吹き付けが挙げられる。加えて、その堆積ステップは、真空蒸着によって行うことができる。
【0099】
本明細書に開示されている化合物を使用する、電子デバイス、光学デバイス、および光電子デバイス、例えば、電界効果トランジスタ(例えば、薄膜トランジスタ)、光起電素子、有機発光ダイオード(OLED)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、相補型インバータ、Dフリップフロップ、整流器、およびリング発振器などを含むさまざまな製品もまた、それを製造する方法と同様に本教示の範囲内である。
【0100】
本教示は、基板上に析出された本教示の1つまたは複数の化合物を有する複合材を含む本明細書に記載されているさまざまなデバイスなどの製品を提供する。その製品としては、誘電成分を挙げることができる。その基板は、ドープしたシリコン、インジウムスズ酸化物(ITO)、ITOコートガラス、ITOコートポリイミドまたはその他のプラスチックス、単独のまたはポリマーもしくはその他の基材にコートしたアルミニウムもしくはその他の金属、ドープしたポリチオフェンなどを含む材料から選択することができる。該誘電成分は、無機誘電材料、例えば、さまざまな酸化物(例えば、SiO2、Al2O3、HfO2)など、有機誘電材料、例えば、さまざまなポリマー材料(例えば、それぞれの全体の開示が本明細書に参照により組み込まれている米国特許出願第11/315076号、同第60/816952号、および同第60/861308号に記載されている架橋ポリマーブレンド)および自己集積超格子(self assembled superlattice)/自己集積ナノ誘電(self assembled nanodielectric)(SAS/SAND)材料(その全体の開示が本明細書に参照により組み込まれているYoon, M-H. ら、PNAS、102(13)、4678〜4682頁(2005年)に記載されている)など、ならびに有機/無機ハイブリッドの誘電材料(その全体の開示が本明細書に参照により組み込まれている米国特許出願第11/642504号に記載されている)から調製することができる。該複合材は、また、1つまたは複数の電気接点を含むことができる。ソース、ドレイン、およびゲート電極に適する材料としては、金属(例えば、Au、Al、Ni、Cu)、透明導電酸化物(例えば、ITO、IZO、ZITO,GZO、GIO、GITO)、および導電性ポリマー(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリアニリン(PANI)、ポリピロール(PPy))が挙げられる。本明細書に記載の1つまたは複数の複合材を、さまざまな有機電子、光学、および光電子デバイス類、例えば、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、特に、有機電界効果トランジスタ(OFET)、ならびにセンサー類、太陽電池、キャパシタ、コンプリメンタリ回路(例えば、インバータ回路)などの中に組み入れることができる。
【0101】
本教示の化合物が有用であるもう1つの製品は、光起電素子または太陽電池である。本教示の化合物は、比較的広範囲の光吸収および/またはそれらを上記の用途に望ましいものとするプラスにシフトする還元電位を示すことができる。それ故、本明細書に記載されている化合物は、pn接合を形成する隣接するp型半導体材料を含む太陽光発電設計中のn型半導体として使用することができる。該化合物は、基板上に堆積された薄膜半導体の複合材であり得る薄膜半導体の形をしていることができる。かかるデバイス中の本開示の化合物の活用は熟練した職人の知識の範囲内である。
【0102】
それ故、本教示のもう1つの態様は、本教示の半導体材料を組み込む有機電界効果トランジスタを組み立てる方法に関する。本教示の半導体材料は、トップゲートトップコンタクトキャパシタ構造、トップゲートボトムコンタクトキャパシタ構造、ボトムゲートトップコンタクトキャパシタ構造、およびボトムゲートボトムコンタクトキャパシタ構造を含むさまざまなタイプの有機電界効果トランジスタを作製するために使用することができる。
【0103】
ある一定の実施形態において、OTFTデバイスは、トップコンタクト配置において、誘電体としてSiO2を用いてドープしたシリコン基板上で本化合物により組み立てることができる。特定の実施形態において、少なくとも1つの本教示の化合物を内蔵する活性半導体層は、室温または高温で真空蒸着により堆積させることができる。他の実施形態において、少なくとも1つの本教示の化合物を内蔵するその活性半導体層は、スピンコーティングまたはジェット印刷により塗布することができる。トップコンタクトデバイスに対しては、金属接点をシャドーマスクを用いてフィルムの表面にパターン化することができる。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本教示をさらに説明し、その理解を促すために提供するものであり、本発明を限定することを多少なりとも意図するものではない。
【0105】
特に断りのない限り、すべての試薬は、商業的供給源から購入し、さらなる精製をすることなく使用した。いくつかの試薬は、既知の方法に従って合成した。無水テトラヒドロフラン(THF)は、ナトリウム/ベンゾフェノンから蒸留した。通常のシュレンク法(Schlenk techniques)を用い、反応は、特に断りのない限り、窒素下で行った。UV−visスペクトルは、Cary Model 1のUV−vis分光光度計上に記録した。NMRスペクトルは、Varian Unity Plus 500スペクトロメーター(1H、500MHz;13C、125MHz)上に記録した。エレクトロスプレー質量分析は、Thermo Finnegan社製モデルLCQ Advantage質量分析計により行った。
【0106】
(実施例1)
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDICitr−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDICitr−Br2)の調製
シトロネリルアミン(5.00g、31.8mmol)を、プロピオン酸(50mL)中のl,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(PDABr2)(4.37g、7.95mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を12時間還流下で加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸でおよび数回メタノール(MeOH)で洗浄し、最後に一晩乾燥した。粗生成物(4.71g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(ジクロロメタン、CH2Cl2)により精製し、N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.70g、0.85mmol、収率10.7%)。
【0107】
【化27】
元素分析(C44H44Br2N2O4に対する計算値:C64.09;H5.38;N3.40):C63.06;H5.21;N2.79
パートB:N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDICitr−CN2)の調製
ジメチルホルムアミド(DMF、35mL)中のN,N’−ビス(シトロネリル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.70g、0.85mmol)とシアン化銅(I)(CuCN、0.38g、15.4mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=95:5)により精製し、N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.34g、0.47mmol、収率55.3%)。
【0108】
【化28】
元素分析(C46H44N4O4に対する計算値:C77.07;H6.19;N7.82):C77.39;H6.18;N7.99
(実施例2)
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh6−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh6−Br2)の調製
4−n−ヘキシルアニリン(3.39g、19.12mmol)を、プロピオン酸(40mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.00g、4.78mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を12時間還流下で加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸でおよび数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥した。粗生成物(4.38g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=50:50)により精製し、N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(1.49g、1.72mmol、収率36.0%)。
【0109】
【化29】
元素分析(C48H40Br2N2O4に対する計算値:C66.37;H4.64;N3.22):C65.87;H4.44;N2.91
パートB:N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh6−CN2)の調製
DMF(65mL)中のN,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(1.39g、1.60mmol)とCuCN(2.68g、30.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(1.03g)を、DMFから再結晶化させて、N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.35g、0.46mmol、収率28.8%)。
【0110】
【化30】
元素分析(C50H40N4O4に対する計算値:C78.93;H5.30;N7.36):C79.11;H5.81;N5.55
(実施例3)
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−Br2)の調製
4−ドデシルアニリン(5.00g、19.12mmol)を、プロピオン酸(52.5mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(2.63g、4.78mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を12時間還流下で加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸でおよび数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥した。粗生成物(3.25g)を、ソックスレー抽出器を用いてクロロホルム(CHCl3、500mL)により2日間にわたって抽出し、得られた固体をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製して、N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として提供した(1.20g、1.11mmol、収率24.2%)。
【0111】
【化31】
元素分析(計算値:C69.50;H6.22;N2.70):C69.57;H6.29;N2.76
パートB:N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−CN2)の調製
DMF(37mL)中のN,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(1.00g、0.964mmol)とCuCN(1.57g、17.5mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.85g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=98:2)により精製し、N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.40g、0.43mmol、収率44.5%)。
【0112】
【化32】
元素分析(計算値:C80.14;H6.94;N6.03):C79.79;H6.98;N6.12
図1は、N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−CN2)のクロロホルム中のUV−vis吸収スペクトルを提供する。
【0113】
(実施例4)
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCitr−CN2)の調製
パートA:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリンの調製
THF(80mL)中のシトロネリルマグネシウムブロミド[S−シトロネリルブロミド(14.46g、66mmol)とマグネシウム(3.20g、132mmolとから)]を、窒素雰囲気下で、−78℃に維持されている4−ヨードアニリン(4.38g、20mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl2(dppf)、0.150g、0.2mmol)のTHF(25mL)中の懸濁液に加えた。−78℃で10分間撹拌した後、その反応混合物を還流下で16時間加熱し、次いで5%の塩酸(HCl)によりクエンチした。その水溶液を次にエーテルで抽出(3×30mL)し、混合した画分を水で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)によって乾燥し、その溶媒を蒸発させて4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリンを暗色の油状物(41.9g)として生じさせ、それをさらなる精製はしないで次のステップで使用した。
【0114】
HRMS(C16H25Nに対する計算値:231.1987):231.1976
パートB:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCitr−Br2)の調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリン(4.53g、19.62mmol)を、プロピオン酸(60mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(6.68g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(1.41g、1.44mmol、収率26.4%)。
【0115】
【化33】
元素分析(C56H52Br2N2O4に対する計算値:C68.86;H5.37;N2.87):C68.94;H5.22;N2.77
パートC:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCitr−CN2)の調製
DMF(50mL)中のN,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(1.00g、1.14mmol)とCuCN(1.97g、22mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で7時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.67g)を、DMF−キシレンから再結晶化させ、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として提供した(0.53g、0.61mmol、収率53.5%)。
【0116】
【化34】
元素分析(C58H52N4O4に対する計算値:C80.16;H6.03;N6.45):C80.53;H5.99;N6.43
(実施例5)
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhO7−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhO7−Br2)の調製
4−ヘプチルオキシアニリン(4.08g、19.62mmol)を、プロピオン酸(56mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(3.45g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.28g、0.31mmol、収率5.7%)。
【0117】
【化35】
元素分析(C50H44Br2N2O6に対する計算値:C64.66;H4.78;N3.02):C64.18;H4.29;N3.88
パートB:N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhO7−CN2)の調製
DMF(11mL)中のN,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.25g、0.27mmol)とCuCN(0.44g、4.90mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.22g)を、トリクロロベンゼンから再結晶化させた(TCB、0.11g、0.13mmol、収率59.1%)。
【0118】
【化36】
HRMS(C52H44O4N4に対する計算値:820.3255):820.3234
(実施例6)
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh−Br2)の調製
4−アミノビフェニル(3.69g、21.81mmol)を、プロピオン酸(40mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.00g、7.27mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(3.00g)をさらなる精製はしないで次のステップで使用した。
【0119】
HRMS(C48H24O4N2Br2に対する計算値:850.0097):850.0072
パートB:N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh−CN2)の調製
DMF(140mL)中の粗製N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(3.00g、3.52mmol)とCuCN(5.91g、66.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(1.73g)を、TCB−DMFから数回再結晶化させた。
【0120】
【化37】
HRMS(C50H24N4O4に対する計算値:744.1792):744.1782。
【0121】
(実施例7)
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−CN2)の調製
パートA:p−n−オクチルフェニルボロン酸の調製
n−ブチルリチウム(BuLi、ヘキサン中1.6M、2.4mL、3.8mmol)を、窒素下−78℃の乾燥THF(15mL)中のp−n−オクチルヨードベンゼン(1.0g、3.2mmol)の撹拌されている溶液に滴下した。30分間撹拌し、温度を−78℃に維持した後、ホウ酸トリメチル(0.4g、3.8mmol)を滴下した。その系を1時間後室温に戻し、窒素下でそのまま一晩撹拌した。濃HCl(8mL)および水(15mL)をつぎに加え、撹拌を2時間続けた。その混合物をエーテルで抽出した(15×3mL)。エーテル相を混合し、ブラインと水で洗浄し(20×2mL)、MgSO4により乾燥し、溶媒を真空中で除去しp−n−オクチルフェニルボロン酸を白色固体として生じさせた(0.63g、収率84%)。
【0122】
【化38】
パートB:4’−ニトロ−4−n−オクチル−ビフェニルの調製
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.30g、0.26mmol)およびp−n−オクチルフェニルボロン酸(1.0g、4.3mmol)を、4−ニトロヨードベンゼン(0.87g、3.5mmol)の1,2−ジメトキシエタン(13mL)および炭酸ナトリウム水溶液(2M、13mL)中の乾燥窒素下で撹拌されている溶液に連続して加えた。撹拌混合物を還流下で終夜加熱し、冷却した。水を加え、その生成物をエーテルに抽出させ(30×3mL)、混合したエーテル抽出液をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥した。その溶媒を真空中で除去し、その残渣を短いシリカゲルカラムを用いるクロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン:酢酸エチル=5:1〜2:1)、4’−ニトロ−4−n−オクチル−ビフェニルを黄色の油状物として提供し、それを放置して固化した(1.04g、収率95%)。その固体をさらなる精製はしないで使用した。
【0123】
【化39】
パートC:4’−アミノ−4−n−オクチル−ビフェニルの調製
4’−ニトロ−4−n−オクチル−ビフェニル(1.2g、3.9mmol)を、THF(60mL)とエタノール(24mL)の混合溶媒中のパラジウム炭素(Pd/C、1.0g)の懸濁液に加えた。その調合物を一定の水素流の下で3時間にわたって水素化した。その触媒を濾過して取り除き、揮発物を真空中で除去して淡黄色の油状物を生じさせた。シリカゲルに基づくクロマトグラフィーにより、無色の油状物の4−n−オクチル−4’−アミノ−ビフェニルを生じさせ、それを放置して固化した(0.75g、収率67%)。
【0124】
【化40】
パートD:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−Br2)の調製
プロピオン酸(100mL)中の4−アミノ−4’−n−オクチルビフェニル(5.00g、17.77mmol)および1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.26g、9.92mmol)の混合物を、還流下で26時間にわたって加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、およびヘキサンとMeOHで数回洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(5.3g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として提供した(1.10g、1.11mmol、収率24.2%)。
【0125】
【化41】
元素分析(計算値、C71.38;H5.24;N2.60):C71.52;H5.09;N2.68
パートE:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−CN2)の調製
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.70g、0.65mmol)とCuCN(1.06g、11.8mmol)のDMF(30mL)中の混合物を、脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.59g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=98:2)により精製し、N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.25g、0.26mmol、収率40.0%)。
【0126】
【化42】
元素分析(計算値:C81.79;H5.82;N5.78):C81.15;H5.61;N5.48
図2は、N,N’−ビス−[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−CN2)のクロロホルム中のUV−vis吸収スペクトルを提供する。
【0127】
(実施例8)
N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhCitr−CN2)の調製
パートA:1−ヨード−4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ベンゼンの調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリン(10.0g、43.2mmol、実施例4)の濃HCl(9mL)および水(100mL)中の懸濁液を、0℃まで冷却し、次いで硝酸ナトリウム(NaNO2、2.96g、43.2mmol)の水中(22mL)の溶液を滴下した。得られたアレーンジアゾニウム塩に、ヨウ化カリウム(7.11g、43.2mmol)の水中(22mL)の溶液を滴下し、その混合物を40℃で2時間にわたって加熱した。チオ硫酸ナトリウムを加え、その懸濁液をエーテルで抽出し(3×50mL)、その混合した有機相を、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空中で濃縮して暗色の油状物を生じさせた。その粗製品を、エーテルに溶解し、シリカゲルのプラグに通して濾過して、1−ヨード−4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ベンゼンを無色の油状物として生じさせた(9.27g、27.1mmol、収率62.5%)。
【0128】
【化43】
パートB:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニルボロン酸の調製
n−BuLi(19.5mL、31.23mmol、ヘキサン中1.6M)を、−78℃に維持されている乾燥THF(120mL)中のl−ヨード−4−オクチルベンゼン(9.00g、26.3mmol)の溶液に10分間以上かけて加えた。−78℃で30分間撹拌した後、ホウ酸トリメチル(3.29g、31.23mmol)を滴下し、その混合物を一晩放置して室温に到達させた。その反応混合物をHCl溶液(120mLの水中の65mLの濃HCl)に注ぎ、得られた懸濁液を2時間撹拌した。その生成物をジエチルエーテルで抽出し(3×60mL)、混合した有機相をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥し、濾過し、溶媒を真空中で除去して、5.07gの粗生成物を提供し(19.5mmol、収率74.1%)、さらに精製することなくそれを次のステップで使用した。
【0129】
【化44】
パートC:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−ニトロビフェニルの調製
ボロン酸(5.00g、19.2mmol)、4−ニトロヨードベンゼン(3.88g、15.6mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.34g、1.16mmol)の1,2−ジメトキシエタン(60mL)および重炭酸ナトリウムの水溶液(2M、60mL)中の混合物を、窒素下で、一晩還流下で加熱した。冷却後水を加え、その生成物をエーテルで抽出し(60×3mL)、混合したそのエーテル抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥した。その溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)によって精製し、4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−ニトロビフェニルを黄色の油状物として生じさせた(4.55g、13.49mmol、収率86.5%)。
【0130】
【化45】
HRMS(C22H27NO2に対する計算値:337.2042):337.2048
パートD:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−アミノビフェニルの調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニルボロン酸(5.00g、19.2mmol)、4−ヨードアニリン(2.79g、12.75mmol)、および第四級アンモニウム塩(Aliquat336、1.3g)の混合物を、窒素で3回脱気した後、100mLの乾燥トルエンを加えた。このステップに続いて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.46g)および炭酸ナトリウム水溶液(1M、60mL、2時間脱気)を窒素下で加えた。その混合物を激しく撹拌し、還流下で20時間加熱した。得られた反応混合物の有機相をCelite(登録商標)の薄層を通して濾過し、蒸発乾燥させて3.09gの粗製品を生じさせた。その粗製品をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン)によって精製し、4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−アミノビフェニルを黄色の油状物として生じた(2.64g、8.59mmol、収率67.4%)。
【0131】
HRMS(C22H29Nに対する計算値:307.2300):307.2312
パートE:N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhCitr−Br2)の調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−アミノビフェニル(1.68g、5.45mmol)を、プロピオン酸(20mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(1.00g、1.82mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(2.2g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.373g、0.33mmol、収率18.2%)。
【0132】
【化46】
元素分析(C68H60Br2N2O4に対する計算値:C72.34;H5.36;N2.48):C71.67;H5.03;N2.19
パートF:N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhCitr−CN2)の調製
DMF(13mL)中のN,N’−ビス{4−[4’((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.35g、0.27mmol)とCuCN(0.47g、5.13mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.67g)を、DMF−キシレンから再結晶化させて、N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.22g、0.22mmol、収率81.5%)。
【0133】
【化47】
元素分析(C70H60N4O4に対する計算値:C82.33;H5.92;N5.49):C81.77;H5.69;N5.82
(実施例9)
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF−CN2)の調製
パートA:4−ニトロ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニルの調製
4−ヨードニトロベンゼン(15g、0.060mol)、ブロモペンタフルオロベンゼン(14.9g、2.56mL、0.060mol)および銅粉末(30g)の混合物を50mLのJ−Young社製ガラス管に入れ、190℃で24時間加熱した。その管を冷却し、その混合物をジクロロメタンにより徹底的に抽出した。その溶媒を除去し、残渣を沸騰しているヘキサンで抽出し、熱いうちに濾過した。溶媒を除去し、得られた粘稠な固体を昇華させて、黄色固体としての4−ニトロ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニルを得た(11.0g、収率63%)。
【0134】
【化48】
パートB:4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル
4−ニトロ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル(10g、0.0345mol)を、無水エタノール(750mL)に溶解し、水素の吸収が止まるまでPd/C(0.3g)上の水素雰囲気(1気圧)の下で撹拌した。その溶液を濾過し、溶媒を除去した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニルの白色粉末を生じさせた(8.0g、収率89%)。
【0135】
【化49】
元素分析(C12H6F5N):C55.61%;H2.33%;F36.65%;N5.40%
パートC:N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF−Br2)の調製
4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル(1.40g、5.40mmol)と1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(1.00g、1.80mmol)のプロピオン酸(25mL)中の混合物を、還流下で50時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回ヘキサンおよびMeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(1.62g)をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0136】
【化50】
HRMS(C48H14Br2F10N2O4に対する計算値:1029.9161):1029.9158
パートD:N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF−CN2)の調製
DMF(10mL)中のN,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.21g、0.203mmol)とCuCN(0.33g、3.69mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で9時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その生成物(0.11g、0.12mmol、収率59.1%)は、通常の有機溶媒には不溶性であり、それを傾斜昇華させた。
【0137】
【化51】
元素分析(C50H14F10N4O4に対する計算値:C64.95;H1.53;N6.06):C65.06;H1.78;N6.41
(実施例10)
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
パートA:n−オクチルリチウムの調製
リチウム(2.86g、0.412mol)のリボンを、ヘキサンで、次いでジエチルエーテルですすぎ、最後に小片に切断し(約5mmの長さ)、250mLのさらなる漏斗を備えた窒素雰囲気下の空気を含まない3つ口フラスコに入れた。無水のジエチルエーテル(40mL)を、シリンジを用いてそのフラスコに加えた。無水ジエチルエーテル(37.5mL)中のn−C8H17Br(32.04g、0.166mol)の溶液のほぼ3mLを、第2の漏斗から加えた。その反応混合物をリチウム粒子が明るく輝きのある外観を呈するまで室温で撹拌した。その混合物を次に、ドライアイス−アセトン浴を用いてほぼ−10℃まで冷却した。n−C8H17Br溶液の残りを、温度を−10℃に維持しながら1.5時間をかけて滴下した。−10℃で30分間撹拌した後、その反応混合物をそのまま10℃まで温め、さらに1時間撹拌した。上澄みを冷たいカニューレにより除去し、次のステップで使用した。
【0138】
パートB:4−アミノ−4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニルの調製
乾燥エーテル中のn−オクチルリチウム(9.5mL)を、−78℃の4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル(1.5g、5.79mmol、実施例9)の乾燥エーテル(100mL)中の溶液にゆっくり加えた。その溶液をこの温度で2時間撹拌し、次に5時間にわたって室温までそのまま温めた。塩酸(3M、100mL)を加えるとその溶液から白色固体が沈殿した。その固体を濾過して乾燥した。昇華後、4−アミノ−4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニルを白色固体として得た(1.2g、収率63%)。
【0139】
【化52】
元素分析(C20H23F4N):C67.97%;H6.56%;F21.50%;N3.96%
パートC:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−Br2)の調製
4−アミノ−4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル(1.70g、4.00mmol)と1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(0.50g、0.91mmol)のプロピオン酸(40mL)中の混合物を、還流下で48時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回ヘキサンおよびMeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(0.73g)をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0140】
【化53】
パートD:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
DMF(15mL)中のN,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.40g、0.325mmol)とCuCN(0.53g、5.9mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.31g)をTCBから結晶化させ、N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.152g、0.136mmol、収率42.0%)。
【0141】
【化54】
HRMS(C66H48F8N4O4に対する計算値:1112.3548):1112.3543
(実施例11)
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
パートA:1−ヨード−4−オクチルベンゼンの調製
水(780mL)中の4−オクチルアニリン(80.0g、389.6mmol)の懸濁液に、HCl水溶液(40mL)を室温で加えた。その混合物を0℃まで冷却後、さらなるHCl水溶液(43mL)を加え、続いてNaNO2(26.9g、389.6mmol)の水(195mL)中の溶液を滴下した。得られたアレーンジアゾニウム水溶液に水(195mL)中のヨウ化カリウム(64.67g、389.6mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を撹拌して40℃で加熱した。2時間後チオ硫酸ナトリウムを加えて脱色し、その生成物をエーテルで抽出した。そのエーテル抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空中で濃縮して粗製の油状物を生じさせた。その粗製品をエーテルに溶解し、シリカゲルのプラグを通して3回濾過し、真空中で乾燥して、1−ヨード−4−オクチルベンゼンを無色の油状物として生じさせた。その生成物は、さらなる精製はせずに次のステップで使用した。
【0142】
【化55】
パートB:4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−オクチルフェニル)−1,3,2−ジオキサボロランの調製
n−BuLi(16.6mL、ヘキサン中1.6M)を、窒素雰囲気下、−78℃の乾燥THF(100mL)中のパートAからの1−ヨード−4−オクチルベンゼン(6.9g、21.8mmol)の溶液に10分間で加えた。その混合物を−78℃でさらに10分間撹拌した。2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン(6.21mL、30.4mmol)を、その後その混合物に滴下し、室温で一晩撹拌を続けた。その反応を次いで蒸留水によりクエンチし、THFを真空下で除去した。その生成物を次にジエチルエーテル中に抽出し、有機相をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥し、濾過して真空中で蒸発させ、6.38gの4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−オクチルフェニル)−1,3,2−ジオキサボロランを無色の油状物として生じさせた。その生成物を、さらなる精製はせずに次のステップで使用した。
【0143】
【化56】
パートC:2,3,5,6−テトラフルオロ−4’−オクチルビフェニル−4−アミンの調製
4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−オクチルフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(415.0mg、1.31mmol)、4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンアミン(213.0mg、0.87mmol)、および第四級アンモニウム塩(Aliquat336、0.090g)の混合物を、窒素で3回脱気した後、乾燥トルエン(7.0mL)を加えた。このステップに続いて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(100.0mg)および2時間脱気した炭酸ナトリウム(水溶液、1M、4.0mL)を窒素下で加えた。その混合物を激しく撹拌し、還流温度で20時間加熱した。得られた反応混合物の有機相をCelite(登録商標)の薄層を通して濾過し、蒸発乾燥させて0.6gの粗生成物を生じさせた。その粗製品をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(溶離液として酢酸エチル:ヘキサン(1:9)を使用)によって精製し、オフホワイトの固体としての2,3,5,6−テトラフルオロ−4’−オクチルビフェニル−4−アミンを生じさせた(0.280g、収率91%)。
【0144】
元素分析(C20H23F4Nに対する計算値:C67.97;H6.56;F21.50):C68.03;H6.47;F21.20
【0145】
【化57】
パートD:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)は、実施例10、パートCおよびDに記載したものと同様の手順に従って調製することができる。
【0146】
(実施例12)
N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−Br2)の調製
ベンジルアミン(2.10g、19.62mmol)を、プロピオン酸(60mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で16時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(4.17g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.857g、1.18mmol、収率21.6%)。
【0147】
【化58】
元素分析(C38H20Br2N2O4に対する計算値:C62.66;H2.27;N3.85):C63.02;H2.78;N3.12
パートB:N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)の調製
DMF(50mL)中のN,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.983g、0.85mmol)とCuCN(2.2g、24.5.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で7時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、DMF−トルエンから複数回再結晶させて精製し、N,N’−ビス(ベンジル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)を赤色固体として生じさせた(0.46g、0.733mmol、収率86.3%)。
【0148】
【化59】
元素分析(C40H20N4O4に対する計算値:C77.41;H3.25;N9.03):C77.74;H3.48;N8.95
図3は、N,N’−ビス(ベンジル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)のクロロホルム中のUV−vis吸収スペクトルを提供する。
【0149】
(実施例13)
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph4−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph4−Br2)の調製
500mL丸底フラスコに、ジブロモペリレンジアンヒドリド(2.022g、3.66mmol)、プロピオン酸(100mL)および4−n−ブチルベンジルアミン(2.50mL、14.8mmol)を加えた。その反応混合物を窒素下の還流下で4時間加熱し、一晩そのまま冷却した。沈殿を濾過し、MeOHで洗浄し(3×15mL)、乾燥した。その粗製混合物をジクロロメタン:アセトン(98%:2%)のクロマトグラフィーにより精製し、2番目のバンドを集め、N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を生じた(1.313g、1.56mmol、収率43%)。
【0150】
【化60】
MALDIMS(計算値:840.6):840.1
パートB:N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph4−CN2)の調製
100mL丸底フラスコに、N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.557g、0.663mmol)、CuCN(1.14g、12.7mmol)、およびDMF(75mL)を加えた。その反応混合物を窒素下150℃まで5時間加熱し、次いでそのまま冷却した。その粗生成物をCHCl3により一晩連続して抽出し、乾燥し、CH2Cl2:アセトン(98%:2%)によるシリカゲルに基づくクロマトグラフィーによって精製し、定量的収率でN,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を生じた(0.480g、0.655mmol)。
【0151】
【化61】
MALDIMS(計算値:732.8):732.4
(実施例14)
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhs4−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhs4−Br2)の調製
4−sec−ブチルアニリン(4.75g、31.8mmol)を、プロピオン酸(50mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.37g、7.95mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(1.97g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.20g、0.25mmol、収率3.1%)。
【0152】
【化62】
元素分析(C32H24Br2N2O4に対する計算値:C58.20;H3.66;N4.24):C58.05;H4.01;N3.89
パートB:N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhs4−CN2)の調製
DMF(10mL)中のN,N’−ビス[4−(sec−ブチル)フェニル]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.20g、0.25mmol)とCuCN(0.41g、4.53mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=98:2)により精製し、N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.12g、0.17mmol、収率68.0%)。
【0153】
【化63】
元素分析(計算値:C78.06;H4.56;N7.29):C77.90;H4.74;N7.60
(実施例15)
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1PhOCitr−CN2)の調製
パートA:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]シアノベンゼンの調製
アセトン(200mL)中の4−シアノフェノール(6.0g、50.0mmol)、炭酸カリウム(27.6g、200mmol)およびシトロネリルブロミド(13.15g、60.0mmol)の混合物を還流下で24時間にわたって加熱した。その溶媒を蒸発させ、残渣をCH2Cl2(60mL×2)で取り上げ、その溶液を濾過した。その溶媒を蒸発させ、得られた油状物を、溶離剤が(EtOAc/ヘキサン1:1)のシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色の油状の4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]シアノベンゼンを生じさせた(11.76g、45.7mmol、収率91.4%)。
【0154】
【化64】
パートB:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジルアミンの調製
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、29.4mmol)を、乾燥エタノール(20mL)中の4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]シアノベンゼン(2.52g、9.80mmol)と無水塩化ニッケル(NiCl2、9.8mmol)の混合物に加えた。2時間後、その反応混合物をCelite(登録商標)により濾過し、そのCelite(登録商標)ベッドをエタノールですすいだ(2×10mL)。その溶液を水(150mL)で希釈し、エーテルで抽出した(3×25mL)。その混合したエーテル相を、水で洗浄し、MgSO4により乾燥し、溶媒を蒸発させて油状物を提供し、それをカラムクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン)により精製し、無色の油状の4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジルアミンを生じさせた(1.82g、6.97mmol、収率71.1%)。
【0155】
【化65】
HRMS(C17H27NOに対する計算値:261.2093):261.2099
パートC:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1PhOCitr−Br2)の調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジルアミン(5.13g、19.62mmol)を、プロピオン酸(60mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で14時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(4.02g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(1.46g、1.41mmol、収率25.9%)。
【0156】
【化66】
元素分析(C58H56Br2N2O6に対する計算値:C67.18;H5.44;N2.70):C66.99;H5.21;N2.42
パートD:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1PhOCitr−CN2)の調製
DMF(110mL)中のN,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(2.80g、2.70mmol)とCuCN(4.4g、49.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で7時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、DMF−トルエンから複数回再結晶させて精製し、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(2.21g、2.38mmol、収率88.0%)。
【0157】
【化67】
元素分析(C60H56N4O6に対する計算値:C77.56;H6.08;N6.03):C76.98;H6.72;N5.63
(実施例16)
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhlPh−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhlPh−Br2)の調製
4−ベンジルアニリン(3.60g、19.62mmol)を、プロピオン酸(56mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(3.29g)をさらなる精製はしないで次のステップで使用した。
【0158】
【化68】
HRMS(C50H28Br2N2O6に対する計算値:878.0416):878.0408
パートB:N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhlPh−CN2)の調製
DMF(140mL)中の粗製のN,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(3.00g、3.41mmol)とCuCN(5.91g、66mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.38g)を、DMFから再結晶させて、N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.15g、0.19mmol、収率5.6%)。
【0159】
【化69】
元素分析(C52H28N4O4に対する計算値:80.82;H3.65;N7.25):C81.07;H3.97;N7.11
(実施例17)
N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh2Ph−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh2Ph−Br2)の調製
4−[1−(2−フェニルエチル)]アニリン(3.77g、19.12mmol)を、プロピオン酸(50mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.00g、4.78mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を還流下で24時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(6.08g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CHCl3:アセトン=50:50)により精製し、N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.725g、0.80mmol、収率16.7%)。
【0160】
【化70】
元素分析(C52H32Br2N2O4に対する計算値:C68.74;H3.55;N3.08):C69.08;H3.70;N3.29
パートB:N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh2Ph−CN2)の調製
DMF(150mL)中のN,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(3.49g、3.84mmol)とCuCN(6.43g、72.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、DMFから再結晶させて、N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(2.02g、2.52mmol、収率65.7%)。
【0161】
【化71】
元素分析(C54H32N4O4に対する計算値:C80.99;H4.03;N7.00):C81.43;H4.38;N6.76
(実施例18)
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCOPh−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCOPh−Br2)の調製
4−アミノベンゾフェノン(3.87g、19.62mmol)を、プロピオン酸(56mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(3.48g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製し、N,N’−ビス(4−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.67g、0.74mmol、収率13.6%)。
【0162】
【化72】
HRMS(C50H24Br2N2O6に対する計算値:906.0001):906.0008;元素分析(C50H24Br2N2O6に対する計算値:C66.10;H2.66;N3.08):C66.58;H2.53;N3.27
パートB:N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCOPh−CN2)の調製
DMF(27mL)中のN,N’−ビス(4−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.60g、0.66mmol)とCuCN(1.07g、12.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.42g)は、通常の有機溶媒には不溶性であった。
【0163】
HRMS(C52H24O6N4に対する計算値:800.1690):800.1687
(実施例19)
N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(NDICitr−CN2)の調製
パートA:2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボキシリックジアンヒドリド(NDA−Br2)の調製
500mLの丸底フラスコに、ナフタレン1,2:5,6−テトラカルボキシリックジアンヒドリド(19.8g、73.8mmol)および発煙硫酸(400mL)を加えた。その懸濁液を3時間撹拌し、続いてヨウ素(0.812g、3.20mmol)を加えた。撹拌をさらに1時間続けた。その反応混合物に、臭素(8mL、156mmol)を15分かけて滴下した。その反応混合物を次に窒素下で72時間にわたり95℃に加熱し、そのまま室温まで冷却した。次に600mLのビーカーに300mLの氷水を加え、その反応混合物をその氷水中にゆっくりと注いだ。得られた黄色の沈殿物を濾過して集め、MeOHで洗浄し(3×15mL)、乾燥させて24.1gの粗生成物を生じた。その生成物をそのまま後続のステップのために使用した。
【0164】
MALDI−TOF−MS(計算値:426.97):426.91
パートB:N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(NDICitr−Br2)の調製
2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボキシリックジアンヒドリド(2.00g、4.70mmol)と4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリン(10.87g、47mmol)のN−メチルピロリジノン(70mL)と氷酢酸(40mL)中の混合物を窒素下の85℃で8時間撹拌した。室温まで冷却後、その反応混合物を200mLのMeOHに注ぎ、フリーザー中に一晩置いた。得られた沈殿物を濾過して集め、MeOHで洗浄し、乾燥させた。その粗製のオレンジ色の生成物を次にシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミドを山吹色の固体として生じさせた(1.57g、1.84mmol、収率39.1%)。
【0165】
【化73】
HRMS(C46H48Br2N2O4に対する計算値:850.1981):850.1987
パートC:N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(NDICitr−CN2)の調製
DMF(60mL)中のN,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(1.53g、1.80mmol)とCuCN(1.72g、19.2mmol)との混合物を、窒素下150℃で5時間にわたり撹拌した。その反応混合物を氷浴で冷却し、沈殿を形成させた。その沈殿物を濾過し、MeOHで数回洗浄した。その粗製の固体をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミドを生じさせ、それをDMFによりさらに結晶化させた(0.21mg、0.29mmol、収率16%)。
【0166】
【化74】
元素分析(C48H48N4O4に対する計算値:C77.39;H6.49;N7.52):C77.81;H6.12;N7.09
(実施例20)
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,3:6,7−アントラセンジカルボキシイミドの調製
ヨウ化ナトリウム(3.7g)を、N,N−ジメチルアセトアミド(15mL)中の1,2,4,5−テトラキス(ジブロモメチル)ベンゼン(1.92g、2.50mmol)およびN−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]}フェニルマレイミド(1.56g、5.00mmol)の溶液に加えた。その反応混合物を85℃で16時間にわたって加熱すると、その時間の間に沈殿が形成した。その固体を濾過して集め、水およびMeOHで洗浄し、最後に乾燥させて、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,3:6,7−アントラセンジカルボキシイミドを山吹色の固体として生じさせた(0.51g、0.68mmol、収率27%)。さらなる精製は、DMF−TCBからの再結晶によって成し遂げることができる。
【0167】
【化75】
元素分析(C50H52O4N2に対する計算値:C80.61;H7.04;N3.76):C80.55、H7,38、N4.04
(実施例21)
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2EH−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2EH−Br2)の調製
1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(PDABr2)(5.10g、9.35mmol)を、プロピオン酸(80mL)中で2−エチルヘキシルアミン(5.60mL、34.2mmol)と混合した。その反応混合物を還流下で16時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸と、数回MeOHとにより洗浄し、一晩乾燥した。濾過によって7.57gの粗生成物が提供され、それをカラムクロマトグラフィー(CHCl3)によって精製し、PDI2EH−Br2を赤色固体として生じさせた(5.12g、6.63mmol、収率65.2%)。
【0168】
【化76】
元素分析(計算値:C62.19;H5.22;N3.63):C62.20;H5.43;N3.33
パートB:N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2EH−CN2)の調製
窒素下、CuCN(2.28g、25.3mmol)を、PDI2EH−Br2(1.08g、1.40mmol)およびDMF(54mL)の混合物に加えた。その混合物を150℃に加熱し、一晩撹拌した。室温まで冷却後、その固体を濾過し、MeOHで数回洗浄した。その粗生成物(1.03g)をカラムクロマトグラフィー(CHCl3/アセトン;96:4)により精製して、約0.8gの赤色固体を提供した。1回20mLのDMFから再結晶させた後、PDI2EH−CN2を赤色固体として得た(560mg、収率60%)。
【0169】
【化77】
元素分析(計算値:C75.88;H6.06;N8.43):C75.85;H5.93;N8.33
(実施例22)
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2MH−CN2)の調製
パートA:2−メチルヘキサンニトリルの調製
−78℃まで冷却した乾燥THF(80mL)中のi−PrNH2(9.11g、12.7mL、90mmol)溶液に、ヘキサン中のn−BuLi(57mL、1.59M、90mmol)溶液を5分間かけて滴下した。浴温度で15分後、4.63g(6.0mL、84mmol)のプロピオニトリルを15分の時間をかけて滴下した。その淡黄色の反応混合物を、−78℃で1時間撹拌し、次いでn−BuBr(12.33g、9.7mL、90mmol)の乾燥THF(10mL)中の溶液を滴下した。その浴を室温までそのまま温め、その混合物を一晩撹拌した。塩酸(40mL、1N)を次に加えた。その混合物を真空中でほぼ100mLまで濃縮し、エーテル(150mL)と水(30mL)中で分配した。その有機相をNa2SO4により乾燥し、黄色の油状物として濃縮した。真空下72℃での蒸留により、2−メチルヘキサンニトリルを無色の液体として生じさせた(3.76g、34mmol、収率40.5%)。
【0170】
パートB:2−メチルヘキシルアミンの合成
氷浴で冷却した乾燥エーテル(68mL)中の水素化アルミニウムリチウム(1.29g、34mmol)溶液に、乾燥エーテル(7mL)に溶解した2−メチルヘキサンニトリル(3.76g、34mmol)をゆっくり加えた。その反応混合物をそのまま2時間にわたって撹拌した。冷却および激しい撹拌を続けながら、水(1.4mL)、NaOH水溶液(1.1mL、20%)、および水(5.0mL)を相次いで加えた。そのエーテル溶液を白い粒状の無機残渣から別の容器に静かに注いだ。この残渣をエーテルで2回洗浄し、すべてのエーテル部分を混合した。そのエーテルを留去して粗製の2−メチルヘキシルアミンを無色の液体として生じさせた(3.09g、27mmol、収率78.8%)。
【0171】
パートC:N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2MH−Br2)の調製
プロピオン酸(20mL)中のPDABr2(1.00g、1.82mmol)および2−メチルヘキシルアミン(503mg、0.52mL、4.37mmol)を、140℃で6時間撹拌した。室温まで冷却後、その溶媒を除去して残渣(1.09g)を生じさせた。その残渣をカラムクロマトグラフィー(CHCl3)により精製してPDI2MH−Br2を赤色固体として提供した(500mg、0.67mmol、収率36.9%)。
【0172】
【化78】
元素分析(計算値:C61.30;H4.87;N3.76):C61.65;H4.57;N3.91
パートD:N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2MH−CN2)の調製
窒素下で、CuCN(1.48g、16.4mmol)を、PDI2MH−Br2(670mg、0.90mmol)およびDMF(32mL)の混合物に加えた。その混合物を150℃に加熱し、一晩撹拌した。室温まで冷却後、その固体を濾過して集め、MeOHで数回洗浄した。その粗生成物(480mg)をカラムクロマトグラフィー(CHCl3/アセトン;96:4)により精製して、ほとんど赤色の固体(330mg)を生じさせた。DMF(10mL)からの1回の再結晶後、PDI2MH−CN2を赤色固体として得た(320mg、0.50mmol、収率56%)。
【0173】
【化79】
元素分析(計算値:C75.45;H5.70;N8.80):C75.43;H5.68;N8.82
(実施例23)
溶解性データ
さまざまな通常の有機溶媒中の本教示の化合物についての溶解性データを得た(表3)。N,N’−ビス(4−n−オクチル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI8−CN2)を比較化合物として含めた。とりわけ注目すべきは、イミド窒素の3−アルキル置換アルケニル基官能化を有するリレン化合物(PDICitr−CN2)が、通常の既知の線状アルキル基置換を有する類似の化合物(PDI8−CN2)と比較して、ならびに表3に見出される本教示のその他の代表的な化合物と比較して、溶解性の予想外の増加を示したことである。
【0174】
【表3】
(実施例24)
薄膜半導体製作
有機半導体薄膜を蒸着および溶液相堆積によって作製した。蒸着膜は、Denton DV−502真空蒸着装置(10−6〜10−7トル)中で25〜120℃に保たれた基板上に準備した。
【0175】
有機半導体膜は、次の基板上:n+−Si−(300nm)SiO2(Process Specialties Inc.社)、ITO、ITO−(100〜600nm)CPB誘電体(Polyera Corporation社)、PET−Al−(100〜600nm)CPB誘電体(Polyera Corporation社)に堆積させた。これらは、水、メタノール、およびアセトンですすぎ、その後CPBまたは有機半導体膜を堆積させた。Si/SiO2表面のシラン官能化は、酸化ケイ素ウエハーを、窒素下の密閉容器中室温でヘキサメチルジシラザン(HMDS)およびオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の蒸気にさらすことによって行った。
【0176】
膜の成長速度(0.1〜0.4Å/秒)は、るつぼの温度を調節することによって制御した。目盛り付きの水晶振動子微量天秤を用いて成長速度および膜厚を制御した。溶液堆積膜は、ドロップキャスティング(半導体濃度=0.1〜2mg/mL)、スピンコーティング(半導体濃度=1〜10mg/mL、スピン速度=500〜5000rpm)、グラビア/フレキソ印刷(半導体濃度=10〜130mg/mL、アニロックス/印刷力=10〜500N、印刷速度=0.2〜1.5m/秒)、およびインクジェット印刷(半導体濃度=1〜10mg/mL)により作製した。
【0177】
移動プロットが、溶液相から堆積させた以下の薄膜半導体に対して得られた:PDIPhPh−CN2(図4)PDIPhPh8−CN2(図5)、PDIPh6−CN2(図6)、PDIPhPhCitr−CN2(図7)、およびPDIPhCitr−CN2(図8)。
【0178】
出力プロットが、溶液相および蒸気相から堆積させた以下の薄膜半導体に対して得られた:PDIPhCitr−CN2−溶液(図9)、PDIPhPh−CN2−溶液(図10)、PDIPhl2−CN2−溶液(図11)、PDIPhPhCitr−CN2−溶液(図12)、およびPDIPhl2−CN2−蒸気(図13)。
【0179】
(実施例25)
有機半導体薄膜の特性決定
薄膜(500Å)は、Cu Kα放射線およびモノクロメータによる標準的なθ−2θ技法を用いるX線膜回折法(XRD)により分析した。すべてのθ−2θスキャンは、Si(100)基板の反射により調整した。図14は、高度の膜組織を示すPDIlPh4−CN2から調製した50nm厚の膜のWAXRD Θ/2Θスキャン(および001反射のロッキングカーブ)を提供している。図15Aおよび15Bは、PDIPhPh−CN2から調製した溶液相堆積膜対蒸気相堆積膜について比較したWAXRD Θ/2Θスキャンを提供している。実証されているように、堆積方法にかかわりなく、両方とも膜は高度に結晶質である。
【0180】
(実施例26)
有機半導体薄膜を用いる薄膜トランジスタの製作および特性決定
薄膜トランジスタデバイス製作のため、トップコンタクト電極(500Å)を、ゲート(Si、ITO、Al)−誘電体(SiO2、CPB)−有機半導体試料の表面に金を蒸発させて(圧力<10−5トル)堆積した。TFTデバイスチャネル寸法は、50〜500μm(L)対0.5〜4.0mm(W)である。採用した絶縁体のキャパシタンスは、4〜11nF/cm2である。電気計測は、Keithley6430型サブフェムトアンメーター(subfemtoammeter)およびKeithley2400型ソースメータを採用し、ローカルのLabviewプログラムおよびGPIBコミュニケーションにより操作する自家製同軸プローブステーションを用いて行った。ノイズを最小限にするために、三軸および/または同軸遮蔽をSignatonプローブステーションに組み込んだ。
【0181】
他の有機FETとの比較を可能にするために、標準的な電界効果トランジスタ方程式によって移動度(μ)を計算した。伝統的な金属絶縁膜半導体FET(MISFET)には、異なるVGにおけるIDS対VDS曲線の中に(ここで、IDSは、ソース−ドレイン飽和電流であり、VDSは、ソースとドレインの間のポテンシャルであり、VGは、ゲート電圧である)一般的には線形領域および飽和領域が存在する。大きなVDSにおいて、電流は飽和し、
(IDS)sat=(WCi/2L)μ(VG−Vt)2 (1)
によって与えられ、ここで、LおよびWは、それぞれデバイスのチャネルの長さと幅であり、Ciは、酸化物絶縁体のキャパシタンス(300nmSiO2に対して1×10−8F/cm2)であり、Vtは、しきい値電圧である。
【0182】
移動度(μ)は、方程式1を再配置することにより飽和領域で計算した:
μsat=(2IDSL)/[WCi(VG−Vt)2] (2)
(式中、Ciは、この場合6・10−8Fであった)。そのしきい値電圧(Vt)は、VG対(IDS)1/2のプロットの線形領域のxインタセプトとして見積もることができる(VSD=−100Vにおいて)。
【0183】
表4は、ドロップキャストし、かつ/または蒸気相堆積させて薄膜半導体を形成した本教示の代表的な化合物についての電子移動度および電流Ion:Ioff比をまとめている。とりわけ注目すべきは、イミド窒素の2−アルキル置換アルキル基官能化を有するリレン化合物(PDI2MH−CN2およびPDI2EH−CN2)が、通常の既知の線状アルキル基置換を有する類似の化合物(PDI8−CN2)およびその3位にメチル基を有する分枝アルケニル基を有する類似の化合物(PDICitr−CN2)と比較して、電流Ion:Ioff比の予想外の増加を示したことである。
【0184】
【表4−1】
【0185】
【表4−2】
(実施例27)
ピンコーティングによる電界効果トランジスタ(FET)製作
代表的な化合物(位置異性体の混合物を含むことができる)(4〜8mg)を、CHCl3(0.5〜2mL)に溶解し、その溶液を、OTS処理したSi−SiO2基板上にスピンコートした(1500rpm)。その膜を、次に真空オーブン中80〜120℃で30分〜5時間にわたりアニールした。FETデバイス構造は、Auソース/ドレインコンタクトを蒸発させることによって完成した。
【0186】
図16Aは、本教示の化合物(PDI8−CN2)をクロロホルムからスピンコートした膜について空気中で測定した代表的な移動プロットである。図16Bは、本教示の化合物(PDI2EH−CN2)をクロロホルムからスピンコートした膜について空気中で測定した代表的な移動プロットである。
【0187】
表5は、本教示の代表的なPDI−CN2コア化合物のスピンコート膜の電子移動度および電流Ion:Ioff比をまとめている。とりわけ注目すべきは、イミド窒素の2−アルキル置換アルキル基官能化を有する化合物(PDI2MH−CN2およびPDI2EH−CN2)が、通常の既知の線状アルキル基置換を有する類似の化合物(PDI8−CN2)と比較して、電子移動度および電流Ion:Ioff比の予想外の増加を示したことである。
【0188】
【表5】
本教示は、その精神または本質的特徴から逸脱することのないその他の特定の形態を包含する。上述の実施形態は、それ故、あらゆる点で、本明細書に記載の本教示に関して限定するためというよりむしろ説明に役立たせるためと考えるべきである。本教示の範囲は、従って、上述の記述によるよりむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、該特許請求の範囲の意図および等価の範囲にあるすべての変化は、その中に包含されることを意味する。
【背景技術】
【0001】
序論
ほとんどの有機半導体の電子構造は、主としてsp2混成の炭素原子およびある程度ヘテロ原子例えば硫黄、セレン、窒素、および酸素などを構成する分子/ポリマーσ骨格内の非局在化π軌道からなる。有機固体中の電荷輸送の一次機構は、電気接点で注入された電荷担体の分子から分子(鎖から鎖)への移動を可能にするπ−π軌道相互作用をもたらす高効率の分子/ポリマー鎖スタッキングに基づく。
【0002】
n型(ここでは電子が大部分の電荷担体である)トランジスタに適用するために設計された有機半導体の場合は、さらなる要件を考慮に入れる必要がある。これらのさらなる要件としては、LUMO(最低空分子軌道−無機半導体用の伝導体に相当)エネルギーに関する材質の適合性、ソース/ドレイン電極に適合した適切なエネルギー、ならびにON状態のトランジスタにおける導電率を最大にするための最適化した膜の形態および微細構造が挙げられる。
【0003】
今日まで、最適化された有機材料は、それらの改良された環境安定性のために主としてp型(ここでは正孔が大部分の電荷担体である)半導体である。対照的に、n型有機材料は、少数の小分子およびポリマーに限られている。その限られた数の有望なn型半導体の中で、それらのほとんどは、空気中での不十分な安定性および通常の有機溶媒中での不十分な溶解性を含めた重大な欠点が問題であり、それによりこれらn型半導体化合物で使用することができる製造プロセスの様式(例えば印刷堆積)が限定される。
【0004】
それ故、当技術分野には、コンプリメンタリ回路、有機発光ダイオード(OLED)、有機起電素子、キャパシタ、およびセンサーを含むがこれらに限定されないさまざまなデバイス設計に組み込むことができる新規な空気中で安定であり溶液処理が可能なn型の有機半導体化合物、組成物、および材料に対する要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述を踏まえて、本教示は、上で概説したことを含む従来技術のさまざまな欠陥および短所に対処することができる有機半導体化合物および材料ならびに関連するデバイスを提供する。
【0006】
より具体的には、本教示は、N−官能化ジイミドに基づく有機半導体化合物および材料を提供する。これらの化合物は、溶液相処理に好適であり得る一連の特性を示すと同時に有用な電気特性を提供することができることが見出されている。
【0007】
1態様において、本開示は、式:
【0008】
【化1】
(式中、QおよびR1は、本明細書に定義されている通りである)を有する化合物を提供する。
【0009】
本教示は、また、本明細書に開示されている化合物を含むさまざまな組成物、製品、構造物、およびデバイスも提供する。
【0010】
本教示の前記のおよびその他の特徴ならびに利点は、以下に続く図面、記述、および特許請求の範囲からより十分に理解されよう。
【0011】
当然のことながら、以下に記載の図面は、説明目的のみのためのものであり本教示の範囲を多少なりとも限定しようとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】クロロホルム中の本教示の化合物(PDIPhl2−CN2)の紫外−可視(UV−vis)吸収スペクトルの図である。
【図2】クロロホルム中の本教示の化合物(PDIPhPh8−CN2)のUV−vis吸収スペクトルの図である。
【図3】クロロホルム中の本教示の化合物(PDI1Ph−CN2)のUV−vis吸収スペクトルの図である。
【図4】本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図5】本教示の化合物(PDIPhPh8−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図6】本教示の化合物(PDIPh6−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図7】本教示の化合物(PDIPhPhCitr−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図8】本教示の化合物(PDIPhCitr−CN2)の代表的移動プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図9】本教示の化合物(PDIPhCitr−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図10】本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図11】本教示の化合物(PDIPhl2−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図12】本教示の化合物(PDIPhPhCitr−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、溶液から析出させた。
【図13】本教示の化合物(PDIPhl2−CN2)の代表的出力プロットの図である。半導体材料は、蒸気相から析出させた。
【図14】本教示の化合物(PDI1Ph4−CN2)の50nm厚の膜の広角X線回折(WAXRD)Θ/2Θスキャン(および001反射のロッキングカーブ)の図である。
【図15】図15Aは、本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の蒸気相析出膜に対するWAXRDΘ/2Θスキャンの図である。図15Bは、本教示の化合物(PDIPhPh−CN2)の溶液相析出膜に対するWAXRDΘ/2Θスキャンの図である。
【図16】図16Aは、本教示の化合物(PDI8−CN2)のクロロホルムからスピンコートした膜に対して空気中で測定した代表的移動プロットの図である。図16Bは、本教示の化合物(PDI2EH−CN2)のクロロホルムからスピンコートした膜に対して空気中で測定した代表的移動プロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本教示は、化合物、例えば、有機半導体化合物、同じものを調製するための方法、ならびに、上記化合物を含む組成物、材料、製品、構造物、およびデバイスに関する。
【0014】
本教示は、さまざまな有機電子物品、構造物およびデバイスを組み立てるために使用することができる有用な電気的性質を示す蒸着された、溶液処理が可能な、例えばスピンコートができ、印刷することができる有機半導体材料(化合物および組成物を含む)を提供する。本明細書に開示されている該有機半導体材料は、n型半導体材料(この場合電荷担体は実質的に電子である)として有用であり得、他にも用途はあるが、無機または有機のいずれかであるp型半導体(この場合その電荷担体は実質的に正孔である)によるコンプリメンタリ回路を形成するために使用することができる。
【0015】
特に、本教示は、さまざまなジイミド類を提供し、その窒素原子は、全体としての化合物の溶解性を高めることができる官能基により置換される。これらの化合物は、一般的には1つまたは複数の通常の溶媒中で少なくともいくらかの溶解性を有しており、周囲条件において安定であり得る。特定の理論に拘泥するつもりはないが、窒素原子における適切な官能化は、また、電荷移動度を高めるフィルム内の微細構造の秩序化を増進することもできる。特定の実施形態において、2−アルキル置換アルキル基による本教示の化合物のイミド窒素の官能化は、スピンコートしたとき、結果として生じるデバイスの電子移動度および電流Ion:Ioff比に予期しない増加を与える組成物をもたらす。本教示は、また、1つまたは複数のこれらの化合物を含む組成物、製品、構造物、およびデバイスも提供する。
【0016】
本記述を通して、組成物が特定の成分を有する、包含する、もしくは含むと記載されている場合、またはプロセスが、特定のプロセスステップを有する、包含する、もしくは含むと記載されている場合、それは本教示の組成物が、また、列挙された成分から本質的に構成されるか、その成分から構成されており、本教示のプロセスも、列挙した処理ステップから本質的に構成されるか、そのステップから構成されていることを言おうとしている。
【0017】
用語「包含する」、「包含している」、「有する」、または「有している」は、別段の記述がない限り、上限が決められておらず、限定されないものと一般に理解すべきである。
【0018】
本出願において、要素または成分が、列挙した要素または成分のリストに包含され、かつ/またはそこから選択されると言われる場合、その要素または成分は、列挙された要素または成分のどれか1つであり得、その列挙された要素または成分の2つ以上からなる群から選択することができるものと理解すべきである。さらに、本明細書に記載の組成物の要素および/または特徴、装置、あるいは方法は、本明細書において明示されていようと黙示的であろうと、本教示の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな方法で組み合わせることができることを理解すべきである。
【0019】
本明細書における単数形の使用は、別段の記述がない限り、複数を含む(逆の場合もある)。加えて、用語「約」の使用が、定量値の前にある場合、別段の記述がない限り、本教示は、その特定の定量値そのものも含む。本明細書で使用される用語「約」は、名目値から±10%の変動を意味する。
【0020】
ステップの順序または一定の行動を実施するための順序は、本教示が実施可能のままである限りは重要でないことは当然である。その上、2つ以上のステップまたは操作を同時に行うことができる。
【0021】
本明細書で使用する「溶液処理可能な」とは、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア、フレキソグラフィー)、スプレーコーティング、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスティング、ディップコーティング、およびブレードコーティングを含むさまざまな溶液相プロセスで使用することができる化合物、材料、または組成物を指す。
【0022】
本明細書で使用する「縮合環部分」とは、少なくとも1つの環が芳香族であり、その芳香環(炭素環または複素環)が、芳香族または非芳香族で、炭素環または複素環であり得る少なくとも1つの他の環と共通の結合を有している少なくとも2つの環を有する多環式環系を指す。これらの多環式環系は、高度にπ共役することができ、無制限に、式:
【0023】
【化2】
を有し、式中、aは、0〜3の範囲の整数であり得るリレン(rylene)、および式:
【0024】
【化3】
を有し、式中、bは、0〜4の範囲の整数であり得る線状アセン(acene)を含むことができる。
【0025】
本明細書で使用する「イミド」とは、窒素原子を本明細書に開示されているように置換することができる−C(O)−NH−C(O)−基を指す。
【0026】
本明細書で用いる「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0027】
本明細書で用いる「オキソ」とは、二重結合した酸素(すなわち、=O)を指す。
【0028】
本明細書で用いる「アルキル」とは、直鎖または分枝飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)基などが挙げられる。さまざまの実施形態において、アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC1〜20アルキル基である。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有することができ、「低級アルキル基」と称することができる。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、およびブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル)基が挙げられる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここで、Rbは、本明細書に開示されているものである。
【0029】
本明細書で用いる「2−アルキル置換アルキル」とは、その2の位置がアルキル基によって置換されているアルキル基を指す。例えば、2−アルキル置換アルキル基が、本明細書に述べられている式中のR1のようなイミドの窒素上に存在するとき、そのイミドの窒素から離れた2番目の炭素原子が、アルキル基により置換されている。2−置換アルキル基は、3〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC3〜20アルキル基である。いくつかの実施形態において、該2−置換アルキル基は、3〜10個の炭素原子(すなわちC3〜10アルキル基)または3〜8個の炭素原子(すなわちC3〜8アルキル基)を有することができる。置換基のアルキル基は、1〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC1〜20アルキル基であり得る。いくつかの実施形態において、該置換基のアルキル基は、1〜10個の炭素原子(すなわちC1〜10アルキル基)、1〜8個の炭素原子(すなわちC1〜8アルキル基)、または1〜6個の炭素原子(すなわちC1〜6アルキル基)を有することができ、後の例は「低級アルキル基」と称することができる。勿論、アルキル基の各具体例は、2−置換アルキル基と置換基のアルキル基とのさまざまな具体的な組合せの中で個々に列挙されるものが考えられる。例えば、その2−置換アルキル基は、n−プロピル、n−ブチル、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基またはデシル基であり得る。これらの2−置換アルキル基のそれぞれと組み合わされる置換基のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル基(例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などであり得る。特定の実施形態において、該2−アルキル置換アルキル基は、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−プロピルへキシル、2−ブチルへキシル、2−ペンチルへキシル、または2−ヘキシルへキシルであり得る。当然のことながら、2−アルキル置換アルキル基は、置換が3番目以上の炭素原子で起こっているという条件で二置換または三置換のものであり得る。
【0030】
本明細書で用いる「3−アルキル置換アルキル」とは、その3の位置がアルキル基によって置換されているアルキル基を指す。例えば、3−アルキル置換アルキル基が、本明細書に述べられている式中のR1のようなイミドの窒素上に存在するとき、そのイミドの窒素から離れた3番目の炭素原子が、アルキル基により置換されている。3−アルキル置換アルキル基のさまざまな実施形態は、置換が起こっている炭素原子が異なることを別にすれば2−アルキル置換アルキル基について上で記したものと類似している。当然のことながら、3−アルキル置換アルキル基は、置換が4番目以上の炭素原子で起こっているという条件で二置換または三置換のものであり得る。
【0031】
本明細書で用いる「アルコキシ」とは、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基は、1〜20個の炭素原子、例えば1〜10個の炭素原子(すなわち、C1〜10アルコキシ基)を有することができる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ基などが挙げられるがこれらに限定はされない。
【0032】
本明細書で用いる「アルキルチオ」とは、−S−アルキル基を指す。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(例えば、n−プロピルチオおよびイソプロピルチオ)、t−ブチルチオ基などが挙げられるがこれらに限定はされない。
【0033】
本明細書で用いる「ハロアルキル」とは、1つまたは複数のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。ハロアルキル基の例としては、CF3、C2F5、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、CH2Cl、C2Cl5などが挙げられるがこれらに限定されない。ペルハロアルキル基、すなわちすべての水素原子がハロゲン原子により置き換わっているアルキル基(例えばCF3およびC2F5)は、「ハロアルキル」の定義の中に含まれる。例えば、C1〜20ハロアルキル基は、式−CnX2n+1または−CnX2n+1−tXtを有することができ、式中、Xは、F、Cl、Br、またはIであり、nは、1〜20の範囲の整数であり、tは、tが2n+1以下であることを条件として0〜41の範囲の整数である。
【0034】
本明細書で用いる「アリールアルキル」とは、−アルキル−アリール基を指し、ここで該アリールアルキル基は、アルキル基を介して当該定義されている化学構造に共有結合している。アリールアルキル基は、−L−C6〜14アリール基、−L’−C6〜14アリール基または−Y−C6〜14アリール基の定義の範囲内であり、ここでL、L’およびYは、独立に、二価のC1〜20アルキル基である。アリールアルキル基の1例は、ベンジル基(−CH2−C6H5)である。アリールアルキル基のアリール基は、本明細書に開示されているように場合によって置換されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、−L−Ar1−R2および−L’−Ar2−R3は、独立に−C1〜20アルキル−C6〜14アリール基であることができ、ここでR2およびR3はHであり、C6〜14アリール基は1〜4個のRd基により場合によって置換されていてよく、Rdは本明細書に定義されている通りである。上記の場合によって置換されているアリールアルキル基は、式:
【0035】
【化4】
によって表すことができ、式中、p’は、1〜20の範囲の整数であり、qは、0〜4の範囲の整数であり、Rdは本明細書に定義されている通りである。
【0036】
本明細書で用いる「アルケニル」とは、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝アルキル基を指す。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基などが挙げられるがこれらに限定されない。その1つまたは複数の炭素−炭素二重結合は、内部に(例えば2−ブテン中など)または末端に(例えば1−ブテン中など)にあることができる。さまざまな実施形態において、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC2〜20アルケニル基であり得る。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0037】
本明細書で用いる「アルキニル」とは、1つまたは複数の三重の炭素−炭素結合を有する直鎖または分枝アルキル基を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。その1つまたは複数の三重の炭素−炭素結合は、内部に(例えば2−ブチン中など)または末端に(例えば1−ブチン中など)にあることができる。さまざまな実施形態において、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子を有することができ、すなわちC2〜20アルキニル基であり得る。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0038】
本明細書で用いる「シクロアルキル」とは、環化されたアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含めた非芳香族炭素環基を指す。シクロアルキル基は、炭素原子が、環系の内側または外側に位置する単環式(例えばシクロヘキシル)または多環式(例えば、縮合、架橋、および/またはスピロ環系を含む)であり得る。そのシクロアルキル基の任意の適当な環の位置を当該定義されている化学構造に共有結合させることができる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカリル、アダマンチル、およびスピロ[4.5]デカニル基、ならびにそれらの同族体、異性体などが挙げられるがこれらに限定されない。さまざまな実施形態において、シクロアルキル基は、3〜14個の炭素原子を有することができ、3〜10個の炭素原子(すなわちC3〜10シクロアルキル)を含む。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0039】
本明細書で用いる「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外の任意の元素であり、例えば、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、およびセレンを含めた原子を指す。
【0040】
本明細書で用いる「シクロへテロアルキル」とは、O、N、SおよびSeから選択される少なくとも1つの環へテロ原子を含み、1つまたは複数の二重結合または三重結合を場合によっては含む非芳香族シクロアルキル基を指す。さまざまな実施形態において、シクロへテロアルキル基は、3〜20個の環原子を有することができ、3〜14個の環原子(すなわち3〜14員のシクロへテロアルキル基)を含む。シクロへテロアルキル環中の1つまたは複数のNまたはS原子は、酸化されていてもよい(例えば、モルホリンN−オキシド、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド)。いくつかの実施形態において、シクロへテロアルキル基の窒素原子は、置換基、例えば、水素原子、アルキル基または本明細書に記載されているようなその他の置換基を持つことができる。シクロへテロアルキル基は、また、1つまたは複数のオキソ基、例えば、オキソピペリジル、オキソオキサゾリジル、ジオキソ−(1H,3H)−ピリミジル、オキソ−2(1H)−ピリジルなどを含有することができる。シクロへテロアルキル基の例としては、とりわけ、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、などが挙げられる。いくつかの実施形態において、シクロへテロアルキル基は、最大4個までの独立に選択されたRb基により置換されていてもよく、ここでRbは、本明細書で開示されているものである。
【0041】
本明細書で用いる「アリール」とは、芳香族単環式炭化水素環系または2つ以上の芳香族炭化水素環が共に縮合している(すなわち、共通の結合を有する)か、または少なくとも1つの芳香族単環式炭化水素環が1つまたは複数のシクロアルキルおよび/またはシクロへテロアルキル環に縮合している多環式環系を指す。アリール基は、複数の縮合環を含むことができるその環系において6〜14個の炭素原子を有することができる。いくつかの実施形態において、多環式アリール基は、7〜14個の炭素原子を有することができる。そのアリール基の任意の適当な環の位置を当該定義されている化学構造に共有結合させることができる。芳香族炭素環(1つ以上)のみを有するアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル(二環式)、2−ナフチル(二環式)、アントラセニル(三環式)、フェナントレニル(三環式)などの基が挙げられるがこれらに限定はされない。少なくとも1つの芳香族炭素環が1つまたは複数のシクロアルキルおよび/またはシクロへテロアルキル環に縮合している多環式環系の例としては、とりわけ、シクロペンタン(すなわち、5,6−二環式シクロアルキル/芳香環系であるインダニル基)、シクロヘキサン(すなわち、6,6−二環式シクロアルキル/芳香環系であるテトラヒドロナフチル基)、イミダゾリン(すなわち、5,6−二環式シクロへテロアルキル/芳香環系であるベンズイミダゾリニル基)、およびピラン(すなわち、6,6−二環式シクロへテロアルキル/芳香環系であるクロメニル基)のベンゾ誘導体類が挙げられる。アリール基のその他の例としては、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基などが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、アリール基は、本明細書に開示されているRaまたはRd基から独立に選択される最大4個までの基によって置換されていてもよい。ある一定の実施形態において、アリール基は、別のアリール基によって置換されており、ビアリール基と称することができる。ビアリール基中のそれぞれのアリール基は、本明細書に開示されている最大4個までのRd基によって置換されていてもよい。
【0042】
本明細書で用いる「ヘテロアリール」とは、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびセレン(Se)から選択される少なくとも1個の環へテロ原子を含有する芳香族単環式環系、または環系に存在する少なくとも1つの環が芳香族であり、少なくとも1つの環へテロ原子を含有する多環式環系を指す。多環式ヘテロアリール基としては、一緒に縮合している2つ以上のヘテロアリール環ならびに1つまたは複数の芳香族炭素環、非芳香族炭素環、および/または非芳香族シクロへテロアルキル環に縮合している単環式へテロアリール環が挙げられる。ヘテロアリール基は、全体として、例えば、5〜14個の環原子を有し、1〜5個の環へテロ原子を含有することができる。そのヘテロアリール基は、当該定義されている化学構造に、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子のところで結合することができる。一般に、ヘテロアリール環はO−O、S−S、またはS−O結合は含有しない。しかしながら、ヘテロアリール基中の1つまたは複数のNまたはS原子は、酸化され得る(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例としては、例えば、以下に示す5員の単環式および5〜6員の二環式環系:
【0043】
【化5】
が挙げられ、ここで、Tは、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、またはN−(アリールアルキル)(例えばN−ベンジル)である。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノリル、イソキノリル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサゾリル、シノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドリジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピラダジニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリルなどが挙げられる。ヘテロアリール基のさらなる例としては、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾチエノピリジル、ベンゾフロピリジルなどが挙げられるがこれらに限定はされない。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、本明細書に開示されている最高4個までのRaまたはRd基により置換することができる。
【0044】
本教示の化合物は、2つの他の部分と共有結合を形成することができる連結基として本明細書では定義される「二価の基」を含むことができる。例えば、本教示の化合物は、二価のC1〜20アルキル基、例えば、メチレン基などを含むことができる。
【0045】
本明細書のさまざまな場所に、化合物の置換基が群または範囲の形で開示されている。その記述は、かかる群および範囲の要素のあらゆる個々の副次的組合せを含むことが特に意図されている。例えば、用語「C1〜6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1−C6、C1〜C5、C1〜C4、C1〜C3、C1〜C2、C2〜C6、C2〜C5、C2〜C4、C2〜C3、C3〜C6、C3〜C5、C3〜C4、C4〜C6、C4〜C5、およびC5〜C6アルキルを個々に開示することが特に意図されている。その他の例として、0〜40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、および40を個々に開示することが特に意図されており、1〜20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20を個々に開示することが特に意図されている。
【0046】
本明細書に記載されている化合物は、不斉原子(キラル中心とも呼ばれる)を含有することができ、化合物によっては1つまたは複数の不斉原子または中心を含有することができ、それは従って光学異性体(鏡像異性体)およびジアステレオマーを生じさせることができる。本教示は、かかる光学異性体(鏡像異性体)およびジアステレオマー(幾何異性体)、ならびにラセミ化合物の分割された鏡像異性的に純粋な(+)および(−)の立体異性体、ならびに(+)および(−)の立体異性体のその他の混合物を含む。いくつかの実施形態において、光学異性体は、例えば、キラル分離、ジアステレオマー塩の形成、速度論的分割、および不斉合成を含めた当業者には既知の標準的な方法によって、鏡像異性的に濃縮された形または純粋な形で得ることができる。本教示は、また、アルケニル部分を含有する化合物類(例えば、アルケン類およびイミン類)のシスおよびトランス異性体も包含する。
【0047】
また、当然のことながら、本教示の化合物は、純粋な形のすべての可能な位置異性体およびそれらの混合物を網羅的に含む。そのような異性体を、例えば当業者には既知の標準的な分離方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、擬似移動床クロマトグラフィー、および高性能液体クロマトグラフィーを用いて分離することは可能であり得る。しかしながら、位置異性体の混合物は、本明細書に記載されておりかつ/または熟練した職人によって知られている本教示の特定の化合物の使用と同じように使用することができる。すなわち、本教示のリレン化合物類およびそれらの使用は、リレン化合物類のそれらの純粋な形およびそれらの混合物のそれぞれの位置異性体を含むことが特に意図されている。例えば、本教示の化合物、組成物、およびデバイスは、リレン化合物が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の置換基により置換されていてもよいその純粋な形の任意のリレン化合物またはその位置異性体もしくはその他の異性体の混合物を含むことができる。
【0048】
より具体的には、該リレン化合物は、部分:
【0049】
【化6】
を有する化合物を含むことができ、ここで、Yは、出現するごとに、HまたはRaであり得、Raは、本明細書で定義されている通りである。さまざまな実施形態において、そのY基の2つはHであり得、その他の2つのY基は独立にRaであり得る。それ故、2つのY基がHであり、その他の2つがRaである複数の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0050】
【化7】
を有する位置異性体を有することができ、式中、Yは、出現するごとに、Raであり得、ここでRaは本明細書に定義されている通りである。ある一定の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0051】
【化8】
を有する化合物およびそれらの混合物を含むことができ、式中、Yは、独立にRaであり得、Raは本明細書に定義されているもの、例えばBr等のハロゲンまたはCN基である。
【0052】
本明細書で使用する「p型半導体材料」または「p型半導体」とは、主要な電流キャリアとして正孔を有する半導体材料を指す。いくつかの実施形態において、p型半導体材料が基板上に堆積されると、それは約10−5cm2/Vsを超える正孔移動度を提供することができる。電界効果デバイスの場合、p型半導体は、また、約10より大きい電流on/off比を示すこともできる。
【0053】
本明細書で使用する「n型半導体材料」または「n型半導体」とは、主要な電流キャリアとして電子を有する半導体材料を指す。いくつかの実施形態において、n型半導体材料が基板上に堆積されると、それは約10−5cm2/Vsを超える電子移動度を提供することができる。電界効果デバイスの場合、n型半導体は、また、約10より大きい電流on/off比を示すこともできる。
【0054】
本明細書を通して、構造は、化学名により示すことができるかまたは示すことができない。命名法に関して疑問が生じた場合はその構造が優先する。
【0055】
本教示の1態様は、式:
【0056】
【化9】
を有する化合物であって、
式中、
Qは、1〜4個のRa基により場合によって置換されている縮合環部分であり、
ここで、
Raは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)C1〜20アルキル基、g)C2〜20アルケニル基、h)C2〜20アルキニル基、i)C1〜20アルコキシ基、j)C1〜20アルキルチオ基、k)C1〜20ハロアルキル基、l)−Y−C3〜10シクロアルキル基、m)−Y−C6〜14アリール基、n)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはo)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、ここで、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C3〜10シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜12員のシクロへテロアルキル基、および該5〜14員のヘテロアリール基のそれぞれは1〜4個のRb基により場合によって置換されており;
Rbは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜20アルキル)、h)−N(C1〜20アルキル)2、i)−N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、j)−N(−Y−C6〜14アリール)2、k)−S(O)mH、l)−S(O)m−C1〜20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m−OC1〜20アルキル、o)−S(O)m−O−Y−C6〜14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜20アルキル、r)−C(O)−Y−C6〜14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜20アルキル、u)−C(O)−O−Y−C6〜14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜20アルキル、x)−C(O)N(C1〜20アルキル)2、y)−C(O)NH−Y−C6〜14アリール、z)−C(O)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、aa)−C(O)N(−Y−C6〜14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜20アルキル、ad)−C(S)N(C1〜20アルキル)2、ae)−C(S)N(−Y−C6〜14アリール)2、af)−C(S)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、ag)−C(S)NH−Y−C6〜14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1〜20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1〜20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(−Y−C6〜14アリール)、al)−S(O)mN(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、am)−S(O)mN(−Y−C6〜14アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜20アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜20アルキル)、ar)−Si(C1〜20アルキル)3、as)C1〜20アルキル基、at)C2〜20アルケニル基、au)C2〜20アルキニル基、av)C1〜20アルコキシ基、aw)C1〜20アルキルチオ基、ax)C1〜20ハロアルキル基、ay)−Y−C3〜10シクロアルキル基、az)−Y−C6〜14アリール基、ba)−Y−3〜12員シクロへテロアルキル基、またはbb)−Y−5〜14員ヘテロアリール基であり;
Yは、出現するごとに、独立に、二価のC1〜6アルキル基、二価のC1〜6ハロアルキル基または共有結合であり;
mは、0、1または2であり、
R1は、出現するごとに、独立に、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、分枝C3〜20ハロアルキル基、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり;
ここで、
Lは、出現するごとに、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
ここで、
Rcは、出現するごとに、H、C1〜6アルキル基または−Y−C6〜14アリール基であり;
Ar1は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
ここで、
Rdは、出現するごとに、ハロゲン、−CN、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、およびC1〜6ハロアルキル基から独立に選択され;
R2は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基、C1〜20アルコキシ基、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり;
ここで、
L’は、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
Ar2は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
R3は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である化合物を提供する。
【0057】
いくつかの実施形態において、Qは、
【0058】
【化10】
であり、ここで、a、b、c、d、e、f、gおよびhは、独立に、CH、CRa、SiH、SiRa、NまたはPであり、Raは、本明細書で定義されている通りである。例えば、a、b、c、d、e、f、gおよびhは、独立に、CH、C(Br)またはC(CN)であり得る。
【0059】
特定の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0060】
【化11】
(式中、R1は、本明細書で定義されている通りである)を有することができる。例えば、ある一定の実施形態において、各R1は、独立に、3−アルキル置換アルキル基または3−アルキル置換アルケニル基、例えば、それぞれ、下に述べられている:
【0061】
【化12】
のような、3,7−ジアルキル置換アルキル基および3,7−ジアルキル置換アルケニル基であり得る。
【0062】
直上の化合物の特定の実施形態において、各R1は、独立に、2−アルキル置換アルキル基であり得る。例えば、各R1は、独立に、2−C1〜20アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜20アルキル基(C3〜l0アルキル基)、2−C1〜20アルキル基(C3〜8アルキル基)、2−C1〜10アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜10アルキル基(C3〜l0アルキル基)、2−C1〜10アルキル基(C3〜8アルキル基)、2−C1〜8アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜8アルキル基(C3〜10アルキル基)、2−C1〜8アルキル基(C3〜8アルキル基)、2−C1〜6アルキル基(C3〜20アルキル基)、2−C1〜6アルキル基(C3〜10アルキル基)、または2−C1〜6アルキル基(C3〜8アルキル基)であり得る。ある一定の実施形態において、各R1は、独立に、2−メチルプロピル、2−エチルプロピル、2−プロピルプロピル、2−ブチルプロピル、2−ペンチルプロピル、2−ヘキシルプロピル、2−メチルブチル、2−エチルブチル、2−プロピルブチル、2−ブチルブチル、2−ペンチルブチル、2−ヘキシルブチル、2−メチルペンチル、2−エチルペンチル、2−プロピルペンチル、2−ブチルペンチル、2−ペンチルペンチル、2−ヘキシルペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘキシル、2−ブチルヘキシル、2−ペンチルヘキシル、2−ヘキシルヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−プロピルヘプチル、2−ブチルヘプチル、2−ペンチルヘプチル、2−ヘキシルヘプチル、2−メチルオクチル、2−エチルオクチル、2−プロピルオクチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルオクチル、2−ヘキシルオクチル、2−メチルノニル、2−エチルノニル、2−プロピルノニル、2−ブチルノニル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルノニル、2−メチルデシル、2−エチルデシル、2−プロピルデシル、2−ブチルデシル、2−ペンチルデシル、または2−ヘキシルデシルであり得る。
【0063】
ある一定の実施形態において、本教示の化合物は、式:
【0064】
【化13】
を有することができ、それらの、特に同じイミド窒素置換を有するシスおよびトランス異性体の混合物も含む。
【0065】
特定の理論に拘泥するつもりはないが、個々のリレンイミド化合物の分子間のコア−コアの積み重ねが効率的な電荷輸送に対して重要であるものと考えられる。該イミド基をそのコアに対しておよび/またはお互いに対して比較的柔らかいリンカー(例えば、LおよびL’)によって連結している比較的硬い芳香族単位(例えば、Ar1、Ar2)によりイミド基を官能化することによって、これらのリレンイミド化合物の溶解性ならびに微細構造の秩序化を高めることができることがさらに考えられる。特定の理論に拘泥するつもりはないが、高められた微細構造の秩序化は、電荷移動度を促進するものと考えられる。
【0066】
それ故、いくつかの実施形態において、各R1は、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり得、ここで、L、Ar1およびR2は、本明細書で定義されている通りである。例えば、各R1は、
【0067】
【化14】
であり得、式中、i、j、k、l、o、r、sおよびuは、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり得、wは、CH、CR2、SiH、SiR2、NまたはPであり得、L、R2およびRdは、本明細書で定義されている通りである。特定の実施形態において、i、j、k、l、o、r、sおよびuは、独立に、CH、CFまたはNであり得、wは、CR2であり得る。例えば、各R1は、
【0068】
【化15】
であり得、式中、LおよびR2は、本明細書で定義されている通りである。例えば、Lは、二価のC1〜10アルキル基、二価のハロアルキル基または共有結合であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、R2は、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。例えば、R2は、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。特定の実施形態において、各R2は、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基であり得る。ある一定の実施形態において、各R2は、
【0070】
【化16】
であり得る。
【0071】
その他の実施形態において、各R2は、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり得、ここで、L’、Ar2およびR3は本明細書で定義されている通りである。例えば、各R1は、
【0072】
【化17】
であり得、ここで、i’、j’、k’、l’、o’、r’、s’、およびu’が、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり得、w’は、CH、CR3、SiH、SiR3、NまたはPであり得、i、j、k、l、o、r、s、u、w、L、L’、R3およびRdは、本明細書で定義されている通りである。特定の実施形態において、i、j、k、l、o、r、s、u、i’、j’、k’、o’、r’、s’、およびu’は、独立に、CH、CFまたはNであり得、w’は、CR3であり得る。例えば、各R1は、
【0073】
【化18】
であり得、ここで、L、L’、およびR3は、本明細書で定義されている通りである。例えば、Lは、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり得、L’は、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、R3は、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。ある一定の実施形態において、R3は、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基であり得る。特定の実施形態において、R3は、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基であり得る。例えば、各R3は、
【0075】
【化19】
であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、各R1は、アリール基、ビアリール基、アリールアルキル基またはビアリールアルキル基であり得、そのアリール基のそれぞれは、RdおよびR2の基から独立に選択される1〜4個の基により場合によって置換されていてもよい。ある一定の実施形態において、各R1は、以下の式:
【0077】
【化20】
を有することができ、ここで、pは0〜20の範囲の整数であり、qは0〜4の範囲の整数であり、R2およびRdは本明細書で定義されている通りである。
【0078】
例えば各R1は、以下:
【0079】
【化21】
に示されるような、ベンジル基、ビフェニル基またはフルオロ置換ビフェニル基であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、該ベンジル基、該ビフェニル基、および該フルオロ置換ビフェニル基は、−L’−アリール基または−L’−ビアリール基によりさらに置換されていてもよく、ここでそのアリール基のそれぞれは、1〜4個のRd基およびR3基により場合によって置換されていてもよい。ある一定の実施形態において、各R1は、
【0081】
【化22】
から選択することができ、ここで、L’、Rd、R3、pおよびqは、本明細書に定義されている通りである。
【0082】
特定の実施形態において、R1は、
【0083】
【化23】
であり得、ここでL’、Rd、R3、pおよびqは、本明細書に定義されている通りである。例えば、Rdは、Fであり得、pは、0、1または2であり得、各qは、独立に、0または4であり得、L’は、−CH2−、−CH2CH2−、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−であり得、R3は、H、Fまたはメチル基であり得る。
【0084】
各イミド基の窒素原子のところで置換されている官能基は、異なり得るが、ほとんどの実施形態において、その2つのイミド基は、同じものであるR1基により置換されている。
【0085】
本教示の化合物としては、下の表1および2に示す化合物が挙げられるがこれらに限定はされない。
【0086】
【表1−1】
【0087】
【表1−2】
【0088】
【表1−3】
【0089】
【表2】
。
【0090】
本教示は、また、式:
【0091】
【化24】
であって、式中、Zは、O、S、S(O)、C(O)またはCReRfであり得、ReおよびRfが、独立に、a)H、b)ハロゲン、c)−(CH2CH2O)xH、d)−(CH2CH2O)x−CH3、e)C1〜20アルコキシ基、f)C1〜20アルキル基、g)C2〜20アルケニル基、h)C2〜20アルキニル基、i)−Y−C3〜10シクロアルキル基、j)−Y−C6〜14アリール基、k)−Y−3〜12員シクロへテロアルキル基、またはl)−Y−5〜14員へテロアリール基であり、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C3〜10シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜12員シクロへテロアルキル基、該5〜14員へテロアリール基のそれぞれが、1〜4個のRa基により場合によって置換されていてよく、xが1〜20の範囲の整数であり、Q、R1、Ra、およびYが本明細書で定義されている通りである式を有するものを含めた本明細書に開示されているものと関連する化合物も提供する。
【0092】
本明細書に開示されているある一定の実施形態の化合物は、通常の溶媒に溶解可能であり得るので、本開示の化合物は、電気デバイス、光学デバイス、および光電子デバイス、例えば薄膜トランジスタ、電界効果デバイス、有機発光ダイオード(OLED)、有機起電素子、光検知器、キャパシタ、およびセンサーなどを製作するために使用するとき加工上の利点を提供することができる。本明細書で用いるとき、化合物が溶媒に溶けると考えることができるのは、少なくとも1mgのその化合物が1mLのその溶媒に溶けるときである。通常の有機溶媒の例としては、石油エーテル;アセトニトリル;芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンなど;線状および環状ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノンなど;エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、およびt−ブチルメチルエーテルなど;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、およびイソプロピルアルコールなど;脂肪族炭化水素類、例えば、ヘキサンなど;酢酸エステル類、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸イソプロピル、および酢酸ブチルなど;ハロゲン化脂肪族および芳香族炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、およびフルオロベンゼンなど;ならびに環状溶媒、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、および2−メチルピロリドンなどが挙げられる。通常の無機溶媒の例としては、水およびイオン性液体が挙げられる。
【0093】
それ故、本教示は、液体媒体、例えば、有機溶媒、無機溶媒、またはそれらの組合せ(例えば、有機溶媒、無機溶媒、または有機および無機溶媒の混合物)に溶解または分散した本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物を含む組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態において、上記組成物は、本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物を含むことができ、例えば、本教示の1つまたは複数の異なる化合物を有機溶媒に溶解して堆積用の組成物を調製することができる。ある一定の実施形態において、該組成物は、2つ以上の位置異性体、例えば、式:
【0094】
【化25】
(式中、YおよびR1は、本明細書に定義されているものであり、例えば、各Yは、独立に、CNまたはBrなどのハロゲンであり得る)を有する化合物を含むことができる。さらに、当然のことながら、本明細書に記載されているデバイスは、また、本教示の1つまたは複数の化合物、例えば、本明細書に記載されている2つ以上の位置異性体を含むことができる。
【0095】
特定の実施形態において、該組成物は、式:
【0096】
【化26】
(式中、R1は、本明細書で定義されている通りである)を有する2つ以上の位置異性体を含むことができる。さまざまな実施形態において、各R1は、独立に、上で論じて定義した2−アルキル置換アルキル基である。例えば、各R1は、独立に、2−メチルペンチル、2−エチルペンチル、2−プロピルペンチル、2−ブチルペンチル、2−ペンチルペンチル、2−ヘキシルペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘキシル、2−ブチルヘキシル、2−ペンチルヘキシル、2−ヘキシルヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−プロピルヘプチル、2−ブチルヘプチル、2−ペンチルヘプチル、または2−ヘキシルヘプチルであり得る。
【0097】
本教示は、薄膜半導体などの半導体または半導体材料を調製する方法をさらに提供する。該方法は、有機溶媒、無機溶媒または溶媒の混合物などの液体媒体中の本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物(例えば、位置異性体の混合物)を含む組成物を準備するステップ、およびその組成物を基板に堆積させて本明細書に開示されている1つまたは複数の化合物を含む半導体を提供するステップを含むことができる。
【0098】
さまざまな溶液処理技術を含めたさまざまな堆積技術が、有機エレクトロニクスでは使用されてきている。例えば、印刷されるエレクトロニクス技術の多くは、インクジェット印刷に集中しており、第一にそれはこの技術が特徴位置および多層の重ね合わせに関してより大きな制御を提供するからである。インクジェット印刷は非コンタクトプロセスであり、前もって形成されたマスターを必要としない(コンタクト印刷技術と比較して)こと、ならびにインク放出のデジタル制御の利点を示し、それによってドロップオンデマンド印刷を提供する。しかしながら、コンタクト印刷技術は、非常に高速のロールからロールへのプロセシングに対して適切である重要な有利性を有する。典型的なコンタクト印刷技術としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、タコ印刷、およびミクロコンタクト印刷が挙げられるがこれらに限定されない。その他の溶液処理技術としては、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、または吹き付けが挙げられる。加えて、その堆積ステップは、真空蒸着によって行うことができる。
【0099】
本明細書に開示されている化合物を使用する、電子デバイス、光学デバイス、および光電子デバイス、例えば、電界効果トランジスタ(例えば、薄膜トランジスタ)、光起電素子、有機発光ダイオード(OLED)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、相補型インバータ、Dフリップフロップ、整流器、およびリング発振器などを含むさまざまな製品もまた、それを製造する方法と同様に本教示の範囲内である。
【0100】
本教示は、基板上に析出された本教示の1つまたは複数の化合物を有する複合材を含む本明細書に記載されているさまざまなデバイスなどの製品を提供する。その製品としては、誘電成分を挙げることができる。その基板は、ドープしたシリコン、インジウムスズ酸化物(ITO)、ITOコートガラス、ITOコートポリイミドまたはその他のプラスチックス、単独のまたはポリマーもしくはその他の基材にコートしたアルミニウムもしくはその他の金属、ドープしたポリチオフェンなどを含む材料から選択することができる。該誘電成分は、無機誘電材料、例えば、さまざまな酸化物(例えば、SiO2、Al2O3、HfO2)など、有機誘電材料、例えば、さまざまなポリマー材料(例えば、それぞれの全体の開示が本明細書に参照により組み込まれている米国特許出願第11/315076号、同第60/816952号、および同第60/861308号に記載されている架橋ポリマーブレンド)および自己集積超格子(self assembled superlattice)/自己集積ナノ誘電(self assembled nanodielectric)(SAS/SAND)材料(その全体の開示が本明細書に参照により組み込まれているYoon, M-H. ら、PNAS、102(13)、4678〜4682頁(2005年)に記載されている)など、ならびに有機/無機ハイブリッドの誘電材料(その全体の開示が本明細書に参照により組み込まれている米国特許出願第11/642504号に記載されている)から調製することができる。該複合材は、また、1つまたは複数の電気接点を含むことができる。ソース、ドレイン、およびゲート電極に適する材料としては、金属(例えば、Au、Al、Ni、Cu)、透明導電酸化物(例えば、ITO、IZO、ZITO,GZO、GIO、GITO)、および導電性ポリマー(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリアニリン(PANI)、ポリピロール(PPy))が挙げられる。本明細書に記載の1つまたは複数の複合材を、さまざまな有機電子、光学、および光電子デバイス類、例えば、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、特に、有機電界効果トランジスタ(OFET)、ならびにセンサー類、太陽電池、キャパシタ、コンプリメンタリ回路(例えば、インバータ回路)などの中に組み入れることができる。
【0101】
本教示の化合物が有用であるもう1つの製品は、光起電素子または太陽電池である。本教示の化合物は、比較的広範囲の光吸収および/またはそれらを上記の用途に望ましいものとするプラスにシフトする還元電位を示すことができる。それ故、本明細書に記載されている化合物は、pn接合を形成する隣接するp型半導体材料を含む太陽光発電設計中のn型半導体として使用することができる。該化合物は、基板上に堆積された薄膜半導体の複合材であり得る薄膜半導体の形をしていることができる。かかるデバイス中の本開示の化合物の活用は熟練した職人の知識の範囲内である。
【0102】
それ故、本教示のもう1つの態様は、本教示の半導体材料を組み込む有機電界効果トランジスタを組み立てる方法に関する。本教示の半導体材料は、トップゲートトップコンタクトキャパシタ構造、トップゲートボトムコンタクトキャパシタ構造、ボトムゲートトップコンタクトキャパシタ構造、およびボトムゲートボトムコンタクトキャパシタ構造を含むさまざまなタイプの有機電界効果トランジスタを作製するために使用することができる。
【0103】
ある一定の実施形態において、OTFTデバイスは、トップコンタクト配置において、誘電体としてSiO2を用いてドープしたシリコン基板上で本化合物により組み立てることができる。特定の実施形態において、少なくとも1つの本教示の化合物を内蔵する活性半導体層は、室温または高温で真空蒸着により堆積させることができる。他の実施形態において、少なくとも1つの本教示の化合物を内蔵するその活性半導体層は、スピンコーティングまたはジェット印刷により塗布することができる。トップコンタクトデバイスに対しては、金属接点をシャドーマスクを用いてフィルムの表面にパターン化することができる。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本教示をさらに説明し、その理解を促すために提供するものであり、本発明を限定することを多少なりとも意図するものではない。
【0105】
特に断りのない限り、すべての試薬は、商業的供給源から購入し、さらなる精製をすることなく使用した。いくつかの試薬は、既知の方法に従って合成した。無水テトラヒドロフラン(THF)は、ナトリウム/ベンゾフェノンから蒸留した。通常のシュレンク法(Schlenk techniques)を用い、反応は、特に断りのない限り、窒素下で行った。UV−visスペクトルは、Cary Model 1のUV−vis分光光度計上に記録した。NMRスペクトルは、Varian Unity Plus 500スペクトロメーター(1H、500MHz;13C、125MHz)上に記録した。エレクトロスプレー質量分析は、Thermo Finnegan社製モデルLCQ Advantage質量分析計により行った。
【0106】
(実施例1)
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDICitr−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDICitr−Br2)の調製
シトロネリルアミン(5.00g、31.8mmol)を、プロピオン酸(50mL)中のl,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(PDABr2)(4.37g、7.95mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を12時間還流下で加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸でおよび数回メタノール(MeOH)で洗浄し、最後に一晩乾燥した。粗生成物(4.71g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(ジクロロメタン、CH2Cl2)により精製し、N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.70g、0.85mmol、収率10.7%)。
【0107】
【化27】
元素分析(C44H44Br2N2O4に対する計算値:C64.09;H5.38;N3.40):C63.06;H5.21;N2.79
パートB:N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDICitr−CN2)の調製
ジメチルホルムアミド(DMF、35mL)中のN,N’−ビス(シトロネリル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.70g、0.85mmol)とシアン化銅(I)(CuCN、0.38g、15.4mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=95:5)により精製し、N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.34g、0.47mmol、収率55.3%)。
【0108】
【化28】
元素分析(C46H44N4O4に対する計算値:C77.07;H6.19;N7.82):C77.39;H6.18;N7.99
(実施例2)
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh6−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh6−Br2)の調製
4−n−ヘキシルアニリン(3.39g、19.12mmol)を、プロピオン酸(40mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.00g、4.78mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を12時間還流下で加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸でおよび数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥した。粗生成物(4.38g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(クロロホルム:アセトン=50:50)により精製し、N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(1.49g、1.72mmol、収率36.0%)。
【0109】
【化29】
元素分析(C48H40Br2N2O4に対する計算値:C66.37;H4.64;N3.22):C65.87;H4.44;N2.91
パートB:N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh6−CN2)の調製
DMF(65mL)中のN,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(1.39g、1.60mmol)とCuCN(2.68g、30.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(1.03g)を、DMFから再結晶化させて、N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.35g、0.46mmol、収率28.8%)。
【0110】
【化30】
元素分析(C50H40N4O4に対する計算値:C78.93;H5.30;N7.36):C79.11;H5.81;N5.55
(実施例3)
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−Br2)の調製
4−ドデシルアニリン(5.00g、19.12mmol)を、プロピオン酸(52.5mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(2.63g、4.78mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を12時間還流下で加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸でおよび数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥した。粗生成物(3.25g)を、ソックスレー抽出器を用いてクロロホルム(CHCl3、500mL)により2日間にわたって抽出し、得られた固体をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製して、N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として提供した(1.20g、1.11mmol、収率24.2%)。
【0111】
【化31】
元素分析(計算値:C69.50;H6.22;N2.70):C69.57;H6.29;N2.76
パートB:N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−CN2)の調製
DMF(37mL)中のN,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(1.00g、0.964mmol)とCuCN(1.57g、17.5mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.85g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=98:2)により精製し、N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.40g、0.43mmol、収率44.5%)。
【0112】
【化32】
元素分析(計算値:C80.14;H6.94;N6.03):C79.79;H6.98;N6.12
図1は、N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhl2−CN2)のクロロホルム中のUV−vis吸収スペクトルを提供する。
【0113】
(実施例4)
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCitr−CN2)の調製
パートA:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリンの調製
THF(80mL)中のシトロネリルマグネシウムブロミド[S−シトロネリルブロミド(14.46g、66mmol)とマグネシウム(3.20g、132mmolとから)]を、窒素雰囲気下で、−78℃に維持されている4−ヨードアニリン(4.38g、20mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl2(dppf)、0.150g、0.2mmol)のTHF(25mL)中の懸濁液に加えた。−78℃で10分間撹拌した後、その反応混合物を還流下で16時間加熱し、次いで5%の塩酸(HCl)によりクエンチした。その水溶液を次にエーテルで抽出(3×30mL)し、混合した画分を水で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)によって乾燥し、その溶媒を蒸発させて4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリンを暗色の油状物(41.9g)として生じさせ、それをさらなる精製はしないで次のステップで使用した。
【0114】
HRMS(C16H25Nに対する計算値:231.1987):231.1976
パートB:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCitr−Br2)の調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリン(4.53g、19.62mmol)を、プロピオン酸(60mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(6.68g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(1.41g、1.44mmol、収率26.4%)。
【0115】
【化33】
元素分析(C56H52Br2N2O4に対する計算値:C68.86;H5.37;N2.87):C68.94;H5.22;N2.77
パートC:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCitr−CN2)の調製
DMF(50mL)中のN,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(1.00g、1.14mmol)とCuCN(1.97g、22mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で7時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.67g)を、DMF−キシレンから再結晶化させ、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として提供した(0.53g、0.61mmol、収率53.5%)。
【0116】
【化34】
元素分析(C58H52N4O4に対する計算値:C80.16;H6.03;N6.45):C80.53;H5.99;N6.43
(実施例5)
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhO7−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhO7−Br2)の調製
4−ヘプチルオキシアニリン(4.08g、19.62mmol)を、プロピオン酸(56mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(3.45g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.28g、0.31mmol、収率5.7%)。
【0117】
【化35】
元素分析(C50H44Br2N2O6に対する計算値:C64.66;H4.78;N3.02):C64.18;H4.29;N3.88
パートB:N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhO7−CN2)の調製
DMF(11mL)中のN,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.25g、0.27mmol)とCuCN(0.44g、4.90mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.22g)を、トリクロロベンゼンから再結晶化させた(TCB、0.11g、0.13mmol、収率59.1%)。
【0118】
【化36】
HRMS(C52H44O4N4に対する計算値:820.3255):820.3234
(実施例6)
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh−Br2)の調製
4−アミノビフェニル(3.69g、21.81mmol)を、プロピオン酸(40mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.00g、7.27mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(3.00g)をさらなる精製はしないで次のステップで使用した。
【0119】
HRMS(C48H24O4N2Br2に対する計算値:850.0097):850.0072
パートB:N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh−CN2)の調製
DMF(140mL)中の粗製N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(3.00g、3.52mmol)とCuCN(5.91g、66.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(1.73g)を、TCB−DMFから数回再結晶化させた。
【0120】
【化37】
HRMS(C50H24N4O4に対する計算値:744.1792):744.1782。
【0121】
(実施例7)
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−CN2)の調製
パートA:p−n−オクチルフェニルボロン酸の調製
n−ブチルリチウム(BuLi、ヘキサン中1.6M、2.4mL、3.8mmol)を、窒素下−78℃の乾燥THF(15mL)中のp−n−オクチルヨードベンゼン(1.0g、3.2mmol)の撹拌されている溶液に滴下した。30分間撹拌し、温度を−78℃に維持した後、ホウ酸トリメチル(0.4g、3.8mmol)を滴下した。その系を1時間後室温に戻し、窒素下でそのまま一晩撹拌した。濃HCl(8mL)および水(15mL)をつぎに加え、撹拌を2時間続けた。その混合物をエーテルで抽出した(15×3mL)。エーテル相を混合し、ブラインと水で洗浄し(20×2mL)、MgSO4により乾燥し、溶媒を真空中で除去しp−n−オクチルフェニルボロン酸を白色固体として生じさせた(0.63g、収率84%)。
【0122】
【化38】
パートB:4’−ニトロ−4−n−オクチル−ビフェニルの調製
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.30g、0.26mmol)およびp−n−オクチルフェニルボロン酸(1.0g、4.3mmol)を、4−ニトロヨードベンゼン(0.87g、3.5mmol)の1,2−ジメトキシエタン(13mL)および炭酸ナトリウム水溶液(2M、13mL)中の乾燥窒素下で撹拌されている溶液に連続して加えた。撹拌混合物を還流下で終夜加熱し、冷却した。水を加え、その生成物をエーテルに抽出させ(30×3mL)、混合したエーテル抽出液をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥した。その溶媒を真空中で除去し、その残渣を短いシリカゲルカラムを用いるクロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン:酢酸エチル=5:1〜2:1)、4’−ニトロ−4−n−オクチル−ビフェニルを黄色の油状物として提供し、それを放置して固化した(1.04g、収率95%)。その固体をさらなる精製はしないで使用した。
【0123】
【化39】
パートC:4’−アミノ−4−n−オクチル−ビフェニルの調製
4’−ニトロ−4−n−オクチル−ビフェニル(1.2g、3.9mmol)を、THF(60mL)とエタノール(24mL)の混合溶媒中のパラジウム炭素(Pd/C、1.0g)の懸濁液に加えた。その調合物を一定の水素流の下で3時間にわたって水素化した。その触媒を濾過して取り除き、揮発物を真空中で除去して淡黄色の油状物を生じさせた。シリカゲルに基づくクロマトグラフィーにより、無色の油状物の4−n−オクチル−4’−アミノ−ビフェニルを生じさせ、それを放置して固化した(0.75g、収率67%)。
【0124】
【化40】
パートD:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−Br2)の調製
プロピオン酸(100mL)中の4−アミノ−4’−n−オクチルビフェニル(5.00g、17.77mmol)および1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.26g、9.92mmol)の混合物を、還流下で26時間にわたって加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、およびヘキサンとMeOHで数回洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(5.3g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として提供した(1.10g、1.11mmol、収率24.2%)。
【0125】
【化41】
元素分析(計算値、C71.38;H5.24;N2.60):C71.52;H5.09;N2.68
パートE:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−CN2)の調製
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.70g、0.65mmol)とCuCN(1.06g、11.8mmol)のDMF(30mL)中の混合物を、脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.59g)を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=98:2)により精製し、N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.25g、0.26mmol、収率40.0%)。
【0126】
【化42】
元素分析(計算値:C81.79;H5.82;N5.78):C81.15;H5.61;N5.48
図2は、N,N’−ビス−[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPh8−CN2)のクロロホルム中のUV−vis吸収スペクトルを提供する。
【0127】
(実施例8)
N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhCitr−CN2)の調製
パートA:1−ヨード−4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ベンゼンの調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリン(10.0g、43.2mmol、実施例4)の濃HCl(9mL)および水(100mL)中の懸濁液を、0℃まで冷却し、次いで硝酸ナトリウム(NaNO2、2.96g、43.2mmol)の水中(22mL)の溶液を滴下した。得られたアレーンジアゾニウム塩に、ヨウ化カリウム(7.11g、43.2mmol)の水中(22mL)の溶液を滴下し、その混合物を40℃で2時間にわたって加熱した。チオ硫酸ナトリウムを加え、その懸濁液をエーテルで抽出し(3×50mL)、その混合した有機相を、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空中で濃縮して暗色の油状物を生じさせた。その粗製品を、エーテルに溶解し、シリカゲルのプラグに通して濾過して、1−ヨード−4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ベンゼンを無色の油状物として生じさせた(9.27g、27.1mmol、収率62.5%)。
【0128】
【化43】
パートB:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニルボロン酸の調製
n−BuLi(19.5mL、31.23mmol、ヘキサン中1.6M)を、−78℃に維持されている乾燥THF(120mL)中のl−ヨード−4−オクチルベンゼン(9.00g、26.3mmol)の溶液に10分間以上かけて加えた。−78℃で30分間撹拌した後、ホウ酸トリメチル(3.29g、31.23mmol)を滴下し、その混合物を一晩放置して室温に到達させた。その反応混合物をHCl溶液(120mLの水中の65mLの濃HCl)に注ぎ、得られた懸濁液を2時間撹拌した。その生成物をジエチルエーテルで抽出し(3×60mL)、混合した有機相をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥し、濾過し、溶媒を真空中で除去して、5.07gの粗生成物を提供し(19.5mmol、収率74.1%)、さらに精製することなくそれを次のステップで使用した。
【0129】
【化44】
パートC:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−ニトロビフェニルの調製
ボロン酸(5.00g、19.2mmol)、4−ニトロヨードベンゼン(3.88g、15.6mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.34g、1.16mmol)の1,2−ジメトキシエタン(60mL)および重炭酸ナトリウムの水溶液(2M、60mL)中の混合物を、窒素下で、一晩還流下で加熱した。冷却後水を加え、その生成物をエーテルで抽出し(60×3mL)、混合したそのエーテル抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥した。その溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)によって精製し、4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−ニトロビフェニルを黄色の油状物として生じさせた(4.55g、13.49mmol、収率86.5%)。
【0130】
【化45】
HRMS(C22H27NO2に対する計算値:337.2042):337.2048
パートD:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−アミノビフェニルの調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニルボロン酸(5.00g、19.2mmol)、4−ヨードアニリン(2.79g、12.75mmol)、および第四級アンモニウム塩(Aliquat336、1.3g)の混合物を、窒素で3回脱気した後、100mLの乾燥トルエンを加えた。このステップに続いて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.46g)および炭酸ナトリウム水溶液(1M、60mL、2時間脱気)を窒素下で加えた。その混合物を激しく撹拌し、還流下で20時間加熱した。得られた反応混合物の有機相をCelite(登録商標)の薄層を通して濾過し、蒸発乾燥させて3.09gの粗製品を生じさせた。その粗製品をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン)によって精製し、4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−アミノビフェニルを黄色の油状物として生じた(2.64g、8.59mmol、収率67.4%)。
【0131】
HRMS(C22H29Nに対する計算値:307.2300):307.2312
パートE:N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhCitr−Br2)の調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−4’−アミノビフェニル(1.68g、5.45mmol)を、プロピオン酸(20mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(1.00g、1.82mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(2.2g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.373g、0.33mmol、収率18.2%)。
【0132】
【化46】
元素分析(C68H60Br2N2O4に対する計算値:C72.34;H5.36;N2.48):C71.67;H5.03;N2.19
パートF:N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhCitr−CN2)の調製
DMF(13mL)中のN,N’−ビス{4−[4’((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.35g、0.27mmol)とCuCN(0.47g、5.13mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.67g)を、DMF−キシレンから再結晶化させて、N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.22g、0.22mmol、収率81.5%)。
【0133】
【化47】
元素分析(C70H60N4O4に対する計算値:C82.33;H5.92;N5.49):C81.77;H5.69;N5.82
(実施例9)
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF−CN2)の調製
パートA:4−ニトロ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニルの調製
4−ヨードニトロベンゼン(15g、0.060mol)、ブロモペンタフルオロベンゼン(14.9g、2.56mL、0.060mol)および銅粉末(30g)の混合物を50mLのJ−Young社製ガラス管に入れ、190℃で24時間加熱した。その管を冷却し、その混合物をジクロロメタンにより徹底的に抽出した。その溶媒を除去し、残渣を沸騰しているヘキサンで抽出し、熱いうちに濾過した。溶媒を除去し、得られた粘稠な固体を昇華させて、黄色固体としての4−ニトロ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニルを得た(11.0g、収率63%)。
【0134】
【化48】
パートB:4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル
4−ニトロ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル(10g、0.0345mol)を、無水エタノール(750mL)に溶解し、水素の吸収が止まるまでPd/C(0.3g)上の水素雰囲気(1気圧)の下で撹拌した。その溶液を濾過し、溶媒を除去した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニルの白色粉末を生じさせた(8.0g、収率89%)。
【0135】
【化49】
元素分析(C12H6F5N):C55.61%;H2.33%;F36.65%;N5.40%
パートC:N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF−Br2)の調製
4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル(1.40g、5.40mmol)と1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(1.00g、1.80mmol)のプロピオン酸(25mL)中の混合物を、還流下で50時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回ヘキサンおよびMeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(1.62g)をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0136】
【化50】
HRMS(C48H14Br2F10N2O4に対する計算値:1029.9161):1029.9158
パートD:N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF−CN2)の調製
DMF(10mL)中のN,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.21g、0.203mmol)とCuCN(0.33g、3.69mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で9時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その生成物(0.11g、0.12mmol、収率59.1%)は、通常の有機溶媒には不溶性であり、それを傾斜昇華させた。
【0137】
【化51】
元素分析(C50H14F10N4O4に対する計算値:C64.95;H1.53;N6.06):C65.06;H1.78;N6.41
(実施例10)
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
パートA:n−オクチルリチウムの調製
リチウム(2.86g、0.412mol)のリボンを、ヘキサンで、次いでジエチルエーテルですすぎ、最後に小片に切断し(約5mmの長さ)、250mLのさらなる漏斗を備えた窒素雰囲気下の空気を含まない3つ口フラスコに入れた。無水のジエチルエーテル(40mL)を、シリンジを用いてそのフラスコに加えた。無水ジエチルエーテル(37.5mL)中のn−C8H17Br(32.04g、0.166mol)の溶液のほぼ3mLを、第2の漏斗から加えた。その反応混合物をリチウム粒子が明るく輝きのある外観を呈するまで室温で撹拌した。その混合物を次に、ドライアイス−アセトン浴を用いてほぼ−10℃まで冷却した。n−C8H17Br溶液の残りを、温度を−10℃に維持しながら1.5時間をかけて滴下した。−10℃で30分間撹拌した後、その反応混合物をそのまま10℃まで温め、さらに1時間撹拌した。上澄みを冷たいカニューレにより除去し、次のステップで使用した。
【0138】
パートB:4−アミノ−4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニルの調製
乾燥エーテル中のn−オクチルリチウム(9.5mL)を、−78℃の4−アミノ−2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル(1.5g、5.79mmol、実施例9)の乾燥エーテル(100mL)中の溶液にゆっくり加えた。その溶液をこの温度で2時間撹拌し、次に5時間にわたって室温までそのまま温めた。塩酸(3M、100mL)を加えるとその溶液から白色固体が沈殿した。その固体を濾過して乾燥した。昇華後、4−アミノ−4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニルを白色固体として得た(1.2g、収率63%)。
【0139】
【化52】
元素分析(C20H23F4N):C67.97%;H6.56%;F21.50%;N3.96%
パートC:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−Br2)の調製
4−アミノ−4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル(1.70g、4.00mmol)と1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(0.50g、0.91mmol)のプロピオン酸(40mL)中の混合物を、還流下で48時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回ヘキサンおよびMeOHで洗浄し、最後に一晩乾燥させた。その粗生成物(0.73g)をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0140】
【化53】
パートD:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
DMF(15mL)中のN,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.40g、0.325mmol)とCuCN(0.53g、5.9mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.31g)をTCBから結晶化させ、N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.152g、0.136mmol、収率42.0%)。
【0141】
【化54】
HRMS(C66H48F8N4O4に対する計算値:1112.3548):1112.3543
(実施例11)
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
パートA:1−ヨード−4−オクチルベンゼンの調製
水(780mL)中の4−オクチルアニリン(80.0g、389.6mmol)の懸濁液に、HCl水溶液(40mL)を室温で加えた。その混合物を0℃まで冷却後、さらなるHCl水溶液(43mL)を加え、続いてNaNO2(26.9g、389.6mmol)の水(195mL)中の溶液を滴下した。得られたアレーンジアゾニウム水溶液に水(195mL)中のヨウ化カリウム(64.67g、389.6mmol)の溶液を滴下した。得られた混合物を撹拌して40℃で加熱した。2時間後チオ硫酸ナトリウムを加えて脱色し、その生成物をエーテルで抽出した。そのエーテル抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、真空中で濃縮して粗製の油状物を生じさせた。その粗製品をエーテルに溶解し、シリカゲルのプラグを通して3回濾過し、真空中で乾燥して、1−ヨード−4−オクチルベンゼンを無色の油状物として生じさせた。その生成物は、さらなる精製はせずに次のステップで使用した。
【0142】
【化55】
パートB:4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−オクチルフェニル)−1,3,2−ジオキサボロランの調製
n−BuLi(16.6mL、ヘキサン中1.6M)を、窒素雰囲気下、−78℃の乾燥THF(100mL)中のパートAからの1−ヨード−4−オクチルベンゼン(6.9g、21.8mmol)の溶液に10分間で加えた。その混合物を−78℃でさらに10分間撹拌した。2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン(6.21mL、30.4mmol)を、その後その混合物に滴下し、室温で一晩撹拌を続けた。その反応を次いで蒸留水によりクエンチし、THFを真空下で除去した。その生成物を次にジエチルエーテル中に抽出し、有機相をブラインで洗浄し、MgSO4により乾燥し、濾過して真空中で蒸発させ、6.38gの4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−オクチルフェニル)−1,3,2−ジオキサボロランを無色の油状物として生じさせた。その生成物を、さらなる精製はせずに次のステップで使用した。
【0143】
【化56】
パートC:2,3,5,6−テトラフルオロ−4’−オクチルビフェニル−4−アミンの調製
4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−オクチルフェニル)−1,3,2−ジオキサボロラン(415.0mg、1.31mmol)、4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンアミン(213.0mg、0.87mmol)、および第四級アンモニウム塩(Aliquat336、0.090g)の混合物を、窒素で3回脱気した後、乾燥トルエン(7.0mL)を加えた。このステップに続いて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(100.0mg)および2時間脱気した炭酸ナトリウム(水溶液、1M、4.0mL)を窒素下で加えた。その混合物を激しく撹拌し、還流温度で20時間加熱した。得られた反応混合物の有機相をCelite(登録商標)の薄層を通して濾過し、蒸発乾燥させて0.6gの粗生成物を生じさせた。その粗製品をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(溶離液として酢酸エチル:ヘキサン(1:9)を使用)によって精製し、オフホワイトの固体としての2,3,5,6−テトラフルオロ−4’−オクチルビフェニル−4−アミンを生じさせた(0.280g、収率91%)。
【0144】
元素分析(C20H23F4Nに対する計算値:C67.97;H6.56;F21.50):C68.03;H6.47;F21.20
【0145】
【化57】
パートD:N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)の調製
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhPhF8−CN2)は、実施例10、パートCおよびDに記載したものと同様の手順に従って調製することができる。
【0146】
(実施例12)
N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−Br2)の調製
ベンジルアミン(2.10g、19.62mmol)を、プロピオン酸(60mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で16時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(4.17g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.857g、1.18mmol、収率21.6%)。
【0147】
【化58】
元素分析(C38H20Br2N2O4に対する計算値:C62.66;H2.27;N3.85):C63.02;H2.78;N3.12
パートB:N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)の調製
DMF(50mL)中のN,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.983g、0.85mmol)とCuCN(2.2g、24.5.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で7時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、DMF−トルエンから複数回再結晶させて精製し、N,N’−ビス(ベンジル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)を赤色固体として生じさせた(0.46g、0.733mmol、収率86.3%)。
【0148】
【化59】
元素分析(C40H20N4O4に対する計算値:C77.41;H3.25;N9.03):C77.74;H3.48;N8.95
図3は、N,N’−ビス(ベンジル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph−CN2)のクロロホルム中のUV−vis吸収スペクトルを提供する。
【0149】
(実施例13)
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph4−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph4−Br2)の調製
500mL丸底フラスコに、ジブロモペリレンジアンヒドリド(2.022g、3.66mmol)、プロピオン酸(100mL)および4−n−ブチルベンジルアミン(2.50mL、14.8mmol)を加えた。その反応混合物を窒素下の還流下で4時間加熱し、一晩そのまま冷却した。沈殿を濾過し、MeOHで洗浄し(3×15mL)、乾燥した。その粗製混合物をジクロロメタン:アセトン(98%:2%)のクロマトグラフィーにより精製し、2番目のバンドを集め、N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を生じた(1.313g、1.56mmol、収率43%)。
【0150】
【化60】
MALDIMS(計算値:840.6):840.1
パートB:N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1Ph4−CN2)の調製
100mL丸底フラスコに、N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.557g、0.663mmol)、CuCN(1.14g、12.7mmol)、およびDMF(75mL)を加えた。その反応混合物を窒素下150℃まで5時間加熱し、次いでそのまま冷却した。その粗生成物をCHCl3により一晩連続して抽出し、乾燥し、CH2Cl2:アセトン(98%:2%)によるシリカゲルに基づくクロマトグラフィーによって精製し、定量的収率でN,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を生じた(0.480g、0.655mmol)。
【0151】
【化61】
MALDIMS(計算値:732.8):732.4
(実施例14)
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhs4−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhs4−Br2)の調製
4−sec−ブチルアニリン(4.75g、31.8mmol)を、プロピオン酸(50mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.37g、7.95mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(1.97g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.20g、0.25mmol、収率3.1%)。
【0152】
【化62】
元素分析(C32H24Br2N2O4に対する計算値:C58.20;H3.66;N4.24):C58.05;H4.01;N3.89
パートB:N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhs4−CN2)の調製
DMF(10mL)中のN,N’−ビス[4−(sec−ブチル)フェニル]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.20g、0.25mmol)とCuCN(0.41g、4.53mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、シリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2:アセトン=98:2)により精製し、N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.12g、0.17mmol、収率68.0%)。
【0153】
【化63】
元素分析(計算値:C78.06;H4.56;N7.29):C77.90;H4.74;N7.60
(実施例15)
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1PhOCitr−CN2)の調製
パートA:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]シアノベンゼンの調製
アセトン(200mL)中の4−シアノフェノール(6.0g、50.0mmol)、炭酸カリウム(27.6g、200mmol)およびシトロネリルブロミド(13.15g、60.0mmol)の混合物を還流下で24時間にわたって加熱した。その溶媒を蒸発させ、残渣をCH2Cl2(60mL×2)で取り上げ、その溶液を濾過した。その溶媒を蒸発させ、得られた油状物を、溶離剤が(EtOAc/ヘキサン1:1)のシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色の油状の4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]シアノベンゼンを生じさせた(11.76g、45.7mmol、収率91.4%)。
【0154】
【化64】
パートB:4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジルアミンの調製
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、29.4mmol)を、乾燥エタノール(20mL)中の4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]シアノベンゼン(2.52g、9.80mmol)と無水塩化ニッケル(NiCl2、9.8mmol)の混合物に加えた。2時間後、その反応混合物をCelite(登録商標)により濾過し、そのCelite(登録商標)ベッドをエタノールですすいだ(2×10mL)。その溶液を水(150mL)で希釈し、エーテルで抽出した(3×25mL)。その混合したエーテル相を、水で洗浄し、MgSO4により乾燥し、溶媒を蒸発させて油状物を提供し、それをカラムクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン)により精製し、無色の油状の4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジルアミンを生じさせた(1.82g、6.97mmol、収率71.1%)。
【0155】
【化65】
HRMS(C17H27NOに対する計算値:261.2093):261.2099
パートC:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1PhOCitr−Br2)の調製
4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジルアミン(5.13g、19.62mmol)を、プロピオン酸(60mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で14時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(4.02g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−ビス−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(1.46g、1.41mmol、収率25.9%)。
【0156】
【化66】
元素分析(C58H56Br2N2O6に対する計算値:C67.18;H5.44;N2.70):C66.99;H5.21;N2.42
パートD:N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI1PhOCitr−CN2)の調製
DMF(110mL)中のN,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(2.80g、2.70mmol)とCuCN(4.4g、49.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で7時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、DMF−トルエンから複数回再結晶させて精製し、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(2.21g、2.38mmol、収率88.0%)。
【0157】
【化67】
元素分析(C60H56N4O6に対する計算値:C77.56;H6.08;N6.03):C76.98;H6.72;N5.63
(実施例16)
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhlPh−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhlPh−Br2)の調製
4−ベンジルアニリン(3.60g、19.62mmol)を、プロピオン酸(56mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(3.29g)をさらなる精製はしないで次のステップで使用した。
【0158】
【化68】
HRMS(C50H28Br2N2O6に対する計算値:878.0416):878.0408
パートB:N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhlPh−CN2)の調製
DMF(140mL)中の粗製のN,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(3.00g、3.41mmol)とCuCN(5.91g、66mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.38g)を、DMFから再結晶させて、N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(0.15g、0.19mmol、収率5.6%)。
【0159】
【化69】
元素分析(C52H28N4O4に対する計算値:80.82;H3.65;N7.25):C81.07;H3.97;N7.11
(実施例17)
N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh2Ph−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh2Ph−Br2)の調製
4−[1−(2−フェニルエチル)]アニリン(3.77g、19.12mmol)を、プロピオン酸(50mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(4.00g、4.78mmol)の懸濁液に加えた。その反応混合物を還流下で24時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(6.08g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CHCl3:アセトン=50:50)により精製し、N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.725g、0.80mmol、収率16.7%)。
【0160】
【化70】
元素分析(C52H32Br2N2O4に対する計算値:C68.74;H3.55;N3.08):C69.08;H3.70;N3.29
パートB:N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPh2Ph−CN2)の調製
DMF(150mL)中のN,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(3.49g、3.84mmol)とCuCN(6.43g、72.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体を、DMFから再結晶させて、N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色粉末として生じさせた(2.02g、2.52mmol、収率65.7%)。
【0161】
【化71】
元素分析(C54H32N4O4に対する計算値:C80.99;H4.03;N7.00):C81.43;H4.38;N6.76
(実施例18)
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCOPh−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCOPh−Br2)の調製
4−アミノベンゾフェノン(3.87g、19.62mmol)を、プロピオン酸(56mL)中の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(3.00g、5.45mmol)の懸濁液に3つに分けて加えた。その反応混合物を還流下で12時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸で、および数回MeOHで洗浄し、一晩乾燥させた。その粗生成物(3.48g)をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製し、N,N’−ビス(4−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)を赤色固体として生じさせた(0.67g、0.74mmol、収率13.6%)。
【0162】
【化72】
HRMS(C50H24Br2N2O6に対する計算値:906.0001):906.0008;元素分析(C50H24Br2N2O6に対する計算値:C66.10;H2.66;N3.08):C66.58;H2.53;N3.27
パートB:N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDIPhCOPh−CN2)の調製
DMF(27mL)中のN,N’−ビス(4−ベンゾイルフェニル)−l,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(0.60g、0.66mmol)とCuCN(1.07g、12.0mmol)との混合物を脱気して窒素下に置いた。その反応混合物を150℃で6時間にわたり加熱した。室温まで冷却後、その沈殿を濾過して集め、MeOHで数回洗浄し、一晩乾燥させた。その粗製の固体(0.42g)は、通常の有機溶媒には不溶性であった。
【0163】
HRMS(C52H24O6N4に対する計算値:800.1690):800.1687
(実施例19)
N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(NDICitr−CN2)の調製
パートA:2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボキシリックジアンヒドリド(NDA−Br2)の調製
500mLの丸底フラスコに、ナフタレン1,2:5,6−テトラカルボキシリックジアンヒドリド(19.8g、73.8mmol)および発煙硫酸(400mL)を加えた。その懸濁液を3時間撹拌し、続いてヨウ素(0.812g、3.20mmol)を加えた。撹拌をさらに1時間続けた。その反応混合物に、臭素(8mL、156mmol)を15分かけて滴下した。その反応混合物を次に窒素下で72時間にわたり95℃に加熱し、そのまま室温まで冷却した。次に600mLのビーカーに300mLの氷水を加え、その反応混合物をその氷水中にゆっくりと注いだ。得られた黄色の沈殿物を濾過して集め、MeOHで洗浄し(3×15mL)、乾燥させて24.1gの粗生成物を生じた。その生成物をそのまま後続のステップのために使用した。
【0164】
MALDI−TOF−MS(計算値:426.97):426.91
パートB:N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(NDICitr−Br2)の調製
2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボキシリックジアンヒドリド(2.00g、4.70mmol)と4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]アニリン(10.87g、47mmol)のN−メチルピロリジノン(70mL)と氷酢酸(40mL)中の混合物を窒素下の85℃で8時間撹拌した。室温まで冷却後、その反応混合物を200mLのMeOHに注ぎ、フリーザー中に一晩置いた。得られた沈殿物を濾過して集め、MeOHで洗浄し、乾燥させた。その粗製のオレンジ色の生成物を次にシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミドを山吹色の固体として生じさせた(1.57g、1.84mmol、収率39.1%)。
【0165】
【化73】
HRMS(C46H48Br2N2O4に対する計算値:850.1981):850.1987
パートC:N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(NDICitr−CN2)の調製
DMF(60mL)中のN,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジブロモナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド(1.53g、1.80mmol)とCuCN(1.72g、19.2mmol)との混合物を、窒素下150℃で5時間にわたり撹拌した。その反応混合物を氷浴で冷却し、沈殿を形成させた。その沈殿物を濾過し、MeOHで数回洗浄した。その粗製の固体をシリカゲルに基づくクロマトグラフィー(CH2Cl2)によって精製し、N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミドを生じさせ、それをDMFによりさらに結晶化させた(0.21mg、0.29mmol、収率16%)。
【0166】
【化74】
元素分析(C48H48N4O4に対する計算値:C77.39;H6.49;N7.52):C77.81;H6.12;N7.09
(実施例20)
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,3:6,7−アントラセンジカルボキシイミドの調製
ヨウ化ナトリウム(3.7g)を、N,N−ジメチルアセトアミド(15mL)中の1,2,4,5−テトラキス(ジブロモメチル)ベンゼン(1.92g、2.50mmol)およびN−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]}フェニルマレイミド(1.56g、5.00mmol)の溶液に加えた。その反応混合物を85℃で16時間にわたって加熱すると、その時間の間に沈殿が形成した。その固体を濾過して集め、水およびMeOHで洗浄し、最後に乾燥させて、N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,3:6,7−アントラセンジカルボキシイミドを山吹色の固体として生じさせた(0.51g、0.68mmol、収率27%)。さらなる精製は、DMF−TCBからの再結晶によって成し遂げることができる。
【0167】
【化75】
元素分析(C50H52O4N2に対する計算値:C80.61;H7.04;N3.76):C80.55、H7,38、N4.04
(実施例21)
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2EH−CN2)の調製
パートA:N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2EH−Br2)の調製
1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ジアンヒドリド(PDABr2)(5.10g、9.35mmol)を、プロピオン酸(80mL)中で2−エチルヘキシルアミン(5.60mL、34.2mmol)と混合した。その反応混合物を還流下で16時間加熱した。室温まで冷却後、得られた固体を濾過して集め、プロピオン酸と、数回MeOHとにより洗浄し、一晩乾燥した。濾過によって7.57gの粗生成物が提供され、それをカラムクロマトグラフィー(CHCl3)によって精製し、PDI2EH−Br2を赤色固体として生じさせた(5.12g、6.63mmol、収率65.2%)。
【0168】
【化76】
元素分析(計算値:C62.19;H5.22;N3.63):C62.20;H5.43;N3.33
パートB:N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2EH−CN2)の調製
窒素下、CuCN(2.28g、25.3mmol)を、PDI2EH−Br2(1.08g、1.40mmol)およびDMF(54mL)の混合物に加えた。その混合物を150℃に加熱し、一晩撹拌した。室温まで冷却後、その固体を濾過し、MeOHで数回洗浄した。その粗生成物(1.03g)をカラムクロマトグラフィー(CHCl3/アセトン;96:4)により精製して、約0.8gの赤色固体を提供した。1回20mLのDMFから再結晶させた後、PDI2EH−CN2を赤色固体として得た(560mg、収率60%)。
【0169】
【化77】
元素分析(計算値:C75.88;H6.06;N8.43):C75.85;H5.93;N8.33
(実施例22)
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2MH−CN2)の調製
パートA:2−メチルヘキサンニトリルの調製
−78℃まで冷却した乾燥THF(80mL)中のi−PrNH2(9.11g、12.7mL、90mmol)溶液に、ヘキサン中のn−BuLi(57mL、1.59M、90mmol)溶液を5分間かけて滴下した。浴温度で15分後、4.63g(6.0mL、84mmol)のプロピオニトリルを15分の時間をかけて滴下した。その淡黄色の反応混合物を、−78℃で1時間撹拌し、次いでn−BuBr(12.33g、9.7mL、90mmol)の乾燥THF(10mL)中の溶液を滴下した。その浴を室温までそのまま温め、その混合物を一晩撹拌した。塩酸(40mL、1N)を次に加えた。その混合物を真空中でほぼ100mLまで濃縮し、エーテル(150mL)と水(30mL)中で分配した。その有機相をNa2SO4により乾燥し、黄色の油状物として濃縮した。真空下72℃での蒸留により、2−メチルヘキサンニトリルを無色の液体として生じさせた(3.76g、34mmol、収率40.5%)。
【0170】
パートB:2−メチルヘキシルアミンの合成
氷浴で冷却した乾燥エーテル(68mL)中の水素化アルミニウムリチウム(1.29g、34mmol)溶液に、乾燥エーテル(7mL)に溶解した2−メチルヘキサンニトリル(3.76g、34mmol)をゆっくり加えた。その反応混合物をそのまま2時間にわたって撹拌した。冷却および激しい撹拌を続けながら、水(1.4mL)、NaOH水溶液(1.1mL、20%)、および水(5.0mL)を相次いで加えた。そのエーテル溶液を白い粒状の無機残渣から別の容器に静かに注いだ。この残渣をエーテルで2回洗浄し、すべてのエーテル部分を混合した。そのエーテルを留去して粗製の2−メチルヘキシルアミンを無色の液体として生じさせた(3.09g、27mmol、収率78.8%)。
【0171】
パートC:N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2MH−Br2)の調製
プロピオン酸(20mL)中のPDABr2(1.00g、1.82mmol)および2−メチルヘキシルアミン(503mg、0.52mL、4.37mmol)を、140℃で6時間撹拌した。室温まで冷却後、その溶媒を除去して残渣(1.09g)を生じさせた。その残渣をカラムクロマトグラフィー(CHCl3)により精製してPDI2MH−Br2を赤色固体として提供した(500mg、0.67mmol、収率36.9%)。
【0172】
【化78】
元素分析(計算値:C61.30;H4.87;N3.76):C61.65;H4.57;N3.91
パートD:N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2MH−CN2)の調製
窒素下で、CuCN(1.48g、16.4mmol)を、PDI2MH−Br2(670mg、0.90mmol)およびDMF(32mL)の混合物に加えた。その混合物を150℃に加熱し、一晩撹拌した。室温まで冷却後、その固体を濾過して集め、MeOHで数回洗浄した。その粗生成物(480mg)をカラムクロマトグラフィー(CHCl3/アセトン;96:4)により精製して、ほとんど赤色の固体(330mg)を生じさせた。DMF(10mL)からの1回の再結晶後、PDI2MH−CN2を赤色固体として得た(320mg、0.50mmol、収率56%)。
【0173】
【化79】
元素分析(計算値:C75.45;H5.70;N8.80):C75.43;H5.68;N8.82
(実施例23)
溶解性データ
さまざまな通常の有機溶媒中の本教示の化合物についての溶解性データを得た(表3)。N,N’−ビス(4−n−オクチル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI8−CN2)を比較化合物として含めた。とりわけ注目すべきは、イミド窒素の3−アルキル置換アルケニル基官能化を有するリレン化合物(PDICitr−CN2)が、通常の既知の線状アルキル基置換を有する類似の化合物(PDI8−CN2)と比較して、ならびに表3に見出される本教示のその他の代表的な化合物と比較して、溶解性の予想外の増加を示したことである。
【0174】
【表3】
(実施例24)
薄膜半導体製作
有機半導体薄膜を蒸着および溶液相堆積によって作製した。蒸着膜は、Denton DV−502真空蒸着装置(10−6〜10−7トル)中で25〜120℃に保たれた基板上に準備した。
【0175】
有機半導体膜は、次の基板上:n+−Si−(300nm)SiO2(Process Specialties Inc.社)、ITO、ITO−(100〜600nm)CPB誘電体(Polyera Corporation社)、PET−Al−(100〜600nm)CPB誘電体(Polyera Corporation社)に堆積させた。これらは、水、メタノール、およびアセトンですすぎ、その後CPBまたは有機半導体膜を堆積させた。Si/SiO2表面のシラン官能化は、酸化ケイ素ウエハーを、窒素下の密閉容器中室温でヘキサメチルジシラザン(HMDS)およびオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の蒸気にさらすことによって行った。
【0176】
膜の成長速度(0.1〜0.4Å/秒)は、るつぼの温度を調節することによって制御した。目盛り付きの水晶振動子微量天秤を用いて成長速度および膜厚を制御した。溶液堆積膜は、ドロップキャスティング(半導体濃度=0.1〜2mg/mL)、スピンコーティング(半導体濃度=1〜10mg/mL、スピン速度=500〜5000rpm)、グラビア/フレキソ印刷(半導体濃度=10〜130mg/mL、アニロックス/印刷力=10〜500N、印刷速度=0.2〜1.5m/秒)、およびインクジェット印刷(半導体濃度=1〜10mg/mL)により作製した。
【0177】
移動プロットが、溶液相から堆積させた以下の薄膜半導体に対して得られた:PDIPhPh−CN2(図4)PDIPhPh8−CN2(図5)、PDIPh6−CN2(図6)、PDIPhPhCitr−CN2(図7)、およびPDIPhCitr−CN2(図8)。
【0178】
出力プロットが、溶液相および蒸気相から堆積させた以下の薄膜半導体に対して得られた:PDIPhCitr−CN2−溶液(図9)、PDIPhPh−CN2−溶液(図10)、PDIPhl2−CN2−溶液(図11)、PDIPhPhCitr−CN2−溶液(図12)、およびPDIPhl2−CN2−蒸気(図13)。
【0179】
(実施例25)
有機半導体薄膜の特性決定
薄膜(500Å)は、Cu Kα放射線およびモノクロメータによる標準的なθ−2θ技法を用いるX線膜回折法(XRD)により分析した。すべてのθ−2θスキャンは、Si(100)基板の反射により調整した。図14は、高度の膜組織を示すPDIlPh4−CN2から調製した50nm厚の膜のWAXRD Θ/2Θスキャン(および001反射のロッキングカーブ)を提供している。図15Aおよび15Bは、PDIPhPh−CN2から調製した溶液相堆積膜対蒸気相堆積膜について比較したWAXRD Θ/2Θスキャンを提供している。実証されているように、堆積方法にかかわりなく、両方とも膜は高度に結晶質である。
【0180】
(実施例26)
有機半導体薄膜を用いる薄膜トランジスタの製作および特性決定
薄膜トランジスタデバイス製作のため、トップコンタクト電極(500Å)を、ゲート(Si、ITO、Al)−誘電体(SiO2、CPB)−有機半導体試料の表面に金を蒸発させて(圧力<10−5トル)堆積した。TFTデバイスチャネル寸法は、50〜500μm(L)対0.5〜4.0mm(W)である。採用した絶縁体のキャパシタンスは、4〜11nF/cm2である。電気計測は、Keithley6430型サブフェムトアンメーター(subfemtoammeter)およびKeithley2400型ソースメータを採用し、ローカルのLabviewプログラムおよびGPIBコミュニケーションにより操作する自家製同軸プローブステーションを用いて行った。ノイズを最小限にするために、三軸および/または同軸遮蔽をSignatonプローブステーションに組み込んだ。
【0181】
他の有機FETとの比較を可能にするために、標準的な電界効果トランジスタ方程式によって移動度(μ)を計算した。伝統的な金属絶縁膜半導体FET(MISFET)には、異なるVGにおけるIDS対VDS曲線の中に(ここで、IDSは、ソース−ドレイン飽和電流であり、VDSは、ソースとドレインの間のポテンシャルであり、VGは、ゲート電圧である)一般的には線形領域および飽和領域が存在する。大きなVDSにおいて、電流は飽和し、
(IDS)sat=(WCi/2L)μ(VG−Vt)2 (1)
によって与えられ、ここで、LおよびWは、それぞれデバイスのチャネルの長さと幅であり、Ciは、酸化物絶縁体のキャパシタンス(300nmSiO2に対して1×10−8F/cm2)であり、Vtは、しきい値電圧である。
【0182】
移動度(μ)は、方程式1を再配置することにより飽和領域で計算した:
μsat=(2IDSL)/[WCi(VG−Vt)2] (2)
(式中、Ciは、この場合6・10−8Fであった)。そのしきい値電圧(Vt)は、VG対(IDS)1/2のプロットの線形領域のxインタセプトとして見積もることができる(VSD=−100Vにおいて)。
【0183】
表4は、ドロップキャストし、かつ/または蒸気相堆積させて薄膜半導体を形成した本教示の代表的な化合物についての電子移動度および電流Ion:Ioff比をまとめている。とりわけ注目すべきは、イミド窒素の2−アルキル置換アルキル基官能化を有するリレン化合物(PDI2MH−CN2およびPDI2EH−CN2)が、通常の既知の線状アルキル基置換を有する類似の化合物(PDI8−CN2)およびその3位にメチル基を有する分枝アルケニル基を有する類似の化合物(PDICitr−CN2)と比較して、電流Ion:Ioff比の予想外の増加を示したことである。
【0184】
【表4−1】
【0185】
【表4−2】
(実施例27)
ピンコーティングによる電界効果トランジスタ(FET)製作
代表的な化合物(位置異性体の混合物を含むことができる)(4〜8mg)を、CHCl3(0.5〜2mL)に溶解し、その溶液を、OTS処理したSi−SiO2基板上にスピンコートした(1500rpm)。その膜を、次に真空オーブン中80〜120℃で30分〜5時間にわたりアニールした。FETデバイス構造は、Auソース/ドレインコンタクトを蒸発させることによって完成した。
【0186】
図16Aは、本教示の化合物(PDI8−CN2)をクロロホルムからスピンコートした膜について空気中で測定した代表的な移動プロットである。図16Bは、本教示の化合物(PDI2EH−CN2)をクロロホルムからスピンコートした膜について空気中で測定した代表的な移動プロットである。
【0187】
表5は、本教示の代表的なPDI−CN2コア化合物のスピンコート膜の電子移動度および電流Ion:Ioff比をまとめている。とりわけ注目すべきは、イミド窒素の2−アルキル置換アルキル基官能化を有する化合物(PDI2MH−CN2およびPDI2EH−CN2)が、通常の既知の線状アルキル基置換を有する類似の化合物(PDI8−CN2)と比較して、電子移動度および電流Ion:Ioff比の予想外の増加を示したことである。
【0188】
【表5】
本教示は、その精神または本質的特徴から逸脱することのないその他の特定の形態を包含する。上述の実施形態は、それ故、あらゆる点で、本明細書に記載の本教示に関して限定するためというよりむしろ説明に役立たせるためと考えるべきである。本教示の範囲は、従って、上述の記述によるよりむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、該特許請求の範囲の意図および等価の範囲にあるすべての変化は、その中に包含されることを意味する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化80】
を有する化合物
[式中、
Qは、1〜4個のRa基により場合によって置換されている縮合環部分であり、
ここで、
Raは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)C1〜20アルキル基、g)C2〜20アルケニル基、h)C2〜20アルキニル基、i)C1〜20アルコキシ基、j)C1〜20アルキルチオ基、k)C1〜20ハロアルキル基、l)−Y−C3〜10シクロアルキル基、m)−Y−C6〜14アリール基、n)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはo)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、ここで、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C3〜10シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜12員のシクロへテロアルキル基、および該5〜14員のヘテロアリール基のそれぞれは1〜4個のRb基により場合によって置換されており;
Rbは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜20アルキル)、h)−N(C1〜20アルキル)2、i)−N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、j)−N(−Y−C6〜14アリール)2、k)−S(O)mH、l)−S(O)m−C1〜20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m−OC1〜20アルキル、o)−S(O)m−O−Y−C6〜14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜20アルキル、r)−C(O)−Y−C6〜14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜20アルキル、u)−C(O)−O−Y−C6〜14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜20アルキル、x)−C(O)N(C1〜20アルキル)2、y)−C(O)NH−Y−C6〜14アリール、z)−C(O)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、aa)−C(O)N(−Y−C6〜14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜20アルキル、ad)−C(S)N(C1〜20アルキル)2、ae)−C(S)N(−Y−C6〜14アリール)2、af)−C(S)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、ag)−C(S)NH−Y−C6〜14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1〜20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1〜20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(−Y−C6〜14アリール)、al)−S(O)mN(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、am)−S(O)mN(−Y−C6〜14アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜20アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜20アルキル)、ar)−Si(C1〜20アルキル)3、as)C1〜20アルキル基、at)C2〜20アルケニル基、au)C2〜20アルキニル基、av)C1〜20アルコキシ基、aw)C1〜20アルキルチオ基、ax)C1〜20ハロアルキル基、ay)−Y−C3〜10シクロアルキル基、az)−Y−C6〜14アリール基、ba)−Y−3〜12員シクロへテロアルキル基、またはbb)−Y−5〜14員ヘテロアリール基であり;
Yは、出現するごとに、独立に、二価のC1〜6アルキル基、二価のC1〜6ハロアルキル基または共有結合であり;
mは、0、1または2であり、
R1は、出現するごとに、独立に、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、分枝C3〜20ハロアルキル基、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり;
ここで、
Lは、出現するごとに、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
ここで、
Rcは、出現するごとに、H、C1〜6アルキル基または−Y−C6〜14アリール基であり;
Ar1は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
ここで、
Rdは、出現するごとに、ハロゲン、−CN、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、およびC1〜6ハロアルキル基から独立に選択され;
R2は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基、C1〜20アルコキシ基、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり;
ここで、
L’は、出現するごとに、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
Ar2は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
R3は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である]。
【請求項2】
Qが、
【化81】
であり、
ここで、a、b、c、d、e、f、gおよびhが、独立に、CH、CRa、SiH、SiRa、NまたはPであり、Raが、請求項1で定義されている通りである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
a、b、c、d、e、f、gおよびhが、独立に、CHまたはC(CN)である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化82】
(式中、R1は、請求項1で定義されている通りである)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
各R1が、独立に、分枝C3〜20アルキル基または分枝C3〜20アルケニル基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R1が、独立に、2−アルキル置換アルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R1が、独立に、2−アルキル置換ブチル基、2−アルキル置換ペンチル基、2−アルキル置換ヘキシル基または2−アルキル置換ヘプチル基である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
各R1が、独立に、
【化83】
である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R1が、独立に、3−アルキル置換ブチル基、3−アルキル置換ペンチル基、3−アルキル置換ヘキシル基、3−アルキル置換ヘプチル基、3−アルキル置換オクチル基または3,7−ジアルキル置換オクチル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
各R1が、独立に、
【化84】
である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
各R1が、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり、L、Ar1およびR2が請求項1で定義したものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
各R1が、
【化85】
であり、
ここで、i、j、k、l、o、r、sおよびuが、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり、wが、CH、CR2、SiH、SiR2、NまたはPであり、L、R2およびRdが、請求項1で定義したものである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
各R1が、
【化86】
であり、
ここで、i、j、k、l、o、r、sおよびuが、独立に、CH、CFまたはNであり、Lが、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり、R2が請求項1で定義されている通りである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
各R2が、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
各R2が、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
各R2が、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
各R2が、
【化87】
である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
各R2が、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり、L’、Ar2およびR3が請求項1で定義したものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
各R1が、
【化88】
であり、
ここで、i、j、k、l、o、r、s、u、i’、j’、k’、l’、o’、r’、s’、およびu’が、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり、w’が、CH、CR3、SiH、SiR3、NまたはPであり、L、L’、R3およびRdが、請求項1で定義したものである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
R1が、
【化89】
であり、
ここで、
i、j、k、l、o、r、s、u、i’、j’、k’、o’、r’、s’、およびu’が、独立に、CH、CFまたはNであり、Lが、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり、L’が、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり、
R3が、請求項1で定義されている通りである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
R3が、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
R3が、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R3が、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
R3が、
【化90】
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
各R1が、
【化91】
であり、
ここで、pが0〜20の範囲の整数であり、各qが、独立に、0〜4の範囲の整数であり、R2およびRdが請求項1で定義されている通りである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
各R1が、
【化92】
であり、
ここで、pが0〜20の範囲の整数であり、各qが、独立に、0〜4の範囲の整数であり、L’、RdおよびR3が請求項1で定義されている通りである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
各R1が、
【化93】
であり、
ここで、RdがFであり、pが、0、1または2であり、各qが、独立に、0または4であり、L’が、−CH2−、−CH2CH2−、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−であり、R3が、H、Fまたはメチル基である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,6−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(ベンジル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド;および
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,3:6,7−アントラセンジカルボキシイミド
から選択される化合物。
【請求項29】
液体媒体中に溶解または分散している請求項1から28のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む組成物。
【請求項30】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物の2つ以上の位置異性体を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
液体媒体が有機溶媒または溶媒の混合物である、請求項29または請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
請求項1から28のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む製品。
【請求項33】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物の2つ以上の位置異性体を含む、請求項32に記載の製品。
【請求項34】
電子デバイス、光学デバイスまたは光電子デバイスである、請求項32または請求項33に記載の製品。
【請求項35】
請求項1から28のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む薄膜半導体。
【請求項36】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物の2つ以上の位置異性体を含む、請求項35に記載の薄膜半導体。
【請求項37】
基板および該基板に堆積した請求項35または請求項36に記載の薄膜半導体を含む複合材。
【請求項38】
請求項35または36に記載の薄膜半導体を含む電界効果トランジスタデバイス。
【請求項39】
請求項37に記載の複合材を含む電界効果トランジスタデバイス。
【請求項40】
誘電材料を含み、該誘電材料が、有機誘電材料、無機誘電材料または有機/無機ハイブリッドの誘電材料を含む、請求項38または請求項39に記載の電界効果トランジスタデバイス。
【請求項41】
請求項35または請求項36に記載の薄膜半導体を含む光起電デバイス。
【請求項42】
請求項37に記載の複合材を含む光起電デバイス。
【請求項43】
1つまたは複数の化合物と隣接したp型半導体材料を含む、請求項41または請求項42に記載の光起電デバイス。
【請求項44】
請求項35または請求項36に記載の薄膜半導体を含む有機発光ダイオードデバイス。
【請求項45】
請求項37に記載の複合材を含む有機発光ダイオードデバイス。
【請求項46】
請求項32から34のいずれか一項に記載の製品、請求項35または36に記載の薄膜半導体、請求項38から40のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ、請求項41から43のいずれか一項に記載の光起電デバイス、あるいは請求項42または請求項45に記載の有機発光ダイオードデバイスを製造する方法であって、基板に請求項29から31のいずれか一項に記載の組成物を堆積させるステップを含む方法。
【請求項47】
請求項37に記載の複合材を製造する方法であって、該基板に請求項29から31のいずれか一項に記載の組成物を堆積させるステップを含む方法。
【請求項48】
組成物を堆積させる該ステップが、印刷、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、吹き付け、および蒸着の少なくとも1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物を製造する方法であって、該化合物のコア構造の第2級イミド窒素を反応させてそのR1基(R1は請求項1で定義されている通りである)を置換するステップを含む方法。
【請求項1】
式:
【化80】
を有する化合物
[式中、
Qは、1〜4個のRa基により場合によって置換されている縮合環部分であり、
ここで、
Raは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)C1〜20アルキル基、g)C2〜20アルケニル基、h)C2〜20アルキニル基、i)C1〜20アルコキシ基、j)C1〜20アルキルチオ基、k)C1〜20ハロアルキル基、l)−Y−C3〜10シクロアルキル基、m)−Y−C6〜14アリール基、n)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはo)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、ここで、該C1〜20アルキル基、該C2〜20アルケニル基、該C2〜20アルキニル基、該C3〜10シクロアルキル基、該C6〜14アリール基、該3〜12員のシクロへテロアルキル基、および該5〜14員のヘテロアリール基のそれぞれは1〜4個のRb基により場合によって置換されており;
Rbは、出現するごとに、独立に、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜20アルキル)、h)−N(C1〜20アルキル)2、i)−N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、j)−N(−Y−C6〜14アリール)2、k)−S(O)mH、l)−S(O)m−C1〜20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m−OC1〜20アルキル、o)−S(O)m−O−Y−C6〜14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜20アルキル、r)−C(O)−Y−C6〜14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜20アルキル、u)−C(O)−O−Y−C6〜14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜20アルキル、x)−C(O)N(C1〜20アルキル)2、y)−C(O)NH−Y−C6〜14アリール、z)−C(O)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、aa)−C(O)N(−Y−C6〜14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜20アルキル、ad)−C(S)N(C1〜20アルキル)2、ae)−C(S)N(−Y−C6〜14アリール)2、af)−C(S)N(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、ag)−C(S)NH−Y−C6〜14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1〜20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1〜20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(−Y−C6〜14アリール)、al)−S(O)mN(C1〜20アルキル)−Y−C6〜14アリール、am)−S(O)mN(−Y−C6〜14アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜20アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜20アルキル)、ar)−Si(C1〜20アルキル)3、as)C1〜20アルキル基、at)C2〜20アルケニル基、au)C2〜20アルキニル基、av)C1〜20アルコキシ基、aw)C1〜20アルキルチオ基、ax)C1〜20ハロアルキル基、ay)−Y−C3〜10シクロアルキル基、az)−Y−C6〜14アリール基、ba)−Y−3〜12員シクロへテロアルキル基、またはbb)−Y−5〜14員ヘテロアリール基であり;
Yは、出現するごとに、独立に、二価のC1〜6アルキル基、二価のC1〜6ハロアルキル基または共有結合であり;
mは、0、1または2であり、
R1は、出現するごとに、独立に、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、分枝C3〜20ハロアルキル基、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり;
ここで、
Lは、出現するごとに、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
ここで、
Rcは、出現するごとに、H、C1〜6アルキル基または−Y−C6〜14アリール基であり;
Ar1は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
ここで、
Rdは、出現するごとに、ハロゲン、−CN、C1〜6アルキル基、C1〜6アルコキシ基、およびC1〜6ハロアルキル基から独立に選択され;
R2は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基、C1〜20アルコキシ基、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり;
ここで、
L’は、出現するごとに、−Y−O−Y−、−Y−S−Y−、−Y−S(O)−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−O−C(O)−Y−、−Y−NRcC(O)−Y−、−Y−C(O)NRc−Y−、−Y−NRc−Y−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜20アルキル基、二価のC1〜20ハロアルキル基または共有結合であり;
Ar2は、出現するごとに、独立に、C6〜14アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、それぞれ1〜4個のRd基により場合によって置換されており;
R3は、出現するごとに、H、ハロゲン、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である]。
【請求項2】
Qが、
【化81】
であり、
ここで、a、b、c、d、e、f、gおよびhが、独立に、CH、CRa、SiH、SiRa、NまたはPであり、Raが、請求項1で定義されている通りである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
a、b、c、d、e、f、gおよびhが、独立に、CHまたはC(CN)である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化82】
(式中、R1は、請求項1で定義されている通りである)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
各R1が、独立に、分枝C3〜20アルキル基または分枝C3〜20アルケニル基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R1が、独立に、2−アルキル置換アルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R1が、独立に、2−アルキル置換ブチル基、2−アルキル置換ペンチル基、2−アルキル置換ヘキシル基または2−アルキル置換ヘプチル基である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
各R1が、独立に、
【化83】
である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R1が、独立に、3−アルキル置換ブチル基、3−アルキル置換ペンチル基、3−アルキル置換ヘキシル基、3−アルキル置換ヘプチル基、3−アルキル置換オクチル基または3,7−ジアルキル置換オクチル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
各R1が、独立に、
【化84】
である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
各R1が、−L−Ar1−R2または−L−Ar1−Ar1−R2であり、L、Ar1およびR2が請求項1で定義したものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
各R1が、
【化85】
であり、
ここで、i、j、k、l、o、r、sおよびuが、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり、wが、CH、CR2、SiH、SiR2、NまたはPであり、L、R2およびRdが、請求項1で定義したものである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
各R1が、
【化86】
であり、
ここで、i、j、k、l、o、r、sおよびuが、独立に、CH、CFまたはNであり、Lが、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり、R2が請求項1で定義されている通りである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
各R2が、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
各R2が、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
各R2が、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
各R2が、
【化87】
である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
各R2が、−L’−Ar2−R3または−L’−Ar2−Ar2−R3であり、L’、Ar2およびR3が請求項1で定義したものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
各R1が、
【化88】
であり、
ここで、i、j、k、l、o、r、s、u、i’、j’、k’、l’、o’、r’、s’、およびu’が、独立に、CH、CRd、SiH、SiRd、NまたはPであり、w’が、CH、CR3、SiH、SiR3、NまたはPであり、L、L’、R3およびRdが、請求項1で定義したものである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
R1が、
【化89】
であり、
ここで、
i、j、k、l、o、r、s、u、i’、j’、k’、o’、r’、s’、およびu’が、独立に、CH、CFまたはNであり、Lが、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり、L’が、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−、二価のC1〜10アルキル基、二価のC1〜10ハロアルキル基または共有結合であり、
R3が、請求項1で定義されている通りである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
R3が、H、F、C1〜20アルキル基、C2〜20アルケニル基、C1〜20ハロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
R3が、直鎖C1〜20アルキル基、分枝C3〜20アルキル基、分枝C3〜20アルケニル基、C1〜20フルオロアルキル基またはC1〜20アルコキシ基である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R3が、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリデカニル基、デセニル基、−O−ドデカニル基または−O−トリデカニル基である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
R3が、
【化90】
である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
各R1が、
【化91】
であり、
ここで、pが0〜20の範囲の整数であり、各qが、独立に、0〜4の範囲の整数であり、R2およびRdが請求項1で定義されている通りである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
各R1が、
【化92】
であり、
ここで、pが0〜20の範囲の整数であり、各qが、独立に、0〜4の範囲の整数であり、L’、RdおよびR3が請求項1で定義されている通りである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
各R1が、
【化93】
であり、
ここで、RdがFであり、pが、0、1または2であり、各qが、独立に、0または4であり、L’が、−CH2−、−CH2CH2−、−C(O)−、−O−、−S−または−S(O)−であり、R3が、H、Fまたはメチル基である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(ベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,7−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−メチルヘキシル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ヘキシルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ヘプチルオキシフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ビフェニリル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチルビフェニリル)]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[4’−((3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]ビフェニリル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロビフェニル)]−1,6−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス[4−(4’−n−オクチル−2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル)]−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(ベンジル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ブチルベンジル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−sec−ブチルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ]ベンジル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−ベンジルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス{4−[1−(2−フェニルエチル)]フェニル}−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−ビス(4−n−ベンゾイルフェニル)−1,6−ジシアノペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド);
N,N’−{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,6−ジシアノナフタレン−1,4:5,8−テトラカルボン酸ジイミド;および
N,N’−ビス{4−[(3S)−3,7−ジメチル−6−オクテニル]フェニル}−2,3:6,7−アントラセンジカルボキシイミド
から選択される化合物。
【請求項29】
液体媒体中に溶解または分散している請求項1から28のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む組成物。
【請求項30】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物の2つ以上の位置異性体を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
液体媒体が有機溶媒または溶媒の混合物である、請求項29または請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
請求項1から28のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む製品。
【請求項33】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物の2つ以上の位置異性体を含む、請求項32に記載の製品。
【請求項34】
電子デバイス、光学デバイスまたは光電子デバイスである、請求項32または請求項33に記載の製品。
【請求項35】
請求項1から28のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む薄膜半導体。
【請求項36】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物の2つ以上の位置異性体を含む、請求項35に記載の薄膜半導体。
【請求項37】
基板および該基板に堆積した請求項35または請求項36に記載の薄膜半導体を含む複合材。
【請求項38】
請求項35または36に記載の薄膜半導体を含む電界効果トランジスタデバイス。
【請求項39】
請求項37に記載の複合材を含む電界効果トランジスタデバイス。
【請求項40】
誘電材料を含み、該誘電材料が、有機誘電材料、無機誘電材料または有機/無機ハイブリッドの誘電材料を含む、請求項38または請求項39に記載の電界効果トランジスタデバイス。
【請求項41】
請求項35または請求項36に記載の薄膜半導体を含む光起電デバイス。
【請求項42】
請求項37に記載の複合材を含む光起電デバイス。
【請求項43】
1つまたは複数の化合物と隣接したp型半導体材料を含む、請求項41または請求項42に記載の光起電デバイス。
【請求項44】
請求項35または請求項36に記載の薄膜半導体を含む有機発光ダイオードデバイス。
【請求項45】
請求項37に記載の複合材を含む有機発光ダイオードデバイス。
【請求項46】
請求項32から34のいずれか一項に記載の製品、請求項35または36に記載の薄膜半導体、請求項38から40のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ、請求項41から43のいずれか一項に記載の光起電デバイス、あるいは請求項42または請求項45に記載の有機発光ダイオードデバイスを製造する方法であって、基板に請求項29から31のいずれか一項に記載の組成物を堆積させるステップを含む方法。
【請求項47】
請求項37に記載の複合材を製造する方法であって、該基板に請求項29から31のいずれか一項に記載の組成物を堆積させるステップを含む方法。
【請求項48】
組成物を堆積させる該ステップが、印刷、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、吹き付け、および蒸着の少なくとも1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項1から28のいずれか一項に記載の化合物を製造する方法であって、該化合物のコア構造の第2級イミド窒素を反応させてそのR1基(R1は請求項1で定義されている通りである)を置換するステップを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−510228(P2010−510228A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537237(P2009−537237)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/024189
【国際公開番号】WO2008/063609
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509137560)ポリエラ コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/024189
【国際公開番号】WO2008/063609
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509137560)ポリエラ コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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