ジッタ印加回路、パターン発生器、試験装置、および、電子デバイス
【課題】高周波数かつ大振幅のジッタを生成する。
【解決手段】ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路であって、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と、ジッタ重畳信号の各周期に印加すべきジッタに応じた遅延量をそれぞれ設定する遅延設定部とを備え、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、ジッタ重畳信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定されるジッタ印加回路を提供する。
【解決手段】ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路であって、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と、ジッタ重畳信号の各周期に印加すべきジッタに応じた遅延量をそれぞれ設定する遅延設定部とを備え、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、ジッタ重畳信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定されるジッタ印加回路を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッタ印加回路、パターン発生器、試験装置、および、電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
高速通信デバイス、高速シリアルI/Oデバイスの試験項目には、ジッタ耐力試験がある。例えばITU−Tの勧告によれば、通信データに数百MHz程度の周波数を有するジッタを印加して、ジッタ耐力試験を行う試験が規定されている。
【0003】
高周波の信号にジッタを印加する方法としては、電圧制御発振器の制御入力に変調信号を印加することで、電圧制御発振器が生成するクロック信号にジッタを印加して、当該クロック信号を用いてデータ信号を生成する方法が考えられる。
【0004】
また、他の方法としては、クロック信号またはデータ信号を生成する発生器の後段に可変遅延回路を設け、可変遅延回路の遅延制御入力を変化させることでジッタを印加する方法も考えられる。可変遅延回路を用いたジッタ印加方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/049365号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子デバイスの実使用状態においては、高周波数のジッタ成分に起因するビット誤り率を小さくすることが重要である。このため、係る電子デバイスを試験する試験装置においても、高周波数のジッタを印加できることが求められる。
【0007】
しかし、上述したように電圧制御発振器の制御入力を変調することでジッタを生成する場合、制御入力でクロック信号を高速に変調することが困難であり、生成できるジッタの周波数の限界が数十MHz程度となる。また、可変遅延回路の遅延量を変化させることでジッタを生成する場合、可変遅延回路が遅延設定の変化に追従するのに時間を要するので、高周波数かつ大振幅のジッタを生成することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路であって、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを備え、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、ジッタ重畳信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定されるジッタ印加回路を提供する。
【0009】
本発明の第2の態様においては、被試験デバイスを試験する試験装置であって、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、被試験デバイスに供給する試験信号発生部と、被試験デバイスが、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、被試験デバイスの良否を判定する測定部とを備え、ジッタ印加回路は、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを有し、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される試験装置を提供する。
【0010】
本発明の第3の態様においては、動作回路と、動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、自己診断部は、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、動作回路に供給する試験信号発生部と、動作回路が、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、動作回路の良否を判定する測定部とを有し、ジッタ印加回路は、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを含み、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される電子デバイスを提供する。
【0011】
本発明の第4の態様においては、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有するデータ信号を生成するパターン発生器であって、与えられる基準信号を、データ信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、データ信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを備え、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、データ信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定されるパターン発生器を提供する。
【0012】
本発明の第5の態様においては、被試験デバイスを試験する試験装置であって、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、被試験デバイスに供給するパターン発生器と、被試験デバイスが、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、被試験デバイスの良否を判定する測定部とを備え、パターン発生器は、与えられる基準信号を、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを有し、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される試験装置を提供する。
【0013】
本発明の第6の態様においては、動作回路と、動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、自己診断部は、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、被試験デバイスに供給するパターン発生器と、動作回路が、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、動作回路の良否を判定する測定部とを有し、パターン発生器は、与えられる基準信号を、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを有し、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される電子デバイスを提供する。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係るジッタ印加回路100の構成例を示す図である。
【図2】図1に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図3】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図4】図3に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図5】図3に示したジッタ印加回路100の他の動作例を示すタイミングチャートである。
【図6】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図7】は、図6に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図8】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図9】図8に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。
【図10】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図11】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図12】図11に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。
【図13】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図14】図8から図13に関連して説明したバッファ12の構成の一例を示す図である。
【図15】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図16A】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図16B】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図17】一つの実施形態に係るデータジッタ印加回路200の構成例を示す図である。
【図18】データジッタ印加部110の他の構成例を示す図である。
【図19】データ信号にジッタを印加するジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図20】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図21】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図22】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図23】図22に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。
【図24】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図25】図24に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。
【図26】一つの実施形態に係る試験装置300の構成例を、被試験デバイス400と併せて示す図である。
【図27】パターン発生部320および測定部340の構成例を示す図である。
【図28】一つの実施形態に係る電子デバイス500の構成例を示す図である。
【図29】試験装置300の動作例を示すフローチャートである。
【図30】試験装置300の他の構成例を示す図である。
【図31】電子デバイス500の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、一実施形態に係るジッタ印加回路100の構成例を示す図である。ジッタ印加回路100は、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成する回路であって、縦続接続された複数の遅延回路10、信号生成部20、および、遅延設定部30を備える。本例のジッタ印加回路100は、ジッタ重畳信号を生成する間、遅延量が固定された複数の遅延回路10を用いてジッタ重畳信号を生成する。つまり、遅延回路10における遅延量を変化させずにジッタ重畳信号を生成するので、高周波のジッタを有するジッタ重畳信号を容易に生成することができる。
【0018】
複数の遅延回路10は、前段の遅延回路10から与えられる信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延して、後段の遅延回路10に伝送する。なお、初段の遅延回路10には、基準信号CLK0が与えられる。基準信号CLK0は、予め設定された周期を有する周期信号であってよい。
【0019】
信号生成部20は、それぞれの遅延回路10が出力する信号のタイミングに応じて、出力すべきジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する。例えば信号生成部20は、一つの遅延回路10が出力する信号のエッジから、ジッタ重畳信号の一つのエッジを生成する。このため、ジッタ重畳信号の各エッジの位置を、対応する遅延回路10の遅延量により設定でき、複数の遅延回路10における遅延量に応じたジッタを、ジッタ重畳信号に印加することができる。
【0020】
本例の信号生成部20は、複数の遅延回路10と一対一に対応して設けられた複数の論理回路22を有する。本例における論理回路22は、排他的論理和回路であってよい。初段の論理回路22−1は、初段の遅延回路10−1の入力信号CLK0および出力信号CLK1の排他的論理和OCLK1を出力する。また、2段目以降の論理回路22−k(ただしkは2以上の整数)は、当該段の遅延回路10−kの出力信号CLKkと、前段の論理回路22−(k−1)の出力信号OCLK(k−1)との排他的論理和OCLK(k)を出力する。
【0021】
このような構成の場合、信号生成部20は、それぞれの遅延回路10に設定される遅延量τ1、τ2、τ3、・・・、τk、・・・、τn(ただし、τkは、k段目の遅延回路10に設定される遅延量)の時間間隔で論理値が順次反転するジッタ重畳信号を出力する。ここで、少なくとも一つの遅延量τkとして、ジッタ重畳信号の平均周期TOUT(ジッタ重畳信号における各ビットの平均持続時間)とは異なる値を設定することで、遅延量τkに応じた周期ジッタを有するジッタ重畳信号を生成することができる。なお、周期ジッタを有する信号とは、信号の各周期が、平均周期に対してばらつきを有する信号を指してよい。
【0022】
例えば、n段のジッタ印加回路100により、ジッタ周波数fJ(=2fOUT/(n+1))、ジッタ振幅AJのサイン波の周期ジッタを、ジッタ重畳信号に印加する場合、k番目の遅延回路10に設定すべき遅延量τkは、次式で与えられる。遅延設定部30は、下式に応じて複数の遅延回路10の遅延量を設定してよい。
【数1】
ただし、foutは、ジッタ重畳信号の周波数を示し、fout=1/(2Tout)である。
【0023】
遅延設定部30は、それぞれの遅延回路10に、所定の遅延量を予め設定する。なお、それぞれの遅延回路10における遅延量が、当該所定の遅延量となるように、ジッタ印加回路100が予め設計されている場合、ジッタ印加回路100は、遅延設定部30を備えなくともよい。
【0024】
遅延設定部30は、それぞれの遅延回路10に、ジッタ重畳信号の各周期に印加すべき周期ジッタに応じた遅延量をそれぞれ設定してよい。例えば遅延設定部30は、それぞれの遅延回路10の遅延量として、ジッタ重畳信号が有するべき平均周期TOUTに、ジッタ重畳信号の各ビットが有するべき周期ジッタの値を加減算した値を設定してよい。
【0025】
それぞれの遅延回路10における遅延量が、ジッタ重畳信号において対応するビットの持続時間となるので、ジッタ重畳信号のk番目のサイクルは、τk−TOUTの周期ジッタを有することになる。本例の遅延設定部30は、ジッタ印加回路100がジッタ重畳信号を生成している間、遅延回路10における遅延量を固定する。
【0026】
図2は、図1に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。本例では、5段の遅延回路10を備えるジッタ印加回路100の動作を説明する。また、基準信号CLK0として、予め設定された時間間隔TINで論理値が繰り返し反転する信号を用いて説明する。
【0027】
初段の遅延回路10−1は、基準信号CLK0を、遅延量τ1で遅延させて出力する。遅延量τ1は、ジッタ重畳信号OCLK5の平均周期TOUTに、所定のジッタ値を加減算した値であってよい。
【0028】
なお、遅延設定部30は、基準信号CLK0のパルス幅(ビット持続時間)TINを、遅延回路10の段数+1で除算することで、ジッタ重畳信号OCLK5の平均周期TOUTを求めてよい。そして、遅延設定部30には、印加すべきジッタの波形データが与えられてよい。遅延設定部30は、当該平均周期TOUTおよび波形データに基づいて、それぞれの遅延回路10における遅延量を設定してよい。
【0029】
初段の論理回路22−1は、基準信号CLK0と、初段の遅延回路10−1の出力信号CLK1との排他的論理和OCLK1を出力する。これにより、時間間隔τ1で論理値が反転する信号が生成される。
【0030】
2段目の遅延回路10−2は、初段の遅延回路10−1の出力信号CLK1を、遅延量τ2で遅延させて出力する。遅延量τ2は、ジッタ重畳信号OCLK5の平均周期TOUTに、所定のジッタ値を加減算した値であってよい。また、遅延量τ2は、遅延量τ1とは異なる値であってよい。
【0031】
2段目の論理回路22−2は、2段目の遅延回路10−2の出力信号CLK2と、初段の論理回路22−1の出力信号OCLK1との排他的論理和OCLK2を出力する。これにより、時間間隔τ1、τ2で論理値が順次反転する信号が生成される。
【0032】
同様に、各段の遅延回路10および論理回路22が動作することで、最終段の論理回路22−5からは、各遅延回路10の遅延時間に応じた時間間隔τ1、τ2、τ3、τ4、τ5で論理値が順次反転する信号が生成される。また、複数の遅延回路10における遅延量の和Στk(k=1、2、・・・、5)を、基準信号のパルス幅TINより小さくすることで、基準信号のパルス幅TINの期間毎に、所定のパターンのジッタが繰り返し印加されたジッタ重畳信号を容易に生成することができる。この場合、信号生成部20は、基準信号の1ビット毎に、ジッタ重畳信号の複数のビットを生成する。
【0033】
複数の遅延回路10は、基準信号の1ビット内で生成されるジッタ重畳信号の複数のビットと対応して設けられる。それぞれの遅延回路10における遅延量は、対応するビットの持続時間を規定する。
【0034】
本例では図2に示すように、ビット持続時間がτ1、τ2、τ3、τ4、τ5、TIN−Στk(k=1、2、・・・、5)と順次変化する波形が、基準信号のパルス幅TINの期間毎に繰り返されるジッタ重畳信号を生成することができる。そして、本例のジッタ印加回路100では、遅延回路10における遅延時間を動的に変化させずにジッタを生成するので、高周波数のジッタを容易に生成することができる。
【0035】
なお、本例のジッタ印加回路100では、基準信号のパルス幅TIN毎に、ジッタのパターンが繰り返されるので、生成されるジッタの周波数は、基準信号のビットレート(1/TIN)の整数倍と略等しい。また、それぞれの論理回路22における遅延時間が無視できない場合、遅延設定部30は、それぞれの論理回路22の遅延時間をキャンセルするように、次段の遅延回路10に遅延時間を設定してよい。
【0036】
図3は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1に関連して説明したジッタ印加回路100の構成に加え、基準周期制御部40および選択部50を更に備える。また、ジッタ印加回路100は、基準周期制御部40および選択部50のいずれかを備えない構成であってもよい。
【0037】
図2に関連して説明したように、複数の遅延回路10の遅延量の和は、基準信号CLK0のパルス幅より小さいことが好ましい。この場合、ジッタ重畳信号に印加されるジッタの周期は、基準信号CLK0のパルス幅(の整数分の1)と等しくなる。基準周期制御部40は、ジッタ重畳信号に印加すべきジッタの周期に応じて、複数の遅延回路10に与える基準信号CLK0のパルス幅を制御してよい。
【0038】
また、図2に関連して説明したように、ジッタ重畳信号の平均周期(平均ビット持続時間)は、基準信号のパルス幅を、遅延回路10の段数nに1を加算した値で除算した値となる。選択部50は、ジッタ重畳信号が有するべき平均周期に応じて、複数の論理回路22の出力信号OCLKkのいずれかを選択して、ジッタ重畳信号として出力してよい。具体的には、選択部50は、基準信号のパルス幅TINを、ジッタ重畳信号の平均周期TOUTで除算した値から1を減算して得られる段数の論理回路22の出力信号を選択してよい。
【0039】
図4は、図3に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。本例のジッタ印加回路100は、自己の平均周期がTIN/4であり、印加されるジッタの周波数がTINのジッタ重畳信号を生成する。基準周期制御部40は、基準信号CLK0の周期(パルス幅)がTINとなるように、基準信号を制御する。
【0040】
また、選択部50は、(TIN/TOUT)−1=3であるので、3段目の論理回路22の出力信号を選択する。そして、遅延設定部30が、1段目から3段目までの遅延回路10に対して、ジッタ重畳信号の平均周期TIN/4に、印加すべきジッタ波形に応じたジッタ値をそれぞれ加減算して得られる遅延量τ1、τ2、τ3を設定する。印加すべきジッタ波形に応じたジッタ値とは、周期がTINのジッタ波形を、周期TIN/(n+1)のクロックで順次サンプリングした値であってよい(但し、nは遅延回路10の段数)。このような設定により、図4に示すように、自己の平均周期がTIN/(n+1)であり、印加されるジッタの周期がTINのジッタ重畳信号を生成することができる。
【0041】
図5は、図3に示したジッタ印加回路100の他の動作例を示すタイミングチャートである。図4に関連して説明した例では、選択部50は、奇数段目の論理回路22の出力信号を選択した。本例の選択部50は、偶数段目の論理回路22の出力信号を選択する。
【0042】
この場合、基準信号CLK0のエッジ前後に対応するジッタ重畳信号の波形が反転する。例えば図5に示す例では、E0からE3の期間と、E3からE6の期間とで、ジッタ重畳信号の波形が反転する。選択部50は、ジッタ重畳信号の用途に応じて、偶数段目の論理回路22または奇数段目の排他的論理和回路の出力信号を選択してよい。
【0043】
図6は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例におけるジッタ印加回路100は、図1から図5に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、パルス発生部24を更に備える。図6では、図1に示したジッタ印加回路100の構成に、パルス発生部24を追加した例を示す。
【0044】
パルス発生部24は、基準信号CLKINを受け取り、基準信号CLKINの立ち上がりエッジ毎に、所定のパルス幅のパルスを生成し、基準信号CLK0として出力する。パルス発生部24は、基準信号CLK0を、初段の遅延回路10−1および初段の論理回路22−1に供給する。
【0045】
2段目以降の遅延回路10および論理回路22は、図1から図5に関連して説明したジッタ印加回路100と同一であってよい。また、図6に示すように、本例における論理回路22は、論理和回路であってよい。
【0046】
図7は、図6に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。上述したように、パルス発生部24は、基準信号CLKINの立ち上がりエッジ毎に、所定のパルス幅のパルスを出力する。当該パルス幅は、複数の遅延回路10に設定されるいずれの遅延量τ1、τ2、・・・よりも小さいことが好ましい。
【0047】
初段の遅延回路10は、パルス発生部24が出力するパルスを受け取り、遅延量τ1で遅延させて出力する。また、初段の論理回路22は、パルス発生部24が出力する信号と、初段の遅延回路10が出力する信号との論理和を出力する。つまり、初段の論理回路22は、パルス発生部24が出力するパルスと、初段の遅延回路10が出力するパルスとを有する信号を出力する。
【0048】
2段目以降の遅延回路10は、前段の遅延回路10が出力する信号を順次遅延させる。また、2段目以降の論理回路22は、対応する遅延回路10が出力する信号と、前段の論理回路22が出力する信号との論理和を出力する。これにより、図7に示すように、複数の遅延回路10における遅延量に応じたパルス間隔でパルスが配置されたジッタ重畳信号を生成することができる。このため、遅延設定部30が、印加すべき周期ジッタ波形に応じた遅延量を、それぞれの遅延回路10に対して予め設定することで、ジッタ重畳信号の各周期(各パルス間隔)に周期ジッタを印加することができる。
【0049】
本例では、論理回路22が論理和回路の場合を説明した。また、論理回路22は、図1から図5に関連して説明したジッタ印加回路100と同様に、排他的論理和回路であってもよい。この場合、ジッタ印加回路100は、初段の遅延回路10および論理回路22に、基準信号を入力するか、または、パルス発生部24が生成するパルスを入力するかを切り替える入力切替部を更に備えてよい。このような構成により、ジッタ印加回路100を、図1から図5に関連して説明したように動作させるか、または、図6および図7に関連して説明したように動作させるかを選択することができる。
【0050】
なお、図1から図7に関連して説明したジッタ印加回路100において、遅延設定部30は、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値より大きい遅延量を設定して、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値より小さい遅延量を設定してよい。より具体的には、遅延設定部30は、前半の遅延回路10に、基準値に所定の単位値を加算した遅延量を設定してよい。また、遅延設定部30は、後半の遅延回路10に、当該基準値から当該単位値を減算した遅延量を設定してよい。
【0051】
なお、遅延設定部は、当該基準値として、ジッタ重畳信号が有するべき平均周期(ビット持続時間の平均値)を用いてよい。係る構成により、三角波ジッタが印加されたジッタ重畳信号を容易に生成することができる。ジッタ印加回路100は、基準値の遅延量を生成する遅延回路と、所定の単位値の遅延量を生成するバッファとを組み合わせることで、上述した基準値より大きい遅延量および基準値より小さい遅延量を生成してよい。
【0052】
図8は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、上述したように、三角波のタイミングジッタを印加したジッタ重畳信号を生成する。タイミングジッタとは、理想的なエッジタイミングに対する、実際のエッジタイミングのばらつきを指してよい。
【0053】
本例のジッタ印加回路100は、図1から図7に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、前半のバッファ(12−1から12−m)および後半のバッファ(12−(m+1)から12−(2m−1))を有する(ただし、mは2以上の整数)。図8では、図1に示したジッタ印加回路100に、複数のバッファ12を加えた構成を示す。
【0054】
また、本例のジッタ印加回路100は、奇数個(2m−1個)の遅延回路10を備え、それぞれの遅延回路10には、ジッタ重畳信号の平均周期と略同一の遅延量が設定される。また、遅延設定部30は、共通の制御信号により、前半のバッファ12および後半のバッファ12の遅延量を同一の遅延量に予め調整する。
【0055】
前半のバッファ12は、前半の遅延回路10と一対一に対応して設けられる。前半のバッファ12および遅延回路10とは、1段目からm段目のバッファ12および遅延回路10を指してよい。それぞれの前半のバッファ12は、対応する遅延回路10の出力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで更に遅延させて、後段の遅延回路10に供給する。これにより、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値に単位値を加算した遅延量を設定するのと等価な遅延を生成することができる。
【0056】
後半のバッファ12は、後半の論理回路22と一対一に対応して設けられる。後半のバッファ12および論理回路22とは、m+1段目から2m−1段目のバッファ12および論理回路22を指してよい。それぞれの後半のバッファ12は、対応する論理回路22の入力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで遅延させる。これにより、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値から単位値を減算した遅延量を設定するのと等価な、相対的な遅延を生成することができる。
【0057】
図9は、図8に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。前半の遅延回路10および前半のバッファ12を伝送する信号の位相は、遅延回路10およびバッファ12を一段通過する毎に、ジッタを有さない理想的なジッタ重畳信号のエッジタイミングkToutに対して、単位値αずつ遅れる。このため、前半段において生成されるタイミングジッタは、図9に示すように一段毎にαずつ増加する。
【0058】
また、後半段においては、後半の論理回路22および後半のバッファ12を伝送する信号に、単位値αの遅延量が順次印加される。このため、後半段において生成されるタイミングジッタは、図9に示すように一段毎にαずつ減少する。以上のように、図8に示したジッタ印加回路100によれば、三角波のタイミングジッタを容易に生成することができる。
【0059】
図10は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8に示したジッタ印加回路100の構成に対して、前半のバッファ12が、前半の論理回路22の入力端に設けられ、後半のバッファ12が、後半の遅延回路10の出力端に設けられる。他の構成は、図8に示したジッタ印加回路100と同一であってよい。
【0060】
つまり、本例のジッタ印加回路100は、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値より小さい遅延量を設定して、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値より大きい遅延量を設定する回路と等価な回路となる。なお、当該ジッタ印加回路100が生成するタイミングジッタの波形は、図9に示したジッタ波形を反転した波形となる。
【0061】
前半のバッファ12は、前半の論理回路22と一対一に対応して設けられる。それぞれの前半のバッファ12は、対応する論理回路22の入力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで遅延させる。これにより、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値から単位値を減算した遅延量を設定するのと等価な、相対的な遅延を生成することができる。
【0062】
後半のバッファ12は、後半の遅延回路10と一対一に対応して設けられる。それぞれの後半のバッファ12は、対応する遅延回路10の出力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで更に遅延させて、後段の遅延回路10に供給する。これにより、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値に単位値を加算した遅延量を設定するのと等価な遅延を生成することができる。以上のような構成によっても、三角波のタイミングジッタを容易に生成することができる。
【0063】
図11は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8または図10に示したジッタ印加回路100の構成に加え、選択部50、および、マルチプレクサ90、92を更に備える。図11では、図8に示したジッタ印加回路100に、選択部50、および、マルチプレクサ90、92を加えた構成を示す。
【0064】
マルチプレクサ90は、前半の論理回路22の出力信号のうち、いずれかを選択して後半のバッファ12−(m+1)に供給する。また、マルチプレクサ92は、前半のバッファ12の出力信号のうち、いずれかを選択して後半の遅延回路10−(m+1)に供給する。なお、マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92は、同一段における論理回路22およびバッファ12の出力信号を選択する。
【0065】
選択部50は、後半の論理回路22の出力信号のうち、いずれかを選択してジッタ重畳信号として出力する。選択部50は、マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92が、前半の何段目の信号を選択したかに応じて、後半の何段目の信号を選択するかを決定してよい。より具体的には、マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92が、前半のp段目の信号を選択した場合、選択部50は、後半のp−1段目の信号を選択してよい。
【0066】
図12は、図11に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92が、前半のp段目の信号を選択した場合、前半の回路では、図12に示す三角波ジッタの前半部分が生成される。そして、選択部50が、後半のp−1段目の信号を選択することで、後半の回路では、図12に示す三角波ジッタの後半部分を生成することができる。
【0067】
このような構成により、三角波ジッタの振幅および周期を調整することができる。なお、ジッタ印加回路100は、選択部50等により三角波ジッタの周期を調整する場合、当該ジッタ周期に応じて基準信号のパルス幅を調整する基準周期制御部40を更に備えてよい。
【0068】
図13は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8から図12に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に対して、遅延設定部30を2系統備える点で相違する。他の構成は、図8から図12に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100と同一であってよい。
【0069】
第1の遅延設定部30は、前半のバッファ12の遅延量を設定する。また、第2の遅延設定部30は、後半のバッファ12の遅延量を設定する。つまり、本例におけるジッタ印加回路100は、前半のバッファ12および後半のバッファ12の遅延量を異ならせることができる。
【0070】
例えば、第1の遅延設定部30は、前半のバッファ12の遅延量として、単位値αに、論理回路22における遅延量を加算した値を設定してよい。また、第2の遅延設定部30は、後半のバッファ12の遅延量として、単位値αから、論理回路22における遅延量を減算した値を設定してよい。このような構成により、論理回路22における遅延量の影響を低減して、所定のジッタを精度よく生成することができる。
【0071】
図14は、図8から図13に関連して説明したバッファ12の構成の一例を示す図である。本例のバッファ12は、第1の遅延素子14の第1の遅延量αSと、第2の遅延素子16における第2の遅延量αFの差分を用いて、微小な遅延を生成する。より具体的には、遅延回路10の出力端に第1の遅延素子14を設け、論理回路22の入力端に第2の遅延素子16を設ける。これにより、遅延回路10が出力する信号と、論理回路22に入力される信号との間の相対位相が、第1の遅延量αSおよび第2の遅延量αFとの差分に応じて変化する。
【0072】
このような構成により、例えば、第1の遅延量αSの遅延量が1.0pSであり、第2の遅延量αFの遅延量が1.1pSである場合、0.1pSの相対遅延を生成することができる。なお、前半のバッファ12においては、第1の遅延量αSが、第2の遅延量αFより大きく、後半のバッファ12においては、第1の遅延量αSが、第2の遅延量αFより小さくてよい。
【0073】
図15は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8から図14に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に対して、前半のバッファ12および後半のバッファ12を一つずつ備える点で相違する。他の構成は、図8から図14に関連して説明したジッタ印加回路100と同一であってよい。
【0074】
前半のバッファ12−1は、前半の1段目に設けられる。つまり、前半のバッファ12−1は、遅延回路10−1の出力端に設けられてよく、論理回路22−1の入力端に設けられてもよい。
【0075】
後半のバッファ12―(m+1)は、後半の1段目に設けられる。つまり、後半のバッファ12−(m+1)は、遅延回路10−(m+1)の出力端に設けられてよく、論理回路22−(m+1)の入力端に設けられてもよい。このような構成により、ジッタ印加回路100は、矩形波のタイミングジッタが印加されたジッタ重畳信号を生成することができる。
【0076】
なお、図13または図15に関連して説明したジッタ印加回路100は、前半および後半で、異なる段数の遅延回路10、バッファ12、および、論理回路22を備えてよい。ジッタ印加回路100は、前半の回路および後半の回路において、非対称のジッタを生成してよい。
【0077】
図16Aおよび図16Bは、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図15に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、低周波ジッタ印加部80を更に備える。図16Aおよび図16Bでは、図1から図15に関連して説明したジッタ印加回路100の構成の一部を省略して示す。
【0078】
低周波ジッタ印加部80は、図16Aに示すように、初段の遅延回路10−1の前段に設けられてよい。この場合、低周波ジッタ印加部80は、複数の遅延回路10および信号生成部20において生成されるジッタの周波数より低周波数のジッタを基準信号に印加して、初段の遅延回路10−1に入力する。低周波ジッタ印加部80は、例えば遅延量が動的に変化する可変遅延回路を用いて、基準信号に低周波ジッタを印加してよい。
【0079】
また、低周波ジッタ印加部80は、図16Bに示すように、最終段の論理回路22の後段に設けられてもよい。この場合、低周波ジッタ印加部80は、論理回路22が出力するジッタ重畳信号に、低周波ジッタを更に印加する。これらのような構成により、広帯域のジッタを容易に生成することができる。また、低周波ジッタ印加部80を備える代わりに、遅延設定部30が、それぞれの遅延回路10における遅延量を、基準信号の周波数より十分低い周波数で変化させてもよい。
【0080】
図17は、一つの実施形態に係るデータジッタ印加回路200の構成例を示す図である。データジッタ印加回路200は、データ信号にジッタを印加する回路であって、ジッタ印加回路100およびデータジッタ印加部110を備える。
【0081】
ジッタ印加回路100は、図1から図16Bに関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100と同一であってよい。データジッタ印加部110は、ジッタ印加回路100からジッタ重畳信号を受け取り、ジッタ重畳信号の各エッジタイミングをビット境界とするデータ信号を生成する。このような構成により、データ信号にデータジッタを印加することができる。
【0082】
本例のデータジッタ印加部110は、複数のフリップフロップ112および排他的論理和回路114を有するLFSR(Linear Feedback Shift Register)である。複数のフリップフロップ112は、縦続接続され、ジッタ重畳信号を共通に受け取る。それぞれのフリップフロップ112は、入力されるデータを、ジッタ重畳信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのそれぞれまたは一方に応じて取り込み、後段のフリップフロップ112に供給する。
【0083】
また、排他的論理和回路114は、LFSRの生成多項式に応じて選択される、2つのフリップフロップ112の出力信号の排他的論理和を生成して、初段のフリップフロップ112に供給する。このような構成により、ジッタが印加された擬似ランダム(PRBS、Pseudo-Random Binary Sequence)データを生成することができる。
【0084】
図18は、データジッタ印加部110の他の構成例を示す図である。本例のデータジッタ印加部110は、パターンメモリ120およびフリップフロップ122を有する。パターンメモリ120は、データ信号が有するべき論理値パターンを予め格納する。
【0085】
フリップフロップ122は、パターンメモリ120が格納した論理値パターンを、ジッタ印加回路100から与えられるジッタ重畳信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのそれぞれまたは一方に応じて取り込んで出力する。このような構成により、任意の論理値パターンを有するデータ信号に、ジッタを印加することができる。
【0086】
また、図17および図18に示した構成に代えて、図1から図7に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100を用いて、ジッタが印加されたデータ信号を生成することもできる。
【0087】
図19は、予め定められた論理パターンを有するデータ信号にジッタを印加するジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。データ信号を生成する場合、複数の遅延回路10は、与えられる基準信号を、データ信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる。本例では、複数の遅延回路10は、データ信号が有するべき論理パターンにおいて同一の論理値が連続するビット数に応じた遅延量で、基準信号を順次遅延させる。
【0088】
本例では、論理値パターン"11101000"が繰り返されるデータ信号に、ジッタを印加する例を説明する。この場合、基準周期制御部40は、データ信号の1ビット分の時間に、繰り返される論理値パターンのビット数を乗算した値と略等しい周期の基準信号を生成してよい。
【0089】
また、選択部50は、繰り返される論理値パターン"11101000"においてデータが遷移する回数に応じた段数の論理回路22が出力する信号を選択する。本例では、繰り返しの論理値パターン"11101000"において、論理値が3回遷移するので、選択部50は、3段目の論理回路22が出力する信号を選択する。
【0090】
遅延設定部30は、データ信号が有するべき論理値パターンにおいて、同一の論理値が連続するビット数に基づいて、それぞれの遅延回路10の遅延量を設定する。遅延設定部30は、データ信号が有するべき論理パターンにおいて同一の論理値が連続するビット数に基づいて、それぞれの遅延回路にデータ信号の1ビット分の時間の何倍の遅延量を設定すべきかを決定し、決定したそれぞれの遅延量に、印加すべきジッタ値を加減算した値を、それぞれの遅延回路に設定してよい。
【0091】
例えば、本例のデータ信号が有するべき繰り返しの論理値パターン"11101000"は、まず論理値"1"が3ビット連続する。このため、遅延設定部30は、初段の遅延回路10−1の遅延量τ1として、データ信号における3ビット分の時間(ジッタ重畳信号の平均周期の3倍)に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する。
【0092】
次に、論理値パターン"11101000"では、論理値"0"が1ビット存在する。このため、遅延設定部30は、2段目の遅延回路10−2の遅延量τ2として、データ信号における1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する。
【0093】
同様に、遅延設定部30は、3段目の遅延回路10−3の遅延量τ3として、データ信号における1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する。そして、選択部50が、3段目の論理回路22が出力する信号を、データ信号として選択する。このような処理により、ジッタ印加回路100を用いて、ジッタが印加されたデータ信号を生成することができる。
【0094】
図20は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図19に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、DUTY測定部62を更に備える。図20では、図3に示したジッタ印加回路100の構成に、DUTY測定部62を加えた構成を示す。
【0095】
DUTY測定部62は、それぞれの論理回路22の出力信号のDUTY比を順次測定する。出力信号のDUTY比とは、出力信号がH論理を示す期間と、L論理を示す期間との比を指してよい。DUTY測定部62は、出力信号の信号レベルを積分または平均化することで、DUTY比を検出してよい。
【0096】
また、それぞれの論理回路22の出力信号は、選択部50が順次選択してDUTY測定部62に供給してよい。例えば、出力信号のDUTY比を順次測定する場合、選択部50は、初段の論理回路22の出力信号から最終段の論理回路22の出力信号までを順番に選択して、DUTY測定部62に供給してよい。
【0097】
DUTY測定部62は、選択部50から供給される出力信号のDUTY比を測定する。当該DUTY比は、対応する遅延回路10の遅延量に相当する。例えば、1段目の論理回路22−1が出力する出力信号OCLK1のDUTY比は、τ1/(TIN−τ1)となる。基準信号のパルス幅TINは既知であるので、当該DUTY比から、1段目の遅延回路10−1の遅延量τ1を求めることができる。
【0098】
同様に、2段目の論理回路22−2が出力する出力信号OCLK2のDUTY比は、(TIN―τ2)/τ2で与えられる。遅延設定部30は、DUTY測定部62が測定したパルス幅に基づいて、対応する遅延回路10の遅延量を調整する。
【0099】
選択部50は、遅延設定部30が前段の遅延回路10の遅延量を調整した後に、次段の論理回路22の出力信号のパルス幅を選択して、DUTY測定部62に供給する。つまりDUTY測定部62は、遅延設定部30が前段の遅延回路10の遅延量を調整した後に、次段の論理回路22の出力信号のパルス幅を測定する。
【0100】
本例におけるジッタ印加回路100においては、前段以前の遅延回路10における遅延量が、後段の論理回路22が出力する出力信号のDUTY比に影響する。例えば、奇数段目の論理回路22の出力信号のDUTY比は、(τ1+τ3+τ5+・・・)/(TIN−(τ1+τ3+τ5+・・・))で与えられ、偶数段目の論理回路22の出力信号のDUTY比は、(TIN−(τ2+τ4+τ6+・・・))/(τ2+τ4+τ6+・・・)で与えられる。
【0101】
このような場合であっても、上述したように前段の遅延回路10から順番に遅延量を調整することで、前段の遅延回路10における遅延量τkが既知となる。このため、それぞれの出力信号のDUTY比から、対応する遅延回路10の遅延量を求めることができる。このような構成により、ジッタ重畳信号に印加するジッタの波形を精度よく調整することができる。
【0102】
図21は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図19に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、遅延量算出部60および切替部70を更に備え、各遅延回路10における遅延量を測定する。図21では、図1から図19に関連して説明したジッタ印加回路100の一部の構成を省略して示す。
【0103】
切替部70は、各段の遅延回路10に対して設けられる。また、各段における切替部70は、第1の切替部70−1、第2の切替部70−2、および、第3の切替部70−3から構成されてよい。切替部70は、それぞれの遅延回路10の遅延量を測定する場合に、それぞれの遅延回路10の出力信号が、当該遅延回路10の入力に帰還されるループを形成するように、信号の伝送経路を切り替える。
【0104】
具体的には、第1の切替部70−1は、遅延量を測定する場合に、前段の遅延回路10からの信号に代えて、第3の切替部70−3からの信号を、遅延回路10に入力する。第2の切替部70−2は、遅延量を測定する場合に、前段の論理回路22からの信号に代えて、所定の論理値に固定された信号を、論理回路22に入力する。第3の切替部70−3は、遅延量を測定する場合に、論理回路22の出力信号を、後段の論理回路22に供給せずに、第1の切替部70−1を介して遅延回路10に入力する。このような構成により切替部70は、遅延回路10の出力信号が、当該遅延回路10の入力に帰還されるループを形成する。
【0105】
遅延量算出部60は、切替部70が形成するループを伝送する信号の周期に基づいて、遅延回路10の遅延量を算出する。例えば遅延量算出部60は、第3の切替部70−3から第1の切替部70−1に伝送する信号の周期を計測してよい。また、遅延量算出部60は、当該ループに一つのパルスを入力して、当該パルスが当該ループを周回する周期を計測してよい。当該周期が、遅延回路10における遅延量に相当する。
【0106】
遅延設定部30は、遅延量算出部60が算出した遅延量に更に基づいて、それぞれの遅延回路10における遅延量を設定する。遅延量算出部60は、各段の遅延回路10における遅延量を、平行して測定してよい。このような構成により、ジッタ重畳信号に印加するジッタの波形を精度よく調整することができる。
【0107】
図22は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図21に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、複数のスイッチ18を更に備える。複数のスイッチ18は、遅延回路10および論理回路22の複数の組と一対一に対応して設けられる。ただし、ジッタ印加回路100は、パルス発生部24と分周器28を備えなくともよい。
【0108】
それぞれのスイッチ18は、対応する論理回路22に、対応する遅延回路10の出力信号CLKkを入力するか、所定の論理値を入力するかを切り替える。それぞれのスイッチ18には、論理回路22をバッファとして機能させる論理値が与えられる。例えば論理回路22が排他的論理和回路の場合、スイッチ18には、当該論理値として論理値0が与えられる。
【0109】
このような構成により、ジッタ重畳信号の波形を制御することができる。以下では、それぞれのスイッチ18の状態がオンのとき、遅延回路10の出力信号が論理回路22に入力され、スイッチ18の状態がオフのとき、論理値0が論理回路22に入力されるものとして、ジッタ印加回路100の動作を説明する。
【0110】
例えば、本例のジッタ印加回路100は、それぞれのスイッチ18のオン/オフを制御することで、ジッタ重畳信号において繰り返される論理パターンを制御して、所定の論理パターンを有するデータ信号を生成することができる。この場合、それぞれの遅延回路10は、ジッタ重畳信号(データ信号)における1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した遅延を生成する。また、k段目のスイッチ18−kは、ジッタ重畳信号において繰り返される論理パターンのk+1段目のビットに対応する。
【0111】
それぞれのスイッチ18は、それぞれの遅延回路10が出力する信号のうち、信号生成部20に供給すべき複数の信号を、データ信号が有するべき論理パターンに基づいて選択する。具体的には、それぞれのスイッチ18は、対応するビットの論理値が、前ビットの論理値に対して遷移すべき場合にはオン状態に制御される。また、それぞれのスイッチ18は、対応するビットの論理値が、前ビットの論理値と同一であるべき場合にはオフ状態に制御される。このような動作により、ジッタ重畳信号における論理パターンを制御することができる。
【0112】
また、本例のジッタ印加回路100は、図3に示した選択部50を有さずに、所定の段数目の論理回路22の出力を、ジッタ重畳信号として出力することができる。例えば、k段目の論理回路22の出力をジッタ重畳信号として出力する場合、k+1段目以降のスイッチ18をオフ状態とすることにより、k段目の論理回路22の出力を取り出すことができる。
【0113】
図23は、図22に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。本例では、"1001"の論理パターンを反転しながら繰り返すジッタ重畳信号を生成する場合を説明する。この場合、論理パターンの1番目および2番目のビット間で論理値が遷移して、3番目および4番目のビット間で論理値が遷移する。このため、1段目および3段目のスイッチ18がオン状態に制御される。
【0114】
また、論理パターンの2ビット目と3ビット目の論理値が同一であるので、2段目のスイッチ18−2がオフ状態に制御される。また、4段目以降のスイッチ18が存在する場合、これらのスイッチ18もオフ状態に制御される。
【0115】
1段目のスイッチ18−1がオン状態なので、1段目の論理回路22−1には、1段目の遅延回路10−1の出力信号が入力される。このため、1段目の論理回路22−1は、遅延回路10−1の遅延量に応じた位置にエッジを有する信号OCLK1を出力する。
【0116】
また、2段目のスイッチ18−2がオフ状態なので、2段目の論理回路22−2には、論理値0が入力される。このため、2段目の論理回路22−2は、1段目の論理回路22−1の出力信号を通過させるバッファとして機能する。このため、論理回路22−2の出力信号OCLK2は、遅延回路10−2における遅延量に応じた位置にエッジを有さない。
【0117】
また、3段目のスイッチ18−3がオン状態なので、3段目の論理回路22−3には、3段目の遅延回路10−3の出力信号が入力される。このため、3段目の論理回路22−3は、論理回路22−2の出力信号OCLK2に対して、遅延回路10−3の遅延量に応じた位置に更にエッジを追加した出力信号OCLK3を出力する。
【0118】
そして、4段目以降のスイッチ18はオフ状態なので、論理回路22−3の出力信号OCLK3が、ジッタ重畳信号として出力される。このような動作により、論理パターン"1001"が反転しながら繰り返されるジッタ重畳信号に、ジッタを印加して出力することができる。
【0119】
図24は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図23に関連して説明したジッタ印加回路100の構成に加え、パルス発生部24および分周器28を更に備える。パルス発生部24は、図6に関連して説明したパルス発生部24と同一であってよい。つまり、パルス発生部24は、基準信号CLKINの立ち上がりエッジ毎にパルスを有する基準信号CLK0を、初段の遅延回路10−1および初段の論理回路22−1に供給する。
【0120】
また、分周器28は、信号生成部20の出力信号OCLKnを2分周した信号DIVCLKを、ジッタ重畳信号として出力する。このような構成によっても、図23に関連して説明したジッタ印加回路100と同様に、ジッタ重畳信号の波形を制御することができる。
【0121】
図25は、図24に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。本例におけるジッタ印加回路100は、図23に関連して説明したジッタ印加回路100と同様に、"1001"の論理パターンを反転しながら繰り返すジッタ重畳信号を生成する。複数の遅延回路10、複数のスイッチ18、複数の論理回路22の動作は、図23に関連して説明したジッタ印加回路100と同一であるので説明を省略する。
【0122】
ジッタ重畳信号の論理パターンの最終ビットに対応する論理回路22−3の出力信号OCLK3は、論理パターンにおいて論理値が遷移しない第3ビットに対応する期間(E2からE3)においてパルスを有さず、論理パターンにおいて論理値が遷移するビットに対応する期間においてパルスを有する。そして、分周器28は、当該論理回路22−3の出力信号OCLK3を2分周して、ジッタ重畳信号DIVCLKを生成する。
【0123】
ここで、2分周とは、元の信号のパルスの立ち上がりエッジ毎に論理値が遷移する信号を生成する処理であってよい。このような動作により、論理パターン"1001"が反転しながら繰り返されるジッタ重畳信号に、ジッタを印加して出力することができる。
【0124】
なお、図23および図25に示したように、論理パターンが反転して繰り返すか、または、反転せずに繰り返すかは、一つの論理パターン当たりに論理値が遷移する回数で定まる。遷移する回数が偶数の場合、論理パターンは反転せずに繰り返され、遷移する回数が奇数の場合、論理パターンは反転して繰り返される。
【0125】
図26は、一つの実施形態に係る試験装置300の構成例を、被試験デバイス400と併せて示す図である。試験装置300は、半導体回路等の被試験デバイス400を試験する装置であって、ジッタ印加回路100、試験信号発生部310、および、測定部340を備える。
【0126】
ジッタ印加回路100は、図1から図21に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100と同一であってよい。上述したように、ジッタ印加回路100は、高周波のジッタを有するジッタ重畳信号を生成することができる。
【0127】
試験信号発生部310は、ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成して、被試験デバイス400に供給する。例えば試験信号発生部310は、ジッタ重畳信号をクロックとして動作して、試験信号を生成してよい。本例の試験信号発生部310は、パターン発生部320および等化器330を有する。
【0128】
パターン発生部320は、予め定められた論理パターンを有しており、且つ、ジッタ重畳信号の各エッジをビット境界とする試験信号を生成する。このような構成により、高周波のジッタを有する試験信号を生成することができる。等化器330は、試験信号発生部310から被試験デバイス400までの伝送損失に応じて、試験信号の波形を予め補償する。
【0129】
測定部340は、被試験デバイス400が試験信号に応じて出力する応答信号を測定することで、被試験デバイス400の良否を判定する。例えば測定部340は、応答信号の論理パターンが、所定の期待値パターンと一致するか否かにより、被試験デバイス400の良否を判定してよい。
【0130】
ジッタ印加回路100が生成するジッタの周波数および振幅を調整することで、被試験デバイス400のジッタ耐力を試験することができる。例えば、ジッタ印加回路100が、被試験デバイス400のジッタ耐力の仕様により定まる周波数および振幅のジッタを生成することで、被試験デバイス400がジッタ耐力の仕様を満たすか否かを試験することができる。また、高周波のジッタを有する試験信号を用いて被試験デバイス400を試験することができる。
【0131】
図27は、パターン発生部320および測定部340の構成例を示す図である。本例のパターン発生部320は、リニアフィードバックシフトレジスタ(LFSR)を用いて、擬似ランダム系列(PRBS)の論理パターンを有する試験信号を生成する。パターン発生部320は、複数のフリップフロップ322および排他的論理和回路324を有する。
【0132】
それぞれのフリップフロップ322は、ジッタ印加回路100からジッタ重畳信号を並列に受け取り、前段のフリップフロップ322が出力する信号を、ジッタ重畳信号の各エッジに応じて取り込んで出力する。ただし、初段のフリップフロップ322は、排他的論理和回路324が出力する信号を、ジッタ重畳信号に応じて取り込む。また、ジッタ印加回路100が、図6に関連して説明したようにパルス発生部24を備える場合、それぞれのフリップフロップ322は、ジッタ重畳信号の立ち上がりエッジに応じて動作してよい。
【0133】
排他的論理和回路324は、LFSRの生成多項式に応じて選択される2つのフリップフロップ322が出力する信号の排他的論理和を、試験信号として出力する。このような構成により、ジッタ重畳信号に応じたジッタを有する、擬似ランダム系列の試験信号を生成することができる。
【0134】
測定部340は、パターン発生部320と同一構成のリニアフィードバックシフトレジスタを用いて、期待値パターンを生成する。測定部340は、複数のフリップフロップ342、排他的論理和回路344、および、比較部346を有する。
【0135】
複数のフリップフロップ342および排他的論理和回路344は、複数のフリップフロップ322および排他的論理和回路324と同一の機能および構成を有してよい。ただし、それぞれのフリップフロップ342は、ジッタが印加されていないクロック信号に応じて動作する。また、初段のフリップフロップ342は、被試験デバイス400の応答信号をクロック信号に応じて取り込む。このような構成により、排他的論理和回路344は、被試験デバイス400の応答信号が示すべき論理値を順次生成することができる。
【0136】
比較部346は、被試験デバイス400の応答信号の論理値と、排他的論理和回路344が出力する信号の論理値とを比較し、一致したか否かを示すエラー信号を出力する。また、比較部346において、論理値の不一致が生じる割合を計測することで、被試験デバイス400のビット誤り率を計測してもよい。
【0137】
図28は、一つの実施形態に係る電子デバイス500の構成例を示す図である。電子デバイス500は、例えば入力信号に応じた出力信号を出力する、半導体チップ等のデバイスであってよい。電子デバイス500は、等化器520、自己診断部510、マルチプレクサ530、および、動作回路540を備える。
【0138】
等化器520は、入力信号の伝送経路における信号損失に応じて、入力信号の波形を補償する。マルチプレクサ530は、電子デバイス500が通常動作する場合に、入力信号を選択して動作回路540に供給する。
【0139】
自己診断部510は、電子デバイス500が自己診断を行う場合に、動作回路540を試験する。自己診断部510は、ジッタ印加回路100、試験信号発生部310、および、測定部340を有する。ジッタ印加回路100、試験信号発生部310、および、測定部340は、図26において同一の符号を付して説明した構成要素と同一の機能および構成を有してよい。また、ジッタ印加回路100は、外部から与えられる入力信号を、基準信号として受け取ってよい。
【0140】
マルチプレクサ530は、電子デバイス500が自己診断を行う場合に、自己診断部510が生成した試験信号を選択して動作回路540に供給する。測定部340は、動作回路540の応答信号に基づいて、動作回路540の良否を判定する。
【0141】
このような構成により、電子デバイス500は、動作回路540の良否を自己診断することができる。また、ジッタ印加回路100により高周波のジッタを生成することができるので、高周波のジッタを有する試験信号を用いて、動作回路540を試験することができる。
【0142】
図29は、試験装置300の動作例を示すフローチャートである。本例の試験装置300は、被試験デバイス400の動作帯域内における低周波ジッタを用いた試験と、動作帯域外における高周波ジッタを用いた試験を行う。
【0143】
まず試験装置300は、被試験デバイス400の動作帯域内における低周波ジッタを用いて被試験デバイス400を試験する(S600)。この場合、ジッタ印加回路100が、被試験デバイス400の動作帯域内の周波数を有するジッタが印加された第1のジッタ重畳信号を生成する。例えば、被試験デバイス400がPLL回路を有する場合、ジッタ印加回路100は、PLL回路のループ帯域内における周波数のジッタを有するジッタ重畳信号を生成する。
【0144】
また、試験信号発生部310は、第1のジッタ重畳信号に応じた第1の試験信号を被試験デバイス400に供給する。次に測定部340は、第1の試験信号に応じて被試験デバイス400が出力する第1の応答信号に応じて被試験デバイス400の良否を判定する。具体的には、測定部340は、第1の応答信号にビット誤りが生じたか否かを判定する(S602)。ビット誤りが生じた場合、測定部340は被試験デバイス400を不良品と判定して(S610)、試験を終了する。
【0145】
低周波ジッタ試験でビット誤りが生じず、低周波ジッタ試験において被試験デバイス400が良品と判定された場合、試験装置300は、被試験デバイス400の動作帯域外における高周波ジッタを用いて被試験デバイスを試験する(S604)。この場合、ジッタ印加回路100が、被試験デバイス400の動作帯域外における周波数のジッタを有する第2のジッタ重畳信号を生成する。つまり、ジッタ印加回路100は、第1のジッタ重畳信号と、第2のジッタ重畳信号とを順次生成する。
【0146】
また、試験信号発生部310は、第2のジッタ重畳信号に応じた第2の試験信号を被試験デバイス400に供給する。次に測定部340は、第2の試験信号に応じて被試験デバイス400が出力する第2の応答信号に応じて被試験デバイス400の良否を判定する。具体的には測定部340は、被試験デバイス400の応答信号にビット誤りが生じたか否かを判定する(S606)。ビット誤りが生じた場合、測定部340は被試験デバイス400を不良品と判定して(S610)、試験を終了する。また、ビット誤りが生じなかった場合、測定部340は被試験デバイス400を良品と判定して(S608)、試験を終了する。
【0147】
上述したように、試験装置300は高周波のジッタを容易に生成することができるので、被試験デバイス400の帯域外におけるジッタ耐力の試験も容易に行うことができる。このため、被試験デバイス400の良否を精度よく判定することができる。
【0148】
図30は、試験装置300の他の構成例を示す図である。本例の試験装置300は、パターン発生器350、等化器330、および、測定部340を備える。等化器330は、図26に関連して説明した等化器330と同一であってよい。また、測定部340は、被試験デバイス400の応答信号を測定して、被試験デバイス400の良否を判定する。
【0149】
パターン発生器350は、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、被試験デバイス400に供給する。パターン発生器350は、図19、図22、または、図24に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100を有しており、これらのジッタ印加回路100が生成したデータ信号を、試験信号として出力してよい。
【0150】
図31は、電子デバイス500の他の構成例を示す図である。本例の電子デバイス500は、等化器520、パターン発生器350、測定部340、マルチプレクサ530、および、動作回路540を備える。等化器520、マルチプレクサ530、および、動作回路540は、図28に示した等化器520、マルチプレクサ530、および、動作回路540と同一であってよい。
【0151】
また、パターン発生器350および測定部340は、図30に関連して説明したパターン発生器350および測定部340と同一であってよい。また、パターン発生器350は、外部から基準信号を受け取ってよい。
【0152】
以上、本発明の(一)側面を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0153】
上記説明から明らかなように、本発明の実施形態によれば、高周波の周期ジッタを有するジッタ重畳信号を容易に生成することができる。また、当該ジッタ重畳信号を用いて被試験デバイスまたは動作回路を試験することで、被試験デバイスまたは動作回路の良否を精度よく判定することができる。
【0154】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0155】
10・・・遅延回路、12・・・バッファ、14、16・・・遅延素子、18・・・スイッチ、20・・・信号生成部、22・・・論理回路、24・・・パルス発生部、28・・・分周器、30・・・遅延設定部、40・・・基準周期制御部、50・・・選択部、60・・・遅延量算出部、62・・・DUTY測定部、70・・・切替部、80・・・低周波ジッタ印加部、90、92・・・マルチプレクサ、100・・・ジッタ印加回路、110・・・データジッタ印加部、112、122、322、342・・・フリップフロップ、114、324、344・・・排他的論理和回路、120・・・パターンメモリ、200・・・データジッタ印加回路、300・・・試験装置、310・・・試験信号発生部、320・・・パターン発生部、330・・・等化器、340・・・測定部、346・・・比較部、350・・・パターン発生器、400・・・被試験デバイス、500・・・電子デバイス、510・・・自己診断部、520・・・等化器、530・・・マルチプレクサ、540・・・動作回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッタ印加回路、パターン発生器、試験装置、および、電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
高速通信デバイス、高速シリアルI/Oデバイスの試験項目には、ジッタ耐力試験がある。例えばITU−Tの勧告によれば、通信データに数百MHz程度の周波数を有するジッタを印加して、ジッタ耐力試験を行う試験が規定されている。
【0003】
高周波の信号にジッタを印加する方法としては、電圧制御発振器の制御入力に変調信号を印加することで、電圧制御発振器が生成するクロック信号にジッタを印加して、当該クロック信号を用いてデータ信号を生成する方法が考えられる。
【0004】
また、他の方法としては、クロック信号またはデータ信号を生成する発生器の後段に可変遅延回路を設け、可変遅延回路の遅延制御入力を変化させることでジッタを印加する方法も考えられる。可変遅延回路を用いたジッタ印加方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/049365号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子デバイスの実使用状態においては、高周波数のジッタ成分に起因するビット誤り率を小さくすることが重要である。このため、係る電子デバイスを試験する試験装置においても、高周波数のジッタを印加できることが求められる。
【0007】
しかし、上述したように電圧制御発振器の制御入力を変調することでジッタを生成する場合、制御入力でクロック信号を高速に変調することが困難であり、生成できるジッタの周波数の限界が数十MHz程度となる。また、可変遅延回路の遅延量を変化させることでジッタを生成する場合、可変遅延回路が遅延設定の変化に追従するのに時間を要するので、高周波数かつ大振幅のジッタを生成することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路であって、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを備え、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、ジッタ重畳信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定されるジッタ印加回路を提供する。
【0009】
本発明の第2の態様においては、被試験デバイスを試験する試験装置であって、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、被試験デバイスに供給する試験信号発生部と、被試験デバイスが、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、被試験デバイスの良否を判定する測定部とを備え、ジッタ印加回路は、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを有し、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される試験装置を提供する。
【0010】
本発明の第3の態様においては、動作回路と、動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、自己診断部は、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、動作回路に供給する試験信号発生部と、動作回路が、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、動作回路の良否を判定する測定部とを有し、ジッタ印加回路は、与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを含み、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される電子デバイスを提供する。
【0011】
本発明の第4の態様においては、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有するデータ信号を生成するパターン発生器であって、与えられる基準信号を、データ信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、データ信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを備え、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、データ信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定されるパターン発生器を提供する。
【0012】
本発明の第5の態様においては、被試験デバイスを試験する試験装置であって、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、被試験デバイスに供給するパターン発生器と、被試験デバイスが、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、被試験デバイスの良否を判定する測定部とを備え、パターン発生器は、与えられる基準信号を、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを有し、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される試験装置を提供する。
【0013】
本発明の第6の態様においては、動作回路と、動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、自己診断部は、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、被試験デバイスに供給するパターン発生器と、動作回路が、試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、動作回路の良否を判定する測定部とを有し、パターン発生器は、与えられる基準信号を、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、それぞれの遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部とを有し、少なくとも一つの遅延回路の遅延量が、試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される電子デバイスを提供する。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係るジッタ印加回路100の構成例を示す図である。
【図2】図1に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図3】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図4】図3に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図5】図3に示したジッタ印加回路100の他の動作例を示すタイミングチャートである。
【図6】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図7】は、図6に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図8】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図9】図8に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。
【図10】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図11】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図12】図11に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。
【図13】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図14】図8から図13に関連して説明したバッファ12の構成の一例を示す図である。
【図15】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図16A】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図16B】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図17】一つの実施形態に係るデータジッタ印加回路200の構成例を示す図である。
【図18】データジッタ印加部110の他の構成例を示す図である。
【図19】データ信号にジッタを印加するジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。
【図20】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図21】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図22】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図23】図22に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。
【図24】ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。
【図25】図24に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。
【図26】一つの実施形態に係る試験装置300の構成例を、被試験デバイス400と併せて示す図である。
【図27】パターン発生部320および測定部340の構成例を示す図である。
【図28】一つの実施形態に係る電子デバイス500の構成例を示す図である。
【図29】試験装置300の動作例を示すフローチャートである。
【図30】試験装置300の他の構成例を示す図である。
【図31】電子デバイス500の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、一実施形態に係るジッタ印加回路100の構成例を示す図である。ジッタ印加回路100は、ジッタを有するジッタ重畳信号を生成する回路であって、縦続接続された複数の遅延回路10、信号生成部20、および、遅延設定部30を備える。本例のジッタ印加回路100は、ジッタ重畳信号を生成する間、遅延量が固定された複数の遅延回路10を用いてジッタ重畳信号を生成する。つまり、遅延回路10における遅延量を変化させずにジッタ重畳信号を生成するので、高周波のジッタを有するジッタ重畳信号を容易に生成することができる。
【0018】
複数の遅延回路10は、前段の遅延回路10から与えられる信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延して、後段の遅延回路10に伝送する。なお、初段の遅延回路10には、基準信号CLK0が与えられる。基準信号CLK0は、予め設定された周期を有する周期信号であってよい。
【0019】
信号生成部20は、それぞれの遅延回路10が出力する信号のタイミングに応じて、出力すべきジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する。例えば信号生成部20は、一つの遅延回路10が出力する信号のエッジから、ジッタ重畳信号の一つのエッジを生成する。このため、ジッタ重畳信号の各エッジの位置を、対応する遅延回路10の遅延量により設定でき、複数の遅延回路10における遅延量に応じたジッタを、ジッタ重畳信号に印加することができる。
【0020】
本例の信号生成部20は、複数の遅延回路10と一対一に対応して設けられた複数の論理回路22を有する。本例における論理回路22は、排他的論理和回路であってよい。初段の論理回路22−1は、初段の遅延回路10−1の入力信号CLK0および出力信号CLK1の排他的論理和OCLK1を出力する。また、2段目以降の論理回路22−k(ただしkは2以上の整数)は、当該段の遅延回路10−kの出力信号CLKkと、前段の論理回路22−(k−1)の出力信号OCLK(k−1)との排他的論理和OCLK(k)を出力する。
【0021】
このような構成の場合、信号生成部20は、それぞれの遅延回路10に設定される遅延量τ1、τ2、τ3、・・・、τk、・・・、τn(ただし、τkは、k段目の遅延回路10に設定される遅延量)の時間間隔で論理値が順次反転するジッタ重畳信号を出力する。ここで、少なくとも一つの遅延量τkとして、ジッタ重畳信号の平均周期TOUT(ジッタ重畳信号における各ビットの平均持続時間)とは異なる値を設定することで、遅延量τkに応じた周期ジッタを有するジッタ重畳信号を生成することができる。なお、周期ジッタを有する信号とは、信号の各周期が、平均周期に対してばらつきを有する信号を指してよい。
【0022】
例えば、n段のジッタ印加回路100により、ジッタ周波数fJ(=2fOUT/(n+1))、ジッタ振幅AJのサイン波の周期ジッタを、ジッタ重畳信号に印加する場合、k番目の遅延回路10に設定すべき遅延量τkは、次式で与えられる。遅延設定部30は、下式に応じて複数の遅延回路10の遅延量を設定してよい。
【数1】
ただし、foutは、ジッタ重畳信号の周波数を示し、fout=1/(2Tout)である。
【0023】
遅延設定部30は、それぞれの遅延回路10に、所定の遅延量を予め設定する。なお、それぞれの遅延回路10における遅延量が、当該所定の遅延量となるように、ジッタ印加回路100が予め設計されている場合、ジッタ印加回路100は、遅延設定部30を備えなくともよい。
【0024】
遅延設定部30は、それぞれの遅延回路10に、ジッタ重畳信号の各周期に印加すべき周期ジッタに応じた遅延量をそれぞれ設定してよい。例えば遅延設定部30は、それぞれの遅延回路10の遅延量として、ジッタ重畳信号が有するべき平均周期TOUTに、ジッタ重畳信号の各ビットが有するべき周期ジッタの値を加減算した値を設定してよい。
【0025】
それぞれの遅延回路10における遅延量が、ジッタ重畳信号において対応するビットの持続時間となるので、ジッタ重畳信号のk番目のサイクルは、τk−TOUTの周期ジッタを有することになる。本例の遅延設定部30は、ジッタ印加回路100がジッタ重畳信号を生成している間、遅延回路10における遅延量を固定する。
【0026】
図2は、図1に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。本例では、5段の遅延回路10を備えるジッタ印加回路100の動作を説明する。また、基準信号CLK0として、予め設定された時間間隔TINで論理値が繰り返し反転する信号を用いて説明する。
【0027】
初段の遅延回路10−1は、基準信号CLK0を、遅延量τ1で遅延させて出力する。遅延量τ1は、ジッタ重畳信号OCLK5の平均周期TOUTに、所定のジッタ値を加減算した値であってよい。
【0028】
なお、遅延設定部30は、基準信号CLK0のパルス幅(ビット持続時間)TINを、遅延回路10の段数+1で除算することで、ジッタ重畳信号OCLK5の平均周期TOUTを求めてよい。そして、遅延設定部30には、印加すべきジッタの波形データが与えられてよい。遅延設定部30は、当該平均周期TOUTおよび波形データに基づいて、それぞれの遅延回路10における遅延量を設定してよい。
【0029】
初段の論理回路22−1は、基準信号CLK0と、初段の遅延回路10−1の出力信号CLK1との排他的論理和OCLK1を出力する。これにより、時間間隔τ1で論理値が反転する信号が生成される。
【0030】
2段目の遅延回路10−2は、初段の遅延回路10−1の出力信号CLK1を、遅延量τ2で遅延させて出力する。遅延量τ2は、ジッタ重畳信号OCLK5の平均周期TOUTに、所定のジッタ値を加減算した値であってよい。また、遅延量τ2は、遅延量τ1とは異なる値であってよい。
【0031】
2段目の論理回路22−2は、2段目の遅延回路10−2の出力信号CLK2と、初段の論理回路22−1の出力信号OCLK1との排他的論理和OCLK2を出力する。これにより、時間間隔τ1、τ2で論理値が順次反転する信号が生成される。
【0032】
同様に、各段の遅延回路10および論理回路22が動作することで、最終段の論理回路22−5からは、各遅延回路10の遅延時間に応じた時間間隔τ1、τ2、τ3、τ4、τ5で論理値が順次反転する信号が生成される。また、複数の遅延回路10における遅延量の和Στk(k=1、2、・・・、5)を、基準信号のパルス幅TINより小さくすることで、基準信号のパルス幅TINの期間毎に、所定のパターンのジッタが繰り返し印加されたジッタ重畳信号を容易に生成することができる。この場合、信号生成部20は、基準信号の1ビット毎に、ジッタ重畳信号の複数のビットを生成する。
【0033】
複数の遅延回路10は、基準信号の1ビット内で生成されるジッタ重畳信号の複数のビットと対応して設けられる。それぞれの遅延回路10における遅延量は、対応するビットの持続時間を規定する。
【0034】
本例では図2に示すように、ビット持続時間がτ1、τ2、τ3、τ4、τ5、TIN−Στk(k=1、2、・・・、5)と順次変化する波形が、基準信号のパルス幅TINの期間毎に繰り返されるジッタ重畳信号を生成することができる。そして、本例のジッタ印加回路100では、遅延回路10における遅延時間を動的に変化させずにジッタを生成するので、高周波数のジッタを容易に生成することができる。
【0035】
なお、本例のジッタ印加回路100では、基準信号のパルス幅TIN毎に、ジッタのパターンが繰り返されるので、生成されるジッタの周波数は、基準信号のビットレート(1/TIN)の整数倍と略等しい。また、それぞれの論理回路22における遅延時間が無視できない場合、遅延設定部30は、それぞれの論理回路22の遅延時間をキャンセルするように、次段の遅延回路10に遅延時間を設定してよい。
【0036】
図3は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1に関連して説明したジッタ印加回路100の構成に加え、基準周期制御部40および選択部50を更に備える。また、ジッタ印加回路100は、基準周期制御部40および選択部50のいずれかを備えない構成であってもよい。
【0037】
図2に関連して説明したように、複数の遅延回路10の遅延量の和は、基準信号CLK0のパルス幅より小さいことが好ましい。この場合、ジッタ重畳信号に印加されるジッタの周期は、基準信号CLK0のパルス幅(の整数分の1)と等しくなる。基準周期制御部40は、ジッタ重畳信号に印加すべきジッタの周期に応じて、複数の遅延回路10に与える基準信号CLK0のパルス幅を制御してよい。
【0038】
また、図2に関連して説明したように、ジッタ重畳信号の平均周期(平均ビット持続時間)は、基準信号のパルス幅を、遅延回路10の段数nに1を加算した値で除算した値となる。選択部50は、ジッタ重畳信号が有するべき平均周期に応じて、複数の論理回路22の出力信号OCLKkのいずれかを選択して、ジッタ重畳信号として出力してよい。具体的には、選択部50は、基準信号のパルス幅TINを、ジッタ重畳信号の平均周期TOUTで除算した値から1を減算して得られる段数の論理回路22の出力信号を選択してよい。
【0039】
図4は、図3に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。本例のジッタ印加回路100は、自己の平均周期がTIN/4であり、印加されるジッタの周波数がTINのジッタ重畳信号を生成する。基準周期制御部40は、基準信号CLK0の周期(パルス幅)がTINとなるように、基準信号を制御する。
【0040】
また、選択部50は、(TIN/TOUT)−1=3であるので、3段目の論理回路22の出力信号を選択する。そして、遅延設定部30が、1段目から3段目までの遅延回路10に対して、ジッタ重畳信号の平均周期TIN/4に、印加すべきジッタ波形に応じたジッタ値をそれぞれ加減算して得られる遅延量τ1、τ2、τ3を設定する。印加すべきジッタ波形に応じたジッタ値とは、周期がTINのジッタ波形を、周期TIN/(n+1)のクロックで順次サンプリングした値であってよい(但し、nは遅延回路10の段数)。このような設定により、図4に示すように、自己の平均周期がTIN/(n+1)であり、印加されるジッタの周期がTINのジッタ重畳信号を生成することができる。
【0041】
図5は、図3に示したジッタ印加回路100の他の動作例を示すタイミングチャートである。図4に関連して説明した例では、選択部50は、奇数段目の論理回路22の出力信号を選択した。本例の選択部50は、偶数段目の論理回路22の出力信号を選択する。
【0042】
この場合、基準信号CLK0のエッジ前後に対応するジッタ重畳信号の波形が反転する。例えば図5に示す例では、E0からE3の期間と、E3からE6の期間とで、ジッタ重畳信号の波形が反転する。選択部50は、ジッタ重畳信号の用途に応じて、偶数段目の論理回路22または奇数段目の排他的論理和回路の出力信号を選択してよい。
【0043】
図6は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例におけるジッタ印加回路100は、図1から図5に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、パルス発生部24を更に備える。図6では、図1に示したジッタ印加回路100の構成に、パルス発生部24を追加した例を示す。
【0044】
パルス発生部24は、基準信号CLKINを受け取り、基準信号CLKINの立ち上がりエッジ毎に、所定のパルス幅のパルスを生成し、基準信号CLK0として出力する。パルス発生部24は、基準信号CLK0を、初段の遅延回路10−1および初段の論理回路22−1に供給する。
【0045】
2段目以降の遅延回路10および論理回路22は、図1から図5に関連して説明したジッタ印加回路100と同一であってよい。また、図6に示すように、本例における論理回路22は、論理和回路であってよい。
【0046】
図7は、図6に示したジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。上述したように、パルス発生部24は、基準信号CLKINの立ち上がりエッジ毎に、所定のパルス幅のパルスを出力する。当該パルス幅は、複数の遅延回路10に設定されるいずれの遅延量τ1、τ2、・・・よりも小さいことが好ましい。
【0047】
初段の遅延回路10は、パルス発生部24が出力するパルスを受け取り、遅延量τ1で遅延させて出力する。また、初段の論理回路22は、パルス発生部24が出力する信号と、初段の遅延回路10が出力する信号との論理和を出力する。つまり、初段の論理回路22は、パルス発生部24が出力するパルスと、初段の遅延回路10が出力するパルスとを有する信号を出力する。
【0048】
2段目以降の遅延回路10は、前段の遅延回路10が出力する信号を順次遅延させる。また、2段目以降の論理回路22は、対応する遅延回路10が出力する信号と、前段の論理回路22が出力する信号との論理和を出力する。これにより、図7に示すように、複数の遅延回路10における遅延量に応じたパルス間隔でパルスが配置されたジッタ重畳信号を生成することができる。このため、遅延設定部30が、印加すべき周期ジッタ波形に応じた遅延量を、それぞれの遅延回路10に対して予め設定することで、ジッタ重畳信号の各周期(各パルス間隔)に周期ジッタを印加することができる。
【0049】
本例では、論理回路22が論理和回路の場合を説明した。また、論理回路22は、図1から図5に関連して説明したジッタ印加回路100と同様に、排他的論理和回路であってもよい。この場合、ジッタ印加回路100は、初段の遅延回路10および論理回路22に、基準信号を入力するか、または、パルス発生部24が生成するパルスを入力するかを切り替える入力切替部を更に備えてよい。このような構成により、ジッタ印加回路100を、図1から図5に関連して説明したように動作させるか、または、図6および図7に関連して説明したように動作させるかを選択することができる。
【0050】
なお、図1から図7に関連して説明したジッタ印加回路100において、遅延設定部30は、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値より大きい遅延量を設定して、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値より小さい遅延量を設定してよい。より具体的には、遅延設定部30は、前半の遅延回路10に、基準値に所定の単位値を加算した遅延量を設定してよい。また、遅延設定部30は、後半の遅延回路10に、当該基準値から当該単位値を減算した遅延量を設定してよい。
【0051】
なお、遅延設定部は、当該基準値として、ジッタ重畳信号が有するべき平均周期(ビット持続時間の平均値)を用いてよい。係る構成により、三角波ジッタが印加されたジッタ重畳信号を容易に生成することができる。ジッタ印加回路100は、基準値の遅延量を生成する遅延回路と、所定の単位値の遅延量を生成するバッファとを組み合わせることで、上述した基準値より大きい遅延量および基準値より小さい遅延量を生成してよい。
【0052】
図8は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、上述したように、三角波のタイミングジッタを印加したジッタ重畳信号を生成する。タイミングジッタとは、理想的なエッジタイミングに対する、実際のエッジタイミングのばらつきを指してよい。
【0053】
本例のジッタ印加回路100は、図1から図7に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、前半のバッファ(12−1から12−m)および後半のバッファ(12−(m+1)から12−(2m−1))を有する(ただし、mは2以上の整数)。図8では、図1に示したジッタ印加回路100に、複数のバッファ12を加えた構成を示す。
【0054】
また、本例のジッタ印加回路100は、奇数個(2m−1個)の遅延回路10を備え、それぞれの遅延回路10には、ジッタ重畳信号の平均周期と略同一の遅延量が設定される。また、遅延設定部30は、共通の制御信号により、前半のバッファ12および後半のバッファ12の遅延量を同一の遅延量に予め調整する。
【0055】
前半のバッファ12は、前半の遅延回路10と一対一に対応して設けられる。前半のバッファ12および遅延回路10とは、1段目からm段目のバッファ12および遅延回路10を指してよい。それぞれの前半のバッファ12は、対応する遅延回路10の出力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで更に遅延させて、後段の遅延回路10に供給する。これにより、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値に単位値を加算した遅延量を設定するのと等価な遅延を生成することができる。
【0056】
後半のバッファ12は、後半の論理回路22と一対一に対応して設けられる。後半のバッファ12および論理回路22とは、m+1段目から2m−1段目のバッファ12および論理回路22を指してよい。それぞれの後半のバッファ12は、対応する論理回路22の入力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで遅延させる。これにより、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値から単位値を減算した遅延量を設定するのと等価な、相対的な遅延を生成することができる。
【0057】
図9は、図8に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。前半の遅延回路10および前半のバッファ12を伝送する信号の位相は、遅延回路10およびバッファ12を一段通過する毎に、ジッタを有さない理想的なジッタ重畳信号のエッジタイミングkToutに対して、単位値αずつ遅れる。このため、前半段において生成されるタイミングジッタは、図9に示すように一段毎にαずつ増加する。
【0058】
また、後半段においては、後半の論理回路22および後半のバッファ12を伝送する信号に、単位値αの遅延量が順次印加される。このため、後半段において生成されるタイミングジッタは、図9に示すように一段毎にαずつ減少する。以上のように、図8に示したジッタ印加回路100によれば、三角波のタイミングジッタを容易に生成することができる。
【0059】
図10は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8に示したジッタ印加回路100の構成に対して、前半のバッファ12が、前半の論理回路22の入力端に設けられ、後半のバッファ12が、後半の遅延回路10の出力端に設けられる。他の構成は、図8に示したジッタ印加回路100と同一であってよい。
【0060】
つまり、本例のジッタ印加回路100は、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値より小さい遅延量を設定して、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値より大きい遅延量を設定する回路と等価な回路となる。なお、当該ジッタ印加回路100が生成するタイミングジッタの波形は、図9に示したジッタ波形を反転した波形となる。
【0061】
前半のバッファ12は、前半の論理回路22と一対一に対応して設けられる。それぞれの前半のバッファ12は、対応する論理回路22の入力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで遅延させる。これにより、前半の遅延回路10に、予め定められた基準値から単位値を減算した遅延量を設定するのと等価な、相対的な遅延を生成することができる。
【0062】
後半のバッファ12は、後半の遅延回路10と一対一に対応して設けられる。それぞれの後半のバッファ12は、対応する遅延回路10の出力信号を、設定される単位値に応じた遅延量αで更に遅延させて、後段の遅延回路10に供給する。これにより、後半の遅延回路10に、予め定められた基準値に単位値を加算した遅延量を設定するのと等価な遅延を生成することができる。以上のような構成によっても、三角波のタイミングジッタを容易に生成することができる。
【0063】
図11は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8または図10に示したジッタ印加回路100の構成に加え、選択部50、および、マルチプレクサ90、92を更に備える。図11では、図8に示したジッタ印加回路100に、選択部50、および、マルチプレクサ90、92を加えた構成を示す。
【0064】
マルチプレクサ90は、前半の論理回路22の出力信号のうち、いずれかを選択して後半のバッファ12−(m+1)に供給する。また、マルチプレクサ92は、前半のバッファ12の出力信号のうち、いずれかを選択して後半の遅延回路10−(m+1)に供給する。なお、マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92は、同一段における論理回路22およびバッファ12の出力信号を選択する。
【0065】
選択部50は、後半の論理回路22の出力信号のうち、いずれかを選択してジッタ重畳信号として出力する。選択部50は、マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92が、前半の何段目の信号を選択したかに応じて、後半の何段目の信号を選択するかを決定してよい。より具体的には、マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92が、前半のp段目の信号を選択した場合、選択部50は、後半のp−1段目の信号を選択してよい。
【0066】
図12は、図11に示したジッタ印加回路100が、各段において生成するタイミングジッタの値を示す図である。マルチプレクサ90およびマルチプレクサ92が、前半のp段目の信号を選択した場合、前半の回路では、図12に示す三角波ジッタの前半部分が生成される。そして、選択部50が、後半のp−1段目の信号を選択することで、後半の回路では、図12に示す三角波ジッタの後半部分を生成することができる。
【0067】
このような構成により、三角波ジッタの振幅および周期を調整することができる。なお、ジッタ印加回路100は、選択部50等により三角波ジッタの周期を調整する場合、当該ジッタ周期に応じて基準信号のパルス幅を調整する基準周期制御部40を更に備えてよい。
【0068】
図13は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8から図12に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に対して、遅延設定部30を2系統備える点で相違する。他の構成は、図8から図12に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100と同一であってよい。
【0069】
第1の遅延設定部30は、前半のバッファ12の遅延量を設定する。また、第2の遅延設定部30は、後半のバッファ12の遅延量を設定する。つまり、本例におけるジッタ印加回路100は、前半のバッファ12および後半のバッファ12の遅延量を異ならせることができる。
【0070】
例えば、第1の遅延設定部30は、前半のバッファ12の遅延量として、単位値αに、論理回路22における遅延量を加算した値を設定してよい。また、第2の遅延設定部30は、後半のバッファ12の遅延量として、単位値αから、論理回路22における遅延量を減算した値を設定してよい。このような構成により、論理回路22における遅延量の影響を低減して、所定のジッタを精度よく生成することができる。
【0071】
図14は、図8から図13に関連して説明したバッファ12の構成の一例を示す図である。本例のバッファ12は、第1の遅延素子14の第1の遅延量αSと、第2の遅延素子16における第2の遅延量αFの差分を用いて、微小な遅延を生成する。より具体的には、遅延回路10の出力端に第1の遅延素子14を設け、論理回路22の入力端に第2の遅延素子16を設ける。これにより、遅延回路10が出力する信号と、論理回路22に入力される信号との間の相対位相が、第1の遅延量αSおよび第2の遅延量αFとの差分に応じて変化する。
【0072】
このような構成により、例えば、第1の遅延量αSの遅延量が1.0pSであり、第2の遅延量αFの遅延量が1.1pSである場合、0.1pSの相対遅延を生成することができる。なお、前半のバッファ12においては、第1の遅延量αSが、第2の遅延量αFより大きく、後半のバッファ12においては、第1の遅延量αSが、第2の遅延量αFより小さくてよい。
【0073】
図15は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図8から図14に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に対して、前半のバッファ12および後半のバッファ12を一つずつ備える点で相違する。他の構成は、図8から図14に関連して説明したジッタ印加回路100と同一であってよい。
【0074】
前半のバッファ12−1は、前半の1段目に設けられる。つまり、前半のバッファ12−1は、遅延回路10−1の出力端に設けられてよく、論理回路22−1の入力端に設けられてもよい。
【0075】
後半のバッファ12―(m+1)は、後半の1段目に設けられる。つまり、後半のバッファ12−(m+1)は、遅延回路10−(m+1)の出力端に設けられてよく、論理回路22−(m+1)の入力端に設けられてもよい。このような構成により、ジッタ印加回路100は、矩形波のタイミングジッタが印加されたジッタ重畳信号を生成することができる。
【0076】
なお、図13または図15に関連して説明したジッタ印加回路100は、前半および後半で、異なる段数の遅延回路10、バッファ12、および、論理回路22を備えてよい。ジッタ印加回路100は、前半の回路および後半の回路において、非対称のジッタを生成してよい。
【0077】
図16Aおよび図16Bは、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図15に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、低周波ジッタ印加部80を更に備える。図16Aおよび図16Bでは、図1から図15に関連して説明したジッタ印加回路100の構成の一部を省略して示す。
【0078】
低周波ジッタ印加部80は、図16Aに示すように、初段の遅延回路10−1の前段に設けられてよい。この場合、低周波ジッタ印加部80は、複数の遅延回路10および信号生成部20において生成されるジッタの周波数より低周波数のジッタを基準信号に印加して、初段の遅延回路10−1に入力する。低周波ジッタ印加部80は、例えば遅延量が動的に変化する可変遅延回路を用いて、基準信号に低周波ジッタを印加してよい。
【0079】
また、低周波ジッタ印加部80は、図16Bに示すように、最終段の論理回路22の後段に設けられてもよい。この場合、低周波ジッタ印加部80は、論理回路22が出力するジッタ重畳信号に、低周波ジッタを更に印加する。これらのような構成により、広帯域のジッタを容易に生成することができる。また、低周波ジッタ印加部80を備える代わりに、遅延設定部30が、それぞれの遅延回路10における遅延量を、基準信号の周波数より十分低い周波数で変化させてもよい。
【0080】
図17は、一つの実施形態に係るデータジッタ印加回路200の構成例を示す図である。データジッタ印加回路200は、データ信号にジッタを印加する回路であって、ジッタ印加回路100およびデータジッタ印加部110を備える。
【0081】
ジッタ印加回路100は、図1から図16Bに関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100と同一であってよい。データジッタ印加部110は、ジッタ印加回路100からジッタ重畳信号を受け取り、ジッタ重畳信号の各エッジタイミングをビット境界とするデータ信号を生成する。このような構成により、データ信号にデータジッタを印加することができる。
【0082】
本例のデータジッタ印加部110は、複数のフリップフロップ112および排他的論理和回路114を有するLFSR(Linear Feedback Shift Register)である。複数のフリップフロップ112は、縦続接続され、ジッタ重畳信号を共通に受け取る。それぞれのフリップフロップ112は、入力されるデータを、ジッタ重畳信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのそれぞれまたは一方に応じて取り込み、後段のフリップフロップ112に供給する。
【0083】
また、排他的論理和回路114は、LFSRの生成多項式に応じて選択される、2つのフリップフロップ112の出力信号の排他的論理和を生成して、初段のフリップフロップ112に供給する。このような構成により、ジッタが印加された擬似ランダム(PRBS、Pseudo-Random Binary Sequence)データを生成することができる。
【0084】
図18は、データジッタ印加部110の他の構成例を示す図である。本例のデータジッタ印加部110は、パターンメモリ120およびフリップフロップ122を有する。パターンメモリ120は、データ信号が有するべき論理値パターンを予め格納する。
【0085】
フリップフロップ122は、パターンメモリ120が格納した論理値パターンを、ジッタ印加回路100から与えられるジッタ重畳信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのそれぞれまたは一方に応じて取り込んで出力する。このような構成により、任意の論理値パターンを有するデータ信号に、ジッタを印加することができる。
【0086】
また、図17および図18に示した構成に代えて、図1から図7に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100を用いて、ジッタが印加されたデータ信号を生成することもできる。
【0087】
図19は、予め定められた論理パターンを有するデータ信号にジッタを印加するジッタ印加回路100の動作例を示すタイミングチャートである。データ信号を生成する場合、複数の遅延回路10は、与えられる基準信号を、データ信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる。本例では、複数の遅延回路10は、データ信号が有するべき論理パターンにおいて同一の論理値が連続するビット数に応じた遅延量で、基準信号を順次遅延させる。
【0088】
本例では、論理値パターン"11101000"が繰り返されるデータ信号に、ジッタを印加する例を説明する。この場合、基準周期制御部40は、データ信号の1ビット分の時間に、繰り返される論理値パターンのビット数を乗算した値と略等しい周期の基準信号を生成してよい。
【0089】
また、選択部50は、繰り返される論理値パターン"11101000"においてデータが遷移する回数に応じた段数の論理回路22が出力する信号を選択する。本例では、繰り返しの論理値パターン"11101000"において、論理値が3回遷移するので、選択部50は、3段目の論理回路22が出力する信号を選択する。
【0090】
遅延設定部30は、データ信号が有するべき論理値パターンにおいて、同一の論理値が連続するビット数に基づいて、それぞれの遅延回路10の遅延量を設定する。遅延設定部30は、データ信号が有するべき論理パターンにおいて同一の論理値が連続するビット数に基づいて、それぞれの遅延回路にデータ信号の1ビット分の時間の何倍の遅延量を設定すべきかを決定し、決定したそれぞれの遅延量に、印加すべきジッタ値を加減算した値を、それぞれの遅延回路に設定してよい。
【0091】
例えば、本例のデータ信号が有するべき繰り返しの論理値パターン"11101000"は、まず論理値"1"が3ビット連続する。このため、遅延設定部30は、初段の遅延回路10−1の遅延量τ1として、データ信号における3ビット分の時間(ジッタ重畳信号の平均周期の3倍)に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する。
【0092】
次に、論理値パターン"11101000"では、論理値"0"が1ビット存在する。このため、遅延設定部30は、2段目の遅延回路10−2の遅延量τ2として、データ信号における1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する。
【0093】
同様に、遅延設定部30は、3段目の遅延回路10−3の遅延量τ3として、データ信号における1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する。そして、選択部50が、3段目の論理回路22が出力する信号を、データ信号として選択する。このような処理により、ジッタ印加回路100を用いて、ジッタが印加されたデータ信号を生成することができる。
【0094】
図20は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図19に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、DUTY測定部62を更に備える。図20では、図3に示したジッタ印加回路100の構成に、DUTY測定部62を加えた構成を示す。
【0095】
DUTY測定部62は、それぞれの論理回路22の出力信号のDUTY比を順次測定する。出力信号のDUTY比とは、出力信号がH論理を示す期間と、L論理を示す期間との比を指してよい。DUTY測定部62は、出力信号の信号レベルを積分または平均化することで、DUTY比を検出してよい。
【0096】
また、それぞれの論理回路22の出力信号は、選択部50が順次選択してDUTY測定部62に供給してよい。例えば、出力信号のDUTY比を順次測定する場合、選択部50は、初段の論理回路22の出力信号から最終段の論理回路22の出力信号までを順番に選択して、DUTY測定部62に供給してよい。
【0097】
DUTY測定部62は、選択部50から供給される出力信号のDUTY比を測定する。当該DUTY比は、対応する遅延回路10の遅延量に相当する。例えば、1段目の論理回路22−1が出力する出力信号OCLK1のDUTY比は、τ1/(TIN−τ1)となる。基準信号のパルス幅TINは既知であるので、当該DUTY比から、1段目の遅延回路10−1の遅延量τ1を求めることができる。
【0098】
同様に、2段目の論理回路22−2が出力する出力信号OCLK2のDUTY比は、(TIN―τ2)/τ2で与えられる。遅延設定部30は、DUTY測定部62が測定したパルス幅に基づいて、対応する遅延回路10の遅延量を調整する。
【0099】
選択部50は、遅延設定部30が前段の遅延回路10の遅延量を調整した後に、次段の論理回路22の出力信号のパルス幅を選択して、DUTY測定部62に供給する。つまりDUTY測定部62は、遅延設定部30が前段の遅延回路10の遅延量を調整した後に、次段の論理回路22の出力信号のパルス幅を測定する。
【0100】
本例におけるジッタ印加回路100においては、前段以前の遅延回路10における遅延量が、後段の論理回路22が出力する出力信号のDUTY比に影響する。例えば、奇数段目の論理回路22の出力信号のDUTY比は、(τ1+τ3+τ5+・・・)/(TIN−(τ1+τ3+τ5+・・・))で与えられ、偶数段目の論理回路22の出力信号のDUTY比は、(TIN−(τ2+τ4+τ6+・・・))/(τ2+τ4+τ6+・・・)で与えられる。
【0101】
このような場合であっても、上述したように前段の遅延回路10から順番に遅延量を調整することで、前段の遅延回路10における遅延量τkが既知となる。このため、それぞれの出力信号のDUTY比から、対応する遅延回路10の遅延量を求めることができる。このような構成により、ジッタ重畳信号に印加するジッタの波形を精度よく調整することができる。
【0102】
図21は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図19に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、遅延量算出部60および切替部70を更に備え、各遅延回路10における遅延量を測定する。図21では、図1から図19に関連して説明したジッタ印加回路100の一部の構成を省略して示す。
【0103】
切替部70は、各段の遅延回路10に対して設けられる。また、各段における切替部70は、第1の切替部70−1、第2の切替部70−2、および、第3の切替部70−3から構成されてよい。切替部70は、それぞれの遅延回路10の遅延量を測定する場合に、それぞれの遅延回路10の出力信号が、当該遅延回路10の入力に帰還されるループを形成するように、信号の伝送経路を切り替える。
【0104】
具体的には、第1の切替部70−1は、遅延量を測定する場合に、前段の遅延回路10からの信号に代えて、第3の切替部70−3からの信号を、遅延回路10に入力する。第2の切替部70−2は、遅延量を測定する場合に、前段の論理回路22からの信号に代えて、所定の論理値に固定された信号を、論理回路22に入力する。第3の切替部70−3は、遅延量を測定する場合に、論理回路22の出力信号を、後段の論理回路22に供給せずに、第1の切替部70−1を介して遅延回路10に入力する。このような構成により切替部70は、遅延回路10の出力信号が、当該遅延回路10の入力に帰還されるループを形成する。
【0105】
遅延量算出部60は、切替部70が形成するループを伝送する信号の周期に基づいて、遅延回路10の遅延量を算出する。例えば遅延量算出部60は、第3の切替部70−3から第1の切替部70−1に伝送する信号の周期を計測してよい。また、遅延量算出部60は、当該ループに一つのパルスを入力して、当該パルスが当該ループを周回する周期を計測してよい。当該周期が、遅延回路10における遅延量に相当する。
【0106】
遅延設定部30は、遅延量算出部60が算出した遅延量に更に基づいて、それぞれの遅延回路10における遅延量を設定する。遅延量算出部60は、各段の遅延回路10における遅延量を、平行して測定してよい。このような構成により、ジッタ重畳信号に印加するジッタの波形を精度よく調整することができる。
【0107】
図22は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図1から図21に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100の構成に加え、複数のスイッチ18を更に備える。複数のスイッチ18は、遅延回路10および論理回路22の複数の組と一対一に対応して設けられる。ただし、ジッタ印加回路100は、パルス発生部24と分周器28を備えなくともよい。
【0108】
それぞれのスイッチ18は、対応する論理回路22に、対応する遅延回路10の出力信号CLKkを入力するか、所定の論理値を入力するかを切り替える。それぞれのスイッチ18には、論理回路22をバッファとして機能させる論理値が与えられる。例えば論理回路22が排他的論理和回路の場合、スイッチ18には、当該論理値として論理値0が与えられる。
【0109】
このような構成により、ジッタ重畳信号の波形を制御することができる。以下では、それぞれのスイッチ18の状態がオンのとき、遅延回路10の出力信号が論理回路22に入力され、スイッチ18の状態がオフのとき、論理値0が論理回路22に入力されるものとして、ジッタ印加回路100の動作を説明する。
【0110】
例えば、本例のジッタ印加回路100は、それぞれのスイッチ18のオン/オフを制御することで、ジッタ重畳信号において繰り返される論理パターンを制御して、所定の論理パターンを有するデータ信号を生成することができる。この場合、それぞれの遅延回路10は、ジッタ重畳信号(データ信号)における1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した遅延を生成する。また、k段目のスイッチ18−kは、ジッタ重畳信号において繰り返される論理パターンのk+1段目のビットに対応する。
【0111】
それぞれのスイッチ18は、それぞれの遅延回路10が出力する信号のうち、信号生成部20に供給すべき複数の信号を、データ信号が有するべき論理パターンに基づいて選択する。具体的には、それぞれのスイッチ18は、対応するビットの論理値が、前ビットの論理値に対して遷移すべき場合にはオン状態に制御される。また、それぞれのスイッチ18は、対応するビットの論理値が、前ビットの論理値と同一であるべき場合にはオフ状態に制御される。このような動作により、ジッタ重畳信号における論理パターンを制御することができる。
【0112】
また、本例のジッタ印加回路100は、図3に示した選択部50を有さずに、所定の段数目の論理回路22の出力を、ジッタ重畳信号として出力することができる。例えば、k段目の論理回路22の出力をジッタ重畳信号として出力する場合、k+1段目以降のスイッチ18をオフ状態とすることにより、k段目の論理回路22の出力を取り出すことができる。
【0113】
図23は、図22に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。本例では、"1001"の論理パターンを反転しながら繰り返すジッタ重畳信号を生成する場合を説明する。この場合、論理パターンの1番目および2番目のビット間で論理値が遷移して、3番目および4番目のビット間で論理値が遷移する。このため、1段目および3段目のスイッチ18がオン状態に制御される。
【0114】
また、論理パターンの2ビット目と3ビット目の論理値が同一であるので、2段目のスイッチ18−2がオフ状態に制御される。また、4段目以降のスイッチ18が存在する場合、これらのスイッチ18もオフ状態に制御される。
【0115】
1段目のスイッチ18−1がオン状態なので、1段目の論理回路22−1には、1段目の遅延回路10−1の出力信号が入力される。このため、1段目の論理回路22−1は、遅延回路10−1の遅延量に応じた位置にエッジを有する信号OCLK1を出力する。
【0116】
また、2段目のスイッチ18−2がオフ状態なので、2段目の論理回路22−2には、論理値0が入力される。このため、2段目の論理回路22−2は、1段目の論理回路22−1の出力信号を通過させるバッファとして機能する。このため、論理回路22−2の出力信号OCLK2は、遅延回路10−2における遅延量に応じた位置にエッジを有さない。
【0117】
また、3段目のスイッチ18−3がオン状態なので、3段目の論理回路22−3には、3段目の遅延回路10−3の出力信号が入力される。このため、3段目の論理回路22−3は、論理回路22−2の出力信号OCLK2に対して、遅延回路10−3の遅延量に応じた位置に更にエッジを追加した出力信号OCLK3を出力する。
【0118】
そして、4段目以降のスイッチ18はオフ状態なので、論理回路22−3の出力信号OCLK3が、ジッタ重畳信号として出力される。このような動作により、論理パターン"1001"が反転しながら繰り返されるジッタ重畳信号に、ジッタを印加して出力することができる。
【0119】
図24は、ジッタ印加回路100の他の構成例を示す図である。本例のジッタ印加回路100は、図23に関連して説明したジッタ印加回路100の構成に加え、パルス発生部24および分周器28を更に備える。パルス発生部24は、図6に関連して説明したパルス発生部24と同一であってよい。つまり、パルス発生部24は、基準信号CLKINの立ち上がりエッジ毎にパルスを有する基準信号CLK0を、初段の遅延回路10−1および初段の論理回路22−1に供給する。
【0120】
また、分周器28は、信号生成部20の出力信号OCLKnを2分周した信号DIVCLKを、ジッタ重畳信号として出力する。このような構成によっても、図23に関連して説明したジッタ印加回路100と同様に、ジッタ重畳信号の波形を制御することができる。
【0121】
図25は、図24に示したジッタ印加回路100の動作例を説明する図である。本例におけるジッタ印加回路100は、図23に関連して説明したジッタ印加回路100と同様に、"1001"の論理パターンを反転しながら繰り返すジッタ重畳信号を生成する。複数の遅延回路10、複数のスイッチ18、複数の論理回路22の動作は、図23に関連して説明したジッタ印加回路100と同一であるので説明を省略する。
【0122】
ジッタ重畳信号の論理パターンの最終ビットに対応する論理回路22−3の出力信号OCLK3は、論理パターンにおいて論理値が遷移しない第3ビットに対応する期間(E2からE3)においてパルスを有さず、論理パターンにおいて論理値が遷移するビットに対応する期間においてパルスを有する。そして、分周器28は、当該論理回路22−3の出力信号OCLK3を2分周して、ジッタ重畳信号DIVCLKを生成する。
【0123】
ここで、2分周とは、元の信号のパルスの立ち上がりエッジ毎に論理値が遷移する信号を生成する処理であってよい。このような動作により、論理パターン"1001"が反転しながら繰り返されるジッタ重畳信号に、ジッタを印加して出力することができる。
【0124】
なお、図23および図25に示したように、論理パターンが反転して繰り返すか、または、反転せずに繰り返すかは、一つの論理パターン当たりに論理値が遷移する回数で定まる。遷移する回数が偶数の場合、論理パターンは反転せずに繰り返され、遷移する回数が奇数の場合、論理パターンは反転して繰り返される。
【0125】
図26は、一つの実施形態に係る試験装置300の構成例を、被試験デバイス400と併せて示す図である。試験装置300は、半導体回路等の被試験デバイス400を試験する装置であって、ジッタ印加回路100、試験信号発生部310、および、測定部340を備える。
【0126】
ジッタ印加回路100は、図1から図21に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100と同一であってよい。上述したように、ジッタ印加回路100は、高周波のジッタを有するジッタ重畳信号を生成することができる。
【0127】
試験信号発生部310は、ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成して、被試験デバイス400に供給する。例えば試験信号発生部310は、ジッタ重畳信号をクロックとして動作して、試験信号を生成してよい。本例の試験信号発生部310は、パターン発生部320および等化器330を有する。
【0128】
パターン発生部320は、予め定められた論理パターンを有しており、且つ、ジッタ重畳信号の各エッジをビット境界とする試験信号を生成する。このような構成により、高周波のジッタを有する試験信号を生成することができる。等化器330は、試験信号発生部310から被試験デバイス400までの伝送損失に応じて、試験信号の波形を予め補償する。
【0129】
測定部340は、被試験デバイス400が試験信号に応じて出力する応答信号を測定することで、被試験デバイス400の良否を判定する。例えば測定部340は、応答信号の論理パターンが、所定の期待値パターンと一致するか否かにより、被試験デバイス400の良否を判定してよい。
【0130】
ジッタ印加回路100が生成するジッタの周波数および振幅を調整することで、被試験デバイス400のジッタ耐力を試験することができる。例えば、ジッタ印加回路100が、被試験デバイス400のジッタ耐力の仕様により定まる周波数および振幅のジッタを生成することで、被試験デバイス400がジッタ耐力の仕様を満たすか否かを試験することができる。また、高周波のジッタを有する試験信号を用いて被試験デバイス400を試験することができる。
【0131】
図27は、パターン発生部320および測定部340の構成例を示す図である。本例のパターン発生部320は、リニアフィードバックシフトレジスタ(LFSR)を用いて、擬似ランダム系列(PRBS)の論理パターンを有する試験信号を生成する。パターン発生部320は、複数のフリップフロップ322および排他的論理和回路324を有する。
【0132】
それぞれのフリップフロップ322は、ジッタ印加回路100からジッタ重畳信号を並列に受け取り、前段のフリップフロップ322が出力する信号を、ジッタ重畳信号の各エッジに応じて取り込んで出力する。ただし、初段のフリップフロップ322は、排他的論理和回路324が出力する信号を、ジッタ重畳信号に応じて取り込む。また、ジッタ印加回路100が、図6に関連して説明したようにパルス発生部24を備える場合、それぞれのフリップフロップ322は、ジッタ重畳信号の立ち上がりエッジに応じて動作してよい。
【0133】
排他的論理和回路324は、LFSRの生成多項式に応じて選択される2つのフリップフロップ322が出力する信号の排他的論理和を、試験信号として出力する。このような構成により、ジッタ重畳信号に応じたジッタを有する、擬似ランダム系列の試験信号を生成することができる。
【0134】
測定部340は、パターン発生部320と同一構成のリニアフィードバックシフトレジスタを用いて、期待値パターンを生成する。測定部340は、複数のフリップフロップ342、排他的論理和回路344、および、比較部346を有する。
【0135】
複数のフリップフロップ342および排他的論理和回路344は、複数のフリップフロップ322および排他的論理和回路324と同一の機能および構成を有してよい。ただし、それぞれのフリップフロップ342は、ジッタが印加されていないクロック信号に応じて動作する。また、初段のフリップフロップ342は、被試験デバイス400の応答信号をクロック信号に応じて取り込む。このような構成により、排他的論理和回路344は、被試験デバイス400の応答信号が示すべき論理値を順次生成することができる。
【0136】
比較部346は、被試験デバイス400の応答信号の論理値と、排他的論理和回路344が出力する信号の論理値とを比較し、一致したか否かを示すエラー信号を出力する。また、比較部346において、論理値の不一致が生じる割合を計測することで、被試験デバイス400のビット誤り率を計測してもよい。
【0137】
図28は、一つの実施形態に係る電子デバイス500の構成例を示す図である。電子デバイス500は、例えば入力信号に応じた出力信号を出力する、半導体チップ等のデバイスであってよい。電子デバイス500は、等化器520、自己診断部510、マルチプレクサ530、および、動作回路540を備える。
【0138】
等化器520は、入力信号の伝送経路における信号損失に応じて、入力信号の波形を補償する。マルチプレクサ530は、電子デバイス500が通常動作する場合に、入力信号を選択して動作回路540に供給する。
【0139】
自己診断部510は、電子デバイス500が自己診断を行う場合に、動作回路540を試験する。自己診断部510は、ジッタ印加回路100、試験信号発生部310、および、測定部340を有する。ジッタ印加回路100、試験信号発生部310、および、測定部340は、図26において同一の符号を付して説明した構成要素と同一の機能および構成を有してよい。また、ジッタ印加回路100は、外部から与えられる入力信号を、基準信号として受け取ってよい。
【0140】
マルチプレクサ530は、電子デバイス500が自己診断を行う場合に、自己診断部510が生成した試験信号を選択して動作回路540に供給する。測定部340は、動作回路540の応答信号に基づいて、動作回路540の良否を判定する。
【0141】
このような構成により、電子デバイス500は、動作回路540の良否を自己診断することができる。また、ジッタ印加回路100により高周波のジッタを生成することができるので、高周波のジッタを有する試験信号を用いて、動作回路540を試験することができる。
【0142】
図29は、試験装置300の動作例を示すフローチャートである。本例の試験装置300は、被試験デバイス400の動作帯域内における低周波ジッタを用いた試験と、動作帯域外における高周波ジッタを用いた試験を行う。
【0143】
まず試験装置300は、被試験デバイス400の動作帯域内における低周波ジッタを用いて被試験デバイス400を試験する(S600)。この場合、ジッタ印加回路100が、被試験デバイス400の動作帯域内の周波数を有するジッタが印加された第1のジッタ重畳信号を生成する。例えば、被試験デバイス400がPLL回路を有する場合、ジッタ印加回路100は、PLL回路のループ帯域内における周波数のジッタを有するジッタ重畳信号を生成する。
【0144】
また、試験信号発生部310は、第1のジッタ重畳信号に応じた第1の試験信号を被試験デバイス400に供給する。次に測定部340は、第1の試験信号に応じて被試験デバイス400が出力する第1の応答信号に応じて被試験デバイス400の良否を判定する。具体的には、測定部340は、第1の応答信号にビット誤りが生じたか否かを判定する(S602)。ビット誤りが生じた場合、測定部340は被試験デバイス400を不良品と判定して(S610)、試験を終了する。
【0145】
低周波ジッタ試験でビット誤りが生じず、低周波ジッタ試験において被試験デバイス400が良品と判定された場合、試験装置300は、被試験デバイス400の動作帯域外における高周波ジッタを用いて被試験デバイスを試験する(S604)。この場合、ジッタ印加回路100が、被試験デバイス400の動作帯域外における周波数のジッタを有する第2のジッタ重畳信号を生成する。つまり、ジッタ印加回路100は、第1のジッタ重畳信号と、第2のジッタ重畳信号とを順次生成する。
【0146】
また、試験信号発生部310は、第2のジッタ重畳信号に応じた第2の試験信号を被試験デバイス400に供給する。次に測定部340は、第2の試験信号に応じて被試験デバイス400が出力する第2の応答信号に応じて被試験デバイス400の良否を判定する。具体的には測定部340は、被試験デバイス400の応答信号にビット誤りが生じたか否かを判定する(S606)。ビット誤りが生じた場合、測定部340は被試験デバイス400を不良品と判定して(S610)、試験を終了する。また、ビット誤りが生じなかった場合、測定部340は被試験デバイス400を良品と判定して(S608)、試験を終了する。
【0147】
上述したように、試験装置300は高周波のジッタを容易に生成することができるので、被試験デバイス400の帯域外におけるジッタ耐力の試験も容易に行うことができる。このため、被試験デバイス400の良否を精度よく判定することができる。
【0148】
図30は、試験装置300の他の構成例を示す図である。本例の試験装置300は、パターン発生器350、等化器330、および、測定部340を備える。等化器330は、図26に関連して説明した等化器330と同一であってよい。また、測定部340は、被試験デバイス400の応答信号を測定して、被試験デバイス400の良否を判定する。
【0149】
パターン発生器350は、予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、被試験デバイス400に供給する。パターン発生器350は、図19、図22、または、図24に関連して説明したいずれかのジッタ印加回路100を有しており、これらのジッタ印加回路100が生成したデータ信号を、試験信号として出力してよい。
【0150】
図31は、電子デバイス500の他の構成例を示す図である。本例の電子デバイス500は、等化器520、パターン発生器350、測定部340、マルチプレクサ530、および、動作回路540を備える。等化器520、マルチプレクサ530、および、動作回路540は、図28に示した等化器520、マルチプレクサ530、および、動作回路540と同一であってよい。
【0151】
また、パターン発生器350および測定部340は、図30に関連して説明したパターン発生器350および測定部340と同一であってよい。また、パターン発生器350は、外部から基準信号を受け取ってよい。
【0152】
以上、本発明の(一)側面を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0153】
上記説明から明らかなように、本発明の実施形態によれば、高周波の周期ジッタを有するジッタ重畳信号を容易に生成することができる。また、当該ジッタ重畳信号を用いて被試験デバイスまたは動作回路を試験することで、被試験デバイスまたは動作回路の良否を精度よく判定することができる。
【0154】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0155】
10・・・遅延回路、12・・・バッファ、14、16・・・遅延素子、18・・・スイッチ、20・・・信号生成部、22・・・論理回路、24・・・パルス発生部、28・・・分周器、30・・・遅延設定部、40・・・基準周期制御部、50・・・選択部、60・・・遅延量算出部、62・・・DUTY測定部、70・・・切替部、80・・・低周波ジッタ印加部、90、92・・・マルチプレクサ、100・・・ジッタ印加回路、110・・・データジッタ印加部、112、122、322、342・・・フリップフロップ、114、324、344・・・排他的論理和回路、120・・・パターンメモリ、200・・・データジッタ印加回路、300・・・試験装置、310・・・試験信号発生部、320・・・パターン発生部、330・・・等化器、340・・・測定部、346・・・比較部、350・・・パターン発生器、400・・・被試験デバイス、500・・・電子デバイス、510・・・自己診断部、520・・・等化器、530・・・マルチプレクサ、540・・・動作回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路であって、
与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を備え、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記ジッタ重畳信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定されるジッタ印加回路。
【請求項2】
それぞれの前記遅延回路に、前記ジッタ重畳信号の各周期に印加すべきジッタに応じた遅延量をそれぞれ設定する遅延設定部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項3】
複数の前記遅延回路における遅延量の和は、前記基準信号のパルス幅より小さい
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項4】
前記信号生成部は、前記基準信号の1ビット毎に、前記ジッタ重畳信号の複数のビットを生成し、
複数の前記遅延回路は、前記基準信号の1ビット内で生成される前記ジッタ重畳信号の複数のビットと対応して設けられ、
前記遅延設定部は、それぞれの前記遅延回路に対して、前記ジッタ重畳信号の平均周期に、対応する前記ジッタ重畳信号のビットが有するべき周期ジッタを加算した遅延量を設定する
請求項3に記載のジッタ印加回路。
【請求項5】
前記信号生成部は、複数の前記遅延回路と一対一に対応して設けられた複数の排他的論理和回路を有し、
初段の前記排他的論理和回路は、初段の前記遅延回路の入力信号および出力信号の排他的論理和を出力し、
2段目以降の前記排他的論理和回路は、前段の前記遅延回路の出力信号と、前段の前記排他的論理和回路の出力信号との排他的論理和を出力する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項6】
前記ジッタ重畳信号に印加すべきジッタの周期に応じて、複数の前記遅延回路に与える前記基準信号のパルス幅を制御する基準周期制御部を更に備える
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項7】
前記ジッタ重畳信号が有するべき平均周期に応じて、複数の前記排他的論理和回路の出力信号のいずれかを選択して、前記ジッタ重畳信号として出力する選択部を更に備える
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項8】
前記ジッタ重畳信号の各エッジタイミングをビット境界とするデータ信号を生成して、データジッタを前記データ信号に印加するデータジッタ印加部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項9】
前記遅延設定部は、前記ジッタ重畳信号が有するべき論理値パターンにおいて、同一の論理値が連続するビット数に更に基づいて、それぞれの前記遅延回路の遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項10】
それぞれの前記遅延回路の遅延量を測定する場合に、それぞれの前記遅延回路の出力信号が、当該遅延回路の入力に帰還されるループを形成する切替部と、
前記ループを伝送する信号の周期に基づいて、前記遅延回路の遅延量を算出する遅延量算出部と
を更に備え、
前記遅延設定部は、前記遅延量算出部が算出した前記遅延量に更に基づいて、それぞれの前記遅延回路における遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項11】
前記基準信号に、複数の前記遅延回路および前記信号生成部において印加されるジッタの周波数より低周波数のジッタを印加して、初段の前記遅延回路に入力する低周波ジッタ印加部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項12】
前記ジッタ重畳信号に、複数の前記遅延回路および前記信号生成部において印加されるジッタの周波数より低周波数のジッタを印加する低周波ジッタ印加部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項13】
前記遅延設定部は、それぞれの前記遅延回路における遅延量を、前記基準信号の周波数より低い周波数で変化させる
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項14】
それぞれの前記排他的論理和回路の出力信号のパルス幅を順次測定するDUTY測定部を更に備え、
前記遅延設定部は、前記DUTY測定部が測定したパルス幅に基づいて、対応する前記遅延回路の遅延量を調整し、
前記DUTY測定部は、前記遅延設定部が前段の前記遅延回路の遅延量を調整した後に、次段の前記排他的論理和回路の出力信号のパルス幅を測定する
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項15】
前記遅延設定部は、前半の前記遅延回路に、予め定められた基準値より大きい遅延量を設定し、後半の前記遅延回路に、前記基準値より小さい遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項16】
前記遅延設定部は、前半の前記遅延回路に、予め定められた基準値より小さい遅延量を設定し、後半の前記遅延回路に、前記基準値より大きい遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項17】
前記遅延設定部は、前半の前記遅延回路に、前記基準値に所定の単位値を加算した遅延量を設定し、後半の前記遅延回路に、前記基準値から前記単位値を減算した遅延量を設定する
請求項15または16に記載のジッタ印加回路。
【請求項18】
前記遅延設定部は、前記基準値として、前記ジッタ重畳信号が有するべき平均周期を用いてそれぞれの前記遅延回路の遅延量を設定する
請求項17に記載のジッタ印加回路。
【請求項19】
前記信号生成部は、複数の前記遅延回路と一対一に対応して設けられた複数の排他的論理和回路を有し、
初段の前記排他的論理和回路は、初段の前記遅延回路の入力信号および出力信号の排他的論理和を出力し、
2段目以降の前記排他的論理和回路は、前段の前記遅延回路の出力信号と、前段の前記排他的論理和回路の出力信号との排他的論理和を出力し、
前記ジッタ印加回路は、
前半のそれぞれの前記遅延回路に対応して設けられ、対応する前記遅延回路の出力信号を、単位値に応じて更に遅延させる前半バッファと、
後半のそれぞれの前記排他的論理和回路に対応して設けられ、対応する前記排他的論理和回路の入力信号を、前記単位値に応じて遅延させる後半バッファと
を更に備える
請求項15に記載のジッタ印加回路。
【請求項20】
前記信号生成部は、複数の前記遅延回路と一対一に対応して設けられた複数の排他的論理和回路を有し、
初段の前記排他的論理和回路は、初段の前記遅延回路の入力信号および出力信号の排他的論理和を出力し、
2段目以降の前記排他的論理和回路は、前段の前記遅延回路の出力信号と、前段の前記排他的論理和回路の出力信号との排他的論理和を出力し、
前記ジッタ印加回路は、
前半のそれぞれの前記排他的論理和回路に対応して設けられ、対応する前記排他的論理和回路の入力信号を、単位値に応じて遅延させる前半バッファと、
後半のそれぞれの前記遅延回路に対応して設けられ、対応する前記遅延回路の出力信号を、前記単位値に応じて更に遅延させる後半バッファと
を更に備える
請求項16に記載のジッタ印加回路。
【請求項21】
前記前半バッファおよび前記後半バッファは、遅延量を設定する共通の制御データを受け取る
請求項19または20に記載のジッタ印加回路。
【請求項22】
複数の前記排他的論理和回路と一対一に対応して設けられた複数のスイッチを更に備え、
それぞれの前記スイッチは、対応する前記排他的論理和回路に、対応する前記遅延回路の出力信号を入力するか、所定の論理値を入力するかを切り替える
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項23】
被試験デバイスを試験する試験装置であって、
ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、
前記ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、前記被試験デバイスに供給する試験信号発生部と、
前記被試験デバイスが、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記被試験デバイスの良否を判定する測定部と
を備え、
前記ジッタ印加回路は、
与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を有し、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される試験装置。
【請求項24】
前記ジッタ印加回路は、前記被試験デバイスの帯域内の周波数を有するジッタが印加された第1の前記ジッタ重畳信号と、前記被試験デバイスの帯域外の周波数を有するジッタが印加された第2の前記ジッタ重畳信号とを順次生成し、
前記試験信号発生部および前記測定部は、前記第1のジッタ重畳信号に応じた第1の試験信号を前記被試験デバイスに供給し、前記第1の試験信号に応じて前記被試験デバイスが出力する第1の前記応答信号に応じて前記被試験デバイスの良否を判定し、当該判定結果が良である場合に、前記第2のジッタ重畳信号に応じた第2の前記試験信号を用いて前記被試験デバイスを試験する
請求項23に記載の試験装置。
【請求項25】
動作回路と、前記動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、
前記自己診断部は、
ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、
前記ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、前記動作回路に供給する試験信号発生部と、
前記動作回路が、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記動作回路の良否を判定する測定部と
を有し、
前記ジッタ印加回路は、
与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を含み、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される電子デバイス。
【請求項26】
予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有するデータ信号を生成するパターン発生器であって、
与えられる基準信号を、前記データ信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記データ信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を備え、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記データ信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される
パターン発生器。
【請求項27】
前記データ信号が有するべき論理パターンにおいて同一の論理値が連続するビット数に基づいて、それぞれの前記遅延回路に、前記データ信号の1ビット分の時間の何倍の遅延量を設定すべきかを決定し、決定したそれぞれの遅延量に、印加すべきジッタ値を加減算した値を、それぞれの前記遅延回路に設定する遅延設定部を更に備える
請求項26に記載のパターン発生器。
【請求項28】
それぞれの前記遅延回路に、前記データ信号の1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する遅延設定部と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のうち、前記信号生成部に供給すべき複数の信号を、前記データ信号が有するべき論理パターンに基づいて選択するスイッチと
を更に備える請求項26に記載のパターン発生器。
【請求項29】
被試験デバイスを試験する試験装置であって、
予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、前記被試験デバイスに供給するパターン発生器と、
前記被試験デバイスが、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記被試験デバイスの良否を判定する測定部と
を備え、
前記パターン発生器は、
与えられる基準信号を、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を有し、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される試験装置。
【請求項30】
動作回路と、前記動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、
前記自己診断部は、
予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、前記動作回路に供給するパターン発生器と、
前記動作回路が、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記動作回路の良否を判定する測定部と
を有し、
前記パターン発生器は、
与えられる基準信号を、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を有し、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される電子デバイス。
【請求項1】
ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路であって、
与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を備え、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記ジッタ重畳信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定されるジッタ印加回路。
【請求項2】
それぞれの前記遅延回路に、前記ジッタ重畳信号の各周期に印加すべきジッタに応じた遅延量をそれぞれ設定する遅延設定部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項3】
複数の前記遅延回路における遅延量の和は、前記基準信号のパルス幅より小さい
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項4】
前記信号生成部は、前記基準信号の1ビット毎に、前記ジッタ重畳信号の複数のビットを生成し、
複数の前記遅延回路は、前記基準信号の1ビット内で生成される前記ジッタ重畳信号の複数のビットと対応して設けられ、
前記遅延設定部は、それぞれの前記遅延回路に対して、前記ジッタ重畳信号の平均周期に、対応する前記ジッタ重畳信号のビットが有するべき周期ジッタを加算した遅延量を設定する
請求項3に記載のジッタ印加回路。
【請求項5】
前記信号生成部は、複数の前記遅延回路と一対一に対応して設けられた複数の排他的論理和回路を有し、
初段の前記排他的論理和回路は、初段の前記遅延回路の入力信号および出力信号の排他的論理和を出力し、
2段目以降の前記排他的論理和回路は、前段の前記遅延回路の出力信号と、前段の前記排他的論理和回路の出力信号との排他的論理和を出力する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項6】
前記ジッタ重畳信号に印加すべきジッタの周期に応じて、複数の前記遅延回路に与える前記基準信号のパルス幅を制御する基準周期制御部を更に備える
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項7】
前記ジッタ重畳信号が有するべき平均周期に応じて、複数の前記排他的論理和回路の出力信号のいずれかを選択して、前記ジッタ重畳信号として出力する選択部を更に備える
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項8】
前記ジッタ重畳信号の各エッジタイミングをビット境界とするデータ信号を生成して、データジッタを前記データ信号に印加するデータジッタ印加部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項9】
前記遅延設定部は、前記ジッタ重畳信号が有するべき論理値パターンにおいて、同一の論理値が連続するビット数に更に基づいて、それぞれの前記遅延回路の遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項10】
それぞれの前記遅延回路の遅延量を測定する場合に、それぞれの前記遅延回路の出力信号が、当該遅延回路の入力に帰還されるループを形成する切替部と、
前記ループを伝送する信号の周期に基づいて、前記遅延回路の遅延量を算出する遅延量算出部と
を更に備え、
前記遅延設定部は、前記遅延量算出部が算出した前記遅延量に更に基づいて、それぞれの前記遅延回路における遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項11】
前記基準信号に、複数の前記遅延回路および前記信号生成部において印加されるジッタの周波数より低周波数のジッタを印加して、初段の前記遅延回路に入力する低周波ジッタ印加部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項12】
前記ジッタ重畳信号に、複数の前記遅延回路および前記信号生成部において印加されるジッタの周波数より低周波数のジッタを印加する低周波ジッタ印加部を更に備える
請求項1に記載のジッタ印加回路。
【請求項13】
前記遅延設定部は、それぞれの前記遅延回路における遅延量を、前記基準信号の周波数より低い周波数で変化させる
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項14】
それぞれの前記排他的論理和回路の出力信号のパルス幅を順次測定するDUTY測定部を更に備え、
前記遅延設定部は、前記DUTY測定部が測定したパルス幅に基づいて、対応する前記遅延回路の遅延量を調整し、
前記DUTY測定部は、前記遅延設定部が前段の前記遅延回路の遅延量を調整した後に、次段の前記排他的論理和回路の出力信号のパルス幅を測定する
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項15】
前記遅延設定部は、前半の前記遅延回路に、予め定められた基準値より大きい遅延量を設定し、後半の前記遅延回路に、前記基準値より小さい遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項16】
前記遅延設定部は、前半の前記遅延回路に、予め定められた基準値より小さい遅延量を設定し、後半の前記遅延回路に、前記基準値より大きい遅延量を設定する
請求項2に記載のジッタ印加回路。
【請求項17】
前記遅延設定部は、前半の前記遅延回路に、前記基準値に所定の単位値を加算した遅延量を設定し、後半の前記遅延回路に、前記基準値から前記単位値を減算した遅延量を設定する
請求項15または16に記載のジッタ印加回路。
【請求項18】
前記遅延設定部は、前記基準値として、前記ジッタ重畳信号が有するべき平均周期を用いてそれぞれの前記遅延回路の遅延量を設定する
請求項17に記載のジッタ印加回路。
【請求項19】
前記信号生成部は、複数の前記遅延回路と一対一に対応して設けられた複数の排他的論理和回路を有し、
初段の前記排他的論理和回路は、初段の前記遅延回路の入力信号および出力信号の排他的論理和を出力し、
2段目以降の前記排他的論理和回路は、前段の前記遅延回路の出力信号と、前段の前記排他的論理和回路の出力信号との排他的論理和を出力し、
前記ジッタ印加回路は、
前半のそれぞれの前記遅延回路に対応して設けられ、対応する前記遅延回路の出力信号を、単位値に応じて更に遅延させる前半バッファと、
後半のそれぞれの前記排他的論理和回路に対応して設けられ、対応する前記排他的論理和回路の入力信号を、前記単位値に応じて遅延させる後半バッファと
を更に備える
請求項15に記載のジッタ印加回路。
【請求項20】
前記信号生成部は、複数の前記遅延回路と一対一に対応して設けられた複数の排他的論理和回路を有し、
初段の前記排他的論理和回路は、初段の前記遅延回路の入力信号および出力信号の排他的論理和を出力し、
2段目以降の前記排他的論理和回路は、前段の前記遅延回路の出力信号と、前段の前記排他的論理和回路の出力信号との排他的論理和を出力し、
前記ジッタ印加回路は、
前半のそれぞれの前記排他的論理和回路に対応して設けられ、対応する前記排他的論理和回路の入力信号を、単位値に応じて遅延させる前半バッファと、
後半のそれぞれの前記遅延回路に対応して設けられ、対応する前記遅延回路の出力信号を、前記単位値に応じて更に遅延させる後半バッファと
を更に備える
請求項16に記載のジッタ印加回路。
【請求項21】
前記前半バッファおよび前記後半バッファは、遅延量を設定する共通の制御データを受け取る
請求項19または20に記載のジッタ印加回路。
【請求項22】
複数の前記排他的論理和回路と一対一に対応して設けられた複数のスイッチを更に備え、
それぞれの前記スイッチは、対応する前記排他的論理和回路に、対応する前記遅延回路の出力信号を入力するか、所定の論理値を入力するかを切り替える
請求項5に記載のジッタ印加回路。
【請求項23】
被試験デバイスを試験する試験装置であって、
ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、
前記ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、前記被試験デバイスに供給する試験信号発生部と、
前記被試験デバイスが、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記被試験デバイスの良否を判定する測定部と
を備え、
前記ジッタ印加回路は、
与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を有し、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される試験装置。
【請求項24】
前記ジッタ印加回路は、前記被試験デバイスの帯域内の周波数を有するジッタが印加された第1の前記ジッタ重畳信号と、前記被試験デバイスの帯域外の周波数を有するジッタが印加された第2の前記ジッタ重畳信号とを順次生成し、
前記試験信号発生部および前記測定部は、前記第1のジッタ重畳信号に応じた第1の試験信号を前記被試験デバイスに供給し、前記第1の試験信号に応じて前記被試験デバイスが出力する第1の前記応答信号に応じて前記被試験デバイスの良否を判定し、当該判定結果が良である場合に、前記第2のジッタ重畳信号に応じた第2の前記試験信号を用いて前記被試験デバイスを試験する
請求項23に記載の試験装置。
【請求項25】
動作回路と、前記動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、
前記自己診断部は、
ジッタを有するジッタ重畳信号を生成するジッタ印加回路と、
前記ジッタ重畳信号に基づいて試験信号を生成し、前記動作回路に供給する試験信号発生部と、
前記動作回路が、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記動作回路の良否を判定する測定部と
を有し、
前記ジッタ印加回路は、
与えられる基準信号を、それぞれ予め設定される遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記ジッタ重畳信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を含み、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記基準信号の平均周期の整数倍とは異なる値に設定される電子デバイス。
【請求項26】
予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有するデータ信号を生成するパターン発生器であって、
与えられる基準信号を、前記データ信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記データ信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を備え、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記データ信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される
パターン発生器。
【請求項27】
前記データ信号が有するべき論理パターンにおいて同一の論理値が連続するビット数に基づいて、それぞれの前記遅延回路に、前記データ信号の1ビット分の時間の何倍の遅延量を設定すべきかを決定し、決定したそれぞれの遅延量に、印加すべきジッタ値を加減算した値を、それぞれの前記遅延回路に設定する遅延設定部を更に備える
請求項26に記載のパターン発生器。
【請求項28】
それぞれの前記遅延回路に、前記データ信号の1ビット分の時間に、印加すべきジッタ値を加減算した値を設定する遅延設定部と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のうち、前記信号生成部に供給すべき複数の信号を、前記データ信号が有するべき論理パターンに基づいて選択するスイッチと
を更に備える請求項26に記載のパターン発生器。
【請求項29】
被試験デバイスを試験する試験装置であって、
予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、前記被試験デバイスに供給するパターン発生器と、
前記被試験デバイスが、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記被試験デバイスの良否を判定する測定部と
を備え、
前記パターン発生器は、
与えられる基準信号を、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を有し、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される試験装置。
【請求項30】
動作回路と、前記動作回路を試験する自己診断部とを内蔵する電子デバイスであって、
前記自己診断部は、
予め定められた論理パターンを有し、且つ、ジッタを有する試験信号を生成して、前記動作回路に供給するパターン発生器と、
前記動作回路が、前記試験信号に応じて出力する応答信号を測定し、前記動作回路の良否を判定する測定部と
を有し、
前記パターン発生器は、
与えられる基準信号を、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に応じた遅延量で順次遅延させる、縦続接続された複数の遅延回路と、
それぞれの前記遅延回路が出力する信号のタイミングに応じて、前記試験信号のそれぞれのエッジを生成する信号生成部と
を有し、
少なくとも一つの前記遅延回路の遅延量が、前記試験信号の1ビット分の時間の整数倍に、印加すべきジッタ値を加減算した値に設定される電子デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2009−182967(P2009−182967A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20257(P2009−20257)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】
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