説明

ジベンゾシクロヘプタン化合物およびこれら化合物を含んでいる薬剤

本発明は、式Iの化合物に関し、式中R1,R2,R3,R4,XおよびYは明細書中に示した意味を有する。
【化1】


これらの化合物は免疫調節効果と、そしてIL−1βおよびTNF−αの放出を阻害する効果を有する。それ故それらは免疫系の障害に関連する病気の処置に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は式Iのジベンゾシクロヘプタン化合物と、式Iの化合物を含んでいる薬剤組成物に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
式中、X,YおよびR1およびR4は後で示した意味を有する。これらの化合物はインターロイキン−1β(IL−1β)および腫瘍壊死因子α(TNF−α)の阻害剤であり、炎症障害の処置に使用することができる。
【背景技術】
【0004】
IL−1βおよびTNF−αは生体を感染作因、腫瘍または組織損傷から保護する。しかしながら、自家免疫病においては骨および軟骨の破壊へ導くことがある、IL−1βおよびTNF−αの増大した生産がある。従ってIL−1βおよびTNF−αの放出を調節する医薬は炎症障害を処置するために使用することができる。
【0005】
IL−1βおよびTNF−αの放出を阻害する一群の化合物がWO98/32730に開示されている。それらは一般式:
【化2】

に相当し、そして喘息、アレルギー、リュウマチ性関節炎、脊椎関節炎、痛風、動脈硬化、慢性炎症性腸病、および乾癬およびアトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚障害の処置および予防に使用することができる。
【0006】
このグループのさらなる化合物は、WO 01/05744, WO 01/05745, WO 01/05746, WO 01/05749, WO 01/05751, WO 01/42189, WO 02/45752, WO 02/076447 and WO 03/018535 and in J. Med. Chem. 2003, 46, 5651-5662 および Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 14 (2004) 3601-3605に記載されている。これら化合物の効果は、しかしながら、完全には満足でない。
【0007】
それ故本発明は、改善された抗炎症効果を有する化合物を提供する目的に基いている。
【発明の開示】
【0008】
この目的は式Iの化合物によって達せられる。このため本発明は、式Iのジベンゾシクロヘプタン化合物、その生理学的に許容し得る塩および溶媒和物に関する。
【0009】
【化3】

式中、
環原子XおよびYの一方はCHであり、他方はCH,O,S.SO,SOまたはNR5であるか、または−X−Y−が−CH−CHか、または−CH=CH−であり;
R1はHまたはC−Cアルキルであり;
R2はH,ハロゲン、または任意にアミノ基によって置換されたC−C−アルキル−C=Cであり;
R3は、
a)−NH
b)
【化4】

c)
【化5】

d)
【化6】

e)−NH−C−C−アルキレン−NH
f)ハロゲン;
から選ばれ;
R4はH,ハロゲンまたはC−Cアルキルであり、またはR3とR4がフェニル環の隣接C原子へ結合し、これらC原子と共に両者で窒素ヘテロ原子を有する5または6員環芳香または非芳香複素環を生成し、該複素環は1または2のC−Cアルキル基で置換されるか、またはシクロヘキシル基へ縮合することができ;
R5はHまたはC−Cアルキルであり;
R6はHまたはC−Cアルキルであり
R7はH,NH,モノ−C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルミアノ、C−Cアルキル−CONH−,C−Cアルキル、NO、またはハロゲンであり;
R8はH,NH,モノ−C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、またはハロゲンであり;
R9はHまたはNHである。
【0010】
術語“アルキル”(また、ハロキルのような他の基に関して)は、メチル、エチル、n−プロピルおよびi−プロピル、n−,i−およびt−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルのような、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖および分岐アルキル基を含む。
【0011】
術語“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、特にフッ素または塩素を意味する。
【0012】
本発明の一具体例は式Iaの化合物である。
【0013】
【化7】

【0014】
式中、YはOまたはSであり、R1,R2,R3およびR4は上述の意味を有する。
【0015】
さらなる具体例は、式Iaaの化合物である。
【0016】
【化8】

【0017】
式中、YはOまたはSであり、R7およびR8は上述の意味を有する。
【0018】
本発明のさらなる具体例は、式Ibの化合物である。
【0019】
【化9】

【0020】
式中、XはOまたはSであり、R1,R2,R3およびR4は上述の意味を有する。
【0021】
さらなる具体例は、式Icの化合物である。
【0022】
【化10】

【0023】
式中、−X−Y−は−CH−CH−または−CH=CH−であり、R1,R2,R3およびR4は上述の意味を有する。
【0024】
さらなる具体例は、式Icaの化合物である。
【0025】
【化11】

【0026】
式中、−X−Y−は−CH−CH−または−CH=CH−であり、R1,R2,R7およびR8は上述の意味を有する。
【0027】
R1およびR2は好ましくはHである。
【0028】
一具体例において、R3は上述の式(b)ないし(e)から、特に(b)および(c)から選ばれる。特に好ましくは、R3は
【化12】

【化13】

【化14】

または
【化15】

から選ばれ、式中R7およびR8は上述の意味を有する。
【0029】
R4,R5およびR6は好ましくはHである。
【0030】
R7は好ましくはNH、C−Cアルキル−CONH,C−Cアルキル−NHCONH−,またはC−Cアルキル−O−CO−NHである。
【0031】
R8は好ましくはH,NH,またはハロゲンである。
【0032】
本発明はまた、式Iの化合物の生理学的に許容し得る塩を含む。この場合、塩は特に酸付加塩である。酸付加塩は、塩酸、硫酸またはリン酸のような無機酸、または酒石酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のような有機酸を使用することによって生成される。
【0033】
本発明の化合物が不斉中心を持っている場合は、本発明は、ラセミ体および個々の光学異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)に関する。
【0034】
本発明は、化合物Iの溶媒和物またはその塩、特に水和物にも関する。
【0035】
本発明の化合物は以下に示したプロセスの一つによって製造される。
【0036】
スキームI:
【化16】

(AcO=無水酢酸)
【0037】
スキームIは、例としてXがCHであり、YがSである式Iの化合物の製造を例証する。
【0038】
3−アミノチオフェノールから出発し、メルカプト基とアミノ基がアシル化された化合物(1)が、例えば無水酢酸による慣用方法のアシル化によって得られる。この化合物は、塩基、例えば水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物との部分加水分解によって化合物(2)へ変換される。化合物(2)はフタライドと反応させられ、化合物(3a)を生成する。フタライドによるチオール基のベンジル化は水素化ナトリウムのような強塩基の存在下、ジメチルホルムアミドのような極性非プロトン性溶媒中で行われる。基R1およびR2は適当な置換フタライドを用いることによって導入することができる。ハロゲン−またはアルキル−置換フタライドの製造は既知である。もしR2がC−Cアルキル−C=C−であるならば、この基はWO02/076447に記載されたプロセスによって導入することができる。
【0039】
化合物(3a)は、例えばスルホランのような極性溶媒中ポリリン酸による閉環によって化合物(4a)へ変換することができる。酸性またはアルカリ性加水分解は化合物(5a)を与える。
【0040】
オキセピン誘導体、すなわち式IにおいてXがCHであり、YがOである化合物は3−アミノフェノールから出発して類似の態様において製造することができる。
【0041】
式(5a)の化合物は、スキームIIに示すようにさらに反応させられる。
【0042】
スキームII
【化17】

【0043】
スキームIIは、例えば化合物(7a)の基R3の導入を例証する。この目的のため、化合物(5a)は、化合物(6a)を得るため極性溶媒中求核性芳香族置換において2−ニトロフルオロベンゼンと反応させられる。化合物(6a)のニトロ基は慣用方法により、例えばSn/HClでアミノ基へ還元され、化合物(7a)を生成する。
【0044】
他の基R3は類似の態様で導入できる。対応するオキセピン化合物も類似の態様で得られる。
【0045】
基R3を導入するための代替方法がスキームIIIに示されている。
【0046】
スキームIII:
【化18】

【0047】
この方法の最初のステップも、化合物(5c)を3−ニトロアニリンと反応させることによって求核性芳香族置換において基R3を導入する。生成する化合物(6e)は次に化合物(7e)へ変換される。この反応はスキームIIに関して上に記載したように実施される。他の基R3の導入も、そして対応するチエピン化合物の製造も類似の態様で行われる。
【0048】
例えば化合物(5c)のようなフッ素化合物から出発し、2−アミノベンジルアミン、エチレンジアミンまたは1,2−ジアミノシクロヘキサンのような非活性化しかし反応性アミンと反応させることによって基R3を導入することもできる。この反応は例示としてスキームIVに示されている。
【0049】
スキームIV:
【化19】

【0050】
適当なアミンとの化合物(5)の反応は、上昇温度において溶媒なしで便利に行われる。約80ないし150℃の温度が好ましく使用される。アミンは一般に過剰に、特に5〜25倍過剰に使用される。
【0051】
R3が基(b)または(c)の一つであり、そしてR7がNHである式Iの化合物は、アミノ基(R7=NH)を修飾することによって適当な誘導体へ変換することができる。このタイプの反応はスキームVに要約されている。
【0052】
スキームV:
【化20】

【0053】
これらの反応はアミノ基の慣用の誘導体化を含み、そして必要とする試薬および反応条件は当業者に良く知られている。
【0054】
式Iにおいて、R3とR4がそれらが結合する炭素原子と一緒になって窒素ヘテロ原子を有する5員または6員複素環を形成する化合物は、ヒドロキシケト化合物との反応によって製造することができる。この反応はスキームVIに示されている。
【0055】
スキームVI:
【化21】

【0056】
この反応は、上昇温度においてメタノール、エタノールまたはイソプロパノールのようなアルカノール中で行われる。反応温度は反応混合物の沸点の域にある。
【0057】
式IにおいてYがSOまたはSOである化合物は、慣用方法において、例えばm−クロロペル安息香酸のようなペル化合物を使用して、YがSである化合物を酸化することによって製造される。
【0058】
式IにおいてX−Yが−CH−CH−または−CH=CH−である化合物は、スキームVIIないしスキームIXに示したプロセスによって製造される。
【0059】
スキームVII:
【化22】

【0060】
スキームVIIは、例えば化合物(25)および(35)の出発化合物の製造を示している。化合物(25)および(35)は、2−メチル安息香酸エステル(20)から出発し、最初例えば塩化メチレンまたはクロロホルムのような不活性溶媒中、アゾイソブチロニトリルのようなフリーラジカル開始剤の存在下、N−ブロモスクシンイミド(NBS)によって(20)を臭素化することにより、慣用の態様で製造される。次に生成する化合物(21)はトリフェニルホスフィンと反応させられ、化合物(22)を与える。これはウィツティッヒ反応において3−ニトロベンズアルデヒドまたは3−フルオロベンズアルデヒドにより化合物(24)または(34)へ変換される。エステル加水分解は化合物(25)または(35)を与える。
【0061】
スキームVIII:
【化23】

【0062】
スキームVIIIは、ジベンゾシクロヘプタノン、例えば化合物(30)または(32)の製造を例証する。化合物(25)から出発し、最初ニトロ基を例えば水素/貴金属触媒またはスズ/塩酸で還元し、化合物(26)を生成させる。(26)のアミノ基は、慣用方法例えば無水酢酸でアセチル化される。スルホランのような不活性極性溶媒中、100ないし200℃の範囲の温度においてポリリン酸(PPA)を用いる、(28)への閉環が次に実施される。次にアセタミド基が酸加水分解を受け、化合物(29)を生成させ、これをニトロ置換フルオロベンゼンとの求核芳香族置換反応、およびその後のニトロ基の還元によって化合物(30)または(32)へ変換される。これらの反応はスキームIに関して上に記載したように実施される。
【0063】
スキームIX:
【化24】

【0064】
スキームVIIにおいて得た化合物(35)は、不活性極性溶媒中のポリリン酸での閉環によって化合物(36)へ変換される。化合物(36)は求核芳香族置換において2−ニトロアニリンと反応させられ、後のニトロ基の還元によって化合物(38)を得る。これらの反応はスキームIIに示した反応に類似して生起する。
【0065】
化合物(36)から出発し、スキームIVに示した反応に類似して式Iの他の化合物を製造することができる。式Iのさらなる化合物は、化合物(38)から出発し、スキームVに示したアミノ基の修飾によって製造することができる。
【0066】
XがO,S,SO,SOまたはNR5である式Iの化合物は、スキームXに示したオキセピン化合物の既知の方法によって製造される。さらなる化合物はスキームVに類似して製造することができる。
【0067】
スキームX:
【化25】

【0068】
本発明の化合物は、インビボおよびインビトロにおいて免疫調節効果と、TNFαおよびIL−βの放出を阻害する効果を示す。それ故本発明の化合物は免疫系の損傷に関連した障害の処置に適している。それらは、例えば自家免疫病、リュウマチ性関節炎、癌、痛風、敗血症ショック、骨粗しょう症、神経障害痛、HIV伝播、HIV痴呆、ウイルス性心筋炎、インスリン依存性糖尿病、歯周障害、再狭窄、脱毛症、HIV感染またはAIDSにおけるT−細胞枯渇、急性膵炎、乾癬、同種移植の拒絶反応、アレルギー関連肺炎症、動脈硬化、多発性硬化症、悪液質、アルツハイマー病、発作、黄胆、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸病(IBD)、虚血症、充血性心不全、呼吸器線維病、肝炎、膠芽腫、Guillan−Barre症候群、全身狼瘡紅斑、成人呼吸器窮迫症候群、呼吸器窮迫症候群の処置に適している。
【0069】
本発明の化合物は、単一治療活性成分として、または他の治療化性成分との混合物として投与することができる。化合物は単独で投与することもできるが、しかし一般にそれらは薬剤組成物として、すなわち活性成分と、適当な薬剤担体または希釈剤との混合物として投与される。化合物または組成物は経口的または非経口的に投与されることができ、そしてそれらは好ましくは経口投与形で投与される。
【0070】
薬剤組成物または担体または希釈剤の性格は望む投与形に依存する。経口組成物は、例えば錠剤およびカプセルの形でよく、そして結合剤(例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガントまたはポリビニルピロリドン)、充填剤(例えば乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたは酸化ケイ素)、崩壊剤(例えばデンプン)、または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)のような慣用の補助剤を含むことができる。このタイプの液状製品は慣用の添加剤、例えば懸濁剤、喬味剤、希釈剤または乳化剤を含むことができる。慣用の薬剤担体との溶液または懸濁液を非経口投与に使用することができる。
【0071】
本発明の化合物または組成物は、1日体重kgあたり約0.5mgないし100mgの投与量で哺乳類(ヒトまたは動物)へ投与することができる。それらは単一投与量または複数の投与量において与えることができる。TNF−αおよびIL−1β放出の阻害剤としての化合物の効果範囲は、Donat C.and Lanfer S.によりArch.Pharm.Med.Chem.333,Suppl.1,1−40,2000に記載された以下のテストシステムによって検討された。
【0072】
ヒト全血でのインビトロテスト方法
ヒトEDTAカリウム全血のサンプル(各自400μl)をテスト物質と混合し、COインキュベーター(5%CO,95%湿気飽和空気)中で15分間37℃においてプレインキュベートする。次にサンプルをCOインキュベーター中で37℃においてLPS(E.coli 026:B6)1μg/mlで24時間刺激する。サンプルを氷上に置くことによって反応を停止し、DPBSバッファーを加え、その後1000gにおいて15分遠心する。血漿上清中のIL−1βおよびTNF−αの量をELISAによって測定する。
【0073】
PBMCでのインビトロテスト方法
1:3希釈ヒトEDTAカリウム全血から密度勾配遠心(Histopaque−1,077)によって単核細胞を単離する。これら細胞をDPBSバッファーで2回洗い、マクロファージSFM培地に再懸濁し、1×10細胞/mlの細胞カウントへ調節する。
生成するPBMC懸濁液(各自390μlのサンプル)をテスト物質と混合し、COインキュベーター(5%CO,95%湿気飽和空気)中で15分間37℃においてインキュベートする。次にサンプルをLPS(E.coli 0.26:B6)1μg/mlとCOインキュベーター中で37℃において4時間刺激する。サンプルを氷の上に置くことによって反応を停止し、DPBSバッファーを加え、次に15880×gにおいて12分遠心する。血漿上清中のIL−1βおよびTNF−αの量をELISAによって測定する。
【0074】
キナーゼアッセイ(p38MAPキナーゼアッセイ)
マイクロタイタープレートをATF2溶液(20μg/ml)の50μlで37℃において1時間コートする。水で3回洗った後、阻害剤ありまたはなしのキナーゼ混合物(50mM tris−HCl,10mM MgCl,10mM−β−グリセロールホスフェート,10μg/ml BSA,1mM DTT,100μM ATP,100μM NaVO,10ng活性化p382)50μlをウエルに入れ、そして37℃において1時間インキュベートする。3回洗った後、血漿をリンATF−2抗体と37℃において1時間インキュベートする。再び3回洗った後、アルカリ性ホスファターゼで標識したヤギ抗ウサギIgGを37℃において1時間を加える(抗体ホスフォリル化タンパク−基質コンプレックスを保留するため)。3回洗った後、アルカリ性ホスファターゼ基質溶液(3mM 4−NPP,50mM NaHCO,50mM MgCl,100μl/ウエル)を37℃において1.5時間加える。4−ニトロフェノレートの生成をマイクロタイタープレートリーダーを用いて405nmにおいて測定する。IC50値が計算される。
【0075】
これらテストの結果を下の表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
以下の実施例は限定なしで本発明を例証する。
【実施例】
【0078】
物理化学的データは、以下の材料および方法を用いて確立された。
1.融点
Buchi融点 B−545(熱力学補正)
2.NMRスペクトロスコピー
Bruker Advance 200(200MHz)
内部標準にテトラメチルシラン(TMS),d〔ppm〕=0
3.IRスペクトロスコピー
Perkin Elmer Spectrum One(ATR Technique)
4.GC/MS
Hewlett Packard HP6890 Series GC System
Hewlett Packard HP5973 Mass Selective Petector
【0079】
方法1:
入口温度:250℃
【表2】

【0080】
方法2:
入口温度:250℃
【表3】

【0081】
方法3:
入口温度:250℃
【表4】

【0082】
方法4:
入口温度:250℃
【表5】

【0083】
方法5:
【表6】

【0084】
方法6:
【表7】

【0085】
1.一般的方法A(ここおよび以後において脚注数字は実施例末尾の参考文献番号に関する)チオフェノール化合物のベンジル化(スキームI):
脱プロトン化すべき反応剤はジメチルホルムアミド中の水素化ナトリウムの懸濁液へ少量ずつ加えられる。ガス発生が止んだ後、2番目の前駆体が加えられ、約160℃で還流される。反応混合物は冷却され、氷水添加後塩酸(20%)で酸性化され、塩化カルシウム上で乾燥される。
2.一般的方法B
ジベンゾチエピン、ジベンゾオキセピン、またはジベンゾアゼピンを与える閉環(例えばスキームI参照):
閉環すべきカルボキシル酸化合物は、約100℃へ加熱することにより保護ガス(アルゴン)の下でスルホランに溶かされる。酸が完全に溶解した時、ポリリン酸を加え、反応混合物を100℃で2時間かきまぜる。次に氷水を加え、混合物を室温で一夜かきまぜる。沈澱生成物を濾取し、塩化カルシウム上で乾燥する。
3.一般的方法C
対応するアニリン化合物を得るためニトロベンゼン化合物の還元(例えばスキームIIを参照):
還元される化合物は還流へ加熱することによってイソプロパノールに溶解される。すべての前駆体が溶解した時、濃塩酸がゆっくり加えられる。次にスズが少しずつ加えられる。スズの添加後、混合物を約1.5〜2時間還流する。冷後水酸化ナトリウム溶液(20%)で塩基性化され、酢酸エチル(EtOAc)で抽出される。合併した抽出液を蒸発し、カラムクロマトグラフィーで精製する。
4.一般的方法D
スチルベン化合物の製造(スキームVII参照):
スチルベン化合物(24)および(34)は、乾燥500ml三頸フラスコ中メタノール中のナトリウムメトキサイド溶液(MeOH中30%)の記載した量と室温(RT)において15分間攪拌し、次にホスフオニウム塩を混合物へ加えてさらに30分間攪拌し、そして混合物を50℃へ加熱後、適切なアルデヒドを加えることにより、ウイティッヒ反応で合成される。記載した時間80℃で還流後、過剰のアルコールを減圧下で留去する。残渣を水150mlと混合し、ジエチルエーテルで数回抽出する。乾燥(NaSO)後合併した有機層の濃縮は粗生成物へ導き、CHClまたはSiOを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製される。
5.一般的方法E
エステル加水分解(スキームVII参照):
ウイティッヒ反応から得た生成物は、エステルの述べた量を加熱してMeOHに溶解し、20%水酸化ナトリウム溶液を注意深く加え、約80℃において加熱することによって開裂される。アルコールを減圧除去し、残渣をCHClで数回抽出する。濃塩酸で水相を酸性化することにより、沈澱の形で粗生成物が得られる。この沈澱はジエチルエーテルで消化され、濾液は減圧下乾固される。
6.一般的方法F
ジベンゾシクロヘプタノン化合物を与える閉環(スキームVIIIを見よ):
ケトン(28)および(36)は、乾燥500ml三頸フラスコ中でカルボキシル酸の述べた量をアルゴン雰囲気下スルホランに加熱溶解し、次にポリリン酸を加え、110℃で還流することによって合成される。氷水で加水分解後室温でかきまぜ、この間沈澱する粗生成物を濾取し、水で洗って精製する。
7.一般的方法G12
3−フルオロニトロベンゼンによるジベンゾシクロヘプタノン化合物によって得られるニトロ化合物の還元(スキームVIII参照):
化合物(29)および(36)の置換反応からのニトロ化合物は、100ml丸底フラスコ中の濾過残渣をイソプロパノールで洗い、室温でかきまぜながら濃HClをゆっくり加えることによって還元される。100℃へ加熱した後、スズ粉末を加え、2時間還流する。冷却し、20%NaOHで塩基性化し、EtOAcでくり返して抽出する。合併した有機相を乾燥(NaSO)し、減圧下濃縮する。
8.一般的方法H
ニトロ化合物の還元・:
実施例11のニトロ化合物(7f)は、例えば、還元される化合物をエタノールへ溶かし、塩化スズ(II)2水和物を加えて70℃において約2時間攪拌することによって還元される。室温へ冷却後、混合物へ氷水を加え、水酸化ナトリウム溶液で塩基性化する。水相を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗い、溶媒を除去する。
【0086】
A.Y=OまたはSである式Iの化合物の製造
実施例1
3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン・HCl(5a)
a)2−(3−アセタミドフェニルチオメチル)安息香酸(3a)
(1)3−アセチルスルファニルアセタニリド(1)
この化合物は文献(3)に記載されたように製造された。
(2)3−アセタミドチオフェノール(2)
20.0g(95.6mmol)の1,水酸化ナトリウム溶液(10%)140ml,およびエタノール60mlを還流下50℃で約20分攪拌する。冷却した混合物を次に20%塩酸で酸性化する。生成物は粘稠な塊として沈澱し、ジエチルエーテルで3回抽出する。エーテルを除去し、生成物を得る。GC(方法1)12.0分
MS m/z (%): 167 (52.5), 125 (100.0), 97 (19.9), 93 (13.2), 81 (30.2), 63 (10.5)
(3)2−(3−アセタミドフェニルチオメチル)安息香酸(3a)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)4.05g(92.8mmol)、2の15.0g(89.7mmol)、およびフタライド12.15g(90.6mmol)がジメチルホルムアミド90mlと共に使用される。反応時間は約5時間である。後処理は氷水180mlで行われる。
収量:23.7g(87.6%):融点161−163℃
【0087】

【0088】
b)3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン・HCl(5a)
(1)3−アセタミド−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン(4a)
一般的方法Bにより、3aの10.0g(33.2mmol)、スルホラン50ml、およびポリリン酸(PPA)100ml(206g)が使用される。3−アセタミド−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オンと、3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オンとの混合物が得られるが、分離または精製されない。
【0089】

【0090】
(2)3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン・HCl(5a)
前の段階からの物質混合物(4a)がメタノール約120ml中に加熱溶解される。次に濃塩酸30mlが加えられ、混合物が約2時間還流され、次に減圧濃縮される。残渣へ10%塩酸を加え、混合物を攪拌し、生成物が結晶化するのを許容する。濾過した生成物を塩化カルシウム上で乾燥する。
収量:8.0g(4aを基にして86.7%):融点204−206℃
【0091】

【0092】
実施例2
3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン・HCl(5b)
a)2−(3−アセタミドフェノキシメチル)安息香酸(3b)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)4.56g(105mmol)、3−アセタミドフェノール15.0g(99.2mmol)、およびフタライド13.5g(101mmol)がジメチルホルムアミド90mlと共に使用される。反応時間は約5時間である。後処理は氷水約180mlで行われる。
【0093】

【0094】
b)3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン・HCl(5b)
(1)3−アセタミド−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(4b)
一般的方法Bにより、10.0g(35.1mmol)の3b、スルホラン50mlおよびポリリン酸100ml(206g)が使用される。3−アセタミド−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オンと、3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オンとの混合物が得られるが、分離または精製されない。
【0095】

【0096】
(2)3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン・HCl(5b)
保護基は物質混合物4bから5aについて記載した方法によって除去される。
収量:5.0g(4bに基づいて54.5%):融点210℃
【0097】

【0098】
実施例3
3−フルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(5c)
a)2−(3−フルオロフェノキシメチル)安息香酸(3c)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)2.30g(52.7mmol)、3−フルオロフェノール5.61g(50.0mmol)、およびフタライド6.80g(50.7mmol)がジメチルホルムアミド50mlと共に使用される。反応時間は約5時間である。後処理は約90mlの氷水で実施される。
収量:4.37g(48.5%);融点90−92℃
【0099】

【0100】
b)3−フルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(5c)
一般的方法Bにより、3cの5.00g(20.3mmol)、スルホラン25ml、およびポリリン酸48.5ml(100g)が使用される。混合物は約150mlの氷水で後処理される。
【0101】

【0102】
実施例4
3−(2−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7a)
(1)3−(2−ニトロアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン(6a)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.45g(10.3mmol)、5aの1.00g(3.60mmol)、および2−フルオロニトロベンゼン0.51g(3.60mmol)がジメチルホルムアミド7.5mlと共に使用される。混合物は一夜(約15時間)還流される。後処理は氷水約50mlで実施される。このようにして得られる赤茶色の粉末はオレンジ色を粉末を与えるようにカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
収量:570mg(43.7%);融点186−188℃
【0103】

【0104】
(2)3−(2−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン(7a)
一般的方法Cにより、6aの0.50g(1.38mmol)と、イソプロパノール5mlと、濃塩酸5mlと、そしてスズ1.2gとが使用される。
収量:320mg(43.4%);融点195℃
【0105】

【0106】
実施例5
3−(2−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7b)
(1)3−(2−ニトロアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(6b)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.52g(12.0mmol)、5bの1.00g(3.82mmol)、および2−フルオロニトロベンゼン0.54g(3.82mmol)とが、ジメチルホルムアミド8mlと共に使用される。混合物は一夜(約15時間)還流される。後処理は約50mlの氷水で行われる。
収量:1.32g(100%)
【0107】

【0108】
(2)3−(2−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7b)
一般的方法Cにより、7bの1.00g(2.89mmol)がイソプロパノール15mlと、濃塩酸15mlと、スズ2.5gと共に使用される。
代って一般的方法Hにより、6bの0.75g(2.17mmol)がエタノール4mlに溶かされ、2.45g(10.9mmol)の塩化スズ(II)2水塩が加えられ、そして混合物が70℃で約2時間攪拌される。室温へ冷却後、混合物へ氷水を加え、水酸化ナトリウム溶液で塩基性化する。水相を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗い、そして溶液を濃縮する。
収量:135mg(15%);融点122−124℃
【0109】

【0110】
実施例6
3−(4−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7c)
(1)3−(4−ニトロアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(6c)
一般法方Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.52g(12.0mmol)、5bの1.00g(3.82mmol)、および4−フルオロニトロベンゼン0.54g(3.82mmol)とがジメチルホルムアミド8mlと共に使用される。混合物は一夜(約15時間)還流される。後処理は約50mlの氷水で実施される。
収量:1.32%(100%)
【0111】

【0112】
(2)3−(4−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7c)
一般法方Cにより、イソプロパノール15mlと、濃塩酸15mlと、そしてスズ2.5gが6cの1.00g(2.89mmol)と共に使用される。
収量:186mg(20.3%);融点121−133℃(分解)
【0113】

【0114】
実施例7
3−(2−フルオロ−4−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7d)
(1)3−(2−フルオロ−4−ニトロ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(6d)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.52g(12.0mmol)、5bの1.00g(3.82mmol)および3−フルオロニトロベンゼン0.54g(3.82mmol)がジメチルホルムアミド8mlと共に使用される。混合物は一夜(約15時間)還流される。後処理は氷水約50mlで実施される。
収量:0.80g(57.5%)
【0115】

【0116】
(2)3−(2−フルオロ−4−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7d)
一般的方法Cにより、6dの0.80g(2.20mmol)がイソプロパノール10mlと、濃塩酸10mlと、スズ2.0gと共に使用される。
収量:150mg(20.4%);融点123−125℃
【0117】

【0118】
実施例8
2,11,12,13,14−ペンタヒドロ−10H−(ベンゾ〔e〕オキセピン)〔2,3−c〕カルバゾール−7−オン(8a)
5bの1.00g(3.82mmol)と、2−ヒドロキシシクロヘキサノン0.44g(3.82mmol)とがエタノールに溶かされ、約16時間還流される。反応終了後、氷水が添加され、生成する沈殿が濾取され、精製される。
収量:1.12g(96.6%);融点226−228℃
【0119】

【0120】
実施例9
2−ヒドロ−11,12−ジメチル−10H−(ベンゾ〔e〕オキセピン)〔2,3−e〕インドール−7−オン(8b)
5bの1.00g(3.82mmol)と、3−ヒドロキシブタン−2−オン0.34g(3.82mmol)とがエタノール15mlに溶解され、一夜(約16時間)還流される。氷水が混合物へ加えられ、生成する沈澱が濾取される。メタノールから再結晶することにより、黄緑色粉末が得られる。
収量:0.11g(10.4%);融点160℃
【0121】

【0122】
実施例10
3−(3−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7e)
(1)3−(3−ニトロアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(6e)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.22gと3−ニトロアニリン0.61g(4.44mmol)と、5cの1.00g(4.38mmol)とがジメチルホルムアミド5mlと共に使用される。混合物は一夜(約15時間)還流される。後処理は氷水約50mlで実施される。
収量:1.40g(92.3%)
【0123】

【0124】
(2)3−(3−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7e)
一般的方法Cにより、6eの1.00g(2.89mmol)がイソプロパノール15mlと、濃塩酸15mlと、スズ2.5gと共に使用される。
収量:71mg(7.8%);融点〜150℃(分解)
【0125】

【0126】
実施例11
3−(2,4−ジアミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7f)
(1)3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(6f)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.10g(2.30mmol)と、2,4−ジニトロアニリン0.40g(2.21mmol)と、5cの0.50g(2.19mmol)とがジメチルホルムアミド5mlと共に使用される。混合物は一夜(約15時間)還流される。後処理は氷水約50mlと、HClによる酸性化で実施される。濾過した沈澱はカラムクロマトグラフィーにより、シリカゲルカラム上移動相としてジクロロメタンを使用して精製される。この方法で黄色生成物が得られる。
収量:720mg(84.0%)
【0127】

【0128】
(2)3−(2,4−ジアミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(7f)
一般的方法Hにより、6fの0.72g(1.84mmol)がエタノール4mlと、塩化スズ(II)2水塩4.00g(18.4mmol)と共に使用される。生成する粗生成物はRP18シリカゲル上でアセトニトリル/水6:4移動相を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製される。
収量:30mg(4.9%)
【0129】

【0130】
実施例12
3−(2−アミノベンジルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(9)
2−アミノベンジルアミン2.27g(18.6mmol)を加熱により溶融する。溶融物へ5cの0.25g(1.10mmol)を少しずつ加える。添加終了後、混合物を4時間攪拌する。混合物へ氷水を加え、ジクロロメタンで抽出する。このようにして得られる生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄橙色粉末を得る。
収量:160mg(44.0%);融点72℃
【0131】

【0132】
実施例13
3−(2−アミノエチルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(10)
5cの1.00g(4.38mmol)を少しずつ約120℃へ加熱したエチレンジアミン4.50g(74.9mmol)へ加える。添加終了後、混合物を4時間還流する。混合物へ氷水を加え、生成する沈澱を濾取し、メタノール/水から再結晶する。淡褐色粉末が得られる。
収量:660mg(56.2%);融点113−115℃
【0133】

【0134】
実施例14
3−(シス−2−アミノシクロヘキシルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(11a)
10について記載した方法により、シス−1,2−ジアミノシクロヘキサン1.94g(17.0mmol)と、5cの0.23g(1.00mmol)を使用し、暗褐色粉末を得る。
収量:140mg(43.4%);融点116−118℃
【0135】

【0136】
実施例15
3−〔(1R)−トランス−2−アミノシクロヘキシルアミノ〕−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(11b)
9について記載した方法により、(1R)−トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン1.94g(17.0mmol)と、5cの0.23g(1.00mmol)を反応させ、赤褐色粉末が得られる。
収量:210mg(65.1%);融点114−116℃
【0137】

【0138】
実施例16
3−((1S)−トランス−2−アミノシクロヘキシルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(11c)
9について記載した方法により、1(S)−トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン1.94g(17.0mmol)と、5cの0.23g(1.00mmol)とを反応させる。赤褐色粉末が得られる。
収量:150mg(46.5%);融点115−117℃
【0139】

【0140】
実施例17
3−(2−アセタミドアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(12)
7bの0.50g(1.58mmol)と、無水酢酸1mlと、ピリジン1mlとを100℃で約8時間還流する。次に混合物へ氷水を加え、生成する沈澱を濾取する。エタノール/水からの再結晶によって淡褐色粉末が得られる。
収量:280mg(49.4%);融点168℃
【0141】

【0142】
実施例18
1−エチル−3−〔2−(11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−3−イルアミノ)フェニル〕尿素(13)
7bの0.50g(1.58mmol)と、エチルイソシアネート0.12g(1.72mmol)とをジクロロメタン6mlに溶解し、室温で約5時間攪拌する。混合物を蒸発し、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、メタノールから再結晶する。この方法によって赤褐色生成物が得られる。
【0143】

【0144】
実施例19
エチル〔2−(11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−3−イルアミノ)フェニル〕カルバメート(14)
7bの0.50g(1.58mmol)と、エチルクロロホルメート0.17g(1.58mmol)とをピンジン0.15gと室温において約8時間攪拌する。混合物へ氷水を加え、生成する沈澱を濾取する。橙赤色生成物がカラムクロマトグラフィーによる精製によって得られる。
収量:150mg(24.4%);融点125℃
【0145】

【0146】
実施例20
3−(2−メチルアミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(15)
7bの0.15g(0.47mmol)をDMSO20mlに溶解する。ヨウ化メチル0.14g(0.98mmol)と炭酸カリウム3.78g(27.4mmol)を溶液へ加える。混合物を100℃で3時間かきまぜる。室温へ冷却後、氷水を加え、生成する沈澱を濾取する。このようにして得た粗生成物をRP18シリカゲル上アセトニトリル/水6+4を使用してHPLCにより精製し、黄色の生成物を得る。
【0147】

【0148】
実施例21
3−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(16a)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.10g(2.30mmol)と、2,4−ジフルオロアニリン0.29g(2.21mmol)と、5cの0.50g(2.19mmol)がジメチルホルムアミド5mlと共に使用される。混合物を約8時間還流する。沈澱を濾取し、RP18シリカゲルカラム上アセトニトリル/水6+4を移動相として使用してMPLCによって精製する。
収量:50mg(6.8%)
【0149】

【0150】
実施例22
3−(2,4−ジクロロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(16b)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.05g(1.15mmol)と、2,4−ジクロロアニリン0.18g(1.11mmol)と、5cの0.25g(1.10mmol)がジメチルホルムアミド2.5mlと共に使用される。混合物を一夜還流する。後処理は酸性化することなく約30mlの氷水で実施される。沈澱を濾取し、RP18シリカゲルカラム上で移動相としてアセトニトリルを使用してMPLCによって精製される。
【0151】

【0152】
実施例23
3−(2,4−ジブロモフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(16c)
一般的方法Aにより、水素化ナトリウム(55%)0.11g(2.29mmol)と、2,4−ジブロモアニリン0.55g(2.21mmol)と、5cの0.50g(2.19mmol)がジメチルホルムアミド5mlと共に使用される。混合物を約8時間還流する。後処理は、酸性化なしで約30mlの氷水で行われる。沈澱を濾取し、RP18シリカゲルカラム上アセトニトリルを移動相として使用してMPLCによって精製し、黄色の生成物を得る。
収量:80mg(8.0%);融点157.2−159.2℃
【0153】

【0154】
実施例24
3−(4−フルオロ−2−ニトロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン
a)2−(3−フルオロフェノキシ)メチル安息香酸
水素化ナトリウム(55%)2.30g(52.7mmol)をジメチルホルムアミド50mlに懸濁する。次に3−フルオロフェノール5.61g(50.0mmol)を加える。ガスの発生が止んだ後、フタライド6.80g(50.7mmol)を加え、混合物を約160℃で約5時間還流する。反応混合物を冷却した後、氷水90mlを加え、20%塩酸で酸性化する。生成した沈澱を濾取し、10%塩酸で洗い、塩化カルシウム上で乾燥する。
収量:4.37g(48.5%);融点90−92℃
【0155】

【0156】
b)3−フルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン
2−(3−フルオロフェノキシ)メチル安息香酸5.00g(20.3mmol)をスルホラン25mlへ約100℃へ加熱することによってアルゴン下で溶解する。次にポリリン酸48.5ml(100g)を加え、混合物を100℃で2時間攪拌する。反応終了後、氷水約150mlを加え、混合物を室温で一夜攪拌する。沈澱生成物を濾取し、塩化カルシウム上で乾燥する。
収量:2.30g(49.7%);融点79−81℃
【0157】

【0158】
c)3−(4−フルオロ−2−ニトロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン
a)に記載した方法により、水素化ナトリウム(55%)0.10g(2.30mmol)と、2−フルオロ−4−ニトロアニリン0.34g(2.21mmol)と、そして3−フルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン0.50g(2.19mmol)がジメチルホルムアミド4mlと共に使用される。混合物を約80℃で約8時間還流する。後処理は酸性化することなく氷水約50mlで行われる。粗生成物を酢酸エチルで抽出し、溶媒をロータリエバポレータで除去し、残渣をエタノールから再結晶する。
収量:320mg(40.1%)
【0159】

【0160】
d)3−(2−アミノ−4−フルオロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン
3−(4−フルオロ−2−ニトロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン0.25g(0.69mmol)をエタノール5mlに溶かし、塩化スズ(III)2水塩0.78g(3.44mmol)を加え、混合物を70℃において約2時間攪拌する。反応混合物を室温へ冷却した後、氷水を加え、そして水酸化ナトリウムでアルカリ性化する。水相を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル相を飽和食塩水で洗い、溶媒を除去する。生成する粗生成物をRP18シリカゲルカラム上で、最初アセトニトリル/水6+4を、次に純アセトニトリルを移動相として使用し、MPLCによって精製する。
収量:60mg(26.0%);融点182.6℃
【0161】

【0162】
B.X−YがCH−CHまたはCH=CHである式Iの化合物の製造
実施例25
2−(2−アミノフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オン(30)
a)2−ブロモメチル安息香酸メチル(21)
o−トルエン酸メチル60.0g(0.4mol)を乾燥した500ml三頸フラスコ中でCHCl375ml中攪拌することによって溶解し、N−ブロモスクシンイミド75.0g(0.42mol)とアゾイソブチロニトリル0.75gを加える。混合物を還流コンデンサーで約65℃へ反応が開始するまで注意深く加熱し、次に熱源を除去し、反応が鎮静化した後、混合物を70℃で5時間還流する。室温へ冷却する時、スクシンイミドが沈澱し、それを濾去する。濾液の濃縮により粗生成物が得られ、さらに精製することなく使用する。
【0163】

【0164】
b)(2−メトキシカルボニルベンジル)トリフェニルホスフォニウムブロマイド(22)
2−ブロモメチル安息香酸メチル40.0g(0.175mol)を乾燥500ml丸底フラスコ中でアセトン300mlに溶解し、室温で15分間攪拌する。トリフェニルホスフィン52.0g(0.2mol)を加え、約60℃で5時間還流する。標題化合物が冷時沈殿し、そして濾取し、アセトンで洗った後減圧乾燥する。
収量:51.9g(60.5%);融点234℃で分解
【0165】

【0166】
c)メチル(E/Z)−3’−ニトロスチルベン−2−カルボキシレート(24)
スチルベン化合物(24)は、メタノール280ml中のナトリウムメトキサイド溶液(MeOH中30%)と、ホスフォニウム塩(22)40.0g(81.4mmol)と、3−ニトロベンズアルデヒド(23)12.8g(84.7mmol)を使用することにより、一般的方法Dによって合成される。還流時間6時間、水に取った後黒味がかった赤色オイル残渣を3×100mlのEtOで抽出。
収量:18.0g(78.1%);融点66.5℃
【0167】

【0168】
d)(E/Z)−3’−ニトロスチルベン−2−カルボキシル酸(25)
エステル(24)は、一般的方法Eにより、エステル16.0g(56.5mmol)と、MeOH150mlと、20%水酸化ナトリウム溶液75mlを使用して開裂される。還流時間5.5時間、CHCl3×100mlで抽出。粗生成物は黄色沈澱の形で濃HClで沈澱させ、濾取される。精製はジエチルエーテルでの消化後、濾液の濃縮乾固によって行われる。
収量:12.2g(80.0%);融点164−166℃
【0169】

【0170】
e)2−〔2−(3−アミノフェニル)エチル安息香酸(26)
ニトロ化合物(25)10.0g(37.1mmol)を水素化反応容器中でEtOAc150mlにゆっくり溶解し、Pd/C(10%)1.0gを入れてかきまぜ、容器を閉じ、Hで3回フラッシュした後4バールのコンスタント圧力を適用する。10時間後標題化合物26がPd/Cの濾去および溶媒の留去によって単離される。
融点114℃
【0171】

【0172】
f)2−〔2−(3−アセタミドフェニル)エチル〕安息香酸(27)
ステージ(e)で得られた残渣を無水酢酸25mlと混合し、室温で15時間攪拌する。混合物へ氷水200mlを加え、EtOAc200mlでくり返し抽出する。合併した有機相を約50mlへ濃縮し、水2×50mlで再抽出し、溶媒を減圧除去する。黄色オイルが残存し、少量のMeOHに取り、氷水で沈澱させ、濾過することによって生成物を単離する。
収量:2ステージを通じて8.3g(78.9%);融点145−148℃
【0173】

【0174】
g)2−(アセタミド)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オン(28)
一般的方法Fにより、カルボキシル酸(27)をスルホラン40mlに溶解し、PPA100gを加え、反応混合物を110℃で5時間還流する。氷水250mlでの分解は室温で17時間攪拌する間に粗生成物を沈澱へ導き、そして生成物を濾取し、HOで洗うことによって精製される。
収量:2.35g(69.7%);融点152℃
【0175】

【0176】
h)2−アミノ−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オン・HCl8,9(29)
アセタミド(28)2.0g(7.54mmol)を20%HCl60mlに懸濁し、約100℃において4時間還流する。冷後生成する沈澱を濾取し、生成物砂色粉末として残る。
収量:1.8g(91.9%);融点219℃
【0177】

【0178】
i)2−(2−アミノフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オン(30)
還流冷却器、乾燥チューブおよび栓を備えた乾燥した100ml三頸フラスコ中でNaH(55〜60%)0.52gをTHF12mlに懸濁し、そしてスベロン(29)1.0g(3.85mmol)を加える。ガス発生が止んだ後、2−フルオロニトロベンゼン0.54g(3.85mmol)を滴下し、混合物を約150℃において17.5時間還流する。次に氷水75mlで加水分解し、生成する沈澱を濾過する。このものは中間体2−(2−ニトロフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オンよりなる。
このニトロ化合物の還元は、i−PrOH30ml、濃塩酸15mlおよびスズ粉末500mgを使用して一般的方法Gによって行われる。塩基性化後EtOAc2×75mlで抽出する。精製はCHCl/EtOH(95+5)によるSiOのカラムクロマトグラフィーと、その後MeOH/HOからの再結晶によって行われる。
収量:0.13g(10.7%);融点153℃
【0179】

【0180】
実施例26
2−(4−アミノフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オン(32)
還流冷却器、乾燥チューブおよび栓を備えた乾燥100ml三頸フラスコ中で、NaH(55〜60%)0.39gをTHF18mlに懸濁し、そしてスベロン(29)0.75g(2.85mmol)を加える。ガス発生が止んだ後、4−フルオロニトロベンゼン0.40g(2.85mmol)を滴下し、混合物を約150℃で17時間還流する。氷水75mlで加水分解し、生成する沈澱を濾過する。このものは中間体2−(4−ニトロフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オンよりなる。
このニトロ化合物の還元は、i−PrOH 10ml、濃塩酸5mlおよびスズ粉末200mgを使用して一般的方法Gによって行われる。塩基性化後EtOAc2×50mlで抽出する。精製はSiO上CHCl/EtOH(95+5)での、次のSiO上EtOでのカラムクロマトグラフィーによって行われる。
収量:0.05g(5.5%);融点217℃
【0181】

【0182】
実施例27
2−(2−アミノフェニルアミノ)ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5−オン(38)
a)メチル(E/Z)−3’−フルオロスチルベン−2−カルボキシレート(34)
化合物(34)は、メタノール225ml中のナトリウムメトキサイド(MeOH中30%)13.0gと、ホスフォニウム塩(22)40.0g(81.4mmol)と、そして3−フルオロベンズアルデヒド11.2g(90.22mmol)を使用し、一般的方法Dによって合成される。還流7時間、水に採取した後黄白色オイル状残渣をEtO3×150mlで抽出。
収量:16.5g(79.1%)
【0183】

【0184】
b)3’−フルオロスチルベン−2−カルボキシル酸11(35)
エステル(34)は、エステル13.0g(50.7mmol)と、MeOH70mlと、そして20%水酸化ナトリウム溶液を使用し、一般的方法Eによって開裂される。還流時間6時間、CHCl 2×75mlで抽出。粗生成物は黄色オイルの形で濃HClで沈澱し、これは攪拌により徐々に沈澱に固化し、濾取される。精製はEtOでの消化および濾液の濃縮固化によって行われる。
収量:6.5g(52.9%);融点113℃
【0185】

【0186】
c)2−フルオロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5−オン10(36)
一般的方法Fにより、カルボキシル酸(35)6.5g(26.8mmol)をスルホラン65mlに溶解する。PPA130gを加え、混合物を110℃で6時間還流する。氷水250mlでの加水分解は室温で16時間攪拌する間に粗生成物の沈澱へ導く。生成物を濾取し、HOで洗う。精製はSiO上CHClでのカラムクロマトグラフィーによって行われる。
収量:2.45g(40.7%);融点120℃
【0187】

【0188】
d)2−(2−アミノフェニルアミノ)ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5−オン(38)
還流冷却器、乾燥チューブおよび栓を備えた乾燥100ml三頸フラスコ中で、NaH(55〜60%)150mgをジメチルホルムアミド6mlに懸濁し、2−ニトロアニリン(37)450mg(3.25mmol)を加える。ガス発生が止んだ後、スベレノン(36)の700mg(3.12mmol)を滴下し、混合物を約150℃において24時間還流する。次に氷水75mlで加水分解し、生成する沈澱を濾過する。このものは中間体2−(2−ニトロフェニルアミノ)ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5−オンよりなる。
ニトロ化合物(濾過残渣約0.4g)は、i−PrOH 20mlと、濃HCl 10mlと、そしてスズ粉末400mgを使用し、一般的方法Gによって還元される。次に塩基性化し、EtOAc 2×75mlで抽出する。精製はSiO上CHCl/EtOH(95+5)でのカラムクロマトグラフィーと、その後のMeOH/HOからの再結晶によって行われる。
収量:0.07g(7.2%);融点232℃
【0189】

【0190】
実施例28
2−(2−メトキシフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5−オン
2−アセタミドジベンゾ〔a,d〕スベロン1.5g(5.65mmol)と、2−ブロモアニソール17.0g(90.9mmol)と、KCO 0.90g(6.5mmol)と、KI2へら先分と、そして銅粉2へら先分とを210℃(油浴温度)で溶融し、15時間還流する。冷却後Fluorisilを通して濾過し、CHClで洗う。精製はSiO上CHCl→CHCl/EtOH95+5でのカラムクロマトグラフィーによって行われる。
収量:0.3g(16.3%);融点52.5℃
【0191】

【0192】
C.X=OおよびY=CHである式Iの化合物の製造
実施例29
8−(2−アミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(45)
a)2−ブロモメチル−4−ニトロベンゾニトリル(39)
2−メチル−4−ニトロベンゾニトリル3.00g(18.52mmol)を約70℃において乾燥テトラクロロメタン20mlに溶解する。次にN−ブロモスクシンイミド3.30g(18.97mmol)と、少量のアゾビスイソブチロニトリルと、元素臭素を加える。500Wスポットライトで照射しながら混合物を約5時間還流する。反応終了後、表面に沈着したスクシンイミドを室温へ冷却後濾過により除去する。濾液を蒸発し、黄橙色オイルとして生成物を得る。
収量:3.23g(50%)
【0193】

【0194】
b)4−ニトロ−2−フェノキシメチルベンゾニトリル(40)
フェノール2.85g(30.32mmol)をアセトン10mlに溶解し、炭酸カリウム4.20g(30.43mmol)と、2−ブロモメチル−4−ニトロベンゾニトリル7.31g(30.35mmol)を加える。反応混合物を約70℃で5時間還流し、次に溶媒を除去する。残渣を酢酸エチルに取り、20%塩酸で抽出し、有機相の溶媒を除去する。生成する暗褐色の生成物をアセトニトリル/水6+4でのRP−18MPLCカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色生成物を得る。
収量:3.23g(41.9%);融点112℃
【0195】

【0196】
c)4−ニトロ−2−フェノキシメチル安息香酸(41)
4−ニトロ−2−フェノキシメチルベンゾニトリル0.5g(1.97mmol)を約80℃においてエタノール25mlに溶解し、還流まで加熱する。次にKOH7.00gを加え、反応混合物を約4時間再び還流する。冷却し、20%塩酸で酸性化し、生成する沈澱を濾取し、乾燥して生成物を得る。
収量:0.41g(76.2%);融点154℃
【0197】

【0198】
d)8−ニトロ−6H−ジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(42)
4−ニトロ−2−フェノキシメチル安息香酸0.60g(2.19mmol)をアルゴン下スルホラン10mlへ約100℃へ加熱することによって溶解する。酸が完全に溶解後、ポリリン酸15ml(30.0g)を加え、混合物を100℃で約2時間還流する。次に氷水を加え、沈澱した生成物を濾取し、エタノールから再結晶する。
収量:0.54g(96.6%)
【0199】

【0200】
e)8−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(43)
8−ニトロ−6H−ジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン1.00g(3.92mmol)をエタノール10mlに溶解し、塩化スズ(II)2水塩2.00g(8.85mmol)を加え、混合物を70℃において約2時間攪拌する。混合物を室温へ冷却後、氷水を加え、水酸化ナトリウム溶液でアルカリ性とする。水相を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル相を蒸発し、生成物を得る。
収量:0.70g(79.3%);融点177℃
【0201】

【0202】
f)8−(2−ニトロフェニルアミノ)−6H−ジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(44)
ステージe)からの生成物0.30gを少しずつジメチルホルムアミド10ml中の水素化ナトリウム0.10g(4.17mmol)の懸濁液へ加える。ガス発生が止んだ後、2−フルオロニトロベンゼン0.20g(1.42mmol)を加え、反応混合物を氷浴上で約1時間攪拌する。次に反応混合物へ氷水を加え、生成する沈澱を濾過し、粗生成物をメタノールさら再結晶する。
収量:0.30g(65.1%)
【0203】

【0204】
g)8−(2−アミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン(45)
8−ニトロ−6H−ジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン0.35g(3.92mmol)と、塩化スズ(II)2水塩2.00g(8.85mmol)とを、エタノール10mlを用いてステージe)に記載した方法によって反応させ、生成物を得る。
収量:0.16g(50.0%)
【0205】

【0206】
参考文献





【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのジベンゾシクロヘプタン化合物、その生理学的に許容し得る塩および溶媒和物:
【化1】

式中、
環原子XおよびYの一方はCHであり、他方はCH,O,S.SO,SOまたはNR5であるか、または−X−Y−が−CH−CHか、または−CH=CH−であり;
R1はHまたはC−Cアルキルであり;
R2はH,ハロゲン、または任意にアミノ基によって置換されたC−C−アルキル−C=Cであり;
R3は、
a)−NH
b)
【化2】

c)
【化3】

d)
【化4】

e)−NH−C−C−アルキレン−NH
f)ハロゲン;
から選ばれ;
R4はH,ハロゲンまたはC−Cアルキルであり、またはR3とR4がフェニル環の隣接C原子へ結合し、これらC原子と共に両者で窒素ヘテロ原子を有する5または6員環芳香または非芳香複素環を生成し、該複素環は1または2のC−Cアルキル基で置換されるか、またはシクロヘキシル基へ縮合することができ;
R5はHまたはC−Cアルキルであり;
R6はHまたはC−Cアルキルであり
R7はH,NH,モノ−C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルミアノ、C−Cアルキル−CONH−,C−Cアルキル、NO、またはハロゲンであり;
R8はH,NH,モノ−C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、またはハロゲンであり;
R9はHまたはNHである。
【請求項2】
式Iaの請求項1の化合物:
【化5】

式中、YはOまたはSであり、R1,R2,R3およびR4は請求項1で定義した意味を有する。
【請求項3】
式Ibの請求項1の化合物:
【化6】

式中、XはOまたはSであり、R1,R2,R3およびR4は請求項1で定義した意味を有する。
【請求項4】
式Icの請求項1の化合物:
【化7】

式中、−X−Y−は−CHCH−か−CH=CH−であり、そしてR1,R2,R3およびR4は請求項1で定義した意味を有する。
【請求項5】
R1およびR2が水素である、請求項1ないし4のいずれかの化合物。
【請求項6】
R3が
b)
【化2】

または
c)
【化3】

から選ばれる、請求項1ないし5のいずれかの化合物。
【請求項7】
R3が、
【化8】

【化9】

【化10】

または
【化11】

から選ばれる請求項6の化合物。
【請求項8】
R4がHである、請求項1なしい7のいずれかの化合物。
【請求項9】
R5およびR6がHである、請求項1ないし8のいずれかの化合物。
【請求項10】
R7がNH,C−Cアルキル−CONH,C−Cアルキル−NHCONH,またはC−Cアルキル−O−CO−NH−である、請求項1ないし9のいずれかの化合物。
【請求項11】
式Iaaの請求項2の化合物:
【化12】

式中、Yは請求項2に示した意味を有し、R7は請求項1または10に示した意味を有し、R8は請求項1に示した意味を有する。
【請求項12】
式Icaの請求項4の化合物:
【化13】

式中、−X−Y−は−CH−CH−またはCH=CH−であり、R7は請求項1または10に示した意味を有し、R8は請求項1に示した意味を有する。
【請求項13】
下記化合物のいずれかである請求項1の化合物:
(1)3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン、
(2)3−アミノ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(3)3−フロロ−−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(4)3−(2−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン、
(5)3−(2−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(6)3−(4−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(7)3−(2−フロロ−4−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(8)2,11,12,13,14−ペンタヒドロ−10H−(ベンゾ〔e〕オキセピン)〔2,3−c〕カルバゾール−7−オン、
(9)2−ヒドロ−11,12−ジメチル−10H−(ベンゾ〔e〕オキセピン)インドール−7−オン、
(10)3−(3−アミノアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(11)3−(2,4−ジアミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(12)3−(2−アミノベンジルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(13)3−(2−アミノエチルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(14)3−(シス−2−アミノシクロヘキシルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(15)3−((1R)−トランス−2−アミノシクロヘキシルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(16)3−((1S)−トランス−2−アミノシクロヘキシルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(17)3−(2−アセタミドアニリノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(18)1−エチル−3−〔2−(11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−3−イルアミノ)フェニル〕尿素、
(19)エチル〔2−(11−オキソ〕−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−3−イルアミノ)フェニル〕カルバマレート、
(20)3−(2−メチルアミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(21)3−(2,4−ジフロロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(22)3−(2,4−ジクロロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(23)3−(2,4−ジブロモフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(24)2−(2−アミノフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オン、
(25)2−(4−アミノフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプタン−5−オン、
(26)2−(4−アミノフェニルアミノ)ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5−オン、
(27)3−アセタミド−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕チエピン−11−オン、
(28)3−(4−フロロ−2−ニトロフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、
(29)8−(2−アミノフェニルアミノ)−6,11−ジヒドロジベンゾ〔b,e〕オキセピン−11−オン、および
(30)2−(2−メトキシフェニルアミノ)−10,11−ジヒドロジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン−5−オン。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかの式Iの少なくとも一つの化合物と、適切な場合生理的に許容し得る補助剤を含んでいる薬剤組成物。
【請求項15】
免疫調節および/またはIL−1βおよびまたはTNF−αの放出の阻害のための薬剤組成物を製造するための、請求項1ないし13のいずれかの式Iの少なくとも一つの化合物の使用。
【請求項16】
自家免疫病、癌、リュウマチ性関節炎、痛風、敗血症ショック、骨粗しょう症、神経障害痛、HIV伝播、HIV痴呆、ウイルス性心筋炎、インスリン依存糖尿病、歯周障害、再狭窄、脱毛症、HIV感染またはAIDSにおけるT−細胞枯渇、乾癬、急性膵炎、同種移植の拒絶反応、アレルギー関連肺炎症、動脈硬化、多発性硬化症、悪液質、アルツハイマー病、発作、黄胆、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸病(IBD)、虚血症、充血性心不全、呼吸器線維症、肝炎、膠芽腫、Guillain−Barre症候群、全身狼瘡紅斑炎、成人呼吸器窮迫症候群(ARDS)および呼吸器窮迫症候群の処置のための請求項1ないし13のいずれかの式Iの少なくとも一つの化合物の使用。
【請求項17】
請求項1ないし13のいずれかの式Iの化合物の免疫調節効果を有するか、および/またはIL−1βおよび/またはTNF−αの放出を制限または阻害する量を処置を必要とするヒトへ投与することよりなる、ヒトにおいて免疫調節および/またはIL−1βおよび/またはTNF−αの放出を制限する方法。

【公表番号】特表2008−544952(P2008−544952A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510505(P2008−510505)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004488
【国際公開番号】WO2006/120010
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507288626)メルクレ,ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】