説明

ジャケット装置および状態検出方法

【課題】保護対象者の位置および状況を的確に把握して通知することができるジャケット装置を提供する。
【解決手段】ジャケット装置31は、人が着用可能なジャケット装置であって、位置情報を取得する位置情報取得手段32と、着用者の状態の測定または周囲状況の検知を行う検知手段33と、位置情報取得手段32が取得した位置情報、および検知手段33が測定した測定結果または検知手段33が検知した検知結果に基づいて発信を行うか否かを判定する発信判定手段34と、位置情報および発信先情報を格納する記憶手段35と、外部の装置と通信を行う通信手段36とを備え、通信手段36は、発信判定手段34が発信を行うと判定した場合に、記憶手段35に格納された発信先情報が示す装置に、発信判定手段34が判定に用いた測定結果または検知結果および位置情報を含むデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が装着するジャケット装置、およびジャケット装置を利用する状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
子供などの保護対象者の安全を守るために、例えば、子供に携帯電話機や衛星携帯電話機などの携帯通信端末を所持させることがある。子供は、携帯通信端末を操作して自身の位置や状況を周囲に伝達することができる。しかし、子供が携帯通信端末の操作を十分にできるとは限らず、緊急の事態が発生した場合には、携帯通信端末を操作する余裕がないことも考えられる。
【0003】
特許文献1には、子供などの保護対象者の異常事態を察知すると、異常事態が生じたことを通知する携帯端末による通知装置が記載されている。特許文献1に記載された通知装置は、保護対象者の歩数、移動速度、現在位置および行動範囲などを基に、保護対象者に異常事態が発生したか否かを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−58790号公報(段落0014−0022、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された通知装置では、例えば、保護対象者が歩いていれば、異常速度であったり設定された行動範囲外にいる場合であっても、正常または保留の判断がされる。また、保護対象者が歩いていない場合には、例えば、バスなどの公共交通機関に乗車した場合であっても異常の判断がされる可能性がある。さらに、保護対象者の体調の変調なども異常事態と考えられるが、特許文献1に記載された通知装置では、察知することができない。このように、保護対象者の移動状態から異常事態が発生したか否かまでを判断することは難しく、保護対象者がどのような状態にあるかを正確に把握することが重要である。
【0006】
そこで、本発明は、保護対象者の位置および状況を的確に把握して通知することができるジャケット装置および状態検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるジャケット装置は、人が着用可能なジャケット装置であって、位置情報を取得する位置情報取得手段と、着用者の状態の測定または周囲状況の検知を行う検知手段と、位置情報取得手段が取得した位置情報、および検知手段が測定した測定結果または検知手段が検知した検知結果に基づいて発信を行うか否かを判定する発信判定手段と、位置情報および発信先情報を格納する記憶手段と、外部の装置と通信を行う通信手段とを備え、通信手段は、発信判定手段が発信を行うと判定した場合に、記憶手段に格納された発信先情報が示す装置に、発信判定手段が判定に用いた測定結果または検知結果および位置情報を含むデータを送信することを特徴とする。
【0008】
本発明による状態検出方法は、人が着用可能なジャケット装置を用いた状態検出方法であって、位置情報を取得するステップと、ジャケット装置の着用者の状態の測定またはジャケット装置の周囲状況の検知を行うステップと、位置情報、および測定の結果または検知の結果に基づいて発信を行うか否かを判定するステップと、発信を行うと判定した場合に、あらかじめ決められている発信先情報が示す装置に、判定に用いた測定の結果または検知の結果および位置情報を含むデータを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保護対象者が何も操作をしなくても、保護対象者の位置および状況を的確に把握し通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるジャケット装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】閾値の一例を示す説明図である。
【図3】図1に示されたジャケット装置が位置情報を取得し判定する動作を示すフローチャートである。
【図4】図1に示されたジャケット装置が保護対象者の体温、心拍数および周囲温度について判定する動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に示されたジャケット装置が衝撃および水没の有無を判定する動作を示すフローチャートである。
【図6】図1に示されたジャケット装置の携帯電話機に所定の情報が送信された場合にジャケット装置が行う動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明によるジャケット装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明によるジャケット装置の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明によるジャケット装置の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態1.
図1は、本発明によるジャケット装置の第1の実施形態(実施形態1)の構成を示すブロック図である。図1を参照して、第1の実施形態のジャケット装置の構成を説明する。なお、本発明の各実施形態では、保護対象者として子供を例にする。
【0012】
ジャケット装置1は、携帯電話機2、GPS(Global Positioning System )受信装置3、体温センサ4、心音センサ5、周囲温度センサ6、衝撃センサ7、水センサ8、スピーカ9、スイッチ10、制御部11、蓄電池12および記憶部13を含む。本実施形態では、子供が、ジャケット装置1を着用する。
【0013】
携帯電話機2は、携帯電話網を介して通信を行う携帯通信端末である。携帯電話機の代わりに、通信衛星電話網を介して通信を行う衛星携帯電話機が設けられていてもよい。GPS受信装置3は、GPS衛星から受信した電波に基づいて現在位置を測位する。GPS受信装置3は、測位した現在位置についての情報(位置情報)を取得し、制御部11に通知する。体温センサ4は、子供の体温を計測する。心音センサ5は、子供の心音を検知して心拍数を計測する。周囲温度センサ6は、周囲の温度(気温)を計測する。
【0014】
衝撃センサ7は、ジャケット装置1に与えられた衝撃を検知する。例えば、複数個の衝撃センサ7が、ジャケット装置1の外側面の衝撃を受ける可能性が高いと推測される部分に設けられる。水センサ8は、例えば、水圧センサであり、ジャケット装置1が水没したか否かを検知する。例えば、水センサ8は、ジャケット装置1の外側面において水没を検知できる可能性が高い部分に設けられる。スピーカ9は、制御部11の制御によって警報音および音声などを鳴らす。スイッチ10は、ジャケット装置1を着用した子供が操作できる位置に設けられている。ここでは、スイッチ10は押下するスイッチとする。
【0015】
制御部11は、ジャケット装置1における各構成要素を制御する。制御部11は、各センサの検知結果を取得する。制御部11は、例えば、プログラムによって制御されるCPUである。蓄電池12は、ジャケット装置1の各構成要素に電力を供給する。
【0016】
記憶部13は、設定された閾値、計測されたデータおよび発信先などを格納する。発信先は、予め設定されている。例えば、親、学校または警備会社などの保護者側の1つ以上の情報処理端末である。発信先を、保護者側の操作によって変更することができる。保護者側の情報処理端末は、携帯電話機やパーソナルコンピュータなどの一般的な情報処理端末である。
【0017】
図2は、閾値の一例を示す説明図である。第1の実施形態において、体温センサ4、心音センサ5および周囲温度センサ6が計測する値は、図2に示された閾値と比較される。それぞれの閾値は、記憶部13に予め格納されている。制御部11は、体温センサ4が計測した体温を、下限の閾値(下限値)である体温Aおよび上限の閾値(上限値)である体温Bと比較する。すなわち、体温の判定を行う。制御部11は、心音センサ5が計測した心拍数を、下限の閾値(下限値)である心拍数Cおよび上限の閾値(上限値)である心拍数Dと比較する。すなわち、心拍数の判定を行う。制御部11は、周囲温度センサ6が計測した周囲の温度を、下限の閾値(下限値)である摂氏Eおよび上限の閾値(上限値)である摂氏Fと比較する。すなわち、周囲温度の判定を行う。なお、図2に示された閾値は、携帯電話機2、保護者側の情報処理端末、またはその双方からの操作によって変更可能な値である。
【0018】
図3は、図1に示されたジャケット装置が位置情報を取得し判定する動作を示すフローチャートである。
【0019】
GPS受信装置3が、GPS衛星から受信した電波に基づいて現在位置を測位すると、制御部11は、測位した現在位置の情報(位置情報)を取得する(ステップS31)。記憶部13には、位置情報を発信する時間間隔または距離間隔が設定されて格納されている。例えば、時間間隔が10分間に設定されている場合には、制御部11は、10分ごとに位置情報を携帯電話機2から記憶部13に格納されている発信先に発信する。携帯電話機2は、発信先に、発信時刻および発信時の位置情報などを送信する。例えば、距離間隔が500メートルに設定されている場合には、制御部11は、子供が500メートル移動するごとに位置情報を携帯電話機2から発信する。制御部11は、移動距離を前回の発信時の位置情報からの直線距離で判断してもよいし、GPS受信装置3から位置情報を取得するごとに計算した変位を累計した値で判断してもよい。また、記憶部13には、前回発信された時刻や位置情報が格納されている。
【0020】
制御部11は、記憶部13に格納されている情報を参照して、位置情報を発信する時間間隔が設定されている場合に、前回発信された時間から現在までに、設定されている時間が経過しているか否かを判定する(ステップS32)。制御部11は、計時部(図示せず)から現在の時刻を取得可能である。設定されている時間が経過していないときには、制御部11は、記憶部13に格納されている情報を参照して、位置情報を発信する距離間隔が設定されている場合に、前回発信された時間から現在までの移動距離が、設定されている距離に達したか否かを判定する(ステップS33)。
【0021】
ステップS32の処理で、設定されている時間が経過していたと判定したときは、またはステップS33の処理で、移動距離が設定されている距離に達したときには、制御部11は、携帯電話機2から位置情報を記憶部13に格納されている発信先に発信する(ステップS34)。
【0022】
このようなジャケット装置では、設定された時間が経過する度に、また、移動距離が設定された距離に達する毎に子供の位置情報が送信されるので、例えば、子供が一般的な行動範囲を越えて移動した場合にも、子供がどこにいるのかを的確に把握することができる。
【0023】
図4は、図1に示されたジャケット装置が保護対象者の体温、心拍数および周囲温度について判定する動作を示すフローチャートである。
【0024】
制御部11は、体温の判定として、体温センサ4が計測した温度と、記憶部13に格納されている閾値である体温Aおよび体温Bとを比較する(ステップS41)。体温センサ4が計測した温度が、例えば、体温A以上かつ体温B未満であった場合には、制御部11は、体温は許容範囲内であると判定する。
【0025】
また、制御部11は、心音センサ5が計測した心拍数と、記憶部13に格納されている閾値である心拍数Cおよび心拍数Dとを比較する(ステップS42)。心音センサ5が計測した心拍数が、例えば、心拍数C以上かつ心拍数D未満であった場合には、制御部11は、心拍数は許容範囲内であると判定する。
【0026】
また、周囲温度の判定では、制御部11は、周囲温度センサ6が計測した気温と、記憶部13に格納されている閾値である摂氏Eおよび摂氏Fとを比較する(ステップS43)。周囲温度センサ6が計測した気温が、例えば、摂氏E以上かつ摂氏F未満であった場合には、制御部11は、周囲温度は許容範囲内であると判定する。
【0027】
ステップS41において、体温センサ4が計測した温度が体温A未満または体温B以上であった場合には、制御部11は、体温が許容範囲を外れていると判定し、携帯電話機2から記憶部13に格納されている発信先に発信する。携帯電話機2は、発信先にセンサの計測値、発信時刻および発信時の位置情報などを送信する。ステップS42において、心音センサ5が計測した心拍数が心拍数C未満または心拍数D以上であった場合には、制御部11は、心拍数が許容範囲を越えていると判定し、携帯電話機2から記憶部13に格納されている発信先に発信する。携帯電話機2は、発信先にセンサの計測値、発信時刻および発信時の位置情報などを送信する。ステップS43において、周囲温度センサ6が計測した気温が摂氏E未満または摂氏F以上であった場合には、制御部11は、周囲温度が許容範囲を越えていると判定し、携帯電話機2から記憶部13に格納されている発信先に発信する(ステップS44)。携帯電話機2は、発信先にセンサの計測値、発信時刻および発信時の位置情報などを送信する。
【0028】
このようなジャケット装置では、計測した子供の体温、子供の心拍数および周囲温度について閾値との比較判定を行い、下限値から上限値までの範囲を外れている場合にはその旨が送信されるので、子供が何の操作をしなくても、子供の体調が変調を起していないか、気温が急激に変化していないか、などの状況を把握することができる。また、例えば、子供を捜索する場合に周囲環境を推測または判断することに利用できる。
【0029】
図5は、図1に示されたジャケット装置が衝撃および水没の有無を判定する動作を示すフローチャートである。
【0030】
制御部11は、衝撃センサ7が、ジャケット装置1に衝撃が与えられたと検知したか否かを判定する(ステップS51)。また、制御部11は、水センサ8が、ジャケット装置1が水没したと検知したか否かを判定する(ステップS52)。
【0031】
ステップS51において衝撃センサ7が衝撃を検知した場合、または、ステップS52において水センサ8が水没を検知した場合には、制御部11は、携帯電話機2から記憶部13に格納されている発信先に発信する(ステップS53)。携帯電話機2は、発信先にセンサの検知内容、発信時刻および発信時の位置情報などを送信する。
【0032】
このようなジャケット装置では、子供が着用しているジャケット装置1に対する衝撃や水没を検知することによって、例えば、衝突による衝撃や溝などへの転落による水没などの異常事態が子供に起きたことを察知することができる。
【0033】
図6は、図1に示されたジャケット装置の携帯電話機に所定の情報が送信された場合にジャケット装置が行う動作を示すフローチャートである。
【0034】
携帯電話機2は、親、学校または警備会社などの保護者側の情報処理端末からの電話を自動的に着信し、所定の情報を受信する。所定の情報には、例えば、「スピーカを鳴動させる」ことを示すコードと、音声データとが含まれるとする。制御部11は、携帯電話機2が受信した情報(コードおよび音声データ)を取得する(ステップS61)。
【0035】
制御部11は、取得した情報にスピーカの鳴動を示すコードが含まれているか否かを判定する(ステップS62)。取得した情報にスピーカの鳴動を示すコードが含まれている場合には、制御部11は、スピーカ9から警報音を出力する(ステップS64)。また、取得した情報に音声データが含まれている場合には、制御部11は、スピーカ9から警報音に続いて音声データに応じた音声を出力する。
【0036】
なお、保護者側の情報処理端末から送信される所定の情報に、音声データのみが含まれていてもよい。その場合には、スピーカ9から警報音が出力されずに音声データに応じた音声のみが出力される。また、携帯電話機2が自動的に電話を着信して保護者側の情報処理端末から送信された「スピーカを鳴動させる」ことを示すコードを受信した後に、保護者側の情報処理端末がさらに音声データを携帯電話機2に送信してもよい。その場合には、制御部11は、スピーカ9から警報音を出力し、携帯電話機2が音声データを受信してから音声データに応じた音声を出力する。また、制御部11は、予め定めたコードを受信すると、スピーカ9からコードに応じた音声を出力させてもよい。
【0037】
また、制御部11はスイッチ操作の判断に移る。制御部11は、スイッチ10が押下されたか否かを判定する(ステップS63)。スイッチ10が押下されていた場合には、制御部11は、スピーカ9から警報音を出力する(ステップS64)。また、制御部11は、携帯電話機2から記憶部13に予め登録されている発信先に発信してもよい。携帯電話機2は、発信先に、スイッチが押下されたこと、発信時刻および発信時の位置情報などを送信する。スイッチ10が押下されていない場合には、制御部11は何もしない。
【0038】
このようなジャケット装置では、保護者側の情報処理端末からの操作によって警報音を鳴らしたり音声を出力することができるので、子供が異常な状況にある場合に、周囲に知らせたり救助を補助したりできる。また、子供が自らのスイッチ操作によって警報音を鳴らしたり保護者側に発信を行ったりできるので、子供が異常な状況にある場合に、異常な状況にあることを自分で周囲または保護者側に知らせることができる。
【0039】
なお、携帯電話機2から保護者側の情報処理端末に発信が行われるときには、携帯電話機2は、例えば、電子メール、テキストデータまたはURLなどを送信して、発信先に情報を通知する。発信先では、携帯電話機2から通知された内容を情報処理端末の表示部に表示し、保護者が通知された内容を判断することができる。
【0040】
実施形態2.
図7は、本発明によるジャケット装置の第2の実施形態(実施形態2)の構成を示すブロック図である。図7を参照して、第2の実施形態のジャケット装置の構成を説明する。
【0041】
図7に示すジャケット装置は、図1に示すジャケット装置に太陽電池20が追加されている。太陽電池20は、制御部11に接続されており、光を電力に変換し、蓄電池12に供給する。また、太陽電池20は、周囲の光の有無を検知する光センサでもある。
【0042】
制御部11は、太陽電池20が、周囲の光を検知しているか否か判定する。例えば、太陽電池20が一定時間周囲の光を検知していない場合には、制御部11は、携帯電話機2から記憶部13に予め登録されている発信先に発信する。携帯電話機2は、発信先に、太陽電池20が一定時間光を検知していないこと、発信時刻および発信時の位置情報などを送信する。
【0043】
このようなジャケット装置では、例えば、子供が光が遮断された室内に入ったことを察知できる。また、災害発生時に、子供が閉ざされた空間に閉じ込められたような場合にも、子供の状況を把握することができる。また、太陽電池が変換した電力を蓄電池に供給するので、ジャケット装置を使用できる時間を長くすることができる。
【0044】
実施形態3.
図8は、本発明によるジャケット装置の第3の実施形態(実施形態3)の構成を示すブロック図である。図3を参照して、第3の実施形態のジャケット装置の構成を説明する。
【0045】
図8に示すジャケット装置は、図7に示すジャケット装置に浮き袋装置21が追加されている。なお、浮き袋装置21は、図1に示すジャケット装置に追加されてもよい。図5に示すステップS52において、制御部11は、水センサ8がジャケット装置1が水没したと検知したと判定すると、浮き袋装置21を駆動させる。浮き袋装置21は、駆動されると、ジャケット装置1を着用している人に浮力を与える。
【0046】
このようなジャケット装置では、水センサによって水没を検知した場合に浮き袋装置が駆動するので、ジャケット装置を子供を救助するためのライフジャケットとして使用することができる。
【0047】
なお、各実施形態のジャケット装置において、携帯電話機の代わりに無線LANまたはモバイルWiMAXを介して通信を行う情報通信端末を設けてもよい。そのように構成されたジャケット装置では、各実施形態のジャケット装置において携帯電話機が行う通信動作は、情報通信端末が無線LANまたはモバイルWiMAXを介して行う。また、ジャケット装置に携帯電話機と情報通信端末とを設けてもよい。このように構成されたジャケット装置では、携帯電話機および情報通信端末で通信を行うことができるので、保護者側の情報処理端末と、より確実に通信を行うことができる。
【0048】
図9は、本発明によるジャケット装置の主要部を示すブロック図である。図9に示すように、ジャケット装置31(例えば、図1に示すジャケット装置1に相当)は、人が着用可能なジャケット装置であって、位置情報を取得する位置情報取得手段32(例えば、図1に示すGPS受信装置3に相当)と、着用者の状態の測定または周囲状況の検知を行う検知手段33(例えば、図1に示す体温センサ4〜水センサ8に相当)と、位置情報取得手段32が取得した位置情報、および検知手段33が測定した測定結果または検知手段33が検知した検知結果に基づいて発信を行うか否かを判定する発信判定手段34(例えば、図1に示す制御部11に相当)と、位置情報および発信先情報を格納する記憶手段35(例えば、図1に示す記憶部13に相当)と、外部の装置と通信を行う通信手段36(例えば、図1に示す携帯電話機2に相当)とを備え、通信手段36は、発信判定手段34が発信を行うと判定した場合に、記憶手段35に格納された発信先情報が示す装置(例えば、第1の実施形態における保護者側の情報処理端末に相当)に、発信判定手段34が判定に用いた測定結果または検知結果および位置情報を含むデータを送信するように構成されている。このようなジャケット装置では、発信判定手段34に発信を判定されると、位置情報や検知結果を含むデータが、設定された発信先の端末に送信されるので、保護者は、発信先の端末から保護対象者の位置および状況を的確に把握することができる。
【0049】
また、上記の各実施形態では、以下の(1)〜(9)に示すようなジャケット装置も開示されている。
【0050】
(1)記憶手段は、時間を示す情報を格納し、発信判定手段は、直前に通信手段がデータを送信した時点から記憶手段に格納されている情報が示す時間が経過している場合に、発信を行うと判定する(例えば、ステップS32の動作によって実現される。)ジャケット装置。
【0051】
(2)記憶手段は、距離を示す情報を格納し、発信判定手段は、直前に通信手段がデータを送信したときの位置情報が示す位置と現在の位置情報が示す位置との間の距離が、記憶手段に格納されている情報が示す距離になった場合に、発信を行うと判定する(例えば、ステップS33の動作によって実現される。)ジャケット装置。
【0052】
(3)記憶手段は、所定の閾値(例えば、図2に示された閾値に相当)を格納し、発信判定手段は、検知手段が測定した測定結果または検知手段が検知した検知結果と記憶手段に格納されている閾値とを比較した結果に基づいて発信を行うか否かを判定する(例えば、ステップS41〜S44の動作によって実現される。)ジャケット装置。
【0053】
(4)光を電力に変換してジャケット装置の電源(例えば、図7に示す蓄電池12に相当)に供給する太陽電池(例えば、図7に示す太陽電池20に相当)を含み、発信判定手段は、太陽電池が光を検知したか否かを基に発信を行うか否かを判定するジャケット装置(例えば、第2の実施形態のジャケット装置によって実現される。)。
【0054】
(5)警報音および音声を出力する音出力部(例えば、図1に示すスピーカ9に相当)を含み、音出力部は、通信手段が外部の装置から所定のコードを受信すると、受信したコードに応じて警報音または音声を出力する(例えば、ステップS61〜S62,S64の動作によって実現される。)ジャケット装置。
【0055】
(6)ジャケット装置の着用者が操作可能なスイッチ(例えば、図1に示すスイッチ10に相当)が設けられ、音出力部は、スイッチに対して所定の操作が行われると警報音を出力する(例えば、ステップS63〜S64の動作によって実現される。)ジャケット装置。
【0056】
(7)通信手段は、携帯電話網、通信衛星電話網、無線LANおよびモバイルWiMAXのうちの少なくとも1つを介して外部の装置と通信を行うジャケット装置(例えば、各実施形態のジャケット装置において、携帯電話機の代わりに設けてもよい情報通信端末を設けることによって実現される。)。
【0057】
(8)検出手段は、体温を計測するセンサ(例えば、図1に示す体温センサ4に相当)、心拍数を計測するセンサ(例えば、図1に示す心音センサ5に相当)、周囲の温度を計測するセンサ(例えば、図1に示す周囲温度センサ6に相当)、衝撃の有無を検知するセンサ(例えば、図1に示す衝撃センサ7に相当)および水没の有無を検知するセンサ(例えば、図1に示す水センサ8に相当)のうちの複数のセンサであるジャケット装置。
【0058】
(9)水没の有無を検知する水センサ(例えば、図8に示す水センサ8に相当)と、浮力を確保する機能を有する浮き袋装置(例えば、図8に示す浮き袋装置21に相当)とを含み、浮き袋装置は、水センサが水没を検知した場合に、着用者に浮力を与えるジャケット装置(例えば、第3の実施形態のジャケット装置によって実現される。)。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明を、日常生活およびアウトドアの場において、保護対象者の位置および状況を正確に把握し、保護対象者の安全を守る用途に適用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 ジャケット装置
2 携帯電話機
3 GPS受信装置
4 体温センサ
5 心音センサ
6 周囲温度センサ
7 衝撃センサ
8 水センサ
9 スピーカ
10 スイッチ
11 制御部
12 蓄電池
13 記憶部
20 太陽電池
21 浮き袋装置
31 ジャケット装置
32 位置情報取得手段
33 検知手段
34 発信判定手段
35 記憶手段
36 通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が着用可能なジャケット装置であって、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
着用者の状態の測定または周囲状況の検知を行う検知手段と、
前記位置情報取得手段が取得した位置情報、および前記検知手段が測定した測定結果または前記検知手段が検知した検知結果に基づいて発信を行うか否かを判定する発信判定手段と、
前記位置情報および発信先情報を格納する記憶手段と、
外部の装置と通信を行う通信手段とを備え、
前記通信手段は、前記発信判定手段が発信を行うと判定した場合に、前記記憶手段に格納された発信先情報が示す装置に、前記発信判定手段が判定に用いた測定結果または検知結果および位置情報を含むデータを送信する
ことを特徴とするジャケット装置。
【請求項2】
記憶手段は、時間を示す情報を格納し、
発信判定手段は、直前に通信手段がデータを送信した時点から前記記憶手段に格納されている情報が示す時間が経過している場合に、発信を行うと判定する
請求項1記載のジャケット装置。
【請求項3】
記憶手段は、距離を示す情報を格納し、
発信判定手段は、直前に通信手段がデータを送信したときの位置情報が示す位置と現在の位置情報が示す位置との間の距離が、前記記憶手段に格納されている情報が示す距離になった場合に、発信を行うと判定する
請求項1または請求項2記載のジャケット装置。
【請求項4】
記憶手段は、所定の閾値を格納し、
発信判定手段は、検知手段が測定した測定結果または検知手段が検知した検知結果と前記記憶手段に格納されている前記閾値とを比較した結果に基づいて発信を行うか否かを判定する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のジャケット装置。
【請求項5】
光を電力に変換してジャケット装置の電源に供給する太陽電池を含み、
発信判定手段は、前記太陽電池が光を検知したか否かを基に発信を行うか否かを判定する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のジャケット装置。
【請求項6】
警報音および音声を出力する音出力部を含み、
前記音出力部は、通信手段が外部の装置から所定のコードを受信すると、受信したコードに応じて警報音または音声を出力する
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のジャケット装置。
【請求項7】
ジャケット装置の着用者が操作可能なスイッチが設けられ、
音出力部は、前記スイッチに対して所定の操作が行われると警報音を出力する
請求項6記載のジャケット装置。
【請求項8】
通信手段は、携帯電話網、通信衛星電話網、無線LANおよびモバイルWiMAXのうちの少なくとも1つを介して外部の装置と通信を行う
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載のジャケット装置。
【請求項9】
検出手段は、体温を計測するセンサ、心拍数を計測するセンサ、周囲の温度を計測するセンサ、衝撃の有無を検知するセンサおよび水没の有無を検知するセンサのうちの複数のセンサである
請求項1から請求項8のうちのいずれか1項に記載のジャケット装置。
【請求項10】
水没の有無を検知する水センサと、
浮力を確保する機能を有する浮き袋装置とを含み、
前記浮き袋装置は、前記水センサが水没を検知した場合に、着用者に浮力を与える
請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載のジャケット装置。
【請求項11】
人が着用可能なジャケット装置を用いた状態検出方法であって、
位置情報を取得するステップと、
前記ジャケット装置の着用者の状態の測定または前記ジャケット装置の周囲状況の検知を行うステップと、
前記位置情報、および前記測定の結果または前記検知の結果に基づいて発信を行うか否かを判定するステップと、
発信を行うと判定した場合に、あらかじめ決められている発信先情報が示す装置に、前記判定に用いた前記測定の結果または前記検知の結果および位置情報を含むデータを送信する
ことを特徴とする状態検出方法。
【請求項12】
直前にデータを送信した時点からあらかじめ決められている時間が経過している場合に、発信を行うと判定する
請求項11記載の状態検出方法。
【請求項13】
直前にデータを送信したときの位置情報が示す位置と現在の位置情報が示す位置との間の距離が、あらかじめ決められている距離になった場合に、発信を行うと判定する
請求項11または請求項12記載の状態検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−262485(P2010−262485A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112952(P2009−112952)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】