説明

ステアリング角度センサ

【課題】 ステアリングコラムのハウジングに取り付けることができる、対費用効果に優れたセンサを提供する。
【解決手段】 定置構成要素に関して回転する回転自在構成要素の回転量を決定するための装置は、第1端が回転自在構成要素に固定され、第2端が定置構成要素に固定されたケーブルを含む。ケーブルは感知エレメントを支持し、回転自在構成要素が定置構成要素に関して回転するとき、巻き付けられたり巻き解かれたりするように形成されている。感知エレメントは、ケーブルの長さに沿って延び、ケーブルの巻き付け又は巻き解きに応じて撓むように形成されている。感知エレメントの抵抗は、感知エレメントの撓みに応じて変化する。評価回路が感知エレメントに接続されており、抵抗に対して所定の関係を持つ値を決定し、この値に基づいて回転量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は角度センサに関する。更に詳細には、本発明は、回転移動に応じて変化する電気的パラメータを感知するように作動できる角度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリング角度センサは、車輛に、代表的にはステアリングコラム内に取り付けられ、そのため、使用者はこれらのセンサを見ることはない。幾つかのステアリング角度センサは、二つの部品、即ち感知ユニット及び磁石を含む。感知ユニットはステアリングユニットに取り付けられており、磁石に狙いが付けられている。磁石は、ハンドル(ステアリングホイール)とともに回転するようにハンドルに取り付けられている。感知ユニットは磁石の回転移動を感知し、ハンドルの回転角度の決定に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ステアリングコラムのハウジングに取り付けることができる、対費用効果に優れたセンサを提供する。別の態様では、駆動シャフト及びアクスルに沿った任意の位置に位置決めできるセンサ用の別体のハウジングを形成できる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施例では、本発明は、定置構成要素に関して回転する回転自在(回転可能な)構成要素の回転量を決定するための装置を提供する。装置は、第1端が回転自在構成要素に固定されており且つ第2端が定置構成要素に固定されたケーブルを含む。平らなケーブルは、回転自在構成要素が定置構成要素に関して回転するとき、巻き付けられたり巻き解かれたりするように形成されている。感知エレメントがケーブルによって支持されている。感知エレメントは、ケーブルの長さに沿って延びており、ケーブルの巻き付け又は巻き解きに応じて撓むように形成されている。感知エレメントの抵抗は、感知エレメントの撓みに応じて変化する。評価回路が感知エレメントと通信する。この評価回路は、抵抗に対して所定の関係を持つ値を決定し、この値に基づいて回転量を決定する。
【0005】
別の実施例では、本発明は、駆動シャフト、ステアリングデバイス、及び角度センサを含む車輛を提供する。駆動シャフトは、車輛の車輪を駆動するように形成されている。ステアリングコラムは、移動自在構成要素及び定置構成要素を含む。移動自在構成要素は、駆動シャフトに連結されている。ステアリングデバイスは、移動自在構成要素に連結されており、移動自在構成要素を定置構成要素に関して回転するように形成されている。角度センサは、定置構成要素に関する移動自在構成要素の回転量を決定するように形成されている。角度センサは、ハウジング、ストリップ材料、感知エレメント、及び評価回路を含む。ハウジングは、移動自在ハウジング部分及び定置ハウジング部分を含む。ストリップ材料は、第1端が移動自在ハウジング部分に固定されており、第2端が定置ハウジング部分に固定されている。ストリップ材料は、移動自在ハウジング部分が定置ハウジング部分に関して移動するとき、移動するように形成されている。感知エレメントはストリップ材料によって支持されている。感知エレメントはストリップ材料の長さに沿って延びており、ストリップ材料の移動に応じて撓むように形成されている。感知エレメントの抵抗は、感知エレメントの撓みに応じて変化する。評価回路が感知エレメントに接続されている。評価回路は、抵抗に対して所定の関係を持つ電気的値を決定し、回転自在構成要素の回転量を電気的値に基づいて決定するように形成されている。
【0006】
更に別の実施例では、本発明は、角度センサを使用した回転角度感知方法を提供する。角度センサは、第1端が定置構成要素に固定されており、第2端が、定置構成要素に関して回転する回転構成要素に固定されたストリップ材料を含む。この方法は、回転構成要素の回転に応じて撓むようにストリップ材料に取り付けられた感知エレメントを移動する工程と、感知エレメントの抵抗に対して所定の関係を持つ電気的値の、感知エレメントの撓みに応じた変化を感知する工程と、電気的値の変化から回転角度を決定する工程とを含む。
【0007】
本発明のこの他の特徴は、詳細な説明及び添付図面を考慮することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明による角度感知装置の部分分解図である。
【図2】図2は、図1の角度感知装置の第2の部分分解図である。
【図3】図3は、図1の角度感知装置の第3の部分分解図である。
【図4】図4は、車輛に取り付けた図1の角度感知装置の部分分解図である。
【図5】図5は、ケーブルに取り付けられた感知エレメントの斜視図である。
【図6】図6は、ケーブルに取り付けられた二つの感知エレメントの斜視図である。
【図7】図7は、図1の角度感知装置の概略回路図である。
【図8】図8は、本発明による角度感知装置の様々な取り付け位置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例を詳細に説明する前に、本発明の用途は、以下の説明に記載した、又は添付図面に示した構成要素の構造及び構成の詳細に限定されないということを理解しておかなければならない。本発明は、他の実施例が可能であり、様々な方法で実施される。
【0010】
図1は、ハウジング14を持つ角度センサ12を提供する。角度センサ12は、ステアリングコラム16(図4参照)等の定置構成要素とハンドル18(図4参照)等の回転自在(回転可能な)の構成要素との間の回転の程度を示す電気的値を感知する。
【0011】
図1に示すように、角度センサ12は、ハウジング14を有しており、ハウジング14は、二つの部分、即ち回転自在ハウジング部分20と、定置ハウジング部分24とで形成されている。定置ハウジング部分24は、更に、定置ハウジング部分24に関して回転自在の取り付け部分28を含む。回転自在ハウジング部分20は、上面32、外壁36、及び内壁40を含む。外壁36及び内壁40は実質的に円筒形形状である。定置ハウジング部分24は、下面44及び外壁48を含む。回転自在ハウジング部分20は定置ハウジング部分24と協働し、その間にチャンバ52を形成する。
【0012】
平らなケーブル56がチャンバ52内に位置決めされている。平らなケーブル56は、第1端60が回転自在ハウジング部分20に連結されており、第2端64が定置ハウジング部分24に連結されている。平らなケーブル56の代わりに他のストリップ材料又はケーブルを使用できると考えられる。例示の構造では、平らなケーブル56は、回転自在ハウジング部分20の内壁40に巻き付けてある。平らなケーブル56の第1端60は、内壁40にプラスチッククリップ68で連結されている。平らなケーブル56は、チャンバ52内の内壁40に巻き付けてある。平らなケーブル56の第2端64は、定置ハウジング部分24の外壁48に第2プラスチッククリップ72で連結されている。他の構造では、平らなケーブル56は回転自在ハウジング部分20及び定置ハウジング部分24に接着剤を使用して、又は他の適当な手段によって固定される。平らなケーブル56は、図示の形体以外の他の巻き付け形体で巻き付けられていてもよいと考えられる。例えば、平らなケーブル56は当該技術で周知のようにループデバイダを用いて巻き付けられていてもよい。
【0013】
平らなケーブル56には張力が実質的に加わっていない。かくして、回転自在ハウジング部分20を定置ハウジング部分24に関して回転したとき、平らなケーブル56は移動に影響を及ぼさない。回転自在ハウジング部分20を定置ハウジング部分24に関して回転すると、平らなケーブル56は、一杯に巻き付けられた位置(図1参照)と、中間位置(図2参照)と、一杯に巻き解いた位置(図3参照)との間で移動する。
【0014】
図1に示すように、平らなケーブル56が一杯に巻き付けられた位置にあるとき、平らなケーブル56は内壁40と隣接して位置決めされる。例示の構造では、回転自在ハウジング部分20を定置ハウジング部分24に関して反時計廻り方向に回転し、平らなケーブル56を巻く。平らなケーブル56が一杯に巻き付けられているけれども、ケーブル56には張力が実質的に加わっていない。回転自在ハウジング部分20を定置ハウジング部分24に関して時計廻り方向に回すと、平らなケーブル56は巻き解かれ始める。図2は、平らなケーブル56の一例を、一杯に巻き付けられた位置と、図3の一杯に巻き解かれた位置との間の位置で示す。平らなケーブル56をチャンバ52に亘って均等に分配された状態で示すが、平らなケーブル56には、こうした分配を補助する張力が実質的に加わっていない。かくして、平らなケーブル56は、中間位置にある場合、チャンバ52に亘って均等に分配されていなくてもよい。図3は、平らなケーブル56を一杯に巻き解いた位置で示す。平らなケーブル56は、一杯に巻き解かれたとき、回転自在ハウジング部分20の外壁36と隣接して配置される傾向がある。幾つかの構造では、平らなケーブル56は、一杯に巻き解かれたとき、内壁40の周囲にフル2回転分あり、一杯に巻き付けたとき、フル8回転分ある。勿論、平らなケーブル56はこれとは長さが異なっていてもよく、一杯に巻き付けたとき及び一杯に巻き解かれたとき、フル回転分の数が異なっていてもよい。
【0015】
平らなケーブル56にはセンサストリップ72が取り付けられており、このセンサストリップは、ケーブルとともに移動するように形成されている。例示の構造では、センサストリップ72は、平らなケーブル56の内側76に取り付けられている。他の構造では、センサストリップ72は、平らなケーブル56の外側80に取り付けられていてもよい。平らなケーブル56は、センサストリップ72用のキャリヤとして役立つ。平らなケーブル56が巻き付けられたり巻き解かれたりするとき、センサストリップ72は平らなケーブル56とともに移動し、かくして平らなケーブル56の移動に干渉することなく、巻き付けられたり巻き解かれたりする。正のリードワイヤ84及び接地リードワイヤ88が、センサストリップ72から延びており、評価回路92に電気的に接続されている。
【0016】
幾つかの角度感知の用途では、角度センサ12は、ステアリングコラム16に関するハンドル18の回転角度を感知するように形成されている。図4に示すように、角度センサ12は、ステアリングコラム16に位置決めされていてもよい。ステアリングコラム16は、定置構成要素96及び回転構成要素100を含む。定置ハウジング部分24の取り付け部分28は、回転構成要素100に取り付けられていれる。定置ハウジング部分24は定、置構成要素96に固定的に取り付けられている。定置ハウジング部分24は、留め具(ファスナ)を受け入れるように形成された複数の穴104(図1、図2、及び図3参照)を含む。これらの留め具(ファスナ)は、更に、ステアリングコラム16の対応する穴に受け入れられる。取り付け部分28は、内壁40(図1、図2、及び図3参照)に受け入れられる。ハンドル18の円筒形取り付け部分108は、取り付け部分28に受け入れられる。かくして、取り付け部分28は、ハンドル18の回転により、取り付け部分28、回転自在ハウジング部分20、及びステアリングコラム16の回転構成要素100を同時に回転するように、内壁40と取り付け部分108との間に配置されている。ステアリングコラム16の回転構成要素100の回転により、車輛の一対の車輪110(図8参照)をハンドル18の回転に従って回転させる。簡略化を図るため、角度センサ12の作動を、ハンドル18の回転により回転自在ハウジング部分20を回転する図4の構造に関して論じる。
【0017】
ステアリングコラム16は、更に、角度センサ12の構成要素を電子制御ユニットやバッテリー等の車輛の他の構成要素に電気的に接続するプラグ112を含む。幾つかの構造では、プラグ112は、更に、車輛の構成要素と、ハンドル18に配置されたラジオの制御装置やエアバッグセンサ等の電気的構成要素との間を、電気的に接続する。
【0018】
図5は、センサストリップ72を詳細に示す。正のリードワイヤ84及び接地リードワイヤ88が、感知エレメント116に接続されている。保護積層体120が、感知エレメント116と、正のリードワイヤ84及び接地リードワイヤ88の少なくとも一部とを、覆っている。保護積層体120は、感知エレメント116と、この積層体によって覆われたリードワイヤ84及び88とを環境要因(例えば水分や塵埃等)による損傷から保護し、感知エレメント116と、リードワイヤ84及び88とを、平らなケーブル56に取り付けている。幾つかの構造では、感知エレメント116は、接着剤又は他の手段を使用して取り付けられていてもよい。更に他の構造では、感知エレメント116は、平らなケーブル56に取り付けられていなくてもよい。
【0019】
角度センサ12で使用できる感知エレメント116の一例は、感知エレメント116に撓みが加わったときに抵抗特性が変化する感知エレメント116である。可変抵抗感知エレメント116の一例は、不連続部又は亀裂がある導電性エレメントである。感知エレメント116が撓むと、撓み方向に応じて亀裂が開き、そして閉じる。感知エレメント116が撓み、不連続部が開くと、電気が感知エレメント116を通って流れ難くなり、感知エレメント116の抵抗が増大する。同様に、感知エレメント116が撓み、不連続部が閉じると、電気が感知エレメント116を通って流れ易くなり、かくして感知エレメント116の抵抗が減少する。
【0020】
撓むと抵抗が変化する多くの種類の感知エレメントが存在し、これらは、一般的には、湾曲センサ又は撓みセンサと呼ばれる。勿論、この他のセンサを角度センサ12で使用してもよい。例えば、代表的には、力感知抵抗器(「FSR’s」)を使用し、FSRに加わった力の量と対応する電気的値を計測し又は感知する。しかしながら、曲げたり撓んだりできる薄膜FSRsが存在する。FSRsは、これに加わった力の量に従って抵抗を変化するように形成されているが、FSRsの抵抗は、更に、撓みに従って僅かに変化する。かくして、センサの撓みに従って抵抗が変化するこの他のセンサを角度センサ12で使用するように形成してもよい。
【0021】
一つの例示の感知エレメント116は、ユタ州ドレーパーのフレックスポイント・センサ・システムズ社が製造している注文製作の感知エレメントである。図5を参照すると、感知エレメント116は、長さL3が約1.9mであり、高さH3が約5mmであり、厚さT3が約0.1mmである。保護積層体120の大きさは、保護積層体120が感知エレメント116と、リードワイヤ84及び88の少なくとも一部とを覆うように、長さL2及び高さH2に関して比較的大きい。例示の構造では、保護積層体120は、長さL2が約2.0mであり、高さH2が約10mmであり、厚さT2が約0.1mmである。平らなケーブル56は、長さL1が約2.5mであり、高さH1が約20mmであり、厚さT1が約0.5mmである。勿論、感知エレメント116、保護積層体120、及び平らなケーブル56は、この他の長さ、厚さ、及び高さであってもよい。
【0022】
一般的には、感知エレメント116の長さL3は、平らなケーブル56を一杯に巻き付けたとき、感知エレメント116を内壁40の周囲に十分に1回転巻き付けることができるような長さである。他の構造では、感知エレメント116の長さL3は、平らなケーブル56を一杯に巻き付けたとき、感知エレメント116を内壁40の周囲に十分な1回転よりも大きく又は小さく巻き付けることができるような長さである。幾つかの構造では、感知エレメント116の長さL3は、実質的に平らなケーブル56の長さL1と等しい(例えばL3≧0.95L1)。他の構造では、長さL3は、平らなケーブル56の長さL1の25%、50%、75%、又は何らかの他のパーセンテージであってもよい。幾つかの構造では、感知エレメント116は、感知エレメント116に何らかの張力が加わる前に内壁40の周囲に十分に12回転巻き付けることができる。かくして、平らなケーブル56及び感知エレメント116を一杯に巻き付けたとき(即ち内壁40の周囲の最大巻回数を含む)でも、感知エレメント116には大きな張力は加わらず、かくして平らなケーブル56の移動を妨げない。
【0023】
感知エレメント116及びセンサストリップ72は、図1、図2、図3、及び図5において、平らなケーブル56に関して対称的に取り付けられているように示してある。センサストリップ72及び感知エレメント116は、ハンドル18の回転に応じた平らなケーブル56の移動(例えば、巻き付け及び巻き解き)により感知エレメント116に撓みが加わるように、平らなケーブル56のどこに取り付けられていてもよい。
【0024】
平らなケーブル56は、ハンドル18がステアリングコラム16の定置構成要素に関して回転するとき、巻き付け及び巻き解きが必ずしも均等でなくてもよい。かくして、平らなケーブル56の巻き付け及び巻き解きが行われるとき、感知エレメント116は均等に撓まなくてもよい。感知エレメント116に不均等な撓みが加わる場合、感知エレメント116の抵抗特性が不均等に変化する。この結果、回転自在ハウジング部分20が均等に回転する間でさえ、感知エレメント116の抵抗と対応する電気的値が不均等に変化する。更に、感知エレメント116の長さL3が平らなケーブル56の長さL1よりもかなり小さい場合(例えば、L3≦0.50L1)には、感知エレメント116は、回転自在ハウジング部分20の回転時に、不均等な撓みの影響を受け易い。他方、感知エレメント116の長さL3が平らなケーブル56の長さL1とほぼ等しい場合(例えば、L3≧0.95L1)には、感知エレメント116は、回転自在ハウジング部分20の回転時に、不均等な撓みの影響を受け難い。感知エレメント116の長さL3と、平らなケーブル56の長さL1とが互いにほぼ等しい場合には、感知エレメント116の抵抗特性は、感知エレメント116の長さL3に亘って平均化される。
【0025】
図6に示すように、角度センサ12の幾つかの構造では、第2感知エレメント124が含まれる。第2感知エレメント124は、第1感知エレメント116と同様であり、第1感知エレメント116と電気的に直列である。図示のように、正のリードワイヤ84は第2感知エレメント124の一端に接続されており、接地リードワイヤ88は第1感知エレメント116の一端に接続されている。導電性ワイヤ128が、第1及び第2の感知エレメント116、124の他端を電気的に接続している。第2感知エレメント124の寸法(例えば長さ、高さ、及び厚さ)は、第1感知エレメント116の寸法(例えば長さL3、高さH3、及び厚さT3)とほぼ等しい。これよりも多くの感知エレメントを含む構造が可能であり、あるいは、寸法が異なる感知エレメントを含む構造が可能である。
【0026】
作動では、感知エレメント116の抵抗と対応する電気的値を検出し又は計測し、評価回路92に提供する。評価回路92は、計測された電気的値を演算処理し、角度センサ12の定置ハウジング部分24と回転自在ハウジング部分20との間の回転角度を決定する。上文中に論じたように、定置ハウジング部分24と回転自在ハウジング部分20との間の回転角度は、ステアリング角度(例えば、ステアリングコラム16の定置構成要素96に関するハンドル18の回転量)と対応する。
【0027】
図7は、随意の構成要素を仮想線で示す、電気的値の検出又は計測に使用できる電気回路132を概略に示す。評価回路92は、電源136と、プロセッサ140と、トランスミッター(送信器)144とを含む。電源136は、プロセッサ140及びトランスミッター144に電力を提供する。電源136は、更に、正のリードワイヤ84に直流(DC)電圧(例えば+5v)を加え、接地リードワイヤ88を接地する。電気回路132は、更に、感知エレメント116の抵抗と対応する電気的値を計測するように位置決めされたホールセンサ148を含む。図示のように、ホールセンサ148は、感知エレメント116の抵抗と対応する電気的値を感知し又は計測し、計測した信号152を出力するように、接地リードワイヤ88と隣接して位置決めされている。プロセッサ140の入力部156が、計測した信号152を受け取る。プロセッサ140は、計測した信号に基づいて回転角度を決定する。勿論、他の適当な方法を使用して、感知エレメント116の抵抗と関連した電気的値を計測してもよい。このように、本発明は、電気的値を計測するためのホールセンサの使用者に限定されない。
【0028】
更に詳細には、図7に示す実施例に関し、既知の電圧を正のリードワイヤ84に加え、ホールセンサ148が、感知エレメント116を通る電流を計測する。ホールセンサ148は、感知エレメント116を通る計測した電流と対応する、計測した電圧即ち計測した信号152を出力する。プロセッサ140は、計測した信号152を受け取り、感知エレメント116の対応する抵抗値を決定する。プロセッサ140は、抵抗値を使用して回転量を決定する。プロセッサ140は、メモリー及びこのメモリーに記憶された参照表(ルックアップテーブル)を含む。参照表は、感知エレメント116の抵抗の経験的に決定された値と、対応する回転角度をと含む。プロセッサ140は、決定された抵抗値を、参照表の抵抗値と比較する。合致するものが見つかると、参照表の合致した抵抗値と対応する回転角度を、メモリーから取り出し、計測した信号152についての回転角度であると決定する。正確に合致したものが見つからない場合には、決定された抵抗に最も近い(即ち、値が最も近い)参照表の抵抗値を合致した抵抗であると考える。プロセッサ140は回転角度をトランスミッター144に出力し、トランスミッター144は、回転角度を、回転角度を使用する車輛の電子式制御ユニット又は他のハードウェアに出力する。トランスミッター144は、回転角度を無線で伝送してもよいし、導線接続部を通して伝送してもよい。他の構造では、回転角度と感知した電気的値との関係を表す数学的モデルを開発してもよい。数学的モデルを使用する場合、プロセッサ140は計測した信号152を受け取り、数学的モデルを使用して回転角度を計算する。
【0029】
平らなケーブル56に第2感知エレメント124が接続されている場合には、ホールセンサ148は、第1及び第2の感知エレメント116及び124の平均的抵抗と対応する電気的値を計測する。ホールセンサ148は、第1及び第2の感知エレメント116及び124の平均的抵抗と対応する計測した信号152を出力する。プロセッサ140は、計測した信号152を入力部156のところで受け取り、計測した信号152を使用して回転角度を決定する。プロセッサ140は、上文中に説明したように、回転角度を決定する上で参照表を使用してもよいし数学的モデルを使用してもよい。
【0030】
感知エレメント116及び124は、湿度や温度等の環境要因の影響を受け易い。これらの環境要因は、感知エレメント116の性質を変化させてしまう場合がある。例えば、温度が大きく変化すると、定置位置に保持されており且つ撓みが加わっていない場合でも、感知エレメント116の抵抗は変化してしまう。幾つかの場合では、感知エレメント116の抵抗は±10%変化する。かくして、環境要因の変化を補償するため、追加の感知エレメントを基準感知エレメント160として使用し、専ら環境要因の変化による感知エレメント116の電気抵抗の変化を補正してもよい。例えば、感知エレメント116の抵抗及び感知エレメント160の抵抗の両方が、温度変化により増大した場合には、計測値152及び180が変化する。プロセッサは、基準感知エレメント160の計測値180と対応する補正値のリストの表を備えることができる。計測値180は、基準感知エレメント160が、作動中に定置(動かない)であるため、作動中、実質的に一定である。プロセッサ140は、補正値を使用して計測値152を補正し、回転角度を決定する。この回転角度は、環境要因の効果による感知エレメント116の抵抗の変化に関わらず、実際の回転角度を更に正確に反映する。
【0031】
基準感知エレメント160は、角度センサ12の較正を行う上で以下のように使用される。参照表の決定中、基準感知エレメント160の抵抗と対応する平均計測値180を、プロセッサ140のメモリーに保存する。作動中、プロセッサ140は、計測された値180を受け取り、これを前に保存した計測値と比較する。計測値180及び前に保存した計測値が等しくない場合には、プロセッサ140は表を使用し、対応する補正値を決定する。補正値を使用し、感知エレメント116の抵抗と対応する計測された信号152を補正し、補正した値を使用して回転角度を上文中に説明したように決定する。
【0032】
基準感知エレメント160は、更に高度の制度が必要とされる場合にも使用できる。基準感知エレメント160は、随意であるが、ラミネーション層164によって角度センサハウジング14の定置ハウジング部分24に取り付けられる。他の構造では、基準感知エレメント160は、回転自在ハウジング部分20及びハンドル18の回転移動中に定置の平らなケーブル56の一部に取り付けられていてもよい。基準感知エレメント160は、接着剤を用いる方法等の他の適当な方法によって、定置ハウジング部分24に取り付けられていてもよい。
【0033】
第2の正のリードワイヤ168が、第1の正のリードワイヤ84と基準感知エレメント160との間に接続されている。これにより、直流電圧が第1の正のリードワイヤ84に加えられたとき、電圧が第2の正のリードワイヤ168にも加わる。同様に、第2の接地リードワイヤ172の一端が、第1の接地リードワイヤ88の一端に接続されており、その他端が基準感知エレメント160に接続されている。基準感知エレメント160の抵抗と対応する電気的基準値を計測するため、第2ホールセンサ176が、第2の接地リードワイヤ172と隣接して位置決めされている。第2ホールセンサ176は、基準感知エレメント160の抵抗と対応する、第2の計測した信号180を出力する。プロセッサ140は、第2の計測した信号180を、第2入力184のところで受け取る。プロセッサ140は、第2の計測した信号180を使用し、第1の計測した信号152を調節し、感知エレメント116、124、及び160の性質を変化する可能性のある、上文中に説明した環境要因を補償する。
【0034】
角度センサ12は、代表的な角度感知デバイスに含まれる電気部品と同じように熱の影響を受けることはない電気構成要素を含んでいる。かくして、角度センサ12は、最大約150°Cの温度に耐えることができ、角度センサ12は、車輛のヒートシールド188の下に位置決めできる。例えば、図8に概略に示すように、角度センサ12A、12B、12C、12D、12Eは、車輛のステアリングコラム16又はドライブシャフト192に沿って実質的にどこに位置決めされていてもよい。
【0035】
かくして、本発明は、とりわけ、定置構成要素に関して回転する回転自在の構成要素の回転量を決定するための角度センサを提供する。更に、本発明は、角度センサを組み込んだ車輛を提供する。本発明の様々な特徴及び利点を以下の特許請求の範囲に記載する。
【符号の説明】
【0036】
12 角度センサ
14 ハウジング
16 ステアリングコラム
18 ハンドル
20 回転自在ハウジング部分
24 定置ハウジング部分
28 回転自在の取り付け部分
32 上面
36 外壁
40 内壁
44 下面
48 外壁
52 チャンバ
56 平らなケーブル
60 第1端
64 第2端
68 プラスチッククリップ
72 第2プラスチッククリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置構成要素に関して回転する回転自在構成要素の回転量を決定するための装置であって、
第1端が前記回転自在構成要素に固定され、第2端が前記定置構成要素に固定され、前記回転自在構成要素が前記定置構成要素に関して回転するとき、巻き付けられたり巻き解かれたりするように形成されたケーブルと、
前記ケーブルによって支持され、前記ケーブルの長さに沿って延び、前記ケーブルの巻き付け又は巻き解きに応じて撓むように形成された、抵抗がその撓みに応じて変化する感知エレメントと、
前記感知エレメントと通信する、前記抵抗に対して所定の関係を持つ値を決定し、この値に基づいて前記回転量を決定する評価回路とを備えた、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記評価回路は、更に、前記値に基づいて前記回転量を決定するプロセッサを含む、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記感知エレメントは単一の感知エレメントを含む、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、更に、
前記ケーブルによって支持され、前記ケーブルの長さに沿って延び、前記ケーブルの巻き付け又は巻き解きに応じて撓むように形成された、第2抵抗がその撓みに応じて変化する第2感知エレメントを備えており、
前記第2感知エレメントは、前記第1感知エレメントに電気的に直列に接続されており、
前記評価回路は、前記第1及び第2の感知エレメントに接続されて、前記第1及び第2の抵抗に対する関係に基づいて前記値を決定する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、更に、
前記定置構成要素に固定された、撓みが加わらない基準感知エレメントを備えており、
前記基準感知エレメントは第2抵抗を有しており、
前記評価回路は、更に、前記基準感知エレメントに接続されており、前記第2抵抗に対して所定の関係を持つ第2値を決定し、前記第2値に基づいて前記回転量を決定する、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記評価回路は、前記第2値に基づいて補正値を決定する、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記回転自在構成要素はハンドルであり、前記定置構成要素はステアリングコラムである、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記評価回路は、前記定置構成要素によって支持されている、装置。
【請求項9】
車輛であって、
車輛の車輪を駆動するように形成された駆動シャフトと、
移動自在構成要素及び定置構成要素を含み、前記移動自在構成要素は前記駆動シャフトに連結されている、ステアリングコラムと、
前記移動自在構成要素に連結され、前記移動自在構成要素を前記定置構成要素に関して移動するように形成されたステアリングデバイスと、
前記定置構成要素に関する前記移動自在構成要素の回転量を決定するように形成された角度センサとを備え、
前記角度センサは、
移動自在ハウジング部分及び定置ハウジング部分を含むハウジングと、
第1端が前記移動自在ハウジング部分に固定されており、第2端が前記定置ハウジング部分に固定されており、前記移動自在ハウジング部分が前記定置ハウジング部分に関して移動するとき、巻き付けられたり巻き解かれたりするように形成されたストリップ材料と、
前記ストリップ材料によって支持され、前記ストリップ材料の長さに沿って延び、前記ストリップ材料の移動に応じて撓むように形成された、抵抗がその撓みに応じて変化する感知エレメントと、
前記感知エレメントに連結され、前記抵抗に対して所定の関係を持つ電気的値を決定し、この電気的値に基づいて前記回転量を決定するように形成された評価回路とを含む、車輛。
【請求項10】
請求項9に記載の車輛において、
前記評価回路は、更に、前記電気的値に基づいて前記回転量を決定するように形成されたプロセッサを含む、車輛。
【請求項11】
請求項9に記載の車輛において、
前記感知エレメントは、単一の感知エレメントを含む、車輛。
【請求項12】
請求項9に記載の車輛において、
前記感知エレメントは、第1抵抗エレメント及び第2抵抗エレメントを含み、前記第1抵抗エレメント及び前記第2抵抗エレメントは直列に接続されている、車輛。
【請求項13】
請求項9に記載の車輛において、
前記角度センサは、更に、前記定置構成要素に固定された、撓みが加わらない基準感知エレメントを備え、
前記基準感知エレメントは第2抵抗を有し、
前記評価回路は、更に、前記基準感知エレメントに接続されており、前記第2抵抗に対して所定の関係を持つ電気的基準値を決定し、前記電気的基準値に基づいて移動量を決定するように形成されている、車輛。
【請求項14】
請求項13に記載の車輛において、
前記評価回路は、前記電気的基準値に基づいて補正値を決定し、前記抵抗に対して所定の関係を持つ電気的値を決定し、前記電気的値を前記補正値に基づいて補正し、補正済電気的値を決定し、前記補正済電気的値に基づいて前記回転量を決定する、車輛。
【請求項15】
請求項9に記載の車輛において、更に、
前記ステアリングデバイスに位置決めされたセンサを備え、
前記ストリップ材料は、前記センサと定置の電気的構成要素との間を電気的に接続するように形成された電気ケーブルである、車輛。
【請求項16】
請求項9に記載の車輛において、
前記評価回路は、前記定置ハウジング部分によって支持されている、車輛。
【請求項17】
角度センサを使用して、回転角度を感知する方法であって、
前記角度センサは、第1端が定置構成要素に固定されており、第2端が、前記定置構成要素に関して回転する回転構成要素に固定されたストリップ材料を備えており、
前記回転構成要素の回転に応じて撓むように前記ストリップ材料に取り付けられた、抵抗が撓みに応じて変化する感知エレメントを移動する工程と、
前記感知エレメントの前記抵抗に対して所定の関係を持つ電気的値を感知する工程と、
前記電気的値から前記回転量を決定する工程とを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記回転量を決定する前記工程は、更に、
前記電気的値を表の複数の電気的値と比較し、前記複数の電気的値の各々は所定の回転量と対応する、工程と、
前記電気的値を前記複数の電気的値のうちの一つの値と整合させる工程と、
前記複数の電気的値のうちの一つの値と対応する回転量を選択する工程とを含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、
前記回転量を決定する前記工程は、更に、
数学的モデルに基づいて前記回転量を計算する工程を含む、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、
前記抵抗は、更に、環境要因の変化に応じて変化し、
前記方法は、更に、
前記定置構成要素に取り付けられた基準感知エレメントの電気的基準値を感知する工程を有しており、前記基準感知エレメントは、前記環境要因の変化に応じて変化する基準抵抗を有し、前記電気的基準値は、前記基準抵抗に対して所定の関係を有しており、
前記方法は、また、
前記電気的値及び前記電気的基準値から前記回転量を決定する工程とを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−99845(P2011−99845A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−206376(P2010−206376)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】