説明

ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤としての新規な置換複素環式芳香族化合物

構造式Iの置換複素環式芳香族化合物はステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤である。本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症のような循環器疾患;肥満症;2型糖尿病;インシュリン耐性;高血糖症;メタボリックシンドローム、神経疾患;癌及び肝脂肪変性を含む異常脂質合成及び代謝に関連する病状の予防及び治療に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)の阻害剤である新規な置換複素環式芳香族化合物、SCD活性により介在される病状又は疾患を抑制、予防及び/又は治療するためのこのような化合物の使用に関する。本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症のような循環器疾患;肥満症;2型糖尿病;インシュリン耐性;高血糖症;メタボリックシンドローム、神経疾患;癌及び肝脂肪変性を含む異常脂質合成及び代謝に関連する疾患の抑制、予防及び治療のために有用である。
【背景技術】
【0002】
ほ乳類において、少なくも3種のクラスの脂肪酸アシル−補酵素A(CoA)デサチュラーゼ(デルタ−5、デルタ−6及びデルタ−9デサチュラーゼ)が、食餌又はデノボ合成のいずれか由来のモノ−及びポリ不飽和脂肪酸アシル−CoAにおける二重結合生成の原因である。デルタ−9特異的ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCDs)は、モノ不飽和脂肪酸アシル−CoAのC9−C10位におけるシス−二重結合の律速的な形成を触媒する。好ましい基質は、ステアロイル−CoA及びパルミトイル−CoAであり、リン脂質、トリグリセリド、コレステロールエステル及びろうエステルの生合成における主要な成分としてオレオイル及びパルミトレオイル−CoAが生じる(Dobrzyn and Natami,Obesity Reviews,6:169−174(2005))。
【0003】
ラット肝臓のミクロソームSCDタンパク質は、1974年に最初に単離され、特徴づけられた(Strittmatter et al.,PNAS,71:4565−4569(1974))。それ以来、いろいろな種由来の多くのほ乳類SCD遺伝子がクローニングされ研究された。例えば、ラットから2種の遺伝子(SCD1及びSCD2、Thie de et al.,J.Biol.Chem.,261,13230−13235(1986)),Mihara,K.,J.Biochem.(Tokyo),108:1022−1029(1990));マウスから4種の遺伝子(SCD1、SCD2、SCD3及びSCD4)(Miyazaki et al.,J.Biol.Chem.,278:33904−33911(2003));ヒトから2種の遺伝子(SCD1及びACOD4(SCD2))(Zhang,et al.,Biochem.J.,340:255−264(1991);Beiraghi,et al.,Gene,309:11−21(2003);Zhang et al.,Biochem.J.,388:135−142(2005))が同定された。ラット及びマウスにおける脂肪酸代謝におけるSCDsの関与は1970年代から知られている(Oshino,N.,Arch.Biochem.Biophys.,149:378−387(1972))。これは、更に、a)SCD1遺伝子に自然変異を有するアセビアマウス(Zheng et al.,Nature Genetics,23:268−270(1999))、b)標的遺伝子欠失に由来するSCD1−ヌルマウス(Ntambi,et al.,PNAS,99:11482−11486(2002))、及び、c)レプチンに誘導される体重減少の間のSCD1発現抑制(Cohen et al.,Science,297:240−243(2002))、の生物学的研究によって支持されている。SCD活性の薬理学的阻害の潜在的利益は、マウスにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤(ASO)を用いて証明されている(Jiang,et al.,J.Clin.Invest.,115:1030−1038(2005))。SCD活性のASO阻害は、初代マウス肝細胞において、脂肪酸合成を減少し、脂肪酸の酸化を増加する。SCD−ASOsによるマウスの処理は、食餌に誘導される肥満症の予防、脂肪過多症、肝腫大、脂肪変性、食後の血漿インシュリン及びグルコース濃度の減少、デノボ脂肪酸合成の減少、脂質合成遺伝子の発現の減少及び肝臓及び脂肪組織におけるエネルギー消費を促進する遺伝子の発現の増加を招く。従って、SCDの阻害は、肥満症及び関連する代謝障害の治療における新規な治療方針となる。
【0004】
ヒトにおいて、上昇したSCD活性が、いくつかの一般の疾患プロセスに直接関係することを支持することを受け入れざるを得ない証拠がある。例えば、非アルコール性脂肪肝疾患の患者におけるトリグリセリドの分泌に対する肝臓の脂肪合成の増加がある(Diraison,et al.,Diabetes Metabolism,29:478−485(2003);Donnelly,et al.,J.Clin.Invest.,115:1343−1351(2005))。脂肪組織内において上昇したSCD活性は、インシュリン耐性の発生と密接に関連している(Sjogren,et al.,Diabetologia,51(2):328−35(2007))。食後のデノボ脂肪合成は、肥満症患者において有意に増加する(Marques−Lopes,et al.,American Journal of Clinical Nutrition,73:252−261(2001))。SCD遺伝子のノックアウトは、血漿トリグリセリドを減少し、体重を減少し、インシュリン感受性を増大することにより、メタボリックシンドロームを改善し、肝臓脂質の蓄積を減少する(MacDonald,et al.,Journal of Lipid Research,49(1):217−29(2007))。高いSCD活性と、血漿トリグリセリドの増加肥満度指数の高さ及び血漿HDLの減少を含む、心血管系リスクプロフィールの増加との間には顕著な相関性がある(Attie,et al.,J.Lipid Res.,43:1899−1907(2002))。SCD活性は、ヒトの形質転換細胞の増殖及び生存の制御において重要な役割を果たしている(Scaglia and Igal,J.Biol.Chem.,(2005))。SCD−1のRNA干渉は、ヒト腫瘍細胞の生存を減少させる(Morgan−Lappe,et al.,Cancer Research,67(9):4390−4398(2007))。
【0005】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド以外に、SCD活性の阻害剤には、非選択的チア脂肪酸基質類似体[B.Behrouzian and P.H.Buist,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:107−112(2003)]、シクロプロペノイド脂肪酸(Raju and Reiser,J.Biol.Chem.,242:379−384(1967))、特定の共役長鎖脂肪酸異性体(Park,et al.,Biochim.Biophys.Acta,1486:285−292(2000))、全てXenon Pharmaceuticals,Inc.又はXenon Pharmaceuticals,Inc./Novartis AGに譲渡された国際特許出願公開WO 2005/011653;WO2005/011654;WO2005/011656;WO2005/011656;WO2005/011657;WO2006/014168;WO2006/034279;WO2006/034312;WO2006/034315;WO2006/034338;WO2006/034341;WO2006/034440;WO2006/034441;WO2006/034446;WO2006/086445;WO2006/086447;WO2006/101521;WO2006/125178;WO2006/125179;WO2006/125180;WO2006/125181;WO2006/125194;WO2007/044085;WO2007/046867;WO2007/046868;WO2007/050124;WO2007/130075;WO2007/136746;WO2008/036715;WO2008/074835;WO2008/127349及び米国特許第7,456,180号並びに第7,390,813号に開示されている複素環式誘導体のシリーズが含まれる。
【0006】
肥満症及び2型糖尿病の治療に有用なSCD阻害剤を開示する、Merck Frosst Canada Ltd.に譲渡された多くの国際特許出願:WO2006/130986(2006年12月14日);WO2007/009236(2007年1月25日);WO2007/056846(2007年5月24日);WO2007/071023(2007年6月28日);WO2007/134457(2007年11月29日);WO2007/143823(2007年12月21日);WO2007/143824(2007年12月21日);WO2008/017161(2008年2月14日);WO2008/046226(2008年4月24日);WO2008/064474(2008年6月5日);WO2008/089580(2008年7月31日);WO2008/128335(2008年10月30日);WO2008/141455(2008年11月27日);米国特許出願公開2008/0132542(2008年6月5日);米国特許出願公開2008/0182838(2008年7月31日)及びWO2009/012573(2009年1月29日)も公開されている。
【0007】
WO2008/003753(Novartisに譲渡)は、SCD阻害剤としての一連のピラゾロ[1,5−a]ピリミジン類似体を開示しており;WO2007/143597及びWO2008/024390(Novartis AG及びXenon Pharmaceuticalsに譲渡)は、SCD阻害剤としての複素環式誘導体を開示しており;WO2008/096746(武田薬品工業株式会社に譲渡)は、SCD阻害剤としてのスピロ化合物を開示している。
【0008】
SCD阻害剤を開示する、更なる国際特許出願:WO2008/062276(Glenmark;2008年5月29日);WO2008(Glenmark;2008年3月13日);WO2008/003753(Biovitrum AB;2008年1月10日);WO2008/135141(Sanofi−Aventis;2008年11月13日);WO2008/157844(Sanofi−Aventis;2008年12月24日);WO2008/104524(SKB;2008年9月4日);WO2008/074834(SKB;2008年6月26日);WO2008/074833(SKB;2008年6月26日);WO2008/074832(SKB;2008年6月26日);WO2008/074824(SKB;2008年6月26日);WO2009/0010560(SKB;2009年1月22日);WO2009/016216(SKB;2009年2月5日)及びWO2008/139845(第一三共株式会社;2008年11月20日)が公開されている。
【0009】
低分子量のSCD阻害剤も、(a)G.Liu,et al.,”Discovery of Potent,Selective,Orally Bioavailable SCD1 Inhibitors,”in J.Med.Chem.,50:3086−3100(2007);(b)H.Zhao,et al.,”Discovery of 1−(4−phenoxypiperidin−1−yl)−2−arylaminoethanone SCD 1 inhibitors,”Bioorg.Med.Chem.Lett.,17:3388−3391(2007)、及び、(c)Z.Xin,et al.,”Discovery of piperidine−aryl urea−based stearoyl−CoA desaturase 1 inhibitors,”Bioorg.Med.Chem.Lett.,18:4298−4302(2008)により開示されている。
【0010】
本発明は、ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤としての新規な複素環式芳香族化合物に関し、これは、非アルコール性脂肪肝疾患、循環器病、肥満症、糖尿病、メタボリックシンドローム及びインシュリン耐性として例示される脂質濃度の上昇が含まれ、これらに限定されない、SCD活性により介在される種々の病状及び疾患の治療及び/又は予防に有用である。
【0011】
脂質代謝におけるステアロイル−補酵素Aデサチュラーゼの役割は、M.Miyazaki and J.M.Ntambi,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:113−121(2003)に開示されている。SCD活性の薬理学的処置の治療上の可能性は、A.Dobrzyn and J.M.Ntambi,in“Stearoyl−CoA desaturase as a new drug target for obesity treatment,”Obesity Reviews,6:169−174(2005)に開示されている。
【発明の開示】
【0012】
発明の要旨
本発明は、構造式I:
【0013】
【化1】

の置換複素環式芳香族化合物に関する。
【0014】
これらの置換複素環式芳香族化合物は、SCDの阻害剤として効果的である。従って、それらは、2型糖尿病、インシュリン耐性、高血糖症、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームのような、SCDの阻害に応答する疾患の治療、抑制又は予防に有用である。
【0015】
本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
【0016】
本発明は、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、治療、抑制又は予防を必要とする患者における、SCDの阻害に応答する障害、疾患又は病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0017】
本発明は、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、2型糖尿病、インシュリン耐性、高血糖症、肥満症、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0018】
本発明は、本発明の化合物を、肥満症を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、肥満症を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0019】
本発明は、本発明の化合物を、2型糖尿病を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、2型糖尿病を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0020】
本発明は、本発明の化合物を、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、アテローム性動脈硬化症を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0021】
本発明は、本発明の化合物を、脂質障害を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、脂質障害を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0022】
本発明は、本発明の化合物を、メタボリックシンドロームを治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、メタボリックシンドロームを治療する方法にも関する。
【0023】
発明の詳細な記載
本発明は、SCDの阻害剤として有用な、新規の置換複素環式芳香族化合物に関する。本発明の化合物は、構造式I:
【0024】
【化2】

[式中、
XはNHであり、YはCであり、ZはN又はCRであり:
又は、X及びZは、それぞれCRであり、YはNであり;
Wは:
【0025】
【化3】

(式中、各Rは、独立して:
水素、
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシからなる群から選択される)からなる群から選択される残基であり;
、R及び各Rは、それぞれ独立して:
水素、
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシからなる群から選択され;
は:
−SOシクロプロピル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよい−SC1−3アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよい−S(O)C1−3アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよい−SO1−3アルキル、及び
−SONR(ここで、各Rは独立して水素又はC1−3アルキルである)からなる群から選択され;
は:
シクロペンテニル、
シクロヘキセニル、
フェニル、及び
ピリジル、
ピリミジニル、
ピリダジニル、
ピラジニル、
フリル、
チエニル、
チアゾリル、
オキサゾリル、
イソキサゾリル、
イソチアゾリル、
イミダゾリル、及び
ピラゾリルからなる群から選択されるヘテロアリール、からなる群から選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ及びC1−3アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい(ここで、アルキルは1〜5個のフッ素で置換されていてもよい)]及び薬学的に許容されるその塩により表わされる。
【0026】
本発明の化合物の一実施態様においては、構造式(Ia):
【0027】
【化4】

及び薬学的に許容されるその塩(式中、Z、R、R、R及びRは前述した通りである)により表わされ、XはNHであり、YはCであり、ZはN又はCRである。
【0028】
この実施態様の一つのクラスにおいては、ZはCRであり、Rは−SOCH又は−SOシクロプロピルである。
【0029】
この実施態様の第2のクラスにおいては、ZはCHであり、R及びRは、それぞれ水素である。この実施態様の第2のクラスの一つのサブクラスにおいては、Rは−SOCH又は−SOシクロプロピルである。
【0030】
この実施態様の第3のクラスにおいては、Wは
【0031】
【化5】

である。
【0032】
この実施態様の第3のクラスの一つのサブクラスにおいては、各Rは水素である。この実施態様の第3のクラスの他のサブクラスにおいては、Wは
【0033】
【化6】

である。
【0034】
このサブクラスの一つのサブクラスにおいては、各Rは水素である。
【0035】
この実施態様の第4のクラスにおいては、Rは、フッ素及び塩素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである。
【0036】
この実施態様の第五のクラスにおいては、ZはCRであり;
Wは
【0037】
【化7】

であり、
は、塩素及びフッ素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルであり、
は−SOCH又は−SOシクロプロピルであり;
ここで、R及びRは前記で定義した通りである。
【0038】
この実施態様の第5のクラスの一つのサブクラスにおいては、R、R、R及びRは、それぞれ水素である。
【0039】
本発明の化合物の第2の実施態様においては、構造式(Ib):
【0040】
【化8】

(式中、R、R、R、R及びRは前述した通りである)及び薬学的に許容されるその塩により表わされ、X及びZは、それぞれCRであり、YはNである。
【0041】
この第2の一つのクラスにおいては、Rは−SOCH又は−SOシクロプロピルである。
【0042】
この第2の実施態様の第2のクラスにおいては、R、R及び各Rは、それぞれ水素である。この実施態様の第2のクラスの一つのサブクラスにおいては、Rは−SOCH又は−SOシクロプロピルである。
【0043】
この第2の実施態様の第3のクラスにおいては、Wは
【0044】
【化9】

である。
【0045】
この第2の実施態様の第3のクラスの一つのサブクラスにおいては、各Rは水素である。この第2の実施態様の第3のクラスの他のサブクラスにおいては、Wは
【0046】
【化10】

である。
【0047】
このサブクラスの一つのサブクラスにおいては、各Rは水素である。
【0048】
この第2の実施態様の第4のクラスにおいては、Rは塩素及びフッ素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである。
【0049】
この第2の実施態様の第5のクラスにおいては、Wは
【0050】
【化11】

であり;
は塩素及びフッ素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルであり;
は−SOCH又は−SOシクロプロピルであり;
ここで、Rは前記に定義した通りである。
【0051】
この第2の実施態様の第5のクラスの一つのサブクラスにおいては、R、R、R及び各Rは、それぞれ水素である。
【0052】
実例であるが非限定的なSCDの阻害剤として有用な本発明の化合物は以下の:
【0053】
【化12】

及び薬学的に許容されるその塩である。
【0054】
本明細書で用いられる場合、下記の定義が適用される。
【0055】
「アルキル」並びにアルコキシ及びアルカノイルのような接頭辞「アルカ(alk)」を有する他の基は、炭素鎖を特に定義しない限り、直鎖又は分岐鎖、及びそれらの組み合わせである炭素鎖を意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。炭素原子の数が特定されていない場合、C1−6を意味する。
【0056】
「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が含まれる。シクロアルキル基は、特に示さない限り、一般に単環式である。シクロアルキル基は、特に示さない限り飽和である。
【0057】
「アルケニル」なる用語は、特定の数の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖アルケンを意味する。アルケニルの具体例には、ビニル、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等が含まれる。
【0058】
「アルコキシ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルコキシ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルコキシド[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシ等]を意味する。
【0059】
「アルキルチオ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルチオ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフィド[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオ等]を意味する。
【0060】
「アルキルアミノ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルアミノ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルアミン[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ等]を意味する。
【0061】
「アルキルスルホニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルホニル)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホン[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル等]を意味する。
【0062】
「アルキルスルフィニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルフィニル)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホキシド[すなわち、メチルスルフィニル(MeSO−)、エチルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル等]を意味する。
【0063】
「アルキルオキシカルボニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はこの範囲内の任意の数の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分岐鎖エステル[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル]を意味する。
【0064】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。塩素及びフッ素が、一般的に好ましい。ハロゲンがアルキル又はアルコキシ基上において置換される場合、フッ素が最も好ましい(例えば、CFO及びCFCHO)。
【0065】
構造式Iの化合物は、1個以上の不斉中心を含んでいてもよく、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、構造式Iの化合物のこのような全ての異性体形態を含むことを意味する。
【0066】
構造式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール又は酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶又は光学活性固定相を用いたキラルクロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーに分離することができる。絶対的立体化学は、必要であれば、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される結晶生成物又は結晶性中間体のX−線結晶学によって決定することができる。
【0067】
また、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、既知の絶対配置の光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いて、立体特異的な合成により製造することができる。
【0068】
所望であれば、個々の光学異性体を単離するように、化合物のラセミ混合物を分離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングしてジアステレオマー混合物を生成し、分別結晶又はクロマトグラフィーなどの標準的な方法により個々のジアステレオマーを分離する等の、当該技術分野において周知の方法により実施することができる。カップリング反応は、しばしば鏡像異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成である。次いで、加えられたキラルな残基の切断により、ジアステレオマー誘導体を純粋な鏡像異性体に変換する。化合物のラセミ混合物は、また、当該技術分野において周知なキラル固定相を用いたクロマトグラフィー法によっても直接分離することができる。
【0069】
本明細書に開示された化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含んでおり、特に示さない限りはE及びZ幾何異性体を含むことを意味する。
【0070】
本明細書に開示された化合物のいくつかは、1個以上の二重結合シフトに付随して起こる水素の異なる結合点を有する互変異性体として存在し得る。例えば、ケトン及びそのエノール体はケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体及びその混合物は、本発明の化合物に含まれる。本発明の化合物の範囲に包含されることが意図される互変異性体の例を以下に示す:
【0071】
【化13】

【0072】
本明細書で用いられる場合、構造式Iの化合物への言及は、薬学的に許容される塩、及びそれらがフリーの化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩への前駆体として又は他の合成操作において用いられる場合、薬学的に許容されない塩をも含むことが理解されるであろう。
【0073】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機又は有機塩基並びに無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される無毒の塩基又は酸から製造される塩を意味する。「薬学的に許容される塩」なる用語に含まれる塩基性化合物の塩は、一般的にフリーの塩基を適切な有機又は無機酸と反応させることにより製造される本発明の化合物の無毒の塩を意味する。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオダイド、吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明の化合物が酸部分を有する場合は、適切な薬学的に許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、マンガン塩、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の無機塩基に由来する塩が含まれるがこれらに限定されない。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機の無毒の塩基に由来する塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等のような一級、二級及び三級アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂が含まれる。
【0074】
また、本発明の化合物の中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、メチル、エチル又はピバロイルオキシメチルのようなカルボン酸誘導体、又はアセチル、ピバロイル、ベンゾイル及びアミノアシルのようなアルコールのアシル誘導体の薬学的に許容されるエステルを用いることができる。徐放製剤又はプロドラッグ製剤として用いるための溶解性又は加水分解特性を修飾するために当業界で公知のエステル及びアシル基が含まれる。
【0075】
なお、構造式Iの化合物の溶媒和物、特に水和物も本発明に含まれる。
【0076】
本発明の化合物は、阻害を必要とするほ乳類等の患者にこの化合物の有効量を投与することを含む、ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ酵素(SCD)を阻害する方法において有用である。従って、本発明の化合物は、高いか又は異常なSCD酵素活性により介在される病状及び疾患の抑制、予防及び/又は治療に有用である。
【0077】
従って、本発明の一態様は、構造式Iの化合物又はその薬学的塩又は溶媒和物の有効量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、高血糖症、糖尿病又はインシュリ ン耐性を治療する方法に関する。
【0078】
本発明の第2の態様は、構造式Iの化合物の抗糖尿病に有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類の患者において非−インシュリン依存性糖尿病(2型糖尿病)を治療する方法に関する。
【0079】
本発明の第3の態様は、構造式Iの化合物を、肥満症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において肥満症を治療する方法に関する。
【0080】
本発明の第4の態様は、構造式Iの化合物を、メタボリックシンドローム及びその後遺症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者においてメタボリックシンドローム及びその後遺症を治療する方法に関する。メタボリックシンドロームの後遺症には、高血圧症、血糖値の上昇、高トリグリセリド血症、及び低レベルのHDLコレステロールが含まれる。
【0081】
本発明の第五の態様は、構造式Iの化合物を、脂質障害の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療する方法に関する。
【0082】
本発明の第六の態様は、構造式Iの化合物を、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、アテローム性動脈硬化症を治療する方法に関する。
【0083】
本発明の第七の態様は、構造式Iの化合物を、癌の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、癌を治療する方法に関する。
【0084】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、病状の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インシュリン耐性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)メタボリックシンドローム、及び(24)インシュリン耐性が要素である他の病状及び障害、からなる群から選択される病状を治療する方法に関する。
【0085】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、病状の発生を遅延するのに有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インシュリン耐性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)メタボリックシンドローム、及び(24)インシュリン耐性が要素である他の病状及び障害、からなる群から選択される病状の発生を遅延する方法に関する。
【0086】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、病状の発現を減少するのに有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インシュリン耐性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)メタボリックシンドローム、及び(24)インシュリン耐性が要素である他の病状及び障害、からなる群から選択される病状の発現の危険性を減少する方法に関する。
【0087】
ヒトのような霊長類に加え、本発明の方法により他の種々のほ乳類を治療することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、馬、犬、猫、モルモット、ラット又は他のウシ、ヒツジ、馬、犬、猫、マウス等のげっし類を含むが、これらに限定されない他のほ乳類を治療することができる。しかし、鳥類(例えば、ニワトリ)等の他の種でも実施され得る。
【0088】
更に、本発明は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、ヒト及び動物においてステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性を阻害する薬剤の製造方法に関する。特に、本発明は、ほ乳類において高血糖症、2型糖尿病、インシュリン耐性、肥満症及び脂質障害からなる群から選択される病状の治療に用いられる薬剤の製造における構造式Iの化合物の使用であって、前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される使用に関する。
【0089】
本発明の方法において治療される被験者は、一般に、ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害が望まれているほ乳類、好ましくはヒトの男性又は女性である。「治療に有効な量」なる用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって求められる組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘導する被検化合物の量を意味する。
【0090】
本明細書において用いられる場合、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定の量で含む生成物、及び特定の量における特定の成分の組み合わせから直接又は間接的にもたらされる任意の生成物を含むことが意図される。医薬組成物に関するこのような用語には、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物、並びに任意の2種以上の成分の組み合わせ、複合体生成又は凝集又は1種以上の成分の解離又は1種以上の成分の他のタイプの反応又は相互作用により直接又は間接的にもたらされる任意の生成物が含まれることが意図される。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを混合することによって製造される任意の組成物が含まれる。「薬学的に許容される」については、製剤の他の成分と適合性があり、受容者に対して有害でない担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。
【0091】
「化合物の投与」及び/又は「化合物を投与する」なる用語は、本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを治療を必要とする個体に与えることを意味すると理解すべきである。
【0092】
ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)酵素活性の阻害剤としての本発明の化合物の有用性は、以下のミクロソーム及び全細胞に基づくアッセイにより証明することができる。
【0093】
I.SCD酵素活性アッセイ
ステアロイル−CoAデサチュラーゼに対する、式Iの化合物の有効性は、いくらかの修飾をした、開示された方法(Joshi, et al.,J.Lipid Res.,18:32−36(1977);Talamo,et al.,Anal.Biochem,29:300−304(1969))に従い、ラット肝臓ミクロソーム又はヒトSCD1(hSCD−1)を用いた、放射性同位元素で標識したステアロイル−CoAのオレオイル−CoAへの変換を測定することにより測定した。肝臓ミクロソームは、3日間、高炭水化物食餌(LabDiet#5803,Purina)を与えた、オスのWistar又はSpraque Dawleyラットから調製した。肝臓を、250mM ショ糖、1mM EDTA、5mM DTT及び50mM Tris−HCl(pH7.5)を含むバッファー中(1:10w/v)で均質化した。100,000×gで60分間遠心分離した後、肝臓ミクロソーム沈殿物を、100mM リン酸ナトリウム、20%グリセロール、2mM DTTを含むバッファー中に懸濁し、−78℃に保存した。ヒトSCD1デサチュラーゼシステムを、バキュロウイルス/Sf9発現システム由来のヒトSCD1、チトクロームB5及びチトクロームB5レダクターゼを用いて再構築した。通常は、DMSO 2μL中の試験化合物を、100mM Tris−HCl(pH7.5)、ATP(5mM)、補酵素−A(0.1mM)、Triton X−100(0.5mM)及びNADH(2mM)を含むバッファー中のSCD酵素180μLと、室温で15分間インキュベートした。[H]−ステアロイル−CoA 20μL(最終濃度=2μM、放射活性濃度=1μCi/mL)を加えることにより反応を開始した。10分後、反応混合物(80μL)を、塩化カルシウム/木炭水性懸濁液(木炭100μL(10%w/v)にCaCl(2N)25μLを加える)と混合した。遠心して沈殿させた後、放射活性脂肪酸種、SCD酵素により9,10−[H]−ステアロイル−CoAから放出されたトリチウム化水をシンチレーションカウンターで定量した。
【0094】
II.全細胞に基づくSCD(デルタ−9)、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼアッセイ
ヒトHepG2細胞を、96ウェルプレートで、10%の加熱不活性化したウシ胎児血清を補充したMEM培地(Gibcoカタログ番号11095−072)中、加湿したインキュベータ内で37℃、5%CO下で培養した。培地に溶解した試験化合物を、サブコンフルエント状態の細胞と、37℃で15分間インキュベートした。[1−14C]−ステアリン酸を、各ウェルに最終濃度0.05μCi/mLとなるように加え、SCDが触媒する[14C]−オレイン酸の形成を検出した。0.05μCi/mLの[1−14C]−エイコサトリエン酸又は[1−14C]−リノレン酸及び10μMの2−アミノ−N−(3−クロロフェニル)ベンズアミド(デルタ5−デサチュラーゼ阻害剤)を、それぞれ、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼ活性の指標とするために用いた。37℃で4時間インキュベートした後、培養培地を除去し、標識化された細胞を、室温でPBS(3×1mL)で洗浄した。標識化された細胞脂質を、400μLの2N水酸化ナトリウム及び50μLのL−α−ホスファチジルコリン(イソプロパノール中2mg/mL、Sigma#P−3556)を用いて65℃で1時間、窒素雰囲気下で加水分解した。リン酸(60μL)を用いて酸性化した後、300μLのアセトニトリルを用いて放射活性種を抽出し、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えたHPCLにより定量した。[14C]−ステアリン酸を超える[14C]−オレイン酸、[14C]−エイコサトリエン酸を超える[14C]−アラキドン酸及び[14C]−リノレン酸を超える[14C]−エイコサテトラエン酸(8,11,14,17)のレベルを、それぞれ、SCD、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼの対応する活性指数として用いた。
【0095】
式IのSCD阻害剤、特に実施例1〜30の阻害剤は、1μM未満、更に典型的には0.1μM未満の阻害定数IC50を示す。一般に、式Iの化合物、特に実施例1〜30の化合物についてのSCDに対するデルタ−5又はデルタ−6についてのIC50比は少なくとも約10以上であり、好ましくは約100以上である。
【0096】
本発明の化合物の生体内における効果
式Iの化合物の生体内における効果は、以下に示すように、動物において[1−14C]−ステアリン酸の[1−14C]オレイン酸への変換の後に測定された。式Iの化合物をマウスに投与し、1時間後に放射活性トレーサー[1−14C]−ステアリン酸を20μCi/kgで静脈注射した。化合物の投与3時間後、肝臓を集め、10N水酸化ナトリウム中で80℃で24時間加水分解し、全肝臓脂肪酸のプールを得た。抽出物のリン酸による酸性化の後、[1−14C]−ステアリン酸及び[1−14C]−オレイン酸の量を、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えるHPLCにより定量した。
【0097】
更に、本発明の化合物は、他の薬剤と組み合わせて、前述した疾患、障害及び病状の予防又は治療に有用である。
【0098】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬剤が有用性を有する疾患又は病状の治療、予防、鎮静又は改善において1種以上の他の薬剤と併用して用いることができ、薬剤の組み合わせは、それぞれの薬剤単独の場合よりも安全であり又はより効果的である。このような他の薬剤は、それらが通常に用いられる投与経路及び量で、式Iの化合物と同時又は連続的に投与することができる。式Iの化合物を1種以上の他の化合物と同時に用いる場合、このような他の薬剤及び式Iの化合物を含む単一の投与形態における医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法には、式Iの化合物と1種以上の他の薬剤とを一部が重複する別々のスケジュールで投与する療法も含まれる。1種以上の他の活性成分を併用して用いる場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれを単独で用いる場合よりも低い用量で用い得ることも意図される。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含む組成物が含まれる。
【0099】
別々に投与されるか、同一の医薬組成物内で投与されるかのいずれかで式Iの化合物と組み合わせて投与することのできる他の活性成分には、
(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤;
(b)(i)グリタゾン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン等)のようなPPARγアゴニスト、及びKRP−297、ムラグリタザル、ナベグリタザル、ガリダ、TAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト及びWO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408及びWO2004/066963に開示されたような選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)を含む他のリガンド;(ii)メトホルミン及びフェンホルミンのようなビグアニド、及び(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤を含むインシュリン増感剤;
(c)インシュリン又はインシュリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素、並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、ナテグリニド及びレパグリニド等のメグリチニド類のようなインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトール等):
(f)WO98/04528、WO99/01423、WO00/39088及びWO00/69810に開示された化合物のような、グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣薬、並びにエキセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO00/42026及びWO00/59887に開示された化合物のようなGLP−1受容体アゴニスト;
(h)WO00/58360に開示されている化合物のようなGIP及びGIP模倣薬、並びにGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬及びWO01/23420に開示されているようなPACAP受容体アゴニスト;
(j)以下のコレステロール低下薬:(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン並びに他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はそれらの塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザル及びムラグリタザルのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)ベータ−シトステロール及びエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)プロブコールのような抗酸化剤;
(k)WO97/28149に開示された化合物のようなPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト等)及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストのような抗肥満化合物;
(m)回腸型胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)アスピリン、非ストロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤のような炎症状態に用いられることを意図する薬剤;
(o)ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬のような降圧剤;
(p)WO03/015774;WO04/076420及びWO04/081001に開示された化合物のようなグルコキナーゼ活性化剤(GKAs);
(q)米国特許第6,730,690号;WO03/104207及びWO04/058741に開示された化合物のような、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型の阻害剤;
(r)トルセトラピブのようなコレステリルエステル輸送タンパク(CETP)阻害剤;
(s)米国特許第6,054,587号;第6,110,903号;第6,284,748号;第6,399,782号及び第6,489,476号に開示された化合物のような、フルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;
(u)AMPK活性剤、及び
(v)GPR−119のアゴニスト、が含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
構造式Iの化合物と併用することのできるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤には、米国特許第6,699,871号;WO02/076450(2002年10月3日);WO03/004498(2003年1月16日);WO03/004496(2003年1月16日);EP1258476(2002年11月20日);WO02/083128(2002年10月24日);WO02/062764(2002年8月15日);WO03/000250(2003年1月3日);WO03/002530(2003年1月9日);WO03/002531(2003年1月9日);WO03/002553(2003年1月9日);WO03/002593(2003年1月9日);WO03/000180(2003年1月3日);WO03/082817(2003年10月9日);WO03/000181(2003年1月3日);WO04/007468(2004年1月22日);WO04/032836(2004年4月24日);WO04/037169(2004年5月6日)及びWO04/043940(2004年5月27日)に開示されているものが含まれる。特定のDPP−IV阻害剤化合物には、シタグリプチン(MK−0431);ビルダグリプチン(LAF237);デナグリプチン;P93/01;サキサグリプチン(BMS477118);RO0730699;MP513;SYR−322;ABT−279;PHX1149;GRC−8200及びTS021が含まれる。
【0101】
構造式Iの化合物と併用することのできる抗肥満化合物には、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストが含まれる。構造式Iの化合物と併用することのできる抗肥満化合物の概説については、S.Chaki et al.,”Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);D.Spanswick and K.Lee,”Emerging antiobesity drugs,”Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003)及びJ.A.Fernandez−Lopez,et al.,”Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,”Drugs,62:915−944(2002)を参照されたい。
【0102】
構造式Iの化合物と併用することのできる神経ペプチドY5アンタゴニストには、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及びWO01/14376(2001年3月1日)に開示された化合物;並びにGW59884A;GW569180A;LY366377及びCGP−71683Aとして同定された特定の化合物が含まれる。
【0103】
式Iの化合物と併用することのできるカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストには、PCT国際公開WO03/007887;リモナバントのような米国特許第5,624,941号;SLV−319のようなPCT国際公開WO02/076949;米国特許第6,028,084号;PCT国際公開WO98/41519;PCT国際公開WO00/10968;PCT国際公開WO99/02499;米国特許第5,532,237号;米国特許第5,292,736号;PCT国際公開WO03/086288;PCT国際公開WO03/087037;PCT国際公開WO04/048317;PCT国際公開WO03/007887;PCT国際公開WO03/063781;PCT国際公開WO03/075660;PCT国際公開WO03/077847;PCT国際公開WO03/082190;PCT国際公開WO03/082191;PCT国際公開WO03/087037;PCT国際公開WO03/086288;PCT国際公開WO04/012671;PCT国際公開WO04/029204;PCT国際公開WO04/040040;PCT国際公開WO01/64632;PCT国際公開WO01/64633及びPCT国際公開WO01/64634に開示されるものが含まれる。
【0104】
本発明において有用なメラノコルチン−4受容体(MC4R)アゴニストには、全体として本明細書に参考文献として組み入れられる、米国特許第6,294,534号、米国特許第6,350,760号、第6,376,509号、第6,410,548号、第6,458,790号、米国特許第6,472,398号、米国特許第5837521号、米国特許第6699873号;全体として本明細書に参考文献として組み入れられる、米国特許出願公開第2002/0004512号、第2002/0019523号、第2002/0137664号、第2003/0236262号、第2003/0225060号、第2003/0092732号、第2003/109556号、第2002/0177151号、第2002/187932号、第2003/0113263号及びWO99/64002、WO00/74679、WO02/15909、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、WO2004/024720、WO2004/089307、WO2004/078716、WO2004/078717、WO2004/037797、WO01/58891、WO02/070511、WO02/079146、WO03/009847、WO03/057671、WO03/068738、WO03/092690、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/085925、WO03/004480、WO03/009850、WO03/013571、WO03/031410、WO03/053927、WO03/061660、WO03/066597、WO03/094918、WO03/099818、WO04/037797、WO04/048345、WO02/018327、WO02/080896、WO02/081443、WO03/066587、WO03/066597、WO03/099818、WO02/062766、WO03/000663、WO03/000666、WO03/003977、WO03/040107、WO03/040117、WO03/040118、WO03/013509、WO03/057671、WO02/079753、WO02//092566、WO03/−093234、WO03/095474及びWO03/104761に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
併用療法の1つの特定の態様は、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療に有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される病状の治療方法に関する。
【0106】
特に、この併用療法の態様は、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される病状の治療方法であって、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法に関する。
【0107】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療に有効な量を治療を必要とするほ乳類患者に投与することを含む、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症及びこのような病状の後遺症からなる群から選択される病状の発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0108】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療に有効な量をヒト患者に投与することを含む、治療を必要なヒト患者における、アテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0109】
特に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンから選択されるスタチンである、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0110】
本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、更にコレステロール吸収阻害剤を投与することを含む、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0111】
特に、本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0112】
本発明の他の態様においては、
(1)構造式Iの化合物;
(2)
(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;
(b)(i)グリタゾン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン等)のようなPPARγアゴニスト、並びにKRP−297、ムラグリタザル、ナベグリタザル、ガリダ、TAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト並びにWO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408及びWO2004/066963に開示されたような選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)を含む他のリガンド;(ii)メトホルミン及びフェンホルミンのようなビグアニド、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、を含むインシュリン増感剤;
(c)インシュリン又はインシュリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素、並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及びナテグリニド及びレパグリニドのようなメグリチニド類のようなインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトール等):
(f)WO98/04528、WO99/01423、WO00/39088及びWO00/69810に開示された化合物のような、グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣薬、並びにエキセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO00/42026及びWO00/59887に開示された化合物のようなGLP−1受容体アゴニスト;
(h)WO00/58360に開示されている化合物のようなGIP及びGIP模倣薬、並びにGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬及びWO01/23420に開示されている化合物のようなPACAP受容体アゴニスト;
(j)以下のコレステロール低下薬:(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン及び他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はそれらの塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザル及びムラグリタザルのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)β−シトステロール及びエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)プロブコールのような抗酸化剤;
(k)WO97/28149に開示された化合物のようなPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト等)、並びにメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストのような抗肥満化合物;
(m)回腸型胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤のような炎症状態に用いられることを意図する薬剤;
(o)例えば、ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル及びタンドラプリル等)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン等)、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬のような降圧剤;
(p)WO03/015774;WO04/076420及びWO04/081001に開示された化合物のようなグルコキナーゼ活性化剤(GKAs);
(q)米国特許第6,730,690号;WO03/104207及びWO04/058741に開示された化合物のような、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型の阻害剤;
(r)トルセトラピブのようなコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)の阻害剤;
(s)米国特許第6,054,587号;第6,110,903号;第6,284,748号;第6,399,782号及び第6,489,476号に開示された化合物のような、フルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;
(u)AMPK活性剤、及び
(v)GPR−119のアゴニストからなる群から選択される化合物;並びに
(3)薬学的に許容される担体、
を含む医薬組成物が開示される。
【0113】
本発明の化合物が、1種以上の他の薬剤と同時に用いられる場合、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含むものも含まれる。
【0114】
第二の活性成分に対する本発明の化合物の重量比は変えることができ、それぞれの成分の有効投与量に依存するであろう。一般に、それぞれの有効濃度が用いられる。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と併用する場合、他の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は約1000:1〜約1:1000であり、好ましくは約200:1〜約1:200である。本発明の化合物及び他の活性成分の併用は、一般に前記範囲内であるが、各ケースにおいて、それぞれの活性成分の有効濃度を用いるべきである。
【0115】
本発明の化合物及び他の活性成分のこのような併用は、別個に又は一緒に投与することができる。更に、一成分の投与は、他の薬剤の投与の前、同時又は後であってもよい。
【0116】
本発明の化合物は、経口、非経口的(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射又は注入、皮下注射又は埋め込み)によって、吸入スプレー、鼻、膣、直腸、舌下又は局所的経路によって投与することができ、単独で又は一緒に、通常の無毒の薬学的に許容される担体、アジュバント及びそれぞれの投与経路に適した賦形剤を含む、適切な投与単位製剤中に製剤化され得る。マウス、ラット、馬、牛、羊、犬、猫、猿のような温血動物の治療に加え、本発明の化合物はヒトにおける利用に有効である。
【0117】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、投与単位形態中に好都合に存在することができ、薬学の分野において周知の任意の方法によって製造することができる。全ての方法は、活性成分を、1種以上の補助成分を構成する担体と関連させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方に均一及び均質に関連させ、必要であれば、生成物を所望の製剤に形成することによって製造される。医薬組成物においては、活性化合物は、疾患の進行又は病状について所望の効果をもたらすのに十分な量で、含まれる。本明細書で用いられる場合、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定量で含む生成物、及び特定量の特定成分の組み合わせに直接的又は間接的に由来する任意の生成物を含むことを意味する。
【0118】
活性成分を含む医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、薬用キャンディー、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル又はシロップ又はエリキシル剤のような経口的使用に適した形態であり得る。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための技術分野で公知の任意の方法によって製造することができ、このような組成物は、薬学的優雅さ及び味のよい製剤を提供するために、甘味剤、着香料、着色剤及び保存剤から選択される1種以上の成分を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した、無毒の薬学的に許容される賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;トウモロコシデンプン又はアルギン酸のような造粒剤及び崩壊剤;デンプン、ゼラチン又はアラビアゴムのような結合剤、及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような滑沢剤である。錠剤はコーティングされていなくてもよく、又は消化管内における崩壊及び吸収を遅延し、その結果、長期間にわたる持続する活性をもたらすように公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を用いることができる。それらはまた、制御放出のための浸透圧性治療用錠剤を形成するための米国特許第4,256,108号;第4,166,452号及び第4,265,874号に開示された技術によってコーティングすることもできる。
【0119】
経口用途のための製剤は、活性成分が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンのような不活性固体希釈剤として混合される硬ゼラチンカプセル、又は活性成分が水又はピーナッツ油、流動パラフィン又はオリーブ油のような油性媒体と混合される軟ゼラチンカプセルとして存在してもよい。
【0120】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性成分を含む。このような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムのような懸濁剤であり;分散剤又は湿潤剤は、レシチンのような天然のホスファチド、ステアリン酸ポリオキシエチレンのようなアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、ヘプタデカエチレンオキシセタノールのようなエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、又は脂肪酸及びポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのようなエチレンオキシドとヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、ポリエチレンソルビタンモノオレートのようなエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物である。また、水性懸濁液は、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸のような1種以上の保存剤、1種以上の着色剤、1種以上の着香料及びショ糖又はサッカリン等の1種以上の甘味剤を含んでもよい。
【0121】
油性懸濁液は、活性成分を、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はやし油のような植物性油脂、又は流動パラフィンのような鉱油に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は、ミツロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含んでもよい。味のよい経口製剤を得るために、前述したような甘味剤及び着香料を加えてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を添加することにより保存することができる。
【0122】
水を加えることにより水性懸濁液の製造に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存剤と混合された活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に前記に例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、着香料及び着色剤を存在させてもよい。
【0123】
本発明の医薬組成物は、水中油型のエマルジョンの形態であってもよい。油相は、オリーブ油、ラッカセイ油のような植物性油脂、又は流動パラフィンのような鉱油又はそれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、アラビアゴム又はトラガカントゴムのような天然のゴム、大豆、レシチンのような天然のホスファチド、モノオレイン酸ソルビタンのような脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来するエステル又は部分エステル、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレートのような前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物であってもよい。エマルジョンは、甘味剤及び着香料を含んでもよい。
【0124】
シロップ及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖のような甘味剤を用いて製剤化することができる。このような製剤は、鎮痛剤、保存剤及び着香料及び着色剤を含んでもよい。
【0125】
医薬組成物は、無菌の注射用の水性又は油性懸濁液であってもよい。この懸濁液は、前述した、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、当該技術分野において公知の方法に従って製造することができる。無菌の注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような無毒の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。用いることのできる許容される担体及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。更に、無菌の不揮発油が、溶媒又は懸濁媒体として従来から用いられる。この目的のため、合成のモノ−又はジグリセリドを含む、無刺激性の不揮発油を用いることができる。更に、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用製剤における用途がある。
【0126】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与のための座薬の形態で投与することもできる。これらの組成物は、薬剤を、常温では固体であるが、直腸温度で液体であり、その結果直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって製造することができる。このような物質は、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0127】
局所用途のために、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等が用いられる(この用途の目的のため、局所適用には、マウスウォッシュ及びうがい薬が含まれるべきである)。
【0128】
本発明の医薬組成物及び方法は、更に、本明細書に示された、前記病理状態の治療に通常に用いられる他の治療的に活性な化合物を含んでもよい。
【0129】
ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害を必要とする病状の治療又は予防において、適切な投与レベルは、一般に1日あたり約0.01〜500mg/患者の体重1kgであり、単一又は複数の投与において投与することができる。好ましくは、投与レベルは、1日あたり約0.1〜約250mg/kgであり、更に好ましくは1日あたり約0.5〜約100mg/kgである。適切な投与レベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、1日あたり約0.05〜100mg/kg又は1日あたり約0.1〜50mg/kgであってもよい。投与のこの範囲内で、投与量は、1日あたり0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kgであってもよい。経口投与については、治療される患者の投与量による症状の調節のために、組成物は、好ましくは、1.0〜1000mgの活性成分、特には1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。化合物は、1日に1〜4回の投与計画で、好ましくは1日に1又は2回の投与計画で投与することができる。
【0130】
真性糖尿病及び/又は高血糖症又は高トリグリセリド血症又は本発明の化合物を必要とする他の疾患を治療又は予防する場合、一般的に満足な結果は、本発明の化合物を、1日に約0.1mg〜約100mg/動物の体重1kg、好ましくは単一投与又は1日に2〜6回に分けて又は徐放形態で投与する場合に得られる。最も大きい動物について、1日の全投与量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成人のヒトの場合、1日の全投与量は一般に約7mg〜約350mgである。この投与計画は、最適な治療反応をもたらすように調整することができる。
【0131】
しかし、任意の特定の患者についての特定の投与レベル及び投与頻度は変化し得、用いられる特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康状態、性、食事、投与の様式及び時間、排泄速度、薬剤の併用、特定の病状の重症度及び宿主の経験した療法を含む種々の要因に依存するだろうことが理解されるであろう。
【0132】
本発明の化合物の製造
構造式Iの化合物は、適切な材料を用いて、以下のスキーム及び実施例の方法に従って製造することができ、以下の具体的な実施例によって更に説明する。しかし、実施例に説明される化合物は、本発明として考慮される種のみを製造するものとして解釈されない。実施例は、更に本発明の化合物の製造の詳細を説明する。当業者は、これらの化合物を製造するために、以下の製造方法の条件及び工程の公知の変形を用いることができることを容易に理解するであろう。特に示さない限り、全ての温度は摂氏である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレイイオン−質量分析(ESMS)により測定した。H NMRスペクトルは、400MHzにおいてBruker機器で記録した。
【0133】
【化14】

【0134】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供され、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものと解釈されるものでない。
【0135】
方法A:
【0136】
【化15】

【0137】
適切に置換されたジアミン1を、カルボン酸2及び触媒量のプロトン酸(例えば、ポリリン酸、硫酸及び塩酸)の存在下、高温(50〜150℃)に加熱し、ベンズイミダゾール3を生成する。
【0138】
方法B:
【0139】
【化16】

【0140】
適切に置換されたジアミン1を、アルデヒド4及び触媒量のプロトン酸(例えば、パラ−トルエンスルホン酸)又はルイス酸(例えば、クロロトリメチルシラン)の存在下、適切な双極性非プロトン性溶媒(DMF、DMA及びDMSO等)中、高温(50〜150℃)に加熱し、ベンズイミダゾール3を生成する。
【0141】
方法C:
【0142】
【化17】

【0143】
ハロゲン化アリール5の混合物を、適切なパラジウム触媒(例えば、Pddba、PdCl、Pd(OAc)及び[(アリル)PdCl])、ホスフィンリガンド(例えば、PPh、PCy、P(t−Bu)及びビフェニルP(Cy))及び塩基(例えば、KPO、CsCO、CsF及びKOt−Bu)の存在下、極性溶媒中、ボロン酸又はボロン酸エステルと加熱し、クロスカップリング生成物3を得る。
【0144】
方法D:
【0145】
【化18】

【0146】
2−アミノピリジン6の溶液を、アルファ−ハロケトンの存在下で加熱し、イミダゾロ[1,2−α]ピリジン7を得る。
【0147】
方法E:
【0148】
【化19】

【0149】
ハロゲン化アリール7の混合物を、適切なパラジウム触媒(例えば、Pddba、PdCl、Pd(OAc)及び[(アリル)PdCl])、ホスフィンリガンド(例えば、PPh、PCy、P(t−Bu)及びビフェニルP(Cy))及び塩基(例えば、KPO、CsCO、CsF及びKOt−Bu)の存在下、極性溶媒中、ボロン酸又はボロン酸エステルと加熱し、クロスカップリング生成物8を得る。
【0150】
実施例1
2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0151】
【化20】

【0152】
工程1:2’−フルオロビフェニル−4−カルバルデヒド
【0153】
【化21】

【0154】
磁気撹拌子を備えた100mLの圧力フラスコに、窒素雰囲気下、2−フルオロボロン酸(4.76g、34.1mmol)、4−ブロモベンズアルデヒド(5.25g、28.4mmol)、PdCl(dppf)(1.16g、1.42mmol)及びDMF(40mL)を加えた。溶液を2M炭酸ナトリウム水溶液(28mL、56.8mmol)で処理し、バイアルを密封し、90℃で16時間加熱した。冷却した混合物を、水(125mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。ヘキサン中の0%EtOAc〜ヘキサン中の20%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を固体として得た。
【0155】
工程2:6−ブロモ−2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−1H−ベンズイミダゾール
【0156】
【化22】

【0157】
磁気撹拌子を備えた、5mLのマイクロ波フラスコに、DMF(2mL)中の4−ブロモベンゼン−1,2−ジアミン(200mg、1.07mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(20mg、0.11mmol)及び2’−フルオロビフェニル−4−カルバルデヒド(214mg、1.07mmol)を加えた。バイアルを密封し、マイクロ波照射下、100℃で加熱した。冷却した混合物を、水(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。トルエン中の10%MeCNで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z367,369(M+1).
【0158】
工程3:2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
磁気撹拌子を備えた、10mLの密封可能な圧力フラスコに、窒素雰囲気下、DMSO(2mL)中、6−ブロモ−2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−1H−ベンズイミダゾール(100mg、0.272mmol)、メタンスルフィナートナトリウム(56mg、0.545mmol)、銅(I)トリフルオロメタンスルホネートベンゼン錯体(137mg、0.272mmol)及びトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(65μL、0.545mmol)を加えた。フラスコの内容物を窒素雰囲気下で10分間パージし、得られた懸濁液を130℃で6時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。ヘキサン中の20%EtOAc〜ヘキサン中の50%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を固体として得た。
HNMR(400MHz,d−アセトン):δ8.39−8.37(2H,m),8.23(1H,s),7.84−7.81(4H,m),7.67−7.63(1H,m),7.50−7.46(1H,m),7.38−7.30(2H,m),3.17(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z367(M+1).
【0159】
実施例2
6−(シクロプロピルスルホニル)−2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−1)−1H−ベンズイミダゾール
【0160】
【化23】

【0161】
磁気撹拌子を備えた、10mLの密封可能な圧力フラスコ内に、窒素雰囲気下、DMSO(2mL)中、6−ブロモ−2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−1H−ベンズイミダゾール(100mg、0.272mmol)、シクロプロピルスルフィナートナトリウム(69mg、0.545mmol)、銅(I)トリフルオロメタンスルホネートベンゼン錯体(137mg、0.272mmol)及びトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(65μL、0.545mmol)を加えた。フラスコの内容物を、窒素雰囲気下、10分間パージし、得られた懸濁液を130℃で6時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。ヘキサン中の20%EtOAc〜ヘキサン中の50%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を固体として得た。
HNMR(400MHz,d−アセトン):δ8.40−8.38(2H,m),8.26−8.10(2H,bm),7.83−7.80(3H,m),7.68−7.64(1H,m),7.50−7.47(1H,m),7.38−7.29(2H,m),2.76−2.73(1H,m),1.24−1.21(2H,m),1.08−1.06(2H,m).
MS(ESI,Q)m/z393(M+1).
【0162】
実施例3
2−ビフェニル−4−イル−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0163】
【化24】

【0164】
工程1:4−(メチルスルホニル)−2−ニトロアニリン
【0165】
【化25】

【0166】
磁気撹拌子を備えた、10mLの圧力フラスコに、4−フルオロ−3−ニトロフェニルメチルスルホン(2.5g、11.4mmol)及びメタノール(2mL)を加えた。この混合物に、濃水酸化アンモニウム水溶液(2.0mL)を加え、フラスコを密封し、油浴中、130℃で6時間加熱した。得られた、冷却した黄色の懸濁液を水(100mL)に注ぎ入れ、Whatman#1ろ紙でろ過し、水で洗浄した。標題の化合物を黄色の固体として単離し、これを真空下、一晩乾燥した。
MS(ESI,Q)m/z217(M+1).
【0167】
工程2:4−(メチルスルホニル)ベンゼン−1,2−ジアミン
【0168】
【化26】

【0169】
磁気撹拌子及び還流冷却器を備えた、100mLの丸底フラスコに、エタノール(35mL)中、4−(メチルスルホニル)−2−ニトロアニリン(2.2g、10mmol)及び5%Ru/カーボン(100mg)を加えた。ヒドラジン水和物(2.00g、41mmol)を加え、反応混合物を還流温度で1時間加熱した。粗反応混合物を室温まで冷却し、焼結したガラス製漏斗上のセライトのパッドでろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を濃縮し、所望の生成物を得た。
MS(ESI,Q)m/z187(M+1).
【0170】
工程3:2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0171】
【化27】

【0172】
磁気撹拌子を備えた、10mLの圧力フラスコに、4−(メチルスルホニル)ベンゼン−1,2−ジアミン(2.50g、13.4mmol)、4−ブロモベンズアルデヒド(3.00g、16.1mmol)及びDMF(25mL)を加えた。フラスコの内容物を、TMSCl(4.3mL、33.6mmol)を滴下して加えることにより処理し、バイアルを密封し、油浴中、90℃で4時間加熱した。反応混合物を冷却し、2M NaCO水溶液100mLに注ぎ入れた。得られた懸濁液を、水(50mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。ジエチルエーテルで粉砕して生成物を精製し、得られた固体を、Whatman#1ろ紙を通したろ過により集め、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥した。
MS(ESI,Q)m/z351,353(M+1).
【0173】
工程4:2−ビフェニル−4−イル−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
磁気撹拌子を備えた5mLのマイクロ波バイアルに、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール(70mg、0.20mmol)、フェニルボロン酸(49mg、0.40mmol)、リン酸三カリウム(106mg、0.50mmol)及び[PdBrP(t−Bu)(4mg、0.005mmol)を加えた。これらの固体に、ジオキサン(2mL)及び水(0.1mL)を加え、バイアルを密封し、100℃で20分間加熱した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物を白色固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z349(M+1).
【0174】
実施例4
2−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0175】
【化28】

【0176】
この化合物は、実施例3、工程4に概要を示した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び4−フルオロフェニルボロン酸から製造した。
HNMR(400MHz,d−アセトン):δ8.34(2H,d,J=8.0Hz),8.21(1H,s),7.90−7.78(6H,m),7.28(2H,t,J=8.5Hz),3.14(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z367(M+1).
【0177】
実施例5
2−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0178】
【化29】

【0179】
この化合物は、実施例3、工程4に概要を示した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び3−フルオロフェニルボロン酸から製造した。
HNMR(400MHz,d−アセトン):δ8.37(2H,d,J=8.0Hz),8.21(1H,brs),7.93(2H,d,J=8.0Hz),7.82(2H,s),7.63−7.50(3H,m),7.19(1H,t,J=8.5Hz),3.14(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z367(M+1).
【0180】
実施例6
2−(3’−メチルビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0181】
【化30】

【0182】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び3−メチルフェニルボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z363(M+1).
【0183】
実施例7
2−(4−シクロヘキサ−1−エン−1−イルフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0184】
【化31】

【0185】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及びシクロヘキサ−1−エン−1−イルボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z353(M+1).
【0186】
実施例8
6−(メチルスルホニル)−2−[4−(3−チエニル)フェニル]−1H−ベンズイミダゾール
【0187】
【化32】

【0188】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び3−チエニルボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z355(M+1).
【0189】
実施例9
4’−[6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ビフェニル−4−オール
【0190】
【化33】

【0191】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び4−ヒドロキシフェニルボロン酸から製造した。
HNMR(400MHz,d−アセトン):δ8.30(2H,d,J=8.2Hz),8.24(1H,brs),7.84−7.77(4H,m),7.63(2H,d,J=8.4Hz),6.97(2H,d,J=8.4Hz),3.14(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z365(M+1).
【0192】
実施例10
4’−[6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ビフェニル−3−オール
【0193】
【化34】

【0194】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び3−ヒドロキシフェニルボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z363(M−1).
【0195】
実施例11
4’−[6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ビフェニル−2−オール
【0196】
【化35】

【0197】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び2−ヒドロキシフェニルボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z365(M+1).
【0198】
実施例12
6−(メチルスルホニル)−2−(4−ピリジン−3−イルフェニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0199】
【化36】

【0200】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及びピリジン−3−ボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z350(M+1).
【0201】
実施例13
2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0202】
【化37】

【0203】
この化合物は、実施例3、工程4に記載した方法に従い、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール及び3−クロロフェニルボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z383(M+1).
【0204】
実施例14
6−(メチルスルホニル)−2−[4−(2−チエニル)フェニル]−1H−ベンズイミダゾール
【0205】
【化38】

【0206】
工程1:{4−[6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]フェニル}ボロン酸
【0207】
【化39】

【0208】
磁気撹拌子を備えた、火力乾燥した丸底フラスコに、窒素雰囲気下、2−(4−ブロモフェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール[実施例3、工程3](600mg、1.70mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(650mg、2.55mmol)、酢酸カリウム(670mg、6.85mmol)、PdCl(dppf)−CHCl付加物(70mg、0.05mmol)及びDMF(11mL)を加えた。懸濁液を、窒素により20分間脱気し、85℃で24時間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体を酢酸エチルで希釈し、水を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。シリカゲルの短いパッドを通してろ過することにより生成物を精製し、ヘキサン中の70%酢酸エチルで洗浄し、所望の生成物を明るいベージュ色の固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z399(M+1).
【0209】
工程2:6−(メチルスルホニル)−2−[4−(2−チエニル)フェニル]−1H−ベンズイミダゾール
磁気撹拌子を備えた5mLのマイクロ波バイアルに、{4−[6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]フェニル}ボロン酸(20mg、0.05mmol)、2−ブロモチオフェン(15μL、0.15mmol)、2M NaCO水溶液(50μL、0.10mmol)、PdCl(dppf)−CHCl付加物(4mg、0.005mmol)及びDMF(0.5mL)を加えた。バイアルを密封し、マイクロ波照射下、125℃で30分間加熱した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物を白色固体として得た。
HNMR(500MHz,d−DMSO):δ8.26(2H,d,J=8.0Hz),8.19−8.11(1H,brs),7.90(2H,d,J=8.0Hz),7.86−7.79(1H,brs),7.79−7.74(1H,m),7.71−7.68(1H,m),7.65(1H,d,J=5.0Hz),7.21(1H,t,J=4.5Hz),3.24(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z355(M+1).
【0210】
実施例15
2−[4−(3−フリル)フェニル]−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0211】
【化40】

【0212】
この化合物は、実施例14、工程2に記載した方法に従い、{4−[6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]フェニル}ボロン酸[実施例14、工程1]及び3−ブロモフランから製造した。
MS(ESI,Q)m/z339(M+1).
【0213】
実施例16
6−(メチルスルホニル)−2−[4−(3−メチル−2−チエニル)フェニル]−1H−ベンズイミダゾール
【0214】
【化41】

【0215】
この化合物は、実施例14、工程2に記載した方法に従い、{4−[6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]フェニル}ボロン酸[実施例14、工程1]及び2−ブロモ−3−メチルチオフェンから製造した。
MS(ESI,Q)m/z369(M+1).
【0216】
実施例17
2−(2’フルオロビフェニル−4−イル)−N,N−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−6−スルホンアミド
【0217】
【化42】

【0218】
磁気撹拌子を備えた25mLの丸底フラスコに3,4−ジアミノ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(1.00g、4.7mmol)を加えた。これに2’−フルオロビフェニル−4−カルバルデヒド(実施例1、工程1由来、800mg、4.0mmol)のDMF(10mL)中の溶液を加え、反応混合物を室温で5分間撹拌した。クロロトリメチルシラン(1.28mL、10.0mmol)を滴下して加え、反応混合物を更に5分間撹拌し、次いで反応ブロック中、90℃で16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、2M NaCO水溶液を滴下して加えることにより反応を停止した。混合物を、水(75mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。ヘキサン中の25%EtOAc〜ヘキサン中の100%EtOAc勾配で35分間かけて溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を泡状物質として得た。
MS(ESI,Q)m/z396(M+1).
【0219】
実施例18
2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
【0220】
【化43】

【0221】
工程1:5−(メチルスルホニル)ピリジン−2,3−ジアミン
【0222】
【化44】

【0223】
磁気撹拌子を備えた100mLの丸底フラスコに、2,3−ジアミノ−5−ブロモピリジン(1.50g、8.00mmol)、メタンスルフィン酸ナトリウム塩(1.63g、16.0mmol)、銅(I)トリフルオロメタンスルホネートベンゼン錯体(2.00g、4.00mmol)及びDMSO(15mL)を加えた。懸濁液をトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.48mL、4.00mmol)で処理し、得られた灰色の懸濁液を130℃で16時間加熱した。混合物を冷却し、焼結されたガラス製漏斗上のセライトのパッドを通してろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を、1M HCl水溶液(250mL)を含む500mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。100%EtOAc〜EtOAc中の5%MeOH勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより35分間かけて精製し、標題の化合物を淡褐色の固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z188(M+1).
【0224】
工程2:2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルホニル)−1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
磁気撹拌子を備えた10mLのバイアルに5−(メチルスルホニル)ピリジン−2,3−ジアミン(81mg、0.433mmol)を加えた。これに、2’−フルオロビフェニル−4−カルバルデヒド(実施例1、工程1由来、87mg、0.43mmol)のDMF(3mL)中の溶液を加え、反応混合物を室温で5分間撹拌した。クロロトリメチルシラン(0.14mL、1.08mmol)を滴下して加え、反応混合物を更に5分間撹拌し、次いで反応ブロック中、90℃で16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、飽和NaCO水溶液を滴下して加えて反応を停止した。混合物を、水10mLを含む相分離器に注ぎ入れ、ジクロロメタン(2×5mL)で抽出した。有機層を真空下で濃縮し、C18カラムによる逆相高圧液体クロマトグラフィーにより精製した。
HNMR(400MHz,d−アセトン):δ8.90(1H,d,J=2.0Hz),8.51−8.49(3H,m),7.85−7.82(2H,m),7.70−7.65(1H,m),7.53−7.48(1H,m),7.40−7.30(2H,m),3.30(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z368(M+1).
【0225】
実施例19
2−[6−(2−フルオロフェニル)ピリジン−3−イル]−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0226】
【化45】

【0227】
工程1:6−(2−フルオロフェニル)ニコチンアルデヒド
【0228】
【化46】

【0229】
磁気撹拌子を備えた20mLのマイクロ波バイアルに、6−ブロモニコチンアルデヒド(1.0g、5.38mmol)、2−フルオロフェニルボロン酸(0.9g、6.45mmol)、PdCl(dppf)−CHCl付加物(0.2g、0.27mmol)、2M NaCO水溶液(5.4mL、10.8mmol)及びDMF(8mL)を加えた。バイアルを密封し、マイクロ波照射下、125℃で30分間加熱した。冷却した混合物を、水を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、シリカゲルのパッドを通してろ過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を灰色がかった白色の固体として得た。
【0230】
工程2:2−[6−(2−フルオロフェニル)ピリジン−3−イル]−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
この化合物は、実施例3、工程3に記載した方法に従い、4−(メチルスルホニル)ベンゼン−1,2−ジアミン[実施例3、工程2]及び6−(2−フルオロフェニル)ニコチンアルデヒドから製造した。
HNMR(400MHz,d−アセトン):δ9.55(1H,d,J=2.5Hz),8.67(1H,dd,J=8.5,2.5Hz),8.25(1H,s),8.17(1H,td,J=8.0,2.0Hz),8.09−8.05(1H,m),7.88−7.82(2H,m),7.57−7.51(1H,m),7.40−7.27(2H,m),3.16(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z368(M+1).
【0231】
実施例20
2−[5−(2−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル]−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0232】
【化47】

【0233】
工程1:5−(2−フルオロフェニル)ピリジン−2−カルバルデヒド
この化合物は、実施例20、工程1に記載した方法に従い、5−ブロモピリジン−2−カルバルデヒド及び2−フルオロフェニルボロン酸から製造した。
【0234】
工程2:2−[5−(2−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル]−6−(メチルスルホニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0235】
【化48】

【0236】
この化合物は、実施例3、工程3に記載した方法に従い、4−(メチルスルホニル)ベンゼン−1,2−ジアミン[実施例3、工程2]及び5−(2−フルオロフェニル)ピリジン−2−カルバルデヒドから製造した。
MS(ESI,Q)m/z368(M+1).
【0237】
実施例21
2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−1H−ベンズイミダゾール−6−スルホンアミド
【0238】
【化49】

【0239】
工程1:2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−ヨード−1H−ベンズイミダゾール
【0240】
【化50】

【0241】
磁気撹拌子を備えた10mLの圧力チューブに、4−ヨードベンゼン−1,2−ジアミン(600mg、2.56mmol)、2’−フルオロビフェニル−4−カルバルデヒド(513mg、2.56mmol)及びDMF(4mL)を加えた。反応混合物を、TMSCl(0.81mL、6.41mmol)を滴下により加えて処理し、バイアルを密封し、混合物を90℃で4時間加熱した。冷却した反応混合物を、2M NaCO水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。トルエン中の5%アセトンで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物を固体として得た。
【0242】
工程2:2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−[(トリプロパン−2−イルシリル)スルファニル]−1H−ベンズイミダゾール
【0243】
【化51】

【0244】
磁気撹拌子を備えた4mLのバイアルに、2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−ヨード−1H−ベンズイミダゾール(33mg、0.080mmol)、カリウムトリプロパン−2−イルシランチオレート(22mg、0.100mmol)及びPdCl(dppf)−CHCl付加物(3.3mg、0.004mmol)を加えた。固体をジオキサン(0.7mL)中に懸濁し、90℃で3時間加熱した。混合物を、水(4mL)を含む相分離カートリッジに注ぎ入れ、CHCl(3×4mL)で抽出した。一緒にした有機層を濃縮し、ヘキサン中の20%EtOAcを用いてシリカゲルの短いパッドを通して溶出することにより精製した。溶媒の濃縮後に得られた黄色の油状物質を次の工程で直接用いた。
【0245】
工程3:2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−1H−ベンズイミダゾール−6−スルホンアミド
磁気撹拌子を備えた5mLの丸底フラスコに、MeCN(1mL)中、2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−[(トリプロパン−2−イルシリル)スルファニル]−1H−ベンズイミダゾール(38mg、0.080mmol)を加えた。溶液を0℃まで冷却し、硝酸カリウム(28mg、0.280mmol)を加え、次いで塩化スルフリル(23μL、0.280mmol)を滴下して加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、次いでEtOAc(5mL)で希釈し、焼結したガラス製漏斗上のセライトのプラグを通してろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗反応混合物をTHF(1mL)で希釈し、0℃まで冷却した。過剰量の濃水酸化アンモニウム水溶液(54μL、0.800mmol)を滴下して加え、混合物をこの温度で0.5時間撹拌した。反応混合物を、飽和NHCl水溶液(10mL)を含む25mLの分液漏斗に注ぎ入れ、EtOAc(3×5mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。ヘキサン中の30〜90%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物をベージュ色の固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z368(M+1).
【0246】
実施例22
2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルファニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0247】
【化52】

【0248】
工程1:5−(メチルスルファニル)−2−ニトロアニリン
【0249】
【化53】

【0250】
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、5−クロロ−2−ニトロアニリン(15.0g、87.0mmol)及びDMF(125mL)を加えた。黄橙色の溶液を、ナトリウムチオメトキシド(9.75g、139.0mmol)を一部ずつ添加することにより処理し、得られた混合物を65℃で20時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(250mL)を含む500mLの分液漏斗に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×75mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。ヘキサン中の0%EtOAc〜ヘキサン中の50%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を橙色の固体として得た。
【0251】
工程2:4−(メチルスルファニル)ベンゼン−1,2−ジアミン
【0252】
【化54】

【0253】
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、5−(メチルスルファニル)−2−ニトロアニリン(2.50g、13.6mmol)及びエタノール(100mL)を加えた。溶液を、塩化スズ(II)二水和物(15.3g、67.9mmol)で処理し、反応混合物を16時間還流した。冷却した反応混合物を減圧下で25mLまで濃縮し、1M NaOH水溶液(約100mL)を用いて溶液をpH=10まで塩基性にした。得られた乳状のベージュ色の懸濁液を250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。
【0254】
工程3:2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルファニル)−1H−ベンズイミダゾール
磁気撹拌子を備えた10mLの圧力バイアルに、4−(メチルスルファニル)ベンゼン−1,2−ジアミン(289mg、1.873mmol)、2’−フルオロフェニル−4−カルバルデヒド(250mg、1.25mmol)及びDMF(3mL)を加えた。溶液をTMSCl(0.40mL、3.12mmol)で処理し、室温で10分間撹拌し、油浴中、90℃で2時間加熱した。2M NaCO水溶液(5mL)を滴下して加えることにより、冷却した反応混合物の反応を停止した。混合物をジクロロメタン(5mL)で希釈し、層抽出器を用いて層を分離した。追加の水を加え、混合物を、ジクロロメタン(3×10mL)で更に抽出した。一緒にした有機層を減圧下で濃縮した。ヘキサン中の0%EtOAc〜ヘキサン中の60%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を灰色がかった白色の固体として得た。アセトン中で粉砕してHirsh漏斗上でろ紙によりろ過することにより更に精製し、灰色がかった白色固体を得た。
MS(ESI,Q)m/z335(M+1).
【0255】
実施例23
2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0256】
【化55】

【0257】
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−6−(メチルスルファニル)−1H−ベンズイミダゾール(120mg、0.36mmol)及びメタノール(2mL)を加えた。氷浴中で溶液を0℃まで冷却し、水(1mL)中の過ヨウ素酸ナトリウム(84mg、0.40mmol)を30分間かけて一部ずつ加えた。懸濁液を0℃で2時間撹拌し、次いで室温まで16時間かけて加温した。反応混合物を濃縮してメタノールを除去し、橙色の懸濁液を、水(30mL)を含む75mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。100%EtOAc〜EtOAc中の20%EtOH勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物をベージュ色の固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z351(M+1).
【0258】
実施例24
6−(メチルスルホニル)−2−(6−フェニルピリダジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール
【0259】
【化56】

【0260】
工程1:3−エテニル−6−フェニルピリダジン
【0261】
【化57】

【0262】
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、3−クロロ−6−フェニルピリダジン(5.00g、26.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド(0.921g、1.31mmol)及びLiCl(5.56g、131mmol)を加えた。減圧下(1mmHg)にフラスコを排気し、Nを再度充填した(繰り返して3回)。固体をDMF(75mL)中に懸濁し、シリンジを通して溶液中にNガスを20分間吹き込んだ。その後、テトラビニルスズ(7.68mL、42.0mmol)を加え、懸濁液を100℃で16時間加熱した。反応混合物を、焼結したガラス製漏斗上のシリカゲルのプラグを通してろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。ろ液を、水(125mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、ジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。ヘキサン中の0%EtOAc〜ヘキサン中の40%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物を灰色がかった白色の固体として得た。
【0263】
工程2:6−フェニルピリダジン−3−カルバルデヒド
【0264】
【化58】

【0265】
磁気撹拌子を備えた100mLの丸底フラスコに、ジクロロメタン(10mL)中、3−エテニル−6−フェニルピリダジン(300mg、1.646mmol)を加えた。溶液を−78℃まで冷却し、次いで、ガス分散チューブを通して、溶液がわずかに青い色に変わるまで1.5時間、オゾンを吹き込んだ。オゾンの吹き込みを停止し、反応混合物を−78℃で30分間撹拌し、硫化ジメチル(1.22mL、16.5mmol)で反応を停止した。溶液を1時間、室温まで加温し、次いで減圧下で濃縮した。粗残渣を、飽和NaHCO水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。ヘキサン中の0%EtOAc〜ヘキサン中の50%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を淡黄色固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z185(M+1).
【0266】
工程3:6−(メチルスルホニル)−2−(6−フェニルピリダジン−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール
磁気撹拌子を備えた10mLのバイアルに4−(メチルスルホニル)ベンゼン−1,2−ジアミン(121mg、0.65mmol)を加えた。これに、DMF(3mL)中の6−フェニルピリダジン−3−カルバルデヒド(80mg、0.434mmol)を加え、反応混合物を室温で5分間撹拌した。TMSCl(0.14mL、1.09mmol)を滴下して加え、反応ブロック中、反応混合物を90℃で加熱し、大気に曝した。加熱を16時間続けた。NaCO飽和水溶液(5mL)を滴下して加えて反応混合物の反応を停止した。混合物を、水(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。ヘキサン中の50%EtOAc〜ヘキサン中の100%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体を得た。示される化合物を、アセトン中の粉砕により更に精製した。
MS(ESI,Q)m/z351(M+1).
【0267】
実施例25
6−(メチルスルホニル)−2−(2−フェニルピリミジン−5−イル)−1H−ベンズイミダゾール
【0268】
【化59】

【0269】
工程1:2−フェニルピリミジン−5−カルバルデヒド
【0270】
【化60】

【0271】
磁気撹拌子を備えた100mLの丸底フラスコに、ジクロロメタン(20mL)中、2−フェニル−5−メタノールピリミジン(1.00g、5.4mmol)及び炭酸水素ナトリウム(0.90g、10.7mmol)を加えた。懸濁液を、デスマーチンペルヨージナン(2.73g、6.44mmol)を一部ずつ加えて処理し、白色の懸濁液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を、焼結したガラス製漏斗上のセライトのプラグを通してろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を、水(125mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。ヘキサン中の0%EtOAc〜ヘキサン中の50%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物を白色固体として得た。
MS(ESI,Q)m/z185(M+1).
【0272】
工程2:6−(メチルスルホニル)−2−(2−フェニルピリミジン−5−イル)−1H−ベンズイミダゾール
磁気撹拌子を備えた10mLのバイアルに、4−(メチルスルホニル)ベンゼン−1,2−ジアミン(303mg,1.63mmol)、2−フェニルピリミジン−5−カルバルデヒド(250mg、1.36mmol)及びDMF(3mL)を加えた。TMSCl(0.43mL、3.39mmol)を5分間かけて滴下して加えながら、反応混合物を室温で撹拌し、次いで、反応ブロック中、90℃に加熱し、大気にさらした。加熱を4時間続け、次いで、混合物を室温で16時間撹拌した。2M NaCO水溶液(5mL)を滴下して加えて反応を停止し、水10mLを含む相分離器に注ぎ入れ、ジクロロメタン(5mL)で抽出した。減圧下で有機層を濃縮し、ヘキサン中の5%EtOAc〜ヘキサン中の50%EtOAc勾配で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を、酢酸エチル中での粉砕により更に精製し、Hirsch漏斗上のろ紙によりろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、灰色がかった白色の固体を得た。
MS(ESI,Q)m/z351(M+1).
【0273】
実施例26
2−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0274】
【化61】

【0275】
工程1:4−(メチルチオ)ピリジン−2−アミン
【0276】
【化62】

【0277】
4−クロロピリジン−2−アミン(3.00g、23.3mmol)及びナトリウムチオメトキシド(4.9g、70.0mmol)のエタノール(37.3mL)及び水(9.3mL)中の混合物を、密封チューブ中、140℃で18時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(20mL)及びEtO(5mL)で粉砕した。混合物をろ過し、水、次いでEtOで洗浄した。固体を高真空下で乾燥し、標題の生成物を得た。
MS(ESI,Q)m/z141(M+1).
【0278】
工程2:2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0279】
【化63】

【0280】
4−(メチルチオ)ピリジン−2−アミン(1.00g、7.1mmol)及び2−ブロモ−1−(4−ブロモフェニル)エタノン(2.20g、7.6mmol)のエタノール(71mL)中の混合物を、還流下に100℃で8時間加熱した。混合物を飽和NaHCO水溶液(40mL)で希釈し、再度100℃で1時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(200mL)で希釈した。固体をろ過し、水、次いでEtOで洗浄した。高真空下で固体を乾燥し、標題の化合物を得た。
MS(ESI,Q)m/z319,321(79Br及び81BrのM+1).
【0281】
工程3:2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0282】
【化64】

【0283】
2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルチオ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(1.90g,5.8mmol)の酢酸(29mL)中の溶液に、タングステンナトリウム二水和物(0.19g、0.58mmol)、次いで過酸化水素(2.0mL、23.2mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を、飽和NaHCO水溶液(30mL)及びEtO(10mL)と混合した。混合物をろ過し、水、次いでEtOで洗浄した。粗生成物をMeOH/EtOで再結晶し、ろ過し、EtOで洗浄し、標題の化合物を得た。
【0284】
工程4:2−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン(50mg、0.14mmol),(3−フルオロフェニル)ボロン酸(30mg、0.21mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロライドジクロロメタン錯体(11mg、0.014mmol)の脱気した炭酸ナトリウム(0.28mL、0.29mmol)及びジオキサン(1.4mL)中の混合物を、90℃で18時間加熱した。混合物を、EtOAcで溶出するシリカゲルのパッドを通してろ過した。溶媒を蒸発させ、混合物をアセトン/EtOから再結晶し、ろ過し、EtOで洗浄し、標題の生成物を得た。
HNMR(500MHz,d−アセトン):δ8.78(1H,d,J=7.0Hz),8.65(1H,s),8.22(2H,d,J=8.0Hz),8.16(1H,s),7.84(2H,d,J=8.0Hz),7.61(1H,d,J=7.5Hz),7.58−7.51(2H,m),7.37(1H,d,J=7.0Hz),7.24−7.12(1H,m),3.28(3H,s).
MS(ESI,Q)m/z367(M+1).
【0285】
実施例27
2−(2’−フルオロビフェニル−4−イル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0286】
【化65】

【0287】
標題の化合物は、実施例26、工程6に記載したのと同様の方法により、2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン及び(2−フルオロフェニル)ボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z367(M+1).
【0288】
実施例28
2−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0289】
【化66】

【0290】
標題の化合物は、実施例26、工程6に記載したのと同様の方法により、2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン及び(4−フルオロフェニル)ボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z367(M+1).
【0291】
実施例29
7−(メチルスルホニル)−2−[3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0292】
【化67】

【0293】
標題の化合物は、実施例26、工程6に記載したのと同様の方法により、2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン及び[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z417(M+1).
【0294】
実施例30
2−(3’−クロロビフェニル−4−イル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
【0295】
【化68】

【0296】
標題の化合物は、実施例26、工程6に記載したのと同様の方法により、2−(4−ブロモフェニル)−7−(メチルスルホニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン及び(3−クロロフェニル)ボロン酸から製造した。
MS(ESI,Q)m/z383(M+1).
【0297】
医薬製剤の実施例
本発明の経口用医薬組成物の特定の実施態様として、100mgの力価の錠剤が、実施例の任意の1種の化合物100mg、微結晶性セルロース268mg、クロスカルメロースナトリウム20mg及びステアリン酸マグネシウム4mgにより構成されている。活性成分、微結晶性セルロース及びクロスカルメロースを最初に配合する。次いで、混合物をステアリン酸マグネシウムにより滑らかにし、錠剤に圧縮する。
【0298】
本発明を、特定の実施態様を参照して記載及び説明したが、当業者は、種々の変形、修飾及び置換を本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずになし得ることを理解するであろう。例えば、前記に記載の好ましい投与量以外の有効な投与量を、特定の病状について治療されるヒトの反応性における変化の結果として適用することができる。同様に、観察される薬理学的反応は、選択される特定の活性化合物、薬学的担体が存在するかどうか、製剤のタイプ及び用いられる投与方法に応じて及びそれに依存して変化し得、結果におけるこのような予想される変形又は相違は、本発明の目的及び実施に従って意図される。従って、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定され、このような請求の範囲は、妥当である限り広く解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
XはNHであり、YはCであり、ZはN又はCRであり:
又はX及びZは、それぞれCRであり、YはNであり;
Wは:
【化2】

(式中、各Rは、独立して:
水素、
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシからなる群から選択される)からなる群から選択される残基であり;
、R及び各Rは、それぞれ独立して:
水素、
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、及び
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシからなる群から選択され;
は:
−SOシクロプロピル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよい−SC1−3アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよい−S(O)C1−3アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよい−SO1−3アルキル、及び
−SONR(ここで、各Rは独立して水素又はC1−3アルキルである)からなる群から選択され;
は:
シクロペンテニル、
シクロヘキセニル、
フェニル、及び
ピリジル、
ピリミジニル、
ピリダジニル、
ピラジニル、
フリル、
チエニル、
チアゾリル、
オキサゾリル、
イソキサゾリル、
イソチアゾリル、
イミダゾリル、及び
ピラゾリルからなる群から選択されるヘテロアリール、からなる群から選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ及びC1−3アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい(ここで、アルキルは1〜5個のフッ素で置換されていてもよい)]の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
XがNHであり、YがCであり、ZがN又はCRである、構造式(Ia):
【化3】

で表わされる、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
ZがCRであり;Rが−SOCH又は−SOシクロプロピルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
、R及びRが、それぞれ水素である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
Wが、
【化4】

である、請求項2記載の化合物。
【請求項6】
各Rが水素である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Wが
【化5】

である、請求項5記載の化合物。
【請求項8】
各Rが水素である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
が、独立してフッ素及び塩素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、請求項2記載の化合物。
【請求項10】
ZがCRであり;
Wが、
【化6】

であり;
が、独立して塩素及びフッ素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルであり;そして
が−SOCH又は−SOシクロプロピルである、請求項2記載の化合物。
【請求項11】
、R、R及びRが、それぞれ水素である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
X及びZが、それぞれCRであり、YがNである、構造式(Ib):
【化7】

で表わされる、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
が−SOCH又は−SOシクロプロピルである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
、R及びRが、それぞれ水素である、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
Wが、
【化8】

である、請求項12記載の化合物。
【請求項16】
各Rが水素である、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
Wが
【化9】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
各Rが水素である、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
が、独立してフッ素及び塩素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルである、請求項12記載の化合物。
【請求項20】
Wが、
【化10】

であり;
が、独立して塩素及びフッ素から選択される1〜2個のハロゲンで置換されていてもよいフェニルであり;そして
が−SOCH又は−SOシクロプロピルである、請求項12記載の化合物。
【請求項21】
、R、R及びRが、それぞれ水素である、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
請求項1記載の化合物を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項23】
哺乳類における、ステアロイル補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼの阻害に応答する障害、病状又は疾患の治療のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項24】
前記障害、病状又は疾患が、2型糖尿病、インシュリン耐性、脂質障害、肥満症、メタボリックシンドローム、脂肪肝疾患及び癌からなる群から選択される、請求項23記載の使用。
【請求項25】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項24記載の使用。
【請求項26】
ほ乳類において2型糖尿病、インシュリン耐性、脂質障害、肥満症、メタボリックシンドローム及び脂肪肝疾患を治療するのに用いられる薬剤の製造のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項27】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項26記載の使用。

【公表番号】特表2011−518200(P2011−518200A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505331(P2011−505331)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000541
【国際公開番号】WO2009/129625
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】